(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173153
(43)【公開日】2022-11-17
(54)【発明の名称】ガスバーナシステムの運転を監視する方法およびガスバーナシステム
(51)【国際特許分類】
F23N 5/24 20060101AFI20221110BHJP
F23D 14/78 20060101ALI20221110BHJP
【FI】
F23N5/24 106A
F23N5/24 104
F23D14/78 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076680
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 112 034.9
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】モンネー,ランベルトゥス ペーター
【テーマコード(参考)】
3K003
3K017
【Fターム(参考)】
3K003RA07
3K003SA03
3K003SC04
3K003SC08
3K017DF03
3K017DF08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、ガスバーナシステムの運転を監視するための方法に関する。
【解決手段】ガスバーナシステム1の運転中にバーナ2によって燃料-空気の混合物が点火され、火炎5が発生され、火炎5の温度は、冷却風を当てて能動的に冷却される火炎温度測定装置7で測定され、評価装置11で評価され、火炎5の温度が、臨界値より低くなった場合、または一定の負の傾きになった場合、バーナ2への燃料の供給は中断され、および、火炎5の温度から空燃比が決定され、空燃比が異常の場合、バーナ2への燃料の供給が中断される。さらに、本発明はガスバーナシステム1に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナシステム(1)の運転を監視するための方法であって、ガスバーナシステム(1)の運転中にバーナ(2)によって燃料-空気の混合物が点火され、火炎(5)が発生され、火炎(5)の温度は、冷却風を当てて能動的に冷却される火炎温度測定装置(7)で測定され、評価装置(11)で評価され、火炎(5)の温度が、臨界値より低くなった場合、または一定の負の傾きになった場合、バーナ(2)への燃料の供給は中断され、および、火炎(5)の温度から空燃比が決定され、空燃比が異常の場合、バーナ(2)への燃料の供給が中断される、方法。
【請求項2】
火炎温度測定装置(7)のための冷却空気を準備するために、バーナ(2)に導かれた処理空気の一部が、分岐されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
火炎(5)の温度の勾配挙動が評価されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
冷却空気の温度が、火炎(5)の温度の影響を受けない位置で空気温度測定装置(8)により測定され、評価装置(11)によって評価されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
冷却空気の圧力が、圧力測定装置(9)により測定され、評価装置(11)によって評価されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ガスバーナシステム(1)であって、
燃焼室(20)を有するバーナ(2)と、
バーナ(2)の燃焼室(20)に接続された燃料供給ライン(3)および空気供給ライン(4)と、
燃料供給ライン(3)内に収容され、バーナ(2)の前記燃焼室(20)への燃料供給を実施および終了にするために選択的に開閉可能な少なくとも1つの燃料弁(12)と、
ガスバーナシステム(1)の運転を制御可能である制御装置(10)と、
火炎(5)の温度を測定するように構成されてなる、火炎温度測定装置(7)と、
火炎温度測定装置(7)の温度測定データを評価し、その評価結果を制御装置(10)に送信するように構成されてなる評価装置(11)と、を含み、
制御装置(10)は、火炎(5)の温度が臨界値を下回る場合、または温度が特定の負の勾配で下がる場合に、燃料弁(12)のためのスイッチオフ信号を生成するように構成されてなり、評価装置(11)は、火炎(5)の温度から空燃比を決定するように構成されてなり、制御装置(10)は、空燃比に異常がある場合に燃料弁(12)のためのスイッチオフ信号を生成するように構成されてなる、ガスバーナシステム(1)。
【請求項7】
バイパスライン(6)を備え、バイパスライン(6)内には、火炎温度測定装置(7)が収容され、ガスバーナシステム(1)の運転中に空気供給ライン(4)を流れる処理空気の一部がバイパスライン(6)に分流され、そして火炎温度測定装置(7)を積極的に冷却するための冷却空気を形成するように、空気供給ライン(4)から分岐されて配設されることを特徴とする、請求項6に記載のガスバーナシステム(1)。
【請求項8】
空気温度測定装置(8)が、空気供給ライン(4)内に収容されていることを特徴とする、請求項6または7に記載のガスバーナシステム(1)。
【請求項9】
圧力測定装置(8)が、空気供給ライン(4)内に収容されていることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載のガスバーナシステム(1)
【請求項10】
ガスバーナシステム(1)が、脂肪族燃料と水素との混合物からなる燃料、または天然不純物を除けばもっぱら水素からなる燃料で運転するように構成されることを特徴とする、請求項6~9のいずれか1項に記載のガスバーナシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバーナシステムの運転を監視する方法に関する。さらに、本発明は、ガスバーナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスバーナシステムは、たとえばガス凝縮ボイラに使用することができ、先行技術から多数の異なる実施形態で知られている。これらのガスバーナシステムは、バーナを含み、このバーナによって、運転中に燃料-空気の混合物を燃焼させることができる。このようなガスバーナシステムの運転を監視するためには、バーナの様々な運転パラメータを記録し、評価することが必要である。これには、たとえば、火炎の監視が含まれる。
【0003】
先行技術から、たとえば、火炎温度の測定に基づくバーナの火炎監視のための方法が知られている。そのような方法は、火炎の中に延びる、温度感受性領域を有する熱電対を少なくとも使用している。火炎が活動している時、熱電効果(ゼーベック効果)に基づく火炎温度によって発生する電圧は、ガスバーナシステムの燃料弁を機械的なばね力に抗して開いた状態に維持することができる。燃料弁が開いている時は、バーナの燃焼室に燃料が流れ込み、火炎を維持することができる。火炎が消失すると熱電対が冷え、熱電効果に基づく火炎温度で発生する電圧が低下し、燃料弁を開いたままにすることができなくなる。そして、ばね力の作用によって燃料弁は閉じられる。
【0004】
このようなプロセスは設計上比較的簡単であり、また非常に堅牢である。しかし、火炎が消えた時に熱電対とその保護シースが冷却されるのに一定の時間が必要であるという決定的な欠点がある。この間、熱電効果によって発生する電圧は、燃料弁を開位置に保つのに十分な高さを保っている。それゆえ、実際には、燃料弁が閉じるまでに30秒程度かかることもある。したがって、関連規格によれば、この方法は半自動バーナにのみ許可され、家庭用分野、特にガス凝縮ボイラにおいては、および産業用途で使用される自動バーナにおいては許可されない。これは、たとえば、DIN EN 298:2012-11などの関連規格では、消火から1秒間の燃料弁の閉弁時間が要求とされているからである。
【0005】
先行技術から知られているガスバーナシステムは、しばしば天然ガスのような脂肪族燃料で運転される。しかしながら、これらの脂肪族燃料は、少なからぬ量の二酸化炭素(CO2)が燃焼プロセス中に生成されるという欠点を有する。このような二酸化炭素の排出を減らすために、水素と脂肪族燃料との混合物、特に水素と天然ガスとの混合物、または、100%(ただし、避けることのできない不純物は除くが)水素を燃料として運転できるように設計されたガスバーナシステムが、先行技術から既に知られている。さらに、水素は、石油や天然ガスなどの他の燃料と比較して、最も高いエネルギー密度を有している。ガスバーナシステムにおける燃料としての水素または水素-天然ガス混合物の使用は、空気数とも呼ばれる空燃比λのようなバーナの運転パラメータに影響を与える。この空燃比λは、燃焼プロセスに実際に利用可能な空気質量と、理論的に化学量論的に完全燃焼に必要な最小空気質量の商として定義される。
【0006】
100%までの水素の燃料含有量で運転可能なガスバーナシステムの例は、WO2020/192902A1から知られている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、ガスバーナシステムの運転を確実かつ安全に行うことができるガスバーナシステムの運転監視方法およびガスバーナシステムを提供することにある。
【0008】
この課題の解決策は、請求項1の特徴を有するガスバーナシステムの運転監視方法を提供する。ガスバーナシステムについては、この課題は、請求項6の特徴を有するガスバーナシステムによって解決される。下位の請求項は、本発明の好ましいさらなる形態に関連する。
【0009】
ガスバーナシステムの運転監視のための発明に従った方法においては、ガスバーナシステムであって、ガスバーナシステムの運転中にバーナによって燃料-空気混合物が点火され、火炎が発生されるガスバーナシステムの運転監視のための発明に従った方法において、火炎の温度は、冷却風を当てて積極的に冷却される火炎温度測定装置で測定され、評価装置で評価され、ガスバーナシステムの運転監視のための発明に従った方法においては、火炎の温度が、臨界値より低くなった場合、または一定の負の傾きになった場合、バーナへの燃料の供給は中断され、および、火炎の温度から空燃比が決定され、空燃比が異常の場合、バーナへの燃料の供給が中断される。
【0010】
ガスバーナシステムの運転監視のための、発明に従った方法では、火炎の温度が測定される火炎温度測定装置は、強制対流によって冷却空気で恒久的に積極的に冷却される。この冷却空気は、好ましくは1以上の熱電対を有する火炎温度測定装置の周囲を移動し、特に火炎温度測定装置とその保護シースの間の領域にも移動する。冷却空気による火炎温度測定装置の永久的な能動的冷却により、火炎温度測定装置は、火炎が消失した、能動冷却がない場合よりも、より迅速に冷却される。これにより、火炎の消失と、燃料供給を中断するための燃料弁の閉鎖との間の反応時間が、有利な態様で効果的に短縮される。
【0011】
火炎の存在もしくは不存在、または発生の検出に加えて、さらに別の特性は、ここに提示された、火炎温度測定装置の能動的冷却の原理に基づいて、十分に迅速に測定されることが可能である。これは空気数または空燃比のことで、バーナの重要な運転パラメータでもある。
【0012】
火炎温度は、能動的に冷却される火炎温度測定装置によって非常に高速に測定することができ、空気数λまたは空燃比の指標にもなる。積極的に冷却された火炎温度測定装置により、空気数または空燃比が、最適空気数または最適空燃比から燃焼プロセスにとって好ましくない領域に逸脱したことを十分に迅速に検出し、燃料供給を停止することが、有利な方法で可能である。安全性の観点から、火炎温度測定装置の積極的冷却なしでは、これは非常にゆっくりとしたものになるであろう。
【0013】
冷却目的のために、有利な実施形態では、たとえば換気装置によってバーナの燃焼室に供給される処理空気の一部、または排ガス換気装置によってバーナの燃焼室に吸引される処理空気の一部が、分岐され、火炎温度測定装置を積極的に冷却するための冷却空気として使用される。残りの処理空気は、燃焼室内で燃料を燃焼させるための燃焼用空気となる。
【0014】
火炎温度測定装置の測定信号は、好ましくは、評価装置のフェールセーフ入力モジュールによって読み込まれ、特に、アナログ形式で(すなわち、その信号曲線を介して、限界値を介してデジタル的にではなく)評価される。この場合、測定された温度が定義された温度限界値以下に低下するか、もしくは一定の負の(臨界)勾配を持つか、または空燃比の異常が検出されるとすぐに、燃料弁のスイッチオフ信号が生成される。これにより、火炎温度に基づく火炎の消失を、静的な絶対値的に(火炎温度がある限界値以下になること)と、動的(火炎温度が、消炎を示す一定の負の勾配を持つこと)にとの両方で検出することができるようになる。火炎温度測定装置を積極的に冷却することで、冷却しない場合に比べ、火炎温度の低下をより迅速かつ確実に検出することができる。さらに、有利な実施形態では、火炎の存在は一定の高温を介して検出され、火炎の発生は温度の上昇を介して検出されることができる。好ましくは、可能な温度変化を検出するために、火炎温度測定装置によって測定された火炎の温度の勾配挙動は、この文脈で評価される。これにより、火炎の温度が上昇しているのか、下降しているのか、一定なのかを非常に簡単に判断することができる。
【0015】
処理空気または冷却空気の温度が上昇/下降すると、必然的に火炎温度の測定値が上昇/下降することになる。処理空気または冷却空気の温度の上昇/低下が、火炎の発生/消失と誤って解釈されるのを防ぐために、有利な実施形態においては、さらに、処理空気およびそこから分岐した冷却空気の温度が、火炎の影響を受けない位置で空気温度測定装置により測定され、評価装置によって評価される。好ましくは、空気温度測定装置は、空気供給ラインの内部に配設される。空気温度測定装置によって温度の上昇/低下も検出される場合、この温度変化は、好ましくは、火炎温度の評価に考慮されず、したがって、評価装置によって、発生しているまたは消失している火炎として評価される。
【0016】
有利な実施形態においては、処理空気供給の故障は、好ましくは空気供給ライン内に収容される圧力測定装置によって監視される。この圧力測定装置は、処理空気の圧力、つまり冷却空気の圧力を検出する。処理空気の供給停止が検出されると、燃料弁が閉じられ、したがって、燃焼室内への燃料供給が中断される。
【0017】
火炎温度測定装置は、火炎温度を測定するように配設されている。火炎温度は、一定の空燃比または一定の空気数であり、燃料と空気との混合物の火炎/燃焼が損なわれていない場合、一定であるので、すなわちバーナの出力(調節バーナでは変化し得る)には依存しないので、バーナ出力が低下しても測定される温度は低下せず、したがって消炎の不正確な検出による燃料弁閉鎖にもつながらない。
【0018】
本発明に従ったガスバーナシステムは、
燃焼室を有するバーナと、
バーナの燃焼室に接続された燃料供給ラインおよび空気供給ラインと、
前記燃料供給ライン内に収容され、前記バーナの前記燃焼室への燃料供給を実施および終了にするために選択的に開閉可能な少なくとも1つの燃料弁と、
前記ガスバーナシステムの運転を制御可能である制御装置と、
火炎の温度を測定するように構成されてなる、能動冷却式火炎温度測定装置と、
前記火炎温度測定装置の温度測定データを評価し、その評価結果を前記制御装置に送信するように構成されてなる評価装置と、を含み、
制御装置は、火炎の温度が臨界値を下回る場合、または温度が特定の負の勾配で下がる場合に、燃料弁のためのスイッチオフ信号を生成するように構成されてなり、評価装置は、火炎の温度から空燃比を決定するように構成されてなり、制御装置は、空燃比に異常がある場合に燃料弁のためのスイッチオフ信号を生成するように構成されてなる。
【0019】
本発明に従ったガスバーナシステムは、上述の詳細に説明した方法の知見に基づいており、特に、火炎の消失または空燃比の異常が、火炎温度測定装置の能動的冷却により非常に迅速に検出されるので、燃料供給を非常に迅速に停止することができ、ガスバーナシステムの安全な運転が可能となる。
【0020】
好ましい実施形態において、ガスバーナシステムは、バイパスラインを備えることが可能であり、バイパスライン内には、火炎温度測定装置が収容され、ガスバーナシステムの運転中に空気供給ラインを流れる処理空気の一部がバイパスラインに分流され、そして火炎温度測定装置を積極的に冷却するための冷却空気を形成するように、空気供給ラインから分岐されて配設される。バイパスラインを通らない残りの処理空気は、バーナの燃焼室内における燃料のための燃焼用空気となる。
【0021】
特に好ましい実施形態においては、空気温度測定装置が空気供給ライン内に収容されていることが可能である。空気温度測定装置によって、火炎温度の影響を受けない位置で処理空気の温度を測定することが可能である。
【0022】
好ましい実施形態においては、圧力測定装置が空気供給ライン内に収容されていることが可能である。圧力測定装置によって、処理空気を適用可能かどうかを検出することができる。
【0023】
特に有利な実施形態においては、ガスバーナシステムが、脂肪族燃料と水素との混合物からなる燃料、または天然不純物を除けばもっぱら水素で運転するように構成される。しかしながら、原理的には天然ガスなどの純脂肪族燃料も使用可能である
【0024】
ここに記載した方法とガスバーナシステムの利点は、特にセンサ面における簡便性にある。これは、1または複数の熱電対を備えた火炎温度測定装置が1つあればよく、通常、熱電対は、2つの異なる金属を溶接して構成されているだけなので、火炎温度測定装置を非常にシンプルかつ安価に実装することができるからである。これに対し、火炎監視においても一般的な光学センサ装置は、たとえば、紫外線検出に基づくが、このようなセンサ装置は、実質的により複雑なものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ガスバーナシステム1の基本構造を概略的に高度に単純化した形で示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態のさらなる特徴および利点は、ガスバーナシステム1の基本構造を概略的に高度に単純化した形で示す添付の
図1を参照してより詳細に説明される。この説明図に基づいて、ガスバーナシステム1の運転状態を監視する方法の詳細についても、以下に説明する。
【0027】
ガスバーナシステム1は、燃焼室20を有するバーナ2と、バーナ2の燃焼室20に接続された、燃料供給ライン3および空気供給ライン4と、を備える。燃料供給ライン3内には、バーナ2の燃焼室20への燃料供給の解除または終了のために、それぞれ選択的に開閉可能な燃料弁12が収容されている。
【0028】
ガスバーナシステム1の運転中、燃料供給ライン3を介してバーナ2の燃焼室20に燃料が供給される。空気供給ライン4を介して処理空気が供給され、処理空気の一部は燃焼処理のための燃焼用空気を形成し、バーナの燃焼室に導入される。その結果、ガスバーナシステムの運転中、バーナの燃焼室20内で着火可能な燃料と空気との混合物が得られ、ここで明示的に示されていない点火装置によって適切に点火され、火炎が生成されるようになる。燃料としては、たとえば、天然ガスなどの脂肪族燃料を使用することができる。しかし、燃料として水素と脂肪族燃料、特に天然ガスとの混合物を使用することが好ましい。特に有利な実施形態では、ガスバーナシステム1は、自然の不純物を除いて、100%水素を燃料としてバーナ2を運転できるように設計されている。
【0029】
図1からわかるように、ガスバーナシステム1はバイパスライン6を有し、その中に火炎5の温度を測定するための火炎温度測定装置7が収容されている。バイパスライン6を通して、空気供給ライン4からの処理空気のある割合がバーナ2の燃焼室20を過ぎて導かれることができるので、このある割合の空気は、もはや燃料と空気との混合物の燃焼プロセスに燃焼用空気として寄与しないが、強制対流による火炎温度測定装置7の能動冷却のための冷却空気として使用することができる。燃焼用空気は、たとえば、ファンによってバーナ2の燃焼室20に供給したり、または排気ファンによってバーナ2の燃焼室20に吸引したりすることができる。
【0030】
空気供給ライン4内には、処理空気の温度を測定するように構成されてなる空気温度測定装置8と、空気供給ライン4内の空気圧を測定する圧力測定装置9が収容されている。圧力測定装置9は、アナログ圧力測定用に構成されており、したがって、デジタルスイッチング閾値を検出するのではなく、アナログ方式で処理空気の圧力を連続的に測定するように構成することが好ましい。
【0031】
さらには、ガスバーナ1は、ガスバーナシステム1の運転を制御・監視するように構成されてなる制御装置10を含む。特に、制御装置10は、燃料弁12のイネーブル信号またはシャットオフ信号を生成するように構成されている。さらに、火炎温度測定装置7、空気温度測定装置8、および圧力測定装置9が接続され、これらの測定装置で測定したデータを受信して評価するための評価装置11が設けられている。評価装置11は、制御装置10と接続されている。評価装置11と制御装置10とを2つの別々の装置として示したが、原理的には両者の機能を一体化する、特に制御装置10に統合することが可能であり、統合の度合いを高めることができる。
【0032】
火炎温度測定装置7は、冷却空気による強制対流で持続的に冷却される。このため、空気供給ライン4から供給され、一部が燃焼室20をバイパスしてバイパスライン6に入る処理空気の一部が冷却空気として使用される。この冷却空気は、好ましくは1以上の熱電対を有する火炎温度測定装置7の周囲、特にこの火炎温度測定装置7と保護ジャケットとの間を移動する。この強制対流による火炎温度測定装置7の持続的な冷却により、火炎温度測定装置7は、この積極的な冷却がない場合よりも、消火時に迅速に冷却される。この対策により、好ましいことに、火炎5の消失から燃料弁12が閉じるまでのスイッチオフ時間を有意に短縮することが可能になる。
【0033】
火炎温度測定装置7の測定信号は、評価装置11のフェールセーフ入力モジュールによって読み込まれ、評価装置11によってアナログ形式で(すなわち、限界値を介してデジタル的にではなく、その経過を介して)評価される。測定された火炎温度が限界値以下に低下したことが、または火炎5が消失したことを示すある(臨界の)負の勾配を有する測定された火炎温度の低下が検出されるとすぐに、制御装置10によって燃料弁12の遮断信号が発生し、燃料弁12を閉じてバーナ2の燃焼室20への燃料供給を中断させる。火炎温度測定装置7の能動冷却によって、冷却しない場合よりも、対応する温度低下をより迅速かつ確実に検出することができる。さらに、火炎温度測定装置7の測定信号を評価することで、実質的に一定の高温を検出することを介して、現存する火炎5を、そして、上昇する温度を検出することで、発生する火炎5を、確実に検出することができる。好ましくは、可能な温度変化を検出するために、火炎温度測定装置7によって測定された火炎5の温度の勾配挙動が、この関連において評価される。これにより、火炎5の温度が上がっているのか、下がっているのか、一定なのかを非常に容易に検出することが可能である。
【0034】
処理空気の温度の上昇/下降は、必然的に火炎温度も上昇/下降につながる。また、処理空気の温度の上昇/下降が、火炎5の発生/消失と評価されることを防止するために、この処理空気の温度も、火炎5によって影響され得ない位置で測定される。これは、空気供給ライン4内に配設された空気温度測定器8によって行われる。空気温度測定装置8によって、空気温度の上昇/下降が検出された場合、この温度変化は、評価装置11による火炎温度の評価において考慮されないので、発生している火炎または消失している火炎として評価されない。
【0035】
圧力測定装置9で測定される処理空気の圧力も同様で、圧力の上昇は、火炎5におけるより大きな膨張のために火炎温度の低下につながり、圧力の低下は、火炎5におけるより小さな膨張のために、火炎温度の上昇につながる。燃焼技術の関連規格では、常に一定のガス圧を保証するためにガス圧調整器が規定されているので、この点については燃料の圧力を考慮する必要はない。
【0036】
バーナ2の構成および燃焼用空気の窒素含有量など、火炎温度に影響を与える他の要因は、多かれ少なかれ一定とみなすことができ、したがって対応するプロセス技術上の努力で補償する必要はない。
【0037】
火炎温度の低下につながる空燃比の悪化(異常)は、消失する火炎5とみなされるので、何ら補償する必要はなく、これは、この条件下では、燃料弁12を閉じて燃料供給を停止する必要があるので、むしろ望ましい。この挙動は、ガスバーナシステム1の運転安全性にさらに貢献する。
【0038】
処理空気の供給停止と処理空気の圧力とは、空気供給ライン4内の圧力測定装置9によって監視される。この空気供給の不具合を検知すると、燃料弁12が閉じられる。これはまた、ガスバーナシステム1の運転安全性にも寄与している。また、燃焼プロセスに関わるガス、たとえば、燃焼用空気は、より高い圧力下で供給されるので、燃焼中に膨張すると、ジュール・トムソン効果により火炎温度が低下することがある。この温度挙動は、それ自体を考慮する必要はないが、燃焼用空気の圧力変動は、燃焼用空気の温度と同様に、火炎温度に影響を与えるので、火炎評価において考慮する必要があることを示している。これは、燃焼用空気の温度上昇と同じように、圧力の低下が考えられると、消失する火炎5を偽装する可能性があるからである。
【0039】
火炎温度測定装置7は、火炎5の温度を確実に測定できるように配設する必要がある。一定の空燃比または一定の空気数であって無傷の火炎5/規則的な燃焼では、火炎温度は一定であり、すなわち、調整バーナ2ではよく変動し得るバーナ2の出力とは無関係であるので、バーナ出力の低下は測定温度の低下を招かず、したがって消失する火炎5の不正確な検出による燃料弁12の閉止につながることはない。
【0040】
ここに紹介される解決策の利点は、特に、センサに関しての簡易さにある。これは、1または複数の熱電対を備えた火炎温度測定装置7が1つあればよく、熱電対は、典型的には、2つの異なる金属を溶接して構成されてなるだけであって、したがって、火炎温度測定装置7は、非常に簡易に、かつ安価に実現することができる。
【0041】
ここに紹介された方法に従ったガスバーナシステム1の火炎監視は、たとえば、以下のように行うことが可能である。
【0042】
状態1:バーナ2のスイッチが切られる。空気温度測定装置8および火炎温度測定装置7の測定データは評価されない。
【0043】
状態2:バーナ2が作動する。まず第1に、換気前の予備換気が行われている。供給される空気の流れにより、空気温度測定装置8と火炎温度測定装置7の両方が、空気供給ラインを介して供給される処理空気の温度を測定する。エラー検出の可能性を高めるために、測定された両方の温度を、それらの妥当性に関して、評価装置11によって監視することが好ましい。
【0044】
状態3:バーナ2は点火され、燃料-空気混合物は、火炎5が生じるように点火される。火炎温度測定装置7で測定した火炎温度の上昇が、発生している火炎5として評価される。ある火炎の温度は、点火のための規定された安全時間が経過するまでに、一定の火炎温度に到達しなければならない。そうでない場合は、バーナ2は、燃料弁12を閉じてバーナ2への燃料供給が中断されることによって、スイッチが切られる。
【0045】
状態4:バーナ2は点火されるが、火炎5はまだ安定しなければならない。火炎温度測定装置7で測定される火炎温度は、高い位置のところではまだわずかに変化することがある。しかし、一定の時間を過ぎると、火炎温度は高い位置のところで安定する必要がある。そうでない場合は、燃料弁12を閉じて燃料供給を中断することで、バーナ2のスイッチを切る。
【0046】
状態5: バーナ2は稼働している、火炎5は安定している。火炎温度測定装置7で測定される火炎温度の低下を消炎5として評価される。燃料弁12を閉じて燃料の供給を中断することで、バーナ2のスイッチを切ることができる。また、火炎温度の低下は、空気数の増減によっても引き起こされ得る。ここに記載する火炎温度の監視は、この効果を消炎5と区別することはできない。しかし、空気数の増減は、バーナ2の運転中の危険な状況を引き起こす可能性があるので、これは重要ではなく、むしろ望ましいことである。空気数の異常を検知すると、燃料弁12を閉じて燃料供給を遮断し、バーナを停止させる。
【外国語明細書】