(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173184
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】テークアップ巻取り機
(51)【国際特許分類】
B65H 67/048 20060101AFI20221111BHJP
B65H 54/20 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
B65H67/048 Z
B65H54/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076618
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 002 456.7
(32)【優先日】2021-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】307031976
【氏名又は名称】エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D-42897 Remscheid, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナルト フォス
(72)【発明者】
【氏名】マーク-アンドレ ヘアンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】アブデラティ ハミド
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA03
3F112EA02
3F112EA06
3F112EA10
3F112VB02
3F112VC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特にプロセスの開始時に費用対効果の高い自動化が可能となるように、一般的な種類のテークアップ巻取り機を改良する。
【解決手段】巻取りステーション1.1~1.5は、駆動される巻取りスピンドル6上に相並んで並行して構成されており、各々の場合において、1つの糸トラバースユニット4と1つのオーバヘッド糸ガイド3とを含む。オーバヘッド糸ガイド3は、ガイド手段によって移動可能に保持されており、巻取りステーション1.1~1.5内の動作位置と巻取りステーション1.1~1.5外の糸継ぎ位置とに選択的にガイド可能である。テークアップ巻取り機における駆動装置を節約するために、本発明によるオーバヘッド糸ガイド3を移動させるためのガイド手段は、移動式の駆動手段に結合可能であり、移動式の駆動手段によって作動可能である。
【選択図】
図1.1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動される巻取りスピンドル(6)上に相並んで並行して巻き取られたパッケージを形成するように、複数の糸を巻き取るための複数の巻取りステーション(1.1~1.5)を有するテークアップ巻取り機であって、前記巻取りステーション(1.1~1.5)の間に分配されるように配置された複数の糸トラバースユニット(4)と、前記糸トラバースユニット(4)の上流に配置された複数のオーバヘッド糸ガイド(3)とを有し、前記オーバヘッド糸ガイド(3)にガイド手段(12)が割り当てられており、前記ガイド手段(12)を介して、前記オーバヘッド糸ガイド(3)は、前記巻取りステーション(1.1~1.5)内の動作位置または前記巻取りステーション(1.1~1.5)外の糸継ぎ位置に選択的にガイド可能である、テークアップ巻取り機において、
前記オーバヘッド糸ガイド(3)を移動させるための前記ガイド手段(12)は、移動式の駆動手段(18)に結合可能であり、前記移動式の駆動手段(18)によって作動可能であることを特徴とする、テークアップ巻取り機。
【請求項2】
前記移動式の駆動手段(18)を結合したり切り離したりするために、前記オーバヘッド糸ガイド(3)は、前記ガイド手段(12)によって、前記巻取りステーション(1.1~1.5)内の動作位置に保持されていることを特徴とする、請求項1記載のテークアップ巻取り機。
【請求項3】
前記駆動手段(18)は、隣り合うテークアップ巻取り機の複数のガイド手段(12,12’)に交互に結合可能であるように、補助装置(16,21)によって移動可能であることを特徴とする、請求項1または2記載のテークアップ巻取り機。
【請求項4】
前記補助装置(16)は、前記機械フレーム(10)の上方で、隣り合う複数のテークアップ巻取り機にわたって延在するガントリ(17)によって形成されており、前記駆動手段(18)は、前記ガントリ(17)内で変位可能に保持されていることを特徴とする、請求項3記載のテークアップ巻取り機。
【請求項5】
前記駆動手段(18)は、結合手段(20)によって前記ガイド手段(12)のスライド(12.2)に結合可能であるリニア駆動装置(19)によって形成されており、前記スライド(12.2)は、前記オーバヘッド糸ガイド(3)に結合されていて、スライドガイド路(12.1)に沿って長手方向にガイド可能であることを特徴とする、請求項4記載のテークアップ巻取り機。
【請求項6】
前記補助装置(16)は、隣り合うテークアップ巻取り機に沿って前記駆動手段(18)をガイドしかつ前記駆動手段(18)を各々の前記ガイド手段(12,12’)に結合するために位置決めする操作ロボット(21)によって形成されていることを特徴とする、請求項3記載のテークアップ巻取り機。
【請求項7】
前記駆動手段(18)は、前記操作ロボット(21)によって前記ガイド手段のスピンドル(2)の自由端部に結合可能である回転駆動装置(22)によって形成されており、前記スピンドル(24)は、スライド(12.2)を介して前記オーバヘッド糸ガイド(3)に接続されていることを特徴とする、請求項6記載のテークアップ巻取り機。
【請求項8】
前記駆動手段(18)は、前記操作ロボット(21)上に設けられた作動シリンダ(26)によって形成されており、前記作動シリンダ(26)は、前記ガイド手段(12)の移動可能な支持体(25)の結合端部に結合可能であり、前記オーバヘッド糸ガイド(3)は、前記支持体(25)に固定されていることを特徴とする、請求項6記載のテークアップ巻取り機。
【請求項9】
前記巻取りステーション(1.1~1.5)に設けられた前記オーバヘッド糸ガイド(3)は、回転可能に取り付けられた変向ローラによって形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のテークアップ巻取り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、パッケージを形成するように複数の糸を巻き取るための複数の巻取りステーションを有するテークアップ巻取り機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な種類のテークアップ巻取り機は、例えば国際公開第2016/180679号から知られている。
【0003】
既知のテークアップ巻取り機は、溶融紡糸プロセスで生成された糸群を巻き取るために使用される。糸群の糸は、駆動される巻取りスピンドル上にパッケージを形成するように、相並んで並行して巻き取られる。この目的のために、テークアップ巻取り機は、突出して保持される巻取りスピンドルに沿って構成される複数の巻取りステーションを有している。巻取りスピンドルは、複数のパッケージを支持し、それらを同時に巻成するのに役立つ。糸の巻き重ねはいわゆる綾巻きのパターンで行われ、巻取りステーション内の各糸は、パッケージの表面上に巻き上げられる前に、各々の場合において、糸トラバースユニットを用いて個別に往復運動でガイドされる。巻取りステーションへの糸群の供給および糸群の分離は、いわゆるオーバヘッド糸ガイドを使用して行われ、これは、既知のテークアップ巻取り機では糸の摩擦を低減するために自由に回転可能な変向ローラによって形成されている。各変向ローラは、ここでは割り当てられた糸トラバースユニットと協働して、糸が往復運動でガイドされる綾振り平面を形成する。
【0004】
プロセスの開始時に、サクションインジェクタによってガイドされる糸群を分離し、テークアップ巻取り機の巻取りステーション同士の間で分配することが通例である。この目的のために、既知のテークアップ巻取り機では、糸トラバースユニットの上方に配置されたオーバヘッド糸ガイドが、ガイド手段によって移動可能に保持されている。したがって、オーバヘッド糸ガイドは、糸トラバースユニットの上方の動作位置と糸継ぎ位置との間でガイド可能である。糸継ぎ位置は、巻取りスピンドルの自由端部において巻取りステーション外にある。この目的のために、ガイド手段には、スライドガイド路内で互いに接続されたオーバヘッド糸ガイドを変位させるリニア駆動装置が割り当てられている。糸継ぎ位置に保持されたオーバヘッド糸ガイド同士の間で糸群の分離が行われると、オーバヘッド糸ガイドをその動作位置に戻すために、リニア駆動装置が再び作動する。
【0005】
しかしながら、巻取りステーションにおいて、費用の理由から、オーバヘッド糸ガイドを変位させるための駆動装置を節約するために、オーバヘッド糸ガイドの変位を操作者が行うテークアップ巻取り機も先行技術で知られている。自由端部にハンドルを有する変位可能な支持体上にオーバヘッド糸ガイドが配置されるテークアップ巻取り機は、例えば、独国特許出願公開第102013000824号明細書から導かれる。したがって、オーバヘッド糸ガイドを糸継ぎ位置にガイドするために、支持体を操作者によって動作位置から引き出すことができる。しかしながら、糸群の糸継ぎためのこの種の手動作業は、プロセス管理の自動化を妨げ、さらに、各々の操作者と自身の能力とに左右されてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、特にプロセスの開始時に費用対効果の高い自動化が可能となるように、一般的な種類のテークアップ巻取り機を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によれば、オーバヘッド糸ガイドを移動させるためのガイド手段が、移動式の駆動手段に結合可能であり、移動式の駆動手段によって作動可能であるという点で達成される。
【0008】
本発明の有利な改良形態は、従属請求項の特徴および特徴の組合せによって規定される。
【0009】
本発明は、プロセスの開始時の糸の分離および分配を、テークアップ巻取り機における付加的な駆動装置なしに、オーバヘッド糸ガイドによって行うことができる点で優れている。したがって、この種の手順は、溶融紡糸プロセス中に比較的稀に実施されなければならず、これによって、オーバヘッド糸ガイドを移動させるための駆動装置が、既知のテークアップ巻取り機では極めて稀にしか必要とされないことが知られている。オーバヘッド糸ガイドを移動させるために、ガイド手段に結合可能である移動式の駆動装置を使用することにより、駆動手段を要件に適合するように使用することが可能となる。
【0010】
手順を自動化すべく、移動式の駆動手段を結合したり切り離したりするために、オーバヘッド糸ガイドが、ガイド手段によって、巻取りステーション内の動作位置に保持されているという本発明の改良形態は、ここで特に好結果をもたらすことが判った。この範囲において、ガイド手段への結合のための、かつガイド手段からの切り離しのための駆動手段の位置決めは、ガイド手段の静止位置で可能である。その結果、プロセスの各開始時に、駆動手段によって同一の手順を伝達することも可能である。
【0011】
糸の製造は、通常、複数のテークアップ巻取り機を有する複数の紡糸位置で行われるので、駆動手段が、隣り合うテークアップ巻取り機の複数のガイド手段に交互に結合可能であるように、補助装置によって移動可能であるという本発明の改良形態は、特に有利である。したがって、移動可能な駆動手段を、プロセスの開始を実施することができるそれらのテークアップ巻取り機へ選択的に送ることができる。
【0012】
移動可能な駆動手段を複数のテークアップ巻取り機に供給することができるようにするために、第1の代替形態における補助装置は、機械フレームの上方で、隣り合う複数のテークアップ巻取り機にわたって延在するガントリによって形成されており、駆動手段は、ガントリ内で変位可能に保持されている。したがって、駆動手段を、好ましくは、ガントリ内のアクチュエータによって各々のテークアップ巻取り機へと送ることができる。
【0013】
この目的のために、駆動手段は、好ましくは、結合手段によってガイド手段のスライドに結合可能であるリニア駆動装置によって形成されており、スライドは、オーバヘッド糸ガイドに結合されていて、スライドガイド路に沿って長手方向にガイド可能である。オーバヘッド糸ガイドおよびガイド手段は(既知のように)テークアップ巻取り機の上側に保持されているので、駆動手段と、駆動手段よりも下方に配置されたガイド手段との間の接続を確立するために、単純な構造の結合手段を利用することができる。
【0014】
しかしながら、代替的に、補助装置は、隣り合うテークアップ巻取り機に沿って駆動手段をガイドしかつ前記駆動手段を各々のガイド手段に結合するために位置決めする操作ロボットによって形成されている可能性もある。この種の操作ロボットは、プロセスの開始時における糸のガイドを自動化するものとして周知である。この範囲においては、この種の操作ロボットは、移動可能な駆動手段を支持し、必要な場合には、テークアップ巻取り機のガイド手段に結合するためにも有利に利用することができる。
【0015】
駆動手段が、操作ロボットによってガイド手段のスピンドルの自由端部に結合可能である回転駆動装置によって形成されている実施形態の変形例は、ここでは特に有利であり、スピンドルは、スライドガイド路を介してオーバヘッド糸ガイドに接続されている。したがって、例えば、単純なコードレススクリュドライバを、オーバヘッド糸ガイドを移動させるために操作ロボットがスピンドルを駆動するための回転駆動装置として使用することが可能である。操作ロボットのガイドおよび結合を容易にする単純なプラグ接続部を結合手段として実装することができる。
【0016】
作業者の簡単な作業を自動化するために、操作ロボット上に設けられた作動シリンダによって駆動手段が形成されているという本発明の改良形態が提供され、前記作動シリンダは、結合手段の移動可能な支持体の結合端部に結合可能であり、オーバヘッド糸ガイドは、支持体に固定されている。したがって、移動可能な支持体を引き出すために必要な作業は、操作ロボット上に設けられた作動シリンダによって簡単に自動化することができる。
【0017】
テークアップ巻取り機の上方に理想的に空隙を得て、テークアップ巻取り機の端部側に糸を最初に継ぎ合わせたときに動作装置を再位置決めするために、巻取りステーションに設けられたオーバヘッド糸ガイドが、回転可能に取り付けられた変向ローラによって形成されているという本発明の改良形態は、特に有利である。その結果、糸を実質的に水平な平面から分離することができる。
【0018】
本発明をさらに説明するために、本発明によるテークアップ巻取り機のいくつかの例示的な実施形態について、添付の図を参照しながら以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1.1】本発明によるテークアップ巻取り機の第1の例示的な実施形態の概略的な側面図である。
【
図1.2】
図1.1の例示的な実施形態の概略的な平面図である。
【
図1.3】変更された動作状態における
図1.1の例示的な実施形態の概略的な側面図である。
【
図2】本発明によるテークアップ巻取り機の更なる例示的な実施形態の概略的な側面図である。
【
図3】本発明によるテークアップ巻取り機の更なる例示的な実施形態の概略的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明によるテークアップ巻取り機の例示的な実施形態が、
図1.1、
図1.2および
図1.3に複数の図で概略的に示されている。
図1.1および
図1.3は、異なる動作状態における例示的な実施形態の側面図を示しており、
図1.2は平面図を示している。いずれかの図に明示的な言及がない限り、以下の説明は全ての図に適用される。
【0021】
この例示的な実施形態における本発明によるテークアップ巻取り機は、機械フレーム10内に相並んで構成された合計5つの巻取りステーション1.1~1.5を有している。巻取りステーション1.1~1.5は、突出して保持されている巻取りスピンドル6に沿って長手方向に配置されている。動作中、糸群2の糸の1つは、各々の場合において巻き取られ、各巻取りステーション1.1~1.5でパッケージ8を形成し、パッケージ8は巻取りスピンドル6上で相並んで保持される。巻取りステーション1.1~1.5の数、およびここでの糸群の糸の数は、例示的なものである。原理的には、この種のテークアップ巻取り機は、最大で16個の巻取りステーションを有することができる。パッケージ8を巻成するための動作状態は、
図1.1中に破線で図示されている。
【0022】
巻取りステーション1.1~1.5は同一の構成であり、各々の場合において、1つの糸トラバースユニット4を有している。ここでの各糸トラバースユニット4は、巻取りステーション1.1~1.5に割り当てられる糸を1回のトラバースストロークで往復してガイドするために、ここではより詳細に図示されていない綾振り手段を含んでいる。糸トラバースユニット4は、例えば、反転糸綾振り機構、ベルト綾振り機構、または回転羽根綾振り機構によって構成することができる。
【0023】
糸群の糸が並行して巻き取られるように、巻取りステーション1.1~1.5の各々には、駆動される巻取りスピンドル6の周面上に巻取り管9が割り当てられている。この目的のために、巻取り管9は、巻取りスピンドル6の周面上にクランプされている。巻取りスピンドル6は、ここでは、巻取りステーション1.1~1.5にわたって延在し、巻取りステーション1.1~1.5の糸が並行して巻き取られてパッケージを形成する。
【0024】
巻取りスピンドル6に対して平行に延在し、ひいては巻取りステーション1.1~1.5に割り当てられる接触圧ローラ5が、パッケージの表面上に糸を巻き重ねるために設けられている。接触圧ローラ5は、糸トラバースユニット4と巻取りスピンドル6との間の領域に構成されている。機械フレーム10は、糸トラバースユニット4と、接触圧ローラ5と、巻取りスピンドル6とを収容し、固定するのに役立つ。巻取りスピンドル6は、巻取りタレット7に突出して取り付けられており、そして、この巻取りタレット7は、機械フレーム10に回転可能に保持されている。巻取りタレット7は、第1の巻取りスピンドル6に対して180°ずらされるように配置された第2の巻取りスピンドル6を支持している。巻取りタレット7を回転させることにより、両方の巻取りスピンドル6を巻取り領域と切替領域とに交互にガイドして、巻取りステーション1.1~1.5の糸を連続的に巻き取って、パッケージを形成することができる。各巻取りスピンドル6と各巻取りタレット7とは、各々の場合において、ここでは図示していない駆動装置に結合されている。
【0025】
巻取りステーション1.1~1.5の間で糸群2を受け入れて分離するための1つのオーバヘッド糸ガイド3は、各々の場合において、糸トラバースユニット4の上方にあるように各巻取りステーション1.1~1.5に割り当てられている。したがって、巻取りステーション1.1~1.5の間に分配されたオーバヘッド糸ガイド3は、各々の巻取りステーション1.1~1.5への入口を形成している。
【0026】
各オーバヘッド糸ガイド3は、移動可能なホルダ14によってガイドレール13に保持されている。ガイドレール13は、機械フレーム10の上方に配置され、直線状のガイド部分を介して巻取りスピンドル6に沿って延在している。ガイドレール13の直線状のガイド部分に続いて、巻取りスピンドル6のスピンドル端部を越えて、動作端部まで延在する曲線状のガイド部分が設けられている。オーバヘッド糸ガイド3のホルダ14は、各々の場合において、例えば可撓性ベルト15によって互いに接続されている。
【0027】
オーバヘッド糸ガイド3には、ガイド手段12が割り当てられている。
図1.1および
図1.2の図示から導かれるように、この例示的な実施形態におけるガイド手段12は、スライドガイド路12.1と、スライドガイド路12.1に沿ってガイド可能であるスライド12.2とを備えている。スライド12.2は、第1の巻取りステーション1.1に位置するオーバヘッド糸ガイド3のホルダ14に接続されている。スライドガイド路12.1は、巻取りスピンドル6に対して平行に延在しており、オーバヘッド糸ガイド3はホルダ14によって、ガイドレール13において、
図1.1に図示される動作位置と
図1.3に図示される糸継ぎ位置との間で変位可能である。
【0028】
ガイド手段12を作動させるために、移動式の駆動手段18が設けられている。移動式の駆動手段18は、補助装置16によって、機械フレーム10の上方に変位可能に保持されており、駆動手段18は、結合手段20を介してガイド手段12に結合可能である。具体的な例示的な実施形態では、補助装置16は、機械フレーム10の上方に延在するガントリ17によって形成されている。
図1.2から導かれるように、ガントリ17は、複数のテークアップ巻取り機にわたって延在している。この目的のために、
図1.2には、隣り合うテークアップ巻取り機の機械フレーム10’が示されている。駆動手段18は、ガントリ17内で変位可能に構成されており、駆動手段18が、隣り合うテークアップ巻取り機の複数のガイド手段12,12’に交互に結合可能であるように構成されている。この目的のために、ガントリ17の駆動手段18は、該駆動手段18の移動方向に対して横方向に変位する。
【0029】
この例示的な実施形態における駆動手段18は、リニア駆動装置19によって形成されている。リニア駆動装置19は、両端部においてガントリ17によって保持されているロッドレス式の昇降シリンダとして実現されている。リニア駆動装置19には、ここでは結合手段12としてのガイドピンが割り当てられ、ガイドピンは、スライド12.2のスライドヨーク12.3を介して結合可能である。この状況は、
図1.1に示されている。
【0030】
図1.1のテークアップ巻取り機では、最初に糸群を糸継ぎする前のプロセスの開始時が示されている。この目的のためのオーバヘッド糸ガイド3は、まず、その動作位置に保持されており、リニア駆動装置19はガイド手段12に結合可能である。パッケージ8を形成するように糸群2を巻き取るための動作状態は、
図1.1中に破線で示されている。
【0031】
この例示的な実施形態におけるオーバヘッド糸ガイド3は、各々の場合において、自由に回転することができるように取り付けられている変向ローラによって形成されている。この目的のために、糸群2を、ガントリ17よりも下方で側方に配置されたゴデット11を介して、巻取りステーション1.1~1.5に供給することができる。
【0032】
糸群2を糸継ぎしたり分離したりできるようにするために、リニア駆動装置19を作動させると、ガイド手段12のスライド12.2が、ガイドレール13におけるオーバヘッド糸ガイド3を巻取りスピンドル6の端部側にガイドする。
図1.3に示されるように、オーバヘッド糸ガイド3は、ガイドレール13の湾曲した端部までガイドされる。この状態における糸群2は、サクションガン27によってガイドされる。ここでの糸群は、機械フレーム10上のゴデット11と補助ローラ28とによって変向される。
【0033】
図1.2に示すように、オーバヘッド糸ガイドは、ホルダ14によってずらされてガイドレール13上でガイドされ、オーバヘッド糸ガイド3が糸継ぎ位置から動作位置に戻されるとき、オーバヘッド糸ガイド3の各々が糸群2の糸の1つを捕捉して取得する。この目的のために、ガントリ17上のリニア駆動装置19が戻り動作のために作動し、ガイド手段12のスライド12.2を初期位置まで戻すようにガイドする。したがって、巻取りステーション1.1~1.5の糸が割り当てられ、機械フレーム10上の付加的な補助装置によって糸を取得することができる。リニア駆動装置19は、ガイド手段12から切り離され、ガントリ17内では、隣り合うテークアップ巻取り機へ送ることができる。この範囲においては、駆動手段18は、複数のテークアップ巻取り機に対して選択的に利用することができ、糸群の最初の糸継ぎを実施することができる。
【0034】
図1.1~
図1.3に示された本発明によるテークアップ巻取り機の例示的な実施形態は、移動式の駆動手段18をガイドするための構造の可能な変形例である。しかしながら、原理的には、操作ロボットによって駆動手段18をガイドする可能性もある。テークアップ巻取り機における最初の糸継ぎ中の糸のガイドを実施するためのこの種の操作ロボットは周知であり、例えば国際公開第2019/001948号に記載されている。移動式の駆動手段18が操作ロボットによってガイドされる本発明によるテークアップ巻取り機の代替的な例示的な実施形態が、
図2に示されている。
【0035】
図2による例示的な実施形態は、プロセスの開始時の側面図を示している。この例示的な実施形態では、ガイド手段12は、スライド12.2に接続されている回転可能に取り付けられたスピンドル24を有している。スピンドル24を回転させることにより、スライド12.2を巻取りスピンドル6に対して平行に移動させることができる。この範囲においては、
図2による例示的な実施形態の構造は、
図1.1~
図1.3による例示的な実施形態の構造と実質的に同一である。したがって、以下では相違点のみを説明し、それ以外は前述の説明を参照する。
【0036】
前述の例示的な実施形態の文脈で既に説明したように、オーバヘッド糸ガイド3は、ホルダ14を介してガイドレール13においてガイドされる。巻取りスピンドル24を回転させることにより、オーバヘッド糸ガイド3を変位させるために、スライド12.2を移動させることができる。ガイド手段12を作動させるための駆動手段18は、回転駆動装置22によって形成されている。例えばコードレススクリュドライバとして構成されてよい回転駆動装置22が、スピンドル24の自由端部に結合されている。回転駆動装置22は、操作ロボット21の動作アーム23によって保持され、スピンドル24への位置決めおよび結合の際に作動させることができる。回転駆動装置22を作動させることにより、スライド12.2は、スピンドル24を介して移動し、オーバヘッド糸ガイド3が動作位置から糸継ぎ位置に変位する。
【0037】
糸群を分離して分配するために、回転駆動装置22はその回転方向から見て逆回転し、これによって、オーバヘッド糸ガイド3が動作位置に戻るように移動する。糸継ぎの手順が完了すると、操作ロボット21により、回転駆動装置22がスピンドル24から分離される。
【0038】
操作ロボット21の形態の補助装置によって駆動手段18をガイドするための、本発明によるテークアップ巻取り機の更なる例示的な実施形態が、
図3に示されている。テークアップ巻取り機の例示的な実施形態は、前述の例示的な実施形態と実質的に同一であるので、この時点では相違点のみを説明する。
【0039】
図3に示された本発明によるテークアップ巻取り機の例示的な実施形態では、オーバヘッド糸ガイド3は、支持体25上に静止しているように配置されている。機械フレーム10の上方の支持体25は、ガイド手段12としてのガイドレール13に変位可能にガイドされる。テークアップ巻取り機の端部側で支持体25の自由端部には、結合手段20が構成されている。支持体25には、結合手段20を介して移動可能な駆動手段18を結合することができる。この目的のために、駆動手段18が作動シリンダ26によって形成され、作動シリンダ26は、例えばピストンロッドレスの昇降シリンダによって実現されてもよい。作動シリンダ26と支持体25との間の結合手段20は、例えばソレノイドによって構成することができる。また、機械的な結合手段も原理的には可能である。
【0040】
作動シリンダ26は、例えば操作ロボットに高さ調整可能に保持される保持アーム29に保持される。したがって、作動シリンダ26は、複数のテークアップ巻取り機の上方にガイドされ、その後、必要なときに各々のテークアップ巻取り機に送ることができる。
【0041】
図示された本発明によるテークアップ巻取り機の例示的な実施形態は、本発明の概念の構成に関して、個々の解決手段を表しているに過ぎない。原則として、本発明は、オーバヘッド糸ガイドを調整するための他の慣用的な駆動装置が移動式の外部駆動手段によって置き換えられる全てのテークアップ巻取り機を対象とする。この範囲においては、全ての移動式の駆動手段は、オーバヘッド糸ガイドを移動させるためのガイド手段に一時的に接続するのに適している。このようにして、移動式の駆動手段は、複数のテークアップ巻取り機に利用することができる。
【外国語明細書】