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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173386
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20221111BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20221111BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20221111BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61K8/891
A61Q17/04
A61K8/04
A61K8/27
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022153735
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2018542913の分割
【原出願日】2017-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2016191774
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大網 栄太郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇
(57)【要約】
【課題】 紫外線防御能に優れた水中油型の皮膚外用組成物を提供する。
【解決手段】(A)アルキル変性シリコーンおよび/またはアルキル変性シリコーンレジン、および(B)紫外線吸収剤および/または紫外線散乱剤を含有する水中油型の乳化組成物を調製する。さらに任意に(C)増粘剤を加えても良い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種、
(B)紫外線散乱剤、及び
(C)増粘剤
を含有し、該(B)成分として少なくとも酸化亜鉛を含み、水中油型であり、該(A):(B)の重量比が、が0.0005~25000重量部である、皮膚外用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分に対する前記(C)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(C)成分の総含有量が0.0000005~20000重量部である、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線には、紫外線A波(UV-A、315~400nm)および紫外線B波(UV-B、280~315nm)、その他がある。このうち、UV-Aは、日焼けは引き起こしにくいが、近年の研究で、シミやしわの発生に大きく関わっていることがわかってきている。すなわち、UV-Aは、波長が長く、肌の奥深くまで到達し、例えば、コラーゲンを変性させるなどの影響を及ぼす。
【0003】
UV-Bは波長が短く、UV-Aに比べるとオゾン層や雲に阻まれ、地上に到達する量は全紫外線量の約10%と少量ではある。しかしUV-Bはエネルギーが強く、肌表面の細胞を傷つけたり、炎症を起こしたりするため、皮膚ガンやシミの原因になることもある。
【0004】
このように皮膚に及ぼす紫外線の影響が明らかになるにつれて、紫外線遮断効果の高い日焼け止め組成物に対する要求が高まってきており、種々の皮膚外用組成物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-17080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、紫外線吸収能を有する皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種とを用いることで、紫外線吸収スペクトルの増強能の高い皮膚外用組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記に掲げる皮膚外用組成物を提供する。
項1.
(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、
(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有し、水中油型である、皮膚外用組成物。
項2.
さらに、(C)増粘剤を含有する、項1記載の皮膚外用組成物。
項3.
前記(A)成分が、アルキルジメチコン、アルコキシジメチコン、アルキルメチコン、およびシルセスキオキサンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1または2記載の皮膚外用組成物。
項4.
前記(B)紫外線吸収剤が、油溶性紫外線吸収剤である、項1~3のいずれか1項記載の皮膚外用組成物。
項5.
前記(B)成分の含有量が、組成物の全量に対して0.01~50w/w%である、項1~4のいずれか1項記載の皮膚外用組成物。
項6.
前記(A):(B)の重量比が、1:0.5~50である、請求項1~5のいずれか1項記載の皮膚外用組成物。
項7.
日焼け止め用である、項1~6のいずれか1項記載の皮膚外用組成物。
項8.
耐水用および/または紫外線防御効果持続用である、項1~7のいずれか1項記載の皮膚外用組成物。
【0009】
本発明はまた、以下の方法を提供する。
項9.
皮膚外用組成物に、(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有させることにより、耐水性および/または紫外線防御効果持続性を該皮膚外用組成物に付与する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、紫外線吸収スペクトルの増強能があり、使用感のよい皮膚外用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物の紫外線防御効果試験の結果を表わすグラフである。
図2図2は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物の紫外線吸収スペクトルの測定結果である。縦軸の単位はAbsorbance(Abs.)である。
図3図3は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物について、水処理後の残存試験の結果を表わすグラフである。
図4図4は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物について、塩化物含有水処理後の残存試験の結果を表わすグラフである。
図5図5は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物の紫外線防御効果試験の結果を表わすグラフである。
図6図6は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物の紫外線吸収スペクトルの測定結果である。縦軸の単位 はAbsorbance(Abs.)である。
図7図7は、本発明の皮膚外用組成物および比較例の皮膚外用組成物について、二次付着性評価試験の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、含有量の単位「w/w%」は、「g/100g」のw/w%と同義である。
【0013】
本明細書において、「油溶性」とは、水への溶解度が1w/w%以下であることをいい、「水溶性」とは、水への溶解度が1w/w%より大きいことをいう。
【0014】
本明細書で「皮膚外用組成物」とは、皮膚に適用できる外用組成物をいう。特に限定はされないが、皮膚外用組成物には、紫外線吸収能を有する日焼け止め組成物が含まれる。ここで、「日焼け止め組成物」は、例えば、製品において日焼け止めを明示する形態を含むが、明示がない場合でも、そのような機能を有する皮膚外用組成物であれば、本明細書でいう「日焼け止め組成物」に含まれる。
【0015】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する水中油(O/W)型の組成物である。ここで、水中油型の組成物とは、水性成分が連続相であり、油性成分が分散相である、乳化組成物を意味する。
【0016】
(A)成分と(B)成分を含有する組成物では、(A)成分のアルキル基と(B)成分が近接した複合構造を形成する。そうすると、(B)成分が効率的にかつ安定的に分散した状態となり、組成物を皮膚に適用すると紫外線防御効果が一層向上すると考えられる。但し、上記は、推測される機構であり、本発明の皮膚外用組成物の機構を限定するものではない。
【0017】
[(A)アルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジン]
本明細書において、(A)アルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジンは、アルキル基を導入して変性させたシリコーンまたはシリコーンレジン(例えば、MQレジン、シルセスキオキサンレジン)を指し、常温で半固形または固形であり、好ましくは、常温でろう状、フレーク状またはペースト状であり、特に好ましくは常温でろう状、フレーク状である、加熱により溶解するアルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジンを指す。より具体的には、融点が室温(例えば20℃)以上のアルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジンを指す。
【0018】
本発明において、(A)成分のアルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジンとしては、限定はされないが、油溶性アルキル変性シリコーンまたは油溶性アルキル変性シリコーンレジンが好ましい。このようなアルキル変性シリコーンまたはアルキル変性シリコーンレジンとして、限定はされないが、例えば、アルキルジメチコン、アルコキシジメチコン、アルキルメチコン、シルセスキオキサンレジンが挙げられる。シルセスキオキサンレジンはアルキル基を有するものが好ましい。ここでいうアルキル基の炭素数は特に限定されず、例えば、3~70程度であり、好ましくは10~60程度であり、より好ましくは16~50程度であり、更に好ましくは16~45程度である。ここで、シリコーンまたはシリコーンレジンに導入されるアルキル基またはアルコキシ基のアルキル基部分は、全てが同じ炭素数のアルキル基である必要はなく、少なくとも1つのアルキル基が、上記で好ましい範囲として説明した炭素数を有するものであることが好ましい。アルキル基はまた、直鎖状、分岐状のいずれであっても良いが、分岐状のアルキル基を含むことが好ましい場合もある。
【0019】
(A)成分として、限定はされないが、アルキル変性シリコーンレジンを用いることができ、その中で好ましくはアルキル変性シリコーンレジンワックスを用いることができる。このうち、より好ましいのは、シルセスキオキサンレジンワックスであり、その中でも、アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンが特に好ましい。アルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンにおいて、メチル基およびプロピル基以外の「アルキル」の炭素数は特に限定されず、例えば、10~60程度であり、好ましくは18~50程度であり、より好ましくは30~45(即ち、アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン)である。
【0020】
(A)成分として、別途好ましくは、ペースト状のポリプロピルシルセスキオキサン、アルキル(C26-28)ジメチコン;ワックス状のアルキル(C30-45)メチコン、ステアリルジメチコン、セテアリルメチコン、アルキル(C30-45)ジメチコン、アルキル(C26-28)メチコン、ベヘノキシジメチコンなどを使用することもできる。
【0021】
これらの(A)成分としては、合成して用いること、または市販品をそのまま用いることができる。
【0022】
市販品を用いる場合であって、カタログに掲載がある場合には、融点を目安として、(A)成分を選択することも可能である。選択は場合に応じ、それぞれ、20℃以上40℃未満、40℃以上80℃未満、または80℃以上100℃以下の(A)成分を使用することができる。
【0023】
具体的な市販品としては、アルキル変性シリコーンレジンワックスとして、SW-8005 C30Resin Wax(アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン;東レ・ダウコーニング社製、カタログ掲載融点63~71℃);アルキル変性シリコーンレジンとして、670 Fluid(希釈オイルとしてシクロペンタシロキサンを用いたポリプロピルシルセスキオキサン;東レ・ダウコーニング社製、粘度200mm/s)、680 Fluid(希釈オイルとしてイソドデカンを用いたポリプロピルシルセスキオキサン;東レ・ダウコーニング社製、粘度900mm/s);アルキル変性シリコーンワックスとして、AMS-C30 Cosmetic Wax(アルキル(C30-45)メチコン;東レ・ダウコーニング社製、融点73~77℃)、2503 Cosmetic Wax(ステアリルジメチコン;東レ・ダウコーニング社製、融点28~35℃)、BELSIL CM 7026 VP(アルキル(C26-28)メチコン;旭化成ワッカーシリコーン社製、融点70℃)、BELSIL SDM 5055 VP(ステアリルジメチコン;旭化成ワッカーシリコーン社製、融点30℃)、SF1632(アルキル(C16-18)ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、融点25~35℃)、SF1642(アルキル(C30-45)ジメチコン;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、融点60~70℃);アルキル変性シリコーンとして、BELSIL CDM 3526 VP(アルキル(C26-28)ジメチコン;旭化成ワッカーシリコーン社製、融点35℃)、ABIL Wax 2434(ステアロキシジメチコン;エボニックジャパン社製、融点25℃)、ABIL Wax 2440(ベヘノキシジメチコン;エボニックジャパン社製、融点40℃)などが例示される。
【0024】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(A)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.001w/w%以上であり、より好ましくは、0.01w/w%以上、さらに好ましくは0.1w/w%以上、最も好ましくは0.2w/w%以上である。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは20w/w%以下であり、より好ましくは10w/w%以下、さらに好ましくは5w/w%以下、最も好ましくは3w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは0.001w/w%~20w/w%、より好ましくは、0.01w/w%~10w/w%、さらに好ましくは0.1w/w%~5w/w%、最も好ましくは、0.2w/w%~3w/w%である。
【0025】
[(B)紫外線吸収剤または紫外線散乱剤]
本明細書において、紫外線吸収剤とは、紫外線を吸収する性質を有する化合物(成分)をいう。
【0026】
上記紫外線吸収剤としては、たとえば、
(a)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル(別名:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル等ともいう)、メトキシ桂皮酸イソプロピル、α-シアノ-β-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン)、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、シノキサート、DEAメトキシシンナマート、フェルラ酸、および、メトキシ桂皮酸イソアミルなどの桂皮酸誘導体;
(b)パラ-アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG-25PABA、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、および、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル(別名:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等ともいう)などの安息香酸誘導体;
(c)ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、TEAサリチラート、サリチル酸エチレングリコール、および、ジプロピレングリコールサリチラートなどのサリチル酸誘導体;
(d)ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-1)、テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-2)、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-3)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ベンゾフェノン-4)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-5)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-6)、2,2‘-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-8)、および、3,3’-カルボニルビス[4-ヒドロキシ-6-メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム(ベンゾフェノン-9)などのベンゾフェノン誘導体;
(e)3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、および、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウなどのベンジリデンショウノウ誘導体;
(f)アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4-ビス-〔{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル〕-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(別名:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等ともいう)、および、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジンなどのトリアジン誘導体;
(g)フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、および、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムなどのフェニルベンゾイミダゾール誘導体;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]などのフェニルベンゾトリアゾール誘導体;
(i)アントラニル酸メンチルなどのアントラニル誘導体;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシルなどのイミダゾリジン誘導体;
(k)ジメチコジエチルベンザルマロナートなどのベンザルマロナート誘導体;
(l)1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエンなどの4,4-ジアリールブタジエン誘導体;ならびに
(m)4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタンのようなジベンゾイルメタン誘導体;などをあげることができる。
【0027】
本発明において、紫外線吸収剤としては、油溶性紫外線吸収剤が好ましい。油溶性紫外線吸収剤を用いることで、本発明の皮膚外用組成物は、汗水に強くなり、日焼け止めの塗布後の落ちが抑制されると共に、他の成分と相俟って、皮脂なじみがよい均一膜を形成しやすい優れた効果を発揮する組成物となる。
【0028】
ここで、油溶性紫外線吸収剤としては、
(a)パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、α-シアノ-β-フェニル桂皮酸2-エチルヘキシル(オクトクリレン)、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、2,5-ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル、シノキサート、DEAメトキシシンナマート、フェルラ酸、および、メトキシ桂皮酸イソアミル;
(b)PABA、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG-25PABA、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、および、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル;
(c)エチルヘキシルサリチラート、TEAサリチラート、および、ジプロピレングリコールサリチラート;
(d)ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン-6)、
(e)ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ;
(f)アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジイソブチル-4’-アミノベンザルマロナート)-s-トリアジン、2,4-ビス-〔{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル〕-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、および、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン;
(i)アントラニル酸メンチル;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル;
(k)ジメチコジエチルベンザルマロナート;
(l)1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン;ならびに
(m)4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン;などをあげることができる。
【0029】
これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。紫外線吸収剤は、合成して用いること、または市販品をそのまま用いることができる。
【0030】
本発明の皮膚外用組成物において、紫外線吸収剤として、刺激感やにおいを低減させたり、使用感や溶解性を向上させたりするために、1種または2種以上の上記紫外線吸収剤を、マイクロカプセルに内包させる等の製剤修飾を加えた原料を用いることもできる。具体的には、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、またはポリ(ジビニルベンゼン)からなるポリマー成分で実質的に構成されたシェルに紫外線吸収剤を内包し、平均粒子径を0.4~10μmとしたマイクロカプセル(紫外線吸収剤内包カプセル)や、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンをゾル-ゲルシリカガラスで内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV-Pearls OB-S(商品名)、Eusolex UV-Pearls OB-S2(商品名);メルク社製)や同様にメトキシケイヒ酸エチルヘキシルをゾル-ゲルシリカガラスに内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV-Pearls 2292(商品名)、Eusolex UV-Pearls OMC(商品名);メルク社製)、また、紫外線吸収剤(オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、t-ブチル-メトキシジベンゾイルメタン等)をシリコーン-レジン化加水分解シルク(ポリシリコーン-14)で内包し、平均粒子2μmのマイクロカプセルとし、水に分散させたもの(たとえば、Silasoma(登録商標) ME、Silasoma MEA、Silasoma MEA(S)、Silasoma MEA(V)、Silasoma MEA(L)、Silasoma MFA(S)、Silasoma MFA(LS)、Silasoma EP(S)、Silasoma REA(S)等のSilasomaシリーズ(商品名);成和化成社製)などが例示できる。
【0031】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する紫外線吸収剤の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。皮膚外用組成物の全量に対して、紫外線吸収剤の総含有量は、好ましくは0.01w/w%以上であり、より好ましくは0.1w/w%以上、さらに好ましくは0.5w/w%以上、さらにより好ましくは1.0w/w%以上、最も好ましくは3.0w/w%以上である。また、皮膚外用組成物の全量に対して(B)成分の総含有量は、好ましくは25w/w%以下であり、より好ましくは20w/w%以下、さらに好ましくは15w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(B)成分の総含有量は、好ましくは0.01w/w%~25w/w%、より好ましくは、0.1w/w%~20w/w%、さらに好ましくは0.5w/w%~15w/w%である。
【0032】
本発明における紫外線散乱剤は、紫外線を散乱する性質を有する化合物(成分)をいい、油分散型紫外線散乱剤と水分散型紫外線散乱剤のいずれも含む。紫外線散乱剤としては、酸化金属粉や粘土質の粒子などを例示することができる。例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、および酸化ジルコニウムのような金属酸化物;ケイ酸チタン、ケイ酸亜鉛、およびケイ酸セリウムのようなケイ酸金属;無水ケイ酸、および含水ケイ酸のようなケイ酸;チタン、亜鉛、鉄のような金属等の無機化合物が挙げられる。また、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカ、若しくはタルク等の無機粉体で表面を被覆したもの、それらの無機化合物をポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、若しくはナイロン等の樹脂粉体と複合化しまたはこれらで表面を被覆したもの、およびそれらの無機化合物をシリコーン油、または脂肪酸アルミニウム塩等で処理しまたはこれらで表面を被覆したものなどが挙げられる。限定はされないが、紫外線散乱剤としては、微粒子無機粉体が好ましく用いられ、微粒子金属酸化物がより好ましく、微粒子酸化チタンまたは微粒子酸化亜鉛が更に好ましい。更に、それらの微粒子無機粉体を含水ケイ酸、水酸化アルミニウム、マイカ、若しくはタルク等の無機粉体で表面を被覆したもの、またはそれらの微粒子無機粉体をシリコーン油、若しくは脂肪酸アルミニウム塩等で処理し若しくは表面を被覆して疎水化処理を施したものが好ましい。
紫外線散乱剤の平均粒子径は、特に限定はされないが、約1~500nmであることが好ましい。なかでも、紫外線散乱剤の平均粒子径は、微粒子である約2~200nmであることが好ましく、約3~100nmであることがより好ましく、約5~50nmであることが更に好ましい。
【0033】
これらの紫外線散乱剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。紫外線散乱剤は、合成して用いること、または市販品をそのまま用いることができる。
【0034】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する紫外線散乱剤の総含有量は、例えば、0.1w/w%以上40w/w%以下の含有量とすることができ、0.5w/w%以上35w/w%以下であってもよく、1.0w/w%以上30w/w%以下であってもよく、1.5w/w%以上25w/w%以下であってもよい。
【0035】
本発明においては、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤とを併用することも可能である。
【0036】
本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、例えば、0.01w/w%以上50w/w%以下の含有量とすることができ、0.1w/w%以上45w/w%以下であってもよく、0.5w/w%以上42w/w%以下であってもよく、1w/w%以上40w/w%以下であってもよく、1.5w/w%以上35w/w%以下であってもよい。
【0037】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、
(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.0005~25000重量部が好ましく、0.01~2000重量部がより好ましく、0.05~1000重量部がさらに好ましく、0.1~150重量部が特に好ましく、0.5~50重量部が最も好ましい。
【0038】
(B)成分が、油溶性紫外線吸収剤である場合、本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.0005~25000重量部が好ましく、0.01~2000重量部がより好ましく、0.05~1000重量部がさらに好ましく、0.1~150重量部が特に好ましく、0.5~50重量部が最も好ましい。
【0039】
(B)成分が、油分散型紫外線散乱剤である場合、本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.01~1000重量部が好ましく、0.05~800重量部がより好ましく、0.1~500重量部がさらに好ましく、0.1~100重量部が特に好ましく、0.5~50重量部が最も好ましい。
【0040】
(B)成分が、水分散型紫外線散乱剤である場合、本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(B)成分の総含有量が0.01~1000重量部が好ましく、0.05~800重量部がより好ましく、0.1~500重量部がさらに好ましく、0.1~100重量部が特に好ましく、0.5~50重量部が最も好ましい。
【0041】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)成分および(B)成分を含有することにより、高い紫外線吸収機能および/または紫外線散乱機能を発揮することができ、とりわけ高い紫外線吸収機能を発揮できる。紫外線吸収能は、後述の試験例で説明するような手法で紫外線吸収スペクトルを測定することにより評価することができる。すなわち、具体的には、本発明の皮膚外用組成物は、(B)紫外線吸収剤および/または紫外線散乱剤単独で奏される値よりも増強された紫外線吸収能を有することができる。さらに、本発明の皮膚外用組成物は、汗や塩分濃度の高い海水などの水中でも良好に保持され得る。ここで、塩は、限定はされないが、塩化物または硫酸化物である。塩化物または硫酸化物としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが含まれる。また、本発明の皮膚外用組成物は、二次付着性も効果的に抑制されるので、ティッシュペーパーやハンカチ、タオル等で汗などの水分を拭ったり、衣服で擦ってしまったりした場合であっても、皮膚上に残存して紫外線吸収能を良好に保持し得る。
【0042】
本発明の皮膚外用組成物は、上記(A)および(B)成分以外の他の成分を任意に含んでいても良い。このような成分として、例えば、好ましくは、(C)増粘剤が挙げられる。
【0043】
[(C)増粘剤]
本発明の皮膚外用組成物は、更なる成分として増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤を含むことにより、水中油型乳化組成物の安定性が高められるので、本発明の(A)成分および(B)成分がより一層効果を発揮しやすい状態に保つことができる。本明細書において、(C)増粘剤とは、加えた組成物の粘度を増加させる性質を有する薬剤(成分)をいう。好ましくは、増粘剤は、水に溶ける水溶性増粘剤である。
【0044】
(A)成分と(B)成分を含有する組成物では、(A)成分のアルキル基と(B)成分が近接した複合構造を形成し、(B)成分が効率的にかつ安定的に分散した状態となり、組成物を皮膚に適用すると紫外線防御効果が一層向上する機構が推測されることは前述の通りである。(A)成分と(B)成分を含有する組成物に、更に(C)成分を含有する水中油型の組成物では、(C)成分が水相に含有されることによって、(A)成分のアルキル基と(B)成分が近接した複合構造がより一層効率的にかつ安定的に分散した状態となり、組成物を皮膚に適用すると、紫外線防御効果が一層向上すると考えられる。
【0045】
水溶性増粘剤は、アクリル酸系増粘剤、多糖類系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、水溶性アニオン性重合体系増粘剤、およびその他の水溶性高分子粘着剤であることが好ましい。
【0046】
水溶性増粘剤としては、具体的には、例えば
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、ポリアクリル酸、またはそれらの塩等のアクリル酸系増粘剤;
(b)セルロース系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤、海藻類系増粘剤、微生物由来増粘剤、またはデンプン系増粘剤等の多糖類系増粘剤;
(c)コラーゲン等のアミノ酸系増粘剤;
(d)ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、(PEG-240/デシルテトレデセス-20/HDI)コポリマー、ベヘン酸グリセリル・オクタステアリン酸ポリグリセリル-6等のポリエチレングリコール系増粘剤;
(e)カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の陰イオン性基を有するモノマーを構成単位として含む水溶性アニオン性重合体(コポリマー、ホモポリマー、クロスポリマーを含む)系増粘剤;または
(f)トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、マクロゴール、ガゼインナトリウム、ポリビニルアルコールなどのその他の水溶性高分子
が例示される。
【0047】
ここで、上記(a)アクリル酸系増粘剤としては、
(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/アクリル酸カルボキシエチルアンモニウム)クロスポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、ポリアクリレートクロスポリマー-6、ポリアクリレートクロスポリマー-11、ポリアクリレート-13、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、および(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーからなる群より選択される1種以上の中和系増粘剤;または
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、ステアレス-10アリルエーテル・アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマー、およびポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上の非中和系増粘剤;などが例示される。
【0048】
ここで、上記(b)多糖類系増粘剤としては、
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤;
ヒアルロン酸・ヒアルロン酸誘導体・およびこれらの塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖系増粘剤;
カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天のような海藻類系増粘剤;
キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、デキストラン、スクレロチウムガム、ジェランガム等の微生物由来増粘剤;または
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、コーンスターチ等のデンプン系増粘剤;などが例示される。
【0049】
本発明に好ましく用いられる(C)増粘剤としては、限定はされないが、アクリル酸系増粘剤および/または水溶性アニオン性重合体が代表的に挙げられる。アクリル酸系増粘剤および/または水溶性アニオン性重合体として特に好ましいのは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)クロスポリマーナトリウム、ポリアクリレートクロスポリマー-6、ポリアクリレート-13、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ステアレス-10アリルエーテル・アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマーおよびポリアクリルアミドからなる群より選択される1種以上である。なかでも、本発明に用いられる(C)増粘剤として、水溶性アニオン性でかつアクリル酸系増粘剤であることが好ましい。
【0050】
これらの(C)増粘剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの増粘剤を使用した場合には、特に、水感の多いジェル製剤の作成が可能となり、適度な皮膜感と製剤安定性を有し、使用感のよい、軽いジェル製剤を作ることができる。
【0051】
(C)増粘剤のうち、アクリル酸系増粘剤の市販品として、PEMULEN(商標)TR-1、TR-2(Lubrizol Advanced Materials社製);カーボポール(商標)ETD2020、Ultrez20Polymer、Ultrez21Polymer、Ultrez10Polymer(Lubrizol Advanced Materials社製)、STRUCTURE(商標)2001(アクゾノーベル社製)、Aristoflex(商標)AVC、HMB(クラリアントジャパン社製)などを使用できる。また、スクワラン等の油剤、非イオン性界面活性剤、および、水などと混合した混合物として使用してもよい。このような混合物として、具体的には、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)FL、NS(セピック社製);アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)EG(セピック社製)、SIMULGEL(商標)EPG(セピック社製);ステアレス-10アリルエーテル・アクリレーツ共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC80(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);アクリル酸ナトリウム・アクリル酸メタクリルナトリウム・メタクリル酸ナトリウムメタクリル酸アルキル共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC91(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーを含有する市販品であるSEPINOV(商標)P88(セピック社製)、アデカノール(商標)GT-700(旭電化工業社製);および、ポリアクリルアミドを含有する市販品であるSEPIGEL(商標)305(成和化成)などをあげることができる。上記ポリアクリル酸アミドとしては、たとえば、市販品のSEPIGEL(商標)305(成和化成社製)などを使用できる。上記カルボキシビニルポリマーとしては、カーボポール(商標)940、941、980、981、ETD2050、Ultrez10Polymer、(Lubrizol Advanced Materials社製);シンタレンKシンタレンL(3V SIGMA社製);AQUPEC(商標)HV-501E、HV-504E、HV-505E(住友精化社製);ハイビスワコー103、104、105(和光純薬工業社製);ジュンロンPW-110(日本純薬社製)などを使用できる。
【0052】
その他、ポリエチレングリコール系増粘剤として、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーを含有する市販品であるアデカノール(商標)GT-700(旭電化工業社製)、上記デンプン系増粘剤としては、たとえば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有する市販品であるSTRUCTURE(商標)XL(アクゾノーベル社製)、上記ポリビニルアルコールとしては、たとえば、市販品のゴーセノール(商標)EG-05、EG-40(日本合成化学工業社製)などをあげることができる。
【0053】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する(C)増粘成分の含有量は、好ましくは、0.00001w/w%以上、より好ましくは、0.0001w/w%以上、さらに好ましくは、0.001w/w%以上、最も好ましくは0.1w/w%以上である。皮膚外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、20w/w%以下、より好ましくは、10w/w%以下、さらに好ましくは、5w/w%以下である。皮膚外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、0.00001w/w%~20w/w%、より好ましくは、0.0001w/w%~10w/w%、さらに好ましくは、0.001w/w%~5w/w%、最も好ましくは、0.1w/w%~5w/w%である。
【0054】
本発明の皮膚外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1重量部に対して、(C)成分の総含有量が0.0000005~20000重量部が好ましく、0.00002~100重量部がより好ましく、0.0005~25重量部がさらに好ましく、0.01~10重量部がさらにより好ましく、0.1~1重量部が特に好ましく、0.1~0.6重量部が最も好ましい。
【0055】
本発明の皮膚外用組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分を含有することにより、より高い紫外線吸収能を発揮する。
【0056】
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)および(B)成分の他に、例えば、抗酸化剤、美白有効成分、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。
【0057】
[抗酸化剤]
本発明における抗酸化剤(抗酸化成分)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗酸化剤を使用できる。なお、本発明において、抗酸化剤(抗酸化成分、酸化防止成分)とは、活性酸素種等による酸化を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0058】
上記抗酸化剤としては、たとえば、
(a)トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、α-トコフェロール、δ-トコフェロール、酢酸-α-トコフェロール、トコトリエノール)、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、ユビキノン類およびその誘導体またはそれらの塩、レチノール類およびその誘導体またはそれらの塩、パントテン酸およびその誘導体またはその塩、エリソルビン酸またはそれらの塩、などのビタミン系抗酸化剤;
(b)チオタウリン、システイン、ホモシステイン、アセチルシステイン、メチオニン、チオグリセロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムピロ亜硫酸ナトリウム、チオレドキシン、ジチオスレイトール、αリポ酸、エルゴチオネイン、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ、などの含硫系抗酸化剤;
(c)ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、没食子酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、などのフェノール系抗酸化剤;
(d)植物(たとえば、ブドウ、オタネニンジン、コンフリーなど)に由来する成分(たとえば、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、オタネニンジンエキス、コンフリー葉エキスなど);プロアントシアニジン、へスペリジン、グルコシルヘスペリジン、フラボノイド、などのポリフェノール系抗酸化剤などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0059】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗酸化剤が、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよびその誘導体、マロン酸およびその誘導体、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体、トコフェロール類およびその誘導体、チオタウリンおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエンおよびその誘導体、没食子酸またはその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、へスペリジンおよびその誘導体、グルコシルヘスペリジンおよびその誘導体、エルゴチオネインおよびその誘導体、フラボノイドおよびその誘導体、または、ジブチルヒドロキシアニソールおよびその誘導体、ならびに、塩の形態をとり得る場合、前記いずれかの化合物の塩および前記いずれかの誘導体の塩等であることが好ましい。なかでも、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、または、ジブチルヒドロキシアニソールがより好ましい。また、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロールおよびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、または、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩がさらにより好ましい。
【0060】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する抗酸化剤の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.0001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上7w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.5w/w%以下であってもよい。
【0061】
[美白有効成分]
本発明における美白有効成分(美白剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の美白有効成分を使用できる。なお、本発明において、美白有効成分(美白剤)とは、肌のくすみやしみ、肝斑等に特に関係しているメラニン色素等による肌の色素沈着を改善、抑制・低減・防止、予防、または遅延させる性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0062】
上記美白有効成分としては、たとえば、
(a)ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩(たとえばα-アルブチン、β-アルブチン);コウジ酸;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドなど)、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩などのようなチロシナーゼ阻害剤;
(b)カモミラETのようなエンドセリン-1受容体阻害剤;
(c)遊離リノール酸のようなチロシナーゼタンパク質分解促進剤;
(d)アデノシン1リン酸2ナトリウム塩のようなメラニン排出促進剤;
(e)ナイアシンアミドのようなメラニン輸送阻害剤;
(f)その他、美白作用を有する植物成分(たとえば、植物エキスや精油);をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0063】
本発明の皮膚外用組成物において、上記美白有効成分が、ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩、エラグ酸、ナイアシンアミド等であることが好ましい。なかでも、ハイドロキノン、アルブチン、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、3-O-エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸などがより好ましい。
【0064】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する美白有効成分の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.00001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上7w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.5w/w%以下であってもよい。
【0065】
[抗炎症成分]
本発明における抗炎症成分(抗炎症剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗炎症成分を使用できる。なお、本発明において、抗炎症成分(抗炎症剤)とは、表皮等の細胞の炎症を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0066】
上記抗炎症成分としては、たとえば、植物(たとえば、コンフリー葉エキスなど)に由来する成分;アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ナトリウムなど)、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルレチン酸ステアリル、18α‐ヒドロキシグリチルレチン酸など)、、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸およびその誘導体などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0067】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗炎症成分が、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、または、サリチル酸およびその誘導体またはそれらの塩等であることが好ましい。なかでも、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、メントール、カンフル、インドメタシン、サリチル酸がより好ましい。
【0068】
また、本発明の皮膚外用組成物において、皮膚外用組成物の全量に対する上記抗炎症成分の含有量は、0.00001w/w%以上20w/w%以下の含有量とすることができ、0.0001w/w%以上10w/w%以下であってもよく、0.001w/w%以上5w/w%以下であってもよく、0.05w/w%以上3w/w%以下であってもよく、0.03w/w%以上1w/w%以下であってもよく、0.02w/w%以上0.5w/w%以下であってもよく、0.01w/w%以上0.1w/w%以下であってもよい。
【0069】
[その他の基剤または担体]
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に使用される公知の基剤または担体を含むことができる。基剤または担体は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0070】
基剤または担体としては、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸のような脂肪酸;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような高級アルコール;メチルポリシロキサン、ジデカメチルシクロペンタシロキサン、メチルシロキサン網状重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコンのようなシリコーン類;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスエリット、トリメリト酸トリエチルヘキシルのようなエステル類;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル;水などの水系基剤などをあげることができる。
【0071】
中でも、本発明の皮膚外用組成物は水および/または低級アルコールを含むものとすることが好ましく、水を含むものとすることがより好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、限定はされないが、皮膚外用組成物の全量に対する水の含有量は、30w/w%以上99w/w%以下が好ましく、40w/w%以上95w/w%以下がより好ましく、50w/w%以上90w/w%以下がさらに好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、最も好ましくは50w/w%以上の水を含有する水中油型組成物である。
【0072】
[添加剤]
本発明の皮膚外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に添加される公知の添加剤、たとえば、界面活性剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、使用感改良剤などを添加することができる。添加剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0073】
界面活性剤としては、たとえば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸のようなグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(PEG-40水添ヒマシ油、HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(PEG-50水添ヒマシ油、HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(PEG-60水添ヒマシ油、HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80(PEG-80水添ヒマシ油、HCO-80)などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチルシリコーンオイルのようなシリコーン系界面活性剤などをあげることができる。
【0074】
なかでも、グリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸グリセリル)、ポリグリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸ポリグリセリル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル)、硬化ヒマシ油誘導体(特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(PEG-50水添ヒマシ油、HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(PEG-60水添ヒマシ油、HCO-60))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(特に、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60))、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、シリコーン系界面活性剤(特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチルシリコーンオイル)が好ましい。
【0075】
保存剤、防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどをあげることができる。なかでも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノールが好ましい。
【0076】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、ε-アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)などをあげることができる。なかでも、コハク酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0077】
キレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸などをあげることができる。なかでも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0078】
安定化剤としては、ブチルヒドロキシアニソールなどをあげることができる。
【0079】
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどをあげることができる。
【0080】
着色剤としては、無機顔料、天然色素などをあげることができる。
【0081】
使用感改良剤としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリレーツコポリマー、アクリレーツクロスポリマー、(アクリル酸ブチル/ジメタクリル酸グリコール)クロスポリマー、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(メタクリル酸メチル/ジメタクリル酸グリコール)クロスポリマー、(スチレン/ジビニルベンゼン)クロスポリマー、ラウロイルリシン、ナイロン-12が挙げられる。
【0082】
[その他の活性成分]
本発明において、皮膚外用組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、抗シワ・老化防止成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、保湿成分、DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分、抗菌成分、収斂成分などの、化粧品や医薬部外品に添加しうる他の活性成分を配合することができる。他の活性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0083】
抗シワ、老化防止成分としては、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノールおよびその誘導体、レチノイン酸、レチナールなど)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N-メチル-L-セリン、メバロノラクトンなどをあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、加水分解大豆タンパク、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが好ましい。
【0084】
角質柔軟成分としては、ラノリン、尿素、αヒドロキシ酸(フィチン酸、乳酸、乳酸塩、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸など)、クエン酸などをあげることができる。なかでも、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、サリチル酸、フィチン酸が好ましい。
【0085】
細胞賦活化成分としては、植物(たとえば、ビルベリー)に由来する成分;γ-アミノ酪酸、ε-アミノプロン酸などのアミノ酸類;グリコール酸、乳酸などのα-ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などをあげることができる。なかでも、ビルベリー葉エキスが好ましい。
【0086】
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d-δ-トコフェリルレチノエート、α-トコフェリルレチノエート、β-トコフェリルレチノエートなどのビタミンA類;β-カロチン、α-カロチン、γ-カロチン、δ-カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノンなどのプロビタミンA類;δ-トコフェロール、α-トコフェロール、β-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロールカルシウム、δ-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステルなどのビタミンB2類;ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸L-アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、などのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノンなどのビタミンK類;ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩などのビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’-リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミンなどのビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミンなどのビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸などの葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D-パンテテイン、D-パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテルなどのパントテン酸類;ビオチン、ビオシチンなどのビオチン類;そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α-リポ酸、オロット酸、γ-オリザノールなどのビタミン様作用因子などをあげることができる。
【0087】
なかでも、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのビタミンA類;アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸などのビタミンC類;δ-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類が好ましい。
【0088】
保湿成分としては、植物(たとえば、チガヤ)に由来する成分;アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンのようなアミノ酸およびその誘導体;コラーゲン、ゼラチン、エラスチンのようなタンパク質やペプチド、その加水分解物;グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコール;ソルビトールのような糖アルコール;レシチン、水素添加レシチンのようなリン脂質;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素のようなNMF由来成分;ポリグルタミン酸;MPCポリマー(たとえば、LIPIDURE(商標)など)などのリン脂質極性基を有する高分子;ポリオキシプロピレンメチルグルコシド;PPG-10メチルグルコース(たとえば、マクビオブライド MG(商標)シリーズ(日油株式会社製)等)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン(たとえば、ウィルブライド(商標)S-753(日油株式会社製));トリメチルグリシン(ベタイン);ヒドロキシエチルウレア;アクリル酸・アクリルアミド・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;ソルビトールなどをあげることができる。なかでも、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、MPCポリマーグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、トリメチルグリシン(ベタイン)、ヒドロキシエチルウレア、水素添加レシチン、ソルビトールが好ましい。
【0089】
DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分としては、動物(たとえば、アルテミア)に由来する成分;植物(たとえば、キャッツクロー)に由来する成分;DNA、DNA塩、RNA、RNA塩などの核酸成分をあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、DNA-Naが好ましい。
【0090】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸およびその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンなどをあげることができる。なかでも、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸およびその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2-ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンが好ましく、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸およびその誘導体、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノールがより好ましい。
【0091】
収斂成分としては、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウムなどの金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸をあげることができる。なかでも、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸が好ましい。
【0092】
[製剤形態]
また、本発明における皮膚外用組成物は、各成分を常法に従って、たとえば、混合撹拌することにより調製できる。
【0093】
本発明における皮膚外用組成物は、薬剤の形態は特に限定されず、化粧品または医薬部外品の形態として公知の形態を採ることができる。このような公知の形態の中でも、たとえば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、パップ剤、不織布などのシートに薬液を含浸させたシート剤、リップ用乳化物などをあげることができる。なかでも、使用感が良い点で、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤が好ましい。本発明の皮膚外用組成物は、水中油型(O/W)の組成物であり、水系乳液、水性ジェル、水系ローションの製剤形態が好適である。
【0094】
本発明の皮膚外用組成物は、好ましくは、リップ用乳化物、乳液、乳化型の化粧水、ボディローションのような基礎化粧品の形態で用いられ得る。また、本発明の皮膚外用組成物は、ファンデーション、口紅、ほお紅、アイメイク、おしろい、ボディパウダー、マニキュア、ペディキュア等のメークアップ化粧料の形態でも用いられ得る。
【0095】
本発明により紫外線吸収機能を増強させることができるので、本発明の皮膚外用組成物は、紫外線B波(UV-B)に対する防御指数であるSPF(Sun Protection Factor)の値や、紫外線A波(UV-A)に対する防御指数であるPA(Protection Grade of UVA)の値が高い皮膚外用組成物とすることができる。例えば、本発明の皮膚外用組成物は、SPF値が、SPF10以上、好ましくはSPF20以上、より好ましくはSPF30以上、更に好ましくはSPF40以上、特に好ましくはSPF50以上であり得る。また例えば、本発明の皮膚外用組成物は、PA値がPA+、好ましくはPA++、より好ましくはPA+++、更に好ましくはPA++++であり得る。
【0096】
本発明の皮膚外用組成物は、その製品の内容に関わらず、日焼け止め用として用いることができる。また、本発明の皮膚外用組成物は、耐水性を必要とする用途に用いることができる。さらに、本発明の皮膚外用組成物は、紫外線防御効果持続を必要とする用途に用いることができる。
【0097】
本発明は、以下の態様でもあり得る。
(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有し、水中油型である、皮膚外用組成物;
さらに、(C)増粘剤を含有する、上記皮膚外用組成物;
前記(C)増粘剤が、水溶性増粘剤であり、アクリル酸系増粘剤、多糖類系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、水溶性アニオン性重合体系増粘剤、およびその他の水溶性高分子粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種である、上記皮膚外用組成物;
前記(A)成分が、アルキルジメチコン、アルコキシジメチコン、アルキルメチコン、およびシルセスキオキサンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記皮膚外用組成物;
前記(B)成分が、油溶性紫外線吸収剤、水分散型紫外線散乱剤、および油分散型紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種である、上記いずれかの皮膚外用組成物;
前記(B)成分の含有量が、組成物の全量に対して0.01~50w/w%である、上記いずれかの皮膚外用組成物;
前記(A):(B)の重量比が、1:0.5~50である、上記いずれかの皮膚外用組成物;
前記(B)が、油溶性紫外線吸収剤であり、(A):(B)の重量比が、1:0.5~50である、上記いずれかの皮膚外用組成物;
前記(B)が、水分散型紫外線散乱剤であり、(A):(B)の重量比が、0.5~50である、上記いずれかの皮膚外用組成物;
前記(B)が、油分散型紫外線散乱剤であり、(A):(B)の重量比が、0.5~50である、上記いずれかの皮膚外用組成物。
【0098】
本発明はまた、日焼け止め用皮膚外用剤を製造するための(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有する水中油型組成物の使用に関する。
【0099】
本発明はまた、日焼け止め用皮膚外用組成物を製造するための(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有する水中油型組成物の使用、に関する。
【0100】
本発明はまた、耐水用皮膚外用組成物を製造するための(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有する水中油型組成物の使用、に関する。
【0101】
本発明はまた、紫外線防御効果持続用皮膚外用組成物を製造するための(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有する水中油型組成物の使用、に関する。
【0102】
さらに、(C)増粘剤を含有する、上記いずれかの使用;
前記(C)増粘剤が、水溶性増粘剤であり、アクリル酸系増粘剤、多糖類系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、水溶性アニオン性重合体系増粘剤、およびその他の水溶性高分子粘着剤からなる群より選択される少なくとも1種である、上記いずれかの使用;
前記(A)成分が、アルキルジメチコン、アルコキシジメチコン、アルキルメチコン、およびシルセスキオキサンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記いずれかの使用;
前記(B)成分が、油溶性紫外線吸収剤、水分散型紫外線散乱剤、および油分散型紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種である、上記いずれかの使用;
前記(B)成分の含有量が、組成物の全量に対して0.01~50w/w%である、上記いずれかの使用;
前記(A):(B)の重量比が、1:0.5~50である、上記いずれかの使用;
前記(B)が、油溶性紫外線吸収剤であり、(A):(B)の重量比が、1:0.5~50である、上記いずれかの使用;
前記(B)が、水分散型紫外線散乱剤であり、(A):(B)の重量比が、0.5~50である、上記いずれかの使用;
前記(B)が、油分散型紫外線散乱剤であり、(A):(B)の重量比が、0.5~50である、上記いずれかの使用、に関する。
【0103】
本発明はまた、皮膚外用組成物を、(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種と、(B)紫外線吸収剤および紫外線散乱剤からなる群より選択される少なくとも1種、とを含有させてなる水中油型組成物に調製することにより、耐水性および/または紫外線防御効果持続性を該皮膚外用組成物に付与する方法、に関する。
【実施例0104】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、表1~4における各成分量の単位は、w/w%である。
【0105】
表1~2に示す組成の皮膚外用組成物を常法に従って調製した。具体的には、油相成分と水相成分をそれぞれ秤量し、必要に応じ加熱溶解させた。その後、水相へ油相を投入し、ホモミキサーで撹拌し調製し均一な水中油型組成物を調製した。また、必要に応じ、撹拌後に中和剤を添加して均一な水中油型組成物を調製した。
【0106】
(試験例1)紫外線防御効果試験
表1に記載の各皮膚外用組成物を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)製の板に1.3mg/cmになるように均一に塗布し、暗所で15分間放置して乾燥させた後、紫外線吸収スペクトルを、紫外可視分光光度計(UV-2450:島津製作所社製)を用いて測定した。290~400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)をブランク処方((A)成分を含まない処方)のものと比較することで、紫外線吸収スペクトルの増加率(増強効果)を算出した。算出式は以下の通りである。
紫外線吸収スペクトルの増加率=[(実施例の各AUC)/(比較例の各AUC)]×100(%)
なお、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。
【0107】
【表1】
なお、表1中*1の原料名は、SW-8005 C30 Resin Waxであり、*2の原料名は、Aristoflex AVCである。
【0108】
試験例1の結果を図1および図2に示す。(B)成分のみの比較例に比べて、(A)成分を含む実施例1および2は、紫外線吸収スペクトルが増加している。
【0109】
(試験例2)水処理後の残存試験
表1に記載の皮膚外用組成物について、試験例1にて紫外線吸収スペクトルを測定した後、水処理を行い、再度、同様の方法にて紫外線吸収スペクトルを測定して、水処理前後での290-400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)を比較し、残存率を算出した。計算式は以下に示す通りである。
水処理による残存率=[(水処理後のAUC)/(水処理前のAUC)]
×100(%)
なお、本試験例において水処理とは、組成物を塗布したPMMA製の板を、水浴の攪拌羽根の一端に取り付け、撹拌羽根ごと20~25℃の水浴(水道水)に浸し、5分間水浴を攪拌し続け、その後、PMMA製板をゆっくり取り外し、暗所で30分放置して乾燥させることを指す。
【0110】
また、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。
【0111】
この試験は、本発明の皮膚外用組成物を塗布した後、水道水、雨、プールの水などが皮膚外用組成物に接触した場合の実使用の過酷な条件に対応しており、試験結果から、実施例の組成物が耐水性および紫外線防御効果持続性に優れていることがわかる。
【0112】
試験例2の結果を図3に示す。(B)成分のみの比較例に比べて、(A)成分を含む実施例1および2は、水処理後の残存率がそれぞれ124.8%、102.2%であり、良好である。
【0113】
(試験例3)塩化カルシウム水溶液処理後の残存試験
試験例2の水浴(水道水)を、0.28%無水塩化カルシウム水溶液に変えた以外は、試験例2と同様に試験を行った。
【0114】
結果を図4に示す。(B)成分のみの比較例に比べて、(A)成分を含む実施例1および2は、塩化カルシウム水溶液処理後の残存率がそれぞれ96.0%、107.1%であり、良好である。
【0115】
この試験は、本発明の皮膚外用組成物を塗布した後、汗、海水などが皮膚外用組成物に接触した場合の実使用の過酷な条件に対応しており、試験結果から、実施例の組成物が特に汗に対する耐水性および紫外線防御効果持続性があることがわかる。
【0116】
(試験例4)紫外線防御効果試験
表2に示す通り、紫外線散乱剤を含む皮膚外用組成物を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
【0117】
【表2】
【0118】
なお、表2中*1の原料名は、SW-8005 C30 Resin Waxであり、*2の原料名は、Simulgel NSである。実施例3および比較例2に(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーを0.83w/w%、スクワランを0.56w/w%、ポリソルベート60を0.12w/w%含有する。
【0119】
表2の実施例および比較例を用いた試験例1の結果を図5および6に示す。
【0120】
実施例3は、(A)成分を除いた比較例2に比べて、図5および6に示すように、より高い紫外線防御効果(紫外線吸収スペクトルの増強効果)を有していた。
【0121】
(試験例5)二次付着性評価試験
表1の実施例1および比較例1の各皮膚外用組成物(試料)を、PMMA板上に、2mg/cmとして均一に塗布し、乾燥させた。試料乾燥後、紫外可視分光光度計(UV-2450;島津製作所社製)にて、各PMMA板における紫外線吸収スペクトルを測定し、290-400nmにおける吸光度曲線下面積(AUC)を求めた。その後、ティッシュペーパー上にPMMA板の塗布面を下にして置き、500gの負荷をPMMA板の上から10分間かけてティッシュペーパーに付着させた後、再び紫外線吸収スペクトルを測定して、290-400nmにおけるAUCを求め、付着前後でのAUCの差を比較することで、紫外線吸収能の残存率を算出した。算出式は式2の通りである。
[式2]
紫外線吸収能の残存率=[(付着後の各AUC)/(付着前の各AUC)]×100
(%)
なお、紫外線吸収スペクトルは同一のPMMA板内の異なる5点を測定し、それらの平均値を採った。
この結果を図7に示す。本発明の皮膚外用組成物は、二次付着しにくいことが確認された。本発明の皮膚外用組成物は、例えば日焼け止め製剤として適用された際に、塗布後も製剤が肌の上に留まり、紫外線防御効果を維持できる。
【0122】
(試験例6)紫外線防御効果試験
表3~表6に示す通り、皮膚外用組成物を用いて、試験例1と同様の試験を行った。
【0123】
【表3】
表3中、*1の原材料名は、ABIL Wax 2440である。
【0124】
【表4】
表4中、*1の原料名は、ABIL Wax 2440であり、*2の原料名は、BELSIL CM 7026 VPであり、*3の原料名は、SW-8005 C30 Resin Waxである。
【0125】
【表5】
表5中*1の原料名は、ABIL Wax 2440であり、*2の原料名は、BELSIL CM 7026 VPであり、*3の原料名は、SW-8005C30 Resin Waxである。
【0126】
【表6】
表6中*1の原料名は、670 Fluidである。
【0127】
(試験例7)水処理後の残存試験
表3に示す通り、皮膚外用組成物を用いて、試験例2と同様の試験を行った。
【0128】
比較例3の水処理後の紫外線防御効果の残存率と、実施例4の水処理後の紫外線防御効果の残存率を比較すると、実施例4は比較例3に対して111.2%の紫外線防御効果の残存であり、良好だった。
【0129】
(製剤例)
下記表7および表8に記載の製剤を調製する。製剤例1、3~9、11~16は、いずれも水中油型ゲル剤の皮膚外用組成物である。製剤例2、10は、いずれも水中油型ローション剤の皮膚外用組成物である。
【0130】
ここで、製剤例8の調製方法は、以下の通りである。すなわち、疎水化処理微粒子酸化チタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリエチルヘキシル、ミネラルオイル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル、アルキル(C30-45)ジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサンを秤量する(油相)。次に、エデト酸ナトリウム、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、被覆処理微粒子酸化亜鉛、カルボキシビニルポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、トリエタノールアミン、(スチレン/ジビニルベンゼン)クロスポリマー、防腐剤、精製水を秤量する(水相)。油相を加熱溶解させた後、水相へ油相を投入し、ホモミキサーで撹拌し調製し均一な水中油型組成物を調製する。
【0131】
さらに、製剤例16の調製方法は、以下の通りである。すなわち、疎水化処理微粒子酸化チタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリメリト酸トリエチルヘキシル、ミネラルオイル、ペンタイソステアリン酸ポリグリセリル、ポリプロピレンシルセスキオキサンとシクロペンタシロキサンからなる主成分50%の溶液を秤量する(油相)。次に、エデト酸ナトリウム、1,3-ブチレングリコール、濃グリセリン、キサンタンガム、被覆処理微粒子酸化亜鉛、カルボキシビニルポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、トリエタノールアミン、(スチレン/ジビニルベンゼン)クロスポリマー、防腐剤、精製水を秤量する(水相)。油相を加熱溶解させた後、水相へ油相を投入し、ホモミキサーで撹拌し調製し均一な水中油型組成物を調製する。
【0132】
【表7】
【0133】
なお、表7中*1の原料名は、SW-8005 C30 Resin Waxであり、*2の原料名は、AMS-C30 Cosmetic Waxであり、*3の原料名は、Simulgel NSであり、*4の原料名は、Aristoflex AVCである。
【0134】
【表8】
【0135】
なお、表8中*1の原料名は、670 Fluidであり、*2の原料名は、680 Fluidであり、*3の原料名は、Simulgel NSであり、*4の原料名は、Aristoflex AVCである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルキル変性シリコーンおよびアルキル変性シリコーンレジンからなる群より選択される少なくとも1種、
(B)紫外線散乱剤、及び
(C)増粘剤
を含有し、該(B)成分として少なくとも酸化亜鉛を含み、水中油型であり、該(A)成分に対する該(B)成分の配合量の比率は、該(A)成分の総含有量1重量部に対して、該(B)成分の総含有量が0.0005~25000重量部である、皮膚外用組成物。
【請求項2】
前記(A)成分に対する前記(C)成分の配合量の比率は、前記(A)成分の総含有量1重量部に対して、前記(C)成分の総含有量が0.0000005~20000重量部である、請求項1に記載の皮膚外用組成物。