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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173405
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】針状根管治療具と歯科医療治療器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 5/42 20170101AFI20221111BHJP
   A61C 1/12 20060101ALI20221111BHJP
   A61C 1/14 20060101ALI20221111BHJP
   A61C 3/02 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61C5/42
A61C1/12
A61C1/14 A
A61C3/02
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022154259
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2021501966の分割
【原出願日】2020-02-17
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/006000
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】508076392
【氏名又は名称】ジュアールジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 亘弘
(57)【要約】
【課題】針状根管治療具をその長さ方向の往復移動で根管の拡大を行なうに適した形態にするとともに、針状根管治療具をその長さ方向に往復移動させることができる歯科治療器具を提供する。
【解決手段】針状根管治療具1を保持部2と作業部3とからなるものとし、作業部3の芯体5に、治療具長さ方向の往復移動によって根管の拡大形成を行なったり綿材や充填剤の押し込みを行なうなどの歯科治療対象部位に対する処置を行なう処置部9を設けた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部(2)とこの保持部(2)に連続する作業部(3)とからなる針状根管治療具(1)において、作業部(3)の芯体(5)に、治療具長さ方向の往復移動によって歯科治療対象部位に対する処置を行なう処置部(9)が設けられていることを特徴とする針状根管治療具。
【請求項2】
前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の外面に芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出ていて張り出し端縁を刃部(7)とする刃板(6)であり、この刃板(6)が、作業部長さ方向に亘って芯体(5)の周囲を廻る螺旋状の配置にして、または芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出る前記刃板(6)を芯体(5)の周囲を廻る環状の配置にしてこの環状の刃板(6)が作業部長さ方向に多段にして設けられている請求項1に記載の針状根管治療具。
【請求項3】
前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の先端に配置されて先端部分を押し込み面(10)にして前記芯体(5)より太径とされた押圧体(11)である請求項1に記載の針状根管治療具。
【請求項4】
前記保持物(2)に取付穴(2a)を穿設して、前記作業部(3)の端部を前記取付穴(2a)に嵌め込むとともに、保持部(2)と作業部(3)とが接合材を介して一体となっている請求項1から3の何れか一項に記載の針状根管治療具。
【請求項5】
前記保持部(2)の作業部(3)側の外周端に、治療具長さ方向に沿った断面形状が角丸となる丸面部(2b)を設けている請求項1から4の何れか一項に記載の針状根管治療具。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の針状根管治療具(1)と、前記針状根管治療具(1)の長さ方向を奥行き方向(A)とする装着穴(29)を有していて、この装着穴(29)に針状根管治療具(1)の保持部(2)が挿入されて針状根管治療具(1)を支持し、かつ針状根管治療具(1)の前記作業部(3)が露出する治療具支持部(16)と、先端面(32)を前記治療具支持部(16)側に臨ませて、前記治療具支持部(16)と連結する連結シャフト(17)と、前記連結シャフト(17)を回転させる駆動部(18)とを備え、
前記治療具支持部(16)は、前記連結シャフト(17)と相対する所定位置にこの治療具支持部(16)の幅方向に形成された溝部(31)を備え、
前記溝部(31)は、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)の一方側に形成された第一側壁(33)と、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)での他方側に形成された第二側壁(34)とを備え、
前記連結シャフト(17)は、前記先端面(32)の中心から偏倚して配置される突部(37)を備え、
前記治療具支持部(16)に連結された連結シャフト(17)の前記突部(37)が、前記溝部(31)に配置されていて、
前記連結シャフト(17)が、前記駆動部(18)の動作で回転して、この連結シャフト(17)の回転によって前記先端面(32)の中心周りを旋回する突部(37)が、前記溝部(31)の前記第一側壁(33)及び前記第二側壁(34)と接触してこれらを押圧し、治療具支持部(16)をこの治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って往復移動させることを特徴とする歯科治療器具。
【請求項7】
前記突部(37)は、前記溝部(31)内に配置される際、前記第一側壁(33)と前記第二側壁(34)との双方に摺接可能に接触する請求項6に記載の歯科治療器具。
【請求項8】
前記治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って形成される第一の通路(22)と、前記奥行き方向(A)に交差する方向に沿って形成されて前記第一の通路(22)に連通する第二の通路(23)とを備えるハウジング(13)を更に備え、
前記治療具支持部(16)は、前記第一の通路(22)内に配置され、
前記連結シャフト(17)は、前記第二の通路(23)内に配置され、
前記第一の通路(22)の内壁に、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿うライン状溝(36)が形成され、
前記治療具支持部(16)は、前記ライン状溝(36)と相対する所定位置に、前記ライン状溝(36)と略同幅で、前記治療具支持部(16)が往復移動する方向を前記奥行き方向(A)に規制する移動規制用突部(35)を備えている請求項6又は7に記載の歯科治療器具。
【請求項9】
前記治療具支持部(16)は座金(30a)を介してねじ付ける蓋体(30)を有していて、前記蓋体(30)が、治療具支持部(16)に挿入された針状根管治療具(1)の前記保持部(2)を支持する請求項6から8の何れか一項に記載の歯科治療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根管治療に用いる針状根管治療具とこの針状根管治療具を取り付けた歯科治療器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から齲蝕(うしょく)が歯髄まで及んだ虫歯の治療では、侵された神経や血管を含む組織である歯髄を抜き取った後に、その歯髄があった根管を内側から拡大し、ガッタバーチャ・ポイントなどを用いて薬剤による根管充填を行ない、さらに土台材を入れて補強を行ない、治療範囲が小さかった場合にはインレー(詰め物)を取り付けて、また治療範囲が大きかった場合にはクラウン(被せ物)を取り付けるようにしている。そして根管の拡大に際しては、リーマーやファイルと称される針状根管治療具が用いられている。
【0003】
上述した針状根管治療具は、保持部とこの保持部に連続して根管の内面を削る作業部とからなる金属製品であり、保持部にあっては、歯科医が指先で挟み易いように樹脂製のグリップを取り付けたり、また歯科医が治療時に手持ちするハンドピースと称される歯科治療器具の先端部分にセットできる形態にしている。
【0004】
また針状根管治療具の作業部は針状に細くなっており、外面には先端に向けて刃が螺旋状に回れた配置となるようにして形成されている部分である。そしてこの根幹治療具では元材を捩じって螺旋状の配置の刃を備えた作業部を形成しており、例えば特許文献1や特許文献2に示されているように、断面が四角形や三角形とされた部分を捩じることで、螺旋状の刃を備える作業部が形成されていた。
【0005】
また、根管治療に際しては、保持部にグリップを配した針状根管治療具を歯科医が指先で挟み持って根管を拡大する作業となる場合や、上述した針状根管治療具を先端の部分に取り付けた歯科治療器具を用いて行う場合もある。
【0006】
上記針状根管治療具を取り付けている歯科治療器具は、駆動部を内部に配置するとともに、先端の部分に、針状根管治療具の保持部が挿入されて前記治療具を支持するための治療具支持部を配置しており、駆動部の動作を駆動シャフトを介して治療具支持部に伝えて、針状根管治療具の作業部を動作させる仕組みを有しているものである。
【0007】
そして上記針状根管治療具を取り付けた歯科治療器具を含めて歯科医が用いる歯科治療器具では、駆動部側から治療具側へ駆動力を伝えてその治療具を動作させる機構としては、例えば特許文献3の歯に薬剤を塗布するカップを回転させる歯科治療器具に、駆動部側から回転を回転中心から偏倚させたロッドが旋回するとともに、そのロッドの先端を前記カップ治療具の保持部位にある縦溝部に摺動可能に突き当て位置させて、旋回するロッドの先端の動きによって、前記カップ治療具がこの治療具自体の長手方向の中心周りに所要の角度の範囲で揺動するようにして、カップ治療具のカップ部分が正逆回転を繰り返すようにした機構を備えている点が示されている。
【0008】
また針状根管治療具を先端に取り付けた歯科治療器具に関わる特許文献4にも、器具先端の部分に配置された治療具支持部の外周にギアを形成して、このギアに、駆動部側からの駆動を伝える駆動シャフトの端部のギアを噛み合わせて、駆動シャフトの軸回転を治療具保持部の軸回転にして駆動力を伝える仕組みが示されていて、駆動部からの回転が、針状根管治療具の保持部の長手方向での中心が回転中心となる回転に変換されて、露出している作動部が軸回転するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭54-500099号公報
【特許文献2】特開昭60-129042号公報
【特許文献3】特開昭62-120849号公報
【特許文献4】特開平07-328034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
針状根幹治療具を用いて根管を拡大する処置は、歯科医が針状根管治療具を指先で持って上下させながら根管の内面を削る場合、多くの労力が必要となる。そこで先端に針状根管治療具を作業部が表出するようにして取り付けられている歯科治療器具によって前記作業部を回転させながら根管の内面を削る作業を行なう場合も多いが、この針状根管治療具の作業部は、根管の内面を削る刃が螺旋状にして形成されているため、治療時に回転する作業部が根管の下端側へ進んで必要以上に入り込む可能性がある。
【0011】
また、歯科治療器具を持って行なう根管の拡大形成では、回転しながら歯の内部を削っている針状根管治療具からの感触が伝わり難く、比較的軟らかい象牙質の部分に作業部が差し掛かっていたとしても作業部の先端側などで折れることもあって根管側に残った折れ端を取り除く処置が必要となる場合がある。さらに回転して削る作業部の歯状痕が付いてその歯状痕の手当てが必要となる不具合が生じ易かった。
【0012】
さらに根管治療に際して菌に侵されて傷んでいる神経や血管などをきれいに除去する処置を行なうが、この処置の冶具として従来の針状根管治療具を回転させながら用いると、この針状根管治療具が歯の深部に進む動きが優先されがちになって傷んだ組織の取り除きが進まなかったり、上述したように根管の内面に歯状痕を付けてしまう不具合もあった。
【0013】
本発明者にあっては、駆動源側で旋回するピンなどを動力の被伝達側に接触させ、旋回する前記ピンなどの運動を被伝達側の物体の一方向の往復移動に変換するように円運動を直線運動に代えるクランク機構に着目して本発明に至ったものであり、針状根管治療具をこの針状根管治療具の長さ方向に往復移動させて根管治療が行なえるようにすることを課題とし、針状根管治療具をその長さ方向の往復移動で根管の拡大を行なうなどの処置に適した形態にするとともに、針状根管治療具をその長さ方向に往復移動させることができる歯科治療器具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、保持部(2)とこの保持部(2)に連続する作業部(3)とからなる針状根管治療具(1)において、作業部(3)の芯体(5)に、治療具長さ方向の往復移動によって歯科治療対象部位に対する処置を行なう処置部(9)が設けられていることを特徴とする針状根管治療具を提供して、上記課題を解消するものである。
【0015】
(請求項2の発明)
そして、請求項1の発明において、前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の外面に芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出ていて張り出し端縁を刃部(7)とする刃板(6)であり、この刃板(6)が、作業部長さ方向に亘って芯体(5)の周囲を廻る螺旋状の配置にして、または芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出る前記刃板(6)を芯体(5)の周囲を廻る環状の配置にしてこの環状の刃板(6)が作業部長さ方向に多段にして設けられているものとすることが可能である。
【0016】
(請求項3の発明)
また、請求項1の発明において、前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の先端に配置されて先端部分を押し込み面(10)にして前記芯体(5)より太径とされた押圧体(11)であることが可能である。
【0017】
(請求項4の発明)
また、上記発明において、前記保持物(2)に取付穴(2a)を穿設して、前記作業部(3)の端部を前記取付穴(2a)に嵌め込むとともに、保持部(2)と作業部(3)とが接合材を介して一体となっていることが良好である。
【0018】
(請求項5の発明)
また、上記発明において、前記保持部(2)の作業部(3)側の外周端に、治療具長さ方向に沿った断面形状が角丸となる丸面部(2b)を設けていることが良好である。
【0019】
(請求項6の発明)
またもう一つの発明は、請求項1から5の何れか一項の針状根管治療具(1)と、前記針状根管治療具(1)の長さ方向を奥行き方向(A)とする装着穴(29)を有していて、この装着穴(29)に針状根管治療具(1)の保持部(2)が挿入されて針状根管治療具(1)を支持し、かつ針状根管治療具(1)の前記作業部(3)が露出する治療具支持部(16)と、先端面(32)を前記治療具支持部(16)側に臨ませて、前記治療具支持部(16)と連結する連結シャフト(17)と、前記連結シャフト(17)を回転させる駆動部(18)とを備え、
前記治療具支持部(16)は、前記連結シャフト(17)と相対する所定位置にこの治療具支持部(16)の幅方向に形成された溝部(31)を備え、
前記溝部(31)は、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)の一方側に形成された第一側壁(33)と、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)での他方側に形成された第二側壁(34)とを備え、
前記連結シャフト(17)は、前記先端面(32)の中心から偏倚して配置される突部(37)を備え、
前記治療具支持部(16)に連結された連結シャフト(17)の前記突部(37)が、前記溝部(31)に配置されていて、
前記連結シャフト(17)が、前記駆動部(18)の動作で回転して、この連結シャフト(17)の回転によって前記先端面(32)の中心周りを旋回する突部(37)が、前記溝部(31)の前記第一側壁(33)及び前記第二側壁(34)と接触してこれらを押圧し、治療具支持部(16)をこの治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って往復移動させることを特徴とする歯科治療器具であり、この歯科治療器具を提供して、上記課題を解消するものである。
【0020】
(請求項7の発明)
そして請求項6の発明において、前記突部(37)は、前記溝部(31)内に配置される際、前記第一側壁(33)と前記第二側壁(34)との双方に摺接可能に接触することが良好である。
【0021】
(請求項8の発明)
また、請求項6または7の発明において、前記治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って形成される第一の通路(22)と、前記奥行き方向(A)に交差する方向に沿って形成されて前記第一の通路(22)に連通する第二の通路(23)とを備えるハウジング(13)を更に備え、
前記治療具支持部(16)は、前記第一の通路(22)内に配置され、
前記連結シャフト(17)は、前記第二の通路(23)内に配置され、
前記第一の通路(22)の内壁に、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿うライン状溝(36)が形成され、
前記治療具支持部(16)は、前記ライン状溝(36)と相対する所定位置に、前記ライン状溝(36)と略同幅で、前記治療具支持部(16)が往復移動する方向を前記奥行き方向(A)に規制する移動規制用突部(35)を備えているものとすることが良好である。
【0022】
(請求項9の発明)
また、請求項6から8の何れか一項の発明において、前記治療具支持部(16)は座金(30a)を介してねじ付ける蓋体(30)を有していて、前記蓋体(30)が、治療具支持部(16)に挿入された針状根管治療具(1)の前記保持部(2)を支持することが良好である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の針状根管治療具によれば、作業部において芯体に処理部を有しているので、根管の内面に作業部を沿わせるなどして針状根管治療具を長さ方向前方に向けて僅かに往復移動させることで処理部が根管の組織などの歯科治療対象部位に対して繰り返し衝突するようになり、針状根管治療具を長さ方向に沿って往復移動させるという簡易な動作で効率よく根管治療を行なうことができる。
【0024】
また本発明の歯科治療器具によれば、上記針状根管治療具を長さ方向に沿って往復移動させるので、この歯科治療器具によって効率よく根管の内面の組織や傷んだ歯髄などを除去でき、根管治療の労力を削減することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る針状根管治療具の一例を一部拡大して示す説明図である。
図2】針状根管治療具の他の例を示す説明図である。
図3】綿・充填材押し込みの処理部がある針状根管治療具の例を示す説明図である。
図4】本発明に係る歯科治療器具の一例を示す説明図である。
図5】歯科治療器具の一例における内部を示す説明図である。
図6】歯科治療器具での治療具支持部の配置を概略的に示す説明図である。
図7】治療具支持部における支持部本体の溝部を示すもので、(a)は奥行き方向に直交する方向から見た状態で示す説明図、(b)は溝部をこの溝部に面する側から見た状態で示す説明図、(c)は装着穴を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
つぎに本発明を図1から図7に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(針状根管治療具)
図中1は根管治療に用いる針状根管治療具を示していて、図1に示されているように前記針状根管治療具1は保持部2とこの保持部2に連続して細い略針形状とされた作業部3とからなるものであり、前記保持部2を支えながら全体的に細く小さい針状根管治療具1の取り回しが行なわれ、作業部3を根管の内面などに沿わせて動かすことで根管を拡大するなど、根管治療に関する処置が行なわれるようにしているものである。
【0028】
(保持部)
針状根管治療具1の治療具本体は金属材から構成されていて、上記保持部2は、歯科医が指先で挟み持ち易いように、また後述の歯科治療器具での一構成部材として取付状態を安定させるように太径とした金属製のグリップ4として形成されている。前記保持部2であるグリップ4の中心の部分からは治療具本体が延びて作業部3に連続しており、この作業部3は、根管治療での処置に応じる形状を備えている。
【0029】
(作業部)
図1に実施の形態の一例として図示した針状根管治療具1は根管を拡大形成する治療具である。そして、作業部3は可撓性を備え、治療具本体を針状としてなる芯体5の外面に、前記芯体5の径方向の外方に向けて刃板6が張り出るようにして一体に設けられて後述の処置部9が形成されている。前記刃板6は張り出し端縁を刃部7としており、刃板6の刃部7を根管の内面に当てながら針状根管治療具1全体を治療具の長さ方向に沿って往復移動させることで、刃板6における針状根管治療具1の長さ方向で相対する面それぞれをすくい面8になって刃部7により根管の組織が削られるようにしている。また、作業部3は往復移動を行なう動きであるため、この作業部3の先端部分にあっては歯の内部の組織に対する突き当てにとどまって、根管深部への不必要な入り込みを起さないように設けられている。さらには傷んだ歯髄の取り除きに際しては、歯髄を刃板6自体で受けて絡み取りを行なわせ易くなるように設けられている。
【0030】
作業部3における上記刃板6は、図1に示されているように作業部3の長さ方向に亘って芯体5の周囲を廻る螺旋状の配置とされている。そして、刃板6の径方向への張り出し寸法は作業部3の先端(尖頭となっている部分)に進むに従って徐々に小さくなっており、保持部2側となる刃板6の張り出し端縁の位置と先端側の刃板6の張り出し端縁の位置とを結んだ線が直線状となるようにして、針状根管治療具1を側方から見たときに作業部3の側面視形状を鋭く細長い三角形状にしている。
【0031】
作業部3に螺旋状にして保持部2から作業部先端側に向けて連続する上記刃板6を設けている針状根管治療具1を用いて根管を拡大するなどの処置を行なう場合は、作業部3を根管の内面に沿わせるようにして針状根管治療具1全体を長さ方向に上げ下げするように往復移動させればよく、根管の内面の組織に刃板6の刃部7が突き当たった状態であるため、刃板6の往復移動で内面の組織を削り取ることができる。
【0032】
(刃板の配置の他例)
上記実施の形態では刃板6を螺旋状の配置としたが、本発明の針状根管治療具はこの例に限定されるものではない。図2は他の例をしていて、この図2に示す針状根管治療具1では、作業部3の刃板6(処置部9)を芯体5の周囲を廻る環状の配置にし、環状の刃板6が作業部3の長さ方向に間隔を置いて多段にして設けられている。そして、上記例と同様に複数の刃板6の径方向への張り出し寸法は作業部3の先端に進むに従って徐々に小さく、保持部2側となる刃板6の張り出し端縁の位置と先端側の刃板6の張り出し端縁の位置とを線が直線とされて、側方から見たときに作業部3の側面視形状が鋭く細長い三角形状とされているものである。
【0033】
また上記刃板6を螺旋状の配置とした例及び環状にして多段に配置した例においても、刃板6の張り出し寸法が作業部3の先端側に向けて徐々に小さくなるものとしているが、作業部3の芯体5自体を径が長さ方向で同じにして刃板6の張り出し寸法も長さ方向で同じとなるようにすることも可能である。
【0034】
さらに上記例の針状根管治療具1においては、根管の内面に可撓性を備える作業部3を沿わせて長さ方向に往復移動させ、その往復移動によって根管の内面の組織を削ることができるように刃板6を有していて、作業部3の上記刃板6それぞれは、長さ方向に沿った往復移動によって削るという処置を行なう処置部9となっているものである。しかし、根管治療は根管の内面を削る処置だけではなく、薬剤の充填や土台の形成などの多くの処置が行われており、作業部3の太さなどが異なる複数の針状根管治療具1が使い分けされる。
【0035】
そして、本針状根管治療具1の作業部3にあっては削る処置のみに対応するものに限定されない。図3は上記処置とは異なる処置部9が作業部3に設けられている針状根管治療具1を示していて、この針状根管治療具1は、長さ方向の往復移動によって根管に仮置き綿や充填薬剤を詰める処置を行なうようにした処置部9が作業部3の先端側(芯体5の先端側)に配置されている。
【0036】
上記例の処置部9は先端部分の突出端面を緩やかな球面を呈する押し込み面10として芯体5より太径の押圧体11からなるもので、保持具本体の金属材を芯体の先端部分を太くすることで形成されている。そして押し込み面10を備えた処置部9を作業部3に有する針状根管治療具1は、上述したように根管を拡大した部分に仮置き綿や充填薬剤を詰める処置などを行なう場合に用いられ、針状根管治療具1を長さ方向に往復移動させながら処置部9の押し込み面10で対象物を少しずつ押し下げて定置させる作業に適したものとなる。なお、押圧体11の保持部2側の周縁部分は、歯の内面との摺接によって不必要な削りを生じさせないように角丸を呈する形状にしておくことが望ましい。
【0037】
図示されているように針状根管治療具1では、保持部2に穿設した取付穴2aに作業部3の基端3a(芯体5の基端)を嵌め込むとともに、保持部2の金属材と作業部3の金属材とを良好に連結させる接合材を用いて、保持部2と作業部3とが強固に一体となっている。この点は、後述の歯科治療器具に用いる場合の針状根管治療具においても同様である。
【0038】
また、針状根管治療具1の保持部2では、作業部3側の外周端に、治療具長さ方向に沿った断面形状が角丸となる丸面部2bを設けていて、この丸面部2bは保持部2の周方向に亘って位置している。
【0039】
(歯科治療器具)
上記針状根管治療具1は歯科医が指先で挟み持って各種の処置を行なう場合に単体で使用されるものであるが、図4図5は電動などの動力を用いて針状根管治療具1を動作させるもう一つの発明である歯科治療器具12が示されていて、この歯科治療器具12は歯科医が治療に際して手持ちするハンドピースと称される細身の電動器具である。
【0040】
そして図4図5とに示すように歯科治療器具12は、治療具側ハウジング13とこの治療具側ハウジング13に対し傾斜して接続される把持側ハウジング14とからなるケース15に、長さ方向に往復移動する上記針状根管治療具1と、前記針状根管治療具1を支持する治療具支持部16と、一軸の連結シャフト17と、小型モータからなる駆動部18とが組み入れられて、針状根管治療具1を動作させる駆動系が、前記治療具支持部16と連結シャフト17と駆動部18とで構成されている。なお、歯科治療器具12において図示した針状根管治療具1は一例であり、歯科治療器具1はこの図示された針状根管治療具1を有するものに限定されない。
【0041】
(治療具側ハウジング)
上記治療具側ハウジング13は先端部20とこの先端部20の側面側に外方に伸びる鶴首部21とからなり、後述するように針状根管治療具1の保持部2が挿入される治療具支持部16を移動可能に収める第一の通路22が形成され、前記鶴首部21に上記連結シャフト17を軸回転可能にして収める第二の通路23が形成されており、第二の通路23は前記第一の通路22に連通している。
【0042】
(把持側ハウジング)
把持側ハウジング14は上記駆動部18を構成する小型モータを収める収納空間24があって、前記小型モータへの通電コードなどコード類を把持側ハウジング14の底板から外部機器に接続するための通孔を備えているとともに、駆動部18における小型モータの出力シャフト25が、治療具側ハウジング13の第二の通路23に位置する連結シャフト17にギアを介して連結して回転させることができるように、収納空間24が前記第二の通路23とが連通している。
【0043】
なお、針状根管治療具1と治療具支持部16と連結シャフト17とを組み付けた治療具側ハウジング13と、駆動部18を収めている把持側ハウジング14とは、分離可能に接続されているものであって、針状根管治療具1の種類を変えるときには、治療具側ハウジング13を把持側ハウジング14から外し、他の種類の針状根管治療具1が予め収められている治療具側ハウジングごと交換すればよい。
【0044】
(治療具支持部)
針状根管治療具1を支持する治療具支持部16は、略筒体とされた支持部本体26の一端に位置する側壁部分にある透孔27に、支持部本体26の他端の開口28側から針状根管治療具1の作業部3を通し、針状根管治療具1の長さ方向を奥行き方向Aとする前記支持部本体26の装着穴29に、針状根管治療具1の保持部2を挿入している。そして、支持部本体26の前記開口28に蓋体30をねじ付けて、開口28側に座金30aを介在させながら蓋体30を支持部本体26に取り付けるとともに、蓋体30によって保持部2を支持部本体26の前記側壁部分(透孔27が位置する壁側)に押し付けて支持していて、作業部3を露出させた状態で針状根管治療具1を、この歯科治療器具12の内部で支えるようにしている。(図6参照)
【0045】
針状根管治療具1の保持部2を内部に配した上記支持部本体26は、後述するように奥行き方向Aに往復移動する。その際、保持部2が支持部本体26の内部で僅かながら奥行き方向Aに振動する可能性がある。しかしながら、保持部2の作業部3側の外周端に上記丸面部2bを有し、この丸面部2bは奥行き方向A(治療具長さ方向)に沿った断面が角丸となる形状であるため、支持部本体26の内部の内周面と丸味を呈する保持部2の丸面部2bとが摺接する。その結果、支持部本体26の内面や保持部2が摩耗することがない。よって、支持部本体26の内部で保持部2はガタ付くことはない。
【0046】
また、上記蓋体30は座金30aを介在させた状態にして支持部本体26にねじ付けられているので、支持部本体26が往復移動している時点の蓋体30の回転が確実に防止さ
れ、蓋体30にて保持部2を支持部本体26の透孔27が位置する側の側壁に確実に押さえ付ける状態を維持できる。
【0047】
図7(b)(c)に示されているように治療具支持部16の上記支持部本体26の外面の一部分に、治療具支持部16の幅方向であって上記奥行き方向A(針状根管治療具1の長手方向)に直交する方向に沿う溝部31を備えている。そして溝部31側に上記連結シャフト17の先端面32が臨んでいて、連結シャフト17が治療具支持部16の奥行き方向Aと直交する方向にして連結されている。
【0048】
(溝部)
上記溝部31は奥行き方向での断面形状が下開きの溝とされ、図7(a)に示されているように奥行き方向Aの一方側に第一側壁33が位置し、奥行き方向Aでの他方側に第二側壁34が位置して、第一側壁33と第二側壁34とを奥行き方向Aで平行に相対するように形成されている。
【0049】
第一側壁33と第二側壁34とを有する溝部31に上記連結シャフト17の先端面32側を連結させ、回転(軸回転)する連結シャフト17の運動を、前記溝部31を利用して治療具支持部16が奥行方き向Aに沿って往復移動する運動に変換させるために、まず、上記第一の通路22自体が治療具支持部16の奥行き方向Aに沿った方向に形成されている。なお、連結シャフト17が治療具支持部16の長さ方向(奥行き方向A)に対して直角の配置とするために、連結シャフト17が収められる鶴首部21の第二の通路23は、第一の通路22に対して直角にして連通している。
【0050】
さらに支持部本体26には、上記溝部31とは反対側の位置にして支持部本体26の径方向での外方に向けて突出した移動規制用突部35が一体に設けられている。そして上記第一の通路22の内壁には、奥行き方向Aに沿ってライン状溝36が形成されており、このライン状溝36に前記移動規制用突部35が位置し、治療具支持部16が往復移動する運動の方向を奥行き方向Aに規制しており、且つ治療具支持部16が軸回転しないように図られている。なお、ライン状溝36の幅と移動規制用突部35の幅とはほぼ同幅であり、移動規制用突部35の幅は、治療具支持部16が軸回転方向でブレを起さない範囲にして、ライン状溝36に沿ってスムーズに移動規制用突部35が移動できる幅とされている。
【0051】
(連結シャフト)
図7(b)に示すように連結シャフト17は治療具支持部16に臨む先端面32に、この先端面32の中心から外周側に偏倚して配置されている突部37を備えている。そして、突部37が上記溝部31に配置されることによって連結シャフト17の先端面32側が治療具支持部16に連結されている。駆動部18の出力シャフト25が回転し、この出力シャフト25側のギアと連結シャフト17側のギアとの噛み合いによって連結シャフト17が回転し、連結シャフト17の回転によって突部37が先端面32の中心周りを旋回するように設けられている。
【0052】
上記突部37は溝部31の第一側壁33及び第二側壁34と摺接可能に接触するものであり、旋回する突部37が支持部本体26の上記透孔27側に向けて回るときには第一側壁33を押圧し、突部37が支持部本体26の開口28側に向けて回るときには第二側壁34を押圧して、突部37が旋回することで治療具支持部16をこの治療具支持部16の奥行き方向Aに沿って往復移動させる。
【0053】
このように連結シャフト17の回転(軸回転)の動きが、治療具支持部16の奥行き方向Aに沿った往復移動の動きに変換されるようにしており、治療具支持部16に支持されている針状根管治療具1は駆動部18からの駆動の下で奥行き方向A、即ちこの針状根管治療具1の長さ方向に沿って作業部3が往復移動するように設けられている。
【0054】
なお、上記突部37にあっては、この突部37が溝部31内に配置されるときに、第一側壁33と第二側壁34との双方に摺接可能に接触するものとされている。このように突部37が第一側壁33と第二側壁34との両側壁に同時に摺接可能に接触することで、ガタ付きなく治療具支持部16を奥行き方向Aに往復移動させる上で有効であり、針状根管治療具1の作業部3を長さ方向にスムーズに往復移動させる上で有効である。
【0055】
歯科治療器具12において針状根管治療具1を交換する場合には、例えば治療具側ハウジング13を把持側ハウジング14から分離し、鶴首部21での第二の通路23から連結シャフト17を抜くようにする。つぎに治療具側ハウジング13での先端側に位置していて治療具支持部16を針状根管治療具1とともに第一の通路22から抜き出す。さらに、治療具支持部16の蓋体30を外して針状根管治療具1を取り出し、この後に新たな針状根管治療具1を前記治療具支持部16に取り付けて、前述の手順の逆にして歯科治療器具12を組み上げるようにすればよい。
【0056】
上述した歯科治療器具12については、保持部2を指で挟み持って根管治療を行なうことができる針状根管治療具1を取り付けたものとしているが、本発明の歯科治療器具12においては、上記治療具支持部16に保持部2を挿入可能とされた針状根管治療具1であれば使用できるものであり、この歯科治療器具12に対して器具への取付専用として形成された針状根管治療具1を用いることも可能である。
【0057】
(本実施の形態のメリット)
従来の針状根管治療具については、上述したように三角柱状や四角柱状の金属材を捩じり込みして刃部を螺旋状にして作業部の長さ方向に亘り形成しており、前記捩じり込みによって保持部側のみにすくい面が存在するものとなっている。そのため、従来の針状根管治療具を指先に挟み持って根管を拡大するなどの処置を行なう場合には、根管の内面などの処置対象部位に作業部を沿わせて刃部の捩じり方向に沿って回し進めるなど、回転操作を伴なわせながら処置を行なわなければならない。即ち、従来の針状根管治療具を回転させずにそのまま根管の先に進めたり、また逆方向に作業部が回るように回転させても歯の内部組織を削ることができず、治療を行なう歯科医の作業時間が長くなっていた。
【0058】
そして、歯の内部組織を削り取るときに針状根管治療具を回転させるが、一方向のみに回転させることから歯状の削り痕が付き易く、この削り痕を整えるための新たな処置が必要となる。また、従来の針状根管治療具の作業部の部分を回転させる力が指先から保持部に適切に伝わるように、保持部にはゴム製や軟質合成樹脂製のグリップが配置されているが、グリップをゴム製や軟質の合成樹脂製の素材からなるものとしているので薬剤による消毒や加熱による消毒が行ない難く、清潔度を高く維持し難い。そのため、細菌に侵された歯の内部の血管や神経組織を取り除く処置を、従来の針状根管治療具を用いながら長い時間をかけて行なってしまうと、細菌による治療具の汚染度合いが高まったり、他の歯への汚染を招く可能性が生じる。
【0059】
一方、本実施の形態での上記針状根管治療具1は作業部3の芯体5に処置部9を設け、この処置部9の治療具長さ方向の往復移動によって歯科治療対象部位に対する処置を行なうようにしたものであるので、治療具の長さ方向に沿った往復移動にて短時間で、例えば歯の内部の組織を削り取るなどの処置を実施することができるようになり、歯科医の労力を軽減させ、また細菌の広がりを抑えることができる。
【0060】
さらに本実施の形態における上記歯科治療器具12では、取り付けられた上記針状根管治療具を、例えば往復移動が毎分5000回となる動作制御の下で動作させるなど、歯科医の指先操作では実施できない動作にて歯に対する処置を行なうことが可能となり、根管治療に要する時間を短縮させることができる。そして、この歯科治療器具12に取り付けられた針状根管治療具1は往復移動するものであるので、例えば処置部が刃板からなるものであれば線状の動きによって処置対象部位を滑らかな面に形成でき、押圧体の押し込み面による押し込みを行なわせるものであれば、処置面を平らに形成したり、消毒剤や治療薬を瞬時に詰め込むことができる。よって、治療具支持部を奥行き方向に沿って往復移動させる歯科治療器具に、長さ方向に沿う往復移動によって根管治療での処置を行なうことができる針状根管治療具を用いることが好適である。
【0061】
さらに根管治療に係る治療時間を従来に比べて短かくできるとともに、歯科医が今まで自身の指先操作で針状根管治療具を回転させるという手技を原因とする腱鞘炎の発生を抑えることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…針状根管治療具
2…保持部
2a…取付穴
2b…丸面部
3…作業部
4…グリップ
5…芯体
6…刃板
7…刃部
9…処置部
10…押し込み面
11…押圧体
12…歯科治療器具
13…治療具側ハウジング
14…把持側ハウジング
15…ケース
16…治療具支持部
17…連結シャフト
18…駆動部
21…鶴首部
22…第一の通路
23…第二の通路
25…出力シャフト
26…支持部本体
29…装着穴
30…蓋体
31…溝部
32…先端面
33…第一側壁
34…第二側壁
35…移動規制用突部
36…ライン状溝
37…突部
A…奥行き方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部(2)とこの保持部(2)に連続する作業部(3)とからなる針状根管治療具(1)において、
作業部(3)の芯体(5)に、治療具長さ方向の往復移動によって歯科治療対象部位に対する処置を行なう処置部(9)が作業部長さ方向に沿って複数にして設けられていて、
前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の外面に芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出ていて、張り出し端縁を刃部(7)とし作業部長さ方向に間隔を置いて配置された刃板(6)であり、
前記刃板(6)の芯体径方向への張り出し寸法を作業部(3)の先端に向けて進むに従って小さくしていることを特徴とする針状根管治療具。
【請求項2】
刃板(6)での針状根管治療器具長さ方向で相対する面それぞれがすくい面(8)である請求項1に記載の針状根管治療具。
【請求項3】
刃板(6)は、
作業部長さ方向に亘って芯体(5)の周囲を廻る螺旋状の配置にして設けられ、
または、芯体(5)の周囲を廻る環状の配置であって、この環状の刃板(6)が作業部長さ方向に多段の配置にして設けられている
請求項1または2に記載の針状根管治療具。
【請求項4】
請求項1からの何れか一項に記載の針状根管治療具(1)と、前記針状根管治療具(1)の長さ方向を奥行き方向(A)とする装着穴(29)を有していて、この装着穴(29)に針状根管治療具(1)の保持部(2)が挿入されて針状根管治療具(1)を支持し、かつ針状根管治療具(1)の前記作業部(3)が露出する治療具支持部(16)と、先端面(32)を前記治療具支持部(16)側に臨ませて、前記治療具支持部(16)と連結する連結シャフト(17)と、前記連結シャフト(17)を回転させる駆動部(18)とを備え、
前記治療具支持部(16)は、前記連結シャフト(17)と相対する所定位置にこの治療具支持部(16)の幅方向に形成された溝部(31)を備え、
前記溝部(31)は、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)の一方側に形成された第一側壁(33)と、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)での他方側に形成された第二側壁(34)とを備え、
前記連結シャフト(17)は、前記先端面(32)の中心から偏倚して配置される突部(37)を備え、
前記治療具支持部(16)に連結された連結シャフト(17)の前記突部(37)が、前記溝部(31)に配置されていて、
前記連結シャフト(17)が、前記駆動部(18)の動作で回転して、この連結シャフト(17)の回転によって前記先端面(32)の中心周りを旋回する突部(37)が、前記溝部(31)の前記第一側壁(33)及び前記第二側壁(34)と接触してこれらを押圧し、治療具支持部(16)をこの治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って往復移動させることを特徴とする歯科治療器具。
【請求項5】
前記突部(37)は、前記溝部(31)内に配置される際、前記第一側壁(33)と前記第二側壁(34)との双方に摺接可能に接触する請求項に記載の歯科治療器具。
【請求項6】
前記治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って形成される第一の通路(22)と、前記奥行き方向(A)に交差する方向に沿って形成されて前記第一の通路(22)に連通する第二の通路(23)とを備えるハウジング(13)を更に備え、
前記治療具支持部(16)は、前記第一の通路(22)内に配置され、
前記連結シャフト(17)は、前記第二の通路(23)内に配置され、
前記第一の通路(22)の内壁に、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿うライン状溝(36)が形成され、
前記治療具支持部(16)は、前記ライン状溝(36)と相対する所定位置に、前記ライン状溝(36)と略同幅で、前記治療具支持部(16)が往復移動する方向を前記奥行き方向(A)に規制する移動規制用突部(35)を備えている請求項又はに記載の歯科治療器具。
【請求項7】
前記治療具支持部(16)は座金(30a)を介してねじ付ける蓋体(30)を有していて、前記蓋体(30)が、治療具支持部(16)に挿入された針状根管治療具(1)の前記保持部(2)を支持する請求項からの何れか一項に記載の歯科治療器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、保持部(2)とこの保持部(2)に連続する作業部(3)とからなる針状根管治療具(1)において、
作業部(3)の芯体(5)に、治療具長さ方向の往復移動によって歯科治療対象部位に対する処置を行なう処置部(9)が作業部長さ方向に沿って複数にして設けられていて、
前記処置部(9)は、作業部(3)の芯体(5)の外面に芯体(5)の径方向の外方に向けて張り出ていて、張り出し端縁を刃部(7)とし作業部長さ方向に間隔を置いて配置された刃板(6)であり、
前記刃板(6)の芯体径方向への張り出し寸法を作業部(3)の先端に向けて進むに従って小さくしていることを特徴とする針状根管治療具を提供して、上記課題を解消するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
(請求項2の発明)
そして、請求項1の発明において、刃板(6)での針状根管治療器具長さ方向で相対する面それぞれがすくい面(8)であることが可能である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
(請求項3の発明)
また、請求項1または2の発明において、刃板(6)は、
作業部長さ方向に亘って芯体(5)の周囲を廻る螺旋状の配置にして設けられ、
または、芯体(5)の周囲を廻る環状の配置であって、この環状の刃板(6)が作業部長さ方向に多段の配置にして設けられていることが可能である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
(請求項4の発明)
また、もう一つの発明は、請求項1から3の何れか一項に記載の針状根管治療具(1)と、前記針状根管治療具(1)の長さ方向を奥行き方向(A)とする装着穴(29)を有していて、この装着穴(29)に針状根管治療具(1)の保持部(2)が挿入されて針状根管治療具(1)を支持し、かつ針状根管治療具(1)の前記作業部(3)が露出する治療具支持部(16)と、先端面(32)を前記治療具支持部(16)側に臨ませて、前記治療具支持部(16)と連結する連結シャフト(17)と、前記連結シャフト(17)を回転させる駆動部(18)とを備え、
前記治療具支持部(16)は、前記連結シャフト(17)と相対する所定位置にこの治療具支持部(16)の幅方向に形成された溝部(31)を備え、
前記溝部(31)は、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)の一方側に形成された第一側壁(33)と、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)での他方側に形成された第二側壁(34)とを備え、
前記連結シャフト(17)は、前記先端面(32)の中心から偏倚して配置される突部(37)を備え、
前記治療具支持部(16)に連結された連結シャフト(17)の前記突部(37)が、前記溝部(31)に配置されていて、
前記連結シャフト(17)が、前記駆動部(18)の動作で回転して、この連結シャフト(17)の回転によって前記先端面(32)の中心周りを旋回する突部(37)が、前記溝部(31)の前記第一側壁(33)及び前記第二側壁(34)と接触してこれらを押圧し、治療具支持部(16)をこの治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って往復移動させることを特徴とする歯科治療器具であり、この歯科治療器具を提供して、上記課題を解消するものである
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
(請求項5の発明)
そして請求項4の発明において、前記突部(37)は、前記溝部(31)内に配置される際、前記第一側壁(33)と前記第二側壁(34)との双方に摺接可能に接触することが良好である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
(請求項6の発明)
また、請求項4または5の発明において、前記治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿って形成される第一の通路(22)と、前記奥行き方向(A)に交差する方向に沿って形成されて前記第一の通路(22)に連通する第二の通路(23)とを備えるハウジング(13)を更に備え、
前記治療具支持部(16)は、前記第一の通路(22)内に配置され、
前記連結シャフト(17)は、前記第二の通路(23)内に配置され、
前記第一の通路(22)の内壁に、治療具支持部(16)の前記奥行き方向(A)に沿うライン状溝(36)が形成され、
前記治療具支持部(16)は、前記ライン状溝(36)と相対する所定位置に、前記ライン状溝(36)と略同幅で、前記治療具支持部(16)が往復移動する方向を前記奥行き方向(A)に規制する移動規制用突部(35)を備えているものとすることが良好である
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
(請求項7の発明)
また、請求項4から6の何れか一項の発明において、前記治療具支持部(16)は座金(30a)を介してねじ付ける蓋体(30)を有していて、前記蓋体(30)が、治療具支持部(16)に挿入された針状根管治療具(1)の前記保持部(2)を支持することが良好である。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
(刃板の配置の他例)
上記実施の形態では刃板6を螺旋状の配置としたが、本発明の針状根管治療具はこの例に限定されるものではない。図2は他の例をしていて、この図2に示す針状根管治療具1では、作業部3の刃板6(処置部9)を芯体5の周囲を廻る環状の配置にし、環状の刃板6が作業部3の長さ方向に間隔を置いて多段にして設けられている。そして、上記例と同様に複数の刃板6の径方向への張り出し寸法は作業部3の先端に進むに従って徐々に小さく、保持部2側となる刃板6の張り出し端縁の位置と先端側の刃板6の張り出し端縁の位置とを結んだ線が直線とされて、側方から見たときに作業部3の側面視形状が鋭く細長い三角形状とされているものである。