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▶ ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173460
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】安全通気孔付きのコネクタキャップ
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/05 20060101AFI20221111BHJP
   A61M 39/20 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
A61J1/05 315Z
A61M39/20
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156323
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019571034の分割
【原出願日】2018-06-21
(31)【優先権主張番号】62/523,506
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーン コイル
(57)【要約】
【課題】無針コネクタキャップが、たとえばキャップが患者の喉と完全に同心である位置で誤って詰まり得る。
【解決手段】キャップ周りに空気が通ることを可能にする1つまたは複数の通気孔を備える。キャップ外部を構成する構造要素の構成は、遮断されないままであり基部からキャップの上部側へ延び、キャップを空気が通過することを可能にする1つまたは複数の通気孔を形成するキャップ内の1つまたは複数の開口またはチャネルを提供することができる。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の上部壁、
本質的に円筒形の第1の側壁、および
無針コネクタのハブを受け取るための内側ハウジング内の内側空洞への開口を有する前記第1の側壁によって形成された開いた底部を備える前記内側ハウジングと、
前記第1の側壁を本質的に囲むように構成された本質的に円筒形の第2の側壁を備える外側ハウジングと、
前記第1の側壁を前記第2の側壁に接続し、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に延びる開いた空間を形成し、前記開いた空間を介して前記外側ハウジングと前記内側ハウジングとの間を空気が通ることを可能にする支持構造と
を備えるキャップ。
【請求項2】
前記内側ハウジング、前記外側ハウジング、および前記支持構造が一体形成される請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記支持構造は、前記第1の側壁の外側表面と前記第2の側壁の内側表面との間に少なくとも1つの突起を備える請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの突起は、前記第1の側壁の前記外側表面および前記第2の側壁の前記内側表面に対して本質的に直交する第1の垂直表面を備え、
前記突起は、前記第1の側壁によって形成された前記底部から前記第1の上部壁へ延びる請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記第1の側壁によって形成された前記開いた底部のリムの表面に取り付けられたとき前記内側空洞への前記開口を密封する剥離密封フィルムをさらに備える請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記剥離密封フィルムは、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に延びる前記開いた空間を覆うことも遮断することもない請求項5に記載のキャップ。
【請求項7】
前記第1の上部壁の上方で構成された第3の上部壁であって、前記第3の上部壁を通って延び、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間に延びる前記開いた空間を通過する前記空気が外側ロックハウジングを通過することを可能にする少なくとも1つの開口を備える第3の上部壁、および
前記第2の側壁を本質的に囲むように構成された本質的に円筒形の第3の側壁
を備える前記外側ロックハウジングと、
前記第1の上部壁の外側表面上に構成された第1の部分、および
前記第3の上部壁の内側表面上に構成された第2の部分
を備える安全インターフェースとをさらに備え、
前記安全インターフェースは、前記第1の上部壁および前記第3の上部壁が互いに向かって付勢され前記第1の部分と前記第2の部分が係合するとき、前記外側ロックハウジングの回転運動を、同じ回転方向で前記内側ハウジングおよび前記外側ハウジングの回転運動に伝達する請求項1に記載のキャップ。
【請求項8】
前記安全インターフェースの前記第1の部分は、少なくとも1つの第1の突起を備え、
前記安全インターフェースの前記第2の部分は、少なくとも1つの第2の突起を備える請求項7に記載のキャップ。
【請求項9】
前記第1の突起は、前記第1の上部壁の前記外側表面に対して本質的に直交する第1の垂直表面と、前記第1の上部壁の前記外側表面に対して鋭角にある第1の傾斜表面とを備え、
前記第2の突起は、前記第2の上部壁の前記内側表面に対して本質的に直交する第2の垂直表面と、前記第2の上部壁の前記内側表面に対して鋭角にある第2の傾斜表面とを備える請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
前記外側ハウジングおよび前記内側ハウジングの少なくとも1つは、第1の保持機構を備え、
前記外側ロックハウジングは、第2の保持機構を備え、
前記第1の保持機構および前記第2の保持機構は、前記安全インターフェースの前記第1の部分と前記安全インターフェースの前記第2の部分が係合されていないとき、前記外側ロックハウジングを前記内側ハウジングおよび前記外側ハウジングに対して固定し、前記内側ハウジングおよび前記外側ハウジングに対する前記外側ロックハウジングの回転運動を可能にするように係合されるように構成される請求項7に記載のキャップ。
【請求項11】
前記第1の保持機構は、前記外側ハウジングの前記第2の側壁の外側表面上に突起を備え、
前記第2の保持機構は、前記外側ロックハウジングの前記第3の側壁の内側表面内に凹部を備え、
前記突起および前記凹部は、前記外側ロックハウジングを前記外側ハウジング上で固定するように係合するように構成される請求項10に記載のキャップ。
【請求項12】
前記第1の保持機構は、前記内側ハウジングの前記第1の上部壁の外側表面上に第1の係止突起を備え、
前記第2の保持機構は、前記外側ロックハウジングの前記第3の上部壁の内側表面上に第2の係止突起を備え、
前記第1の係止突起および前記第2の係止突起は、前記外側ロックハウジングを前記内側ハウジングおよび前記外側ハウジングに対して固定するように係止するように構成される請求項10に記載のキャップ。
【請求項13】
前記内側空洞内に構成された消毒スポンジと、
前記キャップの使用前に前記スポンジを前記内側空洞内に密封するように前記内側空洞への前記開口を密封する取外し可能なカバーとをさらに備える請求項1に記載のキャップ。
【請求項14】
前記キャップは、キャップねじ山を備え、
前記キャップねじ山は、前記無針コネクタの前記かみ合い機構に対応していない請求項1に記載のキャップ。
【請求項15】
前記キャップねじ山の大径、小径、ピッチ、ねじ山断面プロファイル、およびねじ山の数のうちの少なくとも1つは、前記ハブの前記かみ合い機構に対応しない請求項14に記載のキャップ。
【請求項16】
前記側壁の内側側壁表面上の少なくとも1つのキャップねじ山は、前記無針コネクタの前記かみ合い機構とのインターロックを容易にするように、前記キャップねじ山の少なくとも一部分に形成された突起を備える請求項14に記載のキャップ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのキャップねじ山の少なくとも一部分は、前記無針コネクタの前記かみ合い機構に係合しない非係合部分を備える請求項14に記載のキャップ。
【請求項18】
前記キャップねじ山は、
前記無針コネクタの前記かみ合い機構との前記インターロックを容易にするように、前記キャップねじ山の少なくとも一部分に形成された少なくとも1つのインターロック部分と、
前記無針コネクタの前記かみ合い機構に係合しない少なくとも1つの非係合部分とを備える請求項14に記載のキャップ。
【請求項19】
前記キャップねじ山は、
大プロファイル、小プロファイル、ピッチ、および第1のねじ山断面プロファイルを有する第1の開始ねじ山経路と、
大プロファイル、小プロファイル、ピッチ、および第2のねじ山断面プロファイルを有する少なくとも第2の開始ねじ山経路とを備え、
前記第1のねじ山断面プロファイルおよび前記第2のねじ山断面プロファイルが異なっている請求項14に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例示的な実施形態としての医療消毒キャップを含む医療キャップの分野に関し、詳細には、IV無針コネクタと共に使用するためのキャップおよび/または消毒キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本願は、その内容(それと共に出願されたすべての添付書面を含む)が全体として参照により本明細書に組み込まれる2017年6月22日に出願された米国特許仮出願第62/523,506号明細書からの35米国特許法第119条(e)項に基づく優先権を主張する。
【0003】
発展した市場では、IVカテーテルを使用するとき、典型的には、システムを閉じるために無針コネクタが使用され、次いでその後、カテーテルを介して患者にアクセスし、医薬品または他の必要な流体を投与することになる。使用されていない間、無針コネクタをしばらくの間閉じるための様々な従来のキャップが知られている。カテーテル関連の血流感染(CRBSI)事例を低減するために、消毒キャップが特許文献1として発行された特許文献2に最初に開示され(その両方の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)市場に導入されている。特許文献1に開示されているものなど消毒キャップが本明細書における図1および図2に示されており、キャップ1は消毒パッド2および蓋3を含み、キャップ4は、消毒パッド5および蓋7と、その内周8上に無針コネクタハブとインターロックするためのねじ山6とを含む。一方、他の従来のキャップは、同様の機構を有するが、消毒パッドがないことがある。消毒キャップは、米国医療疫学学会(SHEA)ガイドラインに追加されており、近いうちにキャップもまた2016年輸液看護師基準(INS)ガイドラインに組み込まれることになりそうである。
【0004】
消毒キャップのためのさらに改善された設計が、共に2017年1月17日に出願された関連の米国特許出願第15/408,278号明細書および米国特許出願第15/408,187号明細書(その両方の開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0005】
これらの製品は小児患者でますます使用されているので、今日市場にある消毒機構を有する、または有していないいくつかの従来のキャップは、たとえばそれらの比較的小さなサイズおよび無針コネクタからの外れやすさにより、小児患者の気道内で詰まる可能性がある。この種のインシデントは、シンシナティ大学による非特許文献1に記載の最近の研究において詳述されている。
【0006】
子供が不注意でキャップを無針コネクタから外すのを防止するためにキャップをロックすることによって子供の安全に対処するための手法が、2018年4月19日に出願された関連の米国特許出願第15/957208号明細書(その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0007】
しかし、今日市場にある多数の現在のキャップ設計は、キャップが患者の気道内で詰まった場合キャップ周りに空気が通ることを可能にする機構を有していない。キャップが無針コネクタから外れ、または無針コネクタに取り付けられておらず、患者の喉内で詰まった場合、いくつかのそのような現在のキャップ設計は、気管を完全に密封し、患者が呼吸するのを妨げる可能性がある。すなわち、今日市場にある無針コネクタキャップの多数の設計は、空気が気管を容易に流通するのを可能にし得ず、看護師がキャップを患者の喉から外さなければならない時間を徹底的に低減し得ない。
【0008】
したがって、キャップが無針コネクタから外された、または無針コネクタに取り付けられていないとき、子供の安全、および任意の年齢の患者の安全もまた対処されることを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8,740,864号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/011233号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“The Disinfection Cap as Esophageal Foreign Body,” Tawfik et al. 2015
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この説明で例示される主題は、本発明の例示的な実施形態を包括的に理解する助けとなるように提供されている。したがって、当業者なら、本明細書に記載の実施形態の様々な変更および修正が、本発明の範囲および精神から逸脱することなしになされ得ることを理解するであろう。また、周知の機能および構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略される。
【0012】
当業者には容易に理解されるように、本明細書を通して理解を容易にするために、「ロック」「穴」「先端(tip)」「ハブ」「ねじ山(thread)」「スポンジ」「突起」「傾斜」「壁」「上部(top)」「側」「リブ」など説明用語が、理解を容易にするために本明細書を通して使用されるが、本発明の実施形態の様々な態様を実施するために組合せで、または個々に使用することができるいかなる構成要素をも限定することは意図されていない。
【0013】
本発明の例示的な実施形態は、幼児または子供の(または任意の年齢の患者の)喉内で詰まることがあるキャップによって気道が遮断されるリスクを低減することができる無針コネクタキャップを提供する。本発明の実施形態の例示的な実装では、無針コネクタキャップは、キャップが患者の喉と完全に同心である場合でさえキャップ周りに空気が通ることを可能にする1つまたは複数の通気孔(vent)を含む。
【0014】
本発明の実施形態の例示的な実装によれば、キャップ外部を構成する構造要素の構成は、キャップの基部から上部側に延び、患者の喉内でキャップが気管と完全に同心である場合でさえキャップを空気が通過することを可能にする1つまたは複数の通気孔を形成するキャップ内の1つまたは複数の開口を含む。たとえば、外部通気孔は、キャップの外部を取り囲むように構成することができる。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる例示的な実装によれば、キャップの内壁周りの1つまたは複数の開口を、外部壁を介して保護することができ、外部壁は、開口が気管に接触しないように保つ、ならびに/または開口が周囲組織によって閉塞されないように、および/もしくは密封されないように保つことができる。
【0016】
本発明の実施形態の例示的な実装によれば、キャップが、内側ハウジングを備え、内側ハウジングは、第1の上部壁と、本質的に円筒形の第1の側壁と、無針コネクタのハブを受け取るための内側ハウジング内の内側空洞への開口を有する第1の側壁によって形成された開いた底部とを備える。外側ハウジングは、前記第1の側壁を本質的に囲むように構成された本質的に円筒形の第2の側壁を備える。支持構造は、第1の側壁を第2の側壁に接続し、内側ハウジングと外側ハウジングとの間に延びる開いた空間を形成し、前記開いた空間を介して外側ハウジングと前記ハウジングとの間を空気が通ることを可能にする。
【0017】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかの例示的な実装によれば、キャップロック機構を構成する構造要素の構成は、最適化することも変えることもでき、たとえば、内側ハウジング、外側ハウジング、および支持構造を一体形成することができる。
【0018】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、支持構造は、第1の側壁の外側表面と第2の側壁の内側表面との間に少なくとも1つの突起を備えることができる。
【0019】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、少なくとも1つの突起は、第1の側壁の外側表面および第2の側壁の内側表面に対して本質的に直交する第1の垂直表面を備えることができる。突起は、第1の側壁によって形成された底部から第1の上部壁へ延びることができる。
【0020】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップは、第1の側壁によって形成された開いた底部のリムの表面に取り付けられたとき内側空洞への開口を密封する剥離密封フィルムを備えることができる。
【0021】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、剥離密封フィルムは、内側ハウジングと外側ハウジングとの間に延びる開いた空間を覆うことも遮断することもない。
【0022】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップは、外側ロックハウジングを有することができ、外側ロックハウジングは、第1の上部壁の上方で構成された第3の上部壁であって、第3の上部壁を通って延び、内側ハウジングと外側ハウジングとの間に延びる開いた空間を通過する空気が外側ロックハウジングを通過することを可能にする少なくとも1つの開口を備える第3の上部壁と、第2の側壁を本質的に囲むように構成された本質的に円筒形の第3の側壁とを備える。キャップは、第1の上部壁の外側表面上に構成された第1の部分と、第3の上部壁の内側表面上に構成された第2の部分とを備える安全インターフェースをさらに有し、安全インターフェースは、第1の上部壁および第3の上部壁が互いに向かって付勢され第1の部分と第2の部分が係合するとき、外側ロックハウジングの回転運動を、同じ回転方向で内側ハウジングおよび外側ハウジングの回転運動に伝達する。
【0023】
任意選択で、安全インターフェースを有する開示されている実施形態のさらなる例示的な実装によれば、安全インターフェースの第1の部分は、少なくとも1つの第1の突起を備え、安全インターフェースの第2の部分は、少なくとも1つの第2の突起を備える。任意選択で、前記第1の突起は、前記第1の上部壁の前記外側表面に対して本質的に直交する第1の垂直表面と、前記第1の上部壁の前記外側表面に対して鋭角にある第1の傾斜表面とを備え、第2の突起は、第2の上部壁の内側表面に対して本質的に直交する第2の垂直表面と、第2の上部壁の内側表面に対して鋭角にある第2の傾斜表面とを備える。
【0024】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、外側ハウジングおよび内側ハウジングの少なくとも1つは、第1の保持機構を備え、外側ロックハウジングは、第3の保持機構を備え、第1の保持機構および第2の保持機構は、安全インターフェースの第1の部分と安全インターフェースの第2の部分が係合されていないとき、外側ロックハウジングを内側ハウジングおよび外側ハウジングに対して固定し、内側ハウジングおよび外側ハウジングに対する外側ロックハウジングの回転運動を可能にするように係合されるように構成される。任意選択で、第1の保持機構は、外側ハウジングの第2の側壁の外側表面上に突起を備え、第2の保持機構は、外側ロックハウジングの第3の側壁の内側表面内に凹部を備え、突起および凹部は、外側ロックハウジングを外側ハウジング上で固定するように係合するように構成される。任意選択で、第1の保持機構は、前記内側ハウジングの第1の上部壁の外側表面上に第1の係止突起を備え、第2の保持機構は、外側ロックハウジングの第3の上部壁の内側表面上に第2の係止突起を備え、第1の係止突起および第2の係止突起は、外側ロックハウジングを内側ハウジングおよび外側ハウジングに対して固定するように係止するように構成される。
【0025】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップの内側空洞内に構成された消毒スポンジ、および取外し可能なカバーが、キャップの使用前にスポンジを内側空洞内に密封するように内側空洞への開口を密封する。
【0026】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップねじ山は、無針コネクタのかみ合い機構に対応しない。任意選択で、前記キャップねじ山の大径、小径、ピッチ、ねじ山断面プロファイル、およびねじ山の数のうちの少なくとも1つは、前記ハブの前記かみ合い機構に対応しない。任意選択で、側壁の内側側壁表面上の少なくとも1つのキャップねじ山は、無針コネクタのかみ合い機構とのインターロックを容易にするように、キャップねじ山の少なくとも一部分に形成された突起を備える。任意選択で、少なくとも1つのキャップねじ山の少なくとも一部分は、前記無針コネクタのかみ合い機構に係合しない非係合部分を備える。
【0027】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップは、無針コネクタのかみ合い機構とのインターロックを容易にするように、キャップねじ山の少なくとも一部分に形成された少なくとも1つのインターロック部分と、無針コネクタのかみ合い機構に係合しない少なくとも1つの非係合部分とを有するねじ山を含む。
【0028】
任意選択で、開示されている実施形態のいずれかのさらなる例示的な実装によれば、キャップは、第1の開始ねじ山経路が大プロファイル、小プロファイル、ピッチ、および第1のねじ山断面プロファイルを有するような第1の開始ねじ山経路と、第2の開始ねじ山経路が大プロファイル、小プロファイル、ピッチ、および第2のねじ山断面プロファイルを有するような少なくとも第2の開始ねじ山経路とを有し、第1のねじ山断面プロファイルおよび第2のねじ山断面プロファイルが異なっているねじ山を含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、同様の符号がいくつかの図を通して同様の、または対応する部分を指定する図面を参照して、本発明の実施形態が以下のように示されている。
【0030】
図1】無針コネクタ用の従来のキャップの断面図である。
図2】無針コネクタ用の従来のキャップの断面図である。
図3A】本開示の例示的な実施形態によるキャップの立体図である。
図3B】本開示の例示的な実施形態によるキャップの断面を含む等角側面図である。
図3C】本開示の例示的な実施形態によるキャップの断面図である。
図3D】本開示の例示的な実施形態によるキャップの上面図である。
図4A】無針コネクタなど医療実装物上に配置された本開示の別の例示的な実施形態によるキャップの立体側面図である。
図4B】無針コネクタなど医療実装物上の本開示の例示的な実施形態によるキャップの断面図である。
図5A】本開示の実施形態の別の例示的な実装によるキャップの断面図である。
図5B】本開示の実施形態の別の例示的な実装によるキャップの上面図である。
図6A】本開示の実施形態の別の例示的な実装によるキャップの断面図である。
図6B】本開示の実施形態の別の例示的な実装によるキャップの断面図である。
図7】本開示の実施形態の別の例示的な実装によるキャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この説明で例示される主題は、添付の図面の図を参照して例示的な実施形態を包括的に理解する助けとなるように提供されている。したがって、当業者なら、本明細書に記載の例示的な実施形態の様々な変更および修正が、添付の特許請求の範囲内で、それらの完全な範囲および均等物から逸脱することなしになされ得ることを理解するであろう。また、周知の機能および構造の説明は、わかりやすく簡潔にするために省略される。同様に、本開示の文脈において使用されるいくつかの命名規則、ラベル、および用語は、限定的なものではなく、例示的な実施形態の例示的な実装の理解を容易にするための例示的な目的で提供されているにすぎない。
【0032】
本発明の例示的な実施形態による3D図、等角側面図、断面図または側面図、および上面図をそれぞれ示す図3A図3Dに示されているように、通気孔機構を有する子供安全キャップ10は、側壁26を含む外側ハウジング20と、上部壁32、および内側空洞38内への開口37を有する側壁36を含む内側ハウジング30とを備える。内側ハウジング30は、側壁26が側壁36を本質的に囲み、上部壁32が本質的に露出されたままであるように外側ハウジング20内に配置される。本発明の実施形態の例示的な実装では、外側ハウジング20は、内側ハウジング30に支持構造40によって接続され得、外側ハウジング20と内側ハウジング30との間に、キャップ10が患者の喉内で気管と完全に同心である場合でさえ空気1000が内側ハウジング30周り、外側ハウジング20と内側ハウジング30との間、またはキャップ10を通過して通ることを可能にする開いた空間50を形成する。
【0033】
例示的な実装では、外側ハウジング20、内側ハウジング30、および支持構造40は、一体形成され得る。図3A図3Dは、開いた空間50が通気孔51を含むように、本質的にキャップ10の上部11から基部12へ、および内側側壁36の外側表面39と外側側壁26の内側表面29との間に延びる本質的に直線的な突起またはリブ41を備える例示的な実装支持構造40を示す。しかし、支持構造40の他の実装が本発明の実施形態の範囲内にある。支持構造40のそのような他の例示的な実装は、得られる支持構造40が開いた空間50を気管に接触しないように保つ、ならびに/または開いた空間50を周囲組織によって閉塞および/もしくは密封されないように保つことができる限り、任意の数の形状および形態をとることができる。支持構造40の他の実装の非限定的な例は、複数の非直線的リブもしくは単一の螺旋ねじ山のようなリブ、または任意の形状の複数のスペーサを含み、それらは、側壁36の外側表面39と外側側壁26の内側表面29との間のどこに配置されてもよく、それらに接続されてもよい。そのような他の支持構造もまた、側壁36および側壁26の少なくとも1つと一体形成されてよい。
【0034】
図3Cにさらに示されているように、本発明の例示的な実施形態によれば、剥離密封フィルム90は、側壁36の開いた底部のリムの表面33によって構築され得る密封表面に取り付けられたとき開口37を密封する。例示的な実装では、剥離密封フィルム90は、たとえば側壁36のリムを越えて延びないことによってなど、開いた空間50を覆うことも遮断することもなく、その結果、外側ハウジング20と内側ハウジング30との間の開いた空間50が、キャップ10が患者の喉内の気管と完全に同心であるときそれが依然として剥離密封フィルム90に取り付けられている場合でさえ、内側ハウジング30周り、外側ハウジング20と内側ハウジング30との間、またはキャップ10を通過して空気が通ることを可能にする。
【0035】
コネクタ9に取り付けられたときのキャップ10の側面図および等角側面図をそれぞれ示す図4Aおよび図4Bの例に示されているように、内側ハウジング30の空洞38は、たとえば共に2017年1月17日に出願された関連の米国特許出願第15/408,278号明細書および米国特許出願第15/408,187号明細書に記載されているように、無針コネクタ9の先端91を受け取り、たとえば無針コネクタ9のハブまたは先端91のかみ合い機構93(ねじ山または突起など)とインターロックする、空洞38内のねじ山機構(たとえば、図1および図2、ならびに下記により詳細に記載されている図6A図6B、および図7参照)を有することによって、無針コネクタ9の先端を空洞38内で固定する。
【0036】
本発明の実施形態の例示的な実装における、断面図および上面図をそれぞれ示す図5Aおよび図5Bを参照すると、キャップ500は、たとえば2017年4月21日に出願された関連の米国特許仮出願第62/488,266号明細書に記載されているロック機構を、キャップ10の通気孔機構と共に含むことができる。たとえば、キャップ500は、側壁526および上部壁522を含む外側ロックハウジング520を備え、側壁526は、側壁26を本質的に囲み、上部壁522は、上部壁32を本質的に覆うようになっている。安全インターフェース100は、第1の傾斜表面74および第1の垂直表面76を有する1つまたは複数の歯など1つまたは複数の突起72を備えるラチェット機構として内側ハウジング30の上部壁32の外側表面34上に構成され得る第1の部分70と、第2の傾斜表面84および第2の垂直表面86を有する1つまたは複数の歯など1つまたは複数の突起82を備えるラチェット機構として外側ロックハウジング520の上部522の内側表面524上に構成され得る第2の部分80とを備える。第1の垂直表面76は、外側表面34に対して本質的に直交することができ、第1の傾斜表面74は、外側表面34に対して鋭角にあることができる。一方、第2の垂直表面86は、内側表面524に対して本質的に直交することができ、第2の傾斜表面84は、内側表面524に対して鋭角にあることができる。
【0037】
安全インターフェース100は、突起72および突起82が十分に接触することができるように外側表面34が内側表面524に十分に近づかない限り、第1の部分70および第2の部分80が係合しないように構成される。
【0038】
図5Aの例に詳細に示されている本発明の実施形態のさらなる例示的な実装によれば、外側ロックハウジング520を外側側壁26に対して固定するための保持インターフェースを、たとえば以下のように実装することができる。外側側壁26の外側表面29は、突起(またはスカートまたはフランジ)110など外側ロックハウジング保持機構を含むことができ、外側ロックハウジング520の側壁526の内側表面は、凹部120など外側ロックハウジング保持機構を含むことができる。たとえば2017年4月21日に出願された米国特許仮出願第62/488,266号明細書の図5および図6に示されているように、突起110および凹部120は、それぞれの、突起110の第1の接触表面112および凹部120の第2の接触表面122にて係合するように構成され、その結果、外側ロックハウジング520は、外側側壁26上で固定され、一方、外側側壁26に対する外側ロックハウジング520の回転運動を可能にする。
【0039】
保持インターフェースは、外側ロックハウジング520を、外側側壁26および上部壁32に対して固定し、一方、内側表面524に対する外側表面34の十分な軸方向運動を可能にし、その結果、一方では、外側ロックハウジング520が外側側壁26および上部壁32に対して回転されたとき突起72および突起82が必ずしも互いに接触せず、他方では、突起72および突起82が互いに十分に接触し、外側ロックハウジング520の回転運動を内側ハウジング30および外側ハウジング20へ伝達する。
【0040】
外側ロックハウジング520の上面図によって図5Bにさらに示されているように、上部壁522は、外側ロックハウジング520を空気が通過することを可能にする開口550を含む。図5Bは、開いた空間50の通気孔51(図3D参照)に本質的に対応する6つの開口を示すが、開口550が構造完全性およびロック機構の機能と干渉せず、キャップ500が患者の喉内で気管と完全に同心である場合でさえ開口550が開いた空間50と共に、内側側壁36周り、外側側壁26と内側側壁36との間、上部壁522を通過して、またはキャップ500を通過して空気が通ることを可能にする限り、任意の数および形状の開口550が本発明の実施形態の範囲内にある。
【0041】
本発明の実施形態の例示的な実装によれば、図3A図3Dを参照して上に記載されている安全機構を有するキャップ10のハウジングは、共に2017年1月17日に出願された出願人の同時係属米国出願の米国特許出願第15/408,278号明細書および米国特許出願第15/408,187号明細書に記載の様々な機構および設計を有する消毒キャップのすべてと共に、そこに開示されている消毒キャップのハウジングを図6Aおよび図6Bの例示的な例に示されているように修正することによって実装され得る。
【0042】
図6Aを参照すると、クロスねじ山消毒キャップ300がハウジング302を有し、ハウジング302は、閉じた上部322と、外側側壁表面320を有する本質的に円筒形の側壁304と、無針コネクタの先端を受け取るためのハウジング302内の内側空洞328への開口326を有する開いた底部324とを備える。ハウジング302の側壁304によって形成された底部324は平坦でなく、その結果、平坦な表面310とキャップ300の底部324との間に空間370が存在する。内側空洞328は、アルコールを染み込ませた消毒スポンジ380を収容することができ、側壁304の内側側壁表面330上にねじ山340を有する。キャップ300のねじ山340の直径(大径345および/または小径346)は、無針コネクタのねじ山に対応しなくてもよい。
【0043】
図7Bを参照すると、本発明の例示的な実施形態によるキャップ600は、キャップ300の機構のすべてを含むが、ハウジング302の側壁304は、図3A図3Dの例に示されているように修正されており、上部壁32を有する内側側壁36と、上部壁32が本質的に露出されたままであるように側壁36を本質的に囲む外側側壁26と、外側側壁26と内側側壁36との間に開いた空間50を形成し、キャップ600が患者の喉内で気管と完全に同心である場合でさえ内側側壁36周り、外側側壁26と内側側壁36との間、またはキャップ600を通過して空気が通ることを可能にする支持構造40(図3Aおよび図3B参照)とを含む。
【0044】
本発明の実施形態のさらなる例示的な実装によれば、本明細書に記載の通気孔機構およびたとえば2017年4月21日に出願された出願人の関連の米国特許仮出願第62/488,266号明細書に記載の任意のロック機構を含む図3A図3D図5A、および図5Bを参照して上述した安全機構を有するハウジングキャップ500は、共に2017年1月17日に出願された出願人の同時係属米国出願の米国特許出願第15/408,278号明細書および米国特許出願第15/408,187号明細書に記載の様々な機構および設計を有する消毒キャップのすべてにおいて、そこに開示されている消毒キャップのハウジングを図7の例示的な例に示されているようにさらに修正することによって実装され得る。
【0045】
図7を参照すると、本発明の例示的な実施形態によるキャップ700は、図5Aおよび図5Bの例に示されているようにさらに修正されたキャップ600の機構のすべてを含み、外側ロックハウジング520と、上部壁32の外側表面上に構成された第1の部分70および上部壁522の内側表面上に構成された第2の部分80を備える安全インターフェース100と、図6Bを参照して上述した突起110および凹部120と協働することによって実装される外側側壁26に対して外側ロックハウジング520を固定するための保持インターフェースとを含む。外側ロックハウジング520は、その上部壁522内に、外側側壁26と内側側壁36との間の開いた空間50と協働し、キャップ700が患者の喉内で気管と完全に同心である場合でさえ内側側壁36周り、外側側壁26と内側側壁36との間、開口550を通過して、またはキャップ700を通過して空気が通ることを可能にする開口550を含む。
【0046】
本発明について、そのいくつかの例示的な実施形態を参照して示し記載されているが、当業者なら、形態および詳細の様々な変更が本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなしになされ得ることを理解するであろう。たとえば、消毒スポンジは、任意の好適な消毒または他の応用例特有の物質を含むことができ、任意の好適な材料製とすることができる。また、キャップのハウジングおよび/または外側ロックハウジングは、シングルショット成形することも、他の好適なプロセスによって作製することもできる。さらに、上記の、および図面の図に示されている本発明の実施形態の任意の例示的な実装の機構または要素のいずれも、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなしに当業者によって容易に理解されるように個々に、または任意の組合せで実装され得る。
【0047】
さらに、含まれている図面の図は、本発明のいくつかの例示的な実施形態の実装の非限定的な例についてさらに記載しており、それらに関連する技術の説明の助けとなる。上記のもの以外の図面に提供されている特定の、または相対的な寸法または測定値は例示的なものであり、本発明の関連分野における当業者によって理解されるように、本発明の設計または方法の範囲または内容を限定することは意図されていない。
【0048】
本発明の他の目的、利点、および顕著な特徴は、当業者にとって、添付の図面の図を併せ読めば、本発明の例示的な実施形態を開示する、提供されている詳細から明らかになろう。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7