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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173480
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/02 20060101AFI20221111BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221111BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20221111BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20221111BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20221111BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/28
H05B33/26 Z
H05B33/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022157556
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2021066999の分割
【原出願日】2016-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】平沢 明
(57)【要約】
【課題】透過型の発光装置において、発光面とは逆の面から光を漏れにくくする。
【解決手段】 発光装置10は、透光性を有する第1基材210、透光性を有する第2基材220、および複数の発光部140を備える。発光部140は第1基材210と第2基材220の間に位置する。発光部140は第1波長にピークを有する光を発する。また、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は吸収層170を含む。吸収層170は第1波長の光を特に吸収する層である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する第1基材と、
吸収層と、
前記第1基材と前記吸収層との間に位置し、第1波長にピークを有する光を発する複数の発光部と、
前記複数の発光部の間に位置する光透過領域と、
を備え、
前記吸収層は前記複数の発光部及び前記光透過領域と重なっており、
前記ピークにおいてピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内の光に対する前記吸収層の吸収率が、10%以上90%以下である発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記発光部は、透光性の第1電極、遮光性の第2電極および、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する有機層を含み、
前記第2電極は前記第1電極に対し前記第1基材とは逆側に位置する発光装置。
【請求項3】
請求項2に記載の発光装置において、
前記第1電極の縁を覆う絶縁膜をさらに備える発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、
前記第2電極と重ならず、かつ前記絶縁膜と重なる領域の幅は、
前記第2電極及び前記絶縁膜のいずれとも重ならない領域の幅より狭い発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は有機ELを利用した発光装置の開発が進んでいる。この発光装置は、照明装置や表示装置として使用されており、第1電極と第2電極の間に有機層を挟んだ構成を有している。そして、一般的には第1電極には透明材料が用いられており、第2電極には金属材料が用いられている。
【0003】
有機ELを利用した発光装置の一つに、特許文献1に記載の技術がある。特許文献1の技術は、有機ELを利用した表示装置に光透過性(シースルー)を持たせるために、第2電極を画素の一部にのみ設けている。このような構造において、複数の第2電極の間に位置する領域は光を透過させるため、表示装置は光透過性を有することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-23336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
片面(おもて面)からのみ光を取り出したい透過型の発光装置において、逆側の面(裏面)からも一部の光が漏れ出てしまう場合がある。この場合、裏面側から発光装置を介して反対側を視認しにくくなったり、おもて面での光取り出し効率が低下したりする。
【0006】
本発明が解決しようとする課題としては、透過型の発光装置において、発光面とは逆の面から光を漏れにくくすることが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
透光性を有する第1基材及び透光性を有する第2基材の間に位置し、第1波長にピークを有する光を発する複数の発光部と、
前記複数の発光部の間に位置する光透過領域と、を備え、
前記第2基材は吸収層を含み、
前記吸収層は、400nm以上700nm以下の波長範囲内の光の平均吸収率より前記第1波長の光の吸収率が高い発光装置である。
【0008】
第2の発明は、
透光性を有する第1基材及び透光性を有する第2基材の間に位置し、第1波長にピークを有する光を発する複数の発光部と、
前記複数の発光部の間に位置する光透過領域と、を備え、
前記第2基材は吸収層を含み、
前記ピークにおいてピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内の光に対する、前記吸収層の吸収率が10%以上である発光装置である。
【0009】
第3の発明は、
透光性を有する第1基材及び透光性を有する第2基材の間に位置し、第1波長にピークを有する光を発する複数の発光部と、
前記複数の発光部の間に位置する光透過領域と、を備え、
前記第2基材は吸収層を含み、
前記吸収層は、前記ピークにおいてピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内に、吸収ピークを有する発光装置である。
【0010】
第4の発明は、
透光性を有する第1基材及び透光性を有する第2基材の間に位置し、第1波長にピークを有する光を発する複数の発光部と、
前記複数の発光部の間に位置する光透過領域と、を備え、
前記第2基材は吸収層を含み、
前記吸収層の光の最大吸収ピークにおいて、ピーク強度の2分の1の吸収強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲内に、前記第1波長が含まれる発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
【0012】
図1】第1の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図2】発光装置の発光部を拡大した図である。
図3】発光部の発光スペクトルの例を示す図である。
図4】吸収層の吸収スペクトルの例を示す図である。
図5】発光装置における光路の第1の例を示す図である。
図6】発光装置の平面図である。
図7】第2の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図8】発光装置における光路の第2の例を示す図である。
図9】第3の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図10】第4の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図11】第5の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図12】第5の実施形態に係る発光装置の平面図である。
図13】実施例1に係る発光装置の構成を示す断面図である。
図14図13に示した発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。監視者Pは、図1の基板100に垂直な方向から発光装置10の光射出面を見ている。図2は発光装置10の発光部140を拡大した図である。
【0015】
発光装置10は、透光性を有する第1基材210及び透光性を有する第2基材220の間に位置する複数の発光部140を備える。発光部140は第1波長にピークを有する光を発する。また、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は吸収層170を含む。
【0016】
なお、第2基材220が吸収層170を含むとは、第1基材210と吸収層170の間に発光部140が位置することを意味する。すなわち、発光装置10の製造工程等において吸収層170は第1基材210に対して形成される層であっても良いし、第1基材210に一部が接する層であっても良い。
【0017】
吸収層170について、以下に説明する。吸収層170は第1波長の光を特に吸収する層であれば特に限定されないが、たとえば以下の第1例から第5例の少なくともいずれかに該当する様な層である。以下において、第1波長とは、発光部140の発光スペクトルにおける最大ピークである。ここで、発光部140の発光スペクトルはたとえば、発光装置10の第1基材210側の出力面から出力される光を計測することで得られる。また、吸収層170の吸収スペクトルは、たとえば発光装置10の第2基材220側に照射した光の反射スペクトルおよび透過スペクトルを取得し、照射光のスペクトルから透過スペクトルおよび反射スペクトルを差し引くことによって得られる。また、第1基材210および第2基材220は透光性を有するため、吸収層170を含む構造を発光装置10から切り出し、その構造を対象として測定した光の吸収率を、吸収層170の光の吸収率とみなしてもよい。本図の例においてたとえば、接着層184を切断することで封止部材180、吸収層170および接着層184の一部を含む構造を得、測定対象とすることができる。発光スペクトルや吸収スペクトルの測定範囲はたとえば400nmから700nmとする。
【0018】
第1例において、吸収層170は、たとえば400nm以上700nm以下の波長範囲内の光の吸収率の平均値(平均吸収率)よりも、第1波長における光の吸収率が高い層である。ここで、吸収層170の平均吸収率はたとえば、複数の波長の光に対する吸収層170の吸収率を波長ごとに計測し、それらの平均値を算出することで得られる。
【0019】
第2例において、発光部140の発光スペクトルの内、第1波長を含むピークにおいて、ピーク強度の2分の1の強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲を第1範囲とする。そして、第1範囲内の光に対する、吸収層170の吸収率が10%以上である。
【0020】
図3は、発光部140の発光スペクトルの例を示す図である。本図を用いて第2例について説明する。本図に示す発光スペクトルでは、第1波長に最大ピークを有する。第1波長におけるピーク強度はIである。そして、本図中、発光強度IはIの2分の1の大きさである。第1波長のピークの裾は第2波長および第3波長で強度Iをとる。第2波長は第3波長よりも短い。ここで、第2波長を下限、第3波長を上限とした波長範囲を第1範囲とする。そして、第2例において、吸収層170の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、10%以上である。また、吸収層170の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
【0021】
なお、発光部140の発光スペクトルが、三つ以上の波長で上記の強度Iをとる場合、それらの波長のうち、第1波長よりも短く且つ最も第1波長に近い波長を第2波長とする。また、それらの波長のうち、第1波長よりも長く且つ最も第1波長に近い波長を第3波長とする。なお、第1範囲の中には、第1波長以外の波長においてさらに他の発光ピークが存在しても良い。
【0022】
吸収層170が、基板100に垂直な方向から見て光透過領域に重なる領域にも形成される場合、吸収層170の光の吸収率は、第1範囲内の全体にわたって、90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましい。そうすれば、発光装置10のより高い光透過性を確保することができる。
【0023】
第3例において、吸収層170は、第2例で説明した第1範囲内に吸収ピークを有する層である。特に、吸収層170の光の吸収スペクトルのうち最大の吸収ピークが第1範囲内に位置することが好ましい。
【0024】
第4例において、吸収層170の光の最大吸収ピークにおける、ピーク強度の2分の1の吸収強度をとる二つの波長を上下限とする波長範囲を第2範囲とする。そして、第2範囲内に、第1波長が含まれる。
【0025】
図4は、吸収層170の吸収スペクトルの例を示す図である。本図を用いて第4例について説明する。本図に示す吸収スペクトルは、第4波長をピーク波長とする最大吸収ピークを有する。吸収スペクトルにおけるピークの大きさ(強度)は、吸収層170の光の吸収率に比例する。第4波長におけるピーク強度はIである。そして、本図中、吸収強度IはIの2分の1の大きさである。第4波長のピークの裾は第5波長および第6波長で強度Iをとる。第5波長は第6波長よりも短い。ここで、第5波長を下限、第6波長を上限とした波長範囲を第2範囲とする。そして、第4例において、発光部140の発光スペクトルのピーク波長である第1波長が、第2範囲内に含まれる。
【0026】
なお、吸収層170の吸収スペクトルが、三つ以上の波長で上記の強度Iをとる場合、それらの波長のうち、第4波長よりも短く且つ最も第4波長に近い波長を第5波長とする。また、それらの波長のうち、第4波長よりも長く且つ最も第4波長に近い波長を第6波長とする。また、第2範囲の中には、第4波長以外の波長においてさらに他の吸収ピークが存在しても良い。
【0027】
第5例において、吸収層170の吸収スペクトルの最大吸収強度をとる波長と、発光部140の発光スペクトルのピーク波長である第1波長との差は100nm以下である。また、吸収層170の吸収スペクトルの最大吸収強度をとる波長と、発光部140の発光スペクトルのピーク波長である第1波長との差は50nm以下であることがより好ましい。
【0028】
また、上記した第1例から第5例において、第1波長より100nm短い波長、および100nm長い波長における吸収層170の光の吸収率は、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。そうすれば、吸収層170は第1波長から離れた波長の光を十分に透過することができる。また、吸収層170は、可視光のうち第1波長を含む一部の波長帯の波長の光の透過率が、その一部の波長帯以外の光の透過率よりも低い層であることが好ましい。その一部の波長帯は、たとえば第1波長より50nm短い波長以上、第1波長より50nm長い波長以下の範囲である。
【0029】
図5は、発光装置10における光路の第1の例を示す図である。以下において、発光装置10の第1基材210側を「おもて面」、第2基材220側を「裏面」と呼ぶ。発光部140から出力され基板100側に進んだ光Lは、基板100と気相との界面への入射角が臨界角より小さい場合、主に光Lのように発光装置10の外側に出力する。一方、入射角が臨界角より大きい場合、光Lのように全反射されて裏面側に進む。そしてたとえば、光Lは拡散性のある部材を通過する際に光Lの様に進行方向を変えて、発光装置10の裏面に対して出力されやすい角度になることがある。この場合でも本実施形態の発光装置10は吸収層170を備えるため、通過する光Lの一部を吸収し、裏面漏れ光Lを小さくすることができる。また本図中、光LおよびLの様に発光装置10の裏面で全反射される角度の光があり得る。この場合、全反射された光Lは再度吸収層170に入射することにより強度が低下する。こうして、吸収層170により、発光部140から出力された光の裏面漏れが低減できる。一方、吸収層170は、第1波長の光を選択的に吸収することにより、発光装置10の裏面側からおもて面側の視認性を確保することができる。
【0030】
図1および図2に戻り、発光装置10の各構成について詳しく説明する。本実施形態において、発光装置10は、透光性を有する第1基材210および透光性を有する第2基材220を備える。第2基材220は、封止膜182、接着層184、吸収層170および封止部材180を含む。封止部材180は接着層184を介して発光部140を覆っている。また、本実施形態において吸収層170は、封止部材180に接している。図1および図2に示す例において吸収層170は、封止部材180の発光部140側の面と接しているが、吸収層170は封止部材180の発光部140とは逆側の面と接していても良い。吸収層170が、封止部材180に接していることにより、封止部材180と発光部140との間に光拡散性の部材が存在した場合にもより外側で光を吸収することができる。ただし、吸収層170は第2基材220に含まれていればよく、その位置を特に限らない。また、第2基材220には複数の吸収層170が含まれていても良い。
【0031】
本実施形態の第1基材210は、基板100を含む。基板100は、例えばガラス基板や樹脂基板などの透光性を有する基板である。基板100は可撓性を有していてもよい。可撓性を有している場合、基板100の厚さは、例えば10μm以上1000μm以下である。基板100は、例えば矩形などの多角形や円形である。基板100が樹脂基板である場合、基板100は、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、又はポリイミドを用いて形成されている。また、基板100が樹脂基板である場合、水分が基板100を透過することを抑制するために、基板100の少なくとも一面(好ましくは両面)に、SiNやSiONなどの無機バリア膜が形成されているのが好ましい。この場合第1基材210は、基板100および無機バリア膜を含む。
【0032】
基板100の一面には、発光部140が形成されている。発光部140は、透光性の第1電極110、遮光性の第2電極130および、第1電極110と第2電極130との間に位置する有機層120を含む。そして、第2電極130は第1電極110に対し第1基材210とは逆側に位置する。このような構成により、発光部140からの光は第1基材210側に出力される。なお、発光部140からの光の一部が第2基材220側に、例えば漏れ光として出力されても良いが、第1基材210側に出力される光は第2基材220側に出力される光よりも高強度になる。
【0033】
発光装置10が照明装置の場合、複数の発光部140はライン状に延在している。一方、発光装置10が表示装置の場合、複数の発光部140はマトリクスを構成するように配置されているか、セグメントを構成したり所定の形状を表示したりするように(例えばアイコンを表示するように)なっていてもよい。そして複数の発光部140は、画素別に形成されている。
【0034】
第1電極110は、光透過性を有する透明電極である。透明電極の材料は、金属を含む材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IWZO(Indium Tungsten Zinc Oxide)、ZnO(Zinc Oxide)等の金属酸化物である。第1電極110の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第1電極110は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。なお、第1電極110は、カーボンナノチューブ、又はPEDOT/PSSなどの導電性有機材料であってもよい。本図において、基板100の上には、複数の線状の第1電極110が互いに平行に形成されており、第2領域104及び第3領域106には第1電極110は位置していない。
【0035】
有機層120は発光層を有している。有機層120は、例えば、正孔注入層、発光層、及び電子注入層をこの順に積層させた構成を有している。正孔注入層と発光層との間には正孔輸送層が形成されていてもよい。また、発光層と電子注入層との間には電子輸送層が形成されていてもよい。有機層120は蒸着法で形成されてもよい。また、有機層120のうち少なくとも一つの層、例えば第1電極110と接触する層は、インクジェット法、印刷法、又はスプレー法などの塗布法によって形成されてもよい。なお、この場合、有機層120の残りの層は、蒸着法によって形成されていてもよく、また、有機層120のすべての層が、塗布法を用いて形成されていてもよい。
【0036】
発光部140の発光色が赤色である場合、第1波長はたとえば590nm以上680nm以下ある。発光部140の発光色が緑色である場合、第1波長はたとえば490nm以上580nm以下である。発光部140の発光色が青色である場合、第1波長はたとえば390nm以上480nm以下である。
【0037】
発光部140の発光色が赤色である場合、有機層120は、たとえばBAlqおよびBtpIrを含む。発光部140の発光色が緑色である場合、有機層120はたとえばCBPおよびIr(ppy)を含む。そして、発光部140が青色である場合、有機層120はたとえばCDBPおよびFIrpicを含む。
【0038】
第2電極130は、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn、及びInからなる第1群の中から選択される金属、又はこの第1群から選択される金属の合金からなる金属層を含んでいる。この場合、第2電極130は遮光性を有している。第2電極130の厚さは、例えば10nm以上500nm以下である。第2電極130は、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて形成される。本図に示す例において、発光装置10は複数の線状の第2電極130を有している。第2電極130は、第1電極110のそれぞれに対して設けられており、かつ第1電極110よりも幅が広くなっている。このため、基板100に垂直な方向から見た場合において、幅方向において第1電極110の全体が第2電極130によって重なっており、また覆われている。また、第1電極110は、第2電極130よりも幅が広く、基板100に垂直な方向から見た場合において、幅方向において第2電極130の全体が第1電極110によって覆われていてもよい。
【0039】
第1電極110の縁は、絶縁膜150によって覆われている。絶縁膜150は例えばポリイミドなどの感光性の樹脂材料によって形成されており、第1電極110のうち発光部140となる部分を囲んでいる。第2電極130の幅方向の縁は、絶縁膜150上に位置している。言い換えると、基板100に垂直な方向から見た場合において、絶縁膜150の一部は第2電極130からはみ出ている。また本図に示す例において、有機層120は絶縁膜150の上及び側面にも形成されている。そして有機層120は隣り合う発光部140の間で分断されている。ただし、有機層120は、隣り合う発光部140にわたって連続して設けられていても良い。
【0040】
発光装置10は第1領域102、第2領域104、及び第3領域106を有している。第1領域102は基板100に垂直な方向から見て第2電極130と重なる領域である。第2領域104は、第2電極130とは重ならないが、絶縁膜150と重なる領域である。本図に示す例において、有機層120は第2領域104にも形成されている。第3領域106は、第2電極130とも絶縁膜150とも重ならない領域である。光透過領域は、第2領域104および第3領域106からなる。すなわち光透過領域は、第1基材210に垂直な方向から見て、第2電極130と重ならない領域である。本図に示す例において、有機層120は第3領域106の少なくとも一部には形成されていない。そしてたとえば第2領域104の幅は、第3領域106の幅よりも狭い。また第3領域106の幅は第1領域102の幅よりも広くてもよいし、狭くてもよい。第1領域102の幅を1とした場合、第2領域104の幅は例えば0以上(又は0超)0.2以下であり、第3領域106の幅は例えば0.3以上2以下である。また第1領域102の幅は、例えば50μm以上500μm以下であり、第2領域104の幅は例えば0μm以上(又は0μm超)100μm以下であり、第3領域106の幅は例えば15μm以上1000μm以下である。
【0041】
封止膜182は、発光部140を覆うよう形成されている。図1および図2に示す例において、封止膜182は第2電極130に接しており、基板100に垂直な方向から見て第1領域102、第2領域104、および第3領域106の全体を覆っている。
【0042】
封止膜182としては、例えば、SiN、SiON、Al、TiOなどの無機バリア膜や、それらを含むバリア積層膜、またはそれらの混合膜を用いることができる。これらは、例えば、スパッタリング法、CVD法、ALD法、EB蒸着法などの真空成膜法で形成することができる。
【0043】
基板100の平面形状は、例えば矩形などの多角形や円形である。そして封止部材180は透光性を有しており、例えばガラス又は樹脂を用いて形成されている。封止部材180は、基板100と同様の多角形や円形であり、中央に凹部を設けた形状を有している。そして複数の発光部140は、いずれも基板100と封止部材180の間の封止された空間の中に位置している。そして封止された空間には接着剤が充填され、接着層184が形成されている。また、封止部材180は板状であってもよい。この場合にも、封止部材180は接着層184で発光部140に固定される。接着層184としてはたとえばエポキシ樹脂を用いることができる。
【0044】
さらに、本実施形態において封止部材180の一の面には吸収層170が形成されている。図1および図2に示す例において、吸収層170は、接着層184と封止部材180の間に位置し、接着層184および封止部材180と接している。ただし、封止部材180には少なくとも一方の面に吸収層170が形成されていればよい。すなわち、吸収層170は封止部材180の両方の面に形成されていても良いし、吸収層170は封止部材180の、発光部140とは反対側の面にのみ設けられていても良い。また、吸収層170は発光部140を構成しない層である。
【0045】
本実施形態において吸収層170は、第1基材210に垂直な方向から見て、第1領域102、第2領域104および第3領域106の全体と重なる様に設けられている。すなわち、吸収層170は、第1基材210に垂直な方向から見て、発光部140と重なる領域に形成されており、光透過領域と重なる領域にさらに形成されている。したがって、吸収層170をパターニングする必要が無く、容易に形成できる。
【0046】
吸収層170はたとえば吸光材料を含んで構成される。発光部140の発光色が赤色である場合、吸光材料としてはたとえば、銅フタロシアニンや亜鉛フタロシアニン等の金属フタロシアニンを用いることができる。発光部140の発光色が緑色である場合、吸光材料としてはたとえば、ルブレンやペンタセンを用いることができる。発光部140の発光色が青色である場合、吸光材料としてはたとえば、クマリン6、クマリン343等のクマリン系色素やナフタセンを用いることができる。なかでも、有機層120がBtpIrを含む場合、吸収層170は金属フタロシアニンを含むことが好ましい。そうすれば、発光部140の発光スペクトルと、吸収層170の吸収スペクトルの一致度合いが特に高くなるからである。
【0047】
吸収層170は吸光材料をたとえばインクジェット法、スピンコート法等の塗布法や、蒸着法で成膜することにより形成できる。塗布法を用いる場合、吸光材料を溶解または分散させる溶媒は特に限定されないが、たとえばトルエン、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、水、硫酸、トリフルオロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸を用いることができる。特に、吸光材料が金属フタロシアニンを含む場合、溶媒としてはドデシルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。また、塗布法を用いる場合、バインダーと吸光材料との混合物を塗布する事により吸収層170を形成しても良い。バインダーは例えば樹脂材料であり、この場合、吸収層170は、樹脂を含んで構成される。吸収層170が樹脂材料を含む場合、吸収層170に対する吸光材料の含有量は、たとえば5質量%以上80質量%以下である。吸収層170の厚さは特に限定されないが、たとえば10nm以上100μm以下である。
【0048】
なお、本実施形態において発光装置10には封止膜182が設けられていなくても良い。その場合、接着層184が第2電極130に接するように設けられる。
【0049】
図6は発光装置10の平面図である。なお、図1図6のA-A断面に対応している。本図に示す例において、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106は、いずれも線状かつ同一方向に延在している。そして本図及び図1に示すように、第2領域104、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106が、この順に繰り返し並んでいる。
【0050】
本図の例において、第1領域102、第2領域104、及び第3領域106のうち第1領域102は最も光線透過率が低い。また、第2領域104は絶縁膜150が存在している分、第3領域106に対して光線透過率が低くなっている。本実施形態ではたとえば第2領域104の幅は第3領域106の幅よりも狭くすることができる。そうすれば、発光装置10において第2領域104の面積占有率は、第3領域106の面積占有率よりも低くなり、発光装置10の光線透過率はより高くなる。
【0051】
次に、発光装置10の製造方法について説明する。まず、基板100に第1電極110を、例えばスパッタリング法を用いて形成する。次いで、第1電極110を例えばフォトリソグラフィー法を利用して所定のパターンにする。次いで、第1電極110の縁の上に絶縁膜150を形成する。例えば絶縁膜150が感光性の樹脂で形成されている場合、絶縁膜150は、露光及び現像工程を経ることにより、所定のパターンに形成される。次いで、有機層120及び第2電極130をこの順に形成する。有機層120が蒸着法で形成される層を含む場合、この層は、例えばマスクを用いるなどして所定のパターンに形成される。第2電極130も、例えばマスクを用いるなどして所定のパターンに形成される。次いで、発光部140上に封止膜182を成膜する。さらに、吸収層170を形成した封止部材180を接着層184で接着し、発光部140を封止する。
【0052】
以上、本実施形態において、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は第1の実施形態における図1に相当する。本実施形態に係る発光装置10は、第1基材210に垂直な方向から見て、光透過領域と重なる領域の少なくとも一部に吸収層170が設けられていない点を除いて第1の実施形態に係る発光装置10と同じである。
【0054】
吸収層170は、第1基材210に垂直な方向から見て、少なくとも発光部140と重なる領域に形成されている。そして、光透過領域と重なる領域の少なくとも一部には吸収層170が設けられていない。だたし、吸収層170は、少なくとも第1領域102の全体と重なるように形成されていることが好ましい。本実施形態において、吸収層170は線状かつ同一方向に延在している。
【0055】
吸収層170が、少なくとも第1領域102の全体と重なるように形成されている場合、吸収層170のうち第1領域102からはみ出している部分の幅Wは、10μm以上200μm以下であることが好ましい。そうすれば、効果的に裏面漏れ光を低減できると共に、アライメントに困難がない。ここでWは、基板100の表面に垂直かつ発光部140の延在方向に垂直な断面(図6のA-A断面に相当)における、吸収層170のうち第2電極130の端部よりも発光部140の外側の部分の幅であるとも言える。
【0056】
図8は、発光装置10における光路の第2の例を示す図である。本図は、発光部140から出力された光Lが発光装置10のおもて面側で全反射し、さらに発光装置10の裏面側で全反射して光L10、L11の光路をたどる場合を示している。発光装置10中の光は、発光装置10のおもて面および裏面で全反射される角度を保ったままであれば発光装置10の中を伝搬して側面から出射されるため、裏面漏れ光とはならない。しかし、発光装置10中には発光部140が設けられており、特に第2電極130の裏面側の凹凸等によって反射された光L12は、発光装置10の裏面から出射可能な角度となりうる。従って、裏面漏れ光は、発光部140に重なる領域において特に大きくなるおそれがある。これに対し、本実施形態に係る発光装置10では少なくとも発光部140と重なる領域に吸収層170が設けられている。したがって、L13で示されるような裏面漏れ光を効率良く低減すると共に、光透過領域における光の透過率を向上させることができる。
【0057】
本実施形態の発光装置10の製造方法について説明する。まず、基板100に発光部140を形成し、発光部140上に封止膜182を設けるまでは第1の実施形態と同様に行える。次いで、吸収層170を形成した封止部材180を接着層184で接着し、発光部140を封止する。本実施形態において封止部材180の面に吸収層170を形成する際、たとえばマスクパターン、フォトリソグラフィー、またはインクジェット法等を用いて、吸収層170をパターニングする。また、発光部140の上に封止部材180を固定する際には、吸収層170が発光部140を覆う位置になるように、アライメントマーク等を用いて位置あわせする。
【0058】
なお、吸収層170は、封止部材180の少なくとも一方の面に形成されていればよい。すなわち、吸収層170は封止部材180の両方の面に形成されていても良いし、吸収層170は封止部材180の、発光部140とは反対側の面にのみ設けられていても良い。
【0059】
以上、本実施形態においても、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0060】
くわえて、吸収層170は、第1基材210に垂直な方向から見て、少なくとも発光部140と重なる領域に形成されている。そして、光透過領域と重なる領域の少なくとも一部には吸収層170が設けられていない。したがって、発光装置10の高い光透過性を確保することができる。
【0061】
(第3の実施形態)
図9は、第3の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は第1の実施形態における図1に相当する。本実施形態に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて第1および第2の実施形態の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
【0062】
本実施形態において、吸収層170は封止膜182と接着層184の間に形成されており、本図の例において、吸収層170は封止膜182および接着層184に接している。
【0063】
本実施形態の発光装置10の製造方法について説明する。まず、基板100に発光部140を形成し、発光部140上に封止膜182を設けるまでは第1の実施形態と同様に行える。次いで封止膜182の上に吸収層170を形成する。吸収層170は第1の実施形態で説明したのと同様に、たとえばインクジェット法、スピンコート法等の塗布法や、蒸着法で成膜できる。次いで、封止部材180を接着層184で吸収層170の上に固定する。
【0064】
なお、封止部材180の少なくとも一方の面には第1の実施形態または第2の実施形態のように吸収層170がさらに設けられていても良い。また、吸収層170は、発光部140と封止膜182の間に設けられていても良い。
【0065】
また、発光装置10は封止膜182を有していなくても良い。発光装置10が封止膜182を有しない場合、吸収層170は発光部140と接着層184の間に形成され、吸収層170が第2電極130に接して設けられる。
【0066】
以上、本実施形態においても、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0067】
(第4の実施形態)
図10は、第4の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は第1の実施形態における図1に相当する。本実施形態に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて第1~第3の実施形態の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
【0068】
本実施形態において、封止膜182、接着層184、および封止部材180の少なくともいずれかが、吸収層170である。図10では、封止部材180が吸収層170である例を示している。
【0069】
本実施形態において、第2基材220は、接着層184を介して発光部140を覆う封止部材180を含む。封止部材180および接着層184の少なくとも一方が吸収層170である場合、封止部材180または接着層184を形成する樹脂材料に吸光材料を混合することで吸収層170として機能させることができる。
【0070】
すなわち、封止部材180が吸収層170である場合、樹脂材料と吸光材料を混合し、成形することで封止部材180を得る。そして、その封止部材180を用いて発光部140を封止する。また、接着層184が吸収層170である場合、封止部材180と発光部140との間を、吸光材料を混合させたエポキシ樹脂等で接着する。
【0071】
また、本実施形態において、第2基材220は、発光部140に接して発光部140を覆う封止膜182を含む。封止膜182が吸収層170である場合、SiO、SiO、TiO、Al等の無機絶縁材料と、上記したような吸光材料とを共蒸着等することで封止膜182を形成できる。具体的には無機絶縁材料はEB蒸着法等により、吸収材料は抵抗加熱蒸着法等により蒸着できる。
【0072】
なお、本実施形態において、発光装置10は封止部材180、接着層184、および封止膜182のうち少なくともいずれかを備えていなくても良い。
【0073】
以上、本実施形態においても、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0074】
加えて、本実施形態の発光装置10において、封止部材180および接着層184の少なくとも一方が吸収層170である、または封止膜182が吸収層170である。従って、封止構造と別途の吸収層170を設ける必要が無いため、製造における負担を軽減できる。
【0075】
(第5の実施形態)
図11は、第5の実施形態に係る発光装置10の構成を示す断面図である。本図は第1の実施形態における図1に相当する。図12は第5の実施形態に係る発光装置10の平面図である。なお、図11図12のB-B断面に対応している。本実施形態に係る発光装置10は、以下に説明する点を除いて第1~第4の実施形態の少なくともいずれかに係る発光装置10と同じである。
【0076】
本実施形態の発光装置10は、第1発光部140aと、第1発光部140aとは第1波長が異なる第2発光部140bとを備える。図11および図12に示す例において、発光装置10は発光部140として第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cを備える。第1発光部140aは第1有機層120aを含み、第2発光部140bは第2有機層120bを含み、第3発光部140cは第3有機層120cを含む。そして、第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cは互いに発光色が異なり、すなわち第1波長が異なる。
【0077】
例えば、第1発光部140aの発光スペクトルのピーク波長(第1発光部140aの第1波長)は、第2発光部140bの発光スペクトルのピーク波長(第2発光部140bの第1波長)よりも長い。また、第2発光部140bの発光スペクトルのピーク波長は、第3発光部140cの発光スペクトルのピーク波長(第3発光部140cの第1波長)よりも長い。第1発光部140aの発光色はたとえば赤色であり、第1発光部140aの第1波長はたとえば590nm以上680nm以下ある。第2発光部140bの発光色は、たとえば緑色であり、第2発光部140bの第1波長はたとえば490nm以上580nm以下である。第3発光部140cの発光色は、たとえば青色であり、第3発光部140cの第1波長はたとえば390nm以上480nm以下である。
【0078】
そして図11および図12に示すように、第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cが、順に繰り返し並んでいる。
【0079】
このように、発光装置10が互いに異なる発光色を生じる第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cを備えることにより、発光装置10はたとえば白色やカラーの照明として用いることができる。また、第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cの発光をそれぞれ独立に調整することにより、発光装置10全体の色を調整することができる。
【0080】
本実施形態に係る発光装置10は吸収層170として第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cを含む。第1吸収層170aは第1発光部140aの第1波長の光を特に吸収する層であり、第2吸収層170bは第2発光部140bの第1波長の光を特に吸収する層であり、第3吸収層170cは第3発光部140cの第1波長の光を特に吸収する層である。第1吸収層170aと第1発光部140aの第1波長との関係、第2吸収層170bと第2発光部140bの第1波長との関係、および第3吸収層170cと第3発光部140cの第1波長との関係は、それぞれ、第1の実施形態で説明した第1例から第5例の吸収層170と発光部140の第1波長との関係のうち少なくともいずれかに該当する。
【0081】
第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cの積層体は第1発光部140a、第2発光部140b、および第3発光部140cの第1波長を特に吸収する一方、積層体全体として光透過性を有する。よって、発光装置10のおもて面側から裏面側、および裏面側からおもて面側の視認性を確保することができる。
【0082】
図11に示す例では、第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cがこの順に積層されているが、第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cの積層順は特に限定されない。また、本図に示す例では、第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cが互いに接して設けられているが、第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cの間には他の層が設けられていても良い。
【0083】
また、図11に示す例では、第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cは、第1基材210に垂直な方向から見て、第1領域102、第2領域104および第3領域106の全体と重なる様に設けられているが、これに限定されない。第2の実施形態と同様、光透過領域と重なる領域の少なくとも一部には第1吸収層170a、第2吸収層170b、および第3吸収層170cの少なくともいずれかが設けられていなくてもよい。
【0084】
以上、本実施形態においても、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0085】
加えて、本実施形態の発光装置10は、第1発光部140aと、第1発光部140aとは第1波長が異なる第2発光部140bとを少なくとも備える。したがって発光装置10全体の色を調整することができる。
【0086】
(実施例1)
図13は、実施例1に係る発光装置10の構成を示す断面図である。図14図13に示した発光装置10の平面図である。ただし、図14において一部の部材は省略されている。図13図14のC-C断面に対応している。本実施例に係る発光装置10は、第1の実施形態から第5の実施形態の少なくともいずれかに係る発光装置10と同様の構成を有している。なお、図13および図14では、発光装置10が第1の実施形態の構成を有する例を示している。図1図14のA-A断面図に相当する。
【0087】
また、発光装置10は、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134を備えている。第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134は、いずれも基板100のうち発光部140と同一面に形成されている。第1端子112及び第2端子132は封止部材180の外部に位置している。第1引出配線114は第1端子112と第1電極110とを接続しており、第2引出配線134は第2端子132と第2電極130とを接続している。言い換えると、第1引出配線114及び第2引出配線134は、いずれも封止部材180の内側から外側に延在している。
【0088】
第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134は、例えば、第1電極110と同一の材料で形成された層を有している。また、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134の少なくとも一つの少なくとも一部は、この層の上に、第1電極110よりも低抵抗な金属膜を有していてもよい。この金属膜は、例えばMo又はMo合金などの第1金属層、Al又はAl合金などの第2金属層、及びMo又はMo合金などの第3金属層をこの順に積層させた構成を有している。この金属膜は、第1端子112、第2端子132、第1引出配線114、及び第2引出配線134のすべてに形成されている必要はない。
【0089】
第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134のうち第1電極110と同一の材料で形成された層は、第1電極110と同一工程で形成されている。このため、第1電極110は、第1端子112の少なくとも一部の層と一体になっている。またこれらが金属膜を有している場合、この金属膜は、例えばスパッタリング法などによる成膜およびエッチング等によるパターニングを行って形成される。この場合、第1端子112、第1引出配線114、第2端子132、及び第2引出配線134の光線透過率は、基板100の光線透過率よりも低くなる。
【0090】
本図に示す例において、第1引出配線114及び第2引出配線134は一つの発光部140について一つずつ形成されている。複数の第1引出配線114はいずれも同一の第1端子112に接続しており、複数の第2引出配線134はいずれも同一の第2端子132に接続している。そして、第1端子112には、ボンディングワイヤ又はリード端子などの導電部材を介して制御回路の正極端子が接続され、第2端子132には、ボンディングワイヤ又はリード端子などの導電部材を介して制御回路の負極端子が接続される。ただし、発光装置10が第5の実施形態の構成を有する場合、発光装置10は複数の第2端子132を備え、第2引出配線134がそれぞれ異なる第2端子132に接続されていても良い。
【0091】
以上、本実施例においても、発光装置10は複数の発光部140の間に位置する光透過領域を備える。そして、第2基材220は上記した第1例から第5例のうち少なくともいずれかに該当するような吸収層170を含む。したがって、基板100のおもて面側で反射され、拡散等された光を吸収し、光が発光装置10の裏面側へ出射されることを抑制できる。よって、裏面漏れ光を低減することができる。
【0092】
上記の実施形態及び実施例では、ボトムエミッション型の発光装置の例を示したが、それに限定されない。たとえば発光装置はトップエミッション型でもよい。
【0093】
以上、図面を参照して実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14