(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173487
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】血管から閉塞した血栓を除去するための血栓回収装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20221111BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022157812
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2018121664の分割
【原出願日】2018-06-27
(31)【優先権主張番号】62/526,005
(32)【優先日】2017-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515248931
【氏名又は名称】ニューラヴィ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダン・ケーシー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ベイル
(72)【発明者】
【氏名】メーブ・ホリアン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ハーディマン
(72)【発明者】
【氏名】グレイン・オコナー
(57)【要約】
【課題】 血栓除去装置を提供すること。
【解決手段】 血栓と係合するように構成される近位挟み込み区画と、第1の放射線不透過性マーカーを備え、前記近位挟み込み区画よりも大きい直径を有し、略円筒状又は胴形状を有する遠位区画と、前記近位挟み込み区画と前記遠位区画との間の遷移部分に位置する複数の第2の放射線不透過性マーカーと、前記近位挟み込み区画の近位端と細長いシャフトとの間に位置する近位接合体と、を備え、前記複数の第2の放射線不透過性マーカーは、互いに、長手方向において、ずれた位置に配置されている、血栓除去装置である。
【選択図】
図59
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓と係合するように構成される近位挟み込み区画と、
第1の放射線不透過性マーカーを備え、前記近位挟み込み区画よりも大きい直径を有し、略円筒状又は胴形状を有する遠位区画と、
前記近位挟み込み区画と前記遠位区画との間の遷移部分に位置する複数の第2の放射線不透過性マーカーと、
前記近位挟み込み区画の近位端と細長いシャフトとの間に位置する近位接合体と、を備え、
前記複数の第2の放射線不透過性マーカーは、互いに、長手方向において、ずれた位置に配置されている、血栓除去装置。
【請求項2】
複数の第1の放射線不透過性マーカーを備え、前記複数の第1の放射線不透過性マーカーは、互いに、前記長手方向において、ずれた位置に配置されている、請求項1に記載の血栓除去装置。
【請求項3】
前記複数の第1の放射線不透過性マーカーは、前記遠位区画を形成する複数のストラットの最遠位端に取り付けられている、請求項2に記載の血栓除去装置。
【請求項4】
前記血栓除去装置は、形状記憶材料の単一の管から形成される、請求項1~3の何れか1つに記載の血栓除去装置。
【請求項5】
前記近位挟み込み区画を形成する近位向きのストラットの長さは、前記近位挟み込み区画を形成する遠位向きのストラットの長さよりも大きい、請求項1~4の何れか1つに記載の血栓除去装置。
【請求項6】
前記近位挟み込み区画は、螺旋形状を有する、請求項1~5の何れか1つに記載の血栓除去装置。
【請求項7】
前記遠位区画の長手方向中心軸は、前記螺旋形状を有する前記近位挟み込み区画の中心線からずれている、請求項6に記載の血栓除去装置。
【請求項8】
前記螺旋形状を有する前記近位挟み込み区画の遠位端は、前記遠位区画の近位面に対して直角であるように配向されている、請求項7に記載の血栓除去装置。
【請求項9】
前記遠位区画は、閉じた遠位端を有する、請求項1~8の何れか1つに記載の血栓除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年6月28日に出願された米国仮特許出願第62/526,005号に対する優先権を主張する。この仮出願の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、血管から急性遮断物を除去することを目的とした装置に関する。急性障害物としては、血栓、誤配置された装置、移動された装置、大きな塞栓などが挙げられ得る。血栓塞栓症は、血栓の一部又はすべてが血管壁から剥離したときに発生する。この血栓(以降、塞栓と呼ぶ)はその後、血流の方向に運ばれる。慮血性発作は、脳の血管系内に血栓が留まった場合に、結果として生じ得る。肺塞栓症は、血栓が静脈系で又は心臓の右側で発生し、肺動脈又はその支脈内に留まった場合に、結果として生じ得る。血栓はまた、解放されずに塞栓の形態で発達し、血管を局所的に遮断し得、この機序は、冠状動脈の遮断物の形成において一般的である。本発明は特に、急性虚血発作(AIS)に罹患する患者の大脳動脈から、心筋梗塞(MI)に罹患する患者の本来の血管又は移植血管から、肺塞栓症(PE)に罹患する患者の肺動脈から、並びに血栓が閉塞を引き起こしている他の末梢動脈及び静脈から、血栓を除去することに適している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によると、拡張可能な構造と細長い部材とを含む、体血管から血栓を除去するための血栓除去装置が提供され、細長い部材は、近位端と遠位端とを有し、細長い部材は、細長い部材の遠位端で拡張可能な構造体に接続されており、拡張可能な構造体は、拘束された送達構成と、拡張した血栓係合展開構成と、少なくとも部分的に拘束された血栓挟み込み構成と、を有し、拡張可能な構造体の少なくとも一部は、拡張した展開構成において血栓に係合するように、かつ展開構成から血栓挟み込み構成への移動時に血栓を挟み込むように構成されている。
【0004】
ある場合では、拡張可能な構造体は、展開構成から血栓挟み込み構成への移動時に血栓を挟み込むように構成された血栓挟み込み構造体を含む。
【0005】
一実施形態では、拡張可能な構造体は、主体部分と血栓挟み込み構造体とを含み、血栓挟み込み構造体の直径は、主体部分の直径よりも小さい。血栓挟み込み構造体は、拡張可能な構造体の近位端に位置してもよい。
【0006】
ある場合では、血栓挟み込み構造体は、実質的に管状である。血栓挟み込み構造体は、螺旋形態であってもよい。螺旋は、360°延在してもよく、約5mmの外径と約14mmの螺旋ピッチを有し得る。
【0007】
いくつかの場合では、遠位胴区画の長手方向中心軸は、螺旋の中心線からずれているか、又は螺旋の中心線に対して角度をなしてもよい。
【0008】
一実施形態では、血栓挟み込み構造体は、複数の血栓受容セルを含み、セルは、クラウン間で延在するストラットを含み、ストラットは、装置が拡張した展開構成から少なくとも部分的に拘束された血栓挟み込み構成に移動するにつれてセル内に位置する血栓を挟み込むように構成されている。
【0009】
ある場合では、隣接するストラットは、ストラットを接合するクラウンに向かって遠位に狭まるチャネルを画定する。
【0010】
隣接するストラットは、装置が血栓挟み込み構成に移動されると閉じるように構成されたネック領域をその間に画定してもよい。
【0011】
一実施形態では、隣接するセルのクラウンは、装置の長手方向軸に沿ってずれている。隣接するストラットは、異なる長さであってもよい。
【0012】
ある場合では、セルは、近位向きのクラウンと遠位向きのクラウンとを有し、近位向きのクラウンは、遠位向きのクラウンの直径よりも大きい直径を有する。
【0013】
一実施形態では、血栓挟み込み構造体の近位端に向かう血栓受容セルの寸法は、血栓挟み込み構造体の遠位端に向かうセルよりも小さい。
【0014】
いくつかの場合では、隣接するストラットは、少なくとも1つの屈曲又は起伏を含み、屈曲は、装置が血栓挟み込み構成に移動するにつれて隣接するストラットにおける屈曲が相互係合するように構成されている。ストラットは、その長さに沿って複数の屈曲を含み得る。
【0015】
屈曲は、ストラットの遠位端に向かって位置し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、拡張可能な構造体は、ニチノールなどの形状記憶材料からなる。
【0017】
いくつかの場合では、主体部分の直径の、血栓挟み込み構造体の直径に対する比は、1.5:1~4:1、いくつかの場合では、2:1~3:1である。ある場合では、主体部分の直径は、約4.5mm又は5mmであり、血栓挟み込み構造体の直径は、約2mmである。
【0018】
装置は、主体部分と血栓挟み込み構造体との間の遷移部分において放射線不透過性マーカーを含んでもよい。
【0019】
主体部分の長手方向軸は、血栓挟み込み構造体の長手方向軸と共線状であってもよい。
【0020】
いくつかの場合では、血栓挟み込み構造体の長手方向軸は、主体部分の長手方向軸からずれている。
【0021】
一実施形態では、装置は、主体部分を通して延在する長手方向軸を有し、血栓挟み込み構造体は、長手方向軸の周囲で螺旋状に延在する。
【0022】
本発明によると、体血管から器質化した血栓を除去するための血栓除去装置も提供され、装置は、拡張可能な管状構造体と細長い部材とを含み、細長い部材は、近位端と遠位端とを含み、拡張可能な管状構造体は、相互接続したストラットのネットワークを含み、当該ネットワークは、拡張状態において血栓に係合するように構成され、ネットワークは、拡張状態においてネットワークの少なくとも一部が血栓と相互貫入するように構成され、ネットワークは、ネットワークが血栓との相互貫入の状態から折り畳まれたとき、ネットワークの少なくとも一部が血栓の少なくとも一部を挟み込むように更に構成されている。
【0023】
ネットワークが血栓に相互貫入し、かつネットワークの少なくとも一部が血栓の少なくとも一部の上での挟み込みをもたらした状態で、細長い部材がネットワークを後退させるように構成されている、上記の装置も提供される。
【0024】
本発明によると、体血管から器質化した血栓を除去するための血栓除去装置も提供され、装置は、拡張可能な管状構造体と細長い部材とを含み、細長い部材は、近位端と遠位端とを含み、細長い部材は、その遠位端において管状構造体に接続され、拡張可能な管状構造体は、器質化した血栓と接触するように展開されると器質化した血栓に相互貫入するように構成されており、拡張可能な管状構造体は、一方の端部のみで相互接続した複数の第1及び第2のストラット部材を更に含み、各ストラット対は、拡張構成に付勢されたばね要素を含み、少なくとも1つの第1のばね要素は、軟質ばね要素を含み、少なくとも1つの第2のばね要素は、硬質ばね要素を含み、それにより管状構造体の折り畳みが、第1のばね要素の少なくとも一部と相互貫入している器質化した血栓の上での挟み込みをもたらす構造体の非対称な折り畳みと非対称である。
【0025】
本発明によると、体血管から血栓を除去するための血栓除去装置も提供され、装置は、拡張可能な構造体と細長い部材とを含み、細長い部材は、近位端と遠位端とを含み、細長い部材は、その遠位端において拡張可能な構造体に接続されており、拡張可能な構造体は、第1のセルと少なくとも1つの第2のセルとを含み、当該第1及び第2のセルの各々は、折り畳まれた送達構成と展開された拡張構成とを含み、拡張構成において各セルは、開口部を更に含み、拡張可能な構造体は、血栓に相互貫入するように構成されており、当該血栓の相互貫入は、第1のセルのうちの少なくとも1つを通した血栓の少なくとも一部の押し出しを含み、それによりセルのうちの少なくともいくつかの開口部は、血栓本体の少なくとも一部が構造体に相互貫入することを可能にするように構成されている。
【0026】
本発明によると、拘束された送達構成と拡張した展開構成とを有する血栓係合要素を含む、血管から閉塞した血栓を除去するための血栓回収装置も提供され、血栓係合要素は、拡張した展開構成の内径よりも小さい内径を有するルーメン内に展開されたときに、外向きの半径方向力を付与するように構成され、外向きの半径方向力は、血栓係合要素の長さに沿って、略正弦波状のパターンで変化する。
【0027】
略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、波状パターンの振幅が、装置の長さに沿って略一致する、上記の血栓回収装置も提供される。
【0028】
略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、波状パターンの振幅が、装置の長さに沿って減少し、装置の近位端においてより高く、装置の遠位端においてより低い、上記の血栓回収装置も提供される。
【0029】
血栓係合要素が、複数の隣接するセグメントを含み、少なくとも2つの隣接するセグメントの半径方向力が互いに異なる、上記の血栓回収装置も提供される。
【0030】
遠位血栓断片保護区画を含む、上記の血栓回収装置も提供される。代替的には、又は更には、装置を通して延在する別個のシャフト上に載置され得る遠位断片保護装置が提供される。
【0031】
いくつかの実施形態では、細長い部材の遠位端は、拡張可能な構造体の近位端に接続される。細長い部材と拡張可能な構造体との間に近位接合体があってもよい。近位接合体は、細長い部材の遠位端においてステップを含んでもよい。ある場合では、近位接合体は、細長い部材及び拡張可能な構造体の近位端との係合のための係止カラーを含む。
【0032】
ある場合では、拡張可能な構造体の近位端は、細長い部材の遠位端におけるステップとの係合のために構成された凹部又はスロットを含む。
【0033】
ある場合では、拡張可能な構造体は、部分的にステップの周囲での位置付けのために構成された2つ又は3つ以上の脚部を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、細長い部材の長手方向軸は、カラーの長手方向軸から半径方向にずれている。
【0035】
カラーと細長い部材との間、及びカラーと拡張可能な構造体の近位端との間に、接着剤結合などの結合又は溶接があってもよい。
【0036】
いくつかの場合では、装置は、拡張可能な構造体の遠位端に放射線不透過性マーカーを含む。
【0037】
拡張可能な構造体の遠位端に2つ又は3つ以上の放射線不透過性マーカーがあってもよく、放射線不透過性マーカーは、互いに長手方向にずれている。
【0038】
いくつかの場合では、拡張可能な構造体は、遠位主体部分と近位血栓挟み込み構造体とを含み、装置は、主体部分と血栓挟み込み構造体との間の遷移部分において2つ又は3つ以上の放射線不透過性マーカーを含む。遷移部分における放射線不透過性マーカーは、互いに長手方向にずれている。
【0039】
本発明によると、血管から閉塞した血栓を除去する方法が提供され、本方法は、血栓係合区画を有する血栓回収装置を提供するステップであって、装置は、拘束された送達構成と拡張した展開構成とを有する、提供するステップと、閉塞した血栓を横切ってマイクロカテーテルを前進させるステップと、装置をマイクロカテーテル内に装填し、マイクロカテーテルの遠位部分に前進させるステップと、マイクロカテーテルを後退させて、装置を展開し、血栓係合区画を血栓と係合させるステップと、マイクロカテーテルを再び前進させて、血栓係合区画の少なくとも一部を再被覆するステップと、装置の少なくとも一部及び捕捉した血栓を回収カテーテル内に回収するステップと、を含む。
【0040】
この方法の更なる変形も提供され、これには、回収カテーテルが中間カテーテルである、上記の方法、回収カテーテルが、バルーンガイドカテーテル、又はガイドカテーテル、又はシースである、上記の方法、血栓係合区画の一部を再被覆する行為によって、血栓の一部が血栓係合区画のセル内に挟み込まれる、上記の方法、血栓回収装置が、血栓の少なくとも一部を挟み込むように構成されている、上記の方法、血栓内の装置の展開後に、装置を近位に引くことを含む、上記の方法、再被覆する前に血栓中に更に埋め込むように、展開後に装置を遠位に押すことを遅らせることを含む、上記の方法、回収カテーテル内への回収前に、装置をより大きい血管内へと近位に引くことを含む、上記の方法が含まれる。
【0041】
血管セグメントから閉塞した血栓を取り外し、除去する方法を含む更なる方法が提供され、本方法は、一体式管状構造体と細長い部材とを含む血栓回収装置を提供するステップであって、一体式管状構造体は、細長い部材の遠位端に位置し、一体式管状構造体は、最も拘束された送達構成、部分的に折り畳まれた挟み込み構成、及び血栓係合展開構成を有する、提供するステップと、細長い部材が血管セグメントの近位部分を通して患者の外側に延在している状態で、一体式管状構造体をその最も拘束された送達構成からその血栓係合展開構成へと拡張することによって、閉塞した血栓を一体式管状構造体に係合させるステップと、一体式管状構造体を血栓係合展開構成から部分的に折り畳まれた挟み込み構成へと部分的に折り畳んで、閉塞した血栓の少なくとも一部の上での挟み込みをもたらすステップと、一体式管状構造体を部分的に折り畳まれた挟み込み構成に抑制するステップと、閉塞部位から血栓を取り外し、抑制を維持しながら一体式管状構造体を後退させることによってそれを血管セグメントから除去するステップと、を含む。
【0042】
閉塞した血管を有する患者を治療する方法も提供され、閉塞は、器質化した血栓を含み、本方法は、血栓回収装置及び除去カテーテルを提供するステップであって、血栓回収装置が、拡張可能な要素と細長い部材とを含み、拡張可能な要素が、細長い部材の遠位端に位置し、拡張可能な要素が、完全に折り畳まれた送達構成、完全に拡張した展開構成を有し、拡張可能な要素が、血栓挟み込みサブ構造体を含み、血栓挟み込みサブ構造体は、拡張可能な要素が完全に拡張した構成から少なくとも部分的に折り畳まれると、血栓本体の少なくとも一部を挟み込むように構成され、除去カテーテルが、その遠位端においてカラーを含む、提供するステップと、折り畳まれた構成にあるマイクロカテーテルを通して、血栓回収装置を閉塞した血管に送達するステップと、拡張可能な要素を展開して血栓の少なくとも一部と接触させるステップと、細長い部材の位置をしっかりと維持しながら、細長い部材に沿って除去カテーテルを前進させるステップと、除去カテーテルのカラーを拡張可能な要素に係合し、挟み込みサブ構造体をもたらし、それにより器質化した血栓の少なくとも一部を挟み込むステップと、カラーと拡張可能な要素との間の係合を維持しながら、除去カテーテル及び血栓回収装置を血管から同時に引き出すステップと、血栓回収装置、除去カテーテル、及び挟み込まれた閉塞した血栓を患者から除去するステップと、を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、装置の少なくとも一部及び捕捉した血栓を回収カテーテル内に回収する行為は、回収カテーテルを通して吸引するステップを含む。
【0044】
いくつかの場合では、血栓係合区画の一部を再被覆する行為によって、血栓の一部が血栓係合区画のセル内に挟み込まれる。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、血栓内の装置の展開後に、装置を近位に引くことを含む。
【0046】
いくつかの場合では、本方法は、再被覆する前に血栓中に更に埋め込むように、展開後に装置を遠位に押すことを遅らせることを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、本方法は、回収カテーテル内への回収前に、装置をより大きい血管内へと近位に引くことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明は、添付の図面を参照しながら、例示目的でのみ提供されるいくつかのその実施形態の以下の記載からより明確に理解されるであろう。
【
図3a】本発明の装置構成の等角図及び長さに沿った半径方向力分布のグラフを示す。
【
図3b】本発明の装置構成の等角図及び長さに沿った半径方向力分布のグラフを示す。
【
図3c】
図3aの装置と類似する3つの装置の力プロファイルを示す。
【
図3d】装置が代わりに一実施形態のルーメンに拘束された場合の半径方向力プロファイルを例示する。
【
図4a】本発明の血栓回収装置の平らな構成の使用方法を示す。
【
図4b】本発明の血栓回収装置の平らな構成の使用方法を示す。
【
図4c】本発明の血栓回収装置の平らな構成の使用方法を示す。
【
図4d】本発明の血栓回収装置の平らな構成の使用方法を示す。
【
図4e】本発明の血栓回収装置の平らな構成の使用方法を示す。
【
図7a】内側及び外側の放射状の構成体からなる、本発明の装置アセンブリを示す。
【
図7b】内側及び外側の放射状の構成体からなる、本発明の装置アセンブリを示す。
【
図7c】内側及び外側の放射状の構成体からなる、本発明の装置アセンブリを示す。
【
図7d】内側及び外側の放射状の構成体からなる、本発明の装置アセンブリを示す。
【
図7e】内側及び外側の放射状の構成体からなる、本発明の装置アセンブリを示す。
【
図8】
図7a~
図7eに示される装置の別の構成の側面図である。
【
図9】外側ケージの一部として形成された、本発明の図である。
【
図10】
図11に示される外側ケージと、内側チャネルとを含有する装置のアセンブリを示す。
【
図11】内側チャネルの一部として形成された本発明の図である。
【
図12】
図11に示される内側チャネルと、外側ケージとを含有する装置のアセンブリを示す。
【
図13】外側ケージセルが内側チャネルセルと整合している、本発明の別の実施形態を示す。
【
図15】
図13に示される外側ケージのセグメントを縮径で示す。
【
図17】内側及び外側構成要素セグメントの整合を示す。
【
図19】複数の構造体からなる、本発明の実施形態を示す。
【
図20a】装置の長さ及びマンドレル上の中心線位置に沿って螺旋をなす、本発明の血栓回収装置を示す。
【
図20b】装置の長さ及びマンドレル上の中心線位置に沿って螺旋をなす、本発明の血栓回収装置を示す。
【
図21】平らな中央区画を有する、別のヘリックス状の血栓回収装置の図である。
【
図22】プロファイルされた中央区画を有する、本発明の別のヘリックス状の血栓回収装置を示す。
【
図23a】一連の螺旋状の装置の中央部分の断面図を示す。
【
図23b】一連の螺旋状の装置の中央部分の断面図を示す。
【
図23c】一連の螺旋状の装置の中央部分の断面図を示す。
【
図24a】本発明の別のヘリックス状の血栓回収装置の図である。
【
図24b】本発明の別のヘリックス状の血栓回収装置の図である。
【
図25】複数のヘリックス状の構成要素から形成された装置を示す。
【
図26】張力下において伸長することができる装置の実施形態を示す。
【
図27a】遠位断片保護構造体を含有する、本発明の実施形態を示す。
【
図27b】遠位断片保護構造体を含有する、本発明の実施形態を示す。
【
図29】管状構成要素が、ヘリックス状又は螺旋状の構成で形成されている、別の実施形態を示す。
【
図32a】直管構成要素(
図32a)及びヘリックス状構成にある管状構成要素(
図32b)の血栓中の係合の違いを示す。
【
図32b】直管構成要素(
図32a)及びヘリックス状構成にある管状構成要素(
図32b)の血栓中の係合の違いを示す。
【
図33】血管の分岐に位置する血栓中に展開されたヘリックス状管状構成要素の図である。
【
図34】一定範囲の血栓タイヤの取り外し及び保持に好適な本発明による別の装置の図である。
【
図36】内側ヘリックス状構成要素及び外側ケージを含む、本発明の別の装置の図である。
【
図37】マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されると近位区画が血栓を挟み込むように構成されている、本発明による別の装置を示す。
【
図43】装置の様々なストラットパターンを示す。本発明による装置のプロファイル及び外側形状の図である。
【
図44a】装置の様々なストラットパターンを示す。血栓の挟み込みを促進する、ストラット/クラウン構成を示す。
【
図44b】装置の様々なストラットパターンを示す。血栓の挟み込みを促進する、ストラット/クラウン構成を示す。
【
図44c】装置の様々なストラットパターンを示す。血栓の挟み込みを促進する、ストラット/クラウン構成を示す。
【
図45】本発明の別の装置のプロファイル及び外側形状の図である。
【
図47】追加のストラット及び接続詳細を含む、
図45の装置と類似した形状の装置を示す。
【
図48】外側シャフトと螺旋及び本体区画の形状が示される、装置の別の実施形態を示す。
【
図50a】マイクロカテーテルによって再被覆された先行技術のステントリトリーバ型装置を示す。
【
図50b】マイクロカテーテルによって再被覆された先行技術のステントリトリーバ型装置を示す。
【
図50c】マイクロカテーテルによって再被覆された先行技術のステントリトリーバ型装置を示す。
【
図51a】血栓中に展開された、本発明の装置を示す。
【
図51b】血栓中に展開された、本発明の装置を示す。
【
図51c】血栓中に展開された、本発明の装置を示す。
【
図52】拡張構成(a)及び収縮構成(b)にある先行技術のステントリトリーバ型装置のストラットを示す。
【
図60】
図59の装置のプロファイル及び外側形状の図である。
【
図61】
図59の装置のプロファイル及び外側形状の図である。
【
図62】
図59の装置のプロファイル及び外側形状の図である。
【
図66】本発明による別の装置の遠位区画の部分の等角図である。
【
図70】放射線不透過性マーカーの位置を示す、本発明による装置の遠位部分の等角図である。
【
図71】本発明の装置の近位端とシャフトとの間の接合体の等角図である。
【
図72】近位ストラットとシャフト上のステップとの間の機械的係止を示す、
図71の接合体の図である。
【
図73】シャフト上のステップに近位ストラットを載置するステップを示す。
【
図74】シャフト上のステップに近位ストラットを載置するステップを示す。
【
図75】シャフト上のステップに近位ストラットを載置するステップを示す。
【
図76】本発明の装置の近位端とシャフトとの間の別の接合体の等角図である。
【
図77】近位ストラットとシャフト上のステップとの間の機械的係止を示す、
図76の接合体の端面図である。
【
図78】シャフト上のステップに近位ストラットを載置して、
図76の接合体を形成するステップを示す。
【
図79】シャフト上のステップに近位ストラットを載置して、
図76の接合体を形成するステップを示す。
【
図80】シャフト上のステップに近位ストラットを載置して、
図76の接合体を形成するステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明の特定の実施形態が、同一の参照番号が同一又は機能的に類似した要素を示す図面を参照して、以下に詳細に記載される。「遠位」又は「近位」という用語は、以下の記載において、治療する医師に対する位置又は方向に関して使用される。「遠位」又は「遠位に」とは、医師から離れた位置又は医師から離れる方向である。「近位」又は「近位に」とは、医師に近い位置又は医師に向かう方向である。
【0050】
脳血管、冠血管、及び肺血管へのアクセスは、数々の市販されている製品及び従来の処置ステップの使用を伴う。ガイドワイヤ、ガイドカテーテル、血管造影用カテーテル、及びマイクロカテーテルなどのアクセス製品は、他に記載されており、カテーテル処置において日常的に使用されている。以下の記載において、これらの製品及び方法が、本発明の装置及び方法と共に使用され、詳細に説明される必要はないことが想定される。
【0051】
以下の詳細な説明は、本質的に単に例示的であり、本発明又は本発明の適用及び使用を制限することは意図されない。本発明の記載は、多くの場合、頭蓋内動脈の治療の文脈におけるものであるが、本発明は、前述のように、他の体内経路においても使用され得る。
【0052】
開示される設計の拡張可能な部材は、望ましくは、高度に歪んだ送達構成から解放されると自動的に形状を回復することができる材料から作製される。ニチノールなどの超弾性材料又は類似の特性を有する合金が特に好適である。材料は、ワイヤ又はストリップ又はシート又は管などの多くの形態であってもよい。特に好適な製造工程は、ニチノール管をレーザ切除し、次いで得られた構造体をヒートセット及び電解研磨して、ストラット及び接続要素のフレームワークを作製することである。このフレームワークは、本明細書に開示される広範囲の形状のいずれであってもよく、合金元素(例えば、白金など)の添加を通して、又は多様な他のコーティング若しくはマーカーバンドを通して、X線透視下で視認可能にすることができる。
【0053】
血栓の圧迫は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、我々の国際公開第2012/120490(A)号に記載されるように、血栓の特性を変え、血栓をより硬く「より粘着質」にすることによって血栓を回収しにくくする場合がある。本発明の装置は、血栓の最低限の圧迫を伴って大きな表面積上で血栓に係合するような方法で、血栓と血管壁との間を拡張することによって、血栓回収を容易にすることが意図される。装置は、最低限の血栓圧迫が点在した深いストラット埋め込みを伴う高迫縮の環を有するように構築されているため、全体的な血栓圧迫は、最小化される。血栓の一部は、低圧迫の領域内に突出することができ、カテーテルの先端と装置のニチノールストラットとの間に挟み込まれ得る。挟み込みは、血栓の一部がカテーテルの先端と装置のクラウン又はストラットとの間で圧迫されるまで、マイクロカテーテル又は中間カテーテルを装置上で前進させることによって達成される。この挟み込みは、血栓、特にフィブリンに富む血栓上の装置の把持を増加させるため、血栓の除去を容易にする。これはまた、血栓を細長くし、取り外し工程中に血栓を血管壁から離して引くことによって取り外し力を低減し得る。これは、潜在的には、血栓の近位端を制御し、それが側部の分岐した血管に引っかかることを防止することによって、アクセスガイドカテーテル又はシースへの後退中の血栓の保持を改善する。
【0054】
本発明において詳述される閉塞した血栓の挟み込みを容易にするための装置設計は、装置の全長、又はより典型的には、装置の長さの近位側30%~50%に組み込まれ得る。この挟み込みセグメントの直径は、閉塞した血栓の位置における標的の血管径の30%~150%で変化し得るが、中大脳動脈のための好ましい実施形態では、より典型的には、標的の血管径の50%~100%である。本発明は、血栓の挟み込みが、マイクロカテーテル先端と単一の管状構造体上のストラット若しくはクラウンとの間でどのように生み出され得るか、又は代替的には、血栓がカテーテル先端とアセンブリの外側ケージ若しくは内側チャネル上のストラットとの間でどのように挟み込まれるかを詳述する。
【0055】
本発明の内側チャネルはまた、血栓にわたって血液連通チャネルを形成するために、血栓の領域を圧迫する部分を含んでもよい。かかるチャネルは、2つの主要な目的を果たす:1)チャネルは、血栓にわたる圧力勾配を低減し、それにより血栓を後退させるために克服しなければならない力のうちの1つを低減し、かつ2)チャネルは、酸素を含み栄養素を運ぶ血液が血栓の遠位にある虚血領域に到達するための流路を提供する。
【0056】
本明細書に記載されるすべての装置はまた、
図7、8、9、10、11、及び12に示されるような遠位断片捕捉部分を含んでもよい。この部分は、理想的には、回収中に解放され得るいかなる血栓断片の遠位移動も防ぐために、血栓の遠位に展開される。
【0057】
図1a~
図1eは、本発明の装置の使用方法を示す。ガイドワイヤ102及びマイクロカテーテル103は、血管構造100内に挿入され、従来の既知の技術を使用して閉塞した血栓101にわたって前進される。マイクロカテーテル103が閉塞した血栓101に対して遠位に位置付けられると、ガイドワイヤ102が血管構造100から除去されて、血栓回収装置110がマイクロカテーテルを通して前進することが可能になる。装置110は、装置の遠位端がマイクロカテーテル103の遠位端に到達するまで、折り畳まれた構成で前進される。装置110の位置を維持しながらマイクロカテーテルを後退させて、装置の遠位端が、好ましくは血栓101の遠位に位置付けられるような方法で、血栓101にわたって血栓回収装置を展開する(
図1b)。装置110は、細長い近位シャフト部分111に接続した血栓係合部分112からなる。
【0058】
装置110は、閉塞した血栓に近位端で又はその長さに沿って係合するように拡張する。装置は、低レベルのスキャフォールドを有し、血栓を圧迫しないが、血栓がこれらの低半径方向力領域内に突出することを可能にするセグメントを有する。装置110は、所望の場合、血栓101内で一定期間インキュベートされてもよい。装置を後退させる前に、マイクロカテーテルを遠位に前進させて、血栓の一部をマイクロカテーテルの先端と、半径方向力領域に隣接する装置のストラット及びクラウンとの間に挟み込んでもよい。この挟み込みは、取り外し及びアクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシースへ戻る保持の間の、血栓の近位端の更なる把持及び制御を提供する(
図1e)。装置とマイクロカテーテルとの間の相対的な張力は、取り外し及び後退の間、血栓上の挟み込みの維持を確実にするためにユーザによって維持される。血栓を挟み込むためのマイクロカテーテル又は中間カテーテルの使用は、本発明と共に使用した場合に追加の利益をもたらすものとして記載されるが、本明細書に記載されるすべての実施形態を使用して、必要であれば、カテーテルでの挟み込みを使用せずに血栓を取り外し、回収することもできる。
【0059】
標準技術であるように、ガイドカテーテル上のバルーン(図示せず)を膨らませることによって、血管における血流の停止を利用してもよい。
図1eは、ガイドカテーテル104内への回収中の、装置に係合した血栓を示す。血栓回収工程中、血流の閉塞、吸引、及び他の標準技術を使用してもよい。装置110は、挿入ツールへの再装填前に、生理食塩水ですすがれ、丁寧に洗浄され得る。装置110は、マイクロカテーテル内に再導入されて、必要であれば、閉塞した血栓の更なるセグメント中に再展開され得る。
【0060】
図2a~
図2cは、
図1a~
図1eに示される装置の一実施形態の近位端を示す。装置は、典型的には、ニチノールなどの「超弾性」特性を有する材料から形成され、管又は平坦なシートの原材料からレーザ切断及び拡張され得る。装置130の自己拡張区画は、近位の細長いシャフト131に接続されている。本発明の装置は、血栓の挟み込みを作り出し、装置130と血栓135との間に更なる把持を生み出すように設計されている。装置130は、低スキャフォールド及び低半径方向力の領域132が点在した、良好な血栓埋め込みを提供するために適切な半径方向力を有するストラット134の環からなるように構築されている。ストラットの環間の長手方向距離は、2mm~8mmで変わってもよいが、中大脳動脈における使用のための好ましい実施形態では、長手方向間隔は、3~6mmである。
【0061】
ストラット134は血栓を埋め込み、いくらかのスキャフォールドを提供する一方、低スキャフォールドを有する領域132は、血栓136がこの領域内に突出することを可能にする。所望の場合、1~5分間のインキュベーション時間の後、マイクロカテーテル140(装置の導入に使用したもの、又は代替的なマイクロカテーテル)を前進させて、突出した血栓136をマイクロカテーテル144の先端と装置130のストラット及びクラウン142との間に挟み込むことができる。これらのストラットの拡張自在な直径は、閉塞した血栓の位置の標的の血管径の30%~150%で変化し得るため、ストラット134は、血栓中の良好な埋め込みを達成するが、好ましい実施形態では、標的の血管径の50%~100%である。示される実施形態では、ストラット134の環間の接続ストラット133は、半径方向力及びスキャフォールドを最低化するために、ストラットの中央区画に向かって縮径を伴って湾曲している。この特徴は、
図3a及び
図3bにおいても見ることができる。
【0062】
マイクロカテーテル140の装置130に対する更なる遠位前進は、カテーテル先端144と装置142のストラットとの間で血栓141を更に圧迫し、血栓上の挟み込み(
図2c)及び捕捉された血栓セグメント136の固定を増加させる。ユーザは、この挟み込みを抵抗として感じ、マイクロカテーテルの前進を止めてもよく、又は代替的には、ユーザは、装置及びマイクロカテーテルを一緒に後退させる前に、マイクロカテーテルを装置上で一定距離(例えば、装置の長さの30%~50%)前進させてもよい。装置と血栓との間の挟み込みが低下しないことを確実にするために、装置130とマイクロカテーテル140との間の相対的な張力は維持されなければならない。装置130及びマイクロカテーテル140を一緒に後退させることによって、閉塞した血栓は、取り外され、アクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシース内に戻るように後退され、患者から除去され得る。本発明は、高フィブリン含量(典型的には、40%超のフィブリン含量)を有する血栓、並びに既知のステントリトリーバ設計による取り外し及び回収が困難であり、現状では血管構造から血管を除去するために複数の通過を要し得る他の血栓の取り外し及び後退に特に好適である。本発明はまた、マイクロカテーテル140について本明細書に記載されたものと同じ方法で中間カテーテルを前進させることによって血栓の挟み込みを作り出すことができる。
【0063】
図3aは、装置の別の実施形態の等角図を示す。この構成において、装置の埋め込み区画は、セルの環151からなる。この環151は、この実施形態においては、3つの円周方向のセルからなる。円周方向の環内のセルの数は、2~5個で変化し得るが、好ましい実施形態では、3~4個のセルである。
図2a~
図2cに示される装置と同様に、埋め込みセル区画間の装置152の部分は、低半径方向力及び低レベルのスキャフォールドを有する。低レベルのスキャフォールドは、この領域152における装置のストラットと血栓との潜在的な表面接触面積を最小化することによって達成される。この実施形態では、接続したストラット153は、血栓とのストラット接触力及び接触面積を更に低減するために、中点において装置の中心線に向かって湾曲している。この低い表面接触面積及び半径方向力により、閉塞した血栓内に展開されると、装置のこの区画内に血栓が突出することが可能になる。装置をマイクロカテーテル又は中間カテーテルで部分的に再被覆することにより、この突出した血栓をカテーテルの先端とセルの埋め込み環の近位ストラット154との間に挟み込むことができる。
【0064】
図3bは、装置の長さに対してプロットされた半径方向力の対応するグラフと共に、
図3aに示される装置の側面図を示す。点線155及び157は、血栓中に埋め込まれたセルの環が、環の間の区画152と比較して、いかにより高い半径方向力を有するかを示す。点線156は、この区画の低減した半径方向力を示す。
【0065】
図3cは、それらの拡張自在な直径の50%未満のルーメン内に拘束されたときの、
図3aの装置150と類似する本発明の3つの装置の外向きの半径方向力プロファイルを示す。3つはすべて、前述の略正弦波状のパターンを呈するが、半径方向力のピーク及びトラフの大きさ(又は振幅)は、これらの装置の長さに沿って変化する。プロファイル50は、装置の長さに沿って上向きに先細りする半径方向力プロファイルを表し、第1のピーク51の半径方向力は、後続のピーク52~54よりも低い。プロファイル60は、装置の長さに沿って下向きに先細りする半径方向力プロファイルを表し、第1のピーク61の半径方向力は、後続のピーク62~64よりも高い。プロファイル70は、装置の長さに沿って上向きに先細りした後に下向きに先細りする半径方向力を表し、第1のピーク71の半径方向力は、第2のピーク72の半径方向力よりも低いが、最後のピーク74の半径方向力は、最後から2番目のピーク73の半径方向力よりも低い。
【0066】
図3dは、装置が代わりにその拡張自在な直径の50%超(例えば、80%)のルーメンに拘束された場合に見られるであろう半径方向力プロファイル70を示す。この場合、装置が、示される3つのピーク81、82、83の両側の領域においてその拘束するルーメン上に外向きの半径方向力を一切付与しないことがわかる。したがって、装置は、ピーク間の領域において血栓上の最小の圧迫を付与しながら、ピークの領域において血栓上のその把持を維持し、これは血栓を後退させるのに必要とされる力を最小化し、それにより血栓回収の成功の可能性を増加させる。
【0067】
図3c及び
図3dもまた、これらの3つの異なる装置のストラット要素の半径方向圧を表す。半径方向圧は、装置によって付与される単位面積当たりの力を指すという点で、半径方向力とは異なる。したがって、所与の領域上で2つの装置が同じ半径方向力を有し、その所与の領域において、一方の装置が他方の装置よりも低いストラット表面積を有する場合、より低いストラット表面積を有する装置が、より高い半径方向圧を付与することになる。ストラットがそれ自体を血栓材料中に埋め込むことを可能にするのが半径方向圧であるため、これは血栓把持において非常に重要である。これはスチレットヒールと象の足との間の違いにいくらか類似しており、柔らかい砂の上に立つときにはスチレットヒールは砂の中に深く埋まるが、象の足は深く沈みこまない。したがって、所与のレベルの半径方向力について、装置の半径方向圧は、ストラット表面積を低減することによって増加させることができ、これは、ストラット幅又はストラットの数を減らすことによって達成され得る。
【0068】
この増加した半径方向圧の血栓把持における有効性は、血管の長手方向軸に対するストラットの角度を最大化することによって更に増加させることができる。ストラットの角度が大きいほど、ストラットが血栓を滑って通過せずにそれを把持する能力が大きくなる。理想的には、ストラットは、最適な把持のために血管軸に対して90度の角度に近づくが、これは数々の理由から実践的に達成することは難しいことがある。1つの主な理由は、装置が、初めに血栓下に展開される際に、典型的には、その拡張自在な直径の一部にのみ拡張しているという事実である。これは、より大きくより近位の血管内に後退するにつれて、血栓上のその把持を保ち、血管との接触を維持することができるように、それが後退するにつれて装置が大きい直径に拡張することができることが好都合であるからである。発明者らは、この問題への効果的な解決策を発見した。すなわち、本開示を通して様々な図、例えば
図7aなどに示されるような二段階直径装置である。近位のより小さい直径は、急な開口角度での確実な把持のために血栓中にストラットをしっかりと埋め込むために使用され得る一方で、より大きい直径の遠位区画は拡張して、それがより大きい血管内に後退されるにつれて血管壁との接触を維持し、血栓の遠位移動に対して保護する。この構成は、近位区画のストラット角度が、血管軸に対して30度超、又は好ましくは45度超、又は更により好ましくは最大60度であることを可能にする。
図7dは、この点をより詳細に示す。
【0069】
図4a~
図4eは、平坦なシートから形成された装置の別の実施形態を示す。
図4aは、この実施形態では、正弦波状の縁部165によって画定され、クロスストラット164によって接続された2列のセル162から形成されている、装置160の平面図を示す。装置は、近位シャフト161に接続されている。
図4bは、血管170内に位置する閉塞した血栓174中に展開された装置160の等角タイプ図を示す。明確性のために、血管170の切欠き図が提供されている。マイクロカテーテル172は、近位シャフト上に位置付けられて示され、マイクロカテーテルの先端が装置の血栓係合区画とシャフトとの間の接合体に位置している。血栓174が装置160と接触している場合、血栓171の一部は、セルを通して突出する。
図4cは、血栓183と装置182とを含む血管180の断面図を示す。この図は、装置181のセルを通して突出する血栓を示す。
【0070】
図4dは、切欠き血管204において、マイクロカテーテル200が前進されて装置を部分的に再被覆するにつれて、血栓がどのように挟み込まれるかを示す、装置206の近位端の拡大図である。血栓210の突出部分は、装置のストラットとマイクロカテーテル200との間に捕捉される。
図4eは、装置206及びマイクロカテーテル200が同時に後退され、血栓211の突出片上の挟み込まれた把持によって、血栓本体205を血管204から取り外すことを示す。
【0071】
図5a~
図5dは、本発明の装置の代替的な管状の実施形態を示す。
図5a~5dは、装置230の側面図、端面図、平面図、及び等角図を示す。この装置は、その長さに沿って、低半径方向力セグメント232と交互になった埋め込みストラットの環231を有する。好ましい実施形態は、血栓中の最適な埋め込みのために、放射状パターンで4~8個のストラットを含有する。この実施形態における区画232内の接続したストラット233は、蛇行した解剖学的構造を通して装置が送達され得るように、最適な押し出し性のために直線状である。
【0072】
図6a~
図6dは、本発明の別の実施形態を示す。
図6a~
図6dは、装置240の側面図、端面図、平面図、及び等角図を示す。この装置は、低半径方向力セグメント242と交互になった埋め込みストラットの環241を有する。好ましい実施形態は、血栓中の最適な埋め込みのために、放射状パターンで2~4個のセルを含有する。この実施形態においてストラットに環の代わりにセルの環を使用することによって、ストラットのより近位の環245が、それが前進するにつれてマイクロカテーテルによって覆われていても、各セグメントのストラットの遠位の環244はより長く拡張したままであるため、血栓の挟み込みを改善し得る。これは、血栓中のストラットの埋め込みをより長く維持し、ストラットとマイクロカテーテルとの間の血栓の挟み込みを改善する。
【0073】
図7a~
図7dは、外側ケージ及び内側構成要素のアセンブリからなる実施形態を示す。この実施形態では、外側構成要素250の近位部分256は、
図1及び
図2について記載された方法と同じ方法で血栓を挟み込むように設計され、血栓中の埋め込みのためのセル251と、低半径方向力及び低スキャフォールドのセグメント252との交互するセグメントを含有する。装置及び血栓のアクセスガイドカテーテル又はイントロデューサシースへの後退前に、内頸動脈におけるより大きい血管径内に回収されるにつれて、外側構成要素のこの近位部分256は、更なる血栓保持のための増加した直径及びより大きいセル253を有する本体区画255に接合される。本体区画255の直径の、近位区画の直径に対する比は、1.5:1~4:1で変化し得、好ましい実施形態では、2:1~3:1である。
【0074】
図7bは、アセンブリの内側構成要素260を示す。この構成要素は、本体区画262をシャフト(図示せず)に接続する細長い近位ストラット261を含有する。構成要素260はまた、断片保護構造体263と、遠位の非外傷性先端264とを含有する。
図7cは、2つの構成要素がアセンブリ270内でどのように整合されるかを示す。細長い近位ストラット273は、低半径方向力セグメント内への血栓突出に対する制限が最小限であるように、外側ケージ277の近位部分の下に位置付けられる。内側構成要素274の本体区画は、外側構成要素271の本体区画内に位置付けられ、血栓にわたる圧力勾配を破るための流路を提供し、血流の回復を提供する。遠位断片保護構造体275は、開口端272を有する外側ケージの端部の内部に置かれ、血栓断片及び塞栓の喪失に対する保護を提供する。
図7dは、このアセンブリ270の等角図を示す。
【0075】
図7eは、血管259において血栓258内に展開された装置250を示し、
図7aの血栓係合要素250のもののようなステップ状の直径設計の主要な利点を示す。近位区画256のストラットの比較的高い半径方向力及び半径方向圧は、区画のストラット251が、血栓中に深く埋まることを可能にし、マイクロカテーテル(図示せず)の前進によって後にセル252内に挟み込まれ得る血栓の膨らみ257を作り出す。更に、近位区画256のより小さい拡張自在な直径は、この区画のストラット251が、遠位区画255のストラットよりもはるかに急な角度で傾いていることを意味し、それによりそれらは確実な後退のためにはるかにより効率的に血栓を把持することができる。
図3c及び
図3dに関する記載は、これらのストラット角度の重要性をより詳細に説明する。
【0076】
図8は、内側構成要素285に接続された断片保護構造体283が、外側ケージ282の端部の遠位に位置付けられている、
図7a~
図7eに示されるアセンブリの別の構成280を示す。外側ケージ286の端部と断片保護構造体283との間に間隙があることを確実にすることによって、特に、装置が蛇行した血管内を後退する際の断片保護性能を改善し得る。断片保護ゾーン283は、十分に拡張したままであり、外側ケージが十分に回収される際に保護を提供するため、装置がカテーテル内に回収される際にも有益であり得る。
【0077】
図9は、カテーテルが遠位に前進されると、構成要素の近位部分335が
図7a~
図7eに記載されるように血栓を挟み込むように構成されている、別の外側ケージ構成330の側面図である。この構成において、構成要素330はまた、回収中の血栓保持のための本体区画332と、遠位断片ゾーン334とを含有する。
図10は、
図9に記載される外側ケージ342と、内側チャネル344とのアセンブリ340を示す。このアセンブリ340内の内側チャネル344は、近位区画341の下を含む、外側ケージ342の全長にわたる。
【0078】
図11は、本体区画362と、血栓突出及び血栓の挟み込みを容易にするために埋め込みセル361及び低スキャフォールド領域363の交互するセグメントを含有する近位区画364と、からなる内側構成要素360を示す。
図12は、この内側チャネル設計373が、外側ケージ372を有するアセンブリ370にどのように統合され得るかを示す。外側ケージ372は、内側構成要素の近位区画371に係合する血栓へのいかなる障害も最小化するための、伸長した近位ストラット375を有する。
【0079】
図13は、外側ケージ402及び内側チャネル408のアセンブリからなる本発明の別の実施形態400を示す。これらの2つの構成要素は、近位シャフト401及び遠位放射線不透過性先端405に接続されている。この実施形態では、内側チャネル408は、低ストラット密度又はスキャフォールドの領域406と交互に隣接した、深い埋め込みのためのストラット407の環を有することによって、本明細書の他の箇所に記載されるように血栓の挟み込みを容易にするように設計されている。この内側構成要素408は外側ケージ402の内部に位置付けられるため、外側ケージのストラットが、内側チャネル408における血栓の埋め込み及び突出を妨害する可能性がある。この問題を解消するために、外側ケージ402は、拡張自在な内側チャネルと同じ直径に外側ケージが部分的に拡張しているときに、外側ケージのストラットが内側チャネル408のストラットと整合するように設計されている。
【0080】
図14a及び14bは、
図13に示される外側ケージのセグメント420を示す。セグメント420は、内側チャネルの拡張自在な直径よりも大きいが、
図14a中の外側ケージの拡張自在な直径よりも小さい直径に拡張して示されている。ストラット421の「犬の脚」の形状を図面中に見ることができ、この形状のストラットが、円周の周囲で、かつ長さに沿って繰り返されて、セル425を形成する。
図14bは、ストラットの形状がどのように、示されるような角度(A)でより長いセグメント424に接続された短いセグメント423からなるかを示す。この角度は、20°~90°で変化してもよく、好ましい実施形態では、30°~60°である。ストラット423の短いセグメントはまた、より長いセグメント424と比較して増加したストラット幅を有し得る。この構成において、短いストラットセグメント423は、より長いストラットセグメント424よりも高い拡張力を有し、したがって、優先的な拡張を有することになり、クラウン426は、クラウン427が拡張する前に開くことになる。これは、ストラット424及びクラウン427が拡張する前にストラット423及びクラウン426が完全に拡張する二段階拡張工程を外側ケージに付与する。この二段階拡張工程はまた、第1段階の拡張が完了したときに低減する半径方向力プロファイルをもたらす。このストラット構成は、第1段階の拡張直径以上の直径を有するニチノール管からこのストラットプロファイルをレーザ切断することによって生み出すことができる。代替的には、この部分は、より小さい管からレーザ切断されてもよく、ストラットはヒートセット中にこの形状に拘束される。
【0081】
図15は、
図14と同じ外側ケージセグメントを示す。しかしながら、この図面において、セグメント430は、拡張自在な内側チャネルと同じ直径である。これは、ストラット432が完全に拡張しているがストラット434はまだ折り畳まれているときの第1段階の拡張ステップの終わりと同じ直径である。
図16は、
図14及び
図15に示される外側ケージセグメントと整合する内側チャネルのセグメントを示す。
図13において論じたように、このセグメント440は、ストラットの環442と低い半径方向力及びストラット密度444の領域とを含有する。
【0082】
図17は、内側チャネルセグメント453(
図16に記載される)と重複した外側ケージセグメント452(
図15に記載される)を示す。この設計の利点は、示されるように両方のセグメントのストラットが完全に整合し、そのため血栓に埋め込まれるストラット区画450への障害が存在しないことである。同様に、セル領域451内に突出する血栓への障害も存在せず、それによりマイクロカテーテルが遠位に前進したときの挟み込みを容易にする。更に、装置がガイドカテーテル又はシースに向かって近位に後退されると、外側ケージは、拡張し続け、血管径が増加しても、血栓との接触を維持することができる。
【0083】
図18は、血栓の挟み込みに有益なセルパターン470を示す。このパターン470は、管状又は平坦な装置構成に組み込まれ得る。血管構造において閉塞した血栓にわたって展開されると、大きいセル領域473において血栓突出が生じる。好適なインキュベーション時間の後、マイクロカテーテルを近位側部472から前進させて、装置を部分的に再被覆することができる。マイクロカテーテルがセル473内に突出する血栓と接触すると、マイクロカテーテルは、セルにおいてストラット471間の領域474内へと血栓を遠位に移動させる。狭窄ストラットは、捕捉された血栓をクラウン475に向け、カテーテル先端と装置との間の血栓上の改善した挟み込みを生み出す。
【0084】
図19は、平行に接続された複数の管状構成要素のアセンブリ470からなる本発明の構成を示す。示される構成において、2つの構成要素472及び473は、ストラット474によって近位端で接続され、続いて近位シャフト471に接続されている。ここに示される両方の構成要素472及び473は、
図3及び6に記載される実施形態に類似している。これらの構成要素の整合は、この図面において示されるものからずれていてもよく、構成要素は、長さに沿って互いの周囲に巻き付いてもよい。2つを超える構成要素がこの方法で一緒に接続されてもよく、異なる構成要素は異なる直径を有するか又は長さに沿って先細りになってもよい。これらの構成要素のアセンブリは、装置がマイクロカテーテル又は中間カテーテルによって部分的に再被覆されているときに血栓の挟み込み及び把持を改善する潜在性を有する。
【0085】
図20aは、管状構成要素480がヘリックス状又は螺旋状の形状482に形成され、近位シャフト481に接続されている、装置の構成を示す。構成要素483の切断パターンは、
図3及び
図6記載されるように血栓の埋め込み及び把持を促進するように設計されている。しかしながら、この構成において、構成要素の中心線は、
図20bに示されるように螺旋状のトラックに追従し、トラック491は、円筒状マンドレル490の表面を追従する。
【0086】
図21に示される装置の別の実施形態では、装置の中心線もこの場合、螺旋状の経路を形成するように、平坦な装置500が形成される。この装置は、必要とされるストラットパターン502を管からレーザ切断することによって、又は平坦なシートを切断した後にヒートセット前に平坦な部分を円筒の周囲に巻き付けることによって形成され得る。したがって、装置は、円筒の周囲に幅広いリボンを巻き付けるのと同様の形状を有する。この装置が閉塞した血栓にわたって展開されると、血栓は、低いストラット密度の領域内に突出し得るが、ヘリックス状コイルの中心ルーメン内にも突出し得る。装置後退に際して、これは、血栓の把持及び取り外し性能を改善し得、またマイクロカテーテル又は中間カテーテルが血栓と接触するまで装置上で遠位に前進された場合に血栓の挟み込みも容易にし得る。示される実施形態500は、装置の本体部分506において平坦な断面を有する。ヘリックス状の本体区画は、近位シャフト501及び遠位先端504を有する断片保護構造体503に接続されている。
図22は、本体セグメント522が湾曲又はプロファイルされた断面形状を有することを除いて、
図21と類似した別の装置実施形態520を示す。
図23a~
図23cは、本発明のこの構成に組み込まれ得る断面形状の異なる例を示す。
図23aは、平坦な断面531を示し、
図23bは、「S」字形状の断面532を示し、
図23cは、湾曲した断面533を示す。
【0087】
図24aは、
図23cに示されるものと類似する湾曲した断面を有する装置550の別のヘリックス状構成を示す。レーザ切断されたか又はワイヤで形成された血栓係合区画553は、近位シャフト551に接続されている。血栓を挟み込み、
図1に示されるような血栓上の改善された把持を生み出すために、マイクロカテーテルがこの装置と共に使用されてもよい。血栓を挟み込むためにマイクロカテーテル又は中間カテーテルが装置上で前進されるとき、それは血管の中心線に追従してもよく、又は代替的には、
図24bに示されるようにそれは装置の中心線に追従しヘリックス状トラックに追従してもよい。再被覆する間にカテーテル561が血管562の中心線に追従する場合、ヘリックス状コイル内の管腔空間564における血栓の良好な挟み込みを生み出すことができる。代替的には、示されるようにカテーテル561が装置563の中心線に追従する場合、切断パターン560のセルにおける血栓の良好な挟み込みを生み出すことができる。
図25は、二重ヘリックス型構成体を形成するように2つのヘリックス状構成要素583及び584から構成された装置580の実施形態を示す。
【0088】
図26は、装置601の近位部分が、必要であれば
図7に記載されるものと類似して血栓の挟み込みを容易にするように設計されている、本発明の別の実施形態600を示す。本体区画604はまた、
図7に記載されるものと類似しているが、この実施形態では、近位区画と本体区画との間の接続603は、張力下において伸長することができる。これは、装置による取り外しの間の血栓の引き伸ばしを容易にする。血栓の近位端は挟み込まれ、装置601の近位部分状に拘束されることになり、血栓の遠位端は本体区画604上に位置付けられることになる。装置が後退すると、近位端601がまず移動して、血栓の近位端を引く。血栓の遠位端が血管中に詰まった場合、装置の本体区画は静止したままで、コネクタ603が伸長することになる。これはまた血栓を伸長させて血管壁から剥離し、取り外し力を低減することになる。コネクタ603における張力が血栓の遠位区画の取り外し力に等しい場合、残りの血栓は移動し始める。この実施形態では、伸長するコネクタ603はコイルばねで形成されているが、別の実施形態では、この伸長する要素は、外側ケージの切断パターンの一部を形成してもよい。
【0089】
図27a及び
図27bは、装置の別の実施形態を示す。
図27aは、拡張自在な構成にある装置700を示す。本発明のこの繰り返しにおいて、外側ケージ701の近位部分は、血栓の挟み込みを容易にするために血栓埋め込み及び血栓突出を促進するように構成されている。装置が血管構造中の屈曲及び分岐を通過して後退する際の良好な血栓保持を確実にするために、外側ケージの本体区画702は近位区画と比較して増加した直径を有する。外側ケージは、遠位クラウン上に放射線不透過性マーカー703が示されている開口遠位端を有する。このアセンブリにおける内側構成要素は、断片保護構造体705を近位接合体708と接続するワイヤ706からなる。拡張自在な構成において、外側ケージ703の遠位ストラットと断片保護構造体707の先端縁との間に明確な間隙が存在する。この空隙は、1mm~20mmで変化し得、好ましい実施形態では、5~10mmの範囲である。
【0090】
図27bは、この図面では装置750が閉塞した血栓の位置で標的の血管径であることを除いて、
図27aと同じ装置を示す。この直径において、断片保護構造体755の先端縁757は、外側ケージ752の内部、かつ遠位クラウン753の近位に位置する。外側ケージ752に対する断片保護構造体755の位置のこの変化は、拡張自在な構成における外側ケージ752及び縮径における外側ケージ752の長さの違いに起因する。断片保護構造体を小さい直径で外側ケージの内部に位置付けることにより、装置展開のために血栓の遠位に必要とされるパーキングスペースが最小化される。更に、大きい血管における装置後退中及びガイドカテーテル又は中間カテーテル内への回収中に断片保護構造体755を外側ケージ752の遠位に位置付けることにより、断片保護の有効性が改善される。
【0091】
図28は、
図27に記載される装置実施形態の使用方法を示す。装置800は、標準的なインターベンション技術を使用して血栓803にわたって展開され、装置802の遠位端及び断片保護構造体801が、血栓803の遠位に位置付けられる。装置800はまた、血栓挟み込み部分804を含有し、細長い近位シャフト部分805に接続されている。
【0092】
装置
図850は、マイクロカテーテル855が前進して、血栓853と装置854の近位部分との間に挟み込みを生み出した後の、血管中の装置を示す。標的血管位置におけるこの直径において、遠位断片保護構造体851は、部分的に外側ケージ852の内部にある。
【0093】
装置
図900は、より大きい直径の血管内に戻って後退されている装置を示す。血管径が増加すると、外側ケージ901の直径も増加し、外側ケージの長さは短くなる。これは、断片保護構造体の近位縁部902と外側ケージ905の遠位端との間に間隙を生み出す。これは、取り外し及び回収工程中に解放された任意の断片又は塞栓904の捕捉を容易にする。血栓906は、マイクロカテーテル907の遠位先端と装置908との間に挟み込まれて保持されたままである。
【0094】
装置
図950はまた、回収工程中に血栓断片954及び953を捕捉し血栓本体956から解放する断片保護構造体951の有効性を示す。
【0095】
図29に示される装置1000は、管状構成要素1001がヘリックス状又は螺旋状構成に形成され、近位シャフト1002に接続されている、
図20a及び
図20bに示される装置の別の実施形態である。この構成において、構成要素の中心線は、
図20bに示される先細り又は円筒状マンドレルの表面に追従するヘリックス状のトラックを形成する。管状構成要素の直径は、0.5~8.0mmで変化し得、好ましい実施形態では、1.0~4.0mmの範囲である。ヘリックス状のトラックが追従する円筒状マンドレルの直径は、1.0~10.0mmで変化し得、好ましい実施形態では、2.0~7.0mmの範囲である。ヘリックスの挟み込みは、3.0~30mmで変化し得、好ましい実施形態では、10.0mm~20.0mmの範囲である。
【0096】
この装置のヘリックス状構成は、装置が直線構成よりも血栓に係合するため、血栓の取り外しに対する性能利点をもたらす。血栓は、装置のストラット間でセル内により深く埋め込まれ、血栓上の装置の把持を改善する。これは、装置の一部を血管の表面から離れて血栓の本体内に位置付けるヘリックス状の形状に起因して生じる。これは、螺旋状の装置1051が神経血管1050における血栓1052内に展開されている、
図30に示される。装置1051は、それを通して送達した後にマイクロカテーテル1053を後退させる、ステントリトリーバを展開するための標準的な処置によって展開される。1つの使用方法において、血栓1052を取り外し、それをアクセスカテーテル1054内に回収するために、装置1051を直接後退させてもよい。処置中に吸引を利用してもよく、アクセスカテーテル1054上のバルーン1055を膨らませることによって血流の停止がもたらされ得る。代替的には、血栓における装置1051の展開後に、本明細書の他の箇所に記載されるように、装置1051を部分的に再被覆し、マイクロカテーテルの遠位端と装置1051のストラット及びクラウンとの間の血栓上の挟み込みを生み出すために、マイクロカテーテル1053を再度前進させてもよい。その後、必要であれば血流の停止及び吸引を利用して、装置、マイクロカテーテル、及び血栓を一体としてアクセスカテーテル内に後退させることができる。
【0097】
ヘリックス状又はコルク栓抜き状構成を有する装置における血栓埋め込みの深さの増加は、困難な血管の蛇行における、及び分岐(D4)の有効径が近位(D1)又は遠位(D2、D3)血管の直径よりも大きい、
図31に示されるような血管の分岐における血栓上の挟み込みを得るために特に有用である。これは、
図32a及び
図32bに更に示され、
図32aは、血管1070内の血栓1072において展開された直線状の管状構成要素1071を示す。
図32bは、管状構成要素1083(
図32aの構成要素1071と同じ直径を有する)がヘリックス状構成で形成されたときの、血栓1082における改善された係合及び埋め込みを示す。ヘリックス状構成は、装置1083が血栓内で係合する深さを増加させ、血栓と接触する装置の表面積も増加させる。
【0098】
図33は、解剖学的血管1100の分岐に位置する血栓1101において展開されたヘリックス状の管状構成要素1102を示す。医師が、血栓が装置中に挟み込まれたことを示す移動に対する抵抗を感じるまで、マイクロカテーテル1103を前進させて、装置1102を再被覆することができる。その後、マイクロカテーテル1103、装置1102、及び血栓1101は、装置と血栓との間の挟み込みを維持しながら、同時に除去され得る。
【0099】
図29~
図33に示されるヘリックス状の管状構成要素は、中程度~高いフィブリン含量を有する器質化した血栓などの、血管から取り外し回収することが困難な血栓の挟み込みを生成することを特に得意とする。
図34は、すべての種類の血栓の取り外し及び保持に使用され得る装置1200を示す。この装置1200は、前述のようにマイクロカテーテルで部分的に再被覆することによって血栓上の挟み込みを生み出すために使用され得るヘリックス状の管状構成要素1205を組み込んでいる。外側ケージ構成要素1201も、展開に際して血栓に係合し、装置が中間カテーテル、ガイドカテーテル、又はシースへと近位に後退されるにつれて、血栓の取り外し及び保持のための更なる把持を提供する。外側ケージ構成要素1201は、赤血球に富む柔らかい血栓及び異なる要素を含む混成の血栓を含む、全範囲の血栓の種類のための取り外し及び保持能力を提供する。ヘリックス状構成要素1205はまた、外側ケージ1201の内側表面に更なる半径方向力を提供し、展開に際してそれが血栓内で拡張することを補助する。外側ケージ構成要素1201は、構成要素の遠位端をX線透視下で印すための遠位放射線不透過性マーカー1204を有する。放射線不透過性マーカー1204は、典型的には、白金、タングステン、金、又は類似の放射線不透過性要素から製造されたワイヤコイル、リベット、又はインサートからなる。
【0100】
この構成において、外側ケージ1201は、近位ストラット1209によって近位シャフト1210に接続されている。このストラット1209は、ヘリックス状構成要素1205の挟み込み性能に対して最小の影響を有し、ヘリックス状の管1207の近位区画の内部又は外部に位置付けられ得る。この装置を用いて血栓上の挟み込みを生み出すために、医師が装置上でカテーテルを更に遠位に押すことに対する抵抗を感じるまで、マイクロカテーテル、診断用カテーテル、又は中間カテーテルによって部分的に再被覆されてもよい。この時点で、医師は、挟み込みに成功したことを認知し、カテーテル及び装置は、血栓と共に一体として除去することができる。抵抗が感じられないか、又は挟み込みが生み出されなかった場合、装置1200は、血栓をアクセスカテーテル内に回収するための標準的なステントリトリーバとして回収され得る。放射線不透過性マーカー1206は、X線透視下で視認可能であり、いつ装置を標準ステントリトリーバとして回収するか、すなわち明確な抵抗(挟み込み)が感じられるまで又はマイクロカテーテルがマーカー1206と整合するまで装置をマイクロカテーテル(図示せず)で再被覆するかについての医師への指標である。その後、標準的な処置に従って装置を回収する。
【0101】
この装置1200はまた、血栓の取り外し及び回収中に生成され得る血栓断片又は塞栓を捕捉するための断片保護特徴部1202を組み込む。この構成において、断片保護特徴部1202は、ヘリックス状構成要素1205の不可欠な部分であり、完全に拡張したときに外側ケージ構成要素1201に対して遠位に位置付けられている。遠位放射線不透過性先端1203は、断片保護特徴部1202の端部に接続されている。
【0102】
更なる明確性のために、
図34における装置アセンブリ1200に示される外側ケージ構成要素1201及びヘリックス状構成要素1205は、
図35a及び
図35bにおいて別個に示される。
図35aにおける外側ケージ構成要素1250は、この構成において、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている、我々の国際公開第2014/139845(A)号に記載されるものに類似した中央区画構成体を有する。遠位マーカー1252は、X線透視下での可視性のためにこの区画の遠位クラウンに接続され、放射線不透過性マーカー1253は、細長い近位ストラット1254上に位置付けられている。放射線不透過性マーカー1253は、放射線不透過性材料のコイルから形成されてもよく、適所に結合、溶接、又ははんだ付けされてもよい。代替的には、放射線不透過性材料の環から形成され半径方向に縮れていてもよく、又は平坦なシートから形成されストラット上の目穴の中にリベット留めされてもよい。近位カラー1255を使用して、外側ケージ構成要素1250及びヘリックス状の管状構成要素1300(
図35bに示す)を装置の近位シャフト(図示せず)に組み立てることができる。
【0103】
図35bは、
図34のアセンブリ1200に含まれているヘリックス状構成要素1300を示す。明確性のために、この図面において、構成要素1300の本体区画1302に沿ったストラットの詳細は示されていない。装置アセンブリに使用される近位ストラット1305及び近位カラー1301が示される。断片保護区画1303及び遠位放射線不透過性マーカー1304も示される。この構成において、本体区画1302は、その長さに沿って固定された直径を有するが、他の構成(図示せず)では、直径は、長さに沿って増減し得る。同様に他の構成では、ヘリックス直径及びピッチは、長さに沿って変化し得るか、又は構成要素は、直線及びヘリックス状区画の組み合わせを有し得る。この構成要素の挟み込み能力に加え、内側チャネルの機能性、例えば、展開に際して血流を即時に回復すること、血栓にわたる圧力勾配を破ること、造影流及び遠位可視化を容易にすること、並びに遠位塞栓のための吸引チャネルとして作用すること提供する。中央及び遠位部分がより密にスキャフォールドされて内側チャネルの機能性を提供する一方で、近位部分が挟み込み能力を提供するように、装置1300のストラット及びクラウンパターンは本体区画1302の長さに沿って変化し得る。
【0104】
本発明の別の実施形態が
図36に示される。この装置1400も、ヘリックス状の内側管状構成要素1403及び外側ケージ1401のアセンブリである。この構成において、断片保護特徴部1406は、外側ケージ1401に不可欠である。外側ケージ1401及びヘリックス状構成要素1403は、近位接合体1405において近位シャフト1404に接続されている。遠位放射線不透過性先端1402は、このアセンブリにおいて外側ケージ1401に接合されている。
【0105】
図37は、
図7aに示される装置の別の実施形態を示す。この装置1450において、近位区画1451は、マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されたときに血栓を挟み込むように構成されている。前と同様に、近位ストラット1456は、大きい開口角度を有し、セルの大きさは血栓突出を促進して、再被覆される間のマイクロカテーテルと装置1450との間の挟み込みを容易にする。中央区画1452は、近位区画よりも大きい直径に拡張して、血管の屈曲及び分岐を通過する血栓の後退中に血栓把持及び保持を提供するように構成されている。近位区画1451及び中央区画1452は、異なるストラット長及び切断パターンを有し、したがって異なる半径方向力特徴を有する。一実施形態では、固定した展開直径(例えば、1.0mm)のための近位区画1454の半径方向力は、中央区画1455の対応する半径方向力もより大きいが、他の実施形態では、同じ展開直径のための中央区画1452の半径方向力が近位区画1451の半径方向力よりも大きい。
【0106】
図38は、本発明に詳述される装置のいずれかの挟み込み部分の典型的なストラットの切断パターンを示す。ストラット1501は、長手方向血管軸に対して大きい開口角度を有し、移動の方向に対するストラットの角度が大きければ大きいほど、ストラットが血栓を滑って通過せずに把持する能力が大きくなるため、これは改善された血栓把持を促進する。同様に、血栓内の移動の方向に対してほぼ直角であるクラウンの長さを最大化することによって血栓把持を改善するように、クラウン1502の内径が増加される。ストラットコネクタ1503の長さは、装置中のセルの環に低い半径方向力及び低いストラット表面積を提供して、埋め込み及びこれらのセル内への突出を促進するように、全セル面積1504を増加させる。装置がマイクロカテーテルによって再被覆されると、突出した血栓は、ストラット1501に対して、かつクラウン空間1505内に押され、それを捕捉し、所定の位置に挟み込む。
【0107】
装置の切断パターンの別の実施形態が
図39に示される。この構成において、クラウン1551に隣接するストラット形状及び屈曲角度1553は、マイクロカテーテル1555で再被覆する際に、接合されるストラットが一緒に1554を閉じ、別の挟み込み点を作り出して、セル領域(図示せず)内に突出している血栓の把持を補助するように寸法決めされている。
【0108】
図38に記載されるように、切断パターン中のクラウン内径が大きければ大きいほど、血管の長手方向軸(及び血栓移動の方向)に対してほぼ直角であるクラウンの部分が長くなり、血栓の取り外し能力がより良くなる。
図40は、装置がマイクロカテーテルを通した標的血管位置への送達のための装填構成に巻き付けられることを可能にしながら、クラウン直径が最大化することを可能にするクラウン構成を示す。巻き付けられた直径を最小化するために、クラウン1603、1604、及び1605は、折り畳まれた構成において、クラウンが短いコネクタ、例えば1606の両側の空間内に嵌まるように、長手方向軸に沿ってずれている。このクラウンのずれを生み出すために、接合されたストラット1601及び1602は、異なる長さを有する。
【0109】
図41は、切断パターンが、最大量の血栓がセル1655からクラウン空間1652内へとマイクロカテーテル先端1654によって押されて挟み込みを作り出すことができるように、マイクロカテーテル1651によって再被覆される間にクラウン1653がその全直径を維持するように構成されている、装置の別の実施形態を示す。
図42は、近位向きのクラウン1703が
図41に示されるものと類似し、改善された血栓挟み込みのためにクラウン空間1701が最大化されている、切断パターンの実施形態を示す。この構成において、クラウンは、血栓の挟み込みのために必要とされないため、遠位向きのクラウンの直径1704が低減され、低減された直径は、より低い再被覆力及び隣接するストラット1702における増加した半径方向力を容易にし得る。
【0110】
図43は、
図42に詳述されるような改善された血栓の挟み込みのために近位向きのクラウン1721、1723が遠位向きのクラウン1725よりも大きい直径を有する、装置の実施形態を示す。この装置の長手方向軸に沿ったセルの交互の環は異なる面積を有し、セル1726は、1720よりも大きい面積を有する。したがって、より多い血栓が埋め込まれセル1726内に突出する可能性が高い。セル1726内に突出する血栓は、再被覆時にマイクロカテーテルによってクラウン1723に向かって押される。この再被覆が円滑であり、医師への良好な触覚フィードバックを伴うことを確実にするために、ストラット1724の長さを増加して、カテーテルが低半径方向力セグメントから高半径方向力セグメントに移動する際の「衝突」の感触を低減させる。更に、ストラット1722の長さを短くして、クラウン1723を支持しているストラットの環における半径方向力を増加させる。これは、マイクロカテーテルによる再被覆中にクラウン1723をより長く拡張したままにし、挟み込みの有効性を増加させる。
【0111】
図44a~
図44cは、ストラットの長さに沿った血栓の挟み込みを促進するストラット/クラウン構成を示す。
図44aは、拡張自在な構成にあるストラット1757及び1758を示す。ストラット1758は、それがクラウン1753に近づく一連の屈曲1751、1752、及び1759を含有するように製造される。同様に、ストラット1757は、一連の適合する屈曲1754、1755、及び1756を含有する。装置がマイクロカテーテル内に再被覆されるにつれて、装置の直径は小さくなり、ストラットは互いの近くに移動する。
図44bは、直径が小さくなるにつれて、ストラットにおける屈曲が相互係止し、点1808と1805との間、及び点1804と1807との間などに挟み込み点を作り出すことを示す。これは、
図44cに示されるように2つのストラット間に埋め込まれた突出した血栓の把持を補助する。
図44cにおいて、血栓1852の一部は、ストラット間のセル内に突出している。装置は、マイクロカテーテル(図示せず)によって再被覆され、ストラット1850及び1851は互いの近くに移動し、突出した血栓1853上の挟み込みを生み出す。この血栓の挟み込みは、改良された血栓の取り外し能力及びアクセスカテーテル内への安全な血栓回収により装置の有効性を改善する。
【0112】
本発明の別の実施形態が
図45に示される。この図面は、装置1900のプロファイル及び外側形状を示すが、明確性のためにストラットパターンは示さない。この実施形態では、装置の近位区画1905は、
図29~
図33に記載されるような螺旋状構成に形成されている。この近位区画1905はまた、マイクロカテーテルによって部分的に再被覆されたときに血栓を挟み込むように構成されている。前と同様に、ストラットは、血栓の挟み込みを容易にするための開口角度及びクラウンを有し、セルの大きさは血栓突出を更に改善して、再被覆される間のマイクロカテーテルと装置との間の挟み込みを容易にする。本体区画1901は、円筒状又は均一な形状に拡張して、血管の屈曲及び分岐を通過する血栓の後退中に血栓把持及び保持を提供するように構成されている。本体区画はまた、30~100%の範囲の赤血球含量を有するより柔らかい血栓の把持及び保持に特に好適であるが、特に50%超の赤血球含量を有する血栓の把持及び保持に特に好適である。この構成において、装置は、本体区画1901によってより柔らかい又はより不均質な血栓を把持及び保持しながら、近位区画1905上でマイクロカテーテルにより部分的に再被覆することによってフィブリンに富む血栓を把持することによってフィブリンに富む血栓及び赤血球に富む血栓を取り外して保つことに有効である。この図に示される装置1900は、近位接合体1904において近位シャフト(図示せず)に接続され、断片保護ゾーン1902を有する。近位螺旋状区画1905は、1906において本体区画1901に接続されている。この接続は、中心に置かれ本体区画と同心であってもよく、又は偏心性であり、例えば、本体区画の外側表面と整合してもよい。近位の管状区画と本体区画との間の張り出した区画1903は、保持及び断片保護の改善のために、本体区画内への血栓の移動を促進するための大きいセル開口を含んでもよい。
【0113】
図46は、示される方向「A」から見たときの、
図45に示される装置1900の端面図を示す。この図において、螺旋状の外側表面1951は、本体区画直径1952
【0114】
【0115】
【数2】
を有する。他の実施形態(図示せず)では、螺旋状の外径は、本体区画直径以下であり得る。螺旋状の外径は、典型的には、2.0~8.0mmの直径であり、好ましい実施形態では、4.0~6.0mmである。本体区画直径は、1.0~8.0mmで変化し得、好ましい実施形態では、3.0~6.0mmである。本体区画は、この実施形態では円筒状構成で示されているが、この区画はまた、近位区画とは異なるピッチ、管径、及び螺旋径を有する螺旋状又は湾曲した形状に形成されてもよい。
【0116】
図47に示される実施形態2000は、
図45及び
図46に示される装置と類似した形状を有し、更なるストラット及び構成体の詳細を伴う。この実施形態は、近位ストラット2008によって近位シャフト2007に接続されて示されている。近位区画2001は、螺旋状構成で形成され、本体区画2002は、円筒状構成で形成されている。装置の遠位端は、円錐形状を形成して、断片保護能力を提供する。X線透視下における可視性のために放射線不透過性コイル又はマーカー2003が遠位先端に付加される。螺旋状区画から本体区画への遷移部分において、又はその近くに、追加の放射線不透過性マーカー2005が装置に付加される。このマーカー2005は、螺旋状区画2001の端部を目立たせ、マイクロカテーテルによる再被覆を停止する最適点を区別するために使用され得る。この放射線不透過性マーカーはまた、赤血球に富む血栓について、装置を血栓の近位面と整合させるために使用されてもよい。同様に、シャフト2007の遠位端上の放射線不透過性コイル(図示せず)は、螺旋状挟み込み区画2001をフィブリンに富む血栓の近位面と整合させるために使用され得る。近位螺旋状区画は、典型的には、5~30mmの長さであり、好ましい実施形態では、8~15mmの長さである。螺旋状区画に沿って追加の放射線不透過性マーカーを付加して、マイクロカテーテルによる再被覆のための増加したフィードバック及び明確性を提供することができる。
図47も、血栓が本体区画2002の内部に部分的又は完全に進入することを促進するように設計された、螺旋状の管から本体区画への直径遷移部分におけるセル開口2006を示す。
【0117】
図48は、シャフト2052並びに螺旋状及び本体区画2051の外側形状のみが示されている、装置の別の実施形態2050を示す。この実施形態では、螺旋状区画2056の端部を区別する放射線不透過性マーカー2055は、近位シャフト2052への伸長部2054上に載置されている。このシャフト伸長部2054は、近位接合体2053の遠位に続き、螺旋状区画をシャフト2052に接続する。
【0118】
図49aは、前に
図6a~
図6dにおいて詳述された実施形態2100の部分平面図を示し、装置がマイクロカテーテルにより再被覆されたときに血栓がストラット2103及び2104に対して押し付けられ得るように、装置内への血栓突出を促進する大きいセル領域2102を示す。
図49bにおいて、装置2122は、動脈血管2120に位置する血栓2121中に展開されて示されている。装置2122は、近位シャフト2123に接続されている。装置の展開に際して、大きい開口セル区画2126上に位置付けられた血栓区画2124が装置内に突出する間に、ストラット及びセルの環2125は血栓中に埋め込まれる。大きい開口セル区画は、装置内への血栓突出を促進し、血栓の圧迫、及びその後の血管壁2120との摩擦の増加を最小化する。
【0119】
図49cは、血管構造からの取り外し及び回収を容易にするために、血栓2141の突出した区画2142がどのようにカテーテル先端2145ストラット及びクラウンの環2144に対して押されて、血栓上の把持を生み出すかを示す。
【0120】
本明細書に開示される発明は、カテーテルにより再被覆されたときに、既存のステントリトリーバ技術よりも血栓の把持及び挟み込みにおいて有効性及び信頼性が高い。
図50a~
図50cは、既存のステントリトリーバ装置2200(先行技術)がマイクロカテーテルによって再被覆されたときに何が起こるかを示す。
図50aは、血栓2201中に展開されたステントリトリーバ2203を示す。ストラット埋め込みが血栓2201中で生じ、いくつかの血栓は、開口セル2203内へと突出する。典型的なステントリトリーバは、4~6mmの範囲の外径を有し、
図50bに示されるように装置2224が再被覆されるにつれて、リトリーバは収縮し、血栓2220から引き離される。したがって、マイクロカテーテル2221が前進するにつれて、血栓2220中に埋め込まれていたストラット2223は血栓表面から引き離され、セルにおける血栓突出が損なわれ、マイクロカテーテルが完全に前進し、血栓の下で装置を再被覆することを可能にする。
図50cは、装置がカテーテル2240によって再被覆されるにつれて、ストラット長2242及びクラウン開口角度2244がどのように装置の再被覆角度2241を規定するかを示す。この角度2241が垂直から大きければ大きいほど、再被覆中に装置ストラットが血栓の表面から引き離される可能性が高くなる。長さ2245は、カテーテルが前進するにつれて装置径が収縮し始めるカテーテル先端からの距離である。この長さは、再被覆角度が大きくなる(垂直から)と増加し、装置ストラットの血栓との接触を低減する。
【0121】
既存のステントリトリーバ技術の
図50a~
図50cと比較して、
図51a~
図51cは、血栓中に展開された本発明の実施形態を示す。
図51aは、血栓2301中に展開された、本特許の他の箇所に記載されるものと類似した装置2300を示す。ストラットの環2303は血栓内に埋め込まれ、血栓2302は、大きい開口セル2305内に突出する。
図51bに示されるように装置がカテーテルによって再被覆されるにつれて、カテーテル先端が近づくと、装置の長さに沿ったストラット長、クラウン構成、及び半径方向力プロファイルは血栓中のストラットの埋め込み及びセル内の血栓突出を維持する。したがって、再被覆工程中に血栓2322は装置セル中に突出したままであり、隣接するストラット2326及びクラウン2325に対して押され、それを所定の位置に挟み込む。クラウン2325はまた、再被覆工程中により長い時間にわたってそれが拡張し血栓中に埋め込まれたままであることを確実にするために、ストラットの環2324によって支持されている。この性能特性は、
図51cに示される低減された再被覆角度(垂直から)、及び装置径がカテーテル先端のすぐ近くを除いて、収縮しないことを示す大きく低減された長さ2345に反映されている。この特徴は、前に
図3a~
図3dにおいて説明されたように、装置の長さに沿って交互になったより高い半径方向力プロファイル及びより低い半径方向力プロファイルによって、更に容易にされる。
【0122】
この装置の好ましい実施形態は、再被覆工程中に、典型的には4~6mmに拡張する標準的なステントリトリーバよりも短いストラット長を促進し、より大きいクラウン拡張角度を可能にする2~3mmの外径を有する。これは、
図52a及び
図52bに示され、
図52aは、2次元構成に広げられた、4mmの外径を有する3つのセルの従来のステントリトリーバの拡張したストラット2402を示す。2mmの直径に収縮したときのこの同じ装置が
図52bに示され、ストラット長2423を示し、クラウン開口角度が
図52aにおける2401から
図52bにおける2422へとどれだけ低減したかを示す。比較すると、本発明のストラット構成が
図53に示され、挟み込みを容易にするためのストラットの大きい拡張した角度2442と、大きいクラウンID2443とを示す。この装置は、血栓を装置によって部分的又は完全に血管壁に対して押し付けてストラットの埋め込み及び血栓の係合を維持するのではなく、マイクロカテーテル先端と装置のクラウンとの間の血栓の挟み込みによって血栓の係合及び保持が提供されるため、2mmの直径においてなお有効である。
【0123】
図54a及び
図54bに示されるストラット構成は、閉塞した血栓の挟み込み及び取り外しを生み出すことを補助するために更なる利益を提供する。
図54aにおける装置2504のストラットパターンは、2次元構成に広げられて示されている。装置2504がマイクロカテーテルによって再被覆されるとき、外径が低減し、ネックポイント2505を反対側のネックポイント2501に向かって移動させる。これは、マイクロカテーテルが前進し血栓をクラウン2502に対して押すときに、それを押し付けて挟み込み把持を生み出すことで、セル2503内に突出している血栓を把持し、この位置に血栓を維持することを補助することができる。
図54bは、血栓が屈曲及び分岐を通過してアクセスカテーテルへと後退するにつれて、挟み込みを容易にし、また血栓の把持及び保持を改良するために、ネックポイント2553がどのように一緒に閉じて、マイクロカテーテル先端2555とクラウン2551との間に位置付けられた血栓(図示せず)上の更なる把持を提供するかを更に示す。
【0124】
図55~
図58を参照すると、上記の装置と類似したいくつかの特徴を有する、本発明による別の装置3000が示されている。装置3000は、近位挟み込み区画3001と、この場合、近位区画よりも大きい直径を有する略円筒状又は胴形状である遠位区画3002とを含む。遠位胴区画3002は、この場合、遠位胴区画3002を形成するストラットのうちの2つの最遠位端に取り付けられた2つの白金/タングステンコイル3004を含む遠位放射線不透過性マーカーを有する。更に、金からなってもよい放射線不透過性マーカー3005は、近位挟み込み区画3001と遠位胴区画3002との間の遷移部分に位置する。マーカー3005は、再被覆工程中にマイクロカテーテルをどれほど遠くまで再前進させるかを示す指標をX線透視下において与えることができる。放射線不透過性マーカー3005は、装置のプロファイルを最小化するために、好ましくは長手方向にずれている。同様に、放射線不透過性マーカー3004はまた、装置プロファイルを最小化するために、好ましくは長手方向にずれている。
【0125】
装置3000は、好ましくは、ストラットパターンを形成するためにレーザ切断される、ニチノールなどの形状記憶材料の単一の管から形成される。示される拡張構成においてこの区画が近位挟み込み区画3001の直径よりも大きい直径を有するように、遠位胴区画3002は外向きに張り出して胴形状を形成する。装置3000はまた、挟み込み区画3001の近位端と装置が載置された細長いシャフトとの間に近位接合体3006を有する。近位接合体は、以下に詳細に記載される。
【0126】
拡張した展開構成において、遠位胴区画の直径は、典型的には約4.5mm(3.5~8.0mmの範囲内)であり、近位挟み込み区画の直径は、約2mm(1.5~4.0mmの範囲内)である。
【0127】
図56及び
図57から部分的に明らかとなり得るように、近位向きのストラット3007のうちの少なくともいくつかの長さは、遠位向きのストラット3008のうちの少なくともいくつかの長さよりも大きい。ストラット長の差異は、マイクロカテーテルに伴う血栓回収を容易にしながら、挟み込み区画によって血栓に加えられる半径方向力が変化することを確実にして血栓上の良好な把持を達成する。
【0128】
装置が血管構造を通してガイド又はシース内へと戻るように後退されるにつれて、より大きい遠位区画3002が、柔らかい血栓の改善された保持、ガイドカテーテル先端内への改善された血栓回収、及び展開の際及び回収中の装置の安定性を提供する一方で、装置の近位挟み込み区画3001は、フィブリンに富む血栓などの困難な血栓への係合を確実にする。
【0129】
図59を参照すると、近位挟み込み区画3021、遠位区画3022、遠位マーカーコイル3024、及び放射線不透過性マーカー3025を含む、
図55~
図58の装置と類似した本発明による別の装置3020が示される。この場合、近位挟み込み区画3021は、螺旋形状へとヒートセットされている。螺旋は、以下の特徴を有し得る:螺旋ピッチ-14mm(10~25mmの範囲内);螺旋外径-5mm(4.0~10mmの範囲内);かつ螺旋は典型的には、360°の湾曲、又は180~720°の範囲の湾曲を形成し得る。
【0130】
遠位胴区画3022の長手方向中心軸は、区画間の均一な(低ひずみ)接続の達成を助けるために、螺旋の中心線からずれていてもよい。この装置において、螺旋状区画の遠位端は、それが胴区画の近位面に対して直角であるように配向されている。この配向において、螺旋状区画を胴区画に接続する両方のストラットは同じ長さであり、熱形成マンドレル上の切断パターン配向にかかわらず同等のレベルのひずみを有する。他の繰り返しにおいて、螺旋状区画は、胴区画に対して角度をなして配向されてもよい。螺旋状区画及び胴区画の輪郭形状が
図60~
図62に示される。
図62は、螺旋を形作り、螺旋がそれから作成される管を外向きに張り出して遠位胴区画3022を形成するために使用され得る成形具を示す。
【0131】
図55~
図62の装置の胴区画は、
図63~
図65により詳細に示される。放射線不透過性マーカー3005、3025のずれは、
図63において特に明らかであり、マーカー3004の長手方向のずれは、
図64において明確に明らかである。
【0132】
図66~
図69は、本発明の装置の代替的な遠位胴区画を示す。この場合、胴区画は、断片保護のための閉じた遠位端3030を有する。断片保護は、装置を通して延在する別個のシャフト上に載置され得る遠位フィルタによって提供又は改良され得る。
【0133】
放射線不透過性マーカー3004、3024、3005、3025の構成及び位置は、
図70においてよりはっきりと視認可能である。
【0134】
本発明の装置の挟み込み区画の近位端は、いくつかの場合では、機械的係止システムを使用してシャフトに取り付けられている。係止システムは、シャフトのための第1のレシーバと、挟み込み区画の1つ又は2つ以上の近位ストラットのための第2のレシーバとを含んでもよい。シャフトは、係止システムとの係合のためのステップなどの特徴を含み得る。いくつかの場合では、係止システムは、放射線不透過性マーカーを置くように構成されている。いくつかの場合では、単一のストラットの端部は、係止システムとの係合のために構成されていてもよい。他の場合では、係止システムは、2つ又はそれ以上のストラットの端部に係合するように構成されている。
【0135】
図71~
図75を参照すると、ストラット3051とシャフト3052との間の近位接合体3050が示されている。この例では、近位ストラット3051はスロット3053を有し、その一方が他方よりわずかに長い2つの脚部3054で終端している。一方の脚部3054の増加した長さは、近位接合体の組み立て中にカラーを整合させ位置付けることを容易にする。この設計の別の繰り返しにおいて、2つの脚部3054は、単一のストラット(図示せず)で置き換えられる。構成要素と接合体に塗布された接着剤との間の機械的係止を改善するために、更なるスロット及び接続ストラットが3051に含まれてもよい。
【0136】
シャフト3052は、シャフト3052の主部と共にステップを画定する拡大された端部3055を有する。カラー3056は、シャフト端部3055上で摺動自在であり、ストラット端部の本体をスロット3053の領域内に収容するための遠位向きのスロット3057を有する。カラー3056はまた、シャフト3052上のカラー3056の位置付けが配向依存ではないように、近位向きのスロット3058を有する。シャフト3052の拡大された部分3055の一部は、ストラット3051におけるスロット3053内に受容される。シャフト端部3055の近位面は、使用中に、スロット3053の近位面に係合して、装置の挟み込み及び後退中の負荷を伝達する。カラー3056が所定の位置にあるとき、スロット3057は、スロット3053の近位面がシャフト端部3055から係合離脱することができないように、近位ストラット3051を拘束する。接合体は、接合体が分離するために構成要素材料が機能しなくなることを必要とするため、この機械的係止は、アセンブリの最終的な接合強度が、接着剤又は溶接の接合強度ではなく、材料特性に基づくことを確実にする。
【0137】
近位接合体を形成するために、カラー3056をまずシャフトの拡大された部分3055上に摺動させ、シャフト3052に沿って
図74に示される位置へと前進させる。その後、近位ストラット3051は、シャフトの拡大された部分3055が
図74に示されるようにストラットのスロット3053内に受容されるように位置付けられる。その後、係止カラー3056を前進させて、
図75に示されるようにストラット3051をシャフト3052に係止する。その後、接着剤が接合体に塗布される。その後、放射線不透過性マーカーが接合体に隣接して位置付けられてもよい。この構成は、困難な解剖学的構造における抵抗性の血栓の回収を容易にする引張強度を有する強固な機械的係止を有する低プロファイルの接合体が達成されることを確実にする。マイクロカテーテルを通した装置の送達中の圧縮荷重下において、拡大された部分3055の遠位端は、スロット3053の遠位面に係合し、圧縮荷重の向かい合わせの伝達を提供し得る。
【0138】
図76~
図80において、
図71~
図75の近位接合体と類似した別の近位接合体3060が示される。この場合、接合体3060は、拡大された部分3065を有するシャフト3062に接合された2つの近位ストラットの端部3061を収容するように構成されている。係止カラー3066は、シャフト3062をストラット端部3061に係止するために使用される。この構成は、拡張した遠位部分3061のストラットとシャフト3065の拡大された部分の近位面との間の向かい合った接触面積を増加させ、負荷を伝達する接合体の能力を改善する。カラー3066は、ストラット3061がシャフト3065の拡大された部分から係合離脱しないことを確実にするために4つのスロットを有する。
【0139】
以上、本発明の具体的な実施形態を図示及び説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な改変を行うことが可能である点は上記の説明より明らかであろう。例えば、本明細書に記載された実施形態は特定の機構を参照するが、本発明は、異なる機構の組み合わせを有する実施形態を含む。本発明は、記載されている特定の機構をすべては含んでいない実施形態も含む。
【0140】
本発明は本明細書においてこれまで述べてきた、構成体及び詳細が変化し得る実施形態に限定されない。
【0141】
〔実施の態様〕
(1) 拡張可能な構造体と細長い部材とを含む、体血管から血栓を除去するための血栓除去装置であって、
前記細長い部材が、近位端と遠位端とを有し、前記細長い部材が、前記細長い部材の遠位端で前記拡張可能な構造体に接続されており、
前記拡張可能な構造体が、拘束された送達構成と、拡張した血栓係合展開構成と、少なくとも部分的に拘束された血栓挟み込み構成と、を有し、
前記拡張可能な構造体の少なくとも一部が、前記拡張した展開構成において血栓に係合するように、かつ前記展開構成から前記血栓挟み込み構成への移動時に血栓を挟み込むように構成されている、血栓除去装置。
(2) 前記拡張可能な構造体が、前記展開構成から前記血栓挟み込み構成への移動時に血栓を挟み込むように構成された血栓挟み込み構造体を含む、実施態様1に記載の血栓除去装置。
(3) 前記拡張可能な構造体が、主体部分と血栓挟み込み構造体とを含み、前記血栓挟み込み構造体の直径が、前記主体部分の直径よりも小さく、前記血栓挟み込み構造体が、前記拡張可能な構造体の近位端に位置する、実施態様2に記載の血栓除去装置。
(4) 前記拡張可能な構造体が、主体部分と血栓挟み込み構造体とを含み、前記血栓挟み込み構造体の直径が、前記主体部分の直径よりも小さく、前記血栓挟み込み構造体が、実質的に管状である、実施態様2に記載の血栓除去装置。
(5) 前記血栓挟み込み構造体が、螺旋形態である、実施態様4に記載の血栓除去装置。
【0142】
(6) 前記拡張可能な構造体が管状であり、相互接続したストラットのネットワークを含み、
前記ストラットのネットワークが、拡張状態において血栓に係合するように構成されており、
前記ネットワークは、前記拡張状態において、前記ネットワークの少なくとも一部が血栓に相互貫入するように構成されており、
前記ネットワークは、前記血栓と相互貫入の状態にある間に前記ネットワークが折り畳まれると、前記ネットワークの少なくとも一部が、前記血栓の少なくとも一部を挟み込むように更に構成されている、実施態様5に記載の血栓除去装置。
(7) 前記細長い部材は、前記ネットワークが前記血栓に相互貫入し、かつ前記ネットワークの少なくとも一部が前記血栓の少なくとも一部の上での挟み込みをもたらした状態で、前記ネットワークを後退させるように構成されており、前記拡張可能な構造体が、少なくとも第1のセルと少なくとも1つの第2のセルとを含み、前記第1及び第2のセルの各々が、折り畳まれた送達構成と展開された拡張構成とを含み、前記拡張構成において、各セルが、開口部を更に含み、
前記拡張可能な構造体が、血栓に相互貫入するように構成され、前記血栓の前記相互貫入が、前記第1のセルのうちの少なくとも1つを通した血栓の少なくとも一部の押し出しを含み、前記セルのうちの少なくともいくつかの前記開口部は、前記血栓本体の少なくとも一部が前記構造体に相互貫入することを可能にするように構成されている、実施態様6に記載の血栓除去装置。
(8) 前記血栓係合要素が、前記拡張された展開構成の内径よりも小さい内径を有するルーメン内に展開されたときに、外向きの半径方向力を付与するように構成され、前記血栓係合要素が、前記血栓係合要素の長さに沿って、例えば、略正弦波状のパターンで変化する、外向きの半径方向力を付与するように構成されている、実施態様7に記載の血栓除去装置。
(9) 前記略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、前記波状パターンの振幅が、前記装置の長さに沿って減少し、前記装置の前記近位端においてより高く、前記装置の前記遠位端においてより低い、実施態様8に記載の血栓除去装置。
(10) 前記略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、前記波状パターンの振幅が、前記装置の長さに沿って減少し、前記装置の前記近位端においてより高く、前記装置の前記遠位端においてより低く、前記血栓係合要素が、複数の隣接するセグメントを含み、前記セグメントは、少なくとも2つの隣接するセグメントによって付与される半径方向力が互いに異なるように構成されている、実施態様1に記載の血栓除去装置。
【0143】
(11) 遠位血栓断片保護区画を含む、実施態様10に記載の血栓除去装置。
(12) 前記拡張可能な構造体が、主体部分と血栓挟み込み構造体とを含み、前記血栓挟み込み構造体の直径が、前記主体部分の直径よりも小さく、前記主体部分の直径の前記血栓挟み込み構造体の直径に対する比が、1.5:1~4:1、一部の場合では2:1~3:1である、実施態様2に記載の血栓除去装置。
(13) 前記拡張可能な構造体が、主体部分と血栓挟み込み構造体とを含み、前記血栓挟み込み構造体の直径が、前記主体部分の直径よりも小さく、前記装置が、前記主体部分を通って延在する長手方向軸を有し、前記血栓挟み込み構造体が、前記長手方向軸の周囲で螺旋状に延在する、実施態様2に記載の血栓除去装置。
(14) 血管から閉塞性血栓を除去するための血栓回収装置であって、
拘束された送達構成と拡張した展開構成とを有する血栓係合要素を含み、
前記血栓係合要素が、前記拡張した展開構成の内径よりも小さい内径を有するルーメン内に展開されると、外向きの半径方向力を付与するように構成されており、
前記外向きの半径方向力が、前記血栓係合要素の長さに沿って、略正弦波状のパターンで変化する、血栓回収装置。
(15) 前記略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、前記波状パターンの振幅が、前記装置の長さに沿って略一致する、実施態様14に記載の血栓回収装置。
【0144】
(16) 前記略正弦波状のパターンが、波状パターンを含み、前記波状パターンの振幅が、前記装置の長さに沿って減少し、前記装置の前記近位端においてより高く、前記装置の前記遠位端においてより低い、実施態様14に記載の血栓回収装置。
(17) 前記血栓係合要素が、複数の隣接するセグメントを含み、少なくとも2つの隣接するセグメントの前記半径方向力が互いに異なる、実施態様14に記載の血栓回収装置。
(18) 前記細長い部材の前記遠位端が、前記拡張可能な構造体の前記近位端に接続されており、前記細長い部材と前記拡張可能な構造体との間に近位接合体を更に含む、実施態様14に記載の装置。
(19) 前記近位接合体が、前記細長い部材の前記遠位端においてステップを含み、前記近位接合体が、前記細長い部材及び前記拡張可能な構造体の近位端との係合のための係止カラーを含み、前記拡張可能な構造体の前記遠位端が、前記細長い部材の前記遠位端における前記ステップとの係合のために構成された凹部又はスロットを含む、実施態様14に記載の装置。
(20) 閉塞した血管を有する患者を治療する方法であって、前記閉塞は、器質化した血栓を含み、前記方法が、
血栓回収装置及び除去カテーテルを提供するステップであって、前記血栓回収装置が、拡張可能な要素と細長い部材とを含み、前記拡張可能な要素が、前記細長い部材の前記遠位端に位置し、前記拡張可能な要素が、完全に折り畳まれた送達構成、完全に拡張した展開構成を有し、前記拡張可能な要素が、血栓挟み込みサブ構造体を含み、前記血栓挟み込みサブ構造体は、前記拡張可能な要素が前記完全に拡張した構成から少なくとも部分的に折り畳まれると、前記血栓本体の少なくとも一部を挟み込むように構成されており、前記除去カテーテルが、その遠位端においてカラーを含む、提供するステップと、
折り畳まれた構成にあるマイクロカテーテルを通して、前記血栓回収装置を前記閉塞した血管に送達するステップと、
前記拡張可能な要素を展開して前記血栓の少なくとも一部と接触させるステップと、
前記細長い部材の位置をしっかりと維持しながら、前記細長い部材に沿って前記除去カテーテルを前進させるステップと、
前記除去カテーテルの前記カラーを前記拡張可能な要素に係合し、前記挟み込みサブ構造体をもたらし、それにより前記器質化した血栓の少なくとも一部を挟み込むステップと、
前記カラーと前記拡張可能な要素との間の係合を維持しながら、前記除去カテーテル及び前記血栓回収装置を前記血管から同時に引き出すステップと、
前記血栓回収装置、前記除去カテーテル、及び前記挟み込まれた閉塞した血栓を前記患者から除去するステップと、を含む、方法。
【外国語明細書】