(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173539
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】燃料発電蓄電池電気車両
(51)【国際特許分類】
B60K 6/24 20071001AFI20221111BHJP
H02J 7/14 20060101ALI20221111BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221111BHJP
B60K 6/46 20071001ALI20221111BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20221111BHJP
B60L 50/61 20190101ALI20221111BHJP
【FI】
B60K6/24
H02J7/14 A
H02J7/00 P
B60K6/46 ZHV
B60W10/06 900
B60L50/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022159850
(22)【出願日】2022-10-03
(71)【出願人】
【識別番号】522390515
【氏名又は名称】松薗 誠宏
(74)【代理人】
【識別番号】100157428
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 聞平
(72)【発明者】
【氏名】松薗 誠宏
(57)【要約】
【課題】蓄電池を用いつつ、航続距離及び充電時間等の問題を解消させた車両を実現する。
【解決手段】駆動モーター8により車輪を駆動させる車両10は、駆動モーター8と、燃料を燃焼させて動力を出力するエンジン2と、動力を利用して発電する発電機4とを有するエンジン発電機2,4と、発電機4で発電される電力を充電する蓄電池7とを備え、蓄電池7から駆動モーター8へ電力が供給され、エンジン2は、車輪の駆動に用いることなく、発電機7の駆動のために使用され、エンジン2の最大出力は、仮に車両10の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、エンジン2は、高燃焼効率の運転を実現するために、駆動用エンジンに比べて狭い運転領域で制御される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モーターにより車輪を駆動させる車両であって、
前記駆動モーターと、
燃料を燃焼させて動力を出力するエンジンと、前記動力を利用して発電する発電機とを有するエンジン発電機と、
前記発電機で発電される電力を充電する蓄電池とを備え、
前記蓄電池から前記駆動モーターへ電力が供給され、
前記エンジンは、前記車輪の駆動に用いることなく、前記発電機の駆動のために使用され、
前記エンジンの最大出力は、仮に当該車両の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、前記エンジンは、高燃焼効率の運転を実現するために、前記駆動用エンジンに比べて狭い運転領域で制御される、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モーターを搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に用いる一般的な駆動用エンジンは、坂道でもスムーズな発進ができるように高い馬力を出力可能に設計されている。エンジンの歴史は長く、自動車に設ける燃料タンクに燃料を補給すると比較的長い航続距離が得られるという点で利便性が高い。
【0003】
それに対し、発電所で発電された電気を充電して走る、充電電池型の電気自動車が徐々に普及しつつある(例えば特許文献1)。しかし、電気自動車に用いられる蓄電池は、エネルギー密度や出力密度が十分ではなく、長い航続距離を得ることは困難である。また充電には長時間を要するし、充電できない場所もある。さらに蓄電池は、性能・素材によって体積及び重量が大きくなり、蓄電池の劣化時には蓄電池の交換に高い費用を要する。特許文献1には、航続距離不足の問題を、走行状態に即した走行方法の改善によって低減する電気自動車が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の電気自動車では、航続距離及び充電時間等の問題が解消されているとは言い難い。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蓄電池を用いつつ、航続距離及び充電時間等の問題を解消させた車両を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するべく、第1の発明は、駆動モーターにより車輪を駆動させる車両であって、駆動モーターと、燃料を燃焼させて動力を出力するエンジンと、動力を利用して発電する発電機とを有するエンジン発電機と、発電機で発電される電力を充電する蓄電池とを備え、蓄電池から駆動モーターへ電力が供給され、エンジンは、車輪の駆動に用いることなく、発電機の駆動のために使用され、エンジンの最大出力は、仮に当該車両の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、エンジンは、高燃焼効率の運転を実現するために、駆動用エンジンに比べて狭い運転領域で制御される、車両である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、燃料を燃焼させて動力を出力するエンジンと、その動力を利用して発電する発電機とを有するエンジン発電機が設けられている。そのため、燃料を補給することができれば発電が可能であり、外部から蓄電池への充電が必要ない。また、エンジンは、車輪の駆動に用いることなく、発電機の駆動のために使用される。そして、エンジンの最大出力は、仮に当該車両の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、エンジンは、高燃焼効率の運転を実現するために、駆動用エンジンに比べて狭い運転領域で制御される。そのため、燃料を用いた発電を効率的に行うことができ、単位量当たりの燃料から多くの電力が得られ、航続距離を向上させることができる。本発明によれば、蓄電池を用いつつ、航続距離及び充電時間等の問題を解消させた車両を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る車両の概略構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態の変形例に係る車両の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0011】
本実施形態は、本発明に係る燃料発電蓄電池電気車両(以下、「車両」という。)10である。車両10は、モーター(駆動モーター)により車輪を駆動させるように構成されている。車両10では、エンジンを駆動源として使用せずに、モーターのみにより車輪が駆動される。エンジンは発電用としてのみ用いる。
【0012】
図1は、実施形態に係る車両の概略構成図である。
図1では、配線、配管、シャフト及び車輪等は省略している。車両10は、
図1に示すように、燃料タンク1、発電用エンジン2、システム用バッテリー3、発電機4、インバーター/コンバーター(電力変換装置)6、駆動用バッテリー7、及び、駆動モーター8を備えている。
【0013】
車両10では、発電用エンジン2が、例えばレシプロエンジンである。発電用エンジン2は、燃料タンク1から供給される燃料を燃焼室で燃焼させることにより動力(回転力)を出力する。発電機4は、発電用エンジン2により出力される動力を利用して発電を行う。発電機4で発電される電力は、インバーター/コンバーター6を経て、駆動用バッテリー7に充電される。駆動用バッテリー7は、発電機4で発電される電力を充電する蓄電池である。駆動モーター8は、駆動用バッテリー7から供給される電力によって駆動されるACモーターである。駆動モーター8には、駆動用バッテリー7から、インバーター/コンバーター6を介して電力が供給される。
【0014】
ここで、発電用エンジン2は駆動源としては使用されないため、発電用エンジン2と発電機4からなるエンジン発電機2,4では、それほど大きな発電量は必要なく、一定の発電量で電力を駆動用バッテリー7に供給することができればよい。そのため、発電用エンジン2は、高い燃焼効率で且つ高燃費となるように設計することができる。エンジン発電機2,4は、仮に当該車両10の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンに比べて馬力が小さくすることができ、燃焼室(シリンダーヘッド面含む)及びシリンダーヘッドの面積も小さくすることができる。例えば、発電用エンジン2の最大出力は、仮に当該車両10の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、また発電用エンジン2は、駆動用エンジンのように広い運転領域で制御されることなく、狭い運転領域で制御されて高燃焼効率の運転を継続的に行う。例えば、発電用エンジン2は、定速で通常運転を行うように制御される。
【0015】
エンジン発電機2,4は、発電機4のタービンを回転させるために必要な構造だけを有していればよく、駆動用エンジンよりも小さくすることができる。例えば、発電用エンジン2は、駆動用エンジンから、走るための機構や部品を取り除き、燃費、燃焼効率及び回転効率など維持した状態で、クランクシャフトで直に発電機4の回転軸を回すか、或いは、発電機4のタービンを回すように構成する。エンジン発電機2,4は、車両10のエンジンルーム内に収まる大きさに設計される。
【0016】
なお、エンジン発電機2,4は、燃料を用いるものであればよく、アウトドア用発電機、非常用発電機などの発電機を用いてもよいし、又は、車両10専用に改造したものを用いてもよい。発電用エンジン2のコンロッドをギミック化することができ、発電用エンジン2に用いる燃料は、ガソリン、軽油、水素、バイオ燃料、ガスなど任意のものを用いることができるようになる。
【0017】
[実施形態の効果等]
本実施形態では、燃料を燃焼させて動力を出力する発電用エンジン2と、その動力を利用して発電する発電機4とを有するエンジン発電機2,4が設けられている。そのため、燃料を補給することができれば発電が可能であり、外部から駆動用バッテリー7への充電が必要ない。
【0018】
また、発電用エンジン2は、車輪の駆動に用いることなく、発電機4の駆動のために使用されるため、駆動用バッテリー7の容量を小さくしても、駆動用バッテリー7の残量が不足する事態が生じにくい。但し、駆動用バッテリー7の容量は、満充電で最低走行距離が25km以上となるように設計し、発電機4において発電し続け、充電し続けることが無いように容量を調節する。この場合、発電機4で発電するタイミングは、アイドリングストップ技術と電池管理システムを用いて、システム用バッテリー3で制御してもよい。なお、エンジン発電機2,4の発電力又は発電量を大きくして、非常用発電車両として利用できるようにしてもよい。
【0019】
また、発電用エンジン2の最大出力は、仮に当該車両10の車輪を駆動させるために駆動用エンジンを設ける場合の駆動用エンジンの最大出力に比べて小さく、発電用エンジン2は、高燃焼効率の運転を実現するために、駆動用エンジンに比べて狭い運転領域で制御される。そのため、燃料を用いた発電を効率的に行うことができ、単位量当たりの燃料から多くの電力が得られ、航続距離を向上させることができる。
【0020】
また、発電用エンジン2の用途を充電用のみとすることで、BEV(Battery Electric Vehicle)において、発電用エンジン2と発電機4からなるエンジン発電機2,4と、駆動用バッテリー7及び駆動モーター8とを並行して別々に開発を行うことが可能になる。
【0021】
本実施形態に係る車両10は、簡略化されたブレーキシステム(ブレーキペダル(パット式、回生協調なし)と駐停車専用電動ブレーキ)を採用することで、コンパクトカー、セダン、又は普通乗用車ワゴンタイプなどに幅広い車両に適用することができる。
【0022】
[実施形態の変形例]
上述の実施形態は、
図2に示す構成にしてもよい。
図2に示す車両では、駆動モーター8として、誘導起電力を用いた巻線式のモーターを用い、駆動モーター8への通電により発生する磁界によってクリープ現象的な節電的な走行を可能とする節電走行用の構造体11を設けている。これにより、エンジン車のような違和感のない運転を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、モーターを搭載した車両等に適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 燃料タンク
2 発電用エンジン(発動発電エンジン)
3 システム用バッテリー
4 発電機
6 インバーター/コンバーター
7 駆動用バッテリー
8 駆動モーター
9 統合走行システム
10 車両