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▶ サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173554
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】産物及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20221111BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160357
(22)【出願日】2022-10-04
(62)【分割の表示】P 2020504436の分割
【原出願日】2018-04-05
(31)【優先権主張番号】17165129.2
(32)【優先日】2017-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】1707203.4
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1708397.3
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】17201352.6
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519359952
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユーディット・ハウプトマン
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー・サマルスキー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フラウエンドルフ
(57)【要約】
【課題】これまでに開発された標的化リガンドは、必ずしもインビボ設定に置き換えられるとは限らず、より有効な受容体特異的リガンドにコンジュゲートしたiRNA二重鎖剤、並びにオリゴヌクレオチド治療薬、核酸、及び二本鎖siRNAをインビボ送達するためにそれらを調製する方法が明らかに必要とされている。
【解決手段】本発明は、産物及び組成物並びにそれらの使用に関する。本発明は特に、遺伝子発現に干渉するか又はその発現を阻害する核酸産物、並びに、疾患及び障害の処置等のための治療的使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び前記第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、前記第1の鎖が、前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、前記第1の鎖が、修飾されたヌクレオチドを複数の位置に含み、前記第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産物及び組成物並びにそれらの使用に関する。本発明は特に、遺伝子発現に干渉するか又はその発現を阻害する核酸産物、並びに、疾患及び障害の処置等のための治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二本鎖RNA(dsRNA)は遺伝子発現を遮断することが示されており(Fireら、1998年及びElbashirら、2001年)、これはRNA干渉(RNAi)と名付けられている。短いdsRNAは、脊椎動物をはじめとする多くの生物において遺伝子特異的な転写後サイレンシングを指示し、遺伝子機能を研究するための新たなツールを提供している。RNAiは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって媒介され、これは、サイレンシングトリガーと相同のメッセンジャーRNAを破壊する配列特異的な多成分ヌクレアーゼである。核酸、アンチセンスRNA、及びマイクロRNA等の干渉RNA(iRNA)は、遺伝子サイレンシングによってタンパク質の形成を防止する、すなわちタンパク質の遺伝子翻訳を阻害するオリゴヌクレオチドである。遺伝子サイレンシング剤は、医学における治療的応用のためにますます重要になっている。
【0003】
しかしながら、有効性及び標的特異性を維持しつつ、細胞内のヌクレアーゼによる分解を避けながらRNA等の核酸を細胞に送達することは、治療用途のための核酸分子を開発する当業者にとって困難であることが示されている。
【0004】
Watts及びCorey、Journal of Pathology(2012年、226巻、365~379頁)によれば、核酸をデザインするために使用することができるアルゴリズムがあるが、完全なものはない。アルゴリズムは三次構造又はRNA結合タンパク質の関与といった因子を考慮に入れないため、強力な核酸を識別するためには様々な実験的方法が必要でありうる。したがって、オフターゲット効果が最小限である強力な核酸の発見は、複雑なプロセスであるが、これらの高電荷分子の医薬開発には、それらが経済的に合成され、標的組織に分配され、細胞に入り、毒性の許容限界内で機能しうることが必要である。
【0005】
したがって、オリゴヌクレオチド、特に二本鎖siRNAを、細胞にインビボで効率的に送達するための手段がますます重要になってきており、これは、特異的な標的化、及び細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護を必要とする。特異的な標的化を達成する1つの方法は、標的化部分をiRNA二重鎖剤にコンジュゲートさせることである。標的化部分は、必要とされる標的部位にiRNA二重鎖剤の標的を定めるのに役立ち、コンジュゲートされた分子がエンドサイトーシス等によって細胞に取り込まれるように、所望の受容体部位に適切な標的化部分をデザインする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,885,968号
【特許文献2】WO2017/174657
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Watts及びCorey、Journal of Pathology(2012年、226巻、365~379頁)
【非特許文献2】Takeiら、2002年、JBC、277巻(26号):23800~06頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これまでに開発された標的化リガンドは、必ずしもインビボ設定に置き換えられるとは限らず、より有効な受容体特異的リガンドにコンジュゲートしたiRNA二重鎖剤、並びにオリゴヌクレオチド治療薬、核酸、及び二本鎖siRNAをインビボ送達するためにそれらを調製する方法が明らかに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では脂質送達系だけでなく、核酸の構造自体を対象とする。
【0010】
したがって、本発明は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、該標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチド又は修飾されていないヌクレオチドを複数の位置に含む、核酸を提供する。
【0011】
本発明はまた、標的遺伝子の発現を阻害することが可能な核酸であって、第1の鎖及び第2の鎖を含み、第1の鎖及び第2の鎖が、互いと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、該標的遺伝子の一部分から転写されるRNAと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖及び/又は該第2の鎖が、修飾されたヌクレオチドを含む、核酸に関する。
【0012】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは修飾されている場合がある。
【0013】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'O-メチル修飾で修飾されていない場合がある。
【0014】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-O-(2-メトキシエチル)、2'-O-アリル、2'-O-DNP、2'-CE、2'-EA、2'-AEM、2'-APM、及び2'-GEからなる群から選択される修飾で修飾されていない場合がある。
【0015】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'F、4'-S、2'-FANA、及びUNAからなる群から選択される修飾で修飾されている場合がある。
【0016】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、修飾されていない場合がある。
【0017】
第2の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'O-メチル修飾又は'-O-(2-メトキシエチル)修飾で修飾されている場合がある。
【0018】
第1の鎖及び第2の鎖は、別々の鎖でありうる。
【0019】
核酸は、第1の鎖及び第2の鎖を含む一本鎖を含みうる。
【0020】
第1の鎖及び/又は該第2の鎖はそれぞれ、17~35ヌクレオチド長であってよく、少なくとも1つの二重鎖領域は、10~25ヌクレオチド長であってよい。二重鎖は、2本の別々の鎖を含んでもよいし、第1の鎖及び第2の鎖を含む一本鎖を含んでもよい。
【0021】
一態様において、第2の鎖は、11ヌクレオチド長ほどの短さ、例えば11、12、13、14、15、16、17、18、19ヌクレオチド、又はそれを超える長さであってよい。
【0022】
核酸は、a)両末端が平滑末端であるか、b)一方の末端にオーバーハングを有し、他方に平滑末端を有するか、又はc)両末端にオーバーハングを有することができる。
【0023】
第1の鎖及び/又は第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは修飾されて、修飾されたヌクレオチドを形成していてもよい。第1の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が修飾されていてよい。第1の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、少なくとも第2の修飾によって修飾されていてよく、ここで少なくとも第2の修飾は、1個又は複数の奇数のヌクレオチドに対する修飾とは異なる。1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個に隣接していてよい。
【0024】
本発明の核酸において、第1の鎖における複数の奇数のヌクレオチドが修飾されていてよい。第1の鎖における複数の偶数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されていてよい。第1の鎖は、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含みうる。第1の鎖は、第2の異なる修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含んでもよい。
【0025】
第2の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、第1の鎖上の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されていてよく、かつ/或いは、第2の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドと同じ修飾によるものでよい。第2の鎖の1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドに隣接していてよい。第2の鎖の複数の奇数のヌクレオチドは、共通の修飾によって修飾されていてよく、かつ/又は、複数の偶数のヌクレオチドは、第1の鎖の奇数のヌクレオチド上に存在する同じ修飾によって修飾されていてよい。第2の鎖上の複数の奇数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されていてよく、ここで第2の修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0026】
第2の鎖は、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含み、この修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾でありうる。
【0027】
本発明の核酸において、第1の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれ、及び第2の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれは、共通の修飾で修飾されていてよく、第1の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれは、第2の修飾で修飾されていてよく、第2の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれは、第2の異なる修飾で修飾されていてよい。
【0028】
本発明の核酸では、第1の鎖の修飾されたヌクレオチドが、第2の鎖の修飾されていないヌクレオチド又は異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1ヌクレオチドだけシフトしていてよい。
【0029】
修飾及び/又は複数の修飾は、それぞれ個別に、3'末端デオキシ-チミン、2'-O-メチル、2'-デオキシ修飾、2'-アミノ修飾、2'-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、5'-ホスホロチオエート基修飾、5'ホスフェート修飾若しくは5'ホスフェート模倣物修飾、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択されてよく、かつ/又は、修飾されたヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、若しくは非天然塩基を含むヌクレオチドのうちいずれか1つであってよい。
【0030】
少なくとも1つの修飾は、2'-O-メチルであってよく、かつ/又は、少なくとも1つの修飾は、2'-Fであってよい。
【0031】
本発明の核酸は、第1の鎖及び/又は第2の鎖の1個、2個、又は3個の3'末端ヌクレオチド及び/又は1個、2個、又は3個の5'末端ヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を含みうる。これは、第1の鎖上の3個の3'末端ヌクレオチドのそれぞれの間、及び3個の5'末端ヌクレオチドのそれぞれの間に2つのホスホロチオエート結合を含み、第2の鎖の3'末端の3個の末端ヌクレオチドの間に2つのホスホロチオエート結合を含んでよい。
【0032】
そのような核酸は、リガンドにコンジュゲートされていてよい。
【0033】
本発明は更に、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、該標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチド又は修飾されていないヌクレオチドを複数の位置に含み、ヌクレオチド配列がリガンドにコンジュゲートされている、核酸を提供する。
【0034】
リガンドは、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分及びそれらの誘導体、並びに(ii)リンカーを含んでよく、リンカーは、先行する態様のいずれかに定義された配列にGalNAc部分をコンジュゲートさせる。リンカーは、二価、又は三価、又は四価の分岐構造でありうる。ヌクレオチドは、本書に定義されるように修飾されていてよい。
【0035】
リガンドは、式I:
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (I)
[式中、
Sは、糖類を表し、ここで糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]であり、
Pは、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、アルキレン、又は式(-CH2)n-O-CH2-[式中、n=1~6である]のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットを表し、
本発明に係る核酸は、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)を介してX3にコンジュゲートされている]
を含みうる。
【0036】
したがって、本発明は更に、次の構造、
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
(式中、Zは、上文に定義された核酸を表す)
のうちの1つを有する、コンジュゲートされた核酸を提供する。
【0037】
リガンドは、次のものを含みうる。
【化2】
【0038】
本発明はまた、本書に定義される核酸又はコンジュゲートされた核酸と、生理学的に許容される賦形剤とを含む、組成物を提供する。本組成物は、次の賦形剤:
i)カチオン性脂質、又はその薬学的に許容される塩、
ii)ステロイド、
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質、
iv)PEG化脂質
を含みうる。
【0039】
組成物中のカチオン性脂質成分の含有量は、脂質製剤の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%、好ましくは脂質組成物の脂質含有量全体の約59モル%でありうる。
【0040】
本組成物は、
【化3】
の構造を有するカチオン性脂質、
【化4】
の構造を有するステロイド、
【化5】
【0041】
の構造を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質、及び
【化6】
の構造を有するPEG化脂質を含みうる。
【0042】
また、疾患若しくは障害の処置及び/又は疾患若しくは障害を処置するための医薬の製造における使用のための、本発明のいずれかの態様に係る核酸又はコンジュゲートされた核酸が提供される。
【0043】
本発明は、処置を必要とする個体に、本発明のいずれかの態様に係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法を提供する。核酸は、皮下、静脈内、又は経口、直腸、若しくは腹腔内等の任意の他の適用ルートを使用して対象に投与されうる。
【0044】
本発明に係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を作製する方法も含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明は、二本鎖であり、標的遺伝子の発現RNA転写物を標的とする核酸、及びその組成物に関する。これらの核酸は、標的遺伝子産物の発現低減が望ましい種々の疾患及び障害の処置において使用されうる。
【0046】
本発明の第1の態様は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチドを選択された位置に含む、核酸に関する。第1の鎖は、修飾されていないヌクレオチドを含みうる。
【0047】
本発明の別の態様は、標的遺伝子の発現を阻害することが可能な核酸であって、第1の鎖及び第2の鎖を含み、第1の鎖及び第2の鎖が、互いと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、該標的遺伝子の一部分から転写されるRNAと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖及び/又は該第2の鎖が、修飾されたヌクレオチドを含む、核酸に関する。
【0048】
核酸とは、ヌクレオチドを含む2本の鎖を含み、遺伝子発現に干渉することができる核酸を意味する。阻害は、完全であっても部分的であってもよく、標的を定めた様式における遺伝子発現の下方制御をもたらす。核酸は、ガイド鎖でもありうる第1の鎖と、パッセンジャー鎖でもありうる第2の鎖という、2本の別々のポリヌクレオチド鎖を含む。第1の鎖及び第2の鎖は、「フォールディングして」二本鎖分子を形成する自己相補的な同じポリヌクレオチド鎖の一部でありうる。核酸は、siRNA分子でありうる。
【0049】
核酸は、リボヌクレオチド、修飾されたリボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はヌクレオチド類似体を含みうる。核酸は、第1の鎖(当技術分野ではガイド鎖としても公知である)のすべて又は一部分と、第2の鎖(当技術分野ではパッセンジャー鎖としても公知である)のすべて又は一部分とによって形成された、二本鎖核酸部分又は二重鎖領域を更に含むことができる。二重鎖領域は、第1の鎖と第2の鎖との間に形成された最初の塩基対から始まり、第1の鎖と第2の鎖との間に形成された最後の塩基対で終わり、両端を含むものとして定義される。
【0050】
二重鎖領域とは、ワトソン-クリック塩基対合、又は相補的若しくは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間の二重鎖を可能にする任意の他の様式のいずれかによって互いと塩基対を形成する、2つの相補的又は実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を意味することを指す。例えば、21ヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、21ヌクレオチド単位をもつ別のオリゴヌクレオチドと塩基対合することができるが、「二重鎖領域」が19個の塩基対からなるように、各鎖上の19個のヌクレオチドのみが相補的又は実質的に相補的である。残りの塩基対は、5'オーバーハング及び3'オーバーハングとして、又は一本鎖領域として存在しうる。更に、二重鎖領域の中で、100%の相補性は必要とされない。二重鎖領域においては実質的な相補性が許容可能である。実質的な相補性とは、生物学的条件下でアニーリングが可能であるような鎖間の相補性を指す。2本の鎖が生物学的条件下でアニーリング可能であるかどうかを経験的に判定するための技術は、当技術分野において周知である。代替的には、2本の鎖を合成し、生物学的条件下で一緒に加えて、それらが互いにアニールするかどうかを判定してもよい。
【0051】
少なくとも1つの二重鎖領域を形成する第1の鎖及び第2の鎖の一部分は、互いと完全に相補的であってよく、少なくとも部分的に相補的である。
【0052】
核酸の長さによっては、第1の鎖と第2の鎖との間の塩基相補性という観点での完全なマッチは、必ずしも必要であるとは限らない。しかしながら、第1の鎖及び第2の鎖は、生理学的条件下でハイブリダイズすることができなければならない。
【0053】
少なくとも1つの二重鎖領域における第1の鎖と第2の鎖との間の相補性は、いずれの鎖にもヌクレオチドのミスマッチ又はヌクレオチドの付加/欠失が存在しないという点で完全でありうる。代替的には、相補性は完全でなくてよい。相補性は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、又は95%であってよい。
【0054】
第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ、少なくとも15個の隣接するヌクレオチドを含む相補性領域を含みうる。
【0055】
核酸は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、又は30のヌクレオチド配列を含む第2の配列を含みうる。
【0056】
この核酸は、第1の鎖のすべて又は一部分と標的核酸の一部分との間の二重鎖領域の形成を必要とする。第1の鎖と標的配列との間に形成された最初の塩基対から始まり、第1の鎖と標的配列との間に形成された最後の塩基対で終わり、両端を含むものとして定義される、第1の鎖と二重鎖領域を形成する標的核酸の部分を、標的核酸配列、又は単に標的配列という。第1の鎖と第2の鎖との間に形成された二重鎖領域は、第1の鎖と標的配列との間に形成された二重鎖領域と同じである必要はない。つまり、第2の鎖は、標的配列とは異なる配列を有しうるが、第1の鎖は、第2の鎖及び標的配列の両方と二重鎖構造を形成することができなければならない。
【0057】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全である(いずれの核酸にもヌクレオチドのミスマッチ又はヌクレオチドの付加/欠失がない)場合がある。
【0058】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全でない場合もある。相補性は、少なくとも70%、80%、85%、90%、又は95%でありうる。
【0059】
第1の鎖と標的配列の相補的な配列との間の同一性は、核酸が標的遺伝子の発現を低減又は阻害することが可能であることを条件として、少なくとも75%、80%、85%、90%、又は95%でありうる。
【0060】
核酸は、標的遺伝子の発現を、第1の鎖及び標的配列との完全な同一性を有する比較上の核酸の少なくとも25%、50%、又は75%だけ低減させることができうる。
【0061】
核酸は、それぞれ17~35又は19~25ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。第1の鎖及び第2の鎖は、異なる長さであってもよい。
【0062】
核酸は、15~25ヌクレオチド対の長さであってよい。核酸は、17~23ヌクレオチド対の長さであってよい。核酸は、17~25ヌクレオチド対の長さであってよい。核酸は、23~24ヌクレオチド対の長さであってよい。核酸は、19~21ヌクレオチド対の長さであってよい。核酸は、21~23ヌクレオチド対の長さであってよい。
【0063】
核酸は、19~25個のヌクレオチド塩基対からなる二重鎖領域を含みうる。二重鎖領域は、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25個の塩基対からなっていてもよく、これらは隣接していてもよい。
【0064】
核酸は、両末端が平滑末端であるか、一方の末端にオーバーハングを有し、他方に平滑末端を有するか、又は両末端にオーバーハングを有することができる。
【0065】
本書において使用される「オーバーハング」は、当技術分野におけるその通常かつ慣習的な意味を有する。すなわち、二本鎖核酸における相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸びる核酸の一本鎖部分である。「平滑末端」という用語には、末端ヌクレオチドが塩基対合するかどうかにかかわらず、両方の鎖が同じ位置で終結する二本鎖核酸が含まれる。平滑末端における第1の鎖及び第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対合してもよい。平滑末端における第1の鎖及び第2の鎖の末端ヌクレオチドは、対合しなくてもよい。平滑末端における第1の鎖及び第2の鎖の2個の末端ヌクレオチドは、塩基対合してもよい。平滑末端における第1の鎖及び第2の鎖の2個の末端ヌクレオチドは、対合しなくてもよい。
【0066】
核酸は、一方の末端にオーバーハングを有し、他方に平滑末端を有してもよい。核酸は、両末端にオーバーハングを有してもよい。核酸は、両末端が平滑末端であってもよい。核酸の末端は、第1の鎖の5'末端及び第2の鎖の3'末端、又は第1の鎖の3'末端及び第2の鎖の5'末端が平滑末端であってもよい。
【0067】
核酸は、3'末端又は5'末端にオーバーハングを含んでよい。核酸は、第1の鎖に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖の5'末端及び3'末端の両方にオーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖の5'末端及び3'末端の両方にオーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖に5'オーバーハングを有し、第2の鎖に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖に3'オーバーハングを有し、第2の鎖に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖に3'オーバーハングを有し、第2の鎖に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖に5'オーバーハングを有し、第2の鎖に5'オーバーハングを有してもよい。
【0068】
第2の鎖又は第1の鎖の3'末端又は5'末端におけるオーバーハングの長さは、1、2、3、4、及び5ヌクレオチドからなる群から選択されうる。任意選択により、オーバーハングは、修飾されていても修飾されていなくてもよい1つ又は2つのヌクレオチドからなっていてもよい。
【0069】
修飾されていないポリヌクレオチド、特にリボヌクレオチドは、細胞内のヌクレアーゼによる分解を受けやすい場合があり、したがって、修飾/修飾されたヌクレオチドが本発明の核酸に含まれていてよい。
【0070】
本発明の核酸の第2の鎖及び/又は第1の鎖における1個又は複数のヌクレオチドは、修飾されていてよい。
【0071】
本発明の核酸の修飾は、概して、天然のRNA分子に固有であるインビトロ及びインビボの安定性及び生物学的利用能を含むがこれらに限定されない潜在的な制限事項を克服するにあたり、強力なツールを提供する。本発明に係る核酸は、化学修飾によって修飾されていてよい。修飾された核酸は、ヒトのインターフェロンの活性を誘導する可能性を最小限に抑えることもできる。修飾は、標的細胞に対する核酸の機能的送達を更に増強させることができる。本発明の修飾された核酸は、第1の鎖又は第2の鎖のいずれか又は両方の、1個又は複数の化学修飾されたリボヌクレオチドを含みうる。リボヌクレオチドは、塩基、糖、又はホスフェート部分の化学修飾を含みうる。リボ核酸は、核酸又は塩基の類似体での置換又はその挿入によって修飾されていてよい。
【0072】
本発明の核酸の1個又は複数のヌクレオチドが修飾されていてよい。核酸は、少なくとも1個の修飾されたヌクレオチドを含みうる。修飾されたヌクレオチドは、第1の鎖上にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、第2の鎖内にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、二重鎖領域内にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、二重鎖領域の外、すなわち、一本鎖領域内にあってもよい。修飾されたヌクレオチドは、第1の鎖上にあってよく、二重鎖領域の外にあってよい。修飾されたヌクレオチドは、第2の鎖上にあってよく、二重鎖領域の外にあってよい。第1の鎖の3'末端ヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドであってよい。第2の鎖の3'末端ヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドであってよい。第1の鎖の5'末端ヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドであってよい。第2の鎖の5'末端ヌクレオチドは、修飾されたヌクレオチドであってよい。
【0073】
本発明の核酸は、1個の修飾されたヌクレオチドを有してもよく、又は本発明の核酸は、約2~4個の修飾されたヌクレオチドを有してもよく、又は核酸は、約4~6個の修飾されたヌクレオチド、約6~8個の修飾されたヌクレオチド、約8~10個の修飾されたヌクレオチド、約10~12個の修飾されたヌクレオチド、約12~14個の修飾されたヌクレオチド、約14~16個の修飾されたヌクレオチド、約16~18個の修飾されたヌクレオチド、約18~20個の修飾されたヌクレオチド、約20~22個の修飾されたヌクレオチド、約22~24個の修飾されたヌクレオチド、24~26個の修飾されたヌクレオチド、若しくは約26~28個の修飾されたヌクレオチドを有してもよい。各事例において、該修飾されたヌクレオチドを含む核酸は、該修飾されたヌクレオチドを含まないことを除いては同じ核酸と比較して、その活性の少なくとも50%を保持する。核酸は、該修飾されたヌクレオチドを含まないことを除いては同じ核酸と比較して、その活性の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは100%、又はそれ超を保持する場合もある。
【0074】
修飾されたヌクレオチドは、プリン又はピリミジンでありうる。プリンの少なくとも半分が修飾されていてよい。ピリミジンの少なくとも半分が修飾されていてよい。プリンのすべてが修飾されていてもよい。ピリミジンのすべてが修飾されていてもよい。修飾されたヌクレオチドは、3'末端デオキシ-チミン(dT)ヌクレオチド、2'-O-メチル修飾されたヌクレオチド、2'修飾されたヌクレオチド、2'-デオキシ修飾されたヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'-アミノ修飾されたヌクレオチド、2'-アルキル修飾されたヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、5'-ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、5'ホスフェート又は5'ホスフェート模倣物を含むヌクレオチド、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に結合した末端ヌクレオチドからなる群から選択されうる。
【0075】
核酸は、塩基が2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば6-メチルウリジン)、プロピン、キューオシン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5'-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ベータ-D-マンノシルキューオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸、及び2-チオシチジンから選択される、修飾されたヌクレオチドを含むヌクレオチドを含みうる。
【0076】
本書において論述される核酸は、修飾されていないRNAだけでなく、例えば有効性を向上させるために修飾されているRNA、及びヌクレオシドサロゲートのポリマーを含む。修飾されていないRNAとは、核酸の成分、具体的には糖、塩基、及びホスフェート部分が、天然に存在するもの、例えばヒトの体内に天然に存在するものと同じか、又は本質的に同じである分子を指す。本書において使用される修飾されたヌクレオチドとは、核酸の成分、具体的には糖、塩基、及びホスフェート部分のうちの1つ又は複数が、天然に存在するものとは異なるヌクレオチドを指す。これらは修飾されたヌクレオチドと呼ばれるものの、当然ながらこれらは、修飾が原因で、ヌクレオチドではない分子、例えば、鎖間のハイブリダイゼーションを可能にする非リボリン酸構築物でリボリン酸骨格が置換されている、すなわち修飾されたヌクレオチドがリボリン酸骨格を模倣する、ポリヌクレオチド分子を含む。
【0077】
以下に記載する、例えば塩基、又はホスフェート部分、又はホスフェート部分の非結合Oの修飾といった、核酸内で生じる修飾の多くは、ポリヌクレオチド分子内で繰り返される。一部の事例において、修飾は、ポリヌクレオチド内の可能性のある位置/ヌクレオチドのすべてにおいて生じるが、多くの事例でこれは当てはまらない。修飾は、3'末端又は5'末端の位置のみで生じてもよいし、末端領域内、例えば末端ヌクレオチドの位置、又は鎖の最後の2、3、4、5、若しくは10ヌクレオチド内のみで生じてもよい。修飾は、二本鎖領域、一本鎖領域、又は両方において生じてもよい。修飾は、本発明の核酸の二本鎖領域のみで生じてもよいし、又は本発明の核酸の一本鎖領域のみで生じてもよい。非結合O位におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端のみで生じてもよいし、末端領域内、例えば、末端ヌクレオチドの位置、又は鎖の最後の2、3、4、若しくは5ヌクレオチド内のみで生じてもよいし、或いは、二重鎖内及び/又は一本鎖領域内、特に両末端のみで生じてもよい。5'末端又は3'末端は、リン酸化されてもよい。
【0078】
本発明の核酸の安定性は、オーバーハングに特定の塩基を含めることにより、或いは一本鎖オーバーハングに、例えば5'若しくは3'のオーバーハングに、又は両方に、修飾されたヌクレオチドを含めることにより、増加させることができる。プリンヌクレオチドがオーバーハングに含まれてよい。3'又は5'オーバーハングにおける塩基のすべて又は一部は、修飾されていてよい。修飾には、リボース糖の2'OH基における修飾の使用、リボヌクレオチドの代わりのデオキシリボヌクレオチドの使用、及びホスフェート基における修飾、例えばホスホロチオエート修飾が含まれうる。オーバーハングは、標的配列と相同である必要はない。
【0079】
本発明のdsRNA剤の第1の鎖、第2の鎖、又は両方の鎖における5'オーバーハング又は3'オーバーハングは、リン酸化されてもよい。一部の実施形態では、オーバーハング領域は、2つのヌクレオチドを含有し、2つのヌクレオチド同士の間にホスホロチオエートがあり、この2つのヌクレオチドは同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、オーバーハングは、第1の鎖、第2の鎖、又は両方の鎖の3'末端に存在する。一実施形態において、この3'オーバーハングは、第2の鎖に存在する。一実施形態において、この3'オーバーハングは、第1の鎖に存在する。
【0080】
ヌクレアーゼは、核酸のホスホジエステル結合を加水分解することができる。しかしながら、核酸の化学修飾は、向上した特性を付与することができ、オリゴリボヌクレオチドのヌクレアーゼに対する安定性をより高くすることができる。
【0081】
本書において使用される、修飾された核酸は、
(i)非結合リン酸酸素の一方若しくは両方、及び/又は結合リン酸酸素の1つ若しくは複数(本発明の核酸の5'末端及び3'末端における場合であっても結合しているものとする)の変化、例えば置換、
(ii)リボース糖の構成成分、例えばリボース糖の2'ヒドロキシルの変化、例えば置換、
(iii)ホスフェート部分の「デホスホ」リンカーによる置換、
(iv)天然に存在する塩基の修飾又は置換、
(v)リボース-ホスフェート骨格の置換又は修飾、
(vi)RNAの3'末端又は5'末端の修飾、例えば、末端ホスフェート基の除去、修飾、若しくは置換、又はRNAの3'末端若しくは5'末端のいずれかに対する部分(例えば蛍光標識部分)のコンジュゲーション
のうちの1つ又は複数を含みうる。
【0082】
置換、修飾、変化という用語は、天然に存在する分子との差異を示す。
【0083】
特定の修飾を、以下により詳細に論述する。
【0084】
修飾されたホスフェート基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホン酸アルキル又はホスホン酸アリール、及びホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、両方の非結合酸素が硫黄によって置換されている。ホスフェート基における1つ、それぞれ、又は両方の非結合酸素は、独立して、S、Se、B、C、H、N、又はOR(Rはアルキル又はアリールである)のうちのいずれか1つでありうる。
【0085】
ホスフェートリンカーは、結合している酸素の、窒素での置換(架橋ホスホロアミデート)、硫黄での置換(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素での置換(架橋メチレンホスホネート)により修飾されていてもよい。置換は、末端酸素において生じうる。非結合酸素の窒素での置換が可能である。
【0086】
修飾されたヌクレオチドは、糖基の修飾を含むことができる。2'ヒドロキシル基(OH)は、いくつかの異なる「オキシ」又は「デオキシ」置換基で修飾又は置換されていてよい。
【0087】
「オキシ」-2'ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシ又はアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又は糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CH2CH2O)nCH2CH2OR;2'ヒドロキシルが、例えばメチレン架橋により、同じリボース糖の4'炭素に連結している「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)及びアミノアルコキシ、O(CH2)nAMINE(例えば、AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)が挙げられる。
【0088】
「デオキシ」修飾としては、水素、ハロ;アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸);NH(CH2CH2NH)nCH2CH2-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ)、-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又は糖)、シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;並びに、例えばアミノ官能基で任意選択により置換されていてよい、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが挙げられる。ある特定の実施形態の他の置換基としては、2'-メトキシエチル、2'-OCH3、2'-O-アリル、2'-C-アリル、及び2'-フルオロが挙げられる。
【0089】
糖基は、リボース中の対応する炭素のものとは反対の立体化学的構成を有する1つ又は複数の炭素を含有してもよい。したがって、修飾されたヌクレオチドは、アラビノース等の糖を含有しうる。
【0090】
修飾されたヌクレオチドは、C-I'における核酸塩基が欠失している「脱塩基」糖を含むこともできる。こうした脱塩基糖は、糖を構成する原子のうちの1つ又は複数に修飾を更に含有することができる。
【0091】
2'修飾は、1つ又は複数のホスフェートリンカー修飾(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせて使用されうる。
【0092】
ホスフェート基は、リンを含有しない連結因子によって置換されていてよい。
【0093】
ホスフェート基を置換することができる部分の例としては、シロキサン、カルボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、及びメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。ある特定の実施形態において、置換は、メチレンカルボニルアミノ及びメチレンメチルイミノ基を含みうる。
【0094】
ホスフェートリンカー及びリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドによって置換されていてよい。
【0095】
例としては、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン、及びペプチド核酸(PNA)ヌクレオシドサロゲートが挙げられる。ある特定の実施形態において、PNAサロゲートが使用されうる。
【0096】
オリゴヌクレオチドの3'末端及び5'末端が修飾されていてよい。そのような修飾は、分子の3'末端、又は5'末端、又は両末端にあってよい。これらは、末端ホスフェート全体の修飾若しくは置換、又はホスフェート基の原子のうちの1つ若しくは複数の修飾若しくは置換を含みうる。例えば、オリゴヌクレオチドの3'末端及び5'末端は、標識部分、例えばフルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3、又はCy5色素)又は保護基(例えば、硫黄、ケイ素、ホウ素、又はエステルに基づくもの)といった他の機能的分子実体にコンジュゲートされていてよい。機能的分子実体は、ホスフェート基及び/又はリンカーによって糖に結合させることができる。リンカーの末端原子は、ホスフェート基の結合原子、又は糖のC-3'若しくはC-5'O、N、S、若しくはC基に連結するか、或いはこれらを置換することができる。代替的には、リンカーは、ヌクレオチドサロゲート(例えば、PNA)の末端原子に連結するか、又はこれを置換することができる。これらのスペーサー又はリンカーは、例えば、-(CH2)n-、-(CH2)nN-、-(CH2)nO-、-(CH2)nS-、O(CH2CH2O)nCH2CH2OH(例えば、n=3又は6)、脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、又はモルホリノ、又はビオチン及びフルオレセイン試薬を含みうる。3'末端は、-OH基でありうる。
【0097】
末端修飾の他の例としては、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン類)、架橋剤(例えば、プソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン類(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ(例えば、EDTA)、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)が挙げられる。
【0098】
末端修飾は、活性を調節するため、又は分解に対する耐性を調節するためを含め、いくつかの理由で付加されうる。活性を調節するのに有用な末端修飾としては、ホスフェート又はホスフェート類似体での5'末端の修飾が挙げられる。本発明の核酸は、第1又は第2の鎖において、5'リン酸化されているか、又は5'プライム末端にホスホリル類似体を含む場合がある。5'-ホスフェート修飾には、RISC媒介性遺伝子サイレンシングと適合するものが含まれる。好適な修飾としては、5'-モノホスフェート((HO)2(O)P-O-5');5'-ジホスフェート((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-トリホスフェート((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-グアノシンキャップ(7-メチル化されているか又はメチル化されていない)(7m-G-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-アデノシンキャップ(Appp)、及び任意の修飾されているか若しくは修飾されていないヌクレオチドキャップ構造(N-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5');5'-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5')、5'-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5');モノホスフェート、ジホスフェート、及びトリホスフェートで置換された酸素/硫黄の任意の更なる組み合わせ(例えば、5'-アルファ-チオトリホスフェート、5'-ガンマ-チオトリホスフェート等)、5'-ホスホルアミデート類((HO)2(O)P-NH-5'、(HO)(NH2)(O)P-O-5')、5'-アルキルホスホネート類(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)-O-5'-、(OH)2(O)P-5'-CH2-)、5'ビニルホスホネート類、5'-アルキルエーテルホスホネート類(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)-O-5'-)が挙げられる。
【0099】
本発明の核酸は、第1の鎖及び/又は第2の鎖の末端のうちの1つ又は複数に、1つ又は複数のホスホロチオエート修飾を含みうる。任意選択により、第1の鎖のそれぞれ又はいずれかの末端は、1つ、又は2つ、又は3つのホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドを含んでよい。任意選択により、第2の鎖のそれぞれ又はいずれかの末端は、1つ、又は2つ、又は3つのホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドを含んでよい。任意選択により、第1の鎖の両末端及び第2の鎖の5'末端は、2つのホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドを含んでよい。ホスホロチオエート修飾されたヌクレオチドとは、ヌクレオチドと隣接したヌクレオチドとの間の結合が、標準的なホスフェート基の代わりにホスホロチオエート基を含むことを意味する。
【0100】
末端修飾はまた、分布をモニタリングするのに有用である場合があり、そのような場合、付加される基は、フルオロフォア、例えば、フルオレセイン又はAlexa色素を含みうる。末端修飾はまた、取り込みを増強させるのに有用である場合があり、このための有用な修飾には、コレステロールが含まれる。末端修飾はまた、RNA剤を別の部分に架橋するのに有用である場合がある。
【0101】
アデニン、グアニン、シトシン、及びウラシルは、RNAに見られる最も一般的な塩基である。これらの塩基は、向上した特性を有するRNAを提供するために、修飾又は置換されうる。例えば、これらの塩基、又は合成及び天然の核酸塩基(例えば、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン(nubularine)、イソグアニシン、又はツベルシジン)、及び上記の修飾のうちのいずれか1つを用い、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドを調製することができる。代替的には、上記の塩基及び「ユニバーサル塩基」のうちのいずれかの置換又は修飾された類似体を用いてもよい。例としては、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、5-ハロウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-アミノアリルウラシル、8-ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン及びN-2、N-6及びO-6置換プリン、例えば2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシン、ジヒドロウラシル、3-デアザ-5-アザシトシン、2-アミノプリン、5-アルキルウラシル、7-アルキルグアニン、5-アルキルシトシン、7-デアザアデニン、N6,N6-ジメチルアデニン、2,6-ジアミノプリン、5-アミノ-アリル-ウラシル、N3-メチルウラシル、置換1,2,4-トリアゾール、2-ピリジノン、5-ニトロインドール、3-ニトロピロール、5-メトキシウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミノメチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N<4>-アセチルシトシン、2-チオシトシン、N6-メチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、N-メチルグアニン、又はO-アルキル化塩基が挙げられる。
【0102】
本書において使用される場合、「非対合ヌクレオチド類似体」という用語は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4-Me-インドール、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、Ds、Pa、N3-MeリボU、N3-MeリボT、N3-Me dC、N3-Me-dT、N1-Me-dG、N1-Me-dA、N3-エチル-dC、N3-Me dCを含むがこれらに限定されない、塩基対合しない部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。一部の実施形態では、非塩基対合ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態では、デオキシリボヌクレオチドである。
【0103】
本書において使用される場合、「末端官能基」という用語は、限定されるものではないが、ハロゲン基、アルコール基、アミン基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、ケトン基、エーテル基を含む。
【0104】
ある特定の部分は、第1の鎖又は第2の鎖の5'末端に結合することができ、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、修飾脱塩基リボース、及び2'Oアルキル修飾を含む脱塩基デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボース及び脱塩基デオキシリボース部分並びにそれらの修飾、C6-イミノ-Pi;L-DNA及びL-RNAを含むミラーヌクレオチド;5'OMeヌクレオチド;及びヌクレオチド類似体、例えば4',5'-メチレンヌクレオチド;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5'-アミノ-アルキルホスフェート;1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート;6-アミノヘキシルホスフェート;12-アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;アルファ-ヌクレオチド;トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5'-5'-逆位脱塩基部分;1,4-ブタンジオールホスフェート;5'-アミノ;並びに架橋又は非架橋メチルホスホネート及び5'-メルカプト部分を含む。
【0105】
本発明の核酸は、1個又は複数の逆位ヌクレオチド、例えば逆位チミジン又は逆位アデニンを含んでもよい(例えば、Takeiら、2002年、JBC、277巻(26号):23800~06頁を参照されたい)。
【0106】
本書において使用される場合、遺伝子発現に関する「阻害する」、「下方制御する」、又は「低減する」という用語は、遺伝子の発現、又は1つ若しくは複数のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子若しくは同等のRNA分子(例えば、mRNA)のレベル、又は1つ若しくは複数のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸の非存在下で観察されるものを下回って低減することを意味する。例えば、発現は、阻害剤の非存在下で観察されるものの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、又はそれ未満まで低減しうる。
【0107】
本発明の核酸は、脱塩基ヌクレオチドを含みうる。本書において使用される「脱塩基」という用語は、1'位の塩基が欠如しているか、又はその代わりに他の化学基を有する部分、例えば3',3'-結合又は5',5'-結合デオキシ脱塩基リボース誘導体を指す。
【0108】
核酸は、第2の鎖及び/又は第1の鎖上に修飾されている1つ又は複数のヌクレオチドを含みうる。交互になったヌクレオチドが修飾されて、修飾されたヌクレオチドを形成していてもよい。
【0109】
交互とは、本書に記載される場合、規則的に続けて起こることを意味する。換言すると、交互とは、順番に繰り返し起こることを意味する。例えば、1個のヌクレオチドが修飾される場合、次の隣接するヌクレオチドは修飾されず、その次に隣接するヌクレオチドは修飾される等ということである。1個のヌクレオチドは、第1の修飾で修飾されていてよく、次の隣接するヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されていてよく、その次に隣接するヌクレオチドは、第1の修飾で修飾される等ということである。ここで、第1の修飾と第2の修飾とは異なる。
【0110】
本発明の核酸の第1の鎖の奇数のヌクレオチドのうち、1個又は複数が修飾されていてよく、ここで第1の鎖は、5'から3'の順に付番されている。本書に記載される「奇数の」という用語は、2で割り切れない数を意味する。奇数の例は、1、3、5、7、9、11等である。本発明の核酸の第1の鎖の偶数のヌクレオチドのうち、1個又は複数が修飾されていてよく、ここで第1の鎖は、5'から3'の順に付番されている。本書に記載される「偶数の」という用語は、2で割り切れる数を意味する。偶数の例は、2、4、6、8、10、12、14等である。本発明の核酸の第2の鎖の奇数のヌクレオチドのうち、1個又は複数が修飾されていてよく、ここで第2の鎖は、3'から5'の順に付番されている。本発明の核酸の第2の鎖の偶数のヌクレオチドのうち、1個又は複数が修飾されていてよく、ここで第2の鎖は、3'から5'の順に付番されている。
【0111】
第1の鎖及び/又は第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは修飾されて、修飾されたヌクレオチドを形成していてもよい。第1の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が修飾されていてよい。第1の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、少なくとも第2の修飾によって修飾されていてよく、ここで少なくとも第2の修飾は、1個又は複数の奇数のヌクレオチドに対する修飾とは異なる。1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個に隣接していてよい。
【0112】
本発明の核酸において、第1の鎖における複数の奇数のヌクレオチドが修飾されていてよい。第1の鎖における複数の偶数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されていてよい。第1の鎖は、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含みうる。第1の鎖は、第2の異なる修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含んでもよい。
【0113】
第2の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、第1の鎖上の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されていてよく、かつ/或いは、第2の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドと同じ修飾によって修飾されていてよい。第2の鎖の1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドに隣接していてよい。第2の鎖の複数の奇数のヌクレオチドは、共通の修飾によって修飾されていてよく、かつ/又は、複数の偶数のヌクレオチドは、第1の鎖の奇数のヌクレオチド上に存在する同じ修飾によって修飾されていてよい。第2の鎖上の複数の奇数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されていてよく、ここで第2の修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0114】
第2の鎖は、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾でありうる。
【0115】
本発明の核酸において、第1の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれ、及び第2の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれは、共通の修飾で修飾されていてよく、第1の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれは、第2の修飾で修飾されていてよく、第2の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれは、第2の修飾で修飾されていてよい。
【0116】
本発明の核酸では、第1の鎖の修飾されたヌクレオチドが、第2の鎖の修飾されていないヌクレオチド又は異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1ヌクレオチドだけシフトしていてよい。
【0117】
第1の鎖において、奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよく、第2の鎖において、偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよい。いずれか又は両方の鎖において、交互になったヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されていてよい。第1の鎖において、偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよく、第2の鎖において、偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよい。いずれか又は両方の鎖において、交互になったヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されていてよい。第1の鎖において、奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよく、第2の鎖において、奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数は、共通の修飾によって修飾されていてよい。いずれか又は両方の鎖において、交互になったヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されていてよい。第1の鎖において、偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、修飾されていてよく、第2の鎖において、奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、共通の修飾によって修飾されていてよい。いずれか又は両方の鎖において、交互になったヌクレオチドのうちの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されていてよい。
【0118】
本発明の核酸は、鎖の一方又は両方に、交互になった修飾の少なくとも2つの領域を含む、一本鎖又は二本鎖の構築物を含みうる。これらの交互になった領域は、最大約12個のヌクレオチドを含みうるが、好ましくは、約3個~約10個のヌクレオチドを含む。交互になったヌクレオチドの領域は、本発明の核酸の一方又は両方の鎖の末端に位置しうる。核酸は、4~約10ヌクレオチドの交互になったヌクレオチドを各末端(3'及び5')に含んでよく、これらの領域は、修飾されていない、又は異なって修飾された、若しくは共通して修飾された、約5個~約12個の隣接するヌクレオチドによって分離されていてよい。
【0119】
第1の鎖の奇数のヌクレオチドは、修飾されていてよく、偶数のヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されていてよい。第2の鎖は、共通の修飾で修飾されている隣接したヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾と同じであってよい。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドも、第2の修飾で修飾されていてよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、互いに、また、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾と同じである修飾を有するヌクレオチドに隣接していてよい。第1の鎖は、3'末端及び5'末端における2個のヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を含んでもよい。第2の鎖は、5'末端における2個のヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を含んでよい。第2の鎖は、5'末端においてリガンドにコンジュゲートされていてもよい。
【0120】
本発明の核酸は、共通の修飾で修飾されている隣接したヌクレオチドを含む第1の鎖を含みうる。そのようなヌクレオチドのうちの1個又は複数は、第2の修飾で修飾されていてよい1個又は複数のヌクレオチドに隣接していてよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接していてよい。第2の鎖は、共通の修飾で修飾されている隣接したヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の1個又は複数のヌクレオチドの修飾のうちの1つと同じであってよい。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドも、第2の修飾で修飾されていてよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接していてよい。第1の鎖は、5'末端及び3'末端における2個のヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を含んでもよい。第2の鎖は、3'末端における2個のヌクレオチドの間にホスホロチオエート結合を含んでよい。第2の鎖は、5'末端においてリガンドにコンジュゲートされていてもよい。
【0121】
本書に記載される修飾の目的におけるヌクレオチドは(特記なき限り)、第1の鎖では5'から3'の順に、そして第2の鎖では3'から5'の順に付番されている。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、及び25と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖における修飾によって修飾されていてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖における第2の修飾によって修飾されていてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖における修飾によって修飾されていてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖における第2の修飾によって修飾されていてよい。本発明の核酸において、ヌクレオチドは、特記なき限り、第1の鎖では5'から3'の順に、そして第2の鎖では3'から5'の順に付番されている。
【0122】
2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖において修飾されていてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖における第2の修飾によって修飾されていてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖における修飾によって修飾されていてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖における第2の修飾によって修飾されていてよい。
【0123】
明らかに、第1の鎖及び/又は第2の鎖が25ヌクレオチド長よりも短い又は長い場合、例えば19ヌクレオチド長である場合、修飾対象となる20、21、22、23、24、及び25と付番されたヌクレオチドは存在しない。当業者であれば、上記の説明がより短い又はより長い鎖に適切に適用されることを理解する。
【0124】
第1の鎖上の1個又は複数の修飾されたヌクレオチドは、共通の修飾を有する第2の鎖上の修飾されたヌクレオチドと対合しうる。第1の鎖上の1個又は複数の修飾されたヌクレオチドは、異なる修飾を有する第2の鎖上の修飾されたヌクレオチドと対合してもよい。第1の鎖上の1個又は複数の修飾されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾されていないヌクレオチドと対合してもよい。第2の鎖上の1個又は複数の修飾されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾されていないヌクレオチドと対合してもよい。換言すると、交互になったヌクレオチドは、2本の鎖上でアラインされうる。例えば、第2の鎖の交互になった領域におけるすべての修飾が、第1の鎖における同一の修飾と対合するか、又は代替的には、修飾は、他方の鎖における異種の修飾(すなわち、第2の又は更なる修飾)と対合する1本の鎖の交互になった領域における共通の修飾を有する1個のヌクレオチドによって相殺されうる。別の選択肢は、鎖のそれぞれに異種の修飾を有することである。
【0125】
第1の鎖における修飾は、共通する修飾されたヌクレオチドが互いと対合しないように、第2の鎖上の修飾されたヌクレオチドに対して1個のヌクレオチドだけシフトしていてよい。
【0126】
修飾及び/又は複数の修飾は、それぞれ個別に、3'末端デオキシ-チミン、2'-O-メチル、2'-デオキシ修飾、2'-アミノ修飾、2'-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、5'-ホスホロチオエート基修飾、5'ホスフェート修飾若しくは5'ホスフェート模倣物修飾、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択されてよく、かつ/又は、修飾されたヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、若しくは非天然塩基を含むヌクレオチドのうちいずれか1つであってよい。
【0127】
少なくとも1つの修飾は、2'-O-メチルであってよく、かつ/又は、少なくとも1つの修飾は、2'-Fであってよい。本書に記載される更なる修飾が第1の鎖及び/又は第2の鎖に存在してもよい。
【0128】
本発明の説明全体を通して、「同じ又は共通の修飾」とは、メチル基又はフルオロ基等の基で修飾されたA、G、C、又はUのいずれにしろ、任意のヌクレオチドに対するものと同じ修飾を意味する。同じヌクレオチドにおける同じ付加を意味するものとは解釈されない。例えば、2'F-dU、2'F-dA、2'F-dC、2'F-dGはすべて、同じ又は共通の修飾であるとみなされ、2'-OMe-rU、2'-OMe-rA、2'-OMe-rC、2'-OMe-rGも同様である。2'F修飾は、2'OMe修飾とは異なる修飾である。
【0129】
本発明の一部の代表的な修飾された核酸配列を例に示す。これらの例は代表例であり、限定を意図するものではない。
【0130】
好ましくは、核酸は、2'-O-メチル修飾及び2'-F修飾を含む群からそれぞれ個別に選択される、修飾及び第2又は更なる修飾を含みうる。核酸は、第1の修飾でありうる2'-O-メチル(2'OMe)である修飾と、2'-Fである第2の修飾とを含んでよい。本発明の核酸は、各鎖又は両方の鎖のそれぞれ又は任意の末端における1個、2個、又は3個の末端ヌクレオチドにおいて、又はそれらの間に存在しうる、ホスホロチオエート修飾及び/又はデオキシ修飾を含んでもよい。
【0131】
本発明の核酸は、リガンドにコンジュゲートされていてよい。
【0132】
一部のリガンドは、エンドソーム溶解特性を有しうる。エンドソーム溶解性リガンドは、エンドソームの溶解、及び/又は、本発明の組成物若しくはその成分のエンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム溶解性リガンドは、pH依存性膜活性及び膜融合性を示すポリアニオン性ペプチド又はペプチド模倣薬でありうる。エンドソーム溶解性成分は、pHの変化に応答して電荷の変化又はプロトン化を受ける化学基を含有しうる。エンドソーム溶解性成分は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0133】
リガンドは、例えば取り込みを増強させるための治療用修飾因子、例えば分布をモニタリングするための診断用化合物又はレポーター基、架橋剤、及びヌクレアーゼ耐性付与部分を含みうる。一般的な例としては、脂質、ステロイド、ビタミン、糖、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、及びペプチド模倣物が挙げられる。リガンドとしては、タンパク質、炭水化物、又は脂質等の天然に存在する物質を挙げることができる。リガンドは、組換え又は合成の分子であってよい。
【0134】
リガンドとしては、標的化基、例えば、細胞標的化剤又は組織標的化剤を挙げることもできる。標的化リガンドは、レクチン、糖タンパク質、脂質、又はタンパク質でありうる。
【0135】
リガンドの他の例としては、色素、インターカレート剤、架橋剤、ポルフィリン、多環式芳香族炭化水素、人工エンドヌクレアーゼ若しくはキレート剤、親油性分子、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG、MPEG、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン、輸送/吸収促進剤、合成リボヌクレアーゼ、又はイミダゾールクラスターが挙げられる。
【0136】
リガンドは、タンパク質、例えば糖タンパク質又はペプチドであってよい。リガンドは、ホルモン又はホルモン受容体であってもよい。これらには、非ペプチド種、例えば脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、又は補因子も含まれうる。
【0137】
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することにより、核酸の細胞への取り込みを増加させうる薬物等の物質であってよい。
【0138】
リガンドは、炎症応答を活性化させることにより、核酸の細胞への取り込みを増加させうる。そのようなリガンドとしては、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-1ベータ、又はガンマインターフェロンが挙げられる。
【0139】
リガンドは、脂質又は脂質に基づく分子でありうる。脂質又は脂質に基づく分子は、好ましくは、血清タンパク質に結合する。好ましくは、脂質に基づくリガンドは、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。脂質又は脂質に基づく分子は、コンジュゲートの分解に対する耐性を増加させ、標的細胞への標的化若しくは輸送を増加させ、かつ/又は血清タンパク質への結合を調整することができる。脂質に基づくリガンドは、標的組織に対するコンジュゲートの結合を調節するために使用されうる。
【0140】
リガンドは、ステロイドでありうる。好ましくは、リガンドは、コレステロール又はコレステロール誘導体である。
【0141】
リガンドは、標的細胞によって取り込まれる部分、例えばビタミンでありうる。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、E、K、及びビタミンB群が挙げられる。ビタミンは、増殖性細胞によって取り込まれることが可能であり、これは、悪性又は非悪性の腫瘍細胞といった細胞に核酸を送達するために有用でありうる。
【0142】
リガンドは、ヘリカル細胞透過剤等の細胞透過剤でありうる。好ましくは、そのような薬剤は両親媒性である。
【0143】
リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣薬でありうる。ペプチド模倣薬は、天然のペプチドと同様の定義された三次元構造にフォールディングすることが可能な分子である。ペプチド又はペプチド模倣薬リガンドは、天然に存在するペプチド若しくは修飾されたペプチド、又は両方を含みうる。ペプチド又はペプチド模倣薬は、細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチドであってよい。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束性ペプチド、又は架橋ペプチドでありうる。ペプチド部分は、疎水性膜移行配列を含みうる。ペプチド部分は、細胞膜を横断してペプチド、オリゴヌクレオチド、及びタンパク質等の大きな極性分子を運ぶことが可能なペプチド、例えば、HIV Tatタンパク質の配列(GRKKRRQRRRPPQ)及びショウジョウバエ(Drosophila)のアンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK)でありうる。好ましくは、ペプチド又はペプチド模倣薬は、細胞標的化ペプチド、例えば、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドである。
【0144】
リガンドは、例えば、微生物細胞又は哺乳動物細胞を投下することが可能な細胞透過ペプチドでありうる。
【0145】
リガンドは、薬物動態調節因子でありうる。薬物動態調節因子は、親油性物質(lipophiles)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミン等でありうる。
【0146】
2つ以上のリガンドが存在する場合、これらのリガンドは、すべてが同じ特性を有してもよいし、すべてが異なる特性を有してもよいし、又は一部のリガンドが同じ特性を有し、その他が異なる特性を有してもよい。例えば、リガンドは、標的化特性を有するか、エンドソーム溶解活性を有するか、又はPK調節特性を有する場合がある。好ましい一実施形態では、リガンドはすべて異なる特性を有する。
【0147】
リガンドは、3'末端、5'末端、及び/又は末端位で核酸に結合していてもよい。好ましくは、リガンドは、介在するテザー又はリンカーによって核酸に結合している。
【0148】
一部の実施形態では、核酸は二本鎖核酸である。二本鎖核酸において、リガンドは、一方又は両方の鎖に結合していてよい。一部の実施形態では、二本鎖核酸は、第2の鎖にコンジュゲートされたリガンドを含有する。他の実施形態では、二本鎖核酸は、第1の鎖にコンジュゲートされたリガンドを含有する。
【0149】
リガンドは、核酸分子の核酸塩基、糖部分、又はヌクレオシド間結合にコンジュゲートされていてよい。プリン核酸塩基又はそれらの誘導体へのコンジュゲーションは、環内原子及び環外原子を含め、いずれの位置で生じてもよい。ピリミジンヌクレオチド又はそれらの誘導体へのコンジュゲーションも、いずれの位置で生じてもよい。ヌクレオシドの糖部分へのコンジュゲーションは、任意の炭素原子において生じうる。ヌクレオシド間結合へのコンジュゲーションは、リン含有結合のリン原子において、又はリン原子に結合した酸素、窒素、若しくは硫黄原子において生じうる。アミン又はアミドを含有するヌクレオシド間結合については、コンジュゲーションは、アミン若しくはアミドの窒素原子において、又は隣接した炭素原子に対して生じうる。
【0150】
リガンドは、典型的には、炭水化物、例えば単糖、二糖、三糖、四糖、又は多糖である。リガンドは、リンカーによって核酸にコンジュゲートされていてよい。糖類は、N-アセチルガラクトースアミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン、及びフコースから選択されうる。糖類は、N-アセチルガラクトースアミン(GalNAc)でありうる。
【0151】
したがって、本発明において使用されるリガンドは、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分及びそれらの誘導体、並びに(ii)リンカーを含んでよく、リンカーは、先行する態様のいずれかに定義された配列にGalNAc部分をコンジュゲートさせる。リンカーは、二価、又は三価、又は四価の分岐構造でありうる。ヌクレオチドは、本書に定義されるように修飾されていてよい。
【0152】
オリゴヌクレオチド、特に本発明の二本鎖核酸を、細胞にインビボで効率的に送達するための手段は重要であり、特異的な標的化、並びに細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護を必要とする。特異的な標的化を達成する1つの方法は、リガンドを核酸にコンジュゲートさせることである。標的化部分は、必要とされる標的部位に核酸の標的を定めるのに役立ち、コンジュゲートされた分子がエンドサイトーシス等によって細胞に取り込まれるように、所望の受容体部位に適切なリガンドをコンジュゲートさせる必要がある。リガンドは、特定の受容体を標的とすることが可能な任意の部分又はリガンドでありうる。
【0153】
例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)は、肝細胞において非常に豊富な高容量の受容体である。三本触角性クラスターグリコシドの最初の開示のうちの1つは、米国特許第5,885,968号においてであった。3つのGalNAcリガンドを有し、ホスフェート基を含むコンジュゲートは公知であり、Dubberら(2003年)に記載されている。ASGP-Rは、N-アセチル-D-ガラクトシルアミン(GalNAc)に対し、D-Galよりも50倍高い親和性を示す。
【0154】
グリコシル化されたタンパク質又は他のオリゴ糖の末端β-ガラクトシルサブユニットを特異的に認識する(P.H. Weigelら、2002年)、レクチン(アシアロ糖タンパク質受容体;ASGPR)を発現する肝細胞は、ガラクトース又はガラクトースアミンの薬物物質との共有結合により、薬物の標的を肝臓に定めるために使用されうる(S. Ishibashiら、1994年)。更に、結合親和性は、標的化ユニットの反復によって達成される多価性効果により、著しく増加しうる(E. A. L. Biessenら、1995年)。
【0155】
ASGPRは、末端β-ガラクトシルを含有する糖タンパク質の活発なエンドソーム輸送の媒介物であり、したがってASGPRは、細胞内に送達される必要がある核酸のような薬物候補の標的を定めた送達に非常に好適である(Akincら)。
【0156】
リガンドと呼ばれることもある糖類は、標的細胞上の少なくとも1種の受容体に対する親和性を有するように選択されうる。特に、受容体は、哺乳動物の肝臓細胞の表面上にある、例えば、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0157】
糖類は、N-アセチルガラクトースアミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン、及びフコースから選択されうる。糖類は、N-アセチルガラクトースアミン(GalNAc)でありうる。
【0158】
「GalNAc」とは、文献では一般的にN-アセチルガラクトサミンと呼ばれる、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを指す。「GalNAc」又は「N-アセチルガラクトースアミン」への言及は、β形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースと、α形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースとの両方を含む。β形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースと、α形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースとの両方は、交換可能に使用されうる。好ましくは、本発明の化合物は、β形態の2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0159】
リガンドは、GalNAcを含みうる。
【0160】
リガンドは、式Iの化合物:
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (I)
[式中、
Sは、糖類を表し、ここで糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]であり、
Pは、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、アルキレン、又は式(-CH2)n-O-CH2-[式中、n=1~6である]のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットを表し、
本発明に係る核酸は、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)を介してX3にコンジュゲートされている]
を含みうる。
【0161】
式I中、分岐ユニット「A」は、3つの糖類リガンドに適応するために3つに分岐する。分岐ユニットは、リガンド及び核酸のに共有結合する。分岐ユニットは、アルキル基、アミド基、ジスルフィド基、ポリエチレングリコール基、エーテル基、チオエーテル基、及びヒドロキシアミノ基から選択される基を含む、分岐状脂肪族基を含みうる。分岐ユニットは、アルキル基及びエーテル基から選択される基を含みうる。
【0162】
分岐ユニットAは、
【化7】
【0163】
(式中、各A1は、独立して、O、S、C=O、又はNHを表し、
各nは、独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有することができる。
【0164】
分岐ユニットは、
【化8】
(式中、各A1は、独立して、O、S、C=O、又はNHを表し、
各nは、独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有することができる。
【0165】
分岐ユニットは、
【化9】
(式中、A1は、O、S、C=O、又はNHであり、
各nは、独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有することができる。
【0166】
分岐ユニットは、
【化10】
の構造を有してもよい。
【0167】
分岐ユニットは、
【化11】
の構造を有してもよい。
【0168】
分岐ユニットは、
【化12】
の構造を有してもよい。
【0169】
任意選択により、分岐ユニットは、炭素原子のみからなる。
【0170】
X3は、-C1~C20アルキレン-、-C2~C20アルケニレン-、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテル、-C(O)-C1~C20アルキレン-、-C0~C4アルキレン(Cy)C0~C4アルキレン-[式中、Cyは、置換又は未置換の、5員又は6員のシクロアルキレン環、アリーレン環、ヘテロシクリレン環、又はヘテロアリーレン環を表す]、-C1~C4アルキレン-NHC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)NH-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-SC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)S-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-OC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)O-C1~C4アルキレン-、及び-C1~C6アルキレン-S-S-C1~C6アルキレン-から選択されうる。
【0171】
X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテルでありうる。X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C4~C20アルキレン)-[式中、該(C4~C20アルキレン)は、Zに結合している]のアルキレンエーテルでありうる。X3は、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-、及び-CH2-O-C8H16-、特に-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-、及び-CH2-O-C8H16-(各事例において、-CH2-基はAに結合している)からなる群から選択することができる。
【0172】
リガンドは、式(II)の化合物:
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (II)
[式中、
Sは、糖類を表し、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]であり、
Pは、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、C1~C8アルキレンであり、
Aは、
【化13】
から選択される分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットであり、
本発明に係る核酸は、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)を介してX3にコンジュゲートされている]
を含みうる。
【0173】
分岐ユニットAは、
【化14】
の構造を有しうる。
【0174】
分岐ユニットAは、
【化15】
(式中、X3は、窒素原子に結合している)
の構造を有しうる。
【0175】
X3は、C1~C20アルキレンでありうる。好ましくは、X3は、-C3H6-、-C4H8-、-C6H12-、及び-C8H16-、特に-C4H8-、-C6H12-、及び-C8H16-からなる群から選択される。
【0176】
リガンドは、式(III)の化合物:
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (III)
[式中、
Sは、糖類を表し、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]であり、
Pは、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、式-C3H6-O-CH2-のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-C2H4-、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C5H10-、-CH2-O-C6H12-、-CH2-O-C7H14-、及び-CH2-O-C8H16-(各事例において、-CH2-基はAに結合している)からなる群から選択される式のアルキレンエーテルであり、
本発明に係る核酸は、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)を介してX3にコンジュゲートされている]
を含みうる。
【0177】
分岐ユニットは、炭素を含みうる。好ましくは、炭素ユニットは炭素である。
【0178】
X3は、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C5H10-、-CH2-O-C6H12-、-CH2-O-C7H14-、及び-CH2-O-C8H16-からなる群から選択することができる。好ましくは、X3は、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-、及び-CH2-O-C8H16からなる群から選択されうる。
【0179】
上記態様のいずれについても、Pが修飾されたホスフェート基を表す。Pは、
【化16】
によって表すことができ、式中、Y1及びY2は、それぞれ独立して、=O、=S、-O-、-OH、-SH、-BH3、-OCH2CO2、-OCH2CO2Rx、-OCH2C(S)ORx、及び-ORXを表し、ここでRxは、C1~C6アルキルを表し、かつ、
【化17】
は、化合物の残部への結合を示す。
【0180】
例えば、Y1は、-OHを表す場合があり、Y2は、=O若しくは=Sを表す場合がある、又は、
Y1は、-O-を表す場合があり、Y2は、=O若しくは=Sを表す場合があり、
Y1は、=Oを表す場合があり、Y2は、-CH3、-SH、-ORX、若しくは-BH3を表す場合があり、
Y1は、=Sを表す場合があり、Y2は、-CH3、ORX、若しくは-SHを表す場合がある。
【0181】
当業者には、ある特定の事例において、Y1とY2との間の非局在化があることが理解されよう。
【0182】
好ましくは、修飾されたホスフェート基は、チオホスフェート基である。チオホスフェート基としては、ビチオホスフェート(すなわち、Y1が=Sを表し、Y2が-S-を表す場合)、及びモノチオホスフェート(すなわち、Y1が-O-を表し、Y2が=Sを表す場合、又はY1が=Oを表し、Y2が-S-を表す場合)が挙げられる。好ましくは、Pはモノチオホスフェートである。本発明者らは、ホスフェート基の代わりにチオホスフェート基を有するコンジュゲートが、インビボで向上した効力及び作用持続時間を有することを見出した。
【0183】
Pは、エチルホスフェート(すなわち、Y1が=Oを表し、Y2がOCH2CH3を表す場合)であってもよい。
【0184】
リガンドと呼ばれることもある糖類は、標的細胞上の少なくとも1種の受容体に対する親和性を有するように選択されうる。特に、受容体は、哺乳動物の肝臓細胞の表面上にある、例えば、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0185】
上記態様のいずれについても、糖類は、ガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン、及びフルクトースのうちの1つ又は複数を有するN-アセチルから選択されうる。好ましくは、糖類は、2分子のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。本発明の化合物は、それぞれN-アセチルガラクトサミンであることが好ましい3つのリガンドを有しうる。
【0186】
「GalNAc」とは、文献では一般的にN-アセチルガラクトサミンと呼ばれる、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを指す。「GalNAc」又は「N-アセチルガラクトサミン」への言及は、β形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースと、α形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースとの両方を含む。ある特定の実施形態において、β形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースと、α形態:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースとの両方は、交換可能に使用されうる。好ましくは、本発明の化合物は、β形態の2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0187】
【化18】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノース
【0188】
【化19】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース
【0189】
【化20】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノース
【0190】
上記の式(III)の化合物のいずれについても、X1は、(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]でありうる。X1は、(-CH2-CH2-O)(-CH2)2-であってもよい。X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-であってもよい。X1は、(-CH2-CH2-O)3(-CH2)2-であってもよい。好ましくは、X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-である。代替的には、X1は、C3~C6アルキレンを表す。X1は、プロピレンであってもよい。X1は、ブチレンであってもよい。X1は、ペンチレンであってもよい。X1は、へキシレンであってもよい。好ましくは、アルキルは、直鎖状アルキレンである。特に、X1は、ブチレンであってよい。
【0191】
式(III)の化合物について、X2は、式-C3H6-O-CH2-、すなわちC3アルコキシメチレン、又は-CH2CH2CH2OCH2-のアルキレンエーテルを表す。
【0192】
したがって本発明は、次の構造、
【化21-1】
【化21-2】
【化21-3】
【化21-4】
(式中、Zは、上文に定義された核酸を表す)
のうちの1つを有する、コンジュゲートされた核酸を更に提供する。
【0193】
本発明は、別の態様として、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸又はコンジュゲートされた核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチドを選択された位置に含み、核酸が、リンカーを介して間接的に、又は直接的にリガンドにコンジュゲートされている、核酸を提供する。核酸は、本書に記載されるように、リガンドにコンジュゲートされていてよい。第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドは、本書に記載されるように、修飾されていてよい。
【0194】
リガンドは、式Iに提示されるリンカーを介して核酸にコンジュゲートされていてよく、ここで第1の鎖は、奇数のヌクレオチドが2'OMe修飾で修飾され、偶数のヌクレオチドが2'Fで修飾されており、第2の鎖は、偶数のヌクレオチドが2'OMeで修飾され、奇数のヌクレオチドが2'Fで修飾されている。
【0195】
リガンドは、GalNacであってよく、リンカーを介して結合していてよい。
【0196】
本書に記載される核酸は、リポソームの形態で脂質と共に製剤化されうる。そのような製剤は、当技術分野ではリポプレックスとして説明される場合がある。脂質/リポソームを含む製剤は、本発明の核酸の標的細胞への送達を補助するために使用されうる。本書に記載される脂質送達系は、コンジュゲートされたリガンドの代替物として使用されうる。本発明の核酸を脂質送達系又はリガンドコンジュゲート送達系と共に使用する場合、本書に記載される修飾が存在してよい。
【0197】
そのようなリポプレックスは、
i)カチオン性脂質、又はその薬学的に許容される塩、
ii)ステロイド、
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質、
iv)PEG化脂質
を含む、脂質製剤を含みうる。
【0198】
カチオン性脂質は、アミノカチオン性脂質でありうる。
【0199】
カチオン性脂質は、式(I):
【化22】
又はその薬学的に許容される塩を有することができ、式中、
Xは、O、S、又はNHを表し、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C4~C22直鎖状若しくは分岐状アルキル鎖、又は1つ若しくは複数の二重結合を有するC4~C22直鎖状若しくは分岐状アルケニル鎖を表し、アルキル鎖又はアルケニル鎖は、任意選択により、介在するエステル、アミド、又はジスルフィドを含有し、
XがS又はNHを表す場合、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノアミン若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒にヘテロシクリル環を形成し、
XがOを表す場合、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノアミン若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒にヘテロシクリル環を形成するか、又はR3は水素を表し、R4はC(NH)(NH2)を表す。
【0200】
カチオン性脂質は、式(IA):
【化23】
又はその薬学的に許容される塩を有してもよい。
【0201】
カチオン性脂質は、式(IB):
【化24】
又はその薬学的に許容される塩を有してもよい。
【0202】
カチオン性脂質成分の含有量は、製剤の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%でありうる。特に、カチオン性脂質成分は、製剤の脂質含有量全体の約59モル%である。
【0203】
本製剤は、ステロイドを更に含む。ステロイドは、コレステロールでありうる。ステロイドの含有量は、脂質製剤の脂質含有量全体の約26モル%~約35モル%でありうる。より具体的には、ステロイドの含有量は、脂質製剤の脂質含有量全体の約30モル%でありうる。
【0204】
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質は、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPhyPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLoPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、1,2-ジスクアレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSQPE)、及び1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(SLPE)からなる群から選択されうる。リン脂質の含有量は、製剤の脂質含有量全体の約10モル%でありうる。
【0205】
PEG化脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DMG-PEG)、及びC16-セラミド-PEGからなる群から選択されうる。PEG化脂質の含有量は、製剤の脂質含有量全体の約1~5モル%でありうる。
【0206】
製剤中のカチオン性脂質成分の含有量は、脂質製剤の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%、好ましくは脂質製剤の脂質含有量全体の約59モル%でありうる。
【0207】
本製剤の成分i):ii):iii):iv)のモル比は、55:34:10:1、56:33:10:1、57:32:10:1、58:31:10:1、59:30:10:1、60:29:10:1、61:28:10:1、62:27:10:1、63:26:10:1、64:25:10:1、及び65:24:10:1から選択されうる。
【0208】
本組成物は、
【化25】
の構造を有するカチオン性脂質、
【化26】
の構造を有するステロイド、
【化27】
の構造を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質、及び
【化28】
の構造を有するPEG化脂質を含みうる。
【0209】
中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成されていてよい。アニオン性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されていてよく、アニオン性膜融合リポソームは、主にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成されていてよい。別の種類のリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、ダイズPC、及び卵PC等から形成されていてよい。別の種類は、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0210】
正に帯電した合成カチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を使用すると、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合することが可能な脂質-核酸複合体を形成する、小さなリポソームを形成することができる。DOTMA類似体を使用してリポソームを形成することもできる。
【0211】
本書に記載される脂質の誘導体及び類似体を使用して、リポソームを形成してもよい。
【0212】
核酸を含有するリポソームは、種々の方法によって調製することができる。一例において、脂質成分を含むミセルが形成されるように、リポソームの脂質成分を洗剤中に溶解させる。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質又は脂質コンジュゲートであってよい。洗剤は高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性でありうる。例示的な洗剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次いで、脂質成分を含むミセルに核酸調製物を添加する。脂質のカチオン性基が核酸と相互作用し、核酸の周りに凝集してリポソームを形成する。凝集後、例えば透析によって洗剤を除去すると、核酸のリポソーム調製物が得られる。
【0213】
必要であれば、凝集を補助する担体化合物を、例えばコントロールされた添加により、凝集反応中に添加してもよい。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)でありうる。凝集に有利に働くようにpHを調整してもよい。
【0214】
核酸製剤は、界面活性剤を含みうる。一実施形態において、核酸は、界面活性剤を含むエマルションとして製剤化される。
【0215】
イオン化されていない界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。例としては、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル等の非イオン性エステル、非イオン性アルカノールアミド、並びに脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシル化アルコール、及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー等のエーテルが挙げられる。
【0216】
水中に溶解又は分散すると負の電荷を帯びる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。例としては、カルボキシレート類、例えばセッケン、アシルアクリレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェート等の硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート、及びスルホサクシネート等のスルホネート類、並びにホスフェート類が挙げられる。
【0217】
水中に溶解又は分散すると正の電荷を帯びる界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。例としては、四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。
【0218】
正或いは負の電荷を帯びる能力を有する界面活性剤は、両性界面活性剤である。例としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、及びホスファチドが挙げられる。
【0219】
本書において「ミセル」とは、分子のうち疎水性部分のすべてが内向きになり、親水性部分が周囲の水性相と接触した状態になるよう、両親媒性分子が球状構造に配置されている、特定の種類の分子集合体として定義される。環境が疎水性であれば逆の配置が存在する。ミセルは、核酸、アルカリ金属アルキルサルフェート、及び少なくとも1つのミセル形成化合物の水溶液を混合することによって形成されうる。
【0220】
例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容される塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ボリジオイル、月見草オイル、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容される塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びそれらの類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びそれらの類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0221】
フェノール及び/又はm-クレゾールを混合されたミセル組成物に添加して、安定剤及び保存剤として機能させてもよい。グリセリン等の等張化剤を添加してもよい。
【0222】
核酸調製物は、微粒子等の粒子に組み込んでもよい。微粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動層乾燥、真空乾燥、又はこれらの方法の組み合わせによって生成することができる。
【0223】
本発明は、本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物も提供する。本医薬組成物は、医薬又は診断剤として、単独で、又は他の薬剤と組み合わせて使用されうる。例えば、本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、送達ビヒクル(例えば、リポソーム)、及び担体、希釈剤等の賦形剤と組み合わせることができる。保存剤及び安定剤といった他の薬剤を添加することもできる。核酸の送達のための方法は当技術分野で公知であり、当業者の知識の範疇である。
【0224】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、別々又は同時のいずれかで、例えば、合わせた単位用量として投与される、他の治療用化合物と組み合わせて投与することもできる。本発明はまた、例えば安定剤、保存剤、希釈剤、バッファー等の生理学的/薬学的に許容される賦形剤中に、本発明に係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む、医薬組成物を含む。
【0225】
本医薬組成物は、固体又は液体形態における投与のために特別に製剤化されていてよい。本組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射を含む)、局所適用、腟内若しくは直腸内投与、舌下投与、点眼投与、経皮投与、又は鼻腔投与のために製剤化されていてよい。皮下又は静脈内方法を使用した送達が好ましい。
【0226】
本発明の医薬及び医薬組成物の投与量レベルは、当業者であればルーチン実験によって判定することができる。一実施形態において、単位用量は、約0.01mg/体重1kgから約100mg/体重1kgの間の核酸を含有しうる。代替的には、用量は、10mg/体重1kg~25mg/体重1kg、又は1mg/体重1kg~10mg/体重1kg、又は0.05mg/体重1kg~5mg/体重1kg、又は0.1mg/体重1kg~5mg/体重1kg、又は0.1mg/体重1kg~1mg/体重1kg、又は0.1mg/体重1kg~0.5mg/体重1kg、又は0.5mg/体重1kg~1mg/体重1kgでありうる。投与量レベルは、例えば体表面積といった他のパラメータによって計算されてもよい。
【0227】
本医薬組成物は、無菌の注射用水性懸濁液若しくは水溶液、又は凍結乾燥形態であってもよい。一実施形態において、本医薬組成物は、凍結乾燥されたリポプレックス又はリポプレックスの水性懸濁液を含みうる。リポプレックスは、好ましくは、本発明の核酸を含む。そのようなリポプレックスは、インビトロ又はインビボのいずれかで標的細胞に本発明の核酸を送達するために使用されうる。
【0228】
本発明の医薬組成物及び医薬は、薬学的有効量で哺乳動物対象に投与されうる。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットから選択されうる。
【0229】
本発明の更なる態様は、疾患又は障害の処置における使用のための、本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸、或いは本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物に関する。本発明は、例えば安定剤、保存剤、希釈剤、バッファー等の生理学的/薬学的に許容される賦形剤中に、本発明に係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む、医薬組成物を含む。
【0230】
本医薬組成物は、無菌の注射用水性懸濁液若しくは水溶液、又は凍結乾燥形態であってもよい。
【0231】
薬学的に許容される組成物は、本発明に係るいずれかの実施形態における治療有効量の核酸又はコンジュゲートされた核酸を、単独で、或いは1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は希釈剤と共に製剤化された状態で含みうる。
【0232】
薬学的に許容される担体として機能しうる材料の例としては、(1)ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖類、(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、(3)セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース、(4)トラガント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルク等の滑沢剤、(8)カカオバター及び坐薬ワックス等の賦形剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油等の油類、(10)プロピレングリコール等のグリコール類、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール等のポリオール類、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル、ポリカーボネート、及び/又はポリ酸無水物、(22)ポリペプチド及びアミノ酸等の増量剤、(23)血清アルブミン、HDL、及びLDL等の血清成分、並びに(22)医薬製剤に用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
【0233】
安定剤は、核酸又はコンジュゲートされた核酸を安定化させる薬剤、例えば、核酸と複合体を形成することができるタンパク質、キレート剤(例えばEDTA)、塩、RNAse阻害剤、及びDNAse阻害剤でありうる。
【0234】
一部の事例では、薬物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を減速させることが望ましい。これは、低い水溶性を有する結晶性材料又は非晶質材料の液体懸濁液を使用することによって達成されうる。これで薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形態に依存しうる。代替的には、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、薬物を油ビヒクルに溶解又は懸濁することによって達成される。
【0235】
本書に記載される核酸は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害することが可能でありうる。本書に記載される核酸は、細胞における標的遺伝子の発現を部分的に阻害することが可能でありうる。阻害は、完全、すなわち本発明の核酸の非存在下における標的遺伝子発現の発現レベルの0%であってもよい。標的遺伝子発現の阻害は、部分的であってもよく、すなわち、本発明の核酸の非存在下における標的遺伝子発現の15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%であってもよい。阻害は、ヒト対象等の対象において使用されたとき、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、又は最長3か月にわたって持続しうる。核酸若しくはコンジュゲートされた核酸、又はそれを含む組成物は、1回、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、又は8週間毎の使用のためのものでありうる。核酸又はコンジュゲートされた核酸は、皮下又は静脈内使用のためのものでありうる。
【0236】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸で処置される、又はそれを受ける細胞及び/又は対象において、標的遺伝子発現は、無処置の細胞及び/又は対象と比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%の範囲だけ阻害されうる。阻害のレベルは、標的遺伝子発現若しくは過剰発現と関連する疾患の処置を可能にすることができるか、又は標的遺伝子遺伝子産物の機能に関する更なる調査を可能にすることができる。
【0237】
標的遺伝子は、第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、RSV、PDGFベータ遺伝子、Erb-B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erk1/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JU遺伝子、FOS遺伝子、BCL-2遺伝子、ヘプシジン、活性化プロテインC、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT-1遺伝子、ベータ-カテニン遺伝子、c-MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIアルファ遺伝子、p73遺伝子の突然変異、p21(WAF I/CIPI)遺伝子の突然変異、p27(KIPI)遺伝子の突然変異、PPM ID遺伝子の突然変異、RAS遺伝子の突然変異、カベオリンI遺伝子の突然変異、MIB I遺伝子の突然変異、MTAI遺伝子の突然変異、M68遺伝子の突然変異、腫瘍抑制因子遺伝子の突然変異、及びp53腫瘍抑制因子遺伝子の突然変異でありうる。特に、標的遺伝子はTMPRSS6又はALDH2でありうる。
【0238】
本発明の更なる態様は、疾患又は障害を処置するための医薬の製造における本発明の核酸に関する。
【0239】
本発明には、処置を必要とする個体に、本書に記載の核酸を含む医薬組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法も含まれる。核酸組成物は、毎週2回、毎週1回、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、又は8週間毎に投与されうる。核酸は、対象に皮下若しくは静脈内投与されうる。
【0240】
一実施形態において、対象は、初期用量及び1つ又は複数の維持用量の核酸又はコンジュゲートされた核酸を投与される。維持用量(単数又は複数)は、初期用量と同じであっても、又はそれ未満、例えば、初期用量の1/2未満であってもよい。維持用量は、例えば、2、5、10、又は30日毎に1回以下投与される。処置レジメンは、特定の疾患の性質、その重症度、及び患者の全体的状態に応じて異なる期間にわたって持続してよい。
【0241】
一実施形態において、本組成物は、複数の核酸剤種を含む。別の実施形態では、核酸剤種は、天然に存在する標的配列に対して別の種と重複せず、かつ隣接していない配列を有する。別の実施形態では、複数の核酸剤種は、異なる天然に存在する標的遺伝子に対して特異的である。別の実施形態では、核酸剤は、アレル特異的である。
【0242】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、別々又は同時のいずれかで、例えば、合わせた単位用量として投与される、他の治療用化合物と組み合わせて投与されるか、又はそのような使用のためのものであってもよい。
【0243】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、化学合成、又はインビトロ(例えば、ランオフ転写)若しくはインビボでの核酸の発現をはじめとする、当技術分野でルーチンの方法を使用して産生することができる。例えば、固相化学合成の使用、又は発現ベクターの使用である。一実施形態において、発現ベクターは、本発明の核酸を標的細胞において産生しうる。本書に記載される核酸の合成のための方法は、当業者に公知である。
【0244】
一態様において、本発明は、標的遺伝子の発現を阻害することが可能な核酸であって、第1の鎖及び第2の鎖を含み、第1の鎖及び第2の鎖が、互いと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、該標的遺伝子の一部分から転写されるRNAと少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖及び/又は該第2の鎖が、修飾されたヌクレオチドを含む、核酸に関する。本書において開示される核酸の更なる好ましい特徴は次のとおりである。
【0245】
細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、該標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチド又は修飾されていないヌクレオチドを複数の位置に含む、核酸。
【0246】
一態様において、「RISCによるプロセシングを容易にする」とは、核酸がRISCによってプロセシングされうること、例えば、存在するいずれかの修飾が、好適にはSiRNA活性が生じうるように、RISCによる核酸のプロセシングを可能にすることを意味する。
【0247】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第1の鎖の13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0248】
第1の鎖上の位置に「対応する」第2の鎖上のヌクレオチドは、好適には、第1の鎖上のそのヌクレオチドと塩基対合するヌクレオチドである。
【0249】
一態様において、第1の鎖の13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の13位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0250】
一態様において、第1の鎖の11位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の11位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0251】
一態様において、第1の鎖の12位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の12位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0252】
この命名法は、第2の鎖の他の位置に適用されうる。
【0253】
例えば、二本鎖であり平滑末端をもつ19量体核酸において、第1の鎖の13位は、第2の鎖の7位と対合することになる。第1の鎖の11位は、第2の鎖の9位と対合することになる。この命名法は、第2の鎖の他の位置に適用されうる。
【0254】
第1の鎖の13位に対応するヌクレオチドは、好適には、第2の鎖の3'から数えて、二本鎖領域の第1のヌクレオチドから始めて、第2の鎖の13位である。同様に、第2の鎖の11位は、好適には、二本鎖領域の第1のヌクレオチドから始めて、第2の鎖の3'から11番目のヌクレオチドである。この命名法は、第2の鎖の他の位置に適用されうる。
【0255】
一態様において、第1の鎖及び第2の鎖が部分的に相補的である場合、第1の鎖上の位置に「対応する」第2の鎖上のヌクレオチドは、その位置が、ミスマッチが存在する位置である場合には、必ずしも塩基対を形成するとは限らない場合があるが、命名法の原則は依然として適用される。
【0256】
第1の鎖及び第2の鎖は、二重鎖領域(オーバーハング領域があればこれを無視する)にわたって完全に相補的であり、核酸の二本鎖領域内にミスマッチがないことが好ましい。
【0257】
また、以下のものも好ましい。
【0258】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第1の鎖の11位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0259】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第1の鎖の11位及び13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0260】
一態様において、第1の鎖の12位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'O-メチル修飾で修飾されていない。核酸に関するこの制限は、本書に記載される任意の他の制限と共に見られる場合がある。
【0261】
したがって、本発明の別の態様は、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第1の鎖の11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸である。
【0262】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。
【0263】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されており、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0264】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されており、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。
【0265】
本書において開示される核酸は、好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして測定した場合、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超が2'O-メチル修飾を含む、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%超、又はそれ以上が2'O-メチル修飾を含む。
【0266】
本書において開示される核酸は、好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして測定した場合、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超が、天然に存在するRNA修飾を含む、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%超、又はそれ以上がそのような修飾を含む。好適な天然に存在する修飾としては、2O'メチルの他に、他の2'糖修飾、特にDNAヌクレオチドをもたらす2'H修飾が挙げられる。
【0267】
本書において開示される核酸は、好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして、2'Oメチル修飾ではない2'修飾を第1の鎖及び/又は第2の鎖に有する、20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下のヌクレオチドを含む。
【0268】
本書において開示される核酸は、好ましくは両方の鎖の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして、20%以下(例えば15%以下又は10%以下)の2'フルオロ修飾を第1の鎖及び/又は第2の鎖に含む。
【0269】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位並びに第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドを除くすべてのヌクレオチドが2'O-メチル修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。好ましくは、2'O-メチルで修飾されていないヌクレオチドは、2'位においてフルオロで修飾されている。
【0270】
核酸のすべてのヌクレオチドが糖の2'位で修飾されている、本書において開示される核酸が好ましい。好ましくはこれらのヌクレオチドは、修飾が2'O-メチル修飾でない場合、2'-フルオロ修飾で修飾されている。
【0271】
本発明の核酸は、2'位において2'Hで修飾された1個又は複数のヌクレオチドを含み、したがって核酸内にDNAヌクレオチドを有しうる。本発明の核酸は、第1の鎖の5'末端から数えて、第1の鎖の2位及び/又は14位にDNAヌクレオチドを含みうる。核酸は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応するDNAヌクレオチドを第2の鎖に含みうる。
【0272】
一態様において、本発明の核酸1つ当たり2つ以上のDNAはない。
【0273】
本発明の核酸は、1個又は複数のLNAヌクレオチドを含みうる。本発明の核酸は、第1の鎖の5'末端から数えて、第1の鎖の2位及び/又は14位にLNAヌクレオチドを含みうる。核酸は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応するLNAを第2の鎖に含みうる。
【0274】
好ましくは、本書において開示される核酸は、SiRNAである。
【0275】
一態様において、核酸は、第1の鎖が交互に2-Oメチル修飾及び2フルオロ修飾で修飾されており、2位及び14位(5'末端から始めて)が2'フルオロで修飾されている。好ましくは、第2の鎖は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に対応する第2の鎖上のヌクレオチドが2'フルオロ修飾で修飾されている。好ましくは、第2の鎖は、相補性(二本鎖)領域の第1位から始めて、3'末端から数えて11位~13位が2'フルオロ修飾で修飾されており、残りの修飾は、天然に存在する修飾、好ましくは2'O-メチルである。
【0276】
一態様において、本発明の核酸は、5'-5'結合又は3'-3'結合、好ましくは第2の鎖の3'末端の3'-3'結合を使用して、1個又は複数の逆位リボヌクレオチド、好ましくは逆位アデニンを含む。
【0277】
一態様において、核酸は、1つ又は複数のホスホロジチオエート結合、例えば1つ、2つ、3つ、又は4つのホスホロジチオエート結合を含む。好ましくは、最大4つのホスホロジチオエート結合が、第1の鎖及び第2の鎖の5'末端及び3'末端に1つずつ存在する。
【0278】
核酸のすべての特徴は、本書において開示される本発明の他の態様すべてと組み合わせることができる。
【0279】
特に、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが2'O-メチル修飾で修飾されていないSiRNA分子である核酸が好ましく、この核酸は、以下の1つ又は複数又はすべてを含む:
(i)逆位ヌクレオチド、好ましくは第2の鎖の3'末端における3'-3'結合、
(ii)1つ又は複数のホスホロジチオエート結合、
(iii)第1の鎖の11位又は13位に対応する第2の鎖のヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、好ましくは、これらの位置の一方又は両方が2'フルオロ修飾を含む
(iv)核酸が、2'-O-メチル修飾を有するヌクレオチドを全体の少なくとも80%含む
(v)核酸が、2'フルオロ修飾を有するヌクレオチドを20%以下含む
【0280】
本発明はまた、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチド、並びに第2の鎖の5'末端から7位及び/又は9位、又は7位~9位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されており、残りのヌクレオチドの少なくとも90%が、2'-Oメチル修飾されているか、又は別の天然に存在する2'修飾を含む、本書において開示される核酸を提供する。
【0281】
オーバーハングがなく、平滑末端をもつ二本鎖の19塩基核酸に関して、特定の好ましい例は、次のものである。
【0282】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第2の鎖の5'末端から7位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0283】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第2の鎖の5'末端から9位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0284】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第2の鎖の5'末端から7位及び9位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0285】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第2の鎖の5'末端から7位~9位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0286】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されておらず、第2の鎖の5'末端から7位及び/又は9位、又は7位~9位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。
【0287】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されており、第2の鎖の5'末端から7位及び/又は9位、又は7位~9位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、本書において開示される核酸。
【0288】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されており、第2の鎖の5'末端から7位及び/又は9位、又は7位~9位にあるヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。
【0289】
好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして測定した場合、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超が2'O-メチル修飾を含む、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%超、又はそれ以上が2'O-メチル修飾を含む、本書において開示される核酸。
【0290】
好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして測定した場合、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超が、天然に存在するRNA修飾を含む、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%超、又はそれ以上がそのような修飾を含む、本書において開示される核酸。好適な天然に存在する修飾としては、2O'メチルの他に、他の2'糖修飾、特にDNAヌクレオチドをもたらす2'H修飾が挙げられる。
【0291】
好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして、2'Oメチル修飾ではない2'修飾を第1の鎖及び/又は第2の鎖に有する、20%以下、例えば15%以下、例えば10%超のヌクレオチドを含む、本書において開示される核酸。
【0292】
好ましくは両方の鎖の全ヌクレオチドに対するパーセンテージとして、20%以下(例えば15%以下又は10%以下)の2'フルオロ修飾を第1の鎖及び/又は第2の鎖に含む、本書において開示される核酸。
【0293】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位並びに第2の鎖の5'末端から7位及び/又は9位にあるヌクレオチドを除くすべてのヌクレオチドが2'O-メチル修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。好ましくは、2'O-メチルで修飾されていないヌクレオチドは、2'位においてフルオロで修飾されている。
【0294】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位並びに第2の鎖の5'末端から7位~9位にあるヌクレオチドを除くすべてのヌクレオチドが2'O-メチル修飾で修飾されている、本書において開示される核酸。好ましくは、2'O-メチルで修飾されていないヌクレオチドは、2'位においてフルオロで修飾されている。
【0295】
20塩基対の二重鎖領域を含む核酸の場合、第2の鎖は、好ましくは、それぞれ第1の鎖の13位、12位、及び11位に対応する、二重鎖の5'末端から数えて8又は9又は10のヌクレオチドに、2'O-メチル基を有しない。
【0296】
21塩基対の二重鎖領域を含む核酸の場合、第2の鎖は、好ましくは、それぞれ第1の鎖の13位、12位、及び11位に対応する、二重鎖の5'末端から数えて9又は10又は11のヌクレオチドに、2'O-メチル基を有しない。
【0297】
一態様において、核酸は、パティシラン、レブシラン(Revusiran)、フィツシラン(Fitusiran)、セムジシラン(Cemdisiran)、ギボシラン(Givosiran)、インクリシラン、ルマシラン(lumasiran)、ボトリシラン(Votrisiran)、コスドシラン(Cosdosiran)、及びテプラシラン(Teprasiran)のうちのいずれか1つ又は複数又はすべてではない。これらは、以下の配列を有する。
【0298】
パティシラン 3'CAUUGGUUCUCAUAAGGUA 5'
5'GUAACCAAGAGUAUUCCAU 3'
レブシラン 3'-CUACCCUAAAGUACAUUGGUUCU-5'
5'-UGGGAUUUCAUGUAACCAAGA 3'
フィツシラン 3'-GACCAAUUGUGGUAAAUGAAGUU-5'
5'-GGUUAACACCAUUUACUUCAA 3'
セムジシラン 3'-TTUUUUCGUUCUAUAAAAAUAUUAU-5'
5'-AAGCAAGAUAUUUUUAUAAUA 3'
ギボシラン 3'-UGGUCUUUCUCACAGAGUAGAAU 5'
5'-CAGAAAGAGUGUCUCAUCUUA 3'
インクリシラン 3'-AAGAUCUGGACAAAACGAAAACA 5'
5'-CUAGACCUGUTUUGCUUUUGU 3'
【0299】
これらの分子の配列は、WHOのウェブサイトhttp://www.who.int/medicines/services/inn/en/でも入手可能である。
【0300】
例えば、セムジシラン(Cemdisian)は、
[(2S,4R)-1-{1-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]-16,16-ビス({3-[(3-{5-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]ペンタンアミド}プロピル)アミノ]-3-オキソプロポキシ}メチル)-5,11,18-トリオキソ-14-オキサ-6,10,17-トリアザノナコサン-29-オイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル]メチル水素all-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-3'-アデニレート及びall-P-ambo-チミジリル-(5'→3')-チミジリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジン
の二重鎖である。
【0301】
パティシランは、
グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-チミジリル-(3'→5')-チミジンのチミジリル-(5'→3')-チミジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-アデノシンと
のRNA二重鎖である。
【0302】
インクリシランは、
[(2S,4R)-1-{1-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]-16,16-ビス({3-[(3-{5-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]ペンタンアミド}プロピル)アミノ]-3-オキソプロポキシ}メチル)-5,11,18-トリオキソ-14-オキサ-6,10,17-トリアザノナコサン-29-オイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル]メチル水素all-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-チミジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチル-3'-ウリジレート及びall-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデノシン
の二重鎖である。
【0303】
ギボシランは、
[(2S,4R)-1-{1-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]-16,16-ビス({3-[(3-{5-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]ペンタンアミド}プロピル)アミノ]-3-オキソプロポキシ}メチル)-5,11,18-トリオキソ-14-オキサ-6,10,17-トリアザノナコサン-29-オイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル]メチル水素all-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-3'-アデニレート及びall-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジン
の二重鎖である。
【0304】
レブシランは、
[(2S,4R)-1-{30-(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)-14,14-bis[16-(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)-5,11-ジオキソ-2,16-ジオキサ-6,10-ジアザヘキサデシル]-12,19,25-トリオキソ-16,30-ジオキサ-13,20,24-トリアザトリアコンタノイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル]メチル水素2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニレートの2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジンとの二重鎖
である。
【0305】
フィツシランは、
[(2S,4R)-1-{30-(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)-14,14-bis[16-(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)-5,11-ジオキソ-2,16-ジオキサ-6,10-ジアザヘキサデシル]-12,19,25-トリオキソ-16,30-ジオキサ-13,20,24-トリアザトリアコンタノイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル]メチル水素(P-RS)-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオグアニリル-(3'→5')-(P-RS)-2'-O-メチル-P-チオグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニレート及び(P-RS)-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-(P-RS)-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-(P-RS)-2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-(P-RS)-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアノシン
の二重鎖である。
【0306】
ルマシランは、
{(2S,4R)-1-{1-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]-16,16-ビス-({3-[(3-{5-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]ペンタンアミド}プロピル)アミノ]-3-オキソプロポキシ}メチル)-5,11,18-トリオキソ-14-オキサ-6,10,17-トリアザノナコサン-29-オイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル}メチル水素all-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-3'-アデニレートのall-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジンとの二重鎖
である。
【0307】
【化29】
【0308】
ボトリシランは、
{(2S,4R)-1-{1-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]-16,16-ビス-({3-[(3-{5-[(2-アセトアミド-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシル)オキシ]ペンタンアミド}プロピル)アミノ]-3-オキソプロポキシ}メチル)-5,11,18-トリオキソ-14-オキサ-6,10,17-トリアザノナコサン-29-オイル}-4-ヒドロキシピロリジン-2-イル}メチル水素all-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチル-P-チオグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロシチジリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(3'→5')-2'-デオキシ-2'-フルオロウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-2'-O-メチル-3'-アデニレートのall-P-ambo-2'-O-メチル-P-チオシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルシチジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロアデニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオログアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルグアニリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジリル-(5'→3')-2'-O-メチル-P-チオウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシ-2'-フルオロ-P-チオシチジリル-(5'→3')-2'-O-メチルウリジンとの二重鎖
である。
【0309】
【化30】
【0310】
コスドシランは、
アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-シチジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジンの[(2R,3S)-3-ヒドロキシオキソラン-2-イル]メチル水素ウリジリル-(5'→3')-2'-デオキシシチジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-ウリジリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-グアニリル-(5'→3')-アデニリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-シチジリル-(5'→3')-5'-グアニレートとの二重鎖
である。
【0311】
テプラシランは、
グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-シチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-シチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-シチジリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-アデノシンの2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-グアニリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルグアニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルアデニリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-アデニリル-(3'→5')-2'-O-メチルウリジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジリル-(3'→5')-ウリジリル-(3'→5')-2'-O-メチルシチジンとの二重鎖
である。
【0312】
スクリーニング方法
本発明は、RNAi[RNA干渉]活性を有するsiRNA分子を選択するための方法であって、
(1)第1の(アンチセンス)鎖の11位又は13位に対応する第2の(センス)鎖上のヌクレオチドを修飾して、ヌクレオチド糖に2'Oメチル修飾を導入するステップ、
(2)2'Oメチル修飾が、その2'位に修飾がないことだけが異なるsiRNA、又は同じヌクレオチドに2'フルオロ修飾を有するsiRNAと比較して、siRNAの活性を低減させるかどうかを判定するステップ、及び
(3)修飾がSiRNA活性に影響を与える場合、siRNAの活性を低減させる位置に2'Oメチル修飾である修飾を有しない分子を選択し、かつ/又は、ヌクレオチドの2'位を2フルオロで修飾するか、又は修飾されていないヌクレオチドをその位置に使用するステップ
を含む、方法に関する。
【0313】
RNAi[RNA干渉]活性を有するsiRNA分子を選択するための方法であって、
(1)第1の(アンチセンス)鎖の11位又は13位に対応する第2の(センス)鎖上のヌクレオチドを修飾して、ヌクレオチド糖に2'フルオロ修飾以外の修飾を有するヌクレオチドを導入するステップ、
(2)修飾が、その2'位に修飾がないことだけが異なるsiRNA、又は同じヌクレオチドに2'フルオロ修飾を有するsiRNAと比較して、siRNAの活性を低減させるかどうかを判定するステップ、及び
(3)修飾がsiRNA活性に影響を与える場合、siRNAの活性を低減させるその修飾を有しない分子を選択し、かつ/又は、ヌクレオチドの2'位を2'フルオロ修飾で修飾するか、又は修飾されていないヌクレオチドをsiRNAのその位置に使用するステップ
を含む、方法。
【0314】
別の態様では、本方法は、上記の方法を用いるが、第1(アンチセンス)の11位又は13位に対応する第2の(センス)鎖上のヌクレオチドの修飾は、嵩高である修飾、例えばフルオロ又は修飾されていないRNAヌクレオチドよりも嵩高である修飾を2'位に導入し、siRNA活性の評価は、その2'の嵩高な修飾に関して行われる。O-メチル修飾は嵩高であるとみなされ、一態様において修飾は、少なくとも2Oメチルと同程度に嵩高である、すなわち大きい。
【0315】
修飾は、2'-O-(2-メトキシエチル)、2'-O-アリル、2'-O-DNP、2'-CE、2'-EA、2'-AEM、2'-APM、及び2'-GEである基を含有する修飾でありうる。
【0316】
本発明はまた、RNAi[RNA干渉]活性を有するsiRNA分子を選択するための方法であって、
1 各塩基の糖部分の2'位を2'O-メチル残基に変化させることにより、siRNA分子を修飾するステップ、
2 2'O-メチル修飾が、同じ位置に2'フルオロ修飾を有する同じsiRNAと比較して、又は同じ位置に修飾を有しないsiRNAと比較して、siRNAの活性を低減させる位置を識別するために、SiRNAの活性を評価するステップ、及び
3 ステップ2で低減した活性を示さないすべての位置において2'Oメチルで修飾されたsiRNA分子を選択するステップ
を含む、方法に関する。
【0317】
別の態様では、本方法は、上記の方法を用いるが、ステップ(1)における2'ヌクレオチド位置の修飾は、嵩高である修飾、例えばフルオロ又は修飾されていないRNAヌクレオチドよりも嵩高である修飾を2'位に導入し、siRNA活性の評価は、その2'の嵩高な修飾に関して行われる。修飾は、2'-O-(2-メトキシエチル)、2'-O-アリル、2'-O-DNP、2'-CE、2'-EA、2'-AEM、2'-APM、及び2'-GEである基を含有する修飾でありうる。
【0318】
RNAi活性は、本書において開示される任意の方法、又は当技術分野で公知の他の方法によって評価されうる。
【0319】
本発明はまた、同じ位置の2'フルオロ修飾と比べて低減したsiRNA活性を示さないすべての位置に2'Oメチル修飾を含むsiRNA分子を、医薬組成物に製剤化することを含む、siRNA分子を用意するための方法に関する。好適には、これらのsiRNA分子は、上記の方法のうちの1つを使用して識別されたものである。例えば、siRNAは、GalNac又は本書に記載される他の標的化リガンドに結合していてよい。
【0320】
siRNAは、好ましくは、上述したような本発明の核酸である。
【0321】
先行する開示では、本発明の任意の態様において、特にsiRNA修飾において、2'-NH2修飾が2'フルオロ修飾の代替物として使用されうる。しかしながら、2'フルオロ修飾がより好ましい。
【0322】
本書に記載される本発明のいずれかの態様又は実施形態では、核酸(又は核酸が関わる使用、方法、組成物、又は任意の他の教示)は、第1の鎖の5'末端から数えて2位又は14位に1個のDNAヌクレオチドを含み、更に、かつ/又は代替的には、第1の鎖の11位、12位、及び13位のいずれか1つ、2つ、又は3つに対応する第2の鎖上の位置に、1個、2個、又は3個のDNAヌクレオチドを含む。
【0323】
本書に記載される本発明のいずれかの態様又は実施形態では、核酸(又は核酸が関わる使用、方法、組成物、又は任意の他の教示)は、第1の鎖の11位~13位に対応する第2の鎖上の1つ又は複数の位置に、DNAヌクレオチド又は2'フルオロ修飾を含む。2つ以上の修飾が存在してよい。
【0324】
本書に記載される本発明のいずれかの態様又は実施形態では、核酸(又は本書における核酸が関わる任意の使用、方法、組成物、又は任意の他の教示)は、第1の鎖の5'末端から数えて2位若しくは14位のいずれか一方又は両方、及び/又は、第1の鎖の11位、12位、若しくは13位に対応する第2の鎖のいずれかの位置に、2'-Oメチル基等の嵩高な修飾基を含まない。嵩高な修飾は、例えば、RNA糖部分の2'位における、'OH基よりも大きな任意の修飾でありうる。
【0325】
本発明の更なる実施形態では、本発明は、本書における任意の開示による任意の核酸、コンジュゲートされた核酸、使用のための核酸、方法、組成物、又は使用に関し、ここで、第1の鎖及び第2の鎖のうちの少なくとも1つの3'末端における末端ヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり、かつ末端ヌクレオチドの3'炭素及び隣接したヌクレオチドの3'炭素を介して隣接したヌクレオチドに結合しており、かつ/又は、第1の鎖及び第2の鎖のうちの少なくとも1つの5'末端における末端ヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり、かつ末端ヌクレオチドの5'炭素及び隣接したヌクレオチドの5'炭素を介して隣接したヌクレオチドに結合しており、
任意選択により、
a.第1の鎖及び/又は第2の鎖の3'及び/又は5'の逆位ヌクレオチドは、ホスホジエステル結合の手段により、ホスフェート基を介して隣接したヌクレオチドに結合しているか、又は
b.第1の鎖及び/又は第2の鎖の3'及び/又は5'の逆位ヌクレオチドは、ホスホロチオエート基を介して隣接したヌクレオチドに結合しているか、又は
c.第1の鎖及び/又は第2の鎖の3'及び/又は5'の逆位ヌクレオチドは、ホスホロジチオエート基を介して隣接したヌクレオチドに結合している。
【0326】
本発明の更なる実施形態では、本発明は、本書における任意の開示による任意の核酸、コンジュゲートされた核酸、使用のための核酸、方法、組成物、又は使用に関し、ここで核酸は、ホスホロジチオエート結合を含み、任意選択により、結合は、第2の鎖の最も5'側の2個のヌクレオシド及び/又は最も3'側の2個のヌクレオシドの間にあり、かつ/又は任意選択により、核酸は更に、いかなる内部ホスホロチオエート結合も含まない。
【0327】
本発明は、提供される特定の配列番号と比較した場合に2つ以下の塩基の変化を含む、本書において開示される核酸のいずれかの第1の鎖又はいずれかの第2の鎖にも関する。例えば、いずれかの配列において、1つの塩基が変化してよい。
【0328】
一実施形態において、この変化は、アンチセンス(第1の)鎖の最も5'側のヌクレオチドに生じてよい。一実施形態において、この変化は、アンチセンス(第1の)鎖の最も3'側のヌクレオチドに生じてよい。一実施形態において、この変化は、センス(第2の)鎖の最も5'側のヌクレオチドに生じてよい。一実施形態において、この変化は、センス(第2の)鎖の最も3'側のヌクレオチドに生じてよい。
【0329】
一実施形態において、この変化は、アンチセンス(第1の)鎖の最も5'側のヌクレオチドに生じる。5'ヌクレオチドの塩基は、いずれの他のヌクレオチドに変化してもよい。5'末端ではA又はUが好ましく、本書においてA又はUは、本書において開示されるアンチセンス配列のすべてで可能性のある5'末端塩基として教示される。
【0330】
以降、以下の非限定的な図及び実施例を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0331】
図1A】第1の鎖の14位が2'-OMe又は2'-OHで修飾されているsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図1B】第1の鎖の14位が2'-OMe又は2'-OHで修飾されているsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図2A】第1の鎖の14位に2'-OMe又は2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図2B】第1の鎖の14位に2'-OMe又は2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図3A】第1の鎖の2位、3位、及び4位に2'-OMe又は2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図3B】第1の鎖の2位、3位、及び4位に2'-OMe又は2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図4A】第1の鎖の2位、3位、及び4位に2'-OMe及び2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図4B】第1の鎖の2位、3位、及び4位に2'-OMe及び2'-OHを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図5A】第1の鎖の2位に2'-OMe及び2'-Fを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図5B】第1の鎖の2位に2'-OMe及び2'-Fを有するsiRNAのインビトロノックダウン活性を示す図である。
図6A-1】1つの配列に由来する別様に修飾されたALDH2変異体のノックダウン活性を示す図である。
図6A-2】図6A-1の続きである。
図6B】1つの配列に由来する別様に修飾されたALDH2変異体のノックダウン活性を示す図である。
図6C】1つの配列に由来する別様に修飾されたALDH2変異体のノックダウン活性を示す図である。
図7A】別様に修飾されたALDH2配列のノックダウン活性を示す図である。
図7B】別様に修飾されたALDH2配列のノックダウン活性を示す図である。
図8A】別様に修飾されたALDH2配列のノックダウン活性を示す図である。
図8B】別様に修飾されたALDH2配列のノックダウン活性を示す図である。
図9A】別様に修飾されたDGAT2配列のノックダウン活性を示す図である。
図9B】別様に修飾されたDGAT2配列のノックダウン活性を示す図である。
図10A】TMPRSS6 siRNA配列のある特定の位置におけるDNA修飾の効果を示す図である。
図10B】TMPRSS6 siRNA配列のある特定の位置におけるDNA修飾の効果を示す図である。
図11A】TMPRSS6 siRNA配列のある特定の位置におけるLNA修飾の効果を示す図である。
図11B】TMPRSS6 siRNA配列のある特定の位置におけるLNA修飾の効果を示す図である。
図12A】様々な修飾パターンを有するGalNAcコンジュゲートの、リポソームトランスフェクション及び受容体媒介性取り込みの両方におけるノックダウン活性を示す図である。
図12B】様々な修飾パターンを有するGalNAcコンジュゲートの、リポソームトランスフェクション及び受容体媒介性取り込みの両方におけるノックダウン活性を示す図である。
図12C】様々な修飾パターンを有するGalNAcコンジュゲートの、リポソームトランスフェクション及び受容体媒介性取り込みの両方におけるノックダウン活性を示す図である。
図12D】様々な修飾パターンを有するGalNAcコンジュゲートの、リポソームトランスフェクション及び受容体媒介性取り込みの両方におけるノックダウン活性を示す図である。
図13A】TMPRSS6 siRNA配列の2つ以上の位置におけるDNA修飾に対する耐性を示す図である。
図13B】TMPRSS6 siRNA配列の2つ以上の位置におけるDNA修飾に対する耐性を示す図である。
図14A】ALDH2を標的とするsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図14B】ALDH2を標的とするsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図15A】ALDH2を標的とする第2のsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図15B】ALDH2を標的とする第2のsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図16A】DGAT2を標的とするsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図16B】DGAT2を標的とするsiRNAにおけるDNAに対する耐性を開示する図である。
図17A】ある特定の位置における2-O-MOEの効果を開示する図である。
図17B】ある特定の位置における2-O-MOEの効果を開示する図である。
図18A】GHRを標的とするsiRNAにおける2'-OMeに対する耐性を開示する図である。
図18B】GHRを標的とするsiRNAにおける2'-OMeに対する耐性を開示する図である。
【実施例0332】
(実施例1)
すべてのオリゴヌクレオチドは、商業的なオリゴヌクレオチド製造元(Eurogentec社、Belgium)から得たか、或いは10μmolスケールでホスホラミダイト化学を使用してAKTA oligopilot 10合成機(GE Healthcare社)で合成した。市販の塩基が負荷されたCPG固体支持体(500A、50μmol/g)、2'O-メチルRNAホスホラミダイト、及び2'フルオロDNAホスホラミダイト(ChemGenes社及びLinkTech社)を、製造元が推奨する手順に従って使用した。0.3Mのベンジルチオテトラゾール(BTT)活性化剤の存在下で、ホスホラミダイトの0.1Mアセトニトリル溶液を使用して、アミダイト結合を行った。補助的試薬としては、0.05Mのl2を含むピリジン/H2O(9/1、v/v)を酸化剤として、40%のAc2Oを含むアセトニトリルをCapAとして、20%のN-メチルイミダゾールを含むアセトニトリルをCapBとして、3%のジクロロ酢酸を含むトルエンをDMT除去として、20%のジエチルアミンを含むアセトニトリルを最終洗浄液として使用した(EMP Biotech社)。EDITH(LinkTech社)をチオール化試薬として使用した。アセトニトリル(<20ppm H2O)はEMP Biotech社から購入した。他の試薬及び溶媒はすべて市販されており、標準的な試薬品質で使用した。
【0333】
ST23は、GalNac C4ホスホラミダイト(WO2017/174657に記載されている、以下の構造成分)である。
【0334】
【化31】
【0335】
ST41は次のとおり(かつWO2017/174657に記載のとおり)である。
【0336】
【化32】
【0337】
50mMのEDITHを含むアセトニトリルを使用してホスホロチオエートを導入した。すべてのオリゴヌクレオチドをDMTオフモードで合成した。固体支持体上のオリゴヌクレオチド鎖の集合が完了したら、ジエチルアミン洗浄を行った。
【0338】
40%メチルアミン水溶液を使用することにより、CPGから一本鎖を切断し、残りの保護基をすべて除去した(90分、RT)。粗産物を濃縮し、塩化ナトリウム勾配(10mMトリスバッファーpH=7.5、10%アセトニトリル)を使用したAKTA Pure HPLC System(GE Healthcare社)でのイオン交換クロマトグラフィ(Resource Q、6mL、GE Healthcare社)によって精製した。産物を含有する画分を分析し、プールし、濃縮した。サイズ排除クロマトグラフィ(Zetadex、EMP Biotech社)によって除塩を達成した。最後に、個々の一本鎖を凍結乾燥した。
【0339】
二重鎖形成のため、一本鎖を水中で約2mg/mLの濃度で再構築した。等モル量の各一本鎖を添加し、混合し、80℃まで5分間加熱した。冷却後、結果として得られたsiRNAを、ネイティブIP-RP HPLCにより完全な二本鎖形成について分析した。産物溶液を更なる使用まで-20℃で保管した。
【0340】
本実施例は、説明及び図から別段明らかである場合を除き、19量体SiRNAを用いる。
【0341】
(実施例2)
マウスCLIC4を標的とする配列を使用して、第1の鎖の14位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。CLC01は、交互になった2'-OMe/2'-OHで修飾されている。CLC15は、第1の鎖の14位が2'-OMeで修飾されているが、CLC16のこの位置は、2'-OMeで修飾されていない。CLC15及びCLC16における他の位置はすべて、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0342】
この実験はMS1において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり40,000細胞の密度で蒔き、5nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、CLIC4及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0343】
データは、図1a及び図1bに示してある。
【0344】
(実施例3)
マウスCLIC4を標的とする配列を使用して、第1の鎖の14位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。CLC01は、交互になった2'-OMe/2'-OHで修飾されている。CLC22は、第1の鎖の4位、9位、及び14位が2'-OMeで修飾されているが、CLC28は、第1の鎖の4位、9位、及び15位が2'-OMeで修飾されている。CLC22及びCLC28の第2の鎖は、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0345】
この実験はMS1において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり40,000細胞の密度で蒔き、5nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、CLIC4及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0346】
データは、図2a及び図2bに示してある。
【0347】
(実施例4)
マウスCLIC4を標的とする配列を使用して、第1の鎖の2位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。CLC56は、第1の鎖の2位及び4位が2'-OMeで、そして3位が2'-OHで修飾されている。対照的に、CLC57は2位及び4位に2'-OH、そして3位に2'-OMeを有する。第1の鎖及び第2の鎖の他の位置はすべて、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0348】
この実験はMS1において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり40,000細胞の密度で蒔き、5及び1nMのsiRNA並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、CLIC4及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0349】
データは、図3a及び図3b(A)に示してある。
【0350】
(実施例5)
マウスCLIC4を標的とする配列を使用して、第1の鎖の2位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。CLC56は、第1の鎖の2位及び4位が2'-OMeで、そして3位が2'-OHで修飾されている。対照的に、CLC57は2位及び4位に2'-OH、そして3位に2'-OMeを有する。第1の鎖及び第2の鎖の他の位置はすべて、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0351】
この実験はMS1において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり40,000細胞の密度で蒔き、1~0.008nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、CLIC4及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0352】
データは、図3a及び図3b(B)に示してある。
【0353】
(実施例6)
マウスCLIC4を標的とする配列を使用して、第1の鎖の2位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。CLC01は、交互になった2'-OMe/2'-OHで修飾されている。CLC28は、第1の鎖の4位に2'-OMeを有するが、CLC59は、2位に2'-OMeを有し、CLC60は、第1の鎖の3位に2'-OMeを有する。第1の鎖及び第2の鎖の他の位置はすべて、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0354】
この実験はMS1において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり40,000細胞の密度で蒔き、5及び1nMのsiRNA(A)又は1~0.008nMのsiRNA(B)並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、CLIC4及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0355】
データは、図4a及び図4bに示してある。
【0356】
(実施例7)
ヒトHFE2を標的とする配列を使用して、第1の鎖の2位における2'-OMeがsiRNA活性に及ぼす影響を試験した。HFE04は、第1の鎖の2位が2'-Fで、そして3位が2'-OMeで修飾されているが、HFE06は、2位が2'-OMeで、そして3位が2'-Fで修飾されている。第1の鎖及び第2の鎖の他の位置はすべて、同様に修飾されている。「UT」は、siRNA処置試料を正規化した無処置の試料を示す。「Luc」を非標的化対照として使用した。
【0357】
この実験はHep3Bにおいて行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり120,000細胞の密度で蒔き、1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、72時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、HFE2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0358】
データは、図5a及び図5bに示してある。
【0359】
(実施例8)
実施例8a及び8bは、同じ実験の生物学的複製物を表す。
【0360】
(実施例8a)
交互になったパターン(2'-OMeから2'-Fへの変化、そしてその逆)との関連で一度に1つの位置を対象とすることにより、2'-OMeに対する耐性を調査した。ALD01は完全に交互になっており、ALD13~ALD21は、第1の鎖のすべての偶数位置に2'-Fから2'-Meへの変化を含有し、ALD22~ALD31は、第1の鎖のすべての奇数位置に2'-OMeから2'-Fへの変化を含有し、ALD32~ALD41は、第2の鎖のすべての奇数位置に2'-Fから2'-OMeへの変化を含有し、ALD42~ALD50は、第2の鎖のすべての偶数位置に2'-OMeから2'-Fへの変化を含有する。ALD13は、第1の鎖の2位に2'-OMeを含有し、ALD19は、第1の鎖の14位に2'-OMeを含有し、ALD35は、第2の7位に2'-OMeを含有し、ALD36は、第2の鎖の9位に2'-OMeを含有する。
【0361】
この実験はHep3Bにおいて行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0362】
配列は図6aに列記してあり、結果は図6bに示してある。
【0363】
(実施例8b)
交互になったパターン(2'-OMeから2'-Fへの変化、そしてその逆)との関連で一度に1つの位置を対象とすることにより、2'-OMeに対する耐性を調査した。ALD01は完全に交互になっており、ALD13~ALD21は、第1の鎖のすべての偶数位置に2'-Fから2'-Meへの変化を含有し、ALD22~ALD31は、第1の鎖のすべての奇数位置に2'-OMeから2'-Fへの変化を含有し、ALD32~ALD41は、第2の鎖のすべての奇数位置に2'-Fから2'-OMeへの変化を含有し、ALD42~ALD50は、第2の鎖のすべての偶数位置に2'-OMeから2'-Fへの変化を含有する。ALD13は、第1の鎖の2位に2'-OMeを含有し、ALD19は、第1の鎖の14位に2'-OMeを含有し、ALD35は、第2の鎖の7位に2'-OMeを含有し、ALD36は、第2の鎖の9位に2'-OMeを含有する。
【0364】
この実験はHep3Bにおいて行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0365】
配列は図6aに列記してあり、結果は図6cに示してある。
【0366】
(実施例9)
2つの異なるALDH2 siRNA配列の活性に対する修飾の影響
【0367】
(実施例9-1)
ALDH2に対するsiRNAの、第1の鎖における2'-OMeに対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖における2'-OMeに対する7位及び9位の耐性を分析した。ALD58は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有する。ALD59~ALD61は、すべて交互になった第2の鎖と共に第1の鎖の2位及び/又は14位に2'-Fを含有するが、ALD62~ALD64は、すべて交互になった第1の鎖と共に第2の鎖の7位及び/又は9位に2'-Fを含有する。2位(ALD60)及び14位(ALD59)は、2'-OMeで修飾されると活性を失うが、2位及び14位に2'-OMeがなければ、活性が回復する(ALD61)。第2の鎖のうち、7位(ALD63)及び9位(ALD62)は、2'OMeで修飾されると活性を失うが、7位及び9位に2'-OMeがなければ、活性が回復する(ALD64)。
【0368】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0369】
結果は、図7a及び図7bに示してある。
【0370】
(実施例9-2)
ALDH2に対する異なるsiRNAの、第1の鎖における2'-OMeに対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖における2'-OMeに対する7位及び9位の耐性を分析した。ALD72は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有する。ALD73~ALD75は、すべて交互になった第2の鎖と共に第1の鎖の2位及び/又は14位に2'-Fを含有するが、ALD76~ALD78は、すべて交互になった第1の鎖と共に第2の鎖の7位及び/又は9位に2'-Fを含有する。2位(ALD74)及び14位(ALD73)は、2'-OMeで修飾されると活性を失うが、2位及び14位に2'-OMeがなければ、活性が回復する(ALD75)。第2の鎖のうち、7位(ALD77)及び9位(ALD76)は、2'OMeで修飾されると活性を失うが、7位及び9位に2'-OMeがなければ、活性が回復する(ALD78)。
【0371】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0372】
結果は、図8a及び図8bに示してある。
【0373】
(実施例10)
DGAT2を標的とするsiRNAの活性に対する修飾の影響
DGAT2に対するsiRNAの、第1の鎖における2'-OMeに対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖における2'-OMeに対する7位及び9位の耐性を分析した。DGT01は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有する。DGT02~DGT04は、すべて交互になった第2の鎖と共に第1の鎖の2位及び/又は14位に2'-Fを含有するが、DGT05~DGT07は、すべて交互になった第1の鎖と共に第2の鎖の7位及び/又は9位に2'-Fを含有する。2位(DGT03)及び14位(DGT02)は、2'-OMeで修飾されると活性を失うが、2位及び14位に2'-OMeがなければ、活性が少なくとも部分的に回復する(DGT04)。第2の鎖のうち、7位(DGT06)及び9位(DGT05)は、2'OMeで修飾されると活性を失うが、7位及び9位に2'-OMeがなければ、活性が回復する(DGT07)。
【0374】
この実験はHuh-7において行った。細胞を6ウェル当たり80,000細胞の密度で蒔き、24時間後に1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0375】
結果は、図9a及び図9bに示してある。
【0376】
(実施例11)
siRNA活性に対するDNA修飾の影響
TMPRSS6に対するsiRNAの、第1の鎖におけるDNA修飾に対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖におけるDNA修飾に対する7位及び9位の耐性を分析した。TMP01は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有する。TMP93は、第1の鎖の14位に2'-OMeを含有するが、TMP113は、同じ位置に2'-Hを含有する。TMP94は、第1の鎖の2位に2'-OMeを含有するが、TMP112は、同じ位置に2'-Hを含有する。TMP97は、第2の鎖の9位に2'-OMeを含有するが、TMP117は、同じ位置に2'-Hを含有する。TMP98は、第2の鎖の7位に2'-OMeを含有するが、TMP116は、同じ位置に2'-Hを含有する。
【0377】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0378】
結果は、図10a及び図10bに示してある。
【0379】
(実施例12)
siRNA活性に対するLNA修飾の影響
TMPRSS6に対するsiRNAの、第1の鎖におけるLNA修飾に対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖におけるLNA修飾に対する7位及び9位の耐性を分析した。TMP01は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有する。TMP93は、第1の鎖の14位に2'-OMeを含有するが、TMP111は、同じ位置にLNAを含有する。TMP94は、第1の鎖の2位に2'-OMeを含有するが、TMP110は、同じ位置にLNAを含有する。TMP97は、第2の鎖の9位に2'-OMeを含有するが、TMP115は、同じ位置にLNAを含有する。TMP98は、第2の鎖の7位に2'-OMeを含有するが、TMP114は、同じ位置にLNAを含有する。
【0380】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0381】
結果は、図11a及び図11bに示してある。
【0382】
(実施例13)
TMPRSS6を標的とする様々なGalNAc-siRNAコンジュゲートのノックダウン活性
【0383】
(実施例13A)
第2の鎖のある特定の鎖位置における2'-O-メチル化の影響を、GalNAc-siRNAコンジュゲートとの関連で調査した。すべてのコンジュゲートは、同じ第1の鎖を含有する。STS12009V23は、すべて2'-O-メチル化された第2の鎖を含有し、STS12009V25は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の9位に有し、STS12009V26は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の7位に有し、STS12009V27は、3つの2'-F修飾を第2の鎖の7位~9位に有する。
【0384】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に5~0.005nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、72時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、TMPRSS6及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0385】
(実施例13B)
第2の鎖のある特定の位置における2'-O-メチル化の影響を、GalNAc-siRNAコンジュゲートとの関連で調査した。すべてのコンジュゲートは、同じ第1の鎖を含有する。STS12009V41L4は、交互になった2'-F/2'-OMeを有する第2の鎖を含有し、STS12009V23は、すべて2'-O-メチル化された第2の鎖を含有し、STS12009V25は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の9位に有し、STS12009V26は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の7位に有し、STS12009V27は、3つの2'-F修飾を第2の鎖の7位~9位に有する。
【0386】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に10~0.001nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、72時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、TMPRSS6及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0387】
(実施例13C)
第2の鎖のある特定の位置における2'-O-メチル化の影響を、GalNAc-siRNAコンジュゲートとの関連で調査した。すべてのコンジュゲートは、同じ第1の鎖を含有する。STS12009V23は、すべて2'-O-メチル化された第2の鎖を含有し、STS12009V25は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の9位に有し、STS12009V26は、1つの2'-F修飾を第2の鎖の7位に有し、STS12009V27は、3つの2'-F修飾を第2の鎖の7位~9位に有する。
【0388】
この実験はマウス初代肝細胞において行った。細胞を6ウェル当たり250,000細胞の密度で蒔き、100~0.25nMのGalNAc-siRNAで処置した。10nMのGalNAc-siRNA及び1μg/mlのAtufectのトランスフェクションを対照とした。
【0389】
24時間後に細胞を溶解させ、全RNAを抽出し、TMPRSS6及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0390】
結果は、図12a図12dに示してある。
【0391】
(実施例14)
複数の位置におけるDNA修飾の影響
TMPRSS6に対するsiRNAの、第1の鎖におけるDNAに対する2位及び14位の耐性、並びに第2の鎖におけるDNAに対する7位~9位の耐性を分析した。TMP70は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有するが、TMP119は、第1の鎖の2位及び14位並びに第2の鎖の7位~9位を除くすべての位置に2'-OMeを含有する。TMP120~TMP126は、2'-F位置に異なる数のDNA置換を含有する。
【0392】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に1nM及び0.1nMのsiRNA並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、TMPRSS6及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物からの平均±SDを表す。
【0393】
結果は、図13a及び図13bに示してある。
【0394】
(実施例15)
主要な位置におけるDNAの組み込み。
ヒトALDH2を標的とするsiRNAを用い、DNAに対する第1の鎖の2位及び14位の耐性、並びにDNAに対する第2の鎖の7位~9位の耐性を分析した。ALD58は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有するが、ALD61及びALD90~ALD92は、第1の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、2位にDNA(ALD90)、14位にDNA(ALD91)、そして2位及び14位にDNAがあり(ALD92)、ALD93~ALD96は、第2の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、7位にDNA(ALD94)、9位にDNA(ALD95)、そして7位及び9位にDNAがある(ALD96)。ALD97は、第2の鎖の7位、8位、及び9位に2'-Fを含有するが、ALD98は、これらの位置にDNAを含有する。
【0395】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nM及び0.01nMのsiRNA並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0396】
データは、図14a及び図14bに示してある。
【0397】
(実施例16)
主要な位置におけるDNAの組み込み。
ヒトALDH2を標的とする第2のsiRNAを用い、DNAに対する第1の鎖の2位及び14位の耐性、並びにDNAに対する第2の鎖の7位~9位の耐性を分析した。ALD72は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有するが、ALD75及びALD99~ALD101は、第1の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、2位にDNA(ALD99)、14位にDNA(ALD100)、そして2位及び14位にDNAがある(ALD101)。ALD102~ALD105は、第2の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、7位にDNA(ALD103)、9位にDNA(ALD104)、そして7位及び9位にDNAがある(ALD105)。ALD106は、第2の鎖の7位、8位、及び9位に2'-Fを含有するが、ALD107は、これらの位置にDNAを含有する。
【0398】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nM及び0.01nMのsiRNA並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0399】
データは、図15a及び図15bに示してある。
【0400】
(実施例17)
主要な位置におけるDNAの組み込み。
ヒトDGAT2を標的とするsiRNAを用い、DNAに対する第1の鎖の2位及び14位の耐性、並びにDNAに対する第2の鎖の7位~9位の耐性を分析した。DGT01は、両方の鎖に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有するが、DGT04及びDGT11~DGT13は、第1の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、2位にDNA(DGT11)、14位にDNA(DGT12)、そして2位及び14位にDNAがある(DGT13)。DGT14-DGT17は、第2の鎖に低減した2'-Fパターンを含有し、7位にDNA(DGT15)、9位にDNA(DGT16)、そして7位及び9位にDNAがある(DGT17)。DGT18は、第2の鎖の7位、8位、及び9位に2'-Fを含有するが、DGT19は、これらの位置にDNAを含有する。
【0401】
この実験はHuh7において行った。細胞を6ウェル当たり80,000細胞の密度で蒔き、24時間後に10nM及び1nMのsiRNA並びに1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、72時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、DGAT2及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0402】
データは、図16a及び図16bに示してある。
【0403】
(実施例18)
主要な位置における2'-O-メトキシエチル(MOE)の組み込み。
ALDH2を標的とするsiRNAを用い、2'-O-MOEに対する第1の鎖の2位及び14位の耐性、並びに2'-O-MOEに対する第2の鎖の7位及び9位の耐性を分析した。ALD108は、低減した数の2'-Fを両方の鎖に含有する。これに関連して、第1の鎖の2位(ALD115)、14位(ALD116)、又は2位及び14位の両方(ALD117)に2'-O-MOEが配置されている。同様に、第2の鎖の7位(ALD118)、9位(ALD119)、又は7位及び9位の両方(ALD120)に2'-O-MOEが配置されている。ルシフェラーゼに対するsiRNAを非標的化対照(「Luc」)として使用した。
【0404】
この実験はHep3Bにおいて行った。細胞を6ウェル当たり150,000細胞の密度で蒔き、24時間後に0.1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、ALDH2及びアクチンのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0405】
データは、図17a及び図17bに示してある。
【0406】
(実施例19)
第1の鎖における主要な位置の識別。
GHRを標的とするsiRNAにおいて、交互になったパターン(2'-OMeから2'-Fへの変化、そしてその逆)との関連で一度に1つの位置を対象とすることにより、2'-OMeに対する耐性を調査した。GHR03は、完全に交互になった2'-OMe/2'-Fを含有し、GHR07~GHR15は、第1の鎖のすべての偶数位置に2'-Fから2'-OMeへの変化を含有し、GHR16~GHR25は、第1の鎖のすべての奇数位置に2'-OMeから2'-Fへの変化を含有する。GHR07は、第1の鎖の2位に2'-OMeを含有し、GHR13は、第1の鎖の14位に2'-OMeを含有する。ルシフェラーゼを標的とするsiRNA(「Luc」)を対照として使用した。
【0407】
この実験はMCF-7細胞において行った。トランスフェクションの24時間前に、細胞を6ウェル当たり120,000細胞の密度で蒔き、1nMのsiRNA及び1μg/mlのAtufectをトランスフェクトし、48時間後に溶解させた。全RNAを抽出し、GHR及びPTENのmRNAレベルをTaqman qRT-PCRによって判定した。各棒は、3つの技術的複製物の平均±SDを表す。
【0408】
データは、図18a及び図18bに示してある。
【0409】
【表1A】
【0410】
【表1B】
【0411】
【表1C】
【0412】
【表1D】
【0413】
【表1E】
【0414】
【表1F】
【0415】
【表1G】
【0416】
【表1H】
【0417】
【表1I】
【0418】
【表1J】
【0419】
【表1K】
【0420】
【表1L】
【0421】
【表1M】
【0422】
【表2A】
【0423】
【表2B】
【0424】
【表2C】
【0425】
【表2D】
【0426】
【表2E】
【0427】
発明の記述
1。細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、該標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる前記核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチド又は修飾されていないヌクレオチドを複数の位置に含む、核酸。
【0428】
2。第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが修飾されている、記述1に係る核酸。
【0429】
3。第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されていない、記述1又は記述2に係る核酸。
【0430】
4。第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'-O-(2-メトキシエチル)、2'-O-アリル、2'-O-DNP、2'-CE、2'-EA、2'-AEM、2'-APM、及び2'-GEからなる群から選択される修飾で修飾されていない、記述1から3のいずれか1つに係る核酸。
【0431】
5。第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'F、4'-S、2'-FANA、及びUNAからなる群から選択される修飾で修飾されている、記述1から3のいずれか1つに係る核酸。
【0432】
6。第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが修飾されていない、記述1に係る核酸。
【0433】
7。第2の鎖において、第2の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾又は'-O-(2-メトキシエチル)修飾で修飾されている、記述1から6のいずれか1つに係る核酸。
【0434】
8。第1の鎖及び第2の鎖が別々の鎖である、記述1から7のいずれか1つに係る核酸。
【0435】
9。第1の鎖及び第2の鎖を含む一本鎖を含む、記述1から7のいずれか1つに係る核酸。
【0436】
10。該第1の鎖及び/又は該第2の鎖が、それぞれ17~35ヌクレオチド長である、記述1から9のいずれか1つに係る核酸。
【0437】
11。少なくとも1つの二重鎖領域が、19~25個のヌクレオチド塩基対からなる、記述1から10のいずれか1つに係る核酸。
【0438】
12。
a)両末端が平滑末端であるか、又は
b)一方の末端にオーバーハングを有し、他方に平滑末端を有するか、又は
c)両末端にオーバーハングを有する、
先行する記述のいずれかに係る核酸。
【0439】
13。第1の鎖及び/又は第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾されたヌクレオチドを形成している、先行する記述のいずれかに係る核酸。
【0440】
14。第1の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が修飾されている、記述13に係る核酸。
【0441】
15。第1の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が、少なくとも第2の修飾によって修飾されており、少なくとも第2の修飾が、記述14の修飾とは異なる、記述14に係る核酸。
【0442】
16。1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個が、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個に隣接している、記述15に係る核酸。
【0443】
17。複数の奇数のヌクレオチドが修飾されている、記述14から16のいずれかに係る核酸。
【0444】
18。複数の偶数のヌクレオチドが、第2の修飾によって修飾されている、記述15又は17に係る核酸。
【0445】
19。第1の鎖が、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含む、記述13から18のいずれかに係る核酸。
【0446】
20。第1の鎖が、記述14の修飾とは異なる第2の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含む、記述14から19のいずれかに係る核酸。
【0447】
21。第2の鎖の奇数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が、記述14の修飾とは異なる修飾によって修飾されている、記述14から20のいずれかに係る核酸。
【0448】
22。第2の鎖の偶数のヌクレオチドのうちの1個又は複数が、記述14の修飾によって修飾されている、記述14から21のいずれかに係る核酸。
【0449】
23。第2の鎖の1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドのうちの少なくとも1個が、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドに隣接している、記述21又は22に係る核酸。
【0450】
24。第2の鎖の複数の奇数のヌクレオチドが、共通の修飾によって修飾されている、記述21から23のいずれかに係る核酸。
【0451】
25。複数の偶数のヌクレオチドが、記述14に係る修飾によって修飾されている、記述21から24のいずれかに係る核酸。
【0452】
26。複数の奇数のヌクレオチドが、第2の修飾によって修飾されており、第2の修飾が、記述14の修飾とは異なる、記述21から25のいずれかに係る核酸。
【0453】
27。第2の鎖が、共通の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含む、記述21から26のいずれかに係る核酸。
【0454】
28。第2の鎖が、記述14の修飾とは異なる第2の修飾によって修飾されている隣接したヌクレオチドを含む、記述21から27のいずれかに係る核酸。
【0455】
29。第1の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれと、第2の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれとが、共通の修飾で修飾されている、記述13から28に係る核酸。
【0456】
30。2位及び14位が2'OMeで修飾されていないことを条件として、第1の鎖における偶数のヌクレオチドのそれぞれが、第2の修飾で修飾されており、第2の鎖における奇数のヌクレオチドのそれぞれが、第2の修飾で修飾されている、記述29に係る核酸。
【0457】
31。第1の鎖の修飾されたヌクレオチドが、第2の鎖の修飾されていないヌクレオチド又は異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1個のヌクレオチドだけシフトしている、記述13から30のいずれかに係る核酸。
【0458】
32。第1の修飾及び第2の修飾が、それぞれ個別に、3'末端デオキシ-チミン、2'-O-メチル、2'-デオキシ修飾、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'-アミノ修飾、2'-アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、非天然塩基を含むヌクレオチド、5'-ホスホロチオエート基修飾、5'ホスフェート修飾若しくは5'ホスフェート模倣物修飾、及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択される、記述13から31のいずれか1つに係る核酸。
【0459】
33。修飾ヌクレオチドが、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、又は非天然塩基を含むヌクレオチドのうちのいずれか1つである、先行する記述のいずれかに係る核酸。
【0460】
34。第1の修飾が2'-O-メチルである、記述13から33のいずれか1つに係る核酸。
【0461】
35。第2の修飾が2'-Fである、記述13から34のいずれか1つに係る核酸。
【0462】
36。リガンドとコンジュゲートされた、記述1から35のいずれか1つに係る核酸。
【0463】
37。核酸の第1の鎖及び/又は第2の鎖における1個、2個、又は3個の3'末端ヌクレオチド及び/又は5'末端ヌクレオチドの間の結合が、ホスホロチオエート結合を含む、記述1から36のいずれか1つに係る核酸。
【0464】
38。第1の鎖の5'末端及び3'末端の両方、並びに第2の鎖の3'末端が、2つのホスホロチオエート結合を含む、記述1から37のいずれか1つに係る核酸。
【0465】
39。細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、第1の鎖の少なくとも一部分、及び第1の鎖と少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部分を含む、少なくとも1つの二重鎖領域を含み、該第1の鎖が、該標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部分と少なくとも部分的に相補的であり、該第1の鎖が、RISCによる核酸のプロセシングを容易にするために、修飾されたヌクレオチド又は修飾されたヌクレオチドを複数の位置に含み、核酸がリガンドにコンジュゲートされている、核酸。
【0466】
40。リガンドが、1つ又は複数のGalNacリガンド又はそれらの誘導体を含む、記述36から39のいずれかに係る核酸。
【0467】
41。リガンドが、二価又は三価の分岐状リンカーによって、先行する記述のいずれかに定義された核酸にコンジュゲートされている、記述36から40のいずれかに係る核酸。
【0468】
42。ヌクレオチドが、先行する記述のいずれかに定義されたように修飾されている、記述39から41に係る核酸。
【0469】
43。リガンドが、式I:
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (I)
[式中、
Sは、糖類を表し、ここで糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-[式中、mは1、2、又は3である]であり、
Pは、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、アルキレン、又は式(-CH2)n-O-CH2-[式中、n=1~6である]のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットを表し、
本発明に係る核酸は、ホスフェート又は修飾されたホスフェート(好ましくはチオホスフェート)を介してX3にコンジュゲートされている]
を含む、記述36から42のいずれかに係る核酸。
【0470】
44。次の構造、
【化33-1】
【化33-2】
【化33-3】
【化33-4】
(式中、Zは、記述1から35のいずれかに係る核酸である)
のうちの1つを有する、コンジュゲートされた核酸。
【0471】
45。リガンドが、
【化34】
を含む、記述39から44のいずれか1つに係る核酸。
【0472】
46。二重鎖が、別々の鎖を含む、先行する記述のいずれかに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸。
【0473】
47。二重鎖が、第1の鎖及び第2の鎖を含む一本鎖を含む、先行する記述のいずれかに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸。
【0474】
48。記述1から47のいずれかに定義された核酸又はコンジュゲートされた核酸と、
i)カチオン性脂質、又はその薬学的に許容される塩、
ii)ステロイド、
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質、
iv)PEG化脂質
を含む製剤と
を含む、組成物。
【0475】
49。製剤中、カチオン性脂質成分の含有量が、脂質製剤の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%、好ましくは脂質製剤の脂質含有量全体の約59モル%である、記述48に係る組成物。
【0476】
50。製剤が、
【化35】
の構造を有するカチオン性脂質を含み、
ステロイドが、
【化36】
の構造を有し、
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質が、
【化37】
の構造を有し、
PEG化脂質が、
【化38】
の構造を有する、
記述48又は49における組成物。
【0477】
51。記述1から47のいずれかに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸と、生理学的に許容される賦形剤とを含む、組成物。
【0478】
52。疾患又は障害の処置における使用のための、記述1から47のいずれかに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸。
【0479】
53。疾患又は障害を処置するための医薬の製造における、記述1から47のいずれかに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸の使用。
【0480】
54。処置を必要とする個体に、記述1から47のいずれか1つに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む組成物を投与することを含む、疾患又は障害を処置する方法。
【0481】
55。核酸又はコンジュゲートされた核酸が、対象の皮下又は静脈内に投与される、記述54に係る方法。
【0482】
56。記述1から47のいずれか1つに係る核酸又はコンジュゲートされた核酸を作製するためのプロセス。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A-1】
図6A-2】
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
【配列表】
2022173554000001.app