(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173569
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/50 20060101AFI20221111BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H01L23/50 R
H01L23/50 W
H01L25/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161174
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2021124734の分割
【原出願日】2016-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 欣一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
(72)【発明者】
【氏名】奥田 勇人
(57)【要約】
【課題】本発明は、二次実装信頼性を向上させた半導体装置を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体装置は、上部、前記上部の上のベッド部、及び第1リード部を含むリードフレームと、前記リードフレームの前記上部の上方の有機材層と、前記リードフレームの前記上部の上方であって、前記ベッド部の上方の第1半導体素子と、前記有機材層の上方かつ前記第1半導体素子の上方の封止樹脂と、前記第1半導体素子の電極と前記第1リード部とを接続する第1ボンディングワイヤと、を有する。前記第1ボンディングワイヤは、前記封止樹脂の内部にある。前記第1半導体素子と前記リードフレームの前記上部との間の前記リードフレームの前記ベッド部には、前記有機材層が設けられていない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部、前記上部の上のベッド部、及び第1リード部を含むリードフレームと、
前記リードフレームの前記上部の上方の有機材層と、
前記リードフレームの前記上部の上方であって、前記ベッド部の上方の第1半導体素子と、
前記有機材層の上方かつ前記第1半導体素子の上方の封止樹脂と、
前記第1半導体素子の電極と前記第1リード部とを接続する第1ボンディングワイヤと、を有し、
前記第1ボンディングワイヤは、前記封止樹脂の内部にあり、
前記第1半導体素子と前記リードフレームの前記上部との間の前記リードフレームの前記ベッド部には、前記有機材層が設けられていない、半導体装置。
【請求項2】
前記第1リード部の一部は、前記封止樹脂の外部にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記有機材層の一部は、前記リードフレームの前記上部と前記封止樹脂との間にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1リード部は、段差形状を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記有機材層の一部は、前記リードフレームの前記ベッド部にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1ボンディングワイヤは、前記有機材層の開口を通って、前記第1リード部に接続されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体素子を含む複数の半導体素子と、
前記第1ボンディングワイヤを含む複数のボンディングワイヤと、
前記第1リード部を含む複数のリード部と、をさらに有し、
前記複数の半導体素子は、前記ベッド部の上方にあり、
前記複数のリード部の各々は、前記複数の半導体素子の一つの電極と前記複数のリード部の一つとをそれぞれ接続する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
上部、前記上部の上のベッド部、及び第1リード部を含むリードフレームを提供し、
前記リードフレームの前記上部の上方であって、前記ベッド部の上方に第1半導体素子を提供し、
前記第1半導体素子の電極と前記第1リード部とを接続する第1ボンディングワイヤを提供し、
前記リードフレームの前記上部の上方に有機材層を提供し、
前記有機材層の上方かつ前記第1半導体素子の上方に封止樹脂を提供し、
前記第1ボンディングワイヤは、前記封止樹脂の内部にあり、
前記第1半導体素子と前記リードフレームの前記上部との間の前記リードフレームの前記ベッド部には、前記有機材層が設けられていない、半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1リード部の一部は、前記封止樹脂の外部にある、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記有機材層の一部は、前記リードフレームの前記上部と前記封止樹脂との間にある、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1リード部は、段差形状を含む、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機材層の一部は、前記リードフレームの前記ベッド部にある、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1ボンディングワイヤは、前記有機材層の開口を通って、前記第1リード部に接続されている、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1半導体素子を含む複数の半導体素子を提供し、
前記第1ボンディングワイヤを含む複数のボンディングワイヤを提供し、
前記第1リード部を含む複数のリード部を提供することをさらに含み、
前記複数の半導体素子は、前記ベッド部の上方にあり、
前記複数のリード部の各々は、前記複数の半導体素子の一つの電極と前記複数のリード部の一つとをそれぞれ接続する、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に対応するために、電子機器に搭載される半導体部品を高密度に実装することが要求され、それにともなって、半導体部品の小型化、薄型化が進んでいる。このため更なる薄型化を廉価に達成できる樹脂封止型半導体装置を含むパッケージが求められている。
【0003】
半導体パッケージにはその形状、材質および対応する実装の方式によって多くの種類がある。半導体パッケージは大きく分けると、パッケージのリードをプリント配線基板などのスルーホールに挿入してはんだ実装するリード挿入型と、配線基板の表面に平面的に直接はんだ付実装する表面実装型とがある。
なかでも表面実装型のQFN(Quad Flat Non-leaded package)と呼ばれる、樹脂封止体の側面ではなく、底面にリードが露出するように形成されたタイプの半導体装置が注目されている。
【0004】
図6に従来の一般的なQFNの構成を示す。
半導体装置1は、ベッド部(半導体素子搭載部)2bとその周囲にその先端が延設されている複数のリード部2aとを有するリードフレーム2と、ベッド部2bの上に載置されている半導体素子6と、半導体素子6の電極4と各リード部2aとを連結するボンディングワイヤ3と、リードフレーム2の半導体素子搭載側、半導体素子6及びボンディングワイヤ3を密閉する封止樹脂5とを有している。
この半導体装置1は樹脂封止を行う際にモールド工程時の樹脂漏れを防止するためバックテープを用いており、樹脂封止工程後にバックテープは除去される。
【0005】
しかしながら、バックテープを用いると、以下のような問題が生じる。
・樹脂面がリードフレームと同一面になるため、
図7Aに示すように、はんだ11による接続がリード部2a及びベッド部2bの表面のみとなり、二次実装信頼性を向上させることが難しい。
・バックテープ12の密着が悪いと
図7Bに示すようにモールド樹脂バリ5aが発生し、また、密着が良すぎると剥離時にバックテープ12の糊残り12aが発生し、どちらの場合も信頼性を低下させる要因となる。
・リードフレーム2は基材が金属であるため、基材の表面に粗面化等の改善を加えても、有機材料であるモールド樹脂との密着が悪い。信頼性保証期間を確定するための加速環境下での評価を行ったところ、繰り返し応力によるダメージ、高温による熱的ダメージ、加湿による化学的ダメージ、などにより、一定期間経過後に
図7Cに示すように内部剥離13が発生した。
【0006】
特許文献1には、QFNの製造工程において、樹脂封止前に、前記リードの露出面に金属めっきを施し、樹脂封止後、前記金属めっきを化学的に除去することにより、前記リード露出面に生じた樹脂バリをも同時に除去するようにした半導体装置の製造方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、
図8に示すようにリードフレーム21のベッド部22上に搭載された半導体素子24と、該半導体素子24の電極とリードフレームのリード部23とを電気的に接続するボンディングワイヤ25と、半導体素子24、ボンディングワイヤ25及びリード部23を封止する封止樹脂26と、リードフレーム21の開口部の一方の面側に、リードフレーム21の厚さよりも所定の厚さdだけ薄い厚さで充填された樹脂27とを備えた半導体装置20が示されている。この半導体装置は、半導体装置20の裏面からリード部23及びベッド部22を均一な高さで突出させることにより半導体装置20の実装時の信頼性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-156233号公報
【特許文献2】特開2002-93982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、樹脂封止の際に、従来のように、リードフレームの半導体素子搭載面の反対側にバックテープを設けるという方法を用いないようにすることにより、二次実装信頼性を向上させた半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
(1)リード部及びベッド部とからなるリードフレームと、
少なくとも、該リードフレームの空間部分を半導体素子搭載面側から覆う有機材層と、
ボンディングワイヤと接続されるリード部分の有機材層に設けられた開口部と、
ベッド部上に搭載された半導体素子と、
前記開口部のリード部と半導体素子の電極とを電気的に接続するボンディングワイヤと、
前記有機材層、ボンディングワイヤ及び半導体素子を樹脂封止する封止樹脂と、
を有する半導体装置。
(2)前記有機材層はベッド部の半導体素子搭載位置にも形成されており、半導体素子はこの半導体搭載位置の有機材層上に搭載されている上記(1)に記載の半導体装置。
(3)前記有機材層はベッド部の半導体素子搭載位置にも開口部を有し、半導体素子はこの半導体素子搭載位置の開口部においてベッド部上に搭載されている上記(1)に記載の半導体装置。
(4)半導体素子が複数個であり、ベッド部に形成された有機材層上に搭載されている半導体素子と、有機材層に形成された開口部においてベッド部上に搭載されている半導体素子とを有する上記(1)に記載の半導体装置。
(5)前記ベッド部の周縁部及び/又はリード部の周縁部の少なくとも一部は、段差を有する上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(6)ベッド部及びリード部を有するリードフレームの半導体素子搭載面側に有機材層を形成する工程と、
リード部のボンディングワイヤとの接続部分に形成されている有機材層に開口部Aを形成する工程と、
ベッド部の半導体素子搭載位置の有機材層に開口部Bを形成する工程と、
前記リード部のボンディングワイヤとの接続部分に形成されている有機材層の開口部Aにめっき膜を形成する工程と、
ベッド部の前記開口部においてベッド部に半導体素子を接着剤により固定する工程と、
前記半導体素子の電極とリード部の前記めっき膜とをボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、
前記半導体素子、ボンディングワイヤ及び有機材層を封止樹脂により樹脂封止する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
(7)前記リード部のボンディングワイヤとの接続部分に形成されている有機材層に開口部Aを形成する工程と、ベッド部の半導体素子搭載位置の有機材層に開口部Bを形成する工程とを同時に行う、上記(6)に記載の半導体装置の製造方法。
(8)ベッド部及びリード部を有するリードフレームの半導体素子搭載面側に有機材層を形成する工程と、
リード部のボンディングワイヤとの接続部分に形成されている有機材層に開口部Aを形成する工程と、
ベッド部の複数の半導体素子搭載位置の少なくとも一つに開口部Bを形成する工程と、
前記開口部Aにめっき膜を形成する工程と、
有機材層を有する半導体素子搭載位置には有機材層上に半導体素子を接着剤により固定し、開口部Bを有する半導体素子搭載位置にはベッド部上に半導体素子を接着剤により固定する工程と、
前記半導体素子の電極とリード部の前記めっき膜とをボンディングワイヤにより電気的に接続する工程と、
前記半導体素子、ボンディングワイヤ及び有機材層を封止樹脂により樹脂封止する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
(9)前記リード部のボンディングワイヤとの接続部分に形成されている有機材層に開口部Aを形成する工程と、ベッド部の半導体素子搭載位置の少なくとも一つに開口部Bを形成する工程とを同時に行う、上記(8)に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置を用いることにより半導体装置の二次実装信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【
図2-1】
図2-1は本発明の第2の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【
図2-2】
図2-2は
図2-1に示した半導体装置におけるリードフレームの構造を示す図である。
【
図3-1】
図3-1は本発明の第3の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【
図3-2】
図3-2は
図3-1に示した半導体装置におけるリードフレーム及び有機材層を示す図である。
【
図4】
図4は本発明の第4の実施形態に係る半導体装置を示す図である。
【
図5】
図5A~
図5Eは本発明の実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。各図の(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
図5Aはリードフレームを示す図である。
図5Bはリードフレームの表面に有機材層を形成した状態を示す図である。
図5Cはリードフレームのリード部上の有機材層にワイヤ接続部用の開口部を形成した状態を示す図である。
図5Dはワイヤ接続部用の開口部にメッキ膜を形成した状態を示す図である。
図5Eはリードフレームの半導体素子搭載部上の有機材層に半導体素子を搭載した状態を示す図である。
【
図6】
図6は従来の半導体装置の断面を示す図である。
【
図7】
図7A~
図7Cは従来の半導体装置の断面を示す図である。
図7Aはリードフレームにはんだを付けた図である。
図7Bは半導体装置からバックテープを剥がしている状態を示す図である。
図7Cは半導体装置内で封止樹脂の内部剥離が生じている状態を示す図である。
【
図8】
図8は従来の半導体装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例を例示するものであって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置を
図1に示す。
図1に示した半導体装置1は、リード部2aとベッド部2bとからなるリードフレーム2と、リードフレーム2の半導体素子搭載面側を覆い、かつ開口部9を有する有機材層10と、半導体素子搭載部2b上に有機材層10及び接着剤層7を介して搭載された半導体素子6と、前記開口部9のリード部2aに形成されためっき膜8と、半導体素子6の電極4と前記めっき膜8とを電気的に接続するボンディングワイヤ3と、半導体素子6を樹脂封止する封止樹脂5と、からなっている。
【0015】
本実施形態の半導体装置は、有機材層10がリードフレーム2の空間部を覆っているため、樹脂封止を行う際にモールド樹脂がリードフレーム2の端子面に回り込むことがないため、リード部2aの底面に加えてリード部2の側面2cも実装面として確保することができる。
これにより、リード部2a及びベッド部2b共に全方向にフィレットが形成されるため、二次実装信頼性が向上する。
【0016】
また、本実施形態の半導体装置は、樹脂封止を行う際に、樹脂漏れ防止のバックテープ(モールドテープ)に代えて、半導体装置の構成部材として有機材層10を用いているため、バックテープを剥離する必要がなく、糊残りが発生することがない。また、コストダウン効果が期待できる。
有機材層10の材料としては、モールドの注入圧に対して耐久性を有するものが好ましく、ドライフィルムや、住友ベークライト株式会社製の高Tg材であるLαZなどが使用できる。
【0017】
本実施形態の半導体装置は、リード部2a上に形成された有機材層10の一部に開口部9を設けて、この開口部9のリード部2aの表面をめっき処理している。このため、半導体素子搭載面側のリードフレーム2の金属暴露面積を最小化することができ、これにより、有機材層10と封止樹脂5との高密着化が期待でき、各種信頼性評価における剥離抑制の効果が期待できる。
【0018】
第1の実施形態の半導体装置の製造方法について
図5A~
図5Eを参照して説明する。半導体装置は複数の単位リードフレームがタイバーを用いて連結して形成されてなるリードフレームを用いて多数の半導体装置を一括して製造し、最後に個々の半導体装置に個片化することによって作製される。
単位リードフレーム2は、中央部に形成されたベッド部2bと、ベッド部の周囲にベッド部と間隔を置いて形成されたリード部とからなる。以下では単位リードフレームを単に「リードフレーム」ということがある。
各図における左側の図(a)は半導体装置の製造工程におけるリードフレーム及び半製品の一部の領域の平面図であり、右側の図(b)は単位リードフレーム及び単位半導体装置の半製品の断面図である。
【0019】
<リードフレームの準備工程(
図5A参照)>
ベッド部2b及びその周囲のリード部2aを備えた単位リードフレーム2が複数個連結されたシート状のリードフレームを準備する。
リードフレームは、鉄系合金、或いは銅系合金等の良導体である金属薄板をエッチング処理して複数の単位リードフレームを形成することによって得られる。
以下では、リードフレームの半導体素子を搭載する側を表側といい、半導体素子を搭載する側と反対側を裏側という。
【0020】
<有機材層形成工程(
図5B参照)>
リードフレーム2の表側の表面に有機材層10を形成する。
リードフレーム2の表側の表面に有機材層10を形成することによってリードフレーム2におけるリード部2aとベッド部2bとの間の空間が有機材層10によって蓋をされた状態となる。
【0021】
<ボンディングワイヤ接続部開口形成工程(
図5C参照)>
リード部2aのボンディングワイヤ接続部上に形成されている有機材層10に開口部9を形成する。この穴開け加工はCO2レーザやYAGレーザによって行うことができる。
【0022】
<めっき処理工程(
図5D参照)>
リード部2aの開口部9に電解めっきによって導電性金属からなるめっき膜8を形成する。このめっき膜8はリード部2aとのボンディングワイヤとの電気的接続状態を良好にするために設ける。めっき膜8の厚さは1.0μm~10.0μmが好ましい。
【0023】
<半導体素子搭載工程(
図5E参照)>
リードフレーム2のベッド部2b上に半導体素子6を接着剤層7を介して固定する。接着剤7としては銀ペースト等の接着剤や接着テープを用いることができる。
【0024】
以降の工程(ワイヤボンディング工程、樹脂封止工程、個片化工程)は従来の方法と同様に行うことができるが、一応、下記に以降の工程について示す。
【0025】
<ワイヤボンディング工程>
半導体素子6の電極パッド4とこれに対応するリード部2aのめっき膜8とを接続部材であるボンディングワイヤ3によって接続する。
【0026】
<樹脂封止工程>
半導体素子6を封止樹脂5によって樹脂封止する。
樹脂封止工程においては、リードフレーム2の表側の表面に有機材層10が形成されているため、リード部2a及びベッド部2bの側面が封止樹脂に覆われることがない。このため、リード部2a及びベッド部2bの側面も実装面として確保することでき、リードフレームのリード部2a及びベッド部2bとも全方向にフィレットが形成されるため、二次実装信頼性が向上する。
また、樹脂封止に際してバックテープを用いないため、樹脂バリが発生したり、バックテープの剥離時にバックテープの糊残りが発生したりすることがないため、二次実装信頼性が向上する。
【0027】
<半導体素子の個片化工程>
リードフレーム上の複数の単位フレーム毎に形成された複数の半導体装置を個々の半導体装置に個片化する。
【0028】
(第2の実施形態)
本実施形態の半導体装置を
図2-1に示す。
本実施形態の半導体装置は実施形態1の半導体装置において、リード部2の周囲部分及びベッド部2bの周囲部分の厚さを薄くして段差部sを設けたものである。
図2-2に実施形態2の半導体装置のリードフレーム2の形状を示す。リードフレームのリード部2aの周囲部分及びベッド部2bの周囲部分を所定の厚さdだけエッチングにより除去して段差部sを設ける。この段差部sは有機材層10とリードフレーム2との密着性を向上させることができる。
段差部sはリード部2a及びベッド部2bの周囲部分の一部に設けても良い。
【0029】
(第3の実施形態)
本実施形態の半導体装置を
図3-1に示す。
本実施形態の半導体装置は実施形態1の半導体装置において、
図3-2に示すようにベッド部2b上に形成した有機材層10の半導体素子搭載領域にも開口部14を設けて、半導体素子6を接着剤層7を介してベッド部2bに接着し固定したものである。
このように、半導体素子6をベッド部2bに直接固定することにより、半導体素子の稼働によって発生した熱を効率よく外部に放出することが可能となる。
開口部9と開口部14とは同時に形成しても良いし、開口部9を形成する工程と開口部14を形成する工程を別にしても良い。
【0030】
開口部9と開口部14とは同時に形成する場合には、めっき膜8を形成する工程において、開口部14をめっきマスクで覆って、めっき膜8を形成する方法を採用することができる。
開口部9を形成する工程と開口部14を形成する工程を別に設ける場合には、まず、開口部9を形成してめっき膜8を形成した後に、開口部14を形成する方法を採用することができる。
開口工程は一回で行うことが好ましいので、前者の方法を採用することが好ましい。
【0031】
(第4の実施形態)
本実施形態の半導体装置を
図4に示す。
ベッド部2bには半導体素子を複数個搭載しても良く、また、半導体素子の他に半導体部品を搭載しても良い。
本実施形態はベッド部2bに2個の半導体素子(6a、6b)を搭載した例を示す。
本実施形態の半導体装置は実施形態1の半導体装置において、ベッド部2b上に複数の半導体素子6a及び半導体素子6bを搭載したものである。
図4に示したものは、半導体素子6aを有機材層10を介してベッド部2bに搭載し、半導体素子6bを有機材層10を介さずにベッド部2b上に搭載した例を示したものである。
半導体素子6a、6bを有機材層10を介してベッド部2b上に搭載しても良いし、半導体素子6a、6bを有機材層10を介さずにベッド部2b上に搭載しても良い。
このような構造とすることにより、半導体装置の多機能化が可能となる。また、半導体素子の特性に応じて、有機材層10を開口することにより、半導体素子の特性に合わせたパッケージ構造が実現可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1 半導体装置
2 リードフレーム
2a リード部
2b ベッド部(半導体素子搭載部)
2c リードフレームの側面
3 ボンディングワイヤ
4 電極
5 封止樹脂
6、6a、6b 半導体素子
7 接着剤層
8 めっき膜
9 開口部
10 有機材層
11 はんだ
12 バックテープ
12a 糊残り
13 内部剥離
14 開口部
20 半導体装置
21 リードフレーム
22 ベッド部
23 リード部
24 半導体素子
25 ボンディングワイヤ
26 封止樹脂
27 樹脂
d 厚さ
s 段差