(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173588
(43)【公開日】2022-11-18
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20221111BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20221111BHJP
【FI】
H04N1/00 567H
H04N1/00 L
H04N1/00 E
H04N1/387 200
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162254
(22)【出願日】2022-10-07
(62)【分割の表示】P 2018217343の分割
【原出願日】2018-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】有福 直也
(57)【要約】
【課題】 原稿載置台の読取領域を分割した各領域に載置された原稿を読み取った画像を確認する際のユーザの手間を軽減する。
【解決手段】 本発明に係る画像形成装置(10)が備えるマルチクロップスキャン機能によれば、原稿載置台(16)の読取領域(200)が複数の領域(R1~R4)に分割される。そして、それぞれの分割領域(R1~R4)毎に原稿が載置され、各分割領域(R1~R4)に載置された複数の原稿の画像が一括して読み取られる。ここで、各分割領域(R1~R4)のいずれかに2つ以上の原稿が載置されている場合、そのことを示すメッセージと、スキャンを続行するかどうかを選択させるための第1キー242および第2キー244と、を含む第2通知画面240が、ディスプレイ(100)に表示される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿載置台の読取領域を複数の領域に分割し、原稿の画像を領域毎に一括して読み取る読取処理を実行して、当該複数の領域の全体に対応する全体画像を生成する生成手段と、
前記全体画像から、前記原稿に対応する個別画像を抽出する抽出手段と、
前記複数の領域のそれぞれと前記個別画像の位置との関係に応じて、当該複数の領域のうち、2つ以上の前記原稿が載置されている当該領域があるかどうかを判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段で前記2つ以上の原稿が載置されている領域があると判断された場合に、当該2つ以上の原稿が載置されている領域があることを示すメッセージと前記読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーとを含む画面を表示する表示手段とを備える、画像読取装置。
【請求項2】
前記読取処理を続行することを選択するための前記操作キーが操作された場合に、前記2つ以上の原稿が載置されている領域に含まれる2つ以上の前記個別画像のうちのいずれかのプレビュー画像を含む画面を表示する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記プレビュー画像とともに、当該プレビュー画像に対応する前記個別画像を前記2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存するかどうかを選択するための操作キーを含む画面を表示する、請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記プレビュー画像に対応する個別画像を前記2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存することを選択するための前記操作キーが操作された場合に、当該個別画像の個別画像データを含む画像ファイルのデータを生成して、当該2つ以上の原稿が載置されている領域についての識別情報を付加した状態で、当該画像ファイルのデータを保存する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記プレビュー画像に対応する個別画像を前記2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存しないことを選択するための前記操作キーが操作された場合に、他の前記個別画像のプレビュー画像を含む画面を表示する、請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第1判断手段は、さらに、前記複数の領域のそれぞれと前記個別画像の位置との関係に応じて、当該個別画像に対応する原稿が、当該複数の領域のうち2つ以上の当該領域に跨って載置されているかどうかを判断し、
前記表示手段は、さらに、前記第1判断手段で前記原稿が前記2つ以上の領域に跨って載置されていると判断された場合に、当該原稿が当該2つ以上の領域に跨って載置されていることを示すメッセージと前記読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーとを含む画面を表示する、請求項1から5までのいずれかの画像読取装置。
【請求項7】
原稿載置台の読取領域を複数の領域に分割し、原稿の画像を領域毎に一括して読み取る読取処理を実行して、当該複数の領域の全体に対応する全体画像を生成する画像読取装置の制御方法であって、
前記全体画像から、前記原稿に対応する個別画像を抽出し、
前記複数の領域のそれぞれと前記個別画像の位置との関係に応じて、当該複数の領域のうち、2つ以上の前記原稿が載置されている当該領域があるかどうかを判断し、
前記2つ以上の原稿が載置されている領域があると判断された場合に、当該2つ以上の原稿が載置されている領域があることを示すメッセージと前記読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーとを含む画面を表示する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取装置および画像読取装置の制御方法に関し、特にたとえば、原稿載置台の読取領域を分割した各領域に載置された原稿を読み取った画像から領域毎の画像ファイルを生成する、画像読取装置および画像読取装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の情報処理装置の一例が特許文献1に開示される。この背景技術の情報処理装置では、名刺の表面を読み取った表面名刺画像と、名刺の裏面を読み取った裏面名刺画像とから、表裏の名刺画像が同じ画像であるか否かが判定され、表面名刺画像と裏面名刺画像とが同じ画像である可能性が高いと判定された場合に、その旨を通知する画像が操作パネルに表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の情報処理装置では、ユーザに原稿の裏返し忘れを通知することができるが、これ以外の読取エラーについては検出および通知することができない。したがって、原稿の裏返し忘れ以外の読取エラーが発生した場合には、画像データが保存された後、または画像データが外部に送信された後でなければ確認することができず、ユーザの手間がかかり、不便である。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像読取装置および画像読取装置の制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、読取エラーが発生した場合のユーザの手間を軽減することができる、画像読取装置および画像読取装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、画像読取装置に係る第1の発明、および、画像読取装置の制御方法に係る第2の発明を含む。
【0008】
画像読取装置に係る第1の発明は、生成手段、抽出手段、第1判断手段および表示手段を備える。生成手段は、原稿載置台の読取領域を複数の領域に分割し、原稿の画像を領域毎に一括して読み取る読取処理を実行して、当該複数の領域の全体に対応する全体画像を生成する。抽出手段は、全体画像から、それぞれの原稿に対応する個別画像を抽出する。第1判断手段は、複数の領域のそれぞれと個別画像の位置との関係に応じて、当該複数の領域のうち、2つ以上の原稿が載置されている領域があるかどうかを判断する。そして、表示手段は、第1判断手段で2つ以上の原稿が載置されている領域があると判断された場合に、当該2つ以上の原稿が載置されている領域があることを示すメッセージと、読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーと、を含む画面を表示する。
【0009】
ここで、読取処理を続行することを選択するための操作キーが操作された場合に、前述の2つ以上の原稿が載置されている領域に含まれる2つ以上の個別画像のうちのいずれかのプレビュー画像を含む画面が、表示されてもよい。
【0010】
この場合、プレビュー画像とともに、当該プレビュー画像に対応する個別画像を前述の2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存するかどうかを選択するための操作キーを含む画面が、表示されてもよい。
【0011】
さらに、前述のプレビュー画像に対応する個別画像を2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存することを選択するための操作キーが操作された場合に、当該個別画像の個別画像データを含む画像ファイルのデータが生成されて、当該画像ファイルのデータが保存されてもよい。その際、画像ファイルのデータには、前述の2つ以上の原稿が載置されている領域についての識別情報が付加される。
【0012】
一方、前述のプレビュー画像に対応する個別画像を2つ以上の原稿が載置されている領域に対応付けて保存しないことを選択するための操作キーが操作された場合は、他の個別画像のプレビュー画像を含む画面が、表示されてもよい。
【0013】
また、第1判断手段は、さらに、複数の領域のそれぞれと個別画像の位置との関係に応じて、当該個別画像に対応する原稿が、複数の領域のうち2つ以上の領域に跨って載置されているかどうかを判断してもよい。そして、表示手段は、さらに、第1判断手段で原稿が2つ以上の領域に跨って載置されていると判断された場合に、当該原稿が2つ以上の領域に跨って載置されていることを示すメッセージと、読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーと、を含む画面を表示してもよい。
【0014】
画像読取装置の制御方法に係る第2の発明は、当該画像読取装置が、原稿載置台の読取領域を複数の領域に分割し、原稿の画像を領域毎に一括して読み取る読取処理を実行して、当該複数の領域の全体に対応する全体画像を生成することを、前提とする。この前提の下、第2の発明は、全体画像から、それぞれの原稿に対応する個別画像を抽出する。そして、第2の発明は、複数の領域のそれぞれと前記個別画像の位置との関係に応じて、当該複数の領域のうち、2つ以上の原稿が載置されている領域があるかどうかを判断する。さらに、第2の発明は、2つ以上の原稿が載置されている領域があると判断した場合に、当該2つ以上の原稿が載置されている領域があることを示すメッセージと、読取処理を続行するかどうかを選択するための操作キーと、を含む画面を表示する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、読取エラーが発生した場合のユーザの手間を軽減することができる。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示す画像形成装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は
図1に示す画像読取装置の読取領域を分割した分割領域を説明するための図である。
【
図4】
図4は読取領域に原稿が載置された状態の一例を示す図である。
【
図5】
図5は複数の分割領域に跨って原稿が載置された状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は第1通知画面の一例を示す図解図である。
【
図7】
図7は或る分割領域に複数の原稿が載置された状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は第2通知画面の一例を示す図解図である。
【
図12】
図12は
図2に示すCPUの領域跨ぎ確認処理の一例を示すフロー図である。
【
図14】
図14は1回目と2回目で同じ分割領域にサイズの異なる原稿が載置された状態の一例を示す図である。
【
図16】
図16は1回目と2回目で同じ分割領域に載置された原稿の数が異なる状態の一例を示す図である。
【
図18】
図18は1回目と2回目で異なる分割領域に同じ原稿が載置された状態の一例を示す図である。
【
図20】
図20は第2実施例の読取処理の一例の一部を示すフロー図である。
【
図22】
図22は第2実施例の原稿数変化確認処理の一例を示すフロー図である。
【
図23】
図23は第2実施例の割当処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の第1実施例である画像読取装置14は、電子写真方式によって用紙に画像を形成する画像形成装置10に用いられる。先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。この実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
【0019】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0020】
画像読取装置14は、プラテンガラスのような透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿押えカバー18の下面(つまり原稿載置台16の上面と対向する面)には、原稿載置台16と対向する位置に、矩形薄板状の白色の押え板が設けられる。さらに、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付けるタッチパネル98および操作ボタン102等を含む操作部(操作パネル)が設けられる。
【0021】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0022】
なお、光源および複数のミラーを含む走査部は、ADF24によって給紙される原稿を読み取る場合には、画像読取位置22の下方に固定的に位置され、原稿載置台16に載置された原稿を読み取る場合には、副走査方向に移動される。ただし、副走査方向は、画像形成装置10を正面から見た場合の左右の方向、すなわち、
図1では左右の方向である。また、主走査方向は、画像形成装置10を正面から見た場合の画像形成装置10の前後方向、すなわち、
図1の紙面に対して垂直な方向である。
【0023】
装置本体12には、後述するCPU80およびメモリ(RAM84およびHDD86)等を含む制御部28および画像形成部30等が内蔵される(
図2参照)。制御部28は、タッチパネル98等の操作部への入力操作などに応じて画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。この制御部28は、画像形成装置10の全体を制御するため、画像読取装置14の制御装置でもある。
【0024】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ52に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0025】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像器34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。
【0026】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された像担持体であり、帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。現像器34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化するものである。また、クリーナユニット38は、現像および画像転写後における感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去する。
【0027】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト54、駆動ローラ56、従動ローラ58、および4つの中間転写ローラ60などを備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト54は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ60を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト54に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト54上に多色のトナー像が形成される。また、転写ローラ44は、駆動ローラ56との間で中間転写ベルト54を押圧するように設けられており、中間転写ベルト54と転写ローラ44との間の転写ニップ部を用紙が通過することによって、中間転写ベルト54に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0028】
定着ユニット46は、ヒートローラ62および加圧ローラ64を備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラ62は、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラ62と加圧ローラ64との間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0029】
このような装置本体12内には、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50からの用紙をレジストローラ68、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ52に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙を用紙搬送方向に搬送するための複数の搬送ローラ66が適宜設けられる。
【0030】
装置本体12において片面印刷(画像形成)を行う際には、用紙は、給紙トレイ48または手差し給紙トレイ50から1枚ずつ第1用紙搬送路L1に導かれ、第1用紙搬送路L1に設けられる搬送ローラによってレジストローラ68まで搬送される。そして、レジストローラ68によって、用紙の先端と中間転写ベルト54上の画像情報の先端とが整合するタイミングで用紙が転写ローラ44(転写ニップ部)に搬送され、用紙上にトナー像が転写される。その後、定着ユニット46(定着ニップ部)を通過することによって用紙上の未定着トナーが熱で溶融して固着されて、排紙トレイ52上に用紙が排出される。
【0031】
一方、両面印刷を行う際には、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した用紙の後端部が排紙トレイ52近傍の搬送ローラ66まで到達したとき、この搬送ローラ66を逆回転させることによって、用紙が逆走して第2用紙搬送路L2に導かれる。第2用紙搬送路L2に導かれた用紙は、搬送ローラ66によって第2用紙搬送路L2を搬送されて、レジストローラ68の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に導かれる。この時点で用紙の表裏は反転されるので、その後、転写ローラ44および定着ユニット46を用紙が通過することによって、用紙の裏面に印刷が行われる。
【0032】
図2は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成を示すブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置10はCPU80を含む。CPU80は、バス82を介して、RAM84、HDD86、ネットワーク接続回路88、通信制御回路90、タッチパネル制御回路92、表示制御回路94、操作ボタン検出回路96、画像読取部26および画像形成部30に接続される。また、タッチパネル制御回路92はタッチパネル98に接続され、表示制御回路94はディスプレイ100に接続され、操作ボタン検出回路96は操作ボタン102に接続される。
【0033】
CPU80は、画像形成装置10の全体的な制御を司る。RAM84は、CPU80のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。HDD86は、画像形成装置10の主記憶装置であり、画像形成装置10の動作を制御するための各種のプログラムを記憶したり、ネットワーク接続回路88を介して外部のコンピュータから送信された画像データを記憶したり、画像読取部26で読み取った画像データを記憶したり、ネットワーク接続回路88または通信制御回路90で受信した画像データを記憶したりする。
【0034】
ネットワーク接続回路88は、LANおよびインターネットのようなネットワークに接続するための通信回路であり、CPU80からの指示に従って、TCP/IPなどのプロトコルを利用して外部のコンピュータと通信する。
【0035】
通信制御回路90は、モデムであり、CPU80からの指示に従って、電話回線のような通信回線と接続されて、通信相手のファクシミリとの間で画像データを送受信する。通信相手のファクシミリから受信した画像データは、HDD86に一旦記憶される。
【0036】
タッチパネル制御回路92は、タッチパネル98に必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネル98のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU80に出力する。
【0037】
タッチパネル98は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この第1実施例では、タッチパネル98としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、このタッチパネル98はディスプレイ100の表示面上に設けられる。ただし、タッチパネル98とディスプレイ100とが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイが用いられてもよい。
【0038】
表示制御回路94は、GPUおよびVRAMなどを含んでおり、CPU80の指示の下、GPUは、RAM84に記憶された画像生成データを用いてディスプレイ100に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ100に出力する。ディスプレイ100としては、たとえばLCDまたはEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。
【0039】
操作ボタン検出回路96は、操作ボタン102の操作に応じた操作信号ないし操作データをCPU80に出力する。操作ボタン102は、電源ボタンなどのハードウェアのボタンないしスイッチであり、たとえば、装置本体12の上面または側面に設けられる。
【0040】
上記の画像読取装置14(画像形成装置10)は、マルチクロップスキャン機能を備えている。ここで、マルチクロップスキャン機能とは、原稿載置台16上に載置された複数の原稿を一括して読み取り、複数の原稿の各々に対応する画像を切り出し、個別に画像データを生成する機能を意味する。
【0041】
なお、画像読取部26で読み取った画像から、原稿に対応する画像を切り出す方法の具体例については、本出願人による特開2018-133691号公報に記載されているので、参照されたい。簡単に説明すると、原稿押えカバー18を閉じた状態で原稿を読み取り、原稿の縁部と原稿外領域(原稿押えカバー18の押え板)との濃淡あるいは色相のコントラストに基づいて各原稿の境界(エッジ)が認識され、このエッジに沿って画像が切り出される。ただし、原稿押えカバー18の押え板は、白色であるので、地色が白色の原稿等である場合には、画像読取部26で読み取った画像を基に、濃度差が強調されるように階調特性が調整されたエッジ検出用の画像が生成され、このエッジ検出用の画像に基づいて各原稿のエッジが認識される。
【0042】
また、原稿押えカバー18を開けた状態で原稿を読み取るようにしても良い。また、原稿載置台16上に載せた原稿を覆うように背景用の黒色(白を除く、濃い他の色もでよい)のマットを載せるようにしても良い。これらの方法では、原稿以外の部分に対応する画像が黒になり、原稿に対応する画像とのコントラスト差で原稿に対応する画像を切り出すことができる。
【0043】
ただし、原稿押えカバー18を閉じた状態で原稿を読み取る方法は、写真等の地色が白色以外の色の原稿を読み取る場合に好適に用いることができる。また、原稿押えカバー18を開けた状態で原稿を読み取る方法および背景用のマットを載せて原稿を読み取る方法は、名刺等の地色が白色または白色に近い色の原稿を読み取る場合に好適に用いることができる。
【0044】
図3は原稿載置台16の読取領域200を複数の領域(第1実施例では、4つの分割領域R1、R2、R3、R4)に分割した例を説明するための図である。読取領域200は、原稿載置台16において、原稿を読み取り可能な全領域である。
図3では、分割された領域(以下、「分割領域」という)R1~R4を示すために、読取領域200を点線で区分してあるが、実際には、このような点線は表示されない。たとえば、マルチクロップスキャン機能を実行する場合に、ユーザは設定画面で当該機能を使用するモード(以下、「マルチクロップモード」と呼ぶことがある)を設定するが、このとき、読取領域200が
図3に示すように分割されていることを示す画像が設定画面に表示される。
【0045】
第1実施例の画像読取装置14(画像形成装置10)は、マルチクロップスキャン機能によりスキャンして、原稿の画像を取得し、取得した原稿の画像に対応する画像データを分割領域R1~R4毎に紐付けて生成し、生成した画像データを記憶媒体に記憶する。
【0046】
原稿は、表面に文字、図形、写真の少なくとも1つを含む画像が記載されたものであり、代表的な例として、名刺またははがきが該当する。また、この第1実施例では、記憶媒体は、画像形成装置10が備えるHDD86である。ただし、記憶媒体は、画像形成装置10に装着された外部記憶媒体または画像形成装置10とネットワーク接続回路88を介して接続される外部のコンピュータが備えるHDDであってもよい。外部記憶媒体としては、USBメモリ等を用いることができる。
【0047】
ここで、マルチクロップモードにおける画像読取装置14(画像形成装置10)の具体的な動作について説明する。まず、画像読取装置14のユーザが、画像形成装置10のタッチパネル98およびディスプレイ100で構成される操作パネルを操作して、設定画面においてマルチクロップモードを設定する。ユーザは、マルチクロップモードを設定すると、画像読取装置14の原稿載置台16上に、原稿を載置する。そして、ユーザは、画像読取装置14に対して、読取指示を行う。
【0048】
図4は読取領域200に原稿が載置された状態の一例を示す。
図4に示す例では、分割領域R1~R4のうち、分割領域R1の範囲内および分割領域R2の範囲内のそれぞれに原稿が配置(載置)される。この状態で、ユーザは、操作パネルのスタートボタンを操作することにより、読取指示を行う。なお、スタートボタンは、操作パネルに設けられるソフトウェアキーである。ただし、これは一例であり、スタートボタンは、操作パネルまたは装置本体12に設けられるハードウェアキーでもよい。
【0049】
ユーザの読取指示に応じて、画像読取装置14は、原稿の読取を実行することにより、原稿載置台16上に載置された原稿の画像を含む読取領域200の全体に対応する画像(以下、「全体画像」という)を読み取り、読み取った全体画像についてのデータ(以下、「全体画像データ」という)を生成する。また、全体画像データを基に、階調特性が調整されたエッジ検出用の画像が生成される。
【0050】
エッジ検出用の画像に基づいて各原稿のエッジが認識され、各原稿のエッジに応じて、全体画像データから、原稿に対応するそれぞれ独立した個別の画像(個別画像)についてのデータ(以下、「個別画像データ」という)が順次切り出され(抽出され)る。なお、全体画像データを解析することにより、この全体画像データから個別画像データを生成する方法は、上述した公知の技術を使用することにより、実現することができる。また、原稿載置台16の読取領域200の座標系と同じ座標系で全体画像の画素およびエッジ検出用の画像の画素を管理するようにすれば、個別画像データがどの分割領域R1~R4に載置された原稿に対応するかを容易に知ることができる。
【0051】
そして、個別画像データには、対応する原稿が載置される分割領域が割り当てられる。具体的には、個別画像データには、対応する原稿が載置される分割領域についての識別情報が付加される。
図4に示す例では、分割領域R1に載置される原稿D1に対応する個別画像データには、分割領域R1についての識別情報が付加され、分割領域R2に載置される原稿D2に対応する個別画像データには、分割領域R2についての識別情報が付加される。
【0052】
また、個別画像データが生成されると、この個別画像データを含む画像ファイルのデータが、分割領域毎に生成される。また、生成された画像ファイルには、ファイル名が自動的に付与され、HDD86に記憶される。
【0053】
このように、マルチクロップスキャン機能を用いることにより、一度のスキャンで複数の原稿の画像を取得し、各分割領域R1~R4について、それぞれの領域に載置された原稿に対応する個別画像データを含む画像ファイルを生成することができる。
【0054】
ただし、上述したように、各分割領域R1~R4を区切る境界は実際には表示されないので、ユーザが原稿を不適切な位置に載置してしまうことがある。すなわち、原稿が不適切な位置に載置される場合がある。ここで、原稿が不適切な位置に載置される場合とは、複数の分割領域に跨って原稿が載置される場合、および、1つの分割領域に複数の原稿が載置される場合などである。このように、原稿が不適切な位置に載置された状態で原稿の読取が実行されると、上述したような動作を行うことができない。すなわち、読取エラーとなる。以下、
図5~
図9を参照して、原稿が不適切な位置に載置される場合の画像読取装置14(画像形成装置10)の動作を説明する。
【0055】
図5は複数の分割領域に跨って原稿が載置された状態の一例を示す図である。
図6は第1通知画面220の一例を示す図解図である。
図7は1つの分割領域に複数の原稿が載置された状態の一例を示す図である。
図8は第2通知画面240の一例を示す図解図である。
図9は選択画面260の一例を示す図解図である。
【0056】
たとえば、
図5に示すように、複数の分割領域に跨って原稿が載置されることがある。
図5に示す例では、分割領域R1および分割領域R2に跨って原稿が載置される。この状態で原稿の読取が実行されると、複数の分割領域に跨って原稿が載置されていること(以下、「領域跨ぎエラー」ということがある。)が検出される。ただし、領域跨ぎエラーの有無は、分割領域R1~R4のそれぞれと、個別画像の位置(個別画像のエッジの画素の位置)とに応じて判断される。また、領域跨ぎエラーがあると判断される場合には、原稿が跨っている分割領域も検出される。
【0057】
この第1実施例では、領域跨ぎエラーが発生している場合には、領域跨ぎエラーが発生している旨、すなわち、原稿が適切に載置されていない旨がユーザに通知される。または、通知に代えて、その原稿に対応する個別画像が、当該原稿が跨っている複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域に自動的に対応付けられる。なお、領域跨ぎエラーが発生している場合に、領域跨ぎエラーが発生している旨の通知を行うか、原稿を複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域に自動的に対応付けるかについては、予め設定されており、この設定は、画像読取装置14(画像形成装置10)の使用状況等に合わせて変更可能である。
【0058】
まず、領域跨ぎエラーの通知を行う場合について説明する。領域跨ぎエラーの通知を行う場合には、
図6に示すように、原稿が複数の分割領域に跨って載置されている旨を通知するための第1通知画面220がディスプレイ100に表示される。
【0059】
第1通知画面220には、原稿が複数の分割領域に跨って載置されていることを示すメッセージ、スキャンを続行(すなわち画像ファイルを生成)するかどうかを選択させるためのメッセージ、領域跨ぎエラーが発生している分割領域を示す図、第1キー222および第2キー224が設けられる(表示される)。
【0060】
第1キー222には、スキャンを続行する機能、すなわち、画像ファイルを生成する機能が割り当てられる。このことは、後述する第1キー242,262,282,322,342も同様である。
【0061】
第2キー224は、スキャンを中止する機能、すなわち、スキャンをやり直す機能が割り当てられる。このことは、後述する第2キー244,264,284,324,344も同様である。
【0062】
なお、第1通知画面220は、第1キー222または第2キー224をタッチする以外の操作ができないようになっており、その他の操作はできないようになっている。このことは、後述する第2通知画面240,選択画面260,第3通知画面280,第4通知画面320,第5通知画面340も同様である。
【0063】
第1キー222がタッチされると、領域跨ぎエラーの原因となっている個別画像の位置に応じて、原稿が跨っている複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域についての識別情報が付加される。すなわち、複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域と、個別画像データとが割り当てられる。具体的には、領域跨ぎエラーの原因となっている個別画像と、各分割領域とが重複する部分の面積(重複面積)が算出され、当該個別画像との重複面積が最も大きい分割領域と、当該個別画像についての個別画像データが割り当てられる。また、領域跨ぎエラーの原因となっている個別画像の中心位置と、各分割領域の中心位置との距離が算出され、個別画像の位置(原稿の位置)から最も近い分割領域と、個別画像データとが割り当てられるようにしても良い。なお、通知に代えて、原稿を複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域に自動的に割り当てる場合には、第1通知画面220が表示されずに、第1キー222がタッチされた場合の処理が自動的に実行される。
【0064】
一方、第2キー224がタッチされると、スキャンが中止され、読取指示を行う前の状態に戻る。したがって、ユーザは、原稿を適切な位置、すなわち、いずれかの分割領域の範囲内に移動させ、再度読取指示を行うことができる。
【0065】
次に、
図7に示すように、1つの分割領域に複数の原稿が載置されることがある。
図7に示す例では、分割領域R1に2つの原稿(原稿D1および原稿D2)が載置される。この状態で原稿の読取が実行されると、分割領域R1に2つの原稿が載置されていること、ずなわち、複数の原稿が載置されている分割領域があること(以下、「原稿数エラー」ということがある。)が検出される。ただし、原稿数エラーの有無は、分割領域R1~R4のそれぞれと、個別画像の位置とに応じて判断される。
【0066】
この第1実施例では、原稿数エラーが発生している場合には、原稿数エラーが発生している旨、すなわち、原稿が適切に載置されていない旨がユーザに通知される。具体的には、
図8に示すように、複数の原稿が載置されている分割領域がある旨を通知するための第2通知画面240がディスプレイ100に表示される。
【0067】
第2通知画面240には、複数の原稿が載置されている分割領域があることを示すメッセージ、スキャンを続行するかどうかを選択させるためのメッセージ、原稿数エラーが発生している分割領域を示す図、第1キー242および第2キー244が設けられる。
【0068】
第1キー242がタッチされると、原稿数エラーが発生している分割領域に含まれる複数の個別画像のうちいずれかの個別画像が、当該分割領域に割り当てる候補(割当候補)に設定される。たとえば、複数の個別画像のそれぞれと、当該分割領域とが重複する部分の面積(重複面積)が算出され、複数の個別画像のうち重複面積が最も大きくなる個別画像が割当候補に設定される。
【0069】
割当候補が設定されると、割当候補に設定された個別画像がユーザに提示され、個別画像を保存するかどうか、すなわち、画像ファイルを生成するかどうか、または読取処理をやり直すかについてユーザが選択できるようにしてある。具体的には、
図9に示すように、割当候補に設定された個別画像のプレビュー画像を含む選択画面260がディスプレイ100に表示される。
【0070】
選択画面260には、割当候補に設定された個別画像のプレビュー画像、その個別画像を対応する分割領域の画像として保存するかどうかをユーザに選択させるためのメッセージ、第1キー262および第2キー264が設けられる。
図9に示す例では、原稿D1に対応する個別画像が割当候補に設定されている。
【0071】
第1キー262がタッチされると、割当候補に設定された個別画像の個別画像データを含む画像ファイルのデータが生成される。ただし、この個別画像データには、その個別画像に対応する原稿が載置される分割領域についての識別情報が付加される。
【0072】
一方、第2通知画面240で第2キー244がタッチされた場合または選択画面260で第2キー264がタッチされた場合には、スキャンが中止され、読取指示を行う前の状態に戻る。なお、選択画面260で第2キー264がタッチされた場合には、割当候補に設定された個別画像以外の個別画像を新たに割当候補に設定し、再度ユーザに提示して、その個別画像を保存するかどうかユーザが選択できるようにしてもよい。図示は省略するが、この場合、新たに割当候補に設定された個別画像をユーザに提示するための、選択画面260と同様の選択画面がディスプレイ100に表示される。
【0073】
画像形成装置10の上記のような動作は、CPU80がRAM84に記憶された制御プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0074】
図10は
図2に示したRAM84のメモリマップ300の一例を示す図である。RAM84は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含み、プログラム記憶領域302には、画像形成装置10の制御プログラムが記憶される。ただし、画像形成装置10は、画像読取装置14を含むため、この制御プログラムは、画像読取装置14の制御プログラムを含む。
【0075】
図10に示すように、プログラム記憶領域302に記憶される制御プログラムは、表示プログラム302a、操作検出プログラム302b、読取プログラム302c、検出用画像生成プログラム302d、個別画像生成プログラム302e、エラー判断プログラム302f、通知プログラム302g、割当プログラム302hおよびファイル生成プログラム302iなどを含む。
【0076】
表示プログラム302aは、ポリゴンデータおよびテクスチャデータを含む画像生成データを用いて、ディスプレイ100に表示する第1通知画面220、第2通知画面240および選択画面260等の各種の画面に対応する表示画像データを生成し、ディスプレイ100に出力するためのプログラムである。
【0077】
操作検出プログラム302bは、タッチパネル98および操作ボタン102によるユーザの操作入力を検出するためのプログラムであり、タッチパネル98を操作したことにより入力されるタッチ座標データを検出したり、操作ボタン102を操作したことによる操作データまたは操作信号を検出したりして、データ記憶領域304に一時記憶する。
【0078】
読取プログラム302cは、原稿の画像を読み取り(スキャンし)、読み取った画像に対応する画像信号(画像データ)を出力するためのプログラムである。上述したように、マルチクロップモードが設定されている場合には、読取プログラム302cは、原稿載置台16に載置された複数の原稿の画像を含む読取領域200の全体の画像をスキャンし、全体画像についての全体画像データを出力する。
【0079】
検出用画像生成プログラム302dは、全体画像を基に、濃度差が強調されるように階調特性が調整されたエッジ検出用の画像を生成するためのプログラムである。
【0080】
個別画像生成プログラム302eは、エッジ検出用の画像に基づいて各原稿の境界を認識して、複数の原稿の画像の各々を個別に切り出し、切り出した個別の個別画像に対応する個別画像データを生成するためのプログラムである。第1実施例では、上述したように、各分割領域R1~R4について、個別画像データが生成される。ただし、原稿が適切な位置に載置される場合には、個別画像に対応する原稿が載置される分割領域について、個別画像データが生成される。一方、原稿が不適切な位置に載置される場合には、ユーザの指示に応じて、または自動的に、割当プログラム302hに従って個別画像に割り当てられた分割領域について個別画像データが生成される。
【0081】
エラー判断プログラム302fは、各分割領域R1~R4と、個別画像の位置とに応じて、原稿が不適切な位置に載置されているかどうか、すなわち領域跨ぎエラーまたは原稿数エラー等の読取エラーがあるかどうかを判断するためのプログラムである。また、エラー判断プログラム302fに従って、読取エラーがあることが判断された場合には、判断結果に従って後述するエラーフラグ304gが更新される。
【0082】
通知プログラム302gは、読取エラーがある場合に、ユーザにその旨を通知するため通知画面をディスプレイ100に出力するためのプログラムである。
【0083】
割当プログラム302hは、原稿が適切な位置に載置される場合には、個別画像データを、対応する原稿が載置される分割領域に割り当てるためのプログラムである。また、割当プログラム302hは、読取エラーがある場合に、すなわち、原稿が不適切な位置に載置される場合に、各分割領域と、個別画像の位置とに応じて、分割領域と、個別画像データとを割りあてるためのプログラムでもある。
【0084】
ファイル生成プログラム302iは、各分割領域R1~R4について、個別画像データを含む画像ファイルを生成するためのプログラムである。
【0085】
図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、通信プログラムおよび画像形成プログラムなど、画像形成装置10が備える機能を制御するための他のプログラムも記憶される。
【0086】
また、データ記憶領域304には、操作データ304a、分割領域データ304b、読取データ304c、検出用画像データ304d、個別画像データ304eおよびファイルデータ304fが記憶される。
【0087】
操作データ304aは、操作検出プログラム302bに従って検出された、タッチパネル98から入力されたタッチ座標データまたは/および操作ボタン102から入力された操作データである。分割領域データ304bは、読取領域200における分割領域R1~R4の各々の範囲を規定するための座標データであり、たとえば、各分割領域R1~R4について、対角の位置となる2つの頂点の座標データである。
【0088】
読取データ304cは、読取プログラム302cに従って出力された画像データである。マルチクロップモードでは、全体画像データが読取データ304cとして記憶される。検出用画像データ304dは、検出用画像生成プログラム302dに従って生成された、エッジ検出用の画像についての画像データである。個別画像データ304eは、個別画像生成プログラム302eに従って生成された、各分割領域R1~R4についての個別画像データである。
【0089】
ファイルデータ304fは、ファイル生成プログラム302iに従って生成された、個別画像データを含む分割領域R1~R4毎の画像ファイルについてのデータである。
【0090】
また、データ記憶領域304には、エラーフラグ304gが記憶される。エラーフラグ304gは、読取エラーがあるかどうかを判断するためのフラグデータである。第1実施例では、エラーフラグ304gは、2ビットのレジスタで構成され、最上位ビットから順次に領域跨ぎエラーおよび原稿数エラーに対応する。領域跨ぎエラーに対応するレジスタは、領域跨ぎエラーが無い場合には0が設定され、領域跨ぎエラーがある場合には1が設定される。また、原稿数エラーに対応するレジスタは、原稿数エラーが無い場合には0が設定され、原稿数エラーがある場合には1が設定される。
【0091】
図示は省略するが、データ記憶領域304には、制御プログラムを実行するために必要な画像生成データなどの他のデータが記憶されたり、制御プログラムを実行するために必要な他のフラグが記憶されたりする。
【0092】
図11は、
図2に示したCPU80の読取処理の一例を示すフロー図である。ユーザがマルチクロップモードを設定すると、
図11に示すように、CPU80は、読取処理を開始し、ステップS1で、読取指示があるかどうかを判断する。ここでは、CPU80は、スタートボタンが操作されたかどうかを判断する。なお、ユーザは、読取指示を行う前に、原稿を原稿載置台16に載置する。また、読取処理を開始するのに先立って、分割領域データ304bがデータ記憶領域304に記憶される。
【0093】
ステップS1で“NO”であれば、つまり、読取指示が無ければ、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、読取指示が有れば、ステップS3で、原稿の読取を実行し、原稿載置台16上に載置された原稿の画像を含む全体画像を生成する。
【0094】
続いて、ステップS5で、全体画像を基に、エッジ検出用の画像を生成し、ステップS7で、エッジ検出用の画像から各原稿のエッジを認識し、各原稿のエッジに応じて、全体画像から、各原稿に対応する個別画像を抽出する。次のステップS9では、変数nに初期値を設定する(n=1)。変数nは、分割領域R1~R4を個別に識別するための変数である。変数nが1である場合には分割領域R1を意味し、変数nが2である場合には分割領域R2を意味し、変数nが3である場合には分割領域R3を意味し、そして、変数nが4である場合には分割領域R4を意味する。以下、この明細書において同じである。
【0095】
続いて、ステップS11で、分割領域Rnに含まれる個別画像を分割領域Rnに割り当てる。ここでは、領域跨ぎエラーの原因となっている個別画像および原稿数エラーの原因となっている複数の個別画像についても、分割領域Rnにそれらの一部が含まれていれば、分割領域Rnに割り当てられる。
【0096】
次に、ステップS13で、分割領域Rnについて領域跨ぎ確認処理を行い、ステップS15で、分割領域Rnについて原稿数確認処理を行い、ステップS17で、分割領域Rnに割り当てられた個別画像を含む画像ファイルを生成する。
【0097】
続くステップS19では、変数nが最大値(第1実施例では、4)であるかどうかを判断する。つまり、全ての分割領域Rnについての領域跨ぎ確認処理、原稿数確認処理および画像ファイルの生成が完了したかどうかを判断する。ステップS19で“NO”であれば、つまり、変数nが最大値でなければ、ステップS21で、変数nを1加算して(n=n+1)、ステップS11に戻る。つまり、次の分割領域Rnについての領域跨ぎ確認処理、原稿数確認処理および画像ファイルの生成が実行される。一方、ステップS19で“YES”であれば、つまり、変数nが最大値であれば、読取処理を終了する。
【0098】
図12は
図2に示すCPU80の領域跨ぎ確認処理の一例を示すフロー図である。たとえば、この領域跨ぎ確認処理のフローは、上述した読取処理のステップS13において実行されるサブルーチンである。
【0099】
図12に示すように、CPU80は、領域跨ぎ確認処理を開始すると、ステップS31で、分割領域Rnについて領域跨ぎエラーの有無を判断する。ここでは、分割領域Rnと、抽出された個別画像の位置とに応じて、領域跨ぎエラーの有無が判断される。
【0100】
ステップS31で“NO”であれば、つまり、領域跨ぎエラーが無いと判断した場合は、領域跨ぎ確認処理のフローを終了して、全体の情報処理、すなわち読取処理にリターンする。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまり、領域跨ぎエラーがあると判断した場合は、ステップS33で、領域跨ぎエラーを通知するかどうかを判断する。
【0101】
ステップS33で“NO”であれば、つまり、領域跨ぎエラーを通知しない場合には、後述するステップS39に進む。一方、ステップS33で“YES”であれば、つまり、領域跨ぎエラーを通知する場合には、ステップS35で、ユーザに領域跨ぎエラーがある旨を通知するための通知画面(たとえば第1通知画面220)をディスプレイ100に表示して、ステップS37で、読取処理を続行するかどうかを判断する。ここでは、通知画面において読取処理を続行することを指示するキーがタッチされたかどうか、たとえば第1通知画面220において第1キー222がタッチされたかどうかを判断する。
【0102】
ステップS37で“NO”であれば、つまり、読取処理を続行しないと判断した場合は、領域跨ぎ確認処理のフローを終了して、読取処理のステップS1に戻る。一方、ステップS37で“YES”であれば、つまり、読取処理を続行すると判断した場合は、ステップS39で、領域跨ぎエラーの原因となっている個別画像の面積を算出し、ステップS41で、その個別画像と、各分割領域との重複面積をそれぞれ算出し、ステップS43で、個別画像と分割領域Rnとの重複面積が最大かどうかを判断する。ここでは、個別画像と分割領域Rnとの重複面積が、個別画像と他の分割領域との重複面積よりも大きいかどうかを判断する。
【0103】
ステップS43で“NO”であれば、つまり、個別画像と分割領域Rnとの重複面積が最大でないと判断した場合は、領域跨ぎ確認処理のフローを終了して、読取処理のステップS19に戻る。一方、ステップS43で“YES”であれば、つまり、個別画像と分割領域Rnとの重複面積が最大であると判断した場合は、領域跨ぎ確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。
【0104】
図13は
図2に示すCPU80の原稿数確認処理の一例を示すフロー図である。たとえば、この原稿数確認処理のフローは、上述した読取処理のステップS15において実行されるサブルーチンである。
【0105】
図13に示すように、CPU80は、原稿数確認処理を開始すると、ステップS51で、原稿数エラーの有無を判断する。すなわち、分割領域Rnに複数の個別画像(原稿)があるかどうかを判断する。
【0106】
ステップS51で“NO”であれば、つまり、原稿数エラーが無いと判断した場合は、原稿数確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまり、原稿数エラーがあると判断した場合は、ステップS53で、変数mに初期値を設定する(m=1)。変数mは、分割領域Rnに含まれる複数の個別画像を個別に識別するため変数である。変数mが1である場合には1個目の個別画像を意味し、変数mが2である場合には2個目の個別画像を意味する。以下、この明細書において同じである。
【0107】
続いて、ステップS55で、m個目の個別画像の面積を算出し、ステップS57で、m個目の個別画像と分割領域Rnとの重複面積Rmを算出し、ステップS59で、重複面積Rmが、変数Rm_MAXよりも大きいかどうかを判断する。ただし、変数Rm_MAXは、分割領域Rnに含まれる複数の個別画像のそれぞれと、当該分割領域との重複面積についての値の最大値を示す変数であり、原稿数確認処理のフローが開始されたときに初期値(Rm_MAX=0)が設定される。
【0108】
ステップS59で“NO”であれば、つまり、重複面積Rmが、変数Rm_MAX以下と判断した場合は、後述するステップS65に進む、一方、ステップS59で“YES”であれば、つまり、重複面積Rmが、変数Rm_MAXよりも大きいと判断した場合は、ステップS61で、重複面積Rmを変数Rm_MAXに代入して、ステップS63で、m個目の個別画像を分割領域Rnについての割当候補に設定し、ステップS65で、変数mが最大値であるかどうかを判断する。つまり、分割領域Rnに含まれる全ての個別画像についてのステップS55~S63までの処理が完了したかどうかを判断する。
【0109】
ステップS65で“NO”であれば、つまり、変数mが最大値でなければ、ステップS67で、変数mを1加算して(m=m+1)、ステップS55に戻る。一方、ステップS65で“YES”であれば、つまり、変数mが最大値であれば、ステップS69で、分割領域Rnについての割当候補に設定した個別画像をユーザに提示し、画像ファイルを生成するかどうかについてユーザが選択するための選択画面(たとえば選択画面260)をディスプレイ100に表示して、ステップS71で、画像ファイルを生成するかどうかを判断する。ここでは、選択画面において画像ファイルを生成することを指示するキーがタッチされたかどうか、たとえば選択画面260において第1キー262がタッチされたかどうかを判断する。ステップS71で“NO”であれば、つまり、画像ファイルを生成しないと判断した場合は、原稿数確認処理のフローを終了して、読取処理のステップS1に戻る。一方、ステップS71で“YES”であれば、つまり、画像ファイルを生成すると判断した場合は、ステップS73で、分割領域Rnについての割当候補に設定した個別画像のみを分割領域Rnに割り当て、原稿数確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。
【0110】
第1実施例によれば、原稿が不適切な位置に載置された状態で原稿の読取が実行された場合、画像ファイルのデータが生成される前に、原稿が適切に載置されていない旨をユーザに通知するので、読取エラーが発生した場合のユーザの手間を軽減することができる。
【0111】
また、第1実施例によれば、複数の分割領域に跨って原稿が載置されている場合に、その旨をユーザに通知するので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0112】
さらに、第1実施例によれば、複数の分割領域に跨って原稿が載置されている場合に、ユーザの指示に応じて、または自動的に、その原稿に対応する個別画像が、当該原稿が跨っている複数の分割領域のうちのいずれかの分割領域に自動的に対応付けられるので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0113】
さらにまた、第1実施例によれば、1つの分割領域に複数の原稿が載置されている場合に、その旨をユーザに通知するので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0114】
また、第1実施例によれば、1つの分割領域に複数の原稿が載置されている場合に、複数の個別画像のうちいずれかの個別画像が、当該分割領域に割り当てる割当候補に設定され、ユーザの指示に応じて、割当候補に設定された個別画像と、分割領域とが対応付けられるので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0115】
[第2実施例]
第2実施例の画像読取装置14は、読取処理を複数回実行した場合に、分割領域毎に、各回の読取処理における原稿の特徴が変化した場合に、その旨がユーザに通知されるようにした以外は第1実施例と同じであるため、異なる内容について説明し、重複する説明は省略することにする。
【0116】
まず、第2実施例では、ユーザの1回目の読取指示に応じて、画像読取装置14は、1回目の読取処理を実行することにより、1回目の全体画像を読み取り、読み取った全体画像についてのデータ(1回目の全体画像データ)を生成する。そして、1回目の全体画像データを基に、エッジ検出用の画像が生成され、エッジ検出用の画像に応じて、個別画像が順次切り出され、分割領域毎に、個別画像についてのデータ(1回目の個別画像データ)を含む画像ファイルのデータが生成される。
【0117】
分割領域毎の画像ファイルのデータが生成されると、すなわち、1回目の読取処理が完了すると、2回目の読取用の原稿を載置することを促すメッセージおよびユーザに2回目の読取指示を促すメッセージが画像形成装置10のディスプレイ100に表示される。このとき、ディスプレイ100には、原稿の読取を終了させる機能が割り当てられたソフトウェアキー(終了キー)が表示され、ユーザは、この終了キーをタッチすることによって、読取処理を終了することもできる。
【0118】
そして、ユーザの2回目の読取指示に応じて、画像読取装置14は、2回目の読取処理を実行することにより、2回目の全体画像を読み取り、読み取った全体画像についてのデータ(2回目の全体画像データ)を生成する。そして、2回目の全体画像データを基に、エッジ検出用の画像が生成され、エッジ検出用の画像に応じて、個別画像が順次切り出され、分割領域毎に、個別画像についてのデータ(2回目の個別画像データ)が生成される。ただし、2回目の個別画像データは、同じ分割領域についての1回目の個別画像データを含む画像ファイルにまとめられる。すなわち、画像ファイルのデータが更新される。なお、3回以上読取処理が実行される場合には、この2回目の読取処理と同様の処理が行われ、各回の読取処理において生成された個別画像データが、その個別画像データに対応する分割領域についての画像ファイルのデータに追加される。
【0119】
ただし、ユーザは、各回の読取処理において自身が意図した原稿とは異なる原稿を載置したり、各回の読取処理において自身が意図した分割領域とは異なる分割領域に原稿を載置したりするなど、原稿を間違って載置してしまうことがある。ここで、原稿が間違って載置されると、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の大きさが異なったり、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なったりする。したがって、原稿が間違って載置されると、分割領域毎に、各回の読取処理における原稿の特徴が変化することになる。このように、分割領域毎に、各回の読取処理における原稿の特徴が変化した場合には、第1実施例で説明したような読取エラーとはならないが、ユーザが意図した画像ファイルのデータが生成されていない場合がある。
【0120】
以下、
図14~
図19を参照して、各回の読取処理における原稿の特徴が変化した場合の画像読取装置14(画像形成装置10)の動作を説明する。
図14は1回目と2回目で同じ分割領域にサイズの異なる原稿が載置された状態の一例を示す図である。
図15は第3通知画面280の一例を示す図解図である。
図16は1回目と2回目で同じ分割領域に載置された原稿の数が異なる状態の一例を示す図である。
図17は第4通知画面320の一例を示す図解図である。
図18は1回目と2回目で異なる分割領域に同じ原稿が載置された状態の一例を示す図である。
図19は第5通知画面340の一例を示す図解図である。
【0121】
たとえば、
図14に示すように、或る分割領域(たとえば分割領域R1)において1回目と2回目でサイズ(面積)の異なる原稿が載置されることがある。ここでは、1回目の読取処理で生成された個別画像のサイズ(1回目の原稿のサイズ)と、2回目の読取処理で生成された個別画像のサイズ(2回目の原稿のサイズ)とを比較して、1回目と2回目で原稿のサイズが異なるかどうかが判断される。ただし、1回目の原稿のサイズと2回目の原稿のサイズとが異なるかどうかは、1回目の原稿のサイズと2回目の原稿のサイズとの面積比が所定の閾値T以上かどうかによって判断される。たとえば、閾値Tは0.95程度である。したがって、1回目の原稿および2回目の原稿は、互いのサイズの差が5%以内であれば、同じサイズの原稿であると判断され、互いのサイズの差が5%よりも大きければ、異なるサイズの原稿であると判断される。なお、閾値Tの数値は一例であり、画像読取装置14(画像形成装置10)の使用状況等に合わせて変更可能である。
【0122】
この第2実施例では、或る分割領域において1回目と2回目でサイズの異なる原稿が載置される場合には、
図15に示すように、その旨をユーザに通知するための第3通知画面280がディスプレイ100に表示される。
【0123】
第3通知画面280には、或る分割領域において1回目と2回目でサイズの異なる原稿が載置されていることを示すメッセージ、スキャンを続行(すなわち画像ファイルを生成)するかどうかを選択させるためのメッセージ、1回目と2回目でサイズの異なる原稿が載置された分割領域を示す図、第1キー282および第2キー284が設けられる。
【0124】
第1キー282がタッチされると、そのまま分割領域毎に画像ファイルのデータが更新される。ユーザが意図的に異なるサイズの原稿を載置する場合もあるからである。
【0125】
一方、第2キー284がタッチされた場合には、スキャンが中止され、1回目の読取指示を行う前の状態に戻る。なお、2回目以降の読取処理において、第3通知画面280が表示され、第2キー284がタッチされた場合には、その回の読取指示を行う前の状態に戻るようにしても良い。このことは、後述する第2キー324,344も同様である。
【0126】
次に、
図16を参照して、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なる場合について説明する。
図16に示す例では、分割領域R1において、1回目の読取処理では原稿の数が1つであったのに対し、2回目の読取処理では原稿の数が2つとなっている。この場合、2回目の読取処理において、ユーザが誤って不要な原稿を分割領域R1に載置した可能性がある。
【0127】
なお、第1実施例で説明したように、複数の原稿が載置されている分割領域がある場合には、複数の原稿のうちいずれかの原稿に対応する個別画像を保存するか、読取処理をやり直すようにするので、1回目の読取処理が正常に行われた場合には原稿の数は1つとなる。このため、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なる場合とは、2回目以降の読取処理において或る分割領域に載置される原稿が存在しない場合、または原稿の数が2以上となる場合である。
【0128】
この第2実施例では、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なる場合には、
図17に示すように、その旨をユーザに通知するための第4通知画面320がディスプレイ100に表示される。
【0129】
第4通知画面320には、或る分割領域において1回目と2回目で検出(抽出)される原稿の数が異なることを示すメッセージ、スキャンを続行(すなわち画像ファイルを生成)するかどうかを選択させるためのメッセージ、1回目と2回目で原稿の数が異なる分割領域を示す図、第1キー322および第2キー324が設けられる。
【0130】
第1キー322がタッチされると、複数の個別画像のうちいずれかの個別画像が、割当候補に設定される。なお、分割領域に複数の原稿が含まれる場合の割当候補の設定方法は、第1実施例で説明した方法と同じであるので説明を省略する。そして、
図9に示すような選択画面が表示され、割当候補に設定された個別画像がユーザに提示され、個別画像を保存するかどうか、または読取処理をやり直すかについてユーザが選択できる。
【0131】
一方、第2キー324がタッチされた場合には、スキャンが中止され、1回目の読取指示を行う前の状態に戻る。
【0132】
次に、
図18に示すように、各回の読取処理において関連する原稿が異なる分割領域に載置される場合について説明する。
図18に示す例では、1回目の読取処理において或る分割領域(たとえば分割領域R1)に載置された原稿と同じサイズの原稿が、2回目の読取処理において異なる分割領域(たとえば分割領域R2)に載置される。この場合、1回目と2回目とで原稿が載置される分割領域R1および分割領域R2では、1回目と2回目で原稿のサイズが異なると判断されるとともに、1回目と2回目で載置される原稿の数が異なると判断される。ただし、この場合、ユーザが誤って分割領域R1に載置するべき原稿を分割領域R2に載置した可能性がある。
【0133】
この第2実施例では、1回目の読取処理において或る分割領域に載置された原稿と同じサイズの原稿が、2回目の読取処理において異なる分割領域に載置される場合、すなわち、1回目の読取処理と2回目の読取処理とで、関連する原稿に対応する個別画像が異なる分割領域に載置される場合には、
図19に示すように、その旨をユーザに通知するための第5通知画面340がディスプレイ100に表示される。なお、対比される原稿のサイズが同じであるかどうかは、1回目の原稿のサイズと2回目の原稿のサイズとの面積比が上述した閾値T以上かどうかによって判断される。
【0134】
第5通知画面340には、1回目の読取処理と2回目の読取処理とで、関連する原稿が異なる分割領域に載置されたことを示すメッセージ、このままスキャンを続行するかどうかを選択させるためのメッセージ、1回目の読取処理と2回目の読取処理とで関連する原稿が載置された分割領域を示す図、第1キー342および第2キー344が設けられる。
【0135】
第1キー342がタッチされると、そのまま分割領域毎に画像ファイルのデータが更新される。ただし、そのまま分割領域毎に画像ファイルのデータが更新されるのではなく、第1キー342がタッチされると、1回目の読取処理と2回目の読取処理とで、関連すると判断された原稿に対応する個別画像についての個別画像データが、1つの画像ファイルのデータとしてまとめられても良い。この場合、先の読取処理で生成された分割領域R1についての画像ファイルのデータに、後の読取処理で生成された分割領域R2に載置された原稿に対応する個別画像データが追加される。なお、第1キー342がタッチされた場合に、そのまま分割領域毎に画像ファイルのデータを更新するか、関連すると判断された個別画像についての個別画像データが1つの画像ファイルのデータとしてまとめられるかについては、予め設定されており、この設定は、画像読取装置14(画像形成装置10)の使用状況等に合わせて変更可能である。
【0136】
一方、第2キー344がタッチされた場合には、スキャンが中止され、1回目の読取指示を行う前の状態に戻る。
【0137】
以上のように、読取処理を複数回実行する場合について説明したが、読取処理を1回だけ実行する場合は、上述した第1実施例と同じであるので、説明を省略する。また、詳細な説明は省略するが、各回の読取処理において、領域跨ぎ確認処理が実行される。
【0138】
また、第2実施例においては、制御プログラムには、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の大きさが異なるかどうかを判断するためのプログラム、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なるかどうかを判断するためのプログラム、および1回目の読取処理と2回目の読取処理とで関連する原稿が異なる分割領域に載置されたかどうかを判断するためのプログラムなどがさらに含まれる。
【0139】
以下、フロー図を用いて、第2実施例における読取処理について説明するが、第1実施例で説明した読取処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0140】
図20は第2実施例の読取処理の一例の一部を示すフロー図である。
図21は第2実施例の読取処理の一部であって、
図20に後続するフロー図である。
図20に示すように、CPU80は、読取処理を開始すると、ステップS19で“YES”であれば、ステップS91で、読取処理を終了するかどうかを判断する。ここでは、原稿の読取を終了させる機能が割り当てられた終了キーがタッチされたかどうかを判断する。ステップS91で“YES”であれば、つまり、読取処理を終了すると判断した場合は、読取処理を終了する。一方、ステップS91で“NO”であれば、つまり、次の回の読取を行うと判断した場合には、
図21に示すステップS93で、読取指示があるかどうかを判断する。なお、ステップS93~S107までのそれぞれ処理は、第1実施例の読取処理のステップS1~S15までのぞれぞれの処理と同じであるので詳しい説明を省略する。
【0141】
ステップS109では、分割領域Rnについて原稿数変化確認処理を行い、ステップS111で、原稿サイズ確認処理を行い、ステップS113で、分割領域Rnについての画像ファイルに、分割領域Rnに割り当てられた個別画像を追加して、すなわち、分割領域Rnについての画像ファイルを更新して、ステップS115で、変数nが最大値(第2実施例では、4)であるかどうかを判断する。ステップS115で“NO”であれば、ステップS117で変数nを1加算してステップS103に戻る。一方、ステップS115で“YES”であれば、
図20に示すステップS91に戻る。
【0142】
図22は
図2に示すCPU80の原稿数変化確認処理の一例を示すフロー図である。たとえば、この原稿数変化確認処理のフローは、上述した読取処理のステップS109において実行されるサブルーチンである。
【0143】
図22に示すように、CPU80は、原稿数変化確認処理を開始すると、ステップS131で、分割領域Rnに含まれる個別画像の数を検出する。ここでは、分割領域Rnと、抽出された個別画像の位置とに応じて、分割領域Rnに含まれる個別画像の数を検出する。
【0144】
続いて、ステップS133で、分割領域Rnに含まれる個別画像の数が、他の回の読取処理における分割領域Rnに含まれる個別画像の数と異なるかどうかを判断する。ステップS133で“NO”であれば、つまり、分割領域Rnに含まれる個別画像の数が、他の回の読取処理における分割領域Rnに含まれる個別画像の数と同じであると判断した場合は、原稿数変化確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。一方、ステップS133で“YES”であれば、つまり、分割領域Rnに含まれる個別画像の数が、他の回の読取処理における分割領域Rnに含まれる個別画像の数と異なると判断した場合は、ステップS135で、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なる旨をユーザに通知するための通知画面(たとえば第4通知画面320)をディスプレイ100に表示して、ステップS137で画像ファイルを更新するかどうかを判断する。ここでは、通知画面において画像ファイルを更新することを指示するキー(たとえば第1キー322)がタッチされたかどうかを判断する。
【0145】
ステップS137で“NO”であれば、つまり、画像ファイルを更新しないと判断した場合は、原稿数変化確認処理のフローを終了して、読取処理のステップS93に戻る。一方、ステップS137で“YES”であれば、つまり、画像ファイルを更新すると判断した場合は、上述した原稿数確認処理のステップS51~S73までと同じ処理を行い、分割領域Rnについての割当候補に設定した個別画像のみを分割領域Rnに割り当て、原稿数変化確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。
【0146】
図23は
図2に示すCPU80の原稿サイズ確認処理の一例を示すフロー図である。たとえば、この原稿サイズ確認処理のフローは、上述した読取処理のステップS111において実行されるサブルーチンである。
【0147】
図23に示すように、CPU80は、原稿サイズ確認処理を開始すると、ステップS151で、分割領域Rnに含まれる個別画像の面積を算出する。続いて、ステップS153で、分割領域Rnに含まれる個別画像の面積に変化があるかどうか、すなわち、分割領域Rnに含まれる個別画像の面積が、他の回の読取処理における分割領域Rnに含まれる個別画像の面積と異なるかどうかを判断する。
【0148】
ステップS153で“NO”であれば、つまり、分割領域Rnに含まれる個別画像の面積に変化が無いと判断した場合は、原稿サイズ確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。一方、ステップS153で“YES”であれば、つまり、分割領域Rnに含まれる個別画像の面積に変化があると判断した場合は、ステップS155で、他の領域に含まれる個別画像に関連するかどうかを判断する。
【0149】
ステップS155で“NO”であれば、つまり、他の領域に含まれる個別画像に関連しないと判断した場合は、原稿サイズ確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。一方、ステップS155で“YES”であれば、つまり、他の領域に含まれる個別画像に関連すると判断した場合は、ステップS157で、1回目の読取処理と2回目の読取処理とで、関連する原稿が異なる分割領域に載置された旨をユーザに通知するための通知画面(たとえば第5通知画面340)をディスプレイ100に表示して、ステップS159で、画像ファイルを更新するかどうかを判断する。ここでは、通知画面において画像ファイルを更新することを指示するキー(たとえば第1キー342)がタッチされたかどうかを判断する。ステップS159で“NO”であれば、原稿サイズ確認処理のフローを終了して、読取処理のステップS93に戻る。
【0150】
一方、ステップS159で“YES”であれば、ステップS161で、関連すると判断された他領域の個別画像を1つの画像ファイルのデータとしてまとめるかどうかについて判断する。ステップS161で、“NO”であれば、原稿サイズ確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。一方、ステップS161で、“YES”であれば、関連すると判断された他領域の個別画像を分割領域Rnに割り当て、原稿サイズ確認処理のフローを終了して、読取処理にリターンする。
【0151】
第2実施例によれば、分割領域毎に、各回の読取処理における原稿の特徴が変化した場合に、画像ファイルのデータが生成される前に、その旨をユーザに通知するので、読取エラーが発生した場合のユーザの手間を軽減することができる。
【0152】
また、第2実施例によれば、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿の数が異なる場合には、画像ファイルのデータが生成される前に、その旨をユーザに通知するので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0153】
さらに、第2実施例によれば、各回の読取処理において或る分割領域に載置される原稿のサイズが異なる場合には、画像ファイルのデータが生成される前に、その旨をユーザに通知するので、ユーザの手間を軽減することができる。
【0154】
なお、上述の実施例で挙げた具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【0155】
また、上述の実施例では、通知画面には、読取エラーの対象となった分割領域およびそれに含まれる個別画像が表示されるようにしたが、全ての読取領域およびそれらに含まれる個別画像が表示されるようにしても良い。さらに、読取処理が複数回実行される場合には、実行回毎に、全ての読取領域およびそれらに含まれる個別画像が通知画面に表示されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0156】
10 …画像形成装置
14 …画像読取装置
16 …原稿載置台
26 …画像読取部
30 …画像形成部
44 …転写ローラ
46 …定着ユニット
54 …中間転写ベルト
80 …CPU
84 …RAM
86 …HDD
88 …ネットワーク接続回路
90 …通信制御回路
98 …タッチパネル
100 …ディスプレイ
102 …操作ボタン