(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173611
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】レーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュール
(51)【国際特許分類】
B23K 26/21 20140101AFI20221115BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20221115BHJP
H01M 50/519 20210101ALI20221115BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20221115BHJP
【FI】
B23K26/21 G
B23K26/21 N
H01M50/507
H01M50/519
H01M50/569
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079413
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】松永 雄太
(72)【発明者】
【氏名】大平 雄貴
【テーマコード(参考)】
4E168
5H043
【Fターム(参考)】
4E168BA02
4E168BA29
4E168BA87
4E168BA88
4E168CB03
4E168DA43
5H043AA13
5H043AA19
5H043CA05
5H043CA21
5H043FA04
5H043FA37
5H043FA40
5H043HA13F
5H043HA17F
5H043JA06F
5H043JA13F
5H043KA01F
5H043LA22F
(57)【要約】
【課題】レーザ溶接による接合部の溶接不具合を抑制することができるレーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュールを提供する。
【解決手段】レーザ溶接方法は、バスバ2と中間部材6を重ね合わせた状態において、中間部材6の表面にレーザ光を照射して、バスバ2及び中間部材6を接合するレーザ溶接方法において、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から、溶接中間点21までC字状にレーザ光LBを移動させて第一溶接線11を形成する第1溶接工程と、溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22までレーザ光LBを移動させて第一溶接線11に連続する第二溶接線12を形成する第2溶接工程とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1及び第2被溶接部材を重ね合わせた状態において、いずれか一方の前記被溶接部材の表面にレーザ光を照射して、前記第1及び前記第2被溶接部材を接合するレーザ溶接方法において、
前記被溶接部材の表面と直交する方向から見て、溶接始点から、溶接中間点までC字状に前記レーザ光を移動させて第一溶接線を形成する第1溶接工程と、
前記溶接中間点から、前記溶接始点及び前記溶接中間点よりも前記第一溶接線の内側に形成される溶接領域内に位置する溶接終点まで前記レーザ光を移動させて前記第一溶接線に連続する第二溶接線を形成する第2溶接工程と、を備える
ことを特徴とするレーザ溶接方法。
【請求項2】
前記第2溶接工程は、
前記溶接領域内のうち、前記溶接中間点側よりも前記溶接始点側に位置する前記溶接終点まで前記レーザ光を移動させて前記第二溶接線を形成する
請求項1に記載のレーザ溶接方法。
【請求項3】
板状であり、導電性を有する第1被溶接部材と、
板状であり、導電性を有する第2被溶接部材と、
前記第1被溶接部材と前記第2被溶接部材とが厚さ方向において重ね合った重複領域内に形成され、かつ、レーザ溶接接合することで、前記第1被溶接部材及び前記第2被溶接部材を電気的に接続するレーザ溶接接合部と、を有し、
前記レーザ溶接接合部は、
前記第1被溶接部材の表面と直交する方向から見て、溶接始点から、溶接中間点までC字状に第一溶接線が形成され、かつ前記溶接中間点から、前記溶接始点及び前記溶接中間点よりも前記第一溶接線の内側に形成される溶接領域内に位置する溶接終点まで、前記第一溶接線に連続する第二溶接線が形成される
ことを特徴とする溶接構造。
【請求項4】
可撓性を有し、電池セルの電圧を検出する電圧検出器に接続される印刷回路体と、
板状であり、中間部材と、
板状であり、電池モジュールを構成する電池セルの電極端子に接続されるバスバと、
前記印刷回路体と、前記中間部材とが厚さ方向において重ね合った重複領域内に形成され、かつ、半田接合することで、前記印刷回路体及び前記中間部材を電気的に接続する半田溶接接合部と、
前記バスバと前記中間部材とが厚さ方向において重ね合った重複領域内に形成され、かつ、レーザ溶接接合することで、前記バスバ及び前記中間部材を電気的に接続するレーザ溶接接合部と、を有し、
前記中間部材及び前記バスバは、互いに異なる金属材料からなり、
前記レーザ溶接接合部は、
前記中間部材の表面と直交する方向から見て、溶接始点から、溶接中間点までC字状に第一溶接線が形成され、かつ前記溶接中間点から、前記溶接始点及び前記溶接中間点よりも前記第一溶接線の内側に形成される溶接領域内に位置する溶接終点まで、前記第一溶接線に連続する第二溶接線が形成される
ことを特徴とするバスバモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等に搭載される二次電池では、当該二次電池の電圧を検出するために、金属製のバスバにFPC(印刷回路体)を半田付けで接合している。近年、表面メッキされたアルミニウム製の中間部材をバスバとFPCとの間に配置し、当該中間部材とFPCとを半田接合し、当該中間部材とバスバとをレーザ溶接することで、バスバとFPCとを中間部材を介して接続するものがある。
【0003】
ところで、レーザ溶接には、二枚の板状の被溶接部材を重ね合わせた上で、被溶接部材の重ね合わせ部位にレーザ光を照射して溶接する方法がある。この場合、互いに直径が異なる円形の溶接線を同心円状に設定し、これらの多重閉ループの溶接線に沿ってレーザ光を照射しつつ当該レーザ光を移動させて被溶接材同士をレーザ溶接接合する方法が開示されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-125829号公報
【特許文献2】国際公開第2015/186168号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被溶接部材には、アルミニウム以外の金属(例えば錫やアルミニウム合金等)があることにより、溶融部に金属間化合物が生成される場合がある。また、融点が異なる金属が存在するため、凝固収縮により凝固割れやポロシティ等の溶接不具合が、溶接終点において発生するおそれがあり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、レーザ溶接による接合部の溶接不具合を抑制することができるレーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザ溶接方法は、板状の第1及び第2被溶接部材を重ね合わせた状態において、いずれか一方の前記被溶接部材の表面にレーザ光を照射して、前記第1及び前記第2被溶接部材を接合するレーザ溶接方法において、前記第1被溶接部材の表面と直交する方向から見て、溶接始点から溶接中間点までC字状に前記レーザ光を移動させて第一溶接線を形成する第1溶接工程と、前記溶接中間点から、前記溶接始点及び前記溶接中間点よりも前記第一溶接線の内側に形成される溶接領域内に位置する溶接終点まで前記レーザ光を移動させて前記第一溶接線に連続する第二溶接線を形成する第2溶接工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るレーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュールによれば、レーザ溶接による接合部の溶接不具合を抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係るバスバモジュール及び電池モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るバスバモジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る印刷回路体及びバスバの平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る印刷回路体及びバスバと中間部材との接合部の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る中間部材のレーザ溶接接合部の平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の変形例に係る中間部材のレーザ溶接接合部の平面図である。
【
図8】
図8は、レーザ溶接時の溶融金属の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るレーザ溶接方法、溶接構造、及びバスバモジュールの実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
【0011】
[実施形態]
実施形態に係るバスバモジュール1は、例えば、
図1に示す電池パック100に組み込まれる。電池パック100は、バスバモジュール1及び電池モジュール110を有する。電池パック100は、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の車両に電源として搭載される。電池パック100は、複数のバスバモジュール1及び複数の電池モジュール110を有していてもよい。
【0012】
電池モジュール110は、複数の電池セル120を有する。例示された電池セル120の形状は、直方体形状である。電池セル120の第一面120aには、二つの電極端子121が配置されている。第一面120aの形状は、略長方形である。
【0013】
複数の電池セル120は、第一方向Xに沿って配列されている。より詳しくは、複数の電池セル120は、第一面120aの長辺が隣接する他の第一面120aの長辺と第一方向Xにおいて対向するように配列されている。以下の説明では、第一面120aにおいて第一方向Xと直交する方向を「第二方向Y」と称する。第二方向Yは、第一面120aの長手方向である。第一方向X及び第二方向Yの何れとも直交する方向を「第三方向Z」と称する。第三方向Zは、電池セル120の高さ方向である。第一面120aは、第三方向Zと直交している。電池パック100は、例えば、第一面120aが車両上下方向の上側を向くように車両に搭載される。
【0014】
第一面120aの二つの電極端子121は、第二方向Yにおいて並んでいる。第一面120aの二つの電極端子121のうち、一方は正極であり、他方は負極である。第一面120aにおける長手方向の一端に配置されている電極端子121の集合体を「第一電極群121a」と称する。また、第一面120aにおける長手方向の他端に配置されている電極端子121の集合体を「第二電極群121b」と称する。本実施形態の電池モジュール110では、第一電極群121aにおいて、正極及び負極が交互に並んでいる。また、第二電極群121bにおいて、正極及び負極が交互に並んでいる。本実施形態のバスバモジュール1は、複数の電池セル120を直列に接続する。
【0015】
バスバモジュール1は、複数のバスバ2、板状の印刷回路体3、ケース4、及びカバー5を有する。
図2及び
図3に示すように、バスバモジュール1は、第一バスバ群2A及び第二バスバ群2Bを有する。第一バスバ群2A及び第二バスバ群2Bは、第一方向Xに沿って並ぶ複数のバスバ2を有する。第一バスバ群2Aのバスバ2は、電池モジュール110の第一電極群121aに対して固定される。第二バスバ群2Bのバスバ2は、第二電極群121bに対して固定される。
【0016】
バスバ2は、例えば、銅やアルミニウム等の導電性を有する金属板から形成され、電池モジュール110を構成する電池セル120の電極端子121に接続される。バスバ2は、被溶接部材の一例である。
【0017】
印刷回路体3は、例えば、FPC(Flexible printed circuits)であり、可撓性を有し、電池セル120の電圧を検出する電圧検出器(不図示)に接続される。
【0018】
中間部材6は、例えば、アルミニウム等の導電性を有する金属板から形成され、メッキ処理が施されている。中間部材6は、被溶接部材の一例である。中間部材6は、例えば、板状のアルミニウム製金属部材全体にニッケル下地の錫メッキ処理が施されている。本実施形態の中間部材6は、バスバ2と異なる金属材料で形成されることが好ましいが、バスバ2と同じの金属材料で形成され、かつバスバ2と異なる金属材料によりメッキ処理が施されていてもよい。中間部材6は、バスバ2と印刷回路体3との間に介在し、バスバ2と印刷回路体3とを物理的及び電気的に接続する。中間部材6は、当該中間部材6がバスバモジュール1に組み付けられた状態において、延在方向に延在し、延在方向の一方の端部が印刷回路体3との間で半田付けにより半田接合され、他方の端部がバスバ2との間でレーザ溶接によりレーザ溶接接合されている。中間部材6は、印刷回路体側の端部に矩形状の貫通孔を有し、印刷回路体3と中間部材6とが厚さ方向において重ね合った状態で、当該貫通孔に印刷回路体3のチップヒューズが露出するように配置される。
【0019】
本実施形態のバスバモジュール1は、
図4~
図6に示すように、バスバ2と中間部材6とが厚さ方向において重ね合った重複領域32内に形成され、レーザ溶接接合することで、バスバ2及び中間部材6を電気的に接続するレーザ溶接接合部10を有する。また、本実施形態のバスバモジュール1は、
図4に示すように、印刷回路体3と中間部材6とが厚さ方向において重ね合った重複領域33内に形成され、半田接合することで、印刷回路体3及び中間部材6を電気的に接続する半田溶接接合部15を有する。重複領域32は、例えば、レーザ光LBの照射範囲であり、レーザ溶接による溶接範囲である。重複領域33は、例えば、半田付けの範囲である。
【0020】
レーザ溶接接合部10は、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から溶接中間点21までC字状に第一溶接線11が形成され、かつ溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22まで、第一溶接線11に連続する第二溶接線12が形成される。溶接始点20は、
図5に示す例では、重複領域32内であって中間部材6の延在方向の一方の端部側に位置しているが、これに限定されるものではない。溶接中間点21は、連続する第一溶接線11及び第二溶接線12上にあって、溶接領域30側に屈曲する部分である。溶接終点22は、例えば、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、第一溶接線11で形成されるC字形の略中央に位置する。レーザ溶接接合部10は、例えば、
図7に示すレーザ溶接装置200により形成される。
【0021】
図7に示すレーザ溶接装置200は、本実施形態のレーザ溶接方法を実施するための装置であり、レーザ光LBを2つの被溶接部材の一方に照射して2つの被溶接部材を接合する。レーザ溶接装置200は、レーザ発振器201と、レーザ光照射部202と、載置台203とを備える。レーザ発振器201は、パルス状の出力を一定の繰り返し周波数で発振するものである。レーザ光照射部202は、載置台203に載置された被溶接部材にレーザ光LBを照射するものである。レーザ光照射部102から照射されるレーザ光LBの光軸は、2枚の被溶接部材のうち、一方の被溶接部材の表面に向けられている。このとき、2つの被溶接部材、すなわち中間部材6とバスバ2とは重ね合わせて配置されている。レーザ光LBは、中間部材6とバスバ2とが厚さ方向において重ね合った重複領域32上を移動するように照射される。レーザ光LBを中間部材6の表面6aに照射することで、局所的に温度が上昇し、中間部材6の融点を超えると、バスバ2の内部まで適宜、深さの楔状に溶け込んで両金属の原子が融合して混ざり合う半練状態になる。レーザ光LBが溶接方向に移動すると、
図8に示すように、レーザ光LB直下の位置Qでは温度が高く、溶融池Rが位置Pにおける深さより深くなっており、溶融池Rの内部では湯流れSが生じる。溶融池Rの周囲には、ポロシティが生じる場合もある。中間部材6の位置Pでは、温度が低く凝固収縮が図示の矢印の方向に生じる。この場合、凝固収縮した分は、溶融池Rから補充され収縮ひずみが少ない状態となる。このように、溶接終点22を溶接領域30内に位置するようにレーザ光LBを移動させて溶接を行うことで、
【0022】
レーザ溶接方法は、第1溶接工程と、第2溶接工程とを備える。第1溶接工程は、
図5に示すように、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から溶接中間点21までC字状にレーザ光LBを移動させて第一溶接線11を形成する。第2溶接工程は、溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22までレーザ光LBを移動させて第一溶接線11に連続する第二溶接線12を形成する。
【0023】
本実施形態のレーザ溶接方法は、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から溶接中間点21までC字状にレーザ光LBを移動させて第一溶接線11を形成し、溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22までレーザ光LBを移動させて第一溶接線11に連続する第二溶接線12を形成する。
【0024】
このように、レーザ溶接方法は、従来のように、溶接線を単にC字状に形成する場合と比較して、周囲が溶接されている溶接領域30内に溶接終点22が位置するように、溶接線(11,12)を形成することで、凝固収縮により生じた応力が溶接終点22に集中することを緩和することできる。また、レーザ溶接方法は、従来のように、溶接線(走査距離)を単にC字状に形成する場合と比較して、溶接線を長くすることができ、溶接終点22におけるクラックの発生や進展を抑制することができる。クラックは、例えば、アルミニウム結晶粒界にAl-Ni金属間化合物が形成され、凝固時の収縮ひずみによりアルミニウム結晶粒間で発生する割れである。
【0025】
従来、溶接終点22におけるクラック等の発生を抑制するために、溶接終点22でのレーザ光出力を下げて発生熱量を低くして凝固収縮の影響を少なくしているが、この場合、溶接線の長さが必要である。上記方法により、狭い溶接範囲であっても溶接線の長さを確保することができる。
【0026】
本実施形態の溶接構造は、中間部材6と、バスバ2と、レーザ溶接接合部10とを有する。レーザ溶接接合部10は、中間部材6とバスバ2とが厚さ方向において重ね合った重複領域32内に形成され、かつ、レーザ溶接接合することで、中間部材6及びバスバ2を電気的に接続する。レーザ溶接接合部10は、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から溶接中間点21までC字状に第一溶接線11が形成され、かつ溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22まで、第一溶接線11に連続する第二溶接線12が形成される。これにより、上記レーザ溶接方法により得られる効果と同様の効果を奏することができる。
【0027】
本実施形態のバスバモジュール1は、印刷回路体3と、中間部材6と、バスバ2と、重複領域33内に形成され、半田接合することで、印刷回路体3及び中間部材6を電気的に接続する半田溶接接合部15と、重複領域32内に形成され、レーザ溶接接合することで、バスバ2及び中間部材6を電気的に接続するレーザ溶接接合部10とを有する。レーザ溶接接合部10は、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、溶接始点20から溶接中間点21までC字状に第一溶接線11が形成され、溶接中間点21から、溶接始点20及び溶接中間点21よりも第一溶接線11の内側に形成される溶接領域30内に位置する溶接終点22まで、第一溶接線11に連続する第二溶接線12が形成される。これにより、上記レーザ溶接方法により得られる効果と同様の効果を奏することができる。
【0028】
なお、上記実施形態では、溶接終点22は、中間部材6の表面6aと直交する方向から見て、第一溶接線11で形成されるC字形の略中央に位置するが、これに限定されるものではない。溶接終点22は、例えば
図6に示すように、溶接領域30内にあって溶接中間点21側よりも溶接始点20側に位置するように形成されてもよい。この場合、第2溶接工程は、溶接領域30内のうち、溶接中間点21側よりも溶接始点20側に位置する溶接終点22までレーザ光LBを移動させて第二溶接線12を形成する。これにより、溶接終点22への熱の影響を減らすことができる。
【0029】
また、上記実施形態では、溶接終点22は、溶接領域30内に位置するが、これに限定されるものではなく、溶接の不具合が生じない範囲であれば、溶接始点20と反対側に位置するように形成してもよい。
【0030】
また、上記実施形態では、中間部材6は、アルミニウム製金属部材全体にニッケル下地の錫メッキ処理が施されているが、これに限定されるものではなく、他の金属材料よりメッキ処理が施されていてもよい。
【0031】
また、上記実施形態では、バスバ2及び中間部材6を重ね合わせた状態において、中間部材6の表面6aにレーザ溶接接合が行われるが、これに限定されるものではなく、バスバ2の表面にレーザ溶接接合が行われるように構成してもよい。
【0032】
また、上記実施形態では、本発明に係るレーザ溶接方法、溶接構造を、バスバモジュール1に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 バスバモジュール
2 バスバ
3 印刷回路体
4 ケース
5 カバー
6 中間部材
6a 表面
10 レーザ溶接接合部
11 第一溶接線
12 第二溶接線
15 半田溶接接合部
20 溶接始点
21 溶接中間点
22 溶接終点
30 溶接領域
32,33 重複領域
100 電池パック
110 電池モジュール
120 電池セル
121 電極端子
200 レーザ溶接装置
201 レーザ発振器
202 レーザ光照射部
203 載置台
LB レーザ光