(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022017362
(43)【公開日】2022-01-25
(54)【発明の名称】精算機を置かない駐車場での駐車料金の精算システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20220118BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20220118BHJP
【FI】
G07B15/00 N
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172076
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2017237677の分割
【原出願日】2017-12-12
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】599164916
【氏名又は名称】日本システムバンク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東 孝二
(72)【発明者】
【氏名】永棹 健治
(72)【発明者】
【氏名】坂東 上平
(72)【発明者】
【氏名】梅田泰永
(72)【発明者】
【氏名】野坂 信嘉
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 芳夫
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA03
3E127CA16
3E127CA21
3E127CA36
3E127CA41
3E127CA47
3E127CA53
3E127DA09
3E127DA20
3E127DA29
3E127EA04
3E127EA18
3E127EA42
3E127EA46
5L049CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、精算機を置かない小規模駐車場の駐車料金の精算を便利にする方法を提供する。
【解決手段】本発明では、小規模駐車場には精算機を置かず、車室に駐車検知センサーを設け、その情報を少し離れた場所にある駐車場の精算機に無線で送り、該精算機で計算した駐車料金を、利用者が電子決済システムを使って精算できるようにした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末から、駐車料金の電子決済を行うことができる精算機を設置した駐車場(以下親駐車場)と、少なくとも車室に車両検知センサーを設置するが精算機を設置しない複数の駐車場(以下子駐車場)と、親駐車場の精算機と通信して駐車料金の電子決済を行う電子決済運営会社より構成され、親駐車場の精算機には、当該駐車場の車室管理を行う領域のほかに、子駐車場の車室管理を行う領域を設け、かつ親及び子駐車場に無線装置を設け、利用者が子駐車場の車室に駐車したことを車両検知センサーが検知した時、その車室番号と車両検知日時を該無線装置により前記親駐車場の精算機に送信し、該精算機は子駐車場の車室管理領域にある駐車管理ファイルに該車室番号と車両検知日時を記憶し、子駐車場に駐車した利用者が駐車場を出る際には携帯用の通信端末から、前記電子決済運営会社のサーバーに専用の駐車料金精算アプリを使って子駐車場名と車室番号を指定して駐車料金の電子決済による支払い操作を行うと、該電子決済運営会社のサーバーが親駐車場の精算機と通信し、該精算機が管理している子駐車場の車室管理ファイルから当該子駐車場の車室の車両検知日時を読み出し、前記サーバーからの精算要求の受信日時をもとに駐車時間を算出し、当該子駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を計算し、その結果を電子決済
運営会社のサーバーに返信し、そのデータに基づいて、子駐車場の利用者の駐車料金精算アプリに、駐車場名、駐車時間、駐車料金を主とする関連データと電子決済の承認要求を表示し、利用者がそれを承認した場合に電子決済による支払いを行えるようにしたことを特徴とする駐車場システムにおいて、前記子駐車場には、電子決済ができない利用者のために親駐車場で現金決済ができるように、子駐車場内に現金決算を行う親駐車場の位置を示す地図と、現金決済のために必要な事項を注意事項として明記した看板を設けたことを特徴とする駐車場システム
【請求項2】
携帯端末から、駐車料金の電子決済を行うことができる精算機を設置した駐車場(以下親駐車場)と、少なくとも車室に車両検知センサーを設置するが精算機を設置しない複数の駐車場(以下子駐車場)と、親駐車場の精算機と通信して駐車料金の電子決済を行う電子決済運営会社より構成され、親駐車場の精算機には、当該駐車場の車室管理を行う領域のほかに、子駐車場の車室管理を行う領域を設け、かつ親及び子駐車場に無線装置を設け、利用者が子駐車場の車室に駐車したことを車両検知センサーが検知した時、その車室番号と車両検知日時を該無線装置により前記親駐車場の精算機に送信し、該精算機は子駐車場の車室管理領域にある駐車管理ファイルに該車室番号と車両検知日時を記憶し、子駐車場に駐車した利用者が駐車場を出る際には携帯用の通信端末から、前記電子決済運営会社のサーバーに専用の駐車料金精算アプリを使って子駐車場名と車室番号を指定して駐車料金の電子決済による支払い操作を行うと、該電子決済運営会社のサーバーが親駐車場の精算機と通信し、該精算機が管理している子駐車場の車室管理ファイルから当該子駐車場の車室の車両検知日時を読み出し、前記サーバーからの精算要求の受信日時をもとに駐車時間を算出し、当該子駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を計算し、その結果を電子決済
運営会社のサーバーに返信し、そのデータに基づいて、子駐車場の利用者の駐車料金精算アプリに、駐車場名、駐車時間、駐車料金を主とする関連データと電子決済の承認要求を表示し、利用者がそれを承認した場合に電子決済による支払いを行えるようにしたことを特徴とする駐車場システムにおいて、親及び子駐車場に設ける無線装置はBluetooth通信を利用したものであることを特徴とする駐車場システム
【請求項3】
携帯端末から、駐車料金の電子決済を行うことができる精算機を設置した駐車場(以下親駐車場)と、少なくとも車室に車両検知センサーを設置するが精算機を設置しない複数の駐車場(以下子駐車場)と、親駐車場の精算機と通信して駐車料金の電子決済を行う電子決済運営会社より構成され、親駐車場の精算機には、当該駐車場の車室管理を行う領域のほかに、子駐車場の車室管理を行う領域を設け、かつ親及び子駐車場に無線装置を設け、利用者が子駐車場の車室に駐車したことを車両検知センサーが検知した時、その車室番号と車両検知日時を該無線装置により前記親駐車場の精算機に送信し、該精算機は子駐車場の車室管理領域にある駐車管理ファイルに該車室番号と車両検知日時を記憶し、子駐車場に駐車した利用者が駐車場を出る際には携帯用の通信端末から、前記電子決済運営会社のサーバーに専用の駐車料金精算アプリを使って子駐車場名と車室番号を指定して駐車料金の電子決済による支払い操作を行うと、該電子決済運営会社のサーバーが親駐車場の精算機と通信し、該精算機が管理している子駐車場の車室管理ファイルから当該子駐車場の車室の車両検知日時を読み出し、前記サーバーからの精算要求の受信日時をもとに駐車時間を算出し、当該子駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を計算し、その結果を電子決済
運営会社のサーバーに返信し、そのデータに基づいて、子駐車場の利用者の駐車料金精算アプリに、駐車場名、駐車時間、駐車料金を主とする関連データと電子決済の承認要求を表示し、利用者がそれを承認した場合に電子決済による支払いを行えるようにしたことを特徴とする駐車場システムにおいて、利用者が駐車場を出る際に自身の駐車した子駐車場を前記電子決済運営会社のサーバーに伝える方法として、携帯端末のGPS位置情報を利用できるようにしたことを特徴とする駐車場システム
【請求項4】
携帯端末から、駐車料金の電子決済を行うことができる精算機を設置した駐車場(以下親駐車場)と、少なくとも車室に車両検知センサーを設置するが精算機を設置しない複数の駐車場(以下子駐車場)と、親駐車場の精算機と通信して駐車料金の電子決済を行う電子決済運営会社より構成され、親駐車場の精算機には、当該駐車場の車室管理を行う領域のほかに、子駐車場の車室管理を行う領域を設け、かつ親及び子駐車場に無線装置を設け、利用者が子駐車場の車室に駐車したことを車両検知センサーが検知した時、その車室番号と車両検知日時を該無線装置により前記親駐車場の精算機に送信し、該精算機は子駐車場の車室管理領域にある駐車管理ファイルに該車室番号と車両検知日時を記憶し、子駐車場に駐車した利用者が駐車場を出る際には携帯用の通信端末から、前記電子決済運営会社のサーバーに専用の駐車料金精算アプリを使って子駐車場名と車室番号を指定して駐車料金の電子決済による支払い操作を行うと、該電子決済運営会社のサーバーが親駐車場の精算機と通信して、該精算機が管理している子駐車場の車室管理ファイルから当該子駐車場の車室の車両検知日時を取得し、該サーバーが利用者から精算要求のあった受信日時をもとに駐車時間を算出し、当該子駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を計算し、その結果を駐車場名、駐車時間とともに、子駐車場の利用者の駐車料金精算アプリに表示し、電子決済利用者がそれを承認した場合に電子決済による支払いを行えるようにしたことを特徴とする駐車場システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近隣のコインパーキング場(以下駐車場と略す)の精算機を活用することで、精算機の設置が経済的に成り立たない小規模の駐車場の開設を可能とする精算機を置かない駐車場での駐車料金の精算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
都会では、遊休地を駐車場として活用することで、地主には現金収入があり、駐車場の利用者にも喜ばれるといった効果があり、多くの駐車場が設置されている。しかし、遊休地が数台の車の駐車しかできないような狭い土地の場合は、精算機の設置を必要とする従来の駐車場の開設は、車室幅が狭くなったり設置費用の回収に長期間がかかったりするので、経営的に成り立たないとされてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
一方、特許文献1にあるように、近年駐車場での駐車料金の精算を現金で行わず、スマホなどの通信端末を使って精算するシステム(以後、電子決済精算システムと略す)が導入されている。この場合には、駐車場の利用者は、スマホの専用アプリを使って駐車した駐車場を検索し、駐車した車室番号を電子決済精算システムの運営会社のサーバーに送信すると、当該運営会社は、利用している駐車場の精算機と通信して駐車料金の計算結果を受信し、それを駐車場の利用者のスマホに表示し、クレジットカード等による電子決済を促す。利用者が電子決済を了承すれば、電子決済精算システムの運営会社から当該駐車場の精算機に支払い完了を通知することにより、当該車室の退場阻止装置であるフラップ装置のロックを解除し、利用者は駐車場から退場できるようになっている。
【0005】
しかし、実用化されている上記電子決済方法では、駐車場に設置した精算機内部のデータを、電子決済精算システムの運営会社のサーバーが読みだして、利用者のスマホ上に駐車料金を表示させるものであるから、原理的に精算機のない駐車場でのスマホ精算はできないことは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明では、精算機を設置すると、車室幅が狭くなったり設置コストが嵩んで、駐車場の経営が成り立たないような小規模駐車場の開設を、精算機を置かないでも運用できるシステムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、開設しようとする小規模の駐車場(以後子駐車場と略す)には精算機を置かず、その駐車場から無線通信が可能な距離にある精算機を有する駐車場(以後親駐車場と略す)の精算機を活用し、駐車料金の精算は携帯電話端末から精算できるようにした。
【0008】
この方法を実現するために、前記親駐車場の精算機では、車室管理部分の一部を無線通信可能な精算機を置かない子駐車場(複数でもよい)の車室に割り当てる。該子駐車場には親駐車場の精算機との間でデータ通信を行う無線装置と駐車する車室に車両検知センサーを設置するほか、望ましくは不正出庫防止用のロック装置、満空表示装置、駐車場看板、車室監視カメラも設置する。そして、親駐車場の精算機は、無線通信により子駐車場の車室の車両検知センサーの検出信号を受信し、ロック装置の解除信号、満空表示用信号を送信できるようにしておく。
【0009】
子駐車場に利用者が駐車すると、車室に設けた車両検知センサーが駐車を検出しその検出信号を親駐車場の精算機に無線通信する。これにより、親駐車場の精算機に設けた子駐車場の車室管理部分に車室番号と入庫日時を示す車両検知日時が記憶される。そして、利用者が該子駐車場を出庫する際には、駐車料金精算アプリを携帯端末上で起動して該子駐車場を指定して駐車料金精算画面を表示させ、駐車した車室番号を入力し、電子決済精算シ
ステムの運営会社のサーバーに送信する。これにより、該運営会社のサーバーは、親駐車場の精算機と通信し、親駐車場の精算機に記憶されている子駐車場の車室の車両検知日時と、駐車料金精算アプリから送られてきた精算日時とから駐車時間を算出し、駐車料金を計算させ、その結果を電子決済精算システムの運営会社のサーバーに返すよう求める。その結果を受信した電子決済精算システムの運営会社のサーバーは、駐車場の利用者の駐車料金精算アプリに駐車料金の請求を表示し承認を求める。利用者がこれを了承すると、スマホによる料金の電子決済が行われるようになる(請求項1)。
【0010】
上記の方法で子駐車場に駐車した利用者が、電子決済による駐車料金の支払いを完了すると、電子決済精算システムの運営会社のサーバーから親駐車場の精算機に駐車料金の支払い完了の通知がなされ、これを受けて親駐車場の精算機は、無線通信により利用者が駐車している子駐車場の車室のロック装置の解除信号を送る。これにより不正退出防止用のロック装置が解放され、利用者は子駐車場から退出ができるようになる(請求項2)。
【0011】
本発明では、子駐車場の車室の車両検知センサーから車両検知の信号が親駐車場の精算機に届いた時、及び利用者が駐車料金の精算を完了した時、親駐車場の中にある子駐車場の車室管理部分の満車、あるいは空車を判定し、その情報を前記無線通信装置により子駐車場に設置した満空表示機に送信することにより、子駐車場で満車または空車の表示を行うこともできるようにした(請求項3)。
【0012】
スマホなどの携帯電話端末を持たない利用者が子駐車場に駐車した場合には、原則として親駐車場に行って、そこの精算機で該子駐車場名と駐車した車室番号を、精算時に精算機に入力し精算を行ってもらう必要がある。したがって、該子駐車場には、現金精算を行う親駐車場の位置と、駐車した車室番号をメモなども利用して覚えておき、親駐車で現金精算ができるようにするための表示を、駐車料金表の表示看板に記載するようにした。
【0013】
しかし、親駐車場が子駐車場から少し離れたところにある場合、あるいはあらかじめ親駐車場で現金精算を行ってから子駐車場に行く場合には、親駐車場で精算する際に、子駐車場で利用者が駐車した車室がわからない事態が起こりうる。このため、親駐車場の精算機またはその周辺に、子駐車場の車室の配置図面を表示するボード、または子駐車場に設置したカメラの映像を表示する表示装置を設置するようにした。これにより、スマホで電子決済ができない利用者も、親駐車場で間違いなく現金精算ができるようにした(請求項4)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、精算機を置く通常の駐車場としては、車室幅が狭くなったり駐車場経営が成り立たなくなったりするような小さな空き地にでも、少なくとも車両検知センサーと無線通信装置を設置し、無線通信によって車室に駐車したことを親駐車場の精算機に送信し、駐車料金の算出を可能とすることで、精算機を置かない小規模の駐車場を開設でき、地主にとっては遊休土地の活用に、駐車場の利用者にとっては駐車場の利用の利便性が高まるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】は、本発明の精算機を置かない子駐車場と、子駐車場の駐車料金精算もできる精算機を設置した親駐車場の街中における配置の例を示した図である。
【
図2】は、本発明の親駐車場および子駐車場に設置する主要設備を示した図である。
【
図3】は、本発明の親駐車場の車室管理データ領域と、精算機の主要プログラムとして親子間のデータ通信制御プログラム、およびスマホによる電子決済プログラムなど精算機の内部の構成を示した図である。
【
図4】は、子駐車場での電子決済の仕組みを示した図である。
【
図5】は、本発明の親駐車場の精算機の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0016】
図1は、本発明が対象とする精算機を置かない子駐車場と、子駐車場の車室管理や駐車料金計算ができる精算機を有する親駐車場の配置の例を示す図である。1は市中の道路で、子駐車場2,3は、親駐車場4と離れているが、5で示すように無線通信が可能な場所に設けている。
【0017】
子駐車場2,3は、親駐車場4に比べて小さな駐車場で精算機を置かないが、
図2に示すように、車室、駐車を検出するセンサー(以下車両検知センサー)、必要に応じて車両の無断退出を防止するロック装置、満空表示装置、無線通信装置、駐車場看板、駐車場内の監視カメラ、受電盤を設置する。
【0018】
無線通信装置は、親及び子駐車場の間で、前記車両検出センサーの出力、ロック装置の作動及び解除信号、満空情報、子駐車場の映像を相互通信でやり取りする。
【0019】
親駐車場には、
図2に示すように、通常の駐車場に設置する設備として、精算機、車室、車両検知センサー、ロック装置、満空表示装置、駐車場看板、駐車場管理会社および電子決済の運営会社と通信するための通信端末を置くが、本発明では新たに子駐車場とデータの交信ができる無線通信装置と、さらに必要に応じて子駐車場の車室監視カメラの映像表示装置を設けている。
【0020】
一般に駐車場の精算機には、場内の全車室について車室番号を割り当て、車室ごとに車両検知センサーにより、駐車の有無と入庫時刻を記憶管理するデータファイルが用意されている。これにより、利用者がこの駐車場から退出する際に、精算機で駐車した車室番号と料金精算ボタンを押すと、前記データファイルから入庫時刻を入手、精算ボタンを押した時刻をもとに、駐車時間を計算し、当該駐車の料金体系から、駐車料金が精算機の表示画面に表示される。請求される駐車料金をお札またはコイン投入口を使って支払うと、ロック装置が解除され、駐車場から退場することができる仕組みになっている。
【0021】
本発明では、親駐車場の精算機は、携帯端末から電子決済ができる機能を持ち、電子決済精算システムの運営会社と電子決済にかかわる契約をかわした駐車場でなければならない。このような駐車場では、利用者は駐車料金の精算時には、専用の電子決済アプリを使い駐車した駐車場名を入力するか、あるいは駐車した駐車場を検索する方法で駐車場を特定し、駐車した車室番号を電子決済精算システムの運営会社のサーバーに送信すると、当該運営会社のサーバーはその駐車場の精算機と通信して、利用者から電子決済の要求があった車室番号と日時を当該駐車場の精算機に通知し、同精算機が記憶している車室の入庫日時とから駐車時間を計算し、当該駐車場の駐車料金体系をもとに駐車料金を算出するようにする。電子決済精算システムの運営会社のサーバーは、駐車場の精算機から入手した精算額を利用者のスマホに表示し、クレジットカード等による電子決済を促す。利用者が電子決済を了承すれば、電子決済精算システムの運営会社から当該駐車場の精算機に支払い完了が通知されるので、利用者の車室のロック装置は解除され、利用者は駐車場から退場できるようになっている。
【0022】
本発明では、
図3に示すように、このような電子精算ができる親駐車場の精算機に、子駐車場(子駐車場2、3のように複数あってもよい)の車室の駐車を管理するデータ領域を割り当てる。子駐車場の車室への駐車は、子駐車場に設置した車両検知センサーの出力を無線通信で親駐車場の精算機が受信することによって子駐車場の車室管理データとして記
憶できるようにしてある。こうすることによって、子駐車場用に割り当てられたデータ領域は、あたかも子駐車場に精算機があるように機能する。このようにして子駐車場に駐車した時刻は親駐車場の精算機に記憶される。
【0023】
さて、
図4に示すように精算機がないこのような子駐車場21に駐車した利用者22が、駐車料金を精算し子駐車場から退出する場合には、精算機がないので現金で駐車料金を支払うことができない。そこで、本発明は、携帯用通信端末を使った電子決済を行うことにしている。利用者は、専用の電子決済アプリを起動し、駐車した子駐車場を選択あるいは駐車場名を入力する。この選択作業は、アプリ上で駐車場の検索により指定することもできるし、GPS情報から自動的に利用している子駐車場を特定することもできる。
【0024】
駐車した子駐車場21を特定できたら、次に駐車した車室番号を入力し、
図4のT1で示すように電子決済精算システムの運営会社23のサーバーに送信する。電子決済精算システムの運営会社のサーバーは、受信した子駐車場名と駐車した車室番号と受信した時刻を精算日時として、
図4のT2で示すように当該子駐車場を管理している親駐車場24に伝送する。該親駐車場は、受信したデータと管理している子駐車場21の当該車室の入庫日時をもとに駐車時間を算出し、当該子駐車場の料金体系より駐車料金を計算し、その結果を
図4のT3で示すように電子決済精算システムの運営会社23のサーバーに送信する。なお、利用者22が子駐車場の当該車室に入庫した日時は、
図4のAで示すように無線通信装置で、親駐車場24の子駐車場管理データ領域に記憶されている。
【0025】
これを受けて、該サーバーは、
図4のT4で示すように子駐車場21に駐車している利用者22の専用アプリに駐車開始日時、精算要求があった日時、駐車時間、駐車料金を表示させ、電子決済の承認を求める。利用者22がこれを承認したことを
図4の T5に示すように電子決済精算システムの運営会社23のサーバーに送信すれば、電子決済精算システムの運営会社23のサーバーは、
図4のT6で示すように親駐車場24に、子駐車場21の該当車室のロック装置を解除せよとの信号を送る。
【0026】
親駐車場24の精算機は、電子決済精算システムの運営会社のサーバーからロック解除指令を受けると
図4に示す無線通信Bで、子駐車場にロック装置解除の指令を送る。これにより指令を受けた子駐車場のロック装置駆動装置はロック装置のロックを解除する。このようにして、精算機を置かない子駐車場21でも駐車料金の電子的な支払いができ、利用者22は、無事に子駐車場21から退出できる。
本発明では、基本的に以上の仕組みで精算機を置かない子駐車場でも、電子決済により駐車料金の支払いが可能になる。しかし、利用者がスマホで決済することを知らずに駐車してしまうことが十分考えられる。この場合、駐車料金の精算ができないので、駐車場から退出できなくなってしまう。このような利用者はコールセンターへ電話して、退出の方法を問い合わせることができるが、原則として親駐車場に行って親駐車場の精算機で駐車料金の精算を行う必要がある。したがって、子駐車場には、電子精算専用の駐車場であることを明記した看板を設置する必要がある。その看板には、駐車場名と管理番号、親駐車場の場所がわかる地図、駐車場運営会社のコールセンターの電話番号、駐車料金に関する表示、およびスマホ決済ができない場合には、親駐車場で現金で支払いをしなければならないことを記載しておく。
本発明では、親駐車場の精算機内で管理する子駐車場の車室番号は、親駐車場の車室番号と重複しないようにしておかなければならない。例えば親駐車場の車室数が25である場合、子駐車場の車室番号は31から始まるようにしておけばよい。複数の子駐車場を親駐車場が管理する場合は、子駐車場間でも車室番号が重複しないようにしておく必要がある。
このような配置図は、精算機の側面に限らず前面でもよいし、別に表示板を設けてもよい。さらにタッチパネルを使った表示装置を使う場合には、画面表示に子駐車場の車室の配置図を示す方法でもよい。また、38は、子駐車場利用者が親駐車場で精算する場合に37の子駐車場の車室配置図を見て、間違わずに33のテンキーで子駐車場の駐車した車室番号を押してから精算ボタンを押して行うようにという注意書きである。
別の方法としては、子駐車場の監視カメラの画像をタッチパネル付きの表示板に表示し、駐車した車室をタッチして選択するようなスマートな方法も可能である。このような方法により、電子決済ができない利用者も、親駐車場で間違いなく現金精算ができるようになる。
本発明の精算機を置かない子駐車場は、通常小規模の駐車場であるが、中規模あるいはそれ以上の規模であっても、親駐車場の車室管理データファイルの容量を増すだけで対応が可能であることは明らかである。そして、子駐車場の規模が大きい場合には、満空の表示も必要であろう。これも親駐車場の精算機が子駐車場管理部分のデータから満車あるいは空室を判別し、その結果を子駐車場の満空表示看板に、無線装置で通知することによって、子駐車場の満空表示をすることも可能である。