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特開2022-173640印刷機、印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173640
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】印刷機、印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20221115BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20221115BHJP
   B41J 29/48 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J3/36 Z
B41J29/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079464
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】野村 奨平
(72)【発明者】
【氏名】畠山 耕一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 秀広
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C061AP05
2C061AQ04
2C061AS08
2C061BB35
2C061CD07
2C061CD15
(57)【要約】
【課題】より少ない数の部品で印刷用紙の有無及びカバーの開閉を検出することができる印刷機、当該印刷機を制御する印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法を提供する。
【解決手段】印刷機は、ケーシングと、粘着ラベルに印字される際に剥離紙が送り出される間隙をケーシングと形成するカバーと、ケーシング又はカバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、ケーシングとカバーとのうち第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられている第二光電センサ要素とを有する光電センサと、第一光電センサ要素又は第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて、カバーが閉じているか開いているかを判定し、間隙に剥離紙及び粘着ラベルが存在している状態と、間隙に剥離紙のみが存在している状態又は間隙に剥離紙及び粘着ラベルが存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する判定部とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシングと、
前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーと、
前記ケーシング又は前記カバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とを有する光電センサと、
前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する判定部と、
を備える印刷機。
【請求項2】
前記光電センサは、前記ケーシングに取り付けられている投光器である前記第一光電センサ要素と、前記カバーに取り付けられている受光器である前記第二光電センサ要素を有する、
請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記光電センサは、前記ケーシングに取り付けられている受光器である前記第一光電センサ要素と、前記カバーに取り付けられている投光器である前記第二光電センサ要素を有する、
請求項1に記載の印刷機。
【請求項4】
前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧以下である場合、前記カバーが閉じていると判定する、
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項5】
前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧を超えている場合、前記カバーが開いていると判定する、
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項6】
前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧以下である場合、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態であると判定する、
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項7】
前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧を超えており、所定の開閉判定用電圧以下である場合、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態であると判定する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の印刷機。
【請求項8】
粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシング又は前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とのいずれかにより検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する判定機能をコンピュータに実現させる、
印刷機制御プログラム。
【請求項9】
粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシング又は前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とのいずれかにより検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する、
印刷機制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機、印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、様々な印字方式が採用されている印刷機が様々な場面で使用されている。このような印刷機の例として、例えば、特許文献1に開示されている複合機が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-176250号公報
【0004】
特許文献1に開示されている複合機は、原稿カバーと一体的に形成されているADF(Auto Document Feeder)に原稿が支持されていない場合、原稿センサからオフ信号を出力し、原稿カバーに原稿が支持されていない場合、原稿センサからオン信号を出力する。また、当該複合機は、開閉連動アクチュエータを使用して原稿カバーが閉位置にあるか開位置にあるかを検出する。
【0005】
しかし、上述した複合機は、原稿センサ及び開閉連動アクチュエータの両方を備えているため、部品の数が増加し、設計の難易度の上昇、開発コストの増大、製造コストの増大、品質管理の難易度の上昇等が懸念されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、より少ない数の部品で印刷用紙の有無及びカバーの開閉を検出することができる印刷機、当該印刷機を制御する印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る印刷機は、粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシングと、前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーと、前記ケーシング又は前記カバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とを有する光電センサと、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する判定部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記光電センサは、前記ケーシングに取り付けられている投光器である前記第一光電センサ要素と、前記カバーに取り付けられている受光器である前記第二光電センサ要素を有する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記光電センサは、前記ケーシングに取り付けられている受光器である前記第一光電センサ要素と、前記カバーに取り付けられている投光器である前記第二光電センサ要素を有する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧以下である場合、前記カバーが閉じていると判定する。
【0011】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧を超えている場合、前記カバーが開いていると判定する。
【0012】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧以下である場合、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態であると判定する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る印刷機において、前記判定部は、前記第一光電センサ要素又は前記第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧を超えており、所定の開閉判定用電圧以下である場合、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態であると判定する。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る印刷機制御プログラムは、粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシング又は前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とのいずれかにより検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する判定機能をコンピュータに実現させる。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る印刷機制御方法は、粘着ラベルが貼付されている剥離紙が格納されるケーシング又は前記ケーシングに前記剥離紙が格納される際に開けられ、前記ケーシングに前記剥離紙が格納された後に閉じられ、前記粘着ラベルに印字される際に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが送り出される間隙を前記ケーシングと形成するカバーに取り付けられている第一光電センサ要素と、前記ケーシングと前記カバーとのうち前記第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくとも前記カバーが閉じられている場合に前記第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とのいずれかにより検出された光の強度に基づいて、前記カバーが閉じている状態と、前記カバーが開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行し、前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルが存在している状態と、前記間隙に前記剥離紙のみが存在している状態又は前記間隙に前記剥離紙及び前記粘着ラベルのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より少ない数の部品で実現することができる印刷機、当該印刷機を制御する印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る印刷機のカバーが閉じている状態の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る印刷機のカバーが開いている状態の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る投光器、受光器及び印刷機制御装置の一例を示す図である。
図4】実施形態に係る剥離紙及び粘着ラベルの一例を示す図である。
図5】実施形態に係る判定機能により実行される処理を説明するための図である。
図6】実施形態に係る印刷機が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態に係る印刷機の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態]
図1から図6を参照しながら実施形態に係る印刷機、印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法について説明する。
【0019】
まず、図1から図5を参照しながら実施形態に係る印刷機の一例について説明する。図1は、実施形態に係る印刷機のカバーが閉じている状態の一例を示す図である。図2は、実施形態に係る印刷機のカバーが開いている状態の一例を示す図である。図3は、実施形態に係る投光器、受光器及び印刷機制御装置の一例を示す図である。印刷機1は、例えば、サーマルプリンタであり、図1及び図2に示すように、ケーシング10と、カバー20と、ヒンジ30と、光電センサ40とを備える。また、図3に示すように、印刷機1は、印刷機制御装置50を備える。
【0020】
ケーシング10は、印刷機1を構成している部品が格納されており、ロール状に巻かれている剥離紙Rが格納される筐体である。カバー20は、ロール状に巻かれている剥離紙Rが格納される空間を覆う板状の部材であり、ヒンジ30によりケーシング10に対して揺動可能な態様で取り付けられている。カバー20は、ケーシング10に剥離紙Rが格納された後、図1に示すように閉じられる。一方、カバー20は、ケーシング10に剥離紙Rが格納される際、図2に示すように開けられる。また、カバー20は、図1に示すように、剥離紙Rに貼付されている粘着ラベルLに印字される際に剥離紙R及び粘着ラベルLが送り出される間隙Gをケーシング10と共に形成する。
【0021】
図4は、実施形態に係る剥離紙及び粘着ラベルの一例を示す図である。剥離紙Rは、少なくとも片方の面に剥離加工が施されている紙であり、図4に示すように、剥離加工が施されている面に一定の間隔で粘着ラベルLが貼付されている。粘着ラベルLは、片方の面に糊が付けられており、糊が付けられていない面に印刷機1により印字される紙片である。
【0022】
光電センサ40は、図1から図3に示すように、投光器41と、受光器42とを備える。
【0023】
投光器41は、例えば、図1及び図2に示すように、ケーシング10に取り付けられている。また、投光器41は、例えば、図3に示すように、アノードが抵抗器41Rの一端に接続され、カソードが接地されている発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)であり、光を出力する。なお、投光器41は、ケーシング10に取り付けられている第一光電センサ要素の一例である。
【0024】
受光器42は、例えば、図1及び図2に示すように、カバー20に取り付けられている。また、受光器42は、例えば、図3に示すように、コレクタが抵抗器42Rの一端に接続され、エミッタが接地されているフォトトランジスタである。図1に示すように、受光器42は、カバー20が閉じられている場合、投光器41と対向する。このため、受光器42のうち光を受ける部分は、カバー20が閉じられている場合、投光器41のうち光を出力する部分と対向する。また、接地面を基準とする受光器42のエミッタの電圧は、受光器42が投光器41から受けた光の強度が高い程、高くなる。受光器42は、投光器41により出力された光の入力を受け付け、当該光の強度に基づいて決定されるエミッタの電圧を示す電圧データを印刷機制御装置50に出力する。なお、受光器42は、カバー20に取り付けられている第二光電センサ要素の一例である。
【0025】
印刷機制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、図3に示した印刷機制御プログラム500を読み出して実行し、判定機能550を含む印刷機1の各機能を実現させる。なお、印刷機制御プログラム500は、例えば、印刷機1に搭載されているRAM(Random Access Memory)等の主記憶装置に予め格納されている。
【0026】
図5は、実施形態に係る判定機能により実行される処理を説明するための図である。判定機能550は、受光器42により検出された光の強度に基づいて、カバー20が閉じている状態と、カバー20が開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行する。
【0027】
具体的には、判定機能550は、受光器42により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が図5に示した所定の開閉判定用電圧以下である場合、図1に示すようにカバー20が閉じていると判定する。一方、判定機能550は、受光器42により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が図5に示した所定の開閉判定用電圧を超えている場合、図2に示すようにカバー20が開いていると判定する。
【0028】
また、判定機能550は、間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLが存在している状態と、間隙Gに剥離紙Rのみが存在している状態又は間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する。
【0029】
具体的には、判定機能550は、受光器42により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧以下である場合、間隙Gに剥離紙Rのみが存在している状態又は間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLのいずれも存在していない状態であると判定する。一方、判定機能550は、受光器42により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧を超えており、所定の開閉判定用電圧以下である場合、間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLが存在している状態であると判定する。また、図5に示すように、紙送り判定用電圧は、開閉判定用電圧よりも低い電圧に設定されている。
【0030】
次に、図6を参照しながら印刷機1が実行する処理の一例を説明する。図6は、実施形態に係る印刷機が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS10において、判定機能550は、出力された電圧が所定の開閉判定用電圧を超えているか否かを判定する。判定機能550は、受光器により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧を超えていると判定した場合(ステップS10:YES)、処理をステップS20に進める。一方、判定機能550は、受光器により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の開閉判定用電圧以下であると判定した場合(ステップS10:NO)、処理をステップS30に進める。
【0032】
ステップS20において、判定機能550は、カバー20が開いていると判定する。
【0033】
ステップS30において、判定機能550は、カバー20が閉じていると判定する。
【0034】
ステップS40において、判定機能550は、出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧を超えており、かつ、所定の開閉判定用電圧以下であるか否かを判定する。判定機能550は、受光器により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧を超えており、所定の開閉判定用電圧以下であると判定した場合(ステップS40:YES)、処理をステップS50に進める。一方、判定機能550は、受光器により検出された光の強度に基づいて出力された電圧が所定の紙送り判定用電圧以下であると判定した場合(ステップS40:NO)、処理をステップS60に進める。
【0035】
ステップS50において、判定機能550は、間隙に剥離紙及び粘着ラベルが存在している状態であると判定し、処理を終了させる。
【0036】
ステップS60において、判定機能550は、間隙に剥離紙のみが存在している状態又は間隙に剥離紙及び粘着ラベルのいずれも存在していない状態と判定し、処理を終了させる。
【0037】
以上、実施形態に係る印刷機1について説明した。印刷機1は、ケーシング10と、カバー20と、光電センサ40と、判定機能550とを備える。
【0038】
ケーシング10は、粘着ラベルLが貼付されている剥離紙Rが格納される筐体である。カバー20は、ケーシング10に剥離紙Rが格納される際に開けられ、ケーシング10に剥離紙Rが格納された後に閉じられ、粘着ラベルLに印字される際に剥離紙R及び粘着ラベルLが送り出される間隙Gをケーシング10と形成する部材である。
【0039】
光電センサ40は、ケーシング10又はカバー20に取り付けられている第一光電センサ要素と、ケーシング10とカバー20とのうち第一光電センサ要素が取り付けられていない方に取り付けられており、少なくともカバー20が閉じられている場合に第一光電センサ要素と対向する第二光電センサ要素とを有する。
【0040】
判定機能550は、第一光電センサ要素又は第二光電センサ要素により検出された光の強度に基づいて、カバー20が閉じている状態と、カバー20が開いている状態とのいずれの状態にあるかを判定する開閉判定処理を実行する。また、判定機能550は、間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLが存在している状態と、間隙Gに剥離紙Rのみが存在している状態又は間隙Gに剥離紙R及び粘着ラベルLのいずれも存在していない状態とのいずれの状態にあるかを判定する紙送り判定処理を実行する。
【0041】
これにより、印刷機1は、投光器41、受光器42及び判定機能550を使用して上述した開閉判定処理及び紙送り判定処理の両方を実行することができる。つまり、印刷機1は、開閉判定処理を実行するためにアクチュエータ等の機械要素を備えておく必要が無く、紙送り判定処理を実行するために別途センサ等の部品を備えておく必要が無い。したがって、印刷機1は、より少ない数の部品で印刷用紙の有無及びカバーの開閉を検出することを可能にし、設計の難易度、開発コスト、製造コスト、品質管理の難易度等を低減させることができる。
【0042】
なお、上述した実施形態では、印刷機1がサーマルプリンタであり、粘着ラベルLが感熱紙である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。印刷機1は、感熱式プリンタ以外のプリンタであってもよい。また、この場合、粘着ラベルLは、印刷機1に採用されている印字方式に合わせた紙片であることが好ましい。さらに、印刷機1は、粘着ラベルが貼付されている剥離紙R以外の印刷用紙に印字する印刷機であってもよい。
【0043】
また、上述した実施形態では、投光器41がケーシング10に取り付けられており、受光器42がカバー20に取り付けられている場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、投光器41がカバー20に取り付けられており、受光器42がケーシング10に取り付けられていてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、第一光電センサ要素が投光器41であり、第二光電センサ要素が受光器42である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。すなわち、第一光電センサ要素が受光器42であり、第二光電センサ要素が投光器41であってもよい。
【0045】
また、図3に示した判定機能550の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。或いは、図3に示した判定機能550の少なくとも一部は、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現されてもよい。また、これらのハードウェアは、一つに統合されていてもよいし、複数に分かれていてもよい。
【0046】
また、上述した印刷機制御装置50は、印刷機1以外の印刷機に搭載されてもよい。例えば、印刷機制御装置50は、図7に示した印刷機1aに搭載されていてもよい。図7は、実施形態に係る印刷機の一例を示す図である。印刷機1aは、例えば、サーマルプリンタであり、図7に示すように、ケーシング10aと、カバー20aと、光電センサ40aとを備える。
【0047】
ケーシング10aは、印刷機1aを構成している部品が格納されており、ロール状に巻かれている剥離紙Rが格納される筐体である。カバー20aは、ロール状に巻かれている剥離紙Rが格納される空間を覆う板状の部材である。カバー20aは、図7に示すように、ケーシング10aに対して摺動することにより、開けられている状態又は閉じられている状態とされる。また、カバー20aは、図7に示すように、閉じられている場合、剥離紙Rに貼付されている粘着ラベルLに印字される際に剥離紙R及び粘着ラベルLが送り出される間隙Gをケーシング10aと共に形成する。
【0048】
光電センサ40aは、図7に示すように、投光器41aと、受光器42aとを備える。投光器41aは、例えば、図7に示すように、ケーシング10aに取り付けられている第一光電センサ要素の一例であり、光を出力する。受光器42aは、例えば、図7に示すように、カバー20aに取り付けられている第二光電センサ要素の一例であり、投光器41aにより出力された光の入力を受け付ける。図7に示すように、カバー20aがケーシング10aに対して摺動することにより開けられている状態又は閉じられている状態とされるため、受光器42aは、カバー20aが閉じられている場合及びカバー20aが開けられている状態のいずれの場合も、投光器41aと対向する。したがって、受光器42aのうち光を受ける部分は、カバー20aが閉じられている場合及びカバー20aが開けられている状態のいずれの場合も、投光器41aのうち光を出力する部分と対向する。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明した。ただし、印刷機、印刷機制御プログラム及び印刷機制御方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、置換、組み合わせ及び設計変更の少なくとも一つを加えることができる。
【0050】
また、上述した本発明の実施形態の効果は、一例として説明した効果である。したがって、本発明の実施形態は、上述した効果以外にも上述した実施形態の記載から当業者が認識し得る他の効果も奏し得る。
【符号の説明】
【0051】
1,1a…印刷機、10,10a…ケーシング、20,20a…カバー、30…ヒンジ、40,40a…光電センサ、41,41a…投光器、42,42a…受光器、50…印刷機制御装置、500…印刷機制御プログラム、550…判定機能、G…間隙、R…剥離紙、L…粘着ラベル、41R,42R…抵抗器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7