IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーインスツル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-サーマルプリンタ 図1
  • 特開-サーマルプリンタ 図2
  • 特開-サーマルプリンタ 図3
  • 特開-サーマルプリンタ 図4
  • 特開-サーマルプリンタ 図5
  • 特開-サーマルプリンタ 図6
  • 特開-サーマルプリンタ 図7
  • 特開-サーマルプリンタ 図8
  • 特開-サーマルプリンタ 図9
  • 特開-サーマルプリンタ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173641
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】サーマルプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B65H 16/06 20060101AFI20221115BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20221115BHJP
   B41J 11/00 20060101ALI20221115BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20221115BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20221115BHJP
   B65H 23/02 20060101ALI20221115BHJP
   B65H 23/28 20060101ALI20221115BHJP
   B41J 2/32 20060101ALI20221115BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20221115BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20221115BHJP
   B41J 3/36 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
B65H16/06 Z
B41J11/70
B41J11/00 Z
B41J15/04
B65H19/12 B
B65H23/02
B65H23/28
B41J2/32 Z
B26D1/08
B26D3/08 Z
B41J3/36 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079465
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142837
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 則彰
(74)【代理人】
【識別番号】100166305
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100171251
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】平馬 寿洋
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C060
2C065
3C027
3F052
3F064
3F104
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C058AB15
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE14
2C058AF06
2C058AF16
2C058AF19
2C058AF31
2C058AF35
2C058AF38
2C058AF43
2C058AF47
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA26
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB24
2C060BA03
2C060BC03
2C060BC43
2C060BC54
2C060BC62
2C060BC71
2C060BC84
2C060BC92
2C065AA01
2C065AB01
2C065AD02
2C065CZ05
2C065CZ08
2C065CZ09
2C065CZ17
3C027JJ01
3C027JJ18
3F052AA01
3F052AB09
3F052BA02
3F052CA02
3F052DA01
3F064AA01
3F064DA04
3F064EB01
3F104AA01
3F104CA03
3F104FA07
3F104FA10
3F104FA11
(57)【要約】
【課題】ロール紙収容部へのロール紙の出し入れを容易にした上で、ロール紙収容部内でロール紙を安定して保持することができるサーマルプリンタを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係るサーマルプリンタ1は、ロール紙収容部31、及び排出口33を備えるケーシング11と、ケーシング11においてロール紙収容部31と排出口33との間に設けられた印刷ユニット3と、ケーシング11のうち印刷ユニット3とロール紙収容部31との間に、軸線O2回りに回動可能に設けられ、ロール紙Rの外周面に当接することで、ロール紙Rを排出口33から離れる方向に向けて押し込むフラップ61aと、軸線O2回りで排出口33から離れる方向に向けてフラップ61aを付勢する付勢部材と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙が巻回されてなるロール紙を投入可能なロール紙収容部、及び前記記録紙のうち前記ロール紙から引き出された部分を外部に排出する排出口を備えるケーシングと、
前記ケーシングにおいて前記ロール紙収容部と前記排出口との間に設けられ、前記記録紙に対して印刷を行うサーマルヘッド、及び前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込んで前記記録紙を前記排出口に向けて搬送するプラテンローラを備える印刷ユニットと、
前記ケーシングのうち前記印刷ユニットと前記ロール紙収容部との間に、第1軸線回りに回動可能に設けられ、前記ロール紙の外周面に当接することで、前記ロール紙を前記排出口から離れる方向に向けて押し込むフラップと、
前記第1軸線回りで前記排出口から離れる方向に向けて前記フラップを付勢する付勢部材と、を備えているサーマルプリンタ。
【請求項2】
前記フラップの先端部には、前記ロール紙の中心軸に沿う第2軸線回りに回転可能に構成されるとともに、前記記録紙に当接可能なフラップローラが設けられている請求項1に記載のサーマルプリンタ。
【請求項3】
前記ケーシングのうち、前記印刷ユニットよりも前記ロール紙収容部寄りに位置する部分には、前記ロール紙の中心軸に沿う第3軸線回りに回転可能な第1ガイドローラ、及び前記第3軸線に沿う第4軸線回りに回転可能な第2ガイドローラが設けられ、
前記記録紙は、前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラの間を通じて前記印刷ユニットに導かれる請求項1又は請求項2に記載のサーマルプリンタ。
【請求項4】
前記第1ガイドローラは、前記第2ガイドローラに対して前記ロール紙収容部寄りに配置され、
前記第1ガイドローラは、前記第2ガイドローラに比べて軟材質により構成されている請求項3に記載のサーマルプリンタ。
【請求項5】
前記ケーシングには、前記ロール紙の残量を検出するセンサが設けられ、
前記センサは、前記フラップに接続されるとともに、前記フラップの回動に応じてオン位置及びオフ位置の間を回動可能なレバーを備えている請求項1から請求項4の何れか1項に記載のサーマルプリンタ。
【請求項6】
前記ケーシングには、前記ロール紙の中心軸に沿う第1方向に移動可能に構成されるとともに、前記ロール紙に前記第1方向の両側から当接することで、前記ロール紙収容部内で前記ロール紙を前記第1方向で位置決めする位置決め機構が設けられている請求項1から請求項5の何れか1項に記載に記載のサーマルプリンタ。
【請求項7】
前記印刷ユニットは、
前記排出口に対して一方側に設けられた固定刃と、
前記排出口に対して他方側において前記固定刃に対して接近離反可能に設けられ、前記固定刃との間で前記記録紙を切断可能な可動刃と、を備え、
前記可動刃のうち、前記第1方向の中央部には、前記可動刃の刃先に対して窪む凹部が形成されている請求項6に記載のサーマルプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
サーマルプリンタは、プラテンローラとサーマルヘッドとで記録紙を挟み込んだ状態でプラテンローラを回転させることで、記録紙を搬送しながらサーマルヘッドにより記録紙の印刷面に対して印刷を行う。サーマルプリンタにおいて、記録紙は、芯材に巻き付けられたロール紙の状態で、ケーシングに設けられたロール紙収容部内に収容されている。例えば、下記特許文献1において、ロール紙は、芯材を貫通する支持軸によってロール紙収容部内で回転可能に保持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-131569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、食品のPOSラベルや各種表示ラベル等には、環境負荷の低減や利便性の向上を目的として、いわゆるライナーレスラベルを記録紙に用いることがある。ライナーレスラベルとは、印刷面とは反対側の面に粘着層を備える記録紙において、粘着層を覆う台紙を備えないものである。ライナーレスラベルの記録紙をロール紙として用いる場合には、外周側に位置する記録紙の粘着層が内周側に位置する記録紙の印刷面に貼り付いた状態で巻回される。そのため、ライナーレスラベルを記録紙として用いる場合は、粘着層を備えない記録紙に比べて、記録紙の搬送時において記録紙に作用する引張力が大きくなることから、ロール紙収容部内でロール紙を安定して保持することが難しかった。
【0005】
一方、従来技術にあっては、ロール紙の交換時等、ロール紙収容部に対してロール紙を出し入れする際、ロール紙に対して支持軸を抜き差しする必要がある。そのため、ロール紙の交換作業等が煩雑であるという課題があった。
【0006】
本発明は、ロール紙収容部へのロール紙の出し入れを容易にした上で、ロール紙収容部内でロール紙を安定して保持することができるサーマルプリンタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を採用した。
本発明の一態様に係るサーマルプリンタは、記録紙が巻回されてなるロール紙を投入可能なロール紙収容部、及び前記記録紙のうち前記ロール紙から引き出された部分を外部に排出する排出口を備えるケーシングと、前記ケーシングにおいて前記ロール紙収容部と前記排出口との間に設けられ、前記記録紙に対して印刷を行うサーマルヘッド、及び前記サーマルヘッドとの間で前記記録紙を挟み込んで前記記録紙を前記排出口に向けて搬送するプラテンローラを備える印刷ユニットと、前記ケーシングのうち前記印刷ユニットと前記ロール紙収容部との間に、第1軸線回りに回動可能に設けられ、前記ロール紙の外周面に当接することで、前記ロール紙を前記排出口から離れる方向に向けて押し込むフラップと、前記第1軸線回りで前記排出口から離れる方向に向けて前記フラップを付勢する付勢部材と、を備えている。
【0008】
本態様によれば、フラップによってロール紙が排出口から離間する方向に常時押し込まれることで、ロール紙収容部内でのロール紙の位置が安定し易い。これにより、例えばライナーレスラベルのように記録紙の搬送に大きな引張力が必要な場合であっても、ロール紙の外径に影響を受けずに記録紙の安定した搬送が可能になる。
しかも、本態様では、ロール紙の芯材を通じてロール紙を保持する必要がないので、ロール紙収容部内へのロール紙の出し入れを容易に行うことができるとともに、構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記フラップの先端部には、前記ロール紙の中心軸に沿う第2軸線回りに回転可能に構成されるとともに、前記記録紙に当接可能なフラップローラが設けられていることが好ましい。
本態様によれば、フラップの先端部と記録紙との間に作用する摩擦力を軽減し、記録紙をスムーズに搬送することができる。
【0010】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記ケーシングのうち、前記印刷ユニットよりも前記ロール紙収容部寄りに位置する部分には、前記ロール紙の中心軸に沿う第3軸線回りに回転可能な第1ガイドローラ、及び前記第3軸線に沿う第4軸線回りに回転可能な第2ガイドローラが設けられ、前記記録紙は、前記第1ガイドローラ及び前記第2ガイドローラの間を通じて前記印刷ユニットに導かれることが好ましい。
本態様によれば、第1ガイドローラ及び第2ガイドローラにより、ロール紙から引き出される記録紙の移動範囲を制限することができる。これにより、ロール紙収容部内でのロール紙の位置に関わらず、記録紙が印刷ユニットに対して所定角度の範囲内で導かれる。これにより、記録紙を印刷ユニットに向けて安定して供給することができる。
【0011】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記第1ガイドローラは、前記第2ガイドローラに対して前記ロール紙収容部寄りに配置され、前記第1ガイドローラは、前記第2ガイドローラに比べて軟材質により構成されていることが好ましい。
本態様によれば、ロール紙が接触した際に第1ガイドローラに作用する衝撃を緩和し易い。これにより、ロール紙収容部内でのロール紙の移動に伴う異音の発生等を抑制できる。
【0012】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記ケーシングには、前記ロール紙の残量を検出するセンサが設けられ、前記センサは、前記フラップに接続されるとともに、前記フラップの回動に応じてオン位置及びオフ位置の間を回動可能なレバーを備えていることが好ましい。
本態様によれば、フラップに連動してセンサのレバーが回動することで、フラップの回動角度に応じてセンサのオン状態及びオフ状態が切り替えられる。これにより、フラップユニットとは別にレバーの操作機構を設ける場合に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
【0013】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記ケーシングには、前記ロール紙の中心軸に沿う第1方向に移動可能に構成されるとともに、前記ロール紙に前記第1方向の両側から当接することで、前記ロール紙収容部内で前記ロール紙を前記第1方向で位置決めする位置決め機構が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、ロール紙が位置決め機構に当接することで、ロール紙収容部内でのロール紙の第1方向の移動を規制できる。そのため、ロール紙の紙幅に合わせて位置決め機構を移動させることで、ロール紙の紙幅によらずロール紙収容部内でのロール紙の第1方向での移動を抑制できる。その結果、印刷のずれや、ロール紙収容部内でのロール紙の移動に伴う異音の発生等を抑制できる。
【0014】
上記態様のサーマルプリンタにおいて、前記印刷ユニットは、前記排出口に対して一方側に設けられた固定刃と、前記排出口に対して他方側において前記固定刃に対して接近離反可能に設けられ、前記固定刃との間で前記記録紙を切断可能な可動刃と、を備え、前記可動刃のうち、前記第1方向の中央部には、前記可動刃の刃先に対して窪む凹部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、記録紙が凹部の底部に接触しないように切断されることで、記録紙のうち凹部と向かい合う部分に切断残りが形成される。これにより、記録紙としてライナーレスラベルを用いた場合であっても、切断された記録紙が予期せぬ場所に付着するのを抑制できる。
特に、本態様では、上述したように位置決め機構を備えていることから、ロール紙における第1方向の中心が、ロール紙収容部内における第1方向の中心付近に位置決めされる。その結果、ロール紙の紙幅によらず、記録紙における第1方向の中心付近に切断残りを発生させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、ロール紙収容部へのロール紙の出し入れを容易にした上で、ロール紙収容部内でロール紙を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】カバーが閉位置にある状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図2】カバーが開位置にある状態を示すサーマルプリンタの斜視図である。
図3図1のIII-III線に沿う断面図である。
図4】カッターユニットの斜視図である。
図5】ボトムユニット内の平面図である。
図6図1のVI-VI線に対応する斜視断面図である。
図7】中径状態のロール紙について、搬送停止時を示す図3に対応する断面図である。
図8】中径状態のロール紙について、搬送時を示す図3に対応する断面図である。
図9】中径状態のロール紙について、搬送停止時を示す図3に対応する断面図である。
図10】中径状態のロール紙について、搬送時を示す図3に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0018】
[サーマルプリンタ1]
図1は、カバー11が閉位置にある状態を示すサーマルプリンタ1の斜視図である。図2は、カバー11が開位置にある状態を示すサーマルプリンタ1の斜視図である。
図1図2に示すように、サーマルプリンタ1は、記録紙Pに対して印刷を行う。本実施形態の記録紙Pは、いわゆるライナーレスラベルである。すなわち、記録紙Pは、表面が印刷面を構成し、裏面が粘着層を構成する。印刷面は、剥離層(例えば、シリコンコート等)により覆われている。記録紙Pは、印刷面が外側を向き、粘着層が内側を向いた状態で、筒状の芯材R1(図3参照)に巻き回されることで、ロール紙Rを構成している。なお、ロール紙Rは、芯材R1を有しない構成であってもよい。
【0019】
図3は、図1のIII-III線に沿う断面図である。
図3に示すように、サーマルプリンタ1は、ケーシング2と、印刷ユニット3と、位置決め機構4(図6参照)と、紙保持機構5と、を備えている。サーマルプリンタ1は、設置面S上に設置されている。以下の説明において、設置面Sに対して垂直な方向を上下方向(矢印UPが上方)とし、上下方向に直交する2方向を前後方向(矢印FRが前方)及び左右方向(矢印LHが左方)とする。
【0020】
<ケーシング2>
ケーシング2は、箱型に形成されている。具体的に、ケーシング2は、ボトムユニット10と、カバー11と、を備えている。
ボトムユニット10は、外装体21と、ホルダ22と、を備えている。
【0021】
外装体21は、上方に開口する箱型に形成されている。外装体21は、ボトムユニット10の意匠面(外表面)を構成する。サーマルプリンタ1は、外装体21のうち外装底壁21aを介して設置面S上に設置されている。外装体21の内側には、制御基板25が設けられている。制御基板25は、上下方向を厚さ方向として外装底壁21aに沿って配置されている。
【0022】
ホルダ22は、外装体21の内側に設けられている。ホルダ22は、ホルダ本体22aと、脚部22bと、を備えている。
ホルダ本体22aは、外装体21に比べて一回り小さい箱型に形成されている。ホルダ本体22aは、ロール紙収容部31と、通紙部32と、を区画している。
【0023】
ロール紙収容部31は、ホルダ本体22a内の後部に位置している。ロール紙収容部31は、ホルダ本体22a(ボトムユニット10)の上端開口部を通じてロール紙Rが出し入れ可能とされている。すなわち、サーマルプリンタ1では、ホルダ本体22aの上端開口部を通じてロール紙収容部31にロール紙Rを投入したり、取り出したりすることができる(いわゆる、ドロップイン方式)。
通紙部32は、ホルダ本体22a内の前部に位置している。通紙部32は、記録紙Pのうちロール紙収容部31から引き出された部分が前方に向けて搬送される。
【0024】
脚部22bは、ホルダ本体22aのうちホルダ底壁22cから下方に延びている。脚部22bは、前後方向及び左右方向に間隔をあけて複数設けられている。脚部22bは、下端部において制御基板25を支持している。
【0025】
図2図3に示すように、カバー11は、ボトムユニット10の上端開口部を開閉する。具体的に、カバー11は、カバー本体11aと、取付片11bと、ガイド壁11cと、区画壁11dと、を備えている。
カバー本体11aは、下方に開口する箱型に形成されている。カバー本体11aは、平面視において、ボトムユニット10(外装体21)と同等の形状を呈している。カバー本体11aは、閉位置において、ボトムユニット10に上方から重ね合わされ、ボトムユニット10の上端開口部を閉塞する。一方、カバー本体11aは、開位置において、ボトムユニット10の上方から退避して、ボトムユニット10の上端開口部を開放する。
【0026】
カバー11(カバー本体11a)が閉位置にあるとき、カバー本体11aの前壁部11gと、外装体21の前壁部21dと、の間には、排出口33が形成されている。排出口33は、ケーシング2の内外を連通させるとともに、左右方向に延びるスリット状に形成されている。排出口33は、印刷ユニット3で印刷された記録紙Pが前方に向けて排出される。
【0027】
取付片11bは、カバー本体11aのうち、頂壁部11fの後端部において、左右方向の両側に位置する部分から下方に突出している。各取付片11bは、ホルダ本体22aのうち左右方向で向かい合う一対のホルダ側壁22dにそれぞれ連結されている。具体的に、取付片11bは、左右方向に沿う軸線回りに回動可能にホルダ側壁22dの上端部に連結されている。これにより、カバー11は、開位置及び閉位置の間をボトムユニット10に対して回動する。なお、カバー11は、スライド操作等によって、ボトムユニット10の上端開口部を開閉する構成等であってもよい。
【0028】
ガイド壁11cは、頂壁部11fのうち取付片11bよりも前方に位置する部分から下方に突出している。ガイド壁11cは、前方に向かうに従い、下方に湾曲しながら延びている。ガイド壁11cは、ボトムユニット10の上端開口部を通じてロール紙収容部31と上下方向に向き合っている。
【0029】
区画壁11dは、頂壁部11fのうちガイド壁11cの前方に位置する部分から下方に延びている。区画壁11dは、カバー11が閉位置にあるとき、ホルダ本体22a内に上方から進入している。区画壁11dは、ロール紙収容部31と通紙部32との間を前後方向に仕切っている。
【0030】
<印刷ユニット3>
図3に示すように、印刷ユニット3は、プラテンローラ41と、サーマルヘッド42と、カッターユニット43と、紙検出センサ44と、を備えている。
プラテンローラ41は、左右方向に延びるゴムローラである。プラテンローラ41は、通紙部32内の前端部(排出口33寄りに位置する部分)に設けられている。プラテンローラ41は、ホルダ側壁22dの上部前端部同士の間を架け渡している。プラテンローラ41は、左右方向に沿う軸線O1回りに回転可能にホルダ側壁22dに支持されている。プラテンローラ41は、記録紙Pの搬送時において、不図示の駆動モータの駆動力に応じて回転する。
【0031】
サーマルヘッド42は、カバー11内において、排出口33寄りに位置する部分に設けられている。サーマルヘッド42は、左右方向に沿って直線状に並ぶ複数の発熱素子を備えている。サーマルヘッド42は、発熱素子が下方を向いた状態でカバー11の前端部に固定されている。プラテンローラ41及びサーマルヘッド42は、排出口33を間に挟んで上下方向(排出口33に対して一方側及び他方側)で向かい合っている。サーマルヘッド42は、カバー11が閉位置にあるとき、プラテンローラ41に密接する。記録紙Pは、プラテンローラ41の回転に応じて、プラテンローラ41とサーマルヘッド42との間を通過する。サーマルヘッド42は、制御基板25から出力される信号に基づいて発熱素子の発熱パターンが制御される。発熱素子の熱が記録紙Pの印刷面に伝わることで、発熱パターンに応じた情報(文字や図形等)が印刷面に印刷される。
【0032】
図4は、カッターユニット43の斜視図である。
図3図4に示すように、カッターユニット43は、固定刃47と、可動刃48と、を備えている。
固定刃47は、ボトムユニット10内において、プラテンローラ41と排出口33との間に位置する部分に配置されている。固定刃47は、左右方向に延びる板状に形成されている。固定刃47は、刃先47aを上方に向けて配置されている。
可動刃48は、カバー11内において、サーマルヘッド42と排出口33との間に位置する部分に配置されている。可動刃48は、左右方向に延びる板状に形成されている。可動刃48は、刃先48aを下方に向けた状態で上下動可能に構成されている。カッターユニット43は、可動刃48が下方に移動したときに、固定刃47に対して前方から乗り上げることで、刃先47a,48a同士の間で記録紙Pを切断する。
【0033】
図4に示すように、可動刃48の刃先48aは、左右方向の両端部から中央部に向かうに従い固定刃47の刃先47aから退避する方向(上方)に延びるV字状に形成されている。可動刃48の刃先48aにおける左右方向の中央部には、刃先48aに対して窪む凹部48bが形成されている。凹部48bの底部は、カッターユニット43による記録紙Pの切断時において、記録紙Pに接触しないように構成されている。これにより、カッターユニット43により記録紙Pを切断した際、記録紙Pのうち凹部48bと向かい合う部分に切断残りが形成される(いわゆる、パーシャルカット)。なお、本実施形態では、凹部48bが1つ形成されることで、切断残りが1ヵ所形成される(一点残し)構成について説明するが、この構成に限られない。例えば、凹部48bを複数設けることで、切断残りを複数ヵ所形成してもよい(複数残し)。また、凹部48bは、必須の構成ではない。
【0034】
図3に示すように、紙検出センサ44は、カバー11内において、可動刃48の前方に位置する部分に設けられている。紙検出センサ44は、例えば反射型のフォトセンサ等である。紙検出センサ44は、記録紙Pのうち、カッターユニット43を通過した部分の有無を検出する。すなわち、紙検出センサ44は、記録紙Pのうち、カッターユニット43により切断された後、切断残りよりも前方(下流側)に位置する部分の有無を検出する。
【0035】
<位置決め機構4>
図5は、ボトムユニット10内の平面図である。図6は、図1のVI-VI線に対応する斜視断面図である。
図5図6に示すように、位置決め機構4は、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの左右方向の位置決めを行う。位置決め機構4は、一対のガイド壁51と、ピニオン52と、ラック53と、を備えている。
【0036】
各ガイド壁51は、ロール紙収容部31内(ホルダ22内)において、左右方向に向かい合って設けられている。各ガイド壁51には、下方に向けて突出する突出部51a(図6参照)が形成されている。突出部51aは、ホルダ底壁22cに形成された貫通孔22gを通じてホルダ底壁22cの下方に突出している。貫通孔22gは、左右方向に延びるスリット状に形成されている。各ガイド壁51は、突出部51aが貫通孔22gに案内された状態で、互いに接近又は離反する方向(左右方向)に移動可能に構成されている。
【0037】
ピニオン52は、ホルダ底壁22cに下向きで設けられている。具体的に、ピニオン52は、ホルダ底壁22cのうち、ロール紙収容部31を構成する部分であって、前後方向及び左右方向の中央部に設けられている。ピニオン52は、上下方向に沿う軸線回りに回転可能にホルダ底壁22cに支持されている。
【0038】
ラック53は、一対のガイド壁51のそれぞれに突出部51aを介して連なっている。ラック53は、ホルダ底壁22cの下方において、向かい合うガイド壁51に向けて左右方向に延びている。一方のガイド壁51から延びる一方のラック53は、ピニオン52に対して前後方向の一方側(例えば、前方)から噛み合っている。他方のガイド壁51から延びる他方のラック53は、ピニオン52に対して前後方向の他方側(例えば、後方)から噛み合っている。したがって、位置決め機構4は、一方のラック53に作用する直線駆動力によってピニオン52が回転することで、ピニオン52の回転駆動力が他方のラック53に伝達される。これにより、各ラック53が左右方向に接近又は離反する方向に移動することで、一対のガイド壁51が同期して移動する。
【0039】
<紙保持機構5>
紙保持機構5は、フラップユニット61と、ニアエンドセンサ(センサ)62と、第1ガイドローラ63と、第2ガイドローラ64と、を備えている。
フラップユニット61は、ホルダ本体22a内において、ロール紙収容部31と通紙部32との間を前後方向に仕切るとともに、ロール紙Rを排出口33から離間する方向(後方)に押さえ込む。本実施形態では、ホルダ本体22a内において、区画壁11d及びフラップユニット61に対して後方に位置する部分がロール紙収容部31を構成し、区画壁11d及びフラップユニット61に対して前方に位置する部分が通紙部32を構成している。
【0040】
図3図5図6に示すように、フラップユニット61は、フラップ61aと、付勢部材61bと、フラップローラ61cと、を備えている。
フラップ61aは、ホルダ底壁22cのうちピニオン52よりも前方であって、区画壁11dよりも後方に位置する部分から上方に向けて片持ちで延びている。フラップ61aは、下端部において左右方向に沿う軸線(第1軸線)O2回りに回動可能に、ホルダ底壁22cに支持されている。なお、フラップ61aは、回動範囲の全域において、第1ガイドローラ63と干渉しない長さに設定されている。
【0041】
フラップ61aの先端部において、軸線O2を中心とする時計回り方向を向く面(後面)には、湾曲面66が形成されている。湾曲面66は、軸線O2を中心とする反時計回り方向(前方)に向けて突の円弧状に形成されている。湾曲面66は、例えばロール紙Rの小経時において、ロール紙Rの外周面を保持する。
【0042】
付勢部材61bは、例えばトーションばねである。付勢部材61bは、フラップ61aとホルダ底壁22cとの間に介在している。付勢部材61bは、後方(時計回り方向)に向けてフラップ61aを付勢している。
フラップローラ61cは、フラップ61aの先端部のうち、湾曲面66よりも先端側に位置する部分に、左右方向に沿う軸線(第2軸線)O3回りに回転可能に設けられている。フラップローラ61cは、大径部67と小径部68とが左右方向に交互に連なって構成されている。フラップローラ61cは、大径部67を介して記録紙Pに接触可能である。
【0043】
ニアエンドセンサ62は、ホルダ底壁22cのうち、フラップユニット61(フラップ61a)における基端部周辺に設けられている。ニアエンドセンサ62は、軸線O2を中心とする時計回り方向において、ホルダ底壁22cに対するフラップユニット61の回動角度θに基づき、ロール紙Rのニアエンドを検出する。なお、ニアエンドとは、ロール紙Rの残量がロール紙Rの交換を推奨する量(外径)に達した状態である。
【0044】
ニアエンドセンサ62は、前後方向に回動可能なレバー62aを有している。レバー62aは、フラップ61aに接続されている。ニアエンドセンサ62は、フラップ61aの回動に応じてレバー62aが前後方向に回動することで、オン状態とオフ状態とが切り替えられる。
【0045】
ニアエンドセンサ62は、ホルダ底壁22cに対するフラップ61aの回動角度θが所定角度未満の場合、オフ状態を維持する(レバー62aによるオン操作は行われない。)。一方、ニアエンドセンサ62は、フラップ61aの回動角度θが所定角度回動するとオン状態となる。本実施形態において、所定角度は、例えばホルダ底壁22cに対して100°程度であって、フラップユニット61の先端部が排出口33から最も離れた位置である。
【0046】
レバー62aによるオン操作が行われることで、ニアエンドセンサ62は、制御基板25に向けてオン信号を出力する。制御基板25は、ニアエンドセンサ62からのオン信号を受信すると、ケーシング2に設けられた告知手段(例えば、光源や音源等)を通じてユーザに対してロール紙Rの交換を促す。なお、フラップ61aは、レバー62aが最後端位置(オン位置)に到達することで、更なる時計回り方向(後方)への回動が規制される。一方、フラップ61aは、レバー62aが最前端位置(オフ位置)に到達することで、更なる反時計回り方向への回動が規制される。すなわち、ニアエンドセンサ62のレバー62aは、フラップ61aの回動範囲が制限するストッパとしても機能する。但し、フラップ61aには、ニアエンドセンサ62とは別のストッパを設けてもよい。
【0047】
第1ガイドローラ63は、ロール紙Rから引き出される記録紙Pを印刷ユニット3に向けて導く。第1ガイドローラ63は、記録紙Pの搬送に伴い、記録紙Pとの間で発生する摩擦等によって回転する従動ローラである。第1ガイドローラ63は、区画壁11dの下端部に、左右方向に沿う軸線(第3軸線)O4回りに回転可能に支持されている。すなわち、第1ガイドローラ63は、カバー11の開閉動作に伴い、ホルダ本体22a内に進退する。第1ガイドローラ63の軸線O4は、フラップユニット61の軸線O2よりも前方、かつ上方(記録紙Pの搬送方向で下流側)に位置している。第1ガイドローラ63の軸線O4は、プラテンローラ41の軸線O1に対して後方、かつ下方(記録紙Pの搬送方向で上流側)に位置している。図示の例において、第1ガイドローラ63の外径は、プラテンローラ41の外径と同等になっている。
【0048】
第1ガイドローラ63は、ロール紙Rの接触等に対する衝撃吸収性能を考慮して設計されることが好ましい。このような構成として、第1ガイドローラ63は、プラテンローラ41と同様に、例えばゴム材料等、弾性変形可能な材料のうち、第2ガイドローラ64よりも軟質な材料により外表面が形成されていることが好ましい。
【0049】
第2ガイドローラ64は、通紙部32において、プラテンローラ41と第1ガイドローラ63との間に設けられている。第2ガイドローラ64は、記録紙Pの搬送に伴い、記録紙Pとの間で発生する摩擦等によって回転する従動ローラである。第2ガイドローラ64は、左右方向に沿う軸線(第4軸線)O5回りに回転可能にホルダ側壁22dに支持されている。第2ガイドローラ64の軸線O5は、第1ガイドローラ63の軸線O4よりも前方、かつ下方(記録紙Pの搬送方向で下流側)に配置されている。第2ガイドローラ64の軸線O5は、プラテンローラ41の軸線O1に対して後方、かつ下方(記録紙Pの搬送方向で上流側)に位置している。図示の例において、第2ガイドローラ64は、第1ガイドローラ63よりも小径に形成されている。
【0050】
第2ガイドローラ64は、低コスト化や粘着層との剥離性等を考慮して設計されることが好ましい。このような構成として、第2ガイドローラ64は、樹脂材料等、弾性変形可能な材料のうち、第1ガイドローラ63よりも硬質な材料によって外表面が形成されていてもよい。なお、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64は、不図示の駆動モータの駆動力等に応じて独立して回転させてもよい。
【0051】
通紙部32のうち、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64との間は、ロール紙収容部31と印刷ユニット3との間で記録紙Pが通過する通紙経路を構成している。記録紙Pは、通紙経路を通過する際に、第1ガイドローラ63又は第2ガイドローラ64に接触することで、記録紙Pの厚さ方向(上下方向)への移動が規制される。これにより、印刷ユニット3への記録紙Pの進入角度が所定角度の範囲内に制限されている。
【0052】
[作用]
次に、上述したサーマルプリンタ1の作用を説明する。
初めに、ロール紙Rのセット方法について説明する。図2に示すように、カバー11を開位置とした後、ロール紙Rをロール紙収容部31内に投入する。すると、ロール紙Rは、外周面がホルダ本体22aのホルダ後壁22h及びフラップ61aに摺接しながら、ロール紙収容部31内を下方に落下する。これにより、フラップ61aは、付勢部材61bの付勢力に抗して反時計回りに回動する。すなわち、ロール紙Rは、ロール紙収容部31を前方に押し広げるように、ロール紙収容部31内に進入する。フラップ61aの反時計回り方向への回動は、レバー62aが最前端位置に到達することで規制される。これにより、ロール紙Rは、ホルダ後壁22h及びフラップ61aに支持された状態で、ロール紙収容部31内に収容される。この際、ロール紙Rには、フラップ61aを介して付勢部材61bの付勢力が作用することで、後方に押し込まれた状態で、ロール紙収容部31内に保持される。図示の例において、ロール紙Rは、ホルダ底壁22cから浮き上がっているが、ロール紙Rの外径によってはロール紙Rの外周面がホルダ底壁22に接していてもよい。なお、レバー62aが最前端位置に移動することで、ニアエンドセンサ62はオフ状態となる。
【0053】
ロール紙Rを投入した後、記録紙Pの先端部を、第2ガイドローラ64及びプラテンローラ41に沿わせて排出口33まで案内する。この状態で、カバー11を閉位置に移動させる。すると、ロール紙Rから引き出された記録紙Pのうち、根元部分(ロール紙Rとの境界部分)が第1ガイドローラ63により下方に向けて押さえ込まれるとともに、先端部分がプラテンローラ41とサーマルヘッド42との間に挟み込まれる。これにより、ロール紙Rが中心軸を左右方向に一致させた状態で、ロール紙収容部31内にセットされる。
【0054】
次に、ロール紙Rの位置決め方法について説明する。
ロール紙Rをロール紙収容部31内にセットした後、ロール紙Rの紙幅に合わせてガイド壁51を移動させる。具体的には、少なくとも一方のガイド壁51を掴んだ状態で、ガイド壁51をロール紙Rの端面に向けて左右方向に押し込む。すると、一方のガイド壁51に作用する押込力がピニオン52を介して他方のガイド壁51にも作用することで、各ガイド壁51が互いに接近又は離間する方向に同期して移動する。ガイド壁51がロール紙Rの端面に近接又は当接した時点でガイド壁51を停止させる。これにより、ロール紙Rにおける左右方向の中心が、ロール紙収容部31内における左右方向の中心付近に位置決めされる。なお、本実施形態において、ガイド壁51は、あくまで左右方向の位置決めを行うものであって、ロール紙Rの回転を支持するものではない。
【0055】
続いて、記録紙Pへの印刷方法について説明する。
記録紙Pは、プラテンローラ41の回転に伴い、プラテンローラ41とサーマルヘッド42との間に挟み込まれた状態で、排出口33に向けて搬送される。この際、サーマルヘッド42の発熱素子が適宜発熱することで、記録紙Pに対して各種の情報が印刷される。サーマルヘッド42によって印刷された記録紙Pは、固定刃47と可動刃48との間を通過した後、排出口33を通じてサーマルプリンタ1の外部に排出される。
【0056】
記録紙Pへの印刷終了後、記録紙Pを切断する。具体的には、可動刃48を下方に向けて移動させることで、可動刃48が固定刃47に対して前方から乗り上げる。これにより、固定刃47及び可動刃48の刃先47a,48a同士の間に記録紙Pが挟み込まれる。これにより、記録紙Pが切断される。なお、本実施形態では、可動刃48のうち凹部48bの底部が固定刃47の刃先47aに接触しないように構成されていることから、記録紙Pのうち印刷が施された部分は切断残りを介してロール紙Rに繋がった状態となる。カッターユニット43による切断後、切断残りを千切ることで、印刷が終了した記録紙Pを取り出すことができる。
【0057】
本実施形態では、記録紙Pにライナーレスラベルを使用している。そのため、サーマルプリンタ1から取り出された記録紙Pは、粘着層を介してそのまま各種物品に貼り付けることができる。
【0058】
続いて、紙保持機構5の作用を説明する。ロール紙Rから引き出される記録紙Pに対して継続的に印刷動作が行われると、ロール紙Rの外径が漸次縮小する。すなわち、ロール紙Rは、継続使用に伴い、図7図8に示す中径状態、図9図10に示す小径状態となる。
【0059】
図7に示す中径状態において、搬送停止時のロール紙Rは、フラップ61aによって後方に向けて押さえ付けられている。この場合、ロール紙Rは、フラップ61aとホルダ底壁22cとホルダ後壁22hに接触した状態で、ロール紙収容部31内の後部で保持されている。また、記録紙Pのうちロール紙Rから引き出された部分は、フラップローラ61c、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64に案内された状態で、印刷ユニット3に導かれている。なお、中径状態での搬送停止時において、フラップ61aは、ロール紙Rによって時計回り方向への回動が規制されている。これにより、フラップ61aの回動角度θは、所定角度未満の範囲で規制されている。すなわち、ロール紙Rの中径状態において、ニアエンドセンサ62はオフ状態を維持する。
【0060】
一方、図8に示す中径状態において、印刷動作が開始されると、プラテンローラ41の回転によりロール紙Rに作用する引張力に応じて、ロール紙Rは排出口33に向けて移動する。具体的に、ロール紙Rに作用する引張力により、フラップ61aが反時計回り方向に回動するとともに、ロール紙Rがフラップ61aの後面上を基端部から先端部に向けて移動する。その後、ロール紙Rは、第1ガイドローラ63に接触することで、前方への移動が規制される。これにより、ロール紙Rが、第1ガイドローラ63に接触しつつ、フラップ61aにより後方に押し込まれた状態で、記録紙Pに対して印刷が行われる。すなわち、プラテンローラ41の回転によって記録紙Pが引き出されていくことで、ロール紙Rは第1ガイドローラ63とフラップ61aとに接触した状態で回転する。
【0061】
図9に示す小径状態において、搬送停止時のロール紙Rは、フラップ61aによって後方に向けて押さえ付けられている。この場合、ロール紙Rは、湾曲面66に接触した状態で、ホルダ底壁22cやホルダ後壁22hから離れた状態で保持されている。これにより、ロール紙Rがフラップ61aから上方に抜け出すのを規制できる。
また、記録紙Pのうちロール紙Rから引き出された部分は、フラップローラ61c、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64に案内された状態で、印刷ユニット3に導かれている。
【0062】
なお、小径状態での搬送停止時において、フラップ61aの回動角度θが所定角度に達すると、レバー62aによるニアエンドセンサ62のオン操作が行われる。ニアエンドセンサ62がオン状態となると、ニアエンドセンサ62は制御基板25に向けてオン信号を出力する。制御基板25は、ニアエンドセンサ62からのオン信号を受信すると、ケーシング2に設けられた告知手段(例えば、光源や音源等)を通じてユーザに対してロール紙Rの交換を促す。
【0063】
図10に示す小径状態において、印刷動作が開始されると、プラテンローラ41の回転によりロール紙Rに作用する引張力に応じて、ロール紙Rは排出口33に向けて移動する。具体的に、ロール紙Rに作用する引張力により、フラップ61aが反時計回り方向に回動する。その後、ロール紙Rは、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64の双方に接触することで、前方への移動が規制される。これにより、ロール紙Rは、第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64とに接触しつつ、フラップ61aにより後方に押し込まれた状態で、記録紙Pに対して印刷が行われる。すなわち、プラテンローラ41の回転によって記録紙Pが引き出されていくことで、ロール紙Rは第1ガイドローラ63と第2ガイドローラ64とフラップ61aとに接触した状態で回転する。
【0064】
このように、本実施形態では、ケーシング2のうち印刷ユニット3とロール紙収容部31との間に、軸線O2回りに回動可能に設けられたフラップ61aと、軸線O2回りで排出口33から離れる方向に向けてフラップ61aを付勢する付勢部材61bと、を備えている構成とした。
この構成によれば、フラップ61aによってロール紙Rが排出口33から離間する方向に常時押し込まれることで、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの位置(前後方向や上下方向)が安定し易い。これにより、ライナーレスラベルのように記録紙Pの搬送に大きな引張力が必要な場合であっても、ロール紙Rの外径に影響を受けずに記録紙Pの安定した搬送が可能になる。
しかも、本実施形態では、ロール紙Rの芯材R1を通じてロール紙Rを保持する必要がないので、ロール紙収容部31内へのロール紙Rの出し入れを容易に行うことができるとともに、構成の簡素化を図ることができる。
【0065】
本実施形態では、フラップ61aの先端部に、軸線O3回りに回転可能なフラップローラ61cが設けられている構成とした。
この構成によれば、フラップユニット61の先端部と記録紙Pとの間に作用する摩擦力を軽減し、記録紙Pをスムーズに搬送することができる。
【0066】
本実施形態では、記録紙Pが第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64の間を通じて印刷ユニット3に導かれる構成とした。
この構成によれば、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64により、ロール紙Rから引き出される記録紙Pの移動範囲を制限することができる。これにより、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの位置に関わらず、記録紙Pが印刷ユニット3に対して所定角度の範囲内で導かれる。これにより、記録紙Pを印刷ユニット3に向けて安定して供給することができる。
【0067】
本実施形態において、第1ガイドローラ63は、第2ガイドローラ64に比べて軟材質により形成されている構成とした。
この構成によれば、ロール紙Rが接触した際に第1ガイドローラ63に作用する衝撃を緩和し易い。これにより、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの移動に伴う異音の発生等を抑制できる。
【0068】
本実施形態において、ニアエンドセンサ62は、フラップ61aに接続されるとともに、フラップ61aの回動に応じてオン位置及びオフ位置の間を回動可能なレバー62aを備えている構成とした。
この構成によれば、フラップ61aに連動してニアエンドセンサ62のレバー62aが回動することで、フラップ61aの回動角度に応じてニアエンドセンサ62のオン状態及びオフ状態が切り替えられる。これにより、フラップユニット61とは別にレバー62aの操作機構を設ける場合に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
【0069】
本実施形態では、左右方向に移動可能に構成されるとともに、ロール紙Rに左右方向の両側から当接するガイド壁51を有し、ロール紙収容部31内でロール紙Rの中心軸に沿う左右方向(第1方向)で位置決めする位置決め機構4を備えている。
この構成によれば、ロール紙Rがガイド壁51に当接することで、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの左右方向の移動を規制できる。そのため、ロール紙Rの紙幅に合わせてガイド壁51を移動させることで、ロール紙Rの紙幅によらずロール紙収容部31内でのロール紙Rの左右方向での移動を抑制できる。その結果、印刷のずれや、ロール紙収容部31内でのロール紙Rの移動に伴う異音の発生等を抑制できる。
【0070】
本実施形態では、可動刃48の刃先48aにおいて、左右方向の中央部には、刃先48aに対して窪む凹部48bが形成されている構成とした。
この構成によれば、記録紙Pが凹部48bの底部に接触しないように切断されることで、記録紙Pのうち凹部48bと向かい合う部分に切断残りが形成される。これにより、記録紙Pとしてライナーレスラベルを用いた場合であっても、切断された記録紙Pが予期せぬ場所に付着するのを抑制できる。
特に、本実施形態では、上述したように位置決め機構4を備えていることから、ロール紙Rにおける左右方向の中心が、ロール紙収容部31内における左右方向の中心付近に位置決めされる。その結果、ロール紙Rの紙幅によらず、記録紙Pにおける左右方向の中心付近に切断残りを発生させることができる。
【0071】
(その他の変形例)
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上述した実施形態では、ドロップイン方式(投入方式)のサーマルプリンタ1を例にして説明したが、この構成に限られない。サーマルプリンタ1は、芯材R1を通じてロール紙Rを回転可能に支持する軸支式であってもよい。
上述した実施形態では、記録紙Pとしてライナーレスラベルを用いた場合について説明したが、この構成に限られない。
上述した実施形態では、排出口33が前方に向けて開口する構成について説明したが、この構成に限られない。排出口33は、任意の方向を向いて形成されていてもよい。
上述した実施形態では、プラテンローラ41や固定刃47がボトムユニット10側に設けられ、サーマルヘッド42や可動刃48がカバー11側に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。プラテンローラ41や固定刃47がカバー11側に設けられ、サーマルヘッド42や可動刃48がボトムユニット10側に設けられてもよく、印刷ユニット3全体がボトムユニット10及びカバー11の何れかに設けられていてもよい。また、カッターユニット43は、必須の構成ではない。
【0072】
上述した実施形態では、フラップユニット61がボトムユニット10側に設けられた構成について説明したが、この構成に限られない。フラップユニット61は、カバー11側に回動可能に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、フラップユニット61がロール紙Rの中心軸に沿う軸線O2回りに回動する構成について説明したが、この構成に限られない。フラップユニット61は、上下方向に沿う軸線回りに回動する構成であってもよい。
上述した実施形態では、フラップ61aの先端部にフラップローラ61cが設けられた構成について説明したが、フラップ61aの先端部以外の部分にフラップローラ61cを設けてもよい。この場合、フラップローラ61cは、複数設けられていてもよい。但し、フラップローラ61cは、必須の構成ではない。
【0073】
上述した実施形態では、紙保持機構5として、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64を備える構成について説明したが、この構成に限られない。紙保持機構5は、第1ガイドローラ63及び第2ガイドローラ64の何れか一方のローラのみを有する構成でもよく、3本以上のローラを有する構成であってもよい。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1:サーマルプリンタ
2:ケーシング
3:印刷ユニット
4:位置決め機構
31:ロール紙収容部
33:排出口
41:プラテンローラ
42:サーマルヘッド
47:固定刃
48:可動刃
48a:刃先
48b:凹部
61a:フラップ
61b:付勢部材
61c:フラップローラ
62a:レバー
63:第1ガイドローラ
64:第2ガイドローラ
O2:軸線(第1軸線)
O3:軸線(第2軸線)
O4:軸線(第3軸線)
O5:軸線(第4軸線)
P:記録紙
R:ロール紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10