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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173650
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
A61M25/09 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079480
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】杉田 秀次
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267BB31
4C267CC08
4C267CC18
4C267HH04
(57)【要約】
【課題】 柔軟性を増大させた場合にも、繰り返し曲げに対する耐久性を向上させたガイドワイヤ、さらには、コアシャフトを中空にした場合には、加えて、コアシャフトの動きを極力阻害しないようにしたガイドワイヤを提供する。
【解決手段】 ガイドワイヤ1は、1本のスリット37が第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト31と、その中空の第1のコアシャフト31の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27と、を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接するスリット37間の長さX1以下とした。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本のスリットが第1の方向に形成された第1のコアシャフトと、
その第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、
を備え、
前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
1本のスリットが第1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフトと、
その中空の第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、
を備え、
前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項3】
前記第1のコイル体の撚り角を、前記スリットの前記中空の第1のコアシャフトの長手方向に対する角度よりも大きくしたことを特徴とする請求項2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記第1の方向に交差する方向は、前記第1の方向に対して垂直な方向であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載のガイドワイヤ。
【請求項5】
前記第1のコイル体を覆う第2のコイル体またはブレードを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載のガイドワイヤ。
【請求項6】
センサーと、
そのセンサーの検出物である液体を流入または流出する2つの開口部を有し、前記センサー及び前記センサーのケーブルを内部に収納する中空管状体と、
その中空管状体の先端に接続された第3のコアシャフトと、
その第3のコアシャフトを覆う第3のコイル体と、
前記第3のコアシャフトの先端と、前記第3のコイル体の先端とを固着する先端チップと、
を備え、
前記中空管状体には、前記開口部の基端側に第1の方向に螺旋状に延びる1本のスリットが形成されており、
前記中空管状体の前記スリットが形成された領域の外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体を備え、
前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とするガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用のガイドワイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療や検査のために、血管、消化管、尿管等の管状器官や体内組織に挿入して使用されるカテーテル等を案内するためにガイドワイヤが使用されてきた。
【0003】
そして、ガイドワイヤは、カテーテル等の先端に突出した状態でカテーテル等を案内するため、管状器官や体内組織に直接接触することが通常である。したがって、ガイドワイヤには、それら管状器官や体内組織を傷つけないために、優れた柔軟性が要求されてきた。
【0004】
例えば、特許文献1には、コアシャフト(コア部2A)と、そのコアシャフトの先端を覆うコイル体(コイル部6)とを備えたガイドワイヤ(ガイドワイヤ1)が記載されている。そして、コアシャフトは、基端側に形成された本体部3と、先端側に形成された平板部5とを備え、平板部5には、板幅方向の一端から他端側に延びる第1スリットと、板幅方向の他端から一端側に延びる第2スリットとが形成され、血管壁を傷つけないように柔軟な構造となっている(図2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-067374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のガイドワイヤにおいては、血管壁を傷つけないように、先端部の柔軟性が増大されているものの、操作者の手技中におけるガイドワイヤの繰り返し曲げに対する耐久性が十分でないといった問題があった。
【0007】
この点は、特許文献1に記載のガイドワイヤのみならず、内部にセンサーが配置されるような、中空のコアシャフトを有するガイドワイヤにおいても同様の問題があった。
【0008】
一方、中空のコアシャフトを有するガイドワイヤにおいては、そもそも中空のコアシャフト自体の柔軟性が、特許文献1に記載のガイドワイヤのコアシャフトに比べ低下していることから、この種のガイドワイヤについては、その点も加味して設計されることが望ましい。
【0009】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、柔軟性を増大させた場合にも、繰り返し曲げに対する耐久性を向上させたガイドワイヤ、さらには、コアシャフトを中空にした場合には、加えて、コアシャフトの動きを極力阻害しないようにしたガイドワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様のガイドワイヤは、1本のスリットが第1の方向に形成された第1のコアシャフトと、その第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、を備え、前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様のガイドワイヤは、1本のスリットが第1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフトと、その中空の第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、を備え、前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様は、第2の態様に記載のガイドワイヤにおいて、前記第1のコイル体の撚り角を、前記スリットの前記中空の第1のコアシャフトの長手方向に対する角度よりも大きくしたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様は、第1の態様乃至第3の態様の何れかに記載のガイドワイヤにおいて、前記第1の方向に交差する方向は、前記第1の方向に対して垂直な方向であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様乃至第4の態様の何れかに記載のガイドワイヤにおいて、前記第1のコイル体を覆う第2のコイル体またはブレードを備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の第6の態様のガイドワイヤは、センサーと、そのセンサーの検出物である液体を流入または流出する2つの開口部を有し、前記センサー及び前記センサーのケーブルを内部に収納する中空管状体と、その中空管状体の先端に接続された第3のコアシャフトと、その第3のコアシャフトを覆う第3のコイル体と、前記第3のコアシャフトの先端と、前記第3のコイル体の先端とを固着する先端チップと、を備え、前記中空管状体には、前記開口部の基端側に第1の方向に螺旋状に延びる1本のスリットが形成されており、前記中空管状体の前記スリットが形成された領域の外周を覆い、素線を前記第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体を備え、前記第1のコイル体を形成する前記素線の外径を、隣接する前記スリット間の長さ以下としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様のガイドワイヤによれば、1本のスリットが第1の方向に形成された第1のコアシャフトと、その第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、を備え、第1のコイル体を形成する素線の外径を、隣接するスリット間の長さ以下としたので、ガイドワイヤが湾曲した場合においても、第1のコアシャフトが第1のコイル体に接触することにより、第1のコアシャフトに対する応力が低減され、第1のコアシャフトにスリットを形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の第2の態様のガイドワイヤによれば、1本のスリットが第1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフトと、その中空の第1のコアシャフトの外周を覆い、素線を第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体と、を備え、第1のコイル体を形成する素線の外径を、隣接するスリット間の長さ以下としたので、ガイドワイヤが湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフトが第1のコイル体に接触することにより、中空の第1のコアシャフトに対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフトにスリットを形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の第3の態様によれば、第2の態様のガイドワイヤにおいて、第1のコイル体の撚り角を、スリットの中空の第1のコアシャフトの長手方向に対する角度よりも大きくしたので、第2の態様のガイドワイヤの効果に加え、中空の第1のコアシャフトの動きを極力阻害しないようにすることができる。
【0019】
また、本発明の第4の態様によれば、第1の態様乃至第3の態様の何れかに記載のガイドワイヤにおいて、第1の方向に交差する方向は、第1の方向に対して垂直な方向であるので、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0020】
また、本発明の第5の態様によれば、第1の態様乃至第4の態様の何れかに記載のガイドワイヤにおいて、第1のコイル体を覆う第2のコイル体またはブレードを備えているので、第1のコアシャフトに対する応力がさらに低減され、第1のコアシャフトにスリットを形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0021】
さらに、本発明の第6の態様のガイドワイヤによれば、センサーと、そのセンサーの検出物である液体を流入または流出する2つの開口部を有し、センサー及びセンサーのケーブルを内部に収納する中空管状体と、その中空管状体の先端に接続された第3のコアシャフトと、その第3のコアシャフトを覆う第3のコイル体と、第3のコアシャフトの先端と、第3のコイル体の先端とを固着する先端チップと、を備え、中空管状体には、開口部の基端側に第1の方向に螺旋状に延びる1本のスリットが形成されており、中空管状体のスリットが形成された領域の外周を覆い、素線を第1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体を備え、第1のコイル体を形成する素線の外径を、隣接するスリット間の長さ以下としたので、ガイドワイヤが湾曲した場合においても、センサーに負荷をかけることなく、センサーの先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ全体の湾曲状態を確保し、センサーの基端側においては、中空管状体が第1のコイル体に接触することにより、中空管状体に対する応力が低減され、中空管状体にスリットを形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態のガイドワイヤの全体図である。
図2】第1実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
図3図2のA部一部切り欠け拡大図である。
図4】第1実施形態のガイドワイヤを湾曲させた場合の遷移部の縦断面図である。
図5】第2実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
図6】第3実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
図7】第4実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
図8】第5実施形態のガイドワイヤの全体図である。
図9】第5実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
図10】第6実施形態のガイドワイヤの全体図である。
図11】第6実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
図12】第7実施形態のガイドワイヤの全体図である。
図13】第7実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
図14図13のB部一部切り欠け拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0024】
(第1実施形態)
先ず、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態のガイドワイヤの全体図であり、図2は、第1実施形態のガイドワイヤの縦断面図であり、図3は、図2のA部一部切り欠け拡大図である。
【0025】
なお、本実施形態及び後述する実施形態に使用する図面は、理解を容易にするために誇張して表現されており、その寸法は実際の寸法とは異なる。
【0026】
また、本実施形態及び後述する実施形態において記載するガイドワイヤを構成する素線は、断面円形の素線が使用されており、ガイドワイヤの軸方向に切断した実際の素線の断面は、素線の撚り角に応じて若干楕円形状となるが、説明の都合上、図面のおいては、素線の撚り角に対して直角に切断した円形断面の素線として記載する。
【0027】
図1及び図2に示すように、本実施形態のガイドワイヤ1は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部25と、その遷移部25の基端に接続された近位部41とを備える。
【0028】
遠位部5は、第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11の先端部との間に第3の空隙部2を形成するように、第3のコアシャフト11の先端部を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と第3のコイル体7の先端とを接続する先端チップ3と、その先端チップ3及び第3のコイル体7の外周を覆う第3のコーティング剤9とから構成されている。
【0029】
遠位部5の第3のコアシャフト11は、その基端側を形成し、先端に第3のテーパ部14を有する横断面略円形の第3のコアシャフト基端部15と、第3のテーパ部14の先端から連続して形成され、第3のコアシャフト11の先端側を形成する、横断面略円形かつ外径が先端先細りの第3のコアシャフト先端部13とを備え、第3のコアシャフト先端部13の先端は先端チップ3に接続され、第3のコアシャフト基端部15の基端側は、センサー部18の先端に接続されている。
【0030】
遠位部5の第3のコイル体7は、7a、7b、7c、7d及び7eの5本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻きの撚線であり、その先端は先端チップ3に接続され、その基端は、第3のテーパ部14に接続されている。
【0031】
なお、第3のコアシャフト11及び第3のコイル体7を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0032】
遠位部5の先端チップ3は、第3のコアシャフト11の先端と第3のコイル体7の先端とを接続するものであって、その材料は、金錫ロウ材、銀錫ロウ材等、生体適合性を有するロウ材であれば特に限定されないが、本実施形態では銀錫ロウ材が使用されている。
【0033】
遠位部5の第3のコーティング剤9は、先端チップ3及び第3のコイル体7の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、シリコン含有樹脂が使用されている。
【0034】
センサー部18は、圧力センサー19(本発明の「センサー」に相当)と、その圧力センサー19を収納する収納部17と、圧力センサー19に電気的に接続されたセンサーケーブル20と、センサーケーブル20を収納部17(本発明の「中空管状体」の一部に相当)に固定するための固定部23とを備える。
【0035】
センサー部18の先端には、遠位部5の第3のコアシャフト基端部15の基端側が嵌合され、センサー部18の基端には、後述する遷移部25の第1のコアシャフト31の先端及び第1のコイル体27の先端が接続されている。
【0036】
圧力センサー19は、円筒形状を呈し、開口部21aまたは開口部21bから流入してきた血液等の体液の圧力を検出するためのセンサーであり、センサーケーブル20を固定部23によって収納部17に固定することにより固定されている。
【0037】
収納部17は、基端側に縮径した中空円筒形状を呈し、側面に血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液を流入出させる2つの開口部21a及び21bを有するとともに、内部に第4の空隙部12を有し、その第4の空隙部12内に圧力センサー19を収納するように構成されている。
【0038】
センサーケーブル20は、光ファイバーで構成されており、後述する遷移部25及び近位部41の内部を通ってガイドワイヤ1の基端から外部に延伸し、圧力センサー19により検出された圧力情報を、ガイドワイヤ1の外部に設置された図示しない制御装置に伝達し、ガイドワイヤ1の外部に設置された図示しない表示装置に表示するように構成されている。
【0039】
遷移部25は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト31と、その第1のコアシャフト31との間に第1の空隙部22を形成するように、第1のコアシャフト31の外周を覆う第1のコイル体27と、第1のコイル体27の外周を覆う第1のコーティング剤29とを備える。
【0040】
遷移部25の中空の第1のコアシャフト31は、先端から基端までの内径が均一の中空管状体であって、その基端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が一定の第1のコアシャフト基端部33と、第1のコアシャフト基端部33の先端から連続して形成され、第1のコアシャフト31の先端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が先端先細りの第1のコアシャフト先端部35とを備え、第1のコアシャフト先端部35の先端は収納部17の基端に接続され、第1のコアシャフト基端部33の基端は、近位部41の先端に接続されている。
【0041】
また、図3に示すように、第1のコアシャフト31には、第1のコアシャフト31の断面を貫通する所定幅の1本のスリット37が、第1のコアシャフト31の先端から基端まで、第1のコアシャフト31の長手方向に対して均一の角度θS1の方向(本発明の「第1の方向」に相当)かつ均一の幅X1で螺旋状に形成されている。
【0042】
すなわち、第1のコアシャフト31は、所定スリット幅のスリット37と、スリット37によって切断された幅X1の短冊34とを備える。
【0043】
なお、第1のコアシャフト31に形成されるスリット37のスリット幅は、10μm~数mm程度に設定可能であるが、本実施形態及び後述する実施形態においては、スリット幅=50μmである。
【0044】
また、短冊34の幅X1についても、10μm~数cm程度に設定可能であるが、本実施形態では、幅(スリット37間の長さ)X1=500μmである。
【0045】
遷移部25の第1のコイル体27は、27a、27b、27c、27d及び27eの5本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻き、かつ撚り角θW1の撚線であり、第1のコイル体27の先端は、ロウ材38によって収納部17の基端に接続され、第1のコイル体27の基端は、ロウ材39によって後述する繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0046】
なお、本実施形態において、第1のコイル体27の撚り角θW1と、スリット37の第1のコアシャフト31の長手方向に対する角度θS1は、向きが異なるものの、同一角度である。
【0047】
また、第1のコイル体27を構成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1は、後述するように、幅(スリット37間の長さ)X1=500μm以下にすることが望ましく、本実施形態では、より効果を顕著にするために、外径30μmの素線が使用されている。
【0048】
なお、第1のコアシャフト31及び第1のコイル体27を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0049】
遷移部25の第1のコーティング剤29は、第1のコイル体27の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0050】
なお、収納部17及び第1のコアシャフト31が本発明の「中空管状体」に相当する。
【0051】
近位部41は、センサーケーブル20との間に第5の空隙部42を形成するように配置されており、中空円筒形状を呈し、基端に配置された把持部49と、その把持部49の先端側に連続して形成された第2の中空円筒部43と、その第2の中空円筒部43の先端側に連続して形成された先端先細りの第2の中空テーパ部45と、その第2の中空テーパ部45の先端側に連続して形成された第2の先端中空円筒部47と、その先端中空円筒部47と第1のコアシャフト31とを接続する繋ぎ部材48とを備える。
【0052】
なお、把持部49、第2の中空円筒部43、第2の中空テーパ部45、第2の先端中空円筒部47及び繋ぎ部材48を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0053】
次に、本実施形態のガイドワイヤ1を湾曲させた場合について説明する。図4は、第1実施形態のガイドワイヤを湾曲させた場合の遷移部の縦断面図である。
【0054】
上述のように、第1のコイル体27を構成する素線は、27a、27b、27c、27d及び27eの5本であり、短冊34は1本であり、スリット37も1本であるが、図4の説明の都合上、湾曲外側の素線を図面左側から素線27p1、27p2、27p3、・・・27p11とし、湾曲内側の素線を図面左側から素線27q1、27q2、27q3、・・・27q11とし、湾曲外側のスリットを図面左側からスリット37p1、37p2、37p3、・・・37p7とし、湾曲内側のスリットを図面左側からスリット37q1、37q2、37q3、・・・37q7とし、湾曲外側の短冊34を図面左側から短冊34p1、34p2、34p3、・・・34p8とし、湾曲内側の短冊34を図面左側から短冊34q1、34q2、34q3、・・・34q8とする。
【0055】
図4に示すように、ガイドワイヤ1を湾曲させた場合には、先ず、湾曲内側のスリット37q1、37q2、37q3、・・・37q7が閉じ、湾曲外側のスリット37p1、37p2、37p3、・・・37p7が拡がる。
【0056】
ここで、第1のコアシャフト31の短冊34は、第1のコアシャフト31の長軸方向(図4の左右方向)に延び、その長軸方向に垂直な方向(紙面の表裏方向)に湾曲していることから、ガイドワイヤ1を湾曲させた場合には、第1のコアシャフト31の一部が座屈し、短冊34の端部または一部が第1のコイル体27を構成する素線に接触する。
【0057】
図4を参照して言い換えれば、短冊34p1、34p2、34p3、・・・34p8、34q1、34q2、34q3、・・・34q8の端部または一部が、素線27p1、27p2、27p3、・・・27p11、27q1、27q2、27q3、・・・27q11のいずれかと接触することとなる。
【0058】
図4は、湾曲外側において、短冊34p1が素線27p1に、短冊34p2が素線27p2に、短冊34p3が素線27p3及び素線27p4に、短冊34p4が素線27p5に、短冊34p5が素線27p7に、短冊34p6が素線27p8に、短冊34p7が素線27p9及び素線27p10に、短冊34p8が素線27p11に、それぞれ接触している状態を例示として示している。
【0059】
また、図4は、湾曲内側において、短冊34q1が素線27q1及び素線27q2に、短冊34q2が素線27q2及び素線27q3に、短冊34q3が素線27p4に、短冊34q4が素線27q5及び素線27q6に、短冊34q5が素線27q7に、短冊34q6が素線27q8に、短冊34q7が素線27q9に、短冊34q8が素線27q11に、それぞれ接触している状態を例示として示している。
【0060】
これらの接触は、第1のコアシャフト31の極度の座屈を防止し、第1のコアシャフト31に対する応力を素線に分散させることにより、第1のコアシャフト31の繰り返し曲げに対する耐久性を向上させることになる。
【0061】
そして、素線を第1のコアシャフト31の短冊34に確実に接触させるためには、素線と短冊34(またはスリット37)とが交差する方向を考慮した場合には、素線の外径を短冊34の幅(隣接するスリット37間の長さ)以下にすることが望ましい。
【0062】
一方、素線の外径が短冊34の幅(隣接するスリット37間の長さ)よりも大きい場合には、第1のコアシャフト31のすべての短冊34に素線が接触しない場合があり、第1のコアシャフト31の座屈を防止する効果が損なわれ、延いては、第1のコアシャフト31の繰り返し曲げに対する耐久性が低下することとなる。
【0063】
なお、本実施形態では、第1のコイル体27を構成する素線の本数を5本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0064】
本実施形態のガイドワイヤ1によれば、1本のスリット37が第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト31と、その中空の第1のコアシャフト31の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27と、を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接するスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ1が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、中空の第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態のガイドワイヤ1によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト31と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1の第1のコアシャフト31には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びる1本のスリット37が形成されており、第1のコアシャフト31のスリット37が形成された領域の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接するスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ1が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ1全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤ1の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、第2実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
【0067】
なお、本実施形態におけるガイドワイヤ50は、遷移部を除いて第1実施形態におけるガイドワイヤ1と基本的に同一であるため、第1実施形態と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0068】
図5に示すように、本実施形態のガイドワイヤ50は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部55と、その遷移部55の基端に接続された近位部41とを備える。
【0069】
遷移部55は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト61(本発明の「コアシャフト」に相当)と、その第1のコアシャフト61との間に第1の空隙部52を形成するように、第1のコアシャフト61の外周を覆う第1のコイル体57と、第1のコイル体57の外周を覆う第1のコーティング剤59とを備える。
【0070】
遷移部55の中空の第1のコアシャフト61は、先端から基端までの内径が均一の中空管状体であって、その基端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が一定の第1のコアシャフト基端部63と、第1のコアシャフト基端部63の先端から連続して形成され、第1のコアシャフト61の先端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が先端先細りの第1のコアシャフト先端部65とを備え、第1のコアシャフト先端部65の先端は収納部17の基端に接続され、第1のコアシャフト基端部63の基端は、近位部41の先端に接続されている。
【0071】
また、第1のコアシャフト61には、第1のコアシャフト61の断面を貫通する、基端から先端に向かって幅が減少する1本のスリット67が第1のコアシャフト61の長手方向に向かって螺旋状に形成されている。
【0072】
したがって、スリット67によって切断された短冊64の幅は、基端から先端に向かって減少し、最先端における短冊64の幅はX2であり、本実施形態では、X2=100μmである。
【0073】
また、スリット67の角度は、基端側では、第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2bの方向(本発明の「第1の方向」に相当)であって、先端側では、第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2bよりも大きな角度θS2aの方向(本発明の「第1の方向」に相当)である。
【0074】
遷移部55の第1のコイル体57は、57a、57b、57c、57d及び57eの5本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻き、かつ撚り角θW2の撚線であり、第1のコイル体57の先端は、ロウ材38によって収納部17の基端に接続され、第1のコイル体57の基端は、ロウ材39によって繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0075】
なお、本実施形態において、第1のコイル体57の撚り角θW2と、スリット57の第1のコアシャフト61の長手方向に対する角度θS2a及びθS2bは、それぞれ交差する関係にあり、向きが異なる。
【0076】
また、第1のコイル体57を構成する素線57a、57b、57c、57d及び57eの外径D2は、第1実施形態の第1のコイル体27と同様に、幅(スリット67間の長さ)の最小値X2=100μm以下にすることが望ましく、本実施形態では、より効果を顕著にするために、外径30μmの素線が使用されている。
【0077】
なお、第1のコアシャフト61及び第1のコイル体57を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0078】
遷移部55の第1のコーティング剤59は、第1のコイル体57の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0079】
なお、収納部17及び第1のコアシャフト61が本発明の「中空管状体」に相当する。
【0080】
ここで、本実施形態の第1のコアシャフト61を湾曲させた場合には、第1のコアシャフト61の短冊64は、図4と同様に、第1のコアシャフト61の一部が座屈し、短冊64の端部または一部が素線に接触する。
【0081】
そして、素線を第1のコアシャフト61の短冊64に確実に接触させるためには、素線と短冊64(またはスリット67)とが交差する方向を考慮した場合には、素線の外径を短冊64の最小幅X2(隣接するスリット67間の長さ)以下にすることが望ましい。
【0082】
一方、素線の外径を短冊64の最小幅(隣接するスリット67間の長さ)よりも大きくした場合には、第1のコアシャフト61のすべての短冊64、本実施形態の場合には、特に先端側の短冊64に素線が接触しない場合があり、第1のコアシャフト61の座屈を防止する効果が損なわれ、延いては、第1のコアシャフト61の繰り返し曲げに対する耐久性が低下することとなる。
【0083】
なお、本実施形態では、第1のコイル体57を構成する素線の本数を5本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0084】
本実施形態のガイドワイヤ50によれば、1本のスリット67が第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2a~θS2bの方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト61と、その中空の第1のコアシャフト61の外周を覆い、素線57a、57b、57c、57d及び57eを、第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2a~θS2bの方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体57と、を備え、第1のコイル体57を形成する素線57a、57b、57c、57d及び57eの外径D2を、隣接するスリット67間の長さの最小値X2以下としたので、ガイドワイヤ50が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト61が第1のコイル体57に接触することにより、中空の第1のコアシャフト61に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト61にスリット67を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態のガイドワイヤ50によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト61と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1のコアシャフト61には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2a~θS2bの方向に螺旋状に延びる1本のスリット67が形成されており、第1のコアシャフト61のスリット67が形成された領域の外周を覆い、素線57a、57b、57c、57d及び57eを、第1のコアシャフト61の長手方向に対して角度θS2a~θS2bの方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体57を備え、第1のコイル体57を形成する素線57a、57b、57c、57d及び57eの外径D2を、隣接する最小のスリット67間の長さX2以下としたので、ガイドワイヤ50が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ50全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト61が第1のコイル体57に接触することにより、第1のコアシャフト61に対する応力が低減され、第1のコアシャフト61にスリット67を形成してガイドワイヤ50の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0086】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図6は、第3実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
【0087】
なお、本実施形態におけるガイドワイヤ70は、遷移部を除いて第1実施形態におけるガイドワイヤ1と基本的に同一であるため、第1実施形態と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0088】
図6に示すように、本実施形態のガイドワイヤ70は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部75と、その遷移部75の基端に接続された近位部41とを備える。
【0089】
遷移部75は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト81と、その第1のコアシャフト81との間に第1の空隙部72を形成するように、第1のコアシャフト81の外周を覆う第1のコイル体77と、第1のコイル体77の外周を覆う第1のコーティング剤79とを備える。
【0090】
遷移部75の中空の第1のコアシャフト81は、先端から基端までの内径が均一の中空管状体であって、その基端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が一定の第1のコアシャフト基端部83と、第1のコアシャフト基端部83の先端から連続して形成され、第1のコアシャフト81の先端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が先端先細りの第1のコアシャフト先端部85とを備え、第1のコアシャフト先端部85の先端は収納部17の基端に接続され、第1のコアシャフト基端部83の基端は、近位部41の先端に接続されている。
【0091】
また、第1のコアシャフト81には、第1のコアシャフト81の断面を貫通する所定幅の1本のスリット87が、第1のコアシャフト81の先端から基端まで、第1のコアシャフト81の長手方向に対して均一の角度θS3の方向(本発明の「第1の方向」に相当)かつ均一の幅X3で螺旋状に形成されている。
【0092】
すなわち、第1のコアシャフト81は、所定スリット幅のスリット87と、スリット87によって切断された幅X3の短冊84とを備える。
【0093】
なお、短冊84の幅X3については、10μm~数cm程度に設定可能であるが、本実施形態では、幅(スリット87間の長さ)X3=500μmである。
【0094】
遷移部75の第1のコイル体77は、77a、77b、77c、77d及び77eの5本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻き、かつ撚り角θW3の撚線であり、第1のコイル体77の先端は、ロウ材38によって収納部17の基端に接続され、第1のコイル体77の基端は、ロウ材39によって繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0095】
なお、本実施形態において、第1のコイル体77の撚り角θW3と、スリット87の第1のコアシャフト81の長手方向に対する角度θS3とは、向きが異なるものの、第1のコイル体77の撚り角θW3の方が、スリット87の第1のコアシャフト81の長手方向に対する角度θS3よりも大きく設定されている。
【0096】
これは、第1のコアシャフト81が湾曲する際に、第1のコアシャフト81の動きが第1のコイル体77によって極力阻害されないようにするためである。
【0097】
また、コイル体77を構成する素線77a、77b、77c、77d及び77eの外径D3は、第1実施形態の第1のコイル体27と同様に、幅(スリット87間の長さ)のX3=500μm以下にすることが望ましく、本実施形態では、より効果を顕著にするために、外径30μmの素線が使用されている。
【0098】
なお、第1のコアシャフト81及び第1のコイル体77を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0099】
遷移部75の第1のコーティング剤79は、第1のコイル体77の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0100】
なお、収納部17及び第1のコアシャフト81が本発明の「中空管状体」に相当する。
【0101】
ここで、本実施形態の第1のコアシャフト81を湾曲させた場合には、第1のコアシャフト81の短冊84は、図4と同様に、第1のコアシャフト81の一部が座屈し、短冊84の端部または一部が素線に接触する。
【0102】
そして、素線を第1のコアシャフト81の短冊84に確実に接触させるためには、素線と短冊84(またはスリット87)とが交差する方向を考慮した場合には、素線の外径を短冊84の幅X3(隣接するスリット87間の長さ)以下にすることが望ましい。
【0103】
一方、素線の外径を短冊84の幅X3(隣接するスリット87間の長さ)よりも大きくした場合には、第1のコアシャフト81のすべての短冊84に素線が接触しない場合があり、第1のコアシャフト81の座屈を防止する効果が損なわれ、延いては、第1のコアシャフト81の繰り返し曲げに対する耐久性が低下することとなる。
【0104】
なお、本実施形態では、第1のコイル体77を構成する素線の本数を5本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0105】
本実施形態のガイドワイヤ70によれば、1本のスリット87が第1のコアシャフト81の長手方向に対して角度θS3の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト81と、その中空の第1のコアシャフト81の外周を覆い、素線77a、77b、77c、77d及び77eを、第1のコアシャフト81の長手方向に対して角度θS3の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体77と、を備え、第1のコイル体77を形成する素線77a、77b、77c、77d及び77eの外径D3を、隣接するスリット87間の長さX3以下としたので、ガイドワイヤ70が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト81が第1のコイル体77に接触することにより、中空の第1のコアシャフト81に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト81にスリット87を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0106】
また、本実施形態のガイドワイヤ70によれば、第1のコイル体77の撚り角θW3を、スリット87の中空の第1のコアシャフト81の長手方向に対する角度θS3よりも大きくしたので、中空の第1のコアシャフト81の動きを極力阻害しないようにすることができる。
【0107】
さらに、本実施形態のガイドワイヤ70によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト81と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1のコアシャフト81には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト81の長手方向に対して角度θS3の方向に螺旋状に延びる1本のスリット87が形成されており、第1のコアシャフト81のスリット87が形成された領域の外周を覆い、素線77a、77b、77c、77d及び77eを、第1のコアシャフト81の長手方向に対して角度θS3の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体77を備え、第1のコイル体77を形成する素線77a、77b、77c、77d及び77eの外径D3を、隣接するスリット87間の長さX3以下としたので、ガイドワイヤ70が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ70全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト81が第1のコイル体77に接触することにより、第1のコアシャフト81に対する応力が低減され、第1のコアシャフト81にスリット87を形成してガイドワイヤ70の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0108】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図7は、第4実施形態のガイドワイヤ遷移部の拡大図である。
【0109】
なお、本実施形態におけるガイドワイヤ90は、遷移部を除いて第1実施形態におけるガイドワイヤ1と基本的に同一であるため、第1実施形態と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0110】
図7に示すように、本実施形態のガイドワイヤ90は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部95と、その遷移部95の基端に接続された近位部41とを備える。
【0111】
遷移部95は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト101と、その第1のコアシャフト101との間に第1の空隙部92を形成するように、第1のコアシャフト101の外周を覆う第1のコイル体97と、第1のコイル体97の外周を覆う第1のコーティング剤99とを備える。
【0112】
遷移部95の中空の第1のコアシャフト101は、先端から基端までの内径が均一の中空管状体であって、その基端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が一定の第1のコアシャフト基端部103と、第1のコアシャフト基端部103の先端から連続して形成され、第1のコアシャフト101の先端側を形成する、横断面中空略円形かつ外径が先端先細りの第1のコアシャフト先端部105とを備え、第1のコアシャフト先端部105の先端は収納部17の基端に接続され、第1のコアシャフト基端部103の基端は、近位部41の先端に接続されている。
【0113】
また、第1のコアシャフト101には、第1のコアシャフト101の断面を貫通する所定幅の1本のスリット107が、第1のコアシャフト101の先端から基端まで、第1のコアシャフト101の長手方向に対して均一の角度θS4の方向(本発明の「第1の方向」に相当)かつ均一の幅X4で螺旋状に形成されている。
【0114】
すなわち、第1のコアシャフト101は、所定スリット幅のスリット107と、スリット107によって切断された幅X4の短冊104とを備える。
【0115】
なお、短冊104の幅X4については、10μm~数cm程度に設定可能であるが、本実施形態では、幅(スリット107間の長さ)X4=1.0mmである。
【0116】
遷移部95の第1のコイル体97は、97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hの8本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻き、かつ撚り角θW4の撚線であり、第1のコイル体97の先端は、ロウ材38によって収納部17の基端に接続され、第1のコイル体97の基端は、ロウ材39によって繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0117】
なお、本実施形態において、第1のコイル体97の撚り角θW4と、スリット107の第1のコアシャフト101の長手方向に対する角度θS4とは、向きが異なるものの、第1のコイル体97を構成する素線と、スリット107とは垂直に交差するように設定されている。
【0118】
これにより、第1のコアシャフト101が湾曲する際に、第1のコイル体97を構成する素線が短冊104にその単位長さ当たり最大数接触する状態が構成され、ガイドワイヤ90の繰り返し曲げに対するガイドワイヤ90の耐久性がさらに向上することとなる。
【0119】
また、本実施形態において、第1のコイル体97の撚り角θW4と、スリット107の第1のコアシャフト101の長手方向に対する角度θS4とは、向きが異なるものの、第1のコイル体97の撚り角θW4の方が、スリット107の第1のコアシャフト101の長手方向に対する角度θS4よりも大きく設定されている。
【0120】
これは、第3実施形態と同様に、第1のコアシャフト101が湾曲する際に、第1のコアシャフト101の動きが第1のコイル体97によって極力阻害されないようにするためである。
【0121】
また、コイル体97を構成する素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hの外径D4は、第1実施形態の第1のコイル体27と同様に、幅(スリット107間の長さ)のX4=1.0mm以下にすることが望ましく、本実施形態では、より効果を顕著にするために、外径30μmの素線が使用されている。
【0122】
なお、第1のコアシャフト101及び第1のコイル体97を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0123】
遷移部95の第1のコーティング剤99は、第1のコイル体97の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0124】
なお、収納部17及び第1のコアシャフト101が本発明の「中空管状体」に相当する。
【0125】
ここで、本実施形態の第1のコアシャフト101を湾曲させた場合には、第1のコアシャフト101の短冊104は、図4と同様に、第1のコアシャフト101の一部が座屈し、短冊104の端部または一部が素線に接触する。
【0126】
そして、素線を第1のコアシャフト101の短冊104に確実に接触させるためには、素線と短冊104(またはスリット107)とが交差する方向を考慮した場合には、素線の外径を短冊104の幅X4(隣接するスリット107間の長さ)以下にすることが望ましい。
【0127】
一方、素線の外径を短冊104の幅X4(隣接するスリット107間の長さ)よりも大きくした場合には、第1のコアシャフト101のすべての短冊104に素線が接触しない場合があり、第1のコアシャフト101の座屈を防止する効果が損なわれ、延いては、第1のコアシャフト101の繰り返し曲げに対する耐久性が低下することとなる。
【0128】
なお、本実施形態では、第1のコイル体97を構成する素線の本数を8本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0129】
本実施形態のガイドワイヤ90によれば、1本のスリット107が第1のコアシャフト101の長手方向に対して角度θS4の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト101と、その中空の第1のコアシャフト101の外周を覆い、素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hを、第1のコアシャフト101の長手方向に対して角度θS4の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体97と、を備え、第1のコイル体97を形成する素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hの外径D4を、隣接するスリット107間の長さX4以下としたので、ガイドワイヤ90が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト101が第1のコイル体97に接触することにより、中空の第1のコアシャフト101に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト101にスリット107を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0130】
また、本実施形態のガイドワイヤ90によれば、第1のコイル体97を構成する素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hは、スリット107と垂直に交差しているので、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0131】
また、本実施形態のガイドワイヤ90によれば、第1のコイル体97の撚り角θW4を、スリット107の中空の第1のコアシャフト101の長手方向に対する角度θS4よりも大きくしたので、中空の第1のコアシャフト101の動きを極力阻害しないようにすることができる。
【0132】
さらに、本実施形態のガイドワイヤ90によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト101と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1のコアシャフト101には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト101の長手方向に対して角度θS4の方向に螺旋状に延びる1本のスリット107が形成されており、第1のコアシャフト101のスリット107が形成された領域の外周を覆い、素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hを、第1のコアシャフト101の長手方向に対して角度θS4の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体97を備え、第1のコイル体97を形成する素線97a、97b、97c、97d、97e、97f、97g及び97hの外径D4を、隣接する最小のスリット107間の長さX4以下としたので、ガイドワイヤ90が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ90全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト101が第1のコイル体97に接触することにより、第1のコアシャフト101に対する応力が低減され、第1のコアシャフト101にスリット107を形成してガイドワイヤ90の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0133】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0134】
図8は、第5実施形態のガイドワイヤの全体図であり、図9は、第5実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
【0135】
なお、本実施形態のガイドワイヤ100については、第1実施形態のガイドワイヤ1と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0136】
図8及び図9に示すように、本実施形態のガイドワイヤ100は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部125と、その遷移部125の基端に接続された近位部141とを備える。
【0137】
遷移部125は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト31と、その第1のコアシャフト31との間に第1の空隙部22を形成するように、第1のコアシャフト31の外周を覆う第1のコイル体27と、第1のコイル体27の外周を覆う第2のコイル体127と、第2のコイル体127の外周を覆う第1のコーティング剤129とを備える。
【0138】
遷移部125の第2のコイル体127は、127a、127b及び127cの3本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって左巻きの撚線であり、第2のコイル体127の先端は、ロウ材138によって収納部17の基端に接続され、第2のコイル体127の基端は、ロウ材139によって繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0139】
なお、第2のコイル体127を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0140】
本実施形態のガイドワイヤ100においては、スリット37が形成された第1のコアシャフト31を、短冊34の幅以下の外径からなる素線27a、27b、27c、27d及び27eで撚った第1のコイル体27で覆い、かつ第1のコイル体27の外周を第2のコイル体127で覆うことにより、ガイドワイヤ100を湾曲させた場合に、第1のコアシャフト31に対する応力がさらに低減され、第1のコアシャフト31にスリットを形成してガイドワイヤ100の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0141】
遷移部125の第1のコーティング剤129は、第2のコイル体127の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0142】
なお、本実施形態では、第2のコイル体127を構成する素線の本数を3本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0143】
近位部141は、センサーケーブル20との間に第5の空隙部142を形成するように配置されており、中空円筒形状を呈し、基端に配置された把持部143と、その把持部143の先端側に連続して形成された先端先細りの第2の中空テーパ部145と、その第2の中空テーパ部145の先端側に連続して形成された第2の先端中空円筒部147と、その第2の先端中空円筒部147と第1のコアシャフト31とを接続する繋ぎ部材48とを備える。
【0144】
なお、把持部143、第2の中空テーパ部145及び第2の先端中空円筒部147を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0145】
本実施形態のガイドワイヤ100によれば、1本のスリット37が第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト31と、その中空の第1のコアシャフト31の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27と、を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接するスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ1が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、中空の第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0146】
また、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、第1のコイル体27を覆う第2のコイル体127を備えているので、中空の第1のコアシャフト31に対する応力がさらに低減され、第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤ100の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0147】
さらに、本実施形態のガイドワイヤ100によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト31と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1のコアシャフト31には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びる1本のスリット37が形成されており、第1のコアシャフト31のスリット37が形成された領域の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接する最小のスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ100が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ100全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤ100の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0148】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0149】
図10は、第6実施形態のガイドワイヤの全体図であり、図11は、第6実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
【0150】
なお、本実施形態のガイドワイヤ200については、第1実施形態のガイドワイヤ1及び第5実施形態のガイドワイヤ100と同一の部材については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0151】
図10及び図11に示すように、本実施形態のガイドワイヤ200は、血管、消化管、尿管等の管状器官内を流れる体液の圧力を検出するセンサー付きガイドワイヤであって、遠位部5と、その遠位部5の基端に接続されたセンサー部18と、そのセンサー部18の基端に接続された遷移部225と、その遷移部225の基端に接続された近位部141とを備える。
【0152】
遷移部225は、センサーケーブル20との間に第2の空隙部32を形成するように配置された中空の第1のコアシャフト31と、その第1のコアシャフト31との間に第1の空隙部22を形成するように、第1のコアシャフト31の外周を覆う第1のコイル体27と、第1のコイル体27の外周を覆うブレード227と、そのブレード227の外周を覆う第1のコーティング剤229とを備える。
【0153】
遷移部225のブレード227は、227a1、227a2、227a3及び227a4の4本の断面略円形の素線と、227b1、227b2、227b3及び227b4の4本の断面略円形の素線とを編み込んで形成されたものであり、ブレード227の先端は、ロウ材238によって収納部17の基端に接続され、ブレード227の基端は、ロウ材239によって繋ぎ部材48の先端に接続されている。
【0154】
なお、ブレード227を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0155】
本実施形態のガイドワイヤ200においては、スリット37が形成された第1のコアシャフト31を、短冊34の幅以下の外径からなる素線27a、27b、27c、27d及び27eで撚った第1のコイル体27で覆い、かつ第1のコイル体27の外周をブレード227で覆うことにより、ガイドワイヤ200を湾曲させた場合に、第1のコアシャフト31に対する応力がさらに低減され、第1のコアシャフト31にスリットを形成してガイドワイヤ200の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0156】
遷移部225の第1のコーティング剤229は、ブレード227の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0157】
なお、本実施形態では、ブレード227を構成する素線の本数をそれぞれ4本として説明したが、それぞれ1本以上であれば何本であっても良い。
【0158】
本実施形態のガイドワイヤ200によれば、1本のスリット37が第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びて形成された中空の第1のコアシャフト31と、その中空の第1のコアシャフト31の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27と、を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接するスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ200が湾曲した場合においても、中空の第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、中空の第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、中空の第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0159】
また、本実施形態のガイドワイヤ200によれば、第1のコイル体27を覆うブレード227を備えているので、中空の第1のコアシャフト31に対する応力がさらに低減され、第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤ200の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【0160】
さらに、本実施形態のガイドワイヤ200によれば、圧力センサー19と、圧力センサー19の検出物である液体を流入または流出する2つの開口部21a及び21bを有し、圧力センサー19及びセンサーケーブル20を内部に収納する収納部17及び中空の第1のコアシャフト31と、その収納部17の先端に接続された第3のコアシャフト11と、その第3のコアシャフト11を覆う第3のコイル体7と、第3のコアシャフト11の先端と、第3のコイル体7の先端とを固着する先端チップ3と、を備え、第1のコアシャフト31には、開口部21a及び21bの基端側に、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向に螺旋状に延びる1本のスリット37が形成されており、第1のコアシャフト31のスリット37が形成された領域の外周を覆い、素線27a、27b、27c、27d及び27eを、第1のコアシャフト31の長手方向に対して角度θS1の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体27を備え、第1のコイル体27を形成する素線27a、27b、27c、27d及び27eの外径D1を、隣接する最小のスリット37間の長さX1以下としたので、ガイドワイヤ200が湾曲した場合においても、圧力センサー19に負荷をかけることなく、圧力センサー19の先端側及び基端側の湾曲によってガイドワイヤ200全体の湾曲状態を確保し、圧力センサー19の基端側においては、第1のコアシャフト31が第1のコイル体27に接触することにより、第1のコアシャフト31に対する応力が低減され、第1のコアシャフト31にスリット37を形成してガイドワイヤ200の柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0161】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0162】
図12は、第7実施形態のガイドワイヤの全体図であり、図13は、第7実施形態のガイドワイヤの縦断面図であり、図14は、図13のB部一部切り欠け拡大図である。
【0163】
図12及び図13に示すように、本実施形態のガイドワイヤ300は、血管、消化管、尿管等の管状器官内に挿入されるガイドワイヤであって、第1のコアシャフト341と、その第1のコアシャフト341の先端部との間に第1の空隙部322を形成するように、第1のコアシャフト341の外周を覆う第1のコイル体327と、第1のコアシャフト341の先端と第1のコイル体327の先端とを接続する先端チップ303と、その先端チップ303及び第1のコイル体327の外周を覆う第1のコーティング剤329とを備える。
【0164】
第1のコアシャフト341は、中実の棒状体であって、その基端を形成する把持部349と、その把持部349から連続して形成され、把持部349の先端側を形成する、横断面略円形かつ外径が一定の第1のコアシャフト中間部333と、第1のコアシャフト中間部333の先端から連続して形成され、第1のコアシャフト341の先端側を形成する、横断面略円形かつ外径が先端先細りの第1のコアシャフト先端部331とを備え、第1のコアシャフト先端部331の先端は先端チップ303に接続されている。
【0165】
また、図13及び図14に示すように、第1のコアシャフト先端部331には、第1のコアシャフト先端部331の断面を貫通する所定幅の1本のスリット337が、第1のコアシャフト先端部331の先端から基端まで、第1のコアシャフト341の長手方向に対して均一の角度θS5の方向(本発明の「第1の方向」に相当)かつ均一の幅X5で螺旋状に形成されている。
【0166】
すなわち、第1のコアシャフト先端部331は、所定スリット幅のスリット337と、スリット337によって切断された幅X5の短冊334とを備える。
【0167】
なお、第1のコアシャフト先端部331に形成されるスリット337のスリット幅は、10μm~数mm程度に設定可能であるが、本実施形態においては、スリット幅=50μmである。
【0168】
また、短冊334の幅X5についても、10μm~数cm程度に設定可能であるが、本実施形態では、幅(スリット337間の長さ)X5=500μmである。
【0169】
第1のコイル体327は、327a、327b、327c、327d及び327eの5本の断面略円形の素線を撚って形成された、先端に向かって右巻き、かつ撚り角θW5の撚線であり、第1のコイル体327の先端は先端チップ303に接続され、第1のコイル体327の基端は、ロウ材339によって第1のコアシャフト341に接続されている。
【0170】
なお、本実施形態において、第1のコイル体327の撚り角θW5と、スリット337の第1のコアシャフト341の長手方向に対する角度θS5は、向きが異なるものの、同一角度である。
【0171】
また、第1のコイル体327を構成する素線327a、327b、327c、327d及び327eの外径D5は、幅(スリット337間の長さ)X5=500μm以下にすることが望ましく、本実施形態では、より効果を顕著にするために、外径30μmの素線が使用されている。
【0172】
なお、第1のコアシャフト341及び第1のコイル体327を形成する材料は、タングステン、Ni-Ti系合金等、生体適合性を有する材料であれば特に限定されないが、本実施形態では共にステンレス鋼が使用されている。
【0173】
第1のコーティング剤329は、先端チップ303及び第1のコイル体327の外周を覆うものであって、その材料は、例えば、ポリウレタン、シリコン含有樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、無水マレイン酸系共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンまたはその共重合体、(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)―スチレンブロック共重合体、各種合成ポリペプチド、コラーゲン、ヒアルロン酸、セルロース系ポリマー、およびこれらの混合物等を使用することが可能であるが、本実施形態では、ポリウレタンまたはポリビニルピロリドンが使用されている。
【0174】
なお、本実施形態では、第1のコイル体327を構成する素線の本数を5本として説明したが、1本以上であれば何本であっても良く、撚線でなく単線によるコイル体であっても良い。
【0175】
本実施形態のガイドワイヤ300によれば、1本のスリット337が第1のコアシャフト341の長手方向に対して角度θS5の方向に螺旋状に延びて形成された第1のコアシャフト341と、その第1のコアシャフト341の外周を覆い、素線327a、327b、327c、327d及び327eを、第1のコアシャフト341の長手方向に対して角度θS5の方向と交差する方向に撚って形成された第1のコイル体327と、を備え、第1のコイル体327を形成する素線327a、327b、327c、327d及び327eの外径D5を、隣接するスリット337間の長さX5以下としたので、ガイドワイヤ300が湾曲した場合においても、第1のコアシャフト341が第1のコイル体327に接触することにより、第1のコアシャフト341に対する応力が低減され、第1のコアシャフト341にスリット337を形成してガイドワイヤの柔軟性を増大させた場合にも、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性を向上させることができる。
【0176】
以上、本発明の各種実施形態のガイドワイヤについて説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0177】
例えば、第7実施形態のガイドワイヤ300においては、第1のコアシャフト先端部331の断面を貫通する1本のスリット337が、第1のコアシャフト先端部331の先端から基端まで同一幅であるとして説明したが、第2実施形態のガイドワイヤ50のスリット67のように、スリット337が基端から先端に向かってその幅が減少するスリットとして形成しても良い。
【0178】
その場合には、第1のコイル体327を構成する素線327a~327eの外径を短冊334の最小幅(隣接するスリット337間の長さ)以下にすることが望ましい。
【0179】
また、第7実施形態のガイドワイヤ300においては、第1のコイル体327の撚り角θW5と、スリット337の第1のコアシャフト341の長手方向に対する角度θS5とは、向きが異なるものの、同一角度であるとして説明したが、第3実施形態のガイドワイヤ70のように、第1のコイル体327の撚り角θW5を、スリット337の第1のコアシャフト341の長手方向に対する角度θS5よりも大きく設定することも可能である。その場合には、第1のコアシャフト341の動きを極力阻害しないようにすることができる。
【0180】
さらに、第7実施形態のガイドワイヤ300においては、第4実施形態のガイドワイヤ90のように、第1のコイル体327を構成する素線と、スリット337とを垂直に交差するように設定すること、第5実施形態のガイドワイヤ100のように、第1のコイル体327の外周に他のコイル体を覆うこと、第6実施形態のガイドワイヤ200のうように、第1のコイル体327の外周にブレードを覆うことも可能である。その場合には、ガイドワイヤの繰り返し曲げに対するガイドワイヤの耐久性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0181】
1, 50,70,90,100,200,300・・・ガイドワイヤ
2・・・第3の空隙部
3,303・・・先端チップ
5・・・遠位部
7・・・第3のコイル体
27a,27b,27c,27d,27e・・・素線
9・・・第3のコーティング剤
11・・・第3のコアシャフト
12・・・第4の空隙部
13・・・第3のコアシャフト先端部
14・・・第3のテーパ部
15・・・第3のコアシャフト基端部
17・・・収納部
18・・・センサー部
19・・・圧力センサー(センサー)
20・・・センサーケーブル
21a,21b・・・開口部
22,52,72,92,322・・・第1の空隙部
23・・・固着部
25,55,75,95,125・・・遷移部
27,57,77,97,327・・・第1のコイル体
29,59,79,99,129,229,329・・・第1のコーティング剤
31,61,81,101,341・・・第1のコアシャフト
32・・・第2の空隙部
33,63,83,103・・・第1のコアシャフト基端部
34,64,84,104,334・・・短冊
35,65,85,105,331・・・第1のコアシャフト先端部
37,67,87,107,337・・・スリット
38,39,138,139,339・・・ロウ材
41,141・・・近位部
48・・・繋ぎ部材
49,143,349・・・把持部
127・・・第2のコイル体
227・・・ブレード
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