(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173664
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】イヤホン用の保持部材およびイヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079497
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 泰明
(72)【発明者】
【氏名】竹井 邦浩
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BE03
(57)【要約】
【課題】従来よりも保持力の高いイヤホン用の保持部材を提供する。
【解決手段】イヤホン用の保持部材は、装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部、対輪、および対珠に接触する側面部、および一部が面状に前記耳に接触する平面部、からなる保持部を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部、対輪、および対珠に接触する側面部、および一部が面状に前記耳に接触する平面部、からなる保持部を有する、
イヤホン用の保持部材。
【請求項2】
前記対輪脚下部に接触する部分と、前記対珠に接触する部分と、に向かい合う力が掛かる、
請求項1に記載のイヤホン用の保持部材。
【請求項3】
前記保持部の内側は中空になっている、
請求項1または請求項2に記載のイヤホン用の保持部材。
【請求項4】
前記保持部はイヤホンの本体に着脱可能に構成されている、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のイヤホン用の保持部材。
【請求項5】
前記保持部は、前記対輪脚下部から前記対珠までの長さに対応する高さが長いほど前記対輪から外耳道までの長さに対応する奥行きが長くなり、前記高さが長くなる量は前記奥行きが長くなる量より大きい、
請求項4に記載のイヤホン用の保持部材。
【請求項6】
前記保持部材が前記装着者の耳に装着された場合、
該保持部材の取り付けられるイヤホンの本体が前記装着者の耳よりも外側に飛び出ている、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のイヤホン用の保持部材。
【請求項7】
本体と、
外耳道に挿入する挿入部と、
装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部、対輪、および対珠に接触する側面部、および一部が面状に前記耳に接触する平面部、からなる保持部を有する保持部材と、
を備えたイヤホン。
【請求項8】
前記対輪脚下部に接触する部分と、前記対珠に接触する部分と、に向かい合う力が掛かる、
請求項7に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記保持部の内側は中空になっている、
請求項7または請求項8に記載のイヤホン。
【請求項10】
前記保持部は前記本体に着脱可能に構成されている、
請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のイヤホン。
【請求項11】
前記本体は、前記対輪脚下部から前記対珠までの長さに対応する高さおよび前記対輪から外耳道までの長さに対応する奥行きの異なる複数種類の前記保持部材のいずれかが着脱可能に構成されていて、
前記複数種類の保持部材は、前記高さが長いほど前記奥行きが長くなり、前記高さが長くなる量は前記奥行きが長くなる量より大きい、
請求項10に記載のイヤホン。
【請求項12】
前記保持部材が前記装着者の耳に装着された場合、
前記本体が前記装着者の耳よりも外側に飛び出ている、
請求項7乃至請求項11のいずれか1項に記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、利用者の外耳道に挿入して利用するイヤホンの保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リング状の柔軟性のある突起を対輪脚下部に接触させ、耳から抜け落ち難い様に構成したイヤホンが開示されている。
【0003】
特許文献2には、対輪脚下部および対輪に接触するフィンを備えたイヤホンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10149038号明細書
【特許文献2】米国特許第9980031号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スポーツ等の激しい動きを生じる場合には、さらなる保持力が望まれる。
【0006】
そこで、本発明の一実施形態の目的は、従来よりも保持力の高いイヤホン用の保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
イヤホン用の保持部材は、装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部、対輪、および対珠に接触する側面部、および一部が面状に前記耳に接触する平面部、からなる保持部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、従来よりも保持力の高いイヤホン用の保持部材を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、イヤホンを耳に装着した状態を示す図である。
【
図2】
図2(A)は、イヤホン1のイヤホン1の正面図であり、
図2(B)は、イヤホン1の背面図である。
【
図3】
図3(A)は、イヤホン1の右側面図であり、
図3(B)は、イヤホン1の左側面図である。
【
図4】
図4(A)は、イヤホン1の上面図であり、
図4(B)は、イヤホン1の底面図である。
【
図5】
図5は、本体から取り外した保持部材20の右側面図である。
【
図6】
図6は、保持部材20と耳の接触状態を示す図である。
【
図7】
図7(A)は、大きいサイズの保持部材20の右側面図であり、
図7(B)は小さいサイズの保持部材20の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、イヤホン1を耳に装着した状態を示す図である。
図2(A)は、イヤホン1のイヤホン1の左側面図である。
図2(B)は、イヤホン1の右側面図である。
図3(A)は、イヤホン1の正面図である。
図3(B)は、イヤホン1の背面図である。
図4(A)は、イヤホン1の上面図である。
図4(B)は、イヤホン1の底面図である。なお、図面においては、正面方向をX方向、上面方向をY方向、左側面方向をZ方向と記載する。
【0011】
イヤホン1は、スマートフォン等の情報処理端末または携帯型音楽再生装置等のプレーヤから、Bluetooth(登録商標)等の無線通信を介して音信号を受信する。ただし、本発明は、無線通信用のイヤホンに限定するものではない。イヤホンは、プレーヤとケーブルで接続してもよい。
【0012】
イヤホン1は、左耳に挿入して利用するユニット、および右耳に挿入して利用するユニットの2つのユニットからなる。左右のユニットは、ケーブル等で接続されない。すなわち、イヤホン1は、左右独立したユニットからなる完全ワイヤレスイヤホンである。ただし、本発明は、左右独立したユニットである必要はない。左右のユニットは、ケーブルで接続してもよい。
【0013】
なお、本実施形態では、左耳に挿入して利用するユニットを示すが、右耳に挿入して利用するユニットも同一の構成、機能を有する。
【0014】
イヤホン1は、本体10、ボタン11、挿入部12、孔15、および保持部材20を備えている。
【0015】
イヤホン1は、外耳道に挿入して利用する。本体10は、ドライバユニット、バッテリ、およびマイク等を備える。本体10の左側面方向に沿った長さ(厚み)は薄く、Y方向に沿った長さ(高さ)およびX方向に沿った長さ(奥行き)は厚みよりも長い。
【0016】
また、本体10の奥行きは、高さよりも長い。本体10の背面側は、右側面から視てほぼ直線状である。本体10の正面側は、正面方向に向かって徐々に高さが短くなり、正面側の先端は、円弧状に絞り込まれている。本体10の左側面側は、ほぼ平面であり、背面方向に向かって、右側面側に傾斜する。本体10の左側面のほぼ中央の位置には、孔15が設けられている。孔15は、本体10に内蔵されているマイクの収音面を音響的に開放する。
【0017】
なお、本実施形態に示す本体10の形状は一例であり、本発明の本体の形状は、本実施形態に示す例に限らない。
【0018】
本体10の上面には、ボタン11が配置されている。ボタン11は、例えば音量UPボタンおよび音量DOWNボタンである。本体10の下面には、バッテリを充電するための充電端子50が設けられている。
【0019】
本体10の右側面側には、挿入部12が配置されている。本体10の右側面は、ドライバユニットを内蔵する部分において円柱状に膨らんでいる。挿入部12は、当該円柱状に膨らんでいる部分から右側面方向に向かって突出するように配置されている。
【0020】
挿入部12は、装着者の外耳道に挿入される。挿入部12は、イヤーピースで覆われている。イヤーピースは、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、またはエポキシ等の可撓性の高い樹脂からなる。イヤーピースは、挿入部12と一体になっていてもよいし、着脱可能になっていてもよい。イヤーピースは、挿入部12から着脱可能である場合、大きさの異なる複数種類を用意してもよい。この場合、装着者は、耳の大きさに応じて適切な大きさのイヤーピースを選択できる。
【0021】
本体10と挿入部12の間には保持部材20が配置される。保持部材20は、本体10のうちドライバユニットを内蔵している円柱状に膨らんだ部分を介して本体10に装着される。
【0022】
図5は、保持部材20を本体10から取り外した保持部材20の形状を示す右側面図である。保持部材20は、保持部21と、カバー部29と、からなる。保持部21は、対輪脚下部接触部25、対輪接触部26、および対珠接触部27からなる側面部22と、平面部28と、を有する。
【0023】
カバー部29は、本体10における円柱状に膨らんだ部分を覆う形状である。カバー部29は、挿入部12を挿入するための小さい開口と、本体10における円柱状に膨らんだ部分に被せる大きい開口と、を有する。カバー部29は、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、またはエポキシ等の可撓性の高い材料からなる。カバー部29は、大きい開口から挿入部12を通して円柱状に膨らんだ部分に嵌めることで、本体10から着脱可能に構成されている。
【0024】
保持部21は、カバー部29の背面側に設けられている。保持部21は、側面視してカバー部29から背面側に延び、かつ上面側に延びるL字型の形状である。保持部21は、カバー部29と一体成型されている。
【0025】
保持部21の底面は、側面視して直線状の対珠接触部27を構成する。保持部21の背面側は、対珠接触部27に対してほぼ垂直に上面方向に向かって立ち上がり、正面方向に向かって緩やかに曲がる曲線状の対輪接触部26を構成する。対輪接触部26は上面に向かうほど正面方向に大きく曲がり、上面側の先端は45度程度に正面方向に傾斜する。したがって、保持部21の上面は、正面方向に向かって斜め45度程度傾いている。保持部21の上面は、対輪脚下部接触部25を構成する。
【0026】
図6は、保持部材20と耳の接触状態を示す図である。
図6に示す様に、保持部材20は、耳甲介にはめ込まれる。保持部21の側面部22のうち対輪脚下部接触部25は、対輪脚下部E1に接触する。対輪接触部26は、対輪E2に接触する。対珠接触部27は、対珠E3に接触する。
【0027】
また、平面部28の一部は、面状に耳に接触する。
図6に示す様に、平面部28は、対輪脚下部接触部25に近い第1部分F1、対輪接触部26に近い第2部分F2、および対珠接触部27に近い第3部分F3に接触する。
【0028】
保持部材20が装着者の耳に装着された場合、保持部材20の取り付けられるイヤホン1の本体10は、装着者の耳よりも外側に飛び出る。
【0029】
この様に、本実施形態の保持部材20は、装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部E1、対輪E2、および対珠E3に接触する側面部22と、一部が面状に耳に接触する平面部28と、からなる保持部21を有する。
【0030】
側面部22は、対輪脚下部接触部25、対輪接触部26、および対珠接触部27の3点で耳甲介の内側に接触するため、非常に高い密着性を得ることができる。また、対輪脚下部接触部25および対珠接触部27は、互いに対向しているため、双方に向かい合う力が掛かる。
【0031】
また、平面部28は、耳甲介の内側で面状に耳に接触する。平面部28は、面状に耳甲介の内側に接触しているため、摩擦力によりイヤホン1の位置がずれることを防止できる。さらに、平面部28は、イヤホン1を外す方向の力が掛かった場合に、面状に耳甲介の内側に接触し、イヤホン1が外れる方向と反対の方向に反力を生じる。よって、保持部材20は、非常に高い密着性を得ることができる。
【0032】
以上の様に、本実施形態の保持部材20は、スポーツ等の激しい動きを生じる場合であっても、イヤホン1の位置がずれることなく、耳から外れることもない高い保持力を実現できる。
【0033】
なお、本体10は、大きさの異なる複数種類の保持部材のいずれかが着脱可能に構成されている。
図7(A)は、相対的に大きいサイズの保持部材20の右側面図であり、
図7(B)は相対的に小さいサイズの保持部材20の右側面図である。
【0034】
保持部材20は、対輪脚下部から対珠までの長さに対応する高さHが長いほど対輪から外耳道までの長さに対応する奥行きDが長くなる。また、保持部材20の高さHが長くなる量は奥行きDが長くなる量より大きい。例えば、
図6(A)に示す相対的に大きいサイズの保持部材20の高さHは23.5mm、奥行きDは20.5mmである。
図6(B)に示す相対的に小さいサイズの保持部材20の高さHは23.0mm、奥行きDは19.0mmである。
【0035】
耳甲介の形状は、装着者の耳の大きさにより異なる。耳の大きさは、対輪から外耳道までの長さよりも対輪脚下部から対珠までの長さの変化のほうが大きい。保持部材20の高さHが長くなる量は奥行きDが長くなる量より大きいため、耳の大きい装着者も、耳の小さい装着者も、保持部材20を適切に耳甲介に接することができる。よって、本実施形態の保持部材20は、耳の大きい装着者も耳の小さい装着者も、非常に高い密着性を得ることができる。
【0036】
この様に、本実施形態のイヤホン1は、高さおよび奥行きの異なる複数の保持部材を着脱可能に構成したことで、耳の大きさに応じた、適切な密着性を実現することができる。
【0037】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0038】
例えば、保持部21の内側は中空であってもよい。保持部21を中空にすることで、より軽量な部材となり、装着者の負荷を低減できる。また、保持部材20は、保持部21を中空にした場合でも、装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部E1、対輪E2、および対珠E3に接触する側面部22と、一部が面状に耳に接触する平面部28と、を有するため、保持力が低下することはない。また、
図8に示す様に、保持部21は、一部に切り欠き部分200を有する形状であってもよい。この場合も、保持部21は、より軽量な部材となり、装着者の負荷を低減できる。また、保持部材20は、一部に切り欠き部分200を有する場合でも、装着者の耳のうち少なくとも対輪脚下部E1、対輪E2、および対珠E3に接触する側面部22と、一部が面状に耳に接触する平面部28と、を有するため、保持力が低下することはない。
【符号の説明】
【0039】
1…イヤホン
10…本体
11…ボタン
12…挿入部
15…孔
20…保持部材
21…保持部
22…側面部
25…対輪脚下部接触部
26…対輪接触部
27…対珠接触部
28…平面部
29…カバー部
50…充電端子
200…切り欠き部分