(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173666
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】波力エネルギー変換装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/22 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
F03B13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079500
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】393029572
【氏名又は名称】羽田野 袈裟義
(71)【出願人】
【識別番号】520230994
【氏名又は名称】株式会社水巧技術コンサルタント
(71)【出願人】
【識別番号】591099186
【氏名又は名称】株式会社PAL構造
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 袈裟義
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA03
3H074AA12
3H074BB11
3H074BB15
3H074CC17
3H074CC26
(57)【要約】
【課題】発電効率が高く、耐久性に優れるとともに、海底への設置が容易であり、しかも、安価に製造することが可能な波力エネルギー変換装置を提供する。
【解決手段】波力エネルギー変換装置1aは、長尺の中空部材からなる第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3と、内部に水中発電機が内蔵されるとともにフランジ4a、4bが両端にそれぞれ設けられた連結管4を備えている。第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3は、長手方向に沿って流入口2e~2h及び流出口3e~3hがそれぞれ設けられており、第1の耐圧容器2の流入口2e~2hには第1の逆止弁5がそれぞれ設置されており、第2の耐圧容器3の流出口3e~3hには第2の逆止弁6がそれぞれ設置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の中空部材からなる第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器と、
前記第1の耐圧容器の上面又は側面に長手方向に沿って設けられた複数の流入口にそれぞれ設置された第1の逆止弁と、
前記第2の耐圧容器の上面又は側面に長手方向に沿って設けられた複数の流出口にそれぞれ設置された第2の逆止弁と、
前記第1の耐圧容器又は前記第2の耐圧容器の内部に設置された水中発電機と、を備え、
前記第1の耐圧容器と前記第2の耐圧容器は互いに中空部内の水を移動可能に連結され、
前記第1の逆止弁は、前記第1の耐圧容器内への水の流入のみを許容し、
前記第2の逆止弁は、前記第2の耐圧容器内からの水の流出のみを許容することを特徴とする波力エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記第1の耐圧容器と前記第2の耐圧容器が連結管によって連結され、前記水中発電機は前記第1の耐圧容器又は前記第2の耐圧容器に代えて前記連結管の内部に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の波力エネルギー変換装置。
【請求項3】
前記連結管は、可撓性を有することを特徴とする請求項2に記載の波力エネルギー変換装置。
【請求項4】
前記第1の耐圧容器及び前記第2の耐圧容器が互いに平行をなすように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の波力エネルギー変換装置。
【請求項5】
前記第1の耐圧容器及び前記第2の耐圧容器が互いに平行をなすように配置されるとともに、前記第1の耐圧容器及び前記第2の耐圧容器の対向する前記側面同士が前記連結管によって連結されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の波力エネルギー変換装置。
【請求項6】
前記第1の耐圧容器及び前記第2の耐圧容器を支持する支持部を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の波力エネルギー変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海で自然発生する波の力を利用して発電を行う装置に係り、特に波のエネルギーを効率よく電気エネルギーに変換することが可能な波力エネルギー変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自然エネルギーは、発電などに利用した場合に二酸化炭素が排出されず、従来の化石燃料を利用した場合に比べて地球環境への負担が少ないことから、クリーンエネルギーと呼ばれている。自然エネルギーとしては、一般に太陽光や風力が知られているが、それらは時間帯や天気などに左右されるという問題がある。これに対し、波力は比較的安定して大きなエネルギーが得られることから、近年、特に注目されている。
主な波力発電システムとしては、振動水柱型、可動物体型及び越波型が知られている。振動水柱型の波力発電システムは、海水が流入可能に設けられた空気室を備えており、海面の上下運動に伴って空気室に設けた開口を出入りする空気の流れによってタービンを回転させて発電する構造となっている。このような構造によれば、エネルギー需要地の近くに設置できることに加え、可動部が設けられていないため、耐久性に優れるというメリットがある。その反面、タービンの効率が悪く、浅い海域では波が装置に到達する前に多くのエネルギーが失われてしまうという問題がある。
可動物体型の波力発電システムの代表的なものは、自由端が海面下に配置されるとともに固定端が海面よりも上方に配置された振り子式受圧板を備えており、この受圧板が波に揺られることによって発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換する構造となっている。このような構造によれば、タービンが必要ないというメリットがあるものの、振り子式受圧板が直に波から大きな力を受けるため、頻繁に故障するという問題がある。そして、可動物体型の波力発電システムのその他の大多数のシステムも装置の故障という問題を有している。
越波型の波力発電システムは、貯留池の水面と海面の高低差を利用してタービンを回転させて発電する構造となっている。このような構造によれば、発電の時間変動が少ないため、発電効率が良いものの、越波堤の高さを変更するのが困難なため、エネルギー利得が限られるという問題がある。
【0003】
このような問題を有する振動水柱型、可動物体型及び越波型の波力発電システムとは異なる構造を有する発電装置としては、例えば、特許文献1に「波からエネルギを抽出する装置」という名称で、高レベル貯水器から低レベル貯水器への水の流れを利用して発電用のタービンを駆動することにより水面波からエネルギーを抽出する装置に関する発明が記載されている。
特許文献1に記載された発明は、高レベル貯水器の側壁に設けられ、高レベル貯水器への水の通過は許容しつつ、この高レベル貯水器からの水の戻りについては阻止する第1逆止弁と、低レベル貯水器の側壁に設けられ、低レベル貯水器からの水の通過は許容しつつ、この低レベル貯水器への水の戻りについては阻止する第2逆止弁を備えており、高レベル貯水器から低レベル貯水器への水の流れを生じさせ、この水の流れによってタービンを駆動する構造となっている。
このような構造によれば、水波からエネルギーを抽出するように設計された従来の発電装置に比べて、波の周期の影響を受け難いというメリットがある。
【0004】
また、特許文献2には「波力エネルギー変換装置」という名称で、フラップやヒンジ軸等の動作部分を設けることなく、一方向へのみ水の通過を許容する構造によって波力エネルギーを電気的エネルギーなどの他のエネルギーに変換する装置に関する発明が記載されている。
特許文献2に記載された発明は、水の流入室及び水の流出室を有する水室を備え、流入室は外側の開口面積が内側の開口面積より大きな水流入用開口が設けられた側壁を有し、流出室は内側の開口面積が外側の開口面積よりも大きな水流出用開口が設けられた側壁を有し、流入室と流出室の間に通水部が形成されるとともに、この通水部に配設されたタービンを、通水部を通過して流出室へ向かう水流によって駆動する構造となっている。
このような構造によれば、流入室の側壁に設けられた水流入用開口及び流出室の側壁に設けられた水流出用開口により、一方向へのみ水の通過が許容されるため、側壁にフラップやヒンジ軸等の動作部分が設けられた従来の装置に比べて耐久性が格段に向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭52-151434号公報
【特許文献2】特開2018-91254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明は、各逆止弁がフラップを備えており、このフラップが鉛直軸又は水平軸にヒンジ止めされるとともに、高レベル貯水器の一部が海面よりも上に配置された構造となっている。波は水表面近くで水粒子の変位や流速が最も大きいことから、上記構造を備えた特許文献1に記載された発明においては、高レベル貯水器が高波浪時に波から大きな力を受けて損傷する可能性がある。また、貯水器は寸法が大きいため、海底への係留が困難である。さらに、波の運動で作動するフラップに作用する水圧がヒンジ軸方向に対して一様でなく、フラップやヒンジ軸に捩じれ力を発生させるために、耐久性の面で問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された発明では、流入室や流出室に設けられた流入用開口及び流出用開口が流入室や流出室の内側と外側で開口面積の大きさを変えることによって、水の流れを一方向に限定する構造となっているが、逆止弁とは異なり、逆流を完全に防ぐことができないため、流入室から流出室に流れ込む水の量を十分に確保できず、発電効率が低くなってしまう可能性がある。また、流入室や流出室は、側壁が波からの力を直接受ける構造となっているため、高波浪時には波から大きな力を受けて損傷するおそれがある。さらに、流入室や流出室は、大掛かりな構造であるため、海底に係留することが容易でないという課題がある。
【0008】
本発明は、このような従来技術の事情に対処してなされたものであり、発電効率が高く、耐久性に優れるとともに、海底への設置が容易であり、しかも、安価に製造することが可能な波力エネルギー変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る波力エネルギー変換装置は、長尺の中空部材からなる第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器と、第1の耐圧容器の上面又は側面に長手方向に沿って設けられた複数の流入口にそれぞれ設置された第1の逆止弁と、第2の耐圧容器の上面又は側面に長手方向に沿って設けられた複数の流出口にそれぞれ設置された第2の逆止弁と、第1の耐圧容器又は第2の耐圧容器の内部に設置された水中発電機と、を備え、第1の耐圧容器と第2の耐圧容器は互いに中空部内の水を移動可能に連結され、第1の逆止弁は、第1の耐圧容器内への水の流入のみを許容し、第2の逆止弁は、第2の耐圧容器内からの水の流出のみを許容することを特徴とするものである。
このような構造を備えた第1の発明を、岸の近くの海底に長手方向が波の進行方向に対して平行となるように設置すると、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器に第1の逆止弁及び第2の逆止弁がそれぞれ設けられている区間の長さが波長より長い場合に、海面の平均水位プラスアルファのピエゾ水頭よりも海面の水位のピエゾ水頭が高い場所の直下に位置する流入口から第1の耐圧容器内に海水が流入した後、第2の耐圧容器の内部に移動し、海面の平均水位マイナスアルファのピエゾ水頭よりも海面の水位のピエゾ水頭が低い場所の直下に位置する流出口から第2の耐圧容器の外部に海水が流出する。このとき、波の運動(特に進行波の運動)により海面の水位が連続的に変化することから、第1の耐圧容器の内部に海水が流入する流入口及び第2の耐圧容器の外部に海水が流出する流出口は、途絶えることなく、順番に入れ替わる。その結果、第1の発明においては、水中発電機のロータを回転させるような一定の向きの水流が常に発生するという作用を有する。また、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の内部の圧力、したがって、両方の耐圧容器内のピエゾ水頭の差が装置の稼働中にあまり変化しないため、水中発電機の回転速度の変化が少ないという作用を有する。さらに、水中発電機が第1の耐圧容器又は第2の耐圧容器の内部に設置されているため、故障し難いという作用を有する。そして、装置全体が中空部を有する部材が連結された構造であるため、軽量で設置や撤去の作業が容易であるという作用を有する。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、第1の耐圧容器と第2の耐圧容器が連結管によって連結され、水中発電機は第1の耐圧容器又は第2の耐圧容器に代えて連結管の内部に設置されていることを特徴とするものである。
第1の発明では、水中発電機の修理や交換を行う際に第1の耐圧容器又は第2の耐圧容器を海底から地上に引き上げなければならないのに対し、第2の発明では水中発電機が連結管の内部に設置されていることから、水中発電機が内部に設置されている状態で連結管のみを引き上げれば良い。したがって、第2の発明においては、第1の発明に比べて水中発電機の保守作業が格段に容易である。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において、連結管は、可撓性を有することを特徴とするものである。
第3の発明では、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器が可撓性を有する連結管によって連結されていることから、海底の凹凸状態から受ける影響が小さくなるように第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の配置状態(両者の位置関係)をある程度自由に変更することが可能である。したがって、第3の発明においては、第2の発明の作用を有することに加え、設置個所に対する制約が少ないという作用を有する。
【0012】
第4の発明は、第1の発明乃至第3の発明のいずれかにおいて、第1の耐圧容器及び記第2の耐圧容器が互いに平行をなすように配置されていることを特徴とするものである。
第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明では、凹凸が少なく、かつ、縦方向へ十分な長さを有するスペースを海底に確保できない場合、第1の耐圧容器と第2の耐圧容器を一直線上に配置した状態で海底に設置することは困難である。これに対し、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器が互いに平行をなすように配置されていれば、上記スペースが縦方向へ十分な長さを有していない場合でも設置することができる。したがって、第4の発明においては、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の作用に加え、設置箇所の制約が少ないという作用がより一層発揮される。
【0013】
第5の発明は、第2の発明又は第3の発明において、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器が互いに平行をなすように配置されるとともに、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の対向する側面同士が連結管によって連結されていることを特徴とするものである。
平行に配置された第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の対向する側面同士が連結管によって連結される構造の第5の発明では、連結管の連結箇所を第1の耐圧容器や第2の耐圧容器の長手方向に沿って変更できるため、海底の凹凸が少ない場所を選んで連結管を設置することが可能である。したがって、第5の発明においては、第2の発明又は第3の発明の作用に加え、設置箇所の制約が少ないという作用がより一層発揮される。
【0014】
第6の発明は、第1の発明乃至第5の発明のいずれかにおいて、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器を支持する支持部を備えていることを特徴とするものである。
第6の発明においては、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの作用に加え、支持部の高さを調整することによって第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の水平状態が容易に確保されるという作用を有する。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明によれば、岸の近くであって、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器に第1の逆止弁及び第2の逆止弁がそれぞれ設けられている区間の長さが波長より長い状態で海底に長手方向が波の進行方向に対して平行となるように設置した場合、水中発電機のロータを回転させるような一定の向きの水流が常に発生する。この設置形態では波力エネルギー変換装置に共通して求められる装置の固定が極めて容易に達成される。そして、第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の内部の圧力は装置の稼働中にあまり変化せず、水中発電機の回転速度の変化も少ないことから、第1の発明によれば、高い発電効率を期待することができる。また、水中発電機は、空気より密度がはるかに大きい水の流れによって回転するため、空気タービンを用いる方式に比べて格段に発電力が大きい。すなわち、第1の発明によれば、発電力の大きい高価な発電機を用いる必要がないため、安価に製造することが可能である。さらに、第1の発明は、水中発電機を含む装置全体が故障し難いため、耐久性に優れている。加えて、設置や撤去の作業が容易であることから、設置や撤去並びに保守に要する費用が低減される。
【0016】
第2の発明によれば、保守作業が容易であるため、第1の発明の効果を有することに加え、保守に要する費用が低減されるという効果を奏する。
【0017】
第3の発明では、海底の凹凸状態から受ける影響が小さくなるように第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の配置状態(両者の位置関係)をある程度自由に変更することが可能である。したがって、第3の発明によれば、第2の発明の効果を有することに加え、設置に要する費用が低減されるという効果がより一層発揮される。
【0018】
第4の発明によれば、第1の発明乃至第3の発明のいずれかの発明の効果を有することに加え、設置箇所の制約が少ないため、設置に要する費用が低減されるという効果がより一層発揮される。
【0019】
第5の発明によれば、第2の発明又は第3の発明の効果を有することに加え、設置箇所の制約が少ないため、設置に要する費用が低減されるという効果がより一層発揮される。
【0020】
第6の発明では、支持部の長さを調整することによって第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器の水平状態が容易に確保されるため、設置が容易である。したがって、第6の発明によれば、第1の発明乃至第5の発明のいずれかの発明の効果を有することに加え、設置に要する費用が低減されるという効果がより一層発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(a)及び(b)はそれぞれ本発明の実施の形態に係る波力エネルギー変換装置の実施例1の平面図及び側面図であり、(c)及び(d)はそれぞれ同図(a)におけるA-A線矢視断面及びB-B線矢視断面の拡大図である。
【
図2】(a)及び(b)はそれぞれ
図1(c)及び
図1(d)に示した第1の逆止弁及び第2の逆止弁を構成する台座の平面図及び側面図であり、(c)及び(d)はそれぞれ台座の片面に設置されるゴム板の平面図及び斜視図であり、(e)及び(f)はいずれもゴム板の片面に設置される押え板の平面図である。
【
図3】(a)は水中発電機が内蔵された連結管の縦断面図であり、(b)及び(c)はそれぞれガイドベーン及びランナーベーンの正面図であり、(d)は同図(a)におけるC-C線矢視断面図である。
【
図4】海底に設置された本発明の波力エネルギー変換装置の各部分のピエゾ水頭の分布状態を示したグラフである。
【
図5】(a)及び(b)は
図1(a)及び
図1(b)に示した波力エネルギー変換装置が海底に設置された状態を模式的に表した図である。
【
図6】(a)は本発明の実施の形態に係る波力エネルギー変換装置の実施例2の平面図であり、(b)及び(c)は同図(a)に示した波力エネルギー変換装置が海底に設置された状態を側方から見て模式的に表した図である。
【
図7】(a)は本発明の実施の形態に係る波力エネルギー変換装置の実施例3の平面図であり、(b)及び(c)は同図(a)に示した波力エネルギー変換装置が海底に設置された状態を側方から見て模式的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の波力エネルギー変換装置の構造とそれに伴って発揮される作用及び効果について
図1乃至
図7を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の説明では、本発明の波力エネルギー変換装置が海底に設置された状態を想定して、「上面」や「下面」などの表現を用いている。また、本願の明細書及び図面では、連結管のフランジが第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器に対してボルトを用いて固定される構造となっているが、本発明の波力エネルギー変換装置は、そのような構造に限定されるものではない。例えば、連結管は、フランジを有しておらず、ボルトを用いる代わりに、溶接などによって第1の耐圧容器及び第2の耐圧容器に固定される構造であっても良い。
【実施例0023】
図1(a)及び
図1(b)はそれぞれ波力エネルギー変換装置1aの平面図及び側面図であり、
図1(c)及び
図1(d)はそれぞれ
図1(a)におけるA-A線矢視断面及びB-B線矢視断面の拡大図である。
図2(a)及び
図2(b)はそれぞれ
図1(c)及び
図1(d)に示した第1の逆止弁5及び第2の逆止弁6を構成する台座7の平面図及び側面図であり、
図2(c)及び
図2(d)はそれぞれ台座7の片面に設置されるゴム板8の平面図及び斜視図である。また、
図2(e)はゴム板8の片面に設置される押え板9の平面図であり、
図2(f)は
図2(e)に示した押え板9の変形例に係る押え板10の平面図である。
図3(a)は水中発電機11が内蔵された連結管4の縦断面図であり、
図3(b)及び
図3(c)はそれぞれガイドベーン15及びランナーベーン14の正面図であり、
図3(d)は
図3(a)におけるC-C線矢視断面図である。
【0024】
なお、
図1(a)及び
図1(b)では連結管4について内壁面のみを破線で示すとともに、
図1(b)では流入口2e~2h及び流出口3e~3hの位置を破線で示し、第1の逆止弁5、第2の逆止弁6及び水中発電機11については図示を省略している。また、
図1(c)及び
図1(d)は流入口2h及び流出口3eが設けられている箇所において第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3をそれぞれ長手方向に垂直な平面(横断面)によって切断した状態を示しているが、他の流入口2e~2g及び流出口3f~3hが設けられている箇所における断面も同様の構造であるため、
図1(c)及び
図1(d)では流入口2e~2g及び流出口3f~3hに括弧を付けた状態で流入口2h及び流出口3eに併記している。さらに、
図2(c)乃至
図2(f)では図が煩雑になるのを避けるため、複数の切り込み8a、開口部9a及び小孔10aのうち、1つずつについてそれぞれ符号を付している。
また、
図3(a)では、連結管4のみ縦断面を表示しており、内部に設置されている水中発電機11については、その外観を表示している。そして、
図3(b)及び
図3(c)では図が煩雑になるのを避けるため、複数の羽根14b、15aのうちの1枚についてのみ符号を付している。さらに、
図3(b)乃至
図3(d)ではケーシング12a~12cの輪郭線のみを表示し、その内部構造については図示を省略している。そして、
図3(c)では、羽根14bが設けられている部分と羽根14bが設けられていない部分(すなわち、羽根14bと羽根14bの間の部分)の識別を容易にするため、羽根14bに対してハッチングを施している。
【0025】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、波力エネルギー変換装置1aは、長尺の中空部材からなる第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3と、内部に水中発電機11(
図3(a)参照)が内蔵されるとともにフランジ4a、4bが両端にそれぞれ設けられた連結管4を備えている。また、第1の耐圧容器2の端部2aと第2の耐圧容器3の端部3aは、側面視した場合にそれぞれの下面2d、3dが直角を挟む2つの辺のうちの一方を構成するような直角三角形をなしており、端部2b、端部3bには、連結管4のフランジ4a、4bがそれぞれボルト(図示せず)を用いて固定されている。すなわち、第1の耐圧容器2と第2の耐圧容器3は連結管4を介して連結されており、中空部2p、3p(
図1(c)及び
図1(d)参照)の内部の水は連結管4を通して移動可能となっている。なお、端部2aや端部3aにおける上記構造は、第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3が波から受ける長手方向に平行な力を低減するように作用する。
さらに、第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3には、長手方向に沿って4つの流入口2e~2h及び流出口3e~3hがそれぞれ設けられている。そして、第1の耐圧容器2の流入口2e~2hには第1の逆止弁5(
図1(c)参照)がそれぞれ設置されており、第2の耐圧容器3の流出口3e~3hには第2の逆止弁6(
図1(d)参照)がそれぞれ設置されている。
なお、第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3は角筒状の代わりに円筒状をなしていても良い。また、第1の耐圧容器2に設けられる流入口と第2の耐圧容器3に設けられる流出口は4つずつに限らず、その個数は適宜変更可能である。さらに、流入口や流出口は第1の耐圧容器2の上面2cや第2の耐圧容器3の上面3cに設けられる代わりに、それらの側面に設けられた構造とすることもできる。
【0026】
図1(c)及び
図1(d)に示すように、第1の逆止弁5及び第2の逆止弁6は台座7と、盛り上がった中央部を台座7の内部に向けた状態で台座7の片面に設置されたゴム板8と、このゴム板8の片面に設置された押え板9を備えている。すなわち、第1の逆止弁5及び第2の逆止弁6は、ゴム板8が台座7と押え板9によって上下から挟まれた構造となっている。
第1の逆止弁5は、押え板9のゴム板8に接していない側の面が流入口2e~2hを塞ぐように第1の耐圧容器2の中空部2pの天井面2qに設置されている。一方、第2の逆止弁6は、台座7のゴム板8に接していない側の端部が流出口3e~3hを塞ぐように第2の耐圧容器3の中空部3pの天井面3qに設置されている。
【0027】
図2(a)及び
図2(b)に示すように、台座7は円筒管からなり、両端に設けられたフランジ7a、7aには4つのネジ孔7bが円周方向へ等間隔に設けられている。また、
図2(c)及び
図2(d)に示すように、ゴム板8は平面視した場合に台座7のフランジ7aと外径が等しい円形をなし、円の中心から所定の長さの8本の切り込み8aが放射状に形成されて側面視した場合に中央が盛り上がった形状をなしている。そして、8本の切り込み8aを囲むように4つのネジ挿通孔8bが円周方向へ等間隔に設けられている。さらに、
図2(e)に示すように、押え板9は、平面視した場合に台座7のフランジ7aと外径が等しい円形をなし、8つの開口部9aが円の中心に関して点対称をなすように設けられている。そして、8つの開口部9aを囲むように4つのネジ挿通孔9bが円周方向へ等間隔に設けられている。
また、
図2(f)に示すように、押え板10は平面視した場合に台座7のフランジ7aと外径が等しい円形をなし、中央部分には多数の小孔10aがパンチング加工によって形成されており、多数の小孔10aが形成された部分を囲むように4つのネジ挿通孔10bが円周方向へ等間隔に設けられている。なお、ネジ挿通孔8b、9b及び10bは、内径が等しく、かつ、ゴム板8、押え板9及び押え板10を台座7の片面に重ねて設置した場合に、ネジ孔7bに螺入されるネジ(図示せず)を連通可能な位置に形成されている。すなわち、ゴム板8及び押え板9あるいはゴム板8及び押え板10は、上記ネジを用いて台座7に共締めされる構造となっている。なお、押え板9の開口部9a及び押え板10の小孔10aは、台座7の内部に水が流れ込む際の通水口として機能する。
【0028】
図3(a)乃至
図3(d)に示すように、連結管4の内部に設置された水中発電機11は、円筒体の一端が閉塞された形状をなすケーシング12aに内蔵された図示しないステータ、ロータ及び主軸などからなる発電機本体13と、この発電機本体13の上流に設置されるランナーベーン14と、このランナーベーン14の上流に設置されるガイドベーン15を備えている。
発電機本体13は、ケーシング12aの外周面が8本のリブ16を介して連結管4の内周面に固定されている。また、ケーシング12aの内周面には、ロータを囲むように配置されたステータが固定されており、ロータが取り付けられた主軸は、ケーシング12aに支持部材を介して固定された軸受けによって回転可能に保持されている。
案内羽根とも呼ばれ、ランナーベーン14に流入する水量の調節及び水の流入方向の調節に用いられるガイドベーン15は、円筒体の一端が閉塞された形状をなすケーシング12bの外周面に一端が固定されるとともに、連結管4の内周面に他端が固定された複数枚の羽根15aによって構成されている。一方、ランナーベーン14は、環状の薄い板材からなる補強具14aと、この補強具14aの内周面に一端が固定されるとともに、他端が円筒状のケーシング12cの外周面に固定された複数枚の羽根14bによって構成されている。なお、ケーシング12cの内部には、ランナーベーン14と一体として回転する円柱状又は円筒状の軸体(図示せず)が設置されており、この軸体の一端はケーシング12aの内部に設置された軸受け(図示せず)によって回転可能に保持された状態で、前述の主軸に連結具(図示せず)を介して連結されている。そして、上記軸体の他端はケーシング12bの内部に設置された軸受け(図示せず)によって回転可能に保持されている。
【0029】
図3(a)に矢印Dで示すように、フランジ4a側の開口部4cから連結管4の内部に流入した水は、ガイドベーン15によって整流された後、ランナーベーン14の羽根14bを回転させる。この回転に伴って、ランナーベーン14の軸体に一端が連結された主軸と、それに取り付けられたロータが回転する。そして、ロータが回転することにより、ステータに巻回されているコイルに誘導起電力が発生する。なお、ランナーベーン14を回転させた水は、ケーシング12aの外周面に沿うようにして発電機本体13の後方へ向かって流れた後、
図3(a)に矢印Eで示すようにフランジ4b側の開口部4dから連結管4の外部へ流出する。
このように、水中発電機11において、連結管4の内部を流れる水がランナーベーン14を回転させ、このランナーベーン14の回転に伴ってロータが回転することによって電力が発生する。したがって、連結管4のフランジ4a、4bが第1の耐圧容器2の端部2b及び第2の耐圧容器3の端部3bにそれぞれ接続された構造の波力エネルギー変換装置1aでは、第1の耐圧容器2から連結管4の内部を通って第2の耐圧容器3に向かう水流を発生させることが必要である。
【0030】
ここで、波力エネルギー変換装置1aにおいて、上記水流が発生する仕組みについて、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は海底17に設置された波力エネルギー変換装置1aの各部分のピエゾ水頭の分布状態を示したグラフであり、
図5(a)及び
図5(b)は波力エネルギー変換装置1aが海底17に設置された状態を模式的に表した図である。なお、
図1乃至
図3に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
また、
図4における曲線は、上述の波を正弦波と仮定するとともに、平均水位及び波の高さをそれぞれh
0及びHとした場合の波力エネルギー変換装置1aの表面の各部分におけるピエゾ水頭を表している。
さらに、当該曲線を横切る2本の上下の実線はそれぞれ第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3の内部のピエゾ水頭を表している。そして、
図5(b)において、実線の曲線は海底17に設置された波力エネルギー変換装置1aの上方で発生する波を正弦波と仮定した場合の水面形状を表しており、上記曲線を横切る破線の直線は波が発生していない場合の海面の位置(平均水位)を表している。また、
図5(b)における下向きの矢印及び上向きの矢印は、流入口2f、2g及び流出口3e、3fを通過する水の流量に対応している。すなわち、長い矢印は短い矢印よりも流量が多いことを示している。さらに、
図5(b)では流入口2e~2h及び流出口3e~3hの位置を破線で示している。
【0031】
図4では、波力エネルギー変換装置1aの稼働中において第1の耐圧容器2、第2の耐圧容器3及び連結管4の内部を抵抗に逆らって流れる水のエネルギー損失が時間的に変化しないと仮定して、その影響をαで表している。ただし、0<α<1であり、上述の水流の抵抗が大きいほど、αは1に近くなり、上述の水流の抵抗が小さいほど、αは0に近くなる。
この場合、第1の耐圧容器2の内部及び第2の耐圧容器3の内部におけるピエゾ水頭は以下の式(1)及び式(2)で表される。また、ある時刻の波面の高さyは、波長をLとすると式(3)で表される。これが第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3の表面におけるピエゾ水頭の分布を示す。したがって、流入口2e~2h及び流出口3e~3hは式(4)が満足される場合にのみ水が通過する。すなわち、流入口2e~2hのうち、表面におけるピエゾ水頭がh
0+αH/2以上である部分(図中のA-B間)から第1の耐圧容器2の内部に水が流入し、流出口3e~3hのうち、表面におけるピエゾ水頭がh
0-αH/2以下である部分(図中のC-D間)から第2の耐圧容器3の内部の水が外部へ流出する。
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
有効落差をΔH、重力加速度をg、水の密度をρ、流量をQとすると、理論水力Pは以下の式(5)で表される。また、この問題では有効落差ΔHは第1の耐圧容器2の内部及び第2の耐圧容器3の内部におけるピエゾ水頭の差に等しいため、式(1)及び式(2)を用いると、式(6)で表される。
【0037】
【0038】
【0039】
第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3を半径がRの円筒で逆止弁を配置した区間の長さがLであると仮定し、流入口2e~2h又は流出口3e~3hの総面積Sは第1の耐圧容器2又は第2の耐圧容器3の上記区間の外周面の面積に対する割合をκhとすると、式(7)で表される。また、流入口2e~2h及び流出口3e~3hを通過する水の速度Vは式(8)で表され、式(8)に式(3)を代入すると、速度Vは式(9)のように求められる。さらに、流量Qは式(10)で表されるため、式(5)、式(6)、式(7)、式(9)及び式(10)から、理論水力Pは式(11)のように求められる。
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
式(11)において、θ=2πx/Lとおき、その両辺を微分すると、式(12)が得られる。そして、式(12)を用いると式(11)は以下の式(13)のように表される。
【0046】
【0047】
【0048】
波は海底の地形により進行方向を変えるため、海岸の近くの波は沖合の進行方向の影響を受けることなく、海岸線に対してほぼ垂直に進行する。加えて、岸壁の近くでは、水の水平方向の動きが抑えられる分だけ、上下方向の動きが大きくなる。そこで、
図5(a)に示すように、海岸の近くの海底17に波力エネルギー変換装置1aを長手方向が波の進行方向に対して平行となるように設置する。ただし、第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3は、第1の逆止弁5及び第2の逆止弁6がそれぞれ設けられている区間の長さが波長より長くなるように形成されているものとする。
図5(a)に示した波力エネルギー変換装置1aでは、
図4を用いて説明したように、流入口2e~2hのうち、第1の耐圧容器2の表面におけるピエゾ水頭がh
0+αH/2以上である部分(
図4中のA-B間)から第1の耐圧容器2の内部に水が流入し、流出口3e~3hのうち、第2の耐圧容器3の表面におけるピエゾ水頭がh
0-αH/2以下である部分(
図4中のC-D間)から第2の耐圧容器3の内部の水が外部へ流出する。ここで、αが限りなく0に近い場合を考えると、流入口2e~2hのうち、第1の耐圧容器2の表面におけるピエゾ水頭がh
0よりも大きい部分から第1の耐圧容器2の内部に水が流入することになるが、
図5(b)の場合、実線で示す水位が破線で示す平均水位よりも上にある場所の直下に位置する流入口2f、2gがこれに相当する。また、第2の耐圧容器3の表面におけるピエゾ水頭がh
0よりも小さい部分から第2の耐圧容器3の内部の水が外部へ流出することになるが、
図5(b)の場合、実線で示す海面の水位が破線で示す海面の平均水位よりも下にある場所の直下に位置する流出口3e、3fがこれに相当する。
すなわち、
図5(a)及び
図5(b)に示す波力エネルギー変換装置1aでは、海水が流入口2f、2gから第1の耐圧容器2の内部に流入し、さらに矢印Fで示すように連結管4の中を通って第2の耐圧容器3の内部へ移動した後、流出口3e、3fから第2の耐圧容器3の外部へ流出する。このとき、波の運動(特に進行波の運動)により海面の水位が連続的に変化することから、第1の耐圧容器2の内部に海水が流入する流入口及び第2の耐圧容器3の外部に海水が流出する流出口は、途絶えることなく、順番に入れ替わる。その結果、矢印Fで示すように連結管4の内部には水中発電機11のロータを回転させるような一定の向きの水流が常に発生する。
また、第1の耐圧容器2、第2の耐圧容器3及び連結管4の内部の圧力が装置の稼働中にあまり変化しないため、水中発電機11の回転速度の変化が少ない。さらに、水中発電機11は連結管4の内部に設置されているため、故障し難い。そして、装置全体が中空部2p、3pを有する部材が連結された構造であるため、軽量で設置や撤去の作業が容易である。そして、波力エネルギー変換装置1aでは、第1の耐圧容器2と第2の耐圧容器3が一直線上に配置されているため、それらの長手方向が波の進行方向と平行をなすように海底に設置することが可能である。この場合、装置全体が波から水平方向の力を受け難いため、海底に設置された状態が安定しており故障し難い。
【0049】
第1の耐圧容器2、第2の耐圧容器3及び連結管4の内部の圧力は装置の稼働中にあまり変化せず、水中発電機11の回転速度の変化も少ないことから、波力エネルギー変換装置1aによれば、高い発電効率を期待することができる。また、水中発電機11は、空気より密度がはるかに大きい水の流れによって回転するため、空気タービンを用いる方式に比べて格段に発電力が大きい。すなわち、波力エネルギー変換装置1aによれば、発電力の大きい高価な発電機を用いる必要がないため、安価に製造することが可能である。さらに、波力エネルギー変換装置1aは、水中発電機11を含む装置全体が故障し難いため、耐久性に優れている。加えて、設置や撤去の作業が容易であることから、波力エネルギー変換装置1aによれば、設置や撤去並びに保守に要する費用が低減される。
凹凸が少なく、かつ、縦方向へ十分な長さを有するスペースを確保できない場合、波力エネルギー変換装置1aのように一直線上に配置された状態の第1の耐圧容器2と第2の耐圧容器3を海底17に設置することは困難である。これに対し、波力エネルギー変換装置1bのように第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3が互いに平行をなすように配置されている場合には、上記スペースが縦方向へ十分な長さを有していない場合でも設置できる可能性がある。
また、第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3が互いに平行をなすように配置されていても第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3の端部2b、3bが連結管4によって連結されている状態では、設置スペースの関係で海底17への設置が困難な場合がある。これに対し、波力エネルギー変換装置1bのように、平行に配置された第1の耐圧容器2及び第2の耐圧容器3の側面に連結管4が連結される場合には、連結管4の連結個所を第1の耐圧容器2や第2の耐圧容器3の長手方向に沿って変更できるため、海底の凹凸が少ない場所を選んで連結管4を設置することが可能である。
このように、波力エネルギー変換装置1bによれば、設置個所の制約が少ないため、設置に要する費用が低減される。