(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173668
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】シート排出装置およびそれを備えた原稿搬送装置並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/20 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65H31/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079502
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯田 廉
【テーマコード(参考)】
3F054
【Fターム(参考)】
3F054AA02
3F054AC02
3F054BA03
3F054BB19
3F054BC09
3F054BD04
3F054BE04
3F054BG11
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で2つのストッパーを異なる規制位置に交互に配置可能なシート排出装置およびそれを備えた原稿搬送装置並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート排出装置は、シート排出部と、シート積載部と、ストッパー機構と、を備える。ストッパー機構は、第1退避位置と第1規制位置とに回動可能に支持される第1ストッパーと、シート積載部の下流側の端部に沿って収納された第1の位置と、第1の位置からシート排出方向下流側に離間した第2の位置と、に移動可能であり、第2退避位置と第2規制位置とに回動可能に支持される第2ストッパーと、第1ストッパーと第2ストッパーとを連結するリンク機構と、を有する。第2ストッパーを第1の位置に配置したとき第1ストッパーが第1規制位置に配置され、第2ストッパーを第2の位置に配置したとき第1ストッパーが第1退避位置に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出するシート排出部と、
シート排出方向に対し前記シート排出部の下流側に配置され、前記シート排出部から排出される前記シートが積載されるシート積載面を有するシート積載部と、
前記シート積載部に設けられ、前記シート排出部から排出される前記シートの先端を突き当てて整合するストッパー機構と、
を備えたシート排出装置において、
前記ストッパー機構は、
前記シート積載面に沿って略水平に倒伏した第1退避位置と、前記シート積載面に対し略垂直に起立した第1規制位置と、に回動可能に支持される第1ストッパーと、
前記シート排出方向に対し前記第1ストッパーの下流側に配置され、前記シート積載部の前記下流側の端部に沿って収納された第1の位置と、前記第1の位置から前記シート排出方向下流側に移動した第2の位置と、に移動可能であり、前記シート積載面よりも下方に退避した第2退避位置と、前記シート積載面よりも上方に突出した第2規制位置と、に回動可能に支持される第2ストッパーと、
前記第1ストッパーと前記第2ストッパーとを連結するリンク機構と、
を有し、
前記第2ストッパーを前記第1の位置に配置したとき前記第1ストッパーが前記規制位置に配置され、前記第2ストッパーを前記第2の位置に配置したとき前記第1ストッパーが前記退避位置に配置されることを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、
前記シート積載部に前記シート排出方向と平行に往復移動可能に支持され、前記シート排出方向下流側の端部に前記第2ストッパーが連結される第1リンク部材と、
前記シート排出方向に対し上流側の第1端部が前記第1ストッパーに回動可能に連結され、下流側の第2端部が前記第1リンク部材に回動可能に連結される第2リンク部材と、
を有し、
前記第2ストッパーを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させることで、前記第1リンク部材が前記シート排出方向下流側に移動し、前記第1リンク部材の移動に伴い前記第2リンク部材の前記第1端部が前記第1ストッパーを引き下げて前記第1規制位置から前記第1退避位置に移動し、
前記第2ストッパーを前記第2の位置から前記第1の位置に移動させることで、前記第1リンク部材が前記シート排出方向上流側に移動し、前記第1リンク部材の移動に伴い前記第2リンク部材の前記第1端部が前記第1ストッパーを持ち上げて前記第1退避位置から前記第1規制位置に移動することを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記第1リンク部材は、前記第2ストッパーを前記第2の位置に移動させたとき、前記第1ストッパーの被係合部に係合して前記第1ストッパーを前記第1退避位置に保持する係合部を有することを特徴とする請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記第1ストッパーに回動負荷を付与する第1付勢機構を有し、
前記第1付勢機構は、前記第1退避位置に配置された前記第1ストッパーを前記第1規制位置から前記第1退避位置に向かう方向に付勢し、前記第1規制位置に配置された前記第1ストッパーを前記第1退避位置から前記第1規制位置に向かう方向に付勢することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第1ストッパーは、前記第1退避位置に配置されたとき前記シート積載面よりも下方に収納されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記第2ストッパーに回動負荷を付与する第2付勢機構を有し、
前記第2付勢機構は、前記第2退避位置に配置された前記第2ストッパーを前記第2規制位置から前記第2退避位置に向かう方向に付勢し、前記第2規制位置に配置された前記第2ストッパーを前記第2退避位置から前記第2規制位置に向かう方向に付勢することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のシート排出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシート排出装置と、
前記シート排出装置にシート状の原稿を搬送する原稿搬送部材と、
を備えた原稿搬送装置。
【請求項8】
シート状の記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像が形成された前記記録媒体を排出する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシート排出装置と、
を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター等の画像形成装置や、画像形成処理後のシートに所定の後処理を行うシート後処理装置、シート原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置に搭載され、シートを排出するシート排出装置、およびそれを備えた原稿搬送装置並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンター等の画像形成装置には、電子写真プロセスにより所望の画像が形成された用紙、或いは、原稿搬送装置により原稿読取部に搬送され、原稿画像の読み取りが行われた後の原稿を排出するための排出トレイが設けられている。通常、排出トレイは一定のスタック量を確保するために、排出口と積載部との間に排出方向に向かって上り勾配となる傾斜面が形成されている。排出口から排出された用紙や原稿は傾斜面に沿って滑り落ち、後端が整合されてスタックされる。
【0003】
近年、画像形成処理の高速化に伴い用紙の搬送速度が速い画像形成装置が主流となっている。排出される用紙の搬送速度が速くなると、排出された用紙が傾斜面と用紙積載部との間の屈曲部を越えて用紙積載部側へ飛び出す。そのため、用紙が傾斜面に沿って滑り落ちずスタック不良が発生するおそれがあった。
【0004】
そこで、排出される用紙の整合性を高める方法が種々提案されており、例えば特許文献1には、排出される用紙のサイズを検知可能な原稿サイズ検知センサーと、用紙を受ける原稿排紙トレイ上の、用紙排出方向の前方に出し入れ自在に取り付けられた原稿ストッパーと、検知された用紙のサイズに対応して原稿ストッパーの出し入れを制御する制御手段とを備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、原稿ストッパーがスライド式であり、所定の規制位置に移動させるために専用のモーターと制御手段が必要であった。また、原稿ストッパーが配置位置に関係なく常に起立しているため、排出された原稿を取り出す際に原稿ストッパーが邪魔になることがあった。さらに、不必要な位置に起立した原稿ストッパーによって、排出した原稿の落下やスタック不良が発生するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、簡易な構成で2つのストッパーを異なる規制位置に交互に配置可能なシート排出装置およびそれを備えた原稿搬送装置並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、シート排出部と、シート積載部と、ストッパー機構と、を備えたシート排出装置である。シート排出部は、シートを排出する。シート積載部は、シート排出方向に対しシート排出部の下流側に配置され、シート排出部から排出されるシートが積載されるシート積載面を有する。ストッパー機構は、シート積載部に設けられ、シート排出部から排出されるシートの先端を突き当てて整合する。ストッパー機構は、第1ストッパーと、第2ストッパーと、リンク機構と、を有する。第1ストッパーは、シート積載面に沿って略水平に倒伏した第1退避位置と、シート積載面に対し略垂直に起立した第1規制位置と、に回動可能に支持される。第2ストッパーは、シート排出方向に対し第1ストッパーの下流側に配置され、シート積載部の下流側の端部に沿って収納された第1の位置と、第1の位置からシート排出方向下流側に移動した第2の位置と、に移動可能であり、シート積載面よりも下方に退避した第2退避位置と、シート積載面よりも上方に突出した第2規制位置と、に回動可能に支持される。リンク機構は、第1ストッパーと第2ストッパーとを連結する。第2ストッパーを第1の位置に配置したとき第1ストッパーが第1規制位置に配置され、第2ストッパーを第2の位置に配置したとき第1ストッパーが第1退避位置に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の構成によれば、第2ストッパーの第1の位置から第2の位置への移動に伴い第1ストッパーが第1規制位置から第1退避位置へ回動し、第2ストッパーの第2の位置から第1の位置への移動に伴い第1ストッパーが第1退避位置から第1規制位置へ回動する。即ち、一つの操作で第1ストッパーと第2ストッパーの両方の配置を変更することができる。従って、第1ストッパーと第2ストッパーの配置を個別に変更する必要がなくなり、ストッパー機構の操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のシート排出装置を備えた原稿搬送装置3が搭載された画像形成装置100の内部構成を示す概略図
【
図3】
図2における原稿搬送装置3の原稿排出トレイ32周辺の部分側面図
【
図5】第1ストッパー61の斜視図であって、第1ストッパー61が退避位置に配置された状態を示す図
【
図6】第1ストッパー61の斜視図第1ストッパー61が規制位置に配置された状態を示す図
【
図7】原稿排出トレイ32の原稿積載面32aにおけるストッパー装着部90周辺の部分斜視図
【
図8】第1ストッパー61の側面断面図であって、第1ストッパー61が規制位置に配置された状態を示す図
【
図9】第1ストッパー61の側面断面図であって、第1ストッパー61が退避位置に配置された状態を示す図
【
図10】
図2における原稿搬送装置3の原稿排出トレイ32周辺の部分側面図であり、大サイズの原稿を排出する場合のストッパー機構60の配置を示す図
【
図11】第2ストッパー71と第1リンク部材81との連結部分の斜視図であり、第2ストッパー71が退避位置に配置された状態を示す図
【
図12】第2ストッパー71と第1リンク部材81との連結部分の斜視図であり、第2ストッパー71が規制位置に配置された状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明のシート排出装置を備えた原稿搬送装置3が搭載された画像形成装置100の内部構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、いわゆる胴内排紙型のデジタル複合機であって、大まかには、本体ハウジング20と、その上部に配設された上ハウジング21とで構成されている。
【0012】
本体ハウジング20は、下ハウジング20aと、その上方で
図1の右側部に沿って位置し、上ハウジング21に連結される連結ハウジング20bと、から構成されている。下ハウジング20a内には、下部に配設された給紙部4と、給紙部4の側方および上方に配設された用紙搬送部5と、給紙部4の上方に配設された画像形成部6と、画像形成部6の用紙搬送方向下流側(
図1の右側)に配設された定着部7とが備えられている。連結ハウジング20bには、定着後の用紙Sを搬送して本体ハウジング20から排出するための用紙排出部が設けられている。また、上ハウジング21の直下における連結ハウジング20bの左側方には、左側面および正面に向けて大きく開放された胴内排出空間22が形成されている。
【0013】
画像形成部6は、電子写真プロセスによって、用紙S上に所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された像担持体である感光体ドラム10と、この感光体ドラム10の周囲にその回転方向に沿って配設される帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写装置14、クリーニング装置15、および不図示の除電装置を備えている。
【0014】
上ハウジング21内には、画像読取部8が設けられている。画像読取部8は、原稿D(シートの一例)の画像情報を読み取るものであり、原稿を1枚ずつ読み取らせる場合には、原稿搬送装置3を開いて上ハウジング21の上面に設けられたコンタクトガラス上に原稿を載置する。また、原稿束を自動的に読み取らせる場合には、原稿束を、閉じた状態の原稿搬送装置3の給紙トレイ上に載置することにより、原稿束から原稿が1枚ずつ自動的に順次コンタクトガラス上に送り込まれる。
【0015】
上記のように構成された画像形成装置100の基本的な動作を説明する。先ず、
図1の反時計回り方向に回転する感光体ドラム10の表面が帯電装置11によって一様に帯電される。そして、引き続き画像読取部8で読み取られた画像情報に基づいて露光装置12からのビーム光が感光体ドラム10の周面に照射され、これによって感光体ドラム10の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像装置13から現像剤としてのトナーが供給されることによりトナー像が形成される。
【0016】
トナー像の形成と並行して、用紙Sが給紙部4から用紙搬送路5に送出され、レジストローラー対9で一旦停止する。そして、レジストローラー対9で停止した用紙Sは所定のタイミングでトナー像が形成された感光体ドラム10に向けて搬送され、ここで転写ローラー等からなる転写装置14により感光体ドラム10の表面のトナー像が用紙Sに転写される。そして、トナー像が転写された用紙Sは感光体ドラム10から分離され、定着部7に向けて搬送され、定着部7を通過することで加熱、加圧処理されてトナー像が定着される。
【0017】
用紙Sへのトナー像の転写処理が完了した感光体ドラム10は、クリーニング装置15で周面に残留している残留トナーが取り除かれた後、除電装置(不図示)で残留電荷を除去する除電処理が施され、その後、帯電装置11により再び周面に帯電処理が施され、以下同様にして画像形成が行われる。
【0018】
定着部7を通過した用紙Sは、そのまま垂直上方に向かう垂直搬送路16に沿って連結ハウジング20b内に搬送される。垂直搬送路16の上部は連結ハウジング20b内で左方に向かって上下2つの搬送路に分岐しており、分岐部に配置された切り替えガイド17によって、下方の搬送路に案内された用紙Sは、第1排出ローラー対18から左方に排出され、胴内排出空間22の底面に形成された用紙排出トレイ24上にストックされる。一方、切り替えガイド17によって上方の搬送路に案内された用紙Sは、第2排出ローラー対19から左方に排出され、補助排出トレイ25上に排出される。
【0019】
図2は、原稿搬送装置3の内部構造を示す側面断面図である。画像読取部8の上面には自動読取用ガラス27aと手置き原稿用ガラス27bから成るコンタクトガラスが配置されている。原稿搬送装置3は、画像読取部8の背面側(
図2の紙面奥側)のヒンジ部(図示せず)において、画像読取部8に対して上下に開閉可能に支持されている。
【0020】
原稿搬送装置3のカバー部材31内には、原稿給紙トレイ29から原稿排出トレイ(シート積載部)32に至る原稿搬送路dが形成されており、原稿搬送路dに沿ってピックアップローラー33、給紙ベルト34および分離ローラー35、レジストローラー対36、搬送ローラー対37等から成る原稿搬送部材と、原稿Dを排出する排出ローラー対(シート排出部)43と、原稿Dの裏面側の画像を読み取る裏面用読取モジュール50が設けられている。
【0021】
原稿搬送路dはレジストローラー対36から自動読取用ガラス27aに至る間において反転するように湾曲している。また、原稿搬送路dには、原稿Dの存否或いは通過を検知するための給紙センサー、排出センサーを含む複数の用紙検知センサー(図示せず)が適所に設けられている。
【0022】
画像読取部8の内部には表面用読取モジュール51が配置されている。表面用読取モジュール51は、副走査方向(
図2の左右方向)に移動しながら手置き原稿用ガラス27bに載置された原稿画像を読み取る。また、表面用読取モジュール51は、自動読取用ガラス27aの直下に停止した状態で原稿搬送装置3により搬送される原稿Dの表面側の画像を読み取る。
【0023】
次に、原稿搬送装置3を用いたシートスルー方式の原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式においては、原稿給紙トレイ29に画像面を上向きにして複数枚の原稿Dをセットする。原稿給紙トレイ29にセットされた原稿Dは、ピックアップローラー33によって通常上段の複数枚が給紙ベルト34と分離ローラー35のニップ部に送られる。そして、分離ローラー35により複数枚の原稿Dのうち最上の1枚のみが分離され、レジストローラー対36に向けて所定距離だけ搬送された後、ピックアップローラー33および給紙ベルト34の回転駆動が停止されて一次給紙が終了する。
【0024】
一次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙駆動モーター(図示せず)の作動によりレジストローラー対36が回転駆動される。原稿Dは、レジストローラー対36により自動読取用ガラス27aに向けて搬送される。自動読取用ガラス27aに搬送されてきた原稿Dは、自動読取用ガラス27aに対向配置された原稿押さえ部材53と当接することによって上方から自動読取用ガラス27aに押し付けられる。そして、原稿Dの表面側(自動読取用ガラス27a側)の画像が自動読取用ガラス27aを通して表面用読取モジュール51により読み取られる。
【0025】
自動読取用ガラス27aを通過した原稿Dは搬送ローラー対37、排出ローラー対43に向けて搬送された後、最終的には排出ローラー対43によって原稿排出トレイ32上に排出される。
【0026】
また、両面原稿を読み取る場合は、自動読取用ガラス27aの上流側に設けられた裏面用読取モジュール50で原稿裏面の画像を読み取った後、表面用読取モジュール51で原稿表面の画像を読み取る。
【0027】
原稿給紙トレイ29の下面には、原稿押さえ部材45が原稿排出方向に沿って揺動可能に支持されている。原稿押さえ部材45は、排出ローラー対43によって原稿排出トレイ32上に排出された原稿Dを押さえて原稿Dのカールや浮き上がりを防止する。
【0028】
原稿排出トレイ32には、排出ローラー対43によって排出された原稿Dの先端を突き当てて整合するためのストッパー機構60が配置されている。ストッパー機構60は、第1ストッパー61と、第2ストッパー71と、リンク機構80とを備える。ストッパー機構60の詳細な構成については後述する。
【0029】
図3は、
図2における原稿搬送装置3の原稿排出トレイ32周辺の部分側面図であり、
図4は、
図3におけるストッパー機構60の拡大図である。
図5および
図6は、第1ストッパー61の斜視図である。
図7は、原稿排出トレイ32の原稿積載面32aにおけるストッパー装着部90周辺の部分斜視図である。
図3~
図7を参照してストッパー機構60の構成について説明する。ストッパー機構60は、第1ストッパー61と、第2ストッパー71と、リンク機構80とを有する。
【0030】
第1ストッパー61は、ベース部62に設けられた第1支軸63を揺動支点として、原稿排出方向に沿って揺動可能に支持されている。第1ストッパー61は、原稿載置面32a(シート積載面)に沿って倒伏した退避位置(第1退避位置、
図5参照)と原稿排出トレイ32の原稿載置面32aから起立した規制位置(第1規制位置、
図6参照)との間を揺動可能である。第1ストッパー61は、退避位置に配置されたとき原稿積載面32aの下方に収納される。ベース部62は、
図7に示される原稿排出トレイ32の原稿積載面32aに形成された凹状のストッパー装着部90内に装着される。
【0031】
原稿排出方向(矢印A方向)に対し第1ストッパー61の上流側の面である規制面61aには被係合部64が形成されている。被係合部64は、規制面61aの基端部側(第1支軸63の近傍)の幅方向(矢印BB′方向)の両側に一対形成されている。被係合部64には、第1リンク部材81の係合部83が係合する。第1ストッパー61の幅方向の両側端部には、幅方向外側に突出する一対の第1支点ボス65aが形成されている。
【0032】
図8および
図9は、第1ストッパー61の側面断面図であり、それぞれ第1ストッパー61が規制位置および退避位置に配置された状態を示している。第1ストッパー61の内部にはコイルバネ70が配置されている。コイルバネ70は、第1支軸63と直交する方向に延在しており、コイルバネ70の一端部(第1支軸63から遠い側、
図8の上端部)はバネ受け部61bに固定されている。コイルバネ70の他端部(第1支軸63から近い側、
図8の下端部)は自由端となっており、押圧部材66が装着されている。押圧部材66はコイルバネ70の付勢力によって第1支軸63に近づく方向に付勢されている。ベース部62には押圧部材66が圧接される被押圧部62aが形成されている。コイルバネ70、押圧部材66、被押圧部62aは、第1ストッパー61に回動負荷を付与する第1付勢機構を構成する。
【0033】
図8に示すように、押圧部材66の押圧面66aは第1支軸63の軸方向から見て傾斜している。より詳細には、第1ストッパー61が規制位置に配置された状態で、退避位置への移動方向(
図8の右方向)に向かって上向きに傾斜している。ベース部62の被押圧部62aの上面は、水平面に対する傾斜が押圧面66aよりも大きく、被押圧部62aと押圧面66aとは接触点P1において点接触している。接触点P1は、第1支軸63を通る垂線L1に対して規制位置から退避位置への第1ストッパー61の移動方向の下流側(
図8の右側)に位置している。
【0034】
これにより、接触点P1において被押圧部62aから押圧面66aに作用する抗力F1は、第1支軸63を中心として反時計回り方向のモーメントを発生させるため、第1ストッパー61を規制位置に向かう方向(
図8の反時計回り方向)に付勢する。その結果、規制位置に配置された第1ストッパー61が退避位置へ容易に移動しないため、原稿排出トレイ32に排出された原稿を取り出す際の衝撃等によって第1ストッパー61が退避位置に移動してしまう不具合を抑制することができる。
【0035】
一方、第1ストッパー61が退避位置に配置されている場合、
図9に示すように、ベース部62の被押圧部62aの側面は、水平面に対する傾斜が押圧面66aよりも大きく、被押圧部62aと押圧面66aとは接触点P2において点接触している。接触点P2は、第1支軸63を通る水平線L2に対して規制位置から退避位置への第1ストッパー61の移動方向の上流側(
図9の上側)に位置している。
【0036】
これにより、接触点P2において被押圧部62aから押圧面66aに作用する抗力F2は、第1支軸63を中心として時計回り方向のモーメントを発生させるため、第1ストッパー61を退避位置に向かう方向(
図9の時計回り方向)に付勢する。その結果、退避位置に配置された第1ストッパー61が規制位置へ容易に移動しないため、原稿搬送装置3を画像読取部8に対して開閉させて手置き原稿を読み取る場合に、退避位置に配置された第1ストッパー61が規制位置に移動してしまう不具合を抑制することができる。
【0037】
図3および
図4に戻って、第2ストッパー71は、第1リンク部材81の原稿排出方向下流側(
図4の右側)の端部に支持されている。第2ストッパー71は、原稿排出トレイ32の原稿排出方向下流側の端縁32b(
図7参照)に沿って収納された第1の位置(
図3参照)と、原稿排出トレイ32の端縁32bから原稿排出方向下流側に離間した(第1の位置から原稿排出方向下流側に移動した)第2の位置(
図10参照)とに移動可能である。
【0038】
リンク機構80は、第1リンク部材81と第2リンク部材82とを有する。第1リンク部材81は、ベース部62とストッパー装着部90との間に配置され、原稿排出方向と平行に往復移動可能に支持されている。第1リンク部材81の原稿排出方向下流側には、幅方向外側に突出する一対の第2支点ボス65bが形成されている。第1リンク部材81の原稿排出方向下流側(
図3の右側)の端部には、第2ストッパー71が上下方向に回動可能に支持されている。第1リンク部材81の原稿排出方向上流側(
図3の左側)の端部には、第1ストッパー61の被係合部64に係合する側面視L字状の係合部83が形成されている。
【0039】
第2リンク部材82は、ベース部62の幅方向両側に一対配置される。原稿排出方向に対し第2リンク部材82の上流側の第1端部(上端部)82aは、第1ストッパー61に形成された第1支点ボス65aに回動可能に連結されている。第2リンク部材82の下流側の第2端部(下端部)82bは、第1リンク部材81の原稿排出方向下流側の端部に形成された第2支点ボス65bに回動可能に連結されている。
【0040】
次に、原稿排出トレイ32に排出される原稿Dのサイズに応じてストッパー機構60の第1ストッパー61および第2ストッパー63の位置を調整する方法について説明する。小サイズ(A4サイズ以下)の原稿Dを排出する場合、第1ストッパー61の回動端を把持して退避位置(
図5参照)から規制位置(
図6参照)に回動させる。第1ストッパー61は、
図3に示すように原稿載置面32aから起立した規制位置で、小サイズ(例えばA4サイズ)の原稿Dの先端を突き当てて整合する。
【0041】
また、第1ストッパー61の退避位置から規制位置への回動に伴い、第2リンク部材82の第1端部82aが上方に持ち上げられ、第2端部82bが原稿排出方向上流側へ移動する。その結果、第2リンク部材82の第2端部82bに連結された第1リンク部材81も原稿排出方向上流側へ移動する。これにより、第2ストッパー71は原稿排出トレイ32の原稿排出方向の下流側の端縁32bに形成されたストッパー収納部91(
図7参照)に収納される。
【0042】
図10は、
図2における原稿搬送装置3の原稿排出トレイ32周辺の部分側面図であり、大サイズの原稿を排出する場合のストッパー機構60の配置を示す図である。大サイズ(A3サイズ)の原稿Dを排出する場合、
図3の状態からストッパー収納部91に収納された第2ストッパー71を原稿排出方向下流側(
図3の左側)に引き出す。
【0043】
第2ストッパー71の引き出し操作に伴い、第2ストッパー71が連結される第1リンク部材81も原稿排出方向下流側に移動する。その結果、第1リンク部材81に連結された第2リンク部材82の第2端部82bも原稿排出方向下流側へ移動するため、第2リンク部材82の第1端部82aが引き下げられる。これにより、
図10に示すように、第2リンク部材82の第1端部82aに連結された第1ストッパー61がコイルバネ70の付勢力に抗して規制位置から退避位置に回動する。
【0044】
また、第1リンク部材81の原稿排出方向下流側への移動に伴い、第1リンク部材81の係合部83が第1ストッパー61の被係合部64に係合する。これにより、第1ストッパー61が退避位置に保持される。
【0045】
さらに、第1リンク部材81に回動可能に連結された第2ストッパー71の回動端を把持して上方に回動させることで、第2ストッパー71が第1リンク部材81に対して略垂直に起立した状態に保持される。第2ストッパー71は、
図10に示すように原稿排出トレイ32の原稿載置面32aよりも上方に突出した規制位置で、大サイズ(A3サイズ)の原稿Dの先端を突き当てて整合する。
【0046】
図11および
図12は、第2ストッパー71と第1リンク部材81との連結部分の斜視図である。
図11は、第2ストッパー71が原稿載置面32aよりも下方に退避した退避位置(第2退避位置)に配置された状態を示す図である。
図12は、第2ストッパー71が原稿載置面32aよりも上方に突出した規制位置(第2規制位置)に配置された状態を示す図である。
【0047】
第2ストッパー71は、幅方向の両端縁から突出する第2支軸73が第1リンク部材81に回転可能に支持されている。第1リンク部材81と第2ストッパー71の間には引っ張りバネ75が連結されている。引っ張りバネ75は、一端部が第1リンク部材81のバネ固定部(図示せず)に固定され、他端部が第2ストッパー71のバネ取り付け部77に係合している。引っ張りバネ75、バネ取り付け部77は、第2ストッパー71に回動負荷を付与する第2付勢機構を構成する。
【0048】
図11に示すように、第2ストッパー71が退避位置に配置されているとき、バネ取り付け部77は支軸73よりも下方(規制位置から退避位置への第2ストッパー71の移動方向の下流側)に位置している。これにより、引っ張りバネ75の付勢力は、第2支軸73を中心として
図10の時計回り方向のモーメントを発生させるため、第2ストッパー71を退避位置に向かう方向に付勢する。その結果、退避位置に配置された第2ストッパー71が規制位置へ容易に移動しないため、原稿搬送装置3を画像読取部8に対して開閉させて手置き原稿を読み取る場合に、退避位置に配置された第1ストッパー61が規制位置に移動してしまう不具合を抑制することができる。
【0049】
図11の状態から、第2ストッパー71に所定の力を加えて規制位置に向けて回動させると、バネ取り付け部77がバネ固定部から遠ざかることで引っ張りバネ75が引っ張られ、
図12に示すように、第2ストッパー61が規制位置に配置される。第2ストッパー61が規制位置に配置されているとき、バネ取り付け部77は支軸73よりも上方(退避位置から規制位置への第2ストッパー71の移動方向の下流側)に位置している。
【0050】
これにより、引っ張りバネ75の付勢力は、第2支軸73を中心として
図10の反時計回り方向のモーメントを発生させるため、第2ストッパー71を規制位置に向かう方向に付勢する。その結果、規制位置に配置された第2ストッパー71が規制位置へ容易に移動しないため、原稿排出トレイ32に排出された原稿を取り出す際の衝撃等によって第2ストッパー71が退避位置に移動してしまう不具合を抑制することができる。
図12の状態から、第2ストッパー71に所定の力を加えて退避位置に向けて回動させると、再び
図11の状態に戻り、引っ張りバネ75の復元力によって第2ストッパー71が退避位置に保持される。
【0051】
図10の状態から小サイズの原稿Dを排出する場合は、第2ストッパー71を退避位置に回動させた後、原稿排出方向上流側(
図10の左側)に移動させてストッパー収納部91に収納する。また、第2ストッパー71の移動に伴い係合部83も原稿排出方向上流側に移動するため、第1ストッパー61の被係合部64との係合が解除される。さらに、第2リンク部材82の第2端部82bも原稿排出方向上流側に移動するため、第2リンク部材82の第1端部82aが持ち上げられる。これにより、第2リンク部材82の第1端部82aに連結された第1ストッパー61がコイルバネ70の付勢力に抗して退避位置から規制位置に回動する。
【0052】
本実施形態の構成によれば、第2ストッパー71の第1の位置から第2の位置への移動に伴い第1ストッパー61が規制位置から退避位置へ回動し、第2ストッパー71の第2の位置から第1の位置への移動に伴い第1ストッパー61が退避位置から規制位置へ回動する。即ち、一つの操作で第1ストッパー61と第2ストッパー71の両方の配置を変更することができる。従って、第1ストッパー61と第2ストッパー71の配置を個別に変更する必要がなくなり、ストッパー機構60の操作性が向上する。
【0053】
また、第2ストッパー71を第2の位置に移動させたとき、第1リンク部材の係合部83が第1ストッパー61の被係合部64に係合して第1ストッパー61を退避位置に保持するため、退避位置に配置された第1ストッパー61が規制位置へ容易に移動しない。従って、原稿搬送装置3を画像読取部8に対して開閉させて手置き原稿を読み取る場合に、退避位置に配置された第1ストッパー61が規制位置に移動してしまう不具合を確実に防止することができる。
【0054】
また、第1ストッパー61、第2ストッパー71が規制位置に配置されたときは、コイルバネ70、引っ張りバネ75によって規制位置に向かう方向に付勢される。また、第1ストッパー61、第2ストッパー71が退避位置に配置されたときは、コイルバネ70、引っ張りバネ75によって退避位置に向かう方向に付勢される。従って、第1ストッパー61、第2ストッパー71が振動や衝撃によって不用意に移動するおそれがなく、第1ストッパー61の使用性を向上させることができる。
【0055】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、原稿を排出する排出ローラー対43と、排出された原稿を積載する原稿排出トレイ32と、を有するシート排出装置と、ピックアップローラー33、給紙ベルト34および分離ローラー35、レジストローラー対36、搬送ローラー対37等の原稿搬送部材と、を備えた原稿搬送装置3を例に挙げて説明したが、画像形成装置100に搭載される第1排出ローラー対18と、第1排出ローラー対18から排出された用紙を積載する用紙排出トレイ24と、を備えたシート排出装置や、画像が形成された用紙にパンチ孔形成やステープル処理、ソート処理等の後処理を行う用紙後処理装置に搭載されるシート排出装置にも全く同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、排出されたシートを積載するシート積載部と、シート積載部に排出されたシートの先端を突き当てて整合するストッパーと、を備えたシート排出装置に利用可能である。本発明の利用により、簡易な構成で複数サイズのシートに対応する位置にストッパーを配置するとともに、ストッパーの不必要な移動も規制可能なシート排出装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
3 原稿搬送装置
6 画像形成部
8 画像読取部
32 原稿排出トレイ(シート積載部)
32a 原稿積載面(シート積載面)
43 排出ローラー対(シート排出部)
60 ストッパー機構
61 第1ストッパー
62 ベース部
62a 被押圧部(第1付勢機構)
63 第1支軸
64 被係合部
66 押圧部材(第1付勢機構)
70 コイルバネ(第1付勢機構)
71 第2ストッパー
73 第2支軸
75 引っ張りバネ(第2付勢機構)
77 バネ取り付け部(第2付勢機構)
80 リンク機構
81 第1リンク部材
82 第2リンク部材
82a 第1端部
82b 第2端部
83 係合部
90 ストッパー装着部
91 ストッパー収納部
100 画像形成装置