(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173681
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
B27D 1/04 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B27D1/04 D
B27D1/04 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079527
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000155182
【氏名又は名称】株式会社名南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100131406
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 正寿
(72)【発明者】
【氏名】高橋 啓介
【テーマコード(参考)】
2B200
【Fターム(参考)】
2B200AA01
2B200BA05
2B200BA10
2B200BB01
2B200CA12
2B200DA06
2B200DA09
2B200DA10
2B200EB07
2B200EE04
2B200EE09
2B200EE24
(57)【要約】
【課題】軽量化および機械的強度の向上の両立を図ること。
【解決手段】接着剤が塗布された平面状単板6、複数の波状単板2,2,2,・・・、および、平面状単板4を当該順序で積層する。ここで、複数の波状単板2,2,2,・・・は、互いの当接面に関して面対称となるように積層される。平面状単板4,6と波状単板2との間に構成される複数の空間28,28,28,・・・、および、複数の波状単板2,2,2,・・・同士間に構成される複数の空間26,26,26のうち、繊維方向DF1,DF3の両端に積層方向に直線状に配列される2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置する。当該状態で熱圧締することで単板積層材1が完成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および該第1方向に直交する第2方向に延在する第1面と、前記第1および第2方向に延在すると共に前記第1面とは反対側を向く第2面と、を有し、前記第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における形状が、前記第2方向において前記第1面および前記第2面に交互に連続して凹部が出現する波形状を有する少なくとも1枚の第1板状部材と、
該第1板状部材の前記第1面側または第2面側に配置される第2板状部材と、
前記第2方向に配列された複数の前記凹部と、前記第2板状部材と、によって囲まれる複数の第1空間の少なくとも1つに配置される第1部材と、
を備え、
該第1部材は、前記第1空間の容積の合計と等しい体積を有する前記第1板状部材の重量よりも小さい合計重量を有する
積層体。
【請求項2】
前記第1部材は、前記第1空間の前記第1方向における長さ以上の長さを有する
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第1部材は、前記第1空間の前記第1方向における長さよりも短い長さを有する
請求項1に記載の積層体。
【請求項4】
複数枚の前記第1および第2板状部材を備える請求項1ないし3のいずれか1項に記載の積層体であって、
前記第1空間は、前記第2方向と、前記第1および第2方向の両方向に直交する第3方向と、に複数配列されており、
前記第1部材は、前記第1方向の一方側から見たときの仮想投影面上において前記第3方向に隣接配置される前記第1空間に連続して配置されている
積層体。
【請求項5】
前記第1部材は、少なくとも前記第2方向の両端の前記第1空間に配置されている
請求項4に記載の積層体。
【請求項6】
複数枚の前記第1および第2板状部材を備える請求項1ないし5のいずれか1項に記載の積層体であって、
前記第1空間は、前記第2方向と、前記第1および第2方向の両方向に直交する第3方向と、に複数配列されており、
前記第1部材は、前記第1方向の一方側から見たときの仮想投影面上における前記第1空間の投影のうち前記第2および第3方向の両方向に交差する方向に隣接配置される前記第1空間であって、該第1空間の投影の図心同士を結ぶ仮想連結線が一直線となる位置関係に配置された前記第1空間に、連続して配置されている
積層体。
【請求項7】
前記第1部材は、前記第1空間の前記第3方向における寸法と同じ寸法の厚みを有している
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項8】
前記第2板状部材は、前記第1板状部材と同一の波形状を有しており、前記第1板状部材との当接面に関して面対称となるよう該第1板状部材の前記第1面側または前記第2面側に配置されており、
前記第1空間は、前記第1板状部材の前記凹部と、前記第2板状部材の前記凹部と、によって囲まれた空間であり、
前記第1部材は、前記第1板状部材の前記凹部の容積の合計と等しい体積を有する前記第1板状部材の重量と、前記第2板状部材の前記凹部の容積の合計と等しい体積を有する前記第2板状部材の重量と、の合計よりも小さい合計重量を有する
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項9】
前記第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における前記第1部材の投影と、前記仮想投影面上における前記第1空間の投影と、が同じ形状を有している
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項10】
前記第1板状部材および/または前記第2板状部材は、前記第2方向に沿う繊維方向を有する木材であり、
前記第1部材は、前記第1方向に沿う方向の繊維方向を有する木材である
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項11】
前記第3方向の一端側に配置された前記第1または第2板状部材の前記第1面側に配置される少なくとも1枚の第1平板、および/または、前記第3方向の他端側に配置された前記第1または第2板状部材の前記第2面側に配置される少なくとも1枚の第2平板をさらに備える請求項1ないし10のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項12】
前記第1凹部と前記第1および/または第2平板とによって囲まれた複数の第2空間の少なくとも1つに配置される第2部材をさらに備えており、
前記第2部材は、前記第2空間の容積の合計と等しい体積を有する前記第1および/または第2板状部材の重量以下の合計重量を有する
請求項11に記載の積層体。
【請求項13】
前記第2部材は、少なくとも前記第2方向の両端の前記第2空間に配置されている
請求項12に記載の積層体。
【請求項14】
前記第2部材は、前記第2空間の前記第3方向における寸法と同じ寸法の厚みを有している
請求項12または13に記載の積層体。
【請求項15】
前記第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における前記第2部材の投影と、前記仮想投影面上における前記第2空間の投影と、が同じ形状を有している
請求項12ないし14のいずれか1項に記載の積層体。
【請求項16】
前記第1および/または第2平板は、前記第2方向に沿う方向に繊維方向を有する木材であり、
少なくとも1枚の前記第1および/または第2平板は、前記繊維方向が前記凹部の延在方向に交差するよう前記第1板状部材の前記第1および/または第2面側、および/または、前記第2板状部材の前記第1および/または第2面側に配置される
請求項12ないし15のいずれか1項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形状を有する第1板状部材と、積載方向において当該第1板状部材の上または下に配置される第2板状部材と、第1および第2板状部材間の第1空間に配置される第1部材と、を備える積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第2829144号公報(特許文献1)には、単板の繊維方向および板厚方向の両方向に交差する方向の一方側から見たときの仮想投影面における形状が、波形状を有する複数の波状単板を積層配置した積層体としての合板が記載されている。当該波状単板は、凹部と凸部とが繊維方向に交互に連続している。
【0003】
当該積層体は、複数の波状単板が、各々の当接面に関して面対称となるような位置関係で積層配置されているため、凹部による空隙を内部に有する。これにより、当該積層体は、内部に空隙を有さない同じ厚み(製品厚み)の積層体に比べて軽量化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した公報に記載の積層体は、内部に空隙を有さない同じ厚み(製品厚み)の積層体に比べて軽量化を図ることができるものの、内部に空隙を有さない同じ厚み(製品厚み)の積層体に比べて機械的強度、特に、積層体が厚み方向に圧縮される際の圧縮強度が低下してしまい、機械的強度の向上という点において、なお改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、軽量化および機械的強度の向上の両立に資する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の積層体は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る積層体の好ましい形態によれば、少なくとも1枚の第1板状部材と、第2板状部材と、第1部材と、を備えている。第1板状部材は、第1方向および当該第1方向に直交する第2方向に延在する第1面と、当該第1および第2方向に延在すると共に第1面とは反対側を向く第2面と、を有している。また、第1板状部材は、第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における形状が、第2方向において第1面および第2面に交互に連続して凹部が出現する波形状を有している。さらに、第2板状部材は、第1板状部材の第1面側または第2面側に配置される。第1部材は、第2方向に配列された複数の凹部と、第2板状部材と、によって囲まれる複数の第1空間の少なくとも1つに配置される。そして、第1部材は、第1空間の容積の合計と等しい体積を有する第1板状部材の重量よりも小さい合計重量を有している。ここで、本発明における「第1面」および「第2面」は、典型的には第1板状部材の表面および裏面がこれに該当する。
【0009】
本発明に係る積層体によれば、積層体の内部に存在する第1空間の少なくとも1つに第1部材が配置されるため、積層体が厚み方向に圧縮される際に当該積層体に作用する圧縮方向の力の一部を第1部材によって負担することができる。これにより、第1空間に第1部材が配置されない積層体に比べて機械的強度、具体的には、積層体の圧縮強度や曲げ強度、曲げ弾性率の向上を図ることができる。また、第1部材の重量の合計が、第1空間の容積の合計と等しい体積を有する第1板状部材の重量よりも小さいため、内部に第1空間を有さない同じ厚みの積層体に比べて軽量化を図ることができる。
【0010】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1部材は、第1空間の第1方向における長さ以上の長さを有している。
【0011】
本発明に係る積層体によれば、第1部材は、第1空間の第1方向における長さ以上の長さを有しているため、当該第1部材が配置された部分の機械的強度(圧縮強度、曲げ強度、曲げ弾性率など)を、効果的に向上できる。なお、第1部材の長さが、第1空間の第1方向における長さよりも長い場合、当該第1部材の第1空間から第1方向に突出した部分を用いて、第1板状部材の第1方向への継ぎ足し(延長)を行うことできる。これにより、第1板状部材を第1方向に継ぎ足す(延長する)に際して、テープなどを用いて第1板状部材同士を接続する必要がなくなる。この結果、後工程において、当該テープなどが剥がれて第1板状部材同士の接続が解除されるなどの不都合の発生を抑制することができる。
【0012】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1部材は、第1空間の第1方向における長さよりも短い長さを有している。
【0013】
本発明に係る積層体によれば、第1部材が、第1空間の第1方向における長さよりも短い長さを有しているため、複数の第1空間の全てに第1部材を配置したとしても、第1空間内には空隙が存在する。これにより、内部に第1空間を有さない積層体に比べてより一層の軽量化を図ることができる。なお、第1空間内には空隙が存在していれば、当該第1空間に第1部材を複数配置する構成としても良い。また、第1部材を、第1方向において第1空間から突出するように配置すれば、当該第1部材の第1空間から第1方向に突出した部分を用いて、第1板状部材の第1方向への継ぎ足し(延長)を行うことできる。これにより、第1板状部材を第1方向に継ぎ足す(延長する)に際して、テープなどを用いて第1板状部材同士を接続する必要がなくなる。この結果、後工程において、当該テープなどが剥がれて第1板状部材同士の接続が解除されるなどの不都合の発生を抑制することができる。
【0014】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、複数枚の第1および第2板状部材を備えている。第1空間は、第2方向と、第1および第2方向の両方向に直交する第3方向と、に複数配列されている。そして、第1部材は、第1方向の一方側から見たときの仮想投影面上において第3方向に隣接配置される第1空間に連続して配置されている
【0015】
本形態によれば、積層体に作用する圧縮方向の力の一部を第1部材によって効果的に負担することができる。これにより、積層体の機械的強度をより向上することができる。
【0016】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1部材は、少なくとも第2方向の両端の第1空間に配置されている。
【0017】
積層体の第2方向の両端に第1空間が存在すると、第1および第2板状部材の第2方向の両端部が自由端の状態で剥き出し状態となるため、割れや変形を生じやすくなる。例えば、製品としての寸法出しのために積層体の第2方向の端部を切断する際に、第1および第2板状部材の第2方向の両端部が自由端の状態で剥き出し状態となっていると、当該部分に割れや変形が生じて、正確な寸法出しができないばかりか、意匠性の低下も招いてしまう。本形態によれば、積層体の第2方向の両端の第1空間に第1部材が配置されるため、積層体の第2方向の両端の機械的強度を向上することができ、上述した不都合の発生を抑制できる。
【0018】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、複数枚の第1および第2板状部材を備えている。第1空間は、第2方向と、第1および第2方向の両方向に直交する第3方向と、に複数配列されている。そして、第1部材は、第1方向の一方側から見たときの仮想投影面上における第1空間の投影のうち第2および第3方向の両方向に交差する方向に隣接配置される第1空間であって、当該第1空間の投影の図心同士を結ぶ仮想連結線が一直線となる位置関係に配置された第1空間に、連続して配置されている。ここで、本発明における「一直線」とは、文字通り、仮想連結線が一直線となる態様がこれに該当するが、仮想連結線が概ね一直線となる態様を好適に包含する。
【0019】
本形態によれば、積層体に作用する圧縮方向の力の一部を第1部材によって効果的に負担することができる。これにより、積層体の機械的強度をより向上することができる。
【0020】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1部材は、第1空間の第3方向における寸法と同じ寸法の厚みを有している。ここで、本発明における「同じ寸法の厚み」とは、文字通り、第1部材の厚み寸法と、第1空間の第3方向における寸法と、が同じである態様がこれに該当するが、第1部材の厚み寸法と、第1空間の第3方向における寸法と、が概ね同じである態様を好適に包含する。
【0021】
本形態によれば、積層体に作用する圧縮方向の力を第1部材によって、より効果的に負担することができる。これにより、積層体の機械的強度をより一層向上することができる。
【0022】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第2板状部材は、第1板状部材と同一の波形状を有している。第2板状部材は、第1板状部材との当接面に関して面対称となるように当該第1板状部材の第1面側または第2面側に配置されている。第1空間は、第1板状部材の凹部と、第2板状部材の凹部と、によって囲まれた空間である。そして、第1部材は、第1板状部材の凹部の容積の合計と等しい体積を有する第1板状部材の重量と、第2板状部材の凹部の容積の合計と等しい体積を有する第2板状部材の重量と、の合計よりも小さい合計重量を有している。ここで、本発明における「同一の波形状」とは、第2板状部材が、第1面と、当該第1面とは反対側を向く第2面と、を有し、第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における形状が、第2方向において第1面および第2面に交互に連続して凹部が出現する形状がこれに該当し、文字通り第2板状部材が第1板状部材と同一の波形状を有する態様の他、第2板状部材が第1板状部材と概ね同一の波形状を有する態様を好適に包含する。
【0023】
本形態によれば、第2板状部材が平板形状を有している場合と比べて、積層体としての厚みを大きくすることができる。しかも、第1部材の重量の合計が、第1板状部材の第1凹部の容積の合計と等しい体積を有する第1板状部材の重量と、第2板状部材の第1凹部の容積の合計と等しい体積を有する第2板状部材の重量と、の合計よりも小さいため、内部に第1空間を有さない同じ厚みの積層体に比べて軽量化を図ることもできる。
【0024】
第2板状部材が波形状を有している態様の本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における第1部材の投影と、仮想投影面上における第1空間の投影と、が同じ形状を有している。ここで、本発明における「同じ形状」とは、面積も同じ態様がこれに該当し、文字通り、仮想投影面上における第1部材の投影と、当該仮想投影面上における第1空間の投影と、が同じ形状を有する態様の他、仮想投影面上における第1部材の投影と、当該仮想投影面上における第1空間の投影と、が概ね同じ形状を有する態様を好適に包含する。
【0025】
本形態によれば、第1部材によって、積層された状態の第1板状部材および第2板状部材の第2方向への相対移動(相対位置ずれ)を防止することができる。
【0026】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1板状部材および/または第2板状部材は、第2方向に沿う繊維方向を有する木材である。そして、第1部材は、第1方向に沿う方向に繊維方向を有する木材である。ここで、本発明における「第2方向に沿う」および「第1方向に沿う」とは、文字通り、繊維方向が第2方向および第1方向と同じ方向を有する態様がこれに該当するが、繊維方向が概ね第2方向および第1方向に沿う方向を有する態様を好適に包含する。
【0027】
本形態によれば、繊維方向と同方向の引張強度が、繊維方向に交差する方向の引張強度よりも強いという木材の強度に関する異方性を利用して、第1板状部材や第2板状部材が、繊維方向(第2方向)と交差する方向(第1方向)に割れることを抑制することができる。即ち、第1板状部材や第2板状部材の繊維方向と、当該第1板状部材や第2板状部材と摩擦(静止摩擦)をもって当接している第1部材の繊維方向と、が交差する配置であるため、第1部材の繊維方向における比較的強靭な引張強度によって、第1板状部材や第2板状部材が、繊維方向に沿って割れることを良好に抑制することができる。
【0028】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第3方向の一端側に配置された第1または第2板状部材の第1面側に配置される少なくとも1枚の第1平板および/または第3方向の他端側に配置された第1または第2板状部材の第2面側に配置される少なくとも1枚の第2平板をさらに備えている。
【0029】
本形態によれば、製品としての積層体の表面や裏面に第1および第2板状部材の凹凸が現われないため、製品としての積層体の意匠性や施工性の向上を図ることができる。
【0030】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1凹部と第1および/または第2平板によって囲まれた複数の第2空間の少なくとも1つに配置される第2部材をさらに備えている。そして、第2部材は、第2空間の容積の合計と等しい体積を有する第1および/または第2板状部材の重量以下の合計重量を有している。
【0031】
本形態によれば、第1板状部材や第2板状部材と、第1や第2平板と、の間の圧縮強度の向上を図ることができる。しかも、第2部材の重量の合計が、第2空間の容積の合計と等しい体積を有する第1または第2板状部材の重量以下であるため、内部に第2空間を有さない同じ厚みの積層体に比べて軽量化を図ることもできる。
【0032】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第2部材は、少なくとも第2方向の両端の第2空間に配置されている。
【0033】
積層体の第2方向の両端に第2空間が存在すると、第1板状部材や第2板状部材、および、第1および第2平板の第2方向の両端部が自由端の状態で剥き出し状態となるため、割れや変形を生じやすくなる。例えば、製品としての寸法出しのために積層体の第2方向の両端を切断する際に、第1板状部材や第2板状部材、および、第1および第2平板の第2方向の両端部が自由端の状態で剥き出し状態となっていると、当該部分に割れや変形が生じて、正確な寸法出しができないばかりか、意匠性の低下も招いてしまう。本形態によれば、積層体の第2方向の両端の第2空間に第2部材が配置されるため、積層体の第2方向の両端の機械的強度を向上することができ、上述した不都合の発生を抑制できる。
【0034】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第2部材は、第2空間の第3方向における寸法と同じ寸法の厚みを有している。ここで、本発明における「同じ寸法の厚み」とは、文字通り、第2部材が第2空間の第3方向における寸法と同じ厚みを有する態様がこれに該当するが、第2部材が第2空間の第3方向における寸法と概ね同じ厚みを有する態様を好適に包含する。
【0035】
本形態によれば、積層体に作用する圧縮方向の力を第2部材によって、より効果的に負担することができる。これにより、積層体の機械的強度をより向上することができる。
【0036】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1方向の一方側からみたときの仮想投影面上における第2部材の投影と、仮想投影面上における第2空間の投影と、が同じ形状を有している。ここで、本発明における「同じ形状」とは、面積も同じ態様がこれに該当し、文字通り、仮想投影面上における第2部材の投影と、当該仮想投影面上における第2空間の投影と、が同じ形状を有する態様の他、仮想投影面上における第2部材の投影と、当該仮想投影面上における第2空間の投影と、が概ね同じ形状を有する態様を好適に包含する。
【0037】
本形態によれば、積層体に作用する圧縮方向の力を第2部材によって、より一層効果的に負担することができる。これにより、積層体の機械的強度をより一層向上することができる。
【0038】
本発明に係る積層体の更なる形態によれば、第1および/または第2平板は、第2方向に沿う方向に繊維方向を有する木材である。そして、少なくとも1枚の第1および/または第2平板は、その繊維方向が凹部の延在方向に交差するように第1板状部材の第1および/または第2面側、および/または、第2板状部材の第1および/または第2面側に配置される。
【0039】
本形態によれば、少なくとも1枚の第1平板や第2平板が、凹部上において曲げ変形(撓み)を起こすことを良好に抑制することができる。即ち、積層体の最上部や最下部に配置される第1平板や第2平板が波打つことを良好に抑制することができる。これにより、積層体の意匠性や施工性の低下を良好に抑制することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、軽量化および機械的強度の向上の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本実施の形態に係る単板積層材1の構成の概略を示す分解斜視図である。
【
図2】本実施の形態に係る単板積層材1を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図7】原木PWから波状単板2を切り出す様子を示す説明図である。
【
図8】波状単板2の凹溝22に木材片8,10を配置する様子を示す説明図である。
【
図9】複数の波状単板2,2,2,・・・を積層する様子を示す説明図である。
【
図10】複数の波状単板2,2,2,・・・が積層された状態を示す説明図である。
【
図11】積層された複数の波状単板2,2,2,・・・の最上面および最下面に平面状単板4,6が積層された状態を示す説明図である。
【
図12】平面状単板4,6外観を示す外観図である。
【
図13】波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さよりも長い長さを有する木材片8’,10’を用いる場合を示す説明図である。
【
図14】変形例の単板積層材100の構成の概略を示す分解斜視図である。
【
図15】変形例の単板積層材200を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図16】変形例の単板積層材300を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図17】変形例の単板積層材400を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図18】波状単板2の凹溝22に変形例の木材片508,510を配置する様子を示す説明図である。
【
図19】変形例の単板積層材500を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図20】波状単板2の凹溝22に変形例の木材片608,610を配置する様子を示す説明図である。
【
図21】変形例の単板積層材600を直交方向DV1または繊維方向DF3の一方側から見た側面図である。
【
図22】変形例の単板積層材700の構成の概略を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0043】
本発明の実施の形態に係る単板積層材1は、
図1および
図2に示すように、板厚方向(
図1および
図2の上下方向)に積層された複数の波状単板2,2,2,・・・と、積層方向における最上部および最下部に配置された平面状単板4,6と、複数の波状単板2,2,2,・・・間あるいは平面状単板4,6と波状単板2,2との間に配置された複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・と、を備えている。単板積層材1は、本発明における「積層体」に対応し、波状単板2は、本発明における「第1板状部材」および「第2板状部材」に対応し、平面状単板4,6は、本発明における「第1平板」および「第2平板」に対応し、木材片8,10は、本発明における「第1部材」および「第2部材」に対応する実施構成の一例である。
【0044】
波状単板2は、
図3および
図4に示すように、複数の凹溝22,22,22,・・・を有している。複数の凹溝22,22,22,・・・は、波状単板2の繊維方向DF1および板厚方向DT1の両方向に直交する方向(以下、「直交方向DV1」という。)に延在している。凹溝22は、
図4に示すように、波状単板2を直交方向DV1の一方側から見たときに、繊維方向DF1において表面2aおよび裏面2bに交互に連続して出現する。以下、説明の便宜上、図中において波状単板2の上側に配置される面を表面2a、波状単板2の下側に配置される面を裏面2bと規定する。複数の凹溝22,22,22,・・・は、本発明における「凹部」に対応する実施構成の一例である。また、繊維方向DF1は、本発明における「第2方向」に対応し、板厚方向DT1は、本発明における「第3方向」に対応し、直交方向DV1は、本発明における「第1方向」に対応する実施構成の一例である。さらに、表面2aは、本発明における「第1面」に対応し、裏面2bは、本発明における「第2面」に対応する実施構成の一例である。
【0045】
凹溝22は、底面と、当該底面に接続された両側面と、を有している。底面は、平面であり、両側面は、底面から離れるにしたがって互いに離れる方向の傾斜(上り傾斜)を有している。換言すれば、凹溝22は、
図4に示すように、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が、台形状(直交方向DV1に直交する断面が台形状)を有しているということができる。
【0046】
波状単板2は、
図5および
図6に示す刃物12を有するベニヤレース(図示せず)を用いて、長さL2の原木PWから桂剥き状に切り出された単板Vn(
図7参照)を、直交方向DV1に沿う方向の長さが値L1(
図8参照)となるように定尺切断されたものである。刃物12は、
図5および
図6に示すように、第1刃14および第2刃16を有している。
【0047】
第1刃14と第2刃16とは、刃物12の長手方向(
図6の左右方向)に交互に連続して配置されている。第1刃14は、長手方向(
図6の左右方向)に沿う方向の一方側から見たときに、刃物本体12aの一方の側面から他方の側面に向かって傾斜する角度を有しており、第2刃16は、長手方向(
図6の左右方向)に沿う方向の一方側から見たときに、刃物本体12aの他方の側面から一方の側面に向かって傾斜する角度を有している。即ち、刃物12を長手方向(
図6の左右方向)に沿う方向の一方側から見たときの仮想投影面上における第1刃14の投影と第2刃16の投影とは、交差している(
図6参照)。当該刃物12を用いて原木PWを桂剥き状に切り出すことにより、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が波形状を有する波状単板2が削成される(
図7参照)。
【0048】
複数の波状単板2,2,2,・・・は、表面2aの平坦部24,24,24,・・・に他の波状単板2,2,2,・・・の裏面2bの平坦部24,24,24,・・・が当接するように積層される(
図9参照)。換言すれば、複数の波状単板2,2,2,・・・は、当接面に関して面対称となるように積層されるということができる。
【0049】
このとき、
図10に示すように、波状単板2の表面2aの凹溝22,22,22,・・・と、これに対向する他の波状単板2の裏面2bの凹溝22,22,22,・・・と、によって複数の空間26,26,26,・・・が構成される。当該空間26は、直交方向DV1の一方側から見たときに、六角形状を有している。当該空間26は、直交方向DV1に沿って延在している。換言すれば、複数の空間26,26,26,・・・は、積層された複数の波状単板2,2,2,・・・を直交方向DV1に貫通しているということができる。複数の空間26,26,26,・・・は、本発明における「第1空間」に対応する実施構成の一例である。
【0050】
また、
図11に示すように、積層状に配置された複数の波状単板2,2,2,・・・の積層方向において最上部および最下部に配置された波状単板2,2の表面2aの凹溝22および裏面2bの凹溝22と、平面状単板4,6と、によって複数の空間28,28,28,・・・が構成される。当該空間28は、直交方向DV1の一方側から見たときに、台形状を有している。当該空間28は、直交方向DV1に沿って延在している。換言すれば、おり、複数の空間28,28,28,・・・は、積層された複数の波状単板2,2,2,・・・を直交方向DV1に貫通しているということができる。複数の空間28,28,28,・・・は、本発明における「第2空間」に対応する実施構成の一例である。
【0051】
平面状単板4,6は、刃物12とは異なる通常の刃物を有するベニヤレース(図示せず)を用いて、長さL1の原木(図示せず)から桂剥き状に切り出された単板(図示せず)を、繊維方向DF3(
図12参照)および板厚方向DT3(
図12参照)の両方向に直交する方向(以下、「直交方向DV3」という。)に沿う方向の長さが値L2(
図12参照)となるように定尺切断されたものである。
【0052】
即ち、本実施の形態では、平面状単板4,6の繊維方向DF3に沿う方向の長さ(
図12参照)を、波状単板2の繊維方向DF1に沿う方向の長さ(
図8参照)と同じ値L2に設定し、平面状単板4,6の直交方向DV3に沿う方向の長さ(
図12参照)を、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さ(
図8参照)と同じ値L1に設定する構成とした。これにより、平面状単板4,6は、
図1に示すように、その繊維方向DF3が波状単板2の繊維方向DF1に沿う態様で、それぞれ当該波状単板2の表面2aおよび裏面2bに積層(配置)される。
【0053】
木材片8,10は、突板や単板などの木質材料から作成される。木材片8,10は、
図8に示すように、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さと同じ長さを有している。即ち、本実施の形態では、木材片8,10の長手方向の長さは、波状単板2の凹溝22の延在方向の長さと等しい値L1に設定されている。また、木材片8,10は、長手方向に沿う方向に繊維方向DF2を有している。以下、木材片8,10の板厚方向を「板厚方向DT2」、繊維方向および板厚方向DT2に直交する方向を「直交方向DV2」という。
【0054】
即ち、木材片8,10は、繊維方向DF2が波状単板2の繊維方向DF1と交差するように空間26,28に配置される。さらに、木材片8は、
図2に示すように、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が、空間26と同形状、即ち、六角形状を有している。また、木材片10は、
図2に示すように、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が、空間28と同形状、即ち、台形状を有している。ここで、「同形状」とは、各辺の長さおよび面積が等しい態様および概ね等しい態様がこれに該当する。
【0055】
木材片8,10は、複数の波状単板2,2,2,・・・および平面状単板4,6が積層状に配置されることによって構成された複数の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・(
図11参照)のうち、繊維方向DF1,DF3の両端の二列に配置された空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・内に配置される(
図1および
図2参照)。
【0056】
ここで、空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・内に配置される木材片8,10の重量の合計は、複数の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・の容積の合計に相当する体積を有する波状単板2の重量よりも小さくなるように設定されている。当該構成は、例えば、木材片8,10として、波状単板2よりも比重の小さい材料を用いることや、あるいは、使用する木材片8,10の本数を調整することにより実現することができる。
【0057】
次に、上述した構成の単板積層材1の製造方法について説明する。まず、刃物12を有するベニヤレース(図示せず)を用いて、長さL2の原木PWから桂剥き状に切り出された単板Vn(
図7参照)を、直交方向DV1に沿う方向の長さが値L1(
図8参照)となるように定尺切断することで、複数の波状単板2,2,2,・・・を準備すると共に、刃物12とは異なる通常の刃物を有するベニヤレース(図示せず)を用いて、長さL2の原木(図示せず)から桂剥き状に切り出された単板(図示せず)を、直交方向DV3に沿う方向の長さが値L1(
図12参照)となるように定尺切断することで、複数の平面状単板4,4,4,・・・,6,6,6,・・・を準備する。また、突板や単板などの木質材料に切削加工やプレス加工などを施すことによって、長さL1、かつ、長手方向に直角な断面形状が六角形状を有する複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を準備する。
【0058】
このとき、後工程において積層される複数の波状単板2,2,2,・・・および平面状単板4,6のうち互いに接触することになる接触面(例えば、波状単板2の平坦部24など)や、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・または複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が配置されることになる複数の波状単板2,2,2,・・・の複数の凹溝22,22,22,・・・には、スプレッダなどによって接着剤が塗布される。
【0059】
続いて、接着剤が塗布された平面状単板6、複数の波状単板2,2,2,・・・、および、平面状単板4を当該順序で積層する。即ち、積層された複数の波状単板2,2,2,・・・を平面状単板4,6で挟む態様で、複数の波状単板2,2,2,・・・および平面状単板4,6が積層される。
【0060】
このとき、平面状単板4,6と波状単板2との間に構成される複数の空間28,28,28,・・・、および、複数の波状単板2,2,2,・・・同士間に構成される複数の空間26,26,26のうち、繊維方向DF1,DF3の両端に積層方向(板厚方向DT1,DT3)に直線状に配列される2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に(
図11参照)、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が配置される(
図2参照)。なお、複数の波状単板2,2,2,・・・は、当接面(平坦部24)に関して面対称となるように積層される。
【0061】
こうして各層間に複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が配置された状態で積層された平面状単板6、複数の波状単板2,2,2,・・・、および、平面状単板4に、ホットプレスなどを用いて上下方向(積層方向、板厚方向DT1,DT3)の圧締力を加えることにより、単板積層材1の製造が完了する。
【0062】
ここで、繊維方向DF1,DF3の両端各2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が配置されるため、これら複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・によって、単板積層材1が熱圧締される際に当該単板積層材1に作用する圧締力の一部を負担することができる。これにより、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が配置されない従来の構成に比べて、単板積層材1が熱圧締される際の当該単板積層材1の圧縮強度の向上を図ることができる。また、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が、圧締力の作用方向と同方向、即ち、板厚方向DT1,DT3に直線状に連続して配置されるため(
図2参照)、単板積層材1に作用する圧締力を効果的に負担することができる。これにより、単板積層材1の圧縮強度をより向上することができる。さらに、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・によって、単板積層材1の曲げ強度や曲げ弾性率の向上を図ることができる。
【0063】
なお、空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・内に配置される木材片8,10の重量の合計が、複数の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・の容積の合計に相当する体積を有する波状単板2の重量よりも小さくなるように設定されているため、内部に空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・を有さない同じ厚みの単板積層材に比べて軽量化を図ることができる。
【0064】
また、製品としての寸法出しのために単板積層材1において、繊維方向DF1,DF3の端部が切断された際に、当該端部に空間26,28が剥き出し状態になることを防止できるため、当該端部に割れや変形が生じることを良好に防止できる。これにより、製品としての正確な寸法出しを実現できると共に、意匠性の低下を防止できる。
【0065】
さらに、単板積層材1は、複数の波状単板2,2,2,・・・の繊維方向DF1および平面状単板4,6の繊維方向DF3と、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・の繊維方向DF2と、が交差する態様で積層されるため(
図1参照)、繊維方向DF1,DF2,DF3と同方向の引張強度が、直交方向DV1,DV2,DV3の引張強度よりも強いという木材の強度に関する異方性を利用して、複数の波状単板2,2,2,・・・や平面状単板4,6が、繊維方向DF1,DF3に沿って割れることを良好に抑制することができる。
これにより、単板積層材1の機械的強度を向上することができる。
【0066】
また、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの木材片8,10の形状(長手方向に直交する断面形状)と、直交方向DV1の一方側から見たときの空間26,28の形状(直交方向DV1に直交する断面形状)と、が同じ形状(六角形状,台形状)を有しているため、単板積層材1に作用する圧縮方向(上下方向、板厚方向DT1,DT3)の圧締力を木材片8,10によって、より効果的に負担することができる。これにより、単板積層材1の機械的強度をより一層向上することができる。なお、木材片8によって、積層された波状単板2,2同士の繊維方向DF1への相対移動(相対位置ずれ)を防止することができる。
【0067】
また、単板積層材1の最上面および最下面には、平面状単板4,6が配置されるため、製品としての単板積層材1の表裏面に波状単板2の凹溝22や平坦部24が現われないため、製品としての単板積層材1の意匠性や施工性が向上する。ここで、平面状単板4,6は、その繊維方向DF3が凹溝22,22,22,・・・の延在方向(波状単板2の直交方向DV1)に交差する態様で波状単板2の表面2aおよび裏面2bに積層(配置)されるため、平面状単板4,6が凹溝22,22,22,・・・部上において曲げ変形(撓み)を起こすことを良好に抑制することができる。即ち、平面状単板4,6が波打つ態様で波状単板2の表面2aおよび裏面2bに積層(配置)されることを良好に抑制することができる。これにより、単板積層材1の意匠性や施工性の低下を良好に抑制することができる。
【0068】
本実施の形態では、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さと同じ長さを有する木材片8,10を用いたが、これに限らない。例えば、
図13に示すように、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さ(L1)よりも長い長さを有する木材片8’,10’を用いても良いし、
図14に例示する変形例の単板積層材100に示すように、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さ(L1)よりも短い長さを有する木材片108,110を用いても良い。単板積層材100は、本発明における「積層体」に対応する実施構成の一例である。
【0069】
波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さ(L1)よりも長い長さを有する木材片8’,10’を用いる場合、
図13に示すように、当該木材片8’,10’の第1および第2空間26,28から直交方向DV1に突出した部分を用いて、波状単板2を直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)ことが可能となる。これにより、波状単板2を直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)に際して、テープなどを用いて波状単板2同士を接続する必要がなくなる。この結果、後工程において、当該テープなどが剥がれて波状単板2同士の接続が解除されるなどの不都合の発生を抑制することができる。また、当該剥がれたテープに起因する装置の不具合を良好に防止し得る。こうして、直交方向DV1に継ぎ足された(延長された)波状単板2を複数枚積層することで、直交方向DV1において長さL1の整数倍の長さを有する単板積層材1を製造することができる。木材片8’は、本発明における「第1部材」に対応し、木材片10’は、本発明における「第2部材」に対応する実施構成の一例である。
【0070】
また、波状単板2の直交方向DV1に沿う方向の長さ(L1)よりも短い長さを有する木材片108,110を用いる場合、
図14に示すように、1つの空間26,28に複数の木材片108,108,108,・・・,110,110,110,・・・を配置する構成とすることもできる。ここで、木材片108,110は、波状単板2および平面状単板4,6の密度以下の密度を有する木質材料を用いる構成とすることができる。なお、複数の木材片108,108,108,・・・,110,110,110,・・・の合計重量が、複数の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・の容積の合計に相当する体積を有する波状単板2の重量よりも小さければ、木材片108,110は、波状単板2および平面状単板4,6の密度よりも大きな密度を有する木質材料を用いても良いことは言うまでもない。また、1つの空間26,28に配置される複数の木材片108,108,108,・・・,110,110,110,・・・間に隙間を有する構成とすることもできる。当該構成によれば、木材片8,10を用いる単板積層材1に比べて、より一層の軽量化を図ることができる。なお、少なくとも1本の木材片108または木材片110を、直交方向DV1において空間26または空間28から突出するように配置すれば、当該木材片108または木材片110の空間26または空間28から直交方向DV1に突出した部分を用いて、波状単板2を直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)ことが可能となる。これにより、波状単板2を直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)に際して、テープなどを用いて波状単板2同士を接続する必要がなくなる。この結果、後工程において、当該テープなどが剥がれて波状単板2同士の接続が解除されるなどの不都合の発生を抑制することができる。また、当該剥がれたテープに起因する装置の不具合を良好に防止し得る。こうして、直交方向DV1に継ぎ足された(延長された)波状単板2を複数枚積層することで、直交方向DV1において長さL1の整数倍の長さを有する単板積層材100を製造することができる。木材片108は、本発明における「第1部材」に対応し、木材片110は、本発明における「第2部材」に対応する実施構成の一例である。
【0071】
なお、上述した二つの変形例では、1枚の定尺サイズ(長さL1)の波状単板2を直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)構成としたが、定尺サイズに満たない(乱尺)長さを有する複数の波状単板2を定尺サイズ(長さL1)となるまで直交方向DV1に継ぎ足す(延長する)構成としても良いことは言うまでもない。
【0072】
本実施の形態および上述した変形例では、繊維方向DF1または直交方向DV3の両端各2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に、複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置したが、これに限らない。例えば、繊維方向DF1,DF3の両端各2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に加えて、あるいは、繊維方向DF1,DF3の両端各2列の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・を除く、繊維方向DF1,DF3の中央に積層方向(板厚方向DT1,DT3)に直線状に配列される1列以上の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置しても良いし、複数の空間26,26,26,・・・,28,28,28,・・・に、ランダムに複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置しても良い。ランダムに複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置する一例として、例えば、
図15に例示する変形例の単板積層材200に示すように、複数の空間26,26,26,・・・のうち繊維方向DF1,DF3および板厚方向DT1,DT3に対して所定の傾斜角をもつ斜め方向DS1,DS2に沿って隣接配置される空間26,26,26,・・・に一直線状に複数の木材片8,8,8,・・・を配置することができる。当該構成によれば、当該複数の木材片8,8,8,・・・が配置される空間26,26,26,・・・を直交方向DV1(あるいは繊維方向DF3)の一方側から見たときの当該空間26,26,26,・・・の各図心Ca同士を結ぶ仮想連結線Lcv1,Lcv2は直線となるため、板厚方向DT1,DT3に対して傾斜するものの、複数の木材片8,8,8,・・・が連続した直線状に配置されるため、単板積層材1に作用する圧締力の一部を負担することができる。これにより、単板積層材1の圧縮強度の向上を図ることができる。単板積層材200は、本発明における「積層体」に対応する実施構成の一例である。
【0073】
本実施の形態および上述した変形例では、積層された複数の波状単板2,2,2,・・・を平面状単板4,6で挟む態様で、複数の波状単板2,2,2,・・・および平面状単板4,6を積層したが、これに限らない。例えば、
図16に例示する変形例の単板積層材300に示すように、平面状単板304と、波状単板302と、を交互に積層する構成としても良いし、
図17に例示する変形例の単板積層材400に示すように、平面状単板404と、2枚の波状単板402,402と、を交互に積層する構成としても良い。ここで、波状単板302,402は、波状単板2と同じ構成を有しており、平面状単板304,404は、平面状単板4,6と同じ構成を有している。なお、図示はしないが、2枚以上の平面状単板404,404,・・・と、3枚以上の波状単板402,402,402,・・・と、を交互に積層する構成としても良いことは言うまでもない。この場合、単板積層材400の少なくとも最上部には、平面状単板404が配置されることが望ましいことは言うまでもない。単板積層材300,400は、本発明における「積層体」に対応し、波状単板302、2枚以上の波状単板402,402,・・・のうちの1枚は、本発明における「第1板状部材」に対応し、2枚以上の波状単板402,402,・・・のうち1枚を除く残りの波状単板402,402,・・・、および、平面状単板304,404のうち単板積層材300,400の最上部および最下部に積層(配置)された平面状単板304,404を除く残りの平面状単板304,404は、本発明における「第2板状部材」に対応し、単板積層材300,400の最上部および最下部に積層(配置)された平面状単板304,404は、本発明における「第1平板」および「第2平板」に対応する実施構成の一例である。
【0074】
本実施の形態および上述した変形例では、木材片8,10,108,110は、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が、空間26,28と同形状を有する構成としたが、これに限らない。例えば、木材片8,10は、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が、空間26,28と相似形状を有する構成としても良い。即ち、単板積層材1,100,200,300,400を直交方向DV1,DV3方向の一方側から見たときに、空間26,28と木材片8,10,108,110との間に隙間を有していても良い。
【0075】
あるいは、木材片8,10,108,110は、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が、空間26,28と異なる形状を有する構成としても良い。例えば、
図19の変形例の単板積層材500に示すように、木材片508,510は、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が四角形を有する構成としても良いし(
図18も併せて参照)、
図21の変形例の単板積層材600に示すように、木材片608,610は、長手方向に沿う方向の一方側から見たときの形状が略楕円形状を有する構成としても良い(
図20も併せて参照)。単板積層材500,600は、本発明における「積層体」に対応し、木材片508,608は、本発明における「第1部材」に対応し、木材片510,610は、本発明における「第2部材」に対応する実施構成の一例である。
【0076】
本実施の形態および上述した変形例では、木材片8,10,108,110,508,510,608,610は、長手方向に沿う方向に繊維方向DF2を有する構成としたが、木材片8,10,108,110,508,510,608,610は、長手方向に直交する方向に繊維方向DF2を有する構成としても良い。
【0077】
本実施の形態および上述した変形例では、単板積層材1,100,200,300,400,500,600の最上部および最下部の両方に、平面状単板4,6,304,404を積層(配置)する構成としたが、平面状単板4,6,304,404は、単板積層材1,100,200,300,400,500,600の最上部のみに積層(配置)する構成としても良い。
【0078】
本実施の形態および上述した変形例では、単板積層材1,100,200,300,400,500,600の最上部および最下部に、平面状単板4,6,304,404を1枚のみ積層(配置)する構成としたが、2枚以上の平面状単板4,6,304,404を、単板積層材1,100,200,300,400,500,600の最上部および最下部に積層(配置)する構成としても良い。この場合、単板積層材1,100,200,300,400,500,600の最上部および最下部それぞれに積層(配置)される少なくとも1枚の平面状単板4,6,304,404を、その繊維方向DF3が凹溝22,22,22,・・・の延在方向に交差するように積層(配置)すれば良い。
【0079】
本実施の形態および上述した変形例では、波状単板2は刃物12を有するベニヤレース(図示せず)を用いて原木PWから桂剥き状に切り出す構成としたが、これに限らない。例えば、第1刃14と第2刃16と同様の刃を有する刃物を備えるスライサーを用いて波状単板2を削成する構成とてしても良いし、あるいは、プレス加工によって波状単板2を成形する構成としても良い。当該構成によれば、波状単板2を繊維方向DF1の一方側から見たときに、直交方向DV1において表面2aおよび裏面2bに交互に連続して凹溝22出現する波状単板2を製造することもできる。
【0080】
本実施の形態および上述した変形例では、波状単板2の凹溝22は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が、平面状の底面と、傾斜状の両側面と、を有する断面U字形状(台形状)を有する構成としたが、これに限らない。例えば、波状単板2の凹溝22は、直交方向DV1に直交する断面がV字形状を有する構成としても良い。あるいは、波状単板2の凹溝22は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が、円弧状の底面を有する断面U字形状を有する構成としても良い。凹溝22が断面V字形状の場合、空間26は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状がひし形となり、空間28は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が三角形となる。また、凹溝22が円弧状の底面を有する断面U字形状の場合、空間26は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が円形または楕円形となり、空間28は、直交方向DV1の一方側から見たときの形状が半円形または半楕円形となる。
【0081】
本実施の形態および上述した変形例では、木材片8,10,108,110,508,510,608,610は、突板や単板などの木質材料を用いたが、これに限らない。例えば、木材片8,10,108,110,508,510,608,610は、中質繊維板(MDF)などの木質材料やフェノール等の樹脂材料を用いても良い。
【0082】
本実施の形態および上述した変形例では、単板積層材1の製造方法として、接着剤が塗布された波状単板2が一枚積層される毎に、当該波状単板2の表面2aの所定の凹溝22,22,22,・・・に複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を配置する構成としたが、これに限らない。例えば、波状単板2の表面2aおよび/または裏面2bの所定の凹溝22,22,22,・・・に予め接着剤によって複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・を接着しておき、当該複数の木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・が接着された波状単板2,2,2,・・・を積層する構成としても良い。当該構成によれば、圧締前の積層された複数の波状単板2,2,2,・・・が、繊維方向DF1に沿う方向に互いにずれることを良好に抑制し得る。
【0083】
本実施の形態および上述した変形例では、波状単板2の凹溝22,22,22,・・・および木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・の両方に接着剤を塗布したが、これに限らない。例えば、波状単板2の凹溝22,22,22,・・・および木材片8,8,8,・・・,10,10,10,・・・のいずれか一方のみに接着剤を塗布しても良い。
【0084】
本実施の形態および上述した変形例では、単板積層材1,100,200,300,400,500,600は、全て同じ材質、即ち、同種の原木より切り出された複数枚の波状単板2,2,2,・・・を備える構成としたが、これに限らない。例えば、
図22に例示する変形例の単板積層材700に示すように、単板積層材700は、異なる材質の複数枚の波状単板2A,2B,2C,・・・、即ち異なる原木から切り出された複数枚の波状単板2A,2B,2C,・・・を備える構成としても良い。この場合、木材片8,10は、その重量の合計が各波状単板2A,2B,2C,・・・の複数の各凹溝22A,22B,22C,・・・の容積の合計と等しい体積を有する波状単板2A,2B,2C,・・・それぞれの重量の合計よりも小さくなるように設定すれば良い。単板積層材700は、本発明における「積層体」に対応し、波状単板2A,2B,2C,・・・のいずれか1枚は、本発明における「第1板状部材」に対応し、波状単板2A,2B,2C,・・・のうち1枚を除く残りの波状単板2A,2B,2C,・・・は、本発明名における「第2板状部材」に対応し、凹溝2A,22B,22C,・・・は、本発明における「凹部」に対応する実施構成の一例である。
【0085】
本実施形態は、本発明を実施するための形態の一例を示すものである。したがって、本発明は、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。