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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173690
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電動シリンダ及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/24 20060101AFI20221115BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20221115BHJP
   E02F 3/38 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F16H25/24 J
F16H25/22 Z
E02F3/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079547
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯谷 英史
(72)【発明者】
【氏名】赤崎 翔太
【テーマコード(参考)】
3J062
【Fターム(参考)】
3J062AA12
3J062AB22
3J062AC07
3J062BA27
3J062CD04
3J062CD22
3J062CD75
(57)【要約】
【課題】電動シリンダの接続部を効率的に潤滑することができる。
【解決手段】電動シリンダは、シャフトと、前記シャフトの外周に設けられた軸受と、前記軸受を介して前記シャフトを囲むホルダと、を備え、前記ホルダは、前記シャフトの軸方向に開口し且つ前記軸受を介して前記シャフトを支持するホルダ本体と、前記ホルダ本体から前記軸方向と交差する外方に突出する筒状のトラニオン部と、を備え、前記ホルダは、前記ホルダ本体の前記軸方向の外方から前記トラニオン部の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトの外周に設けられた軸受と、
前記軸受を介して前記シャフトを囲むホルダと、を備え、
前記ホルダは、
前記シャフトの軸方向に開口し且つ前記軸受を介して前記シャフトを支持するホルダ本体と、
前記ホルダ本体から前記軸方向と交差する外方に突出する筒状のトラニオン部と、を備え、
前記ホルダは、前記ホルダ本体の前記軸方向の外方から前記トラニオン部の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている
電動シリンダ。
【請求項2】
前記ホルダは、前記ホルダ本体から前記軸方向の外方に突出し且つ前記シャフトと同軸の筒状に形成された突出筒体を更に備え、
前記突出筒体の内周面は、前記シャフトの外周にわたって前記シャフトよりも径方向外側に離間している
請求項1に記載の電動シリンダ。
【請求項3】
前記ホルダは、前記潤滑剤を貯留可能に前記軸方向の外方に開口し且つ前記突出筒体の外周に沿う環状に形成された環状凹部を更に有する
請求項2に記載の電動シリンダ。
【請求項4】
前記突出筒体は、前記環状凹部の前記軸方向の外側から前記突出筒体の内周に向けて延び且つ前記潤滑剤を流通可能に窪む外側ガイド溝を有する
請求項3に記載の電動シリンダ。
【請求項5】
前記ホルダは、前記突出筒体の内周面の前記軸方向の内端部から前記軸方向の内側に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面を有する
請求項2から4の何れか一項に記載の電動シリンダ。
【請求項6】
前記ホルダは、
前記ホルダ本体の内周面の前記軸方向にわたって延び且つ前記潤滑剤を流通可能に窪む内側ガイド溝と、
前記トラニオン部の径方向中央において前記内側ガイド溝から前記軸方向と交差する外方に開口する開口孔と、を有する
請求項2から5の何れか一項に記載の電動シリンダ。
【請求項7】
前記シャフトのねじ軸に螺合されるナットと、
前記ナットに連結されたピストンと、
前記ピストンに連結された筒状のピストンロッドと、
前記ピストンロッドを収容する筒状のシリンダチューブと、を更に備え、
前記ピストンは、前記ねじ軸の外周に臨む位置から前記シリンダチューブの内周に向けて前記潤滑剤を流通可能に構成されている
請求項1から6の何れか一項に記載の電動シリンダ。
【請求項8】
前記ピストンは、前記ねじ軸の外周に臨む位置から前記シリンダチューブの内周に向けて延びるとともに前記潤滑剤を流通可能に開口し且つ前記ピストンロッドと前記シリンダチューブとの間に形成された第一空間に通じる第一ガイド孔を有する
請求項7に記載の電動シリンダ。
【請求項9】
前記ピストンは、前記軸方向に延びるボルトにより前記ナットに連結され、
前記ピストンは、前記軸方向に互いに離間して配置され且つ前記潤滑剤を流通可能に開口する第二ガイド孔及び第三ガイド孔を更に有し、
前記第二ガイド孔は、前記ボルトの外周に臨む位置から前記シリンダチューブの内周に向けて延び且つ前記第一空間に通じ、
前記第三ガイド孔は、前記ボルトの外周に臨む位置から前記シリンダチューブの内周に向けて延び且つ前記ピストンと前記ホルダとの間に形成された第二空間に通じている
請求項8に記載の電動シリンダ。
【請求項10】
前記シャフトの軸方向一端部側は、回転体とスプラインにより結合され、
前記シャフトの軸方向一端部側に対して外部から前記潤滑剤を供給可能に開口する供給孔を有し且つ前記シャフトの軸方向一端部側を前記軸方向の外方から覆うカバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、かつ、前記供給孔に対して外部から前記潤滑剤を供給可能に開閉可能なグリスニップルと、を更に備える
請求項1から9の何れか一項に記載の電動シリンダ。
【請求項11】
車両本体と、
前記車両本体に連結された作業機と、を備え、
前記作業機は、請求項1から10の何れか一項に記載の電動シリンダを備える
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動シリンダ及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械の一例として電動ショベルが開示されている。電動ショベルは、車両本体と、車両本体に対して回動可能に設けられたブームと、電動シリンダと、を備える。ブームは、電動シリンダによって駆動される。
特許文献2には、電動シリンダとして、上下方向に延びるねじ軸を収納する内筒と、内筒を出没可能に収納する外筒と、を備えた構成が開示されている。内筒は、ねじ軸と螺合するナットに固定されている。内筒内の下半部には、流通孔を介して外筒内と流通する潤滑剤が封入されている。内筒内の上半部には、内筒の上端部に形成された大気連通孔を有する空気室が形成されている。
特許文献3には、軸線方向に沿って長尺なボディと、ボディの内部に設けられた変位機構と、を備えた構成が開示されている。変位機構は、ボディの内部に収容されるねじ軸と、ねじ軸に螺合される変位ナットと、変位ナットの外周側に装着されるピストンと、ピストンに連結されるピストンロッドと、を備える。ねじ軸の一端部は、コネクタに連結されている。コネクタは、軸受によって回転自在に支持されている。ねじ軸の他端部は、ホルダに連結されている。ホルダの外周面には、支持リングが設けられている。支持リングの外周面は、複数の支持部を有して凹凸状に形成されている。支持部は、ピストンロッドの内周面に摺接し、ピストンロッドを軸線方向に沿って変位自在に支持している。支持リングの外周面には、潤滑剤を案内する攪拌溝が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-204172号公報
【特許文献2】実公平3-4962号公報
【特許文献3】特開2009-275914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、電動シリンダの駆動によりブームが回動する。電動シリンダは、ピンが挿通される接続孔を有する。ブームは、ピンが挿通される貫通孔を有する。ブームは、ブームの貫通孔及び電動シリンダの接続孔にピンが挿通されることで、ピンの中心軸回りに回動可能に支持される。特許文献1では、ブームをスムーズに回動させるため、電動シリンダの接続部を効率的に潤滑することが要求される。
特許文献2の場合、内筒内及び外筒内に潤滑剤が封入される。
特許文献3の場合、支持リングの攪拌溝により潤滑剤が攪拌される。
これら特許文献2及び3では、ピン等の対象部材に対して電動シリンダを回動自在に接続する場合、電動シリンダの接続部を効率的に潤滑する上で改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、電動シリンダの接続部を効率的に潤滑することができる電動シリンダ及び作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電動シリンダは、シャフトと、前記シャフトの外周に設けられた軸受と、前記軸受を介して前記シャフトを囲むホルダと、を備え、前記ホルダは、前記シャフトの軸方向に開口し且つ前記軸受を介して前記シャフトを支持するホルダ本体と、前記ホルダ本体から前記軸方向と交差する外方に突出する筒状のトラニオン部と、を備え、前記ホルダは、前記ホルダ本体の前記軸方向の外方から前記トラニオン部の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記態様によれば、電動シリンダの接続部を効率的に潤滑することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るショベルの側面図。
図2】実施形態に係る作業機の側面図であって、ブーム及びアームの内部を透過して示す図。
図3】実施形態に係るブームの斜視図であって、ブームの内部を透過して示す図。
図4】実施形態に係るアームの斜視図であって、アームの内部を透過して示す図。
図5】実施形態に係る電動シリンダの斜視図。
図6】実施形態に係る電動シリンダを軸方向の一方側から見た図。
図7】実施形態に係る電動シリンダを軸方向の他方側から見た図。
図8図7のVIII-VIII断面を含む図。
図9図8のIX-IX断面を含む図。
図10図8のX部分の拡大図に相当する図であって、実施形態のナットがホルダから離間した状態のヘッド側空間及びボトム側空間を示す図。
図11図9のXI部分の拡大図。
図12図11のXII-XII断面を含む図。
図13】実施形態に係るホルダの斜視図。
図14】実施形態に係るホルダをシリンダ軸線及びトラニオン軸線を含む平面で切断した断面を含む斜視図。
図15】実施形態に係るピストンの斜視図。
図16】実施形態に係るピストンをシリンダ軸線及びトラニオン軸線を含む平面で切断した断面を含む斜視図。
図17図10に相当する図であって、実施形態に係る潤滑剤の流れの一例を説明するための図。
図18図11に相当する図であって、実施形態に係る潤滑剤の流れの一例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、作業機械(作業車両)の一例としてショベルを挙げて説明する。
【0010】
<ショベル(作業機械)>
図1に示すように、作業機械としてのショベル1は、車両本体2と、車両本体2に連結された作業機3と、を備える。以下、ショベル1の前進方向、後進方向及び車両幅方向を「車両前方(車両前後方向一方側)」、「車両後方(車両前後方向他方側)」及び「車両幅方向」と称する。車両幅方向は、「左側(車両幅方向一方側)」又は「右側(車両幅方向他方側)」と称する場合もある。ショベル1が前進する方向に対して右手を右側、ショベル1が前進する方向に対して左手を左側と称する。ショベル1が水平面に配置された状態の上下方向、上方及び下方を単に「上下方向」、「上方」及び「下方」と称する。
【0011】
<車両本体>
車両本体2は、自走可能な下部走行体5と、下部走行体5上に旋回自在に設けられた上部旋回体6と、を備える。
【0012】
下部走行体5は、左右一対の履帯7を有している。下部走行体5は、履帯7を駆動する電動モータ(不図示)を備える。下部走行体5は、電動モータによって履帯7が駆動されることで走行する。なお、下部走行体5は、電動モータに代えて油圧モータを備えていてもよい。
【0013】
下部走行体5の前部には、下部走行体5の車両幅方向に延びる排土板としてのブレード8が設けられている。下部走行体5は、ブレード8を駆動する電動アクチュエータ(不図示)を備える。ブレード8の高さ位置は、電動アクチュエータの駆動により調整可能とされている。
【0014】
上部旋回体6は下部走行体5の上部に設けられている。上部旋回体6には、下部走行体5の駆動源である走行用電動モータ、作業機3の駆動源である電動シリンダのモータ、各モータの動力源となるバッテリ及びインバータ等(不図示)が設けられている。上部旋回体6は、下部走行体5に対して上下方向に延びる軸線回りに旋回可能とされている。
【0015】
上部旋回体6には、キャノピー10が設けられている。キャノピー10は、運転者を収容可能な運転スペース11を有する。キャノピー10は、運転スペース11の天井部を形成するフード12と、フード12の後部の車両幅方向両側に設けられてフード12から下方に延びる後部支柱13と、フード12の前部の車両幅方向両側に設けられてフード12から下方に延びる前部支柱14と、を備える。
【0016】
上部旋回体6の前部には、ブーム20を支持するブラケット15が設けられている。図2に示すように、ブラケット15は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第一孔15a及び第二孔15bを有する。第一孔15aは、ブラケット15の上端部近傍に配置されている。第二孔15bは、第一孔15aよりも下方でかつ前方に配置されている。
【0017】
<作業機>
図1に示すように、作業機3は、上部旋回体6に対して屈曲起伏自在に動作可能に設けられている。作業機3は、ブーム20と、アーム30と、バケット40(作業具)と、複数(例えば本実施形態では3つ)の電動シリンダ100A~100Cと、を備える。3つの電動シリンダ100A~100Cは、ブーム20を動作させる第一電動シリンダ100Aと、アーム30を動作させる第二電動シリンダ100Bと、バケット40を動作させる第三電動シリンダ100Cと、である。ブーム20の基端部は、上部旋回体6に対して回転可能に連結されている。ブーム20の先端部は、アーム30の基端部に対して回転可能に連結されている。アーム30の先端部は、バケット40に対して回転可能に連結されている。
【0018】
<ブーム>
ブーム20は、図1の姿勢では、上部旋回体6の車両幅方向から見て、ブラケット15から上方に延びた後に屈曲して前上方に向かって延びている。以下、上部旋回体6の車両幅方向から見て、ブーム20が延びる方向を「ブーム延在方向」、ブーム延在方向と直交する方向を「ブーム板幅方向」とする。ブーム延在方向においてブーム20の一端部(ブラケット15側の端部)を「ブーム基端部」とする。ブーム延在方向においてブーム20の他端部(ブーム基端部とは反対側の端部)を「ブーム先端部」とする。ブーム板幅方向の寸法は、ブーム基端部からブーム延在方向の中央近傍に向かうに従って徐々に大きくなった後に、ブーム先端部に向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0019】
図3に示すように、ブーム20は、上部旋回体6の車両幅方向に離間して配置された一対のブーム側板21と、上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のブーム側板21同士を接続するブーム底板22と、ブーム底板22のブーム基端部側に接続されたブーム基端側接続板23と、ブーム底板22のブーム先端部側に接続されたブーム先端側接続板24と、ブーム延在方向の中央近傍で一対のブーム側板21により挟まれた空間を仕切るブーム仕切部材25と、ブーム基端部を上部旋回体6に支持させるブーム基端支持部材26と、アーム30を支持するアーム支持板27と、を備える。
【0020】
ブーム側板21は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第一シリンダ基端側孔21a及び第二シリンダ基端側孔21bを有する。図2に示すように、第一シリンダ基端側孔21aは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、ブーム延在方向の中央近傍下側であって第一電動シリンダ100Aの一部(図2の上端部近傍)と重なる部分に配置されている。第二シリンダ基端側孔21bは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、ブーム延在方向の中央近傍上側であって第二電動シリンダ100Bの一部(図2の下端部近傍)と重なる部分に配置されている。
【0021】
図3に示すように、ブーム底板22は、ブーム側板21のブーム板幅方向において上部旋回体6とは反対側の縁部に設けられている。ブーム底板22、ブーム延在方向に沿って延びている。ブーム底板22は、ブーム延在方向の中央近傍で第一シリンダ基端側孔21aと第二シリンダ基端側孔21bとの間に向かって湾曲している。
【0022】
ブーム基端側接続板23は、ブーム基端部側で上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のブーム側板21同士を接続している。ブーム基端側接続板23は、ブーム底板22との接続部からブーム板幅方向に遠ざかるに従ってブーム基端部に近づくように延びた後に屈曲してブーム基端部に向けて延びている。
【0023】
ブーム先端側接続板24は、ブーム先端部側で上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のブーム側板21同士を接続している。ブーム先端側接続板24は、ブーム底板22との接続部からブーム板幅方向に遠ざかるに従ってブーム先端部に近づくように延びた後に屈曲してブーム先端部に向けて延びている。ブーム先端側接続板24は、一方のブーム側板21に隣接する位置でブーム延在方向に開口する開口部24aを有する。
【0024】
ブーム仕切部材25は、ブーム延在方向の中央近傍で上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のブーム側板21同士を接続している。ブーム仕切部材25は、ブーム板幅方向に沿って延びている。ブーム仕切部材25は、第一シリンダ基端側孔21aと第二シリンダ基端側孔21bとの間に配置されている。ブーム仕切部材25は、ブーム底板22に対してブーム板幅方向に離間している。
【0025】
ブーム基端支持部材26は、ブーム基端部側に設けられている。ブーム基端支持部材26は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第一貫通孔26aを有する。第一貫通孔26aには、上部旋回体6の車両幅方向に延びる第一ピン28(図2参照)が挿通される。ブーム20は、ブーム基端支持部材26の第一貫通孔26a及びブラケット15の第二孔15bに第一ピン28が挿通されることで、第一ピン28の中心軸O1回りに回動可能に支持される。
【0026】
アーム支持板27は、ブーム先端部側に設けられている。アーム支持部16は、一対のブーム側板21を上部旋回体6の車両幅方向外側から挟み込むように、ブーム側板21の外面に設けられている。アーム支持板27は、ブーム側板21よりもブーム延在方向の外方に突出している。アーム支持板27は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第二貫通孔27aを有する。第二貫通孔27aは、アーム支持板27においてブーム側板21よりもブーム延在方向の外方に突出する部分に設けられている。第二貫通孔27aには、上部旋回体6の車両幅方向に延びる第二ピン29(図2参照)が挿通される。
【0027】
<アーム>
アーム30は、図1の姿勢では、上部旋回体6の車両幅方向から見て、第二電動シリンダ100Bの一部(図1の上端部近傍)と重なる部分から前下方に向かって延びている。以下、上部旋回体6の車両幅方向から見て、アーム30が延びる方向を「アーム延在方向」、アーム延在方向と直交する方向を「アーム板幅方向」とする。アーム延在方向においてアーム30の一端部(第二電動シリンダ100B側の端部)を「アーム基端部」とする。アーム延在方向においてアーム30の他端部(アーム基端部とは反対側の端部)を「アーム先端部」とする。アーム板幅方向の寸法は、アーム基端部からアーム延在方向におけるブーム接続部近傍に向かうに従って徐々に大きくなった後に、アーム先端部に向かうに従って徐々に小さくなっている。
【0028】
図4に示すように、アーム30は、上部旋回体6の車両幅方向に離間して配置された一対のアーム側板31と、上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のアーム側板31同士を接続するアーム底板32と、アーム底板32に接続されたアーム側接続板33と、アーム基端部近傍で一対のアーム側板31により挟まれた空間を仕切るアーム仕切部材34と、ブーム先端部に接続されるブーム先端接続部材35と、バケット40(図2参照)を支持するバケット支持部材36と、第一リンク部材41(図2参照)の一端部を支持するリンク支持部材37と、を備える。
【0029】
アーム側板31は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第二シリンダ先端側孔31a及び第三シリンダ基端側孔31bを有する。図2に示すように、第二シリンダ先端側孔31aは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、アーム基端部近傍であって第二電動シリンダ100Bの一部(図2の上端部近傍)と重なる部分に配置されている。第三シリンダ基端側孔31bは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、アーム板幅方向においてブーム先端部と重なる部分とは反対側であって第三電動シリンダ100Cの一部(図2の上端部近傍)と重なる部分に配置されている。
【0030】
アーム底板32は、図2の姿勢では、アーム側板31のアーム板幅方向において上部旋回体6側(ブーム20側)の縁部に設けられている。アーム底板32は、アーム延在方向に沿って延びている。図4に示すように、アーム底板32は、アーム延在方向においてブーム先端接続部材35とバケット支持部材36との間にわたって延びている。
【0031】
アーム側接続板33は、アーム先端部側で上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のアーム側板31同士を接続している。アーム側接続板33は、アーム底板32との接続部からアーム板幅方向に遠ざかるに従ってアーム先端部に近づくように延びた後に屈曲してアーム先端部に向けて延びている。
【0032】
アーム仕切部材34は、アーム基端部近傍で上部旋回体6の車両幅方向に延びて一対のアーム側板31同士を接続している。アーム仕切部材34は、第二シリンダ先端側孔31aと第三シリンダ基端側孔31bとの間に配置されている。アーム仕切部材34は、ブーム先端接続部材35とは離間して配置されている。アーム仕切部材34は、上部旋回体6の車両幅方向から見て、ブーム先端接続部材35近傍からアーム先端部側に向かって延びた後に屈曲して第二シリンダ先端側孔31aと第三シリンダ基端側孔31bとの間を横切るように延びている。
【0033】
ブーム先端接続部材35は、上部旋回体6の車両幅方向に延びる筒状に形成されている。ブーム先端接続部材35は、上部旋回体6の車両幅方向に開口するブーム接続孔35aを有する。図2に示すように、ブーム接続孔35aは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、アーム支持板27の第二貫通孔27aと重なる。アーム30は、アーム支持板27の第二貫通孔27a及びブーム先端接続部材35のブーム接続孔35aに第二ピン29が挿通されることで、第二ピン29の中心軸O2(図4参照)回りに回動可能に支持される。
【0034】
図4に示すように、バケット支持部材36は、アーム先端部に設けられている。バケット支持部材36は、上部旋回体6の車両幅方向に延びる筒状に形成されている。バケット支持部材36は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第三貫通孔36aを有する。第三貫通孔36aには、上部旋回体6の車両幅方向に延びる第三ピン38(図2参照)が挿通される。
【0035】
図4に示すように、リンク支持部材37は、アーム底板32とアーム側接続板33との間に配置されている。リンク支持部材37は、バケット支持部材36の近傍に配置されている。リンク支持部材37は、上部旋回体6の車両幅方向に延びる筒状に形成されている。リンク支持部材37は、一対のアーム側板31よりも上部旋回体6の車両幅方向の外方に突出している。リンク支持部材37は、上部旋回体6の車両幅方向に開口する第一リンク接続孔37aを有する。
【0036】
<バケット>
バケット40は、図2の姿勢では、アーム先端部からブーム延在方向中央近傍に向かって傾いている。バケット40は、上部旋回体6の車両幅方向に開口するバケット接続孔40a及び第二リンク接続孔40bを有する。
【0037】
バケット接続孔40aは、上部旋回体6の車両幅方向から見て、バケット支持部材36の第三貫通孔36aと重なる。バケット40は、バケット支持部材36の第三貫通孔36a及びバケット40のバケット接続孔40aに第三ピン38が挿通されることで、第三ピン38の中心軸O3(図4参照)回りに回動可能に支持される。
第二リンク接続孔40bは、図2の姿勢では、バケット接続孔40aよりも下方かつ後方に離れた位置に配置されている。
【0038】
<第一電動シリンダ>
図2に示すように、第一電動シリンダ100Aは、ブーム仕切部材25よりもブーム基端部側に配置されている。第一電動シリンダ100Aは、ブーム延在方向に沿って伸縮可能に構成された第一シリンダ本体103Aと、駆動源である第一モータ101Aと、第一モータ101Aの駆動力を第一シリンダ本体103Aに伝達する第一動力伝達ユニット102Aと、を備える。
【0039】
第一シリンダ本体103A及び第一モータ101Aは、互いに平行に延びている。第一シリンダ本体103Aの第一端部は、ブラケット15の第一孔15aに挿通されたピン51に接続されている。第一電動シリンダ100Aは、上部旋回体6の幅方向に延びるピン51の中心軸回りに回動可能に、ブラケット15を介して上部旋回体6に支持されている。
【0040】
第一シリンダ本体103Aの第二端部は、ブーム20の第一シリンダ基端側孔21aに挿通されたピン52に接続されている。第一電動シリンダ100Aは、上部旋回体6の幅方向に延びるピン52の中心軸回りに回動可能に、ブーム20に支持されている。
【0041】
第一モータ101Aは、第一シリンダ本体103Aの第二端部側に配置されている。第一モータ101Aは、第一シリンダ本体103Aよりもブーム板幅方向の内側に配置されている。第一モータ101Aは、上部旋回体6に設けられたバッテリ(不図示)を動力源として第一シリンダ本体103Aを動作させる。ブーム20は、第一モータ101Aの駆動により第一シリンダ本体103Aが伸縮することで、上部旋回体6に対して第一ピン28の中心軸O1(図3参照)回りに回動する。
【0042】
第一モータ101Aからは第一配線61が延びている。第一配線61は、ブーム基端側接続板23に沿って延び、ブラケット15内に通じている。第一配線61は、ブラケット15内を通じて不図示のバッテリに接続されている。
【0043】
<第二電動シリンダ>
第二電動シリンダ100Bは、ブーム仕切部材25よりもブーム先端部側に配置されている。第二電動シリンダ100Bは、ブーム延在方向に沿って伸縮可能に構成された第二シリンダ本体103Bと、駆動源である第二モータ101Bと、第二モータ101Bの駆動力を第二シリンダ本体103Bに伝達する第二動力伝達ユニット102Bと、を備える。
【0044】
第二シリンダ本体103B及び第二モータ101Bは、互いに平行に延びている。第二シリンダ本体103Bの第一端部は、ブーム20の第二シリンダ基端側孔21bに挿通されたピン53に接続されている。第二電動シリンダ100Bは、ブーム20に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン53の中心軸回りに回動可能に、ブーム20に支持されている。
【0045】
第二シリンダ本体103Bの第二端部は、アーム30の第二シリンダ先端側孔31aに挿通されたピン54に接続されている。第二電動シリンダ100Bは、アーム30に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン54の中心軸回りに回動可能に、アーム30に支持されている。
【0046】
第二モータ101Bは、第二シリンダ本体103Bの第一端部側に配置されている。第二モータ101Bは、第二シリンダ本体103Bよりもブーム板幅方向の内側に配置されている。第二モータ101Bは、上部旋回体6に設けられたバッテリ(不図示)を動力源として第二シリンダ本体103Bを動作させる。アーム30は、第二モータ101Bの駆動により第二シリンダ本体103Bが伸縮することで、ブーム20に対して第二ピン29の中心軸O2(図3参照)回りに回動する。
【0047】
第二モータ101Bからは第二配線62が延びている。第二配線62は、第一モータ101Aに向かって延びた後、第一配線61と共にブーム基端側接続板23に沿って延び、ブラケット15内に通じている。第二配線62は、ブラケット15内を通じて不図示のバッテリに接続されている。
【0048】
<第三電動シリンダ>
第三電動シリンダ100Cは、アーム仕切部材34よりもアーム先端部側に配置されている。第三電動シリンダ100Cは、アーム延在方向に沿って伸縮可能に構成された第三シリンダ本体103Cと、駆動源である第三モータ101Cと、第三モータ101Cの駆動力を第三シリンダ本体103Cに伝達する第三動力伝達ユニット102Cと、を備える。
【0049】
第三シリンダ本体103C及び第三モータ101Cは、互いに平行に延びている。第三シリンダ本体103Cの第一端部は、アーム30の第三シリンダ基端側孔31bに挿通されたピン55に接続されている。第三電動シリンダ100Cは、アーム30に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン55の中心軸回りに回動可能に、アーム30に支持されている。
【0050】
第三シリンダ本体103Cの第二端部は、第一リンク部材41の第一端部に接続されている。第一リンク部材41の第一端部は、上部旋回体6の幅方向に開口する第一リンク孔41aを有する。第三シリンダ本体103Cの第二端部は、第一リンク孔41aに挿通されたピン56に接続されている。第三電動シリンダ100Cは、第一リンク部材41に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン56の中心軸回りに回動可能に、第一リンク部材41を支持している。
【0051】
第一リンク部材41の第二端部は、上部旋回体6の幅方向に開口する第二リンク孔41bを有する。第二リンク孔41bには、アーム30の第一リンク接続孔37aと共にピン57が挿通されている。第一リンク部材41は、アーム30に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン57の中心軸回りに回動可能に、アーム30に支持されている。
【0052】
第三シリンダ本体103Cの第二端部は、第二リンク部材42の第一端部に接続されている。第二リンク部材42の第一端部は、上部旋回体6の幅方向に開口する第三リンク孔42aを有する。第三シリンダ本体103Cの第二端部は、第一リンク孔41aと共に第三リンク孔42aに挿通されたピン56に接続されている。第二リンク部材42は、第三シリンダ本体103Cの第二端部及び第一リンク部材41の第一端部に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン56の中心軸回りに、回動可能に設けられている。
【0053】
第二リンク部材42の第二端部は、上部旋回体6の幅方向に貫通する第四リンク孔42bを有する。第四リンク孔42bには、バケット40の第二リンク接続孔40bと共にピン58が挿通されている。第二リンク部材42は、バケット40に対して上部旋回体6の幅方向に延びるピン58の中心軸回りに、回動可能に設けられている。
【0054】
第三モータ101Cは、第三シリンダ本体103Cの第一端部側に配置されている。第三モータ101Cは、第三シリンダ本体103Cよりもアーム板幅方向の内側に配置されている。第三モータ101Cは、上部旋回体6に設けられたバッテリ(不図示)を動力源として第三シリンダ本体103Cを動作させる。バケット40は、第三モータ101Cの駆動により第三シリンダ本体103Cが伸縮することで、アーム30に対して第三ピン38の中心軸O3(図4参照)回りに回動する。
【0055】
第三モータ101Cからは第三配線63が延びている。第三配線63は、ブーム20に向かって延びた後、ブーム先端側接続板24の開口部24a(図3参照)を通過している。その後、第三配線63は、第一モータ101Aに向かって延びた後、第一配線61及び第二配線62と共にブーム基端側接続板23に沿って延び、ブラケット15内に通じている。第三配線63は、ブラケット15内を通じて不図示のバッテリに接続されている。
【0056】
<電動シリンダ>
図1に示すように、第一電動シリンダ100A、第二電動シリンダ100B及び第三電動シリンダ100Cは、互いに共通の電動シリンダ100である。図5に示すように、電動シリンダ100は、モータ101、動力伝達ユニット102及びシリンダ本体103を備える。
【0057】
モータ101は、電動シリンダ100の駆動源である。例えば、モータ101は、サーボモータである。図8に示すように、モータ101及びシリンダ本体103は、互いに平行に延びている。モータ101及びシリンダ本体103は、互いに間隔をあけて並んでいる。
【0058】
電動シリンダ100は、モータ101の駆動により回転する出力軸105を有する。出力軸105は、モータ101の中心軸と同軸上に設けられている。出力軸105は、モータ101の軸方向端面101fから軸方向外方に突出している。図中符号C1は、モータ101の中心軸に沿うモータ軸線を示す。
【0059】
動力伝達ユニット102は、モータ101の駆動力をピストン182に伝達する。動力伝達ユニット102は、出力軸105の駆動力を変速(例えば減速)する遊星歯車機構110と、遊星歯車機構110により変速された駆動力をピストン182に伝達する伝達歯車機構120と、を備える。
【0060】
遊星歯車機構110は、出力軸105に連結されたサンギヤ111と、サンギヤ111に隣接して配置された複数のプラネタリギヤ112と、複数のプラネタリギヤ112の中心軸を回転可能に支持するキャリア114,115と、複数のプラネタリギヤ112を囲むリングギヤ116と、を備える。遊星歯車機構110は、モータ101の軸方向端面101fに隣接して配置された筒状のケース106により覆われている。モータ101の軸方向端面101fとキャリア114,115との間には、スペーサ118が設けられている。
【0061】
伝達歯車機構120は、キャリア114,115の回転力をピストン182に伝達するトランスファギヤ121と、サンギヤ111の軸方向外端に臨む位置から軸方向外方に延びるトランスファシャフト122と、トランスファギヤ121に隣接して配置されたアイドラギヤ123と、アイドラギヤ123を挟んでトランスファギヤ121とは反対側に配置されたドリブンギヤ124と、を備える。伝達歯車機構120は、ケース106に隣接して配置されたカバーユニット160により覆われている。
【0062】
トランスファギヤ121は、出力軸105と同軸上に設けられている。トランスファギヤ121は、トランスファシャフト122を挿通可能に開口する筒状に形成されている。トランスファギヤ121は、内側軸受130と外側軸受131とにより、カバーユニット160に対してモータ軸線C1回りに回転可能に支持されている。
【0063】
トランスファシャフト122は、出力軸105と同軸上に設けられている。キャリア114は、トランスファシャフト122の軸方向一端部側とスプラインにより結合されている。トランスファギヤ121は、トランスファシャフト122の軸方向他端部側とスプラインにより結合されている。
【0064】
アイドラギヤ123は、トランスファギヤ121の回転により回転する。アイドラリギヤは、トランスファシャフト122と平行に延びる軸線回りに回転可能とされている。
【0065】
ドリブンギヤ124は、アイドラギヤ123に隣接して配置されている。ドリブンギヤ124は、アイドラギヤ123の回転により回転する。ドリブンギヤ124は、シリンダ本体103の内部に収容されたシリンダシャフト180と同軸上に設けられている。図中符号C2は、シリンダシャフト180に沿うシリンダ軸線を示す。
【0066】
ドリブンギヤ124は、シリンダシャフト180の第一端部を挿通可能に開口する筒状に形成されている。ドリブンギヤ124は、アイドラギヤ123と噛み合う外歯を有する筒状のギヤ本体124aと、ギヤ本体124aから軸方向内方に突出する内側筒体124bと、ギヤ本体124aから軸方向外方に突出する外側筒体124cと、を備える。ギヤ本体124a、内側筒体124b及び外側筒体124cは、同一の部材で一体に形成されている。
【0067】
ドリブンギヤ124は、内側筒体124bの外周に設けられた内側軸受155と、外側筒体124cの外周に設けられた外側軸受156とにより、カバーユニット160に対してシリンダ軸線C2回りに回転可能に支持されている。
【0068】
<カバーユニット>
カバーユニット160は、トランスファギヤ121を軸方向外方から覆う第一カバー161と、ドリブンギヤ124を軸方向外方から覆う第二カバー162と、トランスファギヤ121、アイドラギヤ123及びドリブンギヤ124を各ギヤの径方向外方から覆う第三カバー163と、を備える。
【0069】
図7に示すように、第一カバー161は、軸方向から見て矩形状を有する。図8に示すように、第一カバー161は、トランスファシャフト122の軸方向他端部側に対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する第一供給開口161aを有する。第一供給開口161aは、モータ軸線C1上に形成されている。トランスファギヤ121の軸方向外端部と第一カバー161との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。第一カバー161には、第一供給開口161aを開閉可能に第一蓋部材165が着脱可能に取り付けられている。
【0070】
図8に示すように、第二カバー162は、シリンダシャフト180の第一端部に対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する第二供給開口162aを有する。第二供給開口162aは、シリンダ軸線C2上に形成されている。トリブンギヤ124の軸方向外端部と第二カバー162との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。第二カバー162には、第二供給開口162aを開閉可能に第二蓋部材166が着脱可能に取り付けられている。
【0071】
図7に示すように、第二カバー162は、軸方向から見て、アイドラギヤ123と重なる位置に設けられたアイドラカバー部162bと、ドリブンギヤ124と重なる位置に設けられたドリブンカバー部162cと、を備える。アイドラカバー部162b及びドリブンカバー部162cは、同一の部材で一体に形成されている。アイドラカバー部162bは、ボルト170によりアイドラギヤ123の中心軸を固定している。
【0072】
図5に示すように、第三カバー163は、ケース106と第一カバー161との間に設けられたケース側カバー部163aと、シリンダ本体103と第二カバー162との間に設けられたねじ側カバー部163bと、を備える。
【0073】
第一カバー161は、複数(例えば本実施形態では4本)のボルト171によりケース側カバー部163aを介してケース106に共締めされている。ケース側カバー部163aの軸方向内端部は、ケース106の軸方向外端部に対してボルト171の共締めにより結合されている。
【0074】
ドリブンカバー部162cは、複数(例えば本実施形態では8本)のボルト172によりねじ側カバー部163bに固定されている。ねじ側カバー部163bは、複数(例えば本実施形態では4本)のボルト173によりシリンダ本体103に固定されている。
【0075】
<シリンダ本体>
図9に示すように、シリンダ本体103は、シリンダシャフト180(以下単に「シャフト180」ともいう。)と、シャフト180の外周に設けられた軸受189と、軸受189を介してシャフト180を囲むホルダ186と、シャフト180のねじ軸180aに螺合されるナット181と、ナット181に連結されたピストン182と、ピストン182に連結された筒状のピストンロッド183と、ピストンロッド183の先端部に設けられたジョイント部材184と、ピストンロッド183を収容する筒状のシリンダチューブ185と、シリンダチューブ185の第二端部に設けられたロッドカバー187と、を備える。
【0076】
シャフト180は、ナット181が螺合されるねじ軸180aと、ドリブンギヤ124とスプラインにより結合されるスプライン軸180bと、スプライン軸180bとねじ軸180aとを連結する連結軸180cと、を備える。スプライン軸180b、連結軸180c及びねじ軸180aは、互いに同軸に設けられている。スプライン軸180b、連結軸180c及びねじ軸180aは、同一の部材で一体に形成されている。
【0077】
ねじ軸180aは、シリンダチューブ185内に配置されている。ねじ軸180aは、連結軸180cよりも拡径している。ねじ軸180aは、連結軸180cよりも軸方向に長い。ねじ軸180aは、シリンダチューブ185よりも軸方向に長い。
【0078】
スプライン軸180bは、第三カバー163のねじ側カバー部163b内に配置されている。スプライン軸180bの外周には、スプライン軸180bの軸方向に平行な歯面を有し、ドリブンギヤ124のギヤ本体124aの内歯に噛み合う外歯が設けられている。スプライン軸180bの外歯とギヤ本体124aの内歯との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。
【0079】
連結軸180cは、ホルダ186内に配置されている。連結軸180cは、スプライン軸180bよりも拡径する円柱状に形成されている。連結軸180cは、スプライン軸180bよりも軸方向に長い。
【0080】
軸受189は、連結軸180cの外周に設けられている。軸受189は、連結軸180c上に複数設けられている。複数(例えば本実施形態では3つ)の軸受189は、軸方向に互いに隣接して配置されている。
【0081】
図中において、符号195は連結軸180c上において軸受189とねじ軸180aとの間に設けられたスペーサ、符号196は連結軸180c上において軸受189とドリブンギヤ124との間に設けられたロックナットをそれぞれ示す。スペーサ195とホルダ186との間には、潤滑剤が流通可能な隙間が形成されている。ロックナット196とドリブンギヤ124との間には、潤滑剤が流通可能な隙間が形成されている。
【0082】
ピストン182は、ナット181と一体にねじ軸180a上を移動可能に構成されている。ピストンロッド183は、ピストン182と一体にシリンダ軸線C2に沿って移動可能に構成されている。
【0083】
図6に示すように、ジョイント部材184は、ロッドカバー187の外周縁よりも外方に突出している。図8に示すように、ジョイント部材184は、シリンダ軸線C2と直交する方向に開口する接続孔184aを有する。シリンダチューブ185の内周面とピストン182の外周面との間には、軸受188が設けられている。
【0084】
<ホルダ>
図9に示すように、ホルダ186は、連結軸180cの径方向外側に設けられている。ホルダ186は、シリンダチューブ185の第一端部とねじ側カバー部163bとの間に設けられている。ホルダ186は、複数の軸受189を介してシャフト180を囲んでいる。
【0085】
ホルダ186は、シャフト180の軸方向に開口し且つ複数の軸受189を介してシャフト180を支持するホルダ本体190と、ホルダ本体190から径方向外方に突出する筒状のトラニオン部191と、を備える。ホルダ186は、ホルダ本体190の軸方向の外方からトラニオン部191の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
【0086】
ホルダ本体190の外形は、軸方向から見てねじ側カバー部163bの外形に沿う矩形状を有する。図11に示すように、ホルダ186は、ホルダ本体190から軸方向の外方に突出し且つシャフト180と同軸の筒状に形成された突出筒体210と、突出筒体210よりも拡径する環状に形成された環状凸部211と、を備える。突出筒体210及び環状凸部211は、ホルダ本体190と同一の部材で一体に形成されている。
【0087】
突出筒体210は、ナット181に向けて突出している。突出筒体210は、環状凸部211よりも軸方向に長く突出している。突出筒体210の内周面210aは、シャフト180の外周にわたってシャフト180よりも径方向外側に離間している。突出筒体210の内周面210aとシャフト180の外周縁との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。
【0088】
環状凸部211は、シリンダチューブ185の第一端部の内周に向けて突出している。ホルダ186は、環状凸部211の外周に沿う環状面212を有する。ホルダ186の環状面212は、シリンダチューブ185の第一端部に対して溶接(例えば全周溶接)により結合されている。
【0089】
ホルダ186は、潤滑剤を貯留可能に軸方向の外方に開口し且つ突出筒体210の外周に沿う環状に形成された環状凹部213を有する。環状凹部213は、突出筒体210と環状凸部211との間に設けられている。環状凹部213は、突出筒体210の外周にわたって一様の深さ(軸方向の長さ)を有する。
【0090】
図13に示すように、突出筒体210は、環状凹部213の軸方向の外側から突出筒体210の内周に向けて延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む外側ガイド溝210bを有する。外側ガイド溝210bの深さ(軸方向の長さ)は、環状凹部213の深さ(軸方向の長さ)よりも浅い。外側ガイド溝210bは、周方向に間隔をあけて複数(例えば本実施形態では2つ)設けられている。2つの外側ガイド溝210bは、シリンダ軸線C2と直交する仮想線上に形成されている。
【0091】
図11に示すように、ホルダ186は、突出筒体210の内周面210aの軸方向の内端部(軸受189側の端部)から軸方向の内側(軸受189側)に向かうに従って径方向外側(トラニオン部191側)に位置するように傾斜する傾斜面214を有する。傾斜面214は、突出筒体210の軸方向内端部の内周にわたって設けられている。
【0092】
図14に示すように、ホルダ186は、ホルダ本体190の内周面190aの軸方向にわたって延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む内側ガイド溝215と、トラニオン部191の径方向中央において内側ガイド溝215から径方向外方に開口する開口孔216と、を有する。開口孔216は、トラニオン部191の中心軸線C3(以下「トラニオン軸線C3」ともいう。)上に開口している。
【0093】
ホルダ本体190の内周面190aは、傾斜面214の外周縁よりも径方向外側に離間している。ホルダ本体190の軸方向内側面190bには、傾斜面214と内側ガイド溝215とを繋ぐ中継溝217が設けられている。中継溝217は、傾斜面214から内側ガイド溝215の軸方向端部に向かって湾曲している。内側ガイド溝215は、周方向に間隔をあけて複数(例えば本実施形態では2つ)設けられている。図11に示すように、開口孔216は、径方向から見て、複数の軸受189の軸方向中央部と重なる位置に配置されている。
【0094】
図13に示すように、トラニオン部191は、ホルダ本体190の両側面に一対設けられている。トラニオン部191は、外側ガイド溝210bが延びる方向に対して直交する方向に延びている。トラニオン部191は、シリンダ軸線C2と直交する方向(トラニオン軸線C3に沿う方向)に開口する接続孔191aを有する。図9に示すように、トラニオン部191の接続孔191aは、ジョイント部材184の接続孔184aと平行に開口している。
【0095】
図11に示すように、トラニオン部191の接続孔191aには、上述したピン(図の例では、図2に示すブーム20の第一シリンダ基端側孔21aに挿通されたピン52)が挿通される。電動シリンダ100をブーム20に搭載する場合、トラニオン部191の接続孔191aは、上部旋回体6の車両幅方向に開口する。電動シリンダ100は、ブーム20の貫通孔としての第一シリンダ基端側孔21a及び電動シリンダ100の接続孔としてのトラニオン部191の接続孔191aにピン52が挿通されることで、ピン52の中心軸回りに回動可能に支持される。
【0096】
図12に示すように、トラニオン部191は、接続孔191aに対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する供給孔191bを有する。供給孔191bは、シリンダ軸線C2及びトラニオン軸線C3のそれぞれと直交する方向に開口している。供給孔191bは、トラニオン部191の径方向一側部に設けられている。トラニオン部191の径方向一側部には、供給孔191bに対して外部から潤滑剤を供給可能に開閉可能なグリスニップル192が設けられている。
【0097】
<ナット>
図8に示すように、ねじ軸180a及びナット181は、モータ101の回転運動を直線運動に変換するボールねじを構成している。ねじ軸180aとナット181との間には、不図示のボールが介在している。
【0098】
図9に示すように、ナット181は、ねじ軸180a上に設けられた筒状のナット本体220と、ナット本体220の軸方向一端部(ホルダ186側の端部)から径方向外方に張り出すナットフランジ221と、ボール(不図示)を循環させるための循環部品222と、を備える。
【0099】
図10に示すように、ナット本体220の内周面には、ボールが入る凹部220aが螺旋状に設けられている。
ナットフランジ221は、ボルト198を挿通可能に軸方向に開口するボルト孔221aを有する。ナットフランジ221の外周縁は、シリンダチューブ185の内周面よりも径方向内側に離間している。
図9に示すように、循環部品222は、ナット本体220の径方向一側部に設けられている。
【0100】
<ピストン>
図10に示すように、ピストン182は、軸方向に延びるボルト198によりナット181に連結されている。ピストン182は、ボルト198を挿通可能に開口するボルト孔182aと、ナット本体220及び循環部品222を収容可能に開口するナット側凹部182bと、ピストンロッド183に向けて開口するロッド側凹部182cと、ねじ軸180aを挿通可能に開口するピストン軸孔182dと、を有する。ピストン182は、ねじ軸180aの外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
【0101】
図15に示すように、ボルト孔182aは、複数(例えば本実施形態では6つ)設けられている。ボルト孔182aは、ナット側凹部182bを挟んでピストン182の径方向両側に配置されている。複数のボルト孔182aは、ナット側凹部182bの径方向外側に片側3つずつ設けられている。片側3つのボルト孔182aは、ピストン182の周方向に沿って互いに等間隔で離間して配置されている。
【0102】
ナット側凹部182bは、ピストン182の第一端部(ナット181側の端部)から軸方向内側に窪んでいる。ナット側凹部182bの外形は、軸方向から見て円形形状と2つの台形形状とを組み合わせた形状を有する。ナット側凹部182bにおいて軸方向から見て円形状の空間には、ナット本体220が収容される。ナット側凹部182bにおいて軸方向から見て一方の台形形状の空間には、循環部品222が収容される。
【0103】
図10に示すように、ロッド側凹部182cは、ピストン182の第二端部(ピストンロッド183側の端部)から軸方向内側に窪んでいる。ロッド側凹部182cの内周縁は、ピストン182の第二端部から軸方向内側に向けて直線状に延びた後、軸方向内側に向かうに従ってねじ軸180aに近づくように傾斜している。
【0104】
ピストン軸孔182dは、軸方向から見て、ねじ軸180aと同軸の円形状に形成されている。ピストン軸孔182dは、ナット側凹部182bとロッド側凹部182cとを軸方向に通じさせている。
【0105】
図16に示すように、ピストン182は、シリンダ軸線C2に沿う筒状のピストン本体230と、ピストン本体230の第一端部(ホルダ186側の端部)から径方向外方に張り出すボトム側凸部231と、ボトム側凸部231よりもピストン182の第二端部側(ピストンロッド183側)から径方向外方に張り出すヘッド側凸部232と、を備える。ピストン本体230、ボトム側凸部231及びヘッド側凸部232は、同一の部材で一体に形成されている。
【0106】
ボトム側凸部231及びヘッド側凸部232は、ピストン本体230の外周にわたって設けられている。図10に示すように、ボトム側凸部231とヘッド側凸部232との間には、軸受188が設けられている。ボトム側凸部231の外周縁とシリンダチューブ185の内周面との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。ヘッド側凸部232の外周面とシリンダチューブ185の内周面との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。
【0107】
ピストンロッド183とシリンダチューブ185との間には、潤滑剤が流通可能なヘッド側空間201(第一空間)が形成されている。ヘッド側空間201は、シリンダチューブ185、ピストンロッド183及びピストン182(ピストンロッド183側のピストン本体230及びヘッド側凸部232)により囲まれた空間である。ピストン182の軸方向においてヘッド側凸部232の軸受188とは反対側の端部は、ヘッド側空間201に面している。
【0108】
ピストン182とホルダ186との間には、潤滑剤が流通可能なボトム側空間202(第二空間)が形成されている。ボトム側空間202は、シリンダチューブ185、ねじ軸180a、ナット181及びピストン182(ボトム側凸部231)により囲まれた空間である。ピストン182の軸方向においてボトム側凸部231の軸受188とは反対側の端部は、ボトム側空間202に面している。
【0109】
ピストン182は、ねじ軸180aの外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて延びる第一ガイド孔230aと、第一ガイド孔230aとは異なる位置に設けられ且つ軸方向に互いに離間して配置された第二ガイド孔230b及び第三ガイド孔230cを有する。第一ガイド孔230a、第二ガイド孔230b及び第三ガイドは、それぞれ潤滑剤を流通可能に開口している。
【0110】
図16に示すように、第一ガイド孔230aは、ピストン軸孔182dを挟んでピストン182の径方向両側に一対配置されている。一対の第一ガイド孔230aは、シリンダ軸線C2と直交する仮想線上に形成されている。第一ガイド孔230aは、ピストン軸孔182dから径方向外方に延びてピストン本体230の外周面に開口している。図10に示すように、第一ガイド孔230aは、ピストン軸孔182dとヘッド側空間201とを通じさせている。
【0111】
第二ガイド孔230bは、ボルト198の外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて延びている。第二ガイド孔230bは、第一ガイド孔230aと平行に延びている。第二ガイド孔230bは、ボルト孔182aから径方向外方に延びてヘッド側凸部232の外周面に開口している。第二ガイド孔230bは、ボルト孔182aとヘッド側空間201とを通じさせている。
【0112】
第三ガイド孔230cは、ボルト198の外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて第二ガイド孔230bと平行に延びている。第三ガイド孔230cは、ボルト孔182aから径方向外方に延びてボトム側凸部231の外周面に開口している。第三ガイド孔230cは、ボルト孔182aとボトム側空間202とを通じさせている。
【0113】
ボルト孔182aは、ピストン182の第一端部(ホルダ186側の端部)と第一ガイド孔230aとの間にわたって軸方向に延びている。ボルト孔182aの軸方向において第一ガイド孔230aと第二ガイド孔230bとの間の内周には、ボルト198の雄ねじ部が螺合される雌ねじ部182eが形成されている。ボルト孔182aの軸方向において第二ガイド孔230bと第三ガイド孔230cとの間の内周(言い換えるとボルト198の外周)には、潤滑剤が流通可能な隙間が形成されている。
【0114】
<カバー部材>
【0115】
図11に示すように、ドリブンギヤ(回転体)の外側筒体124cには、シャフト180の軸方向外端部を軸方向の外方から覆うカバー部材137が着脱可能に取り付けられている。カバー部材137は、シャフト180の軸方向外端部に対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する供給孔137aを有する。供給孔137aは、シリンダ軸線C2上に形成されている。シャフト180の軸方向外端部とカバー部材137との間には、潤滑剤を流通可能な隙間が形成されている。
【0116】
カバー部材137には、供給孔137aに対して外部から潤滑剤を供給可能に開閉可能なグリスニップル138が設けられている。グリスニップル138は、シリンダ軸線C2上に設けられている。グリスニップル138は、カバー部材137よりも軸方向外方に延びている。グリスニップル138は、供給孔137aに通じる潤滑剤の注入口(不図示)を有する。グリスニップル138は、注入口に対して内部からスプリングにより玉が押し付けられた逆止弁を有する。例えば、グリスニップル138に対してグリスガン等を接続して圧力をかけることにより、グリスニップル138を開き、注入口を通じて供給孔137aに潤滑剤を供給することができる。
【0117】
<電動シリンダの動作>
以下、電動シリンダ100の動作の一例を説明する。
図8に示すように、モータ101からの駆動力は、動力伝達ユニット102を通じて減速され、シリンダシャフト180に伝達される。具体的に、モータ101からの駆動力は、モータ軸線C1回りの回転力とされ、出力軸105、サンギヤ111、複数のプラネタリギヤ112、キャリア114,115により減速される。キャリア114,115により減速された回転力は、トランスファシャフト122を通じてトランスファギヤ121に伝達される。トランスファギヤ121に伝達された回転力は、アイドラギヤ123、ドリブンギヤ124を通じてシリンダシャフト180に伝達される。
【0118】
例えば、モータ101を正回転した場合、シリンダシャフト180は、シリンダ軸線C2回りの一方向に回転する。シリンダシャフト180の一方向への回転により、シリンダシャフト180のねじ軸180aに螺合されるナット181がシリンダ軸線C2上を矢印M1方向に移動する。ナット181の矢印M1方向への移動により、ピストン182、ピストンロッド183及びジョイント部材184が矢印M1方向に一体に移動する。これにより、シリンダ本体103が伸びる。
【0119】
一方、シリンダ本体103が伸びた状態からモータ101を逆回転すると、シリンダシャフト180は、シリンダ軸線C2回りの他方向に回転する。シリンダシャフト180の他方向への回転により、シリンダシャフト180のねじ軸180aに螺合されるナット181がシリンダ軸線C2上を矢印M1方向とは反対方向に移動する。ナット181の矢印M1方向とは反対方向への移動により、ピストン182、ピストンロッド183及びジョイント部材184が矢印M1方向とは反対方向に一体に移動する。これにより、シリンダ本体103が縮む。
このように電動シリンダ100は、モータ101の正逆回転により、シリンダ本体103が伸縮するように構成されている。
【0120】
<潤滑剤の流れ>
以下、潤滑剤の流れの一例を説明する。
先ず、シリンダ本体103が伸びる場合の潤滑剤の流れの一例を説明する。
図17に示すように、シリンダ本体103が伸びる場合、ピストン182は矢印M1方向に移動する。これにより、ヘッド側空間201は縮小する。すると、ヘッド側空間201内に入りきれなくなった潤滑剤及び空気は、第一ガイド孔230aを通って矢印K1方向に流れ、ねじ軸180aの外周側(隙間)へ入る。
【0121】
一方、ヘッド側空間201の縮小によりヘッド側空間201内に入りきれなくなった潤滑剤及び空気は、第二ガイド孔230b、ボルト198の外周、第三ガイド孔230cを通って矢印K2方向に流れ、ボトム側空間202内へ入る。ボトム側空間202内へ流入した潤滑剤は、移動先の潤滑に再利用される。
【0122】
次に、シリンダ本体103が縮む場合の潤滑剤の流れの一例を説明する。
シリンダ本体103が縮む場合、ピストン182は矢印M1方向とは反対方向に移動する。これにより、ヘッド側空間201は拡大する。そのため、ヘッド側空間201内には、第一ガイド孔230a及び第二ガイド孔230bを通じて空気が入ってくる。
【0123】
一方、ピストン182が矢印M1方向とは反対方向に移動することにより、ボトム側空間202は縮小する。すると、潤滑剤の一部は、第二ガイド孔230bを通って矢印K2方向とは反対方向に流れ、ヘッド側空間201内へ入る。ヘッド側空間201内へ流入した潤滑剤は、移動先の潤滑に再利用される。
【0124】
他方、ボトム側空間202が縮小すると、潤滑剤の他の一部は、第三ガイド孔230cを通って矢印K2方向に流れ、ボトム側空間202内へ入る。ボトム側空間202内へ流入した潤滑剤は、移動先の潤滑に再利用される。
【0125】
ボトム側空間202内へ流入した潤滑剤の一部は、ホルダ186の突出筒体210に沿って矢印K3方向に流れ、ホルダ186の内周側へ入る。これにより、ホルダ186内の軸受189を潤滑することができる。
【0126】
図18に示すように、その後、潤滑剤は、ホルダ186内の軸受189の隙間を通って矢印K4方向に流れ、ホルダ186の開口孔216を通じてトラニオン部191内に入る。これにより、トラニオン部191の内周を潤滑するとともに、トラニオン部191の接続孔191aに挿入されたピン(図の例では、図2に示すブーム20の第一シリンダ基端側孔21aに挿通されたピン52)を潤滑することができる。
【0127】
次に、電動シリンダ100の組み立て後に第二供給開口162aから潤滑剤を供給した場合の潤滑剤の流れの一例を説明する。
図18に示すように、先ず、カバーユニット160から第二蓋部材166を外し、第二供給開口162aを開口させる。すると、第二供給開口162aを通じてグリスニップル138が露出する。次に、グリスニップル138に対して例えばグリスガン等を接続して圧力をかけることによりグリスニップル138を開き、供給孔137aを通じて、ドリブンギヤ124の内周側(隙間)へ潤滑剤を供給する(図の矢印K5方向)。すると、潤滑剤は、シャフト180のスプライン軸180bの外周(スプラインの隙間)を伝って矢印K6方向に流れ、ホルダ186の内周側(隙間)へ入る。これにより、ホルダ186内の軸受189を潤滑することができる。
【0128】
その後、潤滑剤は、ホルダ186内の軸受189の隙間を通って矢印K7方向に流れ、ホルダ186の開口孔216を通じてトラニオン部191内に入る。これにより、トラニオン部191の内周を潤滑するとともに、トラニオン部191の接続孔191aに挿入されたピン(図の例では、図2に示すブーム20の第一シリンダ基端側孔21aに挿通されたピン52)を潤滑することができる。
【0129】
一方、シャフト180のスプライン軸180bの外周(スプラインの隙間)を伝って矢印K6方向に流れる潤滑剤の一部は、ドリブンギヤ124の外周を伝って矢印K8方向に流れ、ドリブンギヤ124の軸受155,156に向けて流れる。これにより、ドリブンギヤ124の軸受155,156を潤滑することができる。
【0130】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の電動シリンダ100は、シャフト180と、シャフト180の外周に設けられた軸受189と、軸受189を介してシャフト180を囲むホルダ186と、を備える。ホルダ186は、シャフト180の軸方向に開口し且つ軸受189を介してシャフト180を支持するホルダ本体190と、ホルダ本体190から径方向外方に突出する筒状のトラニオン部191と、を備える。ホルダ186は、ホルダ本体190の軸方向の外方からトラニオン部191の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
この構成によれば、シャフト180の軸方向に開口するホルダ本体190の内周を通じてホルダ186内に潤滑剤を流通させ、トラニオン部191内に潤滑剤を流入させることができる。電動シリンダ100を作業機3に対して回動自在に接続する場合、トラニオン部191内にはピンが挿入される。この場合、潤滑剤は、トラニオン部191とピンとの間の隙間に介在する。したがって、電動シリンダ100の接続部を効率的に潤滑することができる。
【0131】
本実施形態では、ホルダ186は、ホルダ本体190から軸方向の外方に突出し且つシャフト180と同軸の筒状に形成された突出筒体210を備える。突出筒体210の内周面210aは、シャフト180の外周にわたってシャフト180よりも径方向外側に離間している。
この構成によれば、突出筒体210の内周(突出筒体210の内周面210aとシャフト180の外周との隙間)を通じてホルダ186内に潤滑剤を流通させ、トラニオン部191内に潤滑剤を流入させることができる。加えて、突出筒体210の内周に沿って潤滑剤を流通させることにより、潤滑剤の一部はホルダ186内の軸受189に向けて流れるため、軸受189を効率的に潤滑することができる。
【0132】
本実施形態では、ホルダ186は、潤滑剤を貯留可能に軸方向の外方に開口し且つ突出筒体210の外周に沿う環状に形成された環状凹部213を有する。
この構成によれば、ホルダ本体190の軸方向の外方から突出筒体210に向けて流れる潤滑剤の一部を環状凹部213内に溜めることができる。したがって、ホルダ本体190の軸方向の外方から突出筒体210に向けて流れる潤滑剤が突出筒体210の内周を通じてホルダ186内に過度に流入することを抑制することができる。
【0133】
本実施形態では、突出筒体210は、環状凹部213の軸方向の外側から突出筒体210の内周に向けて延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む外側ガイド溝210bを有する。
この構成によれば、環状凹部213内に入りきれなくなった潤滑剤を、外側ガイド溝210bを通じて突出筒体210の内周に向けて流すことができる。したがって、ホルダ本体190の軸方向の外方から突出筒体210に向けて流れる潤滑剤を、突出筒体210の内周を通じてホルダ186内に段階的に流入させることができる。
【0134】
本実施形態では、ホルダ186は、突出筒体210の内周面210aの軸方向の内端部から軸方向の内側に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面214を有する。
この構成によれば、突出筒体210の内周に沿って潤滑剤を流通させることにより、潤滑剤の一部は突出筒体210の内周面210a及び傾斜面214に沿ってホルダ186内の軸受189に向けて流れるため、軸受189を効率的に潤滑することができる。加えて、潤滑剤の一部は突出筒体210の内周面210a及び傾斜面214に沿ってホルダ186内の軸受189を通じてトラニオン部191内に流れるため、トラニオン部191内を効率的に潤滑することができる。
【0135】
本実施形態では、ホルダ186は、ホルダ本体190の内周面190aの軸方向にわたって延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む内側ガイド溝215と、トラニオン部191の径方向中央において内側ガイド溝215から径方向外方に開口する開口孔216と、を有する。
この構成によれば、突出筒体210の内周に沿って潤滑剤を流通させることにより、潤滑剤の一部はホルダ本体190の内周面190aに向けて流れ、内側ガイド溝215及び開口孔216を通じてトラニオン部191内に流れるため、トラニオン部191内を効率的に潤滑することができる。
【0136】
本実施形態では、電動シリンダ100は、シャフト180のねじ軸180aに螺合されるナット181と、ナット181に連結されたピストン182と、ピストン182に連結された筒状のピストンロッド183と、ピストンロッド183を収容する筒状のシリンダチューブ185と、を備える。ピストン182は、ねじ軸180aの外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている。
この構成によれば、潤滑剤は、ねじ軸180aの外周側の隙間、シリンダチューブ185の内周側の隙間、ピストン182においてねじ軸180aの外周に臨む部分とシリンダチューブ185の内周との間の隙間等に潤滑剤を介在させることができる。したがって、ピストン182を含む各部を効率的に潤滑することができる。
【0137】
本実施形態では、ピストン182は、ねじ軸180aの外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて延びるとともに潤滑剤を流通可能に開口し且つピストンロッド183とシリンダチューブ185との間に形成されたヘッド側空間201に通じる第一ガイド孔230aを有する。
この構成によれば、第一ガイド孔230aを通じてヘッド側空間201内に潤滑剤を流入させることができる。したがって、ヘッド側空間201内に流入した潤滑剤により、各部を効率的に潤滑することができる。
【0138】
本実施形態では、ピストン182は、軸方向に延びるボルト198によりナット181に連結されている。ピストン182は、軸方向に互いに離間して配置され且つ潤滑剤を流通可能に開口する第二ガイド孔230b及び第三ガイド孔230cを有する。第二ガイド孔230bは、ボルト198の外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて延び且つヘッド側空間201に通じている。第三ガイド孔230cは、ボルト198の外周に臨む位置からシリンダチューブ185の内周に向けて延び且つピストン182とホルダ186との間に形成されたボトム側空間202に通じている。
この構成によれば、第二ガイド孔230bを通じてヘッド側空間201内に潤滑剤を流入させることができるため、ヘッド側空間201内に流入した潤滑剤により、各部を効率的に潤滑することができる。加えて、第三ガイド孔230cを通じてボトム側空間202内に潤滑剤を流入させることができるため、ボトム側空間202内に流入した潤滑剤により、各部を効率的に潤滑することができる。加えて、シリンダ本体103が伸びる場合にヘッド側空間201が縮小すると、ヘッド側空間201内に入りきれなくなった潤滑剤、空気は、第一ガイド孔230aを通ってねじ軸180aの外周側(隙間)へ入るとともに、第二ガイド孔230b、ボルト198の外周、第三ガイド孔230cを通ってボトム側空間202内へ入る。したがって、シリンダ本体103内に封入された潤滑剤及び空気に圧縮又は膨張が起こり、シリンダ本体103に意図しない負荷がかかることを抑制することができる。
【0139】
本実施形態では、シャフト180の軸方向一端部側は、ドリブンギヤ124とスプラインにより結合されている。電動シリンダ100は、シャフト180の軸方向一端部側に対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する供給孔137aを有しシャフト180の軸方向一端部側を軸方向の外方から覆うカバー部材137と、カバー部材137に設けられ、かつ、供給孔137aに対して外部から潤滑剤を供給可能に開閉可能なグリスニップル138と、を備える。
この構成によれば、電動シリンダ100の組み立て後に、グリスニップル138を開き、供給孔135aを通じて外部から電動シリンダ100の接続部を潤滑することができる。
例えば、潤滑剤の供給は、以下の手順により行うことができる。先ず、グリスニップル138を外部に露出させる。次に、グリスニップル138に対して例えばグリスガン等を接続して圧力をかけることによりグリスニップル138を開き、供給孔137aを通じて、ドリブンギヤ124の内周側(隙間)へ潤滑剤を供給する。すると、潤滑剤は、シャフト180のスプライン軸180bの外周(スプラインの隙間)を伝ってホルダ186の内周側(隙間)へ入る。その後、潤滑剤は、ホルダ186内の軸受189の隙間、ホルダ186の開口孔216を通じてトラニオン部191内に入る。これにより、トラニオン部191の内周を潤滑するとともに、トラニオン部191の接続孔191aに挿入されたピンを潤滑する(電動シリンダの接続部を潤滑する)ことができる。
【0140】
本実施形態では、ショベル1は、車両本体2と、車両本体2に連結された作業機3と、を備える。作業機3は、上記の電動シリンダ100を備える。
そのため、電動シリンダ100の接続部を効率的に潤滑することができるショベル1を提供することができる。
【0141】
本実施形態では、作業機3は、第一電動シリンダ100A、第二電動シリンダ100B及び第三電動シリンダ100Cとして共通の電動シリンダ100を備える。
そのため、第一電動シリンダ100A、第二電動シリンダ100B及び第三電動シリンダ100Cとして互いに異なる電動シリンダを備える場合と比較して、部品点数を削減し低コスト化することができる。
【0142】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、トラニオン部は、ホルダ本体から径方向外方に突出する筒状に形成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、トラニオン部は、ホルダ本体から軸方向と斜めに交差する外方に突出する筒状に形成されていてもよい。例えば、トラニオン部は、ホルダ本体から軸方向と交差する外方に突出する筒状に形成されていればよい。例えば、トラニオン部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0143】
上述した実施形態では、ホルダは、ホルダ本体から軸方向の外方に突出し且つシャフトと同軸の筒状に形成された突出筒体を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、突出筒体は、ホルダ本体から軸方向の外方に突出していなくてもよい。例えば、突出筒体は、ホルダ本体から軸方向の内方に突出していてもよい。例えば、ホルダは、上述した突出筒体を備えていなくてもよい。例えば、突出筒体は、ホルダとは異なる部材に設けられていてもよい。例えば、突出筒体の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0144】
上述した実施形態では、ホルダは、潤滑剤を貯留可能に軸方向の外方に開口し且つ突出筒体の外周に沿う環状に形成された環状凹部を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ホルダは、環状凹部を有していなくてもよい。例えば、環状凹部は、ホルダとは異なる部材に設けられていてもよい。例えば、環状凹部の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0145】
上述した実施形態では、突出筒体は、環状凹部の軸方向の外側から突出筒体の内周に向けて延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む外側ガイド溝を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、突出筒体は、外側ガイド溝を有していなくてもよい。例えば、外側ガイド溝は、突出筒体とは異なる部材に設けられていてもよい。例えば、外側ガイド溝の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0146】
上述した実施形態では、ホルダは、突出筒体の内周面の軸方向の内端部から軸方向の内側に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜する傾斜面を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、傾斜面は、突出筒体の内周面の軸方向の内端部から軸方向の内側に向かうに従って径方向外側に位置するように傾斜していなくてもよい。例えば、傾斜面は、突出筒体の内周面の軸方向の内端部から軸方向の内側に向かうに従って径方向内側に位置するように傾斜していてもよい。例えば、ホルダは、上述した傾斜面を有していなくてもよい。例えば、傾斜面の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0147】
上述した実施形態では、ホルダは、ホルダ本体の内周面の軸方向にわたって延び且つ潤滑剤を流通可能に窪む内側ガイド溝と、トラニオン部の径方向中央において内側ガイド溝から径方向外方に開口する開口孔と、を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ホルダは、内側ガイド溝を有していなくてもよい。例えば、開口孔は、ホルダ本体の内周面からトラニオン部の径方向外側において径方向外方に開口していてもよい。例えば、開口孔は、ホルダ本体の内周面から軸方向と斜めに交差する外方に開口していてもよい。例えば、内側ガイド溝の態様及び開口孔の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0148】
上述した実施形態では、電動シリンダは、シャフトのねじ軸に螺合されるナットと、ナットに連結されたピストンと、ピストンに連結された筒状のピストンロッドと、ピストンロッドを収容する筒状のシリンダチューブと、を備え、ピストンは、ねじ軸の外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピストンは、ねじ軸の外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されていなくてもよい。例えば、ナット等のピストンとは異なる部材が、ねじ軸の外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて潤滑剤を流通可能に構成されていてもよい。例えば、潤滑剤の流通態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0149】
上述した実施形態では、ピストンは、ねじ軸の外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて延びるとともに潤滑剤を流通可能に開口し且つピストンロッドとシリンダチューブとの間に形成されたヘッド側空間に通じる第一ガイド孔を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピストンは、第一ガイド孔を有しなくてもよい。例えば、第一ガイド孔は、ピストンとは異なる部材に形成されていてもよい。例えば、第一ガイド孔の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0150】
上述した本実施形態では、ピストンは、軸方向に延びるボルトによりナットに連結され、ピストンは、軸方向に互いに離間して配置され且つ潤滑剤を流通可能に開口する第二ガイド孔及び第三ガイド孔を有し、第二ガイド孔は、ボルトの外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて延び且つヘッド側空間に通じ、第三ガイド孔は、ボルトの外周に臨む位置からシリンダチューブの内周に向けて延び且つピストンとホルダとの間に形成されたボトム側空間に通じている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピストンは、第二ガイド孔及び第三ガイド孔を有しなくてもよい。例えば、第二ガイド孔及び第三ガイド孔の少なくとも一方は、ピストンとは異なる部材に形成されていてもよい。例えば、第二ガイド孔の態様及び第三ガイド孔の態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0151】
上述した実施形態では、シャフトの軸方向一端部側は、ドリブンギヤとスプラインにより結合され、電動シリンダは、シャフトの軸方向一端部側に対して外部から潤滑剤を供給可能に開口する供給孔を有しシャフトの軸方向一端部側を軸方向の外方から覆うカバー部材と、カバー部材に設けられ、かつ、供給孔に対して外部から潤滑剤を供給可能に開閉可能なグリスニップルと、を備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、電動シリンダは、カバー部材及びグリスニップルを備えていなくてもよい。例えば、シャフトの軸方向一端部側は、ドリブンギヤにより覆われていてもよい。例えば、供給孔は、ドリブンギヤ等のカバー部材以外の部材に設けられていてもよい。例えば、グリスニップルは、ドリブンギヤ等のカバー部材以外の部材に設けられていてもよい。例えば、供給孔の設置態様及びグリスニップルの設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0152】
上述した実施形態では、作業機は、第一電動シリンダ、第二電動シリンダ及び第三電動シリンダとして共通の電動シリンダを備える例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、作業機は、第一電動シリンダ、第二電動シリンダ及び第三電動シリンダとして互いに異なる電動シリンダを備えていてもよい。例えば、電動シリンダの設置態様は、要求仕様に応じて変更することができる。
【0153】
上述した実施形態では、作業機械(作業車両)の一例として、ショベルを挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ダンプトラックやブルドーザ、ホイールローダ等の他の作業車両に本発明を適用してもよい。
【0154】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0155】
1…ショベル(作業機械)、2…車両本体、3…作業機、100…電動シリンダ、100A…第一電動シリンダ(電動シリンダ)、100B…第二電動シリンダ(電動シリンダ)、100C…第三電動シリンダ(電動シリンダ)、137…カバー部材、137a…供給孔、138…グリスニップル、180…シャフト、180a…ねじ軸、181…ナット、182…ピストン、183…ピストンロッド、185…シリンダチューブ、186…ホルダ、189…軸受、190…ホルダ本体、190a…ホルダ本体の内周面、191…トラニオン部、198…ボルト、201…ヘッド側空間(第一空間)、202…ボトム側空間(第二空間)、210…突出筒体、210a…突出筒体の内周面、210b…外側ガイド溝、213…環状凹部、214…傾斜面、215…内側ガイド溝、216…開口孔、230a…第一ガイド孔、230b…第二ガイド孔、230c…第三ガイド孔
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