(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173728
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】ピンホール検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/894 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
G01N21/894 B
G01N21/894 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079607
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】390003193
【氏名又は名称】東洋鋼鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場▲崎▼ 陵
(72)【発明者】
【氏名】今重 薫
(72)【発明者】
【氏名】三宅 勝也
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA32
2G051AB04
2G051BA01
2G051BB03
2G051BB09
2G051CA02
2G051CA03
2G051CB02
2G051CC17
2G051DA06
(57)【要約】
【課題】ピンホールの検出精度を向上可能なピンホール検出装置を提供する。
【解決手段】ピンホール検出装置10において、被検査対象物100に生じたピンホール110を検出する検出器24は、被検査対象物100を透過した光を伝播する複数の光学繊維30を備える。複数の光学繊維30は、光源20に対向して並んで配置される。光源20の光軸に対するピンホール110を検出可能な最大検出可能角度をθとすると、光源20の光軸に対する光学繊維30が伝播可能な光の最大入射角は、θ+0°~θ+5°の範囲に設定される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象物に光を照射する光源と、
前記光源と前記被検査対象物の間に配置される光学レンズと、
前記光学レンズにより収束されて前記被検査対象物のピンホールを透過した光を検出する検出器と
を有するピンホール検出装置であって、
前記検出器は、前記被検査対象物のピンホールを透過した光を伝播する光学繊維を備え、
前記光源の光軸に対する前記ピンホールを検出可能な最大検出可能角度をθとすると、前記光源の光軸に対する前記光学繊維が伝播可能な光の最大入射角は、θ+0°~θ+5°の範囲である
ことを特徴とするピンホール検出装置。
【請求項2】
前記光源は、前記被検査対象物に対して線状に光を照射するリニア光源であり、
前記光学レンズは、前記光源から照射され該光源の光軸から離れる方向に広がる光を、前記光源の光軸に接近する方向に収束させ、
前記検出器は、前記光源に対向して複数の前記光学繊維が並んで配置され、
前記光学レンズの最大偏光角をθ1とするとき、前記最大偏光角θ1を前記最大検出可能角度θ以上に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のピンホール検出装置。
【請求項3】
前記光学繊維が伝播可能な前記光が前記光源の光軸となす最大入射角は、θ1+0°~θ1+5°の範囲に含まれる
ことを特徴とする請求項2に記載のピンホール検出装置。
【請求項4】
前記光源の長手方向に対して垂直な方向でかつ前記光源の光軸に直交する方向に前記被検査対象物を移動させる搬送装置を有し、
前記被検査対象物に面する前記光学繊維の端面は、前記光学レンズの焦点位置に配置される、又は前記光学レンズの焦点位置よりも前記被検査対象物側に配置される
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のピンホール検出装置。
【請求項5】
前記光源と前記検出器の間には、
前記光源の長手方向に沿って配置された前記光源側の第1リニアフレネルレンズと、
前記光源の長手方向に沿って、前記第1リニアフレネルレンズよりも前記検出器側に配置された第2リニアフレネルレンズと
が設けられ、
前記第1リニアフレネルレンズは、前記光源から出射された光を平行光になるように屈折させ、
前記第2リニアフレネルレンズは、前記光源の長手方向に見たときに前記第2リニアフレネルレンズにより屈折した光の最大偏光角が、前記光学繊維の端面に対する最大入射角と同等になる、又は前記最大入射角よりも小さくなるように前記平行光を屈折させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のピンホール検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンホール検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、被検査物の肉厚方向に対して傾斜している貫通欠陥をも精度よく検出することができる表面欠陥検査装置を提供することを目的としている(第3欄第10行~第13行)。当該目的を達成するため、特許文献1の表面欠陥検査装置は、被検査物の検査面に光を照射する光源と、前記照射光の透過光量を検出する検出器を有し、被検査物と光源との間に前記検出器上に焦点を結ぶ光学レンズを配設する(第3欄第15行~第20行、第1図)。
【0003】
特許文献2は、シート状物体の面に対して斜めに延びて形成されたピンホールのような異常部をも検出するシート状物体のピンホール検出装置の提供を目的としている(第2欄第19行~第3欄第2行)。当該目的を達成するため、特許文献2のシート状物体の異常部検出装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源からのレーザビームを分散させて分散ビームに変えるレンズと、前記分散ビームが一方の側から入射されるように配置されるシート状物体と、前記シート状物体の他方の側において前記分散ビームの透過光に感応するように配置される光感応手段と備える(特許請求の範囲)。光感応手段は、ファイバオプティクスのような光伝導体FOと光電変換素子PHを有する(第4欄第12行~第14行、図面)。
【0004】
特許文献3は、検知精度の高いシート材のピンホール検知装置を提供することを目的としている(第4頁第7行~第8行)。当該目的を達成するため、特許文献3では、走行するシート材の一面より光を照射し、他面においてシート材のピンホールを貫通した光をシート材の進行方向に直角に配列された光伝送繊維の端面で受光し、光伝送繊維を介して光検出素子に光を導くシート材のピンホール検出装置において、光伝送繊維の受光用端部は俵積状に複数列配置されている(請求項1、第4図~第6図)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-025042号公報
【特許文献2】特開昭50-034586号公報
【特許文献3】実開昭55-116256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、検出器(3)が照射光の透過光量を検出すると説明されているものの(第3欄第16行~第17行等)、検出器(3)の具体的な構成については説明されていない。また、特許文献2では、光感応手段として、ファイバオプティクスのような光伝導体FOと光電変換素子PHが説明されているが(第4欄第12行~第14行、図面)、光伝導体FO(光学繊維)の仕様についての具体的な検討はなされていない。
【0007】
さらに、特許文献3では、光伝送繊維7(光学繊維)の断面形状や配置についての開示はあるものの(第3頁第16行~第20行、第4図~第6図等)、光伝送繊維7のその他の仕様については検討がなされていない。そのため、ピンホールの検出精度について改善の余地がある。
【0008】
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、ピンホールの検出精度を向上可能なピンホール検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るピンホール検出装置は、
被検査対象物に光を照射する光源と、
前記光源と前記被検査対象物の間に配置される光学レンズと、
前記光学レンズにより収束されて前記被検査対象物のピンホールを透過した光を検出する検出器と
を有するものであって、
前記検出器は、前記被検査対象物のピンホールを透過した光を伝播する光学繊維を備え、
前記光源の光軸に対する前記ピンホールを検出可能な最大検出可能角度をθとすると、前記光源の光軸に対する前記光学繊維が伝播可能な光の最大入射角は、θ+0°~θ+5°の範囲である
ことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、検出対象とするピンホールの検出を確実にしつつ、光学繊維に外乱光(又は漏洩光)が入り込むことを防ぎ易くなる。その結果、透過光と外乱光の信号/雑音比(S/N比)を高めて、ピンホールの検出精度を向上させることが可能となる。本発明によれば、被検査対象物が例えば帯状である場合に好適に用いることが可能となる。特に、被検査対象物が搬送方向に延伸されるもの(例えば鋼板、光を透過しないフィルム、紙)である場合、傾斜したピンホールが生じ易い。本発明では、搬送方向に傾斜したピンホールの検出が容易となる。
【0011】
本発明では、前記光源は、前記被検査対象物に対して線状に光を照射するリニア光源であり、前記光学レンズは、前記光源から照射され該光源の光軸から離れる方向に広がる光を、前記光源の光軸に接近する方向に収束させ、前記検出器は、前記光源に対して複数の前記光学繊維が並んで配置され、前記光学レンズの最大偏光角をθ1とするとき、前記最大偏光角θ1を前記最大検出可能角度θ以上に設定してもよい。
【0012】
本発明では、前記光学レンズの最大偏光角をθ1とするとき、前記光学繊維が伝播可能な前記光が前記光源の光軸となす最大入射角は、θ1+0°~θ1+5°の範囲に含まれる構成としてもよい。
【0013】
本発明では、前記光源の長手方向に対して垂直な方向でかつ前記光源の光軸に直交する方向に前記被検査対象物を移動させる搬送装置を有し、前記被検査対象物に面する前記光学繊維の端面は、前記光学レンズの焦点位置に配置される、又は前記光学レンズの焦点位置よりも前記被検査対象物側に配置される構成としてもよい。
【0014】
本発明によれば、被検査対象物をピンホール検出装置に対して移動させている場合でも、ピンホールを検出し易くなる。すなわち、光学繊維の端面を、光学レンズの焦点位置に配置した場合、検出器は、ピンホールの透過光を非常にシャープな立ち上がりを伴って検出する一方、当該立ち上がりを検出する時間は比較的短い。これに対し、光学繊維の端面を、光学レンズの焦点位置よりも被検査対象物側に配置すると、検出器が検出するピンホールの透過光による立ち上がりは、前者よりも小さいものの、立ち上がりを検出する時間は比較的長くなる。そのため、被検査対象物の移動速度によって、前者の配置(光学レンズの焦点位置での配置)ではピンホールを検出できない場合でも、後者の配置(焦点位置よりも被検査対象物側の配置)では検出可能な場合が生じ得る。従って、後者の配置では、被検査対象物の移動速度を速めることが可能となる。
【0015】
なお、前者又は後者の配置いずれの場合も、ピンホールの有無を判定する判定基準を設定する必要があり、この判定基準は、前者と後者で異なるものとしてもよい。ここにいう判定基準には、例えば、検出器の信号強度、移動平均の計算に用いるデータ数が含まれる。
【0016】
本発明では、前記光源と前記検出器の間には、前記光源の長手方向に沿って配置された前記光源側の第1リニアフレネルレンズと、前記光源の長手方向に沿って、前記第1リニアフレネルレンズよりも前記検出器側に配置された第2リニアフレネルレンズとが設けられ、前記第1リニアフレネルレンズは、前記光源から出射された光を平行光になるように屈折させ、前記第2リニアフレネルレンズは、前記光源の長手方向に見たときに前記第2リニアフレネルレンズにより屈折した光の最大偏光角が、前記光学繊維の端面に対する最大入射角と同等になる、又は前記最大入射角よりも小さくなるように前記平行光を屈折させてもよい。本発明によれば、第1リニアフレネルレンズと第2リニアフレネルレンズの間は平行光となるため、両フレネルレンズ間の距離調整が容易となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ピンホールの検出精度を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るピンホール検出装置の構成を簡略的に示す斜視図である。
【
図2】前記実施形態における光学レンズ及び光学繊維の光学特性を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<A.一実施形態>
[A-1.構成]
(A-1-1.全体構成)
図1は、本発明の一実施形態に係るピンホール検出装置10の構成を簡略的に示す斜視図である。ピンホール検出装置10は、被検査対象物100に生じたピンホール110を検出する。ピンホール検出装置10は、光源20と、光学レンズ22a、22bと、検出器24と、搬送装置26とを有する。検出器24は、複数の光学繊維30と、少なくとも1つの検出素子32とを有する。被検査対象物100は、搬送装置26により
図1中、矢印120の方向に搬送される。
【0020】
(A-1-2.光源20)
光源20は、被検査対象物100に光50を照射する。光源20は、例えば複数のランプ(図示せず)を直線状に配置して被検査対象物100に対して線状に光を照射するリニア光源である。
【0021】
(A-1-3.光学レンズ22a、22b)
図1に示すように、光学レンズ22a、22bは、光源20と被検査対象物100の間に配置される。光源20から検出器24に向かう方向(
図1における下向き方向)に見たとき、光学レンズ22a、22bは、光源20からの光50を、光源20の長手方向に対して垂直な方向に収束させる。つまり、光学レンズ22a、22bは、光源20から照射され光源20の光軸から離れる方向に広がる光を、光源20の光軸に接近する方向に収束させる。
【0022】
光学レンズ22aは、光学レンズ22bよりも光源20側に配置された第1リニアフレネルレンズである(以下「第1リニアフレネルレンズ22a」又は「第1レンズ22a」ともいう。)。第1レンズ22aは、光源20の長手方向に沿って配置されており、光源20から出射された光50を、平行光になるように屈折させる。つまり、第1レンズ22aは、光源20から照射され光源20の光軸から離れる方向に広がる光を屈折させて、光軸と平行にする。
【0023】
光学レンズ22bは、第1光学レンズ22aよりも検出器24側に配置された第2リニアフレネルレンズである(以下「第2リニアフレネルレンズ22b」又は「第2レンズ22b」ともいう。)。第2レンズ22bは、光源20の長手方向に沿って配置されており、光源20から検出器24に向かう方向(
図1における下向き方向)に見たとき、第1レンズ22aからの平行光を、光源20の長手方向に対して垂直な方向に収束させる。つまり、第2レンズ22bは、光軸と平行な光を光源20の光軸に接近する方向に収束させる。
【0024】
図2は、本実施形態における光学レンズ22b及び光学繊維30の光学特性を説明する図である。
図2において、θ1は、第2レンズ22bにより屈折した光50の最大偏光角である。θ2は、光学繊維30が伝播可能な光50が光源20の光軸60に対してなす最大入射角である。θ2’は、θ2+5°の角度である。第2レンズ22bは、第2レンズ22bにより屈折した光50の最大偏光角θ1が、光学繊維30の端面に対する最大入射角θ2と同等になるように平行光を屈折させる。或いは、第2レンズ22bは、最大偏光角θ1が最大入射角θ2よりも小さくなるように平行光を屈折させてもよい。
【0025】
(A-1-4.検出器24)
検出器24は、光学レンズ22a、22bにより収束されて被検査対象物100のピンホール110を透過した光50を検出する。本実施形態では、光学レンズ22a、22bにより光50が収束されているため、斜めのピンホール110についても光50が透過する。
【0026】
図1に示すように、検出器24は、複数の光学繊維30(光ファイバ)と、少なくとも1つの検出素子32と、図示しないピンホール判定部とを有する。各光学繊維30は、被検査対象物100を透過した光50を検出素子32に伝播する(但し、最大入射角θ2よりも大きな入射角の光50は、光学繊維30により伝播されない。)。
【0027】
図1の拡大部分34に示すように、光学繊維30は、光源20の長手方向に沿って直線状に配置される。また、光学繊維30の被検査対象物100側の端面は、光学レンズ22a、22b、被検査対象物100と平行になるように配置される。さらに、本実施形態において、被検査対象物100に面する光学繊維30の端面(
図1における上側の端面)は、光学レンズ22bの焦点位置に配置される。
【0028】
検出素子32は、光学繊維30を伝播した光を電気信号に変換する素子であり、例えば、光電子増倍管、CdSセル等を用いることができる。ピンホール判定部は、検出素子32の出力に基づいて、ピンホール110の有無を判定する。ピンホール判定部は、被検査対象物100の種類、搬送速度等に応じて、ピンホール110の判定基準(信号強度、移動平均の計算に用いるデータ数等)の設定を切替え可能に構成されてもよい。
【0029】
(A-1-5.搬送装置26)
搬送装置26は、光源20の長手方向に対して垂直な方向でかつ光源20の光軸に直交する方向に被検査対象物100を移動させる。搬送装置26は、図示しない電動モータで回転するロール等を有し、被検査対象物100を搬送する。光源20から検出器24に向かう方向に見たとき、搬送装置26は、光源20の長手方向に対して垂直な方向(
図1の矢印120の方向)に被検査対象物100を移動させる。なお、本実施形態において、被検査対象物100は移動するが、光源20、光学レンズ22a、22b及び検出器24は固定されている。
【0030】
(A-1-6.被検査対象物100)
被検査対象物100は、帯状であり、例えば鋼板、光を透過しないフィルム、紙等とすることができる。被検査対象物100は、搬送方向(矢印120の方向)に延伸されたものであってもよい。被検査対象物100が鋼板である場合、その幅(進行方向に垂直な方向の長さ)は、例えば、50cm~1mとすることができる。
【0031】
[A-2.製造方法(設計方法)]
次に、本実施形態のピンホール検出装置10の製造方法(設計方法)について説明する。本実施形態では、ピンホール検出装置10の検出精度を向上するために各部の仕様を詳細に設定する。一例としての製造方法(設計方法)は下記のようなものである。
【0032】
製造者(設計者)は、被検査対象物100の厚み(設計値又は実測値)及びピンホール110の孔径(想定値又は過去の実測値)に基づいてピンホール110の最大検出可能角度θを決定する。最大検出可能角度θは、光源20の長手方向に見たとき、検出対象とするピンホール110が光源20の光軸60(
図2)に対してなす最大角度である。被検査対象物100の厚みが大きくなるほど及びピンホール110の孔径が小さくなるほど、斜めの光50が透過しづらくなるため、最大検出可能角度θを小さくする。
【0033】
次いで、製造者(設計者)は、光学繊維30が伝播可能な光50が光源20の光軸60に対してなす最大入射角θ2(
図2)を決定する。最大入射角θ2は、例えば、最大検出可能角度θ+0°~θ+5°の範囲とする。最大入射角θ2を決定すると、当該最大入射角θ2を実現する光学繊維30の仕様を選択する。最大入射角θ2は、開口数(NA)と実質的に同義であり、光学繊維30の素材、コアとクラッドの屈折率等により変化する。そこで、製造者(設計者)は、最大入射角θ2を実現する光学繊維30を選択する。
【0034】
次いで、製造者(設計者)は、光源20及びレンズ22a、22bの仕様を設定する。例えば、製造者(設計者)は、光学レンズ22bの最大偏光角をθ1とするとき(
図2)、最大入射角θ2がθ1+0°~θ1+5°の範囲に含まれるように最大偏光角θ1を設定する。
【0035】
[A-3.本実施形態の効果]
本実施形態によれば、光源20(ライン光源)の長手方向に見たとき、検出対象とするピンホール110が光源20の光軸60に対してなす最大検出可能角度をθとすると、光学繊維30が伝播可能な光50が光軸60に対してなす最大入射角θ2は、θ+0°~θ+5°の範囲に設定される。つまり、光源20の光軸60に対するピンホール110を検出可能な最大検出可能角度をθとすると、光源20の光軸60に対する光学繊維30が伝播可能な光50の最大入射角は、θ+0°~θ+5°の範囲である。これにより、検出対象とするピンホール110の検出を確実にしつつ、光学繊維30に外乱光(又は漏洩光)が入り込むことを防ぎ易くなる。その結果、透過光と外乱光の信号/雑音比(S/N比)を高めて、ピンホール110の検出精度を向上させることが可能となる。
【0036】
本実施形態において、光源20は、被検査対象物100に対して線状に光を照射するリニア光源であり、光学レンズ22a、22bは、光源20から照射され光源20の光軸60から離れる方向に広がる光を、光源20の光軸60に接近する方向に収束させる。そして、検出器24は、光源20に対向して複数の光学繊維30が並んで配置され、光学レンズ22bの最大偏光角をθ1とするとき、最大偏光角θ1を最大検出可能角度θ以上に設定する。これにより、ピンホール110の検出に必要な光量を確保し易くなる。
【0037】
本実施形態において、被検査対象物100に面する光学繊維30の端面は、光学レンズ22bの焦点位置に配置される(
図1)。一方で、被検査対象物100に面する光学繊維30の端面は、光学レンズ22bの焦点位置よりも被検査対象物100側に配置されていてもよい。これにより、被検査対象物100をピンホール検出装置10に対して移動させている場合でも、ピンホール110を検出し易くなる。すなわち、光学繊維30の端面を、光学レンズ22bの焦点位置に配置した場合、検出器24は、ピンホール110の透過光を非常にシャープな立ち上がりを伴って検出する一方、当該立ち上がりを検出する時間は比較的短い。これに対し、光学繊維30の端面を、光学レンズ22bの焦点位置よりも被検査対象物100側に配置すると、検出器24が検出するピンホール110の透過光による立ち上がりは、前者よりも小さいものの、立ち上がりを検出する時間は比較的長くなる。そのため、被検査対象物100の移動速度によって、前者の配置(光学レンズ22bの焦点位置での配置)ではピンホール110を検出できない場合でも、後者の配置(焦点位置よりも被検査対象物100側の配置)では検出可能な場合が生じ得る。従って、後者の配置では、被検査対象物100の移動速度を高めることが可能となる。
【0038】
本実施形態において、搬送装置26は、光源20の長手方向に対して垂直な方向でかつ光源20の光軸60に直交する方向(矢印120の方向)に被検査対象物100を移動させる(
図1)。これにより、被検査対象物100が例えば帯状である場合に好適に用いることが可能となる。特に、被検査対象物100が搬送方向に延伸されるもの(例えば鋼板、光を透過しないフィルム、紙等)である場合、傾斜したピンホールが生じ易い。本実施形態では、搬送方向に傾斜したピンホール110の検出が容易となる。
【0039】
本実施形態において、光源20と検出器24の間には、光源20の長手方向に沿って配置された光源20側の第1リニアフレネルレンズ22aと、光源20の長手方向に沿って、第1リニアフレネルレンズ22aよりも検出器24側に配置された第2リニアフレネルレンズ22bとが設けられる(
図1)。第1リニアフレネルレンズ22aは、光源20から出射された光50を平行光になるように屈折させる(
図1)。第2リニアフレネルレンズ22bは、光学レンズ22bにより屈折した光の最大偏光角θ1が、光学繊維30の端面に対する最大入射角θ2と同等になる又は最大入射角θ2よりも小さくなるように平行光を屈折させる(
図1及び
図2)。これにより、第1リニアフレネルレンズ22aと第2リニアフレネルレンズ22bの間は平行光となるため、両フレネルレンズ22a、22b間の距離調整が容易となる。
【0040】
<B.変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
【0041】
[B-1.光源]
上記実施形態では、光源20はリニア光源であったが(
図1)、リニア光源以外であってもよい。上記実施形態では、1つのリニア光源を用いたが(
図1)、例えば特許文献1の第5図のように複数の光源20を用いてもよい。上記実施形態では、光源20が上側、検出器24が下側であったが、逆であってもよい。
【0042】
[B-2.光学レンズ]
上記実施形態では、第1リニアフレネルレンズ22a及び第2リニアフレネルレンズ22bを用いた(
図1)。しかしながら、その他のレンズを用いることも可能である。
【0043】
[B-3.検出器]
上記実施形態では、光学繊維30を直線状に配置した(
図1)。しかしながら、例えば、被検査対象物100の幅(光源20の長手方向における長さ)全体についてピンホール110を検出する観点からすれば、これに限らない。光学繊維30は、その他の配置で、光源20の長手方向に互いに偏位させてもよい。
【0044】
上記実施形態では、被検査対象物100に面する光学繊維30の端面を、光学レンズ22bの焦点位置よりも被検査対象物100側に配置した(
図1)。しかしながら、被検査対象物100の搬送速度等によっては、光学繊維30の端面を、光学レンズ22bの焦点位置に配置してもよい。
【0045】
[B-4.搬送装置]
上記実施形態では、被検査対象物100を移動させるために搬送装置26を用いたが(
図1)、ピンホール110の検出に着目すれば、搬送装置26を設けないことも可能である。
【符号の説明】
【0046】
10 ピンホール検出装置、20 光源(リニア光源)、22a 光学レンズ(第1リニアフレネルレンズ)、22b 光学レンズ(第2リニアフレネルレンズ)、24 検出器、26 搬送装置、30 光学繊維、32 検出素子、50 光、60 光軸、100 被検査対象物、110 ピンホール、θ 最大検出可能角度、θ1 最大偏光角、θ2 最大入射角