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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173732
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】モールドモータ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/12 20060101AFI20221115BHJP
   H02K 3/44 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H02K15/12 E
H02K3/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079618
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】前田 一朗
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604DB01
5H604PE06
5H615AA01
5H615BB01
5H615PP01
5H615PP14
5H615QQ19
5H615SS08
5H615SS44
(57)【要約】
【課題】モールド成形用の金型を使用することなく、モールド樹脂が充填されたモールドモータを製造する。
【解決手段】鉄心110と、鉄心に巻回された固定子巻線120と、固定子巻線120の両端を覆う第1樹脂カバー310及び第2樹脂カバー320とを備え、第1樹脂カバー310には、モールド樹脂200注入用の注入口310bが設けられ、注入されるモールド樹脂200が、第1樹脂カバー310の内部と第2樹脂カバー320の内部と固定子巻線120の周囲とに充填され、注入口310b及びその内部に充填されたモールド樹脂が第1樹脂カバー310から除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子(100)を有するモールドモータであって、
前記固定子(100)は、
鉄心(110)と、
前記鉄心(110)に巻回された固定子巻線(120)と、
前記固定子巻線(120)の一端を覆う第1樹脂カバー(310)と、
前記固定子巻線(120)の他端を覆う第2樹脂カバー(320)と、を備え、
前記第1樹脂カバー(310)には、モールド樹脂(200)の注入に使用される注入口(310b)が設けられ、
前記注入口(310b)から注入される前記モールド樹脂(200)が、前記第1樹脂カバー(310)の内部と前記第2樹脂カバー(320)の内部と前記固定子巻線(120)の周囲とに充填され、
前記注入口(310b)及びその内部に充填された前記モールド樹脂(200)が前記第1樹脂カバー(310)から除去されて構成されることを特徴とするモールドモータ。
【請求項2】
前記第1樹脂カバー(310)は、前記固定子巻線(120)の一端を覆うように前記鉄心(110)に取り付けられ、
前記第2樹脂カバー(320)は、前記固定子巻線(120)の他端を覆うように前記鉄心(110)に取り付けられる、
請求項1に記載のモールドモータ。
【請求項3】
鉄心(110)と、前記鉄心(110)に巻回された固定子巻線(120)と、前記固定子巻線(120)の一端を覆う第1樹脂カバー(310)と、前記固定子巻線(120)の他端を覆う第2樹脂カバー(320)と、を備え、
前記第1樹脂カバー(310)には、モールド樹脂(200)の注入に使用される注入口(310b)が設けられる固定子(100)を有するモールドモータの製造方法であって、
前記固定子巻線(120)の一端を覆うように、前記第1樹脂カバー(310)を前記鉄心(110)に取り付け、
前記固定子巻線(120)の他端を覆うように、前記第2樹脂カバー(320)を前記鉄心(110)に取り付け、
前記注入口(310b)から前記モールド樹脂(200)を注入し、前記第1樹脂カバー(310)の内部と前記第2樹脂カバー(320)の内部と前記固定子巻線(120)の周囲とに前記モールド樹脂(200)を充填し、
前記注入口(310b)及びその内部に充填された前記モールド樹脂(200)を前記第1樹脂カバー(310)から除去する、
モールドモータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鉄心に巻回された固定子巻線が樹脂によりモールドされたモールドモータ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モールドモータでは、固定子の鉄心に巻回された固定子巻線のコイルエンドが樹脂によりモールドされている。従来は、特許文献1及び2等に記載されているように、モールド樹脂を充填する空間を設けた金型内に、固定子巻線が巻回された鉄心を固定し、金型の開口部からモールド樹脂を注入するようにしていた。
【0003】
金型10を使用する従来のモールドモータの製造工程を、図5を参照して説明する。図5は、モールドモータ生成時の金型10の構成を示す断面図である。
固定子100Aは、鉄心110において、2枚の巻線枠130の間に固定子巻線120が巻回されており、固定子巻線120に電気的に接続されたリード線125が外部に導出されている。
【0004】
ここで、モールド成形用の金型10は、上型11、中型12、下型13、及び最下型14に分割されて構成されており、また、それぞれの型は図5紙面垂直方向に更に複数に分割されて構成されている。そして、金型10を構成する上型11~最下型14は、図示されない締結手段により締結され、固定子100Aを保持している。
ここで、金型10と固定子100Aとの間に、固定子巻線120の上方向周囲にモールド樹脂充填空間22が設けられ、固定子巻線120の中間部分周囲にモールド樹脂充填空間23が設けられ、固定子巻線120の下方向周囲にモールド樹脂充填空間24設けられ、モールド樹脂充填空間22の上方にモールド樹脂注入空間21が設けられている。なお、モールド樹脂充填空間22及び24は、それぞれコイルエンド120eを含むように定められている。
【0005】
金型10の内部に固定子100Aを固定した状態で、金型10に対してモールド樹脂200を注入する様子を、図6を参照して説明する。図6は、金型10にモールド樹脂200を注入する様子を示す断面図である。ここで、細かな点により塗りつぶされた領域は、モールド樹脂200が充填されたことを示している。この図6の固定子100Aには、固定子巻線120の上方向のモールド樹脂充填空間22と、固定子巻線120の中間部分周囲のモールド樹脂充填空間23と、固定子巻線120の下方向のモールド樹脂充填空間24とに加え、モールド樹脂注入空間21に、モールド樹脂200が充填されて一体成形されている。
【0006】
モールド樹脂充填完了後の作業の様子を、図7を参照して説明する。図7は、金型10を使用して製造されたモールドモータの固定子100Aの断面構成を示す断面図である。
モールド樹脂の充填が完了すると、上型11、中型12、下型13、及び最下型14の各部の締結を解除し、金型10を分解し、モールドされた固定子100Aを取り出す。図7の(a)は、金型10から取り出された状態の固定子100Aを示す。
【0007】
固定子100Aにおいて、図7の(a)に示すモールド樹脂注入空間21のモールド樹脂200は不要である。このため、図7の(b)に示すように、モールド樹脂充填空間22のモールド樹脂200を残し、モールド樹脂注入空間21のモールド樹脂200を切削加工等により除去する。
このようにして金型10を用いて一体成形された固定子100Aの、作業後の完成品の様子を、図8を参照して説明する。図8は、金型10を使用して製造されたモールドモータの外観構成を示す構成図である。図8のように、モールドモータにおいて、第1樹脂部150aと第2樹脂部150bとにより、鉄心110に巻回された固定子巻線120が樹脂によりモールドされた状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-262501号公報
【特許文献2】特開平07-163081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように金型10を用いて固定子100Aにモールド樹脂を充填する手法には、以下のような欠点も存在する。
・金型10が高価である。また、モールド樹脂を充填する空間が複雑な形状であると、更に高価になる。
・金型10の組み立て、及び分解の作業に、多大な時間を要する。
・金型10の隙間からモールド樹脂が漏れないようにグリスを塗布しているが、完成した固定子100A側にグリスが転移し、完成品の清掃に時間を要する。
・完成した固定子100Aのモールド樹脂の表面に、傷、気泡、細かな凹凸といったムラを発生することがある。
【0010】
従って、モールド成形用の金型を使用することなく、モールド樹脂を充填してモールドモータを製造できることが望まれていた。
本発明は、モールド成形用の金型を使用することなく、モールド樹脂が充填されたモールドモータ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るモールドモータは、固定子を有するモールドモータであって、固定子は、鉄心と、鉄心に巻回された固定子巻線と、固定子巻線の一端を覆う第1樹脂カバーと、固定子巻線の他端を覆う第2樹脂カバーと、を備え、第1樹脂カバーには、モールド樹脂の注入に使用される注入口が設けられ、注入口から注入されるモールド樹脂が、第1樹脂カバーの内部と第2樹脂カバーの内部と固定子巻線の周囲とに充填され、注入口及びその内部に充填されたモールド樹脂が第1樹脂カバーから除去されて構成されることを特徴とする。
【0012】
このモールドモータにおいて、第1樹脂カバーは、固定子巻線の一端を覆うように鉄心に取り付けられ、第2樹脂カバーは、固定子巻線の他端を覆うように鉄心に取り付けられる。
【0013】
この発明に係るモールドモータの製造方法は、鉄心と、鉄心に巻回された固定子巻線と、固定子巻線の一端を覆う第1樹脂カバーと、固定子巻線の他端を覆う第2樹脂カバーと、を備え、第1樹脂カバーには、モールド樹脂の注入に使用される注入口が設けられる固定子を有するモールドモータの製造方法であって、固定子巻線の一端を覆うように、第1樹脂カバーを鉄心に取り付け、固定子巻線の他端を覆うように、第2樹脂カバーを鉄心に取り付け、注入口からモールド樹脂を注入し、第1樹脂カバーの内部と第2樹脂カバーの内部と固定子巻線の周囲とにモールド樹脂を充填し、注入口及びその内部に充填されたモールド樹脂を第1樹脂カバーから除去する。
【発明の効果】
【0014】
この発明に係るモールドモータ及びその製造方法によれば、固定子巻線の一端を覆うように、第1樹脂カバーを鉄心に取り付け、固定子巻線の他端を覆うように、第2樹脂カバーを鉄心に取り付け、第1樹脂カバーの注入口からモールド樹脂を注入し、第1樹脂カバーの内部と第2樹脂カバーの内部と固定子巻線の周囲とにモールド樹脂を充填し、注入口及びその内部に充填されたモールド樹脂を第1樹脂カバーから除去して、モールドモータを製造する。
これにより、モールド成形用の金型を使用することなく、固定子の鉄心に巻回された固定子巻線を樹脂によりモールドし、モールド樹脂が充填されたモールドモータを製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1におけるモールドモータの固定子の断面構成を示す断面図である。
図2】実施の形態1におけるモールドモータにおける樹脂カバーの構成を示す斜視図である。
図3】実施の形態1におけるモールドモータの固定子の断面構成を示す断面図である。
図4】実施の形態1におけるモールドモータの固定子の外観構成を示す構成図である。
図5】モールドモータ生成時の金型の構成を示す断面図である。
図6】金型にモールド樹脂を注入する様子を示す断面図である。
図7】金型を使用して製造されたモールドモータの固定子の断面構成を示す断面図である。
図8】金型を使用して製造されたモールドモータの外観構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係るモールドモータ及びその製造方法について、図面を用いて説明する。なお、各図において、同一部分には同一符号を付している。
【0017】
実施の形態1.
以下、実施の形態1のモールドモータ及びその製造方法について、図1図4を参照して説明する。
【0018】
まず、実施の形態1におけるモールドモータの固定子100の基本構成とモールド樹脂200の注入について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、実施の形態1におけるモールドモータの固定子100の断面構成を示す断面図である。図2は、実施の形態1におけるモールドモータにおける樹脂カバーの構成を示す斜視図である。
【0019】
図1の(a)において、モールドモータの主要構成要素である固定子100は、主に、固定子鉄心(以下、「鉄心」)110と、固定子巻線120と、巻線枠130と、を備えている。鉄心110は、積層された電磁鋼板により構成されている。固定子巻線120は、2枚の巻線枠130の範囲内で、鉄心110に巻回されている。固定子巻線120の端部は、リード線125として外部に導出されている。
【0020】
図1の(a)は、鉄心110に対して、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320とが取り付けられる前の状態を示している。
【0021】
第1樹脂カバー310には、図2の(a)に示すように、固定子巻線120の一端(図1の(a)の上端部側のコイルエンド120e付近)を覆う筒状の本体部310aと共に、モールド樹脂の注入に使用される筒状の注入口310bとが設けられている。
【0022】
本体部310aの形状は、四角形形状を具体例として示しているが、固定子巻線120の一端の形状に合わせて定めればよい。なお、本体部310aの外形は、固定子100の一方の端部として要求される形状に合わせて定めればよい。
注入口310bの形状は、円筒形状を具体例として示しているが、モールド樹脂200の注入に適した形状に定めればよい。
この第1樹脂カバー310には、鉄心110に設けられた図示しない凹部に合致する位置合わせ用の凸部311と、リード線125を外部に導出する配線穴313とが、更に設けられている。
【0023】
第2樹脂カバー320は、図2の(b)に示すように、上部開放型の有底箱状に形成され、固定子巻線120の他端(図1の(a)の下端部側のコイルエンド120e付近)を覆うものである。
第2樹脂カバー320の形状は、四角形形状を具体例として示しているが、固定子巻線120の他端の形状に合わせて定めればよい。なお、第2樹脂カバー320の外形は、固定子100の他方の端部として要求される形状に合わせて定めればよい。
この第2樹脂カバー320には、鉄心110に設けられた図示しない凹部に合致する位置合わせ用の凸部321が設けられている。
【0024】
図1の(b)は、鉄心110に対して、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320とが取り付けられた状態を示している。
第1樹脂カバー310は、凸部311と鉄心110の図示されない凹部とが嵌め合わされ、接着部410により鉄心110の上端部に接着されて取り付けられている。
第2樹脂カバー320は、凸部321と鉄心110の図示されない凹部とが嵌め合わされ、接着部420により鉄心110の下端部に接着されて取り付けられている。
なお、第1樹脂カバー310の内部空間と第2樹脂カバー320の内部空間とは、それぞれ固定子巻線120の端部であるコイルエンド120eを少なくとも含むように定められている。
【0025】
図1の(c)は、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320とが鉄心110に取り付けられた状態において、モールド樹脂200が注入された様子を示している。
モールド樹脂200は、第1樹脂カバー310の注入口310bから注入され、第1樹脂カバー310の本体部310aの内側と、固定子巻線120の周囲と、第2樹脂カバー320の内側とに注入される。図1の(c)において、細かな点により塗りつぶされた領域は、モールド樹脂200が充填されたことを示している。すなわち、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320とにより、金型を使用せずにモールド樹脂200を成形している。
【0026】
次に、実施の形態1におけるモールドモータの固定子100の、モールド樹脂200の注入後の整形について、図3及び図4を参照して説明する。
【0027】
図3は、実施の形態1におけるモールドモータの固定子100の断面構成を示す断面図である。
図3に示すように、モールド樹脂200注入後の固定子100について、モールド樹脂200が注入された状態の第1樹脂カバー310の注入口310bを、切削加工等により除去し、モールド樹脂200が注入された状態の第1樹脂カバー310の本体部310a以下の領域を残すようにする。
【0028】
図4は、実施の形態1におけるモールドモータの固定子100の外観構成を示す構成図である。
図4に示すように、固定子巻線120(図3参照)の一端は、内部にモールド樹脂200が注入された第1樹脂カバー310の本体部310aにより覆われて、第1樹脂部160aを構成している。
固定子巻線120(図3参照)の他端は、内部にモールド樹脂200が注入された第2樹脂カバー320により覆われて、第2樹脂部160bを構成している。
リード線125は、配線穴313から外部に導出されており、リード線125と配線穴313とが接する部分は接着部430により接着されている。
【0029】
第1樹脂部160aの表面の大部分は、第1樹脂カバー310の本体部310aの表面であり、従来の金型を使用したモールド樹脂むき出し状態の表面よりは滑らかで均一な状態を作りやすい。
【0030】
第1樹脂部160aの表面の一部は、注入口310bが除去されて内部のモールド樹脂200が露出しているが、注入口310bを除去する際の切削加工等により整形されており、従来の金型を使用したモールド樹脂むき出し状態の表面よりは滑らかで均一な状態を作りやすい。
【0031】
第2樹脂部160bの表面は、第2樹脂カバー320の表面であり、従来の金型を使用したモールド樹脂むき出し状態の表面よりは滑らかで均一な状態を作りやすい。
【0032】
すなわち、図4における第1樹脂部160aの表面は第1樹脂カバー310そのものであり、第2樹脂部160bの表面は第2樹脂カバー320そのものであるのに対し、従来の図8における第1樹脂部150aの表面は金型に注入されたモールド樹脂の表面であり、傷、気泡、細かな凹凸といったムラを有することがある。
【0033】
なお、図6のように従来の金型10を使用してモールド樹脂200を注入する際に、金型10を外した後のモールド樹脂表面の状態を整えるため、モールド樹脂200の混合、撹拌、脱泡の作業を3回程度繰り返し行う必要があった。
一方、図1の(c)のように、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320の内部にモールド樹脂200を注入する場合、モールド樹脂200の混合、撹拌、脱泡の作業を1回程度行えばよいため、作業性が向上する。
【0034】
[実施の形態により得られる効果]
実施の形態1に係るモールドモータ及びその製造方法によれば、固定子巻線120の一端を覆うように第1樹脂カバー310を鉄心に取り付け、固定子巻線120の他端を覆うように第2樹脂カバー320を鉄心に取り付け、第1樹脂カバー310の注入口310bからモールド樹脂200を注入し、第1樹脂カバー310の内部と第2樹脂カバー320の内部と固定子巻線120の周囲とにモールド樹脂200を充填し、注入口310b及びその内部に充填されたモールド樹脂200を第1樹脂カバー310から除去して、モールドモータの固定子100を製造する。
【0035】
これにより、モールド成形用の金型10を使用することなく、固定子100の鉄心110に巻回された固定子巻線120をモールド樹脂200によりモールドし、モールド樹脂200が充填されたモールドモータを製造することが可能になる。
【0036】
そして、実施の形態1によると、高価な金型10が不要になり、金型10の組み立て及び分解の作業が発生せず、金型10を用いた完成品のグリス除去の作業も発生しなくなる。
【0037】
また、固定子100の形状を変更する場合、従来のような金型10の作り直しは必要なく、第1樹脂カバー310と第2樹脂カバー320とを変更すればよいため、設計変更の対処も容易になる。
【0038】
以上の実施の形態1の説明において、モールドモータの固定子100の形状については、図1図4に示した具体例に限定されるものではなく、各種の変更と変形とが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
実施の形態1のモールドモータは、モールド成形用の金型を使用せずに、樹脂カバーを用いてモールド樹脂を成形し、モールド樹脂200により良好な状態にモールドされた固定子100を製造することができ、設計変更にも容易に対処できるため、各種の用途に迅速に対応することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 金型、11 上型、12 中型、13 下型13、14 最下型14、100,100A モールドモータの固定子、110 鉄心、120 固定子巻線、120e コイルエンド、125 リード線、130 巻線枠、150a 第1樹脂部、150b 第2樹脂部、160a 第1樹脂部、160b 第2樹脂部、200 モールド樹脂、310 第1樹脂カバー、310a 本体部、310b 注入口、311 凸部、313 配線穴、320 第2樹脂カバー、321 凸部、410,420,430 接着部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8