(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173733
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/249 20210101AFI20221115BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20221115BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20221115BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20221115BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20221115BHJP
【FI】
H01M50/249
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/6556
H01M50/262 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079619
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕介
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
5H040AA14
5H040AA28
5H040AS04
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040CC02
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】簡素な構成で筐体強度の向上が図られる電池装置を提供する。
【解決手段】電池装置1は、電池10、筐体20、サイドプレート30を備える。電池10は複数備えられている。筐体20は、筒状をなすとともに筐体20の延在方向Yの両端に開口部21を有し、内側の空間部22に電池10を収容する。サイドプレート30は、開口部21を閉塞して空間部22を密閉する。そして、筐体20の空間部22には、電池10を冷却する冷媒が流通されるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、
筒状をなすとともに延在方向の両端に開口部を有し、内側の空間部に上記電池を収容する筐体と、
上記開口部を閉塞して上記空間部を密閉するサイドプレートと、
を備え、
上記筐体の上記空間部には、上記電池を冷却する冷媒が流通されるように構成されている、電池装置。
【請求項2】
上記筐体における上記延在方向に直交する断面の形状がオーバル形状である、請求項1に記載の電池装置。
【請求項3】
上記電池装置は車両用であって、上記筐体の上記延在方向が上記車両の車幅方向に平行な状態で上記車両に搭載されるように構成されている、請求項1又は2に記載の電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池と、電池を冷却するための冷媒を循環させる冷却機構とが筐体内に収納されてなる電池装置が用いられている。例えば、特許文献1には、筐体内部に蒸発式の冷却部材と冷却部材に冷媒を圧送するためのコンプレッサとを設けて、当該冷却部材の上に複数の電池を配列させた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、電源システムは外部から衝撃を受けると内部の電池や冷却部材がダメージを受けるおそれがある。特に、車両などの移動媒体においては、外部からの衝撃を受けやすくなる。そこで、電池等がダメージを受けることを防止するために、筐体の強度を高めることが求められている。しかしながら、特許文献1に開示の構成において、筐体の強度を高めるために筐体を構成する素材の厚みを増やすと、筐体の重量が増加するとともに製造コストも増加するため、好ましくない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で筐体強度の向上が図られる電池装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、電池と、
筒状をなすとともに延在方向の両端に開口部を有し、内側の空間部に上記電池を収容する筐体と、
上記開口部を閉塞して上記空間部を密閉するサイドプレートと、
を備え、
上記筐体の上記空間部には、上記電池を冷却する冷媒が流通されるように構成されている、電池装置にある。
【発明の効果】
【0007】
上記電池装置において、電池は筒状に延在する筐体内の空間部に収納されているため、当該筐体が延在方向の衝撃に対する補強部材として機能する。これにより、当該延在方向に対する強度を向上することができ、外部からの衝撃によって内部の電池等がダメージを受けることを防止することができる。さらに、筐体の開口部はサイドプレートにより閉塞されて筐体内の空間部に電池を冷却する冷媒が流通されるように構成されている。これにより、筐体内の空間部の圧力を調整して、冷媒が空間部に収納された電池に接触しやすくできるため高い冷却効果が奏される。そして、空間部のシール部分は筐体の両端の開口部とサイドプレートとの間に形成されるため、シール部分を比較的少なくすることができるとともにシール構造の簡素化を図ることができる。
【0008】
以上のごとく、上記態様によれば、簡素な構成で筐体強度の向上が図られた電池装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1における、電池装置を分解した状態を示す斜視概念図。
【
図2】実施形態1における、電池装置を組付けた状態を示す斜視概念図
【
図3】実施形態1の電池装置を含む電源システムの構成を示す上面概念図。
【
図5】(a)変形形態1における筐体の延在方向に直交する位置での電源システムの断面概念図、(b)変形形態2における筐体の延在方向に直交する位置での電源システムの断面概念図。
【
図6】(a)変形形態3における筐体の延在方向に直交する位置での電池装置の断面概念図、(b)変形形態4における筐体の延在方向に直交する位置での電池装置の断面概念図、(c)変形形態5における筐体の延在方向に直交する位置での電池装置の断面概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上記筐体における上記延在方向に直交する断面の形状がオーバル形状であることが好ましい。この場合には、筐体の内外の圧力差が大きい場合でも、筐体の変形を抑制することができる。
【0011】
上記電池装置は車両用であって、上記筐体の上記延在方向が上記車両の車幅方向に平行な状態で上記車両に搭載されるように構成することができる。この場合には、上記電池装置が車両に搭載された際に、当該電池装置は車幅方向からの衝撃である側突に対する強度が向上されることとなる。その結果、側突によって内部の電池がダメージを受けることを防止することができる。
【0012】
(実施形態1)
上記電池装置の実施形態について、
図1~
図4を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態の電池装置1は、電池10、筐体20、サイドプレート30を備える。
筐体20は、筒状をなすとともに筐体20の延在方向Yの両端に開口部21を有し、内側の空間部22に電池10を収容する。
サイドプレート30は、
図2に示すように、開口部21を閉塞して空間部22を密閉する。
筐体20の空間部22には、電池10を冷却する冷媒が流通されるように構成されている。
【0013】
以下、本実施形態の電池装置1について、詳述する。
図1及び
図2に示すように、電池装置1には電池10が備えられる。電池10は、複数のセルを備えた電池モジュールであってもよいし、単一のセルを有する電池であってもよい。本実施形態では、電池10として2個の電池モジュール10aを備える。電池10の数(電池モジュール10aの数)は限定されず、1個でもよいし、3個以上でもよい。
図1に示すように、本実施形態では、電池モジュール10aは、複数の電池セル11を積層して積層方向両端に位置する一対のエンドプレート12と、一対のエンドプレート12を電池セル11が挟持されるように拘束する拘束プレート13とからなる。そして、電池セル11は充放電可能であって、電池モジュール10aは二次電池を構成している。本実施形態では、電池セル11の積層方向は、後述の筐体の延在方向Yと一致しており、電池モジュール10aの外形は、電池セル11の積層方向(すなわち、延在方向Y)に延びる四角柱状をなしている。そして、2つの電池モジュール10aは、後述の筐体20内に配置されている。
【0014】
図1に示すように、筐体20は筒状をなしており、筒形状の延在方向Yの両端に開口部21を有している。本実施形態では、筐体20における延在方向Yに直交する断面形状は、特に限定されないが、オーバル形状、四角形状、円形状やこれらを組み合わせた形状とすることができ、本実施形態では、オーバル形状となっている。なお、本明細書では、オーバル形状は、楕円形状、卵型形状の他に、長方形における対向する短辺及び又は長辺を外方に向けて滑らかに湾出させた形状も含むものとする。そして、本実施形態では、筐体20における当該断面形状は、筐体20における延在方向Yの一方の端部から他方の端部に亘って一定となっており、開口部21もそれぞれオーバル形状となっている。筐体20の延在方向Yの長さは、後述する空間部22に収容する電池10の長さに応じて適宜設定することができる。
【0015】
図1に示すように、筐体20の内側には空間部22が形成されている。空間部22には、電池10が収容される。本実施形態では、電池10としての2つの電池モジュール10aが、それぞれの電池セル11の積層方向Yが平行となるように短辺をそろえた状態で空間部22に配される。
【0016】
筐体20の材質は限定されないが、強度や成形性を考慮して金属製とすることができ、本実施形態では、筐体20の材質としてアルミニウム合金を採用している。筐体20の成型方法も限定されず、押し出し成型、鋳造、鍛造、プレス加工、切削加工などを採用することができる。本実施形態では、筐体20が筒状であるため、押し出し成型により容易に高精度で成形することができる。
【0017】
図1及び
図2に示すように、筐体20の延在方向Yの両端には、サイドプレート30が取り付けられる。サイドプレート30は板状をなしている。サイドプレート30の外形は、開口部21が設けられた筐体20の延在方向Yの両端の形状と同様となっており、本実施形態ではオーバル形状となっている。サイドプレート30は冷媒流通孔31と、電池10に接続されるハーネス(図示せず)が挿通されるハーネス孔32とを有する。冷媒流通孔31及びハーネス孔32はいずれもサイドプレート30の厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0018】
図2に示すように、サイドプレート30は、空間部22に電池10が配された状態で、筐体20の延在方向Yの両端に接合されて、開口部21を閉塞している。サイドプレート30と筐体20との接合部は周方向の全域にわたって形成されている。本実施形態では、サイドプレート30と筐体20とは溶接により接合されている。図示しないが、冷媒流通孔31に冷却配管40が接続されるとともにハーネス孔32にハーネスが挿通された状態で、図示しないシール部材により冷媒流通孔31及びハーネス孔32がシールされている。これらにより、電池10が配置された状態で空間部22のシール性が保たれている。なお、サイドプレート30の材質は限定されないが、筐体20と同様のものを採用することができる。
【0019】
本実施形態では、
図3に示すように、複数の電池装置1が冷却配管40及び図示しないハーネスにより接続されて、電源システム100を構成している。電源システム100では、4個の電池装置1がそれぞれの筐体20の延在方向Yが平行となるように短辺をそろえた状態で、
図4に示すように同一平面上に並ぶように配置されている。なお、複数の電池装置1の並び方向をXとし、延在方向Y及び並び方向Xに直交する方向を厚さ方向Zとする。そして、電池装置1の冷媒流通孔31にはそれぞれ冷却配管40が接続されている。冷却配管40は管状をなしており、内部に冷媒が流通可能となっている。なお、図示しないが、冷却配管40には、
図3の紙面左側において、冷却配管40に冷媒を圧送するコンプレッサ、電池10の熱を外部に放出するためのラジエータ、冷媒温度を検出するセンサ、電池10の動作を制御するバッテリマネジメントユニットを備える。そして、コンプレッサにより空間部22内の圧力を調整することができる。なお、冷媒の圧力を蓄積するためのアキュムレータなどを備えていてもよい。
【0020】
本実施形態では、
図3に示す電源システム100は図示しない車両に搭載される。そして、電源システム100において、電池装置1は延在方向Yが図示しない車両の車幅方向と平行となるように設置される。なお、これに替えて、電池装置1は延在方向Yが図示しない車両の車幅方向と直交するように設置されていてもよい。
【0021】
次に、本実施形態の電池装置1における作用効果について、詳述する。
本実施形態の電池装置1において、電池10は延在方向Yに延在する筐体20内の空間部22に収納されているため、当該筐体20が延在方向Yの衝撃に対する補強部材として機能する。これにより、当該延在方向Yに対する強度を向上することができ、外部からの衝撃によって内部の電池10等がダメージを受けることを防止することができる。さらに、筐体20の開口部21はサイドプレート30により閉塞されて筐体20内の空間部22に電池10を冷却する冷媒が流通されるように構成されている。これにより、筐体20内の空間部22の圧力を調整して、冷媒が空間部22に収納された電池に接触しやすくできるため高い冷却効果が奏される。そして、空間部22のシール部分は筐体20の両端の開口部21とサイドプレート30との間に形成されるため、シール部分を比較的少なくすることができるとともにシール構造の簡素化を図ることができる。
【0022】
また、本実施形態では、筐体20における延在方向Yに直交する断面の形状がオーバル形状となっている。これにより、筐体20の内外の圧力差が大きい場合でも、筐体20の変形が抑制することができる。
【0023】
また、本実施形態では、電池装置1は車両用であって、筐体20の延在方向Yが車両の車幅方向に平行な状態で車両に搭載される。これにより、電池装置1が車両に搭載された際に、電池装置1は車幅方向からの衝撃である側突に対する強度が向上されることとなる。その結果、側突によって内部の電池10がダメージを受けることを防止することができる。
【0024】
以上のごとく、上記態様によれば、簡素な構成で筐体強度の向上が図られる電池装置を提供することができる。
【0025】
本実施形態では、
図4に示すように、電池装置1の延在方向Yから見て、4つの電池装置1は同一平面上に並び方向Xに沿って並ぶように配置されているものとした。これに替えて、
図5(a)に示す変形形態1のように、3つの電池装置1は同一平面上にX方向に並ぶように配置されていてもよい。
【0026】
また、
図5(b)に示す変形形態2のように、4つの電池装置1は同一平面上に並び方向Xに沿って並ぶとともに、並び方向Xの一方の端に位置する電池装置1の厚さ方向Z上に、さらに電池装置1が配置されていてもよい。なお、電池装置1の配置及び使用数は実施形態1及び変形形態1、2のものに限定されず、当該電池装置1を含む電源システム100が搭載される車両のタイプや装置における設置場所の大きさや設置場所の形状に応じて適宜変更することができる。
【0027】
また、本実施形態1では、
図1及び
図2に示すように、電池装置1において、電池10は、電池セル11が積層されてなる電池モジュール10aとし、2個の電池モジュール10aを並び方向Xに並べて、筐体20内に収容されているものとした。これに替えて、
図6(a)に示す変形形態3のように、電池装置1において、電池モジュール10aが単体で筐体20内に収容されていてもよい。
【0028】
また、
図6(b)に示す変形形態4のように、X方向に電池セル11が積層された電池モジュール10aが筐体20内に収容されていてもよい。また、
図6(c)に示す変形形態5のように、円柱状の乾電池型の電池モジュール10aが筐体20内に収容されていてもよい。なお、筐体20内に収容する電池10の形状に合わせて、筐体20の形状や大きさは適宜変更することができる。
【0029】
本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 電池装置
100 電源システム
10 電池
20 筐体
22 空間部
30 サイドプレート
40 冷却配管