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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173737
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】打込工具
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20221115BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B25C7/00 Z
B25C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079625
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 徹弥
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴士
(72)【発明者】
【氏名】浅見 貴也
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068JJ20
(57)【要約】
【課題】小型又は軽量な構成で反動の低減が可能となる打込工具を提供すること。
【解決手段】本開示に係る打込工具10は、ファスナFを打ち込むための射出口12Aが設けられた本体と、前記本体に取り付けられるコイルばね36と、前記コイルばね36が伸長することにより前記射出口12Aに向かう射出方向DR1に移動可能に構成されるプランジャ32とを備え、前記コイルばね36が伸長するとき、前記コイルばね36から前記本体に前記射出方向DR1の付勢力が作用するように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる付勢部材と、
前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、
前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成された、
打込工具。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長するように構成され、
一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材と、
前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材に係合することにより、前記接続部材に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備える、
請求項1に記載の打込工具。
【請求項3】
前記付勢部材の前記離反側の端部側及び前記接続部材の前記一端側に係合する移動部材を更に備え、
前記接続部材は、前記移動部材によって前記離反側の端部側に取り付けられるように構成された、
請求項2に記載の打込工具。
【請求項4】
前記付勢部材は、第1軸上を伸長するように構成され、
前記プランジャは、前記付勢部材が前記第1軸上を伸長することにより、第2軸上を移動するように構成され、
前記付勢部材の伸長方向に垂直な方向からみた側面視において、
前記第1軸と前記第2軸とは重複する、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項5】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、
前記離反側の端部側に係合する移動部材と、
前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい、
打込工具。
【請求項6】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、
前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい、
打込工具。
【請求項7】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、
前記付勢部材が伸長することにより前記ファスナを前記射出口から射出させるためのプランジャとを備え、
前記付勢部材が圧縮した第1状態から前記付勢部材が伸長した第2状態に移行するとき、
前記付勢部材の重心の移動方向と、前記プランジャの移動方向は、反対方向となる、
打込工具。
【請求項8】
前記プランジャの質量は、前記付勢部材の質量に0.3以上0.7以下の係数を乗じた値と前記移動部材の質量との和より大きい、
請求項3又は4に記載の打込工具。
【請求項9】
付勢部材と、
前記付勢部材が伸長することにより移動可能に構成されるプランジャと、
前記付勢部材及び前記プランジャを収容する本体部と、前記本体部に接続されるグリップ部とを備える本体と、
を備える打込工具であって、
前記付勢部材は、
前記付勢部材が伸長した第2状態から前記付勢部材が圧縮した第1状態に移行するときに、前記射出口から離反する離反方向における前記付勢部材の端部が、前記射出方向において前記グリップ部と前記本体部とを接続する接続部が設けられた位置を通過するように圧縮され、
前記第1状態から前記第2状態に移行するときに、前記付勢部材の端部が、前記射出方向において前記接続部が設けられた位置を通過するように、前記離反方向に伸長するように構成される、
打込工具。
【請求項10】
一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材と、
前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材に係合することにより、前記プランジャに作用する力の方向を変更するために前記本体に取り付けられる方向変換部材とを更に備える、
請求項9に記載の打込工具。
【請求項11】
前記付勢部材の前記離反側の端部側及び前記接続部材の前記一端側に係合する移動部材を更に備え、
前記接続部材は、前記移動部材によって前記離反側の端部側に取り付けられるように構成された、
請求項10に記載の打込工具。
【請求項12】
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側端部と前記プランジャとの距離より大きい、
請求項11に記載の打込工具。
【請求項13】
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側端部と前記プランジャとの距離より大きい、
請求項11に記載の打込工具。
【請求項14】
前記プランジャの質量は、前記付勢部材の質量に0.3以上0.7以下の係数を乗じた値と前記移動部材の質量との和より大きい、
請求項11乃至13の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項15】
前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成された、
請求項9乃至請求項14の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項16】
前記付勢部材の端部側に係合する移動部材とを備え、
前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長することにより、前記移動部材を前記離反方向に移動させると共に、前記プランジャを前記射出方向に移動させるように構成される、
請求項9に記載の打込工具。
【請求項17】
前記移動部材によって一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材と、
前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材に係合することにより、前記接続部材に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備える、
請求項16に記載の打込工具。
【請求項18】
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側における端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい、
請求項16に記載の打込工具。
【請求項19】
前記付勢部材が圧縮した第1状態において、
前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側における端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、
前記付勢部材が伸長した第2状態において、
前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、
前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい、
請求項17に記載の打込工具。
【請求項20】
前記プランジャの質量は、前記付勢部材の質量に0.3以上0.7以下の係数を乗じた値と前記移動部材の質量との和より大きい、
請求項16乃至19の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項21】
前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成された、
請求項16乃至請求項20の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項22】
前記付勢部材の質量は、前記プランジャの質量より大きく、
前記プランジャの質量は、前記移動部材の質量より大きい、
請求項3、4、5、8、11乃至14及び16乃至21の何れか一項に記載の打込工具。
【請求項23】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる付勢部材と、
前記本体に取り付けられるアクチュエータと、
前記アクチュエータにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、
前記プランジャが前記射出口に移動するとき、前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長するように構成される打込工具。
【請求項24】
ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、
前記本体に取り付けられる付勢部材と、
前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャと、
前記プランジャに前記付勢部材の付勢力を伝達するために設けられ、前記付勢部材とともに移動する移動部材と、を備え、
前記付勢部材及び前記移動部材の移動距離と質量の積が、前記プランジャの移動距離と質量の積よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする打込工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打込工具に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを用いてプランジャを駆動して、釘、鋲、ステープル、ピン等(以下、「ファスナ」という。)を打ち込むための打込工具が知られている。
【0003】
特許文献1には、強い駆動ばねを用いた場合でも反動が小さくなる打込工具が記載されている。具体的には、2つの同一の駆動素子を正反対に伸長させることにより反動を小さくした打込工具が記載されている。2つの駆動素子により発生した力は、動滑車とベルトを用いてプランジャに伝達される。
【0004】
特許文献2には、反動を小さくするための反動低減機構を搭載する打込工具が記載されている。具体的には、ラックアンドピニオン又は滑車によって、プランジャの移動方向と反対方向にバランサ(カウンターウェイトと呼ばれる場合もある。)を移動させることにより反動を小さくした打込工具が記載されている。
【0005】
特許文献3には、打込工具本体に生じる反動を低減した打込工具が記載されている。具体的には、プランジャ、弾性部材及びバランサをこの順番で直列に配置し弾性部材の一端がプランジャを付勢するとともに他端がバランサを付勢することにより反動を小さくした打込工具が記載されている。
【0006】
特許文献4には、反動を小さくするための反動低減機構を搭載する打込工具が記載されている。具体的には、ラックアンドピニオンによって、プランジャの移動方向と反対方向にバランサを移動させることにより反動を小さくした打込工具が記載されている。
【0007】
特許文献5には、打ち込み時の反動を吸収するための機構を搭載する打込工具が記載されている。具体的には、ドライバの駆動力とは独立して、バランサを射出口から離反する方向に付勢するバランサ付勢部材を設けた打込工具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008-260124号公報
【特許文献2】米国特許出願公開US2009/0078734号明細書
【特許文献3】国際特許出願公開WO2016/031716号明細書
【特許文献4】特開2017-87414号公報
【特許文献5】特許第5696671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の打込工具は、2つの同一の駆動素子を互いに正反対に伸長するように設けることが必要となってしまう。特許文献2乃至5に記載の打込工具は、重量のあるバランサを準備し、プランジャと反対方向に移動させる機構が必要となってしまう。
【0010】
そこで本発明は、上述した構成を必須とすることなく、小型又は軽量な構成で反動の低減が可能となる打込工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成されている。
【0012】
このような打込工具によれば、付勢部材の伸長により移動可能に構成されるプランジャを備える打込工具において、この付勢部材が伸長するとき、この付勢部材から本体に射出方向の付勢力が作用する。このためプランジャの移動及びプランジャによるファスナの打撃の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0013】
なお、この発明における「付勢部材」は、伸長することによりプランジャを前記射出口に向かう射出方向に移動させる部材である。従って、打込工具に搭載される他の付勢部材は、この発明における「付勢部材」に相当しない。例えば、トリガを付勢する付勢部材は、伸長することによりプランジャを前記射出口に向かう射出方向に移動させる部材ではないので、この発明における「付勢部材」に相当しない。
【0014】
このような打込工具の「付勢部材」は、単一の部材(例えば、単一のばね)から構成されてもよい。
【0015】
このような打込工具の「付勢部材」は、複数の部材(例えば、複数のばね)から構成されてもよい。このとき、打込工具は、伸長することによりプランジャを前記射出口に向かう射出方向に移動させる複数の部材を備える。
【0016】
打込工具が伸長することによりプランジャを前記射出口に向かう射出方向に移動させる複数の部材を備える場合であって、複数の部材が発生させる付勢力の方向が同一の場合、かかる複数の部材が本発明の「付勢部材」に相当する。例えば、単一のばねを設けることに代替して、複数のばねを並列に設ける場合、複数のばねが本発明の「付勢部材」に相当する。また、複数のばねにより発生する付勢力の合力が「付勢部材」から本体に作用する「付勢力」に相当する。
【0017】
打込工具が伸長することによりプランジャを前記射出口に向かう射出方向に移動させる複数の部材を備える場合であって、複数の部材が発生させる付勢力の方向が異なる場合、複数の部材により発生する付勢力の合力が「付勢部材」から本体に作用する「付勢力」に相当する。例えば、相対的に大きな付勢力を発生させるばねと共に、補助的に相対的に小さな付勢力を発生させるばねが打込工具に搭載される場合がある。そのような場合、大きな付勢力と小さな付勢力の合力が「付勢部材」から本体に作用する「付勢力」に相当する。
【0018】
ここで、前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長するように構成されてよい。
【0019】
このような打込工具によれば、付勢部材が前記射出口から離反する離反方向に伸長するので、前記付勢部材が伸長するとき、付勢部材の重心が本体を基準として離反方向に移動することになる。このためプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0020】
更に打込工具は、一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材と、前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材に係合することにより、前記接続部材に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備えてもよい。
【0021】
ここで「接続部材」は、紐状の部材(以下、「紐状部材」という。)であってよい。「紐状部材」は、ワイヤ、ベルト、ロープなど細長く線状に形成されている部材を含む。
【0022】
ここで「紐状部材」の「一端側が前記付勢部材」「に取り付けられ」とは、紐状部材の末端が必ずしも付勢部材に当接しないものの、紐状部材の一端側の領域が付勢部材に取り付けられる場合を含む。例えば、紐状部材は、付勢部材又は移動部材その他の部材に巻き付けることにより取り付けられる場合がある。このような場合、紐状部材の末端は必ずしも付勢部材に当接しないものの、紐状部材の一端側の領域が付勢部材に取り付けられることに相当する。
【0023】
また、「接続部材」又は「紐状部材」を「前記付勢部材」に「取り付け」る方法は、力を伝達することが可能な知られている様々な手段を取り得る。上述した紐状部材を付勢部材に巻き付ける方法の他、接着剤を用いる方法、他の部材を介して取り付ける方法、両者を一体化させる方法、などの様々な手段を取り得る。他の部材を介して取り付ける場合、紐状部材の一端側がその部材に取り付けられる(例えば、その部材に貫通孔を形成し、紐状部材をその貫通孔に通すことにより、紐状部材の一端側がその部材に取り付けられる。)とともに、付勢部材がその部材に取り付けられる(例えば、接着剤により、付勢部材がその部材に取り付けられる)。
【0024】
ここで、「紐状部材」が「前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ」とは、付勢部材の部分のうち、付勢部材の末端が必ずしも紐状部材に当接しないものの、伸長方向に移動する端部側の領域が直接的又は移動部材等の他の部品を介して間接的に付勢部材に取り付けられる場合を含む。
【0025】
また、「方向変換部材」は、プーリ、又は、ギア等による反転機構を含む。「方向変換部材」がプーリの場合、紐状部材をプーリに掛けることにより紐状部材の延在方向を変化することが可能となる。このため、紐状部材の一端側において取り付けられる部材から紐状部材に作用する力(又は、その反作用の力)と、紐状部材の他端側において取り付けられる部材に紐状部材が作用させる力(又は、その反作用の力)の方向を変換することが可能となる。
【0026】
知られたギア等の反転機構を「方向変換部材」として利用することにより同様の作用を生じさせてもよい。
【0027】
このような打込工具において、前記方向変換部材は、前記射出方向において、前記付勢部材と前記射出口との間に配置されてもよい。例えば、方向変換部材は、前記付勢部材よりも前記射出方向に進行した位置(前記方向変換部材が前記付勢部材に近接する場合及び前記方向変換部材が前記付勢部材に離間する場合の双方を含む)に設けられてよい。但し、前記射出方向に垂直な方向において、前記付勢部材と前記方向変換部材は異なる位置に設けられることを妨げるものではない。
【0028】
このような構成によれば、「紐状部材」及び「方向変換部材」を用いることにより、これらを利用しない場合と比較して、射出方向におけるプランジャと付勢部材の間隔を狭めること、又は、射出方向におけるプランジャの移動範囲と付勢部材の伸長範囲を少なくとも一部重複させるようにプランジャと付勢部材を配置することが可能となるから、打込工具の射出方向における全高を抑えることが可能となる。
【0029】
このような打込工具において、前記付勢部材は、第1軸上を伸長するように構成され、前記プランジャは、前記付勢部材が前記第1軸上を伸長することにより、第2軸上を移動するように構成され、前記付勢部材の伸長方向に垂直な方向からみた側面視において、前記第1軸と前記第2軸とは重複するように構成してもよい。
【0030】
ここで、「前記付勢部材の伸長方向に垂直な方向からみた側面視において、前記第1軸と前記第2軸とは重複する」とは、「前記付勢部材の伸長方向に垂直な」いずれか一つの方向から見た「側面視」において、「前記第1軸と前記第2軸とは重複する」ことをいう。
【0031】
従って、ある側面視(例えば正面視)において、前記第1軸と前記第2軸とは重複せず、異なる側面視(例えば右側面視)において、前記第1軸と前記第2軸とは重複する場合を含む。
【0032】
このような構成によれば、少なくとも前記第1軸と前記第2軸とが重複する側面視において、プランジャと付勢部材が離間した位置に配置されることによりファスナの打撃に起因して発生するモーメントを抑制することが可能になる。
【0033】
また、第1軸と第2軸とは、同一であってよい。このとき、「前記付勢部材の伸長方向に垂直な」どの方向から見た「側面視」においても、前記第1軸と前記第2軸とは重複する。
【0034】
更に、前記付勢部材の伸長方向に平行な方向からみた上面視において、前記付勢部材は、前記プランジャに囲まれる領域に設けられてもよい。このような構成によっても、プランジャと付勢部材が近接した位置に配置されることによりファスナの打撃に起因して発生するモーメントを抑制することが可能になる。この構成は、「前記付勢部材の伸長方向に垂直な方向からみた側面視において、前記第1軸と前記第2軸とは重複する」構成に替えて、又は、その構成と共に打込工具に適用することが可能である。
【0035】
また、第1軸と第2軸とが側面視において重複しない場合であっても、付勢部材とプランジャとを近接させることにより、モーメントを抑制することが可能になる。例えば、前記付勢部材の伸長方向に平行な方向からみた上面視において、前記付勢部材と前記プランジャとの最小距離(最小間隔)は、前記上面視における前記付勢部材の最大長(付勢部材がコイルばねの場合は、直径)より小さくなるように、好ましくは、前記上面視における前記付勢部材の最大長の半値より小さくなるように構成されてもよい。
【0036】
更にこのような打込工具において、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きいように構成してもよい。
【0037】
このような打込工具において、前記付勢部材が圧縮した第1状態から前記付勢部材が伸長した第2状態に移行するとき、前記付勢部材の重心の移動方向と、前記プランジャの移動方向は反対方向となるように構成してもよい。
【0038】
ここで、「付勢部材」が、複数の部材(例えば、複数のばね)から構成される場合、「付勢部材の重心」は、複数の部材を構成要素とする付勢部材全体の重心に相当する。
【0039】
更に本出願は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成され、かつ、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側の端部と前記付勢部材の伸長する側の端部との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャの前記射出口から離反する離反方向の端部との距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記付勢部材の伸長する側の端部との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャの前記射出口から離反する離反方向の端部との距離より大きいように構成される打込工具を開示する。
【0040】
また、本開示の一態様において、打込工具は、前記付勢部材の前記離反側の端部側及び前記接続部材(前記紐状部材を含む。)の前記一端側に係合する移動部材を更に備え、前記接続部材(前記紐状部材を含む。)は、前記移動部材によって前記離反側の端部側に取り付けられるように構成されてもよい。
【0041】
ここで「移動部材」は、付勢部材の前記離反側の端部側に配置されることによって、付勢部材の離反側の端部と共に移動する部材の総称である。従って付勢部材が圧縮するとき移動部材は共に圧縮方向に移動し、伸長するとき移動部材は共に伸長方向に移動する。移動部材は、共に移動する複数の部材から構成されていてもよい。
【0042】
打込工具は、代替的に、両端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側にそれぞれ取り付けられ、中間部が前記プランジャに係合する接続部材(紐状部材を含む。)を備えてもよい。
【0043】
このような構成によれば、接続部材(紐状部材を含む。)の両端側がそれぞれ付勢部材の離反側にそれぞれ取り付けられるため、接続部材(紐状部材を含む。)と付勢部材の離反する端部側との間に作用する力のバランスを向上させることが可能となる。
【0044】
このとき、打込工具は、接続部材(紐状部材を含む。)と付勢部材の離反する端部側を取り付ける手段として、前記付勢部材の離反する端部側に接着等により取り付けられる移動部材を備えてもよい。この移動部材に、更に前記接続部材(紐状部材)の両端側をそれぞれ取り付けることにより、接続部材(紐状部材)と付勢部材の離反する端部側を取り付けることが可能となる。
【0045】
加えて、本出願は、第2の打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、前記離反側の端部側に係合する移動部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい。
【0046】
このような打込工具によれば、付勢部材が伸長した領域と、プランジャの移動領域が少なくとも一部重複することになるから、打込工具の小型化を実現することが可能になる。
【0047】
ここで、「前記射出側の端部と前記プランジャとの距離」は、前記射出側の端部と前記プランジャのいずれかの部分との距離であってよく、例えば、前記射出側の端部と前記プランジャの前記射出口から離反する離反方向の端部との距離であってよい。
【0048】
この打込工具は、上述した構成と組み合わせてもよい。そのような打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、前記離反側の端部側に係合する移動部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きく、かつ、前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成される。
【0049】
更に、本出願は、第3の打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きい。
【0050】
このような打込工具によれば、付勢部材が伸長することにより重心が移動した領域と、プランジャの移動領域が少なくとも一部重複することになるから、打込工具の小型化を実現することが可能になる。加えて、付勢部材の重心が本体を基準として離反方向に移動することになるためプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0051】
ここで、「前記射出側の端部と前記プランジャとの距離」は、前記射出側の端部と前記プランジャのいずれかの部分との距離であってよく、例えば、前記射出側の端部とプランジャの重心との距離であってよい。
【0052】
ここで打込工具は、一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材(紐状部材を含む。)と、前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材(紐状部材)に係合することにより、前記接続部材(紐状部材)に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備えてもよい。
【0053】
本出願は、第4の打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記ファスナを前記射出口から射出させるためのプランジャとを備え、前記付勢部材が圧縮した第1状態から前記付勢部材が伸長した第2状態に移行するとき、前記付勢部材の重心の移動方向と、前記プランジャの移動方向は、反対方向となる。
【0054】
このような打込工具によれば、付勢部材の重心の移動方向と、プランジャの移動方向が反対方向となるので、プランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0055】
ここで、「プランジャの移動方向」は、プランジャのいずれかの部分の移動方向であってよく、例えば、プランジャの重心の移動方向であってよい。
【0056】
上述したとおり、「付勢部材」が、複数の部材(例えば、複数のばね)から構成される場合、「付勢部材の重心」は、複数の部材を構成要素とする付勢部材全体の重心に相当する。
【0057】
ここで打込工具は、一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材(紐状部材を含む。)と、前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材(紐状部材)に係合することにより、前記接続部材(紐状部材)に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備えてもよい。本出願は、第5の打込工具を開示する。この打込工具は、付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより移動可能に構成されるプランジャと、前記付勢部材及び前記プランジャを収容する本体部と前記本体部に接続されるグリップ部とを備える本体とを備える。前記付勢部材は、前記付勢部材が伸長した第2状態から前記付勢部材が圧縮した第1状態に移行するときに、前記射出口から離反する離反方向における前記付勢部材の端部が、前記射出方向において前記グリップ部と前記本体部とを接続する接続部が設けられた位置を通過するように圧縮され、前記第1状態から前記第2状態に移行するときに、前記付勢部材の端部が、前記射出方向において前記接続部が設けられた位置を通過するように、前記離反方向に伸長するように構成される。このような打込工具によれば、付勢部材の伸長に伴うグリップ部に作用するモーメントを低減することが可能となる。更に、付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長するので、付勢部材の重心の移動方向と、プランジャの移動方向が反対方向となる。このため、プランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0058】
ここで、「前記射出方向において前記グリップ部と前記本体部とを接続する接続部が設けられた位置」とは、前記接続部が前記射出方向に延在する場合、前記射出方向における延在する領域の中心位置に相当する。
【0059】
上述した打込工具において、前記プランジャは、前記第1状態から前記2状態に移行するときに、又は、前記第2状態から前記第1状態に移行するときに、前記離反方向における前記プランジャの端部が、前記射出方向において前記接続部が設けられた位置を通過するように構成されてもよい。
【0060】
本出願は、第7の打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる付勢部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャと、前記プランジャに前記付勢部材の付勢力を伝達するために設けられ、前記付勢部材とともに移動する移動部材と、を備え、前記付勢部材及び前記移動部材の移動距離と質量の積が、前記プランジャの移動距離と質量の積よりも大きくなるように構成されたことを特徴とする。
【0061】
このような構成によれば、プランジャ、付勢部材及び移動部材に起因して、打込時に本体に対して射出方向に作用する力積が、これと反対の離反方向に作用する力積より大きくなるため、打込時の反動を低減することが可能となる。
【0062】
なお、「前記付勢部材及び前記移動部材の移動距離」とは、前記付勢部材及び前記移動部材から構成される部材の移動距離の意義を有し、このような部材の重心の移動距離に相当する。付勢部材及び移動部材が一体的に移動する場合、付勢部材と移動部材の移動距離は略同一であるから、「前記付勢部材及び前記移動部材の移動距離」は、付勢部材又は移動部材の移動距離に等しい。
【0063】
上述した第1乃至第7の各打込工具において、前記付勢部材の前記離反側端部及び前記接続部材(紐状部材を含む。)の前記一端に係合する移動部材を更に備え、前記接続部材(紐状部材)は、前記移動部材によって前記離反側端部に取り付けられるように構成されてもよい。
【0064】
上述した各打込工具において、前記付勢部材の端部側に係合する移動部材とを備え、前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長することにより、前記移動部材を前記離反方向に移動させると共に、前記プランジャを前記射出方向に移動させるように構成されてもよい。
【0065】
上述した各打込工具において、前記プランジャの質量は、前記付勢部材の質量に0.3以上0.7以下の係数を乗じた値と前記移動部材の質量との和より大きくてもよい。
【0066】
また、一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材と、前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材に係合することにより、前記プランジャに作用する力の方向を変更するために前記本体に取り付けられる方向変換部材とを更に備えてもよい。
【0067】
ここで「接続部材」は、プランジャと付勢部材を接続する部材である。「接続部材」は、紐状部材を含むが、これに限られるものではない。
【0068】
「方向変換部材」は、付勢部材が前記射出口から離反する離反方向に伸長することによって生じる力の方向を変換してプランジャに作用させる部材である。「方向変換部材」は、プーリ、ギアを含むが、これに限られるものではない。
【0069】
上述した各打込工具において、前記付勢部材の質量は、前記プランジャの質量より大きく、前記プランジャの質量は、前記移動部材の質量より大きくてもよい。
【0070】
上述した各打込工具において、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側における端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記移動部材との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きくてもよい。
【0071】
上述した各打込工具において、前記付勢部材が圧縮した第1状態において、前記付勢部材の前記本体に取り付けられる射出側における端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より小さく、前記付勢部材が伸長した第2状態において、前記射出側の端部と前記付勢部材の重心との距離は、前記射出側の端部と前記プランジャとの距離より大きくてもよい。
【0072】
上述した各打込工具において、前記移動部材によって一端側が前記付勢部材の前記伸長方向に移動する離反側における端部側に取り付けられ、他端側が前記プランジャに取り付けられる接続部材(紐状部材を含む。)と、前記一端側と前記他端側の間において前記接続部材(紐状部材)に係合することにより、前記接続部材(紐状部材)に作用する力の方向を変更するための方向変換部材とを更に備えてもよい。
【0073】
上述した各打込工具において、前記付勢部材が伸長するとき、前記付勢部材から前記本体に前記射出方向の付勢力が作用するように構成されてもよい。
【0074】
本出願は、第6の打込工具を開示する。この打込工具は、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる付勢部材と、前記本体に取り付けられるアクチュエータと、前記アクチュエータにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備え、前記プランジャが前記射出口に移動するとき、前記付勢部材は、前記射出口から離反する離反方向に伸長するように構成される。
このような打込工具は、プランジャを移動させるためのアクチュエータと、付勢部材とを備える。アクチュエータは、プランジャを移動可能なものであればよく、例えばソレノイド等電磁力によってプランジャを駆動するものであってもよい。このような打込工具によれば、付勢部材は、射出口から離反する離反方向に伸長するので、付勢部材の重心の移動方向と、プランジャの移動方向が反対方向となる。このため、アクチュエータによるプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1図1は、一実施形態に係る打込工具の正面図である。
図2図2は、一実施形態に係る打込工具の断面図である。
図3図3は、一実施形態に係るプランジャアセンブリの斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係るプランジャアセンブリの断面図(正面視)である。
図5図5は、一実施形態に係るプランジャアセンブリの断面図(側面視)である。
図6図6は、一実施形態に係るプランジャアセンブリの断面図(平面視)である。
図7図7は、一実施形態に係るプランジャ及びワイヤを含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施形態のみに限定する趣旨ではない。
【0077】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電動式の打込工具10の正面図(但しマガジン14については一部断面図を示している。)を示し、図2は、同じ方向から見た打込工具10の断面図を示している(但しマガジン14内の全てのファスナFを打ち出した後の状態を示している)。この打込工具10は、モータ20(図2)を用いてプランジャ32(図2)を駆動することにより、釘(「ファスナF」の一例)を打込可能に構成される電動釘打機である。なお、便宜的に図1における紙面上方向を単に上方向又は方向X1といい、紙面下方向を単に下方向又は方向X2といい、紙面右方向を単に右方向又は方向Zといい、紙面左方向を単に左方向又は方向Zという場合がある。図1における紙面左方向は、ファスナFが打ち出される方向に相当するため、打ち出し方向DR1又は射出方向DR1等と呼ばれる場合があり、反対の右方向は、ファスナFが打ち出される射出口12Aから離れる方向であるため、離反方向DR2と呼ばれる場合がある。
【0078】
この打込工具10は、ハウジング12と、打込工具10によって打ち出されるファスナFを収容するマガジン14と、ファスナFを打ち出すためのドライバ34と、ドライバ34が取り付けられるプランジャ32と、プランジャ32を下死点から上死点に移動させるためのモータ20及びギア22と、プランジャ32を上死点から下死点に移動させるための駆動力を付与するコイルばね36(「付勢部材」乃至「駆動手段」の一例)と、コイルばね36の伸長する端部に配置される移動部材38と、プランジャ32及び移動部材38に係合し両者を連動させるワイヤ40(「紐状部材」又は「接続部材」の一例)と、ワイヤ40が掛けられるプーリ42(「方向変換部材」の一例)とを備える。更に打込工具10には、バッテリBが着脱自在に設けられる。
【0079】
打込工具10は、プランジャ32を含む打込工具10の主要部品を収納するハウジング12(以下、ハウジング12及びハウジング12に固定される部分を「工具本体」又は単に「本体」という場合がある。)を備える。ハウジング12には、操作者が把持するためのグリップ部12B及びバッテリBが取り付けられたバッテリ取付部とモータ20とを繋ぐ架橋部12Cと、ファスナFを打ち出すためのノーズ部12Dと、プランジャ32及びコイルばね36を含むプランジャアセンブリ30を収容する本体部12Gが設けられる。グリップ部12B及び架橋部12Cは、操作者が把持しやすいように、例えば、上下方向に延在する柱状にそれぞれ形成される。また、グリップ部12Bは、本体部12G(図1)と接続部12H(同図)において接続する。ハウジング12の前端(及び打込工具10の前端)には、ファスナFを紙面左方向に打ち出すための射出口12Aが形成されたノーズ部12Dが設けられる。ノーズ部12Dの先端には、コンタクトアーム12D1が取り付けられてもよい。コンタクトアーム12D1は、射出口12Aの周囲に射出口12Aから出没可能に設けられており、コンタクトアーム12D1が打込対象物に押しつけられており、かつ、トリガ12Eが押下されている状態にのみ、ファスナFの打ち出しを許可する安全装置として機能する。
【0080】
ハウジング12には、トリガ12Eが設けられる。トリガ12Eは、使用者が押下することによりバッテリBとモータ20とを導通させる。トリガ12Eは、グリップ部12Bの前方(ファスナFの打ち出し方向DR1)を向いた表面に露出して設けられ、例えば、ばね等のトリガ付勢部材12Fによって前方に付勢されている。
【0081】
バッテリBは、グリップ部12B及び架橋部12Cの下端部に着脱自在に取り付け可能に構成されている。バッテリBは、モータ等を駆動するための電力を供給する直流電源として機能し、所定(例えば、14V~20V)の直流電圧を出力可能な、例えば、リチウムイオン電池から構成される。打込工具10は、バッテリBを取り付けることにより携帯して使用することが可能となる。ただし、バッテリBをハウジング12内に収納するように構成してもよいし、バッテリ以外の手段により電力を供給するように構成してもよい。
【0082】
打込工具10は、ノーズ部12Dの下方に取り付けられるマガジン14を備える。マガジン14は、連結された複数のファスナF(図1)が装填可能に構成される。マガジン14は、ファスナFをノーズ部12Dに向かって付勢するプッシャ14Aを備える。プッシャ14Aは、先頭のファスナFがドライバ34によって打ち出されると隣接するファスナFがノーズ部12Dの射出路に供給されるように不図示の付勢部材により付勢されている。
【0083】
打込工具10は更に、プランジャアセンブリ30を備える。図3は、プランジャアセンブリ30の斜視図であり、図4及び図5はそれぞれコイルばね36が最も圧縮した状態(「第1状態」の一例)及び最も伸長した状態(「第2状態」の一例)におけるプランジャアセンブリ30の断面図である(但し図4が正面図における断面図とすると図5は左側面図における断面図に相当する)。図4及び図5は、コイルばね36の伸長方向に垂直な方向から見た図面に相当する。図6は平面視(上面視)におけるプランジャアセンブリ30の断面図を示している。図6は、コイルばね36の伸長方向に平行な方向から見た図面に相当する。図7はプランジャ32と、移動部材38の一部であるピン38Aと、これらプランジャ32及び移動部材38に係合するワイヤ40を示す斜視図である。プランジャアセンブリ30は、ドライバ34、プランジャ32、コイルばね36、移動部材38、ワイヤ40及びプーリ42と共に、更に、コイルばね36を収容するシリンダ44と、プランジャ32の移動方向を規制する一対のガイドレール46とを備える。
【0084】
ドライバ34は、ファスナFに接触してこれを打撃することによりファスナFを打ち出す部材である。これら図面に示されるように、本実施形態に係るドライバ34は、ファスナFの打ち出し方向DR1に延在する細長い棒状に形成された金属製の剛体から構成されている。ドライバ34の延長線上には、ファスナFが配置されているため、ドライバ34が打ち出し方向DR1に移動すると、ドライバ34の前端がファスナFを打撃する。ドライバ34の後端はプランジャ32に連結され、プランジャ32と一体的に移動するように構成されている。
【0085】
プランジャ32は、中心軸AX1(「第2軸」の一例)に沿って、上死点から下死点に移動することによりドライバ34と一体的に移動してファスナFを打ち出すための部材である。図7に示されるようにプランジャ32は、4つの側壁部を備えており、ワイヤ40が係合する第1側壁部32Aと、第1側壁部32Aに略直角に接続し、ガイドレール46に係合する第2側壁部32Bと、第2側壁部32Bに略直角に接続し第1側壁部32Aと略平行に設けられ、ドライバ34が係合する第3側壁部32Cと、第3側壁部32C及び第1側壁部32Aにそれぞれ略直角に接続し第2側壁部32Bと略平行に設けられ、ガイドレール46に係合する第4側壁部32Dとを備える。4つの側壁部で囲まれた中空の領域には、後述するシリンダ44が配置される。第1側壁部32Aの外壁面には、異なる高さに設けられた2つの凸部であるギア係合部32A1が設けられており、このギア係合部32A1と後述するギア22とが係合することにより、プランジャ32は、コイルばね36の弾性力(付勢力)に抗して下死点から上死点に向かって移動するように構成されている。ここでプランジャ32の上死点は工具本体の後端側の領域に設定され、下死点は上死点とノーズ部12Dとの間の領域に設定される。このため、プランジャ32が上死点から下死点に移動するとき、プランジャ32は、射出口12Aに接近する打ち出し方向DR1に移動し、プランジャ32が下死点から上死点に移動するとき、プランジャ32は、射出から離反する離反方向DR2に移動する。
【0086】
プランジャ32の第1側壁部32Aには更にワイヤ係合部32A2が設けられる。ワイヤ係合部32A2は、第1側壁部32Aの内壁面から内側に向かう方向(即ち、第3側壁部32Cに接近する方向)に突出して形成される第1部分32A21と第1部分32A21の端部から上死点に接近する方向に延在する第2部分32A22を備える。第1部分32A21の上死点を向いた面は、ワイヤ40からプランジャ32に打ち出し方向DR1の力を作用させるための受圧面となる。また、第2部分32A22は、ワイヤ40が第3壁部に接近する方向にずれることを規制する。更に、第1部分32A21を第3側壁部32Cに接近する方向に突出して形成したことにより、第1部分32A21の受圧面に係合するワイヤ40を第1側壁部32Aの内壁面に沿って延在させることが可能となる。このため、ワイヤ40が第3側壁部32Cから離間する方向にずれることを抑制することも可能となる。加えてワイヤ係合部32A2は、第2側壁部32B及び第4側壁部32Dを近似する平面に平行で、両平面との距離が等しい仮想平面IP1(図6)に対して対称的に形成されている。このような構成により、ワイヤ40からプランジャ32に作用する力のバランスが崩れてプランジャ32が傾くことを抑制することが可能になる。
【0087】
第2側壁部32Bと第4側壁部32Dとは、仮想平面IP1に対して対称的に形成されている。第2側壁部32B及び第4側壁部32Dには、それぞれ、ガイドレール46に係合するためのガイドローラ32B1、32D1が設けられている。ガイドローラ32B1、32D1は上死点側及び下死点側にそれぞれ2個設けられるため、各2個のガイドローラ32B1、32D1をそれぞれガイドレール46に係合させることにより、移動時にプランジャ32が傾くことを抑制することが可能になる。
【0088】
第3側壁部32Cには、仮想平面IP1に対して対称的に形成され、ドライバ34の後端が連結されるドライバ係合部32C1が設けられている。このため、ドライバ34がファスナFを打撃したときにプランジャ32が受ける反力によりプランジャ32が傾くことを抑制することが可能になる。
【0089】
なお、これら図面に示されるように、プランジャ32の移動方向(上死点と下死点を結ぶ方向)を基準としたときに、ドライバ係合部32C1と射出口12Aとの距離は、ワイヤ係合部32A2と射出口12Aとの距離よりも小さくなるようにプランジャ32は構成されている。
【0090】
シリンダ44は、コイルばね36を収容し、移動部材38の一部をなすピン38Aの移動方向をガイドする部材である。本実施形態に係るシリンダ44は、円筒状に形成される円筒部44Aと円筒部44Aの蓋に相当するキャップ部44Cとを備えている。シリンダ44は、プランジャ32の4つの側壁部で囲まれた中空の領域を貫通し、プランジャ32の移動方向とシリンダ44の中心軸とが略平行となるようにハウジング12に固定され、キャップ部44Cはガイドレール46を固定する。
【0091】
シリンダ44の内部には、シリンダ44の中心軸方向、即ち、プランジャ32の移動方向に伸縮可能な圧縮ばねからなるコイルばね36が収容される。
【0092】
コイルばね36は、移動部材38とシリンダ44の底面との間に挿入される。コイルばね36と移動部材38との間にはゴム等の緩衝部材が挿入される。コイルばね36とシリンダ44との間にもゴム等の緩衝部材が挿入される。コイルバネ36の付勢力によりコイルばね36の一端36Aは、緩衝部材を介して射出口側(プランジャ32の下死点側)のシリンダ底面に押し付けられる。シリンダ44は、ハウジング12に固定されるので、コイルばね36の一端36Aは、射出方向DR1において、ハウジング12に対して動かない。なお、接着剤等を用いてコイルばね36の一端36Aをハウジング12に対して固定するように構成してもよい。コイルばね36の他端36Bには、緩衝部材を介して移動部材38が配置され、移動部材38には、ワイヤ40によりコイルばね36の一端36A側に張力がかけられている。このためコイルばねの他端36B及び移動部材38は共に移動可能に構成され、コイルばね36が伸長状態から圧縮するときコイルばねの他端36B及び移動部材38は、中心軸AX1(「第1軸」の一例)に沿って打ち出し方向DR1に移動し、コイルばね36が圧縮状態から伸長して復元するときコイルばねの他端36B及び移動部材38は、中心軸AX1(「第1軸」の一例)に沿って射出口12Aから離反する離反方向DR2に移動する。シリンダ44の壁部には、中心軸に平行に、即ち、コイルばね36の伸長方向に平行に延在する一対の孔44Bが形成される。
【0093】
移動部材38は、ワイヤ40の一部分と直接的又は間接的に係合することにより、コイルばねの他端36Bの伸長と共にワイヤ40を移動させる。本実施形態に係る移動部材38は、共に移動する複数の部材から構成され、コイルばねの他端36Bに配置される円環部38Bと、円環部38Bに固定され、ワイヤ40の両端部が係合されるピン38Aとを備える。本実施形態において、シリンダ44の壁部に形成される一対の孔44Bは、プランジャ32の第1側壁部32A及び第3側壁部32Cを近似する2つの平面に平行で、シリンダ44やコイルばね36の中心軸を通る仮想平面IP2(図6)と交わるように形成されている。また、ピン38Aは、その延在方向がこの仮想平面と略平行となるように、ピン38Aの両端部が一対の孔44Bに係合する。このため、ピン38Aを含む移動部材38がコイルばね36の伸長又は圧縮に伴ってシリンダ44の中心軸方向に移動しても、ピン38Aがシリンダ44の円周方向に捩れることを抑制することが可能になる。
【0094】
ワイヤ40は、移動部材38及びプランジャ32に取り付けられることにより移動部材38とプランジャ32を連動させる部材である。ワイヤ40は、移動部材38及びプランジャ32を接続する部材であることから、接続部材と呼ばれる場合もある。
【0095】
本実施形態においてワイヤ40は、一端において、ワイヤ40の一方の端部と、ワイヤ40の端部から離間した部分とを接続することにより輪状に形成され、この輪状に形成された部分を貫通させることによりピン38Aがワイヤ40に係合する。ピン38Aに係合するワイヤ40は、移動部材38の円環部38Bの孔を通過してコイルばね36の中心軸に沿って打ち出し方向DR1に延在し、シリンダ44の底面に形成された孔を通過した後プーリ42に掛け回されることによって方向転換し、離反方向DR2に延在し、プランジャ32のワイヤ係合部32A2の受圧面に係合する。プーリ42の軸部には、緩衝部材が設けられてもよい。ここでプーリ42は、シリンダ44に固定され、シリンダ44は、ハウジング12に固定されるので、プーリ42は、ハウジング12(工具本体)に固定されている。但し、方向変換部材であるプーリ42は、射出方向DR1において、コイルばね36のと射出口12Aとの間に配置されてよい。例えば、プーリ42は、コイルばね36よりも射出方向DR1に進行した位置(シリンダ44の下方付近、又は、コイルばね36の固定端である一端36A付近を含む)に設けられてよい。但し、前記射出方向に垂直な方向において、前記付勢部材と前記方向変換部材は異なる位置に設けられることを妨げるものではない。
【0096】
続いてワイヤ40は、打ち出し方向DR1に延在し、プーリ42に掛け回されることによって方向転換し、コイルばね36の中心軸に沿って離反方向DR2に延在する。ワイヤ40は、他端において、ワイヤ40の他方の端部と、ワイヤ40の端部から離間した部分とを接続することにより輪状に形成され、この輪状に形成された部分を貫通させることによりピン38Aがワイヤ40に係合する。従って、ワイヤ40の両端は共にピン38Aに係合し、ワイヤ40の中間部分はプランジャ32に係合する。換言すると、ワイヤ40の両端側の部分は、それぞれ移動部材38を介してコイルばね36の他端36Bに取り付けられている。また、ワイヤ40の両端側の部分及び移動部材38は、コイルばね36の他端36Bと共に移動可能に構成されている。そして、ワイヤ40の中間部がプランジャ32に係合している。
【0097】
即ちワイヤ40は、移動部材38に係合する一端部を含む第1部分40A(ワイヤ40の一端側)と、第1部分40Aに接続し打ち出し方向DR1に延在する部分を含む第2部分40Bと、第2部分40Bに接続し略離反方向に延在する部分を含む第3部分40Cと、第3部分40Cに接続しプランジャ32に係合する第4部分40D(ワイヤ40の中間部)と、第4部分40Dに接続し略打ち出し方向DR1に延在する部分を含む第5部分40Eと、第5部分40Eに接続し離反方向DR2に延在する部分を含む第6部分40Fと、第6部分40Fに接続し移動部材38に係合する他端部を含む第7部分40G(ワイヤ40の他端側)とを備える。
【0098】
このような構成によれば、移動部材38からワイヤ40に作用する力及びワイヤ40からプランジャ32に作用する力のバランスを向上させることが可能となる。但し、ワイヤ40に替えて、一端側がコイルばね36の他端36Bに取り付けられ、他端側がプランジャ32に取り付けられる紐状部材その他の接続手段を利用してもよい。
【0099】
プランジャ32を下死点から上死点に移動させるための駆動機構は、モータ20及びギア22から構成される。図2に示される本実施形態に係るモータ20は、三相DCブラシレスモータから構成されており、例えば、架橋部12C内に、モータ20の出力軸が打ち出し方向DR1及び離反方向DR2と略垂直となるように配置されている。モータ20の出力軸を回転軸とするギアとギア22を構成する第1ギア22Aは噛合し、第1ギア22Aはギア22を構成する第2ギア22Bと噛合する。モータ20の出力軸のギアに対して第1ギア22Aは離反方向DR2に配置され、第1ギア22Aに対して第2ギア22Bは離反方向DR2に配置される。第1ギア22A及び第2ギア22Bには、それぞれ、回転軸に平行で、プランジャ32の第1側壁部32Aの外壁面に接近する方向に突出するトルクローラ(不図示)が設けられる。トルクローラは第1ギア22A(第2ギア22B)の回転に伴って第1ギア22A(第2ギア22B)の中心軸を中心に回転する。第1ギア22A(第2ギア22B)の中心軸は、モータ20の出力軸と平行であるから、第1ギア22A(第2ギア22B)の回転に伴ってトルクローラは、打ち出し方向DR1及び離反方向DR2に往復運動する。プランジャ32が下死点付近に存在するとき、ギア係合部32A1として下死点側に設けられた一方の凸部には、第1ギア22Aのトルクローラが係合する。そして第1ギア22Aの回転に伴いトルクローラは離反方向DR2に移動するため、プランジャ32のギア係合部32A1を離反方向DR2に押し上げるから、プランジャ32を離反方向DR2に移動させることが可能となる。第1ギア22Aのトルクローラが最も離反方向DR2に移動するとき、ギア係合部32A1として上死点側に設けられた他方の凸部には、第2ギア22Bのトルクローラが係合する。そして第2ギア22Bの回転に伴いトルクローラは離反方向DR2に移動するため、プランジャ32のギア係合部32A1を更に離反方向DR2に押し上げるから、プランジャ32を更に離反方向DR2に移動させることが可能となる。第2ギア22Bのトルクローラが最も離反方向DR2に移動するとき、プランジャ32は上死点に到達し、ギア係合部32A1と第2ギア22Bとの係合が解除されるように構成される。
【0100】
打込工具10は更にモータ20を駆動するための制御部を備える。制御部は、架橋部12C内のモータ20とバッテリBとの間隙に配置されるPCB基板24(図2)に搭載されている。制御部は、コンピュータプログラムを格納する半導体記憶素子(例えば、NORフラッシュメモリ)と、このコンピュータプログラムを実行することにより、モータ20を制御するための信号(例えば、PWM信号)を生成するためのプロセッサ(例えば、CPU)とを備える。
以下、本実施形態に係る打込工具10を用いた打ち込み方法について説明する。まず、コンタクトアーム12D1がファスナFを打ち込む打込対象物に接触しているか否かを示すコンタクト信号を示している。コンタクトアーム12D1が打込対象物に接触して押し込まれると、コンタクト信号がONとなる。CPUは、コンタクト信号を受け取り、コンタクトアーム12D1が対象物に接触していることを検出する。操作者がトリガ12Eを押下すると、トリガ信号がONとなる。CPUは、トリガ信号を受け取り、トリガ12Eが押下されていることを検出する。トリガSW信号及びコンタクトSW信号の双方がONの状態になると、CPUは、モータ20を駆動するためのPWM信号をインバータ回路に供給する。インバータ回路の各スイッチング素子は、CPUからのPWM信号に基づいてスイッチング動作する。スイッチング素子がオンになると、バッテリBの出力電圧がモータ20のステータを構成する三相巻線に印加されるため、各相の巻線に巻線電流が流れる。モータ20のロータは、三相巻線によって発生する回転磁界に従って回転を開始する。
【0101】
プランジャ32は、上死点及び下死点の中間の待機位置に静止している。モータ20が駆動を開始すると、第2ギア22Bに設けられるトルクローラは、プランジャ32のギア係合部32A1に接触してプランジャ32を離反方向DR2に押し上げる。プランジャ32はワイヤ40によって移動部材38に接続されているため、プランジャ32が離反方向DR2に移動することに連動して移動部材38はコイルばね36を圧縮させながら打ち出し方向DR1に移動する。この結果、コイルばね36が伸長した第2状態からコイルばね36が圧縮した第1状態に移行するときに、プランジャ32は離反方向DR2に移動しながら、打ち出し方向DR1において接続部12Hが設けられた位置を通過し、工具本体の後端側の領域まで移動する。一方でコイルばね36の他端36Bは、射出方向DR1に移動しながら、打ち出し方向DR1において接続部12Hが設けられた位置を通過する。
【0102】
その後、プランジャ32が上死点に到達する。この時、プランジャ32とギア22の係合は解除される。このため圧縮状態にあったコイルばね36は、一気に伸長する。ここでコイルばね36の一端36Aはシリンダ底面に位置し、シリンダ底面はハウジング12に固定されるので、コイルばね36の一端36Aは、工具本体に対して、少なくとも射出方向DR2に動かない。このため、一端36Aを固定端と呼んでもよい。他方、コイルばね36の他端36Bは、工具本体に固定されないので、工具本体に対して移動可能に設けられる。このため、他端36Bを移動端と呼んでもよい。また、コイルばね36の一端36Aから他端36Bに向かう方向は、離反方向DR2に一致する。
【0103】
従って、コイルばね36は離反方向DR2に伸長する。コイルばね36の他端36Bは、圧縮状態から伸長して復元するまで、離反方向DR2に移動する。移動部材38も、コイルばね36の他端と共に、コイルばね36の伸長方向に相当する離反方向DR2に移動する。
【0104】
コイルばね36の他端36Bが離反方向DR2に移動している間、工具本体に固定されるコイルばね36の一端36Aは、工具本体を打ち出し方向DR1に押圧する。従って、コイルばね36が伸長するとき、コイルばね36から工具本体に打ち出し方向DR1の付勢力が作用する。このためプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0105】
移動部材38はワイヤ40によってプランジャ32に接続されているため、移動部材38が離反方向DR2に移動することに連動してプランジャ32及びドライバ34は打ち出し方向DR1に移動する。
【0106】
プランジャ32が上死点から下死点に移動している間、モータ20のロータは回転を継続する。モータ20の回転を妨げる力が解放されるため、モータ20のロータの回転速度は増加する場合がある。プランジャ32が下死点付近に到達するときに、プランジャ32と共に打ち出し方向DR1に移動するドライバ34は、ノーズ部12Dに供給されるファスナFを打ち出し方向DR1に打ち出す。ファスナFは、射出口12Aから打ち出される。
【0107】
コイルばね36が圧縮した第1状態からコイルばね36が伸長した第2状態に移行するときに、プランジャ32は射出方向DR1に移動しながら打ち出し方向DR1において接続部12Hが設けられた位置を通過し、工具本体の前端側の領域まで移動する。一方で、コイルばね36の他端36Bは離反方向DR2に移動しながら打ち出し方向DR1において接続部12Hが設けられた位置を通過し、工具本体の後端側の領域まで移動する。
【0108】
プランジャ32が下死点に到達すると、モータ20のロータと同期して回転する第1ギア22Aは、プランジャ32のギア係合部32A1と係合するように構成されている。このため、プランジャ32は、下死点から上死点に向かって移動を開始する。プランジャ32の上死点方向への移動に伴って、コイルばね36は、圧縮される。
【0109】
所定条件が満足されると、CPUは、モータ20の回転を減速させるための減速制御、例えば、減速制御の一例として、ブレーキ制御を開始する。具体的には、CPUは、通常回転時よりもデューティ比が小さいPWM信号を生成し、インバータ回路の各スイッチング素子に出力する。CPUによる減速制御によりモータ20のロータの回転速度は大きく減少する。プランジャ32は、緩やかに上死点に向かって移動を継続する。
その後、モータ20のロータは、回転を停止する。モータ20の回転を停止させるタイミングは、適宜設定可能である。例えば、CPUが所定のパターンに従った制御信号をインバータ回路に出力すれば、モータ20が停止するようなブレーキ制御用の制御信号パターンを準備してもよい。モータ20の停止に伴いプランジャ32は、上死点及び下死点の中間の待機位置で停止する。
【0110】
以上のような打込工具10によれば、コイルばね36等の付勢部材が伸長するとき、コイルばね36の一端36Aから工具本体に射出方向DR2の付勢力が作用するように構成されている(「構成1」という。)
【0111】
従って、コイルばね36が伸長するとき、このコイルばね36の一端36Aから工具本体に射出方向DR1の付勢力が作用する。このためプランジャ32が上死点から下死点に移動してファスナFを打撃することに伴う反作用としてプランジャ32の移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0112】
構成1は、打込工具10の他、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、本体に取り付けられる付勢部材と、付勢部材が伸長することにより射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備える打込工具に適用可能である。
【0113】
更に打込工具10は、下記に示される各構成を備えるので、下記に説明する作用効果を発揮する。なお、これら各構成は全ての構成を同一の打込工具に搭載する必要はなく、各構成を異なる打込工具にそれぞれ搭載してもよいし、複数の構成を同一の打込工具に搭載してもよい。
[構成2]
構成2は、打込工具10においてコイルばね36等の付勢部材が圧縮した第1状態(図4)において、コイルばね36の一端36A(「射出側の端部」の一例)と移動部材38との距離(D21)は、コイルばね36等の一端36Aとプランジャ32との距離(D31)より小さく、コイルばね36等の付勢部材が伸長した第2状態(図5)において、コイルばね36等の一端36Aと移動部材38との距離(D22)は、コイルばね36等の一端36Aとプランジャ32との距離(D32)より大きいという構成である。なお、ここでいう距離は、コイルばね36等の圧縮及び伸長方向を基準とする。
【0114】
このような打込工具によれば、付勢部材が伸長した領域と、付勢部材の伸長に伴うプランジャの移動領域が少なくとも一部重複することになるから、打込工具の小型化を実現することが可能になる。
【0115】
なお、本実施形態に係る打込工具10においては、コイルばね36等の圧縮及び伸長方向又は射出方向を基準としたときに、プーリ42を射出口12Aとコイルばね36の一端36A(「射出側の端部」の一例)との間隙に配置した。このため、第2状態において、プランジャ32の射出方向DR1における前端が射出口12Aとコイルばね36の一端36A(「射出側の端部」の一例)との間隙に位置するまで射出口12Aに接近させることが可能となる。
【0116】
加えて、打込工具10においては、コイルばね36等の圧縮及び伸長方向から見た平面視(図6)において、コイルばね36等の付勢部材は、プランジャ32に囲まれた領域に配置されるから、打込工具の一層の小型化を実現することが可能になる。更に、コイルばね36及びプランジャ32が近接した位置に配置されることによりファスナの打撃に起因して発生するモーメントを抑制することが可能になる。
【0117】
更に打込工具10においては、コイルばね36が第1軸に沿って伸長し、プランジャ32が第2軸に沿って移動する場合において、第1軸と第2軸とが同軸となるように、即ち、中心軸AX1と一致するように構成した。このような構成もファスナの打撃に起因して発生するモーメントの抑制に寄与する。但し必ずしも同軸と構成しなくてもよく、例えば、付勢部材であるコイルばね36の伸長方向に垂直な方向からみた側面視において、第1軸と第2軸とが重複するように構成してもよい。
このような構成によっても、少なくとも第1軸と第2軸とが重複する側面視において、プランジャと付勢部材が離間した位置に配置されることによりファスナの打撃に起因して発生するモーメントを抑制することが可能になる。また、第1軸と第2軸とが側面視において重複しない場合であっても、付勢部材であるコイルばね36とプランジャとを近接させることにより、モーメントを抑制することが可能になる。
例えば、図6の上面視において、付勢部材とプランジャとの最小距離(最小間隔)は、上面視における付勢部材の最大長(付勢部材がコイルばね36の場合は、コイルばね36の直径)より小さくなるように、好ましくは、上面視における付勢部材の最大長の半値(付勢部材がコイルばね36の場合は、コイルばね36の半径)より小さくなるように構成してもよい。なお構成2は、本実施形態に係る打込工具10の他、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、前記本体に取り付けられる射出側における端部と、前記本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、前記離反側の端部側に係合する移動部材と、前記付勢部材が伸長することにより前記射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備える打込工具に適用可能である。
【0118】
[構成3]
構成3は、打込工具10のうち、コイルばね36等の付勢部材が圧縮した第1状態(図4)において、コイルばね36の一端36A(「射出側の端部」の一例)とコイルばね36等の付勢部材の重心G1との距離(D11)は、コイルばね36等の一端36Aとプランジャ32との距離(D31)より小さく、コイルばね36等の付勢部材が伸長した第2状態(図5)において、コイルばね36等の一端36Aとコイルばね36等の付勢部材の重心G2との距離(D12)は、コイルばね36等の一端36Aとプランジャ32との距離(D32)より大きいという構成である。なお、ここでいう距離は、コイルばね36等の圧縮及び伸長方向を基準とする。また、コイルばね36の重心は、中心軸上の一端36Aと他端36Bとの中心位置に相当する。
【0119】
このような打込工具によれば、付勢部材が伸長することにより重心が移動した領域とプランジャの移動領域とが、コイルばね36等の圧縮及び伸長方向を基準として、少なくとも一部重複することになるから、打込工具の小型化を実現することが可能になる。加えて、付勢部材の重心が本体を基準として離反方向に移動することになるためプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0120】
なお構成3は、本実施形態に係る打込工具10の他、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、本体に取り付けられる射出側における端部と、本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、付勢部材が伸長することにより射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備える打込工具に適用可能である。
【0121】
[構成4]
構成4は、打込工具10のうち、コイルばね36等の付勢部材が圧縮した第1状態(図4)から付勢部材が伸長した第2状態(図5)に移行するとき、付勢部材の重心の移動方向(G1からG2に向かう方向)と、プランジャの移動(上死点から下死点に向かう方向)は、反対となる構成である。なお、反対は、方向が概ね180度異なることをいう。
【0122】
このような打込工具によれば、付勢部材の重心の移動方向と、プランジャの移動方向が反対方向となるので、プランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0123】
なお構成4は、本実施形態に係る打込工具10の他、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、本体に取り付けられる射出側における端部と、本体に取り付けられない離反側における端部と、を備える付勢部材と、付勢部材が伸長することによりファスナを射出口から射出させるためのプランジャとを備える打込工具に適用可能である。
【0124】
[構成5]
構成5は、打込工具10のうち、ファスナFを打ち込むための射出口12Aが設けられた本体と、本体に取り付けられるコイルばね36等の付勢部材と、この付勢部材が伸長することにより射出口12Aに向かう射出方向DR1に移動可能に構成されるプランジャ32とを備え、付勢部材は、射出口12Aから離反する離反方向DR2に伸長する構成である。
【0125】
このような打込工具によれば、付勢部材は、射出口12Aから離反する離反方向DR2に伸長するので、付勢部材の重心の移動方向(離反方向DR2に相当)と、プランジャの移動方向(打ち出し方向DR1に相当)が反対方向となる。このため、このような構成によっても、プランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0126】
なお構成5は、本実施形態に係る打込工具10の他、ファスナを打ち込むための射出口が設けられた本体と、本体に取り付けられる付勢部材と、付勢部材が伸長することにより射出口に向かう射出方向に移動可能に構成されるプランジャとを備える打込工具に適用可能である。
【0127】
[変形例1]
上述した構成1乃至構成5の少なくとも何れか一つの構成を備える打込工具において、コイルばね36等の付勢部材の質量は、プランジャ32の質量より大きく、かつ、プランジャ32の質量は、移動部材38の質量より大きくなるように構成してもよい。
【0128】
例えば、コイルばね36等の付勢部材の質量として40乃至100グラム、プランジャ32の質量として20乃至40グラム、移動部材38の質量として5乃至20グラムとしてもよい。この場合、移動部材38を構成する部品の50%以上の容積を占める部分を樹脂から構成してもよい。例えば、移動部材38のピン38Aを金属から構成し、ピン38A以外の部品を樹脂から構成することが可能となる。
【0129】
本体全体の質量を大きくするほど、反動は小さくなることから、従来の打込工具におけるカウンターウェイトは、あえて付勢部材又はプランジャの少なくとも一方より質量を大きくすることで、本体全体の質量を大きくして反動の低減を図るものであった。
【0130】
しかしながら、本変形例に係る構成によれば、カウンターウェイトに頼ることなく、反動を低減することが可能となるから、移動部材38の軽量化、ひいては、打込工具の軽量化を図ることが可能となる。一方で、コイルばね36等の付勢部材は、質量が大きいほど反動低減を図ることが可能になるとともに、付勢力を高めるように構成することが可能である。従って、替わりにコイルばね36等の付勢部材の質量を大きくすることによって反動低減と付勢力を高めることが可能となる。
【0131】
但し、変形例1を採用することなく、構成1乃至構成5の少なくとも何れか一つの構成を備える打込工具において、更に、カウンターウェイト等を追加的に搭載して、本出願に係る打込工具を構成してもよい。
【0132】
また、上述した構成1乃至構成5の少なくとも何れか一つの構成を備える打込工具において、又は、上述した変形例に係る構成において、プランジャ32の質量は、コイルばね36等の付勢部材の質量に0.3以上0.7以下の係数を乗じた値と移動部材38の質量より大きくなるように構成してもよい。
【0133】
このような構成によれば、カウンターウェイトに頼ることなく、反動を低減することが可能となるから、移動部材38の軽量化、ひいては、打込工具の軽量化を図ることが可能となる。
【0134】
[変形例2]
本変形例に係る打込工具は、必ずしも、構成1乃至構成5の少なくとも何れか一つの構成を備えるものではない。但し他の開示における構成要素と同一又は類似する機能又は構成を有し得る構成要素については、同一又は類似する符号を付して説明する。
【0135】
この打込工具は、ファスナFを打ち込むための射出口12Aが設けられた工具本体と、工具本体に取り付けられる付勢部材と、工具本体に取り付けられるアクチュエータと、アクチュエータにより射出口12Aに向かう射出方向DR1に移動可能に構成されるプランジャとを備え、プランジャが射出口12Aに移動するとき、付勢部材は、射出口12Aから離反する離反方向に伸長するように構成される。
【0136】
アクチュエータは、プランジャを移動可能なものであればよく、例えばソレノイド等電磁力によってプランジャを駆動するものであってもよいし、空圧等を利用してプランジャを駆動するものであってもよい。このような打込工具によれば、プランジャが射出口12Aに移動するとき、付勢部材は射出口12Aから離反する離反方向DR2に伸長するので、付勢部材の重心の移動方向と、プランジャの移動方向が反対方向となる。このため、アクチュエータによるプランジャの移動の反作用としてプランジャの移動方向と反対の方向に本体に作用する反動を低減することが可能となる。
【0137】
なお、以上の開示において、付勢部材は、付勢力を付与可能な知られた構成を採用することが可能であり、例えば、板ばね、皿ばね、脚ばね、ねじり棒ばねなどであってもよい。
【0138】
また、ワイヤ40等の紐状部材乃至接続部材をコイルばね36等の付勢部材に取り付ける方法は、様々な手段を取り得る。例えば、接着剤を用いて、ワイヤ40等とコイルばね36等を直接接着してもよいし、他の部材を介して取り付けてもよい。また、必ずしも、付勢部材の部分のうち、付勢部材の末端が紐状部材又は移動部材等に当接しなくてもよい。例えば、付勢部材の部分のうち、末端を含む端部側の領域が、紐状部材又は移動部材等に当接するように取り付けられてもよい。
【0139】
また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。たとえば、当業者の通常の創作能力の範囲内で、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0140】
10 打込工具
12 ハウジング
12A 射出口
12B グリップ部
12C 架橋部
12D ノーズ部
12E トリガ
12F トリガ付勢部材
12G 本体部
12H 接続部
14 マガジン
14A プッシャ
20 モータ(アクチュエータ)
22 ギア
22A 第1ギア
22B 第2ギア
24 PCB基板
30 プランジャアセンブリ
32 プランジャ
32A 第1側壁部
32A1 ギア係合部
32A2 ワイヤ係合部
32B 第2側壁部
32C 第3側壁部
32C1 ドライバ係合部
32D 第4側壁部
34 ドライバ
36 コイルばね(付勢部材)
36A コイルばねの一端
36B コイルばねの他端
38 移動部材
38A ピン
38B 円環部
40 ワイヤ(接続部材、紐状部材)
42 プーリ(方向変換部材)
44 シリンダ
44A 円筒部
44B 孔
44C キャップ部
46 ガイドレール
B バッテリ
DR1 打ち出し方向
DR2 離反方向
F ファスナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7