(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173743
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】鏡餅型装飾具
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079633
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】391003794
【氏名又は名称】押尾産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】鍋田 総一郎
【テーマコード(参考)】
3E035
【Fターム(参考)】
3E035AA20
3E035AB10
3E035BA04
3E035BC02
3E035CA01
3E035CA08
(57)【要約】
【課題】鏡餅用容器に収容されている食品を消費しやすく、見栄えがよい鏡餅型装飾具を提供する。
【解決手段】鏡餅型装飾具1は、下部に開口部15が形成された鏡餅型容器11を備えている。鏡餅型装飾具1は、鏡餅型容器11の下部に取り付けられて開口部15を閉塞する底蓋80を備えている。鏡餅型容器11の内部には、固体状の食品が収容される。底蓋80は、鏡餅型容器11の内部に挿入されて鏡餅型容器11の容積を調整するための挿入部82を有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの丸餅が上下に重ねられた状態を模した外観形状を有するとともに、下部に開口部が形成された鏡餅型容器と、
前記鏡餅型容器の下部に取り付けられて前記開口部を閉塞する底蓋と、を備え、
前記鏡餅型容器は、当該鏡餅型容器の内部に固体状の食品を収容するものであり、
前記底蓋は、前記鏡餅型容器の内部に挿入されて該鏡餅型容器の容積を調整するための挿入部を有する鏡餅型装飾具。
【請求項2】
前記固体状の食品が穀物であり、
前記挿入部は、前記鏡餅型容器の内部に収容される前記穀物の体積が0.5合の正の整数倍となるように前記鏡餅型容器の容積を調整する
請求項1に記載の鏡餅型装飾具。
【請求項3】
前記鏡餅型容器は、半透明又は透明の容器である
請求項2に記載の鏡餅型装飾具。
【請求項4】
前記挿入部は、表面が凹んでいる
請求項1~3のいずれか一項に記載の鏡餅型装飾具。
【請求項5】
前記底蓋を覆うように前記鏡餅型容器の下部に取り付けられるシール材を備える
請求項1~4のいずれか一項に記載の鏡餅型装飾具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正月や祝い事の際に飾る鏡餅型装飾具に関する。
【背景技術】
【0002】
日本には、正月や祝い事の際に鏡餅を飾る風習がある。しかし近年では、一般家庭で餅をつく機会が少なくなっていることもあり、鏡餅の形状を模した鏡餅型装飾具が多く市販されている。
【0003】
特許文献1には、鏡餅の外観形状を有する合成樹脂製の鏡餅用容器の内部に餅が充填されてなる包装鏡餅に係る発明が記載されている。鏡餅用容器の下面に形成された開口部から軟化状態の餅を充填し、鏡餅用容器の下面に形成されたフランジ部にフィルムを装着し、ボイル殺菌処理を施すことで包装鏡餅を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、正月に鏡餅を飾った場合、松の内が終わった後の鏡開きでは、鏡餅を汁粉や雑煮等にして食べる習慣がある。そのため、鏡餅用容器の内部に充填された包装鏡餅の場合、鏡餅用容器から餅を取り出して調理することになるが、鏡餅用容器から取り出したままの状態では大きすぎるため、適宜の大きさに切断する必要がある。しかし、硬化した、厚みがある餅を切断するのは容易ではない。そのため、そのまま放置することで古くなってしまって、廃棄せざるを得ない場合も多い。餅を少量にすれば消費しやすくなるが、この場合には鏡餅用容器が相応に小さくなる。鏡餅用容器が小さいと、鏡餅としての見栄えが低下するという問題がある。鏡餅用容器に収容されている食品を消費しやすく、見栄えがよい鏡餅型装飾具が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための鏡餅型装飾具は、少なくとも2つの丸餅が上下に重ねられた状態を模した外観形状を有するとともに、下部に開口部が形成された鏡餅型容器と、前記鏡餅型容器の下部に取り付けられて前記開口部を閉塞する底蓋と、を備え、前記鏡餅型容器は、当該鏡餅型容器の内部に固体状の食品を収容するものであり、前記底蓋は、前記鏡餅型容器の内部に挿入されて該鏡餅型容器の容積を調整するための挿入部を有することをその要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、鏡餅型容器における外観の大きさと、鏡餅型容器における実際の容積と、を異ならせることができる。すなわち、鏡餅型容器の大きさと、鏡餅型容器に収容する食品の量と、を自由に選択することができる。これによって、鏡餅としての見栄えを低下させることなく、消費しやすい量の食品を収容することができる。
【0008】
上記鏡餅型装飾具の一例は、前記固体状の食品が穀物であり、前記挿入部は、前記鏡餅型容器の内部に収容される前記穀物の体積が0.5合の正の整数倍となるように前記鏡餅型容器の容積を調整する。
【0009】
穀物は、0.5合、1合、2合及び3合等の単位で炊飯されることが一般的である。このため、0.5合の正の整数倍の穀物が鏡餅型容器に収容されていれば、鏡餅型容器に収容されている穀物を使い切りやすくなる。上記構成によれば、鏡餅型容器に収容されている食品を取り出して食する際の利便性が高くなり、食品を消費しやすくなる。
【0010】
上記鏡餅型装飾具の一例では、前記鏡餅型容器は、半透明又は透明の容器である。
鏡餅型容器に収容されている穀物が0.5合の正の整数倍であったとしても、仮に鏡餅型容器の外部から見える範囲に隙間があると、利便性が高い一方で見栄えがよくないという問題がある。
【0011】
上記構成では、鏡餅型容器の外部から食品を見ることができるものの、鏡餅型容器における容積の調整は、底蓋が有する挿入部によって行われる。このため、鏡餅型容器の外部から見える範囲には隙間が生じにくい。これによって、鏡餅としての見栄えが低下することを抑制できる。
【0012】
上記鏡餅型装飾具の一例では、前記挿入部は、表面が凹んでいる。
上記構成によれば、挿入部の大きさだけでなく凹みによっても容積を調整できる。
上記鏡餅型装飾具の一例は、前記底蓋を覆うように前記鏡餅型容器の下部に取り付けられるシール材を備える。
【0013】
上記構成によれば、鏡餅型容器とシール材とによって底蓋を挟み込むことによって鏡餅型容器を封止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本書に開示する鏡餅型装飾具によれば、鏡餅としての見栄えを低下させることなく、消費しやすい量の食品を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】鏡餅型装飾具の縦断面構造を模式的に示す図。
【
図3】鏡餅型装飾具の分解図であり、鏡餅型装飾具を構成する各部材の側面図。
【
図7】他の変更例の鏡餅型装飾具における底蓋を示す側面図。
【
図8】別の変更例の鏡餅型装飾具における底蓋を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、鏡餅型装飾具の一実施形態について、
図1~
図5を参照して説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の鏡餅型装飾具1は、鏡餅型容器10、底蓋80、キャップ20、シール材30、飾り具40、及びラベル50を備えている。
図2に示すように、鏡餅型容器10の内部には、炊飯前の米60が充填されている。米60としては、白米、玄米、分つき米及びもち米等を採用することができる。
【0017】
〈鏡餅型容器〉
鏡餅型容器10は、合成樹脂材を用いて中空の鏡餅形状に成形した成形体である。合成樹脂の材質は特に限定されないが、熱可塑性樹脂、中でも硬質のポリプロピレンであることが好ましい。本実施形態の鏡餅型容器10は、透明又は半透明の容器である。鏡餅型容器10の厚さは、例えば0.6~1.4mm程度である。
【0018】
図2及び
図3に示すように、鏡餅型容器10は、餅型本体部11とフランジ部12を備えている。餅型本体部11は、球体を扁平にした形状の丸餅が、上下に2つ重ねられた状態を模した外観形状を有している。以下では、上方の丸餅の外観形状部分を上段部13、下方の丸餅の外観形状部分を下段部14とする。
【0019】
図2に示すように、鏡餅型容器10の下面、すなわち下段部14の下面には、下方に向かって開口する開口部15が形成されている。開口部15は、下段部14の下端縁で囲まれる部分に形成されており、横断面形状が円形状とされている。
【0020】
フランジ部12は、下段部14の下端縁から外方向に延びるような形状で餅型本体部11と一体に形成されている。
図1に示すように、フランジ部12は上面視矩形状に形成されている。
【0021】
〈底蓋〉
図2及び
図3に示すように、底蓋80は、鏡餅型容器10の下部に取り付けられて開口部15を閉塞する。底蓋80は、開口部15を通過して鏡餅型容器10の内部に挿入することのできる挿入部82を備えている。底蓋80は、挿入部82の全周に亘って配置されている縁部81を備えている。縁部81は、挿入部82から外方向に延びるように広がっている。縁部81が鏡餅型容器10のフランジ部12に接することによって、開口部15が閉塞される。底蓋80は、合成樹脂材を用いて成形することができる。
【0022】
図2に示すように、底蓋80が鏡餅型容器10に取り付けられた状態では、挿入部82が鏡餅型容器10の内部に入っている分だけ、鏡餅型容器10の容積が小さく調整される。挿入部82の大きさは、適宜設定することができる。鏡餅型容器10に収容する固体状の食品として米60のような穀物を採用する場合には、穀物の体積が0.5合の正の整数倍となるように鏡餅型容器10の容積を調整することが好ましい。一例として、挿入部82の大きさは、鏡餅型容器10の内部に収容される米60の体積が2合となるように設定することができる。
【0023】
図2~
図5を用いて、底蓋80についてさらに説明する。
図4は、底蓋80を挿入部82側から見た図である。
図2及び
図3に示すように、挿入部82は、側面から見て台形状となるように縁部81から張り出している。挿入部82のうち縁部81から最も離れた位置にある面を蓋頂面83とする。蓋頂面83と縁部81とを接続する面を蓋側面85とする。
図4に示すように、挿入部82における蓋頂面83は、円形である。縁部81は円環形に広がっている。
図2及び
図3に示すように、蓋側面85は、縁部81よりも蓋頂面83に近いほど挿入部82の径が小さくなるように傾斜している。
【0024】
図3に示すように、挿入部82の直径は、開口部15を通過できる大きさにされている。具体的には、挿入部82のうち最も大きい部分における直径L6が、開口部15の内径L5よりも僅かに小さくなるように、挿入部82が形成されている。
【0025】
図4及び
図5に示すように、挿入部82は、調整部84を備えている。調整部84は、蓋頂面83に配置されている。調整部84は、挿入部82の表面である蓋頂面83の凹みとして設けられている。
図4に示すように、調整部84は、挿入部82を蓋頂面83から見て、二本の溝が交差した十字状の凹みである。
図5に示すように、調整部84は、挿入部82の中央ほど蓋頂面83に対する間隔が大きくなるように凹んでいる。
図5に示すように、挿入部82は、中空形状である。
【0026】
〈シール材〉
図2及び
図3に示すように、シート状のシール材30は、底蓋80を覆うように鏡餅型容器10の下部に取り付けられる。シール材30は、フランジ部12と同じ形状、同じ大きさであり、鏡餅型容器10の下面全体を覆う。シール材30は、シール材30とフランジ部12との間に底蓋80の縁部81を挟んだ状態で、フランジ部12に接合される。例えば、シール材30は、鏡餅型容器10のフランジ部12の下面に対してヒートシール等の手段によって接合することができる。この場合のヒートシールにおける接着面の一例は、開口部15と同心円状に延びる環状であり縁部81よりも大きい環状である。シール材30がフランジ部12に接合されることで、シール材30及び底蓋80によって、鏡餅型容器10の下面に開口する開口部15が閉塞される。
【0027】
シール材30の下面には、表示欄をプリントすることができる。表示欄は、例えば、鏡餅型容器10の内部に収容されている米60の品質、内容量、保存方法、栄養成分表示等を説明する欄である。表示欄は、シール材30にプリントされるものに限らず、シール材30に貼り付けられるラベル状のものでもよい。
【0028】
〈ラベル〉
図1に示すように、鏡餅型容器10の下段部14の外面には、ラベル50が貼着されている。ラベル50には、鏡餅型容器10の内部に収容されている米60の産地、銘柄等をプリントすることができる。ラベル50の上端縁は、キャップ20の装着部22の下端縁の上方に位置している。また、ラベル50の下端縁は、鏡餅型容器10の下段部14の下端縁であって、フランジ部12の上面近傍に位置している。これにより、ラベル50の正面側から鏡餅型装飾具1を見たときに、キャップ20の装着部22の下端縁は、ラベル50の上部によって覆われるようになっている。
【0029】
〈キャップ〉
図2及び
図3に示すように、キャップ20は、透明の樹脂材料でシート成形された成形体である。キャップ20の厚さは、例えば0.2~0.3mm程度である。キャップ20は、上方の収容部21と下方の装着部22とが一体に連設された形状に形成されている。収容部21は、上下方向に延びる第1筒部23を有する略円筒状をなしており、第1筒部23の上部が、第1筒部23の上端縁に連設された蓋部24によって閉塞されている。
【0030】
装着部22は、上下方向に延びるとともに、収容部21の第1筒部23より大径の第2筒部25を有する略円筒状をなしており、第2筒部25と、第2筒部25の下端縁に連設されて下方ほど徐々に拡径される形状の鍔部26を備えている。
図3に示すように、第2筒部25の上部は、上方ほど徐々に縮径される形状で、その上端縁で収容部21の第1筒部23に繋がっている。第2筒部25の上部の縦方向断面は、外方に突出する湾曲形状をなしている。
【0031】
図3に示すように、第2筒部25の下部であって、鍔部26の上方となる位置には、小径の小径部25aが形成されている。小径部25aが形成されていることによって、第2筒部25の上下方向の主要部分は、小径部25aより僅かに大径となっている。ここでは、便宜上、小径部25a以外の部分を大径部25bとする。第2筒部25に小径部25aが形成されていることにより、小径部25aと大径部25bとの境界部分には、段差25cが形成されている。
【0032】
図3に示すように、装着部22の大きさは、鏡餅型容器10の上段部13の大きさに合わせて設定されている。具体的には、装着部22の第2筒部25の内周面の直径L1は、上段部13の外周面の直径L2より僅かに大きく形成されている。また、第2筒部25の高さH1は、上段部13の高さH2より少し小さく形成されている。
【0033】
〈飾り具〉
図1及び
図2に示すように、キャップ20の収容部21の内部には、飾り具40が収容されている。本実施形態の飾り具40は、有色の合成樹脂製で橙を模した形状を有している。飾り具40は、橙の果実を模した果実部41と、橙の葉を模した葉部42と、橙の枝を模した枝部43を有している。
【0034】
図3に示すように、飾り具40の大きさは、キャップ20の収容部21の大きさに合わせて設定されている。果実部41及び葉部42の横方向の幅L3は、キャップ20の収容部21の内周面の直径L4とほぼ同等か僅かに小さく形成されている。また、果実部41及び枝部43の高さH3は、キャップ20の収容部21の高さH4より少し小さく形成されている。
【0035】
(鏡餅型装飾具の製造方法)
鏡餅型装飾具1の製造方法について、その一例を説明する。
鏡餅型装飾具1を製造する場合、まず、鏡餅型容器10の開口部15を上方へ向けた状態で、米60を鏡餅型容器10内に充填する。充填終了後、挿入部82を鏡餅型容器10の内部に挿入して、底蓋80を鏡餅型容器10に取り付ける。そして、鏡餅型容器10のフランジ部12との間に底蓋80の縁部81を挟んだ状態で、ヒートシール手段によって、シール材30を接合する。これによって、鏡餅型容器10の内部に、米60が密封状態に収容される。
【0036】
続いて、キャップ20の収容部21内に飾り具40を挿入する。飾り具40の果実部41及び葉部42の横方向の幅L3が、キャップ20の収容部21の内周面の直径L4とほぼ同等か僅かに小さく形成されているため、果実部41及び葉部42が収容部21の内周面に接する。これにより、飾り具40は収容部21の内部に保持されて、収容部21から脱落することが抑制される。
【0037】
続いて、キャップ20の装着部22を鏡餅型容器10の上段部13に外嵌する。
図2に示すように、上段部13に外嵌されたキャップ20は、装着部22の第2筒部25の下端縁が、鏡餅型容器10の上段部13と下段部14との境界部分に位置し、鍔部26が下段部14の上部に接する。装着部22の第2筒部25の内周面の直径L1が、上段部13の外周面の直径L2より僅かに大きく形成されているため、キャップ20は上段部13に固定されて、鏡餅型容器10から脱落することが抑制される。また、装着部22の第2筒部25には、小径部25aと大径部25bとの境界部分に段差25cが形成されている。そのため、段差25cが鏡餅型容器10の上段部13の下部に位置し、鏡餅型容器10からのキャップ20の抜けが抑制される。
【0038】
キャップ20が鏡餅型容器10に装着された状態では、キャップ20の収容部21内に保持された飾り具40は、果実部41の下面が鏡餅型容器10の上段部13の上面に接するとともに、枝部43の上端がキャップ20の収容部21の上面に接する。これは、果実部41及び枝部43の高さH3が、キャップ20の収容部21の高さH4より少し小さく形成されていることによる。これにより、収容部21内の飾り具40は上下方向への移動が規制された状態で保持される。
【0039】
続いて、鏡餅型容器10の下段部14の外面にラベル50を貼着する。こうして鏡餅型装飾具1が製造される。
(作用及び効果)
本実施形態の作用について説明する。
【0040】
鏡餅型装飾具1では、底蓋80が有する挿入部82によって鏡餅型容器10の容積が調整される。このため、鏡餅型容器10における外観の大きさと、鏡餅型容器10における実際の容積と、を異ならせることができる。すなわち、鏡餅型容器10の大きさと、鏡餅型容器10に収容する米60の量と、を自由に選択することができる。
【0041】
米60を収容している鏡餅型容器10の内部では、
図2に示すように挿入部82に米60が積み重なる。また、挿入部82と鏡餅型容器10の内面との間に米60が詰め込まれる。
【0042】
鏡餅型装飾具1を正月飾り等で使用した後には、鏡餅型容器10の内部に収容された米60を利用する。この際には、まず、鏡餅型容器10のシール材30を剥がす。続いて底蓋80を取り外せば、米60を取り出すことができる。取り出した米60は、適宜、炊飯器や土鍋等を用いて炊飯することによって食用に供することができる。
【0043】
本実施形態の効果について説明する。
(1)鏡餅型容器10の大きさと、鏡餅型容器10に収容する米60の量と、を自由に選択することができる。これによって、鏡餅としての見栄えを低下させることなく、消費しやすい量の食品を収容することができる。
【0044】
(2)米60等の穀物は、0.5合、1合、2合及び3合等の単位で炊飯されることが一般的である。このため、0.5合の正の整数倍の米60が鏡餅型容器10に収容されていれば、鏡餅型容器10に収容されている米60を使い切りやすくなる。また、米60の量を改めて計量することなく炊飯を行うこともできる。鏡餅型装飾具1によれば、鏡餅型容器10に収容されている米60を取り出して食する際の利便性が高くなり、米60を消費しやすくなる。
【0045】
(3)挿入部82の大きさを変更すれば、鏡餅型容器10の容積を変更することができる。すなわち、鏡餅型容器10、シール材30、キャップ20、飾り具40の設計を変更することなく米60の内容量を変更することができる。
【0046】
(4)挿入部82の大きさを変更することに限らず、調整部84の形状又は大きさを変更することによっても鏡餅型容器10の容積を変更することができる。
(5)鏡餅型容器10が透明又は半透明の容器であることによって、鏡餅型容器10の外部から米60を見ることができる。ここで、鏡餅型容器10に収容されている米60が0.5合の正の整数倍であったとしても、仮に鏡餅型容器10の外部から見える範囲に隙間があると、利便性が高い一方で見栄えがよくないという問題がある。
【0047】
この点、鏡餅型装飾具1では、鏡餅型容器10の外部から米60を見ることができるものの、鏡餅型容器10における容積の調整は、底蓋80が有する挿入部82によって行われる。このため、鏡餅型容器10の外部から見える範囲には隙間が生じにくい。これによって、鏡餅としての見栄えが低下することを抑制できる。
【0048】
(6)米60が隙間なく詰まっていることによって、鏡餅型容器10の外部からは挿入部82が見えにくくなっている。これによって、鏡餅としての見栄えが低下することを抑制できる。
【0049】
〈他の実施形態〉
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0050】
・米60に限らず、麦及び粟等の穀物を鏡餅型容器10の内部に収容してもよい。米60、麦及び粟等の穀物は、鏡餅型容器10の内部に収容される固体状の食品としての一例である。固体状の食品は、アルファ化米のように加工処理が行われた食品でもよい。その他の固体状の食品としては、ゴマ、豆、干しシイタケ等の乾物、アーモンド等のドライフルーツ、飴、あられ等の菓子類、餅等を挙げることができる。
【0051】
・鏡餅型容器10の内部に収容される食品は、適宜に個包装されていてもよい。
・鏡餅型容器10は、丸餅が2つ重ねられた状態を模した形状に限定されない。3つ以上の丸餅が重ねられた状態を模した形状であってもよい。
【0052】
・鏡餅型容器10は、透明又は半透明でなく、合成樹脂材に着色剤を混合することによって有色であってもよい。例えば、白色又は乳白色であってもよい。
・
図6に示すように、フランジ部12は、下段部14の下端縁から内方向に延びるような形状であってもよい。こうした形状のフランジ部を鏡餅型容器が有する場合であっても、底蓋80を適用することができる。
【0053】
・フランジ部12は上面視矩形状でなくてもよい。例えば、上面視円形状とすることも可能である。
・フランジ部12とシール材30とをヒートシールによって接合する場合の接着面は、開口部15を封止する縁部81を囲む形状であれば環状でなくてもよい。また、一つの接着面の外側に、二重、三重に接着面が設けられていてもよい。また、シール材30の全面が接着面になっていてもよい。
【0054】
・キャップ20の下端縁は、鏡餅型容器10の上段部13の下端近傍に位置していなくてもよい。
図6に示すように、キャップ20が下段部14を覆うように形成されていてもよい。
【0055】
・キャップ20の収容部21の内面に飾り具40が接していなくてもよい。
・飾り具40は、橙を模した形状のものでなくてもよい。例えば、干支を模した像、キャラクタやマスコット等であってもよい。
【0056】
・キャップ20及び飾り具40を省略してもよい。
・ラベル50にプリントされる事項は適宜選択することができる。鏡餅型容器10の内部に収容されている食品の情報でなくてもよい。例えば、扇、日の出等の図柄であってもよい。
【0057】
・ラベル50の貼着位置は、鏡餅型容器10の下段部14でなくてもよい。
・ラベル50の貼着位置は、キャップ20の装着部22の下端縁を覆う位置でなくてもよい。
【0058】
・ラベル50を省略してもよい。
・シール材30の形状、大きさをフランジ部12と異なるように変更することも可能である。
【0059】
・底蓋80の縁部81がフランジ部12に接合されていてもよい。この場合、シール材30を省略することも可能である。
・底蓋80の挿入部82における調整部84は、十字状の凹みに限らない。調整部84は、円形の凹みでもよいし、矩形の凹みでもよい。
【0060】
・調整部84は、凹みに限らず、蓋頂面83から突出する形状でもよい。
・調整部84を省略してもよい。
・底蓋80の挿入部82における蓋頂面83の形状は、円形に限らない。
【0061】
・底蓋80の縁部81は円形に限らない。縁部81は、開口部15を封止できる形状であればよい。
・上記実施形態では、中空形状の底蓋80を例示した。底蓋は、中実形状でもよい。
【0062】
・上記実施形態では、側面から見て台形状の挿入部82を例示した。挿入部の形状は、これに限らない。例えば、
図7に示すように挿入部は錐体でもよい。
図7に示す底蓋180は、円錐状の挿入部182と、開口部15を封止するための縁部181と、を備えている。挿入部182としては、円錐状に限らず角錐状のものを採用することもできる。
【0063】
また、
図8に示すように、円柱状の挿入部282と、縁部281とを備えている底蓋280を採用することもできる。挿入部282としては、円柱状に限らず角柱状のものを採用することもできる。
【0064】
・底蓋80において縁部81を省略してもよい。
・底蓋80は、開口部15の一部を閉塞するように構成してもよい。たとえば、底蓋80の最大径は、開口部15の開口径よりも小さく構成してもよい。
【0065】
・挿入部82のうち最も大きい部分における直径L6が、開口部15の内径L5よりも僅かに大きくなるように、挿入部82を形成してもよい。この場合には、挿入部82を開口部15に押し込むことによって、底蓋80を鏡餅型容器10に取り付けることができる。
【0066】
・鏡餅型容器10には、食品に加えて脱酸素剤等の他の収容物を収容してもよい。穀物を収容する場合には、他の収容物を収容したうえで鏡餅型容器10の内部に収容される穀物の体積が0.5合の正の整数倍となるように、底蓋80によって容積を調整するとよい。また、調整部84の凹みに他の収容物が収まるように調整部84の大きさを設定してもよい。
【0067】
一例として米60及び脱酸素剤を鏡餅型容器10に収容する場合について説明する。まず、鏡餅型容器10の内部に米60を充填した後、米60の上に脱酸素剤を載置する。その後、挿入部82を鏡餅型容器10の内部に挿入して、底蓋80を鏡餅型容器10に取り付ける。そして、鏡餅型容器10のフランジ部12との間に底蓋80の縁部81を挟んだ状態で、ヒートシール手段によって、シール材30を接合する。これによって、鏡餅型容器10の内部に収容された米60の保存状態を良好にすることができる。なお、脱酸素剤としては従来公知のものを使用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…鏡餅型装飾具
10…鏡餅型容器
11…餅型本体部
12…フランジ部
13…上段部
14…下段部
15…開口部
30…シール材
60…米
80…底蓋
81…縁部
82…挿入部
83…蓋頂面
84…調整部
85…蓋側面