(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173768
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】認証システム、制御装置、モバイル装置、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20221115BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20221115BHJP
【FI】
E05B49/00 K
B60R25/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079675
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松末 真也
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250CC20
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH02
2E250JJ03
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高める。
【解決手段】モバイル装置11は、人物20による携帯が可能である。通信装置13は、モバイル装置11との間で電波の通信が可能である。制御装置12は、前記電波に含まれる認証情報を用いてモバイル装置11を認証する認証処理に基づいて施解錠装置31の動作を制御する。施錠動作が完了した位置P1からのモバイル装置11の移動距離dが閾値を上回ると、前記電波の通信が制限される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置との間で電波の通信が可能である通信装置と、
前記電波に含まれる認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記電波の通信が制限される、
認証システム。
【請求項2】
前記モバイル装置に加わる加速度を検出する加速度センサが前記モバイル装置に搭載されており、
前記移動距離は、前記加速度に基づく慣性航法処理により特定される、
請求項1に記載の認証システム。
【請求項3】
前記慣性航法処理は、前記モバイル装置により実行される、
請求項2に記載の認証システム。
【請求項4】
前記被制御装置は、開閉体を施解錠する施解錠装置である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項5】
前記通信装置は、移動体に搭載されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の認証システム。
【請求項6】
前記制御装置は、前記移動体に搭載されている、
請求項5に記載の認証システム。
【請求項7】
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する、
制御装置。
【請求項8】
人物による携帯が可能であるモバイル装置であって、
制御装置が被制御装置の動作を制御するために行なわれる前記モバイル装置を認証するための認証処理に用いられる認証情報を、通信装置から送信される電波に対する応答として送信する送信部と、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する処理部と、
を備えている、
モバイル装置。
【請求項9】
制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付け、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する、
コンピュータプログラム。
【請求項10】
人物による携帯が可能であるモバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記モバイル装置は、
制御装置が被制御装置の動作を制御するために行なわれる前記モバイル装置を認証するための認証処理に用いられる認証情報を、通信装置から送信される電波に対する応答として送信し、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物による携帯が可能なモバイル装置を用いる認証システムに関連する。本発明は、当該認証システムの一部を構成しうる制御装置、および当該制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。本発明は、当該モバイル装置、および当該モバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムにも関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動体の一例としての車両に搭載される認証システムを開示している。当該システムにおいては、被制御装置の一例としての施解錠装置の動作を制御する制御装置と人物に携帯されたモバイル装置との間で、電波による通信を通じて認証が行なわれる。認証が成立すると、当該車両のドアを解錠するように施解錠装置が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための一態様は、認証システムであって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置と、
前記モバイル装置との間で電波の通信が可能である通信装置と、
前記電波に含まれる認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する制御装置と、
を備えており、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記電波の通信が制限される。
【0006】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置であって、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付ける受付部と、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御する処理部と、
を備えており、
前記処理部は、前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する。
【0007】
上記の目的を達成するための一態様は、人物による携帯が可能であるモバイル装置であって、
制御装置が被制御装置の動作を制御するために行なわれる前記モバイル装置を認証するための認証処理に用いられる認証情報を、通信装置から送信される電波に対する応答として送信する送信部と、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する処理部と、
を備えている。
【0008】
上記の目的を達成するための一態様は、制御装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記制御装置は、
人物による携帯が可能であるモバイル装置から通信装置へ送信される電波に含まれる認証情報を受け付け、
前記認証情報を用いて前記モバイル装置を認証する認証処理に基づいて被制御装置の動作を制御し、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する。
【0009】
上記の目的を達成するための一態様は、人物による携帯が可能であるモバイル装置の処理部により実行可能なコンピュータプログラムであって、
実行されることにより、前記モバイル装置は、
制御装置が被制御装置の動作を制御するために行なわれる前記モバイル装置を認証するための認証処理に用いられる認証情報を、通信装置から送信される電波に対する応答として送信し、
前記被制御装置について定められた位置からの前記モバイル装置の移動距離が閾値を上回ると、前記モバイル装置と前記通信装置による前記電波の通信を制限する。
【0010】
上記の各態様に係る構成によれば、認証処理が可能とされる本来のモバイル装置と通信装置の間の距離とは別に、認証処理を不能にすべく通信を制限するための距離が設定されうる。当該距離が被制御装置について定められた位置からの移動距離とされることにより、当該位置から離れる間に予期せず認証処理が成立し、意に反して被制御装置の動作制御が行なわれてしまう事態の発生を抑制できる。したがって、モバイル装置を用いる認証システムの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る認証システムの構成を例示している。
【
図2】
図1の認証システムの機能構成を例示している。
【
図3】
図1の制御装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図4】
図1のモバイル装置により実行される処理の流れの一例を示している。
【
図5】
図1の認証システムの動作を説明するための図である。
【
図6】
図1の制御装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【
図7】
図1のモバイル装置により実行される処理の流れの別例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る認証システム10の構成を例示している。
【0013】
認証システム10は、モバイル装置11を含んでいる。モバイル装置11は、人物20による携帯が可能な装置である。認証システム10は、例えば、モバイル装置11を認証することにより、モバイル装置11を携帯している人物20による車両30の利用を許可するために使用されうる。車両30の形状は、例示に過ぎない。車両30は、移動体の一例である。
【0014】
認証システム10は、制御装置12を含んでいる。本例においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。制御装置12は、モバイル装置11を認証する認証処理に基づいて、車両30に搭載された施解錠装置31の動作を制御するように構成されている。施解錠装置31は、車両30のドアを施解錠する装置である。施解錠装置31は、被制御装置の一例である。
【0015】
認証システム10は、通信装置13を含んでいる。本例においては、通信装置13は、車両30に搭載されている。通信装置13は、認証処理を行なうためにモバイル装置11と短距離無線通信を行なうことが可能なアンテナを備えている。
【0016】
本明細書において用いられる「短距離無線通信」という語は、標準規格であるIEEE802.15またはIEEE802.11に準拠して行なわれる無線通信を意味する。そのような無線通信を実行可能な技術としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが挙げられる。本明細書における「短距離無線通信」は、読取装置から送信される電波から微小な電力を得てモバイル装置が情報の送信を行なう非接触通信技術を用いる「近接無線通信」とは区別される。近接無線通信を実行可能な技術としては、RF-IDやNFCなどが挙げられる。
【0017】
本明細書において用いられる「信号を第一/第二電波で送信する」という表現は、上記の短距離無線通信規格において定められる周波数あるいは周波数帯の電波で信号を無線送信することを意味する。第一電波の周波数あるいは周波数帯と第二電波の周波数あるいは周波数帯は、同一であってもよいし、相違していてもよい。
【0018】
図2に例示されるように、通信装置13は、送信部131を備えている。送信部131は、トリガ信号TRを第一電波で送信するように構成されている。トリガ信号TRは、所定の時間間隔をおいて断続的に送信されてもよいし、時間連続的に送信されてもよい。
【0019】
モバイル装置11は、受信部111を備えている。受信部111は、送信部131から第一電波で送信されたトリガ信号TRを受信可能なアンテナを備えている。
【0020】
モバイル装置11は、処理部112と送信部113を備えている。処理部112は、受信部111により受信されたトリガ信号TRの強度が閾値を上回る場合に、送信部113から確認信号AKを第二電波で送信するように構成されている。すなわち、送信部113は、確認信号AKを送信可能なアンテナを備えている。
【0021】
他方、通信装置13は、受信部132を備えている。受信部132は、第二電波で送信された確認信号AKを受信可能なアンテナを備えている。
【0022】
制御装置12は、受付部121を備えている。受付部121は、受信部132における確認信号AKの受信電波強度を示す受信強度情報RIを取得するインターフェースとして構成されている。受信強度情報RIがアナログデータの形態で提供される場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0023】
制御装置12は、処理部122を備えている。処理部122は、受信強度情報RIが示す受信部132における確認信号AKの受信強度が閾値を上回る場合に、認証処理を開始するように構成されている。
【0024】
制御装置12は、出力部123を備えている。出力部123は、処理部122による制御の下で送信制御信号TCを出力可能なインターフェースとして構成されている。送信制御信号TCは、通信装置13の送信部131の動作を制御するための信号である。送信制御信号TCは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。送信制御信号TCがアナログ信号である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0025】
認証処理が開始されると、処理部122は、送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる送信制御信号TCを、出力部123から出力する。要求信号RQは、モバイル装置11に認証情報AUの無線送信を要求する信号である。
【0026】
すなわち、送信部131のアンテナは、要求信号RQも送信可能に構成されている。他方、モバイル装置11の受信部111のアンテナは、要求信号RQも受信可能に構成されている。
【0027】
モバイル装置11の処理部112は、要求信号RQへの応答として、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信するように構成されている。認証情報AUは、モバイル装置11と人物20の少なくとも一方を特定しうる情報である。認証情報AUは、アナログデータの形態でもよいし、デジタルデータの形態でもよい。
【0028】
すなわち、送信部113のアンテナは、認証情報AUも送信可能に構成されている。他方、通信装置13の受信部132のアンテナは、認証情報AUも受信可能に構成されている。
【0029】
制御装置12の受付部121は、受信部132を通じて認証情報AUも受け付け可能なインターフェースとして構成されている。認証情報AUがアナログデータの形態である場合、受付部121は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0030】
制御装置12の処理部122は、不図示の記憶装置に格納された認証情報AUの読み出しまたは参照を行なう処理を実行可能に構成されている。処理部122は、受付部121により受け付けられた認証情報AUと、記憶装置に記憶された認証情報AUとの照合を行ない、両者の一致度が閾値を上回る場合に認証を成立させる。
【0031】
出力部123は、装置制御信号DCの出力も可能なインターフェースとして構成されている。装置制御信号DCは、施解錠装置31の動作を制御する信号である。モバイル装置11の認証が成立すると、処理部122は、出力部123から装置制御信号DCを出力する。装置制御信号DCは、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。装置制御信号DCがアナログ信号である場合、出力部123は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0032】
例えば、装置制御信号DCは、施解錠装置31による車両30のドアの施錠を許可する信号でありうる。すなわち、モバイル装置11の認証が成立すると、当該モバイル装置11を携帯している人物20が車両30のユーザとみなされ、ドアの施錠が許可される。本例においては、モバイル装置11の認証が成立した状態でドアノブへの手の接触が検出されると、施解錠装置31による施錠が行なわれるように構成されている。ドアノブへの手の接触は、静電センサ、感圧センサ、画像処理などの各種公知技術を用いて検出される。
【0033】
図3と
図4を参照しつつ、上記のように構成されたモバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れを説明する。
図3は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れを例示している。
図4は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れを例示している。
【0034】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、出力部123から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131にトリガ信号TRを第一電波で送信させる(STEP10)。
【0035】
他方、
図4に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、所定の周期(時間間隔)で受信部111によりトリガ信号TRが受信されたかを判断する(STEP21)。トリガ信号TRが受信されたと判断されるまで、当該判断が繰り返される(STEP21においてNO)。
【0036】
受信部111によりトリガ信号TRが受信されたと判断されると(STEP21においてYES)、処理部112は、送信部113から確認信号AKを第二電波で送信する(STEP22)。
【0037】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により確認信号AKが受信されたかを判断する(STEP11)。トリガ信号TRの送信から所定時間内に確認信号AKが受信されていないと判断された場合(STEP11においてNO)、処理はSTEP10に戻る。
【0038】
受信部132により確認信号AKが受信されたと判断されると(STEP11においてYES)、処理部122は、受付部121により取得された受信強度情報RIに対応する確認信号AKの電波強度が閾値以上であるかを判断する(STEP12)。
【0039】
当該閾値は、
図5に例示される認証可能領域A内に位置するモバイル装置11から送信された確認信号AKの電波強度に対応するように定められる。認証可能領域Aは、車両30の少なくとも外側を含むように設定されている。すなわち、本処理により、モバイル装置11を携帯する人物20が認証可能領域A内に位置しているかが判定される。
【0040】
確認信号AKの電波強度が閾値未満であると判断された場合(
図3のSTEP12においてNO)、処理はSTEP10に戻る。
【0041】
確認信号AKの電波強度が閾値以上であると判断された場合(STEP12においてYES)、処理部122は、出力部123から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に要求信号RQを第一電波で送信させる(STEP13)。
【0042】
他方、
図4に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、確認信号AKの送信後に受信部111により要求信号RQが受信されたかを判断する(STEP23)。確認信号AKの送信から所定時間内に要求信号RQが受信されていないと判断された場合(STEP23においてNO)、処理はSTEP21に戻る。
【0043】
受信部111により要求信号RQが受信されたと判断されると(STEP23においてYES)、処理部112は、送信部113から認証情報AUを第二電波で送信する(STEP24)。
【0044】
図3に例示されるように、制御装置12の処理部122は、通信装置13の受信部132により認証情報AUが受信されたかを判断する(STEP14)。要求信号RQの送信から所定時間内に認証情報AUが受信されていないと判断された場合(STEP14においてNO)、処理はSTEP10に戻る。
【0045】
受信部132により認証情報AUが受信されたと判断されると(STEP14においてYES)、処理部122は、認証情報AUに基づいてモバイル装置11の認証が成立したかを判断する(STEP15)。認証が成立しなかったと判断されると(STEP15においてNO)、処理はSTEP10に戻る。
【0046】
モバイル装置11の認証が成立したと判断されると(STEP15においてYES)、処理部122は、出力部123から装置制御信号DCを出力し、施解錠装置31に所定の動作を行なわせる。例えば、施解錠装置31に施錠動作を行なわせる。
【0047】
続いて、処理部122は、施解錠装置31による施解錠動作が完了したかを判断する(STEP16)。例えば、施解錠動作が実行されると通知信号を出力するように施解錠装置31を構成しうる。この場合、処理部122は、当該通知信号を受付部121が受け付けると施解錠装置31による施解錠動作が完了したと判断する。施解錠動作が完了したと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP16においてNO)。
【0048】
施解錠動作が完了したと判断されると(STEP16においてYES)、処理部122は、出力部123から送信制御信号TCを出力し、通信装置13の送信部131に完了信号CPを第一電波で送信させる(STEP17)。その後、処理はSTEP10に戻る。
【0049】
他方、
図4に例示されるように、モバイル装置11の処理部112は、認証情報AUの送信後に受信部111により完了信号CPが受信されたかを判断する(STEP25)。認証情報AUの送信から所定時間内に完了信号CPが受信されていないと判断された場合(STEP25においてNO)、処理はSTEP21に戻る。
【0050】
受信部111により完了信号CPが受信されたと判断されると(STEP25においてYES)、処理部112は、完了信号CPを受信した時点におけるモバイル装置11の位置を基準位置として、慣性航法処理を開始する(STEP26)。当該位置は、被制御装置について定められた位置の一例である。
【0051】
具体的には、
図2に例示されるように、モバイル装置11は、加速度センサ114を備えている。加速度センサ114は、モバイル装置11に加わる加速度を検出し、検出された加速度に対応する加速度情報ACを出力するように構成されている。処理部112は、加速度情報ACを用いて慣性航法処理を実行し、基準位置からのモバイル装置11の移動距離を特定する。
【0052】
続いて、処理部112は、特定された移動距離が閾値を上回るかを判断する(STEP27)。当該閾値は、
図5に例示される距離dに対応している。距離dは、認証可能領域Aの範囲内において適宜に定められうる。移動距離が閾値を上回ると判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP27においてNO)。
【0053】
移動距離が閾値を上回ると判断されると、処理部112は、要求信号RQへの応答としての認証情報AUの送信を禁止する(STEP28)。認証情報AUの送信禁止は、モバイル装置11と通信装置13による電波の通信の制限の一例である。その後、処理は終了する。
【0054】
図5を参照しつつ、上記のように構成された認証システム10の動作について説明する。同図においては、位置P1において施解錠装置31による車両30の施錠動作が完了した状態が例示されている。したがって、モバイル装置11の処理部112は、位置P1を基準位置として慣性航法処理を開始する(
図4におけるSTEP26)。
【0055】
位置P2は、位置P1から移動距離の閾値に対応する距離dだけ離れている。人物20が施解錠装置31から離れて位置P2に至ると、モバイル装置11の処理部112は、認証情報AUの送信を禁止する(
図4におけるSTEP28)。したがって、人物20が認証可能領域A内に位置している結果としてモバイル装置11が通信装置13から要求信号RQを受信しても、認証処理は行なわれない。換言すると、人物20が認証可能領域A外の位置P3に至る前に認証処理を不能にできる。
【0056】
このような構成によれば、認証処理が可能とされる本来のモバイル装置11と通信装置13の間の距離とは別に、認証処理を不能にすべく通信を制限するための距離が設定されうる。当該距離が施解錠装置31による施錠動作が完了した位置からの移動距離とされることにより、当該位置から離れる間に予期せず認証処理が成立し、意に反して施解錠装置31の動作制御が行なわれてしまう事態の発生を抑制できる。したがって、モバイル装置11を用いる認証システム10の利便性を高めることができる。
【0057】
図6と
図7を参照しつつ、モバイル装置11と制御装置12の間で行なわれる処理の流れの別例について説明する。
図6は、制御装置12の処理部122により実行される処理の流れの別例を示している。
図3と同一の処理については同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
図7は、モバイル装置11の処理部112により実行される処理の流れの別例を示している。
図4と同一の処理については同一の参照番号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。
【0058】
本例においては、慣性航法処理が開始された後にモバイル装置11の基準位置からの移動距離が閾値を上回ると判断されると(
図7のSTEP27においてYES)、モバイル装置11の処理部112は、送信部113から禁止信号DIを送信する(STEP48)。禁止信号DIの送信は、モバイル装置11と通信装置13による電波の通信の制限の一例である。
【0059】
他方、制御装置12の処理部122は、完了信号CPの送信後に通信装置13の受信部132により禁止信号DIが受信されたかを判断する(
図6のSTEP38)。禁止信号DIが受信されたと判断されるまで、当該処理が繰り返される(STEP38においてNO)。
【0060】
禁止信号DIが受信されたと判断されると(STEP38においてYES)、処理部122は、受付部121による認証情報AUの受け付けを禁止する(STEP39)。認証情報AUの受け付けの禁止は、モバイル装置11と通信装置13による電波の通信の制限の一例である。その後、処理はSTEP10に戻る。
【0061】
このような構成によれば、人物20が施解錠装置31から離れて
図5に例示される位置P2に至ると、通信装置13がモバイル装置11から認証情報AUを受信しても、認証処理が行なわれない。したがって、人物20が認証可能領域A外の位置P3に至る前に認証処理を不能にできる。
【0062】
これまで説明した様々な機能を有するモバイル装置11の処理部112は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、
図1に例示される無線通信ネットワーク40を介して外部サーバ装置50からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置50は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0063】
処理部112は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0064】
これまで説明した様々な機能を有する制御装置12の処理部122は、汎用メモリと協働して動作する汎用マイクロプロセッサにより実現されうる。汎用マイクロプロセッサとしては、CPU、MPU、GPUが例示されうる。汎用メモリとしては、ROMやRAMが例示されうる。この場合、ROMには、上述した処理を実行するコンピュータプログラムが記憶されうる。ROMは、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。汎用マイクロプロセッサは、ROM上に記憶されたコンピュータプログラムの少なくとも一部を指定してRAM上に展開し、RAMと協働して上述した処理を実行する。上記のコンピュータプログラムは、汎用メモリにプリインストールされてもよいし、
図1に例示される無線通信ネットワーク40を介して外部サーバ装置50からダウンロードされた後、汎用メモリにインストールされてもよい。この場合、外部サーバ装置50は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。
【0065】
処理部122は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの上記のコンピュータプログラムを実行可能な専用集積回路によって実現されてもよい。この場合、当該専用集積回路に含まれる記憶素子に上記のコンピュータプログラムがプリインストールされる。当該記憶素子は、コンピュータプログラムを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体の一例である。各プロセッサは、汎用マイクロプロセッサと専用集積回路の組合せによっても実現されうる。
【0066】
上記の各実施形態は、本発明の理解を容易にするための例示にすぎない。上記の各実施形態に係る構成は、本発明の趣旨を逸脱しなければ、適宜に変更・改良されうる。
【0067】
上記の実施形態においては、モバイル装置11において慣性航法処理が行なわれている。しかしながら、
図1に例示されるように、加速度センサ114から出力される加速度情報ACを送信部113から通信装置13へ第二電波で送信し、制御装置12の処理部122が加速度情報ACに基づいて慣性航法処理を行なってもよい。この場合、
図7を参照して説明した例と同様に、処理部122は、モバイル装置11の基準位置からの移動距離が閾値を上回ると判断されると、モバイル装置11から送信される認証情報AUの受け付けを禁止する。
【0068】
上記の実施形態においては、施解錠装置31による施錠動作が完了した位置を基準としてモバイル装置11の移動距離が検出されている。しかしながら、人物20によるドアを閉じる動作が実質的に施錠動作の完了とみなしうるのであれば、ドアが閉じられたときの位置を基準としてモバイル装置11の移動距離が検出されてもよい。
【0069】
上記の実施形態においては、加速度センサ114を用いてモバイル装置11の移動距離が検出されている。しかしながら、モバイル装置11がGPS機能を備えている場合、当該機能を用いて基準位置からの移動距離が検出されてもよい。この場合、基準位置は、施錠処理が完了した時点におけるモバイル装置11の位置として定められてもよいし、車両30における任意の位置として定められてもよい。いずれの位置も被制御装置について定められて位置の一例となりうる。
【0070】
上記の実施形態においては、制御装置12は、車両30に搭載されている。このような構成によれば、モバイル装置11との短距離無線通信において生じうる通信遅延を抑制しやすい。しかしながら、制御装置12の処理部122により行なわれる処理の少なくとも一部は、無線通信ネットワーク40を介してモバイル装置11と通信可能な外部サーバ装置50において行なわれうる。例えば、モバイル装置11の認証処理は、外部サーバ装置50により行なわれうる。この場合、認証の成否を示す情報が、外部サーバ装置50またはモバイル装置11から制御装置12へ通知される。
【0071】
認証処理の結果として制御装置12により制御される被制御装置は、施解錠装置31に限られない。他の被制御装置の例としては、車両30に搭載されたイグニッション電源、空調装置、音響映像機器、照明装置、シートやステアリングホイールの位置調節機構などが挙げられる。
【0072】
認証システム10は、車両30以外の移動体にも適用されうる。他の移動体の例としては、鉄道、航空機、船舶などが挙げられる。当該移動体は、運転者を必要としなくてもよい。
【0073】
認証可能領域Aは、移動体について設定されることを要しない。認証可能領域Aは、住宅や施設において被制御装置の制御と関連付けられて適宜に定められうる。すなわち、通信装置13は、移動体に搭載されることを要しない。
【符号の説明】
【0074】
10:認証システム、11:モバイル装置、112:処理部、113:送信部、114:加速度センサ、12:制御装置、121:受付部、122:処理部、13:通信装置、20:人物、30:車両、31:施解錠装置、AU:認証情報、P1:施錠動作が完了した位置、d:移動距離