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特開2022-173800飛沫防止板の回動支持機構、飛沫防止板取付用アタッチメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173800
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】飛沫防止板の回動支持機構、飛沫防止板取付用アタッチメント
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20221115BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
G02C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079727
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】521199384
【氏名又は名称】株式会社モールドサポート
(71)【出願人】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】西籔 和明
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 肇
(72)【発明者】
【氏名】道場 誠司
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006CA00
(57)【要約】
【課題】使い勝手の良い飛沫防止板の回動支持機構を提供する。
【解決手段】使用者の顔面の少なくとも一部を前方から覆うことのできる飛沫防止板Sを、前記顔面に対して接近・離反させて開閉するように回動支持する支持部15を有し、前記支持部15は、凹凸嵌合により前記飛沫防止板Sを所定開度で保持する、飛沫防止板の回動支持機構10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔面の少なくとも一部を前方から覆うことのできる飛沫防止板を、前記顔面に対して接近・離反させて開閉するように回動支持する支持部を有し、
前記支持部は、凹凸嵌合により前記飛沫防止板を所定開度で保持する、飛沫防止板の回動支持機構。
【請求項2】
前記支持部は、本体と、前記飛沫防止板の回動中心に一致して位置し、前記本体に対して回動する回動部とを備え、
前記回動部は、回動の周方向に並ぶ複数の被嵌合部を有し、
前記本体は、前記複数の被嵌合部の各々に対して弾性力を付与しつつ前記凹凸嵌合する嵌合部を有する、請求項1記載の飛沫防止板の回動支持機構。
【請求項3】
前記凹凸嵌合は、前記回動部における回動中心基準の内周面または外周面でなされる、請求項2記載の飛沫防止板の回動支持機構。
【請求項4】
前記使用者の頭部に引っ掛けるための引掛部材が用いられ、当該引掛部材に対して着脱可能とされている、請求項1または2記載の飛沫防止板の回動支持機構。
【請求項5】
前記使用者の頭部に引っ掛けるための引掛部材が用いられ、当該引掛部材に対して一体とされている、請求項1または2記載の飛沫防止板の回動支持機構。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の飛沫防止板の回動支持機構を有し、
前記使用者の頭部に引っ掛けるために用いられる引掛部材に装着される飛沫防止板取付用アタッチメントであって、
前記引掛部材が有する棒状部材を通す挿通溝を備える、飛沫防止板取付用アタッチメント。
【請求項7】
寸法の異なる複数の前記挿通溝を備える、請求項6記載の飛沫防止板取付用アタッチメント。
【請求項8】
前記挿通溝の内部に、前記棒状部材に当接する凹凸が形成された、請求項6または7記載の飛沫防止板取付用アタッチメント。
【請求項9】
ヒンジ式の開閉部を有し、当該開閉部を開放することで前記棒状部材に装着可能である、請求項6~8のいずれかに記載の飛沫防止板取付用アタッチメント。
【請求項10】
前記支持部は、本体と、前記飛沫防止板の回動中心に一致して位置し、前記本体に対して回動する回動部と、当該回動部に対して前記飛沫防止板を挟んで取り付けられるカバーとを備え、
前記カバーは前記回動部に対して嵌合取り付けされる、請求項6~9のいずれかに記載の飛沫防止板取付用アタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の顔面の少なくとも一部を前方から覆うことのできる飛沫防止板を支持する、飛沫防止板の回動支持機構、及び、眼鏡等を利用して飛沫防止板を支持する際に用いる、飛沫防止板取付用アタッチメントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用者の顔面の少なくとも一部を前方から覆うことができ、使用者が口部等から出す飛沫を外部に飛散することを抑制する、透明樹脂製等の飛沫防止板(例えば、顔面の大部分を覆うフェイスシールドや、顔面のうち口部と鼻部を覆うマウスシールド等)が用いられている。この飛沫防止板を使用者の顔面に対し支持する機構が示されたものとして、例えば特許文献1があり、これに「マスク型シールド」が記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のマスク型シールドは、使用者の口と外鼻孔を覆う飛沫防止板としてのシールド本体をフレームに取付け、フレームの両端に接続された一対の線状体を使用者の耳に掛けるよう構成されている。フレームは、上部両側縁に突設された一対のフックを有する。シールド本体を一対のフックを中心に回動させて、シールド本体が使用者の口と外鼻孔を覆う被覆位置と、使用者の口と外鼻孔を開放する開放位置とに切換え可能である。このため、シールド本体を一対のフックを中心に上方に回転させたとき、シールド本体が使用者の口と外鼻孔を開放する開放位置に位置するので、使用者はマスク型シールドを取外さずにペットボトルの飲料水等を飲むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3228348号公報(図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、顔面に対して飛沫防止板を持ち上げる際、特許文献1に記載の構成では、あらかじめ設定された開放位置にすることしか想定されておらず、好みの開度で開放した状態を固定的に保持することができなかった。特許文献1に記載の構成であっても、シールド本体とフレームとの間の摩擦により、好みの開度で一瞬の間停止させることはできる可能性がある。しかしこのような構成では、シールド本体の有する重量や、使用者が首を振った際にシールド本体にかかる力により、シールド本体が前記開度から簡単にずれてしまう。このため、例えば寒暖調整や息苦しさへの対応を目的に、少しだけ開放して止めておきたいとのニーズには応えきれておらず、使い勝手につき向上の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、開度保持に関して使い勝手の良い飛沫防止板の回動支持機構、及び、例えば眼鏡等に取り付けて使用できる飛沫防止板取付用アタッチメントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、使用者の顔面の少なくとも一部を前方から覆うことのできる飛沫防止板を、前記顔面に対して接近・離反させて開閉するように回動支持する支持部を有し、前記支持部は、凹凸嵌合により前記飛沫防止板を所定開度で保持する、飛沫防止板の回動支持機構である。
【0008】
この態様によると、支持部が凹凸嵌合により飛沫防止板を所定開度で保持するため、使用者の要望に近い開度の設定が確実にできる。
【0009】
また、前記支持部は、本体と、前記飛沫防止板の回動中心に一致して位置し、前記本体に対して回動する回動部とを備え、前記回動部は、回動の周方向に並ぶ複数の被嵌合部を有し、前記本体は、前記複数の被嵌合部の各々に対して弾性力を付与しつつ前記凹凸嵌合する嵌合部を有するものとできる。
【0010】
この態様によると、回動部が有する複数の被嵌合部と、本体が有する嵌合部とを組み合わせ、弾性力下で凹凸嵌合がなされることにより、複数の被嵌合部の各々に対応した開度で、支持部が飛沫防止板を保持できる。
【0011】
また、前記凹凸嵌合は、前記回動部における回動中心基準の内周面または外周面でなされるものとできる。
【0012】
この態様によると、回動部の周方向で凹凸嵌合がなされるため、凹凸嵌合のため回動軸方向の寸法が大きくならないので、支持部をコンパクトに構成できる。
【0013】
また、前記使用者の頭部に引っ掛けるための引掛部材が用いられ、当該引掛部材に対して着脱可能とされているものとできる。
【0014】
この態様によると、例えば眼鏡等の引掛部材を利用して飛沫防止板を支持させることが簡単にできる。
【0015】
また、前記使用者の頭部に引っ掛けるための引掛部材が用いられ、当該引掛部材に対して一体とされているものとできる。
【0016】
この態様によると、引掛部材と回動支持機構とが一体であることから、統一したデザインを実現できる。
【0017】
また本発明は、前述のいずれかの飛沫防止板の回動支持機構を有し、前記使用者の頭部に引っ掛けるために用いられる引掛部材に装着される飛沫防止板取付用アタッチメントであって、前記引掛部材が有する棒状部材を通す挿通溝を備える、飛沫防止板取付用アタッチメントである。
【0018】
この態様によると、棒状部材を挿通溝に通すことで、例えば眼鏡等の引掛部材に簡単に取り付けできる。
【0019】
また、寸法の異なる複数の前記挿通溝を備えるものとできる。
【0020】
この態様によると、複数の挿通溝を選択して使用することにより、眼鏡のつる等の棒状部材で、複数の大きさに対応できる。
【0021】
また、前記挿通溝の内部に、前記棒状部材に当接する凹凸が形成されたものとできる。
【0022】
この態様によると、棒状部材に凹凸が当接することで、棒状部材をずれにくくできる。
【0023】
また、ヒンジ式の開閉部を有し、当該開閉部を開放することで前記棒状部材に装着可能であるものとできる。
【0024】
この態様によると、ヒンジ式の開閉部により、棒状部材への着脱が容易にできる。
【0025】
また、前記支持部は、本体と、前記飛沫防止板の回動中心に一致して位置し、前記本体に対して回動する回動部と、当該回動部に対して前記飛沫防止板を挟んで取り付けられるカバーとを備え、前記カバーは前記回動部に対して嵌合取り付けされるものとできる。
【0026】
この態様によると、カバーが回動部に対して嵌合取り付けされるため、飛沫防止板の取り付けが容易である。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、使用者の要望に近い開度の設定が確実にできる。このため、飛沫防止板を例えば少しだけ持ち上げて安定的に保持できるので、使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係る飛沫防止板の回動支持機構の眼鏡に対する使用状態を示す斜視図である。
図2】前記第1実施形態に係る飛沫防止板の回動支持機構が組み込まれたアタッチメントの全体を示す斜視図である。
図3】前記アタッチメントのカバーを取り外して回動部に飛沫防止板を取り付けた状態を示す斜視図である。
図4】前記アタッチメントを一部縦断面表示にした斜視図である。
図5】前記アタッチメントに用いられるカバーの裏面形状を示す斜視図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る飛沫防止板の回動支持機構を首掛け部の両端部に一体形成したものを示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る飛沫防止板の回動支持機構を含むアタッチメントの全体を示す斜視図である。
図8】前記飛沫防止板の回動支持機構の使用時に飛沫防止板の開度を順次変化させた状態を示す側面視の概略図であって、(a)は開度0°、(b)は開度20°、(c)は開度40°である。符号の記載を省略する。
図9】前記飛沫防止板の回動支持機構の使用時に飛沫防止板の開度を順次変化させた状態を示す側面視の概略図であって、(a)は開度60°、(b)は開度80°である。符号の記載を省略する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明につき、二つの実施形態に関して説明を行う。第1実施形態の飛沫防止板の回動支持機構(以下、「回動支持機構」)10は、例えば図1に示すように、使用者(着用者)の頭部に引っ掛けるための引掛部材としての眼鏡Gに、飛沫防止板Sを取り付けて使用する際に、眼鏡Gと飛沫防止板Sとの間に介在させて用いられる。図1に示す形態で、眼鏡Gに装着される飛沫防止板取付用アタッチメント(以下「アタッチメント」)1に回動支持機構10が組み込まれている。アタッチメント1は、使用時に使用者の耳よりも前方に位置する(図8図9参照)。このアタッチメント1は、市場に単体で流通させることができる。
【0030】
アタッチメント1の単体を図2に示す。本実施形態のアタッチメント1は、眼鏡G、より詳しくは、前記引掛部材が有する棒状部材としての眼鏡のつるG1に対して着脱可能とされている。着脱可能なので、眼鏡G等の引掛部材を利用して飛沫防止板Sを支持させることが簡単にできる。この着脱を行うため、アタッチメント1は、眼鏡のつるG1を通す空間を有した挿通溝111を備える。眼鏡のつるG1は、1個の眼鏡Gにおいて2本が左右一対で設けられていることが通常である。このため、図1に示すように、一般的な眼鏡Gに対してアタッチメント1は2個用いられる。
【0031】
アタッチメント1は、使用時に使用者の頭部側に位置する内側部11と、頭部と反対側に位置する外側部12とを有する。なおアタッチメント1に関し、以下において上下は図2に示した上下方向で説明し、内外は、使用者の頭部側を内側とし、頭部と反対側を外側として説明する。アタッチメント1は上下に細長い形状とされている。内側部11及び外側部12は樹脂製である。内側部11と外側部12とはヒンジ式の開閉部13により連結されている。このヒンジ式の開閉部13により、棒状部材(眼鏡のつるG1)への着脱が容易にできる。また、内側部11と外側部12とは固定ねじ14によって閉じた状態が固定される。
【0032】
挿通溝111は、内側部11において、アタッチメント1の幅方向に延びるように設けられている。挿通溝111は、図2に示すように外側部12が覆うことにより、アタッチメント1の幅方向両端部が開放した貫通穴となる。開閉部13はアタッチメント1の上端部に設けられていて、眼鏡のつるG1の延びる方向(使用者基準の前後方向)に平行な回動軸を有する。この開閉部13を開放し、内側部11に対して外側部12を跳ね上げるように移動させることによって、挿通溝111が開口された状態とすることで眼鏡のつるG1に装着可能である。その際、棒状部材である眼鏡のつるG1を挿通溝111に通すことで、引掛部材である眼鏡Gにアタッチメント1を簡単に取り付けできる。
【0033】
内側部11において、使用時に使用者の頭部に対向する面(内面)は、図1に示すように平面または緩やかな湾曲面とされている。このため、この面が使用者の頭部に当たることによる不快感が生じにくい。この内面は凹凸のない平滑な面であることが望ましい。
【0034】
固定ねじ14は、アタッチメント1における下部に、外側部12から内側部11に向けてねじ込まれるように構成されている。図1に現れているが、内側部11にナットが設けられており、そのナットに固定ねじ14がねじ込まれる。固定ねじ14の頭部外周面には平目のローレットが形成されていて、素手でも滑りにくく、固定ねじ14を容易にねじって開け閉めできる。
【0035】
次に、第1実施形態においてアタッチメント1に組み込まれる回動支持機構10について説明する。回動支持機構10は、飛沫防止板Sを、使用者の顔面に対して接近・離反させて開閉するように上側で回動支持する支持部15を有する。支持部15は、凹凸嵌合により飛沫防止板Sを所定開度で保持する。凹凸嵌合による開度保持であるから、飛沫防止板Sの有する重量や、使用者が首を振った際に飛沫防止板Sにかかる力により、飛沫防止板Sが前記所定開度からずれることが起こりにくく、飛沫防止板Sの確実な開度保持が可能である。
【0036】
支持部15は、図4に一部を断面表示で示すように、本体151、回動部152、カバー153を備える。回動部152は、飛沫防止板Sの回動中心Cに一致して位置し、外側部12において軸支持されていて、本体151に対して回動可能に設けられている。回動中心Cは、その延長方向(軸方向)が使用時に使用者の左右方向に沿っている。図4に示す形態では、本体151の内部に略円板状の回動部152が設けられている。このように回動部152は、本体151によって一部が取り囲まれている。
【0037】
回動部152は、回動の周方向に並ぶ複数の被嵌合部1521を有している。本実施形態では、径内方向に凹むように形成された5か所の凹部が、被嵌合部1521として、周方向に均等な間隔(角度で20°ごと)で設けられている。周方向に隣り合う被嵌合部1521の間は凸部1522とされている。本実施形態では、5か所の凹部(被嵌合部1521)と4か所の凸部1522とが周方向に繰り返し形成され、歯車状とされている。被嵌合部1521の間は凸部1522とは周方向に沿って形成されて略サインカーブ状の凹凸である。このため、図8及び図9に示すように、飛沫防止板Sの開度を5段階で調整できる。このように構成された支持部15が凹凸嵌合により飛沫防止板Sを所定開度で保持するため、使用者の要望に近い開度の設定が確実にできる。このため、飛沫防止板Sを例えば少しだけ持ち上げて安定的に保持できるので、使い勝手が良い。また、図9(a)(b)に示すように、使用者の視線よりもはるか上方に飛沫防止板Sを持ち上げることも可能である。
【0038】
開度調整のため、本体151は、複数の被嵌合部1521の各々に対して弾性力を付与しつつ凹凸嵌合する嵌合部1511を有する。前記弾性力は、嵌合部1511の周方向に隣り合って設けられた弾性変形部1512により発揮される。本体151は、嵌合部1511及び弾性変形部1512を含んで周方向に一体で形成されている。この一体で形成された部分は樹脂で形成されている。一体で形成されたことから、弾性変形部1512がその周方向に隣り合う部分に確実に支持された構造となっており、このため、複数の被嵌合部1521の各々に対して弾性変形部1512が弾性力を確実に付与できる。この一体で形成された部分の径内位置に回動部152が位置する。
【0039】
嵌合部1511は、弾性変形部1512の内周面よりも径内に突出した凸部を有するよう形成されている。この凸部は湾曲した形状であって、その曲率は、図4に示すように、被嵌合部1521よりも小さくされている。このため嵌合部1511は、凹部である被嵌合部1521に対して奥側(径内位置)まで嵌合するのではなく、手前側(径外位置)にて部分的に嵌合する。このような嵌合状態となることから、回動部152の回動に伴ってさほど大きくない外力で凸部1522が嵌合部1511を乗り越えることができる。よって、使用者の要望に近い開度で飛沫防止板Sを安定的に保持できるにもかかわらず、開度変更を大きな力を要せず行うことができる。また、嵌合部1511と被嵌合部1521とは湾曲面同士で当接することから、本体151と回動部152との間でガタが生じにくく、飛沫防止板Sがぐらぐらしにくい。
【0040】
図4に示すように、嵌合部1511及び弾性変形部1512は外側部12の外面に対して離れて位置している。嵌合部1511及び弾性変形部1512は樹脂製であり、飛沫防止板Sを使用者が持って開閉する際における回動部152の回動に伴い凸部1522に押されることで、嵌合部1511及び弾性変形部1512は径外方向に移動して、回動部152の回動を許容する。この際、回動する回動部152の凸部1522が嵌合部1511を乗り越えることから、使用者に「カチッ」とした触感であるクリック感を与えることができ、5段階に開度が変化することを実感させられる。
【0041】
そして、回動部152の停止状態では、凹部である被嵌合部1521に凸部である嵌合部1511が、弾性変形部1512の弾性力を受けつつ凹凸嵌合する。回動部152が有する複数の被嵌合部1521と、本体151が有する嵌合部1511とを組み合わせ、弾性力下で凹凸嵌合がなされることにより、複数の被嵌合部1521の各々に対応した開度で、支持部15が飛沫防止板Sを保持できる。
【0042】
凹凸嵌合は、回動部152における回動中心Cを基準とした外周面でなされる。回動部152の周方向で凹凸嵌合がなされるため、凹凸嵌合のため回動軸方向の寸法が大きくならないので、支持部15を、特に内外方向についてコンパクトに構成できる。
【0043】
回動部152の外端面には、径方向に対向する2か所の突起1523が形成されている。図3に示すように、突起1523には飛沫防止板Sに設けられた2か所の穴S1が嵌る。
【0044】
カバー153は、回動部152に対して飛沫防止板Sを挟んで外側に取り付けられる。図1に示すように、カバー153は、飛沫防止板Sの両端部を覆うように取り付けられる。カバー153は回動部152に対して嵌合取り付けされる。図3に示すように、突起1523の先端には、突起1523同士の対向方向で外側に爪部1524が設けられている。また、図5に示すように、カバー153の裏面にはカバー嵌合部1531が形成されている。爪部1524にカバー嵌合部1531が嵌合することで、カバー153が取り付けられる。カバー153が回動部152に対して嵌合取り付けされるため、飛沫防止板Sの取り付けが容易である。
【0045】
次に、第2実施形態を図6に示す。第2実施形態では、使用者の頭部に引っ掛けるための引掛部材としての首掛け部2を備え、回動支持機構10は首掛け部2の両端部に設けられた飛沫防止板支持部3に組み込まれている。従って、回動支持機構10は首掛け部2と一体形成されている。第2実施形態では、引掛部材(首掛け部2)と回動支持機構10とが一体であることから、統一したデザインを実現できる。このため、デザイン性の高い飛沫防止板Sの支持具を形成できる。首掛け部2は、使用時において使用者の首の後部に当接する。首掛け部2は樹脂や金属等の種々の材料で形成できる。回動支持機構10は、外観は多少異なるが、構成は第1実施形態と同様である。このため、詳細の説明は省略する。なお、第1実施形態とは異なり、第2実施形態では、回動支持機構10の形成された部分を内側部11と外側部12とに分ける必要がない。
【0046】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0047】
例えば、図1に示した飛沫防止板Sの形状は一例に過ぎず、種々の形状の飛沫防止板Sとできる。
【0048】
また、第1実施形態のアタッチメント1は眼鏡Gに装着されるものとした。つまり第1実施形態では、引掛部材を眼鏡Gとし、棒状部材を眼鏡のつるG1とした。しかし、アタッチメント1の装着対象物は眼鏡Gに限定されることはなく、使用者の頭部に取り付けられる種々のものとできる。よって、ゴーグル、バンド、鉢巻き、カチューシャ、帽子、ヘルメット、サンバイザー等の種々のものを装着対象物とできる。当然であるが、サングラスや度の入っていない眼鏡を装着対象物とすることもできる。眼鏡G以外のものが装着対象物である場合、第1実施形態の挿通溝111に代えて、装着対象物に当接する種々の形状とすることができる。
【0049】
ここで、アタッチメント1の挿通溝111に関しては、図7に示すように、寸法の異なる複数の挿通溝111S,111M,111Lを備えていてもよい。図7の例では内側部11の上部にワイヤーフレームへの装着を想定した小さい挿通溝111Sが設けられ、下部にプラスチックフレームへの装着を想定した大きい挿通溝111Lが設けられ、上下の中間にメタルフレームへの装着を想定した中間的な大きさの挿通溝111Mが設けられている。複数の挿通溝111S,111M,111Lは隣接して平行に設けられている。複数の挿通溝111S,111M,111Lを選択して使用することにより、眼鏡のつる等で、複数の大きさ(太いものや細いもの)に対応できる。
【0050】
また、図示はしていないが、挿通溝111の内部に、棒状部材(眼鏡のつるG1等)に当接する凹凸が形成されていてもよい。棒状部材に凹凸が当接することで、棒状部材をずれにくくできる。また、挿通溝111の内面にゴム等の摩擦の大きい材料が取り付けられていてもよい。
【0051】
また、支持部15の凹凸嵌合は、回動部152における回動中心基準の外周面でなされるものであった。しかしこれに限定されず、嵌合部分につき本体151と回動部152の内外関係を前記実施形態とは逆とし、回動部152における回動中心基準の内周面でなされるものとすることもできる。さらに、回動部152の回動中心Cに沿う方向で、本体151と回動部152とを対向させ、当該対向部分で凹凸嵌合する構造とすることもできる。
【0052】
また、第1実施形態では、内側部11と外側部12とは、固定ねじ14によって閉じた状態が固定されていた。しかし、内側部11と外側部12との固定は、例えば両者の嵌合によるものや、クリップ状の部品に挟まれる構成や、ピンの差し込みによるものであってよい。さらに、内側部11に対して外側部12をスライド移動させて取り付ける構成であってもよく、種々の構成とできる。
【0053】
また、第1実施形態の支持部15は、20°ごとに5段階で停止できるよう構成されていた。しかし、角度及び停止の段階数は種々に設定してよい。
【符号の説明】
【0054】
1 アタッチメント
10 回動支持機構
11 内側部
111 挿通溝
12 外側部
13 開閉部
15 支持部
151 本体
1511 嵌合部
1512 弾性変形部
152 回動部
1521 被嵌合部
153 カバー
1531 カバー嵌合部
2 首掛け部
3 飛沫防止板支持部
C 飛沫防止板の回動中心
G 引掛部材、眼鏡
G1 棒状部材、眼鏡のつる
S 飛沫防止板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9