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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173806
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】水切りコップ
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/22 20060101AFI20221115BHJP
   A47K 1/09 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A47G19/22 F
A47K1/09 A
A47K1/09 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079735
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】521199395
【氏名又は名称】中田 駿也
(74)【代理人】
【識別番号】110002413
【氏名又は名称】特許業務法人ベリーベスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 駿也
【テーマコード(参考)】
3B001
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001BB03
3B001CC05
3B001DB20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単な構造で、容易に製造でき、使い勝手よく衛生的で、コップから垂れ落ちた水が自然に洗面台の槽内に流れ落ちていく水切りコップを提供する。
【解決手段】側面21と底面部22とを有し、上面が開口されているコップ本体2と、側面21の外側に固着され、側面21から離れる方向に延出して形成されている基部31と、基部31から、側面21に沿って延出して形成され、コップを載置可能に支持する支持部32と、支持部32から、側面21から離れる方向に延出して形成されている突片33とを有する支持構造3とを備え、支持構造3は、コップ本体2が支持構造3によって載置される場合に、コップ本体2から内容物が流れ落ちるように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、
前記側面の外側に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、
前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップ本体を載置可能に支持する支持部と、
前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片と、
を有する支持構造と、
を備え、
前記支持構造は、前記コップ本体が前記支持構造によって載置される場合に、前記コップ本体から内容物が流れ落ちるように構成されていることを特徴とする、水切りコップ。
【請求項2】
側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、
前記側面の外側に固着されている、略コの字形状の把手と、
前記把手に対向する前記側面に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、
前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップを載置可能に支持する支持部と、
前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片と、
を有する支持構造と、
を備え、
前記支持構造は、前記コップ本体が前記支持構造によって載置される場合に、前記コップ本体から内容物が流れ落ちるように構成されていることを特徴とする、水切りコップ。
【請求項3】
前記支持構造の支持部の載置面と前記突片とのなす角度が略直角であることを特徴とする、請求項1又は2記載の水切りコップ。
【請求項4】
前記コップ本体の開口されている上面の径が底面部の径より大きいことを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の水切りコップ。
【請求項5】
前記コップ本体の開口されている上面の中心が底面部の中心から前記支持構造寄りにずれていることを特徴とする、請求項1乃至4いずれかに記載の水切りコップ。
【請求項6】
前記コップ本体の底面部の背面に固着されている釣合錘を、さらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至5いずれかに記載の水切りコップ。
【請求項7】
前記把手が、前記支持構造と同形状であることを特徴とする、請求項2記載の水切りコップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コップ開口の縁が何にも接触せず開口を斜下向きに傾けた状態で衛生的に水きりをし、垂れ落ちた水が洗面台の排水口に自然に流れていく自立式のコップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面台等で使用されているコップは、使用後、開口を上向きに置いて保管されることが多いため、コップ内に付着した水滴がコップ底面部に溜まったままになるので雑菌が繁殖する虞や、コップ内に塵埃等が不用意に入り込む虞があった。一方、コップの開口を下向きに置いて保管しても、洗面台等にコップ開口の縁が接触するので雑菌が付着する虞があり、いずれの場合も衛生的に課題があった。
【0003】
この課題を解決するものとして、コップ開口の縁が何にも接触せず開口を斜下向きに傾けた状態で衛生的に水切り可能な自立式のコップが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。また、既存のコップを下向きに置いて保管しても、コップ開口の縁が接触することを極力避けつつ水切りをし、垂れ落ちた水を洗面台の槽の排水口に自然に流すことが可能な水切りコップ台が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
特許文献1に記載の自立式水切りコップは、コップ本体と持ち手とで構成され、持ち手を下にしてコップを載置した際に、持ち手はコップ本体を安定して支えられる形状で、かつコップ本体の開口部が斜下向きになるように形成されている。したがって、コップを持ち替えて、持ち手を下にしてコップを載置することで、カップ本体の開口部下端から内部に付着している水が下方に垂れ落ちることになる。
【0005】
特許文献2に記載の自立倒立コップは、コップ本体と取っ手と倒立足とで構成され、倒立足は取っ手に対向する外周面に取り付けられ、取っ手を上側にしてコップを載置した際に、倒立足の形状がコップ本体の開口部が斜下向きに自立するように形成されている。したがって、取っ手を持ったままコップを載置することで、カップ本体の開口部下端から内部に付着している水が下方に垂れ落ちることになる。
【0006】
特許文献3に記載の水切りコップ台は、水切りコップ台本体と凸部と水止め外周部と支柱部とで構成され、水切りコップ台本体の裏面上方部に傾斜角を付けるための支柱部を設けることで水切りコップ台の表面が傾斜面となり、水切りコップ台の表面上にコップを載置するための平行に配置されている凸部が形成され、水切りコップ台の表面外周部に排水口を除き水止め外周部が形成されている。そして、支柱部下部に設けられている吸盤で水切りコップ台の排水口が洗面台の槽の縁内部に位置するように固定しておく。既存のコップを下向きに水切りコップ台の表面上の凸部に置くことで、コップから垂れ落ちた水が溜まることなく、自然に水切りコップ台の排水口から洗面台の槽内に流れ落ちていくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-95257号公報
【特許文献2】特開2021-41127号公報
【特許文献3】特開2007-75559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に記載の自立式水切りコップ及び特許文献2に記載の自立倒立コップは、いずれもカップ本体の開口部下端が洗面台の槽の縁内部に位置するように設置する機構を有していないため、カップ本体の開口部下端から垂れ落ちた水により槽周縁のドライエリアや天板等に水溜まりができたり、カップ本体が槽内に落ちてしまったりして、見栄えや衛生上好ましくない事態が生じる虞がある。
【0009】
一方、特許文献3に記載の水切りコップ台は、コップから垂れ落ちた水を確実に洗面台の槽内に流すことを可能とするが、事前に水切りコップ台を適切な位置に設置する手間が必要で、また水切りコップ台の表面に形成されている凸部にコップの開口縁が僅かではあるものの接触するため、コップの開口縁に雑菌が付着する虞が残り、衛生上好ましくない。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構造で、容易に製造でき、使い勝手よく衛生的で、コップから垂れ落ちた水が自然に洗面台の槽内に流れ落ちていく水切りコップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の水切りコップは、側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、前記側面の外側に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップ本体を載置可能に支持する支持部と、前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片とを有する支持構造とを備え、前記支持構造は、前記コップ本体が前記支持構造によって載置される場合に、前記コップ本体から内容物が流れ落ちるように構成されている。
【0012】
請求項2に記載の水切りコップは、側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、前記側面の外側に固着されている、略コの字形状の把手と、前記把手に対向する前記側面に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップを載置可能に支持する支持部と、前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片と、を有する支持構造とを備え、前記支持構造は、前記コップ本体が前記支持構造によって載置される場合に、前記コップ本体から内容物が流れ落ちるように構成されている。
【0013】
請求項3に記載の水切りコップは、前記支持構造の支持部の載置面と前記突片とのなす角度が略直角であることにより、洗面台の槽の縁内側に突片が係止され、コップ本体の開口が確実に槽の縁の内側上方に位置するように載置されるので、コップ本体の開口から垂れ落ちた水が確実に槽内部に流れ落ちていく。
【0014】
請求項4に記載の水切りコップは、前記コップ本体の開口されている上面の径が底面部の径より大きいことにより、コップ本体の側面内側の底面から開口に向けて傾く角度が径の差の半分だけ大きくなるので、コップ本体内に付着した水滴をより早く開口から槽内部に垂れ落ちさせることができる。
【0015】
請求項5に記載の水切りコップは、前記コップ本体の開口されている上面の中心が、底面部の中心から前記支持構造寄りにずれていることにより、コップ本体の側面内側の底面から開口に向けて傾く角度がずれ量に応じて大きくなるので、コップ本体内に付着した水滴をより早く開口から槽内部に垂れ落ちさせることができる。
【0016】
請求項6に記載の水切りコップは、前記コップ本体の底面部の背面に固着されている釣合錘をさらに備えていることにより、コップ本体の開口が槽の縁の内側上方に確実に位置するとともに、コップ自体が槽内部に落ち込まないように釣合錘でバランスをとることができる。
【0017】
請求項7に記載の水切りコップは、前記把手が、前記支持構造と同形状であることにより、どちらも把手としても支持構造としても使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、前記側面の外側に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップを載置可能に支持する支持部と、前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片とを有する支持構造とを備え、前記支持構造は、前記コップ本体が前記支持構造によって載置される場合に、前記コップ本体から内容物が流れ落ちるように構成されていることにより、コップ本体を掌で把持して使用した後、コップを持ち替えることなく、突片が槽の縁の内側から係止されるようにコップを載置すれば、前記側面の内側が、底面から開口に向けて斜下向きに傾いて、コップ本体内に付着した水滴を開口から槽内部に自然に垂れ落ちさせることができ、槽上面のドライエリア等に水溜りができることもない。開口が槽等に触れることもないので、使い勝手がよく、衛生的である。
【0019】
また本発明によれば、側面と底面部とを有し、上面が開口されているコップ本体と、前記側面の外側に固着されている、略コの字形状の把手と、前記把手に対向する前記側面に固着され、前記側面から離れる方向に延出して形成されている基部と、前記基部から、前記側面に沿って延出して形成され、前記コップを載置可能に支持する支持部と、前記支持部から、前記側面から離れる方向に、延出して形成されている突片とを有する支持構造とを備えることにより、把手を持ってコップを使用した後、コップを持ち替えることなく、突片が槽の縁の内側から係止されるようにコップを載置すれば、前記側面の内側が、底面から開口に向けて斜下向きに傾いて、コップ本体内に付着した水滴を開口から槽内部に自然に垂れ落ちさせることができ、槽上面のドライエリア等に水溜りができることもない。開口が槽等に触れることもないので、使い勝手がよく、衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例1に係る水切りコップの構成例及びその断面図を示す図である。
図2】本発明の実施例2に係る水切りコップの使用方法例を示す図である。
図3】本発明の実施例2に係る水切りコップの構成例及びその断面図を示す図である。
図4】本発明の実施例2に係る水切りコップの使用方法例を示す図である。
図5】本発明の実施例3に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
図6】本発明の実施例4に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
図7】本発明の実施例5に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
図8】本発明の実施例6に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
図9】本発明の実施例7に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。図1から図9は、本発明の実施の形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的構成及び動作は同様であるものとする。
【実施例0022】
図1は、本発明の実施例1に係る水切りコップの構成例及びその断面図を示す図である。図1(A)は本発明の実施例1に係る水切りコップ1の構成例で天板やドライエリアに載置された状態を示す斜視図である。図1(B)は、図1(A)のAA線で切断された水切りコップ1の断面図である。
図1(A)に示す水切りコップ1は、コップ本体2と支持構造3と把手4とから構成される。
【0023】
コップ本体2は、略逆円錐台形状をしており、側面21の下面に径の小さい円形状の底面部22が設けられ、側面21の上面には、径が底面部22より大きい円形状の開口23が開けられている。本実施例の場合、図1(B)に示すように、底面部22の中心から延びる垂直線(図面では水平線)上に開口23の中心があり、側面21の内側は、底面部22から開口23に向けて、底面部22と開口23の径の差の半分に相当する、角度φ0で広がっている(図面では斜下向きに傾いている)。
【0024】
コップ本体2は、歯磨き後の口濯ぎや口腔内の殺菌消毒のためのうがい等に用いられるため、使い易さの観点から、一般に開口直径5.5cm~10cm、高さ5.5cm~12cm、底面直径4cm~10cmのものが好ましい。
なおコップ本体2の底面部22及び開口23の形状は、円に限らず、楕円、三角、四角、多角形等でもよい。
【0025】
支持構造3は、基部31と支持部32と突片33とから構成される。
基部31は、コップ本体2の側面21の外側に固着され、側面21から離れる方向に延出して形成されている。図1(B)に示すように、側面21と基部31とのなす角度ψは鈍角であり、本実施例の場合、基部31は、側面21の外側からやや斜上方(図面では斜右側)に突き出すように形成されている。
【0026】
支持部32は、基部31からコップ本体2の側面21に沿って延出している。図1(B)に示すように、基部31から垂直に延出しているので、コップ本体2の側面21の傾きと逆に、基部31からコップ本体2の底面部22に向かうほど、一旦コップ本体2から離れるように形成され、その後コップ本体2の底面部22を下から支えるようコップ本体2に接続されている。
【0027】
このようにすることで、水切りコップ1を槽の縁に載置すると、コップ本体2の側面21の内側の底面部22から開口23に向けて傾く角度が、底面部22と開口23の径の差の半分に相当する角度φ0より大きくなるので、コップ本体2の内側に付着した水滴が早く垂れ落ちることになる。
【0028】
突片33は、表面を基部31と合わせ、支持部32から、コップ本体2の側面21から離れる方向に延出して形成されている。本実施例の場合、支持部32と突片33とのなす角度θは直角であり、突片33は、水切りコップ1を槽の縁に載置する際、コップ本体2の開口23が槽の内側に位置するように水切りコップ1を係止するストッパーの役割を果たす。
【0029】
本実施例の場合、図1(A)に示すように、支持構造3は、基部31、支持部32及び突片33とも幅は等しく、その幅は底面部22の直径とほぼ等しい。支持部32の長さはコップ本体2の高さにほぼ等しい。
また突片33は、確実に槽の縁内に係止されるように、高さ1cm~3cmあればよい。
【0030】
把手4は、略コの字形状を有しており、コップ本体2の側面21の支持構造3に対向する位置の外側に固着されている。把手4は、支持構造3を下にしてコップ本体2を洗面台の槽に載置した場合、槽内に落ち込まないように重心を考慮して、やや底面部22寄りに配置されている。
把手4は、使い易さの観点から、幅1cm~1.5cm、高さ4.5cm~10cmあることが好ましい。
【0031】
水切りコップ1の素材は、価格の観点から、主に、AS樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂などの熱可塑性の安価な汎用樹脂が用いられ、加工のし易さから、射出成型で一体加工されることが多い。
また素材の色は、樹脂の種類によって透明、半透明又は不透明であるが、顔料を混ぜることにより様々な色に着色することが可能である。
【0032】
次に、上述のように構成された実施例1の水切りコップ1による使用方法例について図2を用いて説明する。
【0033】
図2は、本発明の実施例1に係る水切りコップの使用方法例を示す図である。
図2(A)は、水切りコップ1を洗面台6の槽61の縁に載置して保管している例である。
図2(A)に示すように、水切りコップ1を使用後、槽61の縁に載置して保管することで、水切りコップ1の側面の内側に付着した水滴が槽61の内側に自然に垂れ落ちて排水口612に流れる。
【0034】
図2(B)は、図2(A)の槽の縁付近を拡大し、水切りコップ1を具体的に載置する手順を示している。
水切りコップ1の支持構造3の突片33を、槽61の内側から縁に係止させ、支持部32の下面を槽61のドライエリア611に載置させればよい。
【0035】
ドライエリア611の水平面に対して、側面21の内側の底面部22から開口23に向けて傾く角度φは、側面21と基部31とのなす角度ψの影響を受け、底面部22と開口23の径の差の半分に相当する角度φ図1参照。)より大きくなっており、側面21の内側に付着している水滴をより早く垂れ落ちさせることができる。
【0036】
角度φと角度ψとの具体的な関係は、図2(B)に示す、側面21の内側を示す破線と、基部31の裏面から延長されている点線と、ドライエリア611と水平な2点鎖線とで形成される直角三角形の内角の和から、次式のように求められる。
φ+90°+(180°-ψ)=180° …(1)
式(1)を整理すると、式(2)が求まる。
φ=ψ-90°>0° …(2)
φ=φ0+α …(3)
90°<ψ<180° …(4)
ここで、φ0はコップ本体2自体の側面21の内側の傾き角度で、αはさらに傾かせたい角度である。
したがって、上式(2)乃至(4)を満たすように、水切りコップ1を設計すればよいことになる。
【0037】
例えば、コップ本体2の開口径が8cm、高さが9cm、底面径が7cmで、傾けたい角度φが10°の場合、φ0、ψは以下のようになる。
φ0=arctan{(8-7)/9}/2≒3.2° …(5)
ψ=φ+90°=100° …(6)
したがって、側面21と基部31とのなす角度ψを100°にすればよい。
【0038】
水切りコップ1の開口23は、突片33が槽61の縁に係止されることによって、必ず槽61の内側上方に位置することになり、ドライエリア611に水滴が垂れ落ちて水溜りができることはない。
【0039】
このように、本発明の実施例1によれば、上記構成を採用することで、簡単な構造で、容易に製造でき、使い勝手よく衛生的で、コップから垂れ落ちた水が自然に洗面台の槽内に流れ落ちていく水切りコップを提供することができる。
【実施例0040】
次に、本発明の実施例2に係る水切りコップについて図3及び4を用いて説明する。
なお、実施例2の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
【0041】
図3は、本発明の実施例2に係る水切りコップの構成例及びその断面図を示す図である。図3(A)は本発明の実施例2に係る水切りコップ1の構成例で天板やドライエリアに載置された状態を示す斜視図である。図3(B)は、図3(A)のAA線で切断された水切りコップ1の断面図である。
実施例2の水切りコップ1は、主に、開口23の中心が、底面部22の中心から支持構造3寄りにずれている点において、実施例1と構成の差異がある。
【0042】
実施例2の水切りコップ1は、図3(A)に示すように、実施例1同様に略逆円錐台形状をしており、円形状の底面部22の径より円形状の開口23の径が大きく、開口23の中心が、底面部22の中心から両者の径の差の半分だけ支持構造3寄りにずれている。
このため図3(B)に示すように、把手4側の側面21は、底面部22から開口23に向けて略垂直(図面では略水平)に屹立している一方、支持構造3側の側面21は、底面部22から開口23に向けて、底面部22と開口23の径の差分に相当する、角度φで広がっている(図面では斜下向きに傾いている)。
【0043】
基部31は、図3(B)に示すように、側面21と基部31とのなす角度ψは鈍角であり、本実施例の場合、側面21から離れる方向でほぼ水平(図面ではほぼ垂直)に延出して形成されている。
支持部32は、基部31からほぼ鉛直(図面ではほぽ水平)に延出して形成され、底面部22付近でほぼ直角に折れ曲って底面部22を下から支えるようコップ本体2に接続されている。
このようにすることで、水切りコップ1を槽の縁に載置すると、コップ本体2の支持構造3側の側面21の内側は、底面部22から開口23に向けて傾く角度φのまま、斜下向きに傾くことになるので、コップ本体2の内側に付着した水滴が自然に垂れ落ちることになる。
【0044】
図4は、本発明の実施例2に係る水切りコップの使用方法例を示す図である。
続いて、上述のように構成された水切りコップ1による使用方法について図4を用いて説明する。
【0045】
図4(A)は、水切りコップ1を洗面台6の槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図4(A)に示すように、水切りコップ1を使用後、槽61の縁の天板62上に載置して保管することで、水切りコップ1の側面の内側に付着した水滴が槽61の内側に自然に垂れ落ちて排水口612に流れる。
【0046】
図4(B)は、図4(A)の槽の縁を拡大し、水切りコップ1を具体的に載置する手順を示している側面図である。
水切りコップ1の支持構造3の突片33を、槽61の内側から縁に係止させ、支持部32の下面を槽61の縁の天板62に載置させればよい。
【0047】
天板62の水平面に対して、側面21の内側の底面部22から開口23に向けて傾く角度φは、底面部22と開口23の径の差分に相当する角度φのままであるので、角度φと角度ψとの具体的な関係は、図4(B)に示す、側面21の内側を示す破線と、基部31の裏面から延長されている点線と、天板62と水平な2点鎖線とで形成される直角三角形の内角の和から、次式のように求められる。
φ=ψ-90°>0° …(7)
90°<ψ<180° …(8)
【0048】
例えば、コップ本体2の開口径が8cm、高さが9cm、底面径が7cmの場合、ψは以下のようになる。
φ=arctan{(8-7)/9}≒6.4° …(9)
ψ=φ+90°=96.4° …(10)
したがって、側面21と基部31とのなす角度ψを96.4°にすればよい。
【0049】
水切りコップ1の開口23は、突片33によって、必ず槽61の内側上方に位置することになり、天板62に水滴が垂れ落ちて水溜りができることはない。
【0050】
このように、本発明の実施例2によれば、上記構成を採用することで、コップ本体2の底面部22から開口23に向けて斜下向きに傾く角度が、開口23の中心と底面部22の中心とのずれに相当する角度分だけ大きくなるので、コップ本体内に付着した水滴をより早く確実に垂れ落ちさせることが可能な水切りコップを提供することができる。
【実施例0051】
図5は、本発明の実施例3に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
次に、本発明の実施例3に係る水切りコップについて図5を用いて説明する。
なお、実施例3の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
実施例3の水切りコップ1は、支持構造3の幅及び形状が異なる点において、実施例2と構成の差がある。
【0052】
図5(A)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図5(B)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の側面図である。
実施例3の水切りコップ1は、図5(A)に示すように、支持構造3の幅が基部31、支持部32及び突片33とも底面部22の直径より狭くなっている。また突片33の形状が円板形状をしている。
【0053】
支持構造3の幅は、コップ本体2を安定に支持できればよいので、幅1.2cm~底面直径あればよく、少なくとも幅1.2cm~2cmあれば十分である。
突片33の形状も、槽61の縁内側に係止させるストッパーとして機能すればよいので、矩形や円板形状だけでなく、デザイン性の観点から、三角形、五角形、多角形、星形等でもよい。
【0054】
このように、本発明の実施例3によれば、上記構成を採用することで、支持構造3の小型軽量化も容易で、デザイン的にも自由度が高く、容易に製造でき、使い勝手の良い、衛生的な水切りコップを提供することができる。
【実施例0055】
図6は、本発明の実施例4に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
次に、本発明の実施例4に係る水切りコップについて図6を用いて説明する。
なお、実施例4の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
実施例4の水切りコップ1は、支持構造3において突片33の位置及び形状が異なる点及び底面部22に釣合錘が設けられている点において、実施例2と構成の差がある。
【0056】
図6(A)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図6(B)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の側面図である。
支持構造3の突片33は、図6(A)に示すように、支持部32の一部が途中から斜下向きに折れ曲り、槽61の縁内側に係止されるように突出して矩形状に形成されている。突片33が基部31表面より後方位置に形成されているので、コップ本体2の開口23は、槽61の内側寄りに位置することになる。
【0057】
また図6(B)に示すように、支持部32と突片33とのなす角度θは直角より大きい鈍角であるので、槽61の内側が斜めに傾斜してる場合にも、突片33はしっかり係止され、ストッパーの機能を果たす。一方、水切りコップ1の重心が槽61寄りにシフトし、槽61の内側に落下しやすくなっているので、底面部22の背面に釣合錘5を固着させバランスをとる構成となっている。
【0058】
突片33は、支持構造3の幅が比較的狭い場合には、支持部32の下面途中に固着され、斜下向きに延出して形成されてもよい。また突片33の幅は、支持部32の幅と同じでも狭くても広くてもよく、支持部32下面から突出している長さも、槽61の縁内に係止できれば、実施例1同様に1cm~3cmあればよい。
【0059】
このように、本発明の実施例4によれば、上記構成を採用することで、コップ本体2の開口23が槽61の縁の内側上方に確実に位置するとともに、水切りコップ1自体が槽内部に落ち込まないようにバランスをとる水切りコップを提供することができる。
また支持構造3のデザイン性の自由度も高く、使い勝手の良い、衛生的な水切りコップを提供することができる。
【実施例0060】
図7は、本発明の実施例5に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
次に、本発明の実施例5に係る水切りコップについて図7を用いて説明する。
なお、実施例5の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
実施例5の水切りコップ1は、主に、コップ本体2の形状が異なる点において、実施例3と構成の差がある。
【0061】
図7(A)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図7(B)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の側面図である。
図7(A)に示す水切りコップ1は、コップ本体2が底面部22の径と開口23の径が等しい円筒形状をしているので、図7(B)に示すように、側面21の内側は、底面部22の中心から延びる垂直線と並行になっている。
【0062】
そこで支持構造3の基部31が、コップ本体2の側面21に固着され、側面21となす角度ψが直角より大きい鈍角方向に延出して形成されることにより、支持部32は、底面部22を下から支えるように接続されている後端の長さが、基部31の長さより長くなるので、結果として、側面21の内側が斜下向き(図面では右下方向)に傾いて構成される。
【0063】
したがって、コップ本体2の底面部22と開口23の径の大小や中心位置のずれがなく、コップ本体2の側面21の内側自体が、底面部22から開口23に向けて斜下向きに傾いていなくとも、コップ本体2の側面21に固着される基部31と側面21とのなす角度ψが鈍角(90度<ψ<180度)の範囲で、側面21の内側が底面部22から開口23に向けて斜下向きに角度φで傾くように調整可能であればよいことになる。
【0064】
具体的には、実施例1の式(2)乃至(4)を参考に、以下の関係が求まる。
φ=ψ-90°>0° …(11)
φ=0°+α …(12)
90°<ψ<180° …(13)
ここで、αは傾かせたい角度である。
したがって、上式(5)乃至(7)を満たすように、水切りコップ1を設計すればよいことになる。
【0065】
例えば、コップ本体2の開口径及び底面径がが8cm、高さが9cmで、傾かせたい角度αが10°の場合、φ、ψは以下のようになる。
φ=α=10° …(14)
ψ=φ+90°=100° …(15)
したがって、側面21と基部31とのなす角度ψを100°にすればよい。
【0066】
このように、本発明の実施例5によれば、上記構成を採用することで、コップ本体2の形状に拘らない、デザイン性の自由度が高く、容易に製造でき、使い勝手の良い、衛生的な水切りコップを提供することができる。
【実施例0067】
図8は、本発明の実施例6に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
続いて、本発明の実施例6に係る水切りコップについて図8を用いて説明する。
なお、実施例6の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
実施例6の水切りコップ1は、支持構造3及び把手4の形状及び役割が異なる点において、実施例1と構成の差がある。
【0068】
図8(A)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図8(B)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の側面図である。
実施例6の水切りコップ1は、図8(A)に示すように、把手兼支持構造3a及び支持構造兼把手4aを備えている。これらは、どちらも支持構造3及び把手4の機能を有して同形状に形成され、互いに対向するコップ本体2の側面21の外側に固着されている。
【0069】
支持構造兼把手4aは、把手兼支持構造3aと同様に、基部41、支持部42及び突片43から構成される。
支持部42は、図8(B)に示すように、支持部32と同様、基部41からほぼ鉛直(図面ではほぽ水平)に延出して形成され、底面部22付近でほぼ直角に折れ曲った後、コップ本体2との間に隙間を設けて形成されている。
【0070】
支持部32及び支持部42とコップ本体2との間に隙間を設けることにより、吊下げ用に用いることも可能となり、支持部32及び支持部42の終端形状もほぼ直角に折れ曲るだけでなく、自由に決定することが可能である。
【0071】
このように、本発明の実施例6によれば、上記構成を採用することで、支持構造3か把手4かを気にすることなく使用でき、また載置用でも吊下げ用としても使用可能となり、さらにデザイン的な自由度が高く、容易に製造でき、使い勝手の良い、衛生的な水切りコップを提供することができる。
【実施例0072】
図9は、本発明の実施例7に係る水切りコップの構成例及び使用方法例を示す図である。
最後に、本発明の実施例7に係る水切りコップについて図9を用いて説明する。
なお、実施例7の水切りコップの基本的な構成及び機能は、実施例1と同一であるため、それらについての説明は省略する。
実施例7の水切りコップ1は、基部31と突片33との表面を合わせたまま、支持部32と突片33とのなす角度θが鈍角である点及び把手4がない点において、実施例6と構成の差がある。
【0073】
図9(A)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の斜視図である。
図9(B)は、水切りコップ1を槽61の縁に載置して保管している例の側面図である。
実施例6の水切りコップ1は、図9(A)に示すように、把手4がなく、コップ本体2を掌で把持する構成となっている。
また図9(B)に示すように、支持構造3の基部31と突片33とは表面を合わせ、斜め下向きに延出して形成され、支持部32と突片33とのなす角度θはドライエリア611の水平面から槽61の内側に向かう傾斜に合わせて鈍角となっている。
そして、基部31と支持部32とのなす角度βは90°(垂直)より小さい鋭角となる一方、側面21と基部31とのなす角度ψはより大きな鈍角となっている。
図9(B)より、それぞれの角度φ、θ、β、ψの関係は以降の式で表せる。
ψ=φ+θ …(16)
θ+β=180° …(17)
したがって、上式(16)及び(17)を満たすように、水切りコップ1を設計すればよいことになる。
【0074】
例えば、コップ本体2の開口径が8cm、高さが9cm、底面径が7cmで、槽61の縁の水平面に対する角度が120°の場合、角度φ、θ、ψ、βは以下のようになる。
φ=arctan{(8-7)/9}/2≒3.2° …(19)
θ=120° …(20)
ψ=3.2°+120°=123.2° …(21)
β=180°-120°=60° …(22)
したがって、側面21と基部31とのなす角度ψを123.2°、基部31と支持部32とのなす角度βを60°にすればよい。
【0075】
以上、本発明の実施例に係る水切りコップについて、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上記各実施形態又は他の実施形態にかかる発明の構成及び機能に様々な変更・改良を加えることが可能である。
【0076】
例えば、本発明の実施例によれば、側面21及び底面部22の内側と外側が同形状のコップ本体2について説明してきたが、例えば保温等のために二層構造を有し、内側は略円錐台形状で、外側は円筒形状のコップ本体2についても、同様の構成にすることで同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 水切りコップ
2 コップ本体
21 側面
22 底面部
23 開口
3 支持構造
3a 把手兼支持構造
31 基部
32 支持部
33 突片
4 把手
4a 支持構造兼把手
41 基部
42 支持部
43 突片
5 釣合錘
6 洗面台
61 槽
611 ドライエリア
612 排水口
62 天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9