(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173826
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】直結式給水装置、及びそのメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
E03B 5/00 20060101AFI20221115BHJP
F04B 53/10 20060101ALI20221115BHJP
F04B 53/16 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E03B5/00 B
F04B53/10 B
F04B53/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079787
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB11
3H071CC35
3H071CC37
3H071DD14
3H071DD37
(57)【要約】
【課題】 逆流防止装置の点検時であっても給水可能な状態を維持しながら、逆流防止装置の点検を実施することが可能な直結式給水装置及びそのメンテナンス方法の一例を開示する。
【解決手段】 第1逆流防止装置15Aのメンテナンス時に第2逆流防止装置15Bを給水装置1に装着し、第1逆流防止装置15Aの非メンテナンス時には、第2逆流防止装置15Bを給水装置1から取り外した構成とする。これにより、第1逆流防止装置15Aのメンテナンス時であっても給水可能な状態を維持しながら、第1逆流防止装置15Aのメンテナンスを実施することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道圧を利用して給水可能な直結式給水装置において、
水道水の給水圧を増圧して送水するポンプと、
前記ポンプの上流側に配置され、当該ポンプから水道配管側に水が流通することを規制する逆流防止装置と、
前記逆流防止装置の流入側に設けられ、水の流通を阻止する場合と当該流通を許容する場合とを切り替え可能な第1止水弁と、
前記逆流防止装置の流出側に設けられた第2止水弁と、
前記逆流防止装置の上流側に設けられた第1分岐体であって、流入部が水道配管側に接続され、第1流出部が前記逆流防止装置側に接続され、第2流出部が第3止水弁側に接続された第1分岐体と、
前記逆流防止装置の下流側に設けられた第2分岐体であって、第1流入部が前記逆流防止装置の下流側に接続され、第2流入部が第4止水弁側に接続され、流出部が前記ポンプの流入部に接続された第2分岐体と、
前記逆流防止装置の流入側に設けられ、流水から異物を除去するためのストレーナと
を備える直結式給水装置。
【請求項2】
前記ポンプを迂回して当該ポンプの吸込側と吐出し側と連通させるバイパス管と、
前記バイパス管内を水が前記ポンプの吐出し側から吸込側に向けて流通することを規制する逆止弁とを備え、
前記第4止水弁は、前記逆止弁より上流側に位置している請求項1に記載の直結式給水装置。
【請求項3】
前記第1流出部と前記逆流防止装置との間の給水経路に前記ストレーナが配置されている請求項1又は2に記載の直結式給水装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の直結式給水装置に設けられた逆流防止装置を点検、修理又は交換する際のメンテナンス方法において、
第2の逆流防止装置の流入側が前記第3止水弁側に接続され、かつ、当該第2の逆流防止装置の流出側が前記第4止水弁側に接続された状態で、前記第3止水弁及び前記第4止水弁を開いて水の流通を許容し、かつ、前記第1止水弁及び前記第2止水弁を閉じて水の流通を阻止するバルブ操作工程を実施し、
前記バルブ操作工程を実施した後に、前記逆流防止装置を点検、修理又は交換するメンテナンス工程を実施する直結式給水装置のメンテナンス方法。
【請求項5】
前記バルブ操作工程を実施する前に、前記第2の逆流防止装置の流入側を前記第3止水弁側に接続し、かつ、当該第2の逆流防止装置の流出側を前記第4止水弁側に接続する請求項4に記載の直結式給水装置のメンテナンス方法。
【請求項6】
前記第2の逆流防止装置として、当該直結式給水装置のケース内に載置されている逆流防止装置を利用する請求項4又は5に記載の直結式給水装置のメンテナンス方法。
【請求項7】
請求項6に記載のメンテナンス方法が適用可能な直結式給水装置において、
前記第2の逆流防止装置の流入側と前記第3止水弁側とを接続するための配管、及び前記第2の逆流防止装置の流出側と前記第4止水弁側とを接続するための配管のうち少なくとも一方の配管は、フレキシブルホースにて構成されており、
さらに、前記第2の逆流防止装置のフランジ部を利用して当該第2の逆流防止装置を保持する保持部材を備えている直結式給水装置。
【請求項8】
前記メンテナンス工程の実施後、前記第2の逆流防止装置の流入側と前記第3止水弁側との接続状態、及び当該第2の逆流防止装置の流出側と前記第4止水弁側との接続状態のうち少なくとも一方の接続状態を維持した状態でメンテナンスを終了する請求項4に記載の直結式給水装置のメンテナンス方法。
【請求項9】
前記メンテナンス工程の実施後、前記第3止水弁及び前記第4止水弁を閉じた後にメンテナンスを終了する請求項4に記載の直結式給水装置のメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水道圧を利用して給水可能な直結式給水装置、及びそのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直結式給水装置に設けられた逆流防止装置は、年に少なくとも1回、法定の点検(メンテナンス)を受けることが義務付けられている。逆流防止装置は、給水経路に対して直列に配置されるので、逆流防止装置の点検時は、給水を行うことができず、断水状態となってしまう。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の直結式給水装置では、2つの逆流防止装置が給水経路に対して互いに並列に配置されている。これにより、特許文献1に記載の直結式給水装置では、いずれか一方の逆流防止装置を点検する際に、他方の逆流防止装置を利用して給水できるので、逆流防止装置を点検しながら継続的に給水できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、逆流防止装置の点検時には、1つの逆流防止装置にて給水を継続している。つまり、逆流防止装置の点検時以外のときであっても、1つの逆流防止装置で給水をすることが可能である。
【0006】
本開示は、上記点に鑑み、逆流防止装置の点検時であっても給水可能な状態を維持しながら、逆流防止装置の点検を実施することが可能な直結式給水装置及びそのメンテナンス方法の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例水道圧を利用して給水可能な直結式給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0008】
すなわち、当該構成要件は、水道水の給水圧を増圧して送水するポンプ(7A、7B)と、ポンプ(7A、7B)の上流側に配置され、当該ポンプ(7A、7B)から水道配管側に水が流通することを規制する逆流防止装置(15A)と、逆流防止装置(15A)の流入側に設けられ、水の流通を阻止する場合と当該流通を許容する場合とを切り替え可能な第1止水弁と、逆流防止装置(15A)の流出側に設けられた第2止水弁(71A)と、逆流防止装置(15A)の上流側に設けられた第1分岐体(16)であって、流入部(16A)が水道配管側に接続され、第1流出部(16B)が逆流防止装置(15A)側に接続され、第2流出部(16C)が第3止水弁(19B)側に接続された第1分岐体(16)と、逆流防止装置(15A)の下流側に設けられた第2分岐体(71)であって、第1流入部(71D)が逆流防止装置(15A)の下流側に接続され、第2流入部(71E)が第4止水弁(19C)側に接続され、流出部(71D、71E)がポンプ(7A、7B)の流入部(S1、S2)に接続された第2分岐体(71)と、逆流防止装置(15A)の流入側に設けられ、流水から異物を除去するためのストレーナ(20)とである。
【0009】
これにより、当該直結式給水装置に設けられた逆流防止装置(15A)を作業者が点検、修理又は交換する際には、例えば、第2の逆流防止装置(15B)を準備し、当該第2の逆流防止装置(以下、点検用逆流防止装置(15B)という。)の流入側を第3止水弁(19B)側に接続し、かつ、点検用逆流防止装置(15B)の流出側を第4止水弁(19C)側に接続した後、第3止水弁(19B)及び第4止水弁(19C)を開いて水の流通を許容し、かつ、第1止水弁(19A)及び第2止水弁(71A)を閉じて水の流通を阻止した後、逆流防止装置(15A)を点検、修理又は交換することでき得る。
【0010】
つまり、逆流防止装置(15A)の点検等を実施しない場合には、当該直結式給水装置では、逆流防止装置(15A)を経由して給水が実行される。そして、逆流防止装置(15A)の点検等を実施する場合には、当該直結式給水装置では、点検等のときのみ利用される点検用逆流防止装置(15B)を経由して給水が継続される。
【0011】
そして、作業者は、点検用逆流防止装置(15B)を経由して給水が実施されている間に逆流防止装置(15A)の点検等をすることができる。延いては、逆流防止装置(15A)を点検等するときであっても給水可能な状態を維持しながら、当該逆流防止装置(15A)の点検等を実施することができる。
【0012】
なお、点検用逆流防止装置(15B)は、点検等をするときのみ給水に利用される逆流防止装置である。作業者は、予め決められた箇所に載置されている逆流防止装置を当該点検用逆流防止装置(15B)として利用する。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置の給水回路を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0018】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。直結式給水装置とは、水道圧を利用して給水可能な給水装置である。このため、当該給水装置1は、受水槽等の貯水装置を備えていない。
【0019】
<1.1 給水装置の構成>
本実施形態に係る給水装置は、
図1に示されるように、流入部3、給水部5、ポンプ装置7、バイパス管9、逆止弁11、蓄圧器13及び逆流防止装置15A等を少なくとも備えている。
【0020】
流入部3は、水道配管が接続される部位である。給水部5は、給水用の水を建物等に送出する送出部である。なお、ポンプ装置7、バイパス管9、逆止弁11、蓄圧器13及び逆流防止装置15Aは、
図2に示されるように、1つのケース17内に収納されている。
【0021】
<1.2 ポンプ装置>
図1に示されるように、ポンプ装置7(二点鎖線で囲まれた装置)は、複数台のポンプ(本実施形態では、第1ポンプ7A及び第2ポンプ7B)、吸込側開閉ユニット71及び吐出側開閉ユニット72等を少なくとも有している。
【0022】
第1ポンプ7A及び第2ポンプ7Bそれぞれは、流入部3から給水部5に至る給水経路に対して並列配置されている。つまり、当該給水経路は、第1ポンプ7Aを経由して給水部5に至る給水経路、及び第2ポンプ7Bを経由して給水部5に至る給水経路を有する。
【0023】
第1ポンプ7A及び第2ポンプ7Bは、
図2に示される電動モータ7C、7Dにより駆動される。電動モータ7C、7D、つまりポンプ装置7の作動は、制御部(図示せず。)により制御される。当該制御部は、制御盤7E内に収納されている。
【0024】
<1.3 吸込側開閉ユニット(
図1参照)>
吸込側開閉ユニット71(細線で囲まれた装置)は、ポンプ装置7の吸込部を構成する。つまり、吸込側開閉ユニット71は、第1ポンプ7Aの吸込口S1及び第2ポンプ7Bの吸込口S2に連通しているとともに、各吸込口S1、S2と流入部3側との連通状態を切り替えるための開閉弁の一例である。
【0025】
本実施形態に係る吸込側開閉ユニット71は、吸込三方弁71A、吸込二方弁71B及び吸込側合流管71C等を有して構成されている。吸込三方弁71Aは、第1ポンプ7Aの吸込口S1に接続された三方Tポートボール弁にて構成されている。
【0026】
吸込二方弁71Bは、第2ポンプ7Bの吸込口S2に接続された二方Lポートボール弁にて構成されている。吸込側合流管71Cは、吸込三方弁71Aと吸込二方弁71Bとを連結する。
【0027】
<1.4 吐出側開閉ユニット(
図1参照)>
吐出側開閉ユニット72(細線で囲まれた装置)は、ポンプ装置7の吐出し部を構成する。つまり、吐出側開閉ユニット72は、第1ポンプ7Aの吐出し口D1及び第2ポンプ7Bの吐出し口D2に連通しているとともに、各吐出し口D1、D2と給水部5側との連通状態を切り替えるための開閉弁の一例である。
【0028】
本実施形態に係る吐出側開閉ユニット72は、第1吐出三方弁72A、第2吐出二方弁72B及び吐出側合流管72C等を有して構成されている。第1吐出三方弁72Aは、第1ポンプ7Aの吐出し口D1及び給水部5側に接続された三方Lポートボール弁にて構成されている。
【0029】
第2吐出二方弁72Bは、第2ポンプ7Bの吐出し口D2に接続された二方Lポートボール弁にて構成されている。吐出側合流管72Cは、第1吐出三方弁72Aと第2吐出二方弁72Bとを連結する。
【0030】
なお、第1ポンプ7Aの吐出し口D1と第1吐出三方弁72Aとの間には、第1逆止弁73Aが設けられている。第1逆止弁73Aは、吐出し口D1に向けて水が流通することを規制し、当該流通の向きと反対向きの流通を許容する。
【0031】
第2ポンプ7Bの吐出し口D2と第2吐出二方弁72Bとの間には、第2逆止弁73Bが設けられている。第2逆止弁73Bは、吐出し口D2に向けて水が流通することを規制し、当該流通の向きと反対向きの流通を許容する。
【0032】
本実施形態に係る第1吐出三方弁72A、第2吐出二方弁72B、吸込三方弁71A及び吸込二方弁71Bは、作業員等により手動操作される操作バルブである。第1吐出三方弁72A及び第2吐出二方弁72Bは、ケース17において、吸込三方弁71A及び吸込二方弁71Bに対して手前側(正面側)に配置されている(
図3参照)。
【0033】
なお、手前側(正面側)とは、ケース17に装着されたカバー17A(
図3参照)が配置された側をいう。カバー17Aは、ケース17に着脱自在に装着され、ケース17の正面側を覆うものである。
【0034】
具体的には、第1吐出三方弁72Aと吸込三方弁71Aとは、双方のボール弁(図示せず。)の回転中心軸線がケース17の前後方向に一致するように、前後方向にずれて配置されている。
【0035】
第2吐出二方弁72Bと吸込二方弁71Bとは、双方のボール弁(図示せず。)の回転中心軸線がケース17の前後方向に一致するように、前後方向にずれて配置されている。そして、第1吐出三方弁72Aと吸込三方弁71Aとが連動作動し、かつ、第2吐出二方弁72Bと吸込二方弁71Bとが連動作動するように構成されている。
【0036】
<1.5 逆流防止装置(
図1参照)>
逆流防止装置15Aは、流入部3から吸込部に至る吸込経路に設けられている。当該逆流防止装置15Aは、吸込側開閉ユニット71側から流入部3側に向けて水が流通することを規制し、流入部3側から吐出側開閉ユニット72側に水が流通することを許容する。
【0037】
本実施形態に係る給水装置1では、第2逆流防止装置15Bが装着可能である。第2逆流防止装置15Bは、逆流防止装置15A(以下、第1逆流防止装置15Aという。)と同様な機能を発揮するものである。
【0038】
すなわち、第2逆流防止装置15Bは、第1逆流防止装置15Aが点検、修理又は交換される際(以下、メンテナンス時という。)に作業者により給水装置1に装着される逆流防止装置である。
【0039】
第2逆流防止装置15Bは、メンテナンス時において第1逆流防止装置15Aに対して並列に前記吸込経路に配置される。そして、当該第2逆流防止装置15Bは、吸込側開閉ユニット71側から流入部3側に向けて水が流通することを規制し、かつ、流入部3側から吐出側開閉ユニット72側に水が流通することを許容する。
【0040】
なお、本実施形態に係る第2逆流防止装置15Bは、第1逆流防止装置15Aに比べて小型の逆流防止装置に構成されている。このため、第2逆流防止装置15Bに接続される給水配管15C、15Dは、他の給水配管に比べて内径が小さい。
【0041】
吸込経路のうち第1逆流防止装置15Aの上流側には、分岐体16が設けられている。分岐体16は、流入部3から流入した水を第1逆流防止装置15A又は第2逆流防止装置15Bに流通させるための分岐管である。
【0042】
つまり、分岐体16は、流入部16A、第1流出部16B及び第2流出部16Cを有する。流入部16Aは水道配管側に接続されている。第1流出部16Bは第1逆流防止装置15A側に接続されている。第2流出部16Cは開閉弁19B側に接続されている。
【0043】
開閉弁19Bは、水の流通を阻止する場合と当該流通を許容する場合とを切り替え可能な止水弁を構成する。なお、第1流出部16Bと第1逆流防止装置15Aとの間に、つまり、第1逆流防止装置15Aの上流側にも、止水弁をなす開閉弁19Aが設けられている。
【0044】
吸込部、つまり吸込側開閉ユニット71は、第1流入部71D及び第2流入部71Eが設けられている。第1流入部71Dは、第1逆流防止装置15Aの下流側が接続された部位である。第2流入部71Eは開閉弁19C側に接続されている。
【0045】
開閉弁19Cは、水の流通を阻止する場合と当該流通を許容する場合とを切り替え可能な止水弁を構成する。吸込側開閉ユニット71の流出部71Fは、第1ポンプ7A吸込口S1側に接続されている。
【0046】
吸込側開閉ユニット71の流出部71Gは、第2ポンプ7Bの吸込口S2側に接続されている。本実施形態では、吸込三方弁71Aに設けられた流出口の1つが流出部71Fに相当し、吸込二方弁71Bに設けられた流出口が出部71Gに相当する。
【0047】
つまり、本実施形態に係る吸込側開閉ユニット71は、第1逆流防止装置15Aの下流側に設けられ、第1逆流防止装置15A又は第2逆流防止装置15Bから流出した水を第1ポンプ7A及び第2ポンプ7Bに導く第2の分岐体を構成する。
【0048】
そして、第2逆流防止装置15Bが給水装置1に装着された場合においては、第2逆流防止装置15Bの上流側が給水配管15Cを介して開閉弁19Bに接続され、第2逆流防止装置15Bの下流側が給水配管15Dを介して開閉弁19Cに接続される。
【0049】
なお、第1流入部71Dは、水平方向に開口し、かつ、吸込三方弁71Aの開口により構成されている。第2流入部71Eは、
図2に示されるように、吸込側合流管71Cの中間部に設けられ、かつ、下方に向けて開口している。
【0050】
<1.6 蓄圧器(
図1参照)>
蓄圧器13は、ポンプ装置7が停止しているときに、給水圧を保持するため装置(例えば、アキュムレータ)である。当該蓄圧器13は、ポンプ装置7の吐出し部、つまり吐出側開閉ユニット72から給水部5に至る吐出経路に接続されている。
【0051】
吐出経路と蓄圧器13とを接続する接続経路には、当該接続経路を開閉する開閉弁19Dが設けられている。吐出経路のうち蓄圧器13より下流側に開閉弁19Eが設けられている。
【0052】
<1.7 バイパス管(
図1参照)>
バイパス管9は、吸込経路のうち第1逆流防止装置15Aより下流側に接続された管であって、第1逆流防止装置15Aから流出した水をポンプ装置7を迂回させて給水部5側に導く迂回経路を構成する管である。
【0053】
なお、第2逆流防止装置15Bが給水装置1に装着された場合にあっては、当該バイパス管9は、第2逆流防止装置15Bから流出した水をポンプ装置7を迂回させて給水部5側に導く。
【0054】
本実施形態に係るバイパス管9は、
図3に示されるように、開閉弁19Cと第1流入部71Dとを繋ぐ部位P1と蓄圧器13より上流側の部位P2とを繋ぐ管である。逆止弁11は、バイパス管9内を流通する水がポンプ装置7の吐出し側から吸込側に向けて流通することを規制する。
【0055】
なお、部位P1は、吸込側合流管71C(
図2参照)の延び方向(水平方向)略中央部から下方に延びる管部である。部位P2は、吐出側合流管72C(
図4参照)の延び方向(水平方向)略中央部から下方に延びる管部である。
【0056】
さらに、部位P1と部位P2とは、
図3に示されるように、互いに近接した状態で隣り合う位置に配置され、かつ、互いに平行に上下方向に延びている。そして、バイパス管9は、部位P1と部位P2とを繋ぐように水平方向に延びている。
【0057】
バイパス管9のうち逆止弁11より下流側には、開閉弁19Fが設けられている。そして、開閉弁19Cは、逆止弁11より上流側に位置している。つまり、逆止弁11の上流側及び下流側に開閉弁が存在する。
【0058】
<1.8 その他構成>
上述したように、第1吐出三方弁72A及び第2吐出二方弁72Bは、ケース17において、吸込三方弁71A及び吸込二方弁71Bに対して手前側(正面側)に配置されている。
【0059】
このため、吸込側開閉ユニット71が取り外された状態においては、
図4に示されるように、吐出側開閉ユニット72が露出する。つまり、吐出側開閉ユニット72は、吸込側開閉ユニット71より奥側に配置されている(
図3参照)。
【0060】
図1に示されるように、分岐体16の第1流出部16Bと第1逆流防止装置15Aとの間の給水経路には、ストレーナ20が配置されている。当該ストレーナ20は、第1逆流防止装置15Aの流入側において、流水から異物を除去する。なお、本実施形態に係るストレーナ20は、開閉弁19Aのハウジングに内蔵されている。
【0061】
図2に示されるように、第2逆流防止装置15Bの流入側と開閉弁19B側とを接続するための給水配管15C、及び第2逆流防止装置15Bの流出側と開閉弁19C側とを接続するための給水配管15Dは、フレキシブルホースにて構成されている。
【0062】
<2.第1逆流防止装置のメンテナンス方法(
図1及び
図2参照)>
本実施形態に係る給水装置1では、第2逆流防止装置15Bが常備されてない。そこで、メンテナンスを行う作業者は、先ず、第2逆流防止装置15Bの流入側を開閉弁19B側に接続し、かつ、当該第2逆流防止装置15Bの流出側を開閉弁19C側に接続する(以下、当該作業を接続工程という。)。
【0063】
給水装置1に装着された第2逆流防止装置15Bは、ケース17の中、及びケース17の外のうちいずれの場所に載置されてもよい。なお、
図2及び
図3では、ケース17外に第2逆流防止装置15Bが載置されている。
【0064】
そして、当該第2逆流防止装置15Bの下面側には、自立台15Eが装着されている。自立台15Eは、当該下面側のフランジ部を利用して当該第2逆流防止装置15Bを自立させるとともに、当該フランジ部の下方に空間を確保するものである。
【0065】
なお、当該フランジ部は、第2逆流防止装置15Bに高い水圧が作用した際に、当該高圧水を排出するためのドレン管(図示せず。)を接続するためのものである。つまり、自立台15Eがフランジ部に装着された状態では、ドレン口が露出した状態となる。
【0066】
なお、本実施形態では、給水配管15C、15Dは、予め給水装置1に装着されている。つまり、給水配管15Cは開閉弁19Bに接続され、給水配管15Dは開閉弁19Cに接続されている。したがって、作業者は、第2逆流防止装置15Bに給水配管15C、15Dを接続すれば、接続工程が終了する。
【0067】
次に、作業者は、開閉弁19B及び開閉弁19Cを開いて水の流通を許容し、かつ、開閉弁19A及び吸込三方弁71Aの第1流入部71Dを閉じて水の流通を阻止するバルブ操作工程を実施する。その後、作業者は、第1逆流防止装置15Aの点検を実施する。
【0068】
そして、メンテナンス工程の実施後、作業者は、開閉弁19B及び開閉弁19Cを閉じた後にメンテナンスを終了する。その後、作業者は、第2逆流防止装置15Bから給水配管15C、15Dを取り外して当該第2逆流防止装置15Bを給水装置1から取り外す。
【0069】
なお、第2逆流防止装置15Bは、給水対象となる建物の予め決められた場所に保管されている逆流防止装置、又は給水装置1のメンテナンス用の道具の一つとして、作業者が持ち込んだ逆流防止装置である。
【0070】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
第1逆流防止装置15Aの非メンテナンス時には、当該給水装置1では、第1逆流防止装置15Aを経由して給水が実行される。そして、第1逆流防止装置15Aのメンテナンス時には、当該給水装置1では、第2逆流防止装置15Bを経由して給水が継続される。
【0071】
そして、作業者は、第2の逆流防止装置15Bを経由して給水が実施されている間に第1逆流防止装置15Aの点検等をすることができる。延いては、メンテナンス時であっても給水可能な状態を維持しながら、第1逆流防止装置15Aの点検等を実施することができる。
【0072】
本実施形態に係る給水装置1では、第2逆流防止装置15Bが当該給水装置1に常備された構成ではない。したがって、給水装置1の部品点数の増加、及び質量増加を抑制できる。つまり、本実施形態に係る給水装置1では、逆流防止装置が1台のみの給水装置と同等の大きさ及び質量となり得る。
【0073】
本実施形態に係る給水装置1では、バイパス管9のうち逆止弁11より下流側には、開閉弁19Fが設けられ、かつ、バイパス管9は、部位P1と部位P2とを繋ぐように水平方向に延びている(
図3参照)。
【0074】
したがって、開閉弁19Fを配置するための空間を別途確保する必要がないので、メンテナンス時に第2逆流防止装置15Bを接続等するための作業空間を確保することが可能となる。延いては、メンテナンスの作業性が低下してしまうことを抑制でき得る。
【0075】
第2逆流防止装置15Bを給水装置1に装着するための給水配管15C、15Dは、フレキシブルホースにて構成されている。これにより、メンテナンス時に第2逆流防止装置15Bを接続する際の作業性が低下してしまうことを抑制でき得る。
【0076】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1では、第2逆流防止装置15Bが常備されてない構成であった。これに対して、本実施形態に係る給水装置1は、
図5及び
図6に示されるように、第2逆流防止装置15Bがケース17内に常備されている構成である。
【0077】
このため、ケース17には、保持部材15Fが設けられている。保持部材15Fは、第2逆流防止装置15Bのフランジ部を利用して当該第2逆流防止装置15Bを保持するブラケットである。
【0078】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0079】
そして、本実施形態に係るメンテナンス方法においては、給水配管15C及び給水配管15Dの接続状態のうち少なくとも一方の接続状態を維持した状態でメンテナンスを終了する。
【0080】
具体的には、作業者は、(a)給水配管15Cの接続状態を維持した状態でメンテナンスを終了する、(b)給水配管15Dの接続状態を維持した状態でメンテナンスを終了する、又は(c)給水配管15C、15Dの接続状態を維持した状態でメンテナンスを終了する。
【0081】
以上により、本実施形態に係る給水装置1のメンテナンスにおいては、作業者は、メンテナンスに備えて第2逆流防止装置15Bを携行する必要がない。
【0082】
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水配管15C、15Dは、フレキシブルホースにて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、給水配管15C、15Dのうち少なくとも一方の給水配管が金属にて構成されていてもよい。
【0083】
上述の実施形態に係るストレーナ20は、第1逆流防止装置15Aに流入する水のみを濾過する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ストレーナ20にて第1逆流防止装置15A又は第2逆流防止装置15Bに流入する水を濾過する構成、又は第2逆流防止装置15Bの上流側に第2逆流防止装置15B用のストレーナが設けられた構成であってもよい。
【0084】
上述の実施形態に係る吸込側開閉ユニット71は、吸込三方弁71A、吸込二方弁71B及び吸込側合流管71C等を有して構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0085】
上述の実施形態に係る吐出側開閉ユニット72は、第1吐出三方弁72A、第2吐出二方弁72B及び吐出側合流管72C等を有して構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0086】
上述の実施形態に係るバイパス管9は、
図3に示されるように、部位P1と部位P2とを繋ぐように水平方向に延びていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、フレキシブルホースにてポンプ装置7の上流側と下流側との繋ぐ構成であってもよい。
【0087】
上述の実施形態に係るに係る第2逆流防止装置15Bは、第1逆流防止装置15Aに比べて小型の逆流防止装置に構成され、かつ、第2逆流防止装置15Bに接続される給水配管15C、15Dは、他の給水配管に比べて内径が小さいものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0088】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1… 給水装置 3…流入部 5… 給水部
7… ポンプ装置 7A…第1ポンプ 7B… 第2ポンプ
9… バイパス管 11…逆止弁 13… 蓄圧器
15A… 第1逆流防止装置 15B…第2逆流防止装置