(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173827
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
E03B 5/00 20060101AFI20221115BHJP
F04B 53/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E03B5/00 B
F04B53/00 H
F04B53/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079788
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
3H071
【Fターム(参考)】
3H071AA02
3H071CC21
3H071CC26
3H071DD82
3H071DD89
(57)【要約】
【課題】 建物側配管と給水配管との接続施工時に、電動ポンプを弾性支持する部材に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうことを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 給水装置1は、接続部3の変位を規制する規制部25を備える。これにより、当該給水装置1では、水道配管P1等が接続部3に設けられた管用雌ねじにねじ込まれる接続施工時に、各弾性支持体24に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうことが抑制され得る。延いては、各弾性支持体24にてポンプ装置7を適切に弾性支持することが可能となり得るので、給水装置1の稼働時に各弾性支持体24にて十分な防振・防音効果が発揮され得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ポンプ、配管及び制御盤がケース内に収納された給水装置において、
前記電動ポンプに作用する重力の少なくとも一部を受ける弾性支持体であって、少なくとも重力方向に弾性変形可能な弾性支持体と、
前記配管のうち給水対象物に設けられた配管に接続される部位を接続部としたとき、前記接続部の変位を規制する規制部と
を備える給水装置。
【請求項2】
前記規制部は、弾性変形可能な弾性材を有しているとともに、当該弾性材を介して前記接続部の変位を規制する請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
前記弾性材は、少なくとも水平方向に弾性変位可能である請求項2に記載の給水装置。
【請求項4】
前記弾性支持体を介して前記電動ポンプを支持する架台であって、当該弾性支持体が配置された天板部を有する架台を備え、
前記接続部は、前記天板部より下方に位置しており、
さらに、前記規制部は、前記架台に連結されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項5】
前記架台は、前記天板部が設けられた矩形枠状の枠フレーム、並びに前記ケースの幅方向一端側及び当該ケースの幅方向他端側それぞれ2本ずつ配置され、前記枠フレームに固定された脚部を有するテーブル状であり、
前記規制部は、前記枠フレームに連結されている請求項4に記載の給水装置。
【請求項6】
前記ケースは、前記枠フレームより上方側を覆う上部カバー、及び当該枠フレームより下方側を覆う下部カバーを有する請求項5に記載の給水装置。
【請求項7】
前記配管の一部を構成するとともに前記接続部に最も近いエルボに前記規制部が連結されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項8】
前記接続部は、給水対象物に設けられた水道配管に接続される流入接続部、及び給水対象物に設けられた送水用配管に接続される送水接続部のうち少なくとも一方の接続部である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ポンプ、配管及び制御盤等がケース内に収納された給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、ポンプベースと棧部材、右側部材との間にゴム等の弾性部材が介装されている。つまり、特許文献1に記載の給水装置では、電動ポンプが弾性支持された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動ポンプの吸込側及び吐出し側には給水配管が接続されている。そして、給水装置が設置された状態では、当該給水配管は、建物等の給水対象物に設けられた配管(以下、建物側配管という。)に接続される。
【0005】
建物側配管の多くは、給水配管側に設けられた管用雌ねじにねじ込まれて当該給水用配管に接続される。このため、建物側配管と給水配管との接続施工時に、給水配管に大きな力が作用してしまう。
【0006】
給水配管に大きな力が作用すると、電動ポンプを支持する弾性部材に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうため、当該弾性部材にて電動ポンプを適切に弾性支持することができなくなる。
【0007】
すなわち、建物側配管と給水配管との接続施工時に、弾性部材に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうと、給水装置の稼働時に弾性部材にて十分な防振・防音効果が発揮されないおそれがある。
【0008】
本開示は、上記点に鑑み、建物側配管と給水配管との接続施工時に、電動ポンプを弾性支持する部材に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうことを抑制可能な給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
電動ポンプ(7)、配管(19)及び制御盤(7E)がケース(17)内に収納された給水装置は、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0010】
すなわち、当該構成要件は、電動ポンプ(7)に作用する重力の少なくとも一部を受ける弾性支持体(24)であって、少なくとも重力方向に弾性変形可能な弾性支持体(24)と、配管(19)のうち給水対象物に設けられた配管に接続される部位を接続部(3)としたとき、接続部(3)の変位を規制する規制部(25)とである。
【0011】
これにより、当該給水装置では、接続部(3)と給水対象物に設けられた配管との接続施工時に、弾性支持体(24)に不必要な偏荷重やねじり荷重が作用してしまうことが抑制され得る。
【0012】
延いては、弾性支持体(24)にて電動ポンプ(7)を適切に弾性支持することが可能となり得るので、給水装置の稼働時に弾性支持体(24)にて十分な防振・防音効果が発揮され得る。
【0013】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態に係る給水装置の給水回路を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る給水装置の給水回路の実装を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る給水装置のケース及び架台を示す図である。
【
図6】吸込側開閉ユニット及び吐出側開閉ユニットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0016】
なお、各図に付された方向を示す矢印及び斜線等は、各図相互の関係及び各部材又は部位の形状を理解し易くするために記載されたものである。したがって、本開示に示された発明は、各図に付された方向に限定されない。斜線が付された図は、必ずしも断面図を示すものではない。
【0017】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0018】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。直結式給水装置とは、水道圧を利用して給水可能な給水装置である。このため、当該給水装置1は、受水槽等の貯水装置を備えていない。
【0019】
<1.1 給水装置の概略構成>
本実施形態に係る給水装置は、
図1に示されるように、流入接続部3A、送水接続部3B、ポンプ装置7、バイパス管9、蓄圧器13及び逆流防止装置15等を少なくとも備えている。
【0020】
流入接続部3A、送水接続部3B、ポンプ装置7、バイパス管9、蓄圧器13及び逆流防止装置15は、
図2~
図4に示されるように、1つのケース17内に収納されている。そして、各機器3A、3B、7、13、15は、配管19により接続されている。
【0021】
なお、本実施形態に係る配管19は、いわゆる金属製の配管は勿論のこと、エルボ等の継ぎ手及びフレキシブルホース等の可撓性を有する管も含まれる意味である。つまり、各機器3、5、7、13、15を繋いで給水経路を構成する部材が配管19である。
【0022】
流入接続部3Aは、水道配管P1(
図2参照)が接続される部位である。送水接続部3Bは、給水用の水を建物等に送出する送水用配管P2(
図4参照)に接続される部位である。なお、水道配管P1及び送水用配管P2は、建物に設けられた配管の一例である。
【0023】
そして、水道配管P1及び送水用配管P2それぞれは、流入接続部3A及び送水接続部3Bそれぞれに設けられた管用雌ねじにねじ込まれて接続されている。当該管用雌ねじは、鉛直軸線を中心軸線とする管用雌ねじである。
【0024】
なお、建物は、給水対象物の一例である。以下、流入接続部3A及び送水接続部3Bを総称する場合には、接続部3と記す。
【0025】
<1.2 ポンプ装置>
図1に示されるように、ポンプ装置7(二点鎖線で囲まれた装置)は、複数台のポンプ(本実施形態では、第1ポンプ7A及び第2ポンプ7B)、吸込側開閉ユニット71及び吐出側開閉ユニット72等を少なくとも有している。
【0026】
第1ポンプ7A及び第2ポンプ7Bそれぞれは、流入接続部3Aから送水接続部3Bに至る給水経路に対して並列配置されている。つまり、当該給水経路は、第1ポンプ7Aを経由して送水接続部3Bに至る給水経路、及び第2ポンプ7Bを経由して送水接続部3Bに至る給水経路を有する。
【0027】
第1ポンプ7A及び第2ポンプ7Bは、
図2に示される電動モータ7C、7Dにより駆動される。電動モータ7C、7D、つまりポンプ装置7の作動は、制御部(図示せず。)により制御される。当該制御部は、制御盤7E内に収納されている。
【0028】
<1.3 吸込側開閉ユニット(
図1参照)>
吸込側開閉ユニット71(細線で囲まれた装置)は、ポンプ装置7の吸込部を構成する。つまり、吸込側開閉ユニット71は、第1ポンプ7Aの吸込口及び第2ポンプ7Bの吸込口に連通しているとともに、各吸込口と流入接続部3A側との連通状態を切り替えるための開閉弁の一例である。
【0029】
本実施形態に係る吸込側開閉ユニット71は、吸込三方弁71A、吸込二方弁71B及び吸込側合流管71C等を有して構成されている。吸込三方弁71Aは、第1ポンプ7Aの吸込口及び流入接続部3A側に接続された三方Tポートボール弁にて構成されている。
【0030】
吸込二方弁71Bは、第2ポンプ7Bの吸込口に接続された二方Lポートボール弁にて構成されている。吸込側合流管71Cは、吸込三方弁71Aと吸込二方弁71Bとを連結する。
【0031】
<1.4 吐出側開閉ユニット(
図1参照)>
吐出側開閉ユニット72(細線で囲まれた装置)は、ポンプ装置7の吐出し部を構成する。つまり、吐出側開閉ユニット72は、第1ポンプ7Aの吐出し口及び第2ポンプ7Bの吐出し口に連通しているとともに、各吐出し口と送水接続部3B側との連通状態を切り替えるための開閉弁の一例である。
【0032】
本実施形態に係る吐出側開閉ユニット72は、第1吐出三方弁72A、第2吐出二方弁72B及び吐出側合流管72C等を有して構成されている。第1吐出三方弁72Aは、第1ポンプ7Aの吐出し口及び送水接続部3B側に接続された三方Lポートボール弁にて構成されている。
【0033】
第2吐出二方弁72Bは、第2ポンプ7Bの吐出し口に接続された二方Lポートボール弁にて構成されている。吐出側合流管72Cは、第1吐出三方弁72Aと第2吐出二方弁72Bとを連結する。
【0034】
なお、第1ポンプ7Aの吐出し口と第1吐出三方弁72Aとの間には、第1逆止弁73Aが設けられている。第1逆止弁73Aは、当該吐出し口に向けて水が流通することを規制し、当該流通の向きと反対向きの流通を許容する。
【0035】
第2ポンプ7Bの吐出し口と第2吐出二方弁72Bとの間には、第2逆止弁73Bが設けられている。第2逆止弁73Bは、当該吐出し口に向けて水が流通することを規制し、当該流通の向きと反対向きの流通を許容する。
【0036】
吐出側開閉ユニット72は、吸込側開閉ユニット71に対して手前側(正面側)に配置されている(
図3参照)。そして、本実施形態では、第1吐出三方弁72Aと吸込三方弁71Aとが連動作動し、かつ、第2吐出二方弁72Bと吸込二方弁71Bとが連動作動するように構成されている。
【0037】
<1.5 逆流防止装置(
図1参照)>
逆流防止装置15は、流入接続部3Aから吸込部に至る吸込経路に設けられている。当該逆流防止装置15は、吸込側開閉ユニット71側から流入接続部3A側に向けて水が流通することを規制し、流入接続部3A側から吐出側開閉ユニット72側に水が流通することを許容する。
【0038】
<1.6 蓄圧器(
図1参照)>
蓄圧器13は、ポンプ装置7が停止しているときに、給水圧を保持するため装置(例えば、アキュムレータ)である。当該蓄圧器13は、ポンプ装置7の吐出し部、つまり吐出側開閉ユニット72から送水接続部3Bに至る吐出経路に接続されている。
【0039】
<1.7 バイパス管(
図1参照)>
バイパス管9は、吸込経路のうち逆流防止装置15より下流側に接続された管であって、逆流防止装置15から流出した水をポンプ装置7を迂回させて送水接続部3B側に導く迂回経路を構成する管である。
【0040】
本実施形態に係るバイパス管9は、
図2~
図4に示されるように、吸込側合流管71Cと吐出側合流管72Cとを繋ぐ管である。バイパス管9内には、逆止弁11(
図1参照)が配置されている。逆止弁11は、バイパス管9内を流通する水がポンプ装置7の吐出し側から吸込側に向けて流通することを規制する。
【0041】
<2.給水装置の実装構造>
<2.1 ケースの構造>
ケース17は、
図5に示されるように、上部カバー17A及び下部カバー17B等を有して構成されている。上部カバー17Aは、矩形枠状の枠フレーム21より上方側、つまりポンプ装置7、制御盤7E及び蓄圧器13等を覆う部材である(
図3参照)。
【0042】
本実施形態に係る上部カバー17Aは、
図5に示されるように、背面パネル17C及び前面パネル17D等を有して構成されている。背面パネル17Cは、上部カバー17Aの背面を構成する板状の部材である。
【0043】
前面パネル17Dは、上部カバー17Aの左右の側面、前面及び上面を構成する部材である。前面パネル17Dの内面のうち少なくともポンプ装置7と対向する部位には、発泡材等で構成された吸音材17J(
図3参照)が設けられている。
【0044】
なお、背面パネル17Cは、枠フレーム21の上面に載置された状態で、当該枠フレーム21にネジ等の締結具又は溶接により固定される。前面パネル17Dは、背面パネル17Cに着脱自在に装着される。
【0045】
下部カバー17Bは、枠フレーム21より下方側、つまり架台20の脚部22A~22D等を覆う部材である。なお、枠フレーム21より下方側には、流入接続部3A、送水接続部3B、水道配管P1及び送水用配管P2等が存在する。
【0046】
つまり、下部カバー17Bは、流入接続部3A、送水接続部3B、水道配管P1及び送水用配管P2等を覆う。なお、下部カバー17Bは、4つのパネル材17E~17Hを有して構成されている。各パネル材17E~17Hは、対応する脚部22A~22Dに着脱自在に装着されている。
【0047】
<2.2 架台>
架台20は、ポンプ装置7等を支持するための支持台である。本実施形態では、上部カバー17A及び下部カバー17Bも架台20に支持される。当該架台20は、枠フレーム21、4つの脚部22A~22D及び天板部23等を有するテーブル状の部材である。
【0048】
枠フレーム21は長方形枠の部材である。すなわち、当該枠フレーム21は、長辺方向の寸法が上部カバー17Aの左右方向寸法と略同一の寸法となる枠体である。各脚部22A~22Dは、枠フレーム21の各角部に固定されている。
【0049】
天板部23(
図5の斜線部)は、枠フレーム21に固定されたパネル状の部材である。当該天板部23は、ポンプ装置7等に作用する重力、つまりポンプ装置7等の自重(以下、荷重という。)の多くを受ける(
図2~
図4参照)。
【0050】
なお、本実施形態に係る天板部23は、第1天板部23A及び第2天板部23Bを有して構成されている。第1天板部23Aと第2天板部23Bとの間には、バイパス管9が配置された隙間が設けられている。以下、第1天板部23A及び第2天板部23Bを総称する際には、天板部23と記す。
【0051】
天板部23には、
図2~
図4に示されるように、少なくとも1つ(本実施形態では、複数)の弾性支持体24を介して荷重が作用する。各弾性支持体24は、少なくとも荷重方向に弾性変形可能な材質にて構成されている。なお、本実施形態に係る各弾性支持体24は、金属製のバネが内蔵されたゴム製の防振材である。
【0052】
本実施形態では、4つの弾性支持体24を有している。具体的には、第1天板部23A及び第2天板部23Bそれぞれに2つずつ弾性支持体24が配置されている。なお、各弾性支持体24は、吸込側開閉ユニット71及び吐出側開閉ユニット72と天板部23との間に挟まれて天板部23上に載置されている。
【0053】
<2.3 規制部>
給水装置1には、
図6に示されるように、少なくとも1つ(本実施形態では、複数)の規制部25A、25Bが設けられている。規制部25A、25Bは、接続部3の変位を規制する。以下、規制部25A、25Bを総称する場合には、規制部25と記す。
【0054】
具体的には、規制部25A(以下、第1規制部25Aともいう。)は、流入接続部3Aの変位を規制する。規制部25B(以下、第2規制部25Bともいう。)は、送水接続部3AのB位を規制する。
【0055】
規制部25は、弾性変形可能な弾性材(本実施形態では、ゴム)を有しているとともに、当該弾性材を介して接続部3の変位を規制する。なお、弾性材は、少なくとも水平方向に弾性変位可能な状態で給水装置1に装着されている。
【0056】
具体的には、第1規制部25Aの一端側は、枠フレーム21の背面側に連結されている。第1規制部25Aの他端側は、流入接続部3Aに最も近いエルボ19A(
図2参照)に連結されている。なお、エルボ19Aは、配管19の一部を構成する部材である。
【0057】
第2規制部25Bの一端側は、枠フレーム21の前面側に連結されている。第2規制部25Bの他端側は、送水接続部3Bに最も近いエルボ19B(
図4参照)に連結されている。なお、エルボ19Bは、配管19の一部を構成する部材である。
【0058】
なお、ポンプ装置7は、空隙を介して背面パネル17Cから離間している。つまり、ポンプ装置7は、複数の弾性支持体24により上下方向が支持され、かつ、配管19を介して規制部25により水平の変位が規制された構成となっている。
【0059】
<本実施形態に係る給水装置の特徴>
給水装置1は、接続部3の変位を規制する規制部25を備える。これにより、当該給水装置1では、水道配管P1及び送水用配管P2の接続施工時に、不必要な偏荷重やねじり荷重がいずれかの弾性支持体24に作用してしまうことが抑制され得る。
【0060】
延いては、各弾性支持体24にてポンプ装置7を適切に弾性支持することが可能となり得るので、給水装置1の稼働時に各弾性支持体24にて十分な防振・防音効果が発揮され得る。
【0061】
規制部25は、弾性材を介して接続部3の変位を規制する。これにより、ポンプ装置7の稼働時に発生する振動が規制部25を介して架台20やケース17等に伝達されてしまうことが抑制される。したがって、給水装置1から発生する騒音を低減でき得る。
【0062】
各弾性支持体24は、荷重方向、つまり重力方向に弾性変位可能であるので、各弾性支持体24は、主に鉛直方向の振動を吸収する。規制部25の弾性材は、水平方向に弾性変位可能であるので、規制部25は、主に水平方向の振動を吸収する。したがって、本実施形態に係る給水装置1では、ポンプ装置7の振動を効果的に吸収でき得る。
【0063】
なお、接続施工時に接続部3に作用する力は、主に水平方向の力である。このため、規制部25は、圧縮荷重又は引張り荷重にて当該力を受ける。つまり、本実施形態では、接続施工時に、規制部25の弾性材に大きな剪断荷重が作用しない。
【0064】
規制部25は、架台20に連結されている。これにより、本実施形態では、規制部25がケース17(例えば、背面パネル17C)に連結されている場合に比べて騒音が低減され得る。
【0065】
つまり、仮に、規制部25が背面パネル17Cに連結された構成であると、ポンプ装置7の振動が背面パネル17Cに伝達されてしまうおそれがある。背面パネル17Cは比較的大きな面積を有するパネルであるため、背面パネル17Cが振動すると、大きな騒音が発生してしまう。
【0066】
これに対して、本実施形態では、規制部25は、架台20(具体的には、枠フレーム21)に連結されているので、ポンプ装置7の振動が背面パネル17Cに伝達されてしまうことが抑制され得る。延いては、大きな騒音が発生することが抑制され得る。
【0067】
ポンプ装置7は、空隙を介して背面パネル17Cから離間している。これにより、ポンプ装置7の振動が背面パネル17Cに伝達されてしまうことが確実に規制される。
【0068】
なお、制御盤7Eは振動を発生しない。このため、制御盤7Eが背面パネル17に固定された構成であっても騒音が発生することはない。
【0069】
下部カバー17Bは、流入接続部3A、送水接続部3B、水道配管P1及び送水用配管P2等を覆い、かつ、下部カバー17Bは、4つのパネル材17E~17Hを有して構成されている。これにより、作業員は、前後左右いずれからも接続部3にアクセス可能となるので、作業性が向上する。
【0070】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、受水槽等の貯水装置を備えていない直結式給水装置であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示に係る給水装置は、例えば、貯水装置を備え、かつ、流入接続部3Aが受水槽配管に接続される給水装置にも適用可能である。
【0071】
上述の実施形態では、背面パネル17と架台20(枠フレーム21)とがネジにて直接的に固定されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、背面パネル17と架台20との間にゴム等の弾性体が配置され、背面パネル17と架台20とがネジにて間接的に固定された構成であってもよい。
【0072】
同様に、枠フレーム21の周囲全周に亘ってゴム等の弾性体が配置された構成であってもよい。これにより、架台20から下部カバー17Bや前面パネル17D等に振動が伝われることが抑制され得る。
【0073】
上述の実施形態に係る給水装置1においては、架台20の下面側全体を覆うドレン板を設けてもよい。これにより、騒音が下面側から外部に漏れることが抑制されるとともに、配管19に結露が発生しても、結露による凝縮水が給水装置1の外部に漏れ出ることが抑制され得る。
【0074】
上述の実施形態に係る給水装置1においては、脚部22A~22Dの下面にゴムシート等の弾性変形可能なシートが配置された構成であってもよい。これにより、架台20の振動が下面側から外部に漏れることが抑制され得る。
【0075】
上述の実施形態に係る天板部23は、第1天板部23A及び第1天板部23Bにて構成されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1枚のプレートで構成された天板部23であってもよい。
【0076】
上述の実施形態に係る規制部25は、弾性材を介して接続部3の変位を規制する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、規制部25がボルト等により構成され、接続部3をリジット固定する構成であってもよい。
【0077】
上述の実施形態に係る弾性支持体24は、ゴムとバネとが組み合わされた構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えばゴムのみ又はバネのみで構成された弾性支持体24であってもよい。
【0078】
上述の実施形態では、規制部25が配管19の一部を構成するエルボ19A、19Bに連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、規制部25が接続部3に連結された構成であってもよい。
【0079】
上述の実施形態に係る接続部3は、鉛直軸線を中心軸線とする管用雌ねじを有するものであった。このため、規制部25は水平方向に弾性変位可能な弾性材を備えるものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。
【0080】
すなわち、当該開示は、例えば、接続部3が水平方向を中心軸線とする管用雌ねじを有するものである場合には、規制部25は鉛直方向に弾性変位可能な弾性材を備える構成が望ましい。
【0081】
上述の実施形態に係る規制部25は、架台20に連結されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、ケース17に規制部25が連結された構成であってもよい。
【0082】
上述の実施形態に係る給水装置1では、水道配管P1及び送水用配管P2が接続部3にねじ込まれて接続される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、フランジにて接続される構成であってもよい。
【0083】
上述の実施形態に係る給水装置1では、流入接続部3A及び送水接続部3Bが規制部25により規制される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流入接続部3Aのみ、又は送水接続部3Bのみが規制部25により規制される構成であってもよい。
【0084】
上述の実施形態に係る規制部25は、エルボ19A、19Bに連結される構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、規制部25が接続部3に連結された構成であってもよい。
【0085】
上述の実施形態に係るケース17は、上部カバー17A及び下部カバー17Bにて構成され、2つのカバー17A、17Bが架台20に固定されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、背面パネル17Cと背面側のパネル材17Hとが一体化された構成であってよい。
【0086】
上述の実施形態に係る架台20は、ケース17の左右幅方向全域に亘って延びる矩形枠状の枠フレーム21を有する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、
図2において、紙面右側(ポンプ装置7の下部)のみに架台20が存在する構成であってもよい。
【0087】
上述の実施形態では、ポンプ7及び電動モータの中心軸線が鉛直方向に一致するように配置されていた。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、それらの中心軸線が水平方向に一致するように配置された構成であってもよい。
【0088】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1… 給水装置 3…接続部 3A… 流入接続部 3B… 送水接続部
7… ポンプ装置 7A…第1ポンプ 7B… 第2ポンプ
7C、7D… 電動モータ 7E…制御盤
9… バイパス管 13…蓄圧器 15… 逆流防止装置
17… ケース 19…配管 19A、19B… エルボ
20… 架台 71…吸込側開閉ユニット 72… 吐出側開閉ユニット
P1… 水道配管 P2…送水用配管