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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173830
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 15/00 20060101AFI20221115BHJP
   E03B 5/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F04D15/00 D
E03B5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079791
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 哲則
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 章太
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
3H020
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA04
3H020BA13
3H020CA01
3H020CA03
3H020CA04
3H020DA21
3H020EA02
3H020EA03
(57)【要約】
【課題】 消費電力の削減を図った給水装置の一例を開示する。
【解決手段】 吸込圧センサS3により検出された値(以下、押込圧力という。)が判定値未満の場合に第2電動ポンプ5を選択し、押込圧力Psが判定値以上の場合に第1電動ポンプ3を選択する稼働ポンプ選択機能を備える。これにより、本給水装置1では、高いポンプ効率にて給水が行われるとともに、十分な給水能力(全揚程)が確保され得る。延いては、押込圧力が低下した場合であっても、マンションや商業用ビル等の高層階にも安定的に給水でき得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道圧を利用して給水可能な給水装置において、
吸込側が水道配管側に接続される第1電動ポンプと、
吸込側が前記第1電動ポンプに対して並列に水道配管側に接続される第2電動ポンプであって、定格流量が前記第1電動ポンプより大きい第2電動ポンプと、
前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの吸込側に作用する押込圧力を検出する吸込圧センサと、
給水量を検出する流量センサと、
前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの吐出し側の圧力を検出する吐出し圧センサと、
前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの停止及び稼働を制御する制御装置であって、稼働ポンプ選択機能、目標圧力制御、及び小水量停止制御が実行可能な制御装置とを備え、
前記稼働ポンプ選択機能は、給水に用いるポンプを選択する機能であって、前記吸込圧センサにより検出された値(以下、押込圧力という。)が判定値未満の場合に前記第2電動ポンプを選択し、前記押込圧力が前記判定値以上の場合に前記第1電動ポンプを選択する機能であり、
前記目標圧力制御は、前記吐出し圧センサにより検出された値(以下、吐出し圧という。)が目標とする値となるようにポンプを作動させる制御であり、
前記小水量停止制御は、前記流量センサにより検出された値(以下、給水量という。)が予め決められた値以下となったときに稼働中のポンプを停止させる制御である給水装置。
【請求項2】
複数のポンプを備える給水装置において、
第1電動ポンプと、
給水経路において前記第1電動ポンプに対して並列に配置された第2電動ポンプであって、定格流量が前記第1電動ポンプより大きい第2電動ポンプと、
給水量を検出する流量センサと、
前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの吐出し側の圧力を検出する吐出し圧センサと、
前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプの停止及び稼働を制御する制御装置であって、稼働ポンプ選択機能、目標圧力制御、及び小水量停止制御が実行可能な制御装置とを備え、
前記稼働ポンプ選択機能は、給水に用いるポンプを選択する機能であって、前記流量センサにより検出された値(以下、給水量という。)が判定値未満の場合に前記第1電動ポンプを選択し、前記給水量が前記判定値以上の場合に前記第2電動ポンプを選択する機能であり、
前記目標圧力制御は、前記吐出し圧センサにより検出された値(以下、吐出し圧という。)が目標とする値となるようにポンプを作動させる制御であり、
前記小水量停止制御は、前記給水量が予め決められた値以下となったときに稼働中のポンプを停止させる給水装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプが停止している状態からポンプを起動させる場合には、前記稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプを起動させる請求項1に記載の給水装置。
【請求項4】
前記制御装置は、ローテーション機能、起動制御、及び強制ローテーション機能が実行可能であり、
前記ローテーション機能は、前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプが停止している状態から起動させるポンプ(以下、起動ポンプという。)を選択する機能であって、前回の起動時に選択されたポンプと異なるポンプを起動ポンプとして選択する機能であり、
前記起動制御は、前記吐出し圧が予め決められた値以下となったときに、前記ローテーション機能により選択された起動ポンプを起動させる制御であり、
前記強制ローテーション機能は、前記起動ポンプの起動後、当該起動ポンプが前記稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプと異なる場合に、当該起動ポンプを停止させる機能である請求項1又は2に記載の給水装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記判定値を変更する判定値変更機能が実行可能であり、
前記判定値変更機能は、前記第1電動ポンプの累積稼働時間に対する前記第2電動ポンプの累積稼働時間の比が予め決められた値以上となるとなるように前記判定値を変更する機能である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記判定値を変更する判定値変更機能が実行可能であり、
前記判定値変更機能は、前記第1電動ポンプの累積稼働時間と前記第2電動ポンプの累積稼働時間との差が予め決められた値以下にとなるように前記判定値を変更する機能である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の給水装置。
【請求項7】
複数のポンプを備える給水装置において、
第1電動ポンプと、
給水経路において前記第1電動ポンプに対して並列に配置された第2電動ポンプであって、定格流量が前記第1電動ポンプより大きい第2電動ポンプと、
給水量を検出する流量センサと、
給水量と時間帯とが関連付けられて記憶される給水履歴記憶部であって、当該時間帯において過去最大の給水量(以下、最大給水量という。)が少なくとも記憶される給水履歴記憶部とを備え、
前記第1電動ポンプの定格給水量に基づいて予め決められた給水量を給水能力としたとき、
前記制御装置は、前記第1電動ポンプ及び前記第2電動ポンプが停止している状態からポンプを起動させる場合には、現在の時刻が属する前記時間帯の前記最大給水量が前記給水能力を超えるときに前記第2電動ポンプを起動し、かつ、当該最大給水量が当該給水能力以下のときに前記第1電動ポンプを起動させる給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のポンプを備える給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、消費電力の削減を目的として、目標圧力を吐出側圧力の最低値を利用して補正している。なお、目標圧力とは、目標圧力制御に用いる目標とする圧力(目標値)である。そして、目標圧力制御では、吐出側圧力が目標圧力となるようにポンプが制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-214715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記発明と異なる観点から消費電力の削減を図った給水装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
水道圧を利用して給水可能な給水装置では、例えば、以下の構成要件のうち少なくとも1つを備えることが望ましい。
【0006】
すなわち、当該構成要件は、吸込側が水道配管側に接続される第1電動ポンプ(3)と、吸込側が第1電動ポンプ(3)に対して並列に水道配管側に接続される第2電動ポンプ(5)であって、定格流量が第1電動ポンプ(3)より大きい第2電動ポンプ(5)と、第1電動ポンプ(3)及び第2電動ポンプ(5)の吸込側に作用する押込圧力を検出する吸込圧センサ(S3)と、給水量を検出する流量センサ(S1)と、第1電動ポンプ(3)及び第2電動ポンプ(5)の吐出し側の圧力を検出する吐出し圧センサ(S2)と、第1電動ポンプ(3)及び第2電動ポンプ(5)の停止及び稼働を制御する制御装置(7)であって、稼働ポンプ選択機能、目標圧力制御、及び小水量停止制御が実行可能な制御装置(7)とを備えることである。
【0007】
そして、稼働ポンプ選択機能は、給水に用いるポンプを選択する機能であって、吸込圧センサ(S3)により検出された値(以下、押込圧力(Ps)という。)が判定値(Pt)未満の場合に第2電動ポンプ(5)を選択し、押込圧力(Ps)が判定値(Pt)以上の場合に第1電動ポンプ(3)を選択する機能である。
【0008】
目標圧力制御は、吐出し圧センサ(S2)により検出された値(以下、吐出し圧(Pd)という。)が目標とする値となるようにポンプを作動させる制御であり、小水量停止制御は、流量センサ(S1)により検出された値(以下、給水量(Fr)という。)が予め決められた値以下となったときに稼働中のポンプを停止させる制御である。
【0009】
ところで、ポンプ効率は、吐出し量に対して1つの極大値(最大値)を有するように変化する。このため、ポンプ効率が最大となるときの吐出し量(以下、最大吐出し量という。)を越えると、ポンプ効率が大きく低下する。
【0010】
一般的に、定格流量が小さい電動ポンプの最大吐出し量(以下、第1吐出し量という。)は、定格流量が大きい電動ポンプの最大吐出し量(以下、第2吐出し量という。)に比べて小さい。そして、吐き出し量が第1吐出し量以下の範囲においては、定格流量が小さい電動ポンプのポンプ効率は、定格流量が大きい電動ポンプのポンプ効率より高い。
【0011】
したがって、吐出し量が0から第1吐出し量まで範囲においては、定格流量が小さい電動ポンプを用いて給水を行うことが望ましい。そして、吐き出し量が、第1吐出し量を越えた場合には、定格流量が大きい電動ポンプを用いて給水を行うことが望ましい。
【0012】
また、一般的に、電動ポンプの吸込側に作用する押込圧力(Ps)が大きくなるほど、これに連動して最大吐出し量も大きくなる。しかし、押込圧力が小さくなると、定格流量が小さい電動ポンプでは、十分な給水能力(全揚程)を確保できなくなるおそれがある。
【0013】
これに対して、当該給水装置では、押込圧力が判定値(Pt)未満の場合には、定格流量が大きい第2電動ポンプ(5)が選択され、押込圧力(Ps)が判定値(Pt)以上の場合には、定格流量が小さい第1電動ポンプ(3)が選択される。
【0014】
したがって、当該給水装置では、高いポンプ効率にて給水が行われるとともに、十分な給水能力(全揚程)が確保され得る。延いては、押込圧力が低下した場合であっても、マンションや商業用ビル等の高層階にも安定的に給水でき得る。
【0015】
また、稼働ポンプ選択機能は、流量センサ(S1)により検出された値(以下、給水量(Fr)という。)が判定値(Ft)未満の場合に第1電動ポンプ(3)を選択し、給水量(Fr)が判定値(Ft)以上の場合に第2電動ポンプ(5)を選択する機能であってもよい。
【0016】
つまり、上述したように、吐き出し量が第1吐出し量以下においては、定格流量が小さい電動ポンプのポンプ効率は、定格流量が大きい電動ポンプのポンプ効率より高くなる。したがって、給水量(Fr)が判定値(Ft)未満の場合に、給水に用いるポンプとして第1電動ポンプ(3)が選択されれば、高いポンプ効率にて給水を行うことができ得る。
【0017】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る給水装置を示す図である。
図2】第1実施形態に係る稼働ポンプ選択機能の作動を示すフローチャートである。
図3】ポンプ効率と吐き出し量との関係を示すグラフである。
図4】給水圧と吐き出し量との関係を示すグラフである。
図5】第2実施形態に係る判定値変更機能の作動を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態に係る判定値変更機能の作動を示すフローチャートである。
図7】第4実施形態に係る給水装置を示す図である。
図8】第4実施形態に係る強制ローテーション機能の作動を示すフローチャートである。
図9】第5実施形態に係る給水装置を示す図である。
図10】第5実施形態に係る選択起動制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
【0020】
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
【0021】
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、直結式給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。直結式給水装置とは、水道圧を利用して給水可能な給水装置である。このため、当該給水装置1は、受水槽等の貯水装置を備えていない。
【0022】
本実施形態に係る給水装置は、図1に示されるように、第1電動ポンプ3、第2電動ポンプ5、制御装置7、流量センサS1、吐出し圧センサS2、吸込圧センサS3及び制御装置7等を少なくとも備えている。
【0023】
第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5は、建物等の給水対象に設けられた給水配管に水を送水する電動式のポンプである。第2電動ポンプ5は、第1電動ポンプ3に比べて定格流量が大きい電動ポンプである。
【0024】
第2電動ポンプ5は、当該第2電動ポンプ5の吸込側が第1電動ポンプ3に対して並列に水道配管側に接続されている。このため、第1電動ポンプ3の吸込口及び第2電動ポンプ5の吸込口は、吸込側合流管を介して水道配管側に接続される。
【0025】
同様に、第1電動ポンプ3の吐出し口及び第2電動ポンプ5の吐出し口は、吐出し側合流管を介して建物の給水配管側に接続される。なお、当該給水装置1には、バイパス管9が設けられている。
【0026】
バイパス管9は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5を迂回して水道配管側と給水配管側とを接続する給水経路である。当該バイパス管9には、逆止弁9Aが設けられている。逆止弁9Aは、給水配管側から水道配管側に水が流通することを禁止する。
【0027】
制御装置7は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5の停止及び稼働を制御可能である。当該制御装置7は、制御部7A、第1駆動回路7B及び第2駆動回路7C等を少なくとも有する。
【0028】
第1駆動回路7Bは、第1電動ポンプ3を駆動する駆動電流を生成する。第2駆動回路7Cは、第2電動ポンプ5を駆動する駆動電流を生成する。本実施形態に係る2つの駆動回路7B、7Cは共にインバータ方式の駆動回路である。
【0029】
なお、第1駆動回路7Bは、第2駆動回路7Cと同一の駆動回路、つまり、第2電動ポンプ5を駆動可能な能力を有する駆動回路である。換言すれば、本実施形態では、2つの駆動回路7B、7Cは、定格流量が大きい方の電動ポンプを駆動可能な駆動回路である。
【0030】
制御部7Aは、第1駆動回路7B及び第2駆動回路7Cの作動を制御する。各駆動回路7B、7Cは、制御部7Aからの指令信号に応じた周波数の駆動電流(以下、駆動周波数という。)を各電動ポンプに供給する。
【0031】
つまり、制御部7Aは、駆動回路7B、7Cを介して第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5の停止及び稼働を制御する。なお、制御部7Aは、CPU、ROM及びRAM等を有して構成されたマイクロコンピューにて構成されている。
【0032】
制御装置7(制御部7A)には、流量センサS1、吐出し圧センサS2及び吸込圧センサS3の検出信号が入力されている。流量センサS1は、給水量、つまり給水配管に供給される流量を検出する。
【0033】
吐出し圧センサS2は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5の吐出し側の圧力、つまり給水圧を検出する。吸込圧センサS3は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5の吸込側に作用する押込圧力、つまり吸込側合流管における水道圧を検出する。
【0034】
なお、本実施形態に係る給水装置1は、逆流防止装置11及び蓄圧器13等も備える。逆流防止装置11は、吸込側合流管に設けられ、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5側から水道配管に水が流通することを規制する。
【0035】
蓄圧器13は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5が停止しているときに、給水圧を保持するため装置(例えば、アキュムレータ)である。当該蓄圧器13は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5の吐出し口側の給水経路に接続されている。
【0036】
<2.制御装置の制御作動>
制御装置7は、目標圧力制御、小水量停止制御、稼働ポンプ選択機能、及び選択起動制御が実行可能である。そして、これら機能及び制御は、互いに独立して並列作動可能である。なお、当該機能及び制御を実行するためのソフトウェアは、ROM等の不揮発性記憶部(図示せず。)に予め記憶されている。
【0037】
<目標圧力制御>
目標圧力制御は、吐出し圧センサS2により検出された値(以下、吐出し圧Pdという。)が目標とする値(以下、目標圧力という。)となるように第1電動ポンプ3又は第2電動ポンプ5を作動させる制御である。
【0038】
具体的には、吐出し圧Pdが目標圧力未満の場合には、制御装置7は、駆動周波数を増大させる。吐出し圧Pdが目標圧力を超えた場合には、制御装置7は駆動周波数を低下させる。
【0039】
なお、本実施形態に係る制御部7Aは、吐出し圧Pdを入力値とし、駆動周波数を出力値とするPI制御又はPID制御を実行する。因みに、本実施形態では、第1電動ポンプ3と第2電動ポンプ5とが同時に稼働することはない。
【0040】
<小水量停止制御>
小水量停止制御は、流量センサS1により検出された値(以下、給水量Frという。)が予め決められた値(以下、停止流量Fsという。)以下となったときに稼働中のポンプを停止させる制御である。
【0041】
つまり、稼働中の電動ポンプ(例えば、第1電動ポンプ3)の回転速度が低下して給水量Frが停止流量Fsまで低下したとき、制御装置7は、当該第1電動ポンプ3を停止させる。
【0042】
<稼働ポンプ選択機能>
稼働ポンプ選択機能は、給水に用いるポンプを選択する機能である。具体的には、稼働ポンプ選択機能が実行されると、制御装置7は、吸込圧センサS3により検出された値(以下、押込圧力Psという。)が判定値Pt未満の場合に第2電動ポンプ5を選択し、押込圧力Psが判定値Pt以上の場合に第1電動ポンプ3を選択する。
【0043】
なお、本実施形態に係る判定値Ptは、使用する電動ポンプの仕様等に基づいて予め決められた値である。因みに、本実施形態に係る判定値Ptは、水柱メールトルに換算して約16mである。
【0044】
<選択起動制御>
選択起動制御は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5が停止している状態において、吐出し圧Pdが予め決められた値(以下、起動圧力Psuという。)以下となったときに、第1電動ポンプ3又は第2電動ポンプ5を起動させる制御である。具体的には、制御装置7は、稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプを起動させる。
【0045】
つまり、制御装置7は、全ての電動ポンプ3、5が停止し、かつ、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下となったときに、押込圧力Psが判定値Pt未満の場合に第2電動ポンプ5を起動させ、押込圧力Psが判定値Pt以上の場合に第1電動ポンプ3を起動させる。
【0046】
<稼働ポンプ選択機能及び選択起動制御の具体例>
なお、本実施形態に係る制御装置7は、選択起動制御の実行時に稼働ポンプ選択機能も併せて実行する。図2は、選択起動制御及び稼働ポンプ選択機能の作動の一例を示すフローチャートである。
【0047】
制御装置7は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5が停止している状態においては、少なくとも、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下であるか否かを判断する(S1)。そして、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下となったと判断されると(S1:YES)制御装置7は、押込圧力Psが判定値Pt未満であるか否かを判断する(S3)。
【0048】
押込圧力Psが判定値Pt未満であると判断された場合には(S3:YES)、制御装置7は、第2電動ポンプ5を起動した後(S5)、目標圧力制御及び小水量停止制御を実行する。
【0049】
押込圧力Psが判定値Pt以上であると判断された場合には(S3:NO)、制御装置7は、第1電動ポンプ3を起動した後(S5)、目標圧力制御及び小水量停止制御を実行する。
【0050】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
ポンプ効率は、吐出し量に対して1つの極大値(最大値)を有するように変化する(図3参照)。このため、ポンプ効率が最大となるときの吐出し量(以下、最大吐出し量という。)を越えると、ポンプ効率が大きく低下する。
【0051】
一般的に、定格流量が小さい電動ポンプの最大吐出し量(以下、第1吐出し量という。)は、定格流量が大きい電動ポンプの最大吐出し量(以下、第2吐出し量という。)に比べて小さい(図3参照)。
【0052】
そして、吐き出し量が第1吐出し量以下の範囲においては、定格流量が小さい電動ポンプのポンプ効率は、定格流量が大きい電動ポンプのポンプ効率より高い(図3参照)。したがって、吐出し量が0から第1吐出し量まで範囲においては、定格流量が小さい電動ポンプを用いて給水を行うことが望ましい。
【0053】
また、一般的に、電動ポンプの吸込側に作用する押込圧力Psが大きくなるほど、最大吐出し量も大きくなる。逆に、押込圧力Psが小さくなるほど、最大吐出し量も小さくなる(図3参照)。
【0054】
同様に、押込圧力Psが大きくなると、図4に示されるように、限界流量FLも大きくなる。同様に、押込圧力Psが小さくなると、限界流量FLも小さくなる。また、定格流量が小さい電動ポンプの限界流量FLは、定格流量が大きい電動ポンプの限界流量FLより小さい。
【0055】
限界流量FLとは、給水装置1が発生する給水圧が急激に低下し始める吐き出し量をいう。このため、押込圧力Psが小さくなると、定格流量が小さい電動ポンプでは、限界流量FLが必要な給水量を下回り、十分な給水能力や全揚程を確保できなくなるおそれがある(図4参照)。
【0056】
これに対して、当該給水装置1では、押込圧力Psが判定値Pt未満の場合には、定格流量が大きい第2電動ポンプ5が選択され、押込圧力Psが判定値Pt以上の場合には、定格流量が小さい第1電動ポンプ3が選択される。
【0057】
したがって、当該給水装置1では、高いポンプ効率にて給水が行われるとともに、十分な給水能力(全揚程)が確保され得る。延いては、押込圧力Psが低下した場合であっても、マンションや商業用ビル等の高層階にも安定的に給水でき得る。
【0058】
そして、当該給水装置1では、稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプを起動させるので、確実に高いポンプ効率にて給水が実行され得る。延いては、給水装置1の消費電力を低減することが可能となる。
【0059】
(第2実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1が設置された一般的なマンションや商業用ビル等では、第1電動ポンプ3の累積稼働時間(以下、第1累積稼働時間という。)が第2電動ポンプ5の累積稼働時間(以下、第2累積稼働時間という。)を大きく上回る可能性が高い。
【0060】
なお、累積稼働時間とは、給水装置1がマンションや商業用ビル等に最初に設置された時、又は交換された新しい電動ポンプが設置された時からの積算稼働時間である。このため、第1累積稼働時間T1が第2稼働累積稼働時間T2を大きく上回ると、第1電動ポンプ3が第2電動ポンプ5に比べて早期に損傷が発生する可能性がある。
【0061】
これに対して、本実施形態に係る制御装置7は、判定値Ptを変更する判定値変更機能が実行可能である。なお、以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置1との相違点に関する説明である。
【0062】
<判定値変更機能>
判定値変更機能は、第1累積稼働時間T1に対する第2累積稼働時間T2の比(=T2/T1)が予め決められた値(本実施形態では、0.5)以上、かつ、予め決められた値(本実施形態では、0.67)以下となるとなるように判定値Ptを変更する機能である。
【0063】
判定値変更機能は、目標圧力制御、小水量停止制御及び稼働ポンプ選択機能(以下、これらの機能及び制御を基本制御ともいう。)並びに選択起動制御に対して独立して並列作動する。なお、以下、上記の比(T2/T1)を累積比という。
【0064】
具体的には、判定値変更機能の実行時には、図5に示されるように、制御装置7は、累積比が0.5未満であるか否かを判断する(S11)。累積比が0.5未満であると判断された場合には(S11:YES)、制御装置7は、判定値Ptを予め決められた値だけ増大させる(S13)。
【0065】
累積比が0.5未満でないと判断された場合には(S11:NO)、制御装置7は、累積比が0.67を越えているか否かを判断する(S15)。累積比が0.67を越えていると判断された場合には(S13:YES)、制御装置7は、判定値Ptを予め決められた値だけ減少させる(S17)。
【0066】
以上により、本実施形態に係る給水装置では、第2電動ポンプ5が選択される確率が高くなる。つまり、判定値Ptが大きくなると第2電動ポンプ5が選択される確率が増大し、判定値Ptが小さくなると第1電動ポンプ3が選択される確率が増大する。
【0067】
したがって、第1累積稼働時間T1が第2稼働累積稼働時間T2を大きく上回ることが抑制され得る。延いては、第1電動ポンプ3が第2電動ポンプ5に比べて早期に損傷してしまうことが抑制され得る。
【0068】
(第3実施形態)
本実施形態は、第2実施形態の変形例である。すなわち、本実施形態に係る判定値変更機能は、第1累積稼働時間T1と第2累積稼働時間T2との差の絶対値(以下、累積差という。)が予め決められた値(本実施形態では、500時間)以上、予め決められた値(本実施形態では、1000時間)以下となるように判定値Ptを変更する。
【0069】
以下の説明は、第2実施形態に係る給水装置との相違点に関する説明である。
【0070】
具体的には、図6に示されるように、制御装置7は、累積差が1000時間以上であるか否かを判断する(S21)。累積差が1000時間以上であると判断された場合には(S21:YES)、制御装置7は、判定値Ptを予め決められた値だけ増大させる(S23)。
【0071】
累積差が1000時間以上でないと判断された場合には(S21:NO)、制御装置7は、累積差が500時間以下であるか否かを判断する(S25)。累積差が500時間以下であると判断された場合には(S23:YES)、制御装置7は、判定値Ptを予め決められた値だけ減少させる(S27)。
【0072】
以上により、本実施形態に係る給水装置では、第2電動ポンプ5が選択される確率が高くなる。つまり、判定値Ptが大きくなると第2電動ポンプ5が選択される確率が増大し、判定値Ptが小さくなると第1電動ポンプ3が選択される確率が増大する。
【0073】
したがって、第1累積稼働時間T1が第2稼働累積稼働時間T2を大きく上回ることが抑制され得る。延いては、第1電動ポンプ3が第2電動ポンプ5に比べて早期に損傷してしまうことが抑制され得る。
【0074】
(第4実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置は、水道圧を利用して給水を行う給水装置であった。これに対して、本実施形態に係る給水装置20は、図7に示されるように、受水槽(図示せず)等の貯水部から水を吸引して給水を行う給水装置である。
【0075】
以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置1との相違点に関する説明である。なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0076】
<1.本実施形態に係る給水装置の構成>
本実施形態に係る流量センサは、第1電動ポンプ3の吐出し量を検出するための流量センサS1、及び第1電動ポンプ3の吐出し量を検出するための流量センサS1により構成されている。したがって、本実施形態では、2つの流量センサS1の検出値の合計が給水量となる。
【0077】
なお、2つの流量センサS1は、共に吐き出し量の変化を連続的に検出可能な流量センサである。そして、本実施形態では、バイパス管9、逆止弁9A及び吸込圧センサS3が廃止されている。
【0078】
<2.本実施形態に係る制御装置の制御作動>
制御装置7は、基本制御(目標圧力制御、小水量停止制御、稼働ポンプ選択機能)に加え、ローテーション機能、起動制御、及び強制ローテーション機能が実行可能である。なお、目標圧力制御、及び小水量停止制御は、上述の実施形態と同じである。
【0079】
<稼働ポンプ選択機能>
本実施形態に係る稼働ポンプ選択機能は、給水量Frが判定値Ft未満の場合に第1電動ポンプ3を選択し、給水量Frが判定値Ft以上の場合に第2電動ポンプ5を選択する機能である。
【0080】
本実施形態に係る判定値Ftは、予め決められた給水量(例えば、75L/min)である。なお、当該判定値Ftは、受水槽を備える給水装置における一般的な押込圧力が作用したときの限界流量を基準として決められた値であって、予め制御部7Aに記憶された値である。
【0081】
<ローテーション機能>
ローテーション機能は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5が停止している状態から起動させるポンプ(以下、起動ポンプという。)を選択する機能である。
【0082】
本実施形態に係るローテーション機能では、前回の起動時に選択されたポンプと異なるポンプが起動ポンプとして選択される。つまり、本実施形態では、第1電動ポンプ3と第2電動ポンプとが交互に起動される。
【0083】
<起動制御>
起動制御は、第1電動ポンプ3及び第2電動ポンプ5が停止している状態において、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下となったときに、起動ポンプ、つまりローテーション機能により選択された電動ポンプを起動させる制御である。
【0084】
<強制ローテーション機能>
強制ローテーション機能は、起動ポンプの起動後、当該起動ポンプが稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプ(以下、選択ポンプという。)と異なる場合に、当該起動ポンプを停止させる機能である。
【0085】
具体的には、例えば、第2電動ポンプ5が起動された場合において、稼働ポンプ選択機能により第1電動ポンプ3が選択された場合、制御装置7は、当該起動された第2電動ポンプ5を停止させる。
【0086】
そして、第2電動ポンプ5が停止すると、起動制御及びローテーション機能により、第1電動ポンプ3が起動する。つまり、電動ポンプによる給水中に第2電動ポンプ5が停止すると、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下となるため、第2電動ポンプ5と異なる電動ポンプ、つまり第1電動ポンプ3が起動する。
【0087】
なお、図8は、強制ローテーション機能の作動を示すフローチャートの一例である。起動ポンプが起動すると、制御装置7は、当該起動ポンプの起動した時から予め決められた時間(例えば、30秒)が経過したか否かを判断する(S31)。
【0088】
そして、所定時間が経過したとき(S31:YES)、制御装置7は、稼働ポンプ選択機能を実行して選択ポンプを決定した後、起動ポンプが当該選択ポンプと一致しているか否かを判断する(S33)。
【0089】
起動ポンプが選択ポンプと一致している場合には(S33:YES)、制御装置7は、強制ローテーション機能を終了させた後、起動ポンプの稼働させた状態で目標圧力制御及び小水量停止制御を実行する。
【0090】
起動ポンプが選択ポンプと一致していない場合には(S33:NO)、制御装置7は、当該起動ポンプを停止させた(S35)後、強制ローテーション機能を終了させる。その後、制御装置7は、起動制御及びローテーション機能を実行した後、再び、強制ローテーション機能を実行する。
【0091】
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る稼働ポンプ選択機能は、給水量Frが判定値Ft未満の場合に第1電動ポンプ3を選択し、給水量Frが判定値Ft以上の場合に第2電動ポンプ5を選択する。
【0092】
上述したように、吐き出し量が第1吐出し量以下においては、定格流量が小さい第1電動ポンプ3のポンプ効率は、定格流量が大きい第2電動ポンプ5のポンプ効率より高くなる(図3参照)。したがって、給水量Frが判定値Ft未満の場合に、給水に用いるポンプとして第1電動ポンプ3が選択されれば、高いポンプ効率にて給水を行うことができ得る。
【0093】
(第5実施形態)
本実施形態は、選択起動制御の変形例である。すなわち、例えば、第1実施形態に係る選択起動制御では、稼働ポンプ選択機能により選択されたポンプを起動させる制御であった。
【0094】
これに対して、本実施形態に係る選択起動制御では、現在の時刻が属する時間帯についての最大給水量Fmaxが第1電動ポンプ3の給水能力を超えるときに第2電動ポンプ5を起動し、かつ、当該最大給水量Fmaxが当該給水能力以下のときに第1電動ポンプ3を起動させる制御である。
【0095】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
【0096】
<選択起動制御>
すなわち、本実施形態に係る給水装置30では、図9に示されるように、給水履歴記憶部7Dを備えている。給水履歴記憶部7Dは、給水量Frと時間帯とが関連付けられて記憶されている。
【0097】
具体的には、給水履歴記憶部7Dには、例えば、「午前0時から午前1時までの時間帯の最大給水量Fmax」~「午前11時から午前12時までの時間帯の最大給水量Fmax」~「午後5時から午後6時までの時間帯の最大給水量Fmax」~「午後7時から午後8時までの時間帯の最大給水量Fmax」~「午後11時から午後12時までの時間帯の最大給水量Fmax」等が記憶されている。
【0098】
なお、最大給水量Fmaxとは、同一時間帯における過去最大の給水量をいう。過去最大の給水量とは、給水装置30が設置された時から現在に至る間において、最大となる給水量をいう。
【0099】
第1電動ポンプ3の給水能力とは、第1電動ポンプ3の定格給水量に基づいて予め決められた給水量を給水能力という。なお、本実施形態では、第1電動ポンプ3の定格給水量を第1電動ポンプ3の給水能力としている。
【0100】
なお、図10は、本実施形態に係る選択起動制御を示すフローチャートの一例である。
【0101】
すなわち、吐出し圧Pdが起動圧力Psu以下となったとき、制御装置7は、現在の時刻が属する時間帯の最大給水量Fmaxが給水能力を越えているか否かを判断する(S41)。
【0102】
当該最大給水量Fmaxが給水能力を越えている場合には(S41:YES)、制御装置7は、第2電動ポンプ5を起動する(S43)。当該最大給水量Fmaxが給水能力を越えていない場合には(S41:NO)、制御装置7は、第1電動ポンプ3を起動する(S43)。なお、本実施形態では、電動ポンプが起動した後は、強制ローテーション機能が実行され、その後、稼働ポンプ選択機能により選択された電動ポンプが起動する。
【0103】
これにより、必要とする給水量に応じた電動ポンプが起動されるとともに、多くの場合、第1電動ポンプ3が起動される。したがって、高いポンプ効率にて給水を行うことができ得る。
【0104】
なお、本実施形態、つまり給水履歴記憶部7Dを利用した選択起動制御は、第1~第3実施形態にも適用可能である。この場合、制御装置7は、本実施形態に係る選択起動制御にていずれかのポンプを起動した後、強制ローテーション機能を実行し、その後、稼働ポンプ選択機能により選択された電動ポンプを起動する。
【0105】
(その他の実施形態)
第1実施形態に係る流量センサS1は、合流後の給水量を検出するものであった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第4実施形態と同様な流量センサを備える構成であってよい。
【0106】
第4実施形態又は第5実施形態に係る判定値Fsは予め決められた固定値であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、第2実施形態に係る判定値変更機能又は第3実施形態に係る判定値変更機能により判定値Fsを変更する構成であってよい。
【0107】
なお、この場合においては、判定値Fsが大きくなるほど、第1電動ポンプ3が選択される確率が高くなり、判定値Fsが小さくなるほど、第2電動ポンプ5が選択される確率が高くなる。
【0108】
第4実施形態では、起動ポンプが選択ポンプと一致していない場合には、起動ポンプが停止した。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、起動ポンプが選択ポンプと一致していない場合には、停止している電動ポンプを起動させた後、当該起動ポンプを停止させてもよい。これにより、電動ポンプによる送水が停止してしまうことがない。
【0109】
上述の実施形態では、判定値変更機能に利用して第1累積稼働時間T1と第2累積稼働時間T2との平準を図った。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、累積比又は累積差を利用して起動ポンプを選択してもよい。つまり、選択起動制御において、累積比又は累積差が予め決められた範囲内に収まるように、起動ポンプが自動的に選択起動される構成であってもよい。
【0110】
第4実施形態に係る判定値Ftは、予め決められた固定値であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量センサS1を備え、当該流量センサS1の検出値に基づいて判定値Ftが自動的に決定される構成であってもよい。
【0111】
上述の実施形態では、多くの場合、第1電動ポンプ3が選択ポンプとなる。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、サッカースタジアムや野球場等の非常に多くの人が同時に水を利用する可能性が高いに施設に給水する場合には、第2電動ポンプ5が優先的に起動又は選択され、その他の場合に第1電動ポンプ3が起動又は選択される構成が望ましい。
【0112】
上述の実施形態では、稼働ポンプ選択機能により選択された電動ポンプ、つまり選択ポンプが起動した後は、小水量停止制御により当該選択ポンプが停止するまで、その選択ポンプが稼働し続ける構成であった。
【0113】
しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、選択ポンプの起動後、給水量又は押込圧力が変化して選択ポンプを変更すべき状態になったときには、小水量停止制御により電動ポンプが停止する前であっても、稼働させる電動ポンプを新たに選択された電動ポンプとしてもよい。
【0114】
上述の実施形態では、電動ポンプ3、5毎に駆動回路7B、7Cを有する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、1つの駆動回路にて第1電動ポンプ3又は第2電動ポンプ5を駆動する構成であってもよい。
【0115】
上述の実施形態では、1つの制御部7Aにて2つの電動ポンプを制御する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3、5毎に制御部を有する構成であってもよい。
【0116】
上述の実施形態に係る駆動回路7B、7Cは、共に定格流量が大きい方の電動ポンプを駆動可能な駆動回路であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、電動ポンプ3、5それぞれに対応した駆動回路を有する構成であってもよい。
【0117】
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
1… 給水装置 3…第1電動ポンプ 5… 第2電動ポンプ
7… 制御装置 7A…制御部 7B… 第1駆動回路 7C… 第2駆動回路
S1… 流量センサ S2…吐出し圧センサ S3… 吸込圧センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10