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特開2022-173849テーピング装置およびテーピング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173849
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】テーピング装置およびテーピング方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 15/04 20060101AFI20221115BHJP
【FI】
B65B15/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079825
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩二
(57)【要約】
【課題】キャリアテープのポケットと部品との間の適正なクリアランスを確保した状態でキャリアテープのポケットに部品を挿入することを課題とする。
【解決手段】テーピング装置は、キャリアテープが備える複数のポケットに部品を順次挿入するテーピング装置であって、複数の前記部品毎に寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含む部品情報を部品毎に取得する部品情報取得手段と、複数の前記ポケット毎に開口部の寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含むポケット情報をポケット毎に取得するポケット情報取得手段と、前記部品情報と前記ポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する組み合わせ情報生成手段と、前記組み合わせ情報生成手段によって生成された前記組み合わせ情報に基づいて、前記部品を当該部品と組み合わされた前記ポケットへ挿入する部品挿入手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープが備える複数のポケットに部品を順次挿入するテーピング装置であって、
複数の前記部品毎に寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含む部品情報を部品毎に取得する部品情報取得手段と、
複数の前記ポケット毎に開口部の寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含むポケット情報をポケット毎に取得するポケット情報取得手段と、
前記部品情報と前記ポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する組み合わせ情報生成手段と、
前記組み合わせ情報生成手段によって生成された前記組み合わせ情報に基づいて、前記部品を当該部品と組み合わされた前記ポケットへ挿入する部品挿入手段と、
を、備えたテーピング装置。
【請求項2】
前記部品情報取得手段は、部品載置部に供給された前記部品を撮像する部品撮像部と当該部品撮像部で得た画像から前記部品載置部に供給された前記部品の前記部品情報を取得する部品画像処理部を備えた、
請求項1に記載のテーピング装置。
【請求項3】
前記部品撮像部は、前記部品載置部上に供給された複数の前記部品を撮像し、前記部品画像処理部は、前記部品載置部上に供給された複数の前記部品の前記寸法に関する情報とともに前記部品情報に含まれる当該部品の位置情報を取得する、
請求項2に記載のテーピング装置。
【請求項4】
前記部品挿入手段は、前記位置情報に基づいて前記部品が供給されている位置まで移動して前記部品を保持する部品保持部と、
前記キャリアテープが備える前記ポケットの寸法よりも大きい寸法を有し、前記部品を前記ポケットへ案内する案内孔を備え、当該案内孔が前記ポケットの上方に位置し、前記案内孔が前記ポケットと連通するように前記キャリアテープと対向可能に設けられた案内板と、を含み、
前記部品保持部は、前記組み合わせ情報に基づいて、保持した前記部品と組み合わされている前記ポケットの上方に位置するように設けられた前記案内孔に前記保持した部品を挿入する、
請求項3に記載のテーピング装置。
【請求項5】
前記案内板は、前記キャリアテープの送り方向と直交する方向に移動可能に設けられた、
請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項6】
前記案内板は、前記キャリアテープの送り方向に沿って配列された複数の前記案内孔を備えた、
請求項5に記載のテーピング装置。
【請求項7】
前記案内板は、回転可能に設けられた、
請求項4に記載のテーピング装置。
【請求項8】
前記案内板は、回転方向に沿って配列された複数の前記案内孔を備えた、請求項7に記載のテーピング装置。
【請求項9】
前記部品撮像部は、前記部品載置部上に整列させて供給された複数の前記部品を撮像し、前記部品画像処理部は、前記部品載置部上に整列させて供給された複数の前記部品の前記寸法に関する情報とともに前記部品情報に含まれる当該部品の整列順情報を取得し、
前記部品挿入手段は、前記部品載置部を備えるとともに、前記部品を整列順に搬送する部品搬送部と、
前記キャリアテープが備える前記ポケットの寸法よりも大きい寸法を有し、前記部品を一旦保持して前記ポケットへ案内する案内孔を備え、当該案内孔が前記ポケットの上方に位置し、前記案内孔が前記ポケットと連通するように前記キャリアテープと対向可能に設けられた案内板と、を含み、
前記案内板は、前記組み合わせ情報に基づいて、前記案内孔に保持した前記部品と組み合わされている前記ポケットの上方に前記案内孔を位置させるように回転する、
請求項2に記載のテーピング装置。
【請求項10】
前記キャリアテープが設置されるテープガイドに振動部を備える、
請求項4から9のいずれか一項に記載のテーピング装置。
【請求項11】
ポケット情報取得手段は、前記ポケットを撮像するポケット撮像部と当該ポケット撮像部で得た画像から前記ポケットの前記ポケット情報を取得するポケット画像処理部を備えた、
請求項1から10のいずれか一項に記載のテーピング装置。
【請求項12】
前記ポケット情報は、順次送られる前記ポケットの並び順を示す並び順情報を含む、
請求項1から11のいずれか一項に記載のテーピング装置。
【請求項13】
キャリアテープが備える複数のポケットに部品を順次挿入するテーピング方法であって、
部品情報取得手段によって、複数の前記部品毎に寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含む部品情報を部品毎に取得する工程と、
ポケット情報取得手段によって、複数の前記ポケット毎に開口部の寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含むポケット情報をポケット毎に取得する工程と、
組み合わせ情報生成手段によって、前記部品情報と前記ポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する工程と、
部品挿入手段によって、前記組み合わせ情報生成手段によって生成された前記組み合わせ情報に基づいて、前記部品を当該部品と組み合わされた前記ポケットへ挿入する工程と、
を、備えたテーピング方法。
【請求項14】
前記部品情報を部品毎に取得する工程は、
前記部品情報取得手段が備える部品撮像部によって部品載置部に供給された前記部品を撮像する工程と、
前記部品情報取得手段が備える部品画像処理部によって前記部品撮像部で得た画像から前記部品載置部に供給された前記部品の前記部品情報を取得する工程と、
を含む請求項13に記載のテーピング方法。
【請求項15】
前記ポケット情報をポケット毎に取得する工程は、
前記ポケット情報取得手段が備えるポケット撮像部によって前記ポケットを撮像する工程と、
前記ポケット情報取得手段が備えるポケット画像処理部によって前記ポケット撮像部で得た画像から前記ポケットの前記ポケット情報を取得する工程と、
を含む請求項13または14に記載のテーピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーピング装置およびテーピング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の部品を保管したり、搬送したりするために、部品収納テープが用いられることがある。部品収納テープは、ポケット(部品収納凹部)に一つずつ部品が挿入されたキャリアテープにポケット閉塞用のカバーテープを付着して形成される。従来、キャリアテープのポケットに部品を順次挿入するテーピングシステム(例えば、特許文献1参照)や、テーピング装置(例えば、特許文献2から特許文献4参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-29505号公報
【特許文献2】特開2006-168754号公報
【特許文献3】特開2009-173305号公報
【特許文献4】特開2019-218111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、キャリアテープのポケットに部品を挿入する作業は、作業に用いられる設備の各部の工作精度や動作精度、さらには、キャリアテープのポケットの寸法精度や部品自体の寸法精度の影響を受ける。このため、部品とポケットのクリアランスを小さく設定すると、ポケットへの部品の挿入が困難となることが想定される。そこで、相対的に部品の寸法を小さくし、ポケットの寸法を大きく設定して、両者のクリアランスを大きくすれば、各種の精度のバラツキにかかわらず、部品をポケットに挿入し易くなる。しかしながら、部品とポケットとのクリアランスを大きく設定した場合、ポケットに挿入された部品がポケット内で回転してしまうことがある。部品がポケット内で回転し、所望の姿勢を維持できなくなっていると、部品実装機(チップマウンタ)による部品の取り出しに支障をきたすことが想定される。つまり、ポケットと部品とのクリアランスが狭過ぎると部品が挿入できないという問題が生じ、ポケットと部品とのクリアランスが広過ぎると部品を取り出すことができないという問題が生じ得る。このような問題は、特許文献1から特許文献4においても生じ得る。
【0005】
そこで、本発明の課題は、キャリアテープのポケットと部品との間の適正なクリアランスを確保した状態でキャリアテープのポケットに部品を挿入することができるテーピング装置およびテーピング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るテーピング装置は、キャリアテープが備える複数のポケットに部品を順次挿入するテーピング装置であって、複数の前記部品毎に寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含む部品情報を部品毎に取得する部品情報取得手段と、複数の前記ポケット毎に開口部の寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含むポケット情報をポケット毎に取得するポケット情報取得手段と、前記部品情報と前記ポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する組み合わせ情報生成手段と、前記組み合わせ情報生成手段によって生成された前記組み合わせ情報に基づいて、前記部品を当該部品と組み合わされた前記ポケットへ挿入する部品挿入手段と、を備える。
【0007】
上記構成のテーピング装置において、前記部品情報取得手段は、部品載置部に供給された前記部品を撮像する部品撮像部と当該部品撮像部で得た画像から前記部品載置部に供給された前記部品の前記部品情報を取得する部品画像処理部を備えた態様とすることができる。
【0008】
また、上記構成のテーピング装置において、前記部品撮像部は、前記部品載置部上に供給された複数の前記部品を撮像し、前記部品画像処理部は、前記部品載置部上に供給された複数の前記部品の前記寸法に関する情報とともに前記部品情報に含まれる当該部品の位置情報を取得する態様とすることができる。
【0009】
さらに、上記構成のテーピング装置において、前記部品挿入手段は、前記位置情報に基づいて前記部品が供給されている位置まで移動して前記部品を保持する部品保持部と、前記キャリアテープが備える前記ポケットの寸法よりも大きい寸法を有し、前記部品を前記ポケットへ案内する案内孔を備え、当該案内孔が前記ポケットの上方に位置し、前記案内孔が前記ポケットと連通するように前記キャリアテープと対向可能に設けられた案内板と、を含み、前記部品保持部は、前記組み合わせ情報に基づいて、保持した前記部品と組み合わされている前記ポケットの上方に位置するように設けられた前記案内孔に前記保持した部品を挿入する態様とすることができる。
【0010】
また、上記構成のテーピング装置において、前記案内板は、前記キャリアテープの送り方向と直交する方向に移動可能に設けられた態様とすることができる。
【0011】
さらに、上記構成のテーピング装置において、前記案内板は、前記キャリアテープの送り方向に沿って配列された複数の前記案内孔を備えた態様とすることができる。
【0012】
また、上記構成のテーピング装置において、前記案内板は、回転可能に設けられた態様とすることができる。
【0013】
さらに、上記構成のテーピング装置において、前記案内板は、回転方向に沿って配列された複数の前記案内孔を備えた態様とすることができる。
【0014】
また、上記構成のテーピング装置において、前記部品撮像部は、前記部品載置部上に整列させて供給された複数の前記部品を撮像し、前記部品画像処理部は、前記部品載置部上に整列させて供給された複数の前記部品の前記寸法に関する情報とともに前記部品情報に含まれる当該部品の整列順情報を取得し、前記部品挿入手段は、前記部品載置部を備えるとともに、前記部品を整列順に搬送する部品搬送部と、前記キャリアテープが備える前記ポケットの寸法よりも大きい寸法を有し、前記部品を一旦保持して前記ポケットへ案内する案内孔を備え、当該案内孔が前記ポケットの上方に位置し、前記案内孔が前記ポケットと連通するように前記キャリアテープと対向可能に設けられた案内板と、を含み、前記案内板は、前記組み合わせ情報に基づいて、前記案内孔に保持した前記部品と組み合わされている前記ポケットの上方に前記案内孔を位置させるように回転する態様とすることができる。
【0015】
さらに、上記構成のテーピング装置において、前記キャリアテープが設置されるテープガイドに振動部を備える態様とすることができる。
【0016】
また、上記構成のテーピング装置において、ポケット情報取得手段は、前記ポケットを撮像するポケット撮像部と当該ポケット撮像部で得た画像から前記ポケットの前記ポケット情報を取得するポケット画像処理部を備えた態様とすることができる。
【0017】
前記ポケット情報は、順次送られる前記ポケットの並び順を示す並び順情報を含む態様とすることができる。
【0018】
また、前記課題を解決するため、本発明に係るテーピング方法は、キャリアテープが備える複数のポケットに部品を順次挿入するテーピング方法であって、部品情報取得手段によって、複数の前記部品毎に寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含む部品情報を部品毎に取得する工程と、ポケット情報取得手段によって、複数の前記ポケット毎に開口部の寸法を測定し、当該寸法に関する情報を含むポケット情報をポケット毎に取得する工程と、組み合わせ情報生成手段によって、前記部品情報と前記ポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する工程と、部品挿入手段によって、前記組み合わせ情報生成手段によって生成された前記組み合わせ情報に基づいて、前記部品を当該部品と組み合わされた前記ポケットへ挿入する工程とを備える。
【0019】
上記構成のテーピング方法において、前記部品情報を部品毎に取得する工程は、前記部品情報取得手段が備える部品撮像部によって部品載置部に供給された前記部品を撮像する工程と、前記部品情報取得手段が備える部品画像処理部によって前記部品撮像部で得た画像から前記部品載置部に供給された前記部品の前記部品情報を取得する工程と、を含む態様とすることができる。
【0020】
また、上記構成のテーピング方法において、前記ポケット情報をポケット毎に取得する工程は、前記ポケット情報取得手段が備えるポケット撮像部によって前記ポケットを撮像する工程と、前記ポケット情報取得手段が備えるポケット画像処理部によって前記ポケット撮像部で得た画像から前記ポケットの前記ポケット情報を取得する工程と、を含む態様とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書開示の発明によれば、キャリアテープのポケットと部品との間の適正なクリアランスを確保した状態でキャリアテープのポケットに部品を挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は第1実施形態のテーピング装置の概略構成を示す上面図である。
図2図2(A)から図2(C)は第1実施形態のテーピング装置で使用可能なキャリアテープの一例を示す部分上面図である。
図3図3図1に示す部品供給手段の拡大部分縦断面図である。
図4図4(A)は図3に示した部品供給手段に含まれるトレイ部と部品情報取得手段に含まれる第1撮像部との位置関係を示す上面図であり、図4(B)は同トレイ部と同第1撮像部との位置関係を示す側面図である。
図5図5(A)は図1に示した部品保持挿入手段の拡大側面図、図5(B)は図5(A)の拡大部分縦断面図、図5(C)は図5(B)の拡大部分縦断面図、図5(D)は図5(A)に示したヘッド部の拡大下面図である。
図6図6(A)は第1実施形態のテーピング装置が備えるテープ送り手段に含まれるテープガイドの拡大上面図であり、図6(B)は図6(A)におけるX1-X1線断面図である。
図7図7(A)は図6(B)に示したX1-X1断面図の拡大図であり、図7(B)は図7(A)で示したテープガイドに積層される構成要素を分離して示す説明図である。
図8図8(A-1)は部品の上面図であり、図8(A-2)は部品の正面図であり、図8(A-3)は部品がポケット内で傾いたときにポケットの幅方向に一致する方向に沿って部品が占める寸法を示す説明図である。図8(B)はキャリアテープが備えるポケットの寸法を示す説明図である。図8(C)は案内板が備える案内孔の寸法を示す説明図である。
図9図9(A)は部品を案内孔に挿入する際の部品下端部とキャリアテープとの間のギャップg1を示す説明図であり、図9(B)は下降した吸着ノズルの下端部と案内板とのギャップg2と、下降した吸着ノズルの下端部とポケットの内底面とのギャップg3を示す説明図である。
図10図10はテーピング装置の制御系を示す図である。
図11図11(A)は第1実施形態のテーピング装置の初期データ入力のフローチャート、図11(B)は第1実施形態のテーピング装置の稼働条件入力のフローチャートであり、図11(C)は第1実施形態のテーピング装置の部品供給のフローチャートである。
図12図12(A)は第1実施形態のテーピング装置における部品情報取得のフローチャート、図12(B)は第1実施形態のテーピング装置におけるポケット情報取得のフローチャート、図12(C)は第1実施形態のテーピング装置における組み合わせ情報生成のフローチャート、図12(D)は第1実施形態のテーピング装置における部品保持のフローチャート、図12(E)は第1実施形態のテーピング装置における部品向き認識のフローチャート、図12(F)は第1実施形態のテーピング装置における部品挿入のフローチャートである。
図13図13図12(A)で示す部品情報取得の動作説明図である。
図14図14は部品とポケットとのマッチングの一例を示す説明図である。
図15図15図12(D)で示す部品保持の動作説明図である。
図16図16図12(E)で示す部品向き認識の動作説明図である。
図17図17図12(F)で示す部品挿入の動作説明図である。
図18図18(A)および図18(B)は図1に示した部品保持挿入手段の部品向き調整の動作説明図である。
図19図19(A)は第1実施形態のテーピング装置の部品再保持のフローチャート、図19(B)は第1実施形態のテーピング装置の部品向き再認識のフローチャート、図19(C)は第1実施形態のテーピング装置の部品再挿入のフローチャート、図19(D)は第1実施形態のテーピング装置の部品再供給のフローチャート、図19(E)は第1実施形態のテーピング装置の部品情報再取得のフローチャートである。
図20図20は第2実施形態のテーピング装置が備える部品案内手段の周辺を示す上面図である。
図21図21は第3実施形態のテーピング装置が備える部品案内手段の周辺を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
まず、図1図10参照し、図1に例示したテーピング装置1000の構造および制御系と、このテーピング装置1000に使用可能な部品ECとキャリアテープCT1~CT3について説明する。
【0024】
図1に示したテーピング装置1000は、複数種類のキャリアテープCT1~CT3のうち、取り扱う部品ECに適したポケットCTa(図2(A)から図2(C)参照)を備えたキャリアテープを選択する。そして、選択されたキャリアテープが備えるポケットCTaに部品ECを順次挿入する。テーピング装置1000は、移動手段10、部品載置部20、部品供給手段30、部品情報取得手段40、部品保持挿入手段50と、部品向き認識手段60およびテープ送り手段70を備える。テーピング装置1000は、さらに、ポケット情報取得手段80および部品案内手段90を備える。
【0025】
なお、図1に示した部品ECと3本のキャリアテープCT1~CT3は後のテーピング方法の説明に合わせて描いたものであって、図1に示したテーピング装置に使用可能な部品およびキャリアテープのサイズおよび種類等を制限するものではない。
【0026】
<テーピング装置に使用可能な部品およびキャリアテープの説明>
図1に示したテーピング装置1000に使用可能な部品ECの代表例は、直方体状を成す電子部品、例えばコンデンサ素子、バリスタ素子、インダクタ素子、アレイ素子、複合素子等である。無論、部品ECには、直方体状を成す電子部品以外の部品や、非直方体状の電子部品または電子部品以外の部品の使用も可能である。
【0027】
挿入対象となる部品ECが直方体状を成す電子部品の場合のサイズは、主たる市販品を例に挙げると、長さ基準寸法の範囲が0.4mm~3.2mm、幅基準寸法の範囲が0.2mm~2.5mm、高さ(厚さ)基準寸法の範囲が0.2mm~2.5mmである。また、長さ基準寸法と幅基準寸法と高さ基準寸法の関係は、長さ基準寸法>幅基準寸法=高さ基準寸法、長さ基準寸法>幅基準寸法>高さ基準寸法、長さ基準寸法>高さ基準寸法>幅基準寸法のいずれかである。
【0028】
図1に示したテーピング装置1000に使用可能なキャリアテープは、取り扱う部品ECを収納可能なポケットCTa(部品収納凹部)を等間隔で有するものであればよい。つまり、キャリアテープの幅とポケットCTaのサイズおよびピッチに特段の制限はなく、材質にも制限はない。
【0029】
ここで、図2(A)~図2(C)を用いて、本実施形態のテーピング装置1000が取り扱うことができるキャリアテープCT1~CT3について説明する。キャリアテープCT1~CT3は一例であり、テーピング装置1000はこれら以外のキャリアテープも取り扱うことができる。なお、各キャリアテープCT1~CT3が取り扱う部品は、そのサイズが異なるが、以下の説明では、いずれも同一の参照符号を用いている。
【0030】
図2(A)に示したキャリアテープCT1の幅Wtは4mm、直方体状のポケットCTaのピッチPaは1mm、円状のテープ送り孔CTbのピッチPbは2mmであり、各ポケットCTaには、長さ基準寸法が0.4mmで幅基準寸法が0.2mmで高さ基準寸法0.2mmの直方体状の部品(電子部品)ECが収納可能である。
【0031】
図2(B)に示したキャリアテープCT2の幅Wtは8mm、直方体状のポケットCTaのピッチPaは1mm、円状のテープ送り孔CTbのピッチPbは4mmであり、各ポケットCTaには、長さ基準寸法が0.6mmで幅基準寸法が0.3mmで高さ基準寸法0.3mmの直方体状の部品(電子部品)ECが収納可能である。
【0032】
図2(C)に示したキャリアテープCT2の幅Wtは8mm、直方体状のポケットCTaのピッチPaは2mm、円状のテープ送り孔CTbのピッチPbは4mmであり、各ポケットCTaには、長さ基準寸法が0.6mmで幅基準寸法が0.3mmで高さ基準寸法0.15mmの直方体状の部品(電子部品)ECが収納可能である。
【0033】
<移動手段10の説明>
移動手段10は、図1に示したように、台板BPに設けられたY方向移動部11とX方向移動部12とを有している。図1の左側に矢印で示したように、Y方向は図1の上下方向を指し、X方向は図1の左右方向を指しており、Y方向とX方向は平面において直交している。
【0034】
Y方向移動部11は、第1テーブル11aと、モータ11b(図10参照)を用いた直線移動機構(図示省略)とを有している。第1テーブル11aは、直線移動機構の可動部に連結されていて、モータ11bの正逆回転によって+Y方向と-Y方向に移動することができる。
【0035】
X方向移動部12は、第2テーブル12aと、モータ12b(図10参照)を用いた直線移動機構(図示省略)とを有している。第2テーブル12aは、直線移動機構の可動部に連結されていて、モータ12bの正逆回転によって+X方向と-X方向に移動することができる。
【0036】
<部品載置部20の説明>
部品載置部20は、図1図3図4(A)及び図4(B)に示したように、平坦な載置面21aを有するトレイ部21と、トレイ部21に振動、好ましくはXY方向の振動を付与可能な電気作動の部品拡散部22(図10も参照)とを有している。部品載置部20は、その下面を第1テーブル11aに連結されていて、第1テーブル11aと連動し、図1に示した部品供給場所P1と部品情報取得場所P2とに移動することができる。ちなみに、部品供給場所P1と部品情報取得場所P2はXY平面にXY座標によって予め定められた場所であり、各場所P1およびP2の中心のX方向座標値は同じである。
【0037】
部品拡散部22は、トレイ部21に振動を付与することにより、部品供給場所P1において部品供給手段30からトレイ部21の載置面21aに供給された部品ECを拡散、具体的には部品相互の隙間を増加することが可能である。
【0038】
また、載置面21aはトレイ部21の上面よりも低い位置にあって周囲が壁に囲まれており、部品供給手段30からトレイ部21の載置面21aに部品ECが落下供給されたときに(図3参照)、部品ECが載置面21aの周囲から外部にこぼれ落ちないようになっている。
【0039】
なお、部品落下距離にもよるが、部品供給手段30からトレイ部21の載置面21aに落下供給された部品が飛び跳ねるような場合には、このような飛び跳ねを防止するために合成樹脂や合成ゴムやエラストマー等から形成されたマット(図示省略)を載置面21aに配置しておくとよい。また、載置面21aの部品ECは部品載置部20が移動することで搬送されるが、この際、各部品ECの載置面21a上での位置がずれないよう、載置面21aは摩擦係数が高い材料で形成されているとよい。さらに、載置面21a上の部品ECは、後に説明する吸着ノズル52(図5(A)等参照)によって吸着保持される。このため、部品ECを円滑に取り出すことができるように、載置面21aは、部品ECが張りつき難い材料で形成されていることも求められる。
【0040】
<部品供給手段30の説明>
部品供給手段30は、図1および図3に示したように、多数(例えば数千個~数百万個)の部品ECを収容可能な部品収容部31と、部品収容部31の出口31aから部品を導出可能で、かつ、導出された部品を搬送してその搬送端から部品載置部20に落下可能な部品供給部32とを有しており、部品供給部32の搬送距離によってサイズに応じた数の部品を部品供給場所P1にある部品載置部20に供給できるように構成されている。部品供給手段30は、図1に示した部品供給場所P1に隣接して配置され、そのフレーム(図示省略)を台板BPに連結されている。なお、部品供給手段30は、第1テーブル11aと連結し、第1テーブル11aとともに移動できるようにしてもよい。これにより、部品載置部20へ部品ECを供給するために部品載置部20を移動させる必要がなくなり、部品ECの補給時間を短縮することができる。
【0041】
部品収容部31は、外観が逆円錐台状でその下部に筒状部分(符号省略)を有し、筒状部分に矩形状の出口31aを有している。部品供給部32は、部品収容部31の出口31aから導出された部品を支持可能な平坦な支持部分32a1を有する無端ベルト32aと、無端ベルト32aを回転可能なベルト回転部32bとを有している。ベルト回転部32bは、無端ベルト32aが巻き付けられた2個のプーリ(符号省略)と、図3の右側のプーリを定速で時計回り方向に回転駆動するモータ32b1(図10参照)とを有する。無端ベルト32aの搬送距離はモータ32b1の動作時間によって制御可能である。
【0042】
また、無端ベルト32aの搬送端32a2は、部品供給場所P1にある部品載置部20の中央上方(トレイ部21の載置面21aの中央上方)に位置している。すなわち、無端ベルト32aの搬送端32a2から落下供給される部品ECは、トレイ部21の載置面21aにその中央から外側に広がるように散らばる。
【0043】
図3を用いて部品供給手段30の動作を説明すると、部品載置部20が部品供給場所P1(図1参照)にあるとき、部品収容部31に収容された部品ECは、無端ベルト32aの回転によってその出口31aから導出される。そして、導出された部品ECは無端ベルト32aの支持部分32a1に支持された状態のまま部品載置部20に向かって搬送され、無端ベルト32aの搬送端32a2から部品載置部20のトレイ部21の載置面21aの中央に落下供給される。この部品ECの落下供給は、無端ベルト32aの回転が開始してから停止するまで(搬送が停止するまで)継続するため、無端ベルト32aの搬送距離に応じた数の部品が部品載置部20のトレイ部21の載置面21aに供給される。
【0044】
無端ベルト32aの搬送距離に応じて部品載置部20のトレイ部21の載置面21aに供給された部品ECは、トレイ部21の載置面21aの中央から外側に広がるように散らばる。また、部品載置部20の部品拡散部22が部品供給過程または部品供給停止後に作動して、トレイ部21の載置面21aに供給された部品ECが部品拡散部22からの振動によって拡散される。すなわち、部品供給手段30から部品載置部20のトレイ部21の載置面21aに供給された部品ECは、トレイ部21の載置面21aにおいて散在状態となり、部品拡散部22からの振動によって拡散されてより適正な散在状態となる(図4(A)および図4(B)参照)。ちなみに、散在状態とは、部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52で部品載置部20のトレイ部21の載置面21aにある部品を支障なく保持できる状態を意味する。
【0045】
なお、部品拡散部22からの振動付与が無くても、無端ベルト32aの搬送端32a2からトレイ部21の載置面21aの中央に落下供給された部品ECが載置面21aにおいて適正な散在状態となる場合には、部品拡散部22は無くてもよい。
【0046】
ここで、部品供給手段30から部品載置部20への部品の供給数を部品供給部32の無端ベルト32aの搬送距離によって制御する点について詳述する。
【0047】
部品載置部20は各種サイズの部品ECで共用されるものであるため、トレイ部21の載置面21aに供給された部品ECを散在状態とするには、トレイ部21の載置面に供給される部品ECの数を部品ECのサイズに応じて異ならせる必要がある。
【0048】
部品ECが直方体状を成す電子部品の場合を例に挙げると、例えば長さ基準寸法の範囲が0.4mm~3.2mm、幅基準寸法の範囲が0.2mm~2.5mm、高さ(厚さ)基準寸法の範囲が0.2mm~2.5mmの場合、最もサイズが小さな部品(0.4mm×0.2mm×0.2mm)がトレイ部21の載置面21aに接する面積は、最もサイズが大きな部品EC(3.2mm×2.5mm×2.5mm)がトレイ部21の載置面21aに接する面積の1/100(計算上)となるため、散在状態を確保するには、最もサイズが小さな部品ECを供給するときの数に対して最もサイズが大きな部品ECを供給するときの数を少なくする必要がある。
【0049】
また、部品供給手段30を各種サイズの部品ECで共用する場合、部品収容部31の出口31aのサイズ(高さ寸法と幅寸法)は、最もサイズが大きな部品(3.2mm×2.5mm×2.5mm)が通過できるサイズ、例えば10mm×10mmや5mm×5mmとしなければならない。すなわち、出口31aのサイズを最もサイズが大きな部品ECに合わせると、最もサイズが小さな部品EC(0.4mm×0.2mm×0.2mm)は重なった状態で出口31aから導出される可能性が高くなる。しかも、部品収容部31に収容される部品ECの向きはランダムであるため、部品のサイズに拘わらず、出口31aから一度に導出される部品ECの数も微妙に変化する。
【0050】
したがって、部品供給手段30を各種サイズの部品ECで共用する場合には、事前実験によって、部品ECのサイズ毎に部品載置部20のトレイ部21の載置面21aに供給される最適な数を予め定めておく。また、このように最適な数をトレイ部21の載置面21aに供給するための無端ベルト32aの搬送距離を部品ECのサイズ毎に予め定めておく。そして、サイズ別搬送距離(モータ32b1が定速回転する場合はサイズ別動作時間でも代用可)を稼働前に記憶部104(図10参照)に記憶させておく必要がある。
【0051】
なお、本実施形態では、部品供給手段30では部品供給部32として無端ベルト32aを用いたものを示したが、当該部品供給部32には同様の搬送機能を発揮し得る振動式リニアフィーダを用いることも可能である。
【0052】
<部品情報取得手段40の説明>
部品情報取得手段40は、図1に示したように、CMOSやCCD等の撮像素子および光学系を内蔵した第1撮像部41(図10参照)を含む。また、部品情報取得手段40は、第1撮像部41で得た画像から部品載置部20上に散在している部品ECそれぞれの位置情報(各部品の中心のXY座標)および寸法情報を認識可能な第1画像処理部42(図10参照)を有している。第1撮像部41は部品撮像部として機能し、第1画像処理部42は部品画像処理部として機能する。各部品の位置情報及び寸法情報は、部品情報に含まれる。なお、載置面21a上の部品ECのサイズが第1撮像部41の画素数(解像度)に対して小さく、部品ECの位置情報や寸法情報が適切に取得できない場合が想定される。このような場合は、載置面21aの面積を複数の領域に分け、その領域毎に第1撮像部41によって撮像することができる。この場合、撮像対象となる領域が第1撮像部41の直下に位置するように、部品載置部20を適宜移動させる。これにより、第1撮像部41の撮像画素数を生かし、より高精度な測定、情報の収集が可能となる。ここで、部品ECの寸法は、その長さlと幅wまたは厚さtである(図8(A-1)および図8(A-2)参照)。部品ECの長さl、幅wおよび厚さtについては、後に説明する。
【0053】
第1撮像部41は、その上面を第2テーブル12aに連結されていて、第2テーブル12aと連動し、図1に示した部品情報取得場所P2に移動することができる。すなわち、第1撮像部41は、部品情報取得場所P2において、部品載置部20上の散在した部品ECをその上方から撮像することができる。ちなみに、第1画像処理部42で認識された部品ECの位置情報および寸法情報は記憶部104(図10参照)に記憶される。
【0054】
<部品保持挿入手段50の説明>
部品保持挿入手段50は、部品挿入手段の一部として機能するものであり、図1および図5(A)から図5(D)に示すように、外観が円柱状を成すヘッド部51を備える。ヘッド部51には、複数の部品保持部52としての複数の吸着ノズル(図面では16個、以下吸着ノズル52と言う)、ヘッド部51を回転可能なヘッド回転部53が設けられている。ヘッド部51には、また、各吸着ノズル52を個別に昇降可能なノズル昇降部55、各吸着ノズル52を個別に回転可能なノズル回転部56が設けられている。ちなみに、各吸着ノズル52の中心の角度間隔は22.5度であり、各々の中心とヘッド部51の回転中心との距離は同じである。
【0055】
ヘッド回転部53は、第2テーブル12aの上面に設けられたモータ53a(図10参照)を有している。モータ53aのシャフト53bは第2テーブル12aの円柱状の孔12a1を通じてヘッド回転部53の上面中心に連結されている(図5(A)参照)。すなわち、部品保持挿入手段50は、第2テーブル12aと連動し、図1に示した部品情報取得場所P2と部品向き認識場所P3と部品挿入場所P4とに移動することができる。また、ヘッド回転部53は、モータ11bの正逆回転によってヘッド部51を上面視で時計回り方向と反時計回り方向に回転させることができる。
【0056】
図1から分かるように、第2テーブル12aと連動する部品保持挿入手段50の中心は、同じ第2テーブル12aに連結された部品情報取得手段40の中心とX方向に離れている。ちなみに、部品向き認識場所P3はXY平面にXY座標によって予め定められた場所であり、部品向き認識場所P3の中心のY方向座標値は部品情報取得場所P2の中心のY方向座標値と同じである。部品挿入場所P4は各キャリアテープCT1~CT3で共通のX方向に沿う場所である。第2テーブル12aは、後に説明するようにテープ送り手段用テーブル70aがY方向に沿って移動することで、各キャリアテープCT1~CT3に対する位置を相対的に変化することができる。具体的に、台板BPは、部品保持挿入手段50の16個の吸着ノズル52のうちの1個の中心が上面視で部品挿入場所P4において、部品ECの挿入対象となる案内孔92aと交差する位置P4aに移動できる(図6(A)参照)。
【0057】
各吸着ノズル52は、吸着ノズル52よりも外形が大きなノズル支持部52aと回転規制部52bを一体または別体で有し、円筒状のノズルホルダ54に昇降可能に配置されている(図5(C)参照)。また、ノズル支持部52aはノズルホルダ54の下部の円柱状の孔54aに昇降可能に位置し、回転規制部52bはノズルホルダ54内に昇降可能に、かつ、回り止めされた状態で位置している。図示を省略したが、各吸着ノズル52の吸引孔には、エア供給源105(図10参照)からエアチューブを介して負圧と正圧を供与できるようになっている。すなわち、各吸着ノズル52は、各ノズルホルダ54に昇降のみを可能とした状態で配置されており、負圧を供与することによってその下端に部品を保持することができ、また、極短時間に正圧を供与して真空破壊させることで部品ECの保持を解除することができる。
【0058】
ノズル昇降部55は、各ノズルホルダ54の上面に設けられたサーボモータ55aを有し、サーボモータ55aによって軸方向に移動可能に設けられたロッド55bはノズルホルダ54の上部の円柱状の孔54bを通じて吸着ノズル52の回転規制部52bの上面中心に接している(図5(C)参照)。図示を省略したが、各サーボモータ55aは歯車機構によってロッド55bを下降させ、また、上昇させることができる。
【0059】
図5(B)および図5(D)から分かるように、吸着ノズル52とノズルホルダ54とノズル昇降部55とを備えたユニット(図5(C)参照、符号省略)は、ヘッド部51の下面の周囲に等角度間隔(図面では22.5度間隔)で設けられた円柱状の孔51aに、ノズルホルダ54の下部が下方に突出した状態で回転自在に配置されている。
【0060】
ノズル回転部56は、各ユニットに対応してヘッド部51内に配置されたモータ56a(図10参照)と、モータ56aのシャフト56bに連結された歯車56cと、各ユニットのノズルホルダ54の上部外面に設けられ、かつ、歯車56cが噛合する外歯車状凹凸部54cとを有している(図5(B)参照)。すなわち、各ノズル回転部56は、モータ56aの正逆回転によって吸着ノズル52を上面視で時計回り方向と反時計回り方向に回転させることができる。
【0061】
<部品向き認識手段60の説明>
部品向き認識手段60は、図1に示したように、CMOSやCCD等の撮像素子および光学系を内蔵した第2撮像部61(図10参照)を含む。部品向き認識手段60は、また、第2撮像部61で得た画像から部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている保持部品それぞれの向き、具体的にはY方向を基準とした部品の角度θ(図18(A)参照)、または、X方向を基準とした部品の角度(図示省略)を、部品向き情報として認識可能な第2画像処理部62(図10参照)を有している。第2画像処理部62は、部品ECの向きと併せて吸着ノズル52に保持された部品ECの中心と吸着ノズル52の中心とのずれ(Y方向とX方向)量の認識も行う。
【0062】
第2撮像部61は、その下面を台板BPに連結されていて、図1に示した部品向き認識場所P3に配置されている。すなわち、第2撮像部61は、部品向き認識場所P3において、部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている保持部品をその下方から撮像することができる。第2画像処理部62で認識された部品ECの向き情報および部品ECの中心と吸着ノズル52の中心とのずれ(Y方向とX方向)量に関する情報は記憶部104(図10参照)に記憶される。
【0063】
<テープ送り手段70の説明>
テープ送り手段70は、台板BPとは別個に設けられている。テープ送り手段70は、台板BPの上方に設けられたテープ送り手段用テーブル70a上に設置されている。テープ送り手段用テーブル70aは、台板BP上のY方向に沿って延びるように敷設されたレール部70bに搭載されている。これにより、テープ送り手段70は、Y方向に沿って移動することができる。これによりテープ送り手段70と台板BPとは、相対的な位置関係を変化させることができる。テープ送り手段用テーブル70aがレール部70a上を移動するための駆動部の図示及びその詳細な説明は省略する。テープ送り手段70は、Y方向に間隔をおいて設けられた1対のリール支持部71と、1対のリール支持部71に支持されたシャフト72と、シャフト72の両端突出部分に被せられたシャフト固定用のキャップ73とを有している。
【0064】
図1には3本のキャリアテープCT1~CT3(図2参照)が描かれている。シャフト72には、キャリアテープCT1が巻き付けられた供給リールTR1、キャリアテープCT2が巻き付けられた供給リールTR2、キャリアテープCT3が巻き付けられた供給リールTR3が設けられている。これらは、スペーサリング74を介して回転自在に、かつ、着脱可能に配置されている。
【0065】
すなわち、少なくとも一方のキャップ73を取ってシャフト72をリール支持部71から取り出すことによって、各供給リールTR1~TR3の交換が可能である。ちなみに、各供給リールTR1~TR3に巻き付けられた各キャリアテープCT1~CT3は、各々のポケットCTaが上を向いた状態で各供給リールTR1~TR3から繰り出される。
【0066】
また、テープ送り手段70は、部品挿入場所P4に設けられた3個のテープガイド75~77と、各テープガイド75~77にある各キャリアテープCT1~CT3を+Y方向に間欠移動可能な3個のテープ送り部(図示省略)とを有している。各テープガイド75~77は、各キャリアテープCT1~CT3の幅Wに応じた溝75a~77aを有しており、各テープ送り部は、各テープガイド75~77にある各キャリアテープCT1~CT3のテープ送り孔CTbに係合可能なスプロケット(図示省略)と、各スプロケットを回転可能なモータ78a1、78b1、78c1(図10参照)とを有している。すなわち、各テープ送り部のモータ78a1、78b1、78c1の作動によって、各供給リールTR1~TR3から繰り出された各キャリアテープCT1~CT3を、各テープガイド75~77で案内しつつ、各々のポケットCTaのピッチPaで+X方向に間欠移動することができる。
【0067】
さらに、テープ送り手段70は、前掲に加えて、部品挿入場所P4よりも+X方向に離れた位置に設けられた3個のカバーテープ付着部(図示省略)を有している。各カバーテープ付着部は、各キャリアテープCT1~CT3の幅に対応した熱圧着可能なカバーテープを供給可能な3個のカバーテープ供給リール(図示省略)と、各カバーテープ供給リールからのカバーテープを熱圧着によって各キャリアテープCT1~CT3に付着可能な可動ヒータ部78a2、78b2、78c2(図10参照)とを有している。すなわち、各カバーテープ付着部の可動ヒータ部78a2、78b2、78c2の作動によって、+X方向に間欠移動する部品挿入後の各キャリアテープCT1~CT3にカバーテープを付着して各々のポケットCTaを閉塞することができる。
【0068】
さらに、テープ送り手段70は、前掲に加えて、各テープガイド75~77よりも+Z方向に離れた位置に設けられた3個のテープ巻取部(図示省略)を有している。各テープ巻取部は、部品挿入後でカバーテープ付着後の各キャリアテープCT1~CT3(部品収納テープ)を巻き取り可能な3個の巻取リール(図示省略)と、各巻取リールを巻取方向に回転可能な巻き取りモータ78a3、78b3、78c3(図10参照)とを有している。すなわち、各テープ巻取部の巻き取りモータ78a3、78b3、78c3の作動によって、部品挿入後でカバーテープ付着後の各キャリアテープCT1~CT3(部品収納テープ)を各巻取リールに巻き取ることができる。
【0069】
<ポケット情報取得手段80の説明>
ポケット情報取得手段80は、図1に示したように、CMOSやCCD等の撮像素子および光学系を内蔵した第3撮像部81(図10参照)を含む。また、ポケット情報取得手段80は、第3撮像部81で得た画像からキャリアテープCT1~CT3に設けられているポケットCTaの寸法に関する情報認識可能な第3画像処理部82(図10参照)を有している。第3撮像部81はポケット撮像部として機能し、第3画像処理部82はポケット画像処理部として機能する。各ポケットCTaの寸法情報は、ポケットCTaの並び順の情報とともにポケット情報に含まれる。ここで、ポケットCTaの寸法は、その長さLcと幅Wcである(図8(B)参照)。ポケットCTaの長さLcと幅Wcについては、後に説明する。
【0070】
第3撮像部81は、その上面を台板BPから延びる図示しない支持部に連結されていて、台板BPと連動し、テープガイド75~76上に移動することができる。これにより、第3撮像部81は、テープガイド75~78のうち、使用されているテープガイドの上方に移動することができる。そして、第3撮像部81は、テープ送り手段70によって送られるキャリアテープに設けられたポケットCTaをその上方から撮像することができる。第3画像処理部82で認識されたポケットCTaの寸法情報および並び順情報は記憶部104(図10参照)に記憶される。
【0071】
<部品案内手段90の説明>
部品案内手段90は、モータ91、偏心カム91a、案内板92を備える。モータ91および偏心カム91aは振動部に相当する。部品案内手段90は、テープガイド75~77毎に設けられている。図1図6(A)等を参照すると、案内板92には、キャリアテープCT1に設けられたポケットCTaに対応させて案内孔92aが設けられている。案内孔92aの寸法は、ポケットCTaの寸法よりも一回り大きい。なお、案内板92は、対象となるキャリアテープに対応させて準備されている。つまり、案内孔92aの配置ピッチや寸法は、キャリアテープのポケットCTaに対応させて設けられている。図6(A)および図6(B)は、キャリアテープCT1を案内するテープガイド75が描かれており、キャリアテープCT1に対応する案内板92が示されている。以下の説明では、キャリアテープCT1のポケットCTaに部品ECを挿入する場合について説明するが、キャリアテープCT2やキャリアテープCT3に対して部品ECを挿入する場合も同様である。
【0072】
案内孔92aは、部品ECをスムーズにポケットCTaに挿入するために設けられている。部品ECは、一旦、案内孔92a内へ挿入された後にポケットCTa内に収納される。案内板92には、複数の案内孔92aが設けられている。本実施形態では、X方向に沿って11個の案内孔92aが設けられ、これがY方向に沿って3列設けられている。但し、このような案内孔92aの配列は、一例であり、案内孔92aの個数、配列は、これに限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、吸着ノズル52の数に合わせて、一列に配置される案内孔92aの数を設定してもよい(本実施形態にあっては16個)。
【0073】
案内板92は、テープ送り手段70を支持する図示しない支持部上に設けられた支持板95(図1図13等では省略)の表面上を摺動できるように配置されている。支持板95は、テープガイド75の側方に配置されている。案内板92は、キャリアテープCT1の送り方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に移動可能に設けられている。案内板92は、その両側に配置された駆動モータ93によってY方向に移動することができる。案内孔92aは貫通孔であるが、案内板92が支持板95上を摺動するように配置されているため、案内孔92a内に挿入された部品ECは、落下することなく、案内孔92a内に留まることができる。部品ECは、部品挿入場所P4において、吸着ノズル52によって案内孔92a内に挿入される。案内板92は、X方向に沿う一列分の全ての案内孔92a内に部品ECが挿入された状態で駆動モータ93によって+Y方向に移動する。部品ECは、案内板92が移動することで、キャリアテープCT1のポケットCTa上に移動し、ポケットCTa内に収納される。案内板92および支持板95は、テープガイド76、77に対しても同様に装備されている。
【0074】
モータ91と偏心カム91aは、テープガイド75に振動を付与し、案内孔92a内に挿入された部品ECをポケットCTa内に振り落として収納するために設けられている。偏心カム91aはテープガイド75に取り付けられている。また、偏心カム91aは、その中心点からずれた位置にモータ91の回転軸部が接続されている。これにより、モータ91が回転することで、テープガイド75を振動させ、案内孔92a内の部品ECをポケットCTaに収納することができる。本実施形態の偏心カム91aは、テープガイド75にX方向、Y方向およびこれらと直交する方向(Z方向)の振動を付与する。なお、偏心カム91aによる振幅は、ポケットCTaの内壁の位置が、ポケットCTaよりも一回り大きい寸法に設定されている案内孔92aの内壁の位置と概ね一致する程度に設定されている。これにより、部品ECが案内板92とキャリアテープCT1とに挟まれて破損することを回避することができる。モータ91および偏心カム91aは、テープガイド76、77にも同様に装備されている。
【0075】
図6(B)を参照すると、テープガイド75には、キャリアテープCT1が配置される溝75aと、ポケットCTaが入り込むことができる凹部75bが設けられている。凹部75bには、磁石75cが配置されている。部品ECが、強磁性体に属する材料を含んでいる場合、磁石75cの磁力によって部品ECの姿勢を整えることができる。これにより、部品ECを正しい姿勢でポケットCTa内に収納することができる。
【0076】
ここで、図6(B)を拡大して示す図7(A)と、テープガイド75に積層された構成要素を分離して示す図7(B)を参照すると、テープガイド75とキャリアテープCT1との間には、セパレータ94が配置されている。セパレータ94は、キャリアテープCT1上を被覆するように配置されるもので、案内板92がキャリアテープCT1に直接触れ、移動する案内板92がキャリアテープCT1を損傷させることがないように設けられるものである。セパレータ94には、開口部94aが設けられている。開口部94aの寸法は、案内孔92aの寸法やポケットCTaの開口部の寸法よりも大きく、部品ECのポケットCTa内への挿入の妨げとならないように設定されている。
【0077】
図6(A)および図6(B)を参照すると、テープガイド75の側方には、案内板92の浮き上がりを検知する浮き上がり検知センサ96が設けられている。仮に、ポケットCTa内に部品ECが適切に挿入されなかった場合、この状態でキャリアテープCT1が搬送されると、案内板92は、挿入されなかった部品ECに乗り上げる状態となって浮き上がる。浮き上がり検知センサ96は、このような案内板92の浮き上がりを検知する。浮き上がり検知センサ96が案内板92の浮き上がりを検知した場合、テーピング装置1000の稼働を一時停止する措置をとることができる。これにより、ポケットCTa内への部品ECの挿入不良に対処することができる。浮き上がり検知センサ96は、テープガイド76やテープガイド77にも同様に設けられている。
【0078】
ここで、図8を参照して、部品ECの寸法、ポケットCTaの寸法(開口部の寸法)および案内孔92aの寸法の関係について説明する。まず、図8(A-1)を参照すると、部品ECの幅と長さは、それぞれwとlである。そして、部品ECの幅wと長さlとが表れる面における対角線の長さはd2である。つぎに、図8(A-2)を参照すると、部品ECの厚さ(高さ)はtである。そして、部品ECの幅wと厚さtとが表れる面における対角線の長さはd1である。つぎに、図8(A-3)を参照すると、部品ECの長さ方向に沿う中心軸線AXyがY方向に対して角度A°傾いた場合に、対角線を形成する角部間のX方向に沿う長さはBである。つぎに、図8(B)を参照すると、ポケットCTaの開口部の幅と長さは、それぞれWcとLcである。ここで、ポケットCTaの開口部の幅Wcは、X方向に沿う寸法であり、ポケットCTaの開口部の長さLcは、Y方向に沿う寸法である。つぎに、図8(C)を参照すると、案内孔92aの開口部の幅と長さは、それぞれWgとLgである。ここで、案内孔92aの開口部の幅Wgは、X方向に沿う寸法であり、案内孔92aの開口部の長さLgは、Y方向に沿う寸法である。
【0079】
案内孔92aの寸法と、部品ECの寸法は、以下の条件を満たすように設定されている。
条件(1) Wg>w
条件(2) Lg>l
条件(3) Wg(min)>d1(max)
条件(4) B≦Wg(min)
条件(5) Lg(min)>d2(max)
条件(6) Lg(max)≦l(min)×2
また、ポケットCTaの寸法と、案内孔92aの寸法は、以下の条件を満たすように設定されている。
条件(7) Wg>Wc
条件(8) Lg>Lc
【0080】
ここで、Wg(min)は、案内孔92aを作成する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最小の幅である。d1(max)は、部品ECを製造する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最大の対角線長さである。Wg(max)は、案内孔92aを作成する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最大の幅である。Lg(min)は、案内孔92aを作成する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最小の幅である。d2(max)は、部品ECを製造する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最大の対角線長さである。Lg(max)は、案内孔92aを作成する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最大の長さである。l(min)は、部品ECを製造する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最小の長さである。同様に、部品ECを製造する際に生じ得る公差を考慮したときに想定される最小の幅は、w(min)と表記するものとなる。なお、各種寸法を設定する場合には、各要素の製造時の公差だけでなく、テーピング装置1000が備える部品保持挿入手段50やテープ送り手段70等の稼働部の動作の精度を考慮することができる。
【0081】
条件(1)と条件(2)により、部品ECを案内孔92a内へ挿入することができる。条件(3)により、部品ECが中心軸線AXy回りに回転しても、部品ECが案内孔92aに対しその幅方向において挟まれる状態となることが回避される。条件(4)により、部品ECの中心軸線AXyがY方向に対して角度A°(例えば30°)以上傾いて部品ECが案内孔92aに対しその幅方向において挟まれる状態となることが回避される。ここで、角度A°を何度に設定するかは。実験やシミュレーションによって適宜設定することができる。条件(5)により、部品ECが中心軸線AXz回りに回転しても、部品ECが案内孔92aに対しその長さ方向において挟まれる状態となることが回避される。条件(6)により、案内孔92a内に部品ECを一つずつ挿入することができる。また、条件(7)と条件(8)により、最終的にポケットCTa内へ挿入される部品ECを一旦案内孔92a内へ挿入し、その後、ポケットCTa内へ移動させる操作が容易となる。
【0082】
なお、部品ECの寸法と、ポケットCTaの寸法との関係は、w<Wc、l<Lcである。ここで、これらの数値は、設計値であるが、部品ECを製造する際に生じ得る公差やポケットCTaを形成する際に生じ得る公差に起因して両者の関係にバラツキが生じる可能性がある。ポケットCTaの寸法に対して部品ECの寸法が相対的に大きいと部品ECが挿入されない、または、挿入し難くなることが想定される。これとは逆に、ポケットCTaの寸法に対して部品ECの寸法が相対的に小さいと、部品ECがポケットCTa内で回転し、チップマウンタで部品ECを取り出せなくなることが想定される。本実施形態では、これらの事態を回避するために、部品ECとポケットCTaとのマッチングを行う。このマッチングについては、後に詳説する。
【0083】
つぎに、図9(A)および図9(B)を参照して、吸着ノズル52によって部品ECが案内孔92a内へ挿入される際の各部の間隔の設定について説明する。まず、図9(A)に示す間隔g1について説明する。間隔g1は、案内孔92a内へ挿入するために降下させた部品ECの下面とキャリアテープCT1の上面との距離である。間隔g1を設けることで、部品ECやキャリアテープCT1の損傷を回避することができる。つぎに、図9(B)に示す間隔g2について説明する。間隔g2は、部品ECを案内孔92a内へ挿入するために降下した吸着ノズル52の下端面と案内板92の上面との距離である。間隔g2を設けることで、吸着ノズル52や案内板92の損傷を回避し、また、案内板92の位置ずれを回避することができる。つぎに、図9(B)に示す間隔g3について説明する。間隔g3は、部品ECを案内孔92a内へ挿入するために降下した吸着ノズル52の下端面とポケットCTaの内底面との距離である。間隔g3は、部品ECの対角線の長さd2(図8(A-1)参照)との関係が、g3>d2となるように設定する。これにより、部品ECが、その長さ方向や対角線が延びる方向が概ね垂直方向に一致した状態で挿入されていても、部品ECがポケットCTaの内底面と吸着ノズル52との間に挟まれた状態となることを回避することができる。
【0084】
ここで、本実施形態における案内孔92aの設計値としての幅Wgと長さLgの設定について説明する。まず、幅Wgは、公差を考慮した長さl(min)と幅w(min)を有する部品ECを想定し、このような部品ECが角度A°(例えば30°)傾いたときの寸法BをWg(max)に設定する。案内孔92aの設計値としての幅Wgは、公差を考慮した幅がWg(max)となるように設定する。そして、設計値としての長さLgは、公差を考慮した長さLg(max)とポケットCTaの長さとして想定される最小の値Lc(min)との差分が、案内孔92aの幅Wg(max)とポケットCTaの幅として想定される最小の値Wc(min)との差分と同じ差分となるように、設定する。
【0085】
<制御系の説明>
つぎに、テーピング装置1000の制御系について説明する。テーピング装置1000の制御系は、図10に示したように、マイクロコンピュータ、各種ドライバおよびインターフェース等を有する主制御部101と、キーボード等の入力部102と、液晶ディスプレイ等の表示部103と、各種データを記憶するための記憶部104とを有しており、主制御部101のメモリまたは記憶部104には動作制御用プログラムが格納されている。主制御部101は、組み合わせ情報生成手段として機能する。つまり、主制御部101は、記憶部104に記憶された部品情報と、ポケット情報とに基づき、いずれのポケットCTaにいずれの部品ECを挿入するかの組み合わせ情報を生成する。そして、主制御部101は、この組み合わせ情報に基づいて、部品保持挿入手段50を作動させる。なお、図10に示したその他の制御系要素およびその機能については先に説明したとおりであるためその説明を省略する。
【0086】
つぎに、図11図18および図1を用いて、テーピング装置1000を用いたテーピング方法について説明する。
【0087】
<テーピング装置によるテーピング方法の説明>
まず、テーピング装置1000の稼働前に、その準備として、制御系の入力部102と表示部103を用い、各種のデータ入力が行われる。具体的に、作業者は、使用可能性が高い部品ECの種類全てと、各部品EC対応のキャリアテープCTの種類全てを入力し、記憶部104に記憶させる。また、作業者は、事前実験によって予め定めた各部品EC対応の部品供給手段30の無端ベルト32aのサイズ別搬送距離(モータ32b1が定速回転する場合はサイズ別動作時間でも代用可)を入力して記憶部104に記憶させる(図11(A)のステップS101~S104を参照)。ちなみに、部品およびキャリアテープの種類には品番や型番等を使用することできる。また、入力データは、部品のサイズそれぞれにキャリアテープの種類とサイズ別搬送距離が対応付けられた形式とすることが望ましい。
【0088】
続いて、作業者は、制御系の入力部102と表示部103を用いて、実際の稼働条件を入力して記憶部104に記憶する(図11(B)のステップS111およびS112を参照)。ここでは、一例として、挿入対象となる部品ECがキャリアテープCT1~CT3に対応した3種類である場合について説明する。まず、キャリアテープCT1に対応する部品ECに関し、キャリアテープCT1の配置位置(図1では最も上)と部品挿入数と挿入順番を入力する。ここで、挿入順番とは、キャリアテープCT1~CT3に対し、どのような順番で挿入を行うかの順序である。同様に、キャリアテープCT2に対応する部品ECに関し、キャリアテープCT2の配置位置(図1では中央)と部品挿入数と挿入順番を入力する。同様に、キャリアテープCT3に対応する部品ECに関し、キャリアテープCT3の配置位置(図1では最も下)と部品挿入数と挿入順番を入力する。ちなみに、先の入力データが部品ECのサイズそれぞれにキャリアテープの種類他が対応付けられた形式の場合は、キャリアテープの選択は不要である。また、キャリアテープCT1~CT3(供給リールTR1~TR3)の配置位置は図1の上、中、下の3箇所から任意に選択できるため、図1に示した以外の並び順となっていてもよい。
【0089】
本実施形態における稼働条件は以下の如くである。本実施形態において、キャリアテープCT1への部品ECの挿入は1番目で挿入数は10000個である。また、キャリアテープCT2への部品ECの挿入は2番目で挿入数は5000個である。さらに、キャリアテープCT3への部品ECの挿入は3番目で挿入数は500個である。
【0090】
このような稼働条件が設定されている場合、テーピング装置1000の稼働準備として、まず、図1に示したように、キャリアテープCT1に挿入される部品ECを部品供給手段30の部品収容部31に投入する。そして、供給リールTR1~TR3を前記配置位置に応じてテープ送り手段70に取り付ける。各供給リールTR1~TR3から引き出したキャリアテープCT1~CT3のそれぞれの端部は、各テープガイド75~77を通じて巻取リール(図示省略)に連結される。
【0091】
稼働準備が完了した後は、制御系の入力部102と表示部103を用いて、前述の稼働条件に基づく稼働を開始する。稼働が開始されると、図1および図3を用いて先に説明したように、部品供給手段30の部品供給部32が作動して部品供給場所P1にある部品載置部20に最適な数の部品ECが供給され、部品載置部20に供給された部品ECが部品拡散部22の作動によって拡散される(図11(C)のステップS121~S123を参照)。なお、部品拡散部22を作動しなくても供給後の部品ECが適正な散在状態となる場合には、部品拡散部22の作動は不要である。
【0092】
部品供給が完了すると、図13に示したように、Y方向移動部11によって部品載置部20が部品情報取得場所P2に移動する。そして、部品情報取得場所P2にある部品情報取得手段40の第1撮像部41によって部品載置部20上に散在した部品ECがその上方から撮像される。そして、第1撮像部41で得た画像から第1画像処理部42によって部品載置部20に散在した部品ECそれぞれの位置情報および寸法情報が認識され、記憶部104に記憶される(図12(A)のステップS131~S133を参照)。
【0093】
また、テーピング装置1000の稼働が開始されると、キャリアテープCT1の巻き取りも開始される。キャリアテープCT1の巻き取りは間欠的に行われる。キャリアテープCT1の巻き取りが行われる際、ポケット情報取得手段80に含まれる第3撮像部81によってキャリアテープCT1に設けられている各ポケットCTaがその上方から撮像される。そして、第3撮像部81で得た画像から第3画像処理部82によって各ポケットCTaの寸法情報が認識され、記憶部104に記憶される(図12(B)のステップS134~S135を参照)。寸法情報には、各ポケットCTaの並び順情報も含まれる。例えば、図14に示すようにキャリアテープCT1の+X方向から-X方向に向かって順にポケットCTa1、ポケットCTa2・・・のような並び順になっている場合に、その並び順とともに、各ポケットCTanの開口部の寸法の情報が認識され、記憶される。なお、部品情報とポケット情報は、つぎに説明する組み合わせ情報の生成が開始されるまでに記憶部104に記憶されていればよい。ポケット状の取得は、キャリアテープCT1が間欠移動する度に行われる。
【0094】
つぎに、組み合わせ情報の生成を行う。主制御部101は、記憶部104に記憶されている部品情報に含まれる部品ECの寸法情報と、ポケット情報に含まれるポケットCTaの寸法情報とに基づいて、部品ECとポケットCTaとの組み合わせをする。例えば、図14に示す部品EC1の寸法とポケットCTa1の寸法とが適合する場合は、この両者を組み合わせる。同様に、部品EC2の寸法とポケットCTa2の寸法とが適合する場合は、この両者を組み合わせる。他の部品ECとポケットCTaについても同様に組み合わせる。ここで、部品ECの寸法とポケットCTaの寸法との適合は、ポケットCTa内に部品ECを挿入でき、かつ、ポケットCTa内で部品ECが回転することがない適度なクリアランスが保たれるか否かによって判断される。
【0095】
組み合わせ情報には、部品保持挿入手段50に含まれる複数の吸着ノズル52のうち、いずれの吸着ノズル52がいずれの部品ECを保持するかの保持順序情報も含まれている。これにより、例えば、部品EC1を吸着した吸着ノズル52は、その部品EC1をポケットCTa1に挿入するように紐づけられる。具体的に、各吸着ノズル52は、吸着ノズル52-1、52-2、・・・のように区別されるものとする(図5(D)参照)。このような場合に、図14に示すポケットCTa1に挿入される部品EC1を吸着ノズル52-1に保持させる。同様に、ポケットCTa2に挿入される部品EC2を吸着ノズル52-2に保持される。以下、同様の要領で、保持順序情報を生成する。
【0096】
このようにして生成された組み合わせ情報は、記憶部104に記憶される(図12(C)のステップS136~S139を参照)。
【0097】
組み合わせ情報の生成が完了すると、図15に示したように、X方向移動部12によって部品保持挿入手段50が部品情報取得場所P2に移動される。そして、ステップS139で記憶された組み合わせ情報に含まれる保持順序情報に基づいて、部品情報取得場所P2にある部品載置部20上の散在した部品EC中、組み合わせ情報に含まれる部品ECが順次部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持される(図12(D)のステップS141~S143を参照)。
【0098】
ここで、ステップS143の部品保持方法について補足する。本実施形態では、ポケットCTaに挿入する部品ECを一旦、案内板92の案内孔92aへ挿入する。本実施形態の案内板92が備える案内孔92aは、一列当たり11個である。このため、部品保持挿入手段50の16個の吸着ノズル52のうち、11個の吸着ノズル52を用いる。使用する吸着ノズル52の数は、案内孔92aの一列の数に応じて適宜変更することができる。例えば、案内孔92aの一列の数が16個である場合には、部品保持挿入手段50が備える16個すべての吸着ノズル52を用いて挿入作業を行うことができる。
【0099】
部品保持が完了すると、図16に示したように、X方向移動部12によって部品保持挿入手段50が部品向き認識場所P3に移動され、部品向き認識場所P3にある部品向き認識手段60の第2撮像部61によって部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている部品ECがその下方から撮像される。そして、第2撮像部61で得た画像から各吸着ノズル52に保持されている部品ECの向き、具体的にはY方向を基準とした部品の角度θ(図18(A)を参照)、または、X方向を基準とした部品ECの角度(図示省略)が第2画像処理部62によって認識される。また、部品ECの中心と吸着ノズル52の中心とのずれ(Y方向とX方向)量が認識される。そして、認識された部品向き情報およびずれ量に関する情報が記憶部104に記憶される(図12(E)のステップS151~S153を参照)。
【0100】
部品向き認識が完了すると、図17に示したように、X方向移動部12によって部品保持挿入手段50が部品挿入場所P4に移動する。具体的に、部品保持挿入手段50が、テープガイド75に設けられた案内板92の上方(図6(A)における位置P4a)に移動する。そして、ステップS153で記憶された部品向き情報およびずれ量に関する情報に基づいて、部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている部品ECが向きおよび部品ECの中心座標のずれの調整後に案内板92が備える案内孔92aに順次挿入される。ここで、各部品ECは、各吸着ノズル52に保持された部品ECと組み合わされているポケットCTaの上方に位置するように設けられた案内孔92aに挿入される。各案内孔92aへの部品ECの挿入が完了した後、部品ECが挿入されている案内孔92aの列が、キャリアテープCT1上に位置するように、モータ3によって案内板92を移動させる。そして、偏心カム91aが取り付けられたモータ91を稼働させ、テープガイド75を振動させることで、案内孔92a内の部品ECをポケットCTa内へ落下させ、収納する(図12(F)のステップS161~S163を参照)。
【0101】
ポケットCTaへの部品ECの挿入が完了した後は、テープ送り手段70のキャリアテープCT1対応のテープ送り部の作動によって部品挿入場所P4のポケットCTaを+X方向に間欠移動させる。そして、テープ送り手段70のキャリアテープCT1対応のカバーテープ付着部の作動によって部品挿入後のポケットCTaをカバーテープで閉塞する。また、テープ送り手段70のキャリアテープCT1対応のテープ巻取部の作動によって部品挿入後でカバーテープ付着後のキャリアテープCT1(部品収納テープ)を巻取リールに巻き取る動作が行われる。
【0102】
前述の部品向き情報がX方向を基準とした部品ECの角度θ(図18(A)を参照)の場合は、前掲の吸着位置にある吸着ノズル52に保持されている部品ECのY方向を基準とした角度θを部品向き情報に基づいて演算する。そして、この角度θが零になるように吸着ノズル52を回転させる。これにより、吸着ノズル52に保持されている部品ECの向きが案内板92に設けられている案内孔92aの向きに整合するように調整される。このような向きの調整と、部品ECの中心座標のずれの調整とによって、部品ECは、案内孔92aに挿入される。また、前述の部品向き情報がX方向を基準とした部品の角度(図示省略)の場合も、当該角度が90度になるように吸着ノズル52を回転させれば、吸着ノズル52に保持されている部品ECの向きを案内板92の案内孔92aの向きに整合するように調整し、部品ECの中心座標のずれの調整とによって、部品ECを案内孔92aに挿入することができる。
【0103】
前述の稼働条件例ではキャリアテープCT1に挿入する部品ECの挿入数が10000個である。このため、ステップS163で部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持された部品EC全てがそれぞれ案内板92の案内孔92aに挿入されると、部品保持挿入手段50は再度部品情報取得場所P2に移動する(図15を参照)。なお、部品保持挿入手段50の移動は、部品ECの案内孔92aへの挿入が完了した後、即座に行うことができる。つまり、モータ91を稼働させ、テープガイド75を振動させているタイミングに合わせて部品保持挿入手段50の移動を行うことができる。このように、異なる作業を並行して行うことで、全体の作業時間を短縮することができる。
【0104】
そして、ステップS133で記憶された部品位置情報に基づいて、部品情報取得場所P2にある部品載置部20上に散在した部品EC中の一部の部品ECが、再度、部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持される(図19(A)のステップS171~S173を参照)。
【0105】
部品再保持が完了すると、X方向移動部12によって部品保持挿入手段50が部品向き認識場所P3に移動する(図16を参照)。そして、部品向き認識場所P3にある部品向き認識手段60の第2撮像部61によって部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている部品ECがその下方から撮像される。そして、第2撮像部61で得た画像から各吸着ノズル52に保持されている部品ECの向きおよび部品ECの中心と吸着ノズル52の中心とのずれ(Y方向とX方向)が第2画像処理部62によって認識されて、認識された部品向きおよびずれ情報が、再度、記憶部104に記憶される(図19(B)のステップS181~S183を参照)。
【0106】
部品向きおよびずれの再認識が完了すると、図17に示したように、X方向移動部12によって部品保持挿入手段50が部品挿入場所P4に移動する。具体的に、部品保持挿入手段50が、テープガイド75に設けられた案内板92の上方(図6(A)における位置P4a)に移動する。そして、ステップS183で記憶された部品向きおよびずれ情報に基づいて、部品保持挿入手段50の各吸着ノズル52に保持されている部品ECが、再度、案内板92が備える案内孔92aに順次挿入される。そして、各部品ECは、キャリアテープCT1のポケットCTaに順次挿入される(図19(C)のステップS191~S193を参照)。
【0107】
このような操作、つまり、図19(A)~図19(C)の操作を繰り返すことで、部品載置部20上に散在した部品ECは、徐々に減る。このため、図19(A)~図19(C)を所定回数繰り返したタイミングで、Y方向移動部11によって部品載置部20を部品供給場所P1に移動し(図17の2点鎖線を参照)、部品供給手段30の部品供給部32の作動によって、再度、部品載置部20に部品ECを供給する(図19(D)のステップS201~S203を参照)。
【0108】
なお、案内孔92aは、複数列設けられているため、図19(A)~図19(C)の操作を繰り返し行う場合には、前回挿入対象とした案内孔92aの列と異なる列を挿入対象とする。例えば、モータ91の作動により、ポケットCTaへ部品ECを挿入し、キャリアテープCT1を間欠移動させる工程に時間がかかるような場合に、他の列を挿入対象とすることで、無駄な時間の発生を回避することができる。本実施形態のテーピング装置1000では、モータ91によるキャリアテープCT1への振動付与によって、部品ECが案内孔92aからポケットCTaに挿入されるまでの所要時間が一定ではない、また、組み合わせ情報の生成に要する時間も一定ではない。このように、各機能の動作時間が、状況によって変化する。このような状況に対処すべく、複数列の案内孔92aを設けておくことで、効率的な設備稼働が可能となる。
【0109】
部品再供給が完了すると、Y方向移動部11によって部品載置部20が部品情報取得場所P2に移動される。そして、部品情報取得場所P2にある部品情報取得手段40の第1撮像部41によって部品載置部20上に散在した部品ECがその上方から撮像され、第1撮像部41で得た画像から部品載置部20上に散在した部品ECそれぞれの位置情報および寸法情報を含む部品情報が第1画像処理部42によって認識される。認識された部品情報は、再度、記憶部104に記憶される(図19(E)のステップS211~S213を参照)。
【0110】
これらの動作は、稼働条件として設定された10000個の部品ECの挿入が完了するまで繰り返される。
【0111】
前述の稼働条件例ではキャリアテープCT2への部品EC(5000個)の挿入が2番目に行われる。このため、部品供給手段30で供給可能な部品をキャリアテープCT1に挿入する部品ECからキャリアテープCT2に挿入する部品ECに交換する。この交換方法としては、部品収容部31内に残っている部品ECを取り除き、新たに部品ECを投入してもよいし、新たな部品ECが収納された部品収容部31に付け替えてもよい。また、部品供給手段30を台板BPから取り外して別の部品供給手段30を配置してから部品収容部31に新たに部品ECを投入する方法としてもよい。
【0112】
部品交換後に稼働を再開させると(図11(C)のステップS121を参照)、キャリアテープCT1のポケットCTaに挿入される部品ECの場合と同様の手順で、5000個の部品ECがキャリアテープCT2のポケットCTaに順次挿入される。これにより、5000個の部品ECが挿入され、かつ、カバーテープが付着されたキャリアテープCT2(部品収納テープ)が巻き取られた巻取リールを取得することができる。ただし、キャリアテープCT2の位置は、キャリアテープCT1に対して、-Y方向にずれているので、台板BPは、テープ送り手段70に対して相対移動した状態となる。
【0113】
以後、同様の要領で、5000個の部品ECが挿入され、かつ、カバーテープが付着されたキャリアテープCT3(部品収納テープ)が巻き取られた巻取リールを取得することができる。
【0114】
次に、本実施形態のテーピング装置1000およびテーピング方法で得ることができる主たる効果について説明する。
【0115】
本実施形態のテーピング装置1000は、部品ECの寸法に関する情報を含む部品情報と、ポケットCTaの寸法に関する情報を含むポケット情報とに基づいて、いずれのポケットにいずれの部品を挿入するかの組み合わせ情報を生成する。そして、この組み合わせ情報に基づいて、ポケットCTaに部品ECが挿入される。これにより、部品ECがポケットCTaとの間に適度なクリアランスを保って挿入される。この結果、部品ECがポケットCTaに挿入されない事態が回避され、また、ポケットCTa内で部品ECが回転することが回避される。
【0116】
テーピング装置1000は、ポケットCTaの寸法よりも大きい寸法を有し、部品ECをポケットCTaへ案内する案内孔92aを備えている。これにより、部品ECを直接ポケットCTa内へ挿入する場合と比較して、容易に部品ECをポケットCTa内へ挿入することができる。
【0117】
案内板92は、キャリアテープCT1~CT3の送り方向と直交する方向に移動可能に設けられている。これにより、部品ECを一旦案内孔92aに挿入し、その後、ポケットCTaへ挿入する操作が容易となる。
【0118】
案内板92は、キャリアテープCT1~CT3の送り方向に沿って配列された複数の案内孔92aを備えている。これにより、一度に複数の部品ECを案内孔92aへ挿入し、ひいては、一度に複数の部品ECをポケットCTa内へ挿入することができる。
【0119】
テーピング装置1000は、キャリアテープCT1~CT3が設置されるテープガイド75~77にモータ91および偏心カム91aを備える。これにより、案内孔92aへ挿入された部品ECをポケットCTa内へ落下させ、挿入し易くすることができる。
【0120】
(第2実施形態)
つぎに、図20参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態における部品案内手段90に代えて、部品案内手段190を備える。部品案内手段190は、テープガイド75~77のそれぞれに設けられている。
【0121】
部品案内手段190は、支持板195上に回転可能に設けられた案内板192を備えている。案内板192は、支持板195が設けられた円形の凹部195aに回転可能に嵌め込まれている。案内板192は、ステップモータ193によって間欠的に回転可能に設けられた円盤であり、インデックステーブルを形成している。案内板192には、その周縁部分に回転方向に沿って配列された複数の案内孔192aが設けられている。案内孔192aは、第1実施形態における案内孔92aに相当するものであり、ポケットCTaの寸法よりも大きい寸法を有している。案内孔192aの外周部分は、開放されており、案内板192が凹部195aに嵌め込まれることで、凹部195aの内周壁面によって閉塞された状態となる。なお、モータ91や偏心カム91aは、第1実施形態と同様に装備されている。なお、案内板192を回転させるために、ステップモータ193に代えてサーボモータを採用してもよい。
【0122】
支持板195には、キャリアテープCT1と重なる位置に開口部195bが設けられており、案内孔192aとポケットCTaとが連通できるようになっている。
【0123】
案内孔192aには、部品ECが挿入される。案内板192は、組み合わせ情報に基づいて、ポケットCTaと組み合わされた部品ECが挿入された案内孔192aがそのポケットCTa上に位置するように回転する。各部品ECを案内板192の回転方向に沿って組み合わされたポケットCTaの並び順に合わせて挿入しておけば、ポケットCTaの送りと案内板192の回転とを同期させることで、各部品ECを所望のポケットCTaへ挿入することができる。
【0124】
このような第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、部品ECがポケットCTaとの間に適度なクリアランスを保って挿入される。この結果、部品ECがポケットCTaに挿入されない事態が回避され、また、ポケットCTa内で部品ECが回転することが回避される。
【0125】
なお、インデックステーブルを形成する案内板192を採用することで、部品ECの上下面の外観検査や、電気特性検査や、その他の各種検査を実施することができるようになる。案内板192は、各種検査によって不良判定された部品ECがポケットCTaへ挿入する位置に到達する前に、このような部品ECを案内孔192aから排出する仕組み(不図示)を備えることができる。不良判定された部品ECが排出された場合、案内板192を逆回転させて、部品ECが排出された案内孔192aを検査ステーションの前まで戻す。そして、他の部品ECが補填されるようにすることができる。
【0126】
(第3実施形態)
つぎに、第3実施形態について、図21を参照して説明する。第3実施形態は、第1実施形態や第2実施形態における移動手段10、部品載置部20、部品供給手段30、第1撮像部41、第2撮像部61に代えて、パーツフィーダ230および第4撮像部241を備える。また、第3実施形態は、第2実施形態と同様の部品案内手段190を備える。
【0127】
パーツフィーダ230は、部品搬送部に相当し、部品載置部に相当するシュート230aを備える。シュート230aには、部品ECが整列した状態で供給される。シュート230aの先端部は、支持板195を貫通し、凹部195aの内周壁面に開口している。これにより、シュート230aの先端部は、回転する案内板192に設けられた案内孔192aと順次対向することができる。これにより、シュート230aに沿って整列した状態で移動してきた部品ECが、順次案内孔192a内に挿入される。なお、シュート230aに沿って部品ECを供給し、移動させるパーツフィーダ230の機能は従来公知なものであるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0128】
シュート230aの上方には、第4撮像部241が設けられている。第4撮像部241には第4画像処理部242が接続されている。第4撮像部241は、シュート230aを移動する部品ECを撮像する。第4画像処理部242は、第4撮像部241で得た画像から各部品ECの寸法に関する情報とともに、その整列順情報を取得する。これらの寸法に関する情報と整列順情報は、部品情報に含まれる。そして、第1実施形態と同様に、部品情報とポケット情報とに基づいて、いずれのポケットCTaにいずれの部品ECを挿入するかの組み合わせ情報が生成される。
【0129】
案内板192は、組み合わせ情報に基づいて、案内孔192aに挿入された部品ECが、所望のポケットCTaへ挿入されるように回転する。
【0130】
これにより、第1実施形態や第2実施形態と同様に、部品ECがポケットCTaとの間に適度なクリアランスを保って挿入される。
【0131】
なお、パーツフィーダ230は、シュート230aの途中にエア吐出部230bを備えている。エア吐出部230bは、ポケットCTaと組になることができない部品ECを吹き飛ばし、シュート230aから排除することができる。排除された部品ECは、再度シュート230aに整列することができるように、部品ECのリターン経路(不図示)に戻される。
【0132】
第3実施形態においても、第2実施形態と同様に、部品ECの上下面の外観検査や、電気特性検査や、その他の各種検査を実施することができる。案内板192は、各種検査によって不良判定された部品ECがポケットCTaへ挿入する位置に到達する前に、このような部品ECを案内孔192aから排出する仕組み(不図示)を備えることができる。不良判定されて、排出される部品ECが存在する場合は、その排出された案内孔192a以降の案内孔192aに挿入されている部品ECも一旦排出される。さらに、シュート230a内で待機状態にある部品ECも一旦シュート230a外に排出され、再度、整列させる。つまり、部品ECの整列をリセットし、、再度、整列情報を取得する。そして、部品ECの挿入工程を再開する。なお、シュート230aに整列している部品ECを排出するためには、例えば、案内板192に、案内孔192aの外側に向かってエアを吐出することができるエア吐出部(不図示)を装備しておき、このエア吐出部を作動させればよい。
【0133】
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
【符号の説明】
【0134】
EC…部品(電子部品)、CT1~CT3…キャリアテープ、CTa…ポケット、10…移動手段、11…Y方向移動部、12…X方向移動部、20…部品載置部、21…トレイ部、21a…載置面、22…部品拡散部、30…部品供給手段、31…部品収容部、31a…出口、32…部品供給部、32a…無端ベルト、32a1…支持部分、32a2…搬送端、32b…ベルト回転部、40…部品情報取得手段、41…第1撮像部、42…第1画像処理部、50…部品保持挿入手段、51…ヘッド部、52…部品保持部(吸着ノズル)、53…ヘッド回転部、54…ノズルホルダ、55…ノズル昇降部、56…ノズル回転部、60…部品向き認識手段、61…第2撮像部、62…第2画像処理部、70…テープ送り手段、TR1~TR3…供給リール、71…リール支持部、75~77…テープガイド、80…ポケット情報取得手段、81…第3撮像部、82…第3画像処理部、90…部品案内手段、91…モータ、91a…偏心カム、92,192…案内板、92a,192a…案内孔、1000…テーピング装置、P1…部品供給場所、P2…部品情報取得場所、P3…部品向き認識場所、P4…部品挿入場所。
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