(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173884
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】タッチレス取引方法、タッチレス取引システム、取引管理装置および自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/60 20190101AFI20221115BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20221115BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20221115BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20221115BHJP
【FI】
G07D11/60
G07F19/00
G06Q20/32 330
G06Q20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079924
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立チャネルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑中 優美
(72)【発明者】
【氏名】杉原 育美
【テーマコード(参考)】
3E141
5L055
【Fターム(参考)】
3E141BA07
3E141BA18
3E141DA02
5L055AA39
5L055AA64
5L055AA72
5L055BB42
(57)【要約】
【課題】ユーザが自動取引装置を直接操作することなく、自動取引装置と取引できるようにすること。
【解決手段】ユーザが自動取引装置を操作せずに取引するタッチレス取引方法は、ユーザUの使用する携帯端末3と自動取引装置10とに通信可能に接続された取引管理装置22を備え、取引管理装置は、携帯端末から受信された情報に基づいて、携帯端末を使用するユーザが登録済みユーザであることを認証する認証ステップと、ユーザの希望する所定の取引内容を携帯端末から受信して管理する取引内容管理ステップと、ユーザが使用する所定の自動取引装置を識別する識別情報を取得すると、所定の自動取引装置に所定の取引内容を実行させる指示を出力する指示ステップと、を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが自動取引装置を操作せずに取引するタッチレス取引方法であって、
ユーザの使用する携帯端末と前記自動取引装置とに通信可能に接続された取引管理装置を備え、
前記取引管理装置は、
前記携帯端末から受信された情報に基づいて、前記携帯端末を使用する前記ユーザが登録済みユーザであることを認証する認証ステップと、
前記ユーザの希望する所定の取引内容を前記携帯端末から受信して管理する取引内容管理ステップと、
前記ユーザが使用する所定の自動取引装置を識別する識別情報を取得すると、前記所定の自動取引装置に前記所定の取引内容を実行させる指示を出力する指示ステップと、
を実行するタッチレス取引方法。
【請求項2】
前記取引管理装置は、
前記取引内容管理ステップと前記指示ステップとの間で、前記携帯端末が前記所定の自動取引装置から所定の範囲内に位置することを確認する位置確認ステップを実行し、
前記位置確認ステップにより前記携帯端末が前記所定の範囲内に位置する場合に、前記指示ステップを実行する
請求項1に記載のタッチレス取引方法。
【請求項3】
前記取引内容管理ステップは、前記携帯端末から複数の前記所定の取引内容を受信して管理し、
前記指示ステップは、前記所定の自動取引装置での処理完了を確認しながら、前記複数の所定の取引内容を実行させる指示を一つずつ出力する
請求項1に記載のタッチレス取引方法。
【請求項4】
前記取引内容管理ステップは、
複数の前記携帯端末からそれぞれ前記所定の取引内容を受信して管理し、
前記所定の取引内容には、前記ユーザが使用予定の所定の自動取引装置を識別する識別情報が含まれており、
前記所定の自動取引装置の在高と前記複数の携帯端末からの前記所定の取引内容とに応じた所定の情報を、前記複数の携帯端末へ送信する
請求項1に記載のタッチレス取引方法。
【請求項5】
前記所定の情報は、在高不足のために取引できない旨の通知、または、在高に応じた取引順番を示す通知の少なくともいずれか一つが含まれる
請求項4に記載のタッチレス取引方法。
【請求項6】
前記所定の自動取引装置を識別する識別情報は、前記携帯端末が前記所定の自動取引装置から取得して前記取引管理装置へ送信する
請求項1に記載のタッチレス取引方法。
【請求項7】
ユーザが自動取引装置を操作せずに取引するタッチレス取引システムであって、
ユーザの使用する携帯端末と前記自動取引装置とに通信可能に接続された取引管理装置を備え、
前記取引管理装置は、
前記携帯端末から受信された情報に基づいて、前記携帯端末を使用する前記ユーザが登録済みユーザであることを認証する本人認証部と、
前記ユーザの希望する所定の取引内容を前記携帯端末から受信して管理する取引内容管理部と、
前記ユーザが使用する所定の自動取引装置を識別する識別情報を取得すると、前記所定の自動取引装置に前記所定の取引内容を実行させるための指示を出力する取引実行指示部と、
を含み、
前記所定の自動取引装置は、前記取引実行指示部からの指示を受信すると、前記所定の取引内容を実行する
タッチレス取引システム。
【請求項8】
ユーザが自動取引装置を操作せずに取引するタッチレス取引システムに使用される取引管理装置であって、
ユーザの使用する携帯端末および前記自動取引装置と通信する通信部と、
前記携帯端末から受信された情報に基づいて、前記携帯端末を使用する前記ユーザが登録済みユーザであることを認証する本人認証部と、
前記ユーザの希望する所定の取引内容を前記携帯端末から受信して管理する取引内容管理部と、
前記ユーザが使用する所定の自動取引装置を識別する識別情報を前記携帯端末から取得すると、前記所定の自動取引装置へ前記所定の取引内容を実行させる指示を出力する取引実行指示部と、
を備える取引管理装置。
【請求項9】
ユーザが操作することなく取引可能なタッチレス取引システムに使用される自動取引装置であって、
ユーザの使用する携帯端末から取引に関する情報が入力される取引管理装置と通信する通信部と、
紙幣の入出金を制御する紙幣制御部と、
前記通信部および前記紙幣制御部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記取引管理装置が前記携帯端末から受信した情報に基づいて前記携帯端末を使用する前記ユーザが登録済みユーザであることを認証する本人認証処理を実行し、さらに、前記取引管理装置が前記ユーザの希望する所定の取引内容を前記携帯端末から受信して管理し、さらに、前記制御部の設けられている自装置を識別する識別情報を前記携帯端末から取得した前記取引管理装置が記所定の取引内容を実行させる指示を出力し、前記指示を前記通信部が受信した場合に、前記紙幣制御部を駆動させて前記所定の取引内容を実行させる
自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチレス取引方法、タッチレス取引システム、取引管理装置および自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが、現金自動預け払い機(ATM:Automatic Teller Machine)のような自動取引装置に、例えば現金の振込みなど、各種の取引処理を実行させるためには、ユーザ自身の口座の暗証番号、振込先の支店名や口座番号、取引額などの各種の情報(以下、処理情報という)を、ユーザ自身が入力する必要がある。
【0003】
処理情報の入力は、通常、自動取引装置の持つタッチパネル式の表示画面などにて行うが、その入力操作には比較的時間がかかり、多数の振込を一度に行う場合などにおいては非常に時間がかかる。また、このような場合には、一人のユーザが長時間自動取引装置を専有することになるため、順番待ちをしている他ユーザの待ち時間も増大してしまう。この状況を回避するため、自動取引装置における処理情報入力にかかる時間を短縮するための技術が提案されている。
【0004】
自動取引装置を操作する手間または時間を減らすための方法として、特開2008-134733号公報(特許文献1)がある。この公報には、「金融処理情報管理システム、金融処理情報管理方法、および、金融処理情報管理システムを構成する携帯端末、現金自動預け払い機に関し、特に良好なセキュリティ性を確保しつつ、ユーザの携帯端末が一般の通信ネットワークに接続しにくい環境等であっても、現金自動預け払い機と携帯端末との間での各種取引処理を効率よく速やかに実行することが可能」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ユーザの携帯端末を用いて取引情報の一部を入力させるため、ユーザが自動取引装置のタッチパネルを操作する機会は少なくなる。しかしそれでもなお、特許文献1では、ユーザは少なくとも1度はATMを触って操作しなければならず、完全なタッチレス取引が実現されているわけではない。
【0007】
ユーザ操作の回数が減っているとはいえ、少なくとも一度ATMを操作する必要があるため、取引時間の短縮に改善の余地がある。さらに、自動取引装置は不特定多数のユーザにより操作されるため、自動取引装置のタッチパネルなどを操作すると、ユーザの手指にウィルスが付着する可能性もある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的は、ユーザが自動取引装置を直接操作することなく取引できるようにしたタッチレス取引方法、タッチレス取引システム、取引管理装置および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、本発明に従うタッチレス取引方法は、ユーザが自動取引装置を操作せずに取引するタッチレス取引方法であって、ユーザの使用する携帯端末と自動取引装置とに通信可能に接続された取引管理装置を備え、取引管理装置は、携帯端末から受信された情報に基づいて、携帯端末を使用するユーザが登録済みユーザであることを認証する認証ステップと、ユーザの希望する所定の取引内容を携帯端末から受信して管理する取引内容管理ステップと、ユーザが使用する所定の自動取引装置を識別する識別情報を取得すると、所定の自動取引装置に所定の取引内容を実行させる指示を出力する指示ステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザは、自身の使用する携帯端末を用いて、本人認証に関する情報および所定の取引内容に関する情報を取引管理装置へ送信することができ、所定の自動取引装置を操作することなく所定の取引内容を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施例のタッチレス取引システムの全体構成図である。
【
図3】ペイメントアプリケーションサーバの機能構成図である。
【
図8】第2実施例に係り、タッチレス取引方法のフローの前半部分をを示す。
【
図9】タッチレス取引方法のフローの後半部分を示す。
【
図10】第3実施例に係り、タッチレス取引方法のフローの前半部分を示す。
【
図11】タッチレス取引方法のフローの後半部分を示す。
【
図12】携帯端末に表示されるアプリケーション画面である。
【
図13】第4実施例に係り、タッチレス取引方法のフローの前半部分を示す。
【
図14】第5実施例に係り、タッチレス取引方法のフローである。
【
図15】第6実施例に係り、タッチレス取引システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態に係るタッチレス取引方法およびシステムでは、ユーザの使用する携帯端末3を利用して、自動取引装置10を間接的に操作する。ユーザは、金銭取引に際して、自動取引装置10に積極的に触れる必要はなく、認証情報の入力、取引内容の入力、実行指示までの取引の一連の流れをいわゆるタッチレスで実行させることができる。
【0013】
本実施形態では、「取引管理装置」としてのペイメントアプリケーションサーバ22を携帯端末3と自動取引装置10の間に設け、ユーザは携帯端末3からペイメントアプリケーションサーバ22に対して本人認証情報および取引内容を入力する。携帯端末3は、自動取引装置10と直接通信するのではなく、ペイメントアプリケーションサーバ22が携帯端末3からの入力に応じて自動取引装置10へ指示を与える。
【0014】
本実施形態に係るタッチレス取引システムTLSは、ユーザUが取引のために操作する携帯端末3と、銀行のセンタ2とを接続し、携帯端末3において生成される取引情報をセンタ2へ送信する。これによりユーザは、自動取引装置10に物理的に接触して操作する必要はなく、取引を行うことができる。
【0015】
本実施形態のタッチレス取引システムTLSは、取引を行うユーザUと携帯端末3から取引内容を入力したユーザとが同一人物であることを示す本人認証の際に、近距離通信を利用することもできる。本実施形態によれば、ユーザUは、取引情報の入力および本人認証を携帯端末3から事前に済ませることにより、自動取引装置10のタッチパネル等に手を触れることなく、取引を効率よく速やかに実行することができる。
【0016】
以下、本実施例では、ATMを用いた金銭取引を例に挙げて説明するが、これに限らず、各種チケットの発券、各種証明書の発行などにも適用することができる。
【実施例0017】
図1~
図7を用いて第1実施例を説明する。本実施例では、ユーザUは、携帯端末3にて取引情報の入力や本人認証をあらかじめ済ませることで、自動取引装置10の画面12に手を触れることなく、各種取引を効率よく速やかに実行する。
【0018】
本実施例では、ユーザがタッチレスでの出金を希望する場合において、近距離通信で自動取引装置10と携帯端末3との位置を確認する例を示す。後述の実施例では、ユーザUは、携帯端末3から事前に取引内容を予約し、その後に自動取引装置10まで出向く場合を説明する。さらに、後述の実施例では、携帯端末3から複数の取引内容を予約する場合、センタ2がユーザの指定した自動取引装置10の在高に応じた通知を携帯端末3へ送る場合を説明する。
【0019】
図1は、本実施例のタッチレス取引システムTLSの全体構成の例である。本システムTLSは、例えば、自動取引装置10と、勘定系ホストコンピュータ(以下、勘定系ホスト)21と、ペイメントアプリケーションサーバ22と、二次元コード生成サーバ23とを含む。以下では、ペイメントアプリケーションサーバ22をPAS22と略記する場合がある。
【0020】
勘定系ホスト21とPAS22と2次元コード生成サーバ23とは、例えば構内通信ネットワークLANにより相互接続されていると共に、専用回線CN1からセキュリティルータRTを介して各自動取引装置10と双方向通信可能に接続されている。
【0021】
携帯端末3は、インターネットのような公衆回線CN2を介して、センタ2内のPAS22と双方向通信可能に接続されている。以下、公衆回線CN2をインターネットCN2と呼ぶ。インターネットCN2を使用する場合、SSL(Secure Sockets Layer)等の通信の秘密を守るための技術が使用される。
【0022】
本実施例では、センタ2と各自動取引装置10との間は専用回線CN1で接続し、センタ2と各携帯端末3との間はインターネットCN2で接続する。現金を保持する自動取引装置10に対するセンタ2からの取引実行指示の送信には、安全性の高い専用回線CN1を使用する一方、携帯端末3からの取引内容などの受付には広く普及しているインターネットCN2を使用する。これにより、本実施例のタッチレス取引システムTLSでは、安全性と利便性を両立させている。
【0023】
自動取引装置10は、例えば、銀行、信用金庫、郵便局、消費者金融会社等の金融機関の支店内(以下支店)1や店外等に設置されるATM(Automated Teller Machine)、CD(Cash Dispenser)等である。自動取引装置10は、金融機関のユーザUが自ら操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振り込み、振替等の金融取引を行うための装置である。ただし、本実施例では、ユーザUは、自動取引装置10に物理的に接触する必要はない。以下、自動取引装置10としてATM10と例に挙げて説明する。図中では、自動取引装置10をATM10と表示する。以下、金融取引を取引と略記する場合がある。
【0024】
勘定系ホスト21は、金融機関の地区センタ(以下銀行センタ)2に設置され、銀行業務における種々の情報を格納する情報処理装置である。
【0025】
「取引管理装置」としてのペイメントアプリケーションサーバ(PAS)22は、銀行センタ2に設置され、金融取引情報を管理する装置である。ペイメントアプリケーションサーバ22については、さらに後述する。
【0026】
二次元コード生成サーバ23は、銀行センタ2に設置され、自動取引装置10で表示する二次元コードを生成する装置である。
【0027】
携帯端末50は、ユーザが携行し、自動取引装置10で実行したい金融取引情報を入力するための装置である。携帯端末50については、さらに後述する。
【0028】
本実施例では、PAS22および二次元コード生成サーバ23は銀行センタ2内にあるものとして説明する。しかし、PAS22は、自動取引装置10と二次元コード生成サーバ23および携帯端末50と通信できるのであれば、その設置場所を問わない。PAS22は、銀行センタ2以外の場所に設けられてもよい。
【0029】
PAS22は、勘定系ホスト21の機能および/または二次元バーコード生成サーバ113の機能を取り込んで構成されてもよい。PAS22が二次元コード生成サーバ23の役割を果たす場合は、センタ2内から二次元コード生成サーバ23を除いてもよい。
【0030】
図1では、一人のユーザUが一つの自動取引装置10を利用する様子を示すが、実際には複数のユーザUが複数の自動取引装置10を利用して取引を行うことができる。一人のユーザUが一つの自動取引装置10との間で複数の取引を行うこともできるし、一人のユーザUが複数の自動取引装置10との間でそれぞれ取引することもできる。なお、自動取引装置10の設置される建物1も複数存在し、一つの建物1内に複数の自動取引装置10が設置されることもある。
【0031】
自動取引装置10は、ユーザUの操作により、紙幣や硬貨の入金取引および出金取引等の種々の取引を実行する装置である。自動取引装置10の操作側正面には、表示入力部12と入出金部142が設けられている。
【0032】
表示入力部12は、操作案内および二次元コードを表示したり、ユーザから直接的または間接的に入力された情報を表示したりする。本実施例のタッチレス取引システムTLSでは、ユーザUは表示入力部12に直接触れて操作する必要はないが、それにもかかわらず、ユーザUは表示入力部12を直接手で触って操作することもできる。入出金部14は、紙幣または硬貨を入出金するためのものである。
【0033】
図2は、自動取引装置10の機能構成の例である。自動取引装置10は、例えば、制御部11と、表示入力部12と、通信部13と、紙幣部14および近距離通信装置15を有する。
【0034】
制御部11は、プロセッサ、主記憶装置および補助記憶装置を備えており(いずれも不図示)、補助記憶装置内のプログラムデータベースには所定のコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。プロセッサは、所定のコンピュータプログラムを補助記憶装置から主記憶装置へ読み出して実行することにより、タッチレス取引に関する各機能を実現させる。
【0035】
なお、例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブなどの記憶媒体MMを自動取引装置10に接続し、制御部10内の補助記憶装置と記憶媒体MMの間でコンピュータプログラムの一部または全部を転送することもできる。
【0036】
表示入力部12は、ユーザとの間で情報を交換する装置であり、例えばタッチパネルとして構成される。表示入力部12は、自動取引装置10で取引を行う際に必要な情報を、ユーザに対して表示する。本実施例では、表示入力部12は、二次元コード生成サーバ23から受信した二次元コードを表示する。この二次元コードは、自動取引装置10を特定する識別情報と、取引を管理する番号とを含む。
【0037】
ユーザは、表示入力部12を介して、取引に関する情報を入力することもできる。ただし、本実施例のタッチレス取引システムTLSは、ユーザが表示入力部12に直接手で触れずに取引可能である。
【0038】
通信部13は、勘定系ホスト21およびPAS22等と通信する。通信部13は、表示入力部12から入力された情報(データ)を勘定系ホスト21またはPAS22へ送信したり、勘定系ホスト21またはPAS22から受信した情報を表示したりする。
【0039】
紙幣部14は、例えば、紙幣制御部141と、入出金部142と、紙幣判別部143と、一時保留部144と、紙幣搬送部145と、収納部146および回収部147とを含んで構成される。
【0040】
近距離通信装置15は、近距離無線通信により携帯端末3との間でデータを送受信する装置である。本実施例では、後述のように、携帯端末3と自動取引装置10との間で近距離無線通信を行うことにより、携帯端末3を所持したユーザが自動取引装置10の近くにいるか判別する。携帯端末3と自動取引装置10との位置関係の判別結果は、携帯端末3からPAS22へ通知してもよいし、あるいは自動取引装置10からPAS22へ通知してもよい。
【0041】
自動取引装置10のカメラで撮影したユーザの顔画像とあらかじめPAS22に登録されたユーザの顔画像とを比較することにより、携帯端末3を所持したユーザが自動取引装置10の前にいるか判別してもよい。
【0042】
さらには、携帯端末3の位置を測定して、携帯端末3を所持するユーザが自動取引装置10の近くにいるか判別することもできる。 GPS(Global Positioning System)、Wi-Fi測位、RFID(Radio Frequency Identifier)測位、ビーコン測位などの技術を使用可能である。
【0043】
紙幣制御部141は、以下に述べる各機能部142~147を制御する。入出金部142は、入金処理の際にユーザにより投入された紙幣(入金紙幣)の受け付けや、出金処理の際にユーザに対して出金される紙幣(出金紙幣)の払い出しを行う。
【0044】
紙幣判別部143は、入金処理時または出金処理時に紙幣の金種、正損、真偽、折れや破れ等の紙幣状態を判別する。
【0045】
一時保留部144は、紙幣判別部143で読み取った入金紙幣の金種、枚数や合計金額等が、表示入力部12を介してユーザにより確認され、自動取引装置10と勘定系ホスト21とで入金処理が確定するまでの間に、紙幣を一時的に収納する際に用いられる。
【0046】
紙幣搬送部145は、紙幣を各機能部に搬送するための搬送路や搬送部材である。
【0047】
収納部146は、自動取引装置10で取り扱う紙幣を金種毎に収納する。一般的に、自動取引装置10では複数種類の金種の紙幣を扱うため、複数の収納部が備えられる。収納部146を現金カセットと呼ぶことがある。
【0048】
回収部147は、紙幣判別部143が、入出金に不適であると判断した紙幣や、ユーザが取り忘れた紙幣を回収して保存する。
【0049】
自動取引装置10のプログラムと、通信部13および近距離通信装置15との間では、I/O部(不図示)がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行する。
【0050】
図3は、PAS22の機能構成の例を示す。PAS22は、例えば、記憶部221と制御部222および通信装置223を有する。
【0051】
通信装置223は、自動取引装置10と二次元コード生成サーバ23および携帯端末3等との通信を行う。記憶部221は、PAS22としての機能を実現させるための所定のコンピュータプログラムのほかに、取引情報テーブルT1および認証情報テーブルT2を記憶する。制御部222は、記憶部221に記憶された所定のコンピュータプログラムを実行し、適宜各テーブルT1,T2を更新させる。
【0052】
取引情報テーブルT1は、ユーザが自動取引装置10または携帯端末3から入力した金融取引情報を登録するテーブルである。認証情報テーブルT2は、ユーザが自動取引装置10や携帯端末3で金融取引を実行する際の認証情報を管理するテーブルである。各テーブルT1,T2の詳細は後述する。
【0053】
図4は、携帯端末3の機能構成の例を示す。携帯端末3は、例えば、メモリ31と、プロセッサ32と、入力インターフェース33と、出力インターフェース34と、通信装置34と、近距離通信装置36と、入出力部(図中、I/O部)37を備える。
【0054】
メモリ31のプログラムデータベースには、本実施例のタッチレス取引方法を実行する機能を実現する所定のコンピュータプログラム310が記憶されている。プロセッサ32が所定のコンピュータプログラム310をメモリ31から読み出して実行することにより、タッチレス取引システムにおいて携帯端末3が果たすべき役割が実現される。コンピュータプログラム310は、携帯端末3上で動作するアプリケーションプログラムの一つであり、図中ではAppと略記される場合がある。コンピュータプログラム310は、例えば、タッチレス取引アプリケーションと呼ぶこともできる。
【0055】
入力インターフェース33は、ユーザにより操作される各種ボタン類などである。出力インターフェース34は、ユーザに情報を提供する画面表示などである。通信装置35は、PAS22などの外部装置との間でデータ授受を行う。近距離通信装置36は、近距離無線通信により自動取引装置10と通信する。
【0056】
携帯端末3は、通信装置35により、PAS22などの外部装置とインターネットCN2を介して接続し、データを授受する。携帯端末3の持つ後述の各機能部と、通信装置35および近距離通信装置36との間では、I/O部37がデータのバッファリングや各種仲介処理を実行している。
【0057】
携帯端末3は、入力インターフェース33のひとつとして、金融取引の最中に自動取引装置10が表示する自動取引装置10の特定情報を二次元バーコードとして受け取るための二次元バーコードリーダをも有している。携帯端末3は、これらの構成を備えるものであればよく、例えば携帯電話やPHS、PDA、タブレット型パーソナルコンピュータ、ラップトップ型パーソナルコンピュータなどの、持ち運び可能な情報機器を使用することができる。
【0058】
図5は、取引情報テーブルT1の例を示す。取引情報テーブルT1は、ユーザが携帯端末3および自動取引装置10を操作して実行した金融取引情報を管理する。取引情報テーブルT1は、例えば、処理通番C10と、口座番号C11と、取引日時1 C12と、本人認証C13と、取引内容C14と、ATM識別番号C15と、取引日時2 C16等の情報を格納する。
【0059】
処理通番C10は、PAS22が付与し、金融取引を一意に識別する情報である。口座番号C11は、ユーザが持つ金融機関の口座番号を示す情報である。取引日時1 C12は、携帯端末3から金融取引を実行した日時を示す情報であり、取引を開始した時点でも、取引が確定した時点でもよい。本人認証C13は、ユーザが携帯端末3での金融取引操作において認証確認を実行したかどうかを示す情報である。取引内容C14は、ユーザがどのような金融取引を選択したかを示す情報であり、例えば「10,000円の出金取引」など、取引金額と取引種別を併せて示す情報である。ATM番号C15は、自動取引装置10を一意に識別する情報である。取引日時2 C16は、自動取引装置10にて金融取引を実行した日時を示す情報であり、取引を開始した時点でも、取引を確定した時点でもよい。
【0060】
図6は、認証情報テーブルT2を示す図である。認証情報テーブルT2は、ユーザが携帯端末3で金融取引を実行する際に、本人認証確認として照合するための情報を管理するテーブルである。金融取引を実行するための事前準備として、ユーザは、認証情報をPAS22に登録する。登録は、携帯端末3の入力インターフェース33から行ってもよいし、その他の方法でもよい。認証情報テーブルT2は、例えば、口座番号C20、氏名C21、認証情報C22、登録日時C23等の情報を格納する。
【0061】
口座番号C20は、前述した取引情報テーブルT1の口座番号C11と同じである。氏名C21は、ユーザの氏名である。認証情報C22は、ユーザが携帯端末3での金融取引操作において、本人であることを確認するための情報である。認証情報は、例えば口座番号に紐づく暗証番号、あるいは、ユーザの指紋や顔等の生体情報等の、ユーザ本人以外では照合できない情報である。登録日時C23は、ユーザが携帯端末3から、口座番号、氏名、認証情報等の情報をPAS22へ登録した日時を示す情報である。
【0062】
図7は、タッチレス取引方法のフローである。本実施例では、ユーザが携帯端末3を携行し、自動取引装置10の前にいる場合であって、携帯端末3および自動取引装置10の両方を操作可能である場合を説明する。
【0063】
センタ2の2次元コード生成サーバ23は、各自動取引装置10用に二次元コードを生成して配信している。自動取引装置10は、表示入力部12に、自動取引装置10を一意に識別する識別番号(ATM識別番号)と、金融取引を一意に識別する取引番号とを含む二次元コードを表示する。このステップS20は、ユーザ操作は不要であり、自動取引装置10が取引可能な状態であるときには常に二次元コードが表示される。
【0064】
表示入力部12に表示される二次元コードは、2次元コード生成サーバ23から受信したデータから生成されてもよいし、自動取引装置10内で生成されて、二次元コード生成サーバ23へ通知されてもよい。
【0065】
そして、以降のステップで、ユーザは、携帯端末3の入力インターフェース33から次の操作をする。
【0066】
まず、ユーザは、タッチレス取引アプリケーションであるコンピュータプログラム310を起動させる(S10)。以下、携帯端末3でのステップは、タッチレス取引アプリケーションにより行われる。したがって、動作主体はタッチレス取引アプリケーションであるが、便宜上、携帯端末3を動作主体として述べることがある。
【0067】
ユーザは、タッチレス取引アプリケーションのメニュー画面から、取引を行う口座を選択し(S11)、さらに、希望する金融取引の種類を選択する(S12)。ここでは、現金を引き出す出金取引が選択される場合を説明する。
【0068】
ユーザは、タッチレス取引アプリケーションの金額入力欄に、希望の出金額を入力する(S13)。このとき、携帯端末3に表示された複数の選択肢(例えば、1,000円、2,000円、5,000円、10,000円等)から取引金額としての出金額を選択してもよいし、ユーザが手動で金額を入力してもよい。
【0069】
ユーザは、タッチレス取引アプリケーションの認証情報入力欄に、本人確認のための認証情報を入力し、PAS22へ送信させる(S14)。認証情報の入力は、口座番号に紐づく暗証番号を手動で入力する方法でもよいし、指紋等のユーザの生体情報を入力する方法でもよい。ステップS14では、口座番号、取引種別、取引金額および認証情報が通信ネットワークCN2を介して、センタ2のPAS22へ送信される。図中、PAS22での処理を「センタ」の処理として示している。
【0070】
PAS22は、携帯端末3から受信した口座番号および認証情報をもとに、認証情報テーブルT2にあらかじめ登録されているユーザの認証情報と照合する(S15)。PAS22は、本人認証の結果を携帯端末3へ送信する(S16)。
【0071】
タッチレス取引アプリケーションは、本人認証の成否を判定する(S17)。本人認証が失敗した場合(S17:NO)、ステップS14へ戻り、本人確認のための認証情報をユーザに再入力させてPAS22へ送信する(S14)。
【0072】
本人認証に成功すると(S17:YES)、タッチレス取引アプリケーションは、ユーザに対して、自動取引装置10の表示入力部12に表示されている二次元コードを携帯端末3で読み取るように指示する。そこで、ユーザが携帯端末3のカメラ(不図示)により二次元コードを読み取ると(S20,S21)、タッチレス取引アプリケーションは、自動取引装置10から読み取った二次元コードに含まれるATM識別番号および取引通番等の情報と、ユーザにより入力された口座番号と取引種別および取引金額等とを含む取引情報を、PAS22へ送信する。携帯端末3からPAS22へ取引情報を送信するタイミングは、本人認証に成功した場合であって、二次元バーコードを自動取引装置10から読み取る前でもよい。
【0073】
PAS22は、携帯端末3のタッチレス取引アプリケーションから取引情報を受信すると、実際に取引が行われる自動取引装置10を特定し、取引情報テーブルT1を更新する(S22)。
【0074】
タッチレス取引アプリケーションは、取引情報をPAS22へ送信した後で、自動取引装置10との近距離無線通信を試み(S23)、近距離無線通信が成功したか判定する(S24)。タッチレス取引アプリケーションは、自動取引装置10との近距離無線通信に成功すると(S24:YES)、成功した旨をPAS22へ通知する(S25)。
【0075】
PAS22は、携帯端末3が自動取引装置10の近くにあることを確認すると(S26)、ステップS22で受信して記憶していた取引情報に含まれる取引内容(取引種別、取引金額)を自動取引装置10へ送信し、その取引の実行を指示する(S27)。
【0076】
自動取引装置10は、PAS22から受信した取引情報に従い、勘定系ホスト21と通信して、金融取引を実行する(S28)。これにより、自動取引装置10は、入出金部142から紙幣を出金し、ユーザは出金された紙幣を受け取る。最後に、ユーザはタッチレス取引アプリケーションを終了させる(S29)。
【0077】
本実施例では、自動取引装置10と携帯端末3とが、例えば2メートル以内などの所定の距離内にあることが確認できた場合に、自動取引装置10による取引を実行させるため、信頼性を向上させることができる。例えば、ユーザが便宜のために自動取引装置10の二次元コードをあらかじめ撮影して取得している場合において、ユーザが自動取引装置10から離れた場所で取引開始を希望したとき(S21,S22)、自動取引装置10から出金された紙幣を第三者の他人が受け取ってしまうといった事態を抑制できる。
【0078】
自動取引装置10で表示される二次元コードとPAS22の取引情報テーブルT1とにおいて、金融取引を一意に識別する取引番号の情報を含ませると共に、二次元コードをユーザの取引毎に変更することもできる。
【0079】
これにより、例えば、複数人が同時に自動取引装置10にて二次元コードを読み取って金融取引を実行しようとした場合でも、PAS22は、取引番号の重複を確認することができるため、取引の順序性を担保することができる。
【0080】
このように構成される本実施例によれば、ユーザは、本人認証に必要な情報の入力と取引内容の情報の入力とを、ユーザの使用する携帯端末3を用いて行うことができるため、ユーザは自動取引装置10の表示入力部12を手で直接触れることなく、自動取引装置10を介した金融取引を行うことができる。
【0081】
すなわち、本実施例のタッチレス取引システムでは、ユーザとの取引に必要な情報の受付処理と確認処理とを、自動取引装置10から物理的に切り離されて通信ネットワーク上に設けられたPAS22で実行させるため、ユーザは、取引に必要な情報を携帯端末3からPAS22へ送ることができる。
【0082】
自動取引装置10内に、携帯端末3からの情報を受け付ける機能を設けることも考えられるが、この場合は、自動取引装置10のコストが増加する。さらに、携帯端末3と自動取引装置10が直接通信可能になると、携帯端末3から自動取引装置10へ悪意あるコンピュータプログラムが送信されたり、ハッキング等される可能性もあり得る。
【0083】
これに対し、本実施例のタッチレス取引システムは、一つのPAS22で複数の携帯端末3および複数の自動取引装置10に対応できるため、各自動取引装置10のコストを低減でき、タッチレス取引システムの運用コストおよび保守コストも低減できる。
ユーザは、携帯端末3の入力インターフェース33を用いて、タッチレス取引アプリケーションを選択して起動させる(S10(1))。ユーザは、タッチレス取引アプリケーションの画面から取引口座を選択し(S11)、希望する金融取引の種類を選択する(S12)。本実施例でも出金取引が選択されたとする。ユーザは、取引金額(ここでは出金したい金額)をタッチレス取引アプリケーションへ入力する(S13)。
そして、ユーザは、本人確認のための認証情報をタッチレス取引アプリケーションへ入力する(S14)。PAS22は、携帯端末3から受信した認証情報と認証情報テーブルT2の内容とを照合することにより本人認証を行い(S15)、その結果を携帯端末3へ送信する(S16)。
本人認証に失敗した場合(S17:NO)、ステップS14へ戻る。本人認証に成功すると(S17:YES)、タッチレス取引アプリケーション(コンピュータプログラム310)は終了する(S29(1))。
タッチレス取引アプリケーションは、読み取った二次元コードに含まれるATM識別番号および取引通番と、ユーザが入力した口座番号と金融取引種別および取引金額等の金融取引情報とを、PAS22へ送信する(S21)。
タッチレス取引アプリケーションは、自動取引装置10と携帯端末3との近距離無線通信を行い(S23)、自動取引装置10と携帯端末3が所定の距離内にあるか判定する(S24)。
携帯端末3が自動取引装置10から所定の距離内にある場合(S24:YES)、タッチレス取引アプリケーションは、その旨をPAS22へ通知する(S25)。PAS22は、携帯端末3のタッチレス取引アプリケーションからの通知により、取引を行おうとしているユーザが取引対象の自動取引装置10の近くに居ることを確認し(S26)、自動取引装置10へ取引の実行を指示する(S27)。
すなわち、PAS22は、取引情報テーブルT1を更新後、取引内容を自動取引装置10へ送信する。自動取引装置10は、PAS22から受信した取引情報に従い、勘定系ホスト21と通信して、金融取引を実行する(S28)。取引の実行の結果、自動取引装置10は紙幣を出金する。ユーザは出金された紙幣を受け取る。最後に、携帯端末3のタッチレス取引アプリケーションは、ユーザ操作により終了する(S29(2))。