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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173896
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】加熱式喫煙装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20221115BHJP
   A24F 40/57 20200101ALI20221115BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20221115BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/57
A24F40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079944
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】721008039
【氏名又は名称】Future Technology株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 龍志
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AC04
4B162AC21
4B162AD20
4B162AD23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】簡単に中断および再開を行うことができる加熱式喫煙製品を提供する。
【解決手段】加熱式喫煙装置1は、タバコカートリッジを電気的に加熱する発熱体40と、前記発熱体40の温度を制御する制御装置10と、前記発熱体40の温度制御を要求する第1信号を前記制御装置10に送るスイッチと、前記発熱体40および前記制御装置10を収容する筐体60と、前記筐体60に対応して設けられ、前記60筐体と接続された状態を維持しながら前記筐体60に対して第1方向に移動し、前記加熱式喫煙装置1に挿入された前記タバコカートリッジの露出された部分を保護する保護部材70と、前記制御装置10に接続され、前記保護部材70の位置を検知する位置センサ55と、含み、前記位置センサ55は、前記保護部材70の位置に応じて前記発熱体40の温度制御を要求する第2信号を前記制御装置10に送る。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱式喫煙装置であって、
タバコカートリッジを電気的に加熱する発熱体と、
前記発熱体の温度を制御する制御装置と、
前記発熱体の温度制御を要求する第1信号を前記制御装置に送るスイッチと、
前記発熱体および前記制御装置を収容する筐体と、
前記筐体に対応して設けられ、前記筐体と接続された状態を維持しながら前記筐体に対して第1方向に移動し、前記加熱式喫煙装置に挿入された前記タバコカートリッジの露出された部分を保護する保護部材と、
前記制御装置に接続され、前記保護部材の位置を検知する位置センサと、
を含み、
前記位置センサは、前記保護部材の位置に応じて前記発熱体の温度制御を要求する第2信号を前記制御装置に送る、
加熱式喫煙装置。
【請求項2】
前記保護部材は、
前記タバコカートリッジの露出された部分を外部空間から遮蔽する遮蔽部材を含む、
請求項1に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項3】
前記保護部材は、
前記保護部材に接続し、前記保護部材の移動に連動して移動する中継部材を含み、
前記遮蔽部材は、前記中継部材の移動に連動して前記タバコカートリッジの露出された部分を外部空間から遮蔽する、
請求項2に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記タバコカートリッジが前記加熱式喫煙装置に挿入され、前記スイッチがONのときに前記発熱体を第1温度に調整する第1モードに設定し、
前記保護部材が前記第1方向に移動するときに前記発熱体を前記第1温度よりも低い第2温度に調整する第2モードに設定する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項5】
前記第2温度は、室温以上100℃以下である、
請求項4に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項6】
前記第2モードが設定されていることを外部に出力する出力部を含む、
請求項4または5に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項7】
前記第2モードが所定の条件を満たすときに、前記制御装置は前記発熱体への加熱を遮断する、
請求項5に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項8】
前記保護部材が前記第1方向に移動するとき、前記発熱体と前記タバコカートリッジとが離隔するように移動する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の加熱式喫煙装置。
【請求項9】
前記発熱体からの熱を遮る遮熱部材を含み、
前記保護部材が前記第1方向に移動するとき、前記遮熱部材が前記発熱体と前記タバコカートリッジとを熱的に遮断する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の加熱式喫煙装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱式喫煙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、火炎を用いることなく、タバコの成分を含むカートリッジ(タバコカートリッジともいう)を加熱して、気化したタバコ成分を吸引することで、タバコを楽しむための加熱式タバコ製品が普及し始めている。例えば、特許文献1に挙げるようなものがある。また、禁煙志向からタバコではなく、非タバコ成分を用いたタバコカートリッジの需要も広まっている。この場合、気化した非タバコ成分のエアロゾルを含んだ気流を吸引することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-180214公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なタバコ製品の場合、一度着火すると中断させることができない。そのため、喫煙している途中で喫煙を継続できない状況になると、まだカートリッジ成分が残っているにもかかわらずタバコ製品を捨てなければならない。加熱式タバコ製品の場合、加熱を止めることはできても、吸口部が露出している。その為、カートリッジが装着されたままの加熱喫煙装置を持ち運んだり、置いたりした場合、カートリッジを折ってしまったり、抜けてしまったりし、また吸い口が露出したままになるので衛生的にも不利であり、煩雑である。
【0005】
そこで、本発明は、簡単に喫煙の中断および再開を行うことができる加熱式喫煙製品を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、加熱式喫煙装置であって、タバコカートリッジを電気的に加熱する発熱体と、前記発熱体の温度を制御する制御装置と、前記発熱体の温度制御を要求する第1信号を前記制御装置に送るスイッチと、前記発熱体および前記制御装置を収容する筐体と、前記筐体に対応して設けられ、前記筐体と接続された状態を維持しながら前記筐体に対して第1方向に移動し、前記加熱式喫煙装置に挿入された前記タバコカートリッジの露出された部分を保護する保護部材と、前記制御装置に接続され、前記保護部材の位置を検知する位置センサと、含み、前記位置センサは、前記保護部材の位置に応じて前記発熱体の温度制御を要求する第2信号を前記制御装置に送る、加熱式喫煙装置が提供される。
【0007】
上記加熱式喫煙装置において、前記保護部材は、前記タバコカートリッジの露出された部分を外部空間から遮蔽する遮蔽部材を含んでもよい。
【0008】
上記加熱式喫煙装置において、前記保護部材は、前記保護部材に接続し、前記保護部材の移動に連動して移動する中継部材を含み、前記遮蔽部材は、前記中継部材の移動に連動して前記タバコカートリッジの露出された部分を外部空間から遮蔽してもよい。
【0009】
上記加熱式喫煙装置において、前記制御装置は、前記タバコカートリッジが前記加熱式喫煙装置に挿入され、前記スイッチがONのときに前記発熱体を第1温度に調整する第1モードに設定し、前記保護部材が前記第1方向に移動するときに前記発熱体を前記第1温度よりも低い第2温度に調整する第2モードに設定してもよい。
【0010】
上記加熱式喫煙装置において、前記第2温度は、室温以上100℃以下であってもよい。
【0011】
上記加熱式喫煙装置において、前記第2モードが設定されていることを外部に出力する出力部を含んでもよい。
【0012】
上記加熱式喫煙装置において、前記第2モードが所定の条件を満たすときに、前記制御装置は前記発熱体への加熱を遮断してもよい。
【0013】
上記加熱式喫煙装置において、前記保護部材が第1方向に移動するとき、前記発熱体と、前記タバコカートリッジとが離隔するように移動してもよい。
【0014】
上記加熱式喫煙装置において、前記発熱体からの熱を遮る遮熱部材を含み、前記保護部材が前記第1方向に移動するとき、前記遮熱部材が前記発熱体と前記タバコカートリッジとを熱的に遮断してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一実施形態を用いることにより、簡単に喫煙の中断および再開を行うことができる加熱式喫煙製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の内部構造を示す断面模式図である。
図3】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を表す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を表す断面模式図である。
図6】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を表す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を表す断面模式図である。
図8】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の制御フロー図である。
図9】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の内部構造を示す断面模式図である。
図10】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を示す断面模式図である。
図11】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を示す断面模式図である。
図12】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を示す断面模式図である。
図13】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の内部構造を示す断面模式図である。
図14】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を示す断面模式図である。
図15】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の制御フロー図である。
図16】本発明の一実施形態における発熱体の温度推移の一例を示すグラフである。
図17】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の内部構造を示す断面模式図である。
図18】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の使用形態を表す断面模式図である。
図19】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の斜視図である。
図20】本発明の一実施形態における加熱式喫煙装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0018】
また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字xxxにA,Bまたは1,2などを付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0019】
本発明の各実施形態における「喫煙」は、タバコ成分を含むタバコ製品のみならず、非タバコ成分を含む製品を加熱して気化成分を吸引することを意味する。同様に、「加熱式喫煙装置」は、タバコ成分又は非タバコ成分を含むカートリッジを加熱する装置をいう。
【0020】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る加熱式喫煙装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1-1.加熱式喫煙装置の構成)
図1は、本実施形態における加熱式喫煙装置1の斜視図である。図1に示すように、加熱式喫煙装置1は、柱状に設けられる。加熱式喫煙装置1は、外観において、表示部30(表示窓32)、電源スイッチ50、位置センサ55、筐体60および保護部材70を備える。
【0022】
図2は、加熱式喫煙装置1の内部構造を示す断面模式図である。図2に示すように、加熱式喫煙装置1は、表示部30、電源スイッチ50(スイッチともいう)、位置センサ55、筐体60および保護部材70に加えて、制御装置10、電源部20、発熱体40およびカートリッジセンサ65を有する。制御装置10、電源部20、表示部30、発熱体40、電源スイッチ50および位置センサ55は、配線バスにより電気的に接続されている。
【0023】
制御装置10は、コンピュータの一つであり、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を用いて、加熱制御処理を実行するためのソフトウェア(プログラム)に規定された命令に基づく処理を制御する。
【0024】
電源部20は、加熱式喫煙装置1の各部品に電力を供給する。この例では電源部20は、リチウムイオン電池が用いられる。なお、電源部20には、リチウムイオン電池以外にも、アルカリ電池、ニッケル水素電池などが用いられてもよい。
【0025】
表示部30は、加熱喫煙装置の状態を表示する。表示部30は、少なくとも一つの発光ダイオード(LED:Light Emitting Device)を含む。この例では、表示部30は、多色のLED(例えば緑色のLED及び赤色のLED)を含む。例えば、緑色のLEDが点灯しているときは、加熱式喫煙装置1のスイッチ(電源スイッチ50、位置センサ55)がON状態(加熱モード,第1モードともいう)であることを示す。例えば、すべてのLEDが消灯しているときは、加熱式喫煙装置1の電源スイッチ50がOFF状態であることを示す。例えば、赤色のLEDが点滅しているときは、加熱式喫煙装置1が中断モード(第2モードともいう)であることを示す。表示部30は、保護部材70が下方に配置されている場合、保護部材70の一部に配置された表示窓32を介して視認される。
【0026】
発熱体40は、この例ではブレード状に設けられる。なお、発熱体40の形状は、ブレード状に限定されず、ピン状またはその他の適した形状であってもよい。発熱体40は、加熱式喫煙装置1に挿入されたタバコカートリッジを電気的に加熱する。発熱体40は、電気抵抗性材料を含む。具体的には、発熱体40は、セラミック、カーボン、グラファイト、金属、金属合金、及びセラミック材料及び金属材料で作られた複合材料を含む。複合材料は、ドープ又は非ドープセラミックを含んでもよい。例えば、ドープセラミックは、ドープ炭化珪素を含んでもよい。例えば金属は、チタン、ジルコニウム、タンタル、及び白金族からの金属を含んでもよい。金属合金は、ステンレス鋼、ニッケル-コバルト、クロム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、モリブデン、タンタル、タングステン、錫、ガリウム、マンガン、及び鉄-含有合金、及びニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼ベースの超合金、または鉄-マンガンーアルミニウムベース合金を含んでもよい。発熱体40の温度は、制御装置10によって制御される。
【0027】
電源スイッチ50は、加熱式喫煙装置1における電源のON/OFFの切り替えを行う。これにより、電源スイッチ50は、制御装置10に発熱体40への温度制御を要求する信号を送る。この例では、電源スイッチ50には、プッシュスイッチが用いられる。なお、電源スイッチ50は、プッシュスイッチに限定されず、スライドスイッチであってもよいし、その他の形状を有するスイッチであってもよい。
【0028】
筐体60は、制御装置10、電源部20および発熱体40を収容する。筐体60は、剛性を有する材料を含む。この例では、筐体60は、金属材料で構成される。なお、筐体60は、金属材料に限定されず、樹脂材料、セラミック材料で構成されてもよい。筐体60は、保護部材70の挿入口70aに対応する挿入部60aを有している。後述するタバコカートリッジ5は、挿入部60aに挿入される。
【0029】
カートリッジセンサ65は、筐体60にタバコカートリッジ5が挿入されていることの有無を検知する。カートリッジセンサ65は、変位センサでもよいし、静電容量センサ、磁気センサなど適したセンサであればセンサの種類は問わない。検知された情報は、制御装置10に送信される。
【0030】
保護部材70は、筐体60に対応して設けられる。この例では、保護部材70は、筐体60の外周部(上半分)を囲う。このとき、保護部材70は、上面から見たときに、挿入口70aを有しながら筐体60のその他の上面部分を覆う。タバコカートリッジ5は、保護部材70の挿入口70aを介して挿入部60aに挿入される。
【0031】
図3は、保護部材70が上方向に移動したときの加熱式喫煙装置1の斜視図である。保護部材70は、筐体60と接続された状態を維持しながら筐体60に対して上方向(第1方向ともいう)または下方向(第2方向ともいう)に移動可能に設けられる。この例では、保護部材70は、上方にスライド移動する。保護部材70は、上方向に移動した状態で固定することができる。保護部材70は、上方に固定された状態において加熱式喫煙装置1に挿入されたタバコカートリッジ5の露出された部分を保護することができる。
【0032】
位置センサ55は、保護部材70の内側に設けられる。位置センサ55は、保護部材70の位置を検知する。この例では、位置センサ55には、プッシュスイッチが設けられる。具体的には、位置センサ55が保護部材70と接触している時には、位置センサ55がON状態(検知状態)となる。保護部材70が上方に移動し、位置センサ55が保護部材70と離れると、位置センサ55はOFF状態(非検知状態)となる。保護部材が下方に移動し、位置センサ55が保護部材70と接触している時には、位置センサ55が再度ON状態(検知状態)となる。位置センサ55は、保護部材70の位置に応じてON/OFF状態を切り替える際に、発熱体40の温度制御を要求する信号(第2信号ともいう)を制御装置10に送る。
【0033】
なお、位置センサ55は、必ずしも保護部材70に触れなくてもよい。位置センサ55に光センサが用いられた場合には、光を検出したかどうか、または遮光されたどうかでON/OFF状態を判断してもよい。また、位置センサ55は、その他のセンサであってもよい。
【0034】
(1-2.使用時の制御)
図4図7は、加熱式喫煙装置1の使用形態を表す断面模式図である。図8は、加熱式喫煙装置1における制御フロー図である。図4および図5に示すように、まず、電源スイッチ50をONにする(S101)。この例では、一定期間において電源スイッチ50を押下する、又は一定回数でスイッチを繰り返し押下する。電源スイッチ50がONにされると、電源スイッチ50は制御装置10に発熱体40への電力供給を要求する信号(第1信号)を送る。このとき、制御装置10は、タバコカートリッジ5が加熱式喫煙装置1に装着されているかどうかを判定する(S103)。タバコカートリッジが装着されているかどうかは、カートリッジセンサ65からの信号により判定する。タバコカートリッジ5が装着されていないと判定された場合(S103;No)、制御装置10は、電源スイッチ50をOFFにする指示信号を電源スイッチ50に送信する。同時に制御装置10は、電源部20に対して電力供給を停止する指示信号を送信する。
【0035】
タバコカートリッジ5が装着されていると判定された場合(S103;Yes)、制御装置10は、加熱式喫煙装置1を加熱モード(第1モード)に設定する(S105)。具体的には、制御装置10は、受信した要求信号をもとに電源部20から発熱体40に電力供給を指示する信号を電源部20に送信する。このとき、制御装置10は、発熱体40を所定の温度(第1温度ともいう)に調整するための指示信号を電源部20に送信する。この例では、所定の温度は300℃である。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40に電力を供給する。電力が供給された発熱体40は、所定の温度(300℃)まで加熱される。このとき、制御装置10は、表示部30に加熱モードを表示するための信号を送信する。これにより、表示部30は加熱モードを知らせるための情報を表示する。具体的には、緑色LEDが点灯する。
【0036】
次に、制御装置10は、保護部材70が所定の位置まで上方に移動しているか(カートリッジ5の先端部がカバーされているか)どうかを判定する(S107)。保護部材70が上方に移動したかどうかは、位置センサ55がOFFになったかどうかで判断してもよい。送信される保護部材70が上方に移動していない(カートリッジ5の先端部がカバーされていない)と判定された場合(S107:No)、次のステップに進まずにS103に戻り、この処理をループする。
【0037】
図6および図7に示すように、保護部材70が上方に移動している(カートリッジ3がカバーされている)と判定された場合(S107;Yes)、制御装置10は中断モード(第2モードともいう)に設定する(S109)。このとき、位置センサ55は制御装置10に発熱体40の温度制御を要求する信号を送る。具体的には、位置センサ55は発熱体の電力供給を停止し、発熱体の温度を低下させる要求信号を制御装置10に送信する。受信した要求信号をもとに、制御装置10は、発熱体40の電力供給を停止する指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、電源部20は発熱体40への電力供給を停止する。
【0038】
中断モードが設定されるとき、制御装置10は、表示部30に中断モードを表示するための信号を送信する。これにより、表示部30は外部に中断モードを知らせるための情報を表示する。具体的には、赤色LEDが点滅し、緑色LEDは消灯する。
【0039】
このとき、図7に示すように、タバコカートリッジ5の下部5b(具体的にはタバコ充填物の先端)から保護部材70の上部(挿入口70a)までの距離D1(第1距離ともいう)は、タバコカートリッジ5の下部5bから上部5a(具体的にはタバコカートリッジ5の吸口部の端部)までの距離D2(第2距離ともいう)よりも長い。このため、タバコカートリッジ5の吸口部が保護部材70よりも突出することを抑えることができる。
【0040】
次に、制御装置10は、中断モードに設定されてからの経過時間を計測する(S111)。所定の時間が経過する前に(S111;No)、保護部材70が下方向(第2方向ともいう)にスライドさせ、位置センサ55がONになった場合(S107;No)、S103に戻る。このとき、制御装置10は、カートリッジ5が装着されていれば(S103;Yes)、加熱モードに再度設定する(S105)。具体的には、制御装置10は、電源部20から発熱体40への電力を供給するための指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40に対して再度電力を供給する。電力が供給された発熱体40は、所定の温度まで加熱される。上述と同様に、この例では、発熱体40は、300℃まで加熱される。このとき、タバコカートリッジ5に含まれるタバコ充填物が加熱されることにより、タバコ充填物からエアロゾルが発生する。これにより、ユーザは、同じタバコカートリッジから発生したエアロゾルを含む気流を吸引することができる。また、制御装置10は、表示部30に加熱モードを表示するための指示信号を送信する。これにより、表示部30における緑色LEDが再度点灯する。
【0041】
中断モードに設定されてから所定の時間を経過したとき(S111;Yes)、制御装置10は、電源スイッチ50をOFFにする(S113)。このとき、制御装置10は、表示部30に中断モードから一定時間経過したことを表示するための信号を送信する。これにより、表示部30は中断モードを知らせるための情報を表示する。具体的には、すべてのLEDが消灯する。以上により、制御処理は終了となる。
【0042】
本実施形態では、保護部材70をスライドさせるだけで、簡単に中断モード、加熱モードの切り替えを行うことができる。さらに、中断時において、タバコカートリッジ5の上部は保護部材70によって保護されている。そのため、タバコカートリッジ5の上部を衛生的に保護することができるとともに、破損を防止することができる。つまり、本実施形態を用いることにより、簡単に喫煙の中断および再開をできるとともに、中断時においてカートリッジを保護することできる。
【0043】
また、本実施形態において、表示部30が設けられることにより、ユーザは加熱式喫煙装置が中断モードであることを容易に認識することができる。
【0044】
なお、本実施形態において、一定時間経過後に表示部30におけるすべてのLEDが消灯する例を示したが、本発明はこれに限定されない。保護部材70が上方に配置された状態で、位置センサ55がONにされた場合、再度中断モードに設定されてもよい。このとき、表示部30において、赤色のLEDが点滅してもよい。
【0045】
<第2実施形態>
本実施形態では、本発明の第1実施形態とは異なる加熱式喫煙装置について説明する。具体的には、遮蔽部材を有する加熱式喫煙装置について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0046】
図9は、加熱式喫煙装置1Aの断面模式図である。図9に示すように、加熱式喫煙装置1Aは、制御装置10、電源部20、表示部30、発熱体40、電源スイッチ50、筐体60および保護部材70を含む。本実施形態において、保護部材70は、中継部材80および遮蔽部材85を含む。
【0047】
中継部材80は、保護部材70に接続されている。中継部材80は、保護部材70の上方向または下方向の移動に連動して移動する。中継部材80のうち一部分は保護部材70に固定され、他の部分はばねなどの弾性部材またはシリンダーを用いて接続されてもよい。この例では、中継部材80は、リンク部材であるということができる。
【0048】
遮蔽部材85は、中継部材80の他の端部に接続されている。遮蔽部材85は、中継部材80の回動に連動して保護部材70の挿入口70aを開放する開位置と挿入口70aを遮蔽する閉位置との間で移動する。これにより、遮蔽部材85は、中継部材80の移動に連動してタバコカートリッジ5の露出された部分を外部空間から遮蔽することができる。
【0049】
図10は、使用時(加熱モード)の加熱式喫煙装置1Aの断面模式図である。図10に示すように、加熱式喫煙装置1Aが使用状態にあるときは、遮蔽部材85は、開位置に配置される。
【0050】
図11は、使用中断時(中断モード)の加熱式喫煙装置1Aの断面模式図である。図11に示すように、保護部材70が上方に移動すると、その移動にあわせて中継部材80が移動する。この例では、中継部材80は、保護部材70の挿入口70aの方向に移動する。このとき、遮蔽部材85は、開位置から閉位置に移動する。これにより、保護部材70の挿入口70aが遮蔽される。
【0051】
保護部材70が遮蔽部材85により遮蔽されたとき、半密閉状態となる。これにより、外部へのエアロゾルの流出が防止される。これにより、タバコカートリッジの風味が低下することを抑えることができる。したがって、本実施形態を用いることにより、簡単に喫煙の中断および再開をできること、および中断時においてカートリッジを保護することできることに加えて、さらにタバコカートリッジの風味が低下することを抑えることができる。
【0052】
<第3実施形態>
本実施形態では、本発明の第1実施形態および第2実施形態とは異なる加熱式喫煙装置について説明する。具体的には、中断時に発熱体が移動する加熱式喫煙装置について説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0053】
図12は、中断時の加熱式喫煙装置1Bの断面模式図である。加熱式喫煙装置1Bは、発熱体40Bを有する。発熱体40Bは、保護部材70の動きに応じて上下方向に移動する。このとき、図示しないが発熱体40Bと、保護部材70との間に中継部材が設けられてもよい。
【0054】
図12に示すように、保護部材70を上方にスライドさせると、連動して位置センサ55がOFFにされる。タバコカートリッジ5が装着された状態で位置センサ55がOFFにされると、位置センサ55は制御装置10に発熱体40Bの温度制御を要求する信号(発熱体40Bへの電力供給の停止を要求する信号)を送る。受信した要求信号をもとに、制御装置10は加熱式喫煙装置1を中断モード(第2モード)に設定する。具体的には、制御装置10は、発熱体40への電力供給を停止する指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、電源部20は発熱体40への電力供給を停止する。このとき、発熱体40Bは、保護部材70の動きに連動してタバコカートリッジ5から離隔するように下方に移動する。
【0055】
次に、保護部材70を下方にスライドさせると、連動して位置センサ55が再度ONにされる。タバコカートリッジ5が装着された状態で位置センサ55がONにされると、位置センサ55は制御装置10に発熱体40Bの温度制御を要求する信号(発熱体40Bへの電力供給を要求する信号)を送る。受信した要求信号をもとに、制御装置10は加熱式喫煙装置1を再度加熱モードに設定する。具体的には、制御装置10は、電源部20から発熱体40への電力を供給するための指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40Bに対して再度電力を供給する。電力が供給された発熱体40Bは、所定の温度まで加熱される。このとき、発熱体40Bは、保護部材70の動きに連動してタバコカートリッジ5に挿入されるように上方に移動する。
【0056】
上述より、中断時において、発熱体40と、タバコカートリッジ5とは構造的に分離した状態(又は発熱体40と、タバコカートリッジ5との接する部分が少ない状態)となる。これにより、タバコカートリッジを急速に熱から遮ることができる。これにより、中断時において発熱体からの余熱によってカートリッジ内の充填物からエアロゾルフォーマが形成されることが防止される。したがって、本実施形態を用いることにより、簡単に喫煙の中断および再開をできること、および中断時においてカートリッジを保護することできることに加えて、タバコカートリッジの風味が低下することを防止することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、発熱体40Bは、保護部材70の動きに連動して上方向または下方向に移動可能である例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、制御装置10は、発熱体40Bに対して上方向または下方向に移動するように指示信号を送信してもよい。発熱体40Bは、制御装置10から受信した指示信号に応じて上方向または下方向に移動してもよい。
【0058】
また、本実施形態において、保護部材70が上方にスライドしたときに、位置センサ55がOFFにされる例を示したが、位置センサ55は、必ずしもOFFにされなくてもよい。これにより、再加熱時にユーザは迅速に喫煙を楽しむことができる。
【0059】
<第4実施形態>
本実施形態では、本発明の他の実施形態とは異なる加熱式喫煙装置について説明する。具体的には、遮熱部材が設けられた加熱式喫煙装置について説明する。なお、本実施形態において、他の施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0060】
図13は、加熱式喫煙装置1Cの断面模式図である。図13に示すように、加熱式喫煙装置1Cは、制御装置10、電源部20、表示部30、発熱体40、電源スイッチ50、位置センサ55、筐体60、保護部材70、中継部材80、および遮蔽部材85に加えて、遮熱部材90を有する。
【0061】
遮熱部材90は、発熱体からの熱を遮るために用いられる。遮熱部材90には、遮熱可能な材料が用いられる。例えば、遮熱部材90は、金属膜(例えばアルミニウム膜)と、樹脂材料(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET))を積層した複合材料で形成される。
【0062】
遮熱部材90は、保護部材70の動きに応じて上下方向に移動する。このとき、図示しないが遮熱部材90と、保護部材70との間に中継部材が設けられてもよい。
【0063】
図14は、中断モードを示す加熱式喫煙装置1Cの断面模式図である。図14に示すように、タバコカートリッジ5が加熱式喫煙装置1Cに装着された状態で保護部材70を上方にスライドさせると、連動して位置センサ55がOFF状態となる。タバコカートリッジ5が装着された状態で位置センサ55がOFF状態となると、位置センサ55は制御装置10に発熱体40Bの温度制御を要求する信号(発熱体40への電力供給の停止を要求する信号)を送る。制御装置10は、受信した要求信号をもとに、電源部20から発熱体40への電力の供給を停止する指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40への電力供給を停止する。このとき、遮熱部材90が、保護部材70の動きに連動して発熱体40を覆うようにタバコカートリッジ5内に挿入される。これにより、保護部材70が上方(第1方向)に移動するとき、遮熱部材90が発熱体40とタバコカートリッジ5とを熱的に遮断することができる。
【0064】
次に、図13に示すように、保護部材70を下方にスライドさせると、連動して位置センサ55が再度ON状態となる。タバコカートリッジ5が装着された状態で位置センサ55がON状態となると、位置センサ55は制御装置10に発熱体40への電力供給を要求する信号を送る。制御装置10は、受信した要求信号をもとに、電源部20から発熱体40への電力を供給するための指示信号を電源部20に送信する。電源部20は、指示信号を受信すると、発熱体40に対して再度電力を供給する。電力が供給された発熱体40は、所定の温度まで加熱される。このとき、遮熱部材90が、発熱体40から離隔するように下方に移動する。
【0065】
上述により、中断時において、発熱体40と、タバコカートリッジ5とは熱的に分離した状態となる。これにより、中断時においてタバコカートリッジを急速に熱から遮ることができる。これにより、中断時において発熱体からの余熱によってカートリッジ内の充填物からエアロゾルフォーマが形成されることが防止される。したがって、本実施形態を用いることにより、簡単に喫煙の中断および再開をできること、および中断時においてカートリッジを保護することできることに加えて、タバコカートリッジの風味が低下することを防止することができる。
【0066】
なお、本実施形態では、遮熱部材90は、保護部材70の動きに連動して上下方向に移動可能である例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、制御装置10は、遮熱部材90に対して上下方向に移動するように指示信号を送信してもよい。遮熱部材90は、制御装置10から受信した指示信号に応じて上下方向に移動してもよい。
【0067】
また、本実施形態において、保護部材70が上方にスライドしたときに、位置センサ55がOFF状態となる例を示したが、位置センサ55は、必ずしもOFF状態とならなくてもよい。これにより、再開時にユーザは迅速に喫煙を楽しむことができる。
【0068】
<第5実施形態>
本実施形態では、本発明の他の実施形態とは異なる加熱式喫煙装置について説明する。具体的には、中断モード時に余熱機能を有する加熱式喫煙装置について説明する。なお、本実施形態において、他の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0069】
(5-1.使用時の制御)
図15は、加熱式喫煙装置1Dにおける使用時の制御フローを示す。
【0070】
まず、電源スイッチ50をON状態にする(S201)。この例では、一定期間において電源スイッチ50を押下する、又は一定回数でスイッチを繰り返し押下する。電源スイッチ50がON状態にされると、電源スイッチ50は制御装置10に発熱体40への電力供給を要求する信号を送る。このとき、制御装置10は、タバコカートリッジ5が加熱式喫煙装置1に装着されているかどうかを判定する(S203)。タバコカートリッジが装着されているかどうかは、カートリッジセンサ65からの信号により判定する。タバコカートリッジが装着されていないと判定された場合(S203;No)、制御装置10は、電源スイッチ50をOFF状態にする指示信号を電源スイッチ50に送信する。同時に制御装置10は、電源部20に対して電力供給を停止する指示信号を送信する。
【0071】
タバコカートリッジが装着されていると判定された場合(S203;Yes)、制御装置10は、加熱式喫煙装置1を加熱モード(第1モード)に設定する(S205)。具体的には、制御装置10は、受信した要求信号をもとに電源部20から発熱体40に電力供給を指示する信号を電源部20に送信する。このとき、制御装置10は、発熱体40を所定の温度(第1温度ともいう)に調整するための指示信号を電源部20に送信する。この例では、所定の温度は300℃である。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40に電力を供給する。電力が供給された発熱体40は、所定の温度(300℃)まで加熱される。このとき、制御装置10は、表示部30に加熱モードを表示するための信号を送信する。これにより、表示部30は加熱モードを知らせるための情報を表示する。具体的には、緑色LEDが点灯する。
【0072】
次に、制御装置10は、保護部材70が所定の位置まで上方に移動しているか(保護されているか)どうかを判定する(S207)。保護部材70が上方に移動したかどうかは、位置センサ55がOFFになったかどうかで判断してもよい。送信される保護部材70が上方に移動していない(保護されていない)と判定された場合(S207:No)、次のステップに進まずにS203に戻り、ループする。
【0073】
保護部材70が上方に移動している(カバーされている)と判定された場合(S207;Yes)、制御装置10は中断モード(第2モードともいう)に設定する(S209)。具体的には、位置センサ55は制御装置10に発熱体40への余熱モード用の温度制御を要求する信号を送る。受信した要求信号をもとに、制御装置10は、発熱体40を第1温度とは異なる所定の温度(第2温度ともいう)に調整するための指示信号を電源部20に送信する。この例では、所定の温度は室温以上100℃以下である。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40に電力を供給する。電力が供給された発熱体40は、所定の温度(室温以上100℃以下)に加熱される。
【0074】
図16は、発熱体40の温度推移の一例を示すグラフである。縦軸に時間が示される。横軸に温度が示される。点線は、電源スイッチ50がON状態にされてから、中断を経ずに電源スイッチ50がOFF状態にされる場合の温度推移を示す。実線は、電源スイッチ50がON状態にされてから、途中で中断モードが設定される場合の温度推移である。実線で示すように、制御装置10は、発熱体40の温度が40℃を中心として下限室温(例えば20℃)と上限100℃の間、好ましくは下限30℃と上限90℃との間、さらに好ましくは下限40℃と上限80℃との間で変動するように設定してもよい。つまり、本実施形態において、上限の温度は、エアロゾル形成基材から成分が蒸発しない温度が望ましい。このとき、発熱体40の温度は、温度センサで監視してもよい。この温度範囲にすることにより、タバコ充填物への加熱をせずに発熱体40が冷めることを抑えることができる。また、タバコ充填物の風味を維持することができる。
【0075】
中断モードが設定されるとき、制御装置10は、表示部30に中断モードを表示するための信号を送信する。これにより、表示部30は外部に中断モードを知らせるための情報を表示する。具体的には、赤色LEDが点滅し、緑色LEDは消灯する。
【0076】
次に、制御装置10は、中断モードに設定されてからの経過時間を計測する(S211)。所定の時間が経過する前に保護部材が下方に移動した(位置センサ55がON状態になった)場合、中断モードが解除される(S211;No)。この例では、所定の時間が経過する前に(S211;No)、保護部材70が下方向(第2方向ともいう)にスライドさせ、位置センサ55がONになった場合(S207;No)、S203に戻る。このとき、制御装置10は、カートリッジ5が装着されていれば(S203;Yes)、加熱モードに再度設定する(S205)。
【0077】
中断モードに設定されてから所定の時間を経過したとき(S211;Yes)、制御装置10は、電源スイッチ50をOFF状態にする(S213)。具体的には、制御装置10は、電源部20から発熱体40への電力の供給を停止する指示信号を電源部20に送信する。電源部20は指示信号を受信すると、発熱体40への電力供給を停止する。以上により、制御処理は終了となる。
【0078】
本実施形態において、加熱式喫煙装置1Dは、タバコカートリッジが保護されることに合わせて中断モードになることにより、発熱体40が通常の加熱状態より低い余熱状態となる。発熱体40が余熱状態で保持されることにより、再度タバコカートリッジが加熱されるときに短い時間でエアロゾルを生成することができる。したがって、本実施形態を用いることにより、電源装置をユーザが操作する事無く、保護部材の操作のみで簡単に喫煙の中断および再開を行うことができるとともに、短い時間で喫煙を再開することができる。
【0079】
また、本実施形態の場合、中断モードになってから一定時間経過後に発熱体40の加熱が停止される。これにより、発熱体40を長時間余熱状態することが抑えられ、電力消費を抑えることができる。
【0080】
又、任意に中断モードのON/OFFを設定してもよい。例えば、中断モードをOFFに設定した場合は、保護部材70によってカバーされた時点で電源がOFF設定となり、再開するときには電源スイッチ50を手動でONしてもよい。
【0081】
また、本実施形態においても、第4実施形態で示されたように遮熱部材が設けられてもよい。また、第3実施形態で示されたように発熱体が上下に移動してもよい。
【0082】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。また、各実施形態の構成を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0083】
本発明の第1実施形態では、表示部30が、点灯、点滅、消灯する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、表示部30は文字情報を表示してもよい。なお、中断モードを表示する必要がないときは、表示部30は設けられなくてもよい。
【0084】
また、本発明の第1実施形態では、加熱式喫煙装置が中断モードであるときに、赤色LEDが点滅表示する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、加熱式喫煙装置1は、外部への出力方法として、振動素子を有してもよい。この場合、加熱式喫煙装置が中断モードであるときに一定のタイミングであらかじめ決められたパターンで振動素子が振動してもよい。これにより、加熱式喫煙装置1を視認できないときであっても、ユーザは加熱式喫煙装置が中断モードであることを認識することができる。
【0085】
また、加熱式喫煙装置1は、音声出力素子を有してもよい。この場合、加熱式喫煙装置が中断モードであるときに音声出力素子が音声信号を出力してもよい。これにより、加熱式喫煙装置1を視認できないときであっても、ユーザは加熱式喫煙装置が中断モードであることを認識することができる。
【0086】
また、本発明の第1実施形態では、最初に加熱されたときの発熱体の温度と、再加熱されたときの発熱体の温度とは同じである例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、再加熱時の発熱体の加熱温度は、最初に加熱された時の発熱体の温度よりも高くてもよい。これにより、再加熱時のエアロゾル発生を促進することができる。
【0087】
また、本発明の第1実施形態では、柱状に設けられた加熱式喫煙を示したが、本発明はこれに限定されない。図17および図18は、加熱式喫煙装置1Dの断面模式図である。図17に示すように、加熱式喫煙装置1D(筐体60および保護部材70)の形状は、円形であってもよい。保護部材70は、筐体の外周部に設けられる。図18に示すように、保護部材70は、筐体60の中央を回動中心として回動してもよい。例えば、反時計回り(第1方向)に回動したとき、タバコカートリッジ5が保護されるとともに、制御装置10は加熱式喫煙装置1Dを中断モードに設定してもよい。また、保護部材70が時計回り(第2方向)に回動したときに、制御装置10は加熱式喫煙装置を再加熱モードに設定してもよい。
【0088】
なお、上述において、加熱式喫煙装置1の形状は、円形以外にも球状でよいし、多角形でもよいし、その他最適な形状を有することができる。
【0089】
また、本発明の第1実施形態のように、保護部材70とは異なる形状を有してもよい。図19および図20は、本実施形態における加熱式喫煙装置1Eの斜視図である。図19に示すように、加熱式喫煙装置1Eは、外観において、表示部30、電源スイッチ50、筐体60および保護部材70Eを備える。
【0090】
保護部材70Eは板状に設けられてもよい。保護部材70Eは、係合部70Eaを介して筐体60と係合する。保護部材70Eは、係合部70Ebを中心に回動してもよい。図19において、加熱式喫煙装置1Eは収納形態になる。このとき、タバコカートリッジ5の上部5aは、保護部材70Eにより保護される。図20(a)において、加熱式喫煙装置1Eは、手持ち形態となる。このとき、加熱式喫煙装置1Eの持ち手部分が長くなるため、ユーザには持ちやすくなる。図20(b)において、加熱式喫煙装置1Eは、仮置き形態となる。このとき、ユーザは、加熱式喫煙装置を一時的な置台として利用することができる。本実施形態を用いることにより、加熱式喫煙装置を様々な形態で利用することができるとともに、コンパクトに収納することができる。
【0091】
また、本発明の第1実施形態では、保護部材70が、筐体60の挿入部60aに対応する挿入口70aを有しながら、筐体60のその他の上面部分を保護部材する例を示したが、本発明は、これに限定されない。例えば、保護部材70は、筐体60の上面を開放するように筒状に設けられてもよい。
【0092】
また、本発明の第3実施形態では、発熱体40Bが保護部材70から離隔する例を示したが、本発明ではこれに限定されない。例えば、発熱体40Bが完全にカートリッジから離隔せずに、部分的に離隔した場合であっても発熱体40Bが下方に移動する構成を有することにより同様の効果を得ることができる。
【0093】
本発明の第1実施形態では、カートリッジセンサ65が用いられる例を示したが、必ずしも設けられなくてもよい。
【0094】
本発明の第1実施形態では、中継部材80がリンク部材である例を示したが、本発明はこれに限定されない。中継部材80は、ギヤ部材またはその他の部材であってもよい。
【0095】
本実施形態において、センサが設けられた例を示したが、同様の構成を有することができる場合には設けられなくてもよい。また、他の実施形態においてもセンサが設けられてもよい。
【0096】
また、保護部材70が一旦上方(第1方向)に移動した際には、位置センサ55は、制御装置10にすべての電源をOFFにする要求信号を送信してもよい。保護部材70が下方(第2方向)に移動されるときには、ユーザが電源スイッチ50を操作して、加熱モードを再開しても良い。
【符号の説明】
【0097】
1・・・加熱式喫煙装置,5・・・タバコカートリッジ,5a・・・上部,5b・・・下部,10・・・制御装置,20・・・電源部,30・・・表示部,40・・・発熱体,50・・・電源スイッチ,55・・・位置センサ,60・・・筐体,60a・・・挿入部,65・・・カートリッジセンサ,70・・・保護部材,70a・・・挿入口,80・・・中継部材,85・・・遮蔽部材,90・・・遮熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20