(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173899
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】タイヤ加硫金型
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20221115BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20221115BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
B29L30:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079948
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】林 希美
【テーマコード(参考)】
4F202
4F203
【Fターム(参考)】
4F202AA45
4F202AH20
4F202CA21
4F202CB01
4F202CU01
4F202CU02
4F202CU07
4F202CU08
4F203AA45
4F203AH20
4F203DA11
4F203DB01
4F203DC01
4F203DL10
(57)【要約】
【課題】 作業性に優れ、メンテナンス性を向上し得るタイヤ加硫金型を提供する。
【解決手段】 タイヤTのサイドウォール部sを成形するための一対のサイドリング3を備えたタイヤ加硫金型1である。サイドリング3の少なくとも1つは、周方向に連続するリング本体5と、リング本体5に装着される複数のピース6とを含んでいる。リング本体5には、サイドウォール部sを成形するためのサイド成形面5aから金型周方向に連続して環状に凹む環状凹部5aが形成されている。ピース6は、金型周方向に分割された複数の第1ピース7と、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピース8とを含んでいる。第1ピース7及び第2ピース8は、環状凹部5aに装着可能である。第1ピース7は、第2ピース8の少なくとも1つとリング本体5とが固定されることで金型軸方向に支持される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ加硫金型であって、
タイヤのサイドウォール部を成形するための一対のサイドリングを備え、
前記サイドリングの少なくとも1つは、周方向に連続するリング本体と、前記リング本体に装着される複数のピースとを含み、
前記リング本体には、前記サイドウォール部を成形するためのサイド成形面から金型周方向に連続して環状に凹む環状凹部が形成され、
前記ピースは、金型周方向に分割された複数の第1ピースと、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピースとを含み、
前記第1ピース及び前記第2ピースは、前記環状凹部に装着可能であり、
前記第1ピースは、前記第2ピースの少なくとも1つと前記リング本体とが固定されることで金型軸方向に支持される、
タイヤ加硫金型。
【請求項2】
前記第1ピースは、前記第1ピースの少なくとも1つと前記リング本体とが固定されることで金型周方向に支持される、請求項1に記載のタイヤ加硫金型。
【請求項3】
前記ピースの周囲の少なくとも一部分は、金型内部の空気を排出するための排出部を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ加硫金型。
【請求項4】
前記排出部は、前記第1ピースの周囲に形成される、請求項3に記載のタイヤ加硫金型。
【請求項5】
前記第1ピースは、前記サイド成形面を構成する第1成形面と、前記第2ピースに接触する第1支持面とを有し、
前記第1支持面は、前記第1成形面に対して鈍角を有する、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のタイヤ加硫金型。
【請求項6】
前記第2ピースは、前記サイド成形面を構成する第2成形面と、前記第1ピースに接触する第2支持面とを有し、
前記第2支持面は、前記第2成形面に対して鋭角を有する、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタイヤ加硫金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを加硫成形するためのタイヤ加硫金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤのサイドウォール部を成形するための一対のサイドプレートを備えたタイヤ加硫金型が知られている。例えば、下記特許文献1には、タイヤのサイドウォール部を成形する環状のサイドリングがリング本体と複数のピースとを含むことで、ピースとリング本体との間から金型内部の空気を排出するタイヤ加硫金型が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のタイヤ加硫金型は、全てのピースをボルトで固定していたので、分解、組立に多くの時間を要し、メンテナンス性に関して改善の要望があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、作業性に優れ、メンテナンス性を向上し得るタイヤ加硫金型を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤ加硫金型であって、タイヤのサイドウォール部を成形するための一対のサイドリングを備え、前記サイドリングの少なくとも1つは、周方向に連続するリング本体と、前記リング本体に装着される複数のピースとを含み、前記リング本体には、前記サイドウォール部を成形するためのサイド成形面から金型周方向に連続して環状に凹む環状凹部が形成され、前記ピースは、金型周方向に分割された複数の第1ピースと、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピースとを含み、前記第1ピース及び前記第2ピースは、前記環状凹部に装着可能であり、前記第1ピースは、前記第2ピースの少なくとも1つと前記リング本体とが固定されることで金型軸方向に支持されることを特徴とする。
【0007】
本発明のタイヤ加硫金型において、前記第1ピースは、前記第1ピースの少なくとも1つと前記リング本体とが固定されることで金型周方向に支持されるのが望ましい。
【0008】
本発明のタイヤ加硫金型において、前記ピースの周囲の少なくとも一部分は、金型内部の空気を排出するための排出部を有するのが望ましい。
【0009】
本発明のタイヤ加硫金型において、前記排出部は、前記第1ピースの周囲に形成されるのが望ましい。
【0010】
本発明のタイヤ加硫金型において、前記第1ピースは、前記サイド成形面を構成する第1成形面と、前記第2ピースに接触する第1支持面とを有し、前記第1支持面は、前記第1成形面に対して鈍角を有するのが望ましい。
【0011】
本発明のタイヤ加硫金型において、前記第2ピースは、前記サイド成形面を構成する第2成形面と、前記第1ピースに接触する第2支持面とを有し、前記第2支持面は、前記第2成形面に対して鋭角を有するのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のタイヤ加硫金型において、ピースは、周方向に分割された複数の第1ピースと、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピースとを含み、前記第1ピース及び前記第2ピースは、環状凹部に装着可能であり、前記第1ピースは、前記第2ピースの少なくとも1つとリング本体とが固定されることで金型軸方向に支持されている。
【0013】
このようなピースは、第1ピースとリング本体とを固定することなく第2ピースとリング本体とを固定することで支持されるので、分解、組立を短時間で行うことができる。このため、本発明のタイヤ加硫金型は、作業性に優れており、メンテナンス性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のタイヤ加硫金型の一実施形態を示す断面図である。
【
図2】
図1のサイドリングの概略構成を示す部分斜視図である。
【
図3】
図1のサイドリングの概略構成を示す分解斜視図である。
【
図4】第1ピースの第1成形面側から見た平面図である。
【
図5】装着時の第1ピースを金型周方向から見た端面図である。
【
図6】他の実施形態のタイヤ加硫金型を示す断面図である。
【
図7】
図6のサイドリングの概略構成を示す部分斜視図である。
【
図8】
図6のサイドリングの概略構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ加硫金型1を示す断面図である。
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ加硫金型1は、タイヤTのトレッド部tを成形するためのトレッドリング2と、タイヤTのサイドウォール部sを成形するための一対のサイドリング3とを備えている。タイヤ加硫金型1は、更にタイヤTのビード部bを成形するための一対のビードリング4を備えるのが望ましい。
【0016】
トレッドリング2は、例えば、タイヤTのタイヤ赤道Cの両側にわたって形成されている。トレッドリング2は、金型周方向に分割された複数のトレッドセグメントが金型周方向に配列されることで、金型半径方向の内側に環状に連続したトレッド成形面2aが形成されるのが望ましい。ここで、トレッド成形面2aは、トレッド部tの外表面を成形するための成形面である。また、金型周方向は、タイヤ周方向と同じ方向であり、金型半径方向は、タイヤ半径方向と同じ方向である。
【0017】
本実施形態のサイドリング3は、トレッドリング2の金型半径方向の内側に配されている。サイドリング3は、金型軸方向の内側に環状に連続したサイド成形面3aが形成されるのが望ましい。ここで、サイド成形面3aは、サイドウォール部sの外表面を成形するための成形面である。また、金型軸方向は、タイヤ軸方向と同じ方向である。
【0018】
ビードリング4は、サイドリング3の金型半径方向の内側に配されるのが望ましい。ビードリング4は、例えば、金型軸方向の内側及び金型半径方向の外側に環状に連続したビード成形面4aが形成されている。ここで、ビード成形面4aは、ビード部bの外表面を成形するための成形面である。ビードリング4は、例えば、サイドリング3と一体的に構成されていてもよい。
【0019】
図2は、
図1のサイドリング3の概略構成を示す部分斜視図であり、
図3は、
図1のサイドリング3の概略構成を示す分解斜視図である。
図2及び
図3に示されるように、サイドリング3の少なくとも1つ、本実施形態では一対のサイドリング3の双方は、周方向に連続するリング本体5と、リング本体5に装着される複数のピース6とを含んでいる。
【0020】
本実施形態のリング本体5には、サイド成形面3aから金型周方向に連続して環状に凹む環状凹部5aが形成されている。このような環状凹部5aは、ピース6を金型半径方向に支持することができる。
【0021】
本実施形態のピース6は、金型周方向に分割された複数の第1ピース7と、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピース8とを含んでいる。このようなピース6は、ピース6の間から金型内部の空気を排出することができ、タイヤTの品質を向上させることができる。
【0022】
本実施形態の第1ピース7及び第2ピース8は、環状凹部5aに装着可能である。このようなピース6は、環状凹部5aの中に並べられることで配置されるので、組立時の作業性が良好である。
【0023】
図1ないし
図3に示されるように、本実施形態の第1ピース7は、第2ピース8の少なくとも1つとリング本体5とが固定されることで金型軸方向に支持されている。このようなピース6は、第1ピース7とリング本体5とを固定することなく第2ピース8とリング本体5とを固定することで支持されるので、分解、組立を短時間で行うことができる。このため、本実施形態のタイヤ加硫金型1は、作業性に優れており、メンテナンス性を向上することができる。
【0024】
より好ましい態様として、第2ピース8は、少なくとも1つの固定具Bにより、リング本体5に固定されている。固定具Bは、例えば、ボルトである。固定具Bは、リング本体5の取付孔5bに挿入され、第2ピース8に螺合することで第2ピース8とリング本体5とを固定するのが望ましい。このような固定具Bは、作業性に優れており、タイヤ加硫金型1のメンテナンス性をより向上させることができる。
【0025】
第1ピース7は、第1ピース7の少なくとも1つ、本実施形態では2つとリング本体5とが固定されることで金型周方向に支持されている。第1ピース7は、ピン、キー等の固定手段(図示省略)によりリング本体5に固定されるのが望ましい。第1ピース7の固定手段は、例えば、ボルト等であってもよい。このようなピース6は、第1ピース7の少なくとも1つと第2ピース8とがリング本体5に固定されることで、金型軸方向にも金型周方向にも固定されるので、加硫成形されるタイヤTの品質を安定させることができる。
【0026】
図2に示されるように、第1ピース7は、例えば、サイド成形面3aを構成する第1成形面7aと、第2ピース8に接触する第1支持面7bとを有している。第1支持面7bは、第1成形面7aに対して鈍角の角度θ1を有するのが望ましい。第1支持面7bと第1成形面7aとの角度θ1は、好ましくは、100~120°である。
【0027】
第1支持面7bと第1成形面7aとの角度θ1が100°以上であることで、第2ピース8により確実に支持され得る。第1支持面7bと第1成形面7aとの角度θ1が120°以下であることで、鋭角となる部分の欠けを抑制し、耐久性を向上させることができる。なお、第1支持面7bは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、階段状や曲面状に形成されていてもよい。
【0028】
第2ピース8は、例えば、サイド成形面3aを構成する第2成形面8aと、第1ピース7に接触する第2支持面8bとを有している。第2支持面8bは、第2成形面8aに対して鋭角の角度θ2を有するのが望ましい。本実施形態の第2支持面8bは、環状凹部5aに配置されたときに、第1支持面7bと平行である。
【0029】
第2支持面8bと第2成形面8aとの角度θ2は、好ましくは、60~80°である。第2支持面8bと第2成形面8aとの角度θ2が60°以上であることで、第2支持面8bと第2成形面8aとの間のエッジの欠けを抑制し、耐久性を向上させることができる。第2支持面8bと第2成形面8aとの角度θ2が80°以下であることで、第1ピース7を確実に支持することができる。なお、第1支持面7bは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、第1支持面7bの形状に対応して形成されていてもよい。
【0030】
ピース6の周囲の少なくとも一部分は、金型内部の空気を排出するための排出部9を有するのが望ましい。このような排出部9は、金型内部の空気をスムーズに排出し、かつ、加硫成形されるタイヤTのゴムの流出を阻止することができる。
【0031】
図4は、第1ピース7の第1成形面7a側から見た平面図であり、
図5は、装着時の第1ピース7を金型周方向から見た端面図である。
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の排出部9は、第1ピース7の周囲に形成されている。排出部9は、少なくとも第1成形面7a側が開口することで金型内部と連通している。
【0032】
このような排出部9は、金型周方向に隣接する第1ピース7の間、金型半径方向に隣接する第1ピース7とリング本体5(
図2に示す)との間、及び、金型半径方向に隣接する第1ピース7と第2ピース8(
図2に示す)との間から空気を排出することができる。
【0033】
排出部9は、好ましくは、隣接する第1ピース7、第2ピース8又はリング本体5との間で、幅wが0.01~0.05mmの微小隙間を形成する。排出部9の幅wが0.01mm以上であることで、金型内部の空気を確実に排出することができる。排出部9の幅wが0.05mm以下であることで、加硫成形されるタイヤTのゴムの流出を抑制することができる。
【0034】
図5に示されるように、本実施形態の第1ピース7は、排出部9に連通する排気路10を有している。排気路10は、例えば、金型周方向に連続して形成されている。排気路10の深さdは、排出部9の幅wよりも大きいのが望ましい。排気路10は、例えば、図示省略の排気口を介して、タイヤ加硫金型1の外部に連通している。このような排気路10は、排出部9を介して排出された金型内部の空気をスムーズにタイヤ加硫金型1の外部へ排出することができる。
【0035】
図2及び
図3に示されるように、本実施形態のサイドリング3の組立工程は、まず、第1ピース7をリング本体5の環状凹部5aに装着する工程が行われる。第1ピース7は、リング本体5に固定されるものが最初に装着されるのが望ましい。このため、組立工程は、固定具Bにより第1ピース7の1つをリング本体5に固定する工程が行われた後、その他の第1ピース7が装着される。このような組立工程は、第1ピース7の装着が容易であり、作業性を向上させることができる。
【0036】
本実施形態の組立工程は、次に、第2ピース8の第2支持面8bが第1ピース7の第1支持面7bに接触するように第2ピース8を環状凹部5aに装着する工程が行われる。本実施形態の組立工程は、次に、固定具Bにより第2ピース8とリング本体5とを固定する工程が行われる。このような組立工程は、固定具Bにより固定する工程が少なく、作業性に優れており、タイヤ加硫金型1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0037】
図6は、他の実施形態のタイヤ加硫金型11を示す断面図である。上述の実施形態と同一の機能を有する要素には、同一の符号が付され、その説明が省略される。
図6に示されるように、この実施形態のタイヤ加硫金型1は、トレッドリング2と、一対のサイドリング13、一対のビードリング4とを備えている。この実施形態のサイドリング13は、上述のサイドリング3と同様、タイヤTのサイドウォール部sを成形するためのものである。
【0038】
図7は、
図6のサイドリング13の概略構成を示す部分斜視図であり、
図8は、
図6のサイドリング13の概略構成を示す分解斜視図である。
図6ないし
図8に示されるように、サイドリング13の少なくとも1つ、この実施形態では一対のサイドリング13の双方は、上述のサイドリング3と同様、周方向に連続するリング本体15と、リング本体15に装着される複数のピース16とを含んでいる。
【0039】
この実施形態のピース16は、上述のピース6と同様、金型周方向に分割された複数の第1ピース17と、周方向に連続して延びる少なくとも1つの第2ピース18とを含んでいる。この実施形態の第1ピース17及び第2ピース18は、リング本体15に形成された環状凹部15aに装着可能である。
【0040】
第1ピース17は、例えば、金型半径方向の内側の第1内側ピース19と、第1内側ピース19の金型半径方向の外側の第1外側ピース21とを含んでいる。第2ピース18は、例えば、金型半径方向の内側の第2内側ピース20と、第2内側ピース20の金型半径方向の外側の第2外側ピース22とを含んでいる。
【0041】
この実施形態のピース16は、リング本体15の環状凹部15aに、金型半径方向の内側から、第1内側ピース19、第2内側ピース20、第1外側ピース21及び第2外側ピース22の順で装着される。このようなピース16は、第2内側ピース20及び第2外側ピース22とリング本体15とを固定することで、第1内側ピース19及び第1外側ピース21を金型軸方向に支持することができる。
【0042】
図7に示されるように、第1内側ピース19は、例えば、サイド成形面13aを構成する第1内側成形面19aと、第2内側ピース20に接触する第1内側支持面19bとを有している。第1内側支持面19bは、第1内側成形面19aに対して鈍角の角度θ3を有するのが望ましい。第1内側支持面19bと第1内側成形面19aとの角度θ3は、好ましくは、100~120°である。
【0043】
第2内側ピース20は、例えば、サイド成形面13aを構成する第2内側成形面20aと、第1内側ピース19に接触する第2内側支持面20bと、第1外側ピース21に接触する第2内側外端面20cとを有している。第2内側支持面20bは、第2内側成形面20aに対して鋭角の角度θ4を有するのが望ましい。第2内側支持面20bと第2内側成形面20aとの角度θ4は、好ましくは、60~80°である。第2内側外端面20cは、第2内側成形面20aに対して60~90°の角度θ5を有するのが望ましい。
【0044】
第1外側ピース21は、例えば、サイド成形面13aを構成する第1外側成形面21aと、第2外側ピース22に接触する第1外側支持面21bと、第2内側ピース20に接触する第1外側内端面21cとを有している。第1外側支持面21bは、第1外側成形面21aに対して鈍角の角度θ6を有するのが望ましい。第1外側支持面21bと第1外側成形面21aとの角度θ6は、好ましくは、100~120°である。第1外側内端面21cは、第1外側成形面21aに対して90~120°の角度θ7を有するのが望ましい。
【0045】
第2外側ピース22は、例えば、サイド成形面13aを構成する第2外側成形面22aと、第1外側ピース21に接触する第2外側支持面22bとを有している。第2外側支持面22bは、第2外側成形面22aに対して鋭角の角度θ8を有するのが望ましい。第2外側支持面22bと第2外側成形面22aとの角度θ8は、好ましくは、60~80°である。
【0046】
図8に示されるように、この実施形態のサイドリング13の組立工程は、上述のサイドリング3の組立工程を同様、まず、第1内側ピース19をリング本体15の環状凹部15aに装着する工程が行われる。第1内側ピース19は、上述の第1ピース7と同様、リング本体15に固定される1つの第1内側ピース19が最初に装着され、リング本体15に固定されるのが望ましい。
【0047】
この実施形態の組立工程は、次に、第2内側ピース20が第1内側ピース19に接触するように第2内側ピース20を環状凹部15aに装着する工程が行われる。この実施形態の組立工程は、次に、固定具Bにより第2内側ピース20とリング本体15とを固定する工程が行われる。
【0048】
この実施形態の組立工程は、次に、第1外側ピース21をリング本体15の環状凹部15aに装着する工程が行われる。第1外側ピース21は、上述の第1内側ピース19と同様、リング本体15に固定される1つの第1外側ピース21が最初に装着され、リング本体15に固定されるのが望ましい。
【0049】
この実施形態の組立工程は、次に、第2外側ピース22が第1外側ピース21に接触するように第2外側ピース22を環状凹部15aに装着する工程が行われる。この実施形態の組立工程は、次に、固定具Bにより第2外側ピース22とリング本体15とを固定する工程が行われる。このような組立工程は、固定具Bにより固定する工程が少なく、作業性に優れており、タイヤ加硫金型11のメンテナンス性を向上させることができる。
【0050】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例0051】
図1ないし
図5に示される実施例のタイヤ加硫金型が試作され、組立に要する時間が測定された。比較例として、全ての第1ピースがボルトで固定されるタイヤ加硫金型を用いて、固定に要するボルトの数が比較された。結果は、比較例を100とする指数で示され、数値が小さいほど、固定に要するボルトの数が少なく、作業性に優れていることを示す。
【0052】
テストの結果が以下に示される。
比較例 : 100
実施例 : 25
【0053】
テストの結果、実施例のタイヤ加硫金型は、比較例に対し、固定に要するボルトの数が少なく、作業性に優れており、メンテナンス性を向上していることが確認された