(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173910
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】選別装置及び検査装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/36 20060101AFI20221115BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20221115BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B07C5/36
G01N21/85
G01N21/84 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079963
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】安藤 渉
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051BA06
2G051CA03
2G051CB02
2G051DA06
2G051DA13
3F079CA37
3F079CA44
3F079CB25
3F079CB34
3F079CC03
3F079DA11
3F079EA01
3F079EA10
3F079EA15
(57)【要約】
【課題】検査の結果、異常があると判定された被検査物を、供給源からのエアの供給圧が低下しても、エアの噴射により確実に選別することが可能な選別装置を提供する。
【解決手段】本発明の選別装置は、搬送手段により搬送中の被検査物に対して行われた検査の結果に基づきエアを噴射して被検査物を振り分ける複数の噴射手段と、供給源から供給を受けた圧縮されたエアを供給源から噴射手段に導入する流路と、流路に設けられ、圧縮されたエアを貯留するエアタンクと、流路のエアタンクの上流側に設けられる逆止弁と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送手段により搬送中の被検査物に対して行われた検査の結果に基づきエアを噴射して前記被検査物を選別する複数の噴射手段と、
供給源から供給を受けた圧縮されたエアを前記噴射手段に導入する流路と、
前記流路に設けられ、前記圧縮されたエアを貯留するエアタンクと、
前記流路の前記エアタンクの上流側に設けられる逆止弁と、
を備える選別装置。
【請求項2】
前記流路は一部区間が複数経路化され、複数の経路は、前記区間の両端を直結する直結経路と、前記エアタンク、並びに、前記エアタンクの上流側に前記逆止弁及び前記エアタンクへの前記圧縮されたエアの流入を制限するスピードコントローラが設けられたエアタンク経路を、それぞれ少なくとも1ずつ含む請求項1に記載の選別装置。
【請求項3】
前記圧縮されたエアを前記供給源から前記流路に供給するに際し、一定の圧力に減圧する減圧弁を備え、
前記エアタンク経路において、前記逆止弁は前記スピードコントローラの上流側に設けられる請求項2に記載の選別装置。
【請求項4】
前記エアタンク経路の前記エアタンクの下流側、及び前記直結経路のそれぞれに逆止弁を備える請求項2又は3に記載の選別装置。
【請求項5】
被検査物を所定の方向に搬送する搬送手段と、
前記被検査物に所定の電磁波を照射する照射手段と、
前記被検査物を経た前記電磁波を検出し、検出データを出力する検出手段と、
前記検出データを検査し、検査の結果を出力する検査手段と、
請求項1から4のいずれか1項に記載の選別装置と、
前記検査の結果に基づき、前記噴射手段からのエアの噴射を制御する選別制御手段と、
を備える検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物に照射され、被検査物を経て検出された電磁波に基づき被検査物の検査を行い、その検査結果に基づき被検査物を選別する選別装置及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検査物である粒状体を搬送するコンベアにおいて、搬送方向に直交する幅方向に一定間隔で区切られた複数の領域を観念し、領域ごとにエアの噴射手段を設け、コンベア上を搬送される粒状体にX線を照射して、透過X線の検出信号に基づき生成したX線透過画像から除去が必要な異物が存在する領域を特定し、当該領域に対応する噴射手段に当該異物が到達するタイミングを見計らって噴射手段を動作させることで、異物を含む粒状体を除去する検査装置が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164723号公報
【特許文献2】特開2019-130483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
噴射手段として、エアジェット方式、すなわち被検査物にエアを吹き付けて被検査物を排除する方式を採用する場合、エアの噴射の頻度が高くなると、圧縮されたエアの供給源からのエアの供給圧が低下し、供給圧が回復するまでの暫くの間、噴射手段からのエアの噴射圧が十分に得られず、異物を含む被検査物を排除できなくなるおそれがある。特に、供給源からエアが供給されている噴射手段の数が多いほど、エアの噴射の頻度が高くなるため、問題は顕著に表れる。
【0005】
このような問題に対し、特許文献1の発明では、噴射手段である第1振分部の搬送下流に、更にドロップ方式で異物を含む被検査物を排除する第2振分部を設けることにより、異物排除の確実性を高めている。しかし、このように振分部を2段設けることで、装置が大きくなり、コストにも少なからず影響が生じる。また、第1振分部が採用する噴射手段を用いる方式では、コンベア上の領域ごとに異物を含む被検査物を排除することができるが、第2振分部が採用するドロップ方式では、いずれかの領域に異物が存在するタイミングで、全ての領域に存在する被検査物が排除されることになるため、歩留まりが低下する。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、検査の結果、異常があると判定された被検査物を、エアの供給源からのエアの供給圧が低下しても、エアの噴射により確実に選別することが可能な選別装置及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の選別装置は、搬送手段により搬送中の被検査物に対して行われた検査の結果に基づきエアを噴射して被検査物を選別する複数の噴射手段と、供給源から供給を受けた圧縮されたエアを供給源から噴射手段に導入する流路と、流路に設けられ、圧縮されたエアを貯留するエアタンクと、流路のエアタンクの上流側に設けられる逆止弁と、を備える。
【0008】
このように構成した選別装置によれば、圧縮されたエアがエアタンクに貯留されるため、圧縮されたエアの供給源からのエアの供給圧が低下しても、エアタンクに残存するエアの圧力により、各噴射手段からのエアの噴射圧の低下を緩やかにすることができる。これにより、供給源からのエアの供給圧が回復し始めるまでの間の噴射圧の低下量を選別に支障がない程度にとどめることができる。
【0009】
流路の一部区間を複数経路化し、複数の経路として、区間の両端を直結する直結経路と、エアタンク、並びに、エアタンクの上流側に逆止弁及びエアタンクへの圧縮されたエアの流入を制限するスピードコントローラが設けられたエアタンク経路を、それぞれ少なくとも1ずつ含んでもよい。
【0010】
供給源からのエアの供給圧が低下後、エアタンクに貯留されたエアの圧力もエアの噴射により徐々に低下する。エアタンクが、供給源と噴射手段とを結ぶ流路に単純に挿入されていると、供給源からのエアの供給圧の回復過程において、供給圧の回復がエアタンク内のエアの圧力の回復に先に反映されてしまい、その分、下流にある噴射手段からのエアの噴射圧の回復への反映が遅れることになる。そこで、流路の一部を二経路化し、一方の経路にエアタンクと、エアタンクへの供給源からのエアの流入を制限するスピードコントローラを設け、他方の経路を噴射手段に直結させることで、供給源からのエアの供給圧の回復を噴射手段からのエアの噴射圧の回復に速やかに反映させるとともに、エアタンク内のエアの圧力を緩やかに回復させることができる。
【0011】
圧縮されたエアを供給源から流路に供給するに際し一定の圧力に減圧する減圧弁を備え、エアタンク経路において、逆止弁をスピードコントローラの上流側に設けてもよい。
【0012】
このように減圧弁を備えることで、流路に供給されるエアの圧力が安定するため、供給源からのエアの供給圧の不安定さに起因する逆止弁の閉鎖を防ぐことができ、より効率的にエアタンク内のエアの圧力を回復させることができる。
【0013】
エアタンク経路のエアタンクの下流側、及び直結経路のそれぞれに逆止弁を備えてもよい。
【0014】
このように逆止弁を備えることで、本発明の効果をより確実に得ることができる。
【0015】
本発明の検査装置は、被検査物を所定の方向に搬送する搬送手段と、被検査物に所定の電磁波を照射する照射手段と、被検査物を経た電磁波を検出し検出データを出力する検出手段と、検出データを検査し検査の結果を出力する検査手段と、上記いずれかの選別装置と、検査手段における検査の結果に基づき選別装置の噴射手段からのエアの噴射を制御する選別制御手段と、を備える。
【0016】
本発明の検査装置によれば、圧縮されたエアの供給源からのエアの供給圧が低下しても、エアタンクに残存するエアの圧力により、噴射手段からのエアの噴射圧の低下を緩やかにすることができる。これにより、供給源からのエアの供給圧が回復し始めるまでの間の噴射圧の低下量を、選別に支障がない程度にとどめることができるため、検査の結果、異常があると判定された被検査物を、エアの噴射により確実に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】検査装置100の構成の一例を示す正面図である。
【
図2】検査装置100の構成の一例を示す平面図である。
【
図3】選別装置160の構成の一例を示す図である。
【
図4】選別装置160の構成の別の一例を示す図である。
【
図5】供給源と噴射手段群との間の流路構成の相違による噴射圧の回復経過の相違を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0019】
本発明の検査装置100の構成例を示す正面図を
図1に、平面図を
図2にそれぞれ示す。検査装置100は、搬送手段110、照射手段120、検出手段130、検査手段140、選別制御手段150及び選別装置160を備える。
【0020】
搬送手段110は、載置された被検査物Wを所定の搬送方向に搬送する任意の方式のコンベアである。搬送手段110は、正面から見て、搬送方向に直交する方向(横断方向)に奥行きを持つ。
【0021】
照射手段120は、搬送手段110により搬送される被検査物Wに向け所定の電磁波を照射する。照射する電磁波の種類は、例えば、X線、可視光、赤外線など、検査の内容に応じて適宜選択してよい。
【0022】
検出手段130は、照射手段120から照射され被検査物Wを経た電磁波を検出可能な位置に配置され、被検査物Wを経て、又は直接的に到達した電磁波を検出して、所定の周期ごとに検出データを出力する。
図1では、被検査物Wを透過した電磁波を検出可能とすべく、照射手段120に対向して配置される例を示している。
【0023】
検出手段130は、横断方向に配列された複数の検出素子を備え、それぞれの検出素子は所定の電磁波を検出し検出データを出力する。検出素子は、被検査物Wが搬送手段110に載置されうる横断方向の範囲以上の長さになる個数を配列することで、搬送手段110に載置された被検査物Wを隈なく検査することができる。
【0024】
検査装置100においては、検出手段130における検出データの検査結果に基づき、検出手段130の搬送下流に設けられる選別装置160の噴射手段がエアを噴射することで選別を行う。
【0025】
具体的には、例えば、搬送手段110に被検査物Wが載置されうる横断方向の範囲内にある被検査物Wを選別するに際し、横断方向に複数連ねられた噴射手段で分担して選別可能とする場合、それぞれの噴射手段の上流に位置する検出手段130を構成する複数の検出素子を噴射手段の個数で分割した各部分における検出データに基づき、それぞれの噴射手段におけるエアの噴射が制御される。
【0026】
すなわち、例えば、搬送手段110に載置されうる横断方向の範囲の長さとなる検出素子の配列個数が80個で、その範囲を8個の噴射手段で分担して選別するとき、それぞれの噴射手段の上流に位置する、80個の検出素子を8分割した各部分の10個の検出素子における検出データに基づき、それぞれの噴射手段におけるエアの噴射が制御される。
【0027】
このような、複数の検出素子を噴射手段の個数で分割した各部分を、以下において「センサ」と呼ぶ。すなわち検出手段130は、噴射手段と同じ個数のセンサを備える。このように構成することで、それぞれのセンサにおける検出データの検査結果に応じ、対応するそれぞれの噴射手段において振り分けを行うことが可能となる。
【0028】
各センサは、照射手段120から被検査物Wを経て、又は直接的に到達した電磁波を検出して、所定の周期ごとに検出データを出力する。
図2は、センサL1~L8の8個のセンサを連ねて設けた例を示したものである。
【0029】
各センサが、電磁波を検出し検出データを蓄積して出力する周期は、例えば、センサの搬送方向の幅に相当する距離を、搬送手段110の搬送速度で通過する所要時間としてもよい。周期をこのように設定することで、検出手段130を通過する被検査物Wの全体を漏れなく検査することができる。
【0030】
なお、検出手段130を構成するセンサは、ラインセンサを1以上用いて適宜構成してもよい。例えばセンサが8個の場合、7個以下のラインセンサを分割して構成してもよいし、8個のラインセンサを用いて1対1に構成してもよいし、1個のセンサを2個以上のラインセンサを用いて構成してもよい。また、それぞれのセンサを搬送方向に複数列配列してTDIセンサとして構成してもよい。
【0031】
検査手段140は、検出手段130の各センサから出力された検出データを検査し、異常を示す検出データを、値の大小などにより特定することによって、各センサにおける異常の検出の有無を検査結果として特定する。
【0032】
センサを構成する検出素子が2以上のとき、センサにおける検出データの検査結果は、各検出素子から出力された検出データの総合評価により得る。例えば、各検出素子から出力された検出データの値のそれぞれを任意の判定基準で検査した上で、更にそれぞれの検査結果を任意の判定基準で総合評価することにより得てもよいし、各検出素子から出力された検出データの値の総和を任意の判定基準で検査することにより得てもよい。
【0033】
選別制御手段150は、検出手段130の各センサからの検出データの出力時から、検出手段130から選別装置160までの搬送所要時間の経過後に、当該各センサが出力した検出データに対する検査手段140による検査により特定された、当該各センサにおける異常の検出の有無に基づき、当該各センサに対応する選別装置160の各噴射手段からのエアの噴射の有無を制御する。制御は、異常が検出された場合にエアが噴射され、検出されなかった場合に噴射されないように制御してもよいし、その逆に制御してもよい。
【0034】
選別装置160は、搬送手段110により搬送中の被検査物Wに対して検査手段140において行われた検査の結果に基づき、選別制御手段150の制御によりエアを噴射して被検査物Wを振り分ける。
【0035】
選別装置160は、流路F、噴射手段群170、エアタンク180及び逆止弁C1を備える。
図2に検査装置100における噴射手段群170の配置例を、
図3に選別装置160の具体的な構成例をそれぞれ示す。
【0036】
流路Fは、コンプレッサ等の供給源Aから供給を受けた圧縮されたエアの噴射手段群170への導入に用いる、供給源Aと噴射手段群170とを結ぶ管路である。流路Fは噴射手段群170の手前で複数に分岐してそれぞれの噴射手段に接続される。
【0037】
噴射手段群170は、選別制御手段150による制御により、流路Fを経たエアを噴射する噴射手段を複数備える。
【0038】
噴射手段は、エアを噴射する噴射孔と、噴射孔の流路上流に設けられ選別制御手段150の制御により流路Fを開閉する電磁弁と、を備える。噴射孔は文字通り孔として備えてもよいし、ノズルの形態で備えてもよい。電磁弁は開くことでエアが噴射され、閉じることでエアの噴射が停止する。
【0039】
図2及び3は、噴射手段群170が噴射手段171~178を備え、それらに対応するセンサL1~L8を検出手段130が備える例を示したものである。噴射手段171~178は、それぞれ噴射孔S1~S8を備えるとともに、噴射孔S1~S8の流路上流にそれぞれ電磁弁V1~V8を備える。噴射孔S1~S8の位置及び向きは、それぞれがエアを噴射した際に、センサL1~L8の搬送下流にそれぞれ搬送されてきた被検査物Wにエアを的中させ、かつ、選別に十分な進行方向の変化を与えられるように設定する。
【0040】
例えば、
図1に示すように搬送手段110の搬送方向末端の下流側に、被検査物Wが通過可能な間隙と段差をもって、搬送手段111を設ける。より具体的には、搬送手段110により搬送される被検査物Wが、搬送手段110の搬送方向末端から落下して着地する位置に、着地した被検査物Wを一定の方向に搬送する搬送手段111を設ける。また、噴射孔S1~S8の位置及び向きを、噴射したエアの的中により被検査物Wの進行方向が搬送手段110と搬送手段111との間の間隙を向くように設定する。
【0041】
このように設けた噴射孔から適切なタイミングでエアを噴出させ、落下中の被検査物Wにエアを的中させることで、被検査物Wの進行方向が間隙方向に変化し、間隙を通過した先にある図示しない受け皿等に落下する。すなわち、搬送手段110の搬送方向末端に到達した被検査物Wは、エアを噴射しなければ搬送手段111上に落下して搬送が継続され、エアが噴射されると受け皿等に落下するという形で選別することができる。なお、ここでは、エアを噴射しない場合に搬送手段111により被検査物Wの搬送が継続される例を示したが、搬送の必要がなければ、エアを噴射しない場合に被検査物Wが落下する位置にも受け皿等を設け、落下した被検査物Wを収集する形態を採ってもよい。また、エアを噴射された被検査物Wの搬送が別途継続されるよう、エアを噴射された被検査物Wが落下する位置に別の搬送手段を設けてもよい。
【0042】
エアタンク180は、流路Fに挿入され、供給源Aから供給された圧縮されたエアを貯留する。
【0043】
逆止弁C1は、流路Fのエアタンク180の上流側に設けられる。逆止弁C1は、供給源Aからのエアの供給圧が十分なときは、開状態となりエアを下流側にそのまま通過させる。一方、供給源Aからのエアの供給圧が低下して下流側の圧力より低くなったときには閉状態となり、下流側に設けられたエアタンク180から上流側にエアが流出することを防ぐ。そしてこれにより、噴射手段群170にはエアタンク180に貯留されたエアが供給されることになる。
【0044】
以上のように構成した選別装置160によれば、圧縮されたエアがエアタンク180に貯留されるため、供給源Aからのエアの供給圧が低下しても、エアタンク180に残存するエアの圧力により、噴射手段からのエアの噴射圧の低下を緩やかにすることができる。これにより、供給源Aからのエアの供給圧が回復し始めるまでの間の噴射圧の低下量を選別に支障がない程度にとどめることができる。
【0045】
なお、流路Fの一部区間を複数経路化し、その複数の経路として、区間の両端を直結する直結経路F1と、エアタンク180、並びに、エアタンク180の上流側に逆止弁C1及びエアタンク180へのエアの流入を制限するスピードコントローラ190が設けられたエアタンク経路F2を、それぞれ少なくとも1ずつ含むように構成してもよい。
図4は、直結経路F1とエアタンク経路F2をそれぞれ1ずつ含む例を示したものである。
【0046】
供給源Aからのエアの供給圧の低下後、エアタンク180に貯留されたエアの圧力もエアの噴射により徐々に低下する。エアタンク180が、供給源Aと噴射手段群170とを結ぶ流路に単純に挿入されていると、供給源Aからのエアの供給圧の回復過程において、供給圧の回復がエアタンク180内のエアの圧力の回復に先に反映されてしまい、その分、下流にある噴射手段群170から噴射されるエアの噴射圧の回復への反映が遅れることになる。
【0047】
そこで、流路Fの一部区間において、区間両端を直結する直結経路F1と並列にエアタンク経路F2を設ける。エアタンク経路F2には、エアの流入量を制限するスピードコントローラ190が挿入されているため、供給源Aから供給されたエアが優先的に直結経路F1を経由して噴射手段群170に供給されるとともに、エアタンク経路F2にも少量のエアが流入しエアタンク180に供給される。そのため、供給源Aからの供給圧の回復過程において、供給源Aからのエアの供給圧の回復が噴射手段群170からのエアの噴射圧の回復に速やかに反映されるとともに、エアタンク180内のエアの圧力も緩やかに回復させることができる。なお、スピードコントローラによるエアタンク経路F2へのエアの流入量の制限の程度は、供給源Aからのエアの供給圧の回復後、再度供給圧が低下するまでの間にエアタンク180内のエアの圧力が十分に高まるように設定するとよい。
【0048】
図5は、エアタンク180を設けなかった場合(一点鎖線)、
図3に示すようにエアタンク180を単純に挿入した場合(破線)、及び
図4に示すように流路Fの一部に直結経路F1とエアタンク経路F2を設けた場合(実線)のそれぞれにおける、噴射手段群170から噴射されるエアの噴射圧の低下から回復に至るまでの時間的変化を示したグラフである。このグラフからわかるように、エアタンク180を設けることで、供給源Aからのエアの供給圧が低下し、回復し始めるまでの間の噴射手段群170からのエアの噴射圧の低下の程度を小さく抑えることができ、
図4に示すようにエアタンク180を設けることで、
図3に示すようにエアタンク180を設けた場合と比べ、噴射手段群170から噴射されるエアの噴射圧を速やかに回復することができる。
【0049】
図4の構成において、供給源Aから圧縮されたエアを流路Fに供給するに際し一定の圧力に減圧する減圧弁Rを備えてもよい。
【0050】
供給源Aからのエアの供給圧が不安定な場合、減圧弁Rが無いと、供給圧の変動に伴い逆止弁C1の開閉が生じるおそれがある。このような現象がエアタンク180内のエアの圧力の回復途上で生じると、エアタンク180へのエアの供給が断続的になり圧力の回復に遅れが生じる。減圧弁Rを備えることで、供給源Aからのエアの供給圧が安定していなくても、流路Fに供給されるエアの圧力を、供給源Aからのエアの供給圧の変動範囲の下限以下の所定の値に設定することができる。これにより、流路Fに供給されるエアの圧力が安定し、供給源からのエアの供給圧の不安定さに起因する逆止弁の閉鎖を防ぐことができるため、エアタンク内のエアの圧力をより効率的に回復させることができる。
【0051】
なお、減圧弁Rを設ける場合、逆止弁C1はスピードコントローラ190の上流側に設けるのが望ましい。
【0052】
図4の構成において、エアタンク経路F2のエアタンク180の下流側に下流方向を順方向とする逆止弁C2を、直結経路F1に下流方向を順方向とする逆止弁C3を、更に備えてもよい。
【0053】
逆止弁C2、C3を備えることで、本発明の効果をより確実に得ることができる。具体的には、供給源Aからのエアの供給圧が十分なときは、エアが噴射手段群170に十分な圧力で供給されるとともに、逆止弁C2への逆方向への加圧によりエアタンク180に充填されたエアの流出が阻止され、噴射手段群170からのエアの十分な噴射圧での噴射とエアタンク180へのエアの緩やかな充填が両立される。度重なる噴射により、供給源Aからのエアの供給圧が低下してくると、逆止弁C2への逆方向の加圧が弱まり、かつ、逆止弁C1及びC3の存在によって、エアタンク180から噴射手段群170への十分な圧力でのエアの供給が開始される。続いて、供給源Aからのエアの供給圧が回復してくると、供給源Aからのエアとエアタンク180からのエアの双方が噴射手段群170に供給される状態となり、スピードコントローラ190の存在により、供給源Aからのエアの供給圧の回復が噴射手段群170からのエアの噴射圧の回復に速やかに反映されるとともに、エアが消費されたエアタンク180に緩やかにエアを供給しエアタンク180内のエアの圧力が徐々に回復される。このような過程を経て、再び供給源Aからのエアの供給が十分で、かつ、噴射手段群170からのエアの噴射圧が十分な状態に戻る。
【0054】
以上のように、本発明の検査装置100及び選別装置160によれば、圧縮されたエアの供給源Aからのエアの供給圧が低下しても、供給圧が回復し始めるまでの間の噴射手段群170からのエアの噴射圧の低下量を、選別に支障がない程度にとどめることができるため、検査の結果、異常があると判定された被検査物を、エアの噴射により確実に選別することができる。また、エアタンク180を
図4に示すように配置することで、噴射手段群170からのエアの噴射圧を速やかに回復させることができる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
【符号の説明】
【0056】
100 検査装置
110、111 搬送手段
120 照射手段
130 検出手段
140 検査手段
150 選別制御手段
160 選別装置
170 噴射手段群
171~178 噴射手段
180 エアタンク
190 スピードコントローラ
A 供給源
C1~C3 逆止弁
F 流路
F1 直結経路
F2 エアタンク経路
L1~L8 センサ
R 減圧弁
S1~S8 噴射孔
V1~V8 電磁弁
W 被検査物