(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173931
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】操作バルブ
(51)【国際特許分類】
F16K 35/02 20060101AFI20221115BHJP
F01M 11/04 20060101ALN20221115BHJP
【FI】
F16K35/02 Z
F01M11/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079994
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】591068218
【氏名又は名称】麓技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】山本 涼平
【テーマコード(参考)】
3G015
3H064
【Fターム(参考)】
3G015BB04
3G015BK02
3G015CA07
3G015DA04
3H064AA07
3H064BA06
3H064CA10
3H064CA13
3H064DA02
(57)【要約】
【課題】操作コックに伴う不都合を解消する操作バルブを提供することを目的とする。
【解決手段】操作バルブは、流体の流通を制御するバルブと、周方向の回転により前記バルブの開閉を操作し、中心軸と平行な第1段差を前記周方向に備えた円筒型の操作部と、前記流体の流路を内側に備え、前記バルブが閉じた第1状態で前記第1段差に対応する第2段差を外側に備え、前記バルブを収納する収納部と、前記操作部を前記収納部の方向に付勢する弾性体と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流通を制御するバルブと、
周方向の回転により前記バルブの開閉を操作し、中心軸と平行な第1段差を前記周方向に備えた円筒型の操作部と、
前記流体の流路を内側に備え、前記バルブが閉じた第1状態で前記第1段差に対応する第2段差を外側に備え、前記バルブを収納する収納部と、
前記操作部を前記収納部の方向に付勢する弾性体と、
を有する操作バルブ。
【請求項2】
前記第1段差と前記第2段差が互いに嵌合することにより前記操作部の前記回転を規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作バルブ。
【請求項3】
前記第1段差と前記第2段差はいずれも高さが異なる2つの段差を備え、前記段差の一方は前記第1状態から前記バルブが開いた第2状態への前記操作部の前記回転を規制し、前記段差の他方は前記操作部の過剰な前記回転を規制する、
ことを特徴とする請求項2に記載の操作バルブ。
【請求項4】
前記操作部は、前記回転により前記開閉を操作する円筒型の第1操作部と、前記第1段差が含む第1溝と前記第2段差が含む第2溝の両方と嵌合することにより前記第1操作部の前記回転を規制する円筒型の第2操作部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作バルブ。
【請求項5】
前記第1操作部は、円周に沿った円弧型の開口を含む円板部を筒端に備え、
前記収納部は、前記第1操作部の中心軸と平行に伸び、前記開口から突出する突起を備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の操作バルブ。
【請求項6】
前記開口の一端は前記第1状態を表す位置に設けられ、前記開口の他端は前記バルブが開いた第2状態を表す位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の操作バルブ。
【請求項7】
前記収納部は、前記第2段差を外側面に備え、
前記第2段差が前記第1段差の溝と嵌合することにより前記操作部の前記回転を規制する、
ことを特徴とする請求項1に記載の操作バルブ。
【請求項8】
前記操作部は、リング型のフェースギヤを前記操作部の内周に沿って保持し、
前記収納部は、一端に前記バルブが接続され、他端に前記フェースギヤと結合するスパーギヤが付与された心棒を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の操作バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
二輪車や自動車、重機等に搭載されるエンジンの下部にはオイルパンが設けられている。オイルパンにはエンジンのピストンなどを潤滑するオイルが溜められている。オイルは定期的に交換される。オイルを交換する際には、スパナなどの工具によってオイルパンの底に設けられているドレン口のネジ蓋を外す作業が行われる。
【0003】
ドレン口のネジ蓋を外した場合、同時にオイルが噴出する。これにより、作業者の身体がオイルで汚れることがある。また、オイルの排出を終えた後にネジ蓋でドレン口を塞ぐ際には、ネジ蓋や工具がオイルにまみれ、ドレン口にネジ蓋を取り付ける作業に手間がかかることもある。
【0004】
このようなオイル交換に伴う不都合を解消する機器として、ネジ蓋と同様にドレン口に取り付け可能な操作バルブが知られている。この操作バルブは、常時ドレン口に取り付けた状態で使用され、操作コックを回動させることによってバルブの開閉を操作することができる。通常の状態では操作コックは閉状態に維持されてバルブが閉じられており、操作コックを開状態に回動させるとバルブが開きオイルが排出される(以上、特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-106731号公報
【特許文献2】特開2017-36828号公報
【特許文献3】特開2020-112259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、操作バルブに操作コックを採用した場合、操作バルブがネジ蓋と同様にドレン口に取り付けられることに起因して、様々な不都合が生じることがある。例えば、操作バルブをドレン口に取り付けてみると、操作コックがオイルパンの底面の方向に向く場合がある。この場合、操作コックの操作に支障をきたすことがある。
【0007】
また、操作バルブをドレン口に取り付けてみると、操作コックが地面の方向に向くこともある。この場合、走行中に操作コックが路上の異物と接触し、操作コックが破損するおそれもある。その他、新雪の中を移動中であれば圧接された雪によって操作コックが偶発的に回動し、バルブが開くおそれもある。
【0008】
そこで、本発明では操作コックに伴う不都合を解消する操作バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る操作バルブは、流体の流通を制御するバルブと、周方向の回転により前記バルブの開閉を操作し、中心軸と平行な第1段差を前記周方向に備えた円筒型の操作部と、前記流体の流路を内側に備え、前記バルブが閉じた第1状態で前記第1段差に対応する第2段差を外側に備え、前記バルブを収納する収納部と、前記操作部を前記収納部の方向に付勢する弾性体と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る操作バルブによれば、操作コックに伴う不都合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1(a)は第1実施形態に係る操作バルブのオイルパンへの取付例を説明する第1斜視図である。
図1(b)は第1実施形態に係る操作バルブのオイルパンへの取付例を説明する第2斜視図である。
【
図2】
図2(a)は第1実施形態に係る操作バルブの第1状態の第1斜視図である。
図2(b)は第1実施形態に係る操作バルブの第1状態の第2斜視図である。
図2(c)は第1実施形態に係る操作バルブの第1状態のZ1-Z1断面図である。
【
図3】
図3(a)は第1実施形態に係る操作バルブの第2状態の第1斜視図である。
図3(b)は第1実施形態に係る操作バルブの第2状態の第2斜視図である。
図3(c)は第1実施形態に係る操作バルブの第2状態のZ2-Z2断面図である。
【
図4】
図4は第2実施形態に係る操作バルブのオイルパンへの取付例を説明する斜視図である。
【
図5】
図5(a)は第2実施形態に係る操作バルブの第1状態の第1斜視図である。
図5(b)は第2実施形態に係る操作バルブの第1状態の第2斜視図である。
図5(c)は第2実施形態に係る操作バルブの第1状態のZ3-Z3断面図である。
【
図6】
図6は第2実施形態に係る操作バルブにおける操作機構の分解斜視図である。
【
図7】
図7(a)は第2実施形態に係る操作バルブの中間状態の第1斜視図である。
図7(b)は第2実施形態に係る操作バルブの中間状態の第2斜視図である。
図7(c)は第2実施形態に係る操作バルブの中間状態のZ4-Z4断面図である。
【
図8】
図8(a)は第2実施形態に係る操作バルブの第2状態の第1斜視図である。
図8(b)は第2実施形態に係る操作バルブの第2状態の第2斜視図である。
図8(c)は第2実施形態に係る操作バルブの第2状態のZ5-Z5断面図である。
【
図9】
図9(a)は第3実施形態に係る操作バルブの第1状態の第1斜視図である。
図9(b)は第3実施形態に係る操作バルブの第1状態の第2斜視図である。
図9(c)は第3実施形態に係る操作バルブの第1状態のZ6-Z6断面図である。
【
図10】
図10は第3実施形態に係る操作バルブの分解斜視図である。
【
図11】
図11(a)は第3実施形態に係る操作バルブの中間状態の第1斜視図である。
図11(b)は第3実施形態に係る操作バルブの中間状態の第2斜視図である。
図11(c)は第3実施形態に係る操作バルブの中間状態のZ7-Z7断面図である。
【
図12】
図12(a)は第3実施形態に係る操作バルブの第2状態の第1斜視図である。
図12(b)は第3実施形態に係る操作バルブの第2状態の第2斜視図である。
図12(c)は第3実施形態に係る操作バルブの第2状態のZ8-Z8断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、操作バルブ10について説明する。
図1(a)に示すように、操作バルブ10はオイルパン100の底に設けられているドレン口110に取り付けられる。オイルパン100はオイルを溜める容器である。ドレン口110はオイルパン100に溜められたオイルを排出する開口である。オイルは、二輪車や自動車、重機等に搭載されるエンジンのピストンなどを潤滑する潤滑油である。ドレン口110の内周面には雌ネジ111が設けられている。
【0014】
操作バルブ10はバルブ(具体的にはボールバルブ)を収納する収納部13を有する。収納部13は内部にオイルの流路を備えている。したがって、収納部13は筒型である。収納部13のバルブはオイルの流通を制御する。収納部13の一方の端部にはフランジ13Bを介して雄ネジ13Aが設けられている。フランジ13Bの中心部分には円形の貫通孔が設けられいる。雄ネジ13Aにはオイルの流通路が雄ネジ13Aの軸方向に設けられている。すなわち、雄ネジ13Aは軸方向に中空である。収納部13のオイルの流路はフランジ13Bの貫通孔と雄ネジ13Aの流通路と連続する。
【0015】
操作バルブ10をドレン口110に取り付ける場合には、例えば操作バルブ10の収納部13を片手の手指2本で掴んで、操作バルブ10の雄ネジ13Aをドレン口110に当接させ、時計回りに回転させてねじ込む。これにより、雄ネジ13Aとドレン口110の雌ネジ111が締結し、
図1(b)に示すように、操作バルブ10をドレン口110に取り付けることができる。
【0016】
収納部13のバルブは収納部13の外周面に操作部として設けられた有底円筒型の操作ダイヤル14を周方向に回転させることによって開閉操作することができる。例えば、バルブが閉じた第1状態で操作ダイヤル14を周方向反時計回りに回転させると、バルブが開く。これにより、ドレン口110から排出されるオイルが、雄ネジ13Aの流通路、フランジ13Bの貫通孔、及び収納部13の流路を経由して、操作バルブ10から排出される。
【0017】
逆に、バルブが開いた第2状態で操作ダイヤル14を周方向時計回りに回転させると、バルブが閉じる。これにより、ドレン口110から排出されていたオイルは、収納部13の流路のうちバルブの手前で留まる。この結果、操作バルブ10からのオイルの排出が止まる。
【0018】
図2及び
図3を参照して、操作バルブ10の詳細について説明する。
図2ではバルブ13Vが閉じた第1状態の操作バルブ10が示されている。
図3ではバルブ13Vが開いた第2状態の操作バルブ10が示されている。
【0019】
まず、
図2(a)及び(b)に示すように、操作ダイヤル14は周方向に中心軸と平行な第1段差としてダイヤル段差14P,14Qを備えている。一方、収納部13は外周面にバルブ13Vが閉じた第1状態でダイヤル段差14P,14Qに対応する第2段差として収納段差13P,13Qを備えている。
【0020】
ダイヤル段差14Pと収納段差13Pの高さは同じである。ダイヤル段差14Qと収納段差13Qの高さも同じである。しかしながら、ダイヤル段差14Pとダイヤル段差14Qの高さは相違する。このため、収納段差13Pと収納段差13Qの高さも相違する。したがって、バルブ13Vが閉じた状態では、ダイヤル段差14Pと収納段差13Pが互いに嵌合し合い、ダイヤル段差14Qと収納段差13Qが互いに嵌合し合う。
【0021】
図2(c)に示すように、操作ダイヤル14は底の深さが異なる二段底であり、最も深い第1底14Aの中心付近には略矩形の開口が設けられている。第1底14Aには第1底14Aの内径と近い又は同等の外径を有する弾性体としてのスプリング(具体的にはコイルスプリング)14Sが配置される。第1底14Aの開口にはこの開口と同等の矩形断面を含む心棒(ステム)14Bが底外から底内に向けて部分的に貫通する。心棒14Bはスプリング14Sの中心軸に沿って操作バルブ10から離れる方向に延伸する。
【0022】
心棒14Bのバルブ13V側とは逆側の心棒頭部14Cと、心棒頭部14Cの直下に位置する心棒首部14Dの断面はいずれも円形である。心棒首部14Dの径は心棒頭部14Cの径より小さい。一方、心棒首部14Dの直下に位置する心棒肩部14Eの断面も円形である。心棒肩部14Eの径は心棒頭部14Cの径と同等である。これにより、心棒14Bを第1底14Aの開口に挿通することができる。なお、心棒肩部14Eよりバルブ13V側に位置する心棒脚部14Iのうち第1底14Aを抜けた挿通部分の断面は矩形である。具体的には、この挿通部分の矩形は心棒肩部14Eの直径と同等の短辺と心棒肩部14Eの直径より大きな長辺を含んでいる。
【0023】
スプリング14Sの上には心棒肩部14Eの断面に近い又は同等の円形開口を有する円板部14Fが載置される。円板部14Fは操作ダイヤル14と別体である。円板部14Fの外径は第2底14Gの内径と同等である。円板部14Fが載置されて、心棒肩部14Eの位置まで押圧されると、心棒首部14DにEリング14Hが取り付けることができる。円板部14Fが押圧されると、自然長のスプリング14Sは円板部14Fの押圧により圧縮し、復元力を備える。
【0024】
スプリング14Sの復元力は円板部14Fにも作用するが、心棒首部14DにEリング14Hが取り付けられることで、円板部14Fの心棒頭部14C側への移動が規制される。これにより、スプリング14Sの復元力が第1底14Aにも常に作用する。すなわち、円板部14Fの心棒頭部14C側への移動が規制されることにより、スプリング14Sは操作ダイヤル14を収納部13の方向に常に付勢する。このように、スプリング14Sは操作ダイヤル14を収納部13の方向に付勢するため、
図2(a)及び(b)に示すように、バルブ13Vが閉じた第1状態では、操作ダイヤル14と収納部13がほぼ隙間なく当接する。特にこの第1状態では、操作ダイヤル14のダイヤル段差14P,14Qと収納部13の外周面に設けられた収納段差13P,13Qがそれぞれ嵌合し合うので、操作ダイヤル14の周方向の回転を規制することができる。
【0025】
なお、
図2(c)に示すように、心棒14Bの心棒脚部14Iにはバルブ13Vが結合する。図示しないが、心棒脚部14Iの先端に設けられた矩形断面の凸部とバルブ13Vの心棒脚部14I側に設けられた矩形断面の凹部が嵌合することにより、心棒脚部14Iとバルブ13Vが結合する。
【0026】
バルブ13Vが閉じた第1状態からバルブ13Vが開いた第2状態に移行する場合、操作ダイヤル14を手指で掴んで操作バルブ10から離れる方向に引き上げる。操作ダイヤル14の引き上げにより、
図3(c)に示すように、第1底14Aの内底面がスプリング14Sを押圧し、スプリング14Sが圧縮する。円板部14Fは操作ダイヤル14と別体であるため、円板部14Fの外周面は操作ダイヤル14の内周面を摺動する。スプリング14Sの圧縮に伴い、ダイヤル段差14Pと収納段差13Pとの嵌合が外れ、ダイヤル段差14Pが収納段差13Pを乗り越えられる高さにまで持ち上げられる。これにより、
図3(a)及び(b)に示すように、操作ダイヤル14を周方向反時計回りに回転させることができる。
【0027】
操作ダイヤル14を周方向反時計回りに所定量回転させると、ダイヤル段差14Pは収納段差13Qに当接する。ダイヤル段差14Pが収納段差13Pを乗り越えられる高さに到達すると、操作ダイヤル14をさらに引き上げることはできない。すなわち、操作ダイヤル14をさらに引き上げて、ダイヤル段差14Pが収納段差13Qを乗り越えられる高さにまで持ち上げることはできない。このため、収納段差13Qにより、所定量を超えた過剰な操作ダイヤル14の回転を規制することができる。
【0028】
また、操作ダイヤル14を周方向反時計回りに所定量回転させると、第1底14Aも同様に連動して回転する。第1底14Aの開口には心棒14Bが挿通する。第1底14Aの開口の形状と心棒14Bの断面形状はいずれも円形ではなく矩形であるため、第1底14Aが回転すると、心棒14Bも連動して回転する。心棒14Bの心棒脚部14Iにはバルブ13Vが結合している。このため、心棒14Bが回転すると、バルブ13Vも連動して回転する。これにより、
図3(c)に示すように、バルブ13Vが開いた第2状態に移行する。
【0029】
なお、第2状態から第1状態に移行する場合には、以上説明した手順を逆に行えばよい。この場合、操作ダイヤル14は引き上げられた状態を維持しているため、操作ダイヤル14を周方向時計回りに所定量回転させれば、再び、ダイヤル段差14P,14Qと収納段差13P,13Qが互いに嵌合し合う。これはスプリング14Sが常に操作ダイヤル14を収納部13の方向に付勢しているためである。これにより、バルブ13Vが開いた第2状態からバルブ13Vが閉じた第1状態に移行することができる。
【0030】
このように、第1実施形態によれば、操作バルブ10に操作コックを採用しなくても、バルブ13Vの開閉を操作することができる。特に、操作ダイヤル14を引き上げて回転させるため、第1状態では、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて、操作バルブ10全体の大きさをコンパクトにすることができる。これにより、例えば走行中に路上の異物(例えば砂利や布など)と干渉する可能性を低減することができる。オイルの排出時には、その時に限って一時的に操作ダイヤル14を引き上げ、操作バルブ10を拡張すればよい。
【0031】
また、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合であれば、ごく稀に操作ダイヤルに異物が接触して偶発的に操作ダイヤルが押し込まれて回転する可能性がある。しかしながら、第1実施形態によれば、操作ダイヤル14を引き上げて回転させる動作は人手によらなければ実施できず、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて安全性が高くなる。さらに、後述する第2実施形態及び第3実施形態に比べて、部品点数を削減することができる。
【0032】
(第2実施形態)
続いて、
図4から
図8を参照して、本発明の第2実施形態に説明する。なお、第1実施形態と同様の構成には基本的に対応する符号を付し、その詳細な説明を省略する。後述する第3実施形態についても同様である。
【0033】
図4に示すように、第2実施形態に係る操作バルブ20は、第1実施形態と同様、オイルパン200の底に設けられているドレン口210に取り付けられる。操作バルブ20をドレン口210に取り付ける場合には、操作バルブ20の六角ボルト21をドレン口210にねじ込む。六角ボルト21は樹脂製又はジュラルミン合金を含む金属製である。六角ボルト21におけるボルト軸部21A(
図5(a)参照)の先端部は、操作バルブ20が備える中空の収容部22から突出する。すなわち、収容部22はボルト軸部21Aの先端部以外の部分を収容する。
【0034】
ボルト軸部21Aの内部にはオイルが流通する流通路がボルト軸部21Aの軸方向に形成されている。オイルパン200のオイルはこの流通路の入口から流通路に流入し、流通路の出口から流出する。流通路の出口は流通路に対して直角である。言い換えれば、流通路の出口はボルト軸部21Aの径方向に形成されている。これにより、オイルの流通方向が鉛直方向から水平方向に変化する。
【0035】
ボルト軸部21Aの外周面には雄ネジが設けられている。六角ボルト21のボルト頭部21Bにスパナ等の工具を接続してボルト頭部21Bを周方向に回転させることによって、ボルト軸部21Aの雄ネジとドレン口210の雌ネジが締結する。これにより、操作バルブ20をドレン口210に取り付けることができる。
【0036】
操作バルブ20は収納部23を備えている。収納部23は内部に上記流通路の出口と連通する流路を設けている。収納部23は収容部22の外周面を基準面として収容部22の長手方向と直交する方向に突出している。収納部23の内部に設けられた流路は収納部23の突出方向に延伸している。流路の途中にはバルブが収納されている。バルブは収納部23の外周面に第1操作部として設けられた操作ダイヤル24を回転させることによって開閉操作することができる。例えば、バルブが閉じた第1状態から操作ダイヤル24を周方向反時計回りに回転させると、バルブが開く。逆に、バルブが開いた第2状態から操作ダイヤル24を周方向時計回りに回転させると、バルブは閉じる。
【0037】
収納部23の突出方向の先端には流体排出部25が設けられている。流体排出部25の内部には上述した流路と連続する流通路が形成されている。したがって、上述したバルブを開けば、流通路の出口である流体排出口25Aからオイルが排出される。逆に、バルブを閉じれば、流体排出口25Aからのオイルの排出が止まる。
【0038】
図5乃至
図8を参照して、操作バルブ20の詳細について説明する。まず、
図5(a)及び(b)に示すように、円筒型の操作ダイヤル24は周方向に中心軸と平行な第1段差としてダイヤル段差24Pを備えている。図示しないが、操作ダイヤル24はダイヤル段差24Pに対向する部分にもダイヤル段差を備えている。ダイヤル段差24Pとダイヤル段差24Pの裏側に対向して設けられた不図示のダイヤル段差はいずれも操作ダイヤル24の軸方向に凹んだ2つの溝をダイヤル溝24Rとして含んでいる。ダイヤル溝24Rの深さは同じである。
【0039】
一方、収納部23はバルブ23Vが閉じた第1状態で外周面にダイヤル段差24Pに対応する第2段差として収納段差23Pを備えている。
図5(a)及び(b)では図示しないが、ダイヤル段差24Pの裏側に位置する不図示のダイヤル段差に対応する収納段差も同様に設けられている。収納段差23Pは収納部23の方向に凹んだ溝を収納溝23Rとして含んでいる。
図5(a)及び(b)において不図示の収納段差についても同様である。収納溝23R及び不図示の収納溝の深さは同じである。
【0040】
図5(c)及び
図6に示すように、操作ダイヤル24は筒端に上げ底としての円板部24Fを含み、円板部24Fの中心付近には略矩形の開口24Mが設けられている。
図6では、操作ダイヤル24を含む操作機構が分解されて示されている。第1実施形態と異なり、円板部24Fは操作ダイヤル24と一体である。また、円板部24Fは円板部24Fの円周に沿った円弧型の開口24Nを含んでいる。操作ダイヤル24の内側には第2操作部として円筒型のロック筒24Kが配置される。ロック筒24Kの外径は操作ダイヤル24の内径と同等である。このため、操作ダイヤル24の内側にロック筒24Kが配置されると、ロック筒24Kの外周面は操作ダイヤル24の内周面に接触する。
【0041】
図5(c)及び
図6に示すように、ロック筒24Kの内周の下端にはリング型の台座24Lが設けられている。台座24Lにはスプリング24Sが載置される。このため、スプリング24Sの外径はロック筒24Kの内径と同等であり、また、台座24Lの座幅はスプリング24Sの線径と同等である。これにより、ロック筒24Kの内側にスプリング24Sを収容して配置することができる。
【0042】
ロック筒24Kの外周面にはその外周面から径方向に出っ張った略矩形の2つのロック部24X,24Yが設けられている。ロック部24X,24Yは互いに対向して設けられている。ロック部24X,24Yの高さはロック筒24Kの高さと同じであるが、ロック部24X,24Yの下端はいずれもロック筒24Kの下端から突出する。ロック部24X,24Yの下端の突出量は収納溝23R,23Tの深さと同じである。このため、ロック部24X,24Yの上端はロック筒24Kの上端からロック部24X,24Yの下端の突出量と同じ量だけ掘り下がっている。
【0043】
これにより、ロック筒24Kが収納部23の外周面に配置されると、スプリング24Sの復元力が台座24Lに作用し、
図5(a)に示すように、バルブ23Vが閉じた第1状態では、ロック部24Xの下端が収納溝23Rに嵌合する。また、ロック部24Yの下端についても同様に収納溝23Tに嵌合する。ロック部24X,24Yの下端が収納溝23Rと収納溝23R,23Tに嵌合することによって、操作ダイヤル24の周方向の回転が規制される。
【0044】
なお、
図6に示すように、収納部23における収納溝23R,23Tの間には筒壁23Wが設けられている。筒壁23Wは六角ボルト21の軸方向と収納部23の軸方向のいずれにも直交した方向に立って配置されている。筒壁23Wの帳面には突起23Nが形成されている。突起23Nは円板部24Fの開口24Nと嵌合する。詳細は後述するが、開口24Nに出現する突起23Nの位置によってバルブ23Vが閉じた第1状態であるかバルブ23Vが開いた第2状態であるかを判別することができる。
【0045】
バルブ23Vを開く場合には、
図7(a)及び(b)に示すように、まず、ロック部24Xとこのロック部24Xに対向して設けられたロック部24Y(
図6参照)を片手の2本の手指で挟んで掴み、円板部24Fの方向に引き上げる。操作ダイヤル24にはダイヤル溝24Rが設けられているため(
図6参照)、ロック部24Xを引き上げることができる。操作ダイヤル24にはダイヤル溝24Rに対向する同様のダイヤル溝が設けられているため(不図示)、ロック部24Yも同様に引き上げることができる。
【0046】
これにより、ロック部24Xは収納溝23Rとの嵌合から離脱する。ロック部24Yについても同様にロック部24Xの離脱と同時に収納溝23Rから離脱する。ロック部24X,24Yが離脱すると、
図7(c)に示すように、ロック筒24Kの台座24Lは収納部23の外周面の座面23L(併せて
図6参照)から離隔する。この結果、
図7(a)及び(b)に示すように、ロック部24Xの下端と収納段差23Pとの段差が解消する。ロック部24Yについても同様に段差が解消する。このように、ロック部24X,24Yによる操作ダイヤル24の周方向の回転の規制が解除されて、操作ダイヤル24の回転が可能な中間状態になる。なお、この中間状態でも、
図7(c)に示すように、バルブ23Vが閉じた状態である。
【0047】
操作ダイヤル24の回転が可能な中間状態になると、操作ダイヤル24を周方向反時計回りに回転させる。これにより、
図8(a)に示すように、ロック部24Yが収容部22の方向に位置する。また、
図8(b)に示すように、ロック部24Xが流体排出部25の方向に位置する。さらに、突起23Nが回転前と異なる位置に相対的に移動する。円板部24Fには略矩形の開口24Mが設けられており、この開口24Mには断面が矩形の心棒肩部24Eを含む心棒24Bが挿通する。円板部24Fは操作ダイヤル24と一体であるため、操作ダイヤル24が回転すると、操作ダイヤル24の回転に連動して、心棒24Bも同じ方向に回転する。したがって、心棒24Bの心棒脚部24Iと結合するバルブ23Vも回転する。これにより、バルブ23Vが閉じた第1状態からバルブ23Vが開いた第2状態への移行が完了する。また、突起23Nの位置を確認することにより、第1状態であるか第2状態であるかを容易に判別することができる。
【0048】
なお、第2状態から第1状態に移行する場合には、以上説明した手順を逆に行えばよい。この場合、ロック筒24Kは引き上げられた状態を維持しているため、ロック筒24Kを周方向時計回りに所定量回転させれば、再び、ロック部24X,24Yの下端が収納溝23R,23Tに嵌合する。これはスプリング24Sが常にロック筒24Kを収納部23の方向に付勢しているためである。これにより、バルブ23Vが開いた第2状態からバルブ23Vが閉じた第1状態に移行することができる。なお、ロック筒24Kが引き上げられた状態を維持しているため、ロック筒24Kを周方向時計回りに所定量回転させる代わりに、操作ダイヤル24を周方向時計回りに所定量回転させてもよい。操作ダイヤル24の回転と併せてロック筒24Kも一緒に回転し、ロック部24X,24Yの下端が収納溝23R,23Tに嵌合する。
【0049】
このように、第2実施形態によっても、操作バルブ20に操作コックを採用しなくても、バルブ23Vの開閉を操作することができる。第1実施形態では操作バルブ10を引き上げたが、第2実施形態では操作バルブ20を引き上げずにロック筒24Kを引き上げて回転させる。結果的に、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて、操作バルブ20全体の大きさをコンパクトにすることができる。また、第1実施形態と同様、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて安全性が高くなる。さらに、第2実施形態では、操作ダイヤル24とロック筒24Kはお互いに独立した異なる部品であり、操作ダイヤル24とロック筒24Kが連動してバルブ23Vが開閉する。このため、バルブ23Vの開閉に関し、第1実施形態と比べて、誤作動を減少させることができる。その他、第2実施形態では、ロック筒24Kを引き上げるものの、操作ダイヤル24自体を引き上げる訳ではない。このため、操作ダイヤル14自体を引き上げる第1実施形態と異なり、バルブ23Vの開閉前後で操作ダイヤル24の天頂縁の位置が変化せず、操作ダイヤル24が操作ダイヤル24付近の部品と干渉することを回避することができる。
【0050】
(第3実施形態)
続いて、
図9から
図12を参照して、本発明の第3実施形態に説明する。
図9(a)乃至(c)に示すように、第3実施形態に係る操作バルブ30における収納部33の頭部には上述した雄ネジ13Aに代えて、カム溝33Aが形成されている。したがって、上述したドレン口110の内周に設けられた雌ネジ111に代えて、カム溝33Aによってガイドされる突起を備えたアダプタ機構(不図示)をドレン口110の奥側に設ければ、アダプタ機構とカム溝33Aが機械的に結合することができる。
【0051】
これにより、操作バルブ30をオイルパン100に横向きに取り付けることができる。オイルパン100のオイルは収納部33に設けられた複数の流入口33Nを通じて収納部33の内部に流入する。収納部33は内部にオイルの流路を備えている。したがって、収納部33の内部に流入したオイルは収納部23の流路を流通し、流路の流出口から排出される。
【0052】
なお、アダプタ機構とカム溝33Aとの機械的な結合に代えて、第1実施形態と同様に、収納部33の頭部の外周に雄ネジを設けるようにしてもよい。この場合、第1実施形態と同様に、収納部33の頭部を軸方向に中空とすればよい。また、アダプタ機構をドレン口210の奥側に設けて、操作バルブ30をオイルパン200に縦向きに取り付けてもよい。
【0053】
図10に示すように、操作バルブ30は、収納部33、操作部としての円筒型の操作ダイヤル34、リングギヤ34G、スプリング34S、ダイヤルカバー35、スナップリング36,37を操作バルブ30の軸方向に備えている。リングギヤ34Gはリング型のフェースギヤである。また、操作バルブ30は収納部33の外周に収納部33の径方向に並ぶ心棒33B、円板部33F、及びスナップリング33Hを備えている。
【0054】
心棒33Bの心棒頭部33Cにはスパーギヤ(平歯車)33Kが設けられている。心棒頭部33Cの断面は円形である。心棒頭部33Cはスパーギヤ33Kを貫通してスパーギヤ33Kから突出する。円板部33Fの中心付近には円形の開口33Mが設けられている。開口33Mの内径は心棒頭部33Cの断面の外径と同等である。このため、心棒頭部33Cを円板部33Fの開口33Mに嵌合することができる。
【0055】
図9(a)乃至(c)に示すように、心棒33B、円板部33F、及びスナップリング33Hは略角筒型のロック機構33Dの内部に収容される。ロック機構33Dは収納部33の外周面に設けられている。
図9(b)及び
図10に示すように、ロック機構33Dは第2段差としての収納段差33Pを備えている。収納段差33Pは収納部33の径方向に形成されている。
図10に示すように、ロック機構33Dの内周にはリング溝33Eが形成されている。心棒33B、円板部33F、及びスナップリング33Hがこれらの順にロック機構33Dの内部に収容されると、スナップリング33Hがリング溝33Eに嵌合する。これにより、スナップリング33Hのロック機構33Dからの脱落を防止することができる。スナップリング33Hの脱落を防止することで、スナップリング33Hよりロック機構33Dの奥側に収容された心棒33B及び円板部33Fの脱落も併せて防止することができる。
【0056】
図10に示すように、収納部33と操作ダイヤル34との間にはリングギヤ34Gが配置される。リングギヤ34Gは、
図9(c)に示すように、収納部33の底部の外周と嵌合するスナップリング36によって操作バルブ30からの落下が防止されている。リングギヤ34Gの外径は操作ダイヤル34の内径と略同等である。リングギヤ34Gの外周にはリングギヤ34Gの径方向に凹んだ複数の凹部34Hが設けられている。また、2つの凹部34Hの間に位置するリングギヤ34Gの天面の一部にはギヤ部34Kが形成されている。ギヤ部34Kはロック機構34Dに収容されたスパーギヤ33Kとギヤ結合する。このため、リングギヤ34Gが周方向に回転すると、リングギヤ34Gの回転に連動してスパーギヤ33Kも回転する。スパーギヤ33Kが回転すると、スパーギヤ33Kを備えた心棒33Bも回転する。
図9(c)に示すように、心棒33Bの心棒脚部33Iにはバルブ33Vが結合しているため、心棒33Bが回転すると、バルブ33Vも回転する。
【0057】
図10に示すように、リングギヤ34Gは操作ダイヤル34の内周に設けられた台座34Lに載置される。台座34Lの天面には操作ダイヤル34の径方向内側に突出した凸部を含む複数の支柱34Tが設けられている。複数の支柱34Tは操作ダイヤル34の2つの曲壁34Wの内周に沿って設けられており、リングギヤ34Gが備える複数の凹部34Hとそれぞれ嵌合する。したがって、操作ダイヤル34が周方向に回転すると、操作ダイヤル34の回転に連動して、リングギヤ34Gも周方向に回転する。
【0058】
操作ダイヤル34における2つの曲壁34Wのそれぞれの間には操作ダイヤル34の軸方向に凹んだ2つのダイヤル溝34Rが設けられている。ダイヤル溝34Rによって第1段差としてのダイヤル段差34Pが形成される。
図9(a)及び(b)に示すように、ダイヤル溝34Rにはロック機構34Dの底部が嵌合する。すなわち、ダイヤル段差34Pは収納段差33Pと対応する。ロック機構34Dの底部がダイヤル溝34Rに嵌合することによって、操作ダイヤル34の周方向の回転が規制される。
【0059】
図9(c)及び
図10に示すように、操作ダイヤル34の底部側には円筒型のダイヤルカバー35が配置される。ダイヤルカバー35は操作ダイヤル34の底部の内側に存在する空間をカバーする。ダイヤルカバー35の筒壁にはリング型のスプリング収容溝35Lが形成されている。スプリング収容溝35Lにはスプリング34Sが載置されて収容される。ダイヤルカバー35は、
図9(c)に示すように、収納部33の底部の外周と嵌合するスナップリング37によって操作バルブ30からの落下が防止されている。したがって、ダイヤルカバー35の落下を防止することで、操作ダイヤル34の操作バルブ30からの脱落も防止することができる。
【0060】
また、ダイヤルカバー35はスナップリング37によって位置決めされるため、スプリング収容溝35Lに収容されたスプリング34Sの復元力は操作ダイヤル34に常にも作用する。すなわち、スプリング34Sは操作ダイヤル34を収納部33の頭部方向に常に付勢する。これにより、バルブ33Vが閉じた第1状態では、
図9(a)及び(b)に示すように、ロック機構33Dの底部はダイヤル溝34Rに常に嵌合する。この結果、操作ダイヤル34の周方向の回転が規制される。
【0061】
バルブ33Vを開く場合には、
図11(a)乃至(c)に示すように、まず、操作ダイヤル34の周囲を片手の2本の手指で挟んで掴み、操作ダイヤル34をダイヤルカバー35の方向に引き下げる。これにより、ロック機構33Dの底部はダイヤル溝34Rとの嵌合から離脱する。この際、リングギヤ34Gはスナップリング36によって位置決めされているため、操作ダイヤル34を引き下げると、リングギヤ34Gの複数の凹部34Hは対応する支柱34T上を相対的に摺動する。ロック機構33Dが離脱すると、ロック機構33Dの底面とダイヤル段差34Pの底面との段差が解消する。このように、ロック機構33Dによる操作ダイヤル34の周方向の回転の規制が解除されて、操作ダイヤル34の回転が可能な中間状態になる。なお、この中間状態でも、
図11(c)に示すように、バルブ33Vが閉じた状態である。
【0062】
操作ダイヤル34の回転が可能な中間状態になると、操作ダイヤル34を周方向反時計回りに回転させる。これにより、
図12(a)及び(b)に示すように、ロック機構33Dがダイヤル段差34Pの天面を相対的に摺動する。上述したように、操作ダイヤル34が周方向に回転すると、操作ダイヤル34の回転と連動してリングギヤ34Gも同じ方向に回転する。リングギヤ34Gにはギヤ部34Kが形成されており、ギヤ部34Kにスパーギヤ33Kがギヤ結合しているため、リングギヤ34Gが回転すると、スパーギヤ33Kも回転する。スパーギヤ33Kは心棒33Bに設けられているため、スパーギヤ33Kの回転に連動して心棒33Bも回転する。したがって、心棒33Bの心棒脚部33Iと結合するバルブ33Vも回転する。これにより、バルブ33Vが閉じた第1状態からバルブ33Vが開いた第2状態への移行が完了する。
【0063】
なお、第2状態から第1状態に移行する場合には、以上説明した手順を逆に行えばよい。この場合、操作ダイヤル34は引き下げられた状態を維持しているため、操作ダイヤル34を周方向時計回りに所定量回転させれば、再び、ロック機構33Dの底部がダイヤル溝34Rに嵌合する。これはスプリング34Sが常に操作ダイヤル34を収納部33の頭部方向に付勢しているためである。これにより、バルブ33Vが開いた第2状態からバルブ33Vが閉じた第1状態に移行することができる。
【0064】
このように、第3実施形態によっても、操作バルブ30に操作コックを採用しなくても、バルブ33Vの開閉を操作することができる。第1実施形態と異なり、操作ダイヤル34を引き下げて回転させるが、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて、操作バルブ30全体の大きさをコンパクトにすることができる。なお、操作ダイヤルを押し込んで回転させていないため、操作ダイヤルを押し込んで回転させる場合に比べて安全性が高くなる。その他、操作バルブ30がギヤ構造を採用することにより、バルブ33Vの回転軸と操作ダイヤル34の回転軸が相違する。これにより、バルブ33Vの回転軸と異なる回転軸でバルブ33Vの開閉を操作することができる。また、ギヤ比の変更によって操作ダイヤル34の操作角を自由に設定でき、操作バルブ30の設計の自由度を向上させることもできる。
【0065】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、操作ダイヤル14,24,34の外周面に軸方向のスリットやローレットを設け、手指と操作ダイヤル14,24,34の外周面との滑りを抑制し、操作性を向上するようにしてもよい。
【0066】
なお、例えば、上述した第1実施形態から第3実施形態では、流体の一例としてオイルを用いて説明したが、流体は飲料水であってもよいし、可燃性や不可燃性のガスであってもよい。飲料水としては例えば、水、清涼飲料水、アルコール飲料などがある。
【符号の説明】
【0067】
10,20,30 操作バルブ
13,23,33 収納部
13V,23V,33V バルブ
14,24,34 操作ダイヤル
14S,24S,34S スプリング
100,200 オイルパン