(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173934
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】防曇機能付き熱線カット膜及び防曇機能付き熱線カット塗料並びに防曇機能付き熱線カットフィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/22 20060101AFI20221115BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20221115BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20221115BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20221115BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20221115BHJP
C09J 7/38 20180101ALN20221115BHJP
【FI】
G02B5/22
B32B9/00 A
C09D7/61
C09D7/63
C09D201/00
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021079998
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】597065282
【氏名又は名称】三菱マテリアル電子化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】白石 真也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 久実
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
4J004
4J038
【Fターム(参考)】
2H148CA05
2H148CA12
2H148CA29
4F100AA33A
4F100AH02A
4F100AK01A
4F100AK25A
4F100AK42B
4F100AT00B
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10D
4F100CA30A
4F100CB05C
4F100CC00A
4F100DE01A
4F100EJ91D
4F100JB05A
4F100JD10
4F100JD10A
4F100JK06
4F100JL00
4F100JL10A
4F100JL14D
4F100JM01A
4F100JN01
4F100JN01A
4F100JN01B
4F100JN30A
4F100YY00A
4J004AB01
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA08
4J038DG221
4J038KA06
4J038KA20
4J038MA10
4J038NA01
4J038NA06
4J038PB05
4J038PB07
4J038PC03
(57)【要約】
【課題】熱線カット性能に優れるとともに、防曇機能と透明性に優れた熱線カット膜及び防曇機能付き熱線カット塗料並びに防曇機能付き熱線カットフィルムを提供する。
【解決手段】本発明の防曇機能付き熱線カット膜は、インジウム錫酸化物(ITO)粒子と防曇剤としてのグリセリン化合物が透明性樹脂中に均一に分散してなり、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下であり、かつ水の接触角が20度以下である。膜中、ITO粒子を0.8g/m
2~5g/m
2、グリセリン化合物を0.04g/m
2~1.4g/m
2それぞれ含み、ITO粒子が、BET法による比表面積が30m
2/g以上であって、かつCIE1976L
*a
*b
*表色系により規定される明度L
*が30以下、色度a
*<0及び色度b
*<0である濃青色の色調を有し、グリセリン化合物が、グリセリン脂肪酸エステル等である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジウム錫酸化物(ITO)粒子と防曇剤としてのグリセリン化合物が透明性樹脂中に均一に分散してなり、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下であり、かつ水の接触角が20度以下である防曇機能付き熱線カット膜であって、
前記膜中、前記ITO粒子を0.8g/m2~5g/m2の割合で、前記グリセリン化合物を0.04g/m2~1.4g/m2の割合でそれぞれ含み、
前記ITO粒子が、BET法による比表面積が30m2/g以上であって、かつCIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*が30以下、色度a*<0及び色度b*<0である濃青色の色調を有し、
前記グリセリン化合物が、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする防曇機能付き熱線カット膜。
【請求項2】
インジウム錫酸化物(ITO)粒子と防曇剤としてのグリセリン化合物と透明性樹脂と溶媒とを含む請求項1記載の防曇機能付き熱線カット膜を形成するための防曇機能付き熱線カット塗料であって、
前記塗料の固形分を100質量%とするとき、前記ITO粒子を4質量%~78質量%の割合で、前記グリセリン化合物を1質量%~8質量%の割合でそれぞれ含むことを特徴とする防曇機能付き熱線カット塗料。
【請求項3】
透明基材フィルムの一面に請求項1記載の防曇機能付き熱線カット膜を有し、前記透明基材フィルムの一面と反対側の他面に粘着剤層及び剥離フィルムをこの順で積層してなり、ヘーズが2.0%以下である防曇機能付き熱線カットフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光線が入る窓を有する住宅、事務所、車両、船舶等の窓ガラスにおいて、熱線(赤外線)カットと防曇性が求められる防曇機能付き熱線カット膜及びこの防曇機能付き熱線カット膜を形成するための塗料並びにこの防曇機能付き熱線カット膜を有するフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅、事務所、車両、船舶等の窓ガラスには、日中、太陽光線が入り、室内温度、車内温度が高くなる。このため、この種の熱線カット膜を窓ガラスに設けることにより、室内温度、車内温度の上昇が抑えられる。一方、寒季、雨季には、室内湿度、車内湿度が高くなる。このため、除湿モードの空調設備を作動させている。
【0003】
従来の熱線カット膜として、本出願人は、熱線カット性能に優れるとともに、防曇防汚機能と透明性に優れた熱線カット膜を提案した(特許文献1(請求項1、段落[0005])参照。)。この熱線カット膜は、インジウム錫酸化物(ITO)粒子が透明性樹脂中に均一に分散してなる熱線カット膜において、前記熱線カット膜中、前記ITO粒子を0.6g/m2~14g/m2、膜表面調整剤として両性型含窒素フッ素系化合物を0.15g/m2以下それぞれ含み、前記ITO粒子が30m2/g~65m2/gのBET法による比表面積と50以下のL値を有し、水の接触角が30度以下であって、n-ヘキサデカンの接触角が50度以上であり、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下であることを特徴とする。
【0004】
一方、農業用フィルムに、初期防曇性(防曇効果の即効性)だけでなく長期防曇性を付与することができ、塗布した農業用フィルムが透明性を有する農業用フィルム用塗布型防曇剤が開示されている(例えば、特許文献2(請求項1、段落[0008])参照。)。この農業用合成樹脂フィルムは、アルミナとシリカ等のコロイド状無機微粒子、 水溶性アルカリ金属ケイ酸塩及び合成樹脂を有効成分とする表面コーティングを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6680543号公報
【特許文献2】国際公開WO2019/004007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される熱線カット膜は、熱線カット膜を垂直な窓ガラスに基材フィルムを介して設けた場合には、熱線カット膜に含まれる両性型含窒素フッ素系化合物が熱線カット膜に含まれる他の成分に十分に密着しておらず、初期の防曇性は高いものの、時間の経過とともに、空気中の水分を吸収し続けて、両性型含窒素フッ素系化合物が下方に流れ落ちるため、この熱線カット膜には持続性のある防曇効果が得られない課題があった。
【0007】
そのため、特許文献1に示される両性型含窒素フッ素系化合物の代わりに、初期防曇性(防曇効果の即効性)だけでなく長期防曇性を付与することができる、特許文献2に示されるアルミナとシリカ等のコロイド状無機微粒子、 水溶性アルカリ金属ケイ酸塩及び合成樹脂を含有する防曇剤を用いることが考えられる。しかし、特許文献1に示されるITO粒子とともに、このアルミナとシリカ等を組合せたものを防曇剤として用いて防曇機能付き熱線カット膜を形成した場合には、膜のヘーズが高くなり、膜の透明性が高くない課題があった。
【0008】
本発明の目的は、熱線カット性能に優れるとともに、防曇機能と透明性に優れた防曇機能付き熱線カット膜及びこの熱線カット膜を形成するための塗料並びにこの防曇機能付き熱線カット膜を有するフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、インジウム錫酸化物(ITO)粒子と防曇剤としてのグリセリン化合物が透明性樹脂中に均一に分散してなり、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下であり、かつ水の接触角が20度以下である防曇機能付き熱線カット膜(以下、単に膜又は熱線カット膜ということもある。)であって、前記膜中、前記ITO粒子を0.8g/m2~5g/m2の割合で、前記グリセリン化合物を0.04g/m2~1.4g/m2の割合でそれぞれ含み、前記ITO粒子が、BET法による比表面積が30m2/g以上であって、かつCIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*が30以下、色度a*<0及び色度b*<0である濃青色の色調を有し、前記グリセリン化合物が、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルであることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の観点は、インジウム錫酸化物(ITO)粒子と防曇剤としてのグリセリン化合物と透明性樹脂と溶媒とを含む第1の観点の防曇機能付き熱線カット膜を形成するための防曇機能付き熱線カット塗料(以下、単に熱線カット膜形成用塗料、又は熱線カット塗料ということもある。)であって、前記塗料の固形分を100質量%とするとき、前記ITO粒子を4量%~78質量%の割合で、前記グリセリン化合物を1質量%~8質量%の割合でそれぞれ含むことを特徴とする。
【0011】
本発明の第3の観点は、透明基材フィルムの一面に第1の観点の防曇機能付き熱線カット膜を有し、前記透明基材フィルムの一面と反対側の他面に粘着剤層及び剥離フィルムをこの順で積層してなり、ヘーズが2.0%以下である防曇機能付き熱線カットフィルムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点の防曇機能付き熱線カット膜は、熱線カット材として、BET法による比表面積が30m2/g以上であって、かつCIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*が30以下、色度a*<0及び色度b*<0である濃青色の色調を有するITO粒子を含み、このITO粒子が膜中、0.8g/m2~5g/m2の割合で含まれる。これにより、膜は可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下になり、透明性と熱線カット性能に優れる。また防曇剤として、グリセリン化合物を膜中、0.04g/m2~1.4g/m2の割合で含むため、水の接触角が20度以下になり、防曇機能に優れる。特にグリセリン化合物はアシル基を含んでいるため、比較的基材との密着性に優れ、特許文献1に示される両性型含窒素フッ素系化合物と異なり、初期防曇性(防曇効果の即効性)だけでなく長期防曇性に優れる。またグリセリン化合物は透明性のある物質であるため、、特許文献2に示されるコロイド状無機微粒子、 水溶性アルカリ金属ケイ酸塩及び合成樹脂を含有する防曇剤と異なり、膜のヘーズを高めず、膜の透明性を低下させない。
【0013】
本発明の第2の観点の防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料では、形成するための膜の厚さに応じて、ITO粒子とグリセリン化合物をそれぞれ所定の割合で含むため、熱線カット性能に優れるとともに、防曇機能と透明性に優れる。
【0014】
本発明の第3の観点の防曇機能付き熱線カットフィルムでは、剥離フィルムを剥がして粘着剤層を介して防曇機能付き熱線カット膜を有する基材フィルムを窓ガラスに接着することにより、窓ガラスに入射する太陽光線のうち熱線(赤外線)をカットする。また室内の湿度が上昇しても、ヘーズが2.0%以下であるため、曇りを生じない防曇効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明実施形態の防曇機能付き熱線カットフィルムの構成断面図である。
【
図2】このフィルムを窓ガラスに接着した状況を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を説明する。
【0017】
〔防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料〕
本実施の形態の防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料は、熱線カット機能を有するITO粒子と、可視光線を透過する透明性樹脂と、防曇剤としてのグリセリン化合物とを含む。
【0018】
上記ITO粒子は、BET法による比表面積が30m2/g以上、好ましくは32m2/g~73m2/gであって、CIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*が30以下、色度a*<0及び色度b*<0である濃青色の色調を有する。好ましくは、明度L*が29以下、色度a*は-1.0以下及び色度b*は-1.0以下である。ITO粒子のBET法による比表面積が上記範囲の下限値未満であると、熱線カット膜のヘーズが高くなり膜の透明性が低くなる。ヘーズを低くするためにITO粒子の膜中の含有量を減少させると、膜の熱線カット機能が得られない。ITO粒子の明度L*が30を超え、色度a*が0以上及び色度b*が0以上であると、熱線カット機能に劣る。
【0019】
塗料中の透明性樹脂は、可視光線を透過しかつ熱線カット膜の基材との接着性がある樹脂であればよく、特に電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂を含むときには、光重合開始剤等の重合開始剤を添加し、熱線遮蔽膜形成用塗料を得る。この透明性樹脂を例示すれば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート等の樹脂が挙げられる。
【0020】
電離放射線硬化型樹脂としては、被膜性、透明性を有するとともに、熱線カット膜の基材への接着性を有する樹脂、例えば、紫外線硬化型あるいは電子線硬化型等の架橋被膜を形成し得る電離放射線硬化型樹脂であれば、特に限定されることなく使用することができる。中でも、アクリル系化合物又はエポキシ系化合物のうちの1種類以上を含有するモノマー又はオリゴマーに、光重合開始剤を含有した紫外線硬化型樹脂は、被膜性、透明性及びハードコート性を有し、熱線カット膜上に別途ハードコート層を積層する必要がなく、また、熱線カット膜の基材への接着性に優れるので好ましい。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化型樹脂に対し0.1質量%~10質量%の範囲が望ましい。この添加量が0.1質量%より少なくても、また10質量%より多くても、紫外線硬化が不十分となり易い。
【0021】
防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料は、ITO粒子と透明性樹脂とグリセリン化合物と溶媒とを混合して調製される。この塗料には分散剤を混合してもよい。分散剤を混合することにより、塗膜にしたときの透明性が更に向上する。
【0022】
本実施の形態の防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料は、形成した熱線カット膜1m2当りのITO粒子の数を膜厚に関係なく一定にするために、膜厚に応じて、ITO粒子の含有量を変化させる。薄い熱線カット膜を形成する場合には、塗工回数を少なくし、もしくは、塗料固形分中のITO粒子の含有量、即ちITO粒子の濃度を増加させる。一方、厚い熱線カット膜を形成する場合には、塗工回数を増やし、もしくは、塗料固形分中のITO粒子の含有量、即ちITO粒子の濃度を低下させる。
【0023】
塗料の固形分を100質量%するとき、ITO粒子を4質量%~78質量%の割合で、前記グリセリン化合物を1質量%~8質量%の割合でそれぞれ含み、塗料の固形分を100質量%とするとき、ITO粒子以外の成分を14~95質量%の割合で含む。この場合、ITO粒子の好ましい含有量は20質量%~70質量%であり、グリセリン化合物の好ましい含有量は2質量%~7質量%である。
【0024】
塗料固形分中のITO粒子の含有量が4質量%未満では、この塗料から作られた熱線カット膜の熱線カット機能を高められない。またITO粒子の含有量が78質量%を超えると、塗料が増粘するなど経時安定性が悪くなり、しかも透明性樹脂が相対的に不足し、ITO粒子の粒子間の接着力が低下し、熱線カット膜の熱線カット機能が悪化する。
【0025】
また塗料固形分中のITO粒子以外の成分含有量が14量%未満では、熱線カット膜の基材に対する密着性を十分に得られない。またこの含有量が95質量%を超えると、塗料が増粘するなど経時安定性が悪くなり、しかも熱線カット膜の熱線カット機能が悪化する。
【0026】
また塗料固形分中に防曇剤としてのグリセリン化合物の含有量が上記範囲の下限値未満では、膜の防曇機能が劣り、上記範囲の上限値を超えると、塗料が増粘するなど経時安定性が悪化し、熱線カット膜の熱線カット機能が低下する。
【0027】
本実施の形態の防曇剤としてのグリセリン化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルが挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノジステアレート、グリセリンモノジオレート等が挙げられる。ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレート等が挙げられる。またポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、テトラグリセリンステアレート、テトラグリセリンオレート、ヘキサグリセリンラウレート、ヘキサグリセリンオレート、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンステアレート等が挙げられる。
【0028】
塗料における溶媒は、速乾性を求められるため、沸点の低い、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、トルエン、メタノール、1-プロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、2,4-ペンタンジオン、キシレン等と、成膜性改善のために、高沸点溶媒の3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、ジアセトンアルコール等を組み合わせて用いることが好ましい。溶媒の含有量は、塗料を100質量%とするとき、45質量%~95質量%であることが好ましい。
【0029】
塗料中の分散剤は、ITO粒子100質量部に対して1質量部~10質量部含まれることが好ましい。この分散剤の例としては、顔料を安定して粒子分散できるものであれば、任意の顔料用分散剤を用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレントリデシルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンイソデシルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル等のアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等のアルキルエーテル酢酸塩、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウムポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩等のアルキルコハク酸塩、ポリカルボン酸型高分子等の陰イオン性界面活性剤、アミンオキサイド等の陽イオン性界面活性剤、オキシエチレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアミド等の非イオン性界面活性剤などの界面活性剤が挙げられる。分散剤の含有量が1質量部未満では、防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料の分散が不十分となり、塗膜の透明性が不十分になりやすい。また10質量部を超えると、防曇機能付き熱線カット膜の膜強度と塗膜の密着性に悪影響を及ぼしやすい。
【0030】
〔防曇機能付き熱線カット膜〕
本実施の形態の防曇機能付き熱線カット膜は、ITO粒子が透明性樹脂中に均一に分散してなり、かつ防曇剤としてグリセリン化合物を含む。この熱線カット膜は、膜中、ITO粒子を0.8g/m2~5g/m2の割合で、グリセリン化合物を0.04g/m2~1.4g/m2の割合でそれぞれ含む。この場合、ITO粒子の好ましい含有量は1g/m2~4g/m2であり、グリセリン化合物の好ましい含有量は0.1g/m2~1.0g/m2である。ITO粒子のBET法による比表面積及びCIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*、色度a*及び色度b*の範囲は、前述した通りである。また熱線カット膜中、透明性樹脂が14質量%~90質量%含むことが好ましい。ITO粒子、透明性樹脂及びグリセリン化合物が上記特性と熱線カット膜中の含有量を有することにより、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.83以下であり、かつ水の接触角が20度以下である防曇機能付き熱線カット膜が得られる。
【0031】
防曇機能付き熱線カット膜中のITO粒子の含有量が0.8g/m2未満では、熱線カット膜の熱線カット機能が向上しない。またITO粒子の含有量が5g/m2を超えると、可視光線の透過率が70%以下と悪化し、透明性を得ることができない。熱線カット膜中のITO粒子のBET法による比表面積とCIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*、色度a*及び色度b*の各数値範囲の臨界的意義並びにグリセリン化合物の含有量範囲の臨界的意義は、塗料中のこれらの各数値範囲の臨界的意義と同じである。
【0032】
本実施の形態の防曇機能付き熱線カット膜は、例えば、基材であるガラス上、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム上に、上記防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料を、スクリーン印刷法、バーコート法、ダイコート法、ドクターブレード、スピン法等により塗布した後に、60℃~130℃の温度で乾燥させ、透明性樹脂が電離放射線硬化型樹脂である場合には、電離放射線を照射することにより、形成される。
【0033】
〔防曇機能付き熱線カットフィルム〕
図1に示すように、基材が透明基材フィルム10である場合には、この透明基材フィルム10の一面に上述した防曇機能付き熱線カット膜11が形成され、この透明基材フィルムの一面と反対側の他面に粘着剤層12及び剥離フィルム13がこの順で積層される。これにより、防曇機能付き熱線カットフィルム14が作られる。この防曇機能付き熱線カットフィルムのヘーズは2.0%以下である。
透明基材フィルム10の厚さとしては、例えば10μm~300μm、好ましくは20μm~200μmである。粘着剤層12としては、ガラスに対して粘着性を有し透明であればとくに制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール及びそれらの共重合体等が挙げられる。粘着剤層12の厚さは特に限定されないが、0.5μm~100μmが好ましく、1μm~80μmが更に好ましい。粘着剤層12は、公知のコーティング技術により設けることができる。剥離フィルム13は、公知のものから適宜選択することが可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなプラスチック基材の片面に、シリコーン処理したものが挙げられる。
【0034】
図2に示すように、この防曇機能付き熱線カットフィルム14を太陽光線の入る窓ガラス15に設ける場合には、
図1に示した剥離フィルム13を剥がして、粘着剤層12を窓ガラス15の室内側の表面に接着させる。これにより、防曇機能付き熱線カット膜11が室内側に位置するため、室外から入る熱線をカットするとともに、寒季、雨季に室内で発生する湿気による曇りを防止する。
【実施例0035】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
【0036】
〔防曇機能付き熱線カット膜形成用塗料の調製〕
<実施例1>
BET法による比表面積が55m2/gであり、CIE1976L*a*b*表色系により規定される明度L*が21.3、色度a*が-2.8及び色度b*が-2.3である濃青色の色調を有するITO粒子を準備した。このITO粒子100gを、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル系の分散剤10gと溶媒の工業アルコール(日本アルコール産業社製、AP-7)140gの混合液に添加し、ビーズミル分散機にて、分散することにより、ITO濃度が40質量%のITO分散液を得た。得られたITO分散液31gと、バインダとして、ウレタンアクリルエマルジョン液31gと、防曇剤として、ドデカン酸とジグリセロールの反応物1gと、光重合開始剤としてアルキルフェノン系重合開始剤0.3gと、工業アルコール(日本アルコール産業社製、AP-7)10gと、水26gとを混合し、乾燥後の塗膜の厚さが3μmとなるように、固形分濃度が30質量%の防曇機能付き熱線カット塗料を調製した。この塗料の固形分を100質量%とするとき、塗料にITO粒子は51.2質量%、防曇剤としてのグリセリンモノジステアレートは4.7質量%、透明性樹脂としてのウレタンアクリレート樹脂は44.1質量%それぞれ含まれていた。この調製内容を以下の表1に示す。
【0037】
【0038】
<実施例2~6及び比較例1、2、4~7>
実施例2~6及び比較例1、2、4~7では、表1に示すように、ITO粒子の種類及び防曇剤としてのグリセリン化合物の種類を選定し、実施例1に示すように、ITO粒子、グリセリン化合物及びウレタンアクリレート樹脂の各含有量を設定した。それ以外は実施例1と同様にして、実施例2~6及び比較例1、2、4~7の防曇機能付き熱線カット塗料を調製した。
【0039】
<比較例3>
比較例3では、表1に示すように、実施例1と同一のITO粒子及びウレタンアクリレート樹脂を用いた。防曇剤として、特許文献2に示されるAl2O3、SiO2、酢酸、アクリル樹脂、アルミニウム水溶性塩の混合物(理研ビタミン社製SW-25)を選定した。実施例1に示すように、ITO粒子、上記混合物及びウレタンアクリレート樹脂の各含有量を設定した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例3の防曇機能付き熱線カット塗料を調製した。
【0040】
<比較例8>
比較例8では、表1に示すように、実施例1と同一のITO粒子及びウレタンアクリレート樹脂を用いた。防曇剤として、特許文献1の実施例1に用いられた下記の式(1)に示されるスルホベタイン型含窒素フッ素系化合物を選定した。実施例1に示すように、ITO粒子、上記スルホベタイン型含窒素フッ素系化合物及びウレタンアクリレート樹脂の各含有量を設定した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例8の防曇機能付き熱線カット塗料を調製した。
【0041】
【0042】
〔防曇機能付き熱線カット膜の形成〕
実施例1~6及び比較例1~8で得られた防曇機能付き熱線カット塗料を様々な型番のバーコーター(安田精機製作所製)を用いて、厚さ0.05mm、たて300mm、よこ200mmのポリエチレンテレフタレート(PET)の基材フィルム上に14種類の塗膜を厚さを変えて形成した。14種類の塗膜を80℃の大気雰囲気中にて乾燥し、更にこの乾燥した塗膜に紫外線を照射量150mJ/cm2にて照射して、14種類の防曇機能付き熱線カット膜を得た。得られた膜の厚さは、成膜したPETフィルムの切断面をレーザー顕微鏡(オリンパス社製 OLS5100)にて観察し、膜厚を求めた。
【0043】
〔比較試験及び評価〕
14種類の防曇機能付き熱線カット膜について、以下に示す方法で、熱線カット膜中のITO粒子及び防曇剤の各含有量を測定した。この測定結果を以下の表2に示す。
【0044】
【0045】
また14種類の基材フィルム上の防曇機能付き熱線カット膜について、その透明性を可視光線透過率(%Tv)と日射透過率(%Ts)とヘーズを測定し、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))を求めて評価し、以下に示す方法で熱線カット膜表面の水濡れ性及び基材フィルムへの熱線カット膜の密着性を評価し、更に膜表面の防曇性と膜の拭き取り耐久性を評価する防曇試験及び膜の遮熱性能を評価する試験を行った。これらの結果を以下の表3に示す。
【0046】
【0047】
(1) 防曇機能付き熱線カット膜中のITO粒子及び防曇剤の各含有量
防曇機能付き熱線カット膜を成膜する前の基材フィルムと成膜後の基材フィルムの質量差から、膜質量を得た。次に、得られた防曇機能付き熱線カット膜を酸にて溶解することで、膜成分を回収した。回収した液中のインジウム濃度を、ICP発光分析法により定量し、ITO粒子濃度(質量%)を算出し、膜質量から、ITO粒子の含有量を算出した。また、得られた熱線カット膜を基材フィルムから削り取ることで回収した膜を熱分解GC-MS(Gas Chromatography-Mass Spectrometry)と化合物式から。防曇剤濃度(質量%)を算出した。
【0048】
(2) 透明性(可視光線透過率(%Tv)と日射透過率(%Ts)とヘーズ)
基材フィルム上の防曇機能付き熱線カット膜について、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U-4150)を用い、規格(JIS R 3106-2019)に従い、380nm~780nmの可視光線透過率(%Tv)を基材フィルム込みで測定し、300nm~2500nmの日射透過率(%Ts)を基材フィルム込みで測定した。またヘーズについては、ヘーズコンピュータ(スガ試験機株式会社製HZ-2)を用い、規格(JIS K 7136)に従って測定した。なお、表3に記載された可視光線透過率、日射透過率及びヘーズは、基材フィルム込みの数値であり、基材フィルムのみの可視光線透過率は87.6%であり、日射透過率は87.4%であり、ヘーズは1.4%であった。
【0049】
(3) 膜表面の水濡れ性(接触角)
協和界面科学製ドロップマスターDM-700を用いて、シリンジに22℃±1℃のイオン交換水を準備し、シリンジの針の先端から2μLの液滴を飛び出した状態にする。次いで評価する基材フィルム上の防曇機能付き熱線カット膜をこの液滴に近づけて熱線カット膜に液滴を付着させる。この付着した水の接触角を測定した。静止状態で水が膜表面に触れた1秒後の接触角をθ/2法により解析した値を水の接触角とし、膜表面の水濡れ性を評価した。
【0050】
(4) 膜の密着性
得られた防曇機能付き熱線カット膜の基材フィルムに対する密着性試験を碁盤目試験で行った。具体的には基材フィルム上の1枚の膜に100マスの切り込みを入れ、テープによる剥離試験を実施し、基材フィルムから剥離した膜のマス数が『0』のときを『良好』と判定し、剥離した膜のマス数が『1以上』のときを『不良』と判定した。
【0051】
(5) 膜表面の防曇性
得られた基材フィルム上の防曇機能付き熱線カット膜を40℃、相対湿度90%で保持された恒温恒湿槽内に所定の時間保持した。8時間保持した後と1週間保持した後の各膜の状態を目視で確認した。曇っていない場合を『良好』と判定し、曇っている場合を『不良』と判定した。
【0052】
(6) 膜の拭き取り耐久性
基材フィルム上の防曇機能付き熱線カット膜の表面を水を含ませたセルロース製不織布(旭化成社製、ペンコットM-3)により一定荷重で20回拭き取った。拭き取り後、膜が残存している場合を『良好』と判定し、膜が一部でもなくなっている場合を『不良』と判定した。
【0053】
(7) 遮熱性能試験
赤外線ランプ(岩崎電気製 IR250)、防曇機能付き熱線カット膜を形成した基材フィルム、この膜を形成していない基材フィルム及び温度計を準備した。赤外線ランプからその照射方向で10cm離れた場所に上記基材フィルムを垂直に固定した。温度計は、赤外線ランプから更に離れた上記基材フィルムの背後の5cmの位置に固定した。赤外線ランプを照射させ、60秒後の温度を測定した。膜を形成していない基材と膜を形成した基材との温度を比較した。5℃以上の差があった場合を『良好』と判定し、2℃以上5℃未満の場合を『やや良好』と判定し、2℃未満の場合を『不良』と判定した。
【0054】
表1から明らかなように、比較例1では、ITO粒子のBET法による比表面積が28m2/gと小さく、粒子が大きかったため、基材フィルム込みの防曇機能付き熱線カット膜のヘーズが2.6%と高くなり膜の透明性が低かった。
【0055】
比較例2では、ITO粒子のL*が60.1、a*が0.4、b*が30.8であったため、その色調は濃青色でなく、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.93と高かった。このため、遮熱性能試験の結果は『不良』であり、熱線カット機能に劣っていた。
【0056】
比較例3では、防曇剤として、特許文献2に示される防曇剤を用いたため、樹脂やITO粒子を混ぜたときの相溶性が悪かったので、基材フィルム込みの防曇機能付き熱線カット膜のヘーズが5.3%と高くなり膜の透明性が低かった。また膜の密着性が『不良』であり、防曇試験の結果は、8時間後、1週間後がともに『良好』であったが、拭き取り耐久性は『不良』であった。
【0057】
比較例4では、膜中のITO粒子の含有量が0.6g/m2と少な過ぎたため、可視光線透過率(%Tv)に対する日射透過率(%Ts)の比率((%Ts)/(%Tv))が0.84と高かった。このため、遮熱性能試験の結果は『不良』であり、熱線カット機能に劣っていた。
【0058】
比較例5では、膜中のITO粒子の含有量が6.4g/m2と多過ぎたため、基材フィルム込みの防曇機能付き熱線カット膜のヘーズが2.3%と高くなり膜の透明性が低かった。また膜の密着性が『不良』であり、防曇試験の結果は、8時間後、1週間後がともに『良好』であったが、拭き取り耐久性は『不良』であり、防曇性に劣っていた。
【0059】
比較例6では、膜中の防曇剤の含有量が0.03g/m2と少過ぎたため、膜表面の水の接触角が26度と大きく水に濡れにくく、これにより、防曇試験では、8時間後、1週間後がともに『不良』であり、更に拭き取り耐久性も『不良』であり、防曇性に劣っていた。
【0060】
比較例7では、膜中の防曇剤の含有量が1.80g/m2と多過ぎたため、基材フィルム込みの防曇機能付き熱線カット膜のヘーズが2.4%と高くなり膜の透明性が低かった。また膜の密着性が『不良』であった。更に拭き取り耐久性も『不良』であり、防曇性に劣っていた。
【0061】
比較例8では、防曇剤として、特許文献1に示される防曇剤を用いたため、膜の密着性が『不良』であった。6時間後の防曇試験の結果では『良好』であったが、空気中の水分を吸収し続けたため、1週間後の防曇試験の結果は『不良』であった。
【0062】
これに対して、実施例1~6は、防曇剤としてグリセリン化合物を用いていて、グリセリン化合物の含有量が0.04g/m2~1.4g/m2であることから、膜表面の水濡れ性においては、水の接触角が20度以下であり水に濡れ易かった。このため、膜の防曇試験の結果は、8時間後、1週間後がすべて『良好』であり、拭き取り耐久性もすべて『良好』であり、防曇性に優れていた。更に膜中のITO粒子の含有量が0.8g/m2~5g/m2の範囲にあり、膜中のITO粒子のBET法による比表面積が30m2/g以上であることから、基材フィルム込みの膜のヘーズも2%以下と良好であった。また(%Ts)/(%Tv)の値も0.83以下であり、熱線カット性能も満たしていた。
本発明の防曇機能付き熱線カット膜は、太陽光線が入る窓を有する住宅、事務所、車両、船舶等の窓ガラスにおいて、熱線(赤外線)カットと防曇性が求められる分野に用いられる。