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特開2022-173954画像形成装置、押圧力制御方法および押圧力制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173954
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】画像形成装置、押圧力制御方法および押圧力制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20221115BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
G03G15/20 535
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080039
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】羽田野 英紀
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA40
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA30
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB12
2H033BB17
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB34
2H033BB35
2H033BB37
2H033BE00
2H033CA12
2H033CA13
2H033CA16
2H033CA19
2H033CA22
2H033CA39
2H033CA40
2H270LA64
2H270LA80
2H270LA98
2H270LA99
2H270LC04
2H270LC05
2H270LC14
2H270LD05
2H270LD08
2H270MC44
2H270MD10
2H270MD13
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】 定着装置からの異音の発生を少なくすること。
【解決手段】 画像形成装置は、加圧ローラーと、加圧ローラーを回転駆動する駆動モーターと、無端の定着ベルトと、定着ベルトの内側でかつ加圧ローラーに対向して設けられ、定着ベルトと加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、加圧ローラーと押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力制御機構と、定着ベルトの回転負荷を検出する検出部と、検出部により検出された定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、検出部により検出された定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように押圧制御機構を制御する押圧制御部と、を備える。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧ローラーと、
前記加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、
無端の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内側でかつ前記加圧ローラーに対向して設けられ、前記定着ベルトと前記加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、
前記加圧ローラーと前記押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、
前記定着ベルトの回転負荷を検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、前記定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように前記押圧力調整機構を制御する押圧力制御部と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記押圧力制御部は、前記加圧ローラーが加減速している間の押圧力が前記通常状態における押圧力より高くなるように前記押圧力調整機構を制御する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧力制御部は、記録媒体が前記ニップ部を通過する間の押圧力が前記通常状態における押圧力より高くなるように前記押圧力調整機構を制御する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記押圧力制御部は、前記加圧ローラーが加速する前または前記加圧ローラーが加速すると同時に、前記押圧力調整機構に押圧力の調整を開始させる、請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記押圧力制御部は、前記加圧ローラーが減速を開始する前または前記加圧ローラーが減速を開始すると同時に、前記押圧力調整機構に押圧力の調整を開始させる、請求項1~4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記押圧力制御部は、前記押圧力調整機構に押圧力が前記通常状態よりも高い状態を所定時間継続させる、請求項1~5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記加圧ローラーの回転トルクに基づいて、前記定着ベルトの回転負荷を検出する、請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記加圧ローラーの累積回転数に基づいて、前記定着ベルトの回転負荷を検出する、請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記検出部は、前記ニップ部を通過する記録媒体の累積枚数に基づいて、前記定着ベルトの回転負荷を検出する、請求項1~6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像形成装置で実行される押圧力制御方法であって、
前記画像形成装置は、
加圧ローラーと、
前記加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、
無端の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内側でかつ前記加圧ローラーに対向して設けられ、前記定着ベルトと前記加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、
前記加圧ローラーと前記押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、を備え、
前記定着ベルトの回転負荷を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、前記定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように前記押圧力調整機構を制御する加圧ステップと、を含む押圧力制御方法。
【請求項11】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される押圧力制御プログラムであって、
前記画像形成装置は、
加圧ローラーと、
前記加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、
無端の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内側でかつ前記加圧ローラーに対向して設けられ、前記定着ベルトと前記加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、
前記加圧ローラーと前記押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、を備え、
前記定着ベルトの回転負荷を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにおいて検出された前記定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、前記定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように前記押圧力調整機構を制御する加圧ステップと、を前記コンピューターに実行させる押圧力制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、押圧力制御方法および押圧力制御プログラムに関し、特に、記録媒体を加圧および加熱することによりトナーを記録媒体に定着させる画像形成装置、その画像形成装置で実行される押圧力制御方法およびその押圧力制御方法を画像形成装置を制御するコンピューターに実行させる押圧力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター、ファクシミリ装置等の画像形成装置は、トナーで構成される画像が形成された用紙を加圧および加熱することにより用紙にトナーを定着させる定着装置が設けられている。この定着装置において、プリント速度の高速化や消費エネルギーの低減のために、トナーを効率よく用紙に定着することが求められる。このため、定着装置は、熱容量を小さくし、用紙と接触する面積を大きくすることが求められている。
【0003】
例えば、特開2020-46505号公報には、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内周側に配置された定着用部材と、前記定着用部材に対向し、前記定着ベルトの外周側に配置された加圧ローラーと、前記加圧ローラーを回転させる第1モーターと、前記定着ベルトを加熱するヒーターと、を備えた画像形成装置が記載されている。特開2020-46505号公報に記載の定着装置では、定着用部材と加圧ローラーとの間でニップ部が形成される。定着用部材のニップ部の形状を加圧ローラーの形状に合わせた曲率を有する形状とすることが可能となるので、定着装置のニップ部の幅を広くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-46505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2020-46505号公報に記載の定着装置は、定着ベルトが定着用部材の周りを摺動するために、定着装置が長期間使用されると、定着ベルトの内側に摩耗紛が徐々に蓄積する。また、定着ベルトの内側に潤滑剤が塗布される場合は、定着装置が長期間使用されると潤滑剤が減少する。これにより、定着装置が長期間使用されて寿命末期になると定着ベルトの摺動抵抗が増加し、加圧ローラーの回転に対して従動回転する定着ベルトが瞬間的に回転と停止を繰り返すスティックスリップと呼ばれる現象が発生し、定着装置から異音が発生する場合がある。
【0006】
この発明の目的の1つは、定着装置からの異音の発生を少なくした画像形成装置を提供することである。
【0007】
この発明の他の目的は、定着装置からの異音の発生を少なくした押圧力制御方法を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、定着装置からの異音の発生を少なくした押圧力制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のある局面によれば、画像形成装置は、加圧ローラーと、加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、無端の定着ベルトと、定着ベルトの内側でかつ加圧ローラーに対向して設けられ、定着ベルトと加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、加圧ローラーと押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、定着ベルトの回転負荷を検出する検出部と、検出部により検出された定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、検出部により検出された定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように押圧力調整機構を制御する押圧力制御部と、を備える。
【0010】
この局面に従えば、定着ベルトが、加圧ローラーと押圧部材との間で加圧ローラーと接触し、加圧ローラーから受ける摩擦力によって押圧部材の外側で回転する。定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、加圧ローラーと押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力が、定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態における場合より高くなるように調整される。このため、定着ベルトの回転負荷の経時的な変化に応じて加圧ローラーと定着ベルトとの接触面で発生する摩擦力が調整されるので、定着ベルトと加圧ローラーとがスティックスリップする頻度を少なくすることができる。その結果、定着装置からの異音の発生を少なくした画像形成装置を提供することができる。
【0011】
好ましくは、押圧力制御部は、加圧ローラーが加減速している間の押圧力が通常状態における押圧力より高くなるように押圧力調整機構を制御する。
【0012】
この局面に従えば、過負荷状態においては加圧ローラーが加減速している間に押圧力が通常状態より高くなるので、加圧ローラーが加減速している間における定着ベルトと加圧ローラーとの間の摩擦力が高くなる。加圧ローラーが加減速している間にスティックスリップが発生しやすいので、加圧ローラーが加減速している間におけるスティックスリップによる異音の発生を少なくすることができる。
【0013】
好ましくは、押圧力制御部は、記録媒体がニップ部を通過する間に通常状態における押圧力より高くなるように押圧力を調整する。
【0014】
この局面に従えば、記録媒体がニップ部を通過する間に押圧力が通常状態より高くなるので、記録媒体がニップ部を通過する間における定着ベルトと加圧ローラーとの間の摩擦力が高くなる。加圧ローラーの回転速度が小さい場合は、加圧ローラーの回転速度が大きい場合に比較して定着ベルトの回転負荷が大きくなる。このため、記録媒体が厚いほど加圧ローラーの回転速度が小さくなる場合に、記録媒体が厚い場合におけるスティックスリップによる異音の発生を少なくすることができる。
【0015】
好ましくは、押圧力制御部は、加圧ローラーが加速する前または加圧ローラーが加速すると同時に、押圧力調整機構に押圧力の調整を開始させる。
【0016】
この局面に従えば、加圧ローラーが加速している間に押圧力を通常状態における押圧力よりも高くできる。
【0017】
好ましくは、押圧力制御部は、加圧ローラーが減速を開始する前または加圧ローラーが減速を開始すると同時に、押圧力調整機構に押圧力の調整を開始させる。
【0018】
この局面に従えば、加圧ローラーが減速している間に押圧力を通常状態における押圧力よりも高くできる。
【0019】
好ましくは、押圧力制御部は、押圧力調整機構に押圧力が通常状態よりも高い状態を所定時間継続させる。
【0020】
この局面に従えば、スティックスリップが発生する確率の高い期間に押圧力を通常状態よりも高くできる。また、通常状態における押圧力よりも高い押圧力にする期間が制限されるので、加圧ローラーの負荷をできるだけ小さくして、加圧ローラーの寿命を長くできる。
【0021】
好ましくは、検出部は、加圧ローラーの回転トルクに基づいて、定着ベルトの回転負荷を検出する。
【0022】
この局面に従えば、定着ベルトの回転負荷の検出が容易である。
【0023】
好ましくは、検出部は、加圧ローラーの累積回転数に基づいて、定着ベルトの回転負荷を検出する。
【0024】
この局面に従えば、定着ベルトの回転負荷の検出が容易である。
【0025】
好ましくは、検出部は、ニップ部を通過する記録媒体の累積枚数に基づいて、定着ベルトの回転負荷を検出する。
【0026】
この局面に従えば、定着ベルトの回転負荷の検出が容易である。
【0027】
この発明の他の局面に従えば、押圧力制御方法は、画像形成装置で実行される押圧力制御方法であって、画像形成装置は、加圧ローラーと、加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、無端の定着ベルトと、定着ベルトの内側でかつ加圧ローラーに対向して設けられ、定着ベルトと加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、加圧ローラーと押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、を備え、定着ベルトの回転負荷を検出する検出ステップと、検出ステップにおいて検出された定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように押圧力調整機構を制御する加圧ステップと、を含む。
【0028】
この局面に従えば、定着装置からの異音の発生を少なくした押圧力制御方法を提供することができる。
【0029】
この発明のさらに他の局面に従えば、押圧力制御プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される押圧力制御プログラムであって、画像形成装置は、加圧ローラーと、加圧ローラーを回転駆動する駆動部と、無端の定着ベルトと、定着ベルトの内側でかつ加圧ローラーに対向して設けられ、定着ベルトと加圧ローラーとが接触するニップ部を形成する押圧部材と、加圧ローラーと押圧部材との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構と、を備え、定着ベルトの回転負荷を検出する検出ステップと、検出ステップにおいて検出された定着ベルトの回転負荷が所定値以上の過負荷状態の場合、定着ベルトの回転負荷が所定値より小さい通常状態の場合よりも押圧力が高くなるように押圧力調整機構を制御する加圧ステップと、をコンピューターに実行させる。
【0030】
この局面に従えば、定着装置からの異音の発生を少なくした押圧力制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるプリンターの外観を示す第1の斜視図である。
図2】プリンターのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図3】プリンターの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。
図4】定着装置の断面図である。
図5】押圧力調整機構を示す第1の図である。
図6】押圧力調整機構を示す第2の図である。
図7】プリント累積枚数と回転負荷との関係の一例を示す図である。
図8】第1の実施の形態におけるプリンターが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図9】第1の実施の形態における加圧ローラーの回転速度と押圧力との関係の一例を示す図である。
図10】第1の実施の形態における加圧ローラー制御、押圧力および用紙の位置の経時的な関係の一例を示す図である。
図11】第1の実施の形態における押圧力制御処理の流れの一例を示す第1のフローチャートである。
図12】第1の実施の形態における押圧力制御処理の流れの一例を示す第2のフローチャートである。
図13】第2の実施の形態におけるプリンターが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図14】第2の実施の形態における加圧ローラーの回転速度と押圧力との関係の一例を示す図である。
図15】第2の実施の形態における加圧ローラー制御、押圧力および用紙の位置の経時的な関係の一例を示す図である。
図16】第2の実施の形態における押圧力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17】低速押圧力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0033】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるプリンターの外観を示す第1の斜視図である。図2は、プリンターのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。図1および図2を参照して、プリンター100は、画像形成装置の一例であり、メイン回路110と、画像データに基づいて用紙等に画像を形成するための画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給するための給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
【0034】
メイン回路110は、プリンター100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、外部記憶装置117と、を含む。CPU111は、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、プリンター100の全体を制御する。
【0035】
給紙部150は、給紙カセットに収納された用紙を画像形成部140に搬送する。画像形成部140は、CPU111により制御され、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、CPU111から入力される画像データに基づいて、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成し、画像を形成した用紙を排紙トレイ39に排出する。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、外部のパーソナルコンピューター等から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
【0036】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
【0037】
操作パネル160は、プリンター100の上面に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0038】
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。タッチパネル165は、表示部161の表示面中でユーザーにより指示された位置を検出する。
【0039】
通信I/F部112は、ネットワークにプリンター100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはUDP(User Datagram Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターと通信する。なお、通信I/F部112が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0040】
外部記憶装置117は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)118、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置117を制御して、CD-ROM118からCPU111が実行するためのプログラムを読み出し、読み出したプログラムをRAM114に記憶し、実行するようにしてもよい。
【0041】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0042】
図3は、プリンターの内部構成の一例を模式的に示す断面図である。以下、説明のため、図3の左右の方向を左右方向といい、表裏の方向を奥行方向という。左右方向で左から右に向かう方向を右側面方向といい、右から左に向かう方向を左側面方向という。奥行方向の表から裏に向かう方向を正面方向といい、裏から表に向かう方向を背面方向という。
【0043】
プリンター100は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備える。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0044】
画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像器24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するためのドラム清掃ブレード27Yと、トナーボトル41Yと、トナーホッパー42Yと、を備える。
【0045】
トナーボトル41Yは、イエローのトナーを収容する。トナーボトル41Yは、トナーボトルモーターを駆動源として回転し、トナーを外部に排出する。トナーボトル41Yから排出されたトナーは、トナーホッパー42Yに供給される。トナーホッパー42Yは、現像器24Yに収容されたトナーの残量が予め定められた下限値以下になることに応じて現像器24Yにトナーを供給する。
【0046】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像器24Y、1次転写ローラー25Y、ドラム清掃ブレード27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0047】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像器24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。具体的には、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像上に電界力の作用でトナーが載せられることにより、トナー像が感光体ドラム23Yに形成される。感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、ドラム清掃ブレード27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0048】
一方、中間転写ベルト30は、駆動ローラー33と従動ローラー34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー33が図2中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト30が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラー34が、反時計回りに回転する。
【0049】
これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、順に中間転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、中間転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト30に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト30上に重畳される。
【0050】
中間転写ベルト30に形成されたトナー像は、転写部材である2次転写ローラー26によって電界力の作用で用紙に転写される。タイミングローラー31により搬送される用紙は、中間転写ベルト30と2次転写ローラー26とが接するニップ部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、定着装置50に搬送され、加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0051】
中間転写ベルト30の画像形成ユニット20Yの上流に、ベルト清掃ブレード28が設けられている。ベルト清掃ブレード28は、中間転写ベルト30上で用紙に転写されずに残ったトナーを除去する。
【0052】
プリンター100は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを駆動するが、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを駆動する。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。なお、ここでは、プリンター100は、用紙に4色のトナーそれぞれを形成する画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えたタンデム方式を採用する例について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式を採用してもよい。
【0053】
給紙カセット35には、複数枚の用紙がセットされている。給紙カセット35に収容された用紙は、給紙カセット35に取付けられている取出ローラー36により、1枚ずつ順に搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。また、手差カセット35Aに、1枚以上の用紙がセットされる場合、手差カセット35Aにセットされた1枚以上の用紙は、手差カセット35Aに取付けられている取出ローラー36Aにより、1枚ずつ順に搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。
【0054】
用紙の搬送経路は、画像形成経路45、第1搬送経路46、第2搬送経路47および表裏反転経路48を含む。画像形成経路45は、タイミングローラー31から経路切換ゲート49までの経路であり、タイミングローラー31から順に、2次転写ローラー26、および定着装置50が配置される。タイミングローラー31は、給紙カセット35または手差カセット35Aから搬送される用紙を画像形成経路45に送り出す。タイミングローラー31は、中間転写ベルト30に形成されたトナー像が2次転写ローラー26に到達するタイミングで用紙が2次転写ローラー26に到達するように、用紙の搬送を開始する。タイミングローラー31により搬送される用紙は、2次転写ローラー26により中間転写ベルト30に押し当てられ、中間転写ベルト30上に重畳して形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像が用紙に転写される。
【0055】
2次転写ローラー26から搬送される用紙は、定着装置50に搬送される。定着装置50は、用紙を加熱するとともに加圧する。これにより、用紙にトナーが定着される。その後、用紙は経路切換ゲート49により第1搬送経路46および第2搬送経路47のいずれかに搬送される。
【0056】
第1搬送経路46は、経路切換ゲート49から排紙ローラー43までの経路である。第1搬送経路46に搬送される用紙は、排紙ローラー43によって排紙トレイ39に排紙される。
【0057】
第2搬送経路47は、経路切換ゲート49から反転ローラー44までの経路である。第2搬送経路47は、経路切換ゲート49において、画像形成経路45と表裏反転経路48と繋がる。経路切換ゲート49から第2搬送経路47に進入する用紙は、反転ローラー44まで搬送される。反転ローラー44は、待機動作と、反転動作と、排紙動作と、の3つの動作をする。反転ローラー44は、待機動作をする場合、正回転して、タイミングローラー31が駆動してから所定の時間経過後に停止する。これにより、反転ローラー44は、経路切換ゲート49から進入する用紙を、その後端が経路切換ゲート49を通過した状態で保持する。反転ローラー44は、待機動作後に反転動作をする。反転ローラー44は、反転動作をする場合、逆回転し、保持した用紙を経路切換ゲート49側に搬送する。これにより、用紙は、反転ローラー44により第2搬送経路47を搬送され、経路切換ゲート49により表裏反転経路48に導かれる。また、反転ローラー44は、排出動作をする場合、正回転して用紙を排紙トレイ39に排紙する。
【0058】
表裏反転経路48は、経路切換ゲート49と画像形成経路45中のタイミングローラー31とを結ぶ経路である。経路切換ゲート49から表裏反転経路48に進入する用紙は、搬送ローラー38によりタイミングローラー31まで搬送される。したがって、用紙が最初に画像形成経路45を通過する間に用紙の表面に画像が形成され、その用紙が表裏反転経路48を経由して再度画像形成経路45を通過する間に用紙の裏面に画像が形成される。裏面に画像が形成された用紙は、経路切換ゲート49により第1搬送経路46に導かれ、排紙トレイ39に排紙される。
【0059】
図4は、定着装置の断面図である。図4では、定着装置50を加圧ローラー59の回転軸59Aを法線とする面で切断した断面を示している。図4を参照して、定着装置50は、加熱部51と、加圧ローラー59と、を含む。加熱部51は、加圧ローラー59に対向して設けられ、加圧ローラー59との間でニップ部Nを形成する。ニップ部Nは、加熱部51と加圧ローラー59とが接触する部分である。加圧ローラー59は、加熱部51に向かって所定の押圧力で加圧される。
【0060】
トナー像Toをその表面に担持する用紙Paが定着装置50の下方から上方に向かって搬送され、用紙Paがニップ部Nを通過する。用紙Paがニップ部Nを通過する間に用紙Paが加圧ローラー59と加熱部51とにより加熱および加圧され、トナー像Toが用紙Paに定着する。
【0061】
加圧ローラー59は、芯金、中間層、表層から構成されている。本実施の形態では、加圧ローラー59の外径は30mmである。芯金は、アルミまたは鉄製であり、芯金の厚さは、2~3mmである。中間層は、弾性層であり、シリコーンゴムやシリコーンスポンジなどの耐熱性および弾性を有する材料から形成される。中間層は、厚さ2~5mm程度が好ましい。表層は、フッ素チューブなどの離型性を有する材料から形成され、表層離型層の厚さは、20~80μm程度が好ましい。
【0062】
加熱部51は、加熱ローラー53と、加圧部55と、無端状の定着ベルト57と、サーミスター91と、を含む。定着ベルト57は、可撓性を有する無端状のベルトである。定着ベルト57は、加熱ローラー53と加圧部55とにより弛まないように懸架される。定着ベルト57は、基層と弾性層から構成されている。基層は、内径40mm、幅340mm、厚さ70μmのポリイミドフィルムで構成されている、弾性層は、シリコーンゴムを用い厚さ100~150μm程度が好ましい、また、表層には、厚さ30μm程度のフッ素コートからなる離型層を被覆して形成している。
【0063】
加熱ローラー53は、定着ベルト57の回転に従動して回転する。なお、加熱ローラー53を回転しないようにして、定着ベルト57が加熱ローラー53の表面を摺動するようにしてもよい。
【0064】
加圧部55は、押圧部材63と、グリス塗布部65と、を有する。押圧部材63は、耐熱性を有した樹脂部材で形成され、少なくとも定着処理する最大用紙幅以上の長さを有する形状である。押圧部材63は、本体フレームに固定される。押圧部材63は、ニップ部Nに対応する部分が加圧ローラー59の曲率に近似する形状を有する。このため、加圧ローラー59の弾性変形量を小さくしつつ、ニップ部Nの面積をできるだけ大きくすることができる。ニップ部Nの面積を大きくできるので、用紙を加圧および加熱する時間を長くすることができる。また、加圧ローラー59の外径を所定の値以下にできるので、定着装置50を小型化することができる。また、加圧ローラー59の弾性変形量を小さくできるので、加圧ローラー59を加圧する押圧力を小さくすることができる。このため、加圧ローラー59の強度を所定の値以下にすることができるので、加圧ローラー59の肉厚を小さくして、熱容量を小さくすることができる。さらに、加圧ローラー59の熱容量を小さくできるので、電力の消費量が小さくなる。
【0065】
押圧部材63のニップ部N側には、押圧部材63の表面の摺動性を高めるために摺動シートが固定されている。摺動シートは、材料は耐熱性を有するガラスクロスにフッ素樹脂をコーティングしたものであり、耐熱性、耐摩耗性、摺動性を備えている。定着ベルト57は摺動シートと接触する。このため、定着ベルト57が摩擦により消耗する度合いをできるだけ小さくできる。
【0066】
グリス塗布部65は、潤滑剤であるグリスを蓄積しており、定着ベルト57と接触する部分で、定着ベルト57にグリスを塗布する。定着ベルト57がグリス塗布部65を通過する間に、定着ベルト57とグリス塗布部65との摩擦によって、定着ベルト57の内側の面にグリスが塗布される。これにより、定着ベルト57が押圧部材63から受ける摩擦抵抗が小さくなるので、定着ベルト57を加熱ローラー53と加圧部55の周りで回転させるために受ける負荷が小さくなる。
【0067】
加熱ローラー53は、中空円筒形状の部材であり、内部に熱源61を内蔵する。加熱ローラー53の内径は、熱源61が接触しないサイズに設定されている。加熱ローラー53はステンレス製である。加熱ローラー53がステンレス製なので、強度が確保されるとともに加工が容易である。この場合、加熱ローラー53の厚みは、0.1mm~0.2mm前後にできる。なお、加熱ローラー53はアルミニウム製であってもよい。この場合、ベンディングや局部的な変形に対する強度を確保するために、加熱ローラー53の厚みは0.25mm以上にすることが好ましい。また、加熱ローラー53は、STKM(機械構造用炭素鋼鋼管)等の鉄系金属製であってもよい。
【0068】
熱源61は、例えば、ハロゲンヒーターである。本実施の形態においては、熱源61として、発光長の異なる2本のハロゲンヒーターが用いられる。なお、熱源61はハロゲンヒーターに限定されず、抵抗発熱体またはIH(Induction Heating)が用いられてもよい。
【0069】
熱源61が発熱することにより、加熱ローラー53が加熱され、加熱ローラー53の温度が上昇する。サーミスター91によって、加熱ローラー53の温度が検出される。このサーミスター91が検出した温度に応じて、熱源61がオン/オフに制御され、加熱ローラー53が所定の温度になるように制御される。加熱ローラー53を薄肉化することで、加熱ローラー53の熱容量が小さくなる。このため、加熱ローラー53の昇温速度が速くなるので、加熱ローラー53が所定の温度に達するまでのウォームアップ時間を短くすることができる。また、熱源61の消費電力量を低減することができる。
【0070】
定着ベルト57は、加熱ローラー53と接触する間に加熱ローラー53から伝達される熱により所定の温度まで熱せられる。
【0071】
加圧ローラー59は、駆動モーター59Bにより回転される。加圧ローラー59の回転に伴って、定着ベルト57が従動回転する。定着ベルト57は回転される間に加熱ローラー53によって加熱される。定着ベルト57が所定の温度に加熱された後、トナー像Toを担持する用紙Paがニップ部Nに進入するように制御される。用紙Paがニップ部Nを通過する間に熱と圧力によってトナー像Toが用紙Paに定着される。
【0072】
なお、本実施の形態においては、定着ベルト57を加熱するために、加熱ローラー53の熱が伝導により伝達される例を示すが、加熱ローラー53から放射される輻射熱を利用して定着ベルト57を加熱してもよい。この場合、定着ベルト57と加熱ローラー53とは接触する必要がない。したがって、定着ベルト57は、加熱ローラー53と加圧部55とにより懸架される必要はない。具体的には、定着ベルト57は、加圧部55と加圧ローラー59との間で加圧され、加圧部55と加圧ローラー59とによって支持される。また、定着ベルト57は、加圧ローラー59の回転に伴って押圧部材63に対して摺動する。これにより、定着ベルト57が加圧部55および加熱ローラー53の周りを回転する。
【0073】
また、加熱ローラー53は、定着ベルト57の外側に配置されてもよい。この場合、定着ベルト57が加圧部55の周りを回転する。また、加熱ローラー53は、円柱形状である必要はなく、熱源として機能する誘導加熱装置やセラミックヒーターを用いることができる。
【0074】
本実施の形態におけるプリンター100は、加圧ローラー59が加熱部51を押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構70を備えている。
【0075】
図5および図6は、押圧力調整機構を示す図である。図5および図6を参照して、押圧力調整機構70は、加圧フレーム71と、レバー部材73と、荷重可変ギア75と、ばね77と、を含む。加圧部55は、その両端が本体フレームに固定的に支持されている。
【0076】
加圧フレーム71は、加圧フレーム回転軸71Aを中心に回転可能に軸支されている。加圧フレーム回転軸71Aは本体フレームに固定的に支持されている。加圧フレーム71は、加圧ローラー59の回転軸59Aを軸支する。このため、加圧ローラー59の回転軸59Aは、加圧フレーム回転軸71Aを中心に回転可能である。また、加圧フレーム71は、ばね77の一端と接続される第1接続部71Bを有する。
【0077】
レバー部材73は、レバー部材回転軸73Aを中心に回転可能に軸支されている。レバー部材回転軸73Aは本体フレームに固定的に支持されている。また、レバー部材73は、ばね77の他端と接続される第2接続部73Cを有する。ばね77は、第1接続部71Bと第2接続部73Cとの間の距離を短くする方向に付勢する。このため、加圧フレーム71は、加圧フレーム回転軸71Aを中心に反時計回りの方向にばね77により付勢され、レバー部材73は、レバー部材回転軸73Aを中心に時計回りの方向にばね77により付勢される。したがって、加圧ローラー59が加熱部51に向かう方向に押圧される。
【0078】
荷重可変ギア75は、本体フレームに軸支されたギア回転軸75Aと、ギア回転軸75Aと平行な調整棒75Bを有する。荷重可変ギア75は、駆動モーターにより回転し、ギア回転軸75Aを中心に回転する。
【0079】
レバー部材73は、荷重可変ギア75の調整棒75Bが貫通する調整穴73Bが形成されている。荷重可変ギア75が時計回りに回転すると、調整棒75Bが調整穴73Bの側面に当接し、その後摺動する。これにより、レバー部材73がレバー部材回転軸73Aを中心に回転する。これにより、ばね77の他端を引っ張るので、ばね77の付勢力が増加する。このため、加圧ローラー59を加熱部51に向かう方向に押圧する押圧力が増加する。
【0080】
図7は、プリント累積枚数と回転負荷との関係の一例を示す図である。プリント累積枚数は、プリンター100が設定されてから定着装置50を用紙が通過した回数の累積値である。回転負荷は、定着ベルト57を回転させるために必要とされる負荷である。本実施の形態においては、定着ベルト57の回転負荷は、加圧ローラー59を回転させる駆動モーター59Bのトルクとしている。図7を参照して、プリント累積枚数が増加するにしたがって、定着ベルト57の回転負荷が増大する。定着ベルト57を加熱ローラー53と加圧部55との周りを回転させる際に所定の負荷(回転負荷)が発生する。特に、定着装置50の使用回数が増加するにつれて回転負荷が増加する。例えば、定着ベルト57の内面に摩耗紛が徐々に蓄積されるなどして、押圧部材63との間の摺動抵抗が増加することにより回転負荷が増加する。また、定着ベルト57の内側にグリス塗布部65によってグリスが塗布されるが、使用回数が増加するとグリスが減少する。定着ベルト57の内側に塗布されたグリスが減少すると押圧部材63との間の摺動抵抗が増加することにより回転負荷が増加する。
【0081】
閾値Thは、定着ベルト57と加圧ローラー59との間で滑りが発生する可能性のある回転負荷として、予め定められた値である。閾値Thは、実験またはシミュレーションにより求められる値である。
【0082】
図8は、第1の実施の形態におけるプリンターが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図8に示す機能は、プリンター100が備えるCPU111がROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶された押圧力制御プログラムを実行することによりCPU111により実現される機能である。図8を参照して、プリンター100が備えるCPU111は、定着装置50を制御する定着装置制御部251と、押圧力を決定する決定部253と、を含む。
【0083】
定着装置制御部251は、駆動制御部261と、押圧力制御部263と、を含む。決定部253は、検出部271と、比較部273と、押圧力決定部275と、を含む。
【0084】
駆動制御部261は、駆動モーター59Bを制御し、駆動モーター59Bを駆動する。具体的には、駆動制御部261は、加圧ローラー59の回転速度が一定となるように駆動モーター59Bを駆動する。本実施の形態においては、駆動制御部261は、駆動モーター59Bを電流制御する。駆動制御部261は、駆動モーター59Bに流れる電流の値を検出部271に出力する。
【0085】
検出部271は、加圧ローラー59を回転させる駆動モーター59Bに流れる電流に基づいて定着ベルト57の負荷を検出する。定着ベルト57の負荷は、定着ベルト57を一定速度で回転させるために要する負荷であり、回転負荷ともいう。加圧ローラー59の回転速度は、エンコーダーによって検出される。定着ベルト57と加圧ローラー59とが滑らない場合、定着ベルト57の負荷は、加圧ローラー59を一定速度で回転させるためのトルクと同じとみなせる。検出部271は、加圧ローラー59を一定速度で回転させるためのトルクを定着ベルト57の負荷として決定する。駆動モーター59Bに流れる電流の値は、加圧ローラー59を一定速度で回転させるためのトルクと所定の関係を有する。検出部271は、予め実験などで求めた電流値とトルクとの関係を用いて、駆動制御部261から入力される電流値から加圧ローラー59を一定速度で回転させるためのトルクを検出する。検出部271は、加圧ローラー59を一定速度で回転させるためのトルクを比較部273に出力する。
【0086】
比較部273は、検出部271から加圧ローラー59のトルクが入力される。比較部273は、加圧ローラー59のトルクと閾値Thとを比較し、比較結果を押圧力決定部275に出力する。閾値Thは、定着ベルト57と加圧ローラー59との間で滑りが発生する可能性のある回転負荷として、予め定められた値である。閾値Thは、実験またはシミュレーションにより求められる値である。比較部273は、定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上の場合に過負荷状態を示す比較結果を出力する。比較部273は、定着ベルト57の回転負荷が閾値Thより小さい場合に通常状態を示す比較結果を出力する。
【0087】
押圧力決定部275は、比較結果に基づいて押圧力を決定する。押圧力決定部275は、決定された押圧力を押圧力制御部263に出力する。具体的には、押圧力決定部275は、比較結果が通常状態を示す場合に加減速時および等速時それぞれの押圧力を第1押圧力に決定する。押圧力決定部275は、比較結果が過負荷状態を示す場合に加減速時の押圧力を第2押圧力に決定し、等速時の押圧力を第1押圧力に決定する。第2押圧力は、第1押圧力よりも大きい。検出部271は、加圧ローラー59と定着ベルト57との間を用紙が通過している間における定着ベルト57の回転負荷を検出する。このため、押圧力決定部275は、加圧ローラー59と定着ベルト57との間を通過する用紙の次に通過する用紙に対応する押圧力を決定する。なお、検出部271は、加圧ローラー59と定着ベルト57との間を用紙が通過していない間に定着ベルト57の回転負荷を検出してもよい。
【0088】
押圧力制御部263は、押圧力調整機構70を制御し、加圧ローラー59が押圧部材63を押圧する押圧力を調整する。押圧力制御部263は、駆動制御部261から加圧ローラー59の回転速度が入力され、押圧力決定部275から押圧力が入力される。押圧力制御部263は、加圧ローラー59が定着ベルト57を押圧する押圧力が、加圧ローラー59の加減速時および等速時それぞれにおいて、押圧力決定部275から入力される押圧力と同じ値になるように、荷重可変ギア75を回転させる。荷重可変ギア75を回転させて、押圧力を調整するまでに所定時間が必要となる。このため、押圧力制御部263は、加圧ローラー59が加減速される時よりも所定時間前に荷重可変ギア75を回転させる。なお、荷重可変ギア75を用いることなく、バネ等の弾性部材を用いて瞬時に押圧力を変更可能な場合には、押圧力制御部263は、加圧ローラー59が加減速されると同時に押圧力を変更してもよい。
【0089】
図9は、第1の実施の形態における加圧ローラーの回転速度と押圧力との関係の一例を示す図である。横軸が時間の経過が示され、加圧ローラー59の回転速度が実線で示される。通常状態における押圧力が点線で示され、過負荷状態における押圧力が一点鎖線で示される。加圧ローラー59の回転速度は、所定の回転速度まで加速し、所定時間等速度となり、停止するまで減速する。
【0090】
通常状態にける押圧力は、加圧ローラー59が加速する前に、押圧力が第1押圧力まで上昇する。押圧力が上昇を開始する時点は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ加圧ローラー59が加速する時点より前の時点である。そして、押圧力は、加圧ローラー59が加速してから等速度、そして減速して停止する間、第1押圧力が維持される。さらに、押圧力は、加圧ローラー59が停止すると下降する。これにより、加圧ローラー59が定着ベルト57から離間するので、加圧ローラー59が変形等することによる劣化が防止される。
【0091】
過負荷状態における押圧力は、加圧ローラー59が加速する前に、押圧力が第2押圧力まで上昇する。押圧力が上昇を開始する時点は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第2押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ加圧ローラー59が加速する時点よりも前の時点である。そして、押圧力は、加圧ローラー59が加速してから等速度になった時点で、第1押圧力まで低下する。そして、加圧ローラー59が減速する前に、押圧力が第2押圧力まで上昇する。押圧力が上昇を開始する時点は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力が第1押圧力から第2押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ加圧ローラー59が減速する時点よりも前の時点である。そして、加圧ローラー59が減速して停止する間、第2押圧力が維持される。さらに、押圧力は、加圧ローラー59が停止すると第2押圧力から下降する。これにより、加圧ローラー59が定着ベルト57から離間するので、加圧ローラー59が変形等することによる劣化が防止される。
【0092】
図10は、第1の実施の形態における加圧ローラー制御、押圧力および用紙の位置の経時的な関係の一例を示す図である。図10を参照して、通常状態においては、加圧ローラー59が回転を開始する前に、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される押圧力が第1押圧力にまで上昇する。押圧力が第1押圧力の状態で、加圧ローラー59が加速し、基準回転速度で回転する。加圧ローラー59が基準回転速度で回転している間に用紙が加圧ローラー59と定着ベルト57との間のニップ部Nを通過する。図では、用紙がニップ部Nを通過している状態が定着処理中で示され、用紙がニップ部Nを通過していない状態が用紙待機中で示される。用紙がニップ部Nを通過した後に、加圧ローラー59が減速する。加圧ローラー59が停止した後に、押圧力が第1押圧力から下降し、押圧力が解除されてゼロになる。
【0093】
過負荷状態においては、加圧ローラー59が回転を開始する前に、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される押圧力が第2押圧力にまで上昇する。押圧力が第2押圧力の状態で、加圧ローラー59が加速し、基準回転速度で回転する。加圧ローラー59が基準回転数になると、押圧力が第2押圧力から第1押圧力に下降する。そして、押圧力が第1押圧力かつ加圧ローラー59が基準回転速度で回転している間に用紙が加圧ローラー59と定着ベルト57との間のニップ部Nを通過する。用紙がニップ部Nを通過した後であって加圧ローラー59が減速する前に、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される押圧力が第1押圧力から第2押圧力にまで上昇する。押圧力が第2押圧力の状態で、加圧ローラー59が減速し、停止する。加圧ローラー59が停止した後に、押圧力が第2押圧力から下降し、押圧力が解除されてゼロになる。
【0094】
図11および図12は、第1の実施の形態における押圧力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。押圧力制御処理は、プリンター100が備えるCPU111がROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶された押圧力制御プログラムを実行することによりCPU111により実行される処理である。図11および図12を参照して、プリンター100が備えるCPU111は、用紙が所定の位置に到達したか否かが判断される(ステップS01)。用紙が所定の位置に到達するまで待機状態となり(ステップS01でNO)、用紙が所定の位置に到達したならば(ステップS01でYES)、処理はステップS02に進む。所定の位置は、定着装置50を基準に搬送経路の上流の位置に定められる。例えば、所定の位置は、2次転写ローラー26が配置される位置にしてもよい。
【0095】
ステップS02においては、負荷状態によって処理が分岐する。負荷状態は、定着ベルト57の回転負荷の状態であり、通常状態と過負荷状態とを含む。負荷状態は、デフォルトで通常状態に設定されており、後述するステップS18において過負荷状態に設定される。負荷状態が通常状態ならば処理はステップS03に進むが、負荷状態が過負荷状態ならば処理はステップS04に進む。
【0096】
ステップS03においては、押圧力が第1押圧力になるまで押圧力の調整が開始される。CPU111は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力まで上昇させる。そして、次のステップS05において、加圧ローラー59が加速される。ステップS03において、荷重可変ギア75の回転を開始させるタイミングは、加圧ローラー59が停止した状態から加速する時点よりも荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ前となるように調整される。
【0097】
ステップS04においては、押圧力が第2押圧力になるまで押圧力の調整が開始される。CPU111は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第2押圧力まで上昇させる。そして、次のステップS05において、加圧ローラー59が加速される。ステップS04において、荷重可変ギア75の回転を開始させるタイミングは、加圧ローラー59が停止した状態から加速する時点よりも荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第2押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ前となるように調整される。これにより、加圧ローラー59が加速している間に押圧力を第2押圧力にすることができる。過負荷状態において、定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上である。押圧力を第1押圧力よりも高い第2押圧力なので、加圧ローラー59と定着ベルト57との間の摩擦力が大きくなる。これにより、定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上の場合に、定着ベルト57と加圧ローラー59とができるだけ滑らないようにできる。
【0098】
ステップS06においては、加圧ローラー59の回転速度が基準回転速度か否かが判断される。基準回転速度は、定着装置50を用紙が通過する速度に対応して定められる。ステップS05において加速された加圧ローラー59が基準回転速度ならば処理はステップS07に進むが、そうでなければ処理はステップS05に戻る。
【0099】
ステップS07においては、加圧ローラー59の加速が停止される。これにより、加圧ローラー59が等速度で回転する。ステップS08においては、負荷状態によって処理が分岐する。負荷状態が通常状態ならば処理はステップS10に進むが、負荷状態が過負荷状態ならば処理はステップS09に進む。ステップS09においては、押圧力が第1押圧力に調整され、処理はステップS10に進む。CPU111は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第2押圧力から第1押圧力まで下降させる。
【0100】
ステップS10においては、駆動モーター59Bのトルクが検出され、処理はステップS11に進む。ステップS11においては、用紙が通過したか否かが判断される。定着装置50を用紙が通過するまで待機状態となり(ステップS11でNO)、用紙が通過したならば(ステップS11でYES)、処理はステップS12に進む。
【0101】
ステップS12においては、負荷状態によって処理が分岐する。負荷状態が通常状態ならば処理はステップS14に進むが、負荷状態が過負荷状態ならば処理はステップS13に進む。ステップS14においては、加圧ローラー59が減速し、処理はステップS15に進む。
【0102】
ステップS13においては、押圧力が第2押圧力になるまで押圧力の調整が開始される。CPU111は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力から第2押圧力まで上昇させる。そして、次のステップS14において、加圧ローラー59が減速される。ステップS13において、荷重可変ギア75の回転を開始させるタイミングは、加圧ローラー59が減速する時点よりも荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力から第2押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ前となるように調整される。これにより、加圧ローラー59が減速している間に押圧力を第2押圧力にすることができる。過負荷状態において、定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上である。押圧力が第1押圧力よりも高い第2押圧力に上昇するので、加圧ローラー59と定着ベルト57との間の摩擦力が大きくなる。これにより、定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上の場合に、定着ベルト57と加圧ローラー59とができるだけ滑らないようにできる。
【0103】
ステップS15においては、加圧ローラー59が停止したか否かが判断される。加圧ローラー59が停止したならば処理はステップS16に進むが、そうでなければ処理はステップS14に戻る。ステップS16においては、押圧力が解除され、処理はステップS17にすすむ。CPU111は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力をゼロにする。
【0104】
ステップS17においては、回転負荷が閾値Th以上か否かが判断される。ステップS10において検出された駆動モーター59Bのトルクに基づき、定着ベルト57の回転負荷が求められる。回転負荷が閾値Th以上ならば処理はステップS18に進むが、そうでなければ処理はステップS01に戻る。ステップS18においては、負荷状態が過負荷状態に設定され、処理はステップS01に戻る。
【0105】
以上説明したように、第1の実施の形態におけるプリンター100は、画像形成装置として機能する。このプリンター100は、加圧ローラー59と、加圧ローラー59を回転駆動する駆動モーター59Bと、無端の定着ベルト57と、定着ベルト57の内側でかつ加圧ローラー59に対向して設けられ、定着ベルト57と加圧ローラー59とが接触するニップ部Nを形成する押圧部材63と、加圧ローラー59と押圧部材63との一方を他方に向けて押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構70と、定着ベルト57の回転負荷を検出する検出部271と、押圧力調整機構70を制御する押圧力制御部263とを備える。押圧力制御部263は、押圧力調整機構70を制御して、検出部271により検出された定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上の過負荷状態の場合、検出部271により検出された定着ベルト57の回転負荷が閾値Thより小さい通常状態における第1押圧力より高い第2押圧力になるようにする。このため、定着ベルト57が、加圧ローラー59と押圧部材63との間で加圧ローラー59に接触し、加圧ローラー59から受ける摩擦力によって押圧部材63の外側で回転する。定着ベルト57の回転負荷が閾値Th以上の過負荷状態の押圧力が、定着ベルト57の回転負荷が閾値Thより小さい通常状態における第1押圧力より高い第2押圧力になるように、押圧力調整機構70を制御する。このため、定着ベルト57の回転負荷の経時的な変化に応じて加圧ローラー59と定着ベルト57との接触面で発生する摩擦力が調整されるので、定着ベルト57と加圧ローラー59とがスティックスリップする頻度を少なくすることができる。その結果、定着装置50からの異音の発生を少なくすることができる。
【0106】
また、プリンター100は、加圧ローラー59が加減速している間に通常状態における第1押圧力より高い第2押圧力になるように押圧力を調整する。このため、過負荷状態においては、加圧ローラー59が加減速している間に押圧力が通常状態より高くなるので、加圧ローラー59が加減速している間における定着ベルト57と加圧ローラー59との間の摩擦力が高くなる。加圧ローラー59が加減速している間にスティックスリップが発生しやすいので、加圧ローラー59が加減速している間におけるスティックスリップによる異音の発生を少なくすることができる。
【0107】
また、プリンター100は、加圧ローラー59が加速する前または加圧ローラー59が加速すると同時に、押圧力調整機構70に押圧力の調整を開始させる。このため、加圧ローラー59が加速している間に押圧力を通常状態における第1押圧力よりも高い第2押圧力にできる。
【0108】
また、プリンター100は、加圧ローラー59が減速を開始する前または加圧ローラー59が減速を開始すると同時に、押圧力調整機構70に押圧力の調整を開始させる。このため、加圧ローラー59が減速している間に押圧力を通常状態における第1押圧力よりも高い第2押圧力にできる。
【0109】
また、プリンター100は、押圧力調整機構70に押圧力が通常状態における第1押圧力よりも高い第2押圧力の状態を所定時間継続させる。このため、スティックスリップが発生する確率の高い期間に押圧力を通常状態よりも高くできる。また、通常状態における第1押圧力よりも高い第2押圧力にする期間が制限されるので、加圧ローラー59の負荷をできるだけ小さくして、加圧ローラー59の寿命を長くできる。
【0110】
また、検出部271は、加圧ローラー59を駆動する駆動モーター59Bの回転トルクに基づいて、定着ベルト57の回転負荷を検出する。このため、定着ベルト57の回転負荷の検出が容易である。
【0111】
また、検出部271は、加圧ローラー59の累積回転数に基づいて、定着ベルト57の回転負荷を検出する。このため、定着ベルト57の回転負荷の検出が容易である。
【0112】
また、検出部271は、ニップ部Nを通過する記録媒体の累積枚数に基づいて、定着ベルト57の回転負荷を検出する。このため、定着ベルト57の回転負荷の検出が容易である。
【0113】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態におけるプリンター100は、負荷状態が過負荷状態の場合に加圧ローラー59が加減速する間に押圧力を第2押圧力に上昇させる。第2の実施の形態におけるプリンター100は、負荷状態が過負荷状態の場合に、加圧ローラー59が加減速する間に加えて加圧ローラー59が等速度で回転する間も押圧力を第2押圧力に上昇させる。以下、第2の実施の形態におけるプリンター100について、第1の実施の形態におけるプリンター100と異なる点を主に説明する。
【0114】
図13は、第2の実施の形態におけるプリンターが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図13を参照して、図8に示した機能と異なる点は、紙種決定部255が追加された点、決定部253が決定部253Aに変更された点である。その他の機能は、図13に示した機能と同じなので、ここでは説明を繰り返さない。
【0115】
図13を参照して、紙種決定部255は、プリンター100が画像形成の対象とする記録媒体の種類を決定し、記録媒体の種類を決定部253Aに出力する。給紙カセット35および手差カセット35Aそれぞれに対応して、それに収納される記録媒体の種類が予めユーザーにより設定されている。紙種決定部255は、画像形成経路45に配置されたセンサーの出力に基づいて紙種を決定してもよい。センサーは、画像形成経路45の定着装置50よりも上流側に配置される。センサーは、透過型のセンサーであり、例えば、超音波センサー、光電センサーが用いられる。超音波センサーにより出力される超音波の減衰率、光電センサーにより出力される光の減衰率から用紙の坪量が検出され、坪量に対応する紙種が決定される。紙種は、例えば、普通紙、厚紙、封筒等を含む。
【0116】
決定部253Aは、回転速度決定部277と、検出部271と、比較部273と、押圧力決定部275Aと、を含む。回転速度決定部277は、紙種決定部255から記録媒体の種類が入力される。回転速度決定部277は、記録媒体の種類に基づいて、加圧ローラー59の回転速度を決定する。厚紙および封筒は、普通紙に比較して厚い。このため、厚紙および封筒は、普通紙に比較して定着装置50を通過する際に熱が伝わりにくい。回転速度決定部277は、加圧ローラー59の回転速度を、記録媒体が厚い場合に薄い場合に比較して定速にする。本実施の形態においては、回転速度決定部277は、紙種が普通紙の場合に加圧ローラー59の回転速度を第1回転速度に決定し、紙種が厚紙または封筒の場合に加圧ローラー59の回転速度を第1回転速度より遅い第2回転速度に決定する。回転速度決定部277は、決定された回転速度を駆動制御部261および押圧力決定部275Aに出力する。
【0117】
押圧力決定部275Aは、比較部273Aから比較結果が入力され、回転速度決定部277から回転速度が入力される。押圧力決定部275Aは、比較結果および回転速度に基づいて押圧力を決定する。押圧力決定部275Aは、決定された押圧力を押圧力制御部263に出力する。具体的には、押圧力決定部275Aは、比較結果が通常状態を示す場合は回転速度に係わらず加減速時および等速時それぞれの押圧力を第1押圧力に決定する。押圧力決定部275Aは、比較結果が過負荷状態を示しかつ回転速度が第1回転速度を示す場合に加減速時の押圧力を第2押圧力に決定し、等速時の押圧力を第1押圧力に決定する。押圧力決定部275Aは、比較結果が過負荷状態を示しかつ回転速度が第2回転速度を示す場合に加減速時および等速時それぞれの押圧力を第2押圧力に決定する。第2押圧力は、第1押圧力よりも大きい。検出部271は、加圧ローラー59と定着ベルト57との間を用紙が通過している間における定着ベルト57の回転負荷を検出する。このため、押圧力決定部275Aは、加圧ローラー59と定着ベルト57との間を通過する用紙の次に通過する用紙に対応する押圧力を決定する。
【0118】
図14は、第2の実施の形態における加圧ローラーの回転速度と押圧力との関係の一例を示す図である。横軸が時間の経過が示され、加圧ローラー59の回転速度が実線で示される。図14においては、紙種が厚紙または封筒の場合における関係を示している。紙種が普通紙の場合における関係は、図7に示した関係と同じである。通常状態における押圧力が点線で示され、過負荷状態における押圧力が一点鎖線で示される。加圧ローラー59の回転速度は、第2回転速度まで加速し、所定時間等速度となり、停止するまで減速する。
【0119】
通常状態にける押圧力は、加圧ローラー59が加速する前に、押圧力が第1押圧力まで上昇する。押圧力が上昇を開始する時点は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第1押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ加圧ローラー59が加速する時点より前の時点である。そして、押圧力は、加圧ローラー59が加速してから等速度、そして減速して停止する間、第1押圧力が維持される。さらに、押圧力は、加圧ローラー59が停止すると下降する。これにより、加圧ローラー59が定着ベルト57から離間するので、加圧ローラー59が変形等することによる劣化が防止される。
【0120】
過負荷状態における押圧力は、加圧ローラー59が加速する前に、押圧力が第2押圧力まで上昇する。押圧力が上昇を開始する時点は、荷重可変ギア75を回転させて押圧力を第2押圧力まで上昇させるのに要する時間だけ加圧ローラー59が加速する時点より前の時点である。そして、押圧力は、加圧ローラー59が加速してから等速度、そして減速して停止する間、第2押圧力が維持される。さらに、押圧力は、加圧ローラー59が停止すると下降する。これにより、加圧ローラー59が定着ベルト57から離間するので、加圧ローラー59が変形等することによる劣化が防止される。
【0121】
図15は、第2の実施の形態における加圧ローラー制御、押圧力および用紙の位置の経時的な関係の一例を示す図である。押圧力制御および加圧ローラー制御それぞれは、紙種が厚紙または封筒の場合における制御が示される。図15を参照して、通常状態においては、加圧ローラー59が回転を開始する前に、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される押圧力が第1押圧力にまで上昇する。押圧力が第1押圧力の状態で、加圧ローラー59が加速し、第2回転速度で回転する。加圧ローラー59が第2回転速度で回転している間に用紙が加圧ローラー59と定着ベルト57との間のニップ部Nを通過する。図では、用紙がニップ部Nを通過している状態が定着処理中で示され、用紙がニップ部Nを通過していない状態が用紙待機中で示される。用紙がニップ部Nを通過した後に、加圧ローラー59が減速する。加圧ローラー59が停止した後に、押圧力が第1押圧力から下降し、押圧力が解除されてゼロになる。
【0122】
過負荷状態においては、加圧ローラー59が回転を開始する前に、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される押圧力が第2押圧力にまで上昇する。押圧力が第2押圧力の状態で、加圧ローラー59が加速し、第2回転速度で回転する。加圧ローラー59が第2回転速度で回転している間に用紙が加圧ローラー59と定着ベルト57との間のニップ部Nを通過する。図では、用紙がニップ部Nを通過している状態が定着処理中で示され、用紙がニップ部Nを通過していない状態が用紙待機中で示される。用紙がニップ部Nを通過した後に、加圧ローラー59が減速する。加圧ローラー59が停止した後に、押圧力が第2押圧力から下降し、押圧力が解除されてゼロになる。
【0123】
図16は、第2の実施の形態における押圧力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2の実施の形態における押圧力制御処理は、プリンター100が備えるCPU111がROM113、HDD115またはCD-ROM118に記憶された押圧力制御プログラムを実行することによりCPU111により実行される処理である。図16を参照して、プリンター100が備えるCPU111は、種類を検出し(ステップS21)、処理をステップS22に進める。定着装置50による定着処理の対象となる記録媒体の種類が検出される。
【0124】
ステップS22においては、加圧ローラー59の回転速度が決定され、処理はステップS23に進む。ステップS21において決定された記録媒体の種類に基づいて回転速度が決定される。記録媒体の種類が普通紙ならば第1回転速度に決定され、記録媒体の種類が厚紙または封筒ならば第2回転速度に決定される。第2回転速度は第1回転速度よりも低速である。
【0125】
ステップS23においては、記録媒体の種類によって処理が分岐する。記録媒体の種類が普通紙ならば処理はステップS24に進み、記録媒体の種類が厚紙または封筒ならば処理はステップS25に進む。ステップS24においては、図11に示した第1の実施の形態における押圧力制御処理が実行され、処理はステップS21に戻る。ステップS25においては、低速押圧力制御処理が実行され、処理はステップS21に戻る。
【0126】
図17は、低速押圧力制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。図17において、図11に示した処理と同じ処理には同じ符号が付されている。ここでは、図11に示した処理と異なる処理が説明される。図17を参照して、ステップS05において、加圧ローラー59が加速されると、次のステップS06Aにおいて、加圧ローラー59の回転速度が第2回転速度か否かが判断される。加圧ローラー59が第2回転速度ならば処理はステップS07に進むが、そうでなければ処理はステップS05に戻る。
【0127】
ステップS07においては、加圧ローラー59の加速が停止され、処理はステップS10に進む。加圧ローラー59は第2回転速度で等速度で回転する状態となる。
【0128】
ステップS10において駆動モーター59Bのトルクが検出され、次のステップS11において、用紙が通過したか否かが判断される。定着装置50を用紙が通過するまで待機状態となり(ステップS11でNO)、用紙が通過したならば(ステップS11でYES)、処理はステップS14に進む。ステップS14においては、加圧ローラー59が減速し、処理はステップS15に進む。
【0129】
第2の実施の形態におけるプリンター100において、押圧力調整機構70は、記録媒体の種類が厚紙または封筒の場合に、加圧ローラー59が加減速する間に加えて、記録媒体がニップ部Nを通過する間に通常状態における第1押圧力より高い第2押圧力となるように押圧力を調整する。このため、厚紙または封筒がニップ部Nを通過する間に押圧力が通常状態における第1押圧力より高い第2押圧力になるので、厚紙または封筒がニップ部Nを通過する間における定着ベルト57と加圧ローラー59との間の摩擦力が高くなる。加圧ローラー59の回転速度が小さい場合は、加圧ローラー59の回転速度が大きい場合に比較して定着ベルト57の回転負荷が大きくなる。このため、記録媒体が厚いほど加圧ローラー59の回転速度が小さくなる場合に、記録媒体が厚い場合におけるスティックスリップによる異音の発生を少なくすることができる。
【0130】
<第1の変形例>
第1の変形例においては、第1押圧力が用紙のサイズに応じて変動する。この場合、第2押圧力は、用紙のサイズに応じて定まる第1押圧力よりも大きくなるように設定される。ここでの用紙のサイズは、用紙の搬送方向に直交する方向の用紙の長さである。換言すれば、用紙のサイズは、用紙がニップ部Nを通過する方向に交わる方向の用紙の長さである。定着ベルト57と加圧ローラー59との間の摩擦力は、定着ベルト57と加圧ローラー59とが接触する面積と、加圧ローラー59が定着ベルト57を押圧する押圧力と所定の関係を有する。面積が大きいほど摩擦力が大きくなり、押圧力が大きいほど摩擦力が大きくなる。定着ベルト57と加圧ローラー59とが接触する面積は、用紙がニップ部Nを通過する際に小さくなる。このため、第1の変形例における定着装置50は、用紙のサイズに応じて、加圧ローラー59が定着ベルト57を押圧する第1押圧力を調整する。具体的には、用紙のサイズが大きいほど加圧ローラー59が定着ベルト57を押圧する第1押圧力を大きくする。
【0131】
<第2の変形例>
本実施の形態においては、加圧ローラー59が加熱部51に押圧されるが、加熱部51が加圧ローラー59に押圧されてもよい。
【0132】
<第3の変形例>
本実施の形態においては、定着ベルト57の回転負荷が加圧ローラー59を駆動する駆動モーター59Bのトルクから求められるが、定着ベルト57の回転負荷が定着装置50の駆動回数または回転距離から求められてもよい。このため、実験またはシミュレーションなどにより、定着ベルト57の回転負荷と定着装置50の駆動回数との関係を求めておくことで、定着ベルト57の負荷を定着装置50の駆動回数から求めることができる。定着装置50の駆動回数は、加圧ローラー59の回転数の累積値を用いてもよいし、定着ベルト57の回転数の累積値を用いてもよい。また、比較部273は、定着ベルト57の回転負荷を閾値と比較するようにしたが、駆動回数を閾値と比較してもよい。この場合における閾値は、定着装置50の駆動回数と押圧力との関係を予め定めておくことにより決定される。
【0133】
また、図7に示したように、定着ベルト57の回転負荷はプリント累積枚数に比例する。このため、定着ベルト57の回転負荷がプリント累計枚数から求められてもよい。実験またはシミュレーションなどにより、定着ベルト57の回転負荷とプリント累計枚数との関係を求めておくことで、定着ベルト57の負荷をプリント累計枚数から求めることができる。
【0134】
なお、本実施の形態においては、加圧ローラー59が定着ベルト57に押圧される例を示したが、定着装置50が駆動していない間は、加圧ローラー59は定着ベルト57から離間してもよい。好ましくは、加圧ローラー59は、少なくとも用紙がニップ部Nを通過する間に加熱部51に押圧される。これにより、加圧ローラー59が弾性変形する期間を記録媒体が通過する間に制限することができる。
【0135】
また、本実施の形態においては、画像形成装置の一例としてプリンター100が例に説明されたが、画像形成装置は、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ装置、これらを組み合わせた複合機(Multi Function Peripheral)などあってもよい。
【0136】
また、本実施の形態では、画像形成装置の一例として、タンデム型のカラーの画像を形成するプリンター100が説明されたが、これに限られるものではなく、モノクロの画像を形成する画像形成装置であってもよい。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20K、露光装置21Y,21M,21C,21K、帯電ローラー22Y,22M,22C,22K、感光体ドラム23Y,23M,23C,23K、現像器24Y,24M,24C,24K、1次転写ローラー25Y,25M,25C,25K、2次転写ローラー26、定着装置50の構成や配置は、本実施の形態に限定されず、他の構成や配置であっても良い。
【0137】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
100 プリンター、111 CPU、140 画像形成部、150 給紙部、50 定着装置、51 加熱部、53 加熱ローラー、55 加圧部、57 定着ベルト、59 加圧ローラー、59A 回転軸、59B 駆動モーター、61 熱源、63 押圧部材、65 グリス塗布部、71 レバー部材、71A レバー部材回転軸、71B 第1接続部、73 加圧フレーム、73A 加圧フレーム回転軸、73B 調整穴、73C 第2接続部、75 荷重可変ギア、75A ギア回転軸、75B 調整棒、77 ばね、91 サーミスター、251 定着装置制御部、253,253A 決定部、255 紙種決定部、261 駆動制御部、263 押圧力制御部、271 検出部、273,273A 比較部、275,275A 押圧力決定部、277 回転速度決定部、N ニップ部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17