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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173963
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】垂直孔穿孔装置
(51)【国際特許分類】
   C21B 7/06 20060101AFI20221115BHJP
   C21B 7/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C21B7/06 303
C21B7/00 304
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021080082
(22)【出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 竜介
(72)【発明者】
【氏名】古長 達廣
(72)【発明者】
【氏名】長尾 浩利
(72)【発明者】
【氏名】末廣 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】松井 悠起夫
(72)【発明者】
【氏名】小宮 一朗
【テーマコード(参考)】
4K015
【Fターム(参考)】
4K015AA00
4K015BA06
(57)【要約】
【課題】硬質の材料による床部硬化体に対し、垂直切削孔等の垂直孔を、安定した状態で精度良く且つ効率良く形成することができ、また装置の小型化が容易な垂直孔穿孔装置を提供する。
【解決手段】固形物質51の上を移動可能な基台部11とブーム部13と穿孔装置本体30とを含む。ブーム部13は、基板部14から立設するブーム本体部15を含む。ブーム本体部15は、穿孔装置本体30に近づく方向に曲がっており、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを、基端部150の端部よりも前方に配置させる湾曲支持プレート15cを備える。湾曲支持プレート15cは、先端連結部15bから基端部150に亘り、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されている。穿孔装置本体30は、湾曲支持プレートの先端連結部15bに回転可能に連結され、穿孔ロッド31を、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物質に垂直孔を穿孔形成するための垂直孔穿孔装置であって、
移動機構を介して前記固形物質の上を移動可能な基台部と、前記基台部上に取り付けられたブーム部と、該ブーム部の先端部に取り付けられた穿孔装置本体とを含んで構成されており、
前記ブーム部は、前記基台部に取り付けられた基板部と、前記基板部から立設するブーム本体部とを含んで構成されており、
前記ブーム本体部は、前記穿孔装置本体に近づく方向に曲がっていることで、前記穿孔装置本体が連結される先端連結部を、前記基板部に接続された基端部における前記穿孔装置本体側の端部より前方に配置させる湾曲支持プレートを備えており、
前記湾曲支持プレートは、前記先端連結部から前記基端部に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されており、且つ側面視における幅が、前記先端連結部側から前記基端部側に向かって増大しており、
前記穿孔装置本体は、前記湾曲支持プレートの前記先端連結部に俯仰方向に回転可能に連結されており、穿孔ロッドを、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能となっている、垂直孔穿孔装置。
【請求項2】
固形物質に穿孔される垂直切削孔の水平位置及び角度を調整可能となっている、請求項1に記載の垂直孔穿孔装置。
【請求項3】
前記垂直孔穿孔装置は、前記基台部の四方の角部分に設けられたアウトリガー部を備えており、前記ブーム本体部は、前記基台部に対して、前記湾曲支持プレートの前記基端部が、前記アウトリガー部によって囲まれる4角形の領域の内側に位置するように取り付けられている、請求項1又は2に記載の垂直孔穿孔装置。
【請求項4】
前記ブーム本体は、前記湾曲支持プレートを複数備えるとともに、前記湾曲支持プレート間を連結する鋼製プレートとを備えており、前記湾曲支持プレートは、それぞれ、外周辺部及び内周辺部がそれぞれ円弧状をなす曲折部を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の垂直孔穿孔装置。
【請求項5】
前記ブーム本体部は、前記湾曲支持プレートを一対備えているとともに、前記一対の湾曲支持プレートを一体として連結する連結ボックス部が形成されており、且つ前記一対の湾曲支持プレートに両端が固定された円筒又は円柱状の柱状補強体を備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の垂直孔穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直孔穿孔装置に関し、特に、垂直孔を穿孔形成するための垂直孔穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば製鉄所において、高炉の更新工事において、高炉の底部に残置された銑鉄を撤去する場合や、設備の稼働中に、炉外のピット等に応急的に排出された銑鉄を撤去する場合がある。これらの銑鉄は固形物質となった状態で撤去されるが、比重が大きいため搬出可能な重量となるように小割した状態に解体される。
【0003】
このような固形物質として残置されている銑鉄を解体するための工法が、従来より種々開発されており、例えば特許文献1に記載の残銑解体工法では、高炉の底部に残置された固形物質である残銑に発破孔を削孔し、発破によって残銑を小分けした状態に解体するようになっているが、この工法は、発破時の騒音や衝撃の対策として周辺での工事や操業を中断し退避が必要であること、高炉等の設備に損傷を与える可能性もあるなどといった課題があった。
【0004】
また、より安全な工法として、例えば特許文献2には、残銑をワイヤソーで切断することにより小分けにしたものを、炉外へ搬出する工法が提案されているが、残銑の切断面の外周部分にワイヤソーを設置する必要があるため、多くの手間を要すると共に、複数のワイヤソーを交差させて配置することは困難である等、制約が多い工法となっている。
【0005】
これに対して、例えば特許文献3には、発破孔を削孔するための装置や穿孔ビットを用いて、所定の切断線に沿って連設させた状態で、残銑の底部に達する複数の垂直切削孔による切削溝を形成することで、残銑を線状に切断する工法(ラインカット工法)が提案されており、さらに、例えば特許文献4には、このようなラインカット工法において、各々の垂直切削孔を全断面で穿孔するドリルタイプの穿孔ビットに替えて、垂直切削孔の円周部分のみを穿孔するコアビットによる穿孔ビットを用いることも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-256717号公報
【特許文献2】特開2011-153327号公報
【特許文献3】特開2012-162787号公報
【特許文献4】特開2020-2386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、好ましくは上述のラインカット工法に用いる、従来の垂直切削孔を形成するための装置は、例えば山岳トンネル工法において、主として岩盤に対して横方向に発破孔を削孔するための穿孔ビットによる装置を用いていたため、回転連結部や伸縮部を備えた長いブームやアームを備えるのが通常であった。そのため、ブームやアームは、回転連結部や伸縮部の無い連続する一部材とはなっていないことから、装置の小型化を図ることが難しく、例えば狭い高炉内での作業性の点等において改善の余地がある。
【0008】
また、特に岩盤と比較して硬質で強度が大きくなっている、例えば銑鉄による残銑塊によって形成される、例えば高炉の床部に床部硬化体として残置された固形物質に対して垂直切削孔を穿孔する際には、穿孔時に負荷される大きな荷重を、穿孔装置を搭載した重機における、クローラ等の移動機構による周囲の床部硬化体への接地部分だけでは、安定した状態で支えることができなくなって、不安定な状態となり易いため、垂直切削孔を精度良く形成することが難しくなる。
これに対して、例えば特許文献4によれば、重機(クローラ)に搭載された穿孔装置である削孔機における、穿孔ビットを挟んだ重機側及びこれの反対側に、押圧部材や、先行して形成された垂直切削孔に挿入される定着手段を備える軸体を設けて、これらを床部硬化体に押し付けることで、穿孔装置による穿孔作業を安定させる工夫がなされているが、これらの手段を用いた場合でも、垂直切削孔を硬質の床部硬化体に精度良く形成してゆくのには手間がかかると共に、1箇所の垂直切削孔を形成する度に重機(クローラ)を据え付け直しながら穿孔を行う必要があるため、移動と据え付けに時間がかかることで、複数の垂直切削孔を、好ましくは直線状に連設させた状態で効率良く形成して行くことは困難である。
【0009】
本発明は、硬質の材料による固形物質に対して、垂直切削孔等の垂直孔を、安定した状態で精度良く且つ効率良く形成することができ、また装置の小型化が容易で、例えば、狭い高炉内での作業性の向上等を図ることができる、垂直孔穿孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、固形物質に垂直孔を穿孔形成するための垂直孔穿孔装置であって、移動機構を介して前記固形物質の上を移動可能な基台部と、前記基台部上に取り付けられたブーム部と、該ブーム部の先端部に取り付けられた穿孔装置本体とを含んで構成されており、前記ブーム部は、前記基台部に取り付けられた基板部と、前記基板部から立設するブーム本体部とを含んで構成されており、前記ブーム本体部は、前記穿孔装置本体に近づく方向に曲がっていることで、前記穿孔装置本体が連結される先端連結部を、前記基板部に接続された基端部における前記穿孔装置本体側の端部より前方に配置させる湾曲支持プレートを備えており、前記湾曲支持プレートは、前記先端連結部から前記基端部に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されており、且つ側面視における幅が、前記先端連結部側から前記基端部側に向かって増大しており、前記穿孔装置本体は、前記湾曲支持プレートの先端連結部に俯仰方向に回転可能に連結されており、穿孔ロッドを、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能となっている、垂直孔穿孔装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】
本発明の垂直孔穿孔装置は、固形物質に穿孔される垂直切削孔の水平位置及び角度を調整可能となっていることが好ましい。
【0012】
本発明の垂直孔穿孔装置は、前記垂直孔穿孔装置が、前記基台部の四方の角部分に設けられたアウトリガー部を備えており、前記ブーム本体部は、前記基台部に対して、前記湾曲支持プレートの前記基端部が、前記アウトリガー部によって囲まれる4角形の領域の内側に位置するように取り付けられていることが好ましい。
【0013】
本発明の垂直孔穿孔装置は、前記ブーム本体が、前記湾曲支持プレートを複数備えるとともに、前記湾曲支持プレート間を連結する補強鋼板とを備えており、前記湾曲支持プレートは、それぞれ、外周辺部及び内周辺部がそれぞれ円弧状をなす曲折部を備えていることが好ましい。
【0014】
本発明の垂直孔穿孔装置は、前記湾曲支持プレートを一対備えているとともに、前記一対の湾曲支持プレートを一体として連結する連結ボックス部が形成されており、且つ前記一対の湾曲支持プレートに両端が固定された円筒又は円柱状の柱状補強体を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の垂直孔穿孔装置によれば、硬質の材料による固形物質に対して、垂直切削孔等の垂直孔を、安定した状態で精度良く且つ効率良く形成することができ、また装置の小型化が容易で、例えば、狭い高炉内での作業性の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る垂直切削孔連設穿孔装置を説明する側面図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る垂直切削孔連設穿孔装置を説明する平面図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る垂直切削孔連設穿孔装置による施工状況を説明する略示断面図である。
図4】垂直切削孔連設穿孔装置におけるスライドブーム部、スライドレール部、及び取付け支持部の部分の、(a)は略示側面図、(b)は(a)を右側から見た略示背面図である。
図5】垂直切削孔連設穿孔装置におけるスライドブーム部、及びスライドレール部の部分の、(a)は略示側面図、(b)は(a)を上方から見た略示平面図である。
図6】(a)は、図5(a)のA-Aに沿った断面図、(b)は(a)のB部拡大図である。
図7】垂直切削孔連設穿孔装置におけるスライドーム部(ブーム部)の詳細を示す斜視図である。
図8】垂直切削孔連設穿孔装置におけるスライドーム部(ブーム部)及び穿孔装置本体の穿孔ロッドを、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能とする機構を示す斜視図である。
図9】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図10】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、(a)は平面図、(b)は底面図である。
図11】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
図12】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、(a)は斜視図、(b)は図9(a)のA-A線断面図である。
図13】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、(a)は図11(a)のB-B線断面図、(b)は使用状態を示す参考図である。
図14】垂直切削孔連設穿孔装置におけるブーム本体部の、使用状態を示す全体参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2は、本発明の垂直孔穿孔装置の好ましい一実施形態に係る垂直切削孔連設穿孔装置10を示すものである。本実施形態に係る垂直切削孔連設穿孔装置10は、例えば製鉄所において、図3に示すように、高炉50の底部に残留した銑鉄によって、固形物質である床部硬化体51として残置された残銑の塊を、所定の切断線に沿って連設する、複数の垂直切削孔52による貫通溝53を形成するラインカット工法により線状に切断する工事において用いられる。すなわち、本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10は、例えば相当の強度を有する硬質の固形物質である床部硬化体51に、貫通溝53を構成する各々の垂直切削孔52を、好ましくは直線状に連設させて複数形成するための、固形物質である床部硬化体51の表面に対して垂直方向の孔を穿孔する作業に特化した穿孔装置として用いられる。本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10は、例えば硬質の床部硬化体51を形成している残銑に対して、複数の垂直切削孔52を、好ましくは水平位置及び角度を容易に調整しつつ、例えば貫通孔として上下に貫通させると共に、好ましくは直線状に連設させて安定した状態で、精度良く且つ効率良く形成して行くことができるようにする機能を備えている。
【0018】
本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10は、例えば残銑による床部硬化体51に垂直孔として床部硬化体51に穿孔される垂直切削孔52を、好ましくは直線状に連設させて複数形成するための穿孔装置である。本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10は、図1及び図2に示すように、移動機構40を介して床部硬化体51の上を移動可能な基台部11と、基台部11上に取り付けられたブーム部13と、ブーム部13の先端部に取り付けられた穿孔装置本体30とを含んで構成されている。ブーム部13は、基台部11に取り付けられた基板部14と、基板部14から立設するブーム本体部15とを含んで構成されている。
ブーム本体部15は、図4(a)及び図7に示すように、穿孔装置本体30に近づく方向に曲がっていることで、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bが、基板部14に接続された基端部150における穿孔装置本体30側の端部151よりも前方に配置された湾曲支持プレート15cを備えている。湾曲支持プレート15cは、先端連結部15bから、基板部14に接続された基端部150に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されている。湾曲支持プレート15cは、側面視における幅Wが、先端連結部側15bから、基板部14に接続された基端部150側に向かって増大している。湾曲支持プレート15cの基端部150は、湾曲支持プレート15cの後述する底辺部が基板部14と溶接により結合された部分である。
【0019】
また、本実施形態では、穿孔装置本体30は、好ましくは当該穿孔装置本体30を上下動及び揺動可能に支持する取付け支持部44を介在させて、スライドブーム部13のブーム本体部15の先端連結部15b、より具体的には、湾曲支持プレート15cが備える先端連結部15bに、俯仰方向に回転可能に連結されており、穿孔装置本体30を構成する取付け支持部44における先端連結部15bよりも上方部分と、ブーム本体部15における先端連結部15bよりも下方部分とを連結する伸縮ジャッキ17の駆動によって、穿孔装置本体30の穿孔ロッド31を、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能となっている。
【0020】
垂直切削孔連設穿孔装置10は、好ましくは、床部硬化体51に穿孔される垂直切削孔52を、直線状に連設させて複数形成するのに用いられる垂直切削孔連設穿孔装置であり、前述したブーム部13として、基台部11に支持されてこれの上面部に沿って進退移動するスライドブーム部13を備えている。
より具体的には、垂直切削孔連設穿孔装置10は、前述した基台部11と、基台部11の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12と、前述したスライドブーム部13と、スライドブーム部13の進退移動を案内する、基台部11に設置されたスライドレール部16とを更に有しており、スライドブーム部13の先端部に穿孔装置本体30が取り付けられている。
【0021】
またスライドレール部16は、基台部11におけるアウトリガー部12によって囲まれる4角形の領域Rの内側において、スライドブーム部13の基板部14を移動させるように設けられている。スライドブーム部13は、スライドレール部16の上にスライド可能に載置される基板部14と、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として基板部14から立設すると共に、好ましくは湾曲する曲折部15aを介して側方に折れ曲がっていることで、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを基板部14の直上領域の外側に配置させるブーム本体部15とを含んで構成されている。穿孔装置本体30は、これの穿孔ロッド31を垂直に立設させた際に、下端の穿孔ビット31aがアウトリガー部12によって囲まれる4角形の領域Rの外側に配置されるように、ブーム本体部15の先端連結部15bに連結されている。
【0022】
本実施形態では、残銑による床部硬化体51(図3参照)の上面に沿って当該垂直切削孔連設穿孔装置10を移動させる移動機構40は、基台部11の両側の側部に配置された、一対の無限軌道を備える公知のクローラ式の走行装置41によるものとなっている(図1参照)。移動機構40が設けられていることにより、アウトリガー部12を接地させていない状態で、スライドブーム部13及びスライドレール部16が設けられた基台部11を、床部硬化体51における垂直切削孔52による切削溝53の切削ライン上に、穿孔装置本体30と共に移動させることができるようになっている。
【0023】
基台部11は、各種の鋼材を組み付けることによって、好ましくは全体として概ね縦長矩形の平面形状を備えるように形成されると共に、一対のクローラ式の走行装置41を連結するようにしてこれらの間の部分に設けられた支持台(図示せず)に、一体として固定されていることで、移動機構40の直上部分に配置され、例えば運転室42(図1参照)における作業員による移動機構40の運転操作によって、移動機構40の移動に伴って、床部硬化体51の上を移動できるようになっている。基台部11には、後述するスライドブーム部13やスライドレール部16の他、運転室42、制御盤43、電動機、燃料タンク等の、必要とされる公知の種々の設備や機器が設けられている。基台部11の概ね縦長矩形の平面形状の四方の角部分には、上下方向に伸縮可能なアウトリガー部12が取り付けられている。
【0024】
アウトリガー部12は、シリンダー部12aとピストンロッド部12bと接地盤部12cとを備える、公知の伸縮機構を含んで構成されており、例えば油圧の作用によって、基台部11に固定されたシリンダー部12aに対して、ピストンロッド部12bを摺動させることで伸縮させて、ピストンロッド部12bの下端部に取り付けられた接地盤部12cを、床部硬化体51の上面に押し付けるように接地させて床部硬化体51から支持力を得たり、床部硬化体51から離間させて移動機構40を介して穿孔装置10を移動可能な状態とすることがきるようになっている。基台部11の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12を床部硬化体51に接地させて穿孔装置10の重量を支持させることにより、穿孔装置本体30の穿孔ロッド31を用いて垂直切削孔52を穿孔する際に、スライドブーム部13を介して伝達される穿孔時における穿孔装置本体30からの荷重を、穿孔装置10の重量によって安定した状態で支えることが可能になる。
【0025】
本実施形態におけるブーム部13(スライドブーム部13)は、基板部14とブーム本体部15とを含んで構成されている。図4(a)、(b)及び図5(a)、(b)にも示すように、ブーム本体部15は、取付け支持部44を介して先端連結部15bから負荷される、穿孔装置本体30による穿孔時における垂直方向の荷重を、安定した状態でそのまま基板部14に伝達して支持させる部分である。基板部14は、基台部11上に直接又は間接的に取り付けられて、基板部14に伝達された前記荷重を、安定した状態でそのまま基台部11に伝達して支持させる部分である。
本実施形態におけるブーム部13は、基台部11の上面部に沿って進退移動するスライドブーム部13であり、基板部14は、スライドブーム部13を進退方向Xに進退移動させる際のスライド部となる部分であるとともに、基板部14に伝達された前記荷重を、スライドレール部16上に固定された状態で、基台部11に伝達して支持させる。
【0026】
本実施形態におけるブーム本体部15は、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを備える一対の湾曲支持プレート15cを備えている。湾曲支持プレート15cは、穿孔装置本体30に近づく方向に曲がっていることで、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを、基板部14に接続された基端部150における穿孔装置本体30側の端部151よりも前方に配置させる。穿孔装置本体30に近づく方向とは、図5中の左方向であり、進退方向Xの前方である。
穿孔装置本体30側の端部151は、穿孔装置本体30に近づく方向(図5中の左方向)の端部である。本実施形態では、基板部14は、穿孔装置本体30に近づく方向(図5中の左方向)において、湾曲支持プレート15cにおける穿孔装置本体30側の端部151より延出している。ブーム本体部15は、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを、基板部14の直上領域の外側に配置させるようになっていることが好ましい。基板部14の直上領域の外側とは、基板部14における穿孔装置本体30側の端部141より前方である。
【0027】
本実施形態では、ブーム本体部15は、湾曲支持プレート15cを複数備えており、また湾曲支持プレート15c,15c間を連結する鋼製プレート153とを有している。より具体的には、ブーム本体部15は、基板部14の幅方向中心線Cを挟んだ両側に対称に配置された一対の湾曲支持プレート15cと、これらの間隔部分に配置されて一対の湾曲支持プレート15cを一体として連結する、鋼製プレート153からなる連結ボックス部15dとを備えている。
湾曲支持プレート15cは、例えば40~50mm程度の厚さの鋼製プレートからなる。湾曲支持プレートは15c、先端連結部15bから基端部150に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されており、また図4(a)に示すように、側面視における幅Wが、先端連結部15b側から基端部150側に向かって増大している。また湾曲支持プレート15cは、外周辺部154及び内周辺部155がそれぞれ円弧状をなす湾曲した曲折部15aを備えており、より詳細には、湾曲支持プレート15cの略全体が湾曲した曲折部15aとなっている。ここで、「円弧状」とは、真円の弧の部分の形状に限定されるものではなく、例えば楕円の弧の部分や、これらの円弧に近似する形状を含むものである。
【0028】
本実施形態では、各々の湾曲支持プレート15cは、基板部14に接合される直線状の底辺部と、略四半円弧形状の外周辺部154と、外周辺部よりも曲率半径の小さな略四半円弧形状の内周辺部155と、先端部の半円形状の先端辺部156とによって囲まれる、基板部14から先端連結部15bに向けて、湾曲方向と垂直な方向の幅Wを滑らかに、且つ徐々に狭くした、湾曲する側面形状を備えている。
【0029】
また連結ボックス部15dは、湾曲支持プレート15cと同様の例えば40~50mm程度の厚さの鋼製プレート153からなり、湾曲支持プレート15cの外周辺部154よりも僅かに小さな曲率半径で湾曲する外周面部157と、湾曲支持プレート15cの内周辺部155よりも僅かに大きな曲率半径で湾曲する内周面部158と、湾曲支持プレート15cの半円形状の先端辺部156よりも手前の部分で縦方向に延設して、これらの外周面部157と内周面部158とを接続する縦方向端面部159とからなる、湾曲する中空の立体形状を備えるように加工されている。連結ボックス部15dは、外周面部を湾曲支持プレート15cの外周辺部に沿わせると共に、内周面部を湾曲支持プレート15cの内周辺部に沿わせた状態で、両側の側端面を一対の湾曲支持プレート15cの内側面に溶接等を介して各々接合することによって、これらの湾曲支持プレート15cを一体として強固に連結して、これらの間の部分に中空のボックス形状となるように取り付けられる。
【0030】
これらによって、ブーム本体部15は、スライドレール部16の上にスライド可能に載置される基板部14から、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として立設すると共に、好ましくはその全体に亘る曲折部15aを介して側方に折れ曲がっていることで、後述する取付け支持部44を介在させて穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを、基板部14の直上領域の外側に配置させるようになっている。
【0031】
また、ブーム本体部15の先端連結部15bには、連結ボックス部15dの縦方向端面部よりも先端側の部分において、両側の湾曲支持プレート15cの間に架設されて、後述する穿孔装置本体30の取付け支持部44を俯仰方向に回転可能に連結させる、回転連結ピン部材15eが取り付けられており、ブーム本体部15における先端連結部15bよりも下方部分である下部には、両側の湾曲支持プレート15cの間に架設されて、伸縮ジャッキ17の一端部を連結させるジャッキ連結ピン部材15fが、連結ボックス部15dの中空内部を貫通すると共に、両側の端部を各々の湾曲支持プレート15cの外側に突出させた状態で取り付けられている。
【0032】
さらに、本実施形態では、ブーム本体部15の上下方向中間部分には、両側の湾曲支持プレート15cの間に架設されて、円形の中空断面を備える鋼管部材15gが、連結ボックス部15dの中空内部を貫通すると共に、両側の端部を各々の湾曲支持プレート15cに開口させた状態で取り付けられている。鋼管部材15gは、本発明における柱状補強体の一例であり、柱状補強体としては、鋼管部材15gに代え又は鋼管部材15gとともに、中実円柱状の鋼材を用いることもできる。ブーム本体部15の湾曲支持プレート15cの間に架設されて、鋼管部材15g等の柱状補強体が取り付けられていることにより、柱状補強体は左右の湾曲支持プレート15cの補強用のリブとして機能して、負荷される大きな偏荷重によってブーム本体部15にねじれ変形が生じ易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。
【0033】
スライドブーム部13の基板部14は、例えば40~50mm程度の厚さの鋼製プレートからなり、進退方向Xの長さが800~900mm程度、これと直交する幅方向Yの長さが1200~1300mm程度の大きさの、矩形状の平面形状を備えている。基板部14の上面には、上述の湾曲支持プレート15cが溶接等を介して一体として接合されていると共に、幅方向Yの両側の側縁部分は、コの字断面形状を備えるように鍵型形状に折れ曲がっていることで、一対のスライドレール部16に外側から抱え込むようにして係止された状態で、スライドレール部16に上に載置される、レール係止載置部14aを有している(図4(b)、図6(a)参照)。レール係止載置部14aの内側面には、スベリ軸受として公知の、例えば板状の自己潤滑性軸受けである商品名「オイレスベアリング」(オイレス工業株式会社製)による滑りプレート部材14bが、載置面となる天面部と、側面部及び底面部の3面に、接合金具を介して一体として取り付けられている(図6(a)参照)。滑りプレート部材14bが取り付けられた天面部を載置面として、基板部14がスライドレール部16の上に載置されることで、スライドブーム部13が、スライドレール部16との面接触によって、穿孔時に負荷される荷重を、安定した状態でスライドレール部16及びこれが取り付けられた基台部11に伝達させながら、スライドレール部16に沿ってスムーズにスライド移動することが可能になる。
【0034】
また、スライドブーム部13の基板部14の幅方向Yにおける両側の側縁部分には、図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)に示すように、レール係止載置部14aに隣接して、ストッパー部18が、各々一カ所に設けられている。ストッパー部18は、基板部14に固定された油圧シリンダ18aと、油圧シリンダ18aの直下部分の基板部14を貫通して形成された進退貫通孔18cに挿入された状態で、油圧シリンダ18aの作動によって上下方向に進退移動するストッパーピン18bとからなる。ストッパー部18は、ストッパーピン18bを下方に移動させて、スライドレール部16の上面を押圧させることで、その密着摩擦力によって、スライドレール部16に沿って所定の位置までスライド移動させたスライドブーム部13を、ストップさせると共に固定して、所定の位置に強固に保持させることができるようなっている。またストッパーピン18bを上方に移動させて、スライドレール部16の上面を押圧させた状態を解除することで、スライドブーム部13を、スライドレール部16に沿ってスライド移動可能な状態とすることが可能になる。
【0035】
さらに、本実施形態では、スライドブーム部13の基板部14における進退方向Xの後部には、図4(a)、(b)に示すように、一対の油圧モータ19が、一対の湾曲支持プレート15cの間の部分に配置されて、基板部14の幅方向中心線Cを挟んだ両側に対称に位置して設けられている。各々の油圧モータ19には、基板部14の下方に突出するピニオン部材19aが取り付けられている。各々の油圧モータ19に取り付けられた一対のピニオン部材19aは、基台部11の上面部における幅方向Yの中心部分に進退方向Xに延設して固定された、ラック部材20(図4(b)、図5(b)参照)の両側面のラック20aに、両側から挟み込むようにして各々歯合することにより、油圧モータ19の回転に伴って、基板部14及びこれと一体となったブーム本体部15からなるスライドブーム部13を、進退方向Xに押し出したり引き込んだりして、スライドレール部16に沿って進退移動させることができるようになっている。
【0036】
スライドブーム部13の進退移動を案内するスライドレール部16は、本実施形態では、図5(a)、(b)及び図6(a)、(b)にも示すように、例えばL断面形状を有する鋼製部材からなり(図6(a)参照)、基台部11の上面部における、幅方向Yの中央部分に固定されたラック部材20を挟んだ両側に一対、ラック部材20と平行に配置されて進退方向Xに延設して固定されている(図5(b)参照)。一対のスライドレール部16は、L字断面形状の一方の辺部16aの先端を、基台部11の上面部に当接させて(図6(a)参照)、溶接等により基台部11に接合されることにより、上方に配置させた他方の辺部16bを一方の辺部16aから外側に張り出させた状態で、強固に固定されている。
【0037】
スライドレール部16の一方の辺部16aから外側に張り出した他方の辺部16bには、上述したスライドブーム部13の基板部14のレール係止載置部14aが、これの内側面に配置された滑りプレート部材14bを外周面に密着させることが可能な状態で、当該他方の辺部16bを外側から抱え込むようにして係止されることになる。他方の辺部16bにおける一方の辺部16aの直上部分の上面部には、進退方向Xに沿って延設して、ライナープレート16cが、埋め込まれるようにして固定されている(図5(b)、図6(b)参照)。このライナープレート16cの上面に、ストッパー部18のストッパーピン18bの下面を密着させることで、ストッパーピン18bによりスライドレール部16の上面を押圧してスライドブーム部13を所定の位置に固定する際に、これらの間の強固な密着摩擦力によって、スライドブーム部13が固定された状態を、より安定して保持することが可能になる。
【0038】
また、本実施形態では、各々のスライドレール部16の一方の辺部16aの外側面と、基台部11の上面との間に跨るようにして、直角三角形状の補強リブプレート16dが、例えば両側の斜辺部をこれらの外側面や上面に溶着することで、進退方向Xに所定の間隔をおいて複数箇所に接合固定されている(図4(b)、図6(a)参照)おり、これによってスライドレール部16の、基台部11に対する接合状態を補強して、固定強度を向上させている。
【0039】
一対のスライドレール部16は、本実施形態では、一対の無限軌道を用いたクローラ式の走行装置41の当該無限軌道と好ましくは平行に延設して、基台部11における、運転室42と、前方の一対のアウトリガー部12との間の領域に配置されて敷設されている(図1図2参照)。これによって、スライドレール部16は、基台部11における四方のアウトリガー部12により囲まれる4角形の領域Rの内側で、スライドブーム部13の基板部14を移動させることが可能になる。またこれによって、スライドブーム部13の湾曲するブーム本体部15の先端連結部15bに連結された穿孔装置本体30を、これの穿孔ロッド31を垂直に立設させた際に、下端の穿孔ビット31aが四方のアウトリガー部12によって囲まれる4角形の領域Rの外側に配置された状態を保持させながら、進退方向Xに移動させることが可能になる。
【0040】
本実施形態では、スライドブーム部13の先端部に取り付けられた穿孔装置本体30は、例えば特開2020-2386号公報に記載の高炉の銑鉄切断方法に用いる削孔機と同様の構成を備える、公知の穿孔装置を用いることができる。穿孔装置本体30は、図1及び図2に示すように、縦方向基盤部32と、この縦方向基盤部32に上下方向に移動自在に搭載された回転駆動部33と、縦方向基盤部32に設けられて、回転駆動部33を、残銑による床部硬化体51に向けて上下に進退移動させる移動機構34と、回転駆動部33に着脱可能に取り付けられて下方に延設すると共に、下端部に穿孔ビット31aが取り付けられた穿孔ロッド31とを含んで構成されている。
【0041】
穿孔装置本体30は、回転駆動部33の駆動力によって、穿孔ロッド31を介して穿孔ビット31aを回転させつつ、回転駆動部33を移動機構34によって下降させてゆくことにより、残銑による床部硬化体51に、垂直切削孔52を穿孔形成してゆくことができるようになっている(図3参照)。本実施形態では、穿孔ロッド31の下端部に取り付けられた穿孔ビット31aとして、好ましくは垂直切削孔52の円周部分を切削するコアビットによる穿孔ビットが用いられている。これによって、垂直切削孔52を全断面で穿孔するドリルタイプの穿孔ビットと比較して、穿孔時の荷重を効果的に低減することが可能になる。
【0042】
本実施形態では、穿孔装置本体30は、図1及び図4(a)、(b)に示すように、当該穿孔装置本体30の一部を構成する取付け支持部44を介して、スライドブーム部13のブーム本体部15の先端連結部15bに、俯仰方向に回転可能に連結されている。穿孔装置本体30が、取付け支持部44を介在させてスライドブーム部13のブーム本体部15の先端連結部15bに連結されていることにより、穿孔装置本体30を上下動及び揺動可能に、スライドブーム部13のブーム本体部15によって支持させることが可能になる。
【0043】
本実施形態では、四方のアウトリガー部12を伸縮させて、基台部11が水平に据え付けられるよう調整できるようになっているが、例えば残銑による床部硬化体51の表面に、相当程度の凹凸がある場合には、アウトリガー部12の伸縮だけでは、基台部11を精度良く水平に据え付けることが困難な場合がある。取付け支持部44を介在させることで、スライドブーム部13のブーム本体部15に対する穿孔装置本体30の俯仰方向に回転可能な連結状態に加えて、当該取付け支持部44による上下動及び揺動によって、穿孔装置本体30を、穿孔ロッド31を垂直に立設するように精度良く容易に調整することが可能になると共に、穿孔ビット31aの先端の高さ位置を、所定の切断線に沿わせるようにして精度良く容易に調整することが可能になる。また穿孔ロッド31を精度良く垂直に立設させた状態を保持したまま、スライドブーム部13のスライドレール部16に沿った移動によって、穿孔ロッド31及び穿孔ビット31aを、所定の切断線に沿った進退方向Xに精度良く移動させてゆくことが可能になる。
【0044】
穿孔装置本体30を構成する取付け支持部44は、縦方向基盤部32を縦方向にスライド移動可能に把持する縦方向ガイドプレート部45と、回転連結盤46を介して縦方向ガイドプレート部45を進退方向Xと垂直な面に沿って回転可能に支持する取付けプレート部47とを含んで構成されている。取付けプレート部47の進退方向Xの後面側の下部には、一対の下部連結リブプレート47aが突出して設けられている。これらの下部連結リブプレート47aを、スライドブーム部13のブーム本体部15の先端連結部15bに取り付けられた回転連結ピン部材15eにピン接合することによって、穿孔装置本体30を、取付け支持部44と共にスライドブーム部13によって俯仰方向に回転可能に支持させることができるようになっている。
【0045】
取付けプレート部47の進退方向Xの後面側の上部には、上部連結リブプレート47bが、両側の側部に一対組になって各々突出して設けられている(図4(b)参照)。これらの組になった両側の側部の上部連結リブプレート47bの間に架設されて、ジャッキ連結ピン47cが取り付けられている。ジャッキ連結ピン47cには、両側の側部の組になった各一対の上部連結リブプレート47bの間の部分において、スライドブーム部13のブーム本体部15に設けられたジャッキ連結ピン部材15fの両端部に一端部が各々に連結された、両側の一対の伸縮ジャッキ17の他端部が、各々回転可能に連結されている。これによって、穿孔装置本体30は、取付け支持部44におけるスライドブーム部13の先端連結部15bよりも上方部分と、ブーム本体部15における先端連結部15bよりも下方部分とを連結するこれらの伸縮ジャッキ17の駆動によって(図4(a)及び図8参照)、穿孔装置本体30の穿孔ロッド31を、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能となっている。
【0046】
また、本実施形態では、取付けプレート部47の進退方向Xの前面側の中間部分には、下部揺動支持台47dが、回転連結盤46を挟んだ両側の側部において各々突出して設けられている。これらの下部揺動支持台47dには、縦方向ガイドプレート部45の進退方向Xの後面側の上部に突出して設けられた上部揺動支持台45aに一端部が回転可能に連結された、一対の揺動ジャッキ48の他端部が、各々回転可能に連結されている。
【0047】
一対の揺動ジャッキ48は、例えば油圧ジャッキからなり、回転連結盤46を挟んだ両側の側部に配置された下部揺動支持台47dから、縦方向ガイドプレート部45に取り付けられた上部揺動支持台45aに向けて、基台部11の幅方向中心線C側に傾倒させた状態で、好ましくは対称に配置されて設けられている。一対の揺動ジャッキ48を適宜伸縮させることにより、縦方向ガイドプレート部45を、回転連結盤46を中心に取付けプレート部47に対して回転させることで、進退方向Xと垂直な面に沿って左右に揺動させて、穿孔装置本体30の穿孔ロッド31が垂直に立設するように、容易に調整することが可能になる。
【0048】
また、縦方向ガイドプレート部45の後面側における回転連結盤46よりも下方部分には、縦方向ジャッキ49の一方の端部が連結される、上部縦方向支持リブ45bが、両側の側部に配置されて一対取り付けられている。縦方向ジャッキ49の他方の端部は、穿孔装置本体30の縦方向基盤部32における進退方向Xの後面側の下端部分の両側の側部に突出して設けられた、下部縦方向支持リブ32aに各々連結されている。これによって、縦方向ジャッキ49を伸縮させて、縦方向基盤部32を縦方向ガイドプレート部45に対して上下にスライド移動させることで、穿孔ロッド31を好ましくは垂直に立設させた状態を保持したまま、下端の穿孔ビット31aを残銑による床部硬化体51の表面に近づけて、穿孔ロッド31及び穿孔ビット31aを所定の切断線に沿った所定の穿孔位置に、精度良く位置決めすることが可能になる。
【0049】
上述の構成を備える本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10を用いて、ラインカット工法により所定の切断線に沿って複数の垂直切削孔52を線状に連設させて穿孔することで、残銑による床部硬化体51(図3参照)を切断するには、スライドブーム部13のブーム本体部15の先端連結部15bに取付け支持部44を介して俯仰方向に回転可能に連結された穿孔装置本体30を、好ましくは垂直に起こした状態で(図1参照)、スライドブーム部13を、スライドレール部16における進退方向Xの先端部まで移動させて、ストッパー部18を伸長駆動することで、スライドブーム部13をスライドレール部16の先端部に固定する。
【0050】
この状態で、一対のクローラ式の走行装置41による移動機構40を運転操作して、これらの一対の走行装置41が、所定の切断線のラインを跨いで配置されるように垂直切削孔連設穿孔装置10を移動させると共に、穿孔ロッド31の下端の穿孔ビット31aを、所定の切断線に沿った所定の穿孔位置に位置決めした状態で、基台部11の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12を伸長させて、接地盤部12cを床部硬化体51に接地させる。好ましくはクローラ式の走行装置41による移動機構40が浮くまで、接地盤部12cによって床部硬化体51を押圧させることで、垂直切削孔連設穿孔装置10の全体の荷重を、アウトリガー部12を介して床部硬化体51に安定した状態で支持させることが可能になる。
【0051】
また、基台部11の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12を伸長させて接地盤部12cを床部硬化体51に接地させることによって、スライドブーム部13やスライドレール部16が設けられた基台部11を、水平に据え付けることも可能であるが、例えば床部硬化体51の表面に相当程度の凹凸があって、アウトリガー部12の伸縮だけでは基台部11を精度良く水平に据え付けることが困難な場合には、上述のように、穿孔装置本体30の取付け支持部44とスライドブーム部13のブーム本体部15とを連結する伸縮ジャッキ17や、取付け支持部44に設けられた揺動ジャッキ48や、取付け支持部44の縦方向ガイドプレート部45と穿孔装置本体30の縦方向基盤部32とを連結する縦方向ジャッキ49を伸縮駆動することによって、基台部11を精度良く水平に据え付けることが可能になる。また穿孔ロッド31の穿孔ビット31aを床部硬化体51の表面に近づけて、穿孔ビット31aを所定の切断線に沿った所定の穿孔位置に精度良く位置決めすることが可能になる。ここで、基台部11の水平度は、基台部11の所定の位置に取り付けた好ましくは複数の水準器等によって確認しながら、精度良く調整することができる。
不陸のある残銑による床部硬化体51の表面においては、垂直切削孔連設穿孔装置10のクローラ式の走行装置41による移動機構40では、穿孔装置10を少しだけ移動さたり、穿孔ロッド31の鉛直性をその都度確保することが困難であるが、上述のように、穿孔される垂直切削孔52の水平位置及び角度を調整可能な機構を備えていることにより、垂直切削孔52を、より精度良く且つ効率良く形成することが可能になる。
【0052】
これらによって、穿孔装置本体30の穿孔ロッド31は、所定の切断線の直上部分において精度良く垂直(鉛直)に立設した状態になるので、回転駆動部33を作動させて穿孔ロッド31及び穿孔ビット31aを、回転させながら、回転駆動部33と共に縦方向基盤部32によって案内させつつ、移動機構34により下方に移動させ、必要に応じて水冷又は空冷を行いながら穿孔ビット31aによって、残銑による床部硬化体51に垂直切削孔52を、垂直方向に穿孔形成してゆく。この際に、例えば運転室42や制御盤43において、回転駆動部33の電流値(トルク値=抵抗力)とスラスト値(軸方向への押圧値=反力)を計測し、これらの計測値が高くなり過ぎる場合には、例えば穿孔速度を落とすなどして制御する。例えば電流値とスラスト値のいずれか又は両方が急激に低下した時点で、穿孔している孔が残銑による床部硬化体51を貫通したとして、各々の垂直切削孔52を形成するための穿孔作業が完了する。
【0053】
本実施形態では、穿孔ビット31aとして、好ましくは垂直切削孔52の円周部分を切削するコアビットによる穿孔ビットが用いられているので、各々の垂直切削孔52の穿孔が完了したら、穿孔ロッド31やコアビットの内側に残置された残銑によるコアの部分を、必要に応じて排除する。コアの部分が、穿孔ロッド31によるシャフトの下端部分や穿孔ビット31aの内部に残っている場合は、縦方向基盤部32と共に穿孔ロッド31を仰方向に傾けることで、残置されたコアの長さ分の高さを確保すると共に、コアの部分が垂直切削孔52の内部に落下しないようにする。この状態で、例えば穿孔ロッド31や穿孔ビット31aの周囲をハンマーでたたくことによって、例えば穿孔ビット31aのビットに引っかかる形で内部に留まっているコアの部分に、振動を与えて落下させる。コアを取り除くことが困難な場合や、コアの長さ(=穿孔長さ)が長過ぎる場合には、穿孔ビット31aを穿孔ロッド31から取外して、コアを取り出すこともできる。また、残銑によるコアの部分が、形成された垂直切削孔52の内部に落下して、孔内に残っている場合には、孔内に残っているコアにワイヤー等を巻き付けて、引っ張り出すこともできる。
【0054】
好ましくは穿孔ロッド31や穿孔ビット31aからコアを排除したら、縦方向基盤部32と共に穿孔ロッド31を、垂直に立設させた状態に戻した後に、取付け支持部44を介して穿孔装置本体30が連結されたスライドブーム部13の、ストッパー部18によるスライドレール部16に対する固定を解除させる。これによってスライドブーム部13を、穿孔装置本体30と共にスライドレール部16における進退方向Xの先端部まで移動している状態から、次の垂直切削孔52を切削形成するために、進退方向Xの運転室42側である後端側に、スライドレール部16に沿って僅かに移動させることが可能になる。
【0055】
ここで、本実施形態では、コアビットによる穿孔ビット31aは、例えばコアビットの外径が110mm、肉厚が10mm、内径が90mmとなっていることから、100mmずつ進退方向Xの後端側にスライドブーム部13を移動させることで、10mmのラップを確保しながら、複数の垂直切削孔52を連設して穿孔するラインカット工法によって、直線状の切削溝53を形成することが可能になると共に、残銑による床部硬化体51を切断することが可能になる。
【0056】
また、スライドレール部16は、基台部11における、運転室42と前方の一対のアウトリガー部12との間の領域において、例えば1000mmの長さに、スライドブーム部13の基板部14の長さを加えた延長で、進退方向Xに延設して敷設されている。これによって、アウトリガー部12を伸長させて、垂直切削孔連設穿孔装置10を切断線のライン上の所定の位置に据え付けたままの状態で、穿孔装置本体30が連結されたスライドブーム部13を、スライドレール部16に沿わせて例えば100mmずつ進退方向Xの後端側に移動させながら、10箇所の垂直切削孔52を、垂直切削孔連設穿孔装置10を動かすことなく、好ましくは直線状に連接設させて連続して形成してゆくことが可能になる。
【0057】
アウトリガー部12を伸長させて、垂直切削孔連設穿孔装置10を切断線のライン上の所定の位置に据え付けたままの状態で、上述と同様の作業を繰り返して、好ましくは10箇所の垂直切削孔52を連続して形成したら、アウトリガー部12を収縮することにより接地盤部12cを床部硬化体51から離間させ、移動機構40を介して穿孔装置10を移動可能な状態とする。しかる後に、垂直切削孔連設穿孔装置10を、切断線のライン上の次の施工箇所に移動して据付け直してから、同様の作業を繰り返すことによって、引き続いて複数の垂直切削孔52による切削溝53を、ラインカット工法により形成して行くことが可能になる。
【0058】
そして、上述の構成を備える本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10によれば、硬質の材料である残銑による固形物質51に対して、複数の垂直切削孔52を、直線状に連設させて安定した状態で精度良く且つ効率良く形成して行くことが可能になる。
【0059】
本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10は、移動機構40を介して固形物質である床部硬化体51の上を移動可能な基台部11と、基台部11上に取り付けられたブーム部13と、ブーム部13の先端部に取り付けられた穿孔装置本体30とを含んで構成されており、ブーム部13は、基台部11に取り付けられた基板部14と、基板部14から立設するブーム本体部15とを含んで構成されており、ブーム本体部15は、穿孔装置本体30に近づく方向に曲がっていることで、穿孔装置本体30が連結される先端連結部15bを、基板部14に接続された基端部150における穿孔装置本体30側の端部151より前方に配置させる湾曲支持プレート15cを備えており、湾曲支持プレート15cは、先端連結部15bから基端部150に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材として形成されており、且つ側面視における幅Wが、先端連結部15b側から基端部150側に向かって増大しており、穿孔装置本体30は、湾曲支持プレートの先端連結部15bに俯仰方向に回転可能に連結されており、穿孔ロッド31を、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態に切替え可能となっている。
【0060】
本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10(垂直孔穿孔装置)によれば、ブーム本体部15が、上記形態の湾曲支持プレート15cを含んで構成され、該湾曲支持プレート15cの先端連結部15bが、ブーム本体部15の先端連結部15bを形成しているため、ブーム本体部15の全体の形状が、コンパクト且つシンプルなものになっている。また、斯かる形態のブーム本体部15が、先端連結部15bに連結された穿孔装置本体30からの荷重を、ダイレクトに効率良く、基板部14及び基台部11に伝えて、床部硬化体51に安定した状態で支持させることが可能になる。
これによって、本実施形態によれば、硬質の材料による床部硬化体51に対して、垂直切削孔等の垂直孔を、安定した状態で精度良く且つ効率良く形成することができ、また装置の小型化が容易で、例えば、狭い高炉内での作業性の向上等を図ることができる。
また湾曲支持プレート15cが、先端連結部15bから基端部150に亘って、回転連結部や伸縮部を介在させることなく連続する一部材であるため、回転連結部や伸縮部を備えることで折れ曲ったり長くなったりする従来のブームやアームのように、小型化を図ることが難しく、例えば狭い高炉内での作業性の点において改善の余地ある従来のものと比較して、穿孔装置本体30や穿孔ビット31aに位置ずれが生じるのを効果的に抑えることが可能になると共に、過度な転倒モーメントが生じるのを回避して、穿孔装置本体30や穿孔ロッド31を垂直に保持したまま、各々の複数の垂直切削孔52等を、所望の配置に精度良く穿孔形成することが可能になる。
湾曲支持プレート15cは、基端部150における幅W2が先端連結部側15bにおける幅W1の、2倍から3倍程度であることが好ましい。
【0061】
また本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10においては、ブーム部13が、基台部11に支持されてこれの上面部に沿って進退移動するスライドブーム部13である。
これによって、本実施形態によれば、垂直切削孔連設穿孔装置10を所定の切断線のライン上に据え付けたら、そのままの状態で、スライドブーム部13をスライドレール部16に沿って移動させることで、複数(本実施形態では10箇所)の垂直切削孔52を、蛇行させることなく直線状に連続して形成することができるので、各々の垂直切削孔52毎に穿孔装置10を据付け直す必要がなく、例えばアウトリガー部12の収縮、穿孔装置10の移動、穿孔装置本体30の位置合わせ、アウトリガー部12の接地といった作業サイクルの回数を少なくして、複数の垂直切削孔52による切削溝53を、効率良く形成して行くことが可能になる。
【0062】
また本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10においては、基台部の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12を備えており、ブーム本体部15は、基台部11に対して、湾曲支持プレート15cの基端部150が、アウトリガー部12によって囲まれる4角形の領域の内側に位置するように取り付けられている。
これによって、本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10によれば、例えば銑鉄による残銑の塊によって形成される硬い床部硬化体51に対して垂直切削孔52を穿孔する際に、当該垂直切削孔連設穿孔装置10の重量を、基台部11の四方の角部分に設けられたアウトリガー部12によって安定した状態で床部硬化体51に支持させることができるので、主にクローラ等の移動機構の接地部分で重機の重量を床部硬化体51に支持させることから不安定な状態になり易い従来の穿孔装置と比較して、垂直切削孔連設穿孔装置10の重量と穿孔時の荷重とのバランスによって、穿孔ロッド31を垂直に立設させた状態を強固に保持して、垂直切削孔52を精度良く垂直に形成してゆくことが可能になる。
【0063】
また本実施形態におけるブーム本体部15は、湾曲支持プレート15cを複数備えるとともに、湾曲支持プレート15c間を連結する鋼製プレート153とを備えており、湾曲支持プレート15cは、それぞれ、外周辺部154及び内周辺部155がそれぞれ円弧状をなす曲折部15aを備えている。
これによって、本実施形態によれば、例えばバックフォーのブームやアームのような、回転連結部による明確な折れ曲がり部を有するために、折れ曲がり部に応力が集中しやすい従来のものと比較して、湾曲支持プレート15cの一部に応力が集中することを抑制することができ、ブーム本体部15が、先端連結部15bに連結された穿孔装置本体30からの荷重を、一層効率良く、基板部14及び基台部11に伝えて、床部硬化体51に安定した状態で支持させることが可能になる。
【0064】
さらに、本実施形態では、穿孔ロッド31の下端部に取り付けられた穿孔ビット31aとして、コアビットによる穿孔ビットが用いられており、ドリルタイプの穿孔ビットと比較して穿孔時の荷重を効果的に低減できるため、垂直切削孔52の孔径を大きくすることが可能になる。これによってラインカットのための垂直切削孔52の数を少なくできるので、さらに効率良く、複数の垂直切削孔52による切削溝53を形成してゆくことが可能になる。コアビットによる穿孔ビット31aは、内側にコアの部分を残しながら穿孔することになるため、内側のコアの部分をガイドとして、さらに精度良く、垂直方向に垂直切削孔52を形成して行くことが可能になる。
【0065】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、移動機構は、一対の無限軌道を用いたクローラ式の走行装置によるものである必要は必ずしも無く、建設用の重機に用いられている、その他の公知の種々の移動機構であっても良い。スライドブーム部をスライドレール部に沿って進退移動させるスライド機構は、ピニオン部材とラック部材との歯合によるものである必要は必ずしも無く、スクリュージャッキ等による、その他の公知の種々のスライド機構であっても良い。穿孔ビットは、垂直切削孔の円周部分を切削するコアビットによるものである必要は必ずしも無く、垂直切削孔の全断面を切削するドリルビット等によるものであっても良い。垂直切削孔連設穿孔装置によって垂直切削孔が形成される固形物質は、製鉄所において高炉から排出された銑鉄の残銑によるものである必要は必ずしも無く、例えば鉄筋コンクリート等の、硬質の材料からなるその他の種々の固形物質であっても良い。
【0066】
またブーム本体は、湾曲支持プレートを1枚又は3枚以上備えるものであっても良い。またブーム本体は、複数枚(例えば2枚から20枚)の湾曲支持プレートが、隙間なく積層されて一体化されたものであっても良い。また上述した実施形態において、湾曲支持プレートの幅Wは、先端連結部側から基端部側に向かって漸増していたが一又は複数の箇所で間欠的に拡大していても良い。またブーム部13は、基板部14が基台部11にスライド不可能に固定しても良い。
【0067】
本実施形態の垂直切削孔連設穿孔装置10におけるブーム部13、特に図9図13において実線によって表された部分の外観が、意匠的にも優れている。図9図14は、本実施形態のブーム部13に、具体的な寸法及び形態を付与したブーム部13を示す図である。
図9図13において、実線で表された部分は、同ブーム部13を、仮に部分意匠の意匠登録出願をするとした場合に「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分」となる部分であり、点線で示した部分は、「部分意匠として意匠登録を受けようとする部分以外の部分」となる部分である。その場合の意匠に係る物品(以下「本物品」ともいう)は、垂直孔穿孔装置(残銑穿孔機)のブーム部であり、使用状態を示す全体参考図に示す如く(図14参照)、移動機構を備えた車台上に直接又は間接に取り付けられるとともに、先端連結部に、穿孔機本体を回動可能に取り付けられて使用される。使用状態を示す全体参考図には、無限軌道式の移動機構を備えた車台上に設置されたスライドレール上に、本物品をスライド可能に取り付けた状態が示されている。本物品は、穿孔機本体における前記先端連結部よりも上方に位置する部分と本物品における前記先端連結部よりも下方に位置する部分との間に伸縮ジャッキを配し、該伸縮ジャッキの駆動により、穿孔機本体が備える穿孔ロッドを、傾倒させた状態から垂直に立設させた状態へと切替え可能とすることも好ましい。
なお、図9(a)は、正面図であり、(b)は、背面図である。また図10は、図9に示す物品の、(a)平面図及び(b)底面図である。さらに図11は、図9に示す物品の、(a)右側面図及び(b)左側面図である。さらにまた図12は、図9に示す物品の、(a)斜視図及び(b)A-A線断面図である。また図13は、図11に示す物品の、(a)B-B線断面図及び(b)使用状態を示す参考図である。さらに図14は、図9に示す物品の、使用状態を示す全体参考図である。
【符号の説明】
【0068】
10 垂直切削孔連設穿孔装置
11 基台部
12 アウトリガー部
12c 接地盤部
13 ブーム部(スライドブーム部)
14 基板部
14a レール係止載置部
15 ブーム本体部
15a 曲折部
15b 先端連結部
15c 湾曲支持プレート
15d 連結ボックス部
16 スライドレール部
17 伸縮ジャッキ
18 ストッパー部
19 油圧モータ
19a ピニオン部材
20 ラック部材
30 穿孔装置本体
31 穿孔ロッド
31a 穿孔ビット
32 縦方向基盤部
33 回転駆動部
34 移動機構
40 移動機構
41 クローラ式の走行装置
42 運転室
43 制御盤
44 取付け支持部
45 縦方向ガイドプレート部
46 回転連結盤
47 取付けプレート部
48 揺動ジャッキ
49 縦方向ジャッキ
50 高炉
51 床部硬化体(固形物質)
52 垂直切削孔
53 切削溝
R アウトリガー部12によって囲まれる4角形の領域
X 進退方向
Y 幅方向
C 基板部14の幅方向中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14