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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173969
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20221115BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 29/861 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20221115BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L21/265 Z
H01L29/78 301D
H01L29/91 D
H01L29/91 F
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 655A
H01L29/78 655F
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092078
(22)【出願日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2021079530
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】西尾 譲司
(72)【発明者】
【氏名】太田 千春
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AC23
5F140BA02
5F140BD05
5F140BD07
5F140BD09
5F140BD11
5F140BF05
5F140BF10
5F140BJ05
(57)【要約】
【課題】特性を安定化できる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、半導体装置は、炭化珪素部材を含む。炭化珪素部材は、ダイオード及びトランジスタの少なくともいずれかを含む動作領域と、第1元素を含む第1元素領域と、を含む。第1元素領域は、第1領域及び第2領域を含む。第1領域から第2領域への第1方向は、炭化珪素部材の[1-100]方向に沿う。動作領域は第1方向において第1領域と第2領域との間にある。第1元素領域は、炭化珪素部材の[11-20]方向に沿う第2方向において動作領域と重なる領域を含まない。または、第1元素領域は、第2方向において動作領域と重なる第3領域を含み、第1領域の第1方向に沿う第1長さは、第3領域の第2方向に沿う第3長さよりも長く、第2領域の第1方向に沿う第2長さは、第3長さよりも長い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素部材を備え、
前記炭化珪素部材は、
ダイオード及びトランジスタの少なくともいずれかを含む動作領域と、
Ar、V、Al及びBよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む第1元素領域と、
を含み、
前記第1元素領域は、第1領域及び第2領域を含み、前記第1領域から前記第2領域への第1方向は、前記炭化珪素部材の[1-100]方向に沿い、前記動作領域は前記第1方向において前記第1領域と前記第2領域との間にあり、
前記第1元素領域は、前記炭化珪素部材の[11-20]方向に沿う第2方向において前記動作領域と重なる領域を含まない、または、前記第1元素領域は、前記第2方向において前記動作領域と重なる第3領域を含み、前記第1領域の前記第1方向に沿う第1長さは、前記第3領域の前記第2方向に沿う第3長さよりも長く、前記第2領域の前記第1方向に沿う第2長さは、前記第3長さよりも長い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1長さは、前記第3長さの10倍以上50倍以下であり、
前記第2長さは、前記第3長さの10倍以上50倍以下である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1領域における前記第1元素の濃度は、1.67×1019cm-3以上5×1019cm-3以下であり、
前記第2領域における前記第1元素の濃度は、1.67×1019cm-3以上5×1019cm-3以下である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1領域における基底面転位の密度は、前記動作領域における基底面転位の密度よりも高く、
前記第2領域における基底面転位の密度は、前記動作領域における前記基底面転位の前記密度よりも高い、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1領域及び前記第2領域は基底面転位を含み、
前記動作領域は基底面転位を含まない、請求項1~3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1長さは、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差する第3方向に沿う前記炭化珪素部材の厚さの10倍以上50倍以下である、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記炭化珪素部材は、第2元素領域をさらに含み、
前記第2元素領域は、B、Al及びGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素を含み、
前記第2元素領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域及び第4部分領域を含み、
前記第1部分領域は、前記第1方向において、前記第1領域と前記動作領域との間にあり、
前記第2部分領域は、前記第1方向において、前記動作領域と前記第2領域との間にあり、
前記動作領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第4部分領域との間にある、請求項1~5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1長さは、前記第1部分領域の前記第1方向に沿う長さの20倍以上であり、
前記第2長さは、前記第2部分領域の前記第1方向に沿う長さの20倍以上である、請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2元素領域は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面において前記動作領域を囲む、請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記炭化珪素部材は、前記第3領域を含み、
前記第3部分領域は、前記第3領域と前記動作領域との間にある、請求項7~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
前記炭化珪素部材は、第4領域を含み、
前記第4部分領域は、前記動作領域と前記第4領域との間にあり、
前記第1長さは、前記第4領域の前記第2方向に沿う第4長さよりも長く、
前記第2長さは、前記第4長さよりも長い、
請求項10記載の半導体装置。
【請求項12】
前記炭化珪素部材は、第3元素領域をさらに含み、
前記第3元素領域は、N、P及びAsよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素を含み、
前記第3元素領域は、第5部分領域、第6部分領域、第7部分領域及び第8部分領域を含み、
前記第5部分領域は、前記第1領域と前記第1部分領域との間にあり、
前記第6部分領域は、前記第2部分領域と前記第2領域との間にあり、
前記第3部分領域は、前記第7部分領域と前記動作領域との間にあり、
前記第4部分領域は、前記動作領域と前記第8部分領域との間にある、請求項7~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1長さは、前記第5部分領域の前記第1方向に沿う長さの20倍以上であり、
前記第2長さは、前記第6部分領域の前記第1方向に沿う長さの20倍以上である、請求項12記載の半導体装置。
【請求項14】
前記炭化珪素部材は、前記第3領域を含み、
前記第7部分領域は、前記第3領域と前記第3部分領域との間にある、
請求項12または13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記炭化珪素部材は、第4領域を含み、
前記第8部分領域は、前記第4部分領域と前記第4領域との間にあり、
前記第1長さは、前記第4領域の前記第2方向に沿う第4長さよりも長く、
前記第2長さは、前記第4長さよりも長い、
請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
電極を備え、
前記電極は、前記ダイオード及び前記トランジスタの前記少なくともいずれかに電気的に接続され、
前記第1元素領域は、前記電極に対して浮遊状態である、請求項1~15のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項17】
前記トランジスタは、第1電極と、第2電極と、第3電極と、絶縁部と、を含み、
前記第1電極から前記第2電極への積層方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記動作領域の少なくとも一部は、前記積層方向において前記第1電極と前記第3電極との間にあり、
前記動作領域は、
第1導電形の第1半導体領域と、
第2導電形の第2半導体領域と、
前記第1導電形の第3半導体領域と、
を含み、
前記第1半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、
前記第2半導体部分から前記第3電極への方向は前記積層方向に沿い、
前記第2半導体部分から前記第1半導体部分への交差方向は、前記積層方向と交差し、
前記第1半導体部分から前記第3半導体領域への方向は、前記積層方向に沿い、
前記第2半導体領域は、第3半導体部分及び第4半導体部分を含み、
前記第3半導体部分は、前記積層方向において前記第1半導体部分と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第4半導体部分は、前記交差方向において、前記第2半導体部分の一部と前記第3半導体領域との間にあり、
前記第1電極は、前記第1半導体領域と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第3半導体領域と電気的に接続され、
前記絶縁部の少なくとも一部は、前記第2半導体部分と前記第3電極との間、及び前記第4半導体部分と前記第3電極との間にある、請求項1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項18】
前記動作領域は、前記第2導電形の基体を含み、
前記基体は、前記第1電極と前記第1半導体領域との間にある、請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
前記ダイオードは、第1電極及び第2電極を含み、
前記第1電極から前記第2電極への積層方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差し、
前記動作領域の少なくとも一部は、前記積層方向において前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記動作領域は、
第1導電形の第1半導体領域と、
第2導電形の第2半導体領域と、
を含み、
前記第1半導体領域は、前記第1電極と前記第2電極との間にあり、
前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域と前記第2電極との間にあり、
前記第1電極は、前記第1半導体領域と電気的に接続され、
前記第2電極は、前記第2半導体領域と電気的に接続された、請求項1~16のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項20】
前記第1長さ及び前記第2長さのそれぞれは、10μm以上である、請求項1~19のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、炭化珪素を含む半導体装置がある。半導体装置において、安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-075411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を安定化できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、炭化珪素部材を含む。前記炭化珪素部材は、ダイオード及びトランジスタの少なくともいずれかを含む動作領域と、Ar、V、Al及びBよりなる群から選択された少なくとも1つの第1元素を含む第1元素領域と、を含む。前記第1元素領域は、第1領域及び第2領域を含む。前記第1領域から前記第2領域への第1方向は、前記炭化珪素部材の[1-100]方向に沿う。前記動作領域は前記第1方向において前記第1領域と前記第2領域との間にある。前記第1元素領域は、前記炭化珪素部材の[11-20]方向に沿う第2方向において前記動作領域と重なる領域を含まない。または、前記第1元素領域は、前記第2方向において前記動作領域と重なる第3領域を含み、前記第1領域の前記第1方向に沿う第1長さは、前記第3領域の前記第2方向に沿う第3長さよりも長く、前記第2領域の前記第1方向に沿う第2長さは、前記第3長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図2図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1及び図2は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図1は、平面図である。図2は、図1のA1-A2線断面図である。
【0009】
図1及び図2に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、炭化珪素部材80を含む。
【0010】
炭化珪素部材80は、炭化珪素(SiC)を含む。炭化珪素部材80は、動作領域80Aと、第1元素領域81と、を含む。動作領域80Aは、ダイオード及びトランジスタの少なくともいずれかを含む。動作領域80Aの例については、後述する。
【0011】
第1元素領域81は、第1元素を含む。第1元素は、Ar、V、Al及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第1元素領域81は、例えば、SiCと、第1元素と、を含む。
【0012】
第1元素領域81は、第1領域81a及び第2領域81bを含む。第1領域81aから第2領域81bへの第1方向は、炭化珪素部材80の[1-100]方向に沿う。
【0013】
この明細書において、「[1-100]」などの表記において、「-」は、「-」の後の数字に「バー」が付されることを示す。
【0014】
第1方向([1-100]方向)をY軸方向とする。Y軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Y軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0015】
X軸方向は、[11-20]方向に対して傾斜しても良い(後述する図4などを参照)。X軸方向と[11-20]方向との間の角度は、例えば、0度以上10度以下で良い。このように、X軸方向は、[11-20]方向に対して小さい角度で傾斜しつつ、[11-20]方向に沿って良い。
【0016】
動作領域80Aは、第1方向(Y軸方向)において、第1領域81aと第2領域81bとの間にある。
【0017】
第1元素領域81は、例えば、炭化珪素部材80の[11-20]方向に沿う第2方向において動作領域80Aと重なる領域を含まない。第2方向は、例えば、X軸方向に対応する。
【0018】
または、後述するように、第1元素領域81は、第2方向(X軸方向)において動作領域80Aと重なる領域(後述する第3領域など)を含んでも良い。この場合は、第3領域の幅は、第1領域81a及び第2領域81bの幅よりも小さい。第1元素領域81が第3領域などを含む場合の例については、後述する。
【0019】
図1及び図2に例示する半導体装置110においては、第1元素領域81は、[11-20]方向に沿う第2方向において動作領域80Aと重なる領域を含まない。半導体装置110においては、[1-100]方向に沿う第1方向(Y軸方向)において動作領域80Aと重なる第1領域81a及び第2領域81bが設けられる。第1領域81a及び第2領域81bは、動作に寄与しない。実施形態において、第1領域81a及び第2領域81bは、半導体装置110の特性を安定させる機能を有する。
【0020】
図2に示すように、炭化珪素部材80は、基体10sと、基体10sの上に設けられた第1半導体領域10と、を含む。基体10sは、例えばSiC基板である。第1半導体領域10は、例えば、n形のSiC層である。例えば、基体10s中に、基底面転位71(BPD:basal plane dislocation)が存在する。基底面転位71は、基体10sの{0001}面に沿う。基底面転位71に起因して、半導体装置110の動作中に積層欠陥が生じる。積層欠陥により、半導体装置110における動作電圧が変化する。例えば、順電圧Vfが変化し、Vf劣化が生じる。例えば、積層欠陥により耐圧が低下する場合がある。基底面転位71を抑制することが好ましい。
【0021】
本願発明者の検討の結果、基底面転位71が炭化珪素部材80中をグライド(移動)することがわかった。例えば、基底面転位71は、図1に示す矢印88A及び矢印88Bの方向([1-100]方向に沿う方向)に沿ってグライドする。基底面転位71が動作領域80Aに到達すると、動作中に積層欠陥が形成され、上記のように動作が不安定になる。
【0022】
基底面転位71のグライドは、例えば、動作領域80Aなどにおいて炭化珪素部材80への不純物の導入処理(例えばイオン注入)、及び、その後の熱処理などにより生じ易い。基底面転位71のグライドは、例えば、これらの処理により生じる炭化珪素部材80中の応力が関係している可能性がある。
【0023】
本願発明者の検討の結果、基底面転位71のグライドは、上記の第1元素領域81を設けることで抑制できることがわかった。上記のように、基底面転位71は、[1-100]方向に沿う第1方向に沿ってグライドする。このため、基底面転位71のグライドを抑制する第1元素領域81は、動作領域80Aを基準にして第1方向の位置に設けられる。すなわち、第1方向において動作領域80Aを挟むように第1領域81a及び第2領域81bが設けられる。これにより、第1領域81a及び第2領域81bにおいて、基底面転位71のグライドの速度が実質的に0になる。第1領域81a及び第2領域81bにより、基底面転位71が動作領域80Aに到達することが抑制できる。第1領域81a及び第2領域81bによるグライドの抑制は、例えば、これらの領域により応力が緩和されることが1つの原因であると考えられる。
【0024】
第1元素領域81(第1領域81a及び第2領域81b)は、半導体装置110の動作に寄与しない領域である。第1元素領域81の面積は、実用的に可能な限り小さいことが好ましい。これにより、例えば、単位面積あたりの動作電流を大きくできる。例えば、コストを抑制できる。より実用的な半導体装置が得られる。
【0025】
半導体装置110においては、グライドの抑制のための第1元素領域81として、第1領域81a及び第2領域81bが設けられる。そして、第1元素領域81は、[11-20]方向に沿う第2方向において動作領域80Aと重なる領域を含まない。これにより、特性が安定で、第1元素領域81の面積が小さく実用的な半導体装置が提供できる。
【0026】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式図である。
図3に示すように、実施形態に係る半導体装置111も炭化珪素部材80を含む。この例においても、炭化珪素部材80は、動作領域80Aと、第1元素領域81と、を含む。半導体装置111においては、第1元素領域81は、第1領域81a、第2領域81b及び第3領域81cを含む。この例では、第1元素領域81は、第4領域81dを含む。半導体装置111におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。
【0027】
第1領域81aから第2領域81bへの第1方向は、炭化珪素部材80の[1-100]方向に沿う。この場合も、動作領域80Aは、第1方向において第1領域81aと第2領域81bとの間にある。第3領域81cは、[11-20]方向に沿う第2方向において動作領域80Aと重なる。例えば、動作領域80Aは、第2方向において、第3領域81cと第4領域81dとの間にある。
【0028】
第3領域81c及び第4領域81dの面積は、第1領域81a及び第2領域81bの面積よりも小さい。
【0029】
例えば、図1及び図3に示すように、第1領域81aの第1方向に沿う長さを第1長さL1とする。第2領域81bの第1方向に沿う長さを第2長さL2とする。既に説明したように、第1方向は、[1-100]方向に沿う。
【0030】
例えば、図1及び図3に示すように、第3領域81cの第2方向に沿う長さを第3長さL3とする。第4領域81dの第2方向に沿う長さを第4長さL4とする。既に説明したように、第2方向は、[11-20]方向に沿う。
【0031】
実施形態においては、第1長さL1は、第3長さL3よりも長い。第2長さL2は、第3長さL3よりも長い。第1長さL1は、第4長さL4よりも長い。第2長さL2は、第4長さL4よりも長い。第1長さL1及び第2長さL2が長いことで、基底面転位71のグライドが効果的に抑制できる。第3長さL3及び第4長さL4が短いことで、単位面積あたりの動作電流を大きくできる。例えば、コストを抑制できる。より実用的な半導体装置が得られる。
【0032】
実施形態において、第1長さL1は、例えば、第3長さL3の10倍以上40倍以下であることが好ましい。第2長さL2は、第3長さL3の10倍以上40倍以下であることが好ましい。第1長さL1は、例えば、第4長さL4の10倍以上40倍以下であることが好ましい。第2長さL2は、第4長さL4の10倍以上40倍以下であることが好ましい。これにより、基底面転位71のグライドを効果的に抑制しつつ、半導体装置の面積を効果的に小さくできる。
【0033】
実施形態において、第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、例えば、10μm以上であることが好ましい。これにより、グライドした基底面転位71が動作領域80Aに到達することを抑制できる。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、20μm以上でも良い。グライドした基底面転位71が動作領域80Aに到達することをより確実に抑制できる。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、例えば、1000μm以下で良い。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれが1000μmを超えると、例えば、グライドした基底面転位71が動作領域80Aに到達する効果が飽和する。
【0034】
第1領域81aにおける第1元素の濃度は、例えば、1×1015cm-2以上3×1015cm-2以下であることが好ましい。第2領域81bにおける第1元素の濃度は、例えば、1×1015cm-2以上3×1015cm-2以下であることが好ましい。このような濃度により、基底面転位71のグライドが効果的に抑制される。
【0035】
実施形態において、第1領域81a及び第2領域81bにより基底面転位71が動作領域80Aに到達することが抑制できる。例えば、第1領域81aにおける基底面転位71の密度は、動作領域80Aにおける基底面転位71の密度よりも高い。例えば、第2領域81bにおける基底面転位71の密度は、動作領域80Aにおける基底面転位71の密度よりも高い。
【0036】
例えば、図2に示すように、第1領域81a及び第2領域81bは基底面転位71を含み、動作領域80Aは基底面転位71を含まなくても良い。
【0037】
図2に示すように、第3方向に沿う炭化珪素部材80の厚さを厚さW1とする。第3方向は、例えばZ軸方向に沿う。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。実施形態において、第1長さL1は、炭化珪素部材80の厚さW1の10倍以上50倍以下であることが好ましい。例えば、厚さW1が厚いときにおける適切な第1長さL1は、厚さW1が薄いときにおける適切な第1長さL1よりも短くても良い。
【0038】
実施形態において、複数の半導体装置に対応する複数の構造体が1つのウェーハに形成され、複数の構造体が分断されて複数の半導体装置が製造されても良い。分断工程において、複数の半導体装置の少なくとも1つの端部を基点として基底面転位71が乗じる場合がある。このような基底面転位71もグライドする可能性がある。このような基底面転位71に基づいて積層欠陥が成長する場合もある。実施形態に係る上記の第1元素領域81により、このような基底面転位71が動作領域80Aに到達することが抑制できる。
【0039】
図1及び図3に示すように、炭化珪素部材80は、第2元素領域82を含んでも良い。第2元素領域82は、第2元素を含む。第2元素は、例えば、B、Al及びGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2元素領域82は、p形である。例えば、第2元素領域82は、第1部分領域82a、第2部分領域82b、第3部分領域82c及び第4部分領域82dを含む。
【0040】
第1部分領域82aは、第1方向([1-100]方向)において、第1領域81aと動作領域80Aとの間にある。第2部分領域82bは、第1方向において、動作領域80Aと第2領域81bとの間にある。動作領域80Aは、第2方向([11-20]方向)において、第3部分領域82cと第4部分領域82dとの間にある。
【0041】
第2元素領域82は、例えば、接合終端領域である。第2元素領域82により、例えば、高い耐圧が得やすくなる。
【0042】
第1部分領域82aの第1方向に沿う長さを長さLL1とする。第2部分領域82bの第1方向に沿う長さを長さLL2とする。第3部分領域82cの第2方向に沿う長さを長さLL3とする。第4部分領域82dの第2方向に沿う長さを長さLL4とする。これらの長さ(幅)は、第1長さL1などよりも十分に短い。
【0043】
例えば、第1長さL1は、第1部分領域82aの長さLL1の20倍以上であることが好ましい。第2長さL2は、第2部分領域82bの長さLL2の1倍よりも長いことが好ましい。例えば、第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、第3部分領域82cの長さLL3の1倍よりも長いことが好ましい。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、第4部分領域82dの長さLL4の1倍よりも長いことが好ましい。
【0044】
図1及び図3に示すように、第2元素領域82は、第1方向及び第2方向を含む平面(実質的にX-Y平面))において動作領域80Aを囲んで良い。第2元素領域82は、例えば、環状で良い。
【0045】
図3に示すように、炭化珪素部材80が第3領域81cを含む場合、第3部分領域82cは、第2方向において第3領域81cと動作領域80Aとの間にある。炭化珪素部材80が第4領域81dを含む場合、第4部分領域82dは、第2方向において動作領域80Aと第4領域81dとの間にある。既に説明したように、第1長さL1は、第4領域81dの第2方向に沿う第4長さL4よりも長い。第2長さL2は、第4長さL4よりも長い。
【0046】
図1及び図3に示すように、炭化珪素部材80は、第3元素領域83をさらに含んでも良い。第3元素領域83は、第3元素を含む。第3元素は、N、P及びAsよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3元素領域83は、例えばn形である。第3元素領域83は、第5部分領域83e、第6部分領域83f、第7部分領域83g及び第8部分領域83hを含む。
【0047】
第5部分領域83eは、第1方向において、第1領域81aと第1部分領域82aとの間にある。第6部分領域83fは、第1方向において、第2部分領域82bと第2領域81bとの間にある。第3部分領域82cは、第2方向において、第7部分領域83gと動作領域80Aとの間にある。第4部分領域82dは、第2方向において、動作領域80Aと第8部分領域83hとの間にある。
【0048】
第5部分領域83eの第1方向に沿う長さを長さLL5とする。第6部分領域83fの第1方向に沿う長さを長さLL6とする。第7部分領域83gの第2方向に沿う長さを長さLL7とする。第8部分領域83hの第2方向に沿う長さを長さLL8とする。
【0049】
第1長さL1は、第5部分領域83eの長さLL5の1倍よりも長いことが好ましい。第2長さL2は、第6部分領域83fの長さLL6の20倍以上であることが好ましい。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、第7部分領域83gの長さLL7の20倍以上であることが好ましい。第1長さL1及び第2長さL2のそれぞれは、第8部分領域83hの長さLL8の20倍以上であることが好ましい。
【0050】
図3に示すように、炭化珪素部材80が第3領域81cを含む場合、第7部分領域83gは、第2方向において第3領域81cと第3部分領域82cとの間にある。炭化珪素部材80が第4領域81dを含む場合、第8部分領域83hは、第2方向において第4部分領域82dと第4領域81dとの間にある。第1長さL1は、第4領域81dの第2方向に沿う第4長さL4よりも長い。第2長さL2は、第4長さL4よりも長い。
【0051】
第2元素領域82及び第3元素領域83は、例えば、終端領域80T(図2参照)に含まれる。第2元素領域82は、第3元素領域83から離れて良い。
【0052】
図2に示すように、第1領域81aは、Z軸方向に沿う長さt1を有する。Z軸方向は、第1方向及び第2方向を含む平面と交差する。第2領域81bは、Z軸方向に沿う長さt2を有する。長さt1は、第1領域81aの厚さに対応する。長さt2は、第2領域81bの厚さに対応する。長さt1及び長さt2のそれぞれは、例えば、第2元素領域82の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)の0.2倍以上10倍以下で良い。長さt1及び長さt2のそれぞれは、例えば、第3元素領域83の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)の0.2倍以上10倍以下で良い。
【0053】
図1及び図3に示すように、半導体装置110または半導体装置111は、電極50Eを含んでも良い。電極50Eは、動作領域80Aに設けられるダイオード及びトランジスタの上記の少なくともいずれかに電気的に接続される。第1元素領域81は、電極50Eに対して浮遊状態であることが好ましい。これにより、正孔注入が抑制される。第1元素領域81が導電性であるに、第1元素領域81が電極50Eに対して浮遊状態であることで、通電時における順方向電圧劣化を抑制し易くなる。
【0054】
図4は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図4は、図1のB1-B2線断面図である。図4は、動作領域80Aの少なくとも一部に対応する。図4に示すように、この例では、動作領域80Aは、トランジスタ10Tを含む。
【0055】
トランジスタ10Tは、第1電極51と、第2電極52と、第3電極53と、絶縁部61と、を含む。第1電極51から第2電極52への積層方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(実質的にX-Y平面)と交差する。積層方向は、例えば、Z軸方向である。
【0056】
炭化珪素部材80の動作領域80Aの少なくとも一部は、積層方向(Z軸方向)において第1電極51と第3電極53との間にある。動作領域80Aは、第1導電形の第1半導体領域10と、第2導電形の第2半導体領域20と、第1導電形の第3半導体領域30と、を含む。第1導電形は、n形及びp形の一方である。第2導電形は、n形及びp形の他方である。以下では、第1導電形がn形で、第2導電形がp形とする。
【0057】
第1半導体領域10及び第3半導体領域30は、SiCと、第4元素と、を含む。第4元素は、N、P及びAsよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第2半導体領域20は、SiCと、第5元素と、を含む。第5元素は、B、Al及びGaよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0058】
第1半導体領域10は、第1半導体部分10a及び第2半導体部分10bを含む。第2半導体部分10bから第3電極53への方向は、積層方向(Z軸方向)に沿う。第2半導体部分10bから第1半導体部分10aへの交差方向は、積層方向(Z軸方向)と交差する。この例では、交差方向は、X軸方向に対応する。
【0059】
第1半導体部分10aから第3半導体領域30への方向は、積層方向(Z軸方向)に沿う。第2半導体領域20は、第3半導体部分20c及び第4半導体部分20dを含む。第3半導体部分20cは、積層方向(Z軸方向)において第1半導体部分10aと第3半導体領域30との間にある。第4半導体部分20dは、交差方向(X軸方向)において、第2半導体部分10bの一部と、第3半導体領域30と、の間にある。
【0060】
第1電極51は、第1半導体領域10と電気的に接続される。第2電極52は、第3半導体領域30と電気的に接続される。絶縁部61の少なくとも一部は、第2半導体部分10bと第3電極53との間、及び、第4半導体部分20dと第3電極53との間にある。
【0061】
半導体装置110において、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御できる。第3電極53の電位は、第2電極52の電位を基準とした電位で良い。第1電極51は、例えば、ドレイン電極として機能する。第2電極52は、例えば、ソース電極として機能する。第3電極53は、ゲート電極として機能する。基体10sは、例えば、第1導電形である。半導体装置110は、例えば、MOSFETである。
【0062】
この例では、第2半導体領域20は、第5半導体部分20eを含む。X軸方向において、第3半導体領域30は、第4半導体部分20dと第5半導体部分20eとの間にある。第2電極52は、第5半導体部分20eと電気的に接続される。半導体装置111における動作領域80Aも、図4に例示した構成と同様の構成を有して良い。
【0063】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置の一部を例示する模式的断面図である。
図5は、図1のB1-B2線に対応する断面図である。図5は、動作領域80Aの少なくとも一部に対応する。図5に示すように、実施形態に係る半導体装置112において、動作領域80Aは、トランジスタ10Tを含む。
【0064】
図5に示すように、半導体装置112において、炭化珪素部材80の動作領域80Aは、第2導電形(p形)の基体10sAを含む。基体10sAは、第1電極51と第1半導体領域10との間にある。半導体装置112は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。半導体装置112において上記を除く構成(第1元素領域81など)は、半導体装置110及び111における構成と同様で良い。
【0065】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6には、動作領域80A及び終端領域80Tが例示されている。図6に示すように、実施形態に係る半導体装置113において、動作領域80Aは、ダイオード10Dを含む。
【0066】
図6に示すように、ダイオード10Dは、第1電極51及び第2電極52を含む。第1電極51から第2電極52への積層方向(Z軸方向)は、第1方向及び第2方向を含む平面(実質的にX-Y平面)と交差する。炭化珪素部材80の動作領域80Aの少なくとも一部は、積層方向(Z軸方向)において第1電極51と第2電極52との間にある。
【0067】
動作領域80Aは、第1導電形の第1半導体領域10と、第2導電形の第2半導体領域20と、を含む。第1半導体領域10は、第1電極51と第2電極52との間にある。第2半導体領域20は、第1半導体領域10と第2電極52との間にある。第1電極51は、第1半導体領域10と電気的に接続される。第2電極52は、第2半導体領域20と電気的に接続される。第1電極51は、例えば、カソード電極である。第2電極52は、例えば、アノード電極である。
【0068】
半導体装置113において、動作領域80A及び終端領域80Tを除く部分は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置113において、炭化珪素部材80は、第1元素領域81(例えば、第1領域81a及び第2領域81b)を含む。半導体装置113においても、基底面転位71のグライドが抑制される。特性を安定にできる半導体装置が提供できる。
【0069】
実施形態において、第1電極51及び第2電極52の少なくともいずれかは、例えば、Al、Cu及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第3電極53(例えばゲート電極)は、TiN、Al、Ru、W、及びTaSiNよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。絶縁部61は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム及び酸化ハフニウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0070】
実施形態において、不純物濃度に関する情報は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)などにより得られる。上記において、不純物濃度は、例えば、キャリア濃度でも良い。不純物濃度の相対的な高低に関する情報は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)により得られるキャリア濃度の相対的な高低に関する情報に基づいて得ることができる。
【0071】
第1領域81aにおける第1元素の濃度は、例えば、1.67×1019cm-3以上5×1019cm-3以下であることが好ましい。第2領域81bにおける第1元素の濃度は、例えば、1.67×1019cm-3以上5×1019cm-3以下であることが好ましい。このような濃度により、基底面転位71のグライドが効果的に抑制される。
【0072】
1つの例において、第1領域81aにおける第1元素のドーズ量は、例えば、1×1015cm-2以上3×1015cm-2以下である。1つの例において、第2領域81bにおける第1元素のドーズ量は、例えば、1×1015cm-2以上3×1015cm-2以下である。このようなドーズ量により、基底面転位71のグライドが効果的に抑制される。これらの領域への第1元素の導入は、例えばイオン注入などにより行われて良い。第1領域81a及び第2領域81bの厚さ(長さt1及び長さt2:図2参照)は、例えば、0.4μm以上0.8μm以下(例えば、約0.6μmなど)である。
【0073】
例えば、第1領域81a及び第2領域81bにおける第1元素の濃度(単位:cm-3)は、第2元素領域82(第1部分領域82a、第2部分領域82b、第3部分領域82c及び第4部分領域82dなど)における第2元素(B、AlまたはGaなど)の濃度(単位:cm-3)の1倍以上20倍以下であることが好ましい。
【0074】
例えば、第1領域81a及び第2領域81bにおける第1元素の濃度(単位:cm-3)は、第3元素領域83(第5部分領域83e、第6部分領域83f、第7部分領域83g及び第8部分領域83hなど)における第3元素(N、PまたはAsなど)の濃度(単位:cm-3)の10倍以上200倍以下であることが好ましい。
【0075】
図2に示すように、第1半導体領域10は、Z軸方向において第1領域81aと重なる部分を含む。第1領域81a及び第2領域81bの厚さ(長さt1及び長さt2のぞれぞれ)は、例えば、第1半導体領域10のうちで、Z軸方向において第1領域81aと重なる部分の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)の1/100以上1/15以下であることが好ましい。
【0076】
実施形態によれば、特性を安定にできる半導体装置を提供することができる。
【0077】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0078】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる炭化珪素部材、半導体領域、基体、電極及び絶縁部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0080】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0081】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0082】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10…第1半導体領域、 10D…ダイオード、 10T…トランジスタ、 10a、10b…第1、第2半導体部分、 10s、10sA…基体、 20…第2半導体領域、 20c~20e…第3~第5半導体部分、 30…第3半導体領域、 50E…電極、 51~53…第1~第3電極、 61…絶縁部、 71…基底面転位、 80…炭化珪素部材、 80A…動作領域、 80T…終端領域、 81…第1元素領域、 81a~81d…第1~第4領域、 82…第2元素領域、 82a~82d…第1~第4部分領域、 83…第3元素領域、 83e~83h…第5~第8部分領域、 88A、88B…矢印、 110~113…半導体装置、 L1~L4…第1~第4長さ、 LL1~LL8…長さ、 W1…厚さ、 t1、t2…長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6