(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173979
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】アクセル装置
(51)【国際特許分類】
B60K 26/02 20060101AFI20221115BHJP
G05G 1/30 20080401ALI20221115BHJP
G05G 5/04 20060101ALI20221115BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20221115BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G5/04 B
G05G5/03 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021108648
(22)【出願日】2021-06-30
(62)【分割の表示】P 2021524051の分割
【原出願日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2020044241
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020044607
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】針生 鉄男
(72)【発明者】
【氏名】木村 純
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 豪宏
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
(72)【発明者】
【氏名】森 秀之
(72)【発明者】
【氏名】木野内 惣一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA03
3D037EB02
3D037EB03
3J070AA32
3J070BA03
3J070BA17
3J070BA51
3J070BA71
3J070CB02
3J070CB37
3J070CC02
3J070CC42
3J070CC52
3J070CC71
3J070CD06
3J070DA01
3J070EA01
(57)【要約】
【課題】ペダルの動作を適切に規制可能なアクセル装置を提供する。
【解決手段】アクセル装置7は、ペダルレバー20と、ロック機構260と、モータと、を備える。ペダルレバー20は、踏み込み操作に応じて動作する。ロック機構260は、ペダルレバー20の動作を規制する。モータは、ロック機構260によりペダルレバー20の動作が規制されていない非ロック状態から、ペダルレバー20の動作が規制されているロック状態への切り替えに係る駆動力を発生する。ロック機構260は、駆動源の駆動力によりロック状態となった後、モータへの通電をオフにした状態にて、ロック状態を保持可能である。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏み込み操作に応じて動作するペダルレバー(20)と、
前記ペダルレバーの動作を規制するロック機構(501~511)と、
前記ロック機構により前記ペダルレバーの動作が規制されていない非ロック状態から、前記ペダルレバーの動作が規制されているロック状態への切り替えに係る駆動力を発生する駆動源(40、41、201)と、
を備え、
前記ロック機構は、前記駆動源の駆動力によりロック状態となった後、前記駆動源への通電をオフにした状態にて、ロック状態を保持可能であるアクセル装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記駆動源の駆動力により、ロック状態を解除可能である請求項1に記載のアクセル装置。
【請求項3】
非ロック状態からロック状態への切り替え時と反対方向に前記駆動源を駆動することで、ロック状態を解除可能である請求項2に記載のアクセル装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記ペダルレバーに一定以上の踏力を加えることで、ロック状態を解除可能である請求項1~3のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、前記ペダルレバーの全閉位置および全開位置の少なくとも一方にて前記ペダルレバーの動作を規制可能である請求項1~4のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記ペダルレバーの全閉位置から全開位置の中間位置にて前記ペダルレバーの動作を規制可能である請求項1~5のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項7】
前記ロック機構において、ストッパとして機能する2部材の当接面は、ロック仕掛かり時およびロック時に当接し、非ロック時に離間している請求項1~6のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項8】
前記駆動源は、動力伝達機構(50、60、70、80、90、100、120、124、126、130、140、145、150、200、290)を介して、前記ペダルレバーに戻し方向の力を付与可能である請求項1~7のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【請求項9】
前記動力伝達機構は、
第1作動範囲にて、前記駆動源の駆動力により、前記ペダルレバーに戻し方向の力を付与し、
前記第1作動範囲と異なる第2作動範囲にて、前記駆動源の駆動力により、前記ロック機構を非ロック状態からロック状態に切り替える請求項8に記載のアクセル装置。
【請求項10】
前記ロック機構は、弾性部材(263)の弾性力より付勢されて移動可能、または、弾性変形可能なロック部材(261、268)を有する請求項8または9に記載のアクセル装置。
【請求項11】
前記ロック部材は、直線方向に移動可能である請求項10に記載のアクセル装置。
【請求項12】
前記ロック機構(507、508)は、前記駆動源から前記ペダルレバーに至る動力伝達経路に設けられ、凸形状に形成されるロック係止部(229)を有し、
前記ロック部材は、筐体(203)側に設けられている請求項10または11に記載のアクセル装置。
【請求項13】
前記ロック部材は、ロック状態において、前記弾性部材の付勢力の少なくとも一部を、踏み込み方向とは反対方向の力として前記ペダルレバーに伝達することで、前記ペダルレバーの動作を規制可能である請求項10~12のいずれか一項に記載のアクセル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセル装置に関する。
【0002】
本出願は、2020年3月13日に出願された特許出願番号2020-044241号および特許出願番号2020-044607号に基づくものであり、ここにその記載内容を援用する。
【背景技術】
【0003】
従来、アクチュエータを備えるアクセルペダルモジュールが知られている。例えば特許文献1では、ソレノイドにより駆動されるアクチュエータが回転部材に係合し、戻し方向に力を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102014118573号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、アクチュエータにより駆動される回転部材を有しており、比較的体格が大きい。また、例えば自動運転等のアクセルペダルの操作不要時に、アクセルペダルを固定する機構を設けると、さらに体格が大型化し、構造が複雑となる虞がある。本開示の目的は、ペダルレバーの動作を規制可能なアクセル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のアクセル装置は、ペダルレバー(20)と、ロック機構(501~511)と、駆動源(40、41、201)と、を備える。ペダルレバーは、踏み込み操作に応じて動作する。ペダルレバーは、踏み込み操作に応じて動作する。ロック機構は、ペダルレバーの動作を規制する。駆動源は、ロック機構によりペダルレバーの動作が規制されていない非ロック状態から、ペダルレバーの動作が規制されているロック状態への切り替えに係る駆動力を発生する。ロック機構は、駆動源の駆動力によりロック状態となった後、駆動源への通電をオフにした状態にて、ロック状態を保持可能である。これにより、ペダルレバーの動作を適切に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
【
図1】
図1は、第1実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図2】
図2は、第1実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図3】
図3は、第1実施形態によるアクセル装置において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図4】
図4は、第2実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図5】
図5は、第2実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図6】
図6は、第2実施形態によるアクセル装置において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図7】
図7は、第3実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図8】
図8は、第3実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図9】
図9は、第3実施形態によるアクセル装置において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図10】
図10は、第4実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図11】
図11は、第4実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図12】
図12は、第4実施形態によるアクセル装置において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図13】
図13は、第5実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図14】
図14は、第5実施形態によるアクセル装置において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図15】
図15は、第5実施形態によるアクセル装置において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図16】
図16は、第6実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図17】
図17は、第6実施形態において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図18】
図18は、第6実施形態において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図19】
図19は、第7実施形態によるアクセル装置の斜視図であり、
【
図20】
図20は、第7実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図25】
図25は、第7実施形態による第2平歯ギア、第3平歯ギアおよびトーションスプリングを示す斜視図であり、
【
図26】
図26は、第7実施形態による第2平歯ギア、第3平歯ギアおよびトーションスプリングを示す斜視図であり、
【
図27】
図27は、第7実施形態によるロック部材を示す分解斜視図であり、
【
図28】
図28は、第7実施形態において、ペダルロック前の状態を示す側面図であり、
【
図30】
図30は、第7実施形態において、ロック途中の状態を示す側面図であり、
【
図32】
図32は、第7実施形態において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図34】
図34は、第7実施形態において、カム退避状態を示す側面図であり、
【
図35】
図35は、第8実施形態によるアクセル装置の側面図であり、
【
図36】
図36は、第9実施形態による第2平歯ギア、第3平歯ギアおよび圧縮コイルばねを示す模式図であり、
【
図37A】
図37Aは、第7実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック前の状態を示す模式図であり、
【
図37B】
図37Bは、第7実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図38A】
図38Aは、第10実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック前の状態を示す模式図であり、
【
図38B】
図38Bは、第10実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック途中の状態を示す模式図であり、
【
図38C】
図38Cは、第10実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図39A】
図39Aは、第11実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック前の状態を示す模式図であり、
【
図39B】
図39Bは、第11実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図39C】
図39Cは、第11実施形態によるロック機構を説明する図であって、ロック解除を説明する模式図であり、
【
図40A】
図40Aは、第12実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図40B】
図40Bは、第12実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック解除を説明する模式図であり、
【
図41A】
図41Aは、第13実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図41B】
図41Bは、第13実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック解除を説明する模式図であり、
【
図42A】
図42Aは、第14実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図42B】
図42Bは、第14実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック解除を説明する模式図であり、
【
図43A】
図43Aは、第15実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック状態を示す模式図であり、
【
図43B】
図43Bは、第15実施形態によるロック機構を示す図であって、ロック解除を説明する模式図であり、
【
図44】
図44は、第16実施形態によるロック機構を示す模式図であり、
【
図45】
図45は、第17実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図46】
図46は、第18実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図47】
図47は、第19実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図48】
図48は、第20実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図49】
図49は、第21実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図50】
図50は、第22実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図51】
図51は、第23実施形態による動力伝達機構を示す側面図であり、
【
図52】
図52は、第23実施形態において、ペダルレバーが踏み込まれ、反力が付与されている状態を示す側面図であり、
【
図53】
図53は、第23実施形態において、ペダルロック状態を示す側面図であり、
【
図54】
図54は、ペダルレバーの戻し方向への駆動を説明する模式図であり、
【
図55】
図55は、ペダルレバーの戻し方向への駆動を説明する模式図であり、
【
図57】
図57は、ペダルレバーのロック機構を説明する模式図であり、
【
図58A】
図58Aは、ペダルレバーのロック位置を説明する図であって、全閉位置でのロック状態を示す模式図であり、
【
図58B】
図58Bは、ペダルレバーのロック位置を説明する図であって、中間位置でのロック状態を示す模式図であり、
【
図58C】
図58Cは、ペダルレバーのロック位置を説明する図であって、全開位置でのロック状態を示す図であり、
【
図59A】
図59Aは、全閉状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが接続されている状態を示す模式図であり、
【
図59B】
図59Bは、全開状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが接続されている状態を示す模式図であり、
【
図60A】
図60Aは、全閉状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが当接している状態を示す模式図であり、
【
図60B】
図60Bは、全開状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが当接している状態を示す模式図であり、
【
図61A】
図61Aは、全閉状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが離間可能であることを示す模式図であり、
【
図61B】
図61Bは、全開状態にてペダルレバーと動力伝達機構とが離間可能であることを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明によるアクセル装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
第1実施形態を
図1~
図3に示す。アクセル装置1は、車両の車体の一部を構成する図示しないフロアパネルに取付可能に構成されている。
図1~
図3に示すように、アクセル装置1は、ケース10、ペダルレバー20、駆動源としてのモータ40、および、動力伝達機構50等を備える。ケース10は、車体に取付可能であって、内部にペダル35等の内部可動機構を収容する。
図1等で、ケース10の紙面手前側に設けられる図示しないカバーを外した状態を示しており、カバー面で断面となる箇所にはハッチングを記載した。
【0010】
ペダルレバー20は、パッド21、アーム31、および、ペダル35を有し、ドライバの踏込操作等により、一体に駆動される。パッド21は、ドライバにより踏込操作可能に設けられる。パッド21は、ケース10に設けられる支点部材23によりケース10に回動可能に支持される。本実施形態のペダルレバー20は、パッド21がケース10の一面に沿う方向に延びて設けられる、いわゆる「床置きタイプ」である。ケース10のパッド21に対向する側の壁部を頂壁部11とする。側面ガード24は、ドライバの足がパッド21とケース10との間に挟み込まれないように、パッド21とケース10との間の隙間をガードする部材である。
【0011】
アーム31は、パッド21とペダル35とを連結する。ケース10の頂壁部11には、アーム31が挿通される開口が形成される。アーム31が挿通される開口は、ペダル操作の全範囲において、アーム31と干渉しないように形成される。
【0012】
ペダル35は、ケース10の内部空間に収容され、シャフト部351および連結部352を有する。シャフト部351は、ケース10に回転可能に支持される。連結部352は、シャフト部351から頂壁部11に概ね沿うように延びて形成される。連結部352のシャフト部351と反対側の端部は、アーム31と係合する。これにより、ドライバによるパッド21の操作により、パッド21、アーム31およびペダル35が一体となって駆動される。
【0013】
ペダル付勢部材37は、圧縮コイルばねであって、一端がペダル35に固定され、他端がケース10に固定され、ペダル35を頂壁部11側に付勢する。パッド21がドライバにより踏み込まれていないとき、アーム31は、頂壁部11の内側に形成される全閉ストッパ17と当接する。また、パッド21を踏み込むと、パッド21は、頂壁部11の外側に形成される図示しない全開ストッパと当接する。以下、アーム31が全閉ストッパ17に当接している状態を「アクセル全閉状態」、パッド21が全開ストッパに当接している状態を「アクセル全開状態」とする。
【0014】
アクセル開度センサ39は、シャフト部351の回転角度に応じたアクセル開度信号を生成する。アクセル開度センサ39は、例えば、シャフト部351に埋め込まれた永久磁石の向きを検出するホール素子を含む検出回路を有する。アクセル開度センサ39は、アクセル開度を検出可能であればよく、ホール素子以外のものを用いてもよい。アクセル開度信号は、図示しないコネクタを経由して、制御部としてのECU99に出力される。
【0015】
モータ40は、例えばDCモータであって、アーム31よりもパッド21の先端側に設けられる。ECU99は、アクセル開度センサ39および位置センサ49の検出値等に基づき、モータ40の駆動を制御する。モータ40の駆動力は、動力伝達機構50を介して、ペダルレバー20に伝達される。これにより、ペダルレバー20は、モータ40の駆動力により駆動される。本実施形態のアクセル装置1は、動力伝達機構50を設けることで、モータ40の駆動力により、ペダルレバー20を、アクセル閉方向(以下適宜「戻し方向」)に能動的に駆動可能に構成されている。また、アクセルペダルの開方向を、適宜「踏込方向」とする。アクセル開度センサ39、ECU99およびアクセル開閉方向については、
図1以外での図示を省略した。
【0016】
ここで、動力伝達機構50の詳細説明に先立ち、アクチュエータによるペダルレバー20への反力付与およびロック機構を概念的に説明する。ここで、駆動源から動力伝達機構を介してペダルレバー20に動力を伝達する一連の構成を「アクチュエータ」とする。
図54に示すように、動力伝達機構50を、ラックギア等の直動部材および圧縮ばねで構成すれば、モータ40の駆動により、直動部材が動くことで、ペダルレバー20をアクセル閉方向に駆動可能である。
【0017】
また、
図55に示すように、ばねを介さず、直動部材が直接的にペダルレバー20を駆動するようにしてもよい。これにより、反力を調整可能である。なお、ここでは、動力伝達機構50がモータ40により直動する機構を例に説明したが、動力伝達機構が回動する機構にて構成してもよい。
【0018】
また、
図56A、
図56Bおよび
図57に示すように、ペダルレバー20を全閉状態でロックするロック機構501を設け、例えば自動運転時にパッド21を固定することで、フットレスト化することができる。このとき、
図56Aおよび
図56Bに示すように、ペダルロック時において、斜面によりドライバ踏力を分力することで、モータ40側にかかる負荷を低減するように構成することが望ましい。モータ40側にかかる負荷LDが、モータ40の通電カット時のディテントトルクTdよりも小さい状態を維持できれば、モータ40の通電をオフにしても、ロック状態を維持することができる。全開状態や中間位置でのロックも同様である。また、
図57に示すように、ペダルロック時において、ドライバ踏力がモータ40側にかからないように構成してもよい。
【0019】
ペダルレバー20のロック位置は、
図58Aに示すように全閉位置でもよいし、
図58Bに示すように全閉と全開の中間の任意の位置でもよいし、
図58Cに示すように全開位置であってもよい。なお、
図58A~
図58Cでは、ロック機構の図示を省略した。
【0020】
ペダルレバー20と動力伝達機構50との接続関係を説明する。
図59Aおよび
図59Bでは、動力伝達機構50とペダルレバー20とが接続されており、全閉から全開の全領域にて、ペダルレバー20と動力伝達機構50とが一体となって動く。このように構成した場合、ペダルレバー20の操作により、モータ40が供回りするため、コギングトルクが発生し、踏力への影響が生じる。
【0021】
図60Aおよび
図60Bでは、動力伝達機構50は、ばね等の付勢部材による付勢力によりペダルレバー20に当接しており、全閉から全開の全領域にて、ペダルレバー20と動力伝達機構50とが一体となって動く。このように構成した場合、付勢部材の付勢力が踏力に影響を与える。
図59A、
図59B、
図60Aおよび
図60Bに示すように、ペダルレバー20と動力伝達機構50とが一体となって動く場合、応答性よく反力を付与可能である。
【0022】
図61Aおよび
図61Bでは、動力伝達機構50は、全閉から全開の全領域にて、ペダルレバー20と離間可能に設けられている。これにより、反力を付与しないとき、動力伝達機構50による踏力への影響を避けることができ、必要なときのみペダルレバー20に反力を付与可能である。応答性を重視するか、反力への影響を重視するか等のニーズに応じ、ペダルレバー20と動力伝達機構50との接続関係を適宜選択可能である。
【0023】
なお、
図54~
図61Bは、本明細書における動力伝達機構およびロック機構等の概要を説明するものであって、後述の実施形態の概念を説明するものも含んでおり、全てが本実施形態に対応しているものではないが、便宜上、本実施形態に対応する番号を付番した。
【0024】
反力付与駆動源であるモータ40により、ペダルレバー20を能動的に戻し方向に駆動することで、例えば運転状況を基にパッド21を踏み込むと燃費悪化を判断するポイントで反力を与えることで壁感を出し、ドライバによるパッド21の踏み込みを抑制する。これにより、燃費を向上させることができる。また、ペダルレバー20を戻し方向にパルス駆動することで、自動運転から手動運転への切替通知等の情報伝達として活用可能である。また、自動運転時等において、ペダルレバー20をロックし、パッド21をフットレスト化することで、快適性を確保することができる。
【0025】
図1に戻り、動力伝達機構50は、送りねじ51、ホルダ52、ロッド53、および、反力調整用付勢部材54等を有する。送りねじ51、ホルダ52および反力調整用付勢部材54は、ハウジング55に収容される。ハウジング55は、略筒状に形成され、ケース10の支点部材23が設けられる側とは反対側に隣接、あるいは、一体に設けられる。ハウジング55のパッド21と反対側には、モータ40が設けられる。
【0026】
ハウジング55のモータの面には、モータ軸が挿通されるモータ軸挿通孔551が形成される。また、ハウジング55のパッド側の面には、ロッド53の軸部532が挿通されるロッド挿通孔552が形成される。ハウジング55には、ホルダ52の位置を検出する位置センサ49が設けられる。位置センサ49は、反力付与時に位置が変化する部材の位置を検出可能な任意の箇所に配置可能である。また、後述の一部の実施形態では、位置センサの図示を省略した。
【0027】
送りねじ51は、雄ねじであって、モータ40により回転駆動される。ホルダ52は、ロッド53側に開口する略有底筒状に形成される。ホルダ52の底部には、送りねじ51と噛み合う雌ねじ部521が形成される。送りねじ51がモータ40により回転することで、ホルダ52は、送りねじ51の軸方向に移動可能である。ホルダ52のロッド53側には、ロッド53と当接可能なストッパ部522が形成される。なお、送りねじ51側を雌ねじ、ホルダ52側を雄ねじとしてもよい。後述の実施形態に係る雄ねじおよび雌ねじについても、入れ替えても差し支えない。
【0028】
ロッド53は、頂部531および軸部532を有し、側面視略T字状に形成される。頂部531はハウジング55に収容され、ロッド挿通孔552から軸部532がパッド21側に突出する。軸部532の先端は、側面視円弧状に形成され、パッド21と当接する。反力調整用付勢部材54は、圧縮コイルばねであって、一端がホルダ52の内部に収容され、他端がロッド53の頂部531と当接する。
【0029】
図1に示すように、アクセル全閉状態での初期状態において、ロッド53の頂部531は、反力調整用付勢部材54により、ハウジング55のパッド側の端面に押し付けられる。また、初期状態において、ホルダ52は、相対的にモータ40側に位置している。
【0030】
図2に示すように、パッド21が踏み込まれると、踏力により、ロッド53がホルダ52へ向かう側へ移動する。また、モータ40を駆動し、ホルダ52をロッド53へ向かう側へ駆動すると、反力調整用付勢部材54の付勢力により、ペダルレバー20の戻し方向に反力を与えることができる。ECU99は、位置センサ49の検出値に基づき、モータ40の駆動を制御し、ホルダ位置を制御することで、ペダルレバー20に与える反力を調整することができる。
【0031】
図3に示すように、アクセル全閉状態にてモータ40を駆動し、ストッパ部522とロッド53の頂部531とが当接する位置までホルダ52を駆動すると、ペダルレバー20がロックされる。図中、ホルダ52等の移動を一点鎖線の矢印で示す。後述の実施形態も同様である。
【0032】
本実施形態では、送りねじ51とホルダ52とがボルトとナットの関係になっているので、モータ40の通電をオフにした位置で、ホルダ52が保持される。すなわち、ホルダ52とロッド53とが当接した状態でモータ40への通電をオフにし、この状態にてパッド21がドライバにより踏み込まれたとしても、ホルダ52が押し戻されることはなく、ロック状態が保持される。また、モータ40を逆方向に駆動し、ホルダ52とロッド53とを離間させることで、ロック状態が解除される。
【0033】
以上説明したように、アクセル装置1は、ペダルレバー20と、少なくとも1つの駆動源としてのモータ40と、動力伝達機構50と、ロック機構501と、を備える。ペダルレバー20は、踏み込み操作に応じて動作する。詳細には、ペダルレバー20は、踏み込み操作可能なパッド21、ケース10に回動可能に支持されるペダル35、および、パッド21とペダル35とを接続するアーム31を有する。モータ40は、ペダルレバー20を戻し方向の力である反力を付与可能である。
【0034】
ロック機構501は、ペダルレバー20の動作を規制可能である。本実施形態では、送りねじ51、ホルダ52およびロッド53がロック機構501を構成する。ここで、「ペダルレバーの動作を規制可能」とは、ペダルレバー20または動力伝達機構50において、ペダルレバー20の移動量をゼロにする、または、非ロック時よりも移動量が小さくなるようにすることを含む概念である。
【0035】
アクセル装置1では、1つの駆動源であるモータ40による踏力調整機能とロック機能と兼ね備えたアクセル装置1を、比較的簡易で小型な構成にて実現している。例えば、危険警告や燃費向上等により、ペダルレバー20を踏み込ませたくない場合に、反力を増加させることで、踏み込みを抑制することができる。また、ドライバの要求や車両タイプに応じ、反力を調整することができる。さらにまた、自動運転時等のアクセル操作不要時に、ペダルレバー20を固定することで、足の置き場とするフットレスト化が可能であったり、踏み間違い防止のためにペダルレバー20を踏み込めないようにしたりすることができる。
【0036】
動力伝達機構50は、反力調整用付勢部材54を有し、モータ40の駆動力を、反力調整用付勢部材を介してペダルレバー20に伝達する。これにより、反力調整用付勢部材54の縮小量を調整することで、反力の大きさを調整可能である。
【0037】
モータ40は、回転力を発生するものである。動力伝達機構50は、モータ40の回転力を直動方向に変換する直動変換機構、および、ペダルレバー20と直動変換機構との間に設けられる反力調整用付勢部材54を有する。本実施形態では、送りねじ51およびホルダ52が直動変換機構を構成し、反力調整用付勢部材54がペダルレバー20とホルダ52との間に設けられる。モータ40の回転力を直動方向の力に変換し、ホルダ52の位置を変更することで反力調整用付勢部材54を伸縮させ、ペダルレバー20に与える反力を増減させることができる。
【0038】
アクセル装置1は、ホルダ52の位置を検出する位置センサ49と、位置センサ49の検出値に基づいてモータ40を制御するECU99と、を備える。モータ40は、位置センサ49の検出値に応じて制御される。これにより、ペダルレバー20に与える反力やロック状態を適切に制御することができる。
【0039】
ロック機構501には、ホルダ52およびロッド53が含まれる。ホルダ52は、反力調整用付勢部材54の軸方向に移動することで、ロック位置まで移動し、ロッド53を介してペダルレバー20と間接的に当接することで、ペダルレバー20の動作を規制する。換言すると、本実施形態のロック機構は、押さえ付けロック機構である。本実施形態では、ホルダ52とロッド53とが当接する位置が「ロック位置」に対応する。ここで、「軸方向」とは、反力調整用付勢部材54の軸方向に厳密に限定されるものではなく、反力調整用付勢部材54を圧縮した状態にて、ストッパ部522にてペダルレバー20をロック可能な程度のずれは許容されるものとする。後述の実施形態における「軸方向」および「直交する方向」等についても同様であり、機能を実現可能な程度のずれは許容される。アクセル全閉状態から、ペダルレバー20の移動方向側からホルダ52によりペダルレバー20を押さえることで、ペダルレバー20を適切にロックすることができる。第2実施形態、第3実施形態および第5実施形態も同様に押さえ付けロック機構である。
【0040】
本実施形態の移動部材はホルダ52であって、動力伝達機構50は、送りねじ51およびホルダ52を有する。送りねじ51は、モータ40により駆動され、雄ねじが形成される。ホルダ52は、送りねじ51に噛み合う雌ねじが形成される。反力調整用付勢部材54は、一端がホルダ52に当接し、他端がペダルレバー20に当接するロッド53と当接する。ホルダ52には、ロッド53と当接可能なストッパ部522が形成され、ロッド53とストッパ部522とが当接することで、ペダルレバー20をロックする。
【0041】
雄ねじと雌ねじとの噛み合いにより、ホルダ52を移動させるので、反力調整用付勢部材54の付勢力により押し戻されることなく、ホルダ52を位置決め可能である。また、雄ねじと雌ねじとの噛み合いにより、ホルダ52が位置決めされるので、モータ40への負荷を低減することができる。また、ホルダ52が直動変換機構の機能とロック機構の機能とを兼ね備えているので、構成を簡素化することができる。
【0042】
動力伝達機構50は、モータ40の回転力を直動方向に変換する直動変換機構を含んでいる。動力伝達機構50のロッド53は、ペダルレバー20と常時当接している。これにより、応答性よく反力を発生させることができる。
【0043】
ロック機構501は、ペダルレバー20の全閉位置にてペダルレバー20の動作を規制する。ロック機構501は、ペダルレバー20への反力付与に用いられるモータ40により駆動される。ロック機構501は、当該ロック機構501の駆動源であるモータ40への通電をオフにした状態にて、ペダルレバー20の動作が規制されている状態を保持可能である。これにより、ペダルレバー20の動作を適切に規制することができる。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態~第5実施形態では、動力伝達機構が上記実施形態と異なるので、以下、この点を中心に説明する。第2実施形態を
図4~
図6に示す。アクセル装置2の動力伝達機構60は、送りねじ61、ホルダ62、シリンダ63、および、反力調整用付勢部材64等を有する。
【0045】
送りねじ61は、雄ねじであって、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。ギア機構410は、第1ギア411および第2ギア412を有する。第1ギア411はモータ40と一体に回転し、第1ギア411と噛み合う第2ギア412は、送りねじ61と一体に回転する。これにより、送りねじ61は、モータ40により駆動される。
【0046】
ホルダ62は、略筒状に形成され、シリンダ63の径方向内側に設けられる。ホルダ62の周壁には、シリンダ63の軸方向への移動をガイドするガイド突起625が形成される。ホルダ62の径方向内側であって、ギア機構410側には、送りねじ61と噛み合う雌ねじ部621が形成される。送りねじ61がモータ40により回転することで、ホルダ62は、軸方向に移動可能である。ホルダ62のパッド21側の端部には、パッド21と当接可能なストッパ部622が形成される。ストッパ部622は、ホルダ62のパッド21側の端面にて、外径に沿って立設される。ホルダ62のパッド21側は、シリンダ63からパッド21側に露出する。
【0047】
送りねじ61およびホルダ62は、シリンダ63に収容される。シリンダ63は、略筒状に形成され、モータハウジング400の内部にモータ軸と平行に配置される。ここで本明細書における「平行」とは、厳密な平行であることに限定されず、組み付け誤差程度のずれは許容されるものとする。シリンダ63のギア機構410側の端面には、送りねじ61を挿通可能な孔部が形成され、シリンダ63のパッド21側の端面は、ホルダ62を挿通可能に形成される。シリンダ63には、ホルダ62の位置を検出する位置センサ49が設けられる。
【0048】
反力調整用付勢部材64は、圧縮コイルばねであって、一端がホルダ62のストッパ部622の径方向内側に配置され、他端がパッド21に当接固定される。すなわち本実施形態では、上記実施形態でのロッドが省略されており、反力調整用付勢部材64がパッド21を直接的に押している。
【0049】
図4は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、ホルダ62の雌ねじ部621は、ギア機構410に可及的近い位置にて送りねじ61と噛み合っている。
図5に示すように、パッド21が踏み込まれると、踏力により反力調整用付勢部材64が圧縮される。また、モータ40を駆動し、ホルダ62をパッド21へ向かう側へ駆動すると、反力調整用付勢部材64がさらに圧縮されることで、反力調整用付勢部材64の付勢力により、ペダルレバー20の戻し方向に反力を与えることができる。
【0050】
図6に示すように、アクセル全閉状態にてモータ40を駆動し、ホルダ62とパッド21とが当接する位置までホルダ62を駆動すると、ペダルレバー20がロックされる。本実施形態では、上記実施形態と同様、送りねじ61とホルダ62とがボルトとナットの関係になっているので、パッド21とホルダ62とが当接した状態でモータ40への通電をオフにすることで、無通電にてロック状態を保持可能である。また、モータ40を逆方向に駆動し、ホルダ62をパッド21から離間させることで、ロック状態が解除される。
【0051】
本実施形態は、移動部材はホルダ62であって、直動変換機構は、送りねじ61およびホルダ62を有する。送りねじ61は、モータ40により駆動され、雄ねじが形成される。送りねじ61は、ギア機構410を介してモータ40により駆動される。ホルダ62には、送りねじ61に噛み合う雌ねじが形成される。
【0052】
反力調整用付勢部材64は、一端がホルダ62と当接し、他端がペダルレバー20と当接する。ホルダ62には、ストッパ部622が形成され、ペダルレバー20とストッパ部622とが当接することで、ペダルレバー20をロックする。本実施形態では、パッド21とストッパ部622とが当接する位置が「ロック位置」に対応し、送りねじ61およびホルダ62がロック機構502を構成する。
【0053】
本実施形態では、ロック機構502には、ホルダ62が含まれ、ホルダ62がペダルレバー20と直接的に当接することで、ペダルレバー20の動作を規制する。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態を
図7~
図9に示す。アクセル装置3の動力伝達機構70は、送りねじ71、ジャッキ部72、ホルダ73、および、反力調整用付勢部材74等を有する。本実施形態では、モータ軸および送りねじ71が、ケース10の頂壁部11と略平行に配置される。送りねじ71およびジャッキ部72は、モータハウジング401に収容される。モータハウジング401のパッド21側の壁部は、ジャッキ部72が駆動可能な開口が形成されている。
【0055】
送りねじ71は、雄ねじであって、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。送りねじ71は、軸方向における中央から、ねじ山の切り方が逆向きになっている。ジャッキ部72は、雌ねじブロック721、722、上側連結部723、下側連結部724、および、リンク725~728を有する。雌ねじブロック721、722は、内側に雌ねじが形成されており、送りねじ71と噛み合う。本実施形態では、雌ねじブロック721が送りねじ71の中心よりもギア機構410から遠い側、雌ねじブロック722が送りねじ71の中心よりもギア機構410に近い側に位置する。
【0056】
雌ねじブロック721、722は、送りねじ71のパッド21側において、リンク725、上側連結部723、および、リンク726にて接続される。また、雌ねじブロック721、722は、送りねじ71のパッド21と反対側において、リンク727、下側連結部724、および、リンク728にて接続される。
【0057】
モータ40により送りねじ71を一方側に回転することで、雌ねじブロック721、722が送りねじ71の中央に向かう側に移動すると、連結部723、724は、送りねじ71から離れる側に移動する。また、モータ40により送りねじ71を他方側に回転することで、雌ねじブロック721、722が送りねじ71の中央から離れる側に移動すると、連結部723、724は、送りねじ71に近づく側に移動する。
【0058】
ホルダ73は、パッド21側に開口する略筒状に形成され、上側連結部723に固定される。ホルダ73のパッド21側には、パッド21と当接可能なストッパ部732が形成される。反力調整用付勢部材74は、一端がホルダ73のストッパ部732の径方向内側に配置され、他端がパッド21に当接固定される。すなわち本実施形態では、第2実施形態と同様、反力調整用付勢部材74がパッド21を直接的に押している。
【0059】
図7は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、雌ねじブロック721、722は、可及的離間した箇所に位置している。
図8に示すように、パッド21が踏み込まれると、踏力により反力調整用付勢部材74が圧縮される。また、モータ40を駆動し、雌ねじブロック721、722が近接する方向に駆動されると、上側連結部723がパッド21側へ移動し、反力調整用付勢部材74がさらに圧縮されることで、反力調整用付勢部材74の付勢力により、ペダルレバー20の戻し方向に反力を与えることができる。
【0060】
図9に示すように、アクセル全閉状態にてモータ40を駆動し、ホルダ73がパッド21に当接するところまで、上側連結部723を持ち上げるように、雌ねじブロック721、722を移動させると、ペダルレバー20がロックされる。上記実施形態と同様、送りねじ71と雌ねじブロック721、722とがボルトとナットの関係になっているので、パッド21とホルダ73とが当接した状態にてモータ40への通電をオフにすることで、無通電にてロック状態を保持可能である。また、モータ40を逆方向に駆動し、ホルダ73をパッド21から離間させることで、ロック状態が解除される。
【0061】
本実施形態では、移動部材はホルダ73である。直動変換機構は、送りねじ71、ジャッキ部72、および、ホルダ73を有する。送りねじ71は、モータ40により駆動され、中間部にてねじ方向が反転する雄ねじまたは雌ねじの一方が形成される。送りねじ71は、ギア機構410を介してモータ40に駆動される。
【0062】
ジャッキ部72は、ねじブロックとしての雌ねじブロック721、722、および、連結部723、724を有する。雌ねじブロック721、722は、送りねじ71の中間部を挟んで両側に設けられ、送りねじ71と噛み合う雌ねじが形成される。連結部723、724は、雌ねじブロック721、722に接続されるリンク725~728を連結する。ホルダ73は、送りねじ71のペダルレバー20側に設けられる連結部723に固定される。
【0063】
反力調整用付勢部材74は、一端がホルダ73と当接し、他端がペダルレバー20と当接する。ホルダ73には、ペダルレバー20と当接可能なストッパ部732が形成され、ペダルレバー20とストッパ部732とが当接することで、ペダルレバー20をロックする。本実施形態では、ストッパ部732とパッド21とが当接する位置が「ロック位置」に対応する。本実施形態では、送りねじ71、ジャッキ部72およびホルダ73がロック機構503を構成する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0064】
(第4実施形態)
第4実施形態を
図10~
図12に示す。アクセル装置4の動力伝達部80は、スライダ部材81、ホルダ82、ホルダガイド部材83、および、反力調整用付勢部材84等を有する。スライダ部材81は、ラックギア部811、スライダ部812、および、ストッパ部814を有する。ラックギア部811は、モータ40の回転により、スライダ部材81をペダルレバー20の回動方向と交わる横方向に移動可能に設けられる。本実施形態では、支点部材23側を一方側、パッド21の先端側を他方側とする。
【0065】
スライダ部812は、ラックギア部811の一方側の端部から略L字状に形成される。スライダ部812のパッド21側には、一方側にいくほどパッド21との距離が大きくなる傾斜面813が形成される。ストッパ部814は、ラックギア部811の一方側にてパッド21側に突出し、アーム31と当接可能に設けられる。
【0066】
ホルダ82は、傾斜面813を摺動可能であって、スライダ部材81の移動によって、反力調整用付勢部材84の軸方向に移動可能に設けられる。ホルダガイド部材83は、ホルダ82の移動をガイドする。反力調整用付勢部材84は、一端がホルダ82に固定され、他端がアーム31に当接固定される。
【0067】
図10は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、ホルダ82はスライダ部812の一方側に位置している。
図11に示すように、パッド21が踏み込まれると、踏力により反力調整用付勢部材84が圧縮される。また、モータ40を駆動し、スライダ部材81が一方側に移動すると、ホルダ82がアーム31側に押し上げられ、反力調整用付勢部材84がさらに圧縮されることで、反力調整用付勢部材84の付勢力により、ペダルレバー20の戻し方向に反力を与えることができる。すなわち、ホルダ82の可動範囲である傾斜面813が、反力アップ区間となる。
【0068】
図12に示すように、アクセル全閉状態にてモータ40を駆動し、アーム31とストッパ部814とが当接する位置までスライダ部材81を移動させると、ペダルレバー20がロックされる。アーム31がスライダ部材81により当接固定されるので、モータ40をオフにしても、無通電にてロック状態を保持可能である。また、モータ40を逆方向に駆動し、スライダ部材81を他方側へ移動させると、アーム31とストッパ部814とが離間し、ロック状態が解除される。
【0069】
本実施形態では、移動部材であるスライダ部材81は、直動変換機構に含まれ、反力調整用付勢部材84の軸方向に直交する方向に移動することで、ロック位置まで移動する。移動部材をスライダ部材81とし、ペダルレバー20の移動方向に直交する方向からペダルレバー20を押さえることで、モータ40側へ負荷をかけることなく、ペダルレバー20をロックすることができる。換言すると、本実施形態のロック機構は、スライドロック機構である。
【0070】
移動部材はスライダ部材81であって、直動変換機構は、スライダ部材81、および、ホルダ82を有する。スライダ部材81は、ラックギア部811、スライダ部812、および、ストッパ部814を有する。ラックギア部811は、モータ40により駆動されるラックアンドピニオン機構を構成する。スライダ部812は、傾斜面813が形成される。ストッパ部814は、ペダルレバー20と当接可能に設けられる。
【0071】
ホルダ82は、傾斜面813に摺動可能に設けられ、スライダ部材81の移動により、反力調整用付勢部材84の軸方向に移動可能である。反力調整用付勢部材84は、一端がホルダ82に当接し、他端がペダルレバー20に当接する。ペダルレバー20とストッパ部814とが当接することで、ペダルレバー20をロックする。ストッパ部814とアーム31とが当接する位置が「ロック位置」に対応する。本実施形態では、スライダ部材81がロック機構504を構成する。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0072】
(第5実施形態)
第5実施形態を
図13~
図15に示す。アクセル装置5の動力伝達機構90は、送りねじ91、ホルダ92、および、反力調整用付勢部材94等を有する。送りねじ91は、モータハウジング400の内部にモータ軸と平行に配置される。送りねじ91は、雄ねじであって、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。ホルダ92は、雌ねじ部921、係止部922、および、ストッパ部923を有する。雌ねじ部921は、送りねじ91と噛み合い、送りねじ91がモータ40により回転することで、ホルダ92は軸方向に移動可能である。係止部922は、雌ねじ部921のモータ40とは反対側に延びて形成される。ストッパ部923は、雌ねじ部921と係止部922との間にて、パッド21側に突出して設けられる。ストッパ部923は、アクセル全閉状態にて、アーム31と当接可能に形成される。反力調整用付勢部材94は、圧縮コイルばねであって、一端がホルダ92の係止部922に固定され、他端がアーム31に当接固定される。
【0073】
図13は、アクセル全閉での初期状態を示している。初期状態において、ホルダ92はギア機構410に可及的近い箇所に位置している。
図14に示すように、パッド21が踏み込まれると、踏力により反力調整用付勢部材94が圧縮される。また、モータ40を駆動し、ホルダ92をパッド21へ向かう側へ駆動すると、反力調整用付勢部材94がさらに圧縮されることで、反力調整用付勢部材94の付勢力により、ペダルレバー20に戻し方向の反力を与えることができる。
【0074】
図15に示すように、アクセル全閉状態にてモータ40を駆動し、ストッパ部923とアーム31とが当接する位置までホルダ92を駆動すると、アーム31とホルダ92との当接固定により、ペダルレバー20がロックされる。第1実施形態等と同様、送りねじ91とホルダ92の雌ねじ部921とがボルトとナットの関係になっているので、無通電状態にてロック状態を保持可能である。また、モータ40を逆方向に駆動し、ホルダ92をアーム31から離間させることで、ロック状態が解除される。本実施形態では、送りねじ91およびホルダ92がロック機構505を構成する。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
(第6実施形態)
第6実施形態を
図16~
図18に示す。アクセル装置6の動力伝達機構100は、送りねじ101、ホルダ105、スライダ部材110、および、反力調整用付勢部材115等を有する。送りねじ101は、第5実施形態の送りねじ91と同様であって、モータハウジング400の内部にモータ軸と平行に配置され、ギア機構410を介してモータ40により回転駆動される。
【0076】
ホルダ105には、雄ねじである送りねじ101と噛み合う雌ねじが形成されており、反力調整用付勢部材115を保持する。スライダ部材110は、ばね収容部111、および、アーム当接部112を有する。ホルダ105およびスライダ部材110は、送りねじ101の回転により、軸方向に移動可能である。ばね収容部111の径方向内側には、反力調整用付勢部材115が収容される。アーム当接部112は、ばね収容部111から径方向外側に突出して形成され、アーム31と当接可能な傾斜面113が形成されている。反力調整用付勢部材115は、圧縮コイルばねであって、一端がホルダ105に固定され、他端がスライダ部材110に固定されている。
【0077】
図16では、ホルダ105およびスライダ部材110が退避位置にある状態を示している。破線で示すように、ホルダ105およびスライダ部材110が退避位置にあるとき、ペダルレバー20を全開位置まで踏み込んでも、アーム31とスライダ部材110とが離間している。これにより、ホルダ105およびスライダ部材110を退避位置としてアーム31とスライダ部材110とを離間させておくことで、反力を付与しないとき、アクセル全閉から全開の全領域において、動力伝達機構100側からのコギングトルク等が踏力に影響を与えるのを避けることができる。
【0078】
図17に示すように、反力を付与するとき、モータ40を駆動し、送りねじ101を回転させることで、ホルダ105およびスライダ部材110を上昇させ、スライダ部材110の傾斜面113とアーム31とを当接させる。傾斜面113とアーム31とが当接している状態にて、さらにホルダ105を上昇させると、反力調整用付勢部材115が押し縮められることで、ペダルレバー20に戻し方向の反力を与えることができる。
【0079】
図18に示すように、動力伝達機構100をロックするとき、ホルダ105を上端まで上昇させ、スライダ部材110を、ホルダ105とモータハウジング400で挟み込む。これにより、送りねじ101の静摩擦力により、ロックされる。また、モータ40を駆動し、ホルダ105を下降させることで、ロック状態が解除される。本実施形態では、送りねじ101、ホルダ105、スライダ部材110およびモータハウジング400がロック機構506を構成する。
【0080】
本実施形態の動力伝達機構100は、送りねじ101、ホルダ105、および、スライダ部材110を有する。送りねじ101は、モータ40により駆動され、雄ねじまたは雌ねじの一方が形成される。ホルダ105は、送りねじ101に噛み合う雄ねじまたは雌ねじの他方が形成される。スライダ部材110は、ペダルレバー20と当接する傾斜面113を有する。反力調整用付勢部材115は、一端がホルダ105に当接し、他端がスライダ部材110に当接する。
【0081】
動力伝達機構100のスライダ部材110は、ペダルレバー20に反力を付与するとき、ペダルレバー20と当接し、ペダルレバー20に反力を付与しないとき、ペダルレバー20と離間する。これにより、ペダルレバー20に反力を付与しないとき、例えばモータ40のコギングトルク等の力が動力伝達機構100側からペダルレバー20に影響するのを防ぐことができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
(第7実施形態)
第7実施形態を
図19~
図33に示す。アクセル装置7の動力伝達機構200は、モータギア204、傘歯ギア205、第1平歯ギア210、第2平歯ギア220、第3平歯ギア230、トーションスプリング245、カム250、および、ロック部260等を有し、モータ201により駆動される。
【0083】
図21に示すように、モータ201は、例えばDCモータであって、回転力を発生するものであって、モータケース202に収容されている。モータ201は、図示しない回転軸がケース10の頂壁部11と略平行になるように設けられている。
【0084】
傘歯ギア205は、モータ201のシャフトと一体に回転するモータギア204と噛み合い、シャフト211により第1平歯ギア210と接続される。シャフト211は、コネクタケース203およびギアカバー206に回転可能に支持される。
【0085】
ギアカバー206は、モータ201およびコネクタケース203の側面に設けられ、平歯ギア210、220、230およびカム250等を収容する。ギアカバー206は、タッピング等である固定部材207により、コネクタケース203およびモータケース202に固定されている。ギアカバー206には、第2平歯ギア220の回転を検出する図示しない回転角センサが設けられる。
【0086】
図21、
図25および
図26等に示すように、第2平歯ギア220は、モータケース202と反対側に開口する内筒部221、モータケース202側に開口する外筒部224等を有し、樹脂等にて一体に形成される。ここでは、第2平歯ギア220等が樹脂で形成されている例を示しているが、金属であってもよい。他のギアを含む各種部材も同様であり、重量や強度等の要求に応じ、材料は任意に選定可能である。内筒部221の底部222には、シャフト240が圧入される。内筒部221の内周側には、回転角センサを保持するセンサ保持部208が挿入される。内筒部221には、回転角センサにより検出可能な箇所に、マグネット209が設けられる。
【0087】
外筒部224の開口側には、第1平歯ギア210と噛み合うギア部225が形成されている。内筒部221と外筒部224との間には、トーションスプリング245が収容される収容室226が形成されている。収容室226には、トーションスプリング245の一端を係止するピン227が突出して形成されている。
【0088】
外筒部224の内壁には、平面視略L字形状に形成される係止壁228が形成されている。本実施形態では、係止壁228は、軸線を挟んで2箇所に形成されている。また、外筒部224の径方向外側には、ロック係止部229が突出して形成されている。
【0089】
第3平歯ギア230は、基部231、ギア部232、挿入部233、係止凸部236、ピン237等を有し、樹脂等により一体に形成される。ギア部232は、基部231の第2平歯ギア220と反対側に突出して形成される。挿入部233は、基部231の第2平歯ギア220側に突出して形成され、外筒部224の径方向内側に挿入される。ギア部232および挿入部233には、シャフト240が挿通される挿通孔234が形成される。
【0090】
係止凸部236は、基部231の外周側の2箇所にて、第2平歯ギア220側に突出して形成され、係止壁228と外筒部224との間の空間に挿入される、ピン237は、基部231の第2平歯ギア220側に突出して形成される。
【0091】
トーションスプリング245は、第2平歯ギア220の収容室226に収容され、一端が第2平歯ギア220のピン227に係止され、他端が第3平歯ギア230のピン237に係止される。モータ201の駆動により第2平歯ギア220が回転するとき、トーションスプリング245のセット荷重までは、第2平歯ギア220および第3平歯ギア230が一体となって回転し、セット荷重を超えると、第2平歯ギア220と第3平歯ギア230とが離間し、第2平歯ギア220が回転しても、第3平歯ギア230は回転しない。
【0092】
図23等に示すように、カム250は、本体部251、ギア部252、および、カムレバー253を有する。本体部251は、平面視略円形に形成され、モータケース202およびギアカバー206に回転可能に支持されている。ギア部252は、本体部251から径方向外側に突出して形成されており、第3平歯ギア230のギア部232と噛み合う。
【0093】
カムレバー253は、本体部251の径方向外側であって、本体部251の回転軸に対してギア部232と略反対側に延びて形成されている。カムレバー253の先端側には、アーム31に設けられる接続ピン32と当接する凹部254が形成されている。
【0094】
図27に示すように、ロック部260は、ロックピン261、ロックピン付勢部材263、および、ロックピンケース265等を有する。ロックピン261は、平板部262の一方の面に突出して設けられている。ロックピン付勢部材263は、圧縮コイルばねであって、平板部262のロックピン261が設けられるのと反対の面側に設けられている。ロックピンケース265は、略円筒形状に形成され、底部にロックピン261が挿通される孔部266が形成されている。ロックピンケース265の筒部の径方向外側には、固定部267が形成されている。ロックピン付勢部材263を平板部262にて圧縮可能な状態にて、スナップフィット等により固定部267を筐体としてのコネクタケース203に固定することで、ロック部260がコネクタケース203に固定される。
【0095】
ここで、動力伝達機構200の作動を説明する。以下、カム250を
図28等における時計回り方向に回転させるときのモータ201の回転方向を正、カム250を反時計回りに回転させるときのモータ201の回転方向を負とする。
図28および
図29に示すように、カム250のカムレバー253とアーム31の接続ピン32とが当接している状態にて、モータ201を正方向に回転させることで、ペダルレバー20に戻し方向の反力を与えることができる。このとき、第2平歯ギア220のロック係止部229とロックピン261とは離間しており、ギアの回転は規制されていない。
【0096】
図30および
図31に示すように、アーム31が全閉ストッパ17に当接すると、カム250の時計方向への回転が規制される。この状態にて、モータ201を正方向に回転させ、トーションスプリング245のセット荷重を超えて第1平歯ギア210を回転させると、トーションスプリング245が捩れるため、第2平歯ギア220が反時計方向に回転する。これにより、ロック係止部229がスラスト力にてロックピン261を押し込み、ロックピン付勢部材263を押し縮める。
【0097】
図32および
図33に示すように、ロック係止部229がロックピン261を乗り越えると、ペダルレバー20がロックされる。これにより、モータ201への通電をオフした状態にて、ロック状態を保持可能である。ペダルレバー20がロックされている状態にて、ペダルレバー20を所定のロック解除踏力以上の力で踏み込む、または、モータ201を負方向に駆動することで、ロックピン261を押し込む方向にかかる分力によりロックピン付勢部材263が押し縮められ、再度ロック係止部229がロックピン261を乗り越えると、ペダルレバー20にロックが解除される。本実施形態では、ロック部260および第2平歯ギア220がロック機構507を構成する。また、ロック機構507は、プランジャ方式である。
【0098】
図34に示すように、ペダルレバー20に反力を付与しない場合、カムレバー253がモータケース202と当接する位置まで回転させ、ペダルレバー20の全閉から全開までの全領域において、カムレバー253と接続ピン32とが当接しないようにカム250を退避させる。これにより、反力を付与しないとき、動力伝達機構200側からのコギングトルク等が踏力に影響を与えるのを避けることができる。
【0099】
動力伝達機構200は、モータ201の駆動力を剛性部材によりペダルレバー20に伝達する。本実施形態では、剛性部材は、モータ201により駆動され、ペダルレバー20と当接可能なカム250である。モータ201とカム250との間には、減速機構を構成するギア210、220、230が設けられる。これにより、モータ201の駆動力を、適切にモータ201に伝達することができる。
【0100】
減速機構には、同軸に配置される第2平歯ギア220および第3平歯ギア230が含まれる。第2平歯ギア220と第3平歯ギア230との間には、トーションスプリング245が設けられている。第2平歯ギア220を反力付与方向に回転させるとき、第3平歯ギア230は、トーションスプリング245のセット荷重までは第2平歯ギア220と一体に回転し、トーションスプリング245のセット荷重を超えると回転しない。
【0101】
ロック機構507は、第2平歯ギア220と一体に回転するロック係止部229、および、第3平歯ギア230が回転せず、第2平歯ギア220が回転する領域にてロック係止部229を係止可能なロックピン261を有する。
【0102】
ロック機構507は、モータ201からペダルレバー20に至る動力伝達経路に設けられるロック係止部229、および、弾性力により移動可能なロックピン261を有し、ロック係止部229がロックピン261を乗り越え、ロックピン261に係止されることでペダルレバー20の動作を規制する。これにより、ペダルレバー20の動作を適切に規制することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0103】
本実施形態では、モータ201が「駆動源」、第2平歯ギア220が「駆動源側ギア」、第3平歯ギア230が「カム側ギア」、トーションスプリング245が「ギア間付勢部材」、ロックピン261が「ロック部材」、ロックピン付勢部材263の弾性力が「弾性力」に対応する。また、ロック係止部229は、動力伝達機構200を構成する第2平歯ギア220と一体に設けられており、「動力伝達経路に設けられている」と捉えることができる。
【0104】
(第8実施形態)
第8実施形態を
図35に示す。第8実施形態は、第7実施形態の変形例である。本実施形態の動力伝達機構290は、一端がカム250に係止され、他端がギアカバー206に係止されるカム付勢部材であるトーションスプリング259を有する。なお、説明のため、ギアカバー206側に設けられ、トーションスプリング259の他端が係止されるピンを一点鎖線で記載した。トーションスプリング259は、カム軸に対して、モータ201のコギングトルクに打ち勝つ付勢力を発生し、カム250をアーム31に常に当接させる。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0105】
(第9実施形態)
第9実施形態を
図36に示す。第7実施形態では、第2平歯ギア220と第3平歯ギア230との間には、トーションスプリング245が設けられている。第9実施形態では、第2平歯ギア220と第3平歯ギア230との間には、ギア間付勢部材としての圧縮コイルばね248が設けられている。第2平歯ギア220の外筒部224の内壁には、係止壁228およびピン227に変えて、係止壁288、289が形成されている。また、第3平歯ギア230には、係止凸部236およびピン237に替えて、係止凸部239が設けられている。
【0106】
係止凸部239は、第2平歯ギア220の2つの係止壁288、289の間にて移動可能に設けられる。圧縮コイルばね248は、係止壁289と係止凸部239との間に設けられ、第3平歯ギア230をアクセル閉方向に付勢する。係止凸部239は、圧縮コイルばね248の付勢力により、係止壁288に当接可能に設けられる。係止壁288、289および係止凸部239は、圧縮コイルばね248のセット長に応じて設けられる。本実施形態では、第7実施形態と同様、圧縮コイルばね248のセット荷重までは第2平歯ギア220と第3平歯ギア230とが一体となって回転し、セット荷重を超えると、第3平歯ギア230は回転せず、第2平歯ギア220が回転する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0107】
(第10実施形態)
第10実施形態~第16実施形態は、ロック機構が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。ここで説明するロック機構は、どの実施形態の動力伝達機構と組み合わせてもよい。
図37Aおよび
図37Bは、第7実施形態のロック機構507を模式的に示しており、第2平歯ギア220(
図37A等では不図示)の回転によりロック係止部229がロックピン261をスラスト力により押し込むことで、ロック係止部229がロックピン261を乗り越えることで、ペダルレバー20がロックされる。
【0108】
ロック係止部229によりロックピン261に対してスラスト力を発生可能なように、ロック係止部229をロック方向に移動させるときに当接するロック係止部229とロックピン261との当接面の少なくとも一方は、傾斜面になっていることが望ましい。同様に、ロック係止部229をロック解除方向に移動させるときに当接するロック係止部229とロックピン261との当接面の少なくとも一方は、傾斜面になっていることが望ましい。傾斜角度等は、ロックやロック解除に要するトルク等に応じ、任意に設定可能である。なお、傾斜面は、平面に限らず、例えばロックピン261の先端面をドーム状に形成する、といった具合に曲面であってもよい。また、ロック位置は、全閉位置に限らず、全開位置や中間位置であってもよい。第10実施形態についても同様である。
【0109】
図38A、
図38Bおよび
図38Cに示す第10実施形態のロック機構508では、ロックピン268がゴム等の可撓性を有する材料で形成されている。
図38Bに矢印で示すようにロック係止部229が移動してロックピン268を曲げることで、ロック係止部229がロックピン268を乗り越え、ペダルレバー20がロックされる(
図38C参照)。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。本実施形態では、ロックピン268が「ロック部材」に対応し、ロックピン268自体の弾性力が「弾性力」に対応する。
【0110】
(第11実施形態)
第11実施形態を
図39A、
図39Bおよび
図39Cに示す。本実施形態では、ロック機構509として、磁性体301、マグネット302、および、弾性部材303を有する。磁性体301は、パッド21に設けられる。マグネット302は、ケース10の磁性体301と対向する箇所に設けられる。弾性部材303は、ケース10に設けられる収容室304に収容され、一端が収容室304の内壁に係止され、他端がマグネット302と接続されている。なお、パッド21側をマグネット302とし、ケース10側を磁性体301としてもよい。
【0111】
図39Bに示すように、磁性体301とマグネット302とが引き合うことで、パッド21を全開状態でロック可能である。また
図39Cに示すように、ロック状態よりさらにパッド21を踏み込み、弾性部材303を圧縮することで、弾性部材303の反力により磁性体301とマグネット302とを引き離すことで、ロック状態を解除可能である。このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。本実施形態では、ケース10が「ハウジング」に対応する。
【0112】
(第12実施形態~第15実施形態)
第12実施形態を
図40Aおよび
図40B、第13実施形態を
図41Aおよび
図41B、第14実施形態を
図42Aおよび
図42B、第15実施形態を
図43Aおよび
図43Bに示す。
図40A~
図43Bに示すように、アーム31には、嵌合部33が形成されており、ロックピン311、312が嵌まり合うことで、ペダルレバー20をロックする。ロックピン311と嵌まり合う箇所が複数段となるように嵌合部33を形成することで、全閉から全開の中間位置にて、段階的にペダルレバー20をロックすることができる。
図39A~
図42Bでは、ロックピン311、312がロック機構510を構成する。
【0113】
図40Aおよび
図40Bに示す第12実施形態では、先端が凸状に形成されるロックピン311は、ロック用駆動源であるモータ315により駆動される。
図41Aおよび
図41Bに示す第13実施形態では、先端が凹状に形成されるロックピン312は、モータ315により駆動される。
【0114】
図42Aおよび
図42Bに示す第14実施形態では、先端が凸状に形成されるロックピン311は、ロック用駆動源であるソレノイド316により駆動される。
図43Aおよび
図43Bに示す第15実施形態では、先端が凹状に形成されるロックピン312は、ソレノイド316により駆動される。
【0115】
本実施形態では、反力付与のための駆動源であるモータ40とは別途に、ロック用駆動源が設けられている。これにより、ロック機構の自由度が高まる。ロック用駆動源は、第12実施形態および第13実施形態のように、モータ315であってもよいし、第14実施形態および第15実施形態のように、ソレノイド316であってもよい。
【0116】
ロック機構510は、ペダルレバー20に形成される嵌合部33と嵌まり合うことでペダルレバー20の動作を規制可能なロックピン311、312を有する。これにより、ペダルレバーの動作を適切に規制することができる。嵌合部33およびロックピン311、312は、嵌まり合うことでペダルレバー20をロック可能であれば、
図40A~
図43Bと形状等が異なっていてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。第12実施形態~第15実施形態では、ロックピン311、312が「ロック部材」に対応する。
【0117】
(第16実施形態)
第16実施形態を
図44に示す。本実施形態では、ロック機構511は、傘歯ギア323、送りねじ324およびロック用パッド325を有する。ロック用パッド325は、ロック用の駆動源であるモータ321の回転により、モータギア322、傘歯ギア323および送りねじ324を介して駆動され、ロック用パッド325によりアーム31を挟み込むことで、摩擦力によりペダルレバー20の動作を規制する。
【0118】
本実施形態では、ロック機構511は、ペダルレバー20を挟み込み可能に設けられるロック用パッド325を有し、ロック用パッド325がアーム31を挟み込むことで、ペダルレバー20の動作を規制する。これにより、全閉から全開の任意の位置にて、ペダルレバー20の動作を規制することができる。駆動源により駆動されるパッドによりペダルレバー20を挟み込み可能であれば、挟み込み位置やギアの構成等は異なっていてもよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0119】
(第17実施形態)
第17実施形態~第23実施形態は、動力伝達機構が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。なお、第17実施形態から第23実施形態に係る図面では、動力伝達機構を模式的に示すと共に、ハウジング等の動力伝達機構以外の部材の記載を適宜省略した。
【0120】
第17実施形態~第19実施形態では、駆動源の直動方向の力を回転方向に変換し、ペダルレバー20に反力を付与する。第17実施形態を
図45に示す。本実施形態では、反力付与駆動源として、ソレノイド41が設けられている。本実施形態のソレノイド41は、通電により先端部が繰り出され、非通電とすることで先端部が引き込まれる。
【0121】
動力伝達機構120は、大リンク121、小リンク122、および、トーションスプリング123を有する。大リンク121は、アーム31と常時当接するように設けられている。小リンク122は、ソレノイド41の先端部と当接する。大リンク121と小リンク122とは、トーションスプリング123により接続されている。
【0122】
本実施形態では、ソレノイド41に通電することで繰り出された先端部にて小リンク122を押し込み、トーションスプリング123を介して大リンク121に力を与えることで、アーム31に戻し反力を発生させる。また、ソレノイド41の先端部にて小リンク122をさらに押し込むことで、大リンク121にてペダルレバー20を全閉位置に押し付け、ドライバが一定以上の踏力をかけるまでペダルレバー20が動かないようにロックする。すなわち本実施形態では、ロック時常時通電にて、全閉状態にてペダルレバー20をロック可能である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0123】
(第18実施形態)
第18実施形態を
図46に示す。本実施形態の動力伝達機構124では、小リンク122とソレノイド41の先端部とが固定部材125により接続されている。また、ソレノイド41のストローク量が比較的大きく設けられており、非通電時、小リンク122を引き込むことで、ペダルレバー20の全開時においても、アーム31と大リンク121とが当接しない位置まで、大リンク121を退避させる。これにより、反力を付与しないとき、動力伝達機構124とペダルレバー20とを離間させることで、踏力への影響を回避可能である。また、反力付与およびロック動作は、第17実施形態と同様である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0124】
(第19実施形態)
第19実施形態を
図47に示す。本実施形態の動力伝達機構126のリンク127は、大リンク部128と小リンク部129とが一体となっている。
図46では、第18実施形態と同様、反力を付与しないとき、大リンク部128を退避可能であるものとして記載しているが、第17実施形態のように、大リンク部128とアーム31とが常時当接するようにしてもよい。反力付与およびロック動作は、第17実施形態と概ね同様である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0125】
(第20実施形態)
第20実施形態を
図48に示す。本実施形態の動力伝達機構130は、ホルダ131、スライダ132、および、反力調整用付勢部材133を有する。ホルダ131は、ソレノイド41の伸縮により、ペダルレバー20のパッド21に近接または離間する方向に移動可能に設けられる。スライダ132は、ペダルレバー20の開方向側から、パッド21に当接可能に設けられる。反力調整用付勢部材133は、圧縮コイルばねであって、一端側がホルダ131に収容され、他端がスライダ132に接続される。
【0126】
本実施形態では、ソレノイド41への通電により、ホルダ131およびスライダ132を押し上げてスライダ132とパッド21とを当接させる。スライダ132とパッド21とが当接した状態にてホルダ131をさらに押し上げて反力調整用付勢部材133を押し縮めることで、パッド21に与える反力を調整する。すなわち本実施形態では、ソレノイド41の直動方向の力を回転方向に変換せず、ペダルレバー20に反力を付与している。
【0127】
また、ソレノイド41により、ホルダ131およびスライダ132をさらに押し上げ、ホルダ131とスライダ132とを当接させ、ソレノイド力を直接的にアーム31へ伝えることで、ドライバが一定以上の踏力をかけるまでペダルレバー20が動かないようにロックする。すなわち本実施形態では、ロック時常時通電にて、全閉状態にてペダルレバー20をロック可能である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0128】
(第21実施形態)
第21実施形態を
図49に示す。本実施形態の動力伝達機構140は、回転体141、ガイドレール142、移動ブロック143、および、リンク部材144を有する。回転体141は、反力付与駆動源であるモータ40の出力軸と接続され、モータ40により回転駆動される。
【0129】
ガイドレール142は、回転体141側からパッド21側に延びる直線状に形成されている。移動ブロック143は、ガイドレール142に沿って移動可能であって、パッド21に当接可能に設けられている。リンク部材144は、一端が回転体141、他端が移動ブロック143に接続されており、回転体141の回転を、移動ブロック143の直動に変換する。移動ブロック143をパッド21に当接させ、回転体141、リンク部材144および移動ブロック143を介してモータ40のトルクをパッド21に伝えることで、ペダルレバー20に反力を与えることができる。
【0130】
また、本実施形態では、ペダルレバー20の全閉位置にて移動ブロック143がパッド21と当接した状態にて、リンク部材144が直線状となるように構成することで、ペダルレバー20がロックされる。すなわち本実施形態では、ロック時無通電にて、全閉状態にてペダルレバー20をロック可能である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0131】
(第22実施形態)
第22実施形態を
図50に示す。本実施形態の動力伝達機構145は、モータ40(
図50では不図示)の出力軸と接続されるカム146を有する。本実施形態では、カム146を介して、モータトルクをパッド21に伝えることで、ペダルレバー20に反力を与えることができる。
【0132】
また、ペダルレバー20の全閉位置において、カム146の中心と中心から最も離れた頂点とを結ぶ直線が、パッド21と垂直になるように構成することで、ペダルレバー20をロックする。すなわち本実施形態では、ロック時無通電状態にて、全閉状態にてペダルレバー20をロック可能である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0133】
(第23実施形態)
第23実施形態を
図51~
図53に示す。本実施形態の動力伝達機構150は、スライダ部材151を有する。スライダ部材151は、第4実施形態のスライダ部材81と概ね同様であって、本実施形態では、ソレノイド41により駆動される。
【0134】
図51に示すように、ソレノイド41のストローク量が比較的大きく設けられており、先端部を引き込むことで、ペダルレバー20の全閉から全開の全領域において、アーム31と当接しない位置までスライダ部材151を退避可能である。これにより、反力を付与しないとき、ペダルレバー20とスライダ部材151とを離間させることで、踏力への影響を回避可能である。
【0135】
図52に示すように、アーム31が傾斜面152と当接した状態にて、ソレノイド41によりスライダ部材151を移動させることで、ペダルレバー20に反力を与えることができる。また、
図53に示すように、ペダルレバー20の全閉状態にて、アーム31とストッパ部153とが当接する位置までスライダ部材151を移動させると、ペダルレバー20がロックされる。すなわち本実施形態では、ロック時無通電状態にて、全閉状態にてペダルレバー20をロック可能である。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0136】
(他の実施形態)
上記実施形態では、駆動源はDCモータである。他の実施形態では、駆動源は、DCモータ以外の種類のモータであってもよいし、例えばソレノイド等のモータ以外のものを駆動源として用いてもよい。また、反力付与可能な駆動源が複数であってもよい。
【0137】
上記実施形態では、アクセル装置は、床置き型(いわゆる「オルガン型」)のものについて説明した。他の実施形態では、アクセル装置は、つり下げ型(いわゆる「ペンダント型」)であってもよい。また、動力伝達機構やロック機構は、上記実施形態とは異なるように構成してもよい。
【0138】
上記実施形態では、アクチュエータとアクセルペダルとが接続されている一体型のものについて説明した。他の実施形態では、アクチュエータとアクセルペダルとが接続されておらず、フロアにそれぞれ接続されている別体型のものであってもよい。以上、本開示は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【0139】
本開示は、実施形態に準拠して記述された。しかしながら、本開示は当該実施形態および構造に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例および均等の範囲内の変形をも包含する。また、様々な組み合わせおよび形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせおよび形態も、本開示の範疇および思想範囲に入るものである。