(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173983
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/322 20060101AFI20221115BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20221115BHJP
E06B 9/80 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
E06B9/322
E06B9/42 A
E06B9/80 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021138441
(22)【出願日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2021080016
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
【テーマコード(参考)】
2E042
2E043
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA03
2E042CA03
2E042CB04
2E042CB06
2E043AA01
2E043AA02
2E043AA04
2E043AA05
2E043BC02
2E043BE15
2E043DA01
2E043DA03
2E043DB01
(57)【要約】
【課題】共回りを防止可能な技術を提供する。
【解決手段】第1駆動軸と第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、プーリ52から回転駆動力が伝達されることにより回転し、該回転方向に応じて回転軸方向における一方側又は他方側に移動するクラッチ6と、クラッチ6の一方向側への移動によりクラッチ6と係合し、係合状態においてクラッチ6と一体回転することにより回転駆動力を第1駆動軸201Aに伝達し、第1駆動軸201Aからの回転駆動力が伝達される場合、係合状態を解除する第1クラッチ受け56Aと、クラッチ6の他方向側への移動によりクラッチ6と係合し、係合状態においてクラッチ6と一体回転することにより回転駆動力を第2駆動軸201Bに伝達し、第2駆動軸201Bからの回転駆動力が伝達される場合、係合状態を解除する第2クラッチ受け56Bとを備えた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉装置の第1移動部材を駆動する第1駆動軸と、前記開閉装置の第2移動部材を駆動する第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達されることにより回転し、該回転方向に応じて回転軸方向における一方側又は他方側に移動する回転伝達部と、
前記回転伝達部の前記一方向側への移動により該回転伝達部と係合し、該係合状態において前記回転伝達部と一体回転することにより回転駆動力を前記第1駆動軸に伝達し、前記第1駆動軸からの回転駆動力が伝達される場合、該係合状態を解除する第1係合伝達部と、
前記回転伝達部の前記他方向側への移動により該回転伝達部と係合し、該係合状態において前記回転伝達部と一体回転することにより回転駆動力を前記第2駆動軸に伝達し、前記第2駆動軸からの回転駆動力が伝達される場合、該係合状態を解除する第2係合伝達部と
を備える操作装置。
【請求項2】
前記回転伝達部は、前記第1係合伝達部と前記第2係合伝達部との間に位置し、前記第1及び第2係合伝達部のいずれか一方との係合状態が解除された場合、前記第1及び第2係合伝達部の略中間位置にまで移動する
ことを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記回転伝達部に対して一体回転可能に設けられ、該回転伝達部の回転に応じて該回転伝達部を前記回転軸方向に移動させる移動部
を更に備えることを特徴とする請求項1または請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記移動部は、前記回転伝達部の移動方向に沿って斜めに延在するカム溝が周面に形成され、前記移動部を収容する筐体内部において移動不能に固定される固定体が、前記カム溝に嵌入され、前記カム溝が前記固定体に対して摺動するように前記回転伝達部と一体回転することにより前記回転伝達部を前記回転軸方向に移動させる
ことを特徴とする請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
前記回転伝達部は、前記係合状態において前記移動部を収容する筐体によって該移動部の回転が規制されることにより、該移動部に対して相対回転する
ことを特徴とする請求項3または請求項4記載の操作装置。
【請求項6】
開閉装置の第1移動部材を駆動する第1駆動部と、前記開閉装置の第2移動部材を駆動する第2駆動部とを操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達されることにより回転する回転伝達部を備え、
前記回転伝達部は、
前記回転駆動力に応じて回転する軸部材と、
前記軸部材と一体回転可能であり、所定量回転後に回転が規制されるカム部材と、
前記カム部材と前記軸部材との間に配置されるクラッチばねと、
前記カム部材の回転軸方向一端側に配置されるとともに、前記第1駆動部と係合又は該係合が解除されることにより、前記第1駆動部との間で前記軸部材の回転を伝達又は非伝達可能に切替えられる第1伝達部材と、
前記カム部材の回転軸方向他端側に配置されるとともに、前記第2駆動部と係合又は該係合が解除されることにより、前記第2駆動部との間で前記軸部材の回転を伝達又は非伝達可能に切替えられる第2伝達部材と
を有し、
前記第1又は第2駆動部側からの回転駆動力が前記回転伝達部に伝達されると、前記係合は解除され、
前記プーリからの回転駆動力が前記回転伝達部に伝達されると、前記カム部材は、前記クラッチばねの前記軸部材への締着によって前記軸部材の回転が伝達され、前記第1及び第2伝達部材と共に回転し、所定量回転後に回転が規制されると、前記クラッチばねの弛緩によって前記軸部材の回転が遮断され、前記軸部材と第1及び第2伝達部材とが前記カム部材に対して相対回転する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項7】
開閉装置の移動部材を駆動する駆動部を操作するための操作装置であって、
操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達されることにより回転する回転伝達部を備え、
前記回転伝達部は、
前記回転駆動力に応じて回転する軸部材と、
前記軸部材と一体回転可能であり、所定量回転後に回転が規制されるカム部材と、
前記カム部材と前記軸部材との間に配置されるクラッチばねと、
前記カム部材の回転軸方向一端側に配置されるとともに、前記駆動部と係合又は該係合が解除されることにより、前記駆動部との間で前記軸部材の回転を伝達又は非伝達可能に切替えられる伝達部材と、
を有し、
前記駆動部側からの回転駆動力が前記回転伝達部に伝達されると、前記係合は解除され、
前記プーリからの回転駆動力が前記回転伝達部に伝達されると、前記カム部材は、前記クラッチばねの前記軸部材への締着によって前記軸部材の回転が伝達され、前記伝達部材と共に回転し、所定量回転後に回転が規制されると、前記クラッチばねの弛緩によって前記軸部材の回転が遮断され、前記軸部材と前記伝達部材とが前記カム部材に対して相対回転する
ことを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、開閉体を有する開閉装置の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉装置としては、下記特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1に示される開閉装置は、操作力が伝達されて回転する操作軸と、操作軸と一体回転可能かつ操作軸上を軸方向に摺動可能なクラッチと、クラッチの軸方向両側にそれぞれ配置され、第1駆動軸に駆動力を伝達する第1伝達部材及び第2駆動軸に駆動力を伝達する第2伝達部材と、を有しており、操作軸の回転方向によってクラッチの摺動方向が決定され、操作軸上を摺動したクラッチが一方の伝達部材と係合することにより、操作軸の回転が一方の伝達部材を介していずれか一方の駆動軸に伝達されるようにされている。
【0003】
このような開閉装置によれば、操作軸に操作力を伝達するための1本の操作コードの操作方向を選択することにより、駆動させる駆動軸を切替えて、異なる開閉体の操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の開閉装置含め、2つの開閉体を有する開閉装置には、上昇操作のみならず下降操作についても1本の操作コードで操作することができるものがある。具体的には、第1駆動軸または第2駆動軸の回転を規制可能なストッパの状態を、回転規制状態から回転許容状態に切り替えるように操作コードを操作することにより、開閉体を自重下降させることができる。この際、第1駆動軸または第2駆動軸からの回転が操作コードが巻き掛けられたプーリにも伝達されることとなるため、開閉体の自重下降と合わせて操作コードも一緒に回転してしまう共回りが生じてしまうという問題があった。また、このような自重下降による共回りは、開閉体及び駆動軸を各々1つ有するシングルタイプの開閉装置においても当然に生じ得る。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、共回りを防止可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、開閉装置の第1移動部材を駆動する第1駆動軸と、前記開閉装置の第2移動部材を駆動する第2駆動軸とを操作するための操作装置であって、操作部材により回転操作されるプーリから回転駆動力が伝達されることにより回転し、該回転方向に応じて回転軸方向における一方側又は他方側に移動する回転伝達部と、前記回転伝達部の前記一方向側への移動により該回転伝達部と係合し、該係合状態において前記回転伝達部と一体回転することにより回転駆動力を前記第1駆動軸に伝達し、前記第1駆動軸からの回転駆動力が伝達される場合、該係合状態を解除する第1係合伝達部と、前記回転伝達部の前記他方向側への移動により該回転伝達部と係合し、該係合状態において前記回転伝達部と一体回転することにより回転駆動力を前記第2駆動軸に伝達し、前記第2駆動軸からの回転駆動力が伝達される場合、該係合状態を解除する第2係合伝達部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、共回りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る開閉装置の構成を示す正面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る開閉装置の構成を示す概略平面透視図である。
【
図3】第1の実施形態に係る開閉装置における操作ユニットの分解斜視図である。
【
図4】操作ユニットにおけるクラッチ機構の下面図である。
【
図6】クラッチ機構における円筒部材と第2伝達部材とを示す斜視図である。
【
図7】円筒部材にクラッチばねを取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図8】円筒部材にカム部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図9】操作ユニットにおける本体ケースの構成を示す概略縦断面図である。
【
図10】第1係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作を説明するための図である。
【
図11】第1係合状態にあり且つクラッチ解除状態にあるクラッチ機構の動作を説明するための図である。
【
図12】第2係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作を説明するための図である。
【
図13】第2係合状態にあり且つクラッチ解除状態にあるクラッチ機構の動作を説明するための図である。
【
図14】クラッチ機構が第1係合状態にある操作ユニットの動作を説明するための図である。
【
図15】クラッチ機構が第2係合状態にある操作ユニットの動作を説明するための図である。
【
図16】ボトムレールが下降操作された場合における、操作ユニットの動作を説明するための図である。
【
図17】中間バーが下降操作された場合における、操作ユニットの動作を説明するための図である。
【
図18】第2の実施形態に係る開閉装置の構成を示す正面図である。
【
図19】第2の実施形態に係る開閉装置の構成を示す概略平面透視図である。
【
図20】第2の実施形態に係る開閉装置における操作ユニットの分解斜視図である。
【
図21】第2の実施形態に係る開閉装置における、非係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作を説明するための図である。
【
図22】第2の実施形態に係る開閉装置における、クラッチ機構が第1係合状態にある操作ユニットの動作を説明するための図である。
【
図23】第2の実施形態に係る開閉装置における、ボトムレールが下降操作された場合の操作ユニットの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、開閉体として昇降可能な2種のスクリーンを備えるプリーツスクリーンに本発明を適用した開閉装置を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、開閉装置が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、開閉装置の長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
(全体構成)
先ず、本実施形態に係る開閉装置の全体構成について説明する。
図1は本実施形態に係る開閉装置の構成を示す正面図であり、
図2はその概略平面透視図である。なお、
図1においてはボトムレールが最下降位置まで下降された状態にある開閉装置が示されており、そのヘッドボックスのみ内部が示されている。
【0012】
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る開閉装置1は、ヘッドボックス2と、第1移動部材としてのボトムレール31と、紐状またはテープ状に形成された2本の昇降コード32と、第1開閉体としてのスクリーン33と、第2移動部材としての中間バー41と、紐状またはテープ状に形成された2本の調光コード42と、第2開閉体としてのスクリーン43と、操作ユニット5とを備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、内部に収容空間を画成する略直方体状に形成され、複数のブラケット21を介して不図示の窓枠等に固定される。ヘッドボックス2内には、第1駆動軸201Aと、2つの第1巻取ドラム202Aと、第1ストッパ203Aと、第1ブレーキ204Aと、第2駆動軸201Bと、2つの第2巻取ドラム202Bと、第2ストッパ203Bと、第2ブレーキ204Bと、連動ギア205と、下限リミット206とが収容される。
【0014】
第1駆動軸201A、2つの第1巻取ドラム202A、第1ストッパ203A、及び第1ブレーキ204Aは、ボトムレール31を昇降する第1駆動系を構成する。また、第2駆動軸201B、2つの第2巻取ドラム202B、第2ストッパ203B、及び第2ブレーキ204Bは、中間バー41を昇降する第2駆動系を構成する。連動ギア205は、所定の条件下において第1駆動系に第2駆動系を連動させるように構成される。本実施形態において、第1駆動系は後方側に配され、第2駆動系は前方側に配され、第1駆動系と第2駆動系とが前後方向に互いに位置を異ならせて並設される。なお、例えば、第1駆動系と第2駆動系とを上下方向に位置を異ならせるように並設しても良く、第1駆動系と第2駆動系の配列を前後方向あるいは上下方向に逆にしても良い。
【0015】
第1駆動軸201A、第2駆動軸201Bは、それぞれ、左右方向に延在する角柱状の部材であり、ヘッドボックス2内において軸心方向を左右方向に向けて回転可能に軸支される。ここで、第1駆動軸201Aの軸心は、第2駆動軸201Bの軸心と上下方向において同位置且つ後方に位置し、軸心の位置が前後方向に異なっている。
【0016】
2つの第1巻取ドラム202Aは、それぞれ、第1駆動軸201Aと一体回転するように第1駆動軸201Aに貫通され、2つの昇降コード32のうち対応する昇降コード32の一端が巻取及び巻解き可能に連結される。2つの第2巻取ドラム202Bは、それぞれ、第2駆動軸201Bと一体回転するように第2駆動軸201Bに貫通され、2つの調光コード42のうち対応する調光コード42の一端が巻取及び巻解き可能に連結される。
【0017】
第1ストッパ203Aは、第1駆動軸201Aの巻解き方向の回転を規制する。第2ストッパ203Bは、第2駆動軸201Bの巻解き方向の回転を規制する。また、第1ストッパ203A、第2ストッパ203Bは、それぞれ、第1駆動軸201A、第2駆動軸201Bの回転を規制する状態と許容する状態とに切替可能に構成される。
【0018】
第1ブレーキ204Aは、第1駆動軸201Aの巻解き方向の回転速度を減速させる。第2ブレーキ204Bは、第2駆動軸201Bの巻解き方向の回転速度を減速させる。第1ブレーキ204A、第2ブレーキ204Bは、それぞれ、第1駆動軸201A、第2駆動軸201Bの回転速度を減速させることで、ボトムレール31、中間バー41が下端位置まで下降した際に生じる衝撃力を緩和する。
【0019】
ボトムレール31は、2本の昇降コード32の他端が接続され、開閉装置1において最下端に位置するようにヘッドボックス2から吊り下げ支持されており、左右方向に長尺に形成された部材である。中間バー41は、2本の調光コード42の他端が接続され、上下方向においてヘッドボックス2とボトムレール31との間に位置するようにヘッドボックス2から吊り下げ支持されており、左右方向に長尺に形成された部材である。
【0020】
スクリーン33は、上端が中間バー41の下面に連結されるとともに下端がボトムレール31の上面に連結され、上下方向に折りたたみ可能なプリーツ状に形成され、2本の昇降コード32が部分的に上下方向に挿通される開閉体である。スクリーン43は、上端がヘッドボックス2の下面に連結されるとともに下端が中間バー41の上面に連結され、上下方向に折りたたみ可能なプリーツ状に形成され、2本の調光コード42が部分的に上下方向に挿通される開閉体である。
【0021】
下限リミット206は、第1及び第2駆動軸201A,201Bそれぞれの他端部を支持すると共に、第1駆動軸201Aの回転に連動して第1巻取ドラム202Aによる昇降コード32の巻解き量を、予め設定された最大巻解き量に規制する。最大巻解き量は調節可能であり、これによりボトムレール31の下限位置を設定することができる。
【0022】
操作ユニット5は、
図2に示されるようにヘッドボックス2の左右端部の一方、本実施形態においては図中右側端部に設けられており、その本体ケース50を貫通して内部に第1駆動軸201A及び第2駆動軸201Bが挿通されている。操作ユニット5は、例えばボールチェーンとして構成される無端状の操作コード51を有し、操作者の操作コード51に対する昇降操作に応じて、ボトムレール31、中間バー41を昇降させるように、第1駆動軸201A、第2駆動軸201Bを回転させる。具体的には、操作コード51が一方向に牽引されるとボトムレール31が上昇し、他方向に牽引されると中間バー41が上昇する。
【0023】
本実施形態に係る開閉装置1は、ボトムレール31が上昇された状態において、後述するプーリ52(
図3参照)が一方向(ボトムレール31を上昇させる方向)に所定量回転するように操作ユニット5の操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、第1ストッパ203Aによる第1駆動軸201Aに対する回転規制が解除され、
図1に示されるようにボトムレール31が自重により下端位置まで下降する。中間バー41も同様であり、中間バー41が上昇された状態において、プーリ52が他方向(中間バー41を上昇させる方向)に所定量回転するように操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、第2ストッパ203Bによる第2駆動軸201Bに対する回転規制が解除され、中間バー41が自重により下端位置まで下降する。
【0024】
(操作ユニット5の装置構成)
以下、操作ユニット5の構成について説明する。
図3は、本実施形態に係る開閉装置における操作ユニットの分解斜視図である。
図4は操作ユニットにおけるクラッチ機構の下面図であり、
図5はそのA-A線断面図である。
図6は、クラッチ機構における円筒部材と第2伝達部材とを示す斜視図である。
図7は円筒部材にクラッチばねを取り付けた状態、
図8は円筒部材にカム部材を取り付けた状態をそれぞれ示す斜視図である。
図9は、操作ユニットにおける本体ケースの構成を示す概略縦断面図である。
【0025】
図3に示されるように、操作ユニット5は、本体ケース50内に、プーリ52と、中間ギア53と、入力ギア54と、入力軸55と、第1及び第2クラッチ受け56A,56Bと、第1及び第2出力軸57A,57Bと、クラッチ6とを備える。
【0026】
プーリ52は、周面に操作コード51が巻き掛けられた状態において本体ケース50内に回転可能に支持されており、操作者による操作コード51の引き下げに応じて回転する。プーリ52には、その左右方向内方側(図中左側)に位置して中間ギア53の第1ギア部531と噛み合う、軸心がプーリ52と同心となったギア部521が形成されている。
【0027】
中間ギア53は、本体ケース50内において回転可能に支持されており、第1ギア部531と、該第1ギア部531の左右方向内方側に形成された第2ギア部532とを有する。第1ギア部531は、プーリ52のギア部521と噛み合う。第2ギア部532は、第1ギア部531と軸心が同心であり且つ当該ギアより小径となっており、入力ギア54と噛み合う。入力ギア54は、入力軸55に一体回転可能に軸支される。したがって、プーリ52の回転は、中間ギア53を介して入力ギア54に伝達され、入力ギア54から入力軸55に入力されることとなる。
【0028】
入力軸55は、その軸方向が左右方向を向く長尺部材であり、本実施形態においては軸心が第1駆動軸201Aと同心となっている。入力軸55は、左右方向外方側端部が方形状に形成されて入力ギア54に一体回転可能に嵌合し、当該方形部分に隣接する円筒部分に第2クラッチ受け56Bが挿通されてこれを相対回転可能に軸支する。なお、入力軸55は、当該方形部分の先端に形成された円筒突起部がケースに設けられた穴部(不図示)に嵌合されることで回転可能に支持される。一方、入力軸55の左右方向内方側端部は円筒状に形成されており、この円筒部分に第1クラッチ受け56Aが挿通されてこれを相対回転可能に軸支する。また、当該円筒部分に隣接する筒状部分の周面には径外方向に突出する突出部551が軸方向に沿って延在している。この突出部551は
図5に示されるように、周方向に沿って互いに離間するように複数形成されている。複数の突出部551が形成されることにより、突出部551間にはガイド溝552が形成される。入力軸55は、プーリ52の回転が入力ギア54を介して入力されることで回転し、この回転が第1及び第2クラッチ受け56A,56Bとクラッチ6とからなるクラッチ機構により第1駆動軸201Aまたは第2駆動軸201Bのいずれか一方に切り替えられて伝達される。
【0029】
クラッチ機構の一部をなす第1及び第2クラッチ受け56A,56Bは、中空円盤状に形成されており、その軸心が入力軸55と同心となるように配置されており、第1クラッチ受け56Aは、一端563が入力軸55の開口553内に挿入されて相対回転可能に軸支されており、第2クラッチ受け56Bは、入力軸55が挿通されて相対回転可能に軸支される。第1及び第2クラッチ受け56A,56Bは、
図3及び
図4に示されるように、互いに対向する対向面に、周方向に対して傾斜する傾斜面を有する突起561が複数形成されている。本実施形態において、第1及び第2クラッチ受け56A,56Bそれぞれに形成された複数の突起561それぞれの傾斜面は、対向面側から見ると突起561の反時計回り方向側に形成される。
【0030】
第1クラッチ受け56Aは、左右方向内方側において第1出力軸57Aと一体回転可能に連結されている。第1出力軸57Aは、中空円筒状に形成されており、その中空部分に第1駆動軸201Aが一体回転可能に嵌合する。したがって第1クラッチ受け56Aの回転を、第1出力軸57Aから第1駆動軸201Aに出力することができる。
【0031】
第2クラッチ受け56Bは、左右方向外方側にギア部562が形成されている。ギア部562は、第2出力軸57Bの左右方向外方側端部に形成されたギア部571に噛み合う。これにより第2クラッチ受け56Bの回転は、ギア部571を介して第2出力軸57Bに伝達する。第2出力軸57Bは、中空円筒状に形成されており、その中空部分に第2駆動軸201Bが一体回転可能に嵌合する。したがって第2クラッチ受け56Bの回転を、第2出力軸57Bから第2駆動軸201Bに出力することができる。
【0032】
クラッチ機構の一部をなすクラッチ6は、
図4に示されるように、第1クラッチ受け56Aと第2クラッチ受け56Bとの間に配置されており、入力軸55上を軸方向(回転軸方向)に沿って往復動可能に入力軸55に軸支される。クラッチ6が第1クラッチ受け56A側に移動してこれと係合することにより、第1駆動軸201Aに入力軸55の回転駆動力が伝達可能となる第1係合状態となり、クラッチ6が第2クラッチ受け56B側に移動してこれと係合することにより、第2駆動軸201Bに入力軸55の回転駆動力が伝達可能となる第2係合状態となる。これら第1及び第2係合状態については、後に詳述する。
【0033】
クラッチ6は、
図3に示されるように第1及び第2伝達部材61A,61Bと、円筒部材62と、クラッチばね63と、カム部材64と、鋼球65とを有する。
【0034】
第1及び第2伝達部材61A,61Bは、
図3及び
図4に示されるように、入力軸55が挿通され、当該入力軸55に一体回転可能に軸支される。第2伝達部材61Bは、中空円盤状の円盤部611Bと、円盤部611Bの左右方向内方側に設けられた略筒状の嵌合部612Bとを有する。円盤部611Bは、第2クラッチ受け56Bに対向する対向面に、周方向に対して傾斜する傾斜面を有する突起613が複数形成されている。複数の突起613それぞれの傾斜面は、対向面側から見ると突起613の反時計回り方向側に形成される。嵌合部612Bは、入力軸55における突出部551とガイド溝552とが形成された筒状部分の周壁形状に対応して、その周面一部が窪む凹凸状に形成されており、入力軸55の筒状部分を囲繞するように一体回転可能に嵌合する。また、嵌合部612Bの軸方向長さは、ガイド溝552より短く形成されており、これにより第2伝達部材61Bがガイド溝552に沿って軸方向に摺動可能となっている。
【0035】
第1伝達部材61Aは、中空円盤状の円盤部611Aと、円盤部611Aの左右方向内方側に設けられた複数の嵌合部612Aとを有する。円盤部611Aは、第1クラッチ受け56Aに対向する対向面に、円盤部611Bと同様、周方向に対して傾斜する傾斜面を有する突起613が複数形成されている。複数の嵌合部612Aは、それぞれ、軸方向に延在すると共に周方向に互いに離間する板状部材であり、
図5に示されるように第2伝達部材61Bの嵌合部612B外周面に一体回転可能に嵌合する。したがって、第1伝達部材61Aと第2伝達部材61Bとは、後述する通り、円筒部材62、クラッチばね63、カム部材64とともに一体化された部品となり、入力軸55と一体となって回転することができ、入力軸55に対して軸方向に摺動することもできる。
【0036】
第1及び第2伝達部材61A,61Bの突起613は、それぞれ対向するクラッチ受けの突起561と係合することにより、クラッチ6が当該クラッチ受けと一体回転する係合状態となる。第1伝達部材61Aと第1クラッチ受け56Aとが係合することにより、上述した第1係合状態となり、第2伝達部材61Bと第2クラッチ受け56Bとが係合することにより、上述した第2係合状態となる。
【0037】
本実施形態においては、第1及び第2伝達部材61A,61Bの突起613先端間の長さ、即ち
図4に示されるクラッチ6の軸方向長さL1が、第1クラッチ受け56Aの突起561先端と第2クラッチ受け56Bの突起561先端との間の長さL2より短くなるように形成されている。したがって、第1及び第2係合状態のいずれか一方である場合に、同時にいずれか他方となることはない。なお、
図4には、クラッチ6が第1及び第2クラッチ受け56A,56Bのいずれにも係合しておらず、突起561と突起613とが近接して第1及び第2係合状態のいずれでもない非係合状態にあるクラッチ機構が示されている。非係合状態においてクラッチ6は、第1及び第2クラッチ受け56A,56Bの略中間に位置している。
【0038】
円筒部材62は、
図3及び
図5に示されるように中空筒状に形成されており、その中空部分に第1伝達部材61Aの嵌合部612A及び第2伝達部材61Bの嵌合部612Bが挿通されてこれらにより軸支される。
図6に示されるように、円筒部材62の外周壁一部には、第2伝達部材61Bの円盤部611B内周壁に形成された突起614が嵌合する嵌合溝621が形成されている。この嵌合溝621に突起614が嵌合することにより、円筒部材62は第2伝達部材61Bに対して一体回転可能に固定される。したがって、入力軸55の回転に応じて、円筒部材62は第1及び第2伝達部材61A,61Bと共に一体回転することができる。
【0039】
クラッチばね63は、
図3、
図5、及び
図7に示されるように、円筒部材62外周面に螺旋状に巻回され、円筒部材62を締め付ける形でこれと締着されている。以後、このような状態をクラッチ締着状態と称する。このクラッチ締着状態においてクラッチばね63は円筒部材62と一体回転可能となっている。一方、クラッチばね63が弛緩(拡径)してクラッチ締着状態が解除された場合、クラッチばね63は円筒部材62に対して相対回転可能な状態となり、即ちクラッチばね63に対して円筒部材62が空転することとなる。クラッチ締着状態が解除された状態を以後クラッチ解除状態と称し、当該クラッチ解除状態については、後に詳述する。また、クラッチばね63は、その両端部631,632が径外方向に折り曲げられる。
【0040】
カム部材64は、
図3及び
図5に示されるように、中空円筒状に形成されており、その中空部分にクラッチばね63が巻回された円筒部材62が挿通されてこれに軸支される。
図8に示されるように、カム部材64の外周壁には、クラッチばね63の両端部631,632のそれぞれが個別に挿通される挿通孔641,642が設けられている。クラッチ締着状態においては、入力軸55の回転に応じて円筒部材62と共にクラッチばね63が回転することにより、両端部631,632のいずれか一方が挿通孔641,642のいずれかの壁面に当接することができ、これによりカム部材64は、クラッチばね63を介して円筒部材62と一体回転することができる。一方、クラッチ解除状態においては、円筒部材62がクラッチばね63に対して空転する。
【0041】
カム部材64は、
図4に示されるように、その外周壁に周方向に対して斜めに延在、具体的には左右方向外方における正面側から左右方向内方における背面側にかけて延在するカム溝643が形成されている。カム溝643には鋼球65が摺動可能に嵌め込まれており、鋼球65は
図9に示されるように、本体ケース50内下部においてカム溝643に対応する位置に移動不能に固定される。したがってカム部材64は、入力軸55の回転に応じて回転する場合、カム溝643が鋼球65に摺動することとなり、カム溝643の傾斜に沿って回転しつつ軸方向に移動することができる。したがって、入力軸55の回転方向に応じて、カム部材64は軸方向に沿った往復直線移動が可能となっている。
【0042】
(操作ユニット5の動作)
以上に説明したクラッチ機構の動作について説明する。
図10は第1係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作、
図11は第1係合状態にあり且つクラッチ解除状態にあるクラッチ機構の動作をそれぞれ説明するための図である。
図12は第2係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作、
図13は第2係合状態にあり且つクラッチ解除状態にあるクラッチ機構の動作をそれぞれ説明するための図である。これらの図はクラッチ機構周辺の下面図となっている。
【0043】
図4に示される非係合状態や第2係合状態において、入力軸55が入力ギア54側から見て反時計回りCCWに回転されると、クラッチ6は、入力軸55と一体となってCCWに回転する。この時、クラッチ締着状態であるため円筒部材62と共にクラッチばね63がCCWに回転すると共に、クラッチばね63の一端部631が、カム部材64の挿通孔641の壁面641a(
図8参照)に当接し、これを付勢することによりカム部材64が円筒部材62及びクラッチばね63等と一体回転する。カム部材64の回転に応じてカム溝643が鋼球65に対して摺動し、これによりクラッチ6は軸方向一方側、ここでは第1クラッチ受け56A側に移動する。なお、この状態においてクラッチばね63の他端部632は、カム部材64の挿通孔642の周面に当接しない。カム部材64が所定量回転して軸方向一方側に移動した後、第1クラッチ受け56Aの突起561と第1伝達部材61Aの突起613との傾斜面の無い軸方向に水平な面が、
図10に示されるように互いに当接して回転駆動力を伝達可能に係合する。これによりクラッチ機構は、第1係合状態となる。
【0044】
第1係合状態において、
図10に示されるように鋼球65はカム溝643の一端部に位置し、これ以上のカム部材64のCCWの回転が鋼球65により規制される。この状態において、
図11に示されるようにさらに入力軸55がCCWに回転されると、円筒部材62と共にクラッチばね63がさらにCCWに回転し、クラッチばね63の一端部631が挿通孔641の壁面641aをさらに付勢することとなる。カム部材64はCCWの回転が規制された状態にあるため、これによりクラッチばね63が弛緩する。このようにクラッチばね63が弛緩した状態が上述したクラッチ解除状態であり、カム部材64に対して円筒部材62等が空転する。したがって、クラッチ解除状態となったクラッチ機構は、カム部材64の回転が停止し、第1伝達部材61Aを介して入力軸55の回転駆動力を第1クラッチ受け56Aに伝達させることができる。
【0045】
なお、クラッチ解除状態において、入力軸55が逆方向、即ち上記のような第1係合状態においては入力ギア54側から見て時計回りCWに回転すると、クラッチばね63の一端部631が、壁面641aから離間することでクラッチばね63が縮径すると共に、クラッチばね63の他端部632がカム部材64における挿通孔642の壁面642a(
図8参照)に当接し、クラッチ解除状態からクラッチ締着状態へと移行することができる。
【0046】
一方、非係合状態や第1係合状態において、入力軸55が入力ギア54側から見て時計回りCWに回転すると、
図12に示されるようにクラッチ6は、入力軸55と一体となってCWに回転する。この時、クラッチ締着状態であるため円筒部材62と共にクラッチばね63がCWに回転し、クラッチばね63の他端部632が、カム部材64における挿通孔642の壁面642aに当接して、カム部材64が円筒部材62及びクラッチばね63等と一体回転する。カム部材64の回転に応じてカム溝643が鋼球65に対して摺動し、これによりクラッチ6は軸方向他方側、ここでは第2クラッチ受け56B側に移動する。なお、この状態においてクラッチばね63の一端部631は、カム部材64の挿通孔641の周面に当接しない。カム部材64が所定量回転して軸方向他方側に移動した後、第2クラッチ受け56Bの突起561と第2伝達部材61Bの突起613とが、
図12に示されるように互いに当接して回転駆動力を伝達可能に係合する。これによりクラッチ機構は、第2係合状態となる。
【0047】
第2係合状態において、
図12に示されるように鋼球65はカム溝643の他端部に位置し、これ以上のカム部材64のCWの回転が鋼球65により規制される。この状態において、
図13に示されるようにさらに入力軸55がCWに回転されると、円筒部材62と共にクラッチばね63がCWに回転し、クラッチばね63の他端部632がカム部材64における挿通孔642の壁面642aをさらに付勢する。カム部材64はCWの回転が規制された状態にあるため、クラッチばね63が弛緩し、クラッチ解除状態となる。クラッチ解除状態となったクラッチ機構は、入力軸55の回転駆動力をカム部材64に伝達せずに、第2伝達部材61Bを介して第2クラッチ受け56Bに伝達させることができる。
【0048】
次に、クラッチ機構が第1及び第2係合状態にある場合の操作ユニットの動作について説明する。
図14はクラッチ機構が第1係合状態にある操作ユニットの動作、
図15はクラッチ機構が第2係合状態にある操作ユニットの動作をそれぞれ説明するための図である。これらの図は、操作ユニット5の下面図となっている。
【0049】
図14に示されるように、クラッチ機構が第1係合状態にある場合、入力軸55がCCWに回転されることにより、図中符号R1で示される経路を経てCCW回転の回転駆動力が第1駆動軸201Aに伝達される。具体的には、クラッチ6の第1伝達部材61Aが入力軸55と一体回転し、第1伝達部材61Aと係合状態にある第1クラッチ受け56Aに回転駆動力が伝達する。これにより第1クラッチ受け56Aを介して第1出力軸57Aに回転駆動力が伝達され、第1駆動軸201Aに出力される。CCW回転の回転駆動力が伝達された第1駆動軸201Aは、第1巻取ドラム202AをCCWに回転し、当該回転に応じて第1巻取ドラム202Aが昇降コード32を巻き取り、ボトムレール31を上昇させる。
【0050】
一方、
図15に示されるように、クラッチ機構が第2係合状態にある場合、入力軸55がCWに回転されることにより、図中符号R2で示される経路を経てCW回転の回転駆動力が第2駆動軸201Bに伝達される。具体的には、クラッチ6における第2伝達部材61Bが入力軸55と一体回転し、第2伝達部材61Bと係合状態にある第2クラッチ受け56Bに回転駆動力が伝達する。第2クラッチ受け56BがCWに回転することにより、第2クラッチ受け56Bのギア部562と噛み合うギア部571を有する第2出力軸57BがCCWに回転し、CCW回転の回転駆動力が第2出力軸57Bから第2駆動軸201Bに出力される。CCW回転の回転駆動力が伝達された第2駆動軸201Bは、第2巻取ドラム202BをCCWに回転し、当該回転に応じて第2巻取ドラム202Bが調光コード42を巻き取り、中間バー41を上昇させる。
【0051】
次に、ボトムレール31及び中間バー41がそれぞれ下降操作された場合の操作ユニット5の動作を説明する。
図16はボトムレールが下降操作された場合、
図17は中間バーが下降操作された場合における、操作ユニットの動作をそれぞれ説明するための図である。これらの図は、操作ユニット5の下面図となっている。
【0052】
クラッチ機構が第1係合状態となり、ボトムレール31を上昇操作した後、プーリ52が一方向に回転(CCW回転)するように操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、上述したとおりボトムレール31は自重により下限位置まで降下する。この時、第1巻取ドラム202Aは昇降コード32を巻解く方向に回転(CW回転)し、当該回転に応じて第1駆動軸201AもCWに回転することとなる。
【0053】
図16に示されるように、第1駆動軸201AからのCW回転の回転駆動力は、符号R3に示される経路を辿り、第1クラッチ受け56Aに伝達される。これにより第1クラッチ受け56AがCWに回転し始めると、第1クラッチ受け56Aの突起561と第1伝達部材61Aの突起613との係合が解除される。より具体的には、プーリ52が一方向に回転(CCW回転)するように操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、第1係合状態において第1駆動軸201AがCWに回転し、当該回転による回転駆動力が第1クラッチ受け56Aを介して第1伝達部材61Aに伝達される。これにより、クラッチ6がカム溝643の傾斜に沿って回転しながら摺動することとなるため、第1クラッチ受け56AのCWの回転に応じて第1伝達部材61Aと共にクラッチ6を離間する方向に押し出す、即ち図中右方向に移動させることができる。
図16は、この離間移動直後の状態(非係合状態)が示されている。この状態においては、第1伝達部材61Aは第1クラッチ受け56Aとの係合が解除され、第2伝達部材61Bも第2クラッチ受け56Bと係合しておらず、第1駆動軸201Aの回転駆動力は、クラッチ6に伝達されないため、入力軸55延いてはプーリ52に伝達されることはない。
【0054】
一方、クラッチ機構が第2係合状態となり、中間バー41を上昇操作した後、プーリ52が他方向に回転(CW回転)するように操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、上述したとおり中間バー41は自重により下限位置まで降下する。この時、第2巻取ドラム202Bは調光コード42を巻解く方向に回転(CW回転)し、当該回転に応じて第2駆動軸201BもCWに回転することとなる。
【0055】
図17に示されるように、第2駆動軸201BからのCW回転の回転駆動力は、符号R4に示される経路を辿り、第2クラッチ受け56BにCCW回転として伝達される。これにより第2クラッチ受け56BがCCWに回転し始めると、第2クラッチ受け56Bの突起561と第2伝達部材61Bの突起613との係合が解除される。より具体的には、プーリ52が他方向に回転(CW回転)するように操作コード51が所定距離だけ牽引された後に手放されると、第2係合状態において第2駆動軸201BがCWに回転し、当該回転による回転駆動力が第2クラッチ受け56Bを介して第2伝達部材61Bに伝達される。これにより、クラッチ6がカム溝643の傾斜に沿って回転しながら摺動することとなるため、第2伝達部材61Bと共にクラッチ6を離間する方向(図中左方向)に押し出すことができる。
図17は、この離間移動直後の状態(非係合状態)が示されている。この状態においては、第2伝達部材61Bは第2クラッチ受け56Bとの係合が解除され、第1伝達部材61Aも第1クラッチ受け56Aと係合しておらず、第2駆動軸201Bの回転駆動力は、クラッチ6に伝達されないため、入力軸55延いてはプーリ52に伝達されることはない。
【0056】
以上に説明した本実施形態によれば、第1及び第2駆動軸201A,201B側からの回転駆動力のプーリ52への伝達を防止することができ、共回りを防止することが可能となる。共回りを防止できることから、ボトムレール31や中間バー41の下降操作時において操作コード51が回転し続けるといった状態を回避でき、意匠性の向上と共に、静音化をも実現できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第1及び第2駆動軸201A,201Bとの間でクラッチ機構を共有することができるため、各駆動軸にクラッチ機構を設ける形態と比較して部品点数を削減でき、低コスト化を実現できる。また、カム部材64にカム溝643が形成されてクラッチ6が第1及び第2クラッチ受け56A,56B間において軸方向に往復動可能となっているため、第1及び第2クラッチ受け56A,56Bにそれぞれクラッチ6が係合して共回り状態となることを防止することができる。また、第1及び第2クラッチ受け56A,56Bの位置が固定され、係合状態においては鋼球65がカム溝643端部に位置してカム部材64の回転が規制、即ちクラッチ6の移動が規制されるため、クラッチ6との予期せぬ離合を防止して安定した操作が可能となる。
【0058】
また、本実施形態によれば、非係合状態においてはクラッチ6が第1及び第2クラッチ受け56A,56Bの略中間に位置するため、クラッチ6からの各クラッチ受けまでの距離が略等しくでき、軸方向サイズを小型化することができる。さらに、カム部材64のカム溝643の延在位置や軸方向に対する傾斜角度を適宜設計することにより、カム部材64と入力軸55との一体回転を任意の位置で解除することができる。そのため、例えば上述したようにカム部材64の回転が規制される位置(第1係合状態や第2係合状態)においてカム部材64と入力軸55との一体回転を解除し、入力軸55の回転を第1及び第2駆動軸201A,201Bのいずれか一方に伝達させることができる。
【0059】
なお、本実施形態において、第1駆動軸201Aの回転により移動される第1移動部材と、第2駆動軸201Bの回転により移動される第2移動部材とを、それぞれ、上下方向に移動されるボトムレール31、中間バー41としたが、第1移動部材及び第2移動部材の移動方向はいずれの方向であっても良く、第1移動部材及び第2移動部材は前後に配列されてそれぞれ上下方向又は左右に移動するものであっても良い。また、開閉装置としてプリーツスクリーンを例に挙げて説明したが、本発明は第1及び第2移動部材を有して操作ユニットにより操作可能なものであれば、横型ブラインド、縦型ブラインド、ロールスクリーン、ハニカムスクリーン、たくし上げカーテン、アコーディオンドアといったブラインド、カーテン、間仕切り、シャッター、サッシ、窓等の様々な開閉装置に適用できる。
【0060】
<第2の実施形態>
第1の実施形態においては、2つのスクリーン33,43を備えるツインタイプのプリーツスクリーンに本発明を適用した開閉装置を説明した。本実施形態においては、1つのスクリーン33のみを備えるシングルタイプのプリーツスクリーンに本発明を適用した開閉装置について説明する。
【0061】
図18は、本実施形態に係る開閉装置の構成を示す正面図であり、
図19は、本実施形態に係る開閉装置の構成を示す概略平面透視図である。
図20は、本実施形態に係る開閉装置における操作ユニットの分解斜視図である。
図18及び
図19に示されるように、本実施形態に係る開閉装置1’は、中間バー41と、調光コード42と、スクリーン43と、これらに関する第2駆動系である第2駆動軸201B、2つの第2巻取ドラム202B、第2ストッパ203B、及び第2ブレーキ204Bと、連動ギア205とを備えておらず、操作ユニット5に代わり操作ユニット5’を備える点で第1の実施形態に係る開閉装置1と構成が異なる。
【0062】
操作ユニット5’は、開閉装置1’が第2駆動系を備えていないため、第1の実施形態に係る操作ユニット5と比較すると、
図20に示されるように第2駆動系に関する部材である第2クラッチ受け56B及び第2出力軸57Bを備えていない。操作ユニット5’が第2クラッチ受け56Bを備えていないため、操作ユニット5’の入力軸55は、その軸方向長さが操作ユニット5の入力軸55よりも短く形成されている。これにより操作ユニット5’の左右方向長さを、操作ユニット5よりも短く形成することができる。また、操作ユニット5’は、クラッチ6に代わりクラッチ6’を備える。クラッチ6’は、操作ユニット5’が第2クラッチ受け56Bを備えていないため、その第2伝達部材61Bの円盤部611Bには、第2クラッチ受け56Bに係合するための突起613が形成されていない。したがって、操作ユニット5’のクラッチ機構は、第1の実施形態に係る第2係合状態となることはない。
【0063】
(操作ユニット5’の動作)
以上に説明した操作ユニット5’のクラッチ機構の動作について説明する。
図21~
図23は、本実施形態に係る開閉装置における、非係合状態にあり且つクラッチ締着状態にあるクラッチ機構の動作、クラッチ機構が第1係合状態にある操作ユニットの動作、及びボトムレールが下降操作された場合の操作ユニットの動作をそれぞれ説明するための図である。これらの図はクラッチ機構周辺の下面図となっている。
【0064】
図21に示されるように、非係合状態において、入力軸55が入力ギア54側から見て反時計回りCCWに回転されると、クラッチ締着状態にある操作ユニット5’のクラッチ機構は、操作ユニット5のクラッチ機構と同様の動作を行う。つまりクラッチ6’がCCWに回転し、カム部材64の回転に応じてカム溝643が鋼球65に対して摺動して、第1クラッチ受け56A側に移動することにより、
図22に示されるような第1係合状態となる。第1係合状態では、第1の実施形態に係るクラッチ機構と同様、これ以上のカム部材64のCCWの回転が鋼球65により規制されるため、さらに入力軸55がCCWに回転されると、クラッチ解除状態となり、図中符号R1で示される経路を経てCCW回転の回転駆動力が第1駆動軸201Aに伝達される。CCW回転の回転駆動力が伝達された第1駆動軸201Aは、第1巻取ドラム202AをCCWに回転させてボトムレール31を上昇させる。
【0065】
なお、本実施形態においては、操作ユニット5’は非係合状態と第1係合状態との間でのみ状態が移行する。したがって
図21に示されるように、非係合状態における鋼球65の位置から第1係合状態における鋼球65の位置までカム溝643が形成されていればよい。このことから本実施形態に係るカム溝643は、第1の実施形態に係るカム溝643よりも周方向長さが短くされている。これによりクラッチ機構は、カム溝643の一端部に鋼球65が位置する場合に第1係合状態となり、カム溝643の他端部に鋼球65が位置する場合に非係合状態となる。
【0066】
一方、プーリ52が所定距離CCW回転するように操作コード51を所定距離だけ牽引した後に手放すと、ボトムレール31が自重降下する。ボトムレール31の自重降下により生じる、第1駆動軸201AからのCW回転の回転駆動力は、
図23に示されるように、第1の実施形態と同様、符号R3に示される経路を辿り、第1クラッチ受け56Aに伝達される。これにより、第1の実施形態と同様にクラッチ6’が離間する方向に押し出され、第1係合状態が解除されるため、第1駆動軸201Aの回転駆動力はクラッチ6’に伝達されず、入力軸55やプーリ52に伝達されることはない。第1係合状態が解除された際に、
図23に示されるように鋼球65がカム溝643の他端部に位置する非係合状態となるとよい。
【0067】
なお、第1係合状態において、入力軸55が入力ギア54側から見て時計回りCWに回転されると、操作ユニット5’のクラッチ機構は操作ユニット5のクラッチ機構と同様の動作を行い、カム部材64の回転に応じてカム溝643が鋼球65に対して摺動し、クラッチ6’が入力ギア54側に移動する。クラッチ6’が継続して入力ギア54側に移動すると、クラッチ機構は
図23に示されるような非係合状態となる。
【0068】
非係合状態においては、鋼球65がカム溝643の他端部に位置し、これ以上のカム部材64のCWの回転が鋼球65により規制されるため、更に入力軸55がCWに回転されてもカム部材64に対して円筒部材62、第1及び第2伝達部材61A,61B等が空転するのみであり、回転駆動力が第1駆動軸201Aに伝達されることはない。
【0069】
以上に説明した本実施形態によれば、プリーツスクリーンがシングルタイプである開閉装置1’においても、第1の実施形態に係る開閉装置1と同様に共回りを防止することが可能となる。また、操作ユニット5’の部品の削減、延いては低コスト化や、部品のコンパクト化を実現することができる。
【0070】
なお、本実施形態においては、プーリ52にボールチェーンとして構成される無端状の操作コード51が巻き掛けられており、これを牽引することでプーリ52を回転させて入力軸55に当該回転を入力するようにしている。しかしながら、1本の紐状に形成され、巻取り及び巻解き可能に一端部がプーリに連結されると共に、他端がヘッドボックス2から外部に垂下される操作コードを牽引することにより、プーリをCCWに回転させて入力軸55に当該回転を入力させるようにしてもよい。この場合のプーリは、操作コードが手放されると逆のCWに回転し、操作コードが牽引する前の元の状態に戻るように構成されている。
【0071】
このようなプーリとしては、例えば操作ユニット5’の筐体により相対回転可能に軸支され、ぜんまいバネの一端が連結されると共に、ぜんまいバネの他端が操作ユニット5’の筐体に連結されたものを用いればよい。ぜんまいバネは、操作コードが巻き取られる巻取方向の付勢力をプーリに常時付与するものであり、これによりプーリは、操作コードが操作者により牽引されプーリから巻き解かれることによりCCWに回転する。一方、牽引された操作コードが手放されるとプーリに巻き取られ、これによりプーリがCWに回転する。
【0072】
プーリがCCWに回転する場合、
図21に示される非係合状態から
図22に示される第1係合状態にクラッチ機構が移行し、図中符号R1で示される経路を経てCCW回転の回転駆動力が第1駆動軸201Aに伝達される。一方、プーリがCWに回転する場合、
図22に示される第1係合状態から、
図21や
図23に示される非係合状態にクラッチ機構が移行し、CW回転の回転駆動力が第1駆動軸201Aに伝達されることはない。つまり、操作コードの牽引、操作コードの手放しを繰り返してスクリーン31を上昇操作する場合、クラッチ機構は非係合状態と第1係合状態と間の状態の移行を繰り返すこととなる。
【0073】
なお、このような操作コード及びプーリを備える開閉装置においても、ボトムレール31が上昇された状態において、操作コードが所定距離だけ牽引された後に手放されると、第1ストッパ203Aによる第1駆動軸201Aに対する回転規制が解除され、ボトムレール31が自重下降する。自重下降時、
図23に示されるように、第1駆動軸201AからのCW回転の回転駆動力は、第1クラッチ受け56Aに伝達されてクラッチ6’が離間する方向に押し出されるため、プーリに伝達されないことは言うまでもない。
【0074】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0075】
1 開閉装置
201A 第1駆動軸(第1駆動部)
201B 第2駆動軸(第2駆動部)
31 ボトムレール(第1移動部材)
41 中間バー(第2移動部材)
5、5’ 操作ユニット(操作装置)
50 本体ケース(筐体)
51 操作部材(操作コード)
52 プーリ
56A 第1クラッチ受け(第1係合伝達部、第1駆動部)
56B 第2クラッチ受け(第2係合伝達部、第2駆動部)
6、6’ クラッチ(回転伝達部)
62 円筒部材(軸部材)
64 カム部材(移動部)
643 カム溝
65 鋼球(固定体)