(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022173985
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】動物侵入防止柵
(51)【国際特許分類】
A01M 29/30 20110101AFI20221115BHJP
【FI】
A01M29/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021183739
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2021103634の分割
【原出願日】2021-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】512008749
【氏名又は名称】大戸 留美
(71)【出願人】
【識別番号】510159458
【氏名又は名称】大戸 宏章
(72)【発明者】
【氏名】大戸 宏章
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA01
2B121BB30
2B121EA26
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】動物の侵入を防止する効果等が向上された動物侵入防止柵を提供する。
【解決手段】動物侵入防止柵11は、動物19の所定領域への侵入を防止するために設置される。動物侵入防止柵11は、挿通部12と、動物接触部13と、案内部14と、を具備する。挿通部12は、動物19の一部が挿通可能な開口15を有する。動物接触部13は、その下端側が挿通部12に連結され、且つ、その一部が挿通部12の上方側に配置される。案内部14は、動物接触部13を上下方向に沿って移動可能に案内する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物が圃場等に侵入すること防止する動物侵入防止柵に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、猪や鹿などの野生動物による農業被害は深刻化している。このような被害の対策の一環として、野生動物の圃場への侵入を阻止するべく、圃場を柵で囲むことが行われている。
【0003】
このような柵として、例えば、以下の特許文献に記載された発明がある。
【0004】
特許文献1では、猪の侵入を防止するための方向誘導装置が記載されている。具体的には、方向誘導装置は、地面から所定高さだけ上方の位置に水平方向に多列的に設置された複数枚のネットと、ネットを支持する複数個の保持部材と、保持部材を保持する複数本のロープと、ロープを支持する複数本の支柱を備える。よって、猪が法尻部に侵入するために方向誘導装置に足を踏み入れると、ネットに足が絡まり、主蹄および副蹄などの蹄の間にネットが挟まって不快感を生じるので、猪は法尻部への侵入を諦める。
【0005】
特許文献2では、金網を採用した柵が記載されている。具体的には、ここでの柵は、複数の支柱ユニットと、隣り合う支柱ユニットの上部間に掛け渡した胴縁竿と、複数の列線を巻き掛けて形成した菱形金網とを具備する。また、菱形金網の最上辺の巻線の厚さを他の巻線の厚さより大きく形成し、菱形金網の最上辺の網目に挿通した胴縁竿の両端部を、隣り合う一対の支柱ユニットの間に横架し、支柱本体の上部に形成した余長部の頭部と胴縁竿の中間部との間にブレースを張設する。このようにすることで、菱形金網の撓み変形を確実に防止でき、組立作業と解体作業を少人数で簡単に行える簡易防獣柵を提供できる。
【0006】
特許文献3でも、金網を採用した防獣用フェンスが記載されている。具体的には、防獣用フェンスは、間隔を隔てて設置面に立設した複数の支柱と、隣り合う支柱の上部間に横架した吊下竿と、吊下竿に垂下させて展張した金網と、を具備している。また、金網は、その全高が支柱の立設高さより大きく、金網はその下端を設置面に沿って折り曲げて金網の前方に向けて敷設した帯状の敷設部を有する。係る構成により、施工コストが安い防獣用フェンスが提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-171772号公報
【特許文献2】実用新案登録第3203468号公報
【特許文献3】実用新案登録第3197635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した各引用文献に記載された柵では、動物の侵入を確実に防止する効果等の観点から、改善の余地があった。
【0009】
具体的には、引用文献1では、基本的にはロープにより猪の脚を絡ませるのみであるため、猪の侵入を防止する効果が必ずしも十分でない課題があった。
【0010】
特許文献2では、柵を構成する菱形金網は、地面に対して固定されている。よって、この菱形金網を猪などの動物が押し上げると、地面と菱形金網との間に大きな間隙が形成され、当該間隙を経由して動物が侵入してしまう課題がある。
【0011】
特許文献3では、ピンにより金網が比較的強固に地面に対して固定されているものの、係る場合であっても猪などの鼻により金網が持ち上げられてしまう課題を排除することは簡単では無い。
【0012】
本発明は、このような問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、動物の侵入を防止する効果等が向上された動物侵入防止柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の動物侵入防止柵は、明細書に記載されたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物の侵入を効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る動物侵入防止柵を示す上面概念図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る動物侵入防止柵の構成を示す斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵に接近する状態を示す側面図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵を持ち上げる状態を示す側面図である。
【
図4A】本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵の構成を示す斜視図である。
【
図4B】本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵が、持ち上げられている際の構成を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵に接近する状態を示す側面図である。
【
図5B】本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵を持ち上げる状態を示す側面図である。
【
図6A】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵の構成を示す斜視図である。
【
図6B】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵が、持ち上げられている際の構成を示す斜視図である。
【
図7A】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵の構成を示す斜視図である。
【
図7B】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵が、持ち上げられている際の構成を示す側面図である。
【
図8A】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵に接近する状態を示す側面図である。
【
図8B】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵を示す図であり、動物が動物侵入防止柵を持ち上げる状態を示す側面図である。
【
図9】本発明の更なる他の形態に係る動物侵入防止柵の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則的に同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明に於いて、内側とは圃場10に向かう方向であり、外側とは圃場10から離れる方向である。また、左右方向とは、動物侵入防止柵11が並ぶ方向である。
【0017】
図1は、動物侵入防止柵11を示す上面概念図である。
【0018】
圃場10は、例えば、イモ、ジャガイモ、タマネギなどの根菜類を栽培する畑である。
【0019】
動物侵入防止柵11は、所定領域である圃場10に動物19が侵入すること防止するために、圃場10の全周を囲むように設置される。このようにすることで、後述するように、猪などの動物19が、圃場10に侵入することを防止し、圃場10で栽培された根菜類等を食い荒らすことを防止できる。
【0020】
図2は、動物侵入防止柵11の構成を示す斜視図である。複数個並列された動物侵入防止柵11により、
図1に示した圃場10を囲んでいる。
【0021】
動物侵入防止柵11は、挿通部12と、動物接触部13と、案内部14と、を主要に具備する。
【0022】
挿通部12は、動物19の一部が挿通可能な開口15を有する部材である。挿通部12は、数mm程度の太さを有する棒状鋼材をメッシュ状に交差および結合させた部材である。メッシュの大きさは、後述する動物19の脚20が通過できる程度であり、例えば、一辺の長さが13cmないし17cmの略正方形とされている。ここでは、挿通部12のメッシュが、後述する動物19の脚20が挿通される開口15である。
【0023】
設置部16は、動物侵入防止柵11が設置された際に、動物侵入防止柵11が設置される接地面17に接触するように構成される。ここでは接地面17を図示していない。
図2に示す動物侵入防止柵11では、挿通部12が設置部16を兼ねている。
【0024】
動物接触部13は、その下端側が挿通部12の内端側に連結され、且つ、その一部が挿通部12の上方側に配置されるように構成されている。動物接触部13は、挿通部12と同様に、数mm程度の太さを有する線状鋼材をメッシュ状に交差および結合させた部材である。ここでは、動物接触部13は、外側に向かって上方に傾斜している。動物接触部13をこのような傾斜構造にすることで、後述するように、動物19の持ち上げ動作を、動物接触部13で受け止めることができる。また、動物接触部13と挿通部12とは、曲折部が鋭角となる略L字状に曲折された一つのメッシュ状部材から構成することもできる。
【0025】
案内部14は、動物接触部13および挿通部12を、上下方向のみに沿って移動可能に案内するように構成されている。案内部14は、左右方向において、動物侵入防止柵11の両端部に配置されている。案内部14としては、棒状の部材を採用することができ、例えば鉄筋を採用できる。案内部14の下端部は、例えば、地中に対して略垂直に埋め込まれている。ここでは、地中に埋め込まれる部分の案内部14を破線で示している。
【0026】
動物接触連結部191は、動物侵入防止柵11の左右方向両端部において、動物接触部13の上端部と案内部14とを、上下方向のみに沿って移動可能に連結する部位である。動物接触連結部191は、例えば、金属または合成樹脂から成る略リング状の部材である。
【0027】
設置連結部192は、設置部16としての挿通部12の左右両側辺中間部と案内部14とを、上下方向のみに沿って移動可能に連結する部位である。設置連結部192の構成は動物接触連結部191と同様である。
【0028】
図3Aは、動物19が動物侵入防止柵11に接近する状態を示す側面図である。ここでは、動物19として、猪を例示している。先ず、圃場10への侵入を試みる動物19は、動物侵入防止柵11に接近する。その際、動物19の前足である脚20は、挿通部12を踏みつけている。
【0029】
図3Bは、動物19が動物侵入防止柵11を持ち上げる状態を示す側面図である。動物19は、その鼻や頭部を用いて、動物侵入防止柵11を持ち上げることを試みる。その際、動物19は、傾斜している動物接触部13を、上方に向かって持ち上げる。前述したように、動物接触部13および挿通部12は、案内部14により上下方向に移動可能とされている。よって、動物接触部13および挿通部12は、動物19の動作により、上方に向かって持ち上げられる。
【0030】
その際、挿通部12の開口15に、動物19の脚20が挿通されている。よって、動物19が動物接触部13を上方に持ち上げると、開口15に脚20が挿通された状態のまま、挿通部12も上昇する。従って、脚20の自由な動きが阻害されるので、動物19は、係る状態を本能的に忌諱する。また、挿通部12が動物19の胴体の下部に接触するようになり、動物19は係る状態も本能的に忌諱する。このようにすることで、動物19は、侵入のために動物侵入防止柵11を持ち上げる動作を停止し、圃場10への侵入を諦めるようになる。動物19が動物侵入防止柵11を持ち上げる動作を止めたら、重力の作用により、動物接触部13および挿通部12は接地面17の上面に落下し、元の状態になる。よって、動物19が圃場10への侵入を試みた後であっても、動物侵入防止柵11と接地面17との間に、動物19の侵入が可能となる間隙が形成されることを防止できる。
【0031】
図4Aは、本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵11の構成を示す斜視図である。この図に示す動物侵入防止柵11の構成は、
図2に示したものと基本的には同様であり、挿通部12および設置部16の構成が異なる。
【0032】
ここでは、設置部16は、左右方向における動物接触部13の両端部の下端に接続し、外側に向かって直線状に伸びている。設置部16としては、鋼棒等の棒状部材や板状部材を採用することができる。設置部16の途中部分には設置連結部192が配設され、設置連結部192を挿通する案内部14により、設置部16は、上下方向のみに沿って移動可能に支持されている。
【0033】
挿通部12は、設置部16とは別部材である。挿通部12は前述したようにメッシュ状の部材からなり、その内側端部の側辺は、動物接触部13の下側辺と、回転支持部21を介して回転可能に連結されている。回転支持部21は、例えば、ワイヤ等から成る結束部材である。回転支持部21は、挿通部12の内側辺に沿って、略等間隔に複数が形成される。
【0034】
図4Bは、動物侵入防止柵11が、持ち上げられている際の構成を示す斜視図である。係る状態になると、挿通部12は、内側辺のみが動物接触部13の下側辺に回転可能に連結されているので、その内側端部のみが上昇する傾斜状態となり、その外側端部は図示しない接地面17に接触している。
【0035】
図5Aは、本発明の他の形態に係る動物侵入防止柵11を示す図であり、動物19が動物侵入防止柵11に接近する状態を示す側面図である。
【0036】
先ず、圃場10への侵入を試みる動物19は、動物侵入防止柵11に接近し、動物19の脚20は、挿通部12を踏みつけている。また、挿通部12は、地面である接地面17の上面に配置されている。
【0037】
図5Bは、動物19が動物侵入防止柵11を持ち上げる状態を示す側面図である。
【0038】
動物19は、その鼻や頭部を用いて、動物侵入防止柵11を持ち上げる。その際、動物19は、傾斜している動物接触部13を、上方に向かって持ち上げる。前述したように、動物接触部13および設置部16は、案内部14により上下方向に移動可能とされている。よって、動物接触部13および設置部16は、動物19により上方に向かって持ち上げられる。一方、挿通部12は、内側辺のみが動物接触部13の下側辺に回転可能に連結されているので、その内側端部のみが上昇し、その外側端部は図示しない接地面17に接触している。即ち、挿通部12は、外側に向かって下方に傾斜する傾斜状態となる。
【0039】
その際、挿通部12の開口15に、動物19の脚20が挿通されている。よって、動物19が動物接触部13を上方に持ち上げると、開口15に脚20が挿通された状態のまま、挿通部12も上昇する。従って、脚20の自由な動きが阻害されるので、動物19は、係る状態を本能的に忌諱する。このようにすることで、動物19は、侵入のために動物侵入防止柵11を持ち上げる動作を停止し、圃場10への侵入を諦めるようになる。動物19が動物侵入防止柵11を持ち上げる動作を止めたら、重力の作用により、動物接触部13は接地面17の上面に落下する。更に、挿通部12も、逆方向に回転し、元の状態になる。
【0040】
図6Aは、更なる他の形態に係る動物侵入防止柵11を示す斜視図である。この図に示す動物侵入防止柵11の構成は、
図4に示したものと基本的には同様であり、挿通部12の形状が異なる。
【0041】
ここでは、挿通部12は、短冊状を呈する複数の分割挿通部121から構成されている。分割挿通部121の内側端部は、回転支持部21を介して動物接触部13の下端部に回転可能に連結されている。左右方向において、分割挿通部121どうしは、離間して配置されても良いし、密着するように配置されても良い。
【0042】
図6Bは、このような構成の動物侵入防止柵11が、持ち上げられている際の構成を示す斜視図である。
【0043】
動物接触部13が持ち上げられると、動物接触部13および設置部16は、案内部14に案内されて略垂直に上昇する。一方、分割挿通部121は、内側端部を回転中心として回転し、外側部分が下方に向かって傾斜する傾斜状態となる。実際は、全ての分割挿通部121が傾斜状態となるが、ここでは、左端に配置された分割挿通部121のみを傾斜配置している。このようにすることで、動物侵入防止柵11が設置される地面の凹凸形状に追従させて、個々の分割挿通部121を、異なる回転角で回転させることができる。よって、動物侵入防止柵11が設置される接地面17の凹凸形状が大きくても、動物接触部13が持ち上げられた際に、動物19が侵入することを防止することができる。
【0044】
図7Aは、更なる他の形態に係る動物侵入防止柵11の構成を示す斜視図である。この図に示す動物侵入防止柵11の構成は、
図1に示したものと基本的には同様であり、下垂部18を有している点が異なる。
【0045】
下垂部18は、挿通部12の下方に配置された部材であり、メッシュ状や板状の部材を採用することができる。下垂部18の内側面は、複数の回転支持部22を介して、動物接触部13の下側辺に回転可能に連結されている。下垂部18は、動物19が動物接触部13を持ち上げていない際は、挿通部12と接地面17との間で略水平に配置される。一方、動物19が動物接触部13を持ち上げている際は、下垂部18は回転支持部22を回転中心として回転し、外側に向かって下方に傾斜している。
【0046】
図7Bは、係る構成の動物侵入防止柵11が、持ち上げられている際の構成を示す側面図である。ここでは、動物19の持ち上げにより、動物接触部13および挿通部12は、案内部14に案内されて上昇している。一方、下垂部18は、回転支持部22を回転中心として回転することで傾斜しており、その外側端部は接地面17に接触している。このようにすることで、動物接触部13および挿通部12が上昇した場合でも、挿通部12の下方に形成される間隙を下垂部18が塞ぎ、当該間隙を経由して小型の動物19が圃場10に侵入することを防止できる。
【0047】
図8Aは、更なる他の形態に係る動物侵入防止柵11の構成を示す側面図である。ここに示す動物侵入防止柵11の構成は原則的には
図3Aに示したものと同様であり、筒状連結部193を有している点が異なる。
【0048】
筒状連結部193は、上下方向に沿う中心軸を有する略筒状の部材であり、例えば、塩化ビニール等の合成樹脂から成る円筒状のパイプを採用することができる。筒状連結部193の上端側は動物接触部13の上端側に連結され、筒状連結部193の下端側は設置部16に連結されている。また、案内部14の中間部は、筒状連結部193を挿通している。
【0049】
図8Bを参照して、動物19が動物接触部13を上方に持ち上げると、動物接触部13および設置部16は、筒状連結部193に挿通された案内部14により案内されながら、上昇する。例えば鉄筋である案内部14は、筒状連結部193の内面を良好に滑る。よって、筒状連結部193を採用することで、動物接触部13および設置部16の上昇動作がスムーズになる。同様に、動物接触部13および設置部16の下降動作もスムーズになる。
【0050】
係る筒状連結部193を採用する構成は、
図4A、
図6A、
図7A等に示した動物侵入防止柵11に対しても適用することができる。
【0051】
図9は、更なる他の形態に係る動物侵入防止柵11の構成を示す斜視図である。ここに示す動物侵入防止柵11の構成は原則的には
図2に示したものと同様であり、錘部23を有している点が異なる。
【0052】
具体的には、錘部23は、金属等の比重が大きい材料から成る長尺部材であり、動物侵入防止柵11の左端から右端に至るまで配設されている。錘部23としては、例えば束ねられた複数本の鉄筋を採用することができる。錘部23は、設置部16の内側端部、または、動物接触部13の下方端部に固定される。錘部23を採用することで、動物19が動物接触部13および挿通部12を持ち上げた後に、動物接触部13および挿通部12の落下運動を促進し、挿通部12と接地面17との間に間隙が形成されることを抑制できる。
【0053】
係る錘部23を採用する構成は、
図4A、
図6A、
図7A等に示した動物侵入防止柵11に対しても適用することができる。
【0054】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0055】
即ち、動物19の侵入を効果的に防止できる。
図3Aを参照して、圃場10への侵入を試みる動物19は、先ず、挿通部12に脚20を挿通する。次に、
図3Bを参照して、動物19が動物接触部13を持ち上げると、動物接触部13と連結されている挿通部12も、例えば動物19の脚20の付け根部分まで連鎖的に持ち上がる。このようにすることで、動物19の一部、例えば前足の自由運動が制限される。また、動物19は、動物接触部13をそれ以上持ち上げることはできない。このことから、動物19の圃場10への侵入が防止される。
【0056】
更に、
図4Aを参照して、動物接触部13の左右方向端部の下端から連続する設置部16を具備していることで、動物接触部13を安定して設置箇所に設置することができる。
【0057】
更に、
図4Bを参照して、動物19が動物接触部13を持ち上げると、挿通部12が回転することで傾斜配置され、挿通部12の外側端部が接地面17に接触する。よって、挿通部12と接地面17との間に形成される間隙が大きくならず、当該間隙から動物19が圃場10に侵入することを防止できる。
【0058】
更に、
図6Bを参照して、分割挿通部121が個別に動物接触部13に対して回転可能に連結することで、個々の挿通部12が任意の角度で回転でき、接地面17と挿通部12との間隙を小さくし、接地面17の凹凸が大きくても、当該間隙から動物19が侵入することを防止できる。
【0059】
更に、
図2を参照して、動物接触部13が外側に向かって上方に傾斜していることで、動物侵入防止柵11の断面形状が略三角形を呈するようになり、動物侵入防止柵11の機械強度を向上できる。
【0060】
更に、
図7Bを参照して、動物接触部13が上昇した際に、下垂部18の外側先端側が下方に向かって回転することで、動物接触部13と接地面17との間隙を下垂部18が塞ぎ、動物接触部13および挿通部12が持ち上げられた際でも、挿通部12の下方の間隙を経由して動物19が圃場10に侵入することを防止できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
【0062】
例えば、
図2を参照して、動物接触部13および設置部16を、金属板、合成樹脂板、板状木材等から構成することもできる。
【0063】
また、
図2に記載した動物侵入防止柵11では、動物接触部13の左右方向両端部に2つの案内部14を配置したが、案内部14の位置および個数は任意である。例えば、案内部14の個数は、1でも良いし、3以上でも良い。更に、案内部14の位置は、動物接触部13の左右方向端部に配設されても良いし、動物接触部13の左右方向中間でも良い。ここで、案内部14の位置および個数にかかわらず、案内部14は、少なくとも設置部16および動物接触部13を上下方向に案内する必要はある。
【0064】
前述された実施形態から以下の発明を把握することができる。
【0065】
本発明の動物侵入防止柵は、動物の所定領域への侵入を防止するために設置される動物侵入防止柵であり、挿通部と、動物接触部と、案内部と、を具備し、前記挿通部は、前記動物の一部が挿通可能な開口を有し、前記動物接触部は、その下端側が前記挿通部に連結され、且つ、その一部が前記挿通部の上方側に配置され、前記案内部は、前記動物接触部を上下方向に沿って移動可能に案内することを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物の侵入を効果的に防止できる。具体的には、先ず、所定領域への侵入を試みる動物は、挿通部に、例えば脚を挿通する。次に、動物が動物接触部を持ち上げようとすると、動物接触部と連結されている挿通部も、例えば動物の脚の付け根部分まで連鎖的に持ち上がる。このようにすることで、動物の一部、例えば前足の自由運動が制限され、動物の所定領域への侵入が防止される。
【0066】
また、本発明の動物侵入防止柵では、設置部を、更に具備し、前記設置部は、前記動物侵入防止柵が設置された際に、前記動物侵入防止柵が設置される接地面に接触するように構成されることを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、設置部を具備していることで、安定して設置箇所に設置することができる。
【0067】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記挿通部は、前記動物接触部に対して回転可能に連結されることを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物が動物接触部を持ち上げようとすると、挿通部が回転することで、挿通部と接地面との間に形成される間隙が大きくならず、当該間隙から小動物が所定領域に侵入することを防止できる。
【0068】
また、本発明の動物侵入防止柵では、複数の前記挿通部が、個別に、前記動物接触部に対して回転可能に連結されることを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、接地面の凹凸形状に即して、個々の挿通部が任意の角度で回転でき、接地面と挿通部との間隙を小さくし、当該間隙から動物が侵入することを防止できる。
【0069】
また、本発明の動物侵入防止柵では、前記動物接触部は、前記所定領域から離れる側に向かって上方に傾斜することを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物接触部が傾斜していることで、断面形状が三角形を呈するようになり、動物侵入防止柵の機械強度を向上できる。
【0070】
また、本発明の動物侵入防止柵では、下垂部を、更に具備し、前記下垂部は、前記動物接触部に対して回転可能に接続され、且つ、前記動物接触部が上昇した際に、その先端側が下方に向かって回転することを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物接触部が上昇した際に、下垂部の先端側が下方に向かって回転することで、動物接触部と接地面との間隙を下垂部が塞ぎ、間隙を経由して動物が所定領域に侵入することを防止できる。
【0071】
また、本発明の動物侵入防止柵では、錘部を、更に具備し、前記錘部は、前記動物接触部または前記設置部に取り付けられることを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物が動物接触部および挿通部を持ち上げた後に、動物接触部および挿通部の落下運動を促進し、挿通部と接地面との間に間隙が形成されることを抑制できる。
【0072】
また、本発明の動物侵入防止柵では、筒状連結部を、更に具備し、前記筒状連結部は、前記動物接触部に固定され、その内部を前記案内部が挿通することを特徴とする。よって、本発明に係る動物侵入防止柵によれば、動物接触部および設置部の昇降動作がスムーズになる。
【符号の説明】
【0073】
10 圃場
11 動物侵入防止柵
12 挿通部
121 分割挿通部
13 動物接触部
14 案内部
15 開口
16 設置部
17 接地面
18 下垂部
19 動物
191 動物接触連結部
192 設置連結部
20 脚
21 回転支持部
22 回転支持部
23 錘部