(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174018
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】可変容量制御式のピストンコンプレッサ
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20221115BHJP
F04B 39/12 20060101ALI20221115BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
F04B39/10 U
F04B39/12 C
F04B39/00 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076902
(22)【出願日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】A 50359/2021
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】304033177
【氏名又は名称】ヘルビガー ウィーン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Hoerbiger Wien GmbH
【住所又は居所原語表記】Seestadtstrasse 25,AT-1220 Wien,Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス コアンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス シュタッヘル
(72)【発明者】
【氏名】リーリー ワン
【テーマコード(参考)】
3H003
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC01
3H003BC03
3H003CC07
3H003CD03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大型のピストンコンプレッサにおいても精密かつ迅速なフィード量の適合が可能である、ピストンコンプレッサのための、接続室による改良された無段階式容量制御を提供する。
【解決手段】溢流開口12を介して圧縮室5に接続された接続室11と、溢流開口12を開閉するための接続弁13と、接続弁を制御するための接続弁制御ユニット14とを備えているピストンコンプレッサ1を提供するために、接続弁が、接続室内の圧力と圧縮室内の圧力との圧力比に応じて溢流開口を自動的に開閉する自動的なリング弁として形成されており、接続弁は、接続室内の圧力が圧縮室内の圧力よりも大きい場合に自動的に開き、接続弁を圧力比に関係なく開放状態に保持するために、電気的に駆動制御可能なアクチュエータ17によって操作可能なリフトグリッパ15が設けられており、電磁式のアクチュエータは操作のために接続弁制御ユニットによって駆動制御可能である。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンコンプレッサ(1)であって、シリンダ(2)内に圧縮室(5)を形成するために前記シリンダ(2)内で往復運動可能なピストン(3)を備えており、前記圧縮室(5)には少なくとも1つの吸込弁(6)と少なくとも1つの圧力弁(8)とが設けられており、接続室容積を有する少なくとも1つの接続室(11)が設けられており、前記接続室は、少なくとも1つの溢流開口(12)を介して前記圧縮室(5)に接続されており、前記溢流開口(12)を開閉するための接続弁(13)と、前記接続弁(13)を制御するための接続弁制御ユニット(14)とが設けられている、ピストンコンプレッサ(1)において、
前記接続弁(13)は、前記接続室(11)内の圧力と前記圧縮室(5)内の圧力との圧力比に応じて前記溢流開口(12)を自動的に開閉する自動的なリング弁として形成されており、前記接続弁(13)は、前記接続室(11)内の圧力が前記圧縮室(5)内の圧力よりも大きい場合に自動的に開き、前記接続弁(13)を前記圧力比に関係なく開放状態に保持するために、電気的に駆動制御可能なアクチュエータ(17)によって操作可能なリフトグリッパ(15)が設けられており、前記アクチュエータ(17)は、操作のために前記接続弁制御ユニット(14)によって駆動制御可能であることを特徴とする、ピストンコンプレッサ(1)。
【請求項2】
前記接続弁(13)の開放状態で、前記溢流開口(12)の流れ横断面積は、前記シリンダ(2)の孔の孔横断面積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも15%である、請求項1記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項3】
前記シリンダ(2)の孔の孔直径(B)は、少なくとも100mm、好ましくは少なくとも500mm、特に好ましくは少なくとも800mmである、請求項1または2記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項4】
前記アクチュエータ(17)は、少なくとも5Hzの、好ましくは少なくとも10Hzの、特に好ましくは少なくとも20Hzのスイッチング周波数を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項5】
前記アクチュエータ(17)として、電磁式のアクチュエータまたは電気液圧式のアクチュエータが設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項6】
前記吸込弁(6)および/または前記圧力弁(8)は、自動的な弁として、好ましくは自動的なリング弁として形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項7】
前記吸込弁(6)および/または前記圧力弁(8)は、前記圧縮室(5)内の前記シリンダ(2)の周面に配置されており、かつ/または、前記接続弁(13)は、前記ピストン(3)のピストンヘッド(3a)に対向している、前記シリンダ(2)の端面に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項8】
前記接続弁(13)は、同心的に配置された、少なくとも所定の区分でリング状の複数の溢流開口(12)を有しており、前記溢流開口(12)にはそれぞれ1つのシールエレメント(21)が配属されており、前記リフトグリッパ(15)は、前記リング状の溢流開口(12)を貫通して前記シールエレメント(21)に作用する、請求項1から7までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項9】
複数のリング状のシールエレメント(21)が、半径方向のウェブを介して接続されて1つのシールプレートをなしている、請求項8記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項10】
前記接続弁(13)は、前記接続室(11)が設けられている弁ケーシング(18)を有しており、前記電磁式のアクチュエータ(17)は、前記弁ケーシング(18)の外側に配置されていて、前記弁ケーシング(18)の壁を貫通して前記接続室(11)内に突入する伝達ロッド(20)を介して前記リフトグリッパ(15)に接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項11】
前記接続弁制御ユニット(14)は、負荷信号(L)に応じて、かつ/または前記ピストンコンプレッサ(1)のクランク角信号(φ)に応じて、前記接続弁(13)を制御するように構成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)。
【請求項12】
ピストンコンプレッサ(1)のための弁構成群(VG)であって、弁ケーシング(18)を有しており、前記弁ケーシング内には、接続室容積を有する接続室(11)が配置されており、前記接続室は、少なくとも1つの溢流開口(12)を介して周囲に接続されていて、前記溢流開口(12)を開閉するための少なくとも1つの接続弁(13)を有しており、前記接続弁(13)は接続弁制御ユニット(14)によって駆動制御可能である、弁構成群(VG)において、
前記接続弁(13)は、前記接続室(11)内の圧力と周囲圧力との圧力比に応じて前記溢流開口(12)を自動的に開閉する自動的なリング弁として形成されており、前記接続弁(13)は、前記接続室(11)内の圧力が、前記周囲圧力よりも大きい場合に自動的に開き、前記接続弁(13)を前記圧力比に関係なく開放状態に保持するために、電気的に駆動制御可能なアクチュエータ(17)によって操作可能なリフトグリッパ(15)が設けられており、前記アクチュエータ(17)は、操作のために前記接続弁制御ユニット(14)によって駆動制御可能であることを特徴とする、弁構成群(VG)。
【請求項13】
前記弁ケーシング(18)は、前記ピストンコンプレッサ(1)のシリンダ(2)内に配置するために、弁ケーシング直径(DV)を有した円筒状の弁ケーシング区分(26)を有しており、前記接続弁(13)の開放状態で、前記溢流開口(12)の流れ横断面積は、前記円筒状の弁ケーシング区分(26)のケーシング横断面積の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも15%である、請求項12記載の弁構成群(VG)。
【請求項14】
前記アクチュエータ(17)は、少なくとも5Hzの、好ましくは少なくとも10Hzの、特に好ましくは少なくとも20Hzのスイッチング周波数を有しており、アクチュエータ(17)として、好ましくは電磁式のアクチュエータまたは電気液圧式のアクチュエータが設けられている、請求項12または13記載の弁構成群(VG)。
【請求項15】
前記接続弁(13)は、同心的に配置された、少なくとも所定の区分でリング状の複数の溢流開口(12)を有しており、前記溢流開口(12)にはそれぞれ1つのシールエレメント(21)が配属されており、前記リフトグリッパ(15)は、前記リング状の溢流開口(12)を貫通して前記シールエレメント(21)に作用する、請求項12から14までのいずれか1項記載の弁構成群(VG)。
【請求項16】
複数のリング状のシールエレメント(21)が、半径方向のウェブを介して接続されて1つのシールプレートをなしている、請求項15記載の弁構成群(VG)。
【請求項17】
前記アクチュエータ(17)は、前記弁ケーシング(18)の外側に配置されていて、前記弁ケーシング(18)の壁を貫通して前記接続室(11)内に突入する伝達ロッド(20)を介して前記リフトグリッパ(15)に接続されている、請求項12から16までのいずれか1項記載の弁構成群(VG)。
【請求項18】
請求項1から11までのいずれか1項記載のピストンコンプレッサ(1)を作動させるための方法であって、圧縮媒体を、ピストン(3)の膨張行程の間、少なくとも1つの吸込弁(6)を介して圧縮室(5)内に吸い込み、これに続く、前記ピストン(3)の圧縮行程の間、少なくとも1つの圧力弁(8)を介して前記圧縮室(5)から排出する方法において、
接続室(11)内の圧力が前記圧縮室(5)内の圧力(pOP1,pOP2)よりも大きい場合に、前記膨張行程において前記吸込弁(6)の開放よりも前に接続弁(13)が開放点(OP1,OP2)で自動的に開き、この場合、前記接続室(11)内の圧力および前記圧縮室(5)内の圧力とは無関係に前記接続弁(13)を開放状態に保持するために、リフトグリッパ(15)を作動させ、前記リフトグリッパ(15)を、前記吸込弁(6)の閉鎖後、前記圧縮行程の所定の時点で非作動にさせ、これにより前記接続弁(13)は、前記圧縮行程において規定された閉鎖点(SP1,SP2)で、前記接続室(11)内の圧力に対して相対的に高い、前記圧縮室(5)内の圧力(pSP1,pSP2)によって自動的に閉じ、この場合、前記リフトグリッパ(15)をアクチュエータ(17)によって操作し、前記アクチュエータ(17)を接続弁制御ユニット(14)によって駆動制御することを特徴とする、方法。
【請求項19】
前記接続弁(13)の前記閉鎖点(SP1,SP2)を、前記ピストンコンプレッサ(1)のクランク角(φ)に応じて規定し、前記接続弁(13)を、前記リフトグリッパ(15)の非作動後、好ましくは最大5°のクランク角の、好ましくは最大3°のクランク角のクランク角範囲内で閉鎖し、かつ/または、前記接続弁(13)の前記閉鎖点(SP1,SP2)を、前記ピストンコンプレッサ(1)の負荷信号(L)に応じて、好ましくは1回の圧縮サイクル内で変更する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
膨張行程における前記接続弁(13)の前記開放点(OP1,OP2)を、先行する圧縮行程における前記接続弁(13)の前記閉鎖点(SP1,SP2)によって規定する、請求項18または19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピストンコンプレッサであって、シリンダ内に圧縮室を形成するためにシリンダ内で往復運動可能なピストンを備えており、圧縮室には少なくとも1つの吸込弁と少なくとも1つの圧力弁とが設けられており、規定の接続室容積を有する少なくとも1つの接続室が設けられていて、接続室は、溢流開口を介して圧縮室に接続されており、溢流開口を開閉するための接続弁と、接続弁を駆動制御するための接続弁制御ユニットとが設けられている、ピストンコンプレッサに関する。さらに本発明は、このようなピストンコンプレッサを作動させるための方法ならびにピストンコンプレッサのための弁構成群に関する。
【背景技術】
【0002】
接続室によるピストンコンプレッサの容量またはフィード量の制御は、主に、一定の回転数を有するピストンコンプレッサで使用される定評のある原理である。接続室によって損失スペースを拡大することができ、これによりコンプレッサの圧力上昇率および低下率を平坦化し、フィードされる媒体の量を減らすことができる。このような制御の形態は、殆ど損失がなく、特に中型および大型のコンプレッサにおいて、コンプレッサの作動点をコンプレッサの駆動に合わせて調整するために好んで使用される。接続室によって損失スペースの体積を変化させる形式は、原則的に2つの形式で行うことができる。一方では、1つ以上の弁を介して直列または並列に接続可能な、不変の容積を有する1つ以上の接続室を設けることができる。他方では、ピストンの調節により変更可能な可変の容積を有する1つの接続室を設けることができる。
【0003】
様々な容積を有する複数の接続室の段階的な接続は、例えば、中国特許出願公開第111188759号明細書または米国特許第5735675号明細書により公知である。この場合、液圧式のまたは空気圧式のアクチュエータを介して、接続室の個々の部分容積が、弁の開放により圧縮室に接続される。構成形式に基づき、接続は、コンプレッサ回転数と比較して、比較的ゆっくりと行われる。この場合、接続弁は比較的長い時間にわたって開放され続けるので、所属の接続室は、圧縮室体積に接続されたままとなる。このような形式の制御によっては、フィードされる媒体の量は、離散的な段階でしか変更することはできず、無段階式の精密な量制御は不可能である。
【0004】
英国特許出願公告第487916号明細書により、接続弁を、機械的なばね、または空気圧式または液圧式に調節可能な閉鎖圧によって、閉鎖状態に保持することができる構成形式も公知である。この弁は、圧縮室内の圧力が接続弁の閉鎖圧を超過すると、すぐに自動的に開く。接続弁が開くと、圧縮過程中に、接続室容積が接続されて、この時点以降、圧力上昇曲線は平坦化される。閉鎖圧の適合により、ひいては接続室の接続時点の適合により、フィードされるガス量の簡単な無段階式の制御を達成することができる。しかしながら、このような構成形式によっても、コンプレッサ回転数と比較してゆっくりの接続時点の適合しか行えない。空気圧式または液圧式の閉鎖圧付与の範囲内の圧縮可能性の作用ならびに弁シールエレメントにおける摩擦の作用に基づき、弁の開放時点は、ひいてはフィードされるガス量は、著しくこれらの作用に依存している。このような構成形式では、フィードされるガス量の精密な制御は限定的にしか可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、大型のピストンコンプレッサにおいても精密かつ迅速なフィード量の適合が可能である、ピストンコンプレッサのための、接続室による改良された無段階式容量制御を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明によれば、接続弁が、接続室内の圧力と圧縮室内の圧力との圧力比に応じて溢流開口を自動的に開閉する自動的なリング弁として形成されており、接続弁は、接続室内の圧力が圧縮室内の圧力よりも大きい場合に自動的に開き、接続弁を圧力比に関係なく開放状態に保持するために、電気的に駆動制御可能なアクチュエータによって操作可能なリフトグリッパが設けられており、電磁式のアクチュエータは操作のために接続弁制御ユニットによって駆動制御可能であることによって解決される。これにより、極めて短い時間内で、特に、1回の圧縮サイクル内でまたはクランクシャフトの1回転以内で、コンプレッサの負荷変更に極めて正確に反応することができる。これは、これまでは、シート弁が使用されていたため、特に、比較的ゆっくりの空気圧式またはもっぱら液圧式の操作が比較的遅いために不可能であった。
【0007】
好ましくは、接続弁の開放状態で、溢流開口の流れ横断面積は、シリンダの孔の孔横断面積の少なくとも5%である、好ましくは少なくとも10%である、特に好ましくは少なくとも15%である。シリンダの孔の孔直径は、この場合、好ましくは少なくとも100mm、好ましくは少なくとも500mm、特に好ましくは少なくとも800mmである。大きな流れ横断面積によって、絞り損失を減じることができ、弁の開放維持のために必要な力を減じることができる。この場合、リング弁の利点は、特に、コンプレッサの、特に孔直径の構成サイズによって大きくなる。
【0008】
アクチュエータは、好ましくは少なくとも5Hzの、好ましくは少なくとも10Hzの、特に好ましくは少なくとも20Hzのスイッチング周波数を有している。有利には、アクチュエータとして、電磁式のアクチュエータまたは電気液圧式のアクチュエータが設けられる。これにより、弁の極めて精密な閉鎖時間を実現することができる。電磁式のアクチュエータおよび電気液圧式のアクチュエータは、このために特に適している。
【0009】
吸込弁および/または圧力弁も、自動的な弁として、好ましくは自動的なリング弁として形成されていると、操作するためのアクチュエータが必要ないので、有利である。この場合、吸込弁および/または圧力弁は、好ましくは圧縮室内のシリンダの周面に配置されており、かつ/または、接続弁は、ピストンのピストンヘッドに対向している、ピストンコンプレッサのシリンダの端面に配置されている。端面側には、接続弁のために大きなスペースが存在しているので、これは有利である。さらにこれにより、接続弁の簡単な組み付けおよび後付けが可能となる。
【0010】
好ましくは、接続弁は、同心的に配置された、少なくとも所定の区分でリング状の複数の溢流開口を有しており、溢流開口にはそれぞれ1つのシールエレメントが配属されており、リフトグリッパは、リング状の溢流開口を貫通してシールエレメントに作用する。これにより、流れ横断面を拡大することができ、絞り力を減じることができる。この場合、複数のリング状のシールエレメントが、半径方向のウェブを介して接続されて1つのシールプレートをなしていると、これにより必要な個別の構成要素の数が減り、これにより例えば組付けが容易になるので、有利であり得る。
【0011】
さらに、接続弁は、接続室が設けられている弁ケーシングを有しており、電磁式のアクチュエータは、弁ケーシングの外側に配置されていて、弁ケーシングの壁を貫通して接続室内に突入する伝達ロッドを介してリフトグリッパに接続されていると有利であり得る。これにより、アクチュエータを、接続室内の高い温度および圧力に対して保護することができ、制御ユニットに簡単に接続することができる。
【0012】
接続弁制御ユニットは、好ましくは、負荷信号に応じて、かつ/またはピストンコンプレッサのクランク角信号に応じて、接続弁を制御するように構成されている。これにより、接続室を有利には、ピストンコンプレッサの作動状態に依存して、接続および接続解除することができる。
【0013】
課題はさらに、弁構成群によって、接続弁が、接続室内の圧力と周囲圧力との圧力比に応じて溢流開口を自動的に開閉する自動的なリング弁として形成されており、接続弁は、接続室内の圧力が周囲圧力よりも大きい場合に自動的に開き、接続弁を圧力比に関係なく開放状態に保持するために、電気的に駆動制御可能なアクチュエータによって操作可能なリフトグリッパが設けられており、アクチュエータは操作のために接続弁制御ユニットによって駆動制御可能であることによって解決される。
【0014】
さらにこの課題は、接続室内の圧力が圧縮室内の圧力よりも大きい場合に、膨張行程において吸込弁の開放よりも前に接続弁が開放点で自動的に開き、接続室内の圧力および圧縮室内の圧力とは無関係に接続弁を開放状態に保持するために、リフトグリッパを作動させ、リフトグリッパを、吸込弁の閉鎖後、圧縮行程の所定の時点で非作動にし、これにより接続弁は、圧縮行程において規定された閉鎖点で、接続室内の圧力に対して相対的に高い、圧縮室内の圧力によって自動的に閉鎖し、この場合、リフトグリッパをアクチュエータによって操作し、アクチュエータを接続弁制御ユニットによって駆動制御する方法によって解決される。
【0015】
以下に、本発明の有利な構成を例として概略的に非限定的に示す
図1a~
図3dに基づき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1a】接続室を含む弁構成群が配置されている、ピストンコンプレッサのシリンダを示す図である。
【
図1b】代替的な構成の、シリンダスリーブと弁構成群とを有したピストンコンプレッサのシリンダを示す図である。
【
図2】容量制御の様々な作動点が示された、ピストンコンプレッサのp-V線図を示す図である。
【
図3a】容量制御の1つの作動点が示された、ピストンコンプレッサのp-V線図を示す図である。
【
図3b】容量制御の1つの作動点が示された、ピストンコンプレッサのp-V線図を示す図である。
【
図3c】容量制御の1つの作動点が示された、ピストンコンプレッサのp-V線図を示す図である。
【
図3d】容量制御の1つの作動点が示された、ピストンコンプレッサのp-V線図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1aおよび
図1bには、シリンダ2の領域におけるピストンコンプレッサ1のコンプレッサケーシング10の断面図がそれぞれ概略的に示されている。ピストンコンプレッサ1の構造および機能形式は周知であるので、ここではこの点については詳しく述べず、以下では、本発明において重要な構成要素と機能形式について説明する。本明細書の例としては1つだけのシリンダ2が示されているとしても、ピストンコンプレッサ1が複数のシリンダ2を有することもできることはもちろん明白である。シリンダ2内には、シリンダ2内で往復運動することができるピストン3が公知の形式で配置されている。ピストン3を、例えば、軸方向で往復運動する単に略示されたピストンロッド4によって駆動することができる。ピストンロッド4自体は、図示されていないプッシュロッドによって、公知のようにクランクシャフトを介して駆動されてよい。
【0018】
この場合、横方向力は、すべり軸受を介してシリンダ2またはクランクケース内に支持されている別個のジョイント、いわゆるクロスヘッドによって吸収される。これにより、ピストンロッド4は、軸方向の運動のみを行う。しかしながらもちろん、プッシュロッドによるピストンの直接駆動も可能である。この場合、横方向力は、ピストン3によって吸収され、シリンダ2で支持される。しかしながら、駆動形式は本発明にとっては重要ではなく、実質的に、ピストンコンプレッサ1の構成形式、サイズ、および用途によるものである。クロスヘッド構成形式は、例えば、二重作用ピストンコンプレッサで使用される。
図1bの実施形態は、
図1aとは、コンプレッサケーシング10内に、シリンダライナとしても公知の別個のシリンダスリーブ2aが装着されている点、および接続弁13の後述する弁構成群VGの構造的な構成の点で異なっている。したがって、
図1bでは、シリンダスリーブ2aがシリンダ2を形成していて、ピストン3はシリンダスリーブ2a内で運動する。
【0019】
公知のように、シリンダ2内には、ピストン3のピストンヘッド3aの上方に圧縮室5が形成されて、この圧縮室内で、圧縮媒体、例えば空気または所定のガスが、ピストン3の運動によって圧縮される。圧縮媒体は、1つ以上の吸込弁6を介して、1つ以上の吸込管7から吸い込まれてよく、1つ以上の圧力管9の1つ以上の圧力弁8を介して供給されてよい。ピストンコンプレッサ1の構造的な構成に応じて、1つ以上の吸込弁6および/または1つ以上の圧力弁8は、例えば図示したように、シリンダ2の周囲に配置されていてよい。しかしながら、ピストンコンプレッサ1に(図示しない)別個のシリンダヘッドが設けられている場合には、吸込弁6および/または圧力弁8を、ピストンコンプレッサ1のシリンダヘッドに配置することもできる。この場合、圧縮室5は、ピストン3のピストンヘッド3aとシリンダヘッドとの間に形成される。
【0020】
図1では、吸込弁6と圧力弁8とが、相応の回路記号によって単に概略的な、逆止弁として略示されている。しかしながら、もちろん、アクチュエータによって(強制)操作可能な駆動制御可能な弁、例えば、液圧式に、空気圧式に、または電磁式に操作可能な弁が使用されてもよい。具体的な構造的な構成は、本発明に関しては重要ではなく、当業者の任意である。有利には、吸込弁6および/または圧力弁8は、公知の自動的なリング弁として形成されていてよい。リング弁として形成された吸込弁6は、ピストン3の膨張行程の間、吸込管7内の圧力と、これに対して相対的に低い、圧縮室5内の圧力との圧力比に応じて、自動的に圧縮室5の方向で開かれる。場合によっては、吸込弁6に閉鎖状態の方向で予荷重をかける予荷重力を生成するために、例えば、ばねエレメントの形態の予荷重装置が、吸込弁6に設けられていてもよい。これにより、開放特性または閉鎖特性に影響を与えることができる。
【0021】
同様に、リング弁として形成された圧力弁8は、ピストン3の圧縮行程の間、圧力管9内の圧力と、これに対して相対的に高い、圧縮室5内の圧力との圧力比に応じて、自動的に圧力管9の方向で開かれる。場合によっては、この場合も、圧力弁8に閉鎖状態の方向で予荷重をかける予荷重力を生成するために、例えば、ばねエレメントの形態の予荷重装置が、圧力弁8に設けられていてもよい。したがって、ピストンコンプレッサ1の具体的な構造的な構成に応じて、ピストンコンプレッサ1のすべての回転数について、所定の一定のフィード量が生じる。したがって、主として一定の回転数で作動する大型コンプレッサでは、フィード量は実質的に一定である。
【0022】
しかしながら、一定の回転数にもかかわらずフィード量の変更がしばしば求められる。冒頭で述べたように、このために、一定のまたは可変の接続室容積を有する1つ以上の接続室を設けることができ、接続室は、圧縮室5に選択的に接続することができる。これにより、シリンダ2内の損失スペースが拡大され、これにより、圧縮室5内の圧力の増減の勾配を、以下で
図2についてさらに詳しく説明するように、平坦にすることができる。図示したピストンコンプレッサ1内には、不変の接続室容積を有するただ1つの接続室11が設けられている。接続室11は、少なくとも1つの溢流開口12を介して圧縮室5に接続されている。さらに、溢流開口12を開閉するための接続弁13および接続弁を駆動制御するための接続弁制御ユニット14が設けられている。しかしながらもちろん、これは単なる例であり、これに限定されるものではないことが理解される。基本的には例えば、それぞれ1つの本発明による接続弁13を備えた複数の平行な接続室11が設けられていてもよく、または圧縮室5へ通じる本発明による1つの共通の接続弁13を備えた、弁を介して互いに直列に接続される複数の接続室11が設けられてもよい。本発明による接続弁13を備えた、例えばピストンによって可変である接続室容積を備えた接続室11が設けられることも考えられる。しかしながら、本発明の理解のためには、図示した例で十分である。
【0023】
接続弁制御ユニット14としては、例えば、適切なハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態の別個のユニットが設けられていてよい。接続弁制御ユニット14は、例えば、ピストンコンプレッサ1の、上位のコンプレッサ制御ユニット16によって駆動制御することができるが、もちろん、コンプレッサ制御ユニットに統合されていてもよい。コンプレッサ制御ユニット16は、例えば、ピストンコンプレッサ1の実際の負荷状態に関する負荷信号Lを、接続弁制御ユニット14へと送信することができる。この信号に応じて、接続弁制御ユニット14は、容量制御のために所定の作動モードを調節することができ、接続弁13の閉鎖点SPおよび開放点OPを負荷信号Lに応じて相応に規定し、変更することができる。
【0024】
負荷信号Lとしては、例えば、供給量(=圧縮された圧縮媒体のフィード量)、ピストンコンプレッサの電気的駆動装置の消費電力(=駆動装置負荷)、または圧縮された圧縮媒体の圧力を用いることができ、この場合、多段式コンプレッサの場合には、例えば2つのコンプレッサ段の間の中間圧を用いることができる。接続弁13の閉鎖点SPおよび開放点OPを圧縮サイクルに割り当てることができるように、コンプレッサ制御ユニット16は、例えばクランク角信号φを接続弁制御ユニット14へと送信することもできる。クランク角信号φは、例えば、ピストンコンプレッサ1のクランク角センサによって検出することができる。これにより有利には閉ループ制御を実現することができるので、閉鎖点SPの精密な制御が可能となる。
【0025】
本発明によれば、接続弁13は自動的なリング弁として形成されており、この弁によって溢流開口12は、接続室11内の圧力と圧縮室5内の圧力との間の圧力比に応じて自動的に開閉し、この場合、接続室内の圧力が圧縮室5内の圧力よりも大きい場合には、接続弁は圧縮室5の方向で開かれる。さらに、適切なアクチュエータ17によって操作可能なリフトグリッパ15が設けられている。リフトグリッパ15は、自動的な開放後に接続弁13を開放状態に保持するために設けられており、これについては
図2についてさらに詳しく後述する。アクチュエータ17は、リフトグリッパ15を操作するために、接続弁制御ユニット14(またはコンプレッサ制御ユニット)によって駆動制御されることができる。適切なアクチュエータ17としては、接続弁13の開放維持のために十分に大きな操作力を生成することができる、操作時間が十分に短い(またはスイッチング周波数が十分に高い)アクチュエータであると理解されたい。好ましくは、アクチュエータ17としては、電気液圧式のアクチュエータまたは電磁式のアクチュエータが設けられる。電磁式のアクチュエータは、比較的短い操作時間または比較的高いスイッチング周波数を可能とし、液圧的な流体が不要であるという利点を有している。電気液圧式のアクチュエータは、比較的大きな操作力を生成することができるという利点を有している。当業者は、必要に応じて適切なアクチュエータ17を設けることができる。図示した実施形態では、アクチュエータ17は例示的に、電磁式のアクチュエータとして形成されている。
【0026】
図1aおよび
図1bに示したように、例えば接続室11がその内部に配置されている、場合によっては多部分から成る弁ケーシング18を含む別個の弁構成群VGを設けることができる。弁構成群VGは、シリンダ2の領域で、ピストンコンプレッサ1のコンプレッサケーシング10に配置することができる。ピストンコンプレッサが(図示しない)別個のシリンダヘッドを有している場合には、弁構成群VGを、例えば、ピストンコンプレッサのシリンダヘッドにそのために設けた開口に挿入することができる。しかしながら以下では、シリンダヘッドを有さない図示した態様を参照する。弁構成群VGは、適切な固定手段19、例えば、
図1aおよび
図1bに概略的に示したように、周囲に分配された複数のねじによって、コンプレッサケーシング10に固定されてよい。これにより、大きな構造上の変更を行う必要なく、既存のピストンコンプレッサ1の容量制御を簡単に後付けすることができる。弁ケーシング18は、好ましくは、弁ケーシング直径D
Vを有する円筒状の弁ケーシング区分26を有している。ピストンコンプレッサ1に弁構成群VGを固定した状態では、弁ケーシング区分26は少なくとも部分的にシリンダ2の内側に配置されている。
図1bでは、円筒状の弁ケーシング区分26は、ピストン3が運動するシリンダ2内に直接配置されているのではなく、シリンダスリーブ2aを収容するために設けられた円筒状の収容開口内に配置されている。
図1aの例では、弁ケーシング直径D
Vは、実質的にシリンダ2の孔直径Bに相当する。
図1bの例では、弁ケーシング直径D
Vは、シリンダスリーブ2aに基づき、孔直径Bよりも幾分大きく、円筒状の収容開口の直径に実質的に相当する。
【0027】
アクチュエータ17は、好ましくは、弁ケーシング18の外側に配置されていて、弁ケーシング18の壁を貫通して接続室11内に突入する伝達ロッド20を介してリフトグリッパ15に接続されている。この構成は、一方では、アクチュエータ17が接続室11内の温度および圧力にさらされないので、熱的理由によって有利である。他方では、これにより、接続弁制御ユニット14への簡単な電気的接続が可能である。さらに、アクチュエータ17の体積が、接続室11の接続室容積を減じることがないので、同じ接続室容積で、接続室11をより小さく構成することができる。有利には、弁ケーシング18は多部分から構成されている。
図1aおよび
図1bに示した例では、弁ケーシング18は、円筒状の弁ケーシング区分26が設けられ、接続弁13が配置されている第1のケーシング部分18aと、この場合、ケーシングカバーの形態で形成されている第2のケーシング部分18bとを有している。接続室11は、この場合、第1のケーシング部分18aと第2のケーシング部分18bとによって形成されているかまたは画定されている。多部分から成る構成により、とりわけ、接続弁13の簡単な組み付けおよび保守整備が可能である。この場合、アクチュエータ17は、第2のケーシング部分18bまたはケーシングカバーの外側に配置されており、伝達ロッド20は、ケーシングカバーを貫通して接続室11内に突入している。
【0028】
本発明によると、自動的なリング弁を、リフトグリッパ15と、適切な、特に電磁式のアクチュエータ17と共に使用することにより、今や、極めて短い時間内で、特に1回の圧縮サイクル内でまたはクランクシャフトの1回転の間に、極めて正確にコンプレッサ1の負荷変化に反応することができる。例えば、圧縮行程において、リフトグリッパ15の操作後、最大5°の、好適には最大3°のクランク角以内で、接続弁13を閉鎖することができる。従来技術では、接続弁のこのような迅速な制御は、使用されている弁ジオメトリにより、および特に、比較的ゆっくりである空気圧式またはもっぱら液圧式の操作のため、これまで不可能であった。
【0029】
特に、リング弁の使用により、特に有利にはシリンダ2の孔直径Bが少なくとも100mmである、好適には少なくとも500mmである、特に好適には少なくとも800mmである大型のピストンコンプレッサ1において、容量制御を利用することができる。孔直径Bは、
図1bではシリンダスリーブ2aの内径によって形成される。これまで使用されてきた従来のシート弁は、構造上、同等の弁行程の場合、溢流開口の溢流横断面が圧縮室に面した弁面積に対して比較的小さいので、すぐにその限界に達してしまう。このため、大型のピストンコンプレッサにおいて従来のシート弁を使用する場合には、溢流開口の領域で比較的大きく絞られることになり、これは、絞り損失により、圧縮された圧縮媒体の望ましくない加熱につながる。
【0030】
弁行程を大きくすれば、このような欠点は確かに部分的には減じられるが、このために閉鎖時間は長くなり、場合によってはこれにより、負荷変動に十分迅速に反応することができなくなるので、これもまた欠点である。他方で、弁行程の拡大は、圧縮室内の軸方向の構成スペースを制限するので、しばしば不可能である。さらに、シート弁の場合、比較的大きな弁面積により、圧縮行程中の弁の開放維持のためには、比較的大きな力が必要となり、このような力は場合によってはアクチュエータによっては与えることができないか、または不十分にしか与えられない。したがって、リング弁はシート弁に対して、特に、シリンダ2の孔直径Bが大きくなるほど、構造条件的に大きな利点を有している。この場合リング弁は、好適には、接続弁13の開放状態で、溢流開口12の流れ横断面積が、シリンダ2の孔の孔横断面積の、またはケーシング直径DVを有した円筒状の弁ケーシング区分26の横断面積の少なくとも5%であるように、好適には少なくとも10%であるように、特に好適には少なくとも15%であるように、寸法設定されている。これにより十分な大きさの面積を提供することができるので、圧縮媒体は、溢流開口12の領域の絞りによって許容できないほど加熱されることはない。
【0031】
さらに、アクチュエータ17が、少なくとも5Hzの、好ましくは少なくとも10Hzの、特に好ましくは少なくとも20Hzのスイッチング周波数を有していると有利である。これにより、リフトグリッパ15を極めて迅速に操作することができ、これにより、5°未満のクランク角、好ましくは3°未満のクランク角の接続弁13の閉鎖時間を実現することができる。図示した例では、吸込弁6および圧力弁8は、圧縮室5内のシリンダ2の周面に配置されており、接続弁13は、圧縮室5内で、ピストン3のピストンヘッド3aに対向している、シリンダ2の端面に配置されている。これにより、比較的大きな面積を接続弁13のために利用することができるので、このような配置は有利である。しかしながら基本的には、もちろん、別の配置も考えられる。図示した例では、組付け状態で圧縮室5に面している、第1のケーシング部分18aの円筒状のケーシング区分26の自由端部には、少なくとも圧力弁8および吸込弁6の領域で斜め面取部26aが設けられている。製造を簡略にするために、斜め面取部26aは、好ましくは、ケーシング区分26の全周にわたって延在する斜面の形態で形成されている。これにより、ピストンコンプレッサ1に弁構成群VGを組み付けた状態で、吸込弁6および圧力弁8の領域に、実質的に三角形の横断面のリングギャップが形成される。これにより、ピストン3の上死点においても、圧縮媒体は弁6,8を介して溢流することができる。
【0032】
可能な限り大きな利用可能な溢流横断面を得るために、接続弁13は、例えば
図1bに示したように、少なくとも所定の区分でリング状の、好ましくは複数の同心的に配置された溢流開口12を有している。この場合、各溢流開口12には、接続弁13の閉鎖状態で各溢流開口12をシールする対応するシールエレメント21が配属されている。リフトグリッパ15は、リフトグリッパフィンガ15aによって、少なくとも部分的にリング状の溢流開口12を貫通してシールエレメント21に作用している。もちろん、公知のように、複数のリング状のシールエレメント21が半径方向のウェブを介して接続されて、
図1bに示したように、1つの共通のシールプレートをなしていてもよい。このようなリング弁は、例えば、欧州特許第2876303号明細書によって、吸込弁における従来技術によって基本的には公知であるので、ここでは基本的な構造のみについて言及する。
【0033】
図1aに例として示したように、接続弁13は弁支持体22を有しており、この弁支持体は、弁ケーシング18内のこのために設けられた開口内に配置されており、例えばねじのような適切な固定手段27によって弁ケーシング18に取り付けられていてよい。これにより、弁支持体22は、
図1aに図示した例では、ピストンコンプレッサ1の組込み状態で圧縮室5に面している弁ケーシング18の一部を形成している。弁支持体22とケーシング18との間には、もちろん、(図示されていない)適切なシール部材を配置することもできる。この場合、弁支持体22には、弁座プレート23が配置されている凹部が設けられている。弁座プレート23も、例えばねじのような適切な固定手段28によって弁支持体22に取り付けられていてよい。弁座プレート23には、1つの(
図1a)、または好適には複数の(
図1b)、好適には同心的にリング状の溢流開口12が配置されている。弁座プレート23と弁支持体22との間にも、(図示されていない)適切なシール部材が設けられていてよい。
【0034】
接続弁13は、好ましくはいわゆる弁キャッチャ24を有しており、弁キャッチャは例えば、
図1aの例では、ピストンコンプレッサ1での組付け状態で圧縮室5に面している弁座プレート23の、弁ケーシング18の外面に面した側に、適切な形式で取り付けられいてよい。弁キャッチャ24は、例えば、実質的に円形のプレートとして形成されていてよい。例えば、弁キャッチャ24は、例えばねじ山付きロッドの形態の中央の取付けエレメント25を介して、弁座プレート23に取り付けられていてよい。1つのまたは複数のシールエレメント21は、弁座プレート23と弁キャッチャとの間で、軸方向可動に配置されている。1つまたは複数のシールエレメント21は、好適には、十分に高い強度と、可能な限り良好なシール作用とを有した材料から、例えば適切なプラスチックから製造されている。オプションとして、1つまたは複数のシールエレメント21に、弁座プレート23の方向で閉鎖位置へと予荷重をかけるために、予荷重装置が設けられていてもよい。予荷重装置として、例えば、周方向に分配された(図示されていない)複数のばねエレメント、例えばコイルばねが、1つまたは複数のシールエレメント21と弁キャッチャ24との間に設けられていてよい。
【0035】
接続弁13の閉鎖状態では、1つまたは複数のシールエレメント21は弁座プレート23に当接しており、弁座プレート23の溢流開口12を閉鎖している。ピストン3の膨張行程の間、接続室11内の圧力が、圧縮室内の圧力を、および場合によっては予荷重装置の存在し得る予荷重力を超過すると、1つまたは複数のシールエレメント21は自動的に弁キャッチャ24の方向に移動する。接続弁13の最大の開放状態では、1つまたは複数のシールエレメント21は、弁キャッチャ24にも当接していてよい。したがって、弁行程は、弁キャッチャ24によって制限することができる。弁キャッチャ24には、有利には、開放された接続弁13の絞り作用をできるだけ小さく維持するために、適切な開口24aも設けられている。
【0036】
リフトグリッパ15は、この場合、接続室11の内側に配置されており、リフトグリッパ15のリフトグリッパフィンガ15aは、1つまたは複数のシールエレメント21に作用するために、溢流開口12を貫通して突出している。リフトグリッパ15は、伝達ロッド20によってアクチュエータ17に接続されている。アクチュエータ17は、リフトグリッパ15を操作するために、接続弁制御ユニット14によって駆動制御されることができる。リフトグリッパ15の作業行程は、この場合、固定的に規定されていてよいが、例えば、弁構成群VG内に設けることができる適切な調節装置によって調節可能であってもよい。例えば、伝達ロッド20の長さが変更可能であるように、または伝達ロッド20およびリフトグリッパ15を含むアクチュエータ17の1つの共通の位置が調節可能であるように、調節装置を構成することができる。
【0037】
図1bでは、弁構成群VGが、
図1aとは構造的に異なるように構成されており、以下では主な相違点のみについて言及する。基本的な機能は不変に維持されている。
図1bにおける接続弁13は弁座プレート23を有しており、この弁座プレートには、3つのリング状の同心的な溢流開口12が設けられている。相応に、接続弁13は、これら溢流開口と協働する3つのリング状のシールエレメント21を有している。この場合、シールエレメント21は、互いに接続されて1つの共通のシールプレートを形成している。しかしながらもちろん、互いに独立的に可動の個々のリング状のシールエレメント21も可能である。したがって、リフトグリッパ15は、各溢流開口12につき少なくとも1つのリフトグリッパフィンガ15aを有している。
図1aの例とは異なり、
図1bの接続弁13は、弁ケーシングに、固定手段27、例えばねじによって取り付けられる別個の弁支持体22を有していない。
【0038】
図1bではこれに対し、弁キャッチャ24が、組付け状態で圧縮室5に面している弁ケーシング18の一部を形成するように、構成されている。図示した例では、弁キャッチャ24の外周面に第1の段部が設けられており、弁ケーシング18の、圧縮室5に面した開口の内周面に、第1の段部に対応する第2の段部が設けられている。弁キャッチャ24の第1の段部は、組付け状態で、弁ケーシング18の第2の段部に当接している。これにより、弁キャッチャ24は、弁ケーシング18にセンタリングされて、弁ケーシング18における開口を、接続室11の側から、すなわち内側から閉鎖する。弁キャッチャ24の、接続室11に面した側には、弁座プレート23が当接する接触面が設けられている。例えば、弁キャッチャ24も、例えばねじ山付きロッドの形態の中央の取付けエレメント25によって、弁座プレート23に接続することができる。
【0039】
図1aとは異なり、
図1bの例では、弁ケーシング18に付加的に保持区分18cが設けられている。保持区分18cは、第2のケーシング部分18bの、接続室11に面した側に、この場合、ケーシングカバーに配置されている。弁構成群VGの組付け状態で、保持区分18cは接続室11内に突入し、弁座プレート23に接触している。弁座プレート23の、接続室11に面した側には、このために、
図1bに示したように例えば保持段部を設けることができ、この保持段部は同時にセンタリングのために用いることができる。保持区分18cは、例えば、周囲に分配され、周方向で互いに離隔して配置された保持フィンガを有していてよい。しかしながら、保持区分18cは、好適には、少なくとも所定の区分で円筒状の保持スリーブの形態で形成されていてもよく、これにより周方向で可能な限り均一な保持力を弁座プレート23に加えることができる。保持区分18cは、組付け状態で弁座プレート23を押し、これにより、弁キャッチャ24を含む弁座プレート23を、接続弁13の操作方向で弁ケーシング18内に固定する。保持区分18cが、閉じられた保持スリーブとして形成されている場合、保持スリーブの内側で接続室11の接続室容積が設けられている。したがって、スリーブの外側のスペースは、接続室容積の部分ではなく、したがって、損失スペースを拡大させることにはならない。しかしながら、場合によっては、接続室容積を拡大するために、保持スリーブの周囲に適切な接続開口を設けることもできる。
【0040】
図1bによる実施例では、これにより有利には、弁座プレート23および/または弁キャッチャ24を弁ケーシング18に固定するために、例えばねじのような保持手段はもはや必要ない。この場合、保持力は、弁ケーシング18全体を(すなわち、第1の下側ケーシング部分18aおよび第2の上側ケーシング部分18bを共に)コンプレッサケーシング10に取り付ける固定手段または特にねじ19を介して生成される。図示した例では、保持区分18cは、第2のケーシング部分18bまたはケーシングカバーの一体の部分として形成されている。しかしながらもちろん、これは単なる例として理解され、例えば、保持区分18cは、例えば適切に第2のケーシング部分18b、この場合ケーシングカバーに取り付けることができる、1つまたは複数の分離された構成要素の形態で形成されてもよい。適切な構成では、場合によっては、第2のケーシング部分18bにおける固定的な取付けも省くことができる。
【0041】
以下に、
図2について、ピストンコンプレッサ1の容量制御のための方法における弁構成群VGの適用について詳しく説明する。
図2は、ピストンコンプレッサ1のp-V線図を示しており、この場合、圧縮室5内の圧力pが縦軸に、圧縮室5内の容積Vが横軸に示されている。公知の形式で、下死点UTと上死点OTとの間のピストン3のピストン行程に依存して、ならびに吸込弁6および圧力弁8の切換点に依存して、圧力pと容積Vとが変化する。点A-B-C-D-Aの間の実線は、接続室11が非作動の場合の作業サイクル、または接続室11を有さないピストンコンプレッサ1の作業サイクルを表している。
【0042】
点Aでは、ピストン3は、圧縮行程の開始時で下死点UTに位置しており、この場合、吸込弁6および圧力弁8は閉じられている。ピストン3の運動により、圧縮室5内の圧縮媒体は、圧力弁の開放圧pDに達するまで圧縮されて、点Bで圧力弁8を開放する。圧縮された圧縮媒体は、開放された圧力弁8を通って圧縮室5を出て圧力管9へと排出される。点Cでは、ピストン3は、上死点OTに到り、圧力弁8を閉鎖する。ここでピストン3の膨張行程が始まり、ピストン3は再び逆方向で、下死点UTの方向へ動かされる。この場合、圧縮室5内の容積は再び増大し、圧力pは低下する。
【0043】
吸込弁6の開放圧pSに達すると吸込弁6は開き、ピストン3が再び下死点UTに到達し作業サイクルが終了されるまで、新鮮な圧縮媒体が、実質的に一定の圧力で吸込管7から吸込弁6を通って吸い込まれる。
図3aに示したように、点A-B-C-D-Aの間の実線によって取り囲まれた面積F0は、接続室11が非作動の場合のコンプレッサ1の、または接続室11を有さないピストンコンプレッサ1の最大仕事量に相当する。仕事量は実質的にフィード量に比例し、したがって、面積Fは一般的に、ピストンコンプレッサ1のフィード量または容量を示す指標とみなされてよい。以下で説明するように、フィード量を減じるために、圧縮室5を接続弁13の開放により接続室11に接続することによって、または接続弁13の閉鎖により再び分離することによって、今やこの面積Fに目的に応じて影響を与えることができる。
【0044】
フィード量は、接続弁13の閉鎖点SPまたは開放点OPを選択することにより、最大フィード量(面積F0)と最小フィード量(面積F3-
図3d)との間で実質的に無段階に調節することができる。最小フィード量を調節するために、接続弁13は、リフトグリッパ15によって持続的に開放状態に保持されることができる。したがって、圧縮室5は、溢流開口12を介して持続的に接続室11に接続され、これにより、損失スペースは実質的に持続的に拡大されている。
図2のp-V線図では、これは、圧縮線A-B3(点線)の勾配が、接続室11なしの作動を表す圧縮線A-B(実線)よりもはるかに平坦に延びていることによって明らかである。したがって、開放圧pDには、圧縮行程において明らかにより遅く達するので、圧力弁8は相応してより遅く、点B3で開く。これは、接続室11なしの作動を表す実線の膨張線C-Dよりも明らかに勾配が平坦である点線の膨張線C-D3にも当てはまり、これにより開放圧pSには、膨張行程でより遅く到達し、吸込弁6は相応してより遅く点D3で開く。最小フィード量での作動は
図3dに示されている。A-B3-C-D3-Aの間の点線によって取り囲まれた面積F3は、最大フィード量に相当する、
図3aに示されたA-B-C-D-Aの間の面積F0よりも明らかに小さいことがわかる。
【0045】
例として、
図3bのp-V線図における第1の作動モード、および
図3cのp-V線図における第2の作動モードについて示したように、接続弁13の相応の制御によって、今や、コンプレッサ1のフィード量を、最大フィード量(面積F0-
図3a)と最小フィード量(面積F3-
図3d)との間で無段階に調節することができる。
図3bで鎖線によって取り囲まれた第1の面積F1は、この場合、
図3cに一点鎖線によって取り囲まれた第2の面積F2よりも大きい。第1の作動モードのフィード量は、第1の面積F1に比例しており、したがって第2の面積F2に比例している、第2の作動モードのフィード量よりも大きい。次に、
図2を参照しながら、接続弁13の制御についてさらに詳しく説明する。
【0046】
接続弁13は、本発明によれば、自動的なリング弁として形成されているので、ピストン3の膨張行程の間、1つまたは複数のシールエレメント21は、純粋に、接続室11内の圧力と、これに対して相対的に低い圧縮室5内の圧力との間の圧力比に基づき、圧縮室5の方向で弁座プレート23から持ち上げられ、これにより溢流開口12は解放される。これにより、アクチュエータ17によってリフトグリッパ15を介して加えなければならなかった付加的な開放力は必要ない。第1の作動モード(
図2+
図3b)では、接続弁13は、例えば、膨張行程における第1の開放点OP1において、圧力弁8の開放圧pDと吸込弁6の開放圧pSとの間にある、圧縮室5内の第1の接続弁開放圧pOP1で、かつ第1の接続弁開放体積VOP1で開く。
【0047】
第2の作動モード(
図2+
図3c)では、接続弁13は、例えば、膨張行程における第2の開放点OP2において、圧力弁8の開放圧pDと吸込弁6の開放圧pSとの間にある、圧縮室5内の第2の接続弁開放圧pOP2でかつ第2の接続弁開放体積VOP2で開く。公知のように、ピストンコンプレッサ1における圧縮室5内の体積Vは、
図2の横軸に示したように一般に、クランクシャフトのクランク角φに依存しており、すなわちV(φ)である。したがって、接続弁13の開放点OPはクランク角φに対応させることができる。クランク角φは、上述したように、例えばクランク角センサによって検出することができ、クランク角信号φとして接続弁制御ユニット14に伝達することができる。
【0048】
図2および
図3bにより明らかであるように、鎖線の膨張曲線は、第1の作動モードにおいて、第1の開放点OP1以降は、今や拡大されたシリンダ2内の損失スペースによって、接続室11なしのまたは接続室11が非作動の作動モードにおける実線の膨張曲線の勾配よりも明らかに平坦に延びている。これにより吸込弁6の開放時点は、より遅い時点D1にシフトする。接続弁13の自動的な開放後は、接続弁13の、または1つもしくは複数のシールエレメント21の開放運動に追従するために、アクチュエータ17によってリフトグリッパ15が作動する。この運動は、例えば、20°までのクランク角の時間内で行うことができ、アクチュエータ17により加えられる力は必要ないか、または比較的僅かにしか必要ない。これにより、弁構成群VGの機械的および熱的負荷は、有利には僅かであるように維持することができる。
【0049】
吸込弁6が点Aで既に再び閉じられた後、接続弁13の1つまたは複数のシールエレメント21は、リフトグリッパ15のリフトグリッパフィンガ15aによって、後続の圧縮行程まで開放位置に保持される。このためにアクチュエータ17は、圧縮室5内の圧力と、(この圧力に対して相対的に低い)接続室11内の圧力との圧力比により、ならびにこれにより生じる、接続室11内の圧縮媒体の流れにより、1つまたは複数のシールエレメント21に加えられる閉鎖力に対抗する保持力を生成する。本発明によると、リング弁を接続弁13として使用することにより、アクチュエータ17によって加えなければならない必要な保持力は比較的僅かに維持することができ、したがってこれにより弁構成群VGに対する機械的負荷が僅かであるように維持することもできる。
【0050】
接続弁13の閉鎖のために、規定された時点で、アクチュエータ17を接続弁制御ユニット14によって駆動制御することにより、リフトグリッパ15が非作動にされ、すなわち逆方向にシールエレメント21から離れるように動かされる。これにより、保持力が減少するかまたはなくなるので、接続弁13は、第1の作動モードにおいて、第1の閉鎖点SP1で、1つまたは複数のシールエレメント21に作用する流れの力によって自動的に閉じられる。好ましくは、この場合、接続弁13は、閉鎖過程の間に作用する流れの力に基づき、1つまたは複数のシールエレメント21が変形するように、特に撓むように構成されている。これにより、一時的に、さらに流れ横断面が狭まり、これにより、閉鎖過程の間のより大きな減圧が生じる。これにより、十分高い戻し力を生成することができるので、リフトグリッパ15が非作動にされた後、最大5°の、好適には最大3°のクランク角のクランク角範囲内での閉鎖過程が可能となる。
【0051】
接続弁13が第1の閉鎖点SP1において、圧縮室5内の接続弁閉鎖圧pSP1で、かつ圧縮室5内の第1の接続弁閉鎖体積VSP1(φ)で閉鎖された後、この時点で接続室11内に生成されている圧力が封じ込められ、これは実質的に第1の接続弁閉鎖圧pSP1に相当する。したがって、第1の閉鎖点SP1の選択により、次の膨張行程における接続弁13の第1の開放点OP1を決定することもできる。
図2により明らかであるように、接続弁閉鎖圧pSP1と接続弁開放圧pOP1とは、(圧力損失を無視した場合)実質的に、同じ圧力レベルpSP1~pOP1上にある。第1の接続弁閉鎖体積VSP1(φ)をクランク角φに対応させることにより、接続弁13の第1の閉鎖点SP1をクランク角φに応じて決定することができる。したがって、接続弁制御ユニット14は、アクチュエータ17を、クランク角φに応じて、接続弁13が規定された第1の閉鎖点SP1で閉鎖されるように駆動制御することができる。
【0052】
図3cには、
図3bの第1の作動モードと比較して減少したフィード量(面積F2に比例する)を有する第2の作動モードが示されている。圧縮行程における接続弁13の第2の閉鎖点SP2は、第1の閉鎖点SP1よりも遅いことが明らかである。第2の作動モードの一点鎖線で示された圧縮線の勾配は、したがって、第2の閉鎖点SP2に到るまで、より平坦であり、その後初めて、損失スペースが僅かになることによって再び上昇する。したがって、接続弁閉鎖圧pSP2と接続弁開放圧pOP2とが、実質的に同じ圧力レベルpSP2~pOP2にあるので、より遅い第2の閉鎖点SP2によってまた、後続の膨張行程における第2の開放点OP2が規定される。
図2から明らかであるように、この第2の開放点は、第1の作動モードと比較して高い、接続室11内に封じ込められた圧力に基づき、膨張行程においては、第1の開放点OP1よりも早いところに位置している(VOP2(φ)<VOP1(φ))。したがって、一点鎖線で示された膨張曲線の勾配は、第2の開放点OP2以降既に平坦になり、これにより吸込弁6の開放圧pSには、点Dに対して相対的に、かつ点D1に対して相対的に、遅い時点D2で到達する。
【0053】
既に説明したように、接続弁制御ユニット14は、例えばコンプレッサ制御ユニット16(
図1)によってピストンコンプレッサ1の負荷信号Lを受け取る場合、有利である。これにより、接続弁制御ユニット14は、ピストンコンプレッサ1の負荷に応じて接続弁13の所望の作動モードを調節することができる。リフトグリッパ15と適切なアクチュエータ17とを備えた接続弁13の本発明による構成により、接続弁13の作動モードを、コンプレッサ1の負荷に応じて極めて短い時間内で変更することができる。例えば、閉鎖点SPを、例えば
図2に示したように、第1の閉鎖点SP1から第2の閉鎖点SP2へと、1回の圧縮サイクル(ピストンコンプレッサでは、クランクシャフトの一回転に相当する)内で変更することができる。
【外国語明細書】