(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174026
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】医療用線形加速器のための放射線ビーム位置合わせ
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20221115BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61B6/00 370
A61N5/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077442
(22)【出願日】2022-05-10
(31)【優先権主張番号】63/186,498
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521023263
【氏名又は名称】アクティナ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】AKTINA CORP.
【住所又は居所原語表記】360 North Route 9W, Congers, New York 10920, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・ジー.・ザチャロパウロス
【テーマコード(参考)】
4C082
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AA01
4C082AC02
4C082AE03
4C082AG12
4C082AG52
4C082AJ06
4C082AP01
4C093AA01
4C093AA25
4C093CA35
4C093EA12
4C093FA17
4C093FA54
4C093FF22
4C093FF37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】LINACのための放射線ビーム位置合わせ方法を提供する。
【解決手段】セットの各ビーム位置合わせパラメータ値について、ビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINUCのビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するためにガントリを使用することと、放射線不透過マーカの付近を通過した後の放射線ビームの放射線場を示す放射線透過画像を取得するために撮像デバイスを使用することと、放射線透過画像に基づいて、放射線ビームのビーム軸のロケーションとマーカの影の中心とを決定することと、ビーム軸のロケーションと放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定することと、ビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することとを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、
前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された線形加速器(LINAC)のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するために前記LINACのガントリを使用することと、
放射線不透過マーカを通過した後の前記放射線ビームの放射線場を示す放射線透過画像を取得するために前記LINACの撮像デバイスを使用することと、
前記放射線透過画像に基づいて、前記放射線ビームのビーム軸のロケーションと前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心とを決定することと、
前記放射線ビームのビーム軸のロケーションと前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定することと、
前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値と、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することと
を備える、方法。
【請求項2】
前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータは、前記LINACの曲げ磁石に印加される電流の量である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記最適なビーム位置合わせパラメータ値は、前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記ビーム位置合わせパラメータを用いて前記LINACによって生成された放射線ビームのビーム軸のロケーションと、前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記ビーム位置合わせパラメータを用いて前記LINACによって生成された前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離が0となるように決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することは、
前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値と、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離とに基づいて、前記目標からビーム軸までの距離の前記ビーム位置合わせパラメータへの依存をモデル化する関数を決定することと、
目標からビーム軸までの距離が0となるビーム位置合わせパラメータ値を決定するために前記関数を使用することと
を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記関数は、一次多項式関数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記関数を決定することは、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離に対して線形最小二乗適合を実行することを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定することと、
前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するために前記LINACを使用することと
を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線ビームの前記ビーム軸の前記ロケーションを決定することは、前記放射線透過画像に基づいて、前記放射線ビームの前記放射線場の中心を決定することを備え、前記放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、前記放射線ビームの放射線場の決定された前記中心である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、
前記放射線透過画像に基づいて、前記放射線ビームの放射線場の第1の中心を決定することと、
前記LINACのコリメータを180度だけ回転させることと、
180度だけ回転された前記コリメータを用いて前記放射線ビームの放射線場を示す第2の放射線透過画像を取得するために前記LINACの前記撮像デバイスを使用することと、
前記第2の放射線透過画像に基づいて、前記放射線ビームの放射線場の第2の中心を決定することと、
前記第1及び第2の中心を平均化することと、を備え、
前記放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、前記第1及び第2の中心の平均である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線不透過マーカは、1つ以上のガントリ角度で前記LINACの前記ガントリのコリメータの回転軸において前記放射線ビームの前記放射線場中に位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、
前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された線形加速器(LINAC)のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するために前記LINACのガントリを使用することと、
放射線不透過マーカを通過した後の前記放射線ビームの放射線場を示す放射線透過画像を取得するために前記LINACの撮像デバイスを使用することと、
前記放射線透過画像に基づいて、前記放射線ビームのビーム軸のロケーションと前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心とを決定することと、
前記放射線ビームのビーム軸のロケーションと前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定することと、
前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値と、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することと
を行うように構成されている、装置。
【請求項13】
前記装置は、前記LINACに、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定させるように更に構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ガントリは、曲げ磁石を備え、前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータは、前記曲げ磁石に印加される電流の量である、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記最適なビーム位置合わせパラメータ値は、前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記ビーム位置合わせパラメータを用いて前記LINACによって生成された放射線ビームのビーム軸のロケーションと、前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記ビーム位置合わせパラメータを用いて前記LINACによって生成された前記放射線ビームの放射線場中の前記放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離が0となるように決定される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は、前記最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定する際に、
前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値と、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離とに基づいて、前記目標からビーム軸までの距離の前記ビーム位置合わせパラメータへの依存をモデル化する関数を決定することと、
目標からビーム軸までの距離が0となるビーム位置合わせパラメータ値を決定するために前記関数を使用することと
を行うように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、前記関数を決定する際に、前記ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの前記ビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACを用いて決定された前記目標からビーム軸までの距離に対して線形最小二乗適合を実行するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、
前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定することと、
前記最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定された前記LINACの前記ビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するために前記LINACを使用することと
を行うように更に構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記ガントリは、コリメータ及び曲げ磁石を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記放射線不透過マーカは、1つ以上のガントリ角度で前記LINACの前記ガントリのコリメータの回転軸において前記放射線ビームの放射線場中に位置付けられる、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2021年5月10日に出願された米国仮特許出願第63/186,498号の優先権の利益を主張し、それは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[0002]技術分野
【0003】
[0003]本発明は、一般に、医療用線形加速器(LINAC)が患者内の正確な一点に放射線ビームを送達する放射線療法に関する。特に、本発明は、医療用LINACのために放射線ビームを位置合わせすることに関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]背景技術
【0005】
[0005]1.1 LINACの概観
【0006】
[0006]放射線療法は、強力な高エネルギーの放射線ビームを使用して癌細胞を殺す癌治療の一種である。
図1及び2は、ガントリ102及びカウチ106を含む医療用線形加速器(LINAC)100を例示する。
図1及び2に示すように、ガントリ102は、コリメータ104を含む。
図2に示すように、コリメータ104は、LINAC100によって生成される放射線ビーム210の場を画定する。治療中、LINAC100のガントリ102は、カウチ106上に支持された患者(図示せず)内の正確なロケーションに放射線ビームを送達する。放射線は、コリメータ104から出て、治療カウチ106上に位置付けられた患者に侵入する。
【0007】
[0007]1.2 放射線ビーム
【0008】
[0008]
図2は、LINAC100のガントリ102と、LINAC100によって放出された放射線ビーム210とを例示する断面図である。放射線ビームはまず、ガントリ102のアーム中の導波路202を上がって移動し、次いで、270°の曲げ磁石204を通って移動し、最後に、患者に向かってコリメータ104を出る。参照番号206は、放射線ビーム210が曲げ磁石204を通って移動するときの放射線ビーム210を識別する。曲げ磁石204を通って移動する前の放射線ビーム210に対する、放射線ビーム210がコリメータ104を出る角度は、ビーム曲げ角度208である。ビーム曲げ角度208は、曲げ磁石204に印加される電流の量を変えることによって修正することができる。
【0009】
[0009]
図2に示すように、放射線ビーム210は、中心ビーム軸212、上側ビームエッジ214、及び下側ビームエッジ216を含み得る。いくつかの態様では、
図2に示すように、放射線ビーム210は、導波路202内の電子を加速させ、出口ウィンドウを通って下向きに電子を曲げることによって、LINAC100中に作成され得る。
【0010】
[0010]1.3 ビーム位置合わせ
【0011】
[0011]
図3は、放射線ビーム210が目標に位置合わせされるかどうかを決定するために使用されるセットアップを例示し、目標は、放射線不透過マーカ320であり得る。
図3では、LINAC100は、放射線不透過マーカ320を通って放射線ビーム210を送達している。LINAC100の撮像デバイス318は、放射線ビーム210がマーカ320を通過するときに放射線ビーム210の2次元透過画像を取得する。
【0012】
[0012]放射線不透過マーカ320を含むマーカアセンブリ400の詳細図を、
図4に示す。
図4では、高密度の球形マーカ320が、低密度の支持ロッド422に接続され、それは次いで、基部423に接続される。基部423は、マーカ320を位置付けることができるように、カウチ106の頂部上にセットされる。
【0013】
[0013]放射線ビーム210は、目標320が放射線ビーム210の放射線場内に中心付けられるときに目標320に位置合わせされていると見なすことができる。この例は、
図5に示す。
図5では、放射線は、ガントリ102のソース524から発せられ、コリメータ104を通って移動し、コリメータ104は、左側及び右側高密度ビーム減衰器104a及び104bから成る。コリメータ104の中心における開口部は、患者に到達することになる放射線場を画定する。コリメータ104によって作成された放射線場エッジ214及び216は、
図5に破線で示す。放射線場エッジ214及び216は、それぞれロケーション526及び528において撮像パネル318上に投影される。放射線場エッジ214及び216のロケーション526及び528は、撮像処理技法によって決定することができる。目標320の位置はまた、(ロケーション530において)撮像面上に投影されることになり、場の中心に対する投影された目標位置530の距離を計算することができる。この例では、放射線ビーム210は、目標320から左側及び右側の場のエッジ214及び216までの横方向距離が等しい場合に(即ちd1=d2)、位置合わせされていると見なされる。
【0014】
[0014]
図6は、マーカ320を通った典型的な画像600(例えばEPID画像)を示す。
図6では、暗い正方形領域602が、撮像デバイス318を被曝させる放射線ビーム210の正方形放射線場によって作成され、より明るい内側の円形形状604が、放射線場内に位置する放射線不透過マーカ320の影によって作成される。画像は、各画像(決定された場及びマーカのロケーション702及び704を有する画像700の例は
図7に示す)中の場の中心及びマーカ320の中心を見出すために画像処理技法を使用して分析される。
【0015】
[0015]1.4 目標ロケーションの選択
【0016】
[0016]
図8に示すように、ガントリ102は、放射線ビーム210の患者への侵入を最適化するために、患者の周りを全360°回転することが可能であり得る。
図8に示すように、ガントリ102は、ガントリ回転軸808を中心として回転し得る。
図9に示すように、ガントリ102の角度のうちのいずれにも、コリメータ104は、コリメータ回転軸910を中心として回転し得る。コリメータ104は、全360°回転することが可能であり得る。
【0017】
[0017]上記で説明したように、位置合わせされたビーム210は、目標320を中心として中心付けられたビームである。目標ロケーションの選択は、ビーム位置合わせの目的に依存する。2つのタイプのビームは、コリメータ軸位置合わせ及びアイソセンタ位置合わせである。
【0018】
[0018]コリメータ軸位置合わせは、ガントリ102が回転するときに放射線ビーム210がコリメータ回転軸910と位置合わせされたままであることを保証する。この場合、目標320は、任意のガントリ角度でコリメータ回転軸910上に位置付けられる。ビーム曲げ磁石電流は、ビーム210がこの目標320に位置合わせされることを保証するように調整される。
【0019】
[0019]アイソセンタビーム位置合わせは、ビーム210が空間中の固定点に留まっている目標320(通常はLINACアイソセンタ)に位置合わせされることを保証する。ガントリ102は、典型的には、回転するときに機械的誤差を経験し、それは、放射線場のぼやけをもたらす。位置合わせを空間中の固定点上に維持するためにビーム曲げ磁石電流を慎重に調整することによって、どんなガントリ回転誤差を被ったとしても、ガントリ回転に起因する機械的誤差は、最小限に抑えることができるか、又は排除することができる。
【発明の概要】
【0020】
[0020]本発明の一態様は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、(i)ビーム位置合わせパラメータ値に設定された線形加速器(LINAC)のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するためにLINACのガントリを使用することと、(ii)放射線不透過マーカの付近を通過した後の放射線ビームの放射線場を示す放射線透過画像を取得するためにLINACの撮像デバイスを使用することと、(iii)放射線透過画像に基づいて、放射線ビームのビーム軸のロケーションと放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心とを決定することと、(iv)放射線ビームのビーム軸のロケーションと放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定することとを含む方法を提供し得る。方法は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することを含み得る。
【0021】
[0021]いくつかの態様では、方法は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、LINACのビーム位置合わせパラメータをビーム位置合わせパラメータ値に設定することを更に含み得る。いくつかの態様では、LINACのビーム位置合わせパラメータは、LINACの曲げ磁石に印加される電流の量であり得る。いくつかの態様では、最適なビーム位置合わせパラメータ値は、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINACによって生成された放射線ビームのビーム軸のロケーションと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINACによって生成された放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離が0となるように決定され得る。
【0022】
[0022]いくつかの態様では、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することは、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、目標からビーム軸までの距離のビーム位置合わせパラメータへの依存をモデル化する関数を決定することを含み得る。いくつかの態様では、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することは、目標からビーム軸までの距離が0となるビーム位置合わせパラメータ値を決定するために関数を使用することを含み得る。いくつかの態様では、関数は、一次多項式関数であり得る。いくつかの態様では、関数を決定することは、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離に対して線形最小二乗適合を実行することを含み得る。
【0023】
[0023]いくつかの態様では、方法は、LINACのビーム位置合わせパラメータを最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定することと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACのビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するためにLINACを使用することとを更に含み得る。
【0024】
[0024]いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の中心を決定することを含み得、放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、放射線ビームの放射線場の決定された中心であり得る。
【0025】
[0025]いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の第1の中心を決定することを含み得る。いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、LINACのコリメータを180度だけ回転させることを含み得る。いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、180度だけ回転されたコリメータを用いて放射線ビームの放射線場を示す第2の放射線透過画像を取得するためにLINACの撮像デバイスを使用することを含み得る。いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、第2の放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の第2の中心を決定することを含み得る。いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定することは、第1及び第2の中心を平均化することを含み得、放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、第1及び第2の中心の平均であり得る。
【0026】
[0026]いくつかの態様では、放射線不透過マーカは、1つ以上のガントリ角度でLINACのガントリのコリメータの回転軸において放射線ビームの放射線場中に位置付けられ得る。いくつかの代替の態様では、放射線不透過マーカは、LINACのアイソセンタにおいて放射線ビームの放射線場中に位置付けられ得る。
【0027】
[0027]本発明の別の態様は、装置を提供し得る。装置は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、(i)ビーム位置合わせパラメータ値に設定された線形加速器(LINAC)のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するためにLINACのガントリを使用することと、(ii)放射線不透過マーカの付近を通過した後の放射線ビームの放射線場を示す放射線透過画像を取得するためにLINACの撮像デバイスを使用することと、(iii)放射線透過画像に基づいて、放射線ビームのビーム軸のロケーションと放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心とを決定することと、(iv)放射線ビームのビーム軸のロケーションと放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定することとを行うように構成され得る。装置は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定するように構成され得る。
【0028】
[0028]いくつかの態様では、装置は、LINACに、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、LINACのビーム位置合わせパラメータをビーム位置合わせパラメータ値に設定させるように更に構成され得る。いくつかの態様では、ガントリは、曲げ磁石を含み得、LINACのビーム位置合わせパラメータは、曲げ磁石に印加される電流の量であり得る。いくつかの態様では、最適なビーム位置合わせパラメータ値は、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINACによって生成された放射線ビームのビーム軸のロケーションと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINACによって生成された放射線ビームの放射線場中の放射線不透過マーカの影の中心との間の目標からビーム軸までの距離が0となるように決定され得る。
【0029】
[0029]いくつかの態様では、装置は、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定する際に、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、目標からビーム軸までの距離のビーム位置合わせパラメータへの依存をモデル化する関数を決定するように構成され得る。いくつかの態様では、装置は、最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定する際に、目標からビーム軸までの距離が0となるビーム位置合わせパラメータ値を決定するために関数を使用するように構成され得る。いくつかの態様では、関数は、一次多項式関数であり得る。いくつかの態様では、装置は、関数を決定する際に、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACを用いて決定された目標からビーム軸までの距離に対して線形最小二乗適合を実行するように構成され得る。
【0030】
[0030]いくつかの態様では、装置は、LINACのビーム位置合わせパラメータを最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定することと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINACのビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビームを生成するためにLINACを使用することとを行うように更に構成される。いくつかの態様では、ガントリは、コリメータ及び曲げ磁石を含み得る。
【0031】
[0031]いくつかの態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定する際に、装置は、放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の中心を決定するように構成され得、放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、放射線ビームの放射線場の決定された中心であり得る。
【0032】
[0032]いくつかの代替の態様では、放射線ビームのビーム軸のロケーションを決定する際に、装置は、(i)放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の第1の中心を決定することと、(ii)LINACのコリメータを180度だけ回転させることと、(iii)180度だけ回転されたコリメータを用いて放射線ビームの放射線場を示す第2の放射線透過画像を取得するためにLINACの撮像デバイスを使用することと、(iv)第2の放射線透過画像に基づいて、放射線ビームの放射線場の第2の中心を決定することと、(v)第1及び第2の中心を平均化することとを行うように構成され得、放射線ビームのビーム軸の決定されたロケーションは、第1及び第2の中心の平均であり得る。
【0033】
[0033]本発明のまた別の態様は、上記に記載した方法のうちの任意のものを実行するように装置を適合させるための命令を含むコンピュータプログラムを提供し得る。本発明の更に別の態様は、コンピュータプログラムを包含するキャリアを提供し得、キャリアは、電気信号、光信号、無線信号、又はコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つであり得る。
【0034】
[0034]本発明のまた別の態様は、処理回路及びメモリを含む装置を提供し得る。メモリは、処理回路によって実行可能な命令を包含し得、それによって、装置は、上記に記載した方法のうちの任意のものを実行するように動作可能である。
【0035】
[0035]本発明の更に別の態様は、上記に記載した方法のうちの任意のものに適合された装置を提供し得る。
【0036】
[0036]本発明のまた別の態様は、上記に記載した態様の任意の組み合わせを提供し得る。
【0037】
[0037]本システム及び方法内に包含される更なる変形形態は、以下の本発明の発明を実施するための形態に説明する。
【0038】
[0038]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明の様々な非限定的な実施形態を例示する。図面では、同様の参照番号は、同一の又は機能的に類似した要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】[0039]医療用線形加速器(LINAC)を例示する。
【
図2】[0040]いくつかの態様による、LINACのガントリと、LINACによって放出された放射線ビームとの断面図である。
【
図3】[0041]LINACの撮像パネル及び放射線ビームを例示する。
【
図5】[0043]目標が放射線場(d
1~d
2)内に中心付けられるときに目標に位置合わせされる放射線ビームを例示する。
【
図6】[0044]未処理の放射線透過画像を例示する。
【
図7】[0045]処理済みの放射線透過画像を例示する。
【
図8】[0046]LINACのガントリの回転を例示する。
【
図9】[0047]LINACのコリメータの回転を例示する。
【
図10A】[0048]いくつかの態様による、ビームを目標に位置合わせすることを目的とした放射線ビームの位置合わせに対する増分調整(incremental adjustments)の例を例示する。
【
図10B】いくつかの態様による、ビームを目標に位置合わせすることを目的とした放射線ビームの位置合わせに対する増分調整の例を例示する。
【
図10C】いくつかの態様による、ビームを目標に位置合わせすることを目的とした放射線ビームの位置合わせに対する増分調整の例を例示する。
【
図10D】いくつかの態様による、ビームを目標に位置合わせすることを目的とした放射線ビームの位置合わせに対する増分調整の例を例示する。
【
図11】[0049]いくつかの態様による、d
X=0をもたらすことになる最適なビーム曲げパラメータ値bp
0の決定を例示する。
【
図12】[0050]いくつかの態様によるプロセスを例示する。
【
図13】[0051]いくつかの態様によるLINACのコントローラを例示する。
【
図14】[0052]いくつかの態様による装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0053]2.1 定義
【0041】
[0054]本願では、「ビーム軸」という用語は、放射線ビームの中心を表す3次元ベクトルであり得る。
【0042】
[0055]本願では、「コリメータ」という用語は、作成された任意の場の形状及びサイズに調整することができる放射線不透過減衰器(例えば、左側及び右側高密度ビーム減衰器104a及び104b)を用いて場をトリミングすることによって放射線場を成形するLINACの構成要素(例えばコリメータ104)であり得る。
【0043】
[0056]本願では、「カウチ」という用語は、患者を支持するLINAC(例えばLINAC100)の構成要素(例えばカウチ106)であり得る。
【0044】
[0057]本願では、「ガントリ」という用語は、放射線ビームを送達している間に患者の周りを回転するLINAC(例えばLINAC100)の構成要素(例えばガントリ102)であり得る。
【0045】
[0058]本願では、「撮像パネル」(例えば電子ポータル撮像デバイス(EPID))という用語は、(例えば治療セッション中に)放射口から患者を通って透過されるX線強度を測定するLINAC(例えばLINAC100)の構成要素(例えば撮像デバイス318)であり得る。撮像パネルは、例えば、患者の解剖学的構造に対する正しいビーム配置を確認するために、放射線信号を2次元(2D)デジタルX線画像に電子的に変換し得る。
【0046】
[0059]本願では、「アイソセンタ」という用語は、全てのガントリ角度についての放射線ビーム軸外し距離を最小化する空間中のロケーションであり得る。
【0047】
[0060]本願では、「目標」という用語は、LINAC上に作成されたX線透過画像上に視覚化することができる球形放射線不透過マーカであり得る。
【0048】
[0061]2.2 ビーム位置合わせ
【0049】
[0062]本発明の態様は、値の範囲を通してLINACビーム位置合わせをスイープすることと、測定された目標から場の中心までの距離対ビーム位置合わせパラメータを数学的に適合させることによって最適な値を見出すこととに関し得る。
図10A~10Dは、放射線ビーム210を目標320に位置合わせすることを目的とした放射線ビーム210の位置合わせに対する増分調整の例を例示する。いくつかの態様では、目標320は、任意のガントリ角度でガントリ102のコリメータ104の回転軸910上に位置付けられ得る。いくつかの代替の態様では、目標320は、LINACアイソセンタに位置付けられ得る。しかしながら、コリメータ回転軸910上に、又はLINACアイソセンタに目標320を位置付けることは必要とされず、いくつかの更なる代替の態様では、目標320は、異なるロケーションに位置付けられ得る(例えば、コリメータ軸位置合わせ又はアイソセンタ位置合わせとは異なるビーム位置合わせの目的の場合)。
【0050】
[0063]
図10A~10Dは、撮像パネル318上を
図10Aの左から
図10Dの右に移動する投影された放射線場をもたらす4つの異なる増加するビーム位置合わせパラメータを表す。
図10A~10Dでは、×の記号は、放射線ビーム210の放射線場の測定された中心を表し、d
Xは、投影された放射線場の中心から投影された目標の中心(例えば、放射線不透過マーカ320の影の中心)までの距離を表し、ここで、Xは、副図の文字(例えば、A、B、C、又はD)である。
【0051】
[0064]2.3 最適な曲げパラメータ
【0052】
[0065]いくつかの態様では、最適な曲げ磁石電流は、目標320が撮像パネル318上の投影された場の中心にあるように見えることをもたらし得る。いくつかの態様では、
図11に示すように、最適な値を決定するために、目標から場の中心までの距離(それぞれ
図10A~10Dのd
Aからd
D)対各取得のために使用されるビーム位置合わせパラメータの線形最小二乗適合が実行され得る。
図11では、bp
Aは、
図10Aに使用されたビーム位置合わせパラメータを表し、それは、d
Aの目標から場の中心までの距離をもたらした。同様に、bp
B、bp
C、及びbp
Dは、
図10B~10Dにそれぞれ使用されたビーム位置合わせパラメータであり、それらは、d
B、d
C、d
Dの目標から場の中心までの距離をそれぞれもたらした。
【0053】
[0066]いくつかの態様では、線形最小二乗適合1132が計算され得、dX=0をもたらす値bp01134は、適合パラメータから計算され得る。
【0054】
[0067]2.4 実装例
【0055】
[0068]いくつかの態様では、プロセスは、一方向へのLINAC100の放射線ビーム位置合わせのために実行され得る。いくつかの態様では、プロセスは、放射線ビーム210の放射線場内に目標320を位置付けるステップ(1)を含み得る。いくつかの態様では、目標320は、コリメータ回転中心上に又は別のロケーション(例えばアイソセンタ)に位置付けられ得る。いくつかの態様では、プロセスは、ビーム位置合わせパラメータを初期値(例えばbp
A)に設定するステップ(2)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、透過画像を取得するステップ(3)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、ビーム位置合わせパラメータを(例えばbp
B)に変えるステップ(4)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、別の透過画像を取得するステップ(5)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、ビーム位置合わせパラメータの全範囲にわたってステップ(4)及び(5)を繰り返すステップ(6)を含み得る。簡略化のために4つの異なるビーム位置合わせパラメータを
図10A~10Dに示しているが、ビーム位置合わせパラメータの全範囲は、4つの値に限定されず、いくつかの代替の態様では、ビーム位置合わせパラメータの全範囲は、より多くの(例えば数百又は数千)の値を有し得る。
【0056】
[0069]いくつかの態様では、プロセスは、取得された各透過画像についてdX(目標位置と放射線場の中心との間の距離)を決定するために画像に後処理するステップ(7)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、dX値対ビーム位置合わせパラメータに対して最小二乗適合を実行するステップ(8)を含み得る。いくつかの態様では、プロセスは、dX=0をもたらすビーム位置合わせパラメータbp0を決定するためにステップ(8)からの適合パラメータを使用するステップ(9)を含み得る。
【0057】
[0070]いくつかの態様では、ステップ(2)から(9)は、ビームを位置合わせすることができる各方向に対して繰り返され得る。
【0058】
[0071]2.5 フローチャート
【0059】
[0072]
図12は、いくつかの態様によるプロセス1200を例示する。いくつかの態様では、プロセス1200のステップのうちの1つ以上は、LINAC100(例えば、
図13に示すLINAC100のコントローラ1300)によって実行され得る。いくつかの態様では、プロセス1200のステップのうちの1つ以上は、加えて又は代替として、装置(例えば、
図14の装置1400)によって実行され得る。
【0060】
[0073]いくつかの態様では、プロセス1200は、(例えば、放射線ビーム210の放射線場中に)放射線不透過マーカ320を位置付けるステップ1202を含み得る。いくつかの態様では、放射線不透過マーカ320は、カウチ106の頂部上に放射線不透過マーカ320を含むマーカアセンブリ400の基部423を配置することによって位置付けられ得る。いくつかの態様では、目標320は、ガントリ102の任意の角度でLINAC100のガントリ102のコリメータ104の回転軸910上において放射線ビーム210の放射線場中に位置付けられ得る。いくつかの代替の態様では、目標320は、LINAC100のアイソセンタにおいて放射線ビーム210の放射線場中に位置付けられ得る。
【0061】
[0074]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、LINAC100のビーム位置合わせパラメータをビーム位置合わせパラメータ値に設定するステップ1204を含み得る。いくつかの態様では、LINAC100のビーム位置合わせパラメータは、例えば、限定するものではないが、LINAC100の曲げ磁石204に印加される電流の量であり得る。
【0062】
[0075]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、ビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINAC100のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビーム210を生成するためにLINAC100のガントリ102を使用するステップ1206を含み得る。
【0063】
[0076]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、放射線不透過マーカ320の付近を通過した後の放射線ビーム210の放射線場を示す放射線透過画像を取得するためにLINAC100の撮像デバイス318を使用するステップ1208を含み得る。
【0064】
[0077]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、放射線透過画像に基づいて、放射線ビーム210のビーム軸のロケーションと放射線ビーム210の放射線場中の放射線不透過マーカ320の影の中心とを決定するステップ1210を含み得る。
【0065】
[0078]いくつかの態様では、放射線ビーム210のビーム軸のロケーションを決定することは、放射線透過画像に基づいて、放射線ビーム210の放射線場の中心を決定することを含み得、放射線ビーム210のビーム軸の決定されたロケーションは、放射線ビーム210の放射線場の決定された中心であり得る。いくつかの代替の態様では、(i)放射線ビーム210のビーム軸のロケーションを決定することは、放射線透過画像に基づいて、放射線ビーム210の放射線場の第1の中心を決定することと、(ii)LINAC100のコリメータ104を180度だけ回転させることと、(iii)180度だけ回転されたコリメータ104を用いて放射線ビーム210の放射線場を示す第2の放射線透過画像を取得するためにLINAC100の撮像デバイス318を使用することと、(iv)第2の放射線透過画像に基づいて、放射線ビーム210の放射線場の第2の中心を決定することと、(v)第1及び第2の中心を平均化することとを含み得る。代替の態様のうちのいくつかでは、放射線ビーム210のビーム軸の決定されたロケーションは、第1及び第2の中心の平均であり得る。
【0066】
[0079]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちの各ビーム位置合わせパラメータ値について、放射線ビーム210のビーム軸のロケーションと放射線ビーム210の放射線場中の放射線不透過マーカ320の影の中心との間の目標からビーム軸までの距離を決定するステップ1212を含み得る。
【0067】
[0080]いくつかの態様では、プロセス1200は、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINAC100を用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、最適なビーム位置合わせパラメータ値(例えばbp0)を決定するステップ1214を含み得る。いくつかの態様では、最適なビーム位置合わせパラメータ値は、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINAC100によって生成された放射線ビーム210のビーム軸のロケーションと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたビーム位置合わせパラメータを用いてLINAC100によって生成された放射線ビーム210の放射線場中の放射線不透過マーカ320の影の中心との間の目標からビーム軸までの距離が0となる(例えばdX=0)ようにステップ1214において決定され得る。
【0068】
[0081]いくつかの態様では、ステップ1214において最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することは、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値と、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINAC100を用いて決定された目標からビーム軸までの距離とに基づいて、目標からビーム軸までの距離のビーム位置合わせパラメータへの依存をモデル化する関数を決定することを含み得る。いくつかの態様では、ステップ1214において最適なビーム位置合わせパラメータ値を決定することは、目標からビーム軸までの距離が0となるビーム位置合わせパラメータ値を決定するために関数を使用することを含み得る。いくつかの態様では、関数は、一次多項式関数であり得る。いくつかの態様では、関数を決定することは、ビーム位置合わせパラメータ値のセットのうちのビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINAC100を用いて決定された目標からビーム軸までの距離に対して線形最小二乗適合を実行することを含み得る。
【0069】
[0082]いくつかの態様では、プロセス1200は、LINAC100のビーム位置合わせパラメータをステップ1214において決定された最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定することと、最適なビーム位置合わせパラメータ値に設定されたLINAC100のビーム位置合わせパラメータを用いて、放射線ビーム210を生成するためにLINAC100を使用することとを行うステップ1216を含み得る。
【0070】
[0083]いくつかの態様では、プロセス1200は、放射線ビーム210を位置合わせすることができる各方向に対してステップ1204から1214(及び/又はステップ1216)を繰り返すこと更に含み得る。
【0071】
[0084]2.6 LINACコントローラ
【0072】
[0085]
図13は、いくつかの態様による、LINAC100のコントローラ1300のブロック図である。
図13に示すように、コントローラ1300は、処理回路(PC)1802であって、それは、1つ以上のプロセッサ(P)1855(例えば、1つ以上の汎用マイクロプロセッサ並びに/又は特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び同様のものなどの1つ以上の他のプロセッサ)を含み得、そのプロセッサは、単一のハウジング中若しくは単一のデータセンタ中にコロケートされ得るか、又は地理的に分散され得る(即ち、システムは、分散型計算装置であり得る)、処理回路(PC)1802と、コントローラ1800が、ネットワークインターフェース1868が接続されたネットワーク1810(例えばインターネットプロトコル(IP)ネットワーク)に接続された他のノードにデータを送信し、それからデータを受信することを可能にするための送信機(Tx)1865及び受信機(Rx)1867を備えるネットワークインターフェース1868と、1つ以上の曲げ磁石204に対してビームステアリング電流を供給するように構成されたステアリング電流生成器1848と、ガントリ回転軸808を中心としてガントリ102を回転させるように構成されたガントリ回転装置1850と、コリメータ回転軸910を中心としてコリメータ104を回転させるように構成されたコリメータ回転装置1852と、LINAC100の導波路202中に電子ビームを生成するように構成された放射線ビーム生成器1854と、ローカル記憶ユニット(別名「データ記憶システム」)1808であって、それは、1つ以上の不揮発性記憶デバイス及び/又は1つ以上の揮発性記憶デバイスを含み得る、ローカル記憶ユニットとを備え得る。PC1802がプログラマブルプロセッサを含む態様では、コンピュータプログラム製品(CPP)1841が設けられ得る。いくつかの態様では、CPP1841は、コンピュータ可読命令(CRI)1844を備えるコンピュータプログラム(CP)1843を記憶するコンピュータ可読媒体(CRM)1842を含み得る。いくつかの態様では、CRM1842は、磁気媒体(例えばハードディスク)、光学媒体、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)、及び同様のものなどの非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。いくつかの態様では、コンピュータプログラム1843のCRI1844は、PC1802によって実行されると、CRIがLINAC100に、本明細書で説明したステップ(例えば、本明細書のフローチャートを参照して本明細書で説明した1つ以上のステップ)を実行させるように構成され得る。他の態様では、コントローラ1300は、コードを必要とせずに、本明細書で説明したステップを実行するように構成され得る。即ち、例えば、PC1802は、単に1つ以上のASICから成り得る。故に、本明細書で説明した態様の特徴は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る。
【0073】
[0086]2.7 装置
【0074】
[0087]
図14は、いくつかの態様による装置1400のブロック図である。
図14に示すように、装置1400は、処理回路(PC)1902であって、それは、1つ以上のプロセッサ(P)1955(例えば、1つ以上の汎用マイクロプロセッサ並びに/又は特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び同様のものなどの1つ以上の他のプロセッサ)を含み得、そのプロセッサは、単一のハウジング中若しくは単一のデータセンタ中にコロケートされ得るか、又は地理的に分散され得る(即ち、システムは、分散型計算装置であり得る)、処理回路(PC)1902と、装置1900が、ネットワークインターフェース1968が接続されたネットワーク1910(例えばインターネットプロトコル(IP)ネットワーク)に接続された他のノードにデータを送信し、それからデータを受信することを可能にするための送信機(Tx)1965及び受信機(Rx)1967を備えるネットワークインターフェース1968と、ローカル記憶ユニット(別名「データ記憶システム」)1908であって、それは、1つ以上の不揮発性記憶デバイス及び/又は1つ以上の揮発性記憶デバイスを含み得る、ローカル記憶ユニットとを備え得る。PC1902がプログラマブルプロセッサを含む態様では、コンピュータプログラム製品(CPP)1941が設けられ得る。いくつかの態様では、CPP1941は、コンピュータ可読命令(CRI)1944を備えるコンピュータプログラム(CP)1943を記憶するコンピュータ可読媒体(CRM)1942を含み得る。いくつかの態様では、CRM1942は、磁気媒体(例えばハードディスク)、光学媒体、メモリデバイス(例えば、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)、及び同様のものなどの非一時的コンピュータ可読媒体であり得る。いくつかの態様では、コンピュータプログラム1943のCRI1944は、PC1902によって実行されると、CRIが装置1900に、本明細書で説明したステップ(例えば、本明細書のフローチャートを参照して本明細書で説明した1つ以上のステップ)を実行させるように構成され得る。他の態様では、装置1900は、コードを必要とせずに、本明細書で説明したステップを実行するように構成され得る。即ち、例えば、PC1902は、単に1つ以上のASICから成り得る。故に、本明細書で説明した態様の特徴は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにおいて実装され得る。
【0075】
[0088]様々な実施形態を本明細書で説明したが、それらは限定ではなく例としてのみ提示されてきたことが理解されるべきである。このことから、本開示の広さ及び範囲は、上記で説明した例証的な実施形態のうちのいずれによっても限定されるべきでない。その上、その全ての可能な変形形態における上記で説明した要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段に示されない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、本開示によって包含される。
【0076】
[0089]加えて、上記で説明し、図面に例示したプロセスは、一連のステップとして示しているが、これは、例示を目的としてのみ行った。それ故に、いくつかのステップが追加され得、いくつかのステップが省略され得、ステップの順序が再配列され得、いくつかのステップが並行して実行され得ることが企図される。
【外国語明細書】