(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174041
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】界面活性剤フリーシリコーンエマルジョン
(51)【国際特許分類】
C08L 83/06 20060101AFI20221115BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20221115BHJP
C09K 23/54 20220101ALI20221115BHJP
B01J 13/00 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
C08L83/06
C08L33/02
C09K23/54
B01J13/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022124801
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2020170393の分割
【原出願日】2017-04-11
(31)【優先権主張番号】62/323,088
(32)【優先日】2016-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516290357
【氏名又は名称】ヌシル テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】リッキー・シウ-ケイ・ホ
(57)【要約】
【課題】1つには、皮膚に対して悪影響を及ぼさない、安定なエマルジョンを生成する新しい方法を提供すること。
【解決手段】界面活性剤及び乳化剤を含まないシリコーンエマルジョンが開示されている。エマルジョンは、アニオン性ポリマーを含んだ連続した水性又は無水有機ジオール相に、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンを含んだ分散油相を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性ポリマーを含む水性又は有機ジオール媒体を含む連続相に、1個以上のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンを含む分散油相を含むシリコーンエマルジョンであって、前記シリコーンエマルジョンが、界面活性剤又は乳化剤を含まない、シリコーンエマルジョン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年4月15日に出願された「OIL-IN-WATER SURFACTANT FREE SILICONE EMULSION」と題される米国仮出願第62/323,088号の利益を主張するものであり、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、化粧用、皮膚用、パーソナルケア、ヘルスケア、航空宇宙、及び家庭用の用途で用いることができるシリコーンエマルジョンに関する。より詳細には、本発明は、エマルジョンを形成するための界面活性剤及び/又は乳化剤を用いずに製造することができる、シリコーンエマルジョンの安定した系に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
従来の水中油型エマルジョンは、乳化中に内部相の小液滴の分散を保つために、乳化剤又は界面活性剤を添加することによって調製されてきた。乳化剤は、互いから分離された親水性頭部及び疎水性尾部を含む、両親媒性の分子構造を有する。乳化剤は、相間の界面張力を低減し、界面膜を形成して、液滴の不可逆的な合体を防ぐ。界面張力が高すぎる場合、液滴は、媒体中で安定ではなく、界面相は、高い自由エネルギーのために壊れることになる。界面張力が低すぎる場合、液滴は容易に破裂し、合体することになる。
【0004】
乳化剤又は界面活性剤は、角質層の多重膜脂質構造の変異に起因する皮膚炎を患う使用者に対して、悪影響をもたらす場合がある。乳化剤又は界面活性剤は、皮膚バリアを介して浸透し、脂質溶媒として作用する可能性がある。皮膚上に水が存在する場合、皮膚脂質は、乳化剤又は界面活性剤と共に洗浄され、皮膚バリア防御システムを低減させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記を考慮すると、皮膚に対して悪影響を及ぼさない、安定なエマルジョンを生成する新しい方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の概要
本開示の利点は、界面活性剤又は乳化剤を用いることなく、安定したシリコーンエマルジョンである。
【0007】
これらの利点及び他の利点は、アニオン性ポリマーを含んだ水性又は有機ジオール媒体を含む連続相に、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンを含んだ分散油相を含むシリコーンエマルジョンによって、少なくとも部分的に満たされる。有利なことに、シリコーンエマルジョンは、界面活性剤又は乳化剤を含まない。
【0008】
本開示の実施形態は、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンが、ヒドロキシル末端又はヒドロキシアルキル末端のポリオルガノシロキサンであること、アニオン性ポリマーが、カルボキシル基を有するアニオン性ポリマー、例えばポリアクリル酸ポリマーであることを含む。いくつかの実施形態において、油相は、1種又は複数の、他のポリオルガノシロキサン、ケイ素原子含有油、有機系油、炭化水素系油等を更に含むことができる。油相は、他の疎水性成分を更に含むことができる。他の実施形態において、エマルジョンは、1種又は複数の、活性剤、フレグランス、香料、植物抽出物、着香剤、粉末、及び/又は防腐剤を含む他の成分を、油相又は水性相のいずれかに含むことができる。
【0009】
本開示の他の態様は、本開示のエマルジョン、例えば、化粧用としての組成物、皮膚用、パーソナルケア、ヘルスケア、家庭用の組成物を含む、様々な組成物を含む。例えば、本開示の一態様は、本開示のエマルジョンを含む局所用化粧用組成物を含む。こうした組成物は、媒体において形成された水性ゲル又はグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びメチルプロパンジオールを含んだゲルに由来する、半透明又は透明の外観を伴って、皮膚に塗布することができる。
【0010】
こうした組成物の実施形態は、任意の種類の活性成分(例えば、ビタミン、植物抽出物、タンパク質等)又は非活性剤(例えば、粉末、ミクロスフェア等)を含む。
【0011】
本開示の他の利点は、界面活性剤又は乳化剤を用いることなく、安定なシリコーンエマルジョンを調製する方法である。方法は、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンを含み、界面活性剤又は乳化剤を含まない油を、アニオン性ポリマーを含み、界面活性剤又は乳化剤を含まない水性又は有機ジオール媒体に分散させて、界面活性剤又は乳化剤を含まないシリコーンエマルジョンを形成する工程を含む。
【0012】
実施形態には、本開示のエマルジョンについて記載された特徴のうち、任意の1つ又は複数が、単独で又は組み合わせて含まれる。更に、本開示の実施形態には、水性媒体に油を分散させる工程が、水性媒体を中和剤、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ化剤で中和する工程を含むことが含まれる。
【0013】
本開示の更なる利点は、以下の詳細な説明から、当分野の技術者に容易に明らかになるであろう。本発明の好ましい実施形態のみが、本発明の実施にとって企図される最良の形態を例示することによって、単純に示され、説明されている。認識されるように、本発明では、他の実施形態及び様々な実施形態が可能であり、そのいくつかの細目は、様々な明らかな点において、全て本発明を逸脱することなく変更することができる。したがって、説明は、制限的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の詳細な説明
本開示は、連続した水性又は有機ジオール相に油相を分散させたシリコーンエマルジョンに関する。本開示の態様によれば、油相は、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンを含み、水性又は有機ジオール媒体は、アニオン性ポリマーを含む。
【0015】
有利なことに、本開示のエマルジョンは、界面活性剤又は乳化剤を用いることなく安定である。本開示のエマルジョンの安定性は、水性又は有機ジオール媒体中の、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンとアニオン性ポリマーとの間の、水素結合相互作用及び立体安定化によって実現されると考えられる。本明細書では、安定なエマルジョンは、光学顕微鏡によって測定するとき、周囲条件で、少なくとも12カ月間、ミセルの平均サイズの実質的な合体又は実質的な変化を示さないものを意味する。有利なことに、本発明のエマルジョンは、なお、周囲条件で、少なくとも12カ月間、外観の実質的な変化、又はレオロジー特性の変化を示さない。
【0016】
本明細書で用いられる表現、化合物を含まない、又は化合物フリーは、本開示のエマルジョンが、不純物として、ほんの微量、例えばせいぜい約0.001モル/L、例えば0.0001モル/Lほど少量の化合物しか含まないことを意味する。すなわち、界面活性剤又は乳化剤を含まないシリコーンエマルジョンは、不純物として、ほんの微量の界面活性剤又は乳化剤、例えば界面活性剤又は乳化剤のいずれかをわずか約0.0001モル/L含むだけである。
【0017】
エマルジョンに含まれない可能性の、界面活性剤及び乳化剤の種類には、ラウレス硫酸アンモニウム、塩化セタルコニウム、ミリスチン酸DEA、ドシルポリグルコース(docyl polyglucose)、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ココアンホニ酢酸ニナトリウム、ジプロピオン酸ラウリミノニナトリウム、ラウリルベタイン、ラウリルピロリドン、ノノキシノール-12、ミリスタミンオキシド、ステアリン酸PEG-50、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、C14~16オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウレスリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、メチルオレオイルタウリン酸ナトリウム、ノノキシノール-25硫酸ナトリウム、オレイルイセチオン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、TEA-アビエトイル(abietoyl)加水分解コラーゲン、TEA-ラウリル硫酸塩、TEA-オレオイルサルコシン酸塩、セテアレス-10、臭化セトリモニウム、ラネス-5、レシチン、ノノキシノール-9、ジラウリン酸PEG-20、オレイン酸PEG-8、ポロキサマー407、オレイン酸ポリグリセリル-8、ポリソルベート60、セスキオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸スクロース、ココアミンオキシド、ラウラミドDEA、ミリスタミドMIPA、ミリスタミノプロピオン酸、キシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸カリウム、メチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、セテアレス(cetareth)-40、オレス-44、ステアリン酸PEG-40、ベヘントリモニウムクロリド、塩化ベンゼトニウム、リグニンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。本開示の一実施形態において、シリコーンエマルジョンは、アニオン性ポリマーを含んだ水性又は有機ジオール媒体を含む連続相に、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンを含んだ分散油相を含み、シリコーンエマルジョンは、前述の界面活性剤及び乳化剤等の、界面活性剤又は乳化剤を含まない。
【0018】
有利なことに、エマルジョンは、アミン官能性ポリマー、又はフィラーの表面処理がエマルジョンを安定化するように機能する、表面処理済みフィラーを添加することなく調製することもできる。一実施形態において、本開示のエマルジョンは、アミン官能化ポリオルガノシロキサン、例えば、アミン官能化メチコン又はアモジメチコン等のアミン官能化ジメチコンも含まない可能性がある。
【0019】
本開示において、ポリオルガノシロキサンの1個又は複数のヒドロキシル基は、エマルジョンを安定化するのに必要である。更に、ヒドロキシル基を有する、直鎖状及び/又は分枝鎖状のポリオルガノシロキサンは、水性相のアニオン性ポリマーと共に立体安定化及び水素結合相互作用をもたらすと考えられる。好適なポリオルガノシロキサンは、分子鎖末端で、及び/又は分子鎖へのペンダントでヒドロキシル基を含まなければならない。少なくとも3000DPの重合度(DP)を有する分子鎖長が好ましく、6500DPの分子鎖長がより好ましい。
【0020】
有用な、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンには、1個又は複数のヒドロキシル基を有する、直鎖状又は分枝鎖状のポリオルガノシロキサンが挙げられる。こうしたポリオルガノシロキサンは、以下の式(I)によって表すことができ、
R1,R2,R3Si-O-(-SiR4R5O-)y-SiR6R7R8 (I)
式中、yは、約1,000~約3000の整数、例えば6,500以上であり、R1~R8のそれぞれは、単独で、置換又は非置換のC1~8のアルキル又はアリールであり、但しR1~R8の少なくとも1個が、ヒドロキシル基又はヒドロキシル基で置換された、C1~8のアルキル又はアリールであり、すなわち、R1~R8の、任意の1個又は複数が、ヒドロキシル基、ヒドロキシル置換C1~8アルキル基又はヒドロキシル置換C1~8アリール基である。C1~8のアルキル基又はアリール基は、1種又は複数のハロゲンで、例えばF又はClによって置換することができる。例えば、繰り返し単位は、ジメチルシロキサン、ジメチルジフェニルシロキサン、ジメチルトリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルメチル水素シロキサンのいずれか1種であることができ、但し、少なくとも1種の繰り返し単位又は末端単位は、ヒドロキシル基を含む。本開示の一実施形態において、R1、R2、R3、R6、R7、R8の1個又は複数は、ヒドロキシル、又はヒドロキシル置換C1~8アルキル、例えばヒドロキシル末端又はヒドロキシアルキル末端のポリオルガノシロキサンである。本開示の他の実施形態において、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンはジメチコノールである。
【0021】
油相は、1種又は複数の他のポリオルガノシロキサン、ケイ素原子含有油、有機系油、炭化水素系油等を更に含むことができる。油相は、他の疎水性成分、例えば1種又は複数の活性剤を更に含むことができる。
【0022】
例えば、ヒドロキシル基を含まないポリオルガノシロキサンは、任意の種類の、流体又は流体及びフィラーの組み合わせ、例えば天然油、ワックス、ゴム、希釈エラストマー、粉末、又はペーストの溶解度及び/又は分散性の性質に基づいて、油相に含むことができる。油相は、他のポリオルガノシロキサン、例えば、直鎖状、分枝鎖状、又は環状のシロキサンを含むこともできる。油相に含むことができる、追加のポリオルガノシロキサンには、モノメチルシロキサン、トリメチルシロキサン、メチルビニルシロキサン、メチルエチルシロキサン、ジエチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ジフェニルシロキサン、エチルフェニルシロキサン、ビニルエチルシロキサン、フェニルビニルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン、ジメチルジフェニルシロキサン、ジメチルフェニルシロキサン、メチルフェニルビニルシロキサン、ジメチルエチルシロキサン、3,3,3-トリフルオロプロピルメチルジメチルシロキサン、モノ-3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン、ポリエチレングリコールメチルシロキサン及び/又はポリプロピレングリコールメチルシロキサン、ポリエチレングリコールフェニルシロキサン及び/又はポリプロピレングリコールフェニルシロキサン、ポリエチレングリコールアルキルシロキサン及び/又はポリプロピレングリコールアルキルシロキサン、ポリエチレングリコール3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン及び/又はポリプロピレングリコール3,3,3-トリフルオロプロピルメチルシロキサン、C3~C60アルキルメチルシロキサン、C3~C60アルキルフェニルシロキサン、アミノアルキルシロキサン、ジアミノアルキルシロキサン、モノフェニルシロキサン、モノビニルシロキサン、及び他の組み合わせが挙げられる。
【0023】
本開示のエマルジョンの安定性は、水性又は有機ジオール媒体中の、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンとアニオン性ポリマーとの間の、水素結合相互作用及び立体安定化によって実現されると考えられる。本開示のエマルジョンの分散油相は、他のポリオルガノシロキサンを含み、他のポリオルガノシロキサンは、こうしてつくられた保護層によって安定化される。相間からの反対電荷の相互作用及び/又は双極子間相互作用により、エマルジョン中の水性又は有機の、ジオール相及び油相を安定化する。
【0024】
本開示のエマルジョンの水性又は有機ジオール相に含まれる、有用なアニオン性ポリマーには、カルボン酸基、例えば-COOHを含んだポリマー等の、プロトンを生成することができる官能基を有するポリマーが挙げられる。中和剤、例えば水酸化ナトリウム等のアルカリ剤で得られる、水性又は有機ジオール媒体のpHが、カルボン酸のpKa値を超える場合、こうしたポリマーは、カルボン酸アニオン、例えば-COO-を形成する。同様のアニオン基は、アクリル酸、マレイン酸、及び他のモノマー、例えば、アクリルアミド、アルキルアクリレート、C5~C8アルキルアクリレート、C10~C30アルキルアクリレート、C12~C22アルキルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ヒドロキシルエステルアクリレートから生成される、直鎖状又は分枝鎖状のポリマーで見つけることもできる。本開示の一実施形態において、アニオン性ポリマーは、ポリアクリル酸(PAA)、例えばカルボマーである。
【0025】
本開示の他の態様は、安定なシリコーンエマルジョンを調製する工程を含む。方法は、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンを含み、界面活性剤又は乳化剤を含まない油を、アニオン性ポリマーを含み、界面活性剤又は乳化剤を含まない水性又は有機ジオール媒体に分散させて、界面活性剤又は乳化剤を含まないシリコーンエマルジョンを形成する工程を含む。いくつかの実施形態において、エマルジョンは、水性又は有機ジオール媒体の条件(温度、pH、電解質、試薬濃度等)を変えることによって形成される。例えば、エマルジョンを調製するとき、水性又は有機ジオール媒体を中和することができ、例えば、水性相のpHは、必要に応じて、例えば中和剤でpHを上げることによって、アニオン性ポリマーを形成するように調節することができる。水性又は有機ジオール媒体は、水性又は有機ジオール媒体中の油相の分散液を形成する前、間、又は後のいずれかで中和することができる。
【0026】
本開示のエマルジョンで用いることができる中和剤(neutralizing agent又はneutralizer)には、水性又は有機ジオール媒体のpHを上げることができる化合物、例えばアルカリ金属水酸化物等のアルカリ性と考えられる化合物、すなわち、水酸化ナトリウム、アミン、すなわち、トリエタノールアミン、水酸化カリウム及び水酸化アンモニウム、アルギニン、アミノメチルプロパノール、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トロメタミン、PEG-15コカミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0027】
本開示を実施する一実施形態において、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンを含んだ油は、アニオン性ポリマーを含んだ水性又は有機ジオール媒体と混合され、中和剤が添加されてエマルジョンを形成する。例えば、こうした方法は、一般に、水性又は有機ジオール媒体中でカルボン酸基を含んだポリマーと第1の配合物を調製する工程と、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサンと、典型的には他のポリオルガノシロキサンと第2の配合物を調製する工程とを含む。エマルジョンは、一般に、媒体の条件(温度、pH、電解質、試薬濃度等)の変化によって形成される。一例では、相間ネットワークの安定化は、カルボン酸基を水酸化ナトリウム又はその溶液で中和することによって得られて、第1の配合物のカルボン酸塩及び第2の配合物からのヒドロキシルの相互作用を形成する。この相間ネットワークにより、油相から水性相が単離される。相間ネットワークは、ある程度自己修復するほど十分に柔軟である。
【0028】
本開示の一態様において、1種又は複数のポリオルガノシロキサン、例えば、ジメチルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、トリフルオロプロピルシロキサン単位、エチレンオキシド/ジメチルシロキサンの組み合わせ、並びに任意の流体及び架橋ポリマーをベースにした構造を含む、1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含んだ、安定なエマルジョンは、水性相及び油相中のカルボン酸塩とヒドロキシル基との間の、例えばカルボマーとヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンとの間の相間ネットワークによって形成される。ヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサン単独、又はヒドロキシル官能性ポリオルガノシロキサンと任意のクロスポリマーとの組み合わせを、水性又は有機ジオール媒体又はゲルに分散させることができる。一実施形態において、油相(活性分又は粒子等の、任意の追加の成分を含むか、又は含んでいないポリオルガノシロキサン)のパーセントは、全体の濃度の約1%~70%であることができ、典型的な濃度は30~50%の間である。油滴の平均サイズは400μm未満である。カルボン酸基を有するポリマーの量は、約0.01%~約10%であってもよい。
【0029】
本開示のエマルジョンは、例えば、約10,000センチポアズ(cP)よりも高い、例えば、50,000cP、100,000cP、又は200,000cPよりも高い、広範囲の粘度を有することができる。本開示の一実施形態において、エマルジョン粘度は、20,000cP、50,000cPよりも相対的に高くてもよく、100,000cpを超えてもよい。
【0030】
本開示の他の態様は、本開示のエマルジョン、例えば、化粧用としての組成物、皮膚用、パーソナルケア、ヘルスケア、家庭用の組成物を含む、様々な組成物を含む。例えば、本開示の一態様は、本開示のエマルジョンを含む局所用化粧用組成物を含む。こうした組成物は、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びメチルプロパンジオールを含んだ、媒体又はゲルにおいて形成された水性ゲルに由来する、半透明又は透明の外観を伴って、皮膚に塗布することができる。
【0031】
本開示のエマルジョンは、不透明な外観から透明な外観までを有する、任意の種類の局所用組成物の成分として用いることができる。更に、他の親水性成分を、水性相に容易に分散させ、中和の前及び/又は後で油相と混合する。この種のエマルジョンは、それらに限定されないが、セラム、ローション、クリーム、ペースト、液体から粉末、粉末、クレンザー及び石鹸、リンス、スプレー、シャンプー、コンディショナー、ラッカー、香油、グロス、ポマード、固定液、ドレッシング、潤滑剤、ひげ剃り補助剤及びシェービングフォーム、染料、漂白剤、油、ゲル、マスク、パッチ、又は薄膜コーティング、及び除氷等の、任意の種類のパーソナルケア、ヘルスケア、又は航空宇宙の用途で用いることができる。
【0032】
界面活性剤が皮膚炎と結び付けられているため、界面活性剤フリーエマルジョンは有利である。この界面活性剤フリー系において、油相からのポリオルガノシロキサンは、水性相に取り込む前又は後で、界面活性剤を用いることなく、他の疎水性成分と共に分散させることができる。
【0033】
本開示において、エマルジョンは、油相及び/又は水相からの組成物の変化で、多様な外観、テクスチャ、及び感覚の態様で形成することができる。この柔軟性により、エマルジョンでは、化粧品産業の任意の用途のために不透明な外観から透明な外観まで形成することが可能になる。更なる利点には、皮膚により厚い膜又はより薄い膜を生成するために、ポリオルガノシロキサンの量を増加又は減少させる能力が含まれる。
【0034】
本開示のエマルジョンではまた、他の懸濁液系又はエマルジョン系において同量のポリオルガノシロキサンで再現することができない、テクスチャ、外観、及び感覚風合いを変えることができる。
【0035】
本開示の他の利点には、薬剤又は活性成分の制御送達が含まれる。更に、取り込むことができる成分には、油相に分散された、又は懸濁された、1種又は複数の合成油又は天然油が含まれる。
【0036】
本開示のエマルジョンは、1種又は複数の、活性剤、フレグランス、香料、植物抽出物、着香剤、粉末、及び/又は防腐剤を含む他の成分を、油相又は水性相のいずれかに含むことができる。
【0037】
油相は、有機系油又は炭化水素系油等の疎水性成分を含むことができる。ケイ素原子含有油又は有機油とケイ素原子含有油とのブレンドをエマルジョンの油相に取り込むこともできる。こうした油には、ヤシ油、鉱油、及び水素化ポリイソブテン等の炭化水素類、オクチルドデカノール等の脂肪アルコール類、C12~C15安息香酸アルキル等のエステル類、プロピレンジペラルガネートジペラルゴネート(propylene dipelarganatedipelargonate)等のジエステル類、並びにトリオクタン酸グリセリル等のトリエステル類が挙げられる。有機油成分はまた、様々な粘度の油の混合物であってもよい。低粘度油の例には、イソノナン酸イソトリデシル、ジヘプタン酸PEG-4、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸トリデシル、オクタン酸セチル、パルミチン酸セチル、リシノール酸セチル、ステアリン酸セチル、ミリスチン酸セチル、ココ-ジカプリレート/カプレート、イソステアリン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソヘキシル、パルミチン酸オクチル、リンゴ酸ジオクチル、オクタン酸トリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オクトドデカノールオクチルドデカノール、又はオクチルドデカノールの混合物、アセチル化ラノリンアルコール、酢酸セチル、イソドデカノール、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、又はそれらの混合物が挙げられる。高粘度油には、ヒマシ油、ラノリン及びラノリン誘導体、クエン酸トリイソセチル、セスキオレイン酸ソルビタン、C10~18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリアセチルリシノール酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、アマニ油、ミンク油、オリーブ油、パーム油、ナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、獣脂、トリカプリン、トリヒドロキシステアリン、トリイソステアリン、トリラウリン、トリリノレイン、トリミリスチン、トリオレイン、トリパルミチン、トリステアリン、クルミ油、小麦胚種油、コレステロール、又はそれらの混合物が挙げられる。鉱油類、例えば流動パラフィン又は液体石油、動物油類、例えばペルヒドロスクアレン又はアララ油(arara oil)、或いは植物油類、例えばス
イートアーモンド、テリハボク(calophyllum)、ヤシ、ヒマシ、アボカド、ホホバ、オリーブ、又は穀物胚芽の油の任意の他の非シリコーン脂肪物質にも言及することができる。ラノリン酸(lanolic acid)、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸の各エステル、例えば、オレイルアルコール、リノレイルアルコール若しくはリノレニルアルコール、イソステアリルアルコール若しくはオクチルドデカノール等のアルコール類、又はアルコールの、若しくはポリアルコールの、アセチルグリセリド、オクタン酸塩、デカン酸塩若しくはリシノール酸塩を用いることも可能である。
【0038】
1種又は複数の活性成分は、ヒドロキシル含有ポリオルガノシロキサンを含む油相に、又は水性若しくは有機ジオール相に含むことができる。こうした活性成分は、パーソナルケア、ヘルスケア、及び医薬配合物に用いることができる。パーソナルケア又はスキンケアの活性分は、主に、化粧用の、美的な、保護的な、又は感覚的な利益のためのものである。ヘルスケアの活性分は、主に、医薬的な又は医学的な利益をもたらす。活性分の他の目的は、薬理学的活性、若しくは任意の他の機能、例えば診断、治療、鎮静、処置、予防のためであってもよく、又はヒト若しくは他の動物の体の任意の機能に影響を及ぼすためであってもよい。
【0039】
活性剤は、ビタミン、誘導体、又はプロビタミンを含むことができる。こうしたビタミン、誘導体、又はプロビタミンには、ビタミンA1、レチノール、レチノールのC2~C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びそれらの混合物が挙げられる。レチノールには、trans-レチノール、1,3-cis-レチノール、11-cis-レチノール、9-cis-レチノール、及び3,4-ジデヒドロ-レチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB1、ビタミンB2、プロビタミンB5、パンテノール、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、及びパントテン酸が挙げられる。他の好適なビタミン、及び本明細書に含まれると考えられるビタミンのINCI名は、ジパルミチン酸アスコルビル、アスコルビルメチルシラノールペクチン、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アスコルビルグルコシド、アスコルビルリン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸ニナトリウム、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウムである。
【0040】
活性剤は、任意の水溶性又は油溶性の医薬活性分を含むことができる。こうした医薬活性分には、ヒドロコルチゾン、ケトプロフェン、チモロール、ピロカルピン、アドリアミシン、マイトマイシンC、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、ジルチアゼム、セオフィリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ヘパリン、ペニシリンG、カルベニシリン、セファロチン、セフォキシチン、セフォタキシム、5-フルオロウラシル、シタラビン、6-アザウリジン、6-チオグアニン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ブレオマイシン、アウロチオグルコース、スラミン、メベンダゾールクロニジン、スコポラミン、プロプラノロール、塩酸フェニルプロパノールアミン、ウアバイン、アトロピン、ハロペリドール、イソソルビド、ニトログリセリン、イブプロフェン、ユビキノン、インドメタシン、プロスタグランジン、ナプロキセン、サルブタモール、グアナベンズ、ラベタロール、フェニラミン、メトリホネート、及びステロイドが挙げられる。
【0041】
活性成分の他の例は、タンパク質又は酵素であってもよい。自己修復相間ネットワークを含む油相の利点は、タンパク質又は酵素の、任意の潜在的な分解に対する保護バリアとして作用することである。好適な酵素には、市販型、改良型、組換型、野生型、自然には見られない変異型、及びそれらの混合物が挙げられる。例えば、好適な酵素には、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。ヒドロラーゼには、それらに限定されないが、プロテアーゼ(微生物の、菌の、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(α又はβ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、及びそれらの混合物が挙げられる。上記のプロテアーゼには、それらに限定されないが、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、及び他の哺乳動物酵素、パパイン、ブロメライン、及び他の植物酵素、サブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L-ラムノシダーゼ)ウロキナーゼ、及び他の微生物酵素が挙げられる。上記リパーゼには、それらに限定されないが、トリアシル-グリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の、哺乳動物リパーゼ、植物リパーゼ、微生物リパーゼ、及び精製されたものが挙げられる。天然パパインは、上記酵素として好ましい。更に、ホルモン、例えばインスリンを刺激する工程を、これらの酵素と共に用いて、酵素の有効性を高めることができる。
【0042】
活性剤は、有機日焼け止め成分、無機日焼け止め成分、又は日焼け止め成分の混合物であってもよい。日焼け止め成分は、日光からの有害な紫外線から皮膚を保護するために用いることができる。大抵の場合、日焼け止め成分は、日光からのUVA線及びUVB線を反射又は吸収することになる。例えば、好適な日焼け止め成分には、それらに限定されないが、アミノ安息香酸、シノキセート、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン、トリオレイン酸ジガロイル、ジオキシベンゾン、4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エチル、アミノ安息香酸グリセリル、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンを含むローソン、アントラニル酸メンチル、オクトクリレン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾン、パジメートO、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、レッドペトロラタム、スルイソベンゾン、二酸化チタン、及びサリチル酸トロールアミン、セタミノサロール、アラントイン(Allatoin)PABA、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1-12、3-ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、サリチル酸ベンジル、ボルネロン、ブメトリオゾール、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカタルク、シノキサート、メトキシ桂皮酸DEA、ジベンズオキサゾールナフタレン、ジ-t-ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、トリオレイン酸ジガロイル、桂皮酸ジイソプロピルメチル、トシル酸ジメチルPABAエチルセテアリルジモニウム、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ジイソプロピル桂皮酸エチル、メトキシ桂皮酸エチル、エチルPABA、ウロカニン酸エチル、エトロクリレンフェルラ酸、オクタン酸ジメトキシ桂皮酸グリセリル、グリセリルPABA、サリチル酸グリコール、ホモサレート、p-メトキシ桂皮酸イソアミル、サリチル酸
イソプロピルベンジル、イソプロピルジベンゾイルメタン、メトキシ桂皮酸イソプロピル、アントラニル酸メンチル、サリチル酸メンチル、4-メチルベンジリデン、カンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸オクチル、オクチルトリアゾン、PABA、PEG-25PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシ桂皮酸カリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸カリウム、レッドペトロラタム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸TEA、サリチル酸TEA、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、二酸化亜鉛、二酸化セリウム、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、及びVA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノンー1コポリマーが挙げられる。これらの日焼け止め剤の1種又は2種以上の組み合わせを選択することができる。或いは、日焼け止め剤は、桂皮酸塩系有機化合物であってもよく、或いは、日焼け止め剤は、メトキシ桂皮酸オクチル、例えばParsol MCX又はUvinul(登録商標)MC80、パラ-メトキシ桂皮酸のエステル、及び2-エチルヘキサノールであってもよい。
【0043】
本開示のエマルジョンに含むことができる他の化合物は、フレグランス又は香料である。フレグランス又は香料の大部分は、典型的には、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酢酸塩、亜硝酸塩、テルペン系炭化水素、複素環式の窒素、又はイオウ含有化合物、及び天然源又は合成源の精油等の多様な化学品に属する。例えば、好適なフレグランス又は香料には、それらに限定されないが、ブッコキシム、イソジャスモン、メチルβナフチルケトン、ムスクインダノン、トナリド/ムスクプラス、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソダマスコン、ダマスセノン、ダマローズ、メチル-ジヒドロジャスモネート、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-ロノン、β-ロノン、γ-メチルいわゆるイオノン、フルラモン、ジヒドロジャスモン、cis-ジャスモン、イソ-E-スーパー、メチル-セドレニル-ケトン又はメチル-セドリロン、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-β-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セレリケトン又はリベスコン、6-イソプロピルデカヒドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメンテ、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボマン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、4-ダマスコル、ダルシニル又はカシオン、ゲルソン、ヘキサロン、イソシクレモンE、メチルシクロシトロン、メチル-ラベンダー-ケトン、オリボン、パラ-第3級ブチル-シクロヘキサノン、ベルドン、デルフォン、ムスコン、ネオブテノン、プリカトン、ベロウトン、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、及びテトラメランが挙げられる。好ましくは、香料アルデヒドは、その香り特性のため、アドキサール、アニスアルデヒド、シマール、エチルバニリン、フロルヒドラール、ヘリオナール、ヘリオトロピン、ヒドロキシシトロネラール、コアボン、ラウリンアルデヒド、リーラル、メチルノニルアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、フェニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、バニリン、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、3-ドデセン-1-アール、α-n-アミル桂皮アルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3-(4-tertブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2(1)-シクロヘキセン-1-イル)ブタナール、3-フェニル-2-プロペナール、cis-/trans-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-アール、[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチル-3-(イソプロピルフェニル)プロパナール、1-デカナール、デシルアルデヒド、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]-デシリデン-8)-ブタナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンカルボキシアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ-エチル-α,α-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、α-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)-ヒドロシンナムアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、α-n-ヘキシル桂皮アルデヒド、m-シメン-7-カルボキシアルデヒド、α-メチルフェニルアセトアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、4-(3)(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-カルボキシアルデヒド、1-ドデカナール、2,4-ジメチル-シクロヘキセン-3-カルボキシアルデヒド、4-(4-ヒドロキシ4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール、2-メチルウンデカナール、2-メチルデカナール、1-ノナナール、1-オクタナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、2-メチル-3-(4-tertブチル)プロパナール、ジヒドロ桂皮アルデヒド、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、5又は6のメトキシル0ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1、又は2-カルボキシアルデヒド、3,7-ジメチルオクタン-1-アール、1-ウンデカナール、10-ウンデセン-1-アール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、1-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、trans-4-デセナール、2,6-ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、オルト-メトキシ桂皮アルデヒド、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、ピオニーアルデヒド(6,10-ジメチル-3-オキサ-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチルオクタナール、α-メチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6-ジメチル-2-ノルピネン-2-プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2-メチル-3-フェニル-2-プロペン-1-アール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、3-プロピル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタ-5-エン-2-カルボアルデヒド、9-デセナール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、trans-2-ヘキセナール、1-p-メンテン-q-カルボキシアルデヒド、及びそれらの混合物から選択される。
【0044】
ある種の用途について、エマルジョンは植物抽出物を含むことができる。植物抽出物には、それらに限定されないが、アシタバ抽出物、アボカド抽出物、アジサイ抽出物、ビロードアオイ(Althea)抽出物、アルニカ抽出物、アロエ抽出物、アプリコット抽出物、キョウニン抽出物、イチョウ(Ginkgo Biloba)抽出物、ウイキョウ抽出物、ウコン(Curcuma)抽出物、ウーロン茶抽出物、バラの実抽出物、エキナセア抽出物、オウゴン抽出物、オウバク抽出物、オウレン抽出物、大麦抽出物、オトギリソウ(Hyperium)抽出物、オドリコソウ抽出物、オランダガラシ抽出物、オレンジ抽出物、無水塩水、海藻抽出物、加水分解エラスチン、加水分解小麦粉末、加水分解シルク、カモミール抽出物、ニンジン抽出物、ヨモギ(Artemisia)抽出物、甘草(Glycyrrhiza)抽出物、ハイビスカス茶抽出物、火棘(Pyracantha Fortuneana)の実抽出物、キウイ抽出物、キナノキ(Cinchona)抽出物、キュウリ抽出物、グアノシン、クチナシ(Gardenia)抽出物、クマザサ(Sasa Albo-marginata)抽出物、クジン抽出物、クルミ抽出物、グレープフルーツ抽出物、センニンソウ(Clematis)抽出物、クロレラ抽出物、クワ抽出物、リンドウ(Gentian)抽出物、紅茶抽出物、酵母抽出物、ゴボウ抽出物、米糠発酵物抽出物、米胚芽油、ヒレハリソウ抽出物、コラーゲン、コケモモ抽出物、クチナシ抽出物、サイシン抽出物、ミシマサイコ(Bupleurum)属抽出物、臍帯抽出物、サルビア抽出物、サボンソウ抽出物、竹抽出物、サンザシ(Crataegus)の実抽出物、サンショウ(Zanthoxylum)の実抽出物、シイタケ抽出物、アカヤジオウ(Rehmannia root)抽出物、ムラサキ抽出物、エゴマ(Perilla)抽出物、シナノキ抽出物、シモツケソウ(Filipendula)抽出物、ボタン抽出物、ショウブ抽出物、シラカバ抽出物、スギナ抽出物、セイヨウキヅタ(Hedera Helix)(ツタ)抽出物、サンザシ抽出物、セイヨウニワトコ(Sambucus nigra)抽出物、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)抽出物、セイヨウハッカ(Mentha piperita)抽出物、セージ抽出物、ゼニアオイ抽出物、センキュウ(Cnidium officinale Root)抽出物、センブリ(Japanese green gentian)抽出物、大豆抽出物、ナツメ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、丁子抽出物、イネ科チガヤ(Gramineae imperata cyrillo)抽出物、陳皮(Citrus unshiu peel)抽出物、トウキ(Japanese Angellica Root)抽出物、キンセン(Calendula)抽出物、トウニン抽出物、苦橙皮抽出物、ドクダミ(Houttuyna cordata)抽出物、トマト抽出物、納豆抽出物、朝鮮人参抽出物、緑茶抽出物(チャノキ(camellica sinesis))、ブドウ種子抽出物、ニンニク抽出物、野バラ抽出物、ハイビスカス抽出物、バクモンドウ抽出物、ハス(Nelumbo nucifera)抽出物、パセリ抽出物、蜂蜜、マンサク(hamamelis)抽出物、イラクサ(Parietaria)抽出物、エンメイソウ(Isodonis herba)抽出物、ビサボロール抽出物、ビワ抽出物、フキタンポポ抽出物、セイヨウフキ抽出物、マツホド(Porid cocos wolf)抽出物、ナギイカダ抽出物、ブドウ抽出物、プロポリス抽出物、ヘチマ抽出物、ベニバナ抽出物、ペパーミント抽出物、ボダイジュ抽出物、シャクヤク(Paeonia)抽出物、ホップ抽出物、松の木抽出物、トチノキ抽出物、ミズバショウ(Lysichiton camtschatcese)抽出物、ムクロジ(Mukurossi peel)抽出物、レモンバーム(Melissa)抽出物、モモ抽出物、ヤグルマソウ抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、シトロン抽出物、ジュズダマ抽出物、オオヨモギ抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、レンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカモミール抽出物、及びロイヤルゼリー抽出物が挙げられる。
【0045】
例えば、ウィンターグリーンの油、ハッカ油、スペアミント油、メントール、バニラ、桂皮油、丁子油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグの油、セージの油、カッシア油、ココア、甘草、ブドウ糖果糖液糖、レモン、オレンジ、ライム、及びグレープフルーツ等の柑橘油、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、サクランボ、スモモ、パイナップル、及びアプリコット等の果実精、並びに酢酸シンナミル、桂皮アルデヒド、ギ酸オイゲニル、p-メチルアニソール、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、シトラール、ネラール、デカナール、バニリン、トリルアルデヒド、2,6-ジメチルオクタナール、及び2-エチルブチルアルデヒド等の、アルデヒド及びエステルを含む、他の有用な着香剤等の着香剤を含むこともできる。
【0046】
化粧及び健康の効果のために、粉末を本開示で添加することができる。典型的な効果には、顔料、染料、インク、又は活性剤等の着色剤の任意の種類に限定されることなく、特定の色、又は粉末/ミクロスフェアを生成して皮膚の光散乱を変えることが含まれる。典型的な顔料は、例えば、TiO2、ZnO、及び被処理顔料、顔料マスターバッチ、又は顔料分散液である。一般に、着色又は無着色(例えば白色)の粉末の粒径は、0.02~200ミクロンの範囲であることができるが、0.5~100ミクロンが好ましい。こうした粉末には、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粒テフロン(登録商標)、窒化ホウ素、アクリレートポリマー、珪酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、珪酸カルシウム、セルロース、白亜、コーンスターチ、珪藻土、酸性白土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、含水シリカ、カオリン、珪酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、珪酸マグネシウム、三珪酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微結晶性セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルク粉末、絹雲母、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末、又はそれらの混合物が挙げられる。上記粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン油、又は粉末表面を被覆し、粒子を本質的に疎水性にする、様々な他の作用剤で、単独で、又は組み合わせて表面処理することができる。有機顔料は、一般に、D&Cブルー及びFD&Cブルー、茶色、緑色、オレンジ色、赤色、黄色等で示される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチンの各染料を含む様々な芳香族型である。有機顔料は、一般に、レーキと称される、認証された着色添加剤の、不溶性金属塩で構成される。無機顔料には、酸化鉄、ウルトラマリン、及びクロム又は水酸化クロムの各着色剤、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0047】
エマルジョンの相間の利点は、他の追加の成分、例えば局所用組成物と共にポリオルガノシロキサンを取り込むための安定な系をもたらすことである。例えば、化粧品又は日焼け止め製品は、油相中に他の追加の成分と共に、1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む。その後、油相は、界面活性剤を含まない水性相に分散され、中和工程の後、相間が形成されて、安定なエマルジョンを実現し、維持する。局所用組成物は、水性又は有機ジオール媒体又は油に、合成油、天然油、又は変性油、ワックス、エステル、フレグランス、香味料、植物抽出物、ビタミン、タンパク質、及び生物学的誘導剤、日焼け止め剤、微粒子粉末、及び顔料、着色剤、染料、パーソナルケア活性剤、ヘルスケア活性剤、及び医薬活性剤等の他の成分を含むこともできる。スネルの法則に基づいて、油相と水性相との間の屈折率を合わせることによって視覚的に透明又は視覚的に半透明の外観をもたらすこともできる。一実施形態において、本開示のエマルジョンと共に透明又は半透明の局所用組成物を調製するために、1.4よりも高い屈折率を有する任意の種類のグリコール(例えば、グリセリン)を水性相に添加することができる。更に、エマルジョンの安定性に影響を及ぼすことなく、フェノキシエタノール、DMDMヒダントイン、カプリリルグリコール&クロルフェネシン、3[(2-エチルヘキシル)オキシ]1,2-プロパンジオール等の防腐剤を添加することができる。
【実施例0048】
実施例
以下の実施例は、本発明のある好ましい実施形態を更に説明しようとするものであり、本質的に制限するものではない。当分野の技術者は、せいぜい日常的な実験を用いて、本明細書に記載の特定の物質及び手順に対する多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。
【0049】
エマルジョン
水性媒体を含んだポリオルガノシロキサンのエマルジョンは、2種の主要な相、水性又は無水有機ジオール相(AP)及び油相(OP)を含む。エマルジョンについて、OPは、1個又は複数のヒドロキシル基を有するポリオルガノシロキサン、例えばジメチコノール、及び任意の種類の、合成油、天然油、又は変性油を含むか、又は含んでいない、1種又は複数のポリオルガノシロキサンを含む。APは、水性又は無水有機ジオール相に、アニオン性ポリマー、例えばカルボマーを含む。
【0050】
水性又は無水有機ジオール媒体を含んだポリオルガノシロキサンのエマルジョンは、OPをAPと混合することによって生成された。OPとAPの混合物を中和する間、相間が生成され、水性媒体中に形成された油滴と共に、カルボキシル基とヒドロキシル基との間の引力によって安定化される。相間(引力)は、それぞれの油滴を安定化するのに十分強く、自己修復機能を有して柔軟である。これは、引力によって系がもはや安定化されなくなるまで、油滴が、新規の相間で、より小さいサイズで分散され得ることを意味する。それはまた、少量の油(無極性)をエマルジョンに添加することができ、少量の油が相間に浸透し、OPと結合することも意味する。
【0051】
更に、エマルジョンの粘度を、OPの粘度、カルボマーの種類、カルボマー濃度、及びpHによって制御する。一般に、水性媒体のカルボマーは、しばしばpH4.5未満を有し、したがって塩基性材料、例えば水酸化ナトリウムを中和に用いる。
【0052】
以下のエマルジョンを調製し、エマルジョンは不透明な外観を有する。本実施例で、APとOPとの間で合わせた屈折率を得るために、グリセリンを用いなかった。しかし、特定の用途で半透明又は透明の外観が所望される場合には、グリセリンを用いることができる。
【0053】
以下の配合物を以下の一般的な手順に従って調製した。工程1(水性又は無水有機ジオール相):水又は無水有機ジオールを計量し、容器にカルボマーをゆっくりと加える。カルボマーを完全に溶解させるまで混合する。工程2(連続的な中和工程を伴う油相):ポリシロキサンを計量し、容器に加える。均一になるまで十分に混合する。工程3:水性又は無水有機ジオール相を油相と共に容器に加え、均一になるまで十分に混合する。工程4:防腐剤を容器に加え、均一になるまで十分に混合する。工程5:NaOHを容器に加え、均一になるまで十分に混合する。
【0054】
エマルジョン1
【0055】
【0056】
APは、カルボマー及び水を含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、水性相(AP)、数種の防腐剤、及び中和剤、例えば水酸化ナトリウムを含んだ。
【0057】
水性相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機で水とカルボマーとの間で均一に混合して調製した。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機で、予備混合されたCXG-1104/CSF-3504ブレンド及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、防腐剤を添加し、組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤によって中和した。
【0058】
2種の溶液の比を以下の表(表2)に示す。
【0059】
【0060】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0061】
【0062】
エマルジョン2
以下の配合物を調製した。
【0063】
【0064】
APは、カルボマー、水、及び水酸化ナトリウムを含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、水性相(AP)、数種の防腐剤、及び中和剤を含んだ。
【0065】
水性相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、水及びカルボマーを混合することによって調製した。カルボマーを完全に溶解させた後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを約6に上げた。APが依然として酸性であるので、これは、予備中和工程である。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、予備混合されたCXG-1104/CSF-3504ブレンド及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、防腐剤を添加し、組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤の添加によって中和した。
【0066】
2種の溶液の比を以下の表(表5)に示す。
【0067】
【0068】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0069】
【0070】
エマルジョン3
以下の配合物を調製した。
【0071】
【0072】
APは、カルボマー、水、及び水酸化ナトリウムを含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、水性相(AP)、数種の防腐剤、及び中和剤を含んだ。
【0073】
水性相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、水及びカルボマーを混合することによって調製した。カルボマーを完全に溶解させた後、水酸化ナトリウムを添加して、pHを約6に上げた。これは、APが依然として酸性であるので、予備中和工程である。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、CSF-3502及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、防腐剤を添加し、組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤の添加によって中和した。
【0074】
2種の溶液の比を以下の表(表8)に示す。
【0075】
【0076】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0077】
【0078】
エマルジョン4
以下の配合物を調製した。
【0079】
【0080】
APは、カルボマー、水、及び水酸化ナトリウムを含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、水性相(AP)、数種の防腐剤、及び水酸化ナトリウム等の中和剤を含んだ。
【0081】
水性相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、水及びカルボマーを混合することによって調製した。カルボマーを完全に溶解させた後、水酸化ナトリウムを添加してpHを上げた。これは、APが依然として酸性であるので、予備中和工程である。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、予備混合されたCFF-3401/CSF-3504ブレンド及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、防腐剤を添加し、組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤の添加によって中和した。
【0082】
2種の溶液の比を以下の表(表11)に示す。
【0083】
【0084】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0085】
【0086】
エマルジョン5
以下の配合物を調製した。
【0087】
【0088】
APは、カルボマー及び水を含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、水性相(AP)、数種の防腐剤、及び水酸化ナトリウム等の中和剤を含んだ。
【0089】
水性相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、カルボマーを完全に溶解させるまで、水及びカルボマーを混合することによって調製した。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングル分散機又は三シャフト混合機を用いて、予備混合されたCXG-1104/CSF-3504ブレンド及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、ブチレングリコール及び防腐剤を添加した。組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤の添加によって中和した。
【0090】
2種の溶液の比を以下の表(表14)に示す。
【0091】
【0092】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0093】
【0094】
エマルジョン6(無水)
以下の配合物を調製した。
【0095】
【0096】
APは、カルボマー及びプロパンジオールを含み、OP/中和は、数種のポリオルガノシロキサン、無水有機ジオール相(AP)、及びトリエタノールアミン等の中和剤を含んだ。
【0097】
無水有機ジオール相(AP)を、低せん断ブレードを備えたシングルシャフト分散機を用いて、カルボマーを完全に溶解させるまで、プロパンジオール及びカルボマーを混合することによって調製した。油相(OP)/中和を、高せん断ブレードを備えたシングル分散機又は三シャフト混合機を用いて、予備混合されたCXG-1104/CSF-3504ブレンド及びAPと共に調製した。混合物を完全に混合した後、組成物は、pHを上げて所望の粘度に到達するために、中和剤の添加によって中和した。
【0098】
2種の溶液の比を以下の表(表17)に示す。
【0099】
【0100】
この工程の後、以下の組成の不透明ゲルエマルジョンを得た。
【0101】
【0102】
局所用組成物
エマルジョン1、2、3、4、5、又は6から、局所用化粧用組成物及び局所用日焼け止め組成物を調製した。
【0103】
局所用組成物1:リフレッシングゲルクリーム
【0104】
【0105】
局所用組成物を調製する方法は、A相としてカルボマー、水、グリセリン、ブチレングリコールを含む水性媒体を調製する工程と、中せん断で均一になるまで混合しながら、A相をB相に添加して、トリエタノールアミン(TEA)C相で中和する工程とを含む。エマルジョンが形成されるまで、中せん断で混合し続けた。D相を、合わさったABC相に中せん断で添加し、その後E相を、均一になるまで中せん断混合しながら、合わさったABCD相に添加した。
【0106】
局所用組成物2:顔用のSPF保湿液
【0107】
【0108】
局所用組成物を調製する方法は、A相からの、初めの2種の成分を、連続的に撹拌しながら混合し、60℃まで加熱する工程を含んだ。初めの2種の成分を混合した後、A相からの残りの成分を均一になるまでゆっくりと添加した。B相成分を混合し、800rpmで混合しながらA相に添加した。C相成分を、室温で組成物と共に混合物に添加し、保湿剤が均一になるまで混合し続けた。
【0109】
局所用組成物3:アンチエイジング夜用クリーム
【0110】
【0111】
局所用組成物を調製する方法は、A相成分を混合しながら70℃で加熱する工程を含んだ。B相成分を、完全に融解するまで穏やかに混合しながら、70℃で加熱した。A相を、ロータースタータ装置で混合しながらB相に添加した。エマルジョンが形成されるまで、中せん断装置で混合し続けた。C相を、T<40℃のとき、合わさったAB相に添加し、均一になるまで混合した。D相を、クリームが均一になるまで混合し続けながら、ABC相に添加した。
【0112】
局所用組成物4:男性用保湿液
【0113】
【0114】
局所用組成物を調製する方法は、A相成分を、混合しながら60℃で加熱する工程を含んだ。B相成分を、完全に融解するまで穏やかに混合しながら、60℃で加熱した。A相を、ロータースタータ装置で混合しながらB相に添加した。組成物が均一になるまで、中せん断装置で混合し続けた。C相を、T<45℃のとき、合わさったAB相に添加し、ローションが均一になるまで混合し続けた。
【0115】
局所用組成物5:アンチエイジング昼用クリーム
【0116】
【0117】
局所用組成物のための方法は、A相からの、初めの3種の成分を、連続的に撹拌しながら、混合し、70℃まで加熱する工程を含んだ。初めの3種の成分を混合した後、A相からの残りの成分を、均一になるまでゆっくりと添加した。B相成分を予め混合し、700rpmで混合しながらA相に添加した。C相を、T<45℃のとき、合わさったAB相に添加し、クリームが均一になるまで混合し続けた。
【0118】
局所用組成物6:バタークリーム
【0119】
【0120】
局所用組成物のための方法は、ゆっくりと添加された、A相からの水を、連続的に撹拌しながら、混合し、60℃まで加熱する工程を含んだ。60℃で、A相からの残りの成分を均一になるまでゆっくりと添加した。B相成分を700rpmで混合しながらA相に添加した。C相を、T<45℃のとき、合わさったAB相に添加し、クリームが均一になるまで混合し続けた。
【0121】
局所用組成物7:シンプルセラム
【0122】
【0123】
局所用組成物のための方法は、A相成分を、均一になるまで1000rpmで混合する工程を含んだ。B相成分を、セラムが均一になるまで、1000rpmで混合しながらA相に添加した。
【0124】
局所用組成物8:若返りセラム
【0125】
【0126】
局所用組成物のための方法は、A相として、カルボマー及び水を含んだ水性媒体を調製する工程を含んだ。A相を、均一になるまで、中せん断で混合しながらB相に添加し、その後水酸化ナトリウムC相で中和した。エマルジョンが形成されるまで、中せん断で混合し続けた。
【0127】
局所用組成物9:保湿ヒドロゲル
【0128】
【0129】
局所用組成物のための方法は、A相成分を、均一になるまで1000rpmで混合して調製する工程を含んだ。B相成分を、1000rpmで混合しながらA相に添加した。C相成分を、合わさったAB相に添加し、ヒドロゲルが均一になるまで混合し続けた。
【0130】
局所用組成物10:セラムゲル
【0131】
【0132】
局所用組成物のための方法は、スパチュラ又は任意の中せん断装置で、CSG-1001を水及びグリセリンと均一になるまで混合し、その後フレグランス用の香料を添加する工程を含んだ。
【0133】
局所用組成物11:ハイドレーションサージ
【0134】
【0135】
局所用組成物のための方法は、A相成分を、均一になるまで1000rpmで混合して調製する工程を含んだ。B相成分を、1000rpmで混合しながらA相に添加した。C相成分を、合わさったAB相に添加し、ヒドロゲルが均一になるまで混合し続けた。
【0136】
本発明の好ましい実施形態及びその多様性である実施例を、本開示で示し、説明した。本発明は、様々な他の組み合わせ及び環境で用いることができ、本明細書に示された本発明の概念の範囲内で変更又は改変することができるものと理解されたい。したがって、例えば、当分野の技術者は、せいぜい日常的な実験を用いて、本明細書に記載の、特定の物質、手順、及び構成に対する多くの等価物を認識し、確認することができるであろう。こうした等価物は、本発明の範囲内にあると考えられ、以下の特許請求の範囲に含まれている。