(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174046
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ハードコート積層フィルム、及びガラス外貼り用フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20221115BHJP
C08F 220/34 20060101ALI20221115BHJP
C08J 7/046 20200101ALI20221115BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20221115BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20221115BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20221115BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20221115BHJP
C09D 133/14 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B32B27/18 A
C08F220/34
C08J7/046 A
B32B27/30 A
B32B27/40
C09D4/02
C09D7/63
C09D133/14
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022125981
(22)【出願日】2022-08-08
(62)【分割の表示】P 2018082694の分割
【原出願日】2018-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2017106093
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000250384
【氏名又は名称】リケンテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184653
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 寧
(72)【発明者】
【氏名】清水基弘
(57)【要約】 (修正有)
【課題】耐候性に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該組成物を用いたハードコート積層フィルム及びガラス外貼り用フィルムを提供する。
【解決手段】(A)紫外線吸収性重合体100質量部;及び、(B)多官能(メタ)アクリレート20~600質量部;を含み、上記(A)紫外線吸収性重合体は、(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位10~60モル%;(a2)アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位10~50モル%;及び、(a3)1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位10~70モル%;を含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)紫外線吸収性重合体 100質量部;及び、
(B)多官能(メタ)アクリレート 20~600質量部;
を含み、上記(A)紫外線吸収性重合体は、
(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位 10~60モル%;
(a2)アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位 10~50モル%;及び、
(a3)1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位 10~70モル%;
を含み、ここで上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和は100モル%である;
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルム。
【請求項3】
実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート、及び樹脂フィルムの層を有するハードコート積層フィルム。
【請求項4】
実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を有し、
上記アンカーコートが、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む、塗料からなるハードコート積層フィルム。
【請求項5】
実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、ハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を有し;
上記ハードコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む第1の塗料からなり;
上記アンカーコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む第2の塗料からなり;
下記特性(イ)、(ロ)、及び(ニ)を満たすハードコート積層フィルム。
(イ)可視光線透過率が80%以上である。
(ロ)紫外線透過率が1%以下である。
(ニ)JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を使用し、試験片をハードコート積層フィルムのハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件で1000時間の促進耐候性処理をした後、碁盤目試験を、JIS K5600-5-6:1999に従い、促進耐候性処理後のハードコート積層フィルムにハードコート面側から碁盤目の切れ込みを入れて行ったとき分類4、分類3、分類2、分類1又は分類0である。
【請求項6】
上記ハードコートが、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる;請求項5に記載のハードコート積層フィルム。
【請求項7】
請求項2~6の何れか1項に記載のハードコート積層フィルムを含むガラス外貼り用フィルム。
【請求項8】
請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐候性に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いたハードコート積層フィルム、及び窓ガラス等のガラスの屋外側に貼付して用いるガラス用フィルム(以下、「ガラス外貼り用フィルム」と略すことがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の窓ガラス、自動車のウィンドウ、及び画像表示装置のディスプレイ面板などのガラスの保護、及び飛散防止などを目的として、ハードコート積層フィルムがガラスに貼られて用いられている。従来、建築物の窓ガラスにハードコート積層フィルムを貼る場合、耐候性と耐擦傷性の観点から、屋内側に貼るのが一般的であった。しかし、屋内側に貼る場合には、屋内に作業スペースが必要になる;十分な作業スペースを確保できず、作業に制約を受けることがある;などの問題があった。そこで窓ガラスの屋外側に貼ることのできる耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性を有するハードコート積層フィルムが求められている。自動車のウィンドウ用ハードコート積層フィルムについても、同様の観点から、ウィンドウの車外側に貼ることのできる耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性が求められている。また近年、画像表示装置はカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される用途に展開されている。そこで画像表示装置のディスプレイ面板用ハードコート積層フィルムについても、このような用途に展開することのできる耐候性、好ましくは耐候性と耐擦傷性が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-231304号公報
【特許文献2】特開2016-068423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、耐候性に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いたハードコート積層フィルム、及びガラス外貼り用フィルムを提供することにある。本発明の更なる課題は、耐候性、耐擦傷性、透明性、耐黄変性、フィルム折り曲げ時の耐クラック性、及び外観に優れたハードコートを形成することのできる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いたハードコート積層フィルム、及びガラス外貼り用フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物により、上記課題を達成できることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)紫外線吸収性重合体 100質量部;及び、(B)多官能(メタ)アクリレート 20~600質量部;を含み、上記(A)紫外線吸収性重合体は、
(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位 10~60モル%;
(a2)アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位 10~50モル%;及び、
(a3)1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位 10~70モル%;
を含み、ここで上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和は100モル%である;活性エネルギー線硬化性樹脂組成物である。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコートを有するハードコート積層フィルムである。
【0008】
第3の発明は、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート、及び樹脂フィルムの層を有するハードコート積層フィルムである。
【0009】
第4の発明は、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料からなるハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を有し、上記アンカーコートが、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む、塗料からなるハードコート積層フィルムである。
【0010】
第5の発明は、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、ハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を有し;
上記ハードコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む第1の塗料からなり;
上記アンカーコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含む第2の塗料からなり;
下記特性(イ)、(ロ)、及び(ニ)を満たすハードコート積層フィルムである。
(イ)可視光線透過率が80%以上である。
(ロ)紫外線透過率が1%以下である。
(ニ)JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を使用し、試験片をハードコート積層フィルムのハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件で1000時間の促進耐候性処理をした後、碁盤目試験を、JIS K5600-5-6:1999に従い、促進耐候性処理後のハードコート積層フィルムにハードコート面側から碁盤目の切れ込みを入れて行ったとき分類4、分類3、分類2、分類1又は分類0である。
【0011】
第6の発明は、上記ハードコートが、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる;第5の発明に記載のハードコート積層フィルムである。
【0012】
第7の発明は、第2~6の発明の何れか1に記載のハードコート積層フィルムを含むガラス外貼り用フィルムである。
【0013】
第8発明は、第1の発明に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む物品である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成されるハードコートは耐候性に優れる。本発明の好ましい活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成されるハードコートは耐候性、耐擦傷性、透明性、耐黄変性、フィルム折り曲げ時の耐クラック性、及び外観に優れる。そのため本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて得られるハードコート積層フィルムは、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とするガラス外貼り用フィルムとして好適に用いることができる。そのため本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて得られるハードコート積層フィルムは、画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とするハードコート積層フィルムとして好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。「樹脂」の用語は、2以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間にアンカーコートなどの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。更に数値範囲に係る「~」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10~90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
【0016】
1.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物:
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は(A)紫外線吸収性重合体を含む。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、通常、(A)紫外線吸収性重合体、及び(B)多官能(メタ)アクリレートを含む。本明細書において(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味である。以下、各成分について説明する。
【0017】
(A)紫外線吸収性重合体:
上記成分(A)は紫外線を吸収する機能を有する重合体(樹脂又はオリゴマー)である。上記成分(A)は紫外線を吸収する機能を有し、形成されるハードコートの耐候性を高める働きをする。また上記成分(A)は重合体(樹脂又はオリゴマー)であるため、形成されるハードコートの表面にブリードアウトするなどのトラブルを抑制することができる。
【0018】
上記成分(A)は(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。上記成分(A)中の上記成分(a1)に由来する構成単位の含有量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、耐候性の観点から、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル以上、更に好ましくは15モル%以上であってよい。一方、上記成分(A)を製造する際における生産性の観点から、通常60モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下であってよい。
【0019】
上記成分(A)は好ましくは(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;(a2)アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;及び、(a3)1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位を含む。以下、各構成単位について説明する。
【0020】
(a1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレート:
上記成分(a1)は、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートである。ベンゾトリアゾール骨格は下記式(1)の構造を有する骨格である。トリアジン骨格は下記式(2)の構造を有する骨格である。ベンゾフェノン骨格は下記式(3)の構造を有する骨格である。これらの骨格は、何れも紫外線を吸収する機能を有する。理論に拘束される意図はないが、上記成分(A)の紫外線吸収機能は、上記成分(a1)に由来する構成単位中のベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格により発現していると考察される。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
上記成分(a1)の有する(メタ)アクリロイル基は、通常、(メタ)アクリロイルオキシ基である。上記成分(a1)の有する(メタ)アクリロイル基の数は、特に制限されないが、耐屈曲性の観点から、通常20個以下、好ましくは6個以下、より好ましくは3個以下、更に好ましくは1~2個であってよい。本明細書において(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0025】
上記成分(a1)としては、例えば、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(アクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メタクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐アクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐3‐tert‐ブチル‐5‐メタクリロイルオキシ-メチルフェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐3‐tert‐ブチル‐5‐アクリロイルオキシ-メチルフェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ‐3‐tert‐ブチル‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐5‐クロロ‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ‐3‐tert‐ブチル‐5‐(2‐アクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐5‐クロロ‐2H‐ベンゾトリアゾール、2-[2‐ヒドロキシ‐3‐メチル‐5‐(8‐メタクリロイルオキシ-オクチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、及び2-[2‐ヒドロキシ‐3‐メチル‐5‐(8‐アクリロイルオキシ-オクチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール骨格を有する(メタ)アクリレートをあげることができる。
【0026】
上記成分(a1)としては、例えば、2-メタクリロキシエチルカルバミド酸1-[3-ヒドロキシ-4-{4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5‐トリアジン‐2‐イル}フェニルオキシ]‐3-(2‐エチルヘキシルオキシ)‐2‐プロピル、及び2-アクリロキシエチルカルバミド酸1-[3-ヒドロキシ-4-{4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5‐トリアジン‐2‐イル}フェニルオキシ]‐3-(2‐エチルヘキシルオキシ)‐2‐プロピルなどのトリアジン骨格を有する(メタ)アクリレートをあげることができる。
【0027】
上記成分(a1)としては、例えば、2‐ヒドロキシ‐4‐(2‐メタクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(2‐アクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(4‐メタクリロイルオキシ‐ブトキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(4‐アクリロイルオキシ‐ブトキシ)ベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4‐(2‐メタクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2,2’‐ジヒドロキシ‐4‐(2‐アクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2,4‐ジヒドロキシ‐4’‐(2‐メタクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2,4‐ジヒドロキシ‐4’‐(2‐アクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4‐トリヒドロキシ‐4’‐(2‐メタクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4‐トリヒドロキシ‐4’‐(2‐アクリロイルオキシ-エトキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(3‐メタクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(3‐アクリロイルオキシ‐2‐ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2‐ヒドロキシ‐4‐(3‐メタクリロイルオキシ‐1‐ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、及び2‐ヒドロキシ‐4‐(3‐アクリロイルオキシ‐1‐ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン骨格を有する(メタ)アクリレートをあげることができる。
【0028】
これらの中で上記成分(a1)としては、上記成分(A)を製造する際の生産性の観点、及び環境問題に関する観点から、ベンゾトリアゾール骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましく、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(アクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メタクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、及び2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐アクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾールがより好ましい。
【0029】
上記成分(a1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0030】
上記成分(A)中の上記成分(a1)に由来する構成単位の含有量は、上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和を100モル%として、耐候性の観点から、通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であってよい。一方、上記成分(A)を製造する際における生産性の観点から、通常60モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは45モル%以下、更に好ましくは40モル%以下であってよい。
【0031】
(a2)アルキル(メタ)アクリレート:
上記成分(a2)は、アルキル(メタ)アクリレートであって、アルキル分岐、環状炭化水素基、又はエーテル基を有していてもよい脂肪族アルキルモノアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルである。上記脂肪族アルキルモノアルコール中の炭素数は、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは6個以下、更に好ましくは1~2個、最も好ましくは1個であってよい。上記成分(a2)は上記成分(A)と上記成分(B)との混和性を高める働きをする。
【0032】
上記成分(a2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、及びオクチル(メタ)アクリレートなどをあげることができる。これらの中で、上記成分(a2)としては、上記成分(A)と上記成分(B)との混和性の観点から、メチル(メタ)アクリレート、及びエチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0033】
上記成分(a2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0034】
上記成分(A)中の上記成分(a2)に由来する構成単位の含有量は、上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和を100モル%として、上記成分(A)と上記成分(B)との混和性の観点から、通常10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上であってよい。一方、耐屈曲性の観点から、通常50モル%以下、好ましくは45モル%以下、より好ましくは40モル%以下であってよい。
【0035】
(a3)1分子中に1個以上のイソシアネート基を有する化合物:
上記成分(a3)は、1分子中に1個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物である。上記成分(a3)は、好ましくは1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。上記成分(a3)は、好ましくは1分子中に2個以上の重合性官能基を有し、該重合性官能基の少なくとも1個がイソシアネート基である化合物である。上記成分(a3)は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化する際に上記成分(B)中の水酸基とウレタン結合を形成したり、後述するように上記成分(A)を製造する際に(a4)水酸基含有(メタ)アクリレートを更に用いる場合には、該(a4)水酸基含有(メタ)アクリレートとウレタン結合を形成したりすることにより、形成されるハードコートの耐屈曲性を高める働きをする。
【0036】
上記成分(a3)としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びメチレンビス(4‐シクロヘキシルイソシアネート)などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などのポリイソシアネート;及び、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネートなどのウレタン架橋剤などをあげることができる。
【0037】
上記成分(a3)の有するイソシアネート基以外の重合性官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、及びメルカプト基などをあげることができる。これらの中で(メタ)アクリロイル基、及びビニル基が好ましい。
【0038】
上記成分(a3)としては、例えば、2‐イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、及び1,1‐(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどの1分子中に2個以上の重合性官能基を有し、該重合性官能基の少なくとも1個がイソシアネート基である化合物をあげることができる。
【0039】
上記成分(a3)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0040】
上記成分(A)中の上記成分(a3)に由来する構成単位の含有量は、上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和を100モル%として、耐屈曲性の観点から、通常10モル%、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上であってよい。一方、耐擦傷性の観点から、通常70モル%以下、好ましくは60モル%以下、より好ましくは55モル%以下、更に好ましくは50モル%以下であってよい。
【0041】
(a4)水酸基含有(メタ)アクリレート:
上記成分(A)は好ましくは(a4)水酸基含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位を更に含む。上記成分(a4)は1分子中に1個以上の水酸基を有する(メタ)アクリレートである。上記成分(a4)は、好ましくは1分子中に1個以上の水酸基を有し、かつ1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートであってよい。上記成分(a4)は、上記成分(A)を製造する際に上記成分(a3)とウレタン結合を形成したり、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化する際に上記成分(A)中のイソシアネート基とウレタン結合を形成したりすることにより、形成されるハードコートの耐屈曲性を高める働きをする。
【0042】
上記成分(a4)としては、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン(メタ)アクリレート(下記式(4)の構造を有する化合物。)などをあげることができる。上記成分(a4)としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0043】
【0044】
式中RはH又はCH3である。mは1以上の自然数、典型的には2~4の自然数である。nは1以上の自然数、典型的には1~6の自然数である。
【0045】
上記成分(A)を製造する際の各モノマーに由来するイソシアネート基の数と各モノマーに由来する水酸基の数との関係(比)は、イソシアネート基の数を100として、水酸基の数は通常50~250、好ましくは80~200、より好ましくは100~180、更に好ましくは110~160であってよい。上記成分(A)を製造する際、上記成分(A)の特性の安定性の観点から、上記成分(a3)に由来するイソシアネート基の全てを上記成分(a4)に由来する水酸基と反応させ、ウレタン結合を形成することが好ましい。上記成分(A)中の上記成分(a4)に由来する構成単位の含有量は、上述の観点を考慮して決定される。
【0046】
上記成分(A)中の上記成分(a4)に由来する構成単位の含有量は、例えば、上記成分(a3)がヘキサメチレンジイソシアネート(1分子中に2個のイソシアネート基を有する)であり、その含有量は10モル%であり、上記成分(a4)が2‐ヒドロキシエチルアクリレート(1分子中に1個の水酸基を有する)であるとすると、通常10~50モル%、好ましくは16~40モル%、より好ましくは20~36モル%、更に好ましくは22~32モル%であってよい。ここで上記成分(a1)に由来する構成単位、上記成分(a2)に由来する構成単位、及び上記成分(a3)に由来する構成単位の和が100モル%である。
【0047】
上記成分(A)は上記成分(a1)~(a4)に由来する構成単位以外に、上記成分(a1)~(a4)の少なくとも何れか1種と共重合可能なその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含むものであってよい。上記その他の重合性モノマーは、通常、炭素・炭素二重結合を有する化合物であり、典型的にはスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン、プロピレン、及び多官能(メタ)アクリレートなどのエチレン性二重結合を有する化合物である。
【0048】
上記成分(A)中の上記成分(a1)~(a4)に由来する構成単位などの各構成単位の含有量は、
13C-NMRを使用して求めることができる。
13C-NMRスペクトルは、例えば、試料120mgをクロロホルム-d1溶媒0.6mLに溶解し、ブルカー・バイオスピン社の125MHzの核磁気共鳴装置「AVANCE3cryo‐500型(商品名)」を使用し、以下の条件で測定することができる。
図1~3に測定例を示す。
ケミカルシフト基準 装置による自動設定
測定モード シングルパルス逆ゲート付きデカップリング
パルス幅 45°(5.0μ秒)
ポイント数 64K
測定範囲 250ppm(-25~225ppm)
繰り返し時間 30.0秒
積算回数 512回
測定温度 25℃
ウィンドウ関数 exponential(BF:2.00Hz)
【0049】
ピークの帰属は、「高分子分析ハンドブック(2008年9月20日初版第1刷、社団法人日本分析化学会高分子分析研究懇談会編、株式会社朝倉書店)」や「独立行政法人物質・材料研究機構材料情報ステーションのNMRデータベース(http://polymer.nims.go.jp/NMR/)」を参考に行い、ピーク面積比から上記成分(A)中の各構成単位の割合を算出することができる。なお13C-NMRの測定は、株式会社三井化学分析センターなどの分析機関において行うこともできる。
【0050】
上記成分(A)を製造する方法は、特に制限されず、公知のアクリル系重合体の製造方法を使用することができる。また上記成分(A)を製造する際には、所望に応じて、公知の触媒を添加してもよい。
【0051】
上記成分(A)は、2種以上の紫外線吸収性重合体を含む混合物であってよい。混合物である場合は、混合物として上記成分(a1)~(a3)に由来する構成単位の含有量が上述の範囲になるように、好ましくは混合物を組成する各重合体の上記成分(a1)~(a3)に由来する構成単位の含有量が各々上述の範囲になるようにすればよい。
【0052】
(B)多官能(メタ)アクリレート:
上記成分(B)は1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートである。上記成分(B)は紫外線や電子線などの活性エネルギー線により硬化してハードコートを形成する働きをする。
【0053】
上記成分(B)としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有2官能反応性モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、及びペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有3官能反応性モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有4官能反応性モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有6官能反応性モノマー;トリペンタエリスリトールオクタアクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有8官能反応性モノマー;及び、これらの1種以上を構成モノマーとする重合体(オリゴマーやプレポリマー)をあげることができる。上記成分(B)としては、耐擦傷性の観点から、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。上記成分(B)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0054】
上記成分(B)の配合量は、上記成分(A)の配合量を100質量部として、耐擦傷性の観点から、通常20質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは80質量部以上、最も好ましくは100質量部以上であってよい。一方、耐候性の観点から、通常600質量部以下、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下、更に好ましくは200質量部以下、最も好ましくは150質量部以下であってよい。
【0055】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び/又は光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
【0056】
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、及びメチレンビス(4‐シクロヘキシルイソシアネート)などの1分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、及びヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などのポリイソシアネート;及び、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネートなどのウレタン架橋剤などをあげることができる。上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。また、架橋の際には、所望に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエートなどの触媒を添加してもよい。
【0057】
上記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、4-メチルベンゾフェノン、4、4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系化合物;アセトフェノン、2、2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン系化合物;チオキサントン、2、4-ジエチルチオキサントン、2、4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;アセトフェノンジメチルケタール等のアルキルフェノン系化合物;トリアジン系化合物;ビイミダゾール化合物;アシルフォスフィンオキサイド系化合物;チタノセン系化合物;オキシムエステル系化合物;オキシムフェニル酢酸エステル系化合物;ヒドロキシケトン系化合物;2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルフォリノプロパン‐1‐オンなどのチオフェニル系化合物;及び、アミノベンゾエート系化合物などをあげることができる。これらの中でアセトフェノン系化合物が好ましい。上記光重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0058】
上記光重合開始剤の配合量は、上記成分(A)と上記成分(B)の配合量の和を100質量部として、形成されるハードコートが黄変着色したものにならないようにする観点から、通常10質量部以下、好ましくは7質量部以下、より好ましくは5質量部以下であってよい。一方、光重合開始剤の使用効果を確実に得る観点から、通常0.1質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であってよい。
【0059】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、所望に応じて、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、赤外線遮蔽剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、着色剤、無機粒子、及び有機粒子などの添加剤を1種又は2種以上含ませることができる。
【0060】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、耐擦傷性の観点から、好ましくは無機粒子を含まないものであってよい。理論に拘束される意図はないが、無機粒子(例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、及び酸化セリウム等の金属酸化物粒子;弗化マグネシウム、及び弗化ナトリウム等の金属弗化物粒子;金属硫化物粒子;金属窒化物粒子;及び金属粒子;など。)は上記成分(A)及び上記成分(B)などの樹脂成分との相互作用が弱く、耐擦傷性を不十分なものにする原因になっていると考察している。ここで無機粒子を「含まない」とは、有意な量の無機粒子を含んではいないという意味である。ハードコート形成用塗料の分野において、無機粒子の有意な量は、上記成分(A)と上記成分(B)の配合量の和100質量部に対して、通常1質量部程度以上である。従って、無機粒子を「含まない」とは、上記成分(A)と上記成分(B)の100質量部に対して、無機粒子の量が通常1質量部未満、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下、更に好ましくは0.01質量部以下と言い換えることもできる。
【0061】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含ませることができる。上記溶剤は上記成分(A)、上記成分(B)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール、酢酸エチル、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0062】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
【0063】
2.ハードコート積層フィルム:
本発明のハードコート積層フィルムは、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成されたハードコート(以下、「第1ハードコート」と呼ぶことがある。)を少なくとも1層有するハードコート積層フィルムである。本発明のハードコート積層フィルムは、通常、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1ハードコート、及び樹脂フィルムの層を有する。ここで実使用状態とは、ハードコート積層フィルムが各種物品の部材として用いられた状態をいう。
【0064】
2-1.第1ハードコート:
第1ハードコート形成用塗料、即ち本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物については上述した。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて第1ハードコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。
【0065】
上記第1ハードコートの厚みは、特に制限されないが、耐候性、及び耐擦傷性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であってよい。一方、本発明のハードコート積層フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
【0066】
2-2.樹脂フィルムの層:
上記樹脂フィルムの層は、任意の樹脂フィルムからなり、上記第1ハードコートを形成するためのフィルム基材となる層である。上記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂;芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリ(メタ)アクリルイミド系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体、及びスチレン・エチレン・エチレン・プロピレン・スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;セロファン、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、及びアセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリフッ化ビニリデンなどの含弗素系樹脂;その他、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ナイロン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン;などの樹脂フィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
【0067】
本発明のハードコート積層フィルムを透明性が必要とされる用途、例えば、建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とするガラス外貼り用フィルム;画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とするハードコート積層フィルムとして用いる場合には、上記樹脂フィルムとしては、高い透明性を有するものが好ましく、高い透明性を有し、かつ着色のない透明樹脂フィルムがより好ましい。
【0068】
上記透明樹脂フィルムの全光線透過率(JIS K7361-1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を用いて測定。)は、通常80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上であってよい。全光線透過率は高い方が好ましい。
【0069】
上記透明樹脂フィルムの黄色度指数(JIS K7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec-3700(商品名)」を用いて測定。)は、通常5以下、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下であってよい。黄色度指数は低い方が好ましい。
【0070】
上記透明樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロースエステル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;エチレンノルボルネン共重合体等の環状炭化水素系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、及びビニルシクロヘキサン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のアクリル系樹脂;芳香族ポリカーボネート系樹脂;ポリプロピレン、及び4-メチル-ペンテン-1等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリマー型ウレタンアクリレート系樹脂;及びポリイミド系樹脂;などのフィルムをあげることができる。これらのフィルムは無延伸フィルム、一軸延伸フィルム、及び二軸延伸フィルムを包含する。またこれらのフィルムは、これらの1種又は2種以上を、2層以上積層した積層フィルムを包含する。
【0071】
本発明のハードコート積層フィルムを透明性が必要とされない用途、例えば、化粧シート、加飾フィルムなどに用いる場合には、上記樹脂フィルムは着色されたものであってもよく、不透明なものであってもよく、透明なものであってもよい。
【0072】
上記樹脂フィルムの厚みは、特に制限されず、所望により任意の厚みにすることができる。本発明のハードコート積層フィルムを高い剛性を必要としない用途に用いる場合には、取扱性の観点、及びガラス飛散防止フィルムとしての規格に適合させる観点から、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であってよい。一方、経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下であってよい。本発明のハードコート積層フィルムを高い剛性を必要とする用途に用いる場合には、通常200μm以上、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上であってよい。また物品の薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下であってよい。
【0073】
2-3.アンカーコート:
本発明のハードコート積層フィルムは、好ましくは、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1ハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を有する。
【0074】
上記アンカーコートを形成するためのアンカーコート剤としては、特に制限されず、任意のアンカーコート剤を用いることができる。上記アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、及びポリエステルウレタン系のアンカーコート剤をあげることができる。上記アンカーコート剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0075】
上記アンカーコート剤は、好ましくは(P)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(樹脂又はオリゴマー)を含む。上記アンカーコート剤は、より好ましくは上記成分(P)を主として(固形分の通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上)含む。このようなアンカーコート剤を用いることにより、耐候性を更に高めることができる。
【0076】
(P)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体:
上記成分(P)は紫外線を吸収する機能を有する重合体(樹脂又はオリゴマー)である。上記成分(P)は紫外線を吸収する機能を有し、耐候性を高める働きをする。また上記成分(P)は熱又は活性エネルギー線により硬化し、アンカーコートを形成する働きをする。
【0077】
上記成分(P)は(p1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む。上記成分(P)中の上記成分(p1)に由来する構成単位の含有量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、耐候性の観点から、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、より好ましくは7モル以上、更に好ましくは10モル%以上であってよい。一方、密着性の観点、及び硬化性の観点から、通常50モル%以下、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下であってよい。
【0078】
上記成分(P)としては、例えば、(p1)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;(p2)アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;及び、(p3)水酸基含有(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体をあげることができる。
【0079】
上記成分(p1)は、上記成分(a1)として説明したものと同じ化合物である。上記成分(p1)は耐候性を高める働きをする。上記成分(p1)の具体例については上述した。これらの中で上記成分(p1)としては、上記成分(P)を製造する際の生産性の観点、及び環境問題に関する観点から、ベンゾトリアゾール骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましく、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(アクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール、2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐メタクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール、及び2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐アクリロイルオキシ-フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾールがより好ましい。上記成分(p1)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0080】
上記成分(P)中の上記成分(p1)に由来する構成単位の含有量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、耐候性の観点から、通常1モル%以上、好ましくは3モル%以上、より好ましくは7モル以上、更に好ましくは10モル%以上であってよい。一方、密着性の観点、及び硬化性の観点から、通常50モル%以下、好ましくは40モル%以下、より好ましくは30モル%以下、更に好ましくは20モル%以下であってよい。
【0081】
上記成分(p2)は、上記成分(a2)として説明したものと同じ化合物である。上記成分(p2)は、第1ハードコートとの密着性を高める働きをする。上記成分(p2)の具体例については上述した。これらの中で上記成分(p2)としては、密着性の観点から、メチル(メタ)アクリレート、及びエチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。上記成分(p2)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0082】
上記成分(P)中の上記成分(p2)に由来する構成単位の含有量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、密着性の観点から、通常30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル以上、更に好ましくは65モル%以上であってよい。一方、耐候性の観点、及び硬化性の観点から、通常95モル%以下、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、更に好ましくは80モル%以下であってよい。
【0083】
上記成分(p3)は、上記成分(a4)として説明したものと同じ化合物である。上記成分(p3)は、上記成分(P)の硬化性を高める働きをする。上記成分(p3)の具体例については上述した。上記成分(p3)としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0084】
上記成分(P)中の上記成分(p3)に由来する構成単位の含有量は、全構成モノマーに由来する構成単位の総和を100モル%として、硬化性の観点から、通常1モル%以上、好ましくは4モル%以上、より好ましくは6モル%以上、更に好ましくは8モル%以上であってよい。一方、耐候性の観点、及び密着性の観点から、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは15モル%以下であってよい。
【0085】
上記成分(P)は上記成分(p1)~(p3)に由来する構成単位以外に、上記成分(p1)~(p3)の少なくとも何れか1種と共重合可能なその他の重合性モノマーに由来する構成単位を含むものであってよい。上記その他の重合性モノマーは、通常、炭素・炭素二重結合を有する化合物であり、典型的にはスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン、プロピレン、及び多官能(メタ)アクリレートなどのエチレン性二重結合を有する化合物である。
【0086】
上記成分(P)中の上記成分(p1)~(p3)に由来する構成単位などの各構成単位の含有量は、
13C-NMRを使用して求めることができる。測定方法については上述した。
図4に測定例を示す。
【0087】
上記成分(P)を製造する方法は、特に制限されず、公知のアクリル系重合体の製造方法を使用することができる。また上記成分(P)を製造する際には、所望に応じて、公知の触媒を添加してもよい。
【0088】
上記成分(P)は、2種以上の紫外線吸収性重合体を含む混合物であってよい。混合物である場合は、混合物として上記成分(p1)~(p3)に由来する構成単位の含有量が上述の範囲になるように、好ましくは混合物を組成する各重合体の上記成分(p1)~(p3)に由来する構成単位の含有量が各々上述の範囲になるようにすればよい。
【0089】
上記アンカーコート剤には、熱又は活性エネルギー線による硬化性を良好にする観点から、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物及び/又は光重合開始剤を更に含ませることが好ましい。
【0090】
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物については、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の説明において上述した。上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0091】
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を使用する場合、その配合量は、上記アンカーコート剤中の水酸基の数を100として、イソシアネート基の数が通常40~200、好ましくは50~125、より好ましくは56~100、更に好ましくは63~91となるように決めることが好ましい。
【0092】
上記1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物を使用する場合、その配合量は、上記成分(P)100質量部に対して、通常1~50質量部、好ましくは3~25質量部、より好ましくは5~15質量部であってよい。
【0093】
上記光重合開始剤については、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の説明において上述した。上記光重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0094】
上記アンカーコート剤には、本発明の目的に反しない限度において、所望に応じて、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、赤外線遮蔽剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、着色剤、無機粒子、及び有機粒子などの添加剤を1種又は2種以上含ませることができる。
【0095】
上記アンカーコート剤には、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含ませることができる。上記溶剤は上記成分(P)、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール、酢酸エチル、酢酸nブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0096】
上記アンカーコート剤は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
【0097】
上記アンカーコート剤を用いて上記アンカーコートを形成する方法は特に制限されず、公知のウェブ塗布方法を使用することができる。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアナイフコート、及びダイコートなどの方法をあげることができる。
【0098】
上記アンカーコートの厚みは、特に制限されないが、上記第1ハードコートや上記樹脂フィルムとの密着性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であってよい。上記アンカーコート剤が上記成分(P)を含むものである場合には、耐候性の観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは2.5μm以上であってよい。一方、本発明のハードコート積層フィルムの耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
【0099】
本発明のハードコート積層フィルムの可視光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは88%以上、最も好ましくは90%以上であってよい。可視光線透過率は高いほど好ましい。このようなハードコート積層フィルムは建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とするガラス外貼り用フィルムとして好適に用いることができる。このようなハードコート積層フィルムは、画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とするハードコート積層フィルムとして好適に用いることができる。
【0100】
上記可視光線透過率は、JIS A5759:2016の6.4可視光線透過率試験に準拠し、ハードコート積層フィルムの第1ハードコート側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で測定した。
【0101】
本発明のハードコート積層フィルムの紫外線透過率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下であってよい。紫外線透過率は低いほど好ましい。このようなハードコート積層フィルムは、非常に優れた耐候性を有すると期待できる。
【0102】
上記紫外線透過率は、JIS A5759:2016の6.7紫外線透過率試験に準拠し、ハードコート積層フィルムの第1ハードコート側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で測定した。
【0103】
本発明のハードコート積層フィルムは下記実施例の試験(ニ)に従い1000時間の促進耐候性試験後の碁盤目試験を行ったとき、好ましくは分類4、分類3、分類2、分類1又は分類0;より好ましくは分類3、分類2、分類1又は分類0;更に好ましくは分類2、分類1又は分類0;更により好ましくは分類1又は分類0;最も好ましくは分類0であってよい。各層間の密着性がこのような耐候性を有することにより、本発明のハードコート積層フィルムは建築物の窓ガラス、及び自動車のウィンドウなどの保護、飛散防止、紫外線遮蔽、及び赤外線遮蔽などを目的とするガラス外貼り用フィルムとして好適に用いることができる。画像表示装置、特にカーナビゲーション、及びデジタルサイネージなどの太陽光の直射を受ける場所で使用される画像表示装置のディスプレイ面板の保護、及び飛散防止などを目的とするハードコート積層フィルムとして好適に用いることができる。
【0104】
3.ガラス外貼り用フィルム:
本発明のガラス外貼り用フィルムは、第1ハードコートを少なくとも1層有するハードコート積層フィルムであって、窓ガラス等のガラスの屋外側に貼付して用いるハードコート積層フィルムである。本発明のガラス外貼り用フィルムとしては、例えば、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1ハードコート、アンカーコート、樹脂フィルムの層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、樹脂フィルムの層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、アンカーコート、樹脂フィルムの層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、樹脂フィルムの層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、アンカーコート、機能層、樹脂フィルムの層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、機能層、樹脂フィルムの層、及び粘着剤層を有するもの;第1ハードコート、アンカーコート、機能層、樹脂フィルムの層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;及び、第1ハードコート、機能層、樹脂フィルムの層、機能層、及び粘着剤層を有するもの;などをあげることができる。
【0105】
上記第1ハードコート、上記アンカーコート、及び上記樹脂フィルムの層については、本発明のハードコート積層フィルムの説明において上述した。
【0106】
上記粘着剤層は、本発明のガラス外貼り用フィルムをガラスに貼合させる働きをする。上記粘着剤層の形成に用いる粘着剤としては、ガラスに対して十分な粘着力を有すること以外は制限されず、任意の粘着剤を用いることができる。上記粘着剤としては、ガラスに対して十分な粘着力を有し、かつ透明な透明粘着剤が好ましい。上記透明粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びシリコン系粘着剤などをあげることができる。上記透明粘着剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0107】
上記粘着剤には、本発明の目的に反しない限度において、粘着剤成分以外の任意成分を、所望に応じて、更に含ませることができる。上記任意成分としては、例えば、光重合開始剤、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物、帯電防止剤、界面活性剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、顔料、無機粒子、及び有機粒子などの添加剤をあげることができる。上記任意成分の配合量は、粘着剤成分を100質量部として、通常0.01~10質量部程度である。
【0108】
上記粘着剤は紫外線吸収剤を含むものであってよい。粘着強度の耐候性を高めることができる。上記紫外線吸収剤の配合量は、粘着剤のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.05~2質量部、更に好ましくは0.1~1質量部程度であってよい。あるいは他の実施形態において、上記紫外線吸収剤の配合量は、粘着剤のベース樹脂100質量部に対して、好ましくは1~50質量部、より好ましくは5~30質量部、更に好ましくは10~25質量部であってよい。これは、例えば、外開き窓、観音開き窓などの開き窓では、窓が開かれたとき、通常は(窓を閉めた状態では)屋内側となる面の側から太陽光を受けることがあることを考慮したものである。
【0109】
上記粘着剤層の厚みは、特に制限されないが、粘着強度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは20μm以上であってよい。一方、薄肉化の観点から、通常100μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下であってよい。
【0110】
上記粘着剤層を形成する方法は、特に制限されず、任意の方法であってよい。上記方法としては、例えば、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法を用い、ガラス外貼り用フィルムの粘着剤層形成面の上に、直接又はアンカーコートを介して、上記粘着剤層を形成する方法をあげることができる。上記方法としては、例えば、任意のフィルム基材(例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムや二軸延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムなど。)の面の上に、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法を用いて粘着剤層を形成し、これをガラス外貼り用フィルムの粘着剤層形成面の上に、直接又はアンカーコートを介して、転写する方法をあげることができる。
【0111】
上記機能層としては、例えば、赤外線遮蔽、赤外線反射、電磁波遮蔽、電磁波反射、視界制御(目隠し)、及び視野角制御などの機能を有するものをあげることができる。
【0112】
上記機能層は1層に限らず、2層以上であってよい。上記機能層が2層以上である場合、その種類は1種に限らず2種以上であってよい。
【0113】
上記機能層の厚みは、付与しようとする機能、及び層の形成方法などを勘案し、適宜選択される。
【0114】
図5は本発明のガラス外貼り用フィルムの一例を示す断面の概念図である。実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1ハードコート1、アンカーコート2、樹脂フィルムの層3、赤外線遮蔽機能を有する塗膜4、及び粘着剤層5を有している。
【0115】
本発明のガラス外貼り用フィルムは上述の通り、良好な特性を有するものであるから、建築物の窓ガラス、自動車のウィンドウ、及び画像表示装置のディスプレイ面板などのガラスを代替する透明樹脂板(積層体を含む。)に対しても、同様に好適に用いることができることは、当業者であれば直ちに理解するであろう。
【0116】
4.物品:
本発明の物品は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む。本発明の物品は、通常は、その表面に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料を用いて形成されたハードコートを有する。該ハードコートは、典型的には、本発明の物品の表面であって、特に太陽光の直射を受ける部分に形成される。そのため本発明の物品は、耐候性に優れる。
【0117】
本発明の物品は、例えば、所望の形状に任意の方法で成形された樹脂製の基体の表面に、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料を用いてハードコートを形成することにより生産することができる。
【0118】
本発明の好ましい物品は、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び(P)1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(樹脂又はオリゴマー)を含むアンカーコート剤を含む。該アンカーコート剤については、本発明のハードコート積層フィルムの説明において上述した。本発明の好ましい物品は、通常は、その表面に上記重合体(P)を含むアンカーコート剤を用いて形成されたアンカーコート、更にその上に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料を用いて形成されたハードコートを有する。該ハードコート及び上記アンカーコートは、典型的には、本発明の好ましい物品の表面であって、特に太陽光の直射を受ける部分に形成される。そのため本発明の好ましい物品は、耐候性に特に優れる。
【0119】
本発明の好ましい物品は、例えば、上記基体の表面に、上記重合体(P)を含むアンカーコート剤を用いてアンカーコートを形成し、更にその上に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含む塗料を用いてハードコートを形成することにより生産することができる。
【0120】
上記基体を生産する方法は、特に制限されない。上記基体を生産する方法としては、例えば、任意の樹脂シートをメンブレンプレス成形、圧空プレス成形、真空成形、及び真空圧空成形などの所謂三次元成形する方法;任意の熱可塑性樹脂を射出成形(インサート成形を含む。)、ブロー成形、又は押出成形する方法;任意の硬化性樹脂を、所望の形状の型に注入し、硬化させる方法;などをあげることができる。
【0121】
上記ハードコートを形成する方法は特に制限されず、公知の方法を使用することができる。上記ハードコートを形成する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法をあげることができる。また塗工は1回に限らず、2回以上繰り返してもよい。更に本発明の物品のハードコート形成箇所が平面的なものである場合には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、及びダイコートなどの方法を適用してもよい。
【0122】
上記ハードコートの厚みは、特に制限されないが、耐候性、及び耐擦傷性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは1.5μm以上であってよい。一方、本発明の物品の生産性の観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
【0123】
上記アンカーコートを形成する方法は特に制限されず、公知の方法を使用することができる。上記アンカーコートを形成する方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法をあげることができる。また塗工は1回に限らず、2回以上繰り返してもよい。更に本発明の物品のアンカーコート形成箇所が平面的なものである場合には、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、及びダイコートなどの方法を適用してもよい。
【0124】
上記アンカーコートの厚みは、特に制限されないが、密着性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上であってよい。耐候性の観点から、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上、最も好ましくは2.5μm以上であってよい。一方、本発明の物品の生産性の観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下であってよい。
【0125】
本発明の物品としては、特に制限されないが、例えば、自動車、及びそのインスツルメントパネル、シフトノブ、ウィンドウ、並びに風防などの部材;建築物の窓や扉など;スマートフォン、タブレット、端末、カーナビ、デジタルカメラ、及びパソコンなどの情報電子機器、並びにその筐体などの部材;テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、及びエアコンなどの家電製品、並びにその筐体、扉体、蓋体などの部材;食器棚や衣装棚などの物品、及びにその扉体や蓋体などの部材;太陽電池、及びその筐体や前面板などの部材;及び、これらの物品(物品の部材を含む。)に用いる部材;などをあげることができる。
【0126】
別の実施形態において、本発明は以下のハードコート積層フィルムを提供する:
実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、ハードコート、アンカーコート、及び樹脂フィルムの層を含み;
上記ハードコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(上述された重合体と同様のものが例示される)を含む第1の塗料(無機粒子を含まないものであってよい)から形成されており;
上記アンカーコートは、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体(上述された重合体と同様のものが例示される)を含む第2の塗料から形成されており;
下記特性(イ)、(ロ)、及び(ニ)の少なくとも何れか1を満たすハードコート積層フィルム。
(イ)可視光線透過率(上述の方法により測定が80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上である。
(ロ)紫外線透過率(上述の方法により測定)が1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。
(ニ)JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を使用し、試験片をハードコート積層フィルムのハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件で1000時間の促進耐候性処理をした後、碁盤目試験を、JIS K5600-5-6:1999に従い、促進耐候性処理後のハードコート積層フィルムにハードコート面側から碁盤目の切れ込みを入れて行ったとき分類4、分類3、分類2、分類1又は分類0である。
【実施例0127】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0128】
測定方法
(イ)可視光線透過率:
JIS A5759:2016の6.4可視光線透過率試験に準拠し、ハードコート積層フィルム又はガラス外貼り用フィルムの第1ハードコート側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で測定した。
【0129】
(ロ)紫外線透過率:
JIS A5759:2016の6.7紫外線透過率試験に準拠し、ハードコート積層フィルム又はガラス外貼り用フィルムの第1ハードコート側の面とは反対側の面を板ガラスとの貼合面とし、試験片のフィルム面を光源に向ける条件で測定した。
【0130】
(ハ)碁盤目試験(密着性):
JIS K 5600-5-6:1999に従い、ハードコート積層フィルムに第1ハードコート面側から碁盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを碁盤目へ貼り付けて指でしごいた後、剥がした。評価基準はJISの上記規格の表1に従った。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は数箇所の目が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥れの程度が分類4を超える場合。
【0131】
(ニ)促進耐候性試験後の碁盤目試験(耐候密着性):
JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるスガ試験機株式会社のサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)「サンシャインウェザーメーター S300(商品名)」を使用し、試験片をガラス外貼り用フィルムの第1ハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件、即ち、放射照度255±25.5W/m2(ガラス製フィルタの仕様は、分光透過率 275nmで2%以下、400nmで90%以上)、120分毎に18分間の水噴霧、ブラックパネル温度63±3℃、及び相対湿度50±5%の条件で1000時間処理した後、上記試験(ハ)に従い碁盤目試験を行った。
【0132】
(ホ)耐スチールウール試験:
ハードコート積層フィルムを、第1ハードコートが表面になるようにJIS L0849:2013の学振形試験機(摩擦試験機2形)に置いた。続いて、学振形試験機の摩擦端子に#0000のスチールウールを取り付けた後、30g荷重を載せ、摩擦端子の移動速度300mm/分、移動距離30mmの条件で、試験片の表面を往復5回擦った後、当該摩擦箇所を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷がない
○:1~5本の傷がある
△:6~15本の傷がある
×:16本以上の傷がある
【0133】
(へ)鉛筆硬度:
JIS K5600-5-4:1999に従い、200g荷重の条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用い、ハードコート積層フィルムの第1ハードコート面について測定した。
【0134】
(ト)黄色度指数;
JIS K7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec-3700(商品名)」を用いて測定した。
【0135】
(チ)促進耐候性試験後の黄色度指数(耐黄変性):
JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるスガ試験機株式会社のサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)「サンシャインウェザーメーター S300(商品名)」を使用し、試験片をハードコート積層フィルムの第1ハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件、即ち、放射照度255±25.5W/m2(ガラス製フィルタの仕様は、分光透過率 275nmで2%以下、400nmで90%以上)、120分毎に18分間の水噴霧、ブラックパネル温度63±3℃、及び相対湿度50±5%の条件で2000時間処理した後、上記試験(ト)に従い黄色度指数を測定した。
【0136】
(リ)マンドレル試験(耐クラック性の指標):
JIS K5600-5-1:1999に準拠し、ハードコート積層フィルムからハードコート積層フィルムのマシン方向100mm×横方向50mmとなるように採取したサンプルを用い、円筒形マンドレル法による耐屈曲性試験を行った。割れの起こらなかったマンドレルのうち直径が最小のマンドレルの直径を求めた。以下の基準で評価した。
◎:10mm以下。
○:12mm、16mm、又は20mm。
△:25mm、又は32mm。
×:マンドレルの直径が32mmでも割れが生じる。
【0137】
(ヌ)表面平滑性(表面外観):
ハードコート積層フィルムの表面(両方の面)を、蛍光灯の光の入射角をいろいろと変えて当てながら目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:表面にうねりや傷がない。間近に光を透かし見ても、曇感がない。
○:間近に光を透かし見ると、僅かな曇感のある箇所がある。
△:間近に見ると、表面にうねりや傷を僅かに認める。また曇感がある。
×:表面にうねりや傷を多数認めることができる。また明らかな曇感がある。
【0138】
(ル)粘着力:
試験板として株式会社テストピースのJIS R3202:2011に規定するフロート板ガラス(厚さ3mm)を使用し、JIS A 5759:2008に従い、300mm/分の速度で、温度23℃における、試験板に対する180度引き剥がし粘着力を測定した。
【0139】
(ヲ)促進耐候性試験後の粘着力(耐候粘着力):
JIS A5759:2016の6.10耐候性に準拠し、JIS B7753:2007に規定されるスガ試験機株式会社のサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機(SWOM)「サンシャインウェザーメーター S300(商品名)」を使用し、試験片をガラス外貼り用フィルムの第1ハードコート側の面が照射面となるようにセットし、JIS A5759:2016の6.10耐候性の表11に示される条件、即ち、放射照度255±25.5W/m2(ガラス製フィルタの仕様は、分光透過率 275nmで2%以下、400nmで90%以上)、120分毎に18分間の水噴霧、ブラックパネル温度63±3℃、及び相対湿度50±5%の条件で2000時間処理した後、上記試験(ル)に従い粘着力を測定した。
【0140】
使用した原材料
(A)紫外線吸収性重合体:
(A-1)2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール 58質量部(36モル%)、メチルメタクリレート 17質量部(34モル%)、ヘキサメチレンジイソシアネート 9質量部(10モル%)、2‐イソシアナトエチルメタクリレート 16質量部(20モル%)、及び2‐ヒドロキシエチルアクリレート 37質量部(57モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させて紫外線吸収性重合体(A-1)を得た。
【0141】
(A-2)2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール 47質量部(29モル%)、メチルメタクリレート 8質量部(17モル%)、ヘキサメチレンジイソシアネート 32質量部(38モル%)、2‐イソシアナトエチルメタクリレート 13質量部(17モル%)、及び2‐ヒドロキシエチルアクリレート 84質量部(128モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させて紫外線吸収性重合体(A-2)を得た。
【0142】
(A-3)2‐[2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐メタクリロイルオキシ‐エチル)フェニル]‐2H‐ベンゾトリアゾール 59質量部(35モル%)、メチルメタクリレート 24質量部(45モル%)、ヘキサメチレンジイソシアネート 9質量部(10モル%)、2‐イソシアナトエチルメタクリレート 8質量部(10モル%)、及び2‐ヒドロキシエチルアクリレート 22質量部(42モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させて紫外線吸収性重合体(A-3)を得た。
【0143】
(B)多官能(メタ)アクリレート:
(B-1)日本化薬株式会社のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート「KAYARAD DPHA(商品名)」。
(B-2)ペンタエリスリトールトリアクリレート。
【0144】
(C)光重合開始剤:
(C-1)BASF社のアルキルフェノン系光重合開始剤(1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル-ケトン)「イルガキュア184(商品名)」。
【0145】
(P)アンカーコート用重合体:
(P-1)2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(メタクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール 32質量部(14モル%)、メチルメタクリレート 54質量部(76モル%)、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート 5質量部(5モル%)、及びカプロラクトンメタクリレート 9質量部(5モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させてアンカーコート用重合体(P-1)を得た。
【0146】
(P-2)2‐(2‐ヒドロキシ‐5‐(2‐(メタクリロイルオキシ)‐エチル)フェニル)‐2H‐ベンゾトリアゾール 20質量部(8モル%)、メチルメタクリレート 65質量部(82モル%)、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート 5質量部(5モル%)、及びカプロラクトンメタクリレート 10質量部(5モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させてアンカーコート用重合体(P-2)を得た。
【0147】
(P-3)メチルメタクリレート 83質量部(90モル%)、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート 6質量部(5モル%)、及びカプロラクトンメタクリレート 11質量部(5モル%)を還流冷却器及び撹拌装置を備えた反応器に入れ、希釈溶剤としてのメチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)、及び触媒としての2,2’アゾビスイソブチロニトリルと共に窒素雰囲気下、温度70~80℃で10時間反応させてアンカーコート用重合体(P-3)を得た。
【0148】
(Q)1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物:
(Q-1)東ソー株式会社の「コロネートHX(商品名)」。
【0149】
(R)アンカーコート剤(アンカーコート形成用塗料):
(R-1)上記成分(P-1)を固形分換算で100質量部、及び上記成分(Q-1)10質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)を用いて固形分濃度50質量%に希釈して得た塗料。
【0150】
(R-2)上記成分(P-2)を固形分換算で100質量部、及び上記成分(Q-1)10質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)を用いて固形分濃度50質量%に希釈して得た塗料。
【0151】
(R-3)上記成分(P-3)を固形分換算で100質量部、及び上記成分(Q-1)12質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)を用いて固形分濃度50質量%に希釈して得た塗料。
【0152】
(S)粘着剤層形成用塗料:
(S-1)トーヨーケム株式会社のアクリル系粘着剤「オリバインBPS5296(商品名)」100質量部、トーヨーケム株式会社のイソシアネート系硬化剤「オリバインBXX4773(商品名)」0.5質量部(固形分換算0.2質量部)、シプロ化成株式会社のベンゾフェノン系紫外線吸収剤(2,2’,4,4’‐テトラヒドロキシベンゾフェノン)「SEESORB106(商品名)」20質量部、及び酢酸エチル70質量部を混合攪拌して得た塗料。
【0153】
例1
1.活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製:
上記成分(A-1)を固形分換算で100質量部、上記成分(B-1)65質量部、上記成分(B-2)40質量部、及び上記成分(C-1)10質量部を混合攪拌し、メチルエチルケトン・酢酸nブチル・トルエン混合溶剤(容積比1:1:2)を用いて固形分濃度50質量%に希釈し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0154】
2.ハードコート積層フィルムの製造:
(1)東レ株式会社の厚み50μmの両面易接着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム「ルミラー(商品名)」の片面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記アンカーコート形成用塗料(R-1)を硬化後の厚みが3μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥、硬化してアンカーコートを形成した。
(2)次に上記工程(1)で形成したアンカーコートの面の上に、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記1で得た活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化後の厚みが2μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥した後、紫外線を照射してハードコートを形成し、ハードコート積層フィルムを得た。上記試験(イ)~(ヌ)を行った。結果を表1に示す。なお表中「HC」とは活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、又は該組成物からなるハードコートを意味する。「AC塗料」とはアンカーコート形成用塗料を意味する。「結果1」とはハードコート積層フィルムの評価結果を意味する。「結果2」とはガラス外貼り用フィルムの評価結果を意味する。
【0155】
3.ガラス外貼り用フィルムの製造:
上記2.で得たハードコート積層フィルムの樹脂フィルムのアンカーコート形成面とは反対側の面の上に、ロールコーターを使用し、上記粘着剤層形成用塗料(S-1)を乾燥厚みが25μmとなるように塗布し、乾燥炉で乾燥して粘着剤層を形成し、実使用状態において太陽光が入射する側の表面から順に、第1ハードコート、アンカーコート、樹脂フィルムの層、及び粘着剤層を有するガラス外貼り用フィルムを得た。上記試験(イ)、(ロ)、(ル)、及び(ヲ)を行った。結果を表1に示す。
【0156】
例2
上記成分(A-1)の代わりに上記成分(A-2)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0157】
例3
上記成分(A-1)の代わりに上記成分(A-3)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0158】
例4~7
上記成分(B)多官能(メタ)アクリレートの種類及び配合量、並びに上記成分(C-1)光重合開始剤の配合量を表1又は2に示すように変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表1又は2に示す。
【0159】
例8~10
第1ハードコートの厚み又は/及びアンカーコートの厚みを表2に示すように変更したこと以外は、例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0160】
例11
上記アンカーコート形成用塗料(R-1)の代わりに上記アンカーコート形成用塗料(R-2)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0161】
例12
上記アンカーコート形成用塗料(R-1)の代わりに上記アンカーコート形成用塗料(R-3)を用いたこと以外は、例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0162】
例13
第1ハードコートの厚みを5μmに変更し、アンカーコートを形成しなかったこと以外は、例1と同様に行った。結果を表2に示す。
【0163】
【0164】
【0165】
本発明のハードコート積層フィルム及びガラス外貼り用フィルムは耐候性に優れる。本発明の好ましいハードコート積層フィルム及び好ましいガラス外貼り用フィルムは耐候性、耐擦傷性、透明性、耐黄変性、フィルム折り曲げ時の耐クラック性、及び外観に優れる。
上記ハードコートが、1分子中にベンゾトリアゾール骨格、トリアジン骨格、及びベンゾフェノン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を1個以上有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体を含み、かつ無機粒子を含まない塗料からなる;請求項1又は2に記載のハードコート積層フィルム。