(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022174096
(43)【公開日】2022-11-22
(54)【発明の名称】複数の光触媒リアクタセルを有する光触媒リアクタ
(51)【国際特許分類】
B01J 19/12 20060101AFI20221115BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20221115BHJP
【FI】
B01J19/12 C
B01J35/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022133124
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2020522281の分割
【原出願日】2018-06-26
(31)【優先権主張番号】62/525,305
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/586,675
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/525,380
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/525,301
(32)【優先日】2017-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520000216
【氏名又は名称】シジジー プラズモニクス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】スーマン カティワダ
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー ウィリアム ベスト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人工または自然光源を利用した効率的なリアクタシステムを提供する。
【解決手段】(a)少なくとも一部が反射可能であり得る内表面を有するハウジングと、(b)ハウジングの内部に配置された少なくとも1つのリアクタセル100であって、該少なくとも1つのリアクタセルは、筐体110と、少なくとも1つの筐体内に配置された触媒担体120上のプラズモン光触媒とを含み、筐体は光学的に透明であって、反応物質を少なくとも1つのセルに入力する少なくとも1つの入力と、改質物を少なくとも1つのセルから排出する少なくとも1つの出力とを含む、少なくとも1つのリアクタセルと、(c)ハウジングの内部および/または外部に配置された少なくとも1つの光源と、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内部に配置され、筐体と、前記少なくとも1つの筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備える少なくとも1つのリアクタセルであって、前記筐体は、光学的に透明であり、反応物質を前記少なくとも1つのセルに入力するための少なくとも1つの入力と、改質物を前記少なくとも1つのセルから排出するための少なくとも1つの出力とを備える、前記少なくとも1つのリアクタセルと、
少なくとも1つの光源であって、前記リアクタセルは、該少なくとも1つの光源を使用すると前記反応物質を前記改質物に変化させるように構成されている、前記少なくとも1つの光源とを備える、リアクタシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源は、前記ハウジングの中央長軸に沿って延びかつ同軸に配置されている、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源は、前記ハウジング内で同軸に配置され、前記少なくとも1つのリアクタセルは、前記少なくとも1つの光源を取り囲むように配置された複数のリアクタセルを備える、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光源は、LED、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、キセノンランプ、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HIDランプ、およびレーザからなる群から選択される少なくとも1つの光源を備える、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項5】
前記複数のリアクタセルはそれぞれ、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを有する筐体を備え、各リアクタセルの前記外側の空洞は前記触媒担体上のプラズモン光触媒を含み、前記中央の空洞は、光源と温度管理機構のうちの少なくとも1つを配置できるように構成されている、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項6】
前記温度管理機構は、金属ロッド、複数の金属ワイヤ、または流体温度管理システムのうちの少なくとも1つであり、前記流体温度管理システムは、供給された流体が前記複数のリアクタセルのそれぞれを通って前記リアクタシステムの温度を変更するように(a)各リアクタセルの前記中央の空洞の第1の端部に結合された流体入力と、(b)各リアクタセルの前記中央の空洞の第2の端部に結合された流体出力とを備えている、請求項5に記載のリアクタシステム。
【請求項7】
各リアクタセルの前記少なくとも1つの入力に接続されたリアクタ流体分配器と、
各リアクタセルの少なくとも1つの出力に接続された流体集積器とをさらに備える、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのセルの筐体へ前記少なくとも1つの反応物質を輸送する、または前記少なくとも1つのセルの筐体から前記少なくとも1つの改質物を輸送するための少なくとも1つの輸送経路に前記少なくとも1つのセルを結合する1または複数の取り付け具をさらに備える、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反応物質は流体である、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項10】
太陽光集中装置と、
光触媒リアクタセルへの電磁放射の発生を増加させるように前記太陽光集中装置に対して配置された光触媒リアクタセルとを備える、リアクタシステム。
【請求項11】
前記太陽光集中装置は反射板または屈折器を備える、請求項10に記載のリアクタシステム。
【請求項12】
前記太陽光集中装置はフレネルレンズを備え、前記光触媒リアクタセルは前記フレネルレンズの焦点に配置されている、請求項10に記載のリアクタシステム。
【請求項13】
複数の太陽光集中装置と、前記光触媒リアクタセルのそれぞれへの電磁放射の発生を増加させるように前記複数の太陽光集中装置に対して配置された複数の光触媒リアクタセルとをさらに備える、請求項10に記載のリアクタシステム。
【請求項14】
少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させる方法であって、
少なくとも1つの反応物質をハウジング内に配置された複数のリアクタセル内に分配する工程であって、前記リアクタセルは、光学的に透明な筐体と、該光学的に透明な筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備える工程と、
前記複数のリアクタセルが少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させるように、少なくとも1つの光源を介して前記ハウジングの内部を照射する工程と、
前記複数のリアクタセルから前記少なくとも1つの改質物を集める工程と、を備える方法。
【請求項15】
前記ハウジングは、反射内表面を備え、前記ハウジングの反射内表面で少なくとも1つの光源からの光を反射し、前記複数のリアクタセルへ導く工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のリアクタセルのそれぞれの光学的に透明な筐体は、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを備え、各リアクタセルの前記外側の空洞は、前記触媒担体上の前記プラズモン光触媒を含み、各リアクタセルの前記中央の空洞は光源を含み、前記照射は前記複数のリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞に含まれる前記光源から行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のリアクタセルのそれぞれの光学的に透明な筐体は、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを備え、各リアクタセルの前記外側の空洞は前記触媒担体上の前記プラズモン光触媒を含み、各リアクタセルの前記中央の空洞は温度管理機構を含み、前記方法は、前記少なくとも1つの反応物質を前記少なくとも1つの改質物に変化させることを補助するように、前記複数のリアクタセルのそれぞれにおける温度管理機構を介して前記複数のリアクタセルを加熱する工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記複数のリアクタセルのそれぞれにおいて前記温度管理機構を介して加熱する工程は、前記複数のリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞の第1の端部に結合された流体入力から前記複数のリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞の第2の端部に結合された流体出力へ流体を供給し、前記流体により前記複数のリアクタセルのそれぞれを加熱する工程を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のリアクタセルのそれぞれにおいて前記プラズモン光触媒と反応する前記少なくとも1つの反応物質を介して前記複数のリアクタセルを加熱する工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの外部に設けられた光源を有し、前記ハウジングは少なくとも部分的に透明であり、前記ハウジングの内部を照射する工程は、前記光源からの電磁放射を前記ハウジングを通して前記複数の光触媒リアクタセルへ向ける工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された複数のリアクタセルであって、各リアクタセルは、反射内表面を有する筐体と、入力と、出力と、光源と、前記筐体内に配置された触媒担体上の少なくとも1つのプラズモン光触媒であって、前記プラズモン光触媒はプラズモン材料に結合された触媒を備える少なくとも1つのプラズモン光触媒を備える複数のリアクタセルと、
少なくとも1つの反応物質を、各リアクタセルの前記入力を介して前記複数のリアクタセルに分配する分配器と、
各リアクタセルの前記出力を介して、前記複数のリアクタセルから少なくとも1つの改質物を集める集積器とを備える、リアクタシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願
本出願は以下の米国特許出願に基づく優先権を主張し、これらの米国特許出願に記載された全ての記載内容を引用により援用するものである。2017年6月27日出願の米国仮特許出願第62/525,301号、2017年6月27日出願の米国仮特許出願第62/525,305号、2017年6月27日出願の米国仮特許出願第62/525,380号、2017年11月15日出願の米国仮特許出願第62/586,675号。
【0002】
さらに、以下の特許出願も引用により全ての記載内容を援用する。2018年5月11日出願の国際特許出願第PCT/US18/32375号、2018年5月11日出願の米国特許出願第15,977,843号、及び、これと同時に出願された「透明筐体を有するリアクタセル」という表題の国際特許出願第(未定)。
2.本開示の技術分野
本開示は、概して、少なくとも1つの光源と複数のリアクタセルとを有するリアクタシステムに関し、各リアクタセルは、光学的に透明な筐体と、筐体内に配置された触媒担体上の1または複数のプラズモン光触媒を有する。
【背景技術】
【0003】
3.背景技術
工業プロセスは、化学製品製造や環境汚染物質の緩和に用いる不均一系触媒に大きく依存している。これらのプロセスは、表面積の広い担体材料に分散した金属ナノ粒子に依存する場合が多く、触媒として活性な表面積を最大にするとともに、触媒(パラジウム、白金、ルテニウム、またはロジウム)を最も費用対効果が高く用いることができる。遷移金属ナノ粒子を利用した触媒プロセスは、多くの場合エネルギー集約的であり、触媒活性を最大にするために高温および高圧力を必要とする。したがって、効率的で費用対効果の高い触媒システムが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
発明者らは、人工または自然光源を利用した効率的なリアクタシステムを発見した。本開示のリアクタシステムは、1または複数の目標波長の吸収を最大化する、および/または所望の化学反応に触媒作用を及ぼすように設計される。その結果、ここに開示するリアクタシステムは、現在の多くの工業プロセスに対して費用対効果が大きく環境的に持続可能な解決方法になりうる。
【0005】
したがって、ある態様によれば、本開示は、ハウジングと、ハウジング内に配置された少なくとも1つのリアクタセルとを備えるリアクタシステムを提供する。前記少なくとも1つのリアクタセルは、筐体と、前記少なくとも1つの筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備え、前記筐体は光学的に透明であり、反応物質を少なくとも1つのセルに入力するための少なくとも1つの入力と、改質物を前記少なくとも1つのセルから排出するための少なくとも1つの出力とを備える。少なくとも1つの光源を用いると、前記リアクタセルは前記反応物質を前記改質物に変化させるように構成される。
【0006】
別の態様によれば、本開示は、太陽光集中装置と、光触媒リアクタセルへの電磁放射の発生を増加させるように太陽光集中装置に対して配置された光触媒リアクタセルとを提供する。
【0007】
さらに別の態様によれば、本開示は、少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させる方法を提供する。上記方法は、(a)少なくとも1つの反応物質をハウジング内に配置された複数のリアクタセル内に分配する工程であって、各リアクタセルは、光学的に透明な筐体と、光学的に透明な筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備える工程と、(b)少なくとも1つの光源を用いて前記ハウジングの内部を照射して、前記複数のリアクタセルが少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させる工程と、(c)前記少なくとも1つの改質物を前記複数のリアクタセルから集める工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、本開示の方法および装置をさらに理解するために含まれており、本明細書の一部に組み込まれ、この明細書の一部を構成するものである。図面は必ずしも縮尺どおりであるとは限らず、理解を促進するために、様々な要素のサイズが単純化するために歪められ、および/または簡略化された表現として示されている場合があり得る。図面は本開示の1または複数の実施形態を図示し、説明とともに、発明の原理や動作を説明する役割を果たす。
【
図1A】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの側断面図である。
【
図1B】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの分解斜視側面図である。
【
図2A】本開示のある実施形態に係るリアクタシステムの構成を示す斜視側面図である。
【
図2B】
図2Aの実施形態に係るリアクタシステムの構成を示す分解斜視側面図である。
【
図3A】本開示のある実施形態にかかるリアクタセルの構成例を示す側断面図である。
【
図3B】
図3Aの実施形態に係るリアクタセルの構成例を示す端部断面図である。
【
図4A】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの構成例を示す側断面図である。
【
図4B】
図4Aの実施形態に係るリアクタセルの構成例を示す端部断面図である。
【
図5A】本開示のある実施形態に係るリアクタセルの構成例を示す側断面図である。
【
図5B】
図5Aの実施形態に係るリアクタセルの構成例を示す端部断面図である。
【
図6】ビーズ状の触媒担体を有するリアクタセルの構成例を詳細に示す断面図である。
【
図7A】本開示のある実施形態に係るリアクタセルシステムの構成例を示す端部断面図である。
【
図7B】本開示のある実施形態に係るリアクタセルシステムの構成例を示す端部断面図である。
【
図7C】本開示のある実施形態に係るリアクタセルシステムの構成例を示す端部断面図である。
【
図7D】本開示のある実施形態に係るリアクタセルシステムの構成例を示す端部断面図である。
【
図8】本開示のある実施形態に係る太陽光集中装置を有するリアクタシステムの構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のシステムおよび方法を説明する前に、本明細書に記載される態様は、特定の実施形態、装置、または構成に限定されるものではなく、当然ながら、変更可能であると理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は特定の態様を記述する目的でのみ使用されるものであり、本明細書において特に定義されない限り、限定的なものではないと理解されるべきである。
【0010】
本明細書を通じて、文脈で別段の必要がない限り、「備える」および「含む」およびそれらの変形例(例えば、「備える」、「含む」等)は記載された構成要素、特徴、要素、ステップ、または構成要素、特徴、要素、ステップのまとまりを含むことを意味するが、その他の構成要素、特徴、要素、ステップ、または構成要素、特徴、要素、ステップのまとまりを除外するものではない。
【0011】
明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形は、文脈が明確に別段の指示を行わない限り、複数の対象を含む。
【0012】
本明細書において使用される場合、「結合」は、ある要素の他の要素への物理的、電子的、熱的、または光学的結合を含む。
【0013】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までと表すことができる。そのような範囲を表す場合、別の態様として、前記ある特定の値から、および/または前記別の特定の値までとして表すことができる。同様に、値が近似として表現される場合、先行する「約」を用いることにより、前記特定の値が別の態様を構成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の終点は、別の終点と関連して、および別の終点とは独立して、重要であることが理解されるであろう。
【0014】
特に明記されていない限り、本明細書におけるパーセンテージ、比、および比率は全て重量単位である。構成要素の重量パーセント(重量%またはwt%)は、特に別段の記載がない限り、前記構成要素が含まれる構成要素の総重量(例えば、触媒材料の総量)に基づいている。
【0015】
本開示に鑑みて、本明細書に記載されたプロセスや活物質は、当業者によって所望の要求を満たすように構成することができる。一般に、開示されたシステム、方法、および装置は、光触媒プロセスおよび材料を改善する。一般に、本開示は、少なくとも一部が反射面であってもよい内表面を有するハウジングを備えるリアクタシステムを提供する。リアクタシステムは、ハウジング内部に配置された少なくとも1つのリアクタセルをさらに備えている。少なくとも1つのリアクタセルは、筐体と、筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備える。セルの筐体は光学的に透明であり、少なくとも1つのセルに反応物質を入力するための少なくとも1つの入力と、少なくとも1つのセルから改質物を排出するための少なくとも1つの出力とを有する。リアクタシステムは、少なくとも1つの光源をさらに備え、少なくとも1つの光源はハウジング内部および/またはハウジングの外部に配置されてもよい。
【0016】
一般に、リアクタシステムは光源によりリアクタセルを照射するように設計されており、該光源はそれぞれ1または複数の光源から構成されてもよい。本開示のリアクタシステムのある実施形態を、
図2Aの断面図に示す。同じリアクタシステム200の要素も、
図2Bの分解図に示す。本実施形態によると、少なくとも1つのリアクタセル100と少なくとも1つの光源220がリアクタハウジング230内に配置される。リアクタシステム200はリアクタ取り付け具240をさらに備えており、リアクタ取り付け具240はさらに(例えば改質反応に用いられる)別のシステムに結合されてもよい。本開示のリアクタシステムの複数の別の実施形態を、
図3Aおよび
図3B、
図4Aおよび
図4B、
図5Aおよび
図5Bに示す。いくつかの実施形態によれば、
図7Aから
図7Dに示すように、リアクタシステムはいくつかの光源220および/または温度管理機構250を有してもよい。
【0017】
ある実施形態によれば、リアクタ取り付け具240は、(入力用の)リアクタ流体分配器と(出力用の)リアクタ流体集積器とを備えてもよい。任意の従来のリアクタ流体分配器または集積器を用いてもよい。例えば、リアクタ流体分配器または集積器は、米国特許番号4,788,040(引用により援用)に開示されたものと類似したものでもよく、リアクタ流体分配器と集積器の開口部は、リアクタセルの配置と一致する。いくつかの実施形態によれば、リアクタ流体分配器および/または集積器の(例えばリアクタセルに面した)内表面は、反射面であってもよい。
【0018】
ある実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、ハウジングの中心長軸に沿って同軸に延びて配置されてもよい。別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、少なくとも1つのLED、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、キセノンランプ、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HID、レーザまたはこれらの組み合わせであってもよい。さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源は、長さ方向に配置された複数のLEDを有する少なくとも1つのコーンコブLEDランプを有してもよい。
【0019】
別の実施形態によれば、少なくとも1つのリアクタセルは、伸長してもよく、または断面が円形であってもよい。この実施形態によれば、少なくとも1つのリアクタセルは、少なくとも1つの光源に平行または同軸に配列してもよい。例えば、さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの光源はハウジング内に同軸に設けられてもよく、少なくとも1つのリアクタセルは少なくとも1つの光源を取り囲むように配置された複数のリアクタセルを有する。
【0020】
ある実施形態によれば、ハウジングは、例えば、断面が円形または多角形である。ある実施形態によれば、ハウジングの内径は、約12cmから約128cmである。ハウジングの内径は、さらに約24cmから約72cmであってもよい。ある実施形態によれば、複数のリアクタセルはそれぞれ約2cmから約4cmの直径を有する。リアクタセルは、例えば、12個から24個設けられてもよい。
【0021】
別の実施形態によれば、ハウジングの内径は約12cmから約18cmでもよい。
図4Aおよび
図4Bに示すように、複数のリアクタセルのそれぞれは、約2cmの直径を有し、リアクタセルの個数は、例えば、50個から100個でもよい。さらに別の実施形態によれば、
図5Aおよび
図5Bに示すように、複数のリアクタセルはそれぞれ約1cmの直径を有してもよく、リアクタセルは例えば少なくとも100個のリアクタセルを含んでいる。
【0022】
ある実施形態によれば、
図7Bに示すように、リアクタシステムは、ハウジング内に同軸に配置された少なくとも1つの軸255を有する。少なくとも1つの軸は、反射外表面を有してもよい。本実施形態によれば、複数のリアクタセルと複数の光源は、交互に配置する等、少なくとも1つの軸に対して平行に、かつ軸を囲むように配置されている。さらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの軸255は、少なくとも1つの軸255に流体が流れてリアクタシステムを温度管理するように、第1の端部に入力を有し第2の端部に出力を有する空洞を有してもよく、その場合、流体は温度管理機構250の少なくとも一部を構成する。別の実施形態によれば、少なくとも1つの軸は、熱伝導可能な金属ロッドおよび/または複数の金属ワイヤを備えている。
【0023】
別の実施形態によれば、リアクタシステムは、少なくとも1つの光源に結合された内表面を有するハウジングを備えている。リアクタシステムは、ハウジングの内部に配置された少なくとも1つのリアクタセルをさらに有する。少なくとも1つのリアクタセルは、筐体と、筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備える。筐体は、光学的に透明であり、反応物質を少なくとも1つのリアクタセルに入力するための少なくとも1つの入力と、改質物を少なくとも1つのリアクタセルから排出するための少なくとも1つの出力とを備える。リアクタシステムは、ハウジング内に配置された反射外表面を有する少なくとも1つの軸を有してもよい。ある実施形態によれば、少なくとも1つの軸はハウジング内に同軸に配置される。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、光源は太陽光源である。例えば、光源は、太陽、別の星、または他の任意の発光天体を含んでもよい。そのような場合、リアクタシステムは、太陽光集中装置を備え、光エネルギーを光触媒リアクタセルに与え、光触媒リアクタセルは多くのそのような光触媒リアクタセルの一部であってもよい。
【0025】
太陽光源を利用するリアクタシステムは、反射板または屈折器等の太陽光集中装置と、光触媒リアクタセルへの電磁放射の発生を増加させるように太陽光集中装置に対して配置された光触媒リアクタセルとを備えてもよい。ある実施例によると、太陽光集中装置は、放物面鏡トラフ、放物面ディッシュ、フレネル反射板、コンパクトリニアフレネル反射板(CLFR)、太陽光タワー、平板集光器、真空管集光器、または他の種類の反射板、等の反射板を備えている。別の実施例によれば、太陽光集中装置はレンズ(例えばフレネルレンズ)等の屈折器を備えている。
【0026】
図8は、太陽光集中装置が放物面鏡トラフ800である、実施形態の一例を示す。図に示すように、放物面鏡トラフ800は、太陽(または他の光源)から入射した電磁放射を反射する焦線を数学的に確定するようにカーブする放物形状の鏡面800を備える。放物面鏡トラフ800は、放物面鏡トラフ800を、地球(地球上の物体を含む)等の物体、乗り物、天体、衛星等の物体に取り付けるためのスタンド、フレーム、ベース、または他の手段等の取り付け機構804をさらに備える。光触媒リアクタセルは中心軸(例えば、細長い円筒形状のセルの長軸)に沿って放物面鏡トラフの焦線に実質的に並ぶように配置されている。
【0027】
図8は単一の光触媒リアクタセル100と単一の放物面鏡トラフ800のみを示すが、いくつかの実施形態によれば、(複数の放物面鏡トラフのうちの少なくとも1つの焦線に対して中心軸に沿って実質的に並ぶように配置された)単一の光触媒リアクタセルと1つ以上の放物面鏡トラフを設けてもよく、または、(複数の放物面鏡トラフのうちの少なくとも1つの焦線に対して中心軸に沿って実質的に並ぶようにそれぞれ配置された)複数の光触媒リアクタセルと複数の放物面鏡トラフを設けてもよい。
【0028】
図8に示す放物面鏡トラフ800の代わりに、太陽光集中装置は、放物面ディッシュを備えていてもよく、光触媒リアクタセルが放物面ディッシュの焦点に実質的に配置されていてもよい。例えば、放物面ディッシュは、他の反射ディッシュ部にそれぞれ隣接して配置され列を形成する複数の反射ディッシュ部を備えてもよい。
【0029】
または、太陽光集中装置はフレネル反射板をさらに備え、光触媒リアクタセルがフレネル反射板の焦線に対して中心軸に沿って実質的に並ぶように配置されてもよい。例えば、フレネル反射板はコンパクトリニアフレネル反射板(CLFR)を備えてもよい。
【0030】
さらに別の例によれば、太陽光集中装置は、可動式反射板の列から集束した電磁放射を受けるように構成された太陽光タワーを備えてもよい。そのような構成において、ある実施形態によれば、光触媒リアクタセルは可動式反射板の列の焦点において太陽光タワーに配置されている。
【0031】
他の太陽光集中装置の実施形態は、複数の反射板を利用してもよい。平板集光器および/または真空管集光器をいくつかの実施形態で用いてもよい。
【0032】
太陽光集中装置に用いた反射板の代わりに屈折器を用いてもよい。例えば、太陽光集中装置は屈折レンズを備えており、光触媒リアクタセルが、屈折レンズの焦点に配置されてもよい。例えば、太陽光集中装置はフレネルレンズを備え、光触媒リアクタセルがフレネルレンズの焦点に配置されてもよい。
【0033】
上記の実施形態によれば、本明細書に記載されているように、放物面鏡トラフ800等の特定の太陽光集中装置および/または集中要素はハウジングまたは少なくともハウジングの一部を構成してもよい。別の例として、そのような太陽光集中装置および/または集中要素は、少なくとも一部が光学的に透明である別体としてのハウジング内に設けられてもよい。
【0034】
上述した太陽光源の各実施形態によれば、太陽光集中装置は、太陽光集中装置に対して法線方向に入射した電磁放射を実質的に最大にするように設けられると有利である。ある実施形態によれば、太陽光集中装置の長さが南北方向に配置され、リアクタシステムがコンピュータ制御の太陽追尾システムをさらに備え、太陽光集中装置に入射する電磁放射の角度が最適になるように太陽光集中装置が維持されてもよい。一般に、上述の太陽光集中装置のいずれかを、太陽(または他の光源)を追尾するように制御して、太陽光集中装置に対して法線方向に入射する電磁放射の強度を実質的に最大にしてもよい。
【0035】
上述の太陽光源の実施形態のいくつかにおいて、光触媒リアクタセルは、受光した光を触媒担体120(例えば
図1A参照)に反射して戻すために、筐体の内表面の少なくとも一部を反射面(例えば鏡面)にすると有利である。例えば、光触媒リアクタセル筐体の内部/内表面は、光触媒リアクタセルから見て太陽光集中装置と反対側を鏡面にしてもよい。光触媒リアクタセルの筐体は大部分が光学的に透明であるべきであるが、少なくとも太陽光集中装置に向かう方向において光学的に透明である。
【0036】
これまでリアクタに対するいくつかの太陽光源を述べてきたが、他の構成も可能であり、請求項の範囲であることが意図されている。さらに、上述の実施形態では、太陽ではなく、自然光源と人工(電気等)光源との両方を含む光源を適用してもよい。
【0037】
上述のように、リアクタシステムは1または複数のリアクタセルを備える。本開示のリアクタセルは、少なくとも1つの入力と少なくとも1つの出力とを備える光学的に透明な筐体と、筐体内に配置された触媒担体上の1または複数のプラズモン光触媒とを備える。一般に、プラズモン光触媒は、物理的、電子的、熱的、または光学的等により、プラズモン材料に結合された触媒を備える。本開示のリアクタセルは、光源の照射により、少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させるように構成されている。
【0038】
従来の固定ベッドリアクタにおいて、触媒ベッドは光学的に透明ではない(すなわち、光が触媒ベッドを透過しない)。一方、本開示のいくつかの実施形態によれば、少なくとも支持部は光学的に透明である。ある実施形態によれば、本開示のリアクタセルは、光学的に透明な筐体を追加で、または択一的に備えている。いくつかの実施形態によれば、前記光学的に透明な筐体は、所定の光波長に対して少なくとも50%の透過率を有する。例えば、いくつかの実施形態によれば、光学的に透明な筐体は、所定の光波長に対して約50%から約100%の透過率、または、所定の光波長に対して少なくとも55%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、さらにまたは少なくとも98%の透過率を有する。
【0039】
好ましくは、本開示のいくつかの実施形態による光学的に透明な筐体は、低い熱膨張率を有してもよい。したがって、ある実施形態によれば、前記光学的に透明な筐体は、約1×10-4/°K未満の線膨張係数(CTE)を有する材料を備える。ある実施形態によれば、前記光学的に透明な筐体は、約1×10-5/°K未満のCTE、または約5×10-6/°K未満のCTE、または約3×10-6/°K未満のCTE、さらにまたは約1×10-6/°K未満のCTEを有する材料を備える。例えば、適切なCTE値を有する物質の例として、3.2×10-6/°Kのホウケイ酸ガラス、3.2×10-6/°Kのパイレックス(登録商標)ガラス、約0.59×10-6/°Kから約9×10-6/°Kの石英、5.3×10-6/°Kのサファイア、及び0.55×10-6/°Kの溶融石英があげられるが、これに限るものではない。
【0040】
当業者であれば、所定の光波長(または波長範囲)に対する所望の透過率、および/または線膨張係数(CTE)を有する任意の材料を用いてもよいことを理解するであろう。いくつかの実施形態によれば、光学的に透明な筐体は、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、溶融石英、アルミノ珪酸ガラス、リチウム-アルミノ珪酸ガラス、サファイア、またはこれらの組み合わせを備える。
【0041】
ある実施形態によれば、リアクタセルの光学的に透明な筐体はすべての面が光学的に透明な筐体である。しかし、当業者であれば、ある実施形態によれば、光学的に透明な筐体はすべての面が光学的に透明な筐体でなくてもよいことを理解できるであろう。例えば、光学的に透明な筐体の外側の空洞は、中央の空洞(光学的に透明であってもよい)に面する反射面を備えてもよい。
【0042】
また、本開示のリアクタセルは、物理的、電子的、熱的、または光学的結合等によってプラズモン材料に結合した触媒を備える1または複数のプラズモン光触媒を必要とする。理論に拘束されるものではないが、プラズモン材料は、プラズモン材料と光の特有の相互作用によって光を吸収可能な光アンテナとして作用すると考えられており、その結果、プラズモン材料上およびプラズモン材料の近くで強い電界を発生する(例えば、プラズモン材料内の電子の集団振動の結果による)。このプラズモン材料上またはプラズモン材料の近くの強い電界によって、触媒とプラズモン材料とが約20nm以上離れた場合でも、触媒とプラズモン材料とが結合することができる。
【0043】
一般に、プラズモン材料は、任意の金属、合金、メタロイド元素、またはその合金であってもよい。いくつかの実施形態によれば、本開示のプラズモン材料は、金、金合金、銀、銀合金、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金のいずれかである。本開示において、「合金」は任意の金属の可能な組み合わせを含む。例えば、合金は、AuAg、AuPd、AgPd、AuCu、AgCu等の二元合金、またはそれらは三元合金、さらには四元合金であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、本開示のプラズモン材料は、酸化されていないコアを取り囲む酸化物シェルを備える。1または複数の実施形態によれば、酸化物シェルは、金属または合金が空気または水にさらされると生成される天然/自然酸化物シェルであってもよい。例えば、銅プラズモン材料は、銅のコアを取り囲む銅酸化物(例えば、CuOまたはCu2O)を有していてもよく、アルミニウムプラズモン材料は、アルミニウムのコアを取り囲むアルミニウム酸化物シェルを有していてもよい。いくつかの実施形態によれば、適切な化学的方法、または化学的合成、そうでない場合は堆積によって酸化物を予め形成されたプラズモン材料の周りに形成することで、自然/天然酸化物シェルを人工的に厚くするなどして、酸化物シェルを少なくとも部分的に人工的に形成してもよい。いくつかの実施形態によれば、酸化物シェルの厚さは、約30nmまで、または約25nmまで、または約15nmまでであってもよい。いくつかの実施形態によれば、酸化物シェルの厚さは、少なくとも約0.5nm、または少なくとも1nm、または少なくとも1.5nmであってもよい。いくつかの実施形態によれば、酸化物シェルの厚さは、約0.1nmから約5nm、または約0.1nmから約30nm、または約1nmから約5nm、または約1nmから約30nmである。
【0045】
当業者であれば、プラズモン材料のサイズ、形、化学的構造は、1または複数の目標波長の吸収に影響することを理解できるであろう。したがって、1または複数のプラズモン材料は、目標波長(例えば、目標波長のセットまたは範囲)の吸収を最大にし、例えば目標波長を認識するが、他の目標でない波長については吸収量が比較的少なくなるように設計されていてもよい。別の例において、本開示のプラズモン材料は所望の化学反応に触媒作用を及ぼすように設計されていてもよい。したがって、いくつかの実施形態によれば、本開示のプラズモン材料は、電磁スペクトルの紫外線から赤外線領域において、プラズモン共鳴振動数または光学的吸収最大値を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、プラズモン材料は、可視光スペクトル(約380nmから約760nmの範囲の波長等)において、プラズモン共鳴振動数を有している。
【0046】
一般に、プラズモン材料に結合した触媒材料は、(例えば、プラズモン材料と結合していない場合でも)所望の反応に触媒作用を及ぼすことが可能な任意の化合物であってもよい。例えば、前記触媒は、酸化および還元反応、水または大気汚染の緩和反応、NO×およびN2Oの分解、アセチレンの水素化等の水素化反応に対する触媒作用、(例えば、フィッシャー・トロプシュ合成反応を用いた炭化水素を生成するための水素化反応と結びつきうる)逆水性ガスシフト反応を介した二酸化炭素から一酸化炭素への転換反応、およびアンモニアの合成を含む窒素活性化反応が可能であってもよい。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒は、任意の金属またはメタロイド元素、任意の合金、酸化物、リン化物、窒化物、またはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、本開示の触媒は、触媒活性なパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、鉄、銅、コバルト、イリジウム、オスミウム、チタン、バナジウム、インジウム、またはこれらの組み合わせを備えてもよい。本開示の触媒は、触媒活性なパラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム、ニッケル、鉄、銅、コバルト、イリジウム、オスミウム、チタン、バナジウム、またはインジウムの任意の合金、酸化物、リン化物、または窒化物を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒は、触媒活性鉄または銅を含む。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒は、金属間ナノ粒子、コア-シェルナノ粒子、または半導体ナノ粒子(例えば、Cu2O)であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、前記触媒は、プラズモン材料に物理的に付着していてもよく、別の実施形態によれば、前記触媒は、プラズモン材料から小さな距離だけ離れていてもよい(ただし、物理的、電子的、熱的、または光学的結合等によって結合されている)。この分離は、空間(つまり、明確な物理的分離)によって行われてもよいし、上述した薄い酸化物層で行われてもよい。例えば、プラズモン材料と触媒は、リソグラフィ法で形成するときに小さな距離だけ離れて、明確な物理的分離を形成してもよい。1または複数の実施形態によれば、このわずかな分離は、約30nmまで、または約25nmまで、または約15nmまでであってもよい。いくつかの実施形態によれば、この分離は、少なくとも約0.5nm、または少なくとも2nm、または少なくとも5nm、または少なくとも10nmであってもよい。いくつかの実施形態によれば、1または複数の触媒は、反応に利用可能な表面積を増やすことのできる単一のプラズモン材料の表面に物理的に取り付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、触媒は、プラズモン材料を取り囲むシェルを構成してもよい。
【0048】
プラズモン光触媒は、約5nmから約300nmの直径を有してもよい。いくつかの実施形態によれば、本開示のプラズモン光触媒の直径は、約10nmから約300nm、または約50nmから約300nm、または約80nmから約300nm、または約100nmから約300nm、または約5nmから約250nm、約10nmから約250nm、または約50nmから約250nm、または約80nmから約250nm、または約100nmから約250nm、または約5nmから約200nm、約10nmから約200nm、または約50nmから約200nm、または約80nmから約200nm、または約100nmから約200nm、または約80nmから約200nmであってもよい。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態におけるリアクタセルは、触媒担体上に分散した1または複数のプラズモン光触媒をさらに有する。筐体と同様に、いくつかの実施形態によれば、触媒担体は低吸光度、特に(特定の放射波長または波長域に対する)十分に低い吸光度を有し、それにより、反応物質が十分な照射量に晒され、その結果、使用中の特定のリアクタセル形状に対して所望の触媒効果を得ることができる。
【0050】
当業者であれば、所定の光波長(または、波長のセットまたは範囲)に対する所望の吸光度または透過率を有する任意の材料を触媒担体に用いてもよいことを理解できるであろう。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒担体は、シリカ、石英、溶融石英、ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、リチウム-アルミノ珪酸ガラス、サファイア、ダイヤモンド、またはそれらの混み合わせを備える。触媒担体は、ビーズ、多孔質ビーズ、繊維、球体、ペレット、(中空またはその他の)円筒、ハニカム、または(例えば、押出加工または錠剤化法を用いた)対称または非対称の3~4葉体等の、当業界で知られている任意の形状をしてもよい。例えば、
図6は、ビーズ状の触媒担体の断面図を示す。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒担体はエアロゲルであってもよい。適切なエアロゲルは、二酸化ケイ素エアロゲル、酸化アルミニウムエアロゲル、二酸化チタンエアロゲル、二酸化ジルコニウムエアロゲル、酸化ホルミウムエアロゲル、酸化サマリウムエアロゲル、酸化エルビウムエアロゲル、酸化ネオジム(III)エアロゲル、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒担体は二酸化ケイ素エアロゲルである。当業者であれば、担体がエアロゲルである場合、プラズモン光触媒はエアロゲル中に分散していてもよい(例えば、プラズモン光触媒がエアロゲルに埋没していてもよい)。いくつかの実施形態によれば、本開示の触媒担体は、透明な酸化アルミニウム(例えば、α相の酸化アルミニウムまたはγ相の酸化アルミニウム)であってもよい。
【0051】
プラズモン光触媒は、所望の用途に適した任意の量で触媒担体上に存在してもよい。例えば、触媒担体上に存在するプラズモン光触媒の量は、約0.01wt%から約30wt%、または約0.01wt%から約80wt%、または約10wt%から約80wt%、または約0.01wt%から約70wt%、または約10wt%から約70wt%、であってもよい。いくつかの実施形態によれば、触媒担体上に存在するプラズモン光触媒の量は、約0.01vol%から約30vol%、または約0.01vol%から約20vol%、または約10vol%から約50vol%、または約0.01vol%から約70vol%、または約10vol%から約70vol%、であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、プラズモン光触媒は、担体の外面上の薄膜コーティングとして(例えば、1または数枚の層として)、触媒担体上に存在してもよい。1または複数の実施形態によれば、担体にコーティングされたプラズモン光触媒層は、約30nmまで、または約25nmまで、または約15nmまで、または少なくとも約0.5nm、または少なくとも2nm、または少なくとも5nm、または少なくとも10nm、または約5nmから約300nm、または約10nmから約300nm、または約50nmから約300nm、または約80nmから約300nm、または約100nmから約300nm、または約5nmから約200nm、約10nmから約200nm、または約50nmから約200nm、または約80nmから約200nm、または約100nmから約200nm、または約80nmから約200nm、または約5nmから約100nm、または約10nmから約100nm、または約50nmから約100nm、または約10nmから約50nm、または約1nmから約50nm、の厚さであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、リアクタセルは、筐体内に配置された触媒担体上の一つのプラズモン光触媒を備える(例えば、1種類の坦持されたプラズモン光触媒が筐体内に配置されている)。いくつかの実施形態によれば、リアクタセルは、筐体内に配置された触媒担体上の2以上のプラズモン光触媒を備える(例えば、2以上の異なるプラズモン光触媒が筐体内に配置されている)。担体上の2以上のプラズモン光触媒は、混合された状態でも、別々の層の状態でも、どちらの状態でもよい。例えば、それぞれの層が、所望のプラズモン共鳴振動数および/または所望の直径を有する坦持された1種類のプラズモン光触媒を有してもよい。非限定的な例では、ある層が、ある所望の波長域を他の波長に比較して吸収し、次の層が別の波長域を吸収し、最後の層(例えば中間層)が第1および第2の波長域以外の波長等、別の波長を吸収する。
【0054】
一般に、リアクタセルは、光源によってプラズモン光触媒を照射できるように構成されている。本開示のリアクタセルのある実施形態を、
図1Aの断面図に示す。同じリアクタセル100の要素も、
図1Bの分解図に示す。ここで、図示されたリアクタセル100は、光学的に透明な筐体110の内部に配置された触媒担体120上のプラズモン光触媒を備えている。リアクタセル100は、少なくとも1つの反応物質入力130と少なくとも1つの改質物出力140のための少なくとも1つの輸送経路にセルを取り付けるように構成された取り付け具160をさらに備えてもよい。リアクタセル100は、光学的に透明な筐体110内に触媒を保持するように構成された1または複数のパッキン支持部150をさらに備えてもよい。
【0055】
リアクタセルの筐体の大きさと形は、所望の要求を満たすように選択してもよい。いくつかの実施形態によれば、筐体は約0.2cmから約10cm、または約0.5cmから約3cmの内径を有する。いくつかの実施形態によれば、筐体は、約10cmから約2m、または約50cmから約1mの長さを有する。リアクタセルの筐体は、例えば、断面が円形または多角形であってもよい。
【0056】
上述したように、リアクタセルは、少なくとも1つの反応物質を筐体に輸送するための、または少なくとも1つの改質物を筐体から輸送するための、少なくとも1つの輸送経路にリアクタセルを取り付けるように構成された1または複数の取り付け具(例えば、
図1A、1Bに示す取り付け具160)をさらに備えてもよい。例えば、取り付け具は、反応物質入力に結合されたた第1の取り付け具と、改質物出力に結合された第2の取り付け具とを備えてもよい。本開示の取り付け具は、低合金鋼、高合金鋼、クロム合金、ニッケル合金、プラスチック、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、溶融石英、アルミノ珪酸ガラス、リチウム-アルミノ珪酸ガラス、またはそれらの組み合わせを備えてもよい。必要に応じて、本開示の取り付け具は、Oリングまたは他のシール機構をさらに備えてもよい。他の取り付け部材および/またはシール機構も可能であり、本開示の範囲内であることが意図されている。
【0057】
リアクタセルは、触媒を筐体内に保持するように構成された1または複数のパッキン支持部(例えば、
図1A、
図1Bに示すパッキン支持部150)をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、パッキン支持部はリアクタセルの入力端部と出力端部とに設けられている。いくつかの実施形態によれば、パッキン支持部は、リアクタセルの入力端部と出力端部とにスペースを空けて設けられている。パッキン支持部として用いられる従来の材料は、例えば、金属網、(担体よりも径が大きい)ガラスビーズ、ガラスウール、モノリス、ポリマー、またはエストラマーであってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、光学的に透明な筐体は、外側の空洞、外側の空洞と同軸上に配置された中央の空洞とをさらに備え、外側の空洞は触媒担体上のプラズモン光触媒を含み、中央の空洞は光源または温度管理機構を配置可能に構成されている。いくつかの実施形態によれば、光源は、光学的に透明な筐体の中央の空洞に配置されている。いくつかの実施形態によれば、光源は、筐体の長さ方向に沿って、または長さ方向を貫通するように延びている。任意の適切な光源は、LED、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、キセノンランプ、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HID、レーザ、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらには限定されない。太陽光などの自然光を、光源として中央の空洞に導入してもよい。いくつかの実施形態によれば、温度管理機構は光学的に透明な筐体の中央の空洞に配置される。当該分野で知られている任意の温度管理機構を用いてもよい。例えば、温度管理機構は、流体がリアクタセルを通ってリアクタセルに熱を加えるまたはリアクタセルから熱を取り除くように、中央の空洞の第1の端部に結合した流体入力と、中央の空洞の第2の端部に結合した流体出力とを備えてもよく、または、温度管理機構は、熱伝導可能な金属ロッドまたは金属ワイヤを備えてもよい。
【0059】
ある別の実施形態によれば、リアクタシステムの筐体および各リアクタセルのハウジングは光学的に透明でなくてもよい。この実施形態によれば、リアクタシステムは、ハウジングと、それぞれ光源を有する複数のリアクタセルを備える。この実施形態によれば、各リアクタセルがそれぞれ光源を有するので、各リアクタセルの筐体が光学的に透明でなくてもよく、代わりに、筐体内部へ光源からの光を反射するように反射可能であってもよい。各リアクタセルは入力と出力とを有してもよく、各リアクタセルは筐体内に配置された触媒担体上の少なくとも1つのプラズモン光触媒を有し、プラズモン光触媒はプラズモン材料に結合された触媒を備える。リアクタシステムは、各リアクタセルの入力を介して少なくとも1つの反応物質を複数のリアクタセルに分配する分配器と、各リアクタセルの出力を介して複数のリアクタセルから少なくとも1つの改質物を集積する集積器とをさらに備える。
【0060】
別の態様によれば、リアクタシステムを用いて反応物質を変化させる方法を提供する。具体的には、本開示は、少なくとも1つの反応物質を少なくとも1つの改質物に変化させる方法を提供し、この方法は、少なくとも1つの反応物質を本開示のリアクタシステムに加える工程と、少なくとも1つの光源を用いてリアクタシステムおよび/またはリアクタセルの内部を照射する工程とを備えている。
【0061】
本開示の方法の別の実施形態によれば、前記照射は、リアクタシステムの外部の光源から行われる。
【0062】
いくつかの実施形態の方法によれば、(例えば、専用の熱源から等)外部からの加熱を行わない。いくつかの実施形態によれば、前記方法は、リアクタセルを外部から加熱する工程をさらに備える。外部からの加熱は、上述の温度管理機構、または別の加熱方法によって行われる。
【0063】
本開示の代表的な方法は、酸化還元反応、水または大気汚染の緩和反応、NOXおよびN2Oの分解、アセチレンの水素化等の水素化、二酸化炭素転換、およびアンモニアの合成を含む窒素活性化反応を含むが、これらに限定されるものではない。代表的な化学的転換として、以下のものがあげられる。
【0064】
CH4+H2O→H2+CO
CH4+CO2→H2+CO
H2O+CO→H2+CO2
CO2+H2→CO+H2O
CO2+H2→CH4+H2O
N2O→N2+O2
C2H2+H2→C2H4
H2+N2→NH3
CO2+H2→CH4OH+H2O
したがって、いくつかの実施形態によれば、反応物質はメタンおよび水、または反応物質はメタンおよび二酸化炭素、または反応物質は一酸化炭素および水、または反応物質は二酸化炭素および水素ガス、または反応物質は亜酸化窒素、または反応物質はアセチレンおよび水素ガス、または反応物質は水素ガスおよび窒素ガス、または反応物質は二酸化炭素および水素ガスである。
【0065】
本開示の方法は、任意の適切な温度で行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態によれば、本開示の方法は、約100°Cから約300°C、または約100°Cから約250°C、または約100°Cから約200°C、または約150°Cから約300°C、または約150°Cから約250°C、または約150°Cから約200°C、または約200°Cから約300°C、または約200°Cから約250°C、または約180°Cから約220°C、または約190°Cから約210°C、または約20°Cから約300°C、または約20°Cから約250°C、または約20°Cから約200°C、または約20°Cから約150°C、または約20°Cから約100°C、の範囲で行われる。
【0066】
本開示の方法は、任意の適切な圧力で行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態によれば、本開示の方法は、約14psiから約300psi、または約14psiから約200psi、または約14psiから約100psi、または約14psiから約50psi、または約100psiから約300psi、または約100psiから約200psi、の圧力範囲で行われる。
【0067】
本開示の方法において、反応物質は、任意の適切な温度でリアクタシステムに導入されうる。いくつかの実施形態によれば、リアクタセルに導入されるとき、反応物質は、約200°Cから約300°C、または約200°Cから約270°C、または約200°Cから約250°C、または約230°Cから約270°Cの温度である。
【0068】
本明細書に記載された実施例および実施形態は例示目的のためにのみ用いられるものであり、それによる種々の変型または変更が当業者に提案され、本出願の精神および範囲ならびに請求項の範囲の中に組み込まれるべきであることが理解される。本明細書に引用される全ての出版物、特許、および特許出願は、全ての目的のために、引用により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外または可視光スペクトルの少なくとも1つの光を照射できる少なくとも1つの光源に結合された内表面を有するハウジングと、
前記少なくとも1つの光源によって照射された光を受けるよう前記ハウジング内部に配置された、少なくとも1つの固定ベッドリアクタセルと、を備え、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれは、
筐体と、前記少なくとも1つの筐体内に配置された触媒担体上のプラズモン光触媒とを備え、前記プラズモン光触媒は、プラズモン材料に物理的、電子的、熱的、または光学的結合によって結合された触媒を含み、前記プラズモン光触媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン共鳴振動数を有し、前記触媒担体は前記筐体の全体を満たす固定ベッドとして配置されており、また、前記筐体は、反応物質ガスを前記セルに入力するための少なくとも1つの入力と、改質ガスを前記セルから排出するための少なくとも1つの出力とを備え、前記少なくとも1つの前記リアクタセルのそれぞれは、該少なくとも1つの光源を使用すると前記反応物質を前記改質物に変化させるように構成され、前記触媒担体および前記筐体は、前記プラズモン光触媒が触媒作用示す光波長に対して少なくとも50%の透過率を有する、
リアクタシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光源は、前記ハウジングの中央長軸の周りに延び、配置されている、請求項1に記載のリアクタシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源は、前記ハウジング内で前記少なくとも1つのリアクタセルの周りに配置される、請求項1または請求項2に記載のリアクタシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光源は、LED、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ、キセノンランプ、白熱電球、蛍光ランプ、ハロゲンランプ、HIDランプ、およびレーザからなる群から選択される少なくとも1つの光源を備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのリアクタセルそれぞれは、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを有する筐体を備え、各リアクタセルの前記外側の空洞は前記触媒担体上のプラズモン光触媒を含み、前記中央の空洞は、光源と温度管理機構のうちの少なくとも1つを配置できるように構成されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項6】
前記温度管理機構は、金属ロッド、複数の金属ワイヤ、または流体温度管理システムのうちの少なくとも1つである、請求項5に記載のリアクタシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記少なくとも1つの入力に接続されたリアクタ流体分配器と、
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの少なくとも1つの出力に接続された流体集積器とをさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのリアクタセルの前記筐体へ前記少なくとも1つの反応物質入力ガスを輸送する、または前記少なくとも1つのリアクタセルの前記筐体から前記少なくとも1つの改質ガスを輸送するための少なくとも1つの輸送経路に前記少なくとも1つのリアクタセルを結合する1または複数の取り付け具をさらに備える、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの反応物質入力ガスを変化させる方法であって、
少なくとも1つの反応物質入力ガスをハウジング、ここで前記ハウジングは赤外または可視光スペクトルの少なくとも1つの光を照射できる少なくとも1つの光源に結合された内表面を有する、内に配置された少なくとも1つの固定ベッドリアクタセル内に分配する工程であって、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれは、
筐体と、
前記筐体の全体を満たす固定ベッドとして配置される触媒担体と、
前記触媒担体によって担持されたプラズモン光触媒と、前記プラズモン光触媒は、プラズモン材料に物理的、電子的、熱的、または光学的結合によって結合された触媒を含み、前記プラズモン光触媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン共鳴振動数を有し、前記触媒担体および前記筐体は、前記プラズモン光触媒が触媒作用示す光波長に対して少なくとも50%の透過率を有する、を備える、工程と、
前記少なくとも1つの反応物質入力ガスが前記少なくとも1つのリアクタセル中に分配されて、前記少なくとも1つのリアクタセルが、前記少なくとも1つの反応物質入力ガスが少なくとも前記プラズモン光触媒と反応することを通じて、前記少なくとも1つの反応物質入力ガスを少なくとも1つの出力ガスに変化させるようにする間、前記少なくとも1つの光源を介して前記ハウジングの内部を照射する工程と、
前記少なくとも1つのリアクタセルから前記少なくとも1つの出力ガスを集める工程と、
を備える方法。
【請求項10】
前記ハウジングは、反射内表面を備え、前記ハウジングの反射内表面で少なくとも1つの光源からの光を反射し、前記少なくとも1つのリアクタセルへ導く工程をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの筐体は、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを備え、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記外側の空洞は、前記触媒担体上の少なくとも第1の前記プラズモン光触媒を含み、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞は光源を含み、前記照射の少なくとも一部は前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞に含まれる前記光源から行われる、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの筐体は、外側の空洞と、該外側の空洞と同軸に配置された中央の空洞とを備え、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記外側の空洞は、前記触媒担体上の少なくとも第1の前記プラズモン光触媒を含み、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞は温度管理機構を含み、前記方法は、前記少なくとも1つの反応物質入力ガスを変化させることを補助するように、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれにおける温度管理機構を介して前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれを加熱する工程をさらに備える、請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれにおいて前記温度管理機構を通じて加熱する工程は、前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞の第1の端部に結合された流体入力から前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれの前記中央の空洞の第2の端部に結合された流体出力へ流体を供給し、前記流体により前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれを加熱する工程を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれにおいて少なくとも第1の前記プラズモン光触媒と反応する前記少なくとも1つの反応物質入力ガスを介して前記少なくとも1つのリアクタセルのそれぞれを加熱する工程をさらに備える、請求項9から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光源は前記ハウジングの外部に設けられた光源を有し、前記ハウジングは少なくとも部分的に透明であり、前記ハウジングの内部を照射する工程は、前記光源からの電磁放射を前記ハウジングを通して前記少なくとも1つのリアクタセルへ向ける工程を含む、請求項9から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置された複数の円筒状固定ベッドリアクタセルであって、リアクタセルのそれぞれは、
反射内表面を有する筐体と、
入力と、
出力と、
前記筐体内に配置され、赤外または可視光スペクトルの少なくとも1つの光を照射できる光源と、
前記光源を取り囲み、前記筐体内に配置された触媒担体上の少なくとも1つのプラズモン光触媒であって、前記触媒担体は前記筐体の全体を満たす固定ベッドとして配置されており、前記プラズモン光触媒はプラズモン材料に物理的、電子的、熱的、または光学的結合によって結合された触媒を備え、前記プラズモン光触媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン共鳴振動数を有する、少なくとも1つのプラズモン光触媒を備え、前記触媒担体は、前記プラズモン光触媒が触媒作用示す光波長に対して少なくとも50%の透過率を有する、と、
少なくとも1つの反応物質ガスを、各リアクタセルの前記入力を介して前記複数のリアクタセルに分配する分配器と、
各リアクタセルの前記出力を介して、前記複数のリアクタセルから少なくとも1つの改質ガスを集める集積器と、を備える、リアクタシステム。
【請求項17】
ハウジングと、
前記ハウジング内部に配置され、前記ハウジングに配置された少なくとも1つの光源、当該光源は赤外または可視光スペクトルの少なくとも1つの光を照射できる、を取り囲むように配置された、複数の円筒状固定ベッドリアクタセルと、
を備え、
前記複数のリアクタセルのそれぞれは、
筐体と、
少なくとも1種の反応物質入力ガスを受けるための少なくとも1つの輸送経路に、前記筐体の第1端を取り付けるよう構成された第1の取り付け具と、
少なくとも1種の出力ガスを出力するための少なくとも1つの輸送経路に、前記筐体の第2端を取り付けるよう構成された第2の取り付け具と、
前記筐体の全体を満たす固定ベッドとしてパッキングされている触媒担体と、
前記触媒担体によって担持されているプラズモン光触媒、当該プラズモン光触媒は所望の化学反応を触媒するためのプラズモン共鳴振動数を有するプラズモン材料に物理的、電子的、熱的、または光学的結合によって結合された触媒を含む、と、
を含み、
前記筐体は、前記プラズモン光触媒が触媒作用示す光波長に対して少なくとも50%の透過率を有し、
前記少なくとも1種の反応物質入力ガスが前記筐体を通過する間、前記リアクタセルのそれぞれに前記光源を使用すると、前記リアクタセルのそれぞれは、前記少なくとも1つの反応物質入力ガスを、前記少なくとも1種の反応物質入力ガスが少なくとも1つの前記プラズモン光触媒と反応することを通じて、前記少なくとも1つの出力ガスに変化させるように構成されている、
1または複数の反応物質ガスを改質させるためのリアクタシステム。
【請求項18】
前記リアクタセルのそれぞれの前記筐体は、ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英、溶融石英、アルミノ珪酸ガラス、リチウム-アルミノ珪酸ガラス、サファイア、またはそれらの組み合わせを備える、
請求項1から請求項7、請求項16および請求項17のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項19】
前記リアクタセルのそれぞれの前記触媒担体は、シリカ、石英、溶融石英、ガラス、ホウケイ酸ガラス、サファイア、ダイヤモンド、またはこれらの組み合わせを備える、
請求項1から請求項7、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項20】
前記リアクタセルのそれぞれの前記触媒担体は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化ホルミウム、酸化サマリウム、酸化エルビウム、酸化ネオジウム(III)、またはそれらの組み合わせを有するエアロゲルである、
請求項1から請求項7、請求項16から請求項18のいずれか1項に記載のリアクタシステム。
【請求項21】
前記温度管理機構は、(a)各リアクタセルの前記中央の空洞の第1端に結合された流体入力と、(b)各リアクタセルの前記中央の空洞の第2端に結合された流体出力と、を含み、供給された流体が、前記リアクタシステムの温度を変化させるように、前記複数のリアクタセルのそれぞれを通って流れる、
請求項5に記載のリアクタシステム。
【請求項22】
前記温度管理機構は、少なくとも1つの金属ロッドまたは複数の金属ワイヤを備える、
請求項5に記載のリアクタシステム。